JP2009043942A - 2端子抵抗スイッチ素子及び半導体デバイス - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、多層カーボンナノチューブあるいは多層カーボンナノファイバー自体の直径の小ささを利用し、素子全体として20nm×20nm程度の極めて小さな抵抗スイッチ素子を、分子内包工程を必要としないより簡単な手法で、より優れた電気伝導率で提供することである。
【課題を解決するための手段】多層カーボンナノファイバーあるいは多層カーボンナノチューブをナノスケールの間隙幅をもって配置したことを特徴とする2端子抵抗スイッチ素子である。
【選択図】図1

Description

本発明は、2端子抵抗スイッチ素子特に多層カーボンナノチューブあるいは多層カーボンナノファイバーを用いた2端子抵抗スイッチ素子及び半導体デバイスに関するものである。
現在電気素子の微細化が進み、それぞれの素子の微細化限界が近づきつつある。例えば、現在の主力メモリ素子であるCMOSの場合、その機能を発現するチャネル長の最小値は6nmであると予想されている。この限界を超える新技術開発のため、様々なアイデアを元に新たな素子の開発が世界中で進められている。
メモリ素子に関して例示すると、原子移動や分子の特性変化を介し、On/Off状態間で大きな抵抗変化を生じる2端子抵抗スイッチ素子が研究されている。以下に代表的な例を紹介する。
非特許文献1で紹介された手法は、硫化銀電極と白金電極の間の電気化学反応を利用して銀粒子の伸縮及び収縮を行い、電極間を銀原子で架橋・切断をコントロールし原子スイッチを実現するものである。
非特許文献2で紹介されている手法は、カテナン系分子の酸化還元反応を利用し、電圧でこの分子の酸化還元反応を誘起させチャンネルを開き、スイッチ素子を実現している。
以上のように近年、少数の金属原子の伸縮若しくは分子の酸化還元反応を利用したスイッチ素子が報告されている。
また発明者らは、図1に示すように、ナノスケール間隙幅を持った金属電極間に電圧を印加することによる2端子抵抗スイッチ素子を提案している(特許文献1、非特許文献3)。この文献で提案している手法は、0.1nm〜20nm程度のギャップ幅をもつ金電極間に電圧を印加することによってギャップ幅をコントロールするものである。この手法によればギャップ部の抵抗値をコントロールでき、そのギャップ幅のコントロールを利用して不揮発性メモリとして応用できることを示した。
さらに発明者らは、カーボンナノチューブを用いて、20nm以下の空隙幅のギャップ電極を作製することにより、現在のシリコンプロセスの限界配線幅(45nm)をはるかに下回る領域面積でのスイッチングデバイスを作製することを試みた。電極の材料が単層カーボンナノチューブ単体を用いた場合は、スイッチング現象は確実に起こらなかったが、フラーレン分子(C60)やカロテン分子を内包した単層カーボンナノチューブを用いると、スイッチング現象が高い確率で発現することを確認した。
しかし、フラーレン分子やカロテン分子を内包したカーボンナノチューブによるスイッチ素子の作製に当たっては、カーボンナノチューブに分子を内包させる工程が必要になるため、作製効率の点で難点があった。さらに、単層カーボンナノチューブは半導体の性質をもつ場合と金属の性質を持つ場合があるが、電極として適切な金属性質の単層カーボンナノチューブだけを選別する精製コストは非常に高価であり、また、単層カーボンナノチューブは熱や酸化に対して脆弱であるという問題がある。
特願2006−189380号 Nature 433, (2005)47-50. SCIENCE 289, (2000) 1172-1175. Nanotechnology 17,(2007) 5669-5674.
本発明の課題は、多層カーボンナノチューブあるいは多層カーボンナノファイバー自体の直径の小ささを利用し、素子全体として20nm×20nm程度の極めて小さな抵抗スイッチ素子を、分子内包工程を必要としないより簡単な手法で、より優れた電気伝導率で提供することである。
上記課題は次のような手段により解決される。
(1)多層カーボンナノファイバーをナノスケールの間隙幅をもって配置したことを特徴とする2端子抵抗スイッチ素子。
(2)上記間隙幅をもって配置した多層カーボンナノファイバーに電極を設けたことを特徴とする(1)に記載の2端子抵抗スイッチ素子。
(3)多層カーボンナノチューブをナノスケールの間隙幅をもって配置したことを特徴とする2端子抵抗スイッチ素子。
(4)上記間隙幅をもって配置した多層カーボンナノチューブに電極を設けたことを特徴とする(3)に記載の2端子抵抗スイッチ素子。
(5)上記間隙幅は、0.1nm〜20nmの範囲であることを特徴とする(1)ないし(4)のいずれかに記載の2端子抵抗スイッチ素子。
(6)(1)乃至(5)のいずれかに記載の2端子抵抗スイッチ素子を組み込んだ半導体デバイス。
本発明では、多層カーボンナノチューブあるいは多層カーボンナノファイバーを採用しているため、化学気相反応法(CVD)によって、大量に合成可能であり、分子内包などの手間を必要としない。かつ、多層カーボンナノチューブは、次世代LSI配線としても期待されるほど、電気伝導、熱伝導共に優れ、単層カーボンナノチューブよりも流すことができる電流量は大きい利点がある。
本発明の2端子抵抗スイッチ素子は、ナノスケールで向かい合った多層カーボンナノチューブに電圧を印加することにより電気的スイッチを実現するものである。印加した電圧をゆっくりとOVに近づけるとスイッチがOnになり、逆に瞬時に0Vに近づけるとスイッチがOffになる素子である。
図1に、On、Offと繰り返し状態を変化させたときの素子抵抗の変化を示す。2端子抵抗スイッチ素子は、約500kΩのOn状態と約10MΩのOff状態との二つの抵抗状態をとっていることがわかる。+12Vを素子に印加した状態からの印加電庄の下げ方を変えることによって、この2種類の抵抗値を作り分けることができる。
低いオン抵抗(約500kΩ)は、+12VからゆっくりとOVに電圧を落とすこと(例えば電圧の変化速度は約1V/s)で実現する。そして高いオフ抵抗(約10MΩ)は、+12Vから瞬時に0Vに電圧を下げた時(電圧の変化速度は約0.2V/1μs)に実現する。
なおカーボンナノチューブ間の間隙幅は、0.1nm〜20nmの範囲であればよい。
電界の印加方法によりこのように2種類の抵抗を素子に持たせることができる。それぞれの抵抗状態は低電圧領域で抵抗を維持するため、この変化は不揮発性を有する。そして、このOn/Offの変化は可逆的な変化であり、同じ素子に200回以上繰り返し測定を行っても同様のスイッチング特性を示す。
試料の作製方法を図2に模式図として示す。図2aのように、シリコン酸化層を有するシリコン基板上にメタルマスクにて約650nm〜1μmの間隙幅で金もしくはパラジウムの金属電極を蒸着する。その電極上に、SEMの試料室に組み込まれた精密マニピュレーターを使って、図2bに示すように、多層カーボンナノチューブを一本架設する。
多層カーボンナノチューブ架設後の電極の走査型電子顕微鏡像を図3に示す
その後、試料を窒素雰囲気で500℃24時間加熱することにより金属原子をカーボンナノチューブ上を移動させて、カーボンナノチューブと金属電極の界面抵抗を20kΩ程度に安定にさせる。(図2c)最後に、図2dに示すように電極間に数十μA以上の電流をナノチューブに流し、切断する。このとき切断されたナノチューブはわずか数nmの間隙幅を有して切断される。そして、ナノスケールで多層カーボンナノチューブが向かい合った構造が作製される。もしくは、高い抵抗となる局所的な欠陥構造が多層カーボンナノチューブの一部分に形成される。
なお、上記の実施例は、あくまでも本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、本発明の技術思想に基づく変形、他の態様は、当然本発明に包含されるものである。
例えば実施例では多層カーボンナノチューブを例示しているが、2層以上の構造を持つカーボンナノファイバーなどを用いても、抵抗スイッチ素子とすることができる。
また本発明の2端子抵抗スイッチ素子をメモリやストレージ装置等に組み込んで半導体デバイスが得られることはいうまでもない。
On/Off状態を繰り返し変化させたときの素子抵抗の変化図 試料の作成手順を示す図 作製した試料の走査電子顕微鏡像

Claims (6)

  1. 多層カーボンナノファイバーをナノスケールの間隙幅をもって配置したことを特徴とする2端子抵抗スイッチ素子。
  2. 上記間隙幅をもって配置した多層カーボンナノファイバーに電極を設けたことを特徴とする請求項1に記載の2端子抵抗スイッチ素子。
  3. 多層カーボンナノチューブをナノスケールの間隙幅をもって配置したことを特徴とする2端子抵抗スイッチ素子。
  4. 上記間隙幅をもって配置した多層カーボンナノチューブに電極を設けたことを特徴とする請求項3に記載の2端子抵抗スイッチ素子。
  5. 上記間隙幅は、0.1nm〜20nmの範囲であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の2端子抵抗スイッチ素子。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の2端子抵抗スイッチ素子を組み込んだ半導体デバイス。
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