JP2009046818A - 構造体の補強装置および補強工法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】
既設の柱などの既設構造体の補強装置2は、構造体の周方向において複数に分割された各補強部材21と、構造体1の周方向において隣合う補強部材21同士を連結するリング部材22とを備え、補強部材21はそれぞれ、構造体1の外周部に沿って設けられる中央部211と、この中央部211の両端に構造体1の周方向と交差するように設けられる連結端部212とを有し、リング部材22には、隣合う補強部材21のそれぞれの連結端部212が挿通される。
【選択図】図2
Description
また、棒鋼を適宜な長さに分割しておき、この分割された棒鋼同士を金物を介してねじ止めする工法が提案されている(例えば、特許文献1)。具体的に、特許文献1で用いられる補強装置は、雄ネジが両端部に形成された棒鋼、およびナットを有する緊締部材と、棒鋼の端部同士を連結するコーナーピースとを備えており、引張力が付与された状態の棒鋼がコーナーピースにナットで固定されることにより、柱を圧縮補強するものとなっている。
また、鋼板を設ける工法には、強度面の問題に加えて、鋼板を扱う重機が必要となったり、溶接が必要となるなどの作業性の問題もある。
ここで、既設の構造体に壁等の突起物が設けられている場合でも、特許文献1のように特殊な補強装置を使うことによって補強工事が可能となるが、特許文献1の工法では、棒鋼をコーナーピースを介してねじ止めする際のトルク管理が煩雑であり、施工には電動または手動のトルクレンチ、あるいは鋼棒を直接引張するための油圧ジャッキ等が必要となって工事が大掛かりとなる問題がある。また、コーナーピースなどの特殊な金物を必要とするため、コストが嵩む。
このような本発明では、リング部材に補強部材が通っていることを確認するだけで容易に施工管理ができ、これによってせん断補強強度に見合う施工品質を確保できる。すなわち、補強装置をねじ止めで組み立てる場合に必要となるトルク管理の煩雑さとは無縁となる。
加えて、補強部材は構造体の周方向において分割して形成されているため、構造体に突起物などが有る場合でも施工し易く、また、分割形成により補強部材の重量がさほど大きくないため、重機を不要にできる。さらに、リング部材に補強部材を通すだけでリング部材を継手として各補強部材を簡単に連結可能であり、施工に特殊な工具を要さないため、作業性に優れる。
以上をまとめると、本発明によれば、施工のし易さを確保できる。
そして、本発明では、コンクリートを増し打ちする従来工法とは異なり、断面拡大による有効面積の減少や重量増加による基礎への負担増などの問題が生じない。
さらに、構造体に穴開け工事を行う必要が無いため、構造体がダメージを負わない。
そして、構造体は、柱、梁などであり、これらの周方向において補強部材は二以上ある。よって、補強部材の連結端部同士を連結するリング部材も二以上ある。このように、補強部材同士を連結する箇所が二以上あっても前述のように施工管理が容易であるから、施工品質を確保できることの効果を大きなものにできる、
なお、略円形には、楕円も含まれ、また異形のものも含まれる。
この発明によれば、折り曲げ加工により、連結端部を容易に形成できる。
また、構造体の外周形状に沿って補強部材を曲げる加工と同じ加工装置によって連結端部の形成を行えるので、作業が効率的となる。
この発明によれば、連結端部を構造体の外周部に沿わせて収まり良く施工できる。
このような本発明では、リング部材に補強部材が通っていることを確認するだけで容易に施工管理ができ、これによって施工品質を確保できる。加えて、リング部材に補強部材を通すだけで良く、施工に特殊な工具を要さないため、作業性に優れる。すなわち、本発明によれば、施工のし易さを確保できる。
そのうえ、補強部材およびリング部材に特殊な金物を必要としないので、コスト面で有利となる。
さらに、コンクリートを増し打ちする従来工法のような断面拡大による有効面積の減少や重量増加による基礎への負担増などの問題や、穴開け工事による構造体のダメージなどの問題が生じない。
このような本発明では、リング部材に補強部材が通っていることを確認するだけで容易に施工管理ができ、これによって施工品質を確保できる。
加えて、前述と同様に、構造体に突起物などが有る場合でも施工し易く、また、重機が不要であり、かつ特殊な工具を要さないことから、作業性に優れる。
すなわち、本発明によれば、施工のし易さを確保できる。
さらに、コンクリートを増し打ちする従来工法のような断面拡大による有効面積の減少や重量増加による基礎への負担増などの問題や、穴開け工事による構造体のダメージなどの問題が生じない。
この発明によれば、後硬化型材料の硬化により、リング部材と補強部材とをより強固に一体化できる。
このような本発明では、リング部材に補強部材が通っていることを確認するだけで容易に施工管理ができ、これによって施工品質を確保できる。加えて、特殊な工具を要さないことから、作業性に優れる。すなわち、本発明によれば、施工のし易さを確保できる。
そのうえ、補強部材およびリング部材に特殊な金物を必要としないので、コスト面で有利となる。
さらに、コンクリートを増し打ちする従来工法のような断面拡大による有効面積の減少や重量増加による基礎への負担増などの問題や、穴開け工事による構造体のダメージなどの問題が生じない。
なお、以下では柱を補強する補強装置および補強工法を示すが、当該補強装置および補強工法は、柱だけでなく、梁等の構造体の補強にも適用できる。
〔第1実施形態〕
図1は、第1実施形態に係る構造体としての既設の柱1と、この柱1の外周に設けられた複数の補強装置2とを示す。
各補強装置2は、柱1の軸方向に沿って所定の設置間隔Hで設置されている。なお、本実施形態では柱1の外周部にコンクリート10が打設されている。
各補強部材21には、断面略円形状の異形PC鋼棒が使用されており、各補強部材21はそれぞれ、柱1の外周部に沿って平面視略L字状とされた中央部211と、この中央部211の両端から柱1の軸方向にそれぞれ略直角に折り曲げられた連結端部212,212とを有している。
ここで、各連結端部212の中央部211からの立ち上がり寸法は、各補強装置2の設置間隔H(図1)に応じた寸法となっている。
図3(A)に示した補強部材21,21の重なり部Aを略直角に折り曲げ加工することにより、図3(B)のように連結端部212が形成される。この連結端部212の形成は、現場で行ってもよいし工場で行ってもよい。
次に、図3(C)のように補強部材21,21の連結端部212同士を同様の向きに揃えた状態で、リング部材22に挿通する補強部材連結工程を実施する。なお、補強部材21の扱いに重機などは不要である。図3(D)は、リング部材22の内側に各連結端部212が挿通された状態を示す。本実施形態の補強工事における施工管理は、リング部材22に補強部材21が通っていることを確認することで行われる。
本実施形態では、補強装置2の周りにコンクリート10(図1)を打設して硬化させる硬化処理工程を実施することにより、柱1の補強工事を完了する。
なお、上記各工程において、適宜、補強部材21を柱1の外周部に保持する図示しない治具等を用いてもよい。
(1)リング部材22に補強部材21を通すだけでリング部材22を継手とする閉鎖型補強筋を簡単に施工でき、リング部材22に補強部材21が通っていることを確認するだけで容易に施工管理ができる。これによってせん断補強強度に見合う施工品質を確保できる。
すなわち、本実施形態の補強装置2および補強工法により、施工のし易さを確保できる。
また、本実施形態の補強部材21は四分割されており、このように連結箇所が4つと多くても前述のように施工管理が容易であるから、品質を確保できることの効果を大きくできる。
さらに、柱1への補強装置2の設置に関し、リング部材22と補強部材21とを組み立てるだけでよく、柱1への穴開け工事などは不要のため、柱1がダメージを受けない。
また、連結端部212が柱1の軸方向に沿っていることにより、補強装置2の全体を柱1の外周部に沿わせて収まり良く配置できる。
ここで、本実施形態において、コンクリート10の打設を後硬化型材料としてのモルタル、あるいは樹脂の配設に置換しても良い。この場合、モルタルや樹脂を補強部材21とリング部材22との連結箇所に設けることにより、補強部材21とリング部材22とが一体化され、コンクリート打設と略同様の効果を奏する。なお、モルタルや樹脂は、柱1の外周において、少なくともリング部材22の内側を含む領域に設ければよい。
次に、本発明の第2実施形態について図5および図6を参照して説明する。
図5は、本実施形態に係る構造体としての既設の柱1を示す。本実施形態では、柱1の外周にコンクリートは打設されない。
本実施形態では、第1実施形態と同様に図3(A)〜(D)を行った後、リング部材22内の連結端部212,212の間に楔31を打ち込んで挿入する。これにより、リング部材22内側におけるガタがなくなり、補強部材21とリング部材22とが強固に一体化される。
(9)楔31を介して補強部材21およびリング部材22をより強固に一体化できる。これにより、コンクリートの打設等を行わない乾式工事が可能となり、工期を短縮できる。
次に、本発明の第3実施形態について図7および図8を参照して説明する。
図7は、本実施形態に係る補強装置4を示す。この補強装置4は、既設の構造体である柱1に梁7を新設する際に用いられ、断面略円形の異形PC鋼棒である5つの補強部材41〜45と、補強部材41〜45の隣合う連結端部同士を連結する円環状のリング部材46〜48とを備えている。
補強部材41〜45はそれぞれ、柱1の外周部に沿って設けられる中央部411と、この中央部211の端部に折り曲げによって形成された連結端部412とを有している。なお、補強部材41の一方の連結端部412と、補強部材43の一方の連結端部412とは、柱1の角部に対応する位置に設けられている。
リング部材46には、2つの補強部材41,42の各連結端部412が挿通されており、リング部材47には、2つの補強部材42,43の各連結端部412が挿通されている。
また、リング部材48には、4つの補強部材41,43,44,45の各連結端部412が挿通されている。図8は、このリング48による連結部分の拡大図である(柱1および梁7は図示省略)。
本実施形態では、第1実施形態と略同様に図3(A)〜(D)の手順を行う。
なお、リング部材46〜48に挿通された連結端部412間に楔を挿入することにより、第2実施形態と同様の効果が得られる。
さらに、リング部材46〜48の内側を含む領域に、モルタルやコンクリート、樹脂等の後硬化型材料を配設することにより、補強部材41〜45とリング部材46〜48とを一層強固に一体化できる。
以上に示した補強装置は、構造体の周方向に分割された補強部材を備えていたが、補強部材が分割されていなくても、本発明の作用および効果を享受できる。図10は、本実施形態に係る補強装置8を示す。この補強装置8は、1つの補強部材81と、1つのリング部材22とを備えている。補強部材81は、図示しない既設の構造体の周方向に巻回される中央部211と、この中央部211の両端にそれぞれ折り曲げ形成され互いに対向する連結端部212,212とを有している。この補強装置8においても、第1実施形態と略同様に図3(A)〜(D)の手順を行うことにより、補強部材81の両端とリング部材22とが一体化され、閉鎖型補強筋が形成されるので、第1実施形態と略同様の効果が得られる。
図11は、本発明の変形例に係る補強装置5を示す。第1実施形態の補強装置2(図2)は柱1の周方向において四分割されていたが、この補強装置5は構造体の周方向において二分割され、2つの補強部材21と2つのリング部材22とを備えている。このように、本発明において、補強部材の分割数は問わない。図示を省略するが、三分割や五分割以上など、構造体の外周長さや壁等の突起物の存在などを考慮して、補強部材を何分割とするか、そして各補強部材の形状などを決めればよい。なお、各補強部材は、等分ではなく不均等な長さに分割されていてもよい。
また、構造体の断面形状は、円形や楕円形、多角形など特に限定されず、補強部材の中央部を構造体の外周部に沿った形状とすればよい。
また、補強部材の断面形状も問わない。
さらに、補強部材の連結端部が形成される向きは、連結端部が補強部材の中央部に対して交差する限り、任意であり、例えば構造体の外周面から面外方向に起立するように連結端部が形成されていてもよい。
上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
2〜8 補強装置
10 コンクリート(後硬化型材料)
21 補強部材
22 リング部材
31 楔
41〜45 補強部材
46〜50 リング部材
81 補強部材
211 中央部
212 連結端部
411 中央部
412 連結端部
612 連結端部
H 設置間隔
Claims (12)
- 軸方向を有する既設の構造体の周方向において複数設けられる補強部材と、
前記構造体の周方向において隣合う前記補強部材同士を連結するリング部材とを備え、
前記補強部材はそれぞれ、前記構造体の外周部に沿って設けられる中央部と、この中央部の前記周方向における両端に前記周方向と交差するように設けられる連結端部とを有し、
前記リング部材には、前記隣合う補強部材のそれぞれの連結端部が挿通される
ことを特徴とする構造体の補強装置。 - 請求項1に記載の構造体の補強装置において、
前記リング部材の内周形状は、略円形であり、
前記連結端部の断面形状は、略円形である
ことを特徴とする構造体の補強装置。 - 請求項1または2に記載の構造体の補強装置において、
前記連結端部は、前記中央部の両端で前記補強部材を折り曲げることにより形成されている
ことを特徴とする構造体の補強装置。 - 請求項1から3のいずれかに記載の構造体の補強装置において、
前記連結端部は、前記構造体の軸方向に沿っている
ことを特徴とする構造体の補強装置。 - 請求項4に記載の構造体の補強装置において、
前記リング部材に挿通された前記連結端部同士の間に挿入される楔を備える
ことを特徴とする構造体の補強装置。 - 請求項4または5に記載の構造体の補強装置において、
当該補強装置は、前記構造体の軸方向において所定の設置間隔で複数設けられ、
前記補強装置のそれぞれにおいて、少なくとも1つの連結端部が前記設置間隔に応じた寸法とされている
ことを特徴とする構造体の補強装置。 - 既設の構造体の外周に複数設けられる補強部材と、
隣合う二以上の前記補強部材同士を連結するリング部材と、を備え、
前記補強部材はそれぞれ、前記構造体の外周部に沿って設けられる中央部と、この中央部の端部に対して交差するように設けられる連結端部とを有し、
前記リング部材には、前記隣合う補強部材のそれぞれの連結端部が挿通される
ことを特徴とする構造体の補強装置。 - 軸方向を有する既設の構造体の周方向に巻回される中央部と、この中央部の前記周方向における両端にそれぞれ設けられて互いに対向する連結端部とを有する補強部材と、
前記連結端部同士を連結するリング部材とを備え、
前記各連結端部は、前記周方向と交差するように設けられ、前記リング部材に挿通される
ことを特徴とする構造体の補強装置。 - 軸方向を有する既設の構造体の周方向に沿った中央部とこの中央部の両端に対してそれぞれ交差するように設けられる連結端部とを有するとともに、前記周方向において複数設けられる補強部材の隣合う前記連結端部同士をリング部材に挿通する補強部材連結工程を備える
ことを特徴とする構造体の補強工法。 - 請求項9に記載の構造体の補強工法において、
前記構造体の外周における少なくとも前記リング部材の内側を含む領域に、後硬化型材料を設けて硬化させる硬化処理工程を備える
ことを特徴とする構造体の補強工法。 - 既設の構造体の外周に沿った中央部と、この中央部の両端に対して交差するように設けられる連結端部とを有するとともに、前記構造体の外周に複数設けられる補強部材の隣合う二以上の前記連結端部同士をリング部材に挿通する補強部材連結工程を備える
ことを特徴とする構造体の補強工法。 - 軸方向を有する既設の構造体の周方向に巻回される中央部と、この中央部の前記周方向における両端にそれぞれ設けられて互いに対向する連結端部とを有する補強部材の前記連結端部同士をリング部材に挿通する補強部材連結工程を備える
ことを特徴とする構造体の補強工法。
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