JP2009043609A - 押釦スイッチ - Google Patents

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正彦 小田嶋
Kazunari Takahashi
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Abstract

【課題】可動接点の押圧時にこの可動接点の立ち上がり部に作用する粘着シートによる吊り上げ力を軽減できる押釦スイッチの提供。
【解決手段】周辺固定接点3に常時導通し、中央固定接点2に選択的に導通する可動接点4と、この可動接点4をハウジング1内に反転可能に保持させる粘着シート5とを備え、可動接点4が、反転可能な膨出部4aと、膨出部4aの周縁に形成される立ち上がり部4bとを含み、粘着シート5が、可動接点4の膨出部4aに対応する位置に貫通穴、例えば円形穴5aを有し、この円形穴5aの周縁部5a1が、膨出部4aと立ち上がり部4bとの境界に位置する座屈起点4b1よりも膨出部4a側に位置するように、粘着シート5を可動接点4及びハウジング1に貼り付けた構成にしてある。
【選択図】図4

Description

本発明は、可動接点を押圧反転させて固定接点との接離を行なわせる押釦スイッチに関する。
この種の従来技術として、特許文献1に示されるものがある。この従来技術は、上面が開口し、底部に中央固定接点及び周辺固定接点がインサート成形されたハウジングと、このハウジングの収容部に収容され、周辺固定接点に常時導通し、中央固定接点に選択的に導通するドーム状の可動接点とを備えている。この可動接点は、中央固定接点に対向するように配置される膨出部と、この膨出部の周縁に形成されて周辺固定接点に常時導通し、所定角度で立ち上がるスカート部、すなわち立ち上がり部とを備えている。さらに、ハウジングに可動接点を保持させるために、また、接点部分への外部のガスや塵の侵入の防止のために、可動接点を覆うようにしてハウジングに貼り付けられる可撓性シートを備えている。この可撓性シートは、例えば裏面に粘着剤が塗布された粘着シートから構成されている。
この従来技術では、可動接点に押圧力が与えられていない状態では、可動接点の膨出部が中央固定接点から離間し、これにより周辺固定接点と中央固定接点との間が遮断され、スイッチオフに保たれる。このような状態から、粘着シートを介して可動接点に押圧力が与えられると、可動接点の膨出部が反転してクリック感が得られるとともに、この膨出部が中央固定接点に接触する。これにより、可動接点を介して周辺固定接点と中央固定接点とが導通し、スイッチオンとなる。
特開2003−234040公報
上述した従来技術では、裏面に粘着剤を有する粘着シートを介して可動接点に押圧力が与えられてスイッチオンとなる際に、上述の押圧力に伴う可動接点の膨出部の反転によって粘着シートの表面に張力が生じ、この表面の張力によって可動接点の膨出部の周縁を形成する立ち上がり部に、粘着シート方向への吊り上げ力が作用する。このように可動接点の立ち上がり部に対して吊り上げ力が作用すると、可動接点の立ち上がり部と周辺固定接点との間に所望の接触圧を確保することが難しくなる。すなわち、この可動接点の立ち上がり部と周辺固定接点との接触状態が不安定になり、スイッチ性能が低下する懸念がある。
本発明は、前述した従来技術における実状からなされたもので、その目的は、可動接点の押圧時にこの可動接点の立ち上がり部に作用する粘着シートによる吊り上げ力を軽減できる押釦スイッチを提供することにある。
この目的を達成するために、本発明は、上面が開口され、収容部を有するハウジングと、このハウジングの上記収容部に形成された固定接点と、上記ハウジングの上記収容部に収容され、上記固定接点と接離可能な可動接点と、上記ハウジングに貼り付けられ、上記可動接点を反転可能に上記ハウジングに保持させる粘着シートとを備え、上記可動接点が、与えられた押圧力により反転可能な膨出部と、この膨出部の周縁に形成される立ち上がり部とを含むとともに、上記粘着シートは、上記可動接点の上記膨出部に対向する位置に貫通穴を有し、この貫通穴の端縁が上記膨出部と上記立ち上がり部との境界に位置する座屈起点よりも上記膨出部側に位置するように、上記粘着シートを上記可動接点及び上記ハウジングに貼り付けたことを特徴としている。
このように構成した本発明は、スイッチ操作のために可動接点の膨出部に押圧力が与えられ、この膨出部が反転した際に、貫通穴の端縁部分において膨出部の反転動作に引きずられて粘着シートの粘着剤が弾性変形し、粘着シートの「ずり運動」を生じる。この粘着シートのずり運動によって粘着シートに生ずる表面の張力の発生が抑えられ、この粘着シートによる可動接点の立ち上がり部に対する吊り上げ力が軽減される。これにより、可動接点の立ち上がり部と固定接点との間に所望の接触圧を確保でき、これらの可動接点の立ち上がり部と固定接点間の安定した接触状態を維持できる。
また、粘着シートの端縁が、可動接点に形成される座屈起点よりも膨出部側に位置しているので、座屈起点を含めて可動接点の立ち上がり部を粘着シートで覆うことができ、接点部分に対する外部のガス、あるいは塵埃等の侵入を防止できるとともに、この座屈起点を含む可動接点の立ち上がり部に対する粘着シートによる大きな保持力を確保することができる。
また、本発明は、上記発明において、上記貫通穴が円形穴から成り、上記貫通穴の上記端縁が上記円形穴の周縁部から成ることを特徴としている。このように構成した本発明は、可動接点が押圧された際、円形穴の全周縁部において粘着シートの粘着剤の弾性変形を生じさせ、この全周縁部において均等に粘着シートのずり運動を行なわせることができる。
また、本発明は、上記発明において、上記粘着シートが、ポリイミドから成ることを特徴としている。このように構成した本発明は、粘着シートを剛性を有するものに形成でき、これにより粘着シートの厚さ寸法を小さくすることができる。
また、本発明は、上記発明において、上記粘着シートが、ポリテトラフルオロエチレン、またはテトラフルオロエチレン−パー−フルオロアルキルビニルエーテル共重合体から成ることを特徴としている。このように構成した本発明は、粘着シートを柔軟性を有するものに形成でき、可動接点が押圧された際、粘着シートの伸びと粘着剤の弾性変形との相乗によって、粘着シートのずり運動を行なわせることができる。
本発明は、粘着シートが、可動接点の膨出部に対向する位置に貫通穴を有し、この貫通穴の端縁が膨出部と立ち上がり部との境界に位置する座屈起点よりも膨出部側に位置するように、粘着シートを可動接点及びハウジングに貼り付けたことから、可動接点の押圧時に、この可動接点の立ち上がり部に作用する粘着シートの吊り上げ力を、貫通穴の端縁部分に生じる粘着剤の弾性変形に伴う粘着シートのずり運動によって軽減でき、これによって、可動接点の立ち上がり部と固定接点との間に所望の接触圧を確保することができる。したがって、可動接点の立ち上がり部と固定接点間の安定した接触状態を維持でき、従来に比べて優れたスイッチ性能を確保できる。
また、粘着シートの貫通穴の端縁が可動接点に形成される座屈起点よりも膨出部側に位置しているので、座屈起点を含めて可動接点の立ち上がり部を粘着シートで覆うことができ、接点部分に対する外部のガス、あるいは塵埃等の侵入を防止できるとともに、座屈起点を含む可動接点の立ち上がり部に対する粘着シートによる大きな保持力を確保できる。これにより、可動接点の立ち上がり部と固定接点との間の所望の接触圧の確保に貢献する。
以下,本発明に係る押釦スイッチを実施するための最良の形態を図に基づいて説明する。
図1は本発明に係る押釦スイッチの一実施形態を示す斜視図、図2は本実施形態の分解斜視図、図3は本実施形態の縦断面図である。
これらの図1〜3に示すように、本実施形態は、上面が開口され、収容部1aを有し、合成樹脂等の絶縁材から成るハウジング1と、このハウジング1にインサート成形され、導電性の金属材から成る中央固定接点2、及び周辺固定接点3とを備えている。また、ハウジング1の収容部1aに収容され、常時周辺固定接点3と導通し、中央固定接点2と選択的に導通する可動接点4を備えている。
この可動接点4は、片面に銀めっきなどの表面処理が施されたリン青銅やステンレスなどから成る導電性金属薄板を略ドーム状に打ち抜き形成されたものであり、中央固定接点2に選択的に接続される膨出部4aを有し、この膨出部4aの周縁に所定角度で立ち上がる立ち上がり部4bを有している。膨出部4aと立ち上がり部4bとの境界、すなわち立ち上がり部4bの頂部付近には、この可動接点4の押圧時の座屈起点4b1が形成されている。
また、可動接点4を反転可能にハウジング1の収容部1a内に保有させる粘着シート5を備えており、この粘着シート5は裏面に粘着剤を有し、可動接点4及びハウジング1に貼り付けられている。この粘着シート5は、例えば剛性を有するポリイミド(PI)から成っている。
特に本実施形態は、この粘着シート5が可動接点4の膨出部4aに対向する位置に貫通穴、例えば円形穴5aを有している。この円形穴5aの直径をH、可動接点4の直径をMとすると、この円形穴5aの直径Hは、例えば、
0.7M≦H<M
の範囲の値に設定してある。また、この円形穴5aの端縁、すなわち周縁部5a1が、座屈起点4b1よりも膨出部4a側に位置するように、粘着シート5を可動接点4及びハウジング1に貼り付けてある。
図4は本実施形態の動作を示す縦断面図、図5は本実施形態の要部拡大図で、(a)図は図3に対応する要部拡大図、(b)図は図4に対応する要部拡大図である。
本実施形態は、可動接点4に押圧力が与えられない状態では、前述した図3に示すように、可動接点4の膨出部4aが中央固定接点2から離間し、これにより周辺固定接点3と中央固定接点2との間が遮断され、スイッチオフに保たれる。このような状態から、図示しないキートップ等により可動接点4に押圧力が与えられると、図4に示すように、可動接点4の膨出部4aが反転してクリック感が得られるとともに、この膨出部4aが中央固定接点2に接触する。これにより、可動接点4を介して周辺固定接点3と中央固定接点2とが導通し、スイッチオンとなる。可動接点4に与えられていた押圧力が除かれると、可動接点4自身が保有する弾性力により図3に示す初期形態に復帰し、スイッチオフとなる。
このように構成した本実施形態は、可動接点4の膨出部4aに押圧力が与えられ、この膨出部4aが反転した際に、粘着シート5の円形穴5aの周縁部5a1において、膨出部4aの反転に引きずられて粘着シート5の図5の(a)図に示す粘着剤6が、図5の(b)図に示すように弾性変形し、粘着シート5の「ずり運動」を生じる。この粘着シート5のずり運動によって粘着シート5の表面の張力の発生が抑えられ、この粘着シート5による可動接点5の立ち上がり部4bに対する吊り上げ力が軽減される。これにより、可動接点4の立ち上がり部4bと周辺固定接点3との間に所望の接触圧を確保することができる。したがって、可動接点4の立ち上がり部4bと周辺固定接点3間の安定した接触状態を維持でき、優れたスイッチ性能を確保することができる。
また、本実施形態は、粘着シート5の円形穴5aの周縁部5a1が、可動接点4に形成される座屈起点4b1よりも膨出部4a側に位置しているので、座屈起点4a1を含めて可動接点4の立ち上がり部4bを粘着シート5で覆うことができ、接点部分に対する外部のガス、あるいは塵埃等の侵入を防止できるとともに、この座屈起点4b1を含む可動接点4の立ち上がり部4bに対する粘着シート5による大きな保持力を確保することができる。これにより、可動接点4の立ち上がり部4bと周辺固定接点3との間の所望の接触圧の確保に貢献する。
また、本実施形態は、可動接点4が押圧された際、粘着シート5の円形穴5aの全周縁部5a1において粘着シート5の粘着剤6の弾性変形を生じさせ、この全周縁部5a1において均等に粘着シートのずり運動を行なわせることができる。このことも、可動接点4の立ち上がり部4bと周辺固定接点3との間の所望の接触圧の確保に貢献する。
また、本実施形態は、粘着シート5が剛性を有するポリイミドから成るので、この粘着シート5の厚さ寸法を小さくすることができる。これにより、この本実施形態に係る押釦スイッチの薄型化を実現させることができる。
なお、上記実施形態では粘着シート5を、剛性を有するポリイミドによって構成したが本発明は、このように粘着シート5をポリイミドによって構成することには限られない。ポリイミドと同程度の剛性を有する他の薄膜体によって構成してもよい。その場合でも押釦スイッチの薄型化を実現できる。さらに、粘着シート5をポリイミドに代えて、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、またはテトラフルオロエチレン−パー−フルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)によって構成してもよい。このように構成したものは、粘着シート5を柔軟性を有するものに形成でき、可動接点4が押圧された際、粘着シート5の伸びと粘着剤6の弾性変形との相乗による粘着シート5のずり運動を行なわせることができる。
本発明に係る押釦スイッチの一実施形態を示す斜視図である。 本実施形態の分解斜視図である。 本実施形態の縦断面図である。 本実施形態の動作を示す縦断面図である。 本実施形態の要部拡大図で、(a)図は図3に対応する要部拡大図、(b)図は図4に対応する要部拡大図である。
符号の説明
1 ハウジング
2 中央固定接点
3 周辺固定接点
4 可動接点
4a 膨出部
4b 立ち上がり部
4b1 座屈起点
5 粘着シート
5a 円形穴(貫通穴)
5a1 周縁部(端縁)
6 粘着剤

Claims (4)

  1. 上面が開口され、収容部を有するハウジングと、このハウジングの上記収容部に形成された固定接点と、上記ハウジングの上記収容部に収容され、上記固定接点と接離可能な可動接点と、上記ハウジングに貼り付けられ、上記可動接点を反転可能に上記ハウジングに保持させる粘着シートとを備え、
    上記可動接点が、与えられた押圧力により反転可能な膨出部と、この膨出部の周縁に形成される立ち上がり部とを含むとともに、
    上記粘着シートは、上記可動接点の上記膨出部に対向する位置に貫通穴を有し、この貫通穴の端縁が上記膨出部と上記立ち上がり部との境界に位置する座屈起点よりも上記膨出部側に位置するように、上記粘着シートを上記可動接点及び上記ハウジングに貼り付けたことを特徴とする押釦スイッチ。
  2. 上記請求項1記載の発明において、
    上記貫通穴が円形穴から成り、上記貫通穴の上記端縁が上記円形穴の周縁部から成ることを特徴とする押釦スイッチ。
  3. 上記請求項1または2記載の発明において、
    上記粘着シートが、ポリイミドから成ることを特徴とする押釦スイッチ。
  4. 上記請求項1または2記載の発明において、
    上記粘着シートが、ポリテトラフルオロエチレン、またはテトラフルオロエチレン−パー−フルオロアルキルビニルエーテル共重合体から成ることを特徴とする押釦スイッチ。
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