JP2009043080A - 温度制御装置及び温度制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】環境温度や放熱面温度が変化しても温度安定性や過渡応答性が変わらぬように、迅速に最適なPID制御パラメータを設定することが可能な温度制御装置を提供する。
【解決手段】温度の制御対象が配置される第1面を有するペルチェ素子と、ペルチェ素子の第1面に対する裏面である第2面側に配置される放熱部と、制御対象の温度を検出する対象温度検出部と、放熱部の温度を検出する放熱温度検出部と、温度設定部とを有する。温度設定部には、放熱部の温度に対応して、PID演算に用いるためのパラメータの値が記述されたテーブルが予め格納されている。そして、温度設定部は、制御対象の目標温度が設定されると、テーブルを参照して放熱部の温度に対応するパラメータの値を特定する。続いて、パラメータの値、及び目標温度と制御対象の温度との差である偏差を用いてPID演算を行い、PID演算の結果に基づいてペルチェ素子への電力を調整する。
【選択図】図1

Description

本発明は、対象物の温度を制御する温度制御装置及び温度制御方法に関する。
電子部品の放熱や化学反応溶液の加熱もしくは冷却をするなどの目的で液体や固体の温度制御を行う装置において、電熱変換素子としてペルチェ素子が用いられることが多い。ペルチェ素子は電流を流すことにより熱が移動するペルチェ効果を利用した素子であり、電流を流す方向により加熱と冷却を切替えることができ、制御対象温度をフィードバックしてペルチェ素子の駆動電流制御を行うことで、任意の温度に制御することができる。
ペルチェ素子は前述した通り熱交換を行う素子であり、板状に構成したペルチェ素子の上面と下面に温度差が生じるが、その際に加える電流によりジュール熱が発生するため放熱が必要となる。図8は一般的なペルチェ素子を使用した温調器の一構成例を示す側面図である。図8(a)は、放熱を空冷で行う例であり、制御対象101をペルチェ素子102の上面に密接させ、ペルチェ素子102の下面にヒートシンク103及びファン104を配置し放熱を行う。また、図8(b)に示すように放熱を液冷で行う方法もあり、ペルチェ素子102の下面に液冷ユニット105を配置して冷却液を循環させることにより放熱を行う。
フィードバック制御には一般的にPID制御が用いられる。PID制御は、3つの動作を組み合わせた制御である。3つの動作とは、次の通りである。1つ目は、目標温度とフィードバック温度の偏差に対して比例して出力電流を制御する比例動作(Proportional)である。2つ目は、偏差の積分値に比例して制御する積分動作(Integral)である。3つ目は、偏差の微分値に比例して制御する微分動作(Derivative)である。出力電流をx(t)、偏差をe(t)、比例ゲインをKP、積分ゲインをKI、微分ゲインをKDとした時のPID制御式を式(1)に示す。
Figure 2009043080
PID制御の比例ゲイン、積分ゲイン、微分ゲインの各パラメータは、温度の制御安定性や、オーバーシュートなどの過渡応答性に影響を及ぼすため、制御対象の熱負荷やペルチェ素子の能力、目標制御温度等により最適な値に設定する必要がある。
熱圧着装置において、目標とする温度ごとのPID制御のパラメータを、加熱ツールごとに固有のパラメータとして記憶しておき、PID制御を行う手段が開示されている(特許文献1参照)。これにより目標温度に適したPIDパラメータによる制御をすることができる。
また、制御負荷が変化する温水の制御において、予め記憶しておいた、制御対象である温水の温度変化率に対するPID制御パラメータの中から、PID制御パラメータを選択する手段が開示されている(特許文献2参照)。これにより制御負荷の変動に対応することができる。
さらに、恒温槽の温度制御において、温度上昇曲線より周囲温度を求め、設定温度と周囲温度の差温より、予め記憶してあった制御パラメータの中から最適な値を求める手段が開示されている(特許文献3参照)。これにより、環境温度と設定温度の両方に適したパラメータ設定ができる。
特許3497356号公報 特開2003−150204号公報 特開平3−118619号公報
ペルチェ素子は上面と下面の温度差を発生させる素子であるため、放熱面の温度が変化すると制御に必要なペルチェ素子への出力電流も変化する。すなわち放熱面の温度が変化することによりPID制御のパラメータが最適値ではなくなる可能性があり、温度安定性が不安定になり、過渡応答性が変化してオーバーシュートするなど温度制御に影響を及ぼす。
空冷による放熱手段をもつ温度制御部は、例えば、環境温度が10℃か30℃かによって放熱部の温度が異なる。また、液冷による放熱手段が、複数の温度制御部に共通の放熱手段である場合、それぞれの温度制御部における制御が行われるタイミングやその制御負荷により、冷却液温度と放熱部温度が変化する。さらに、上記空冷や液冷の放熱手段において、空気や冷却液の流体の流れに異常が生じた場合、放熱能力が低下し、放熱部温度が上昇してしまう。上記様々な要因により変化する放熱面の温度が、制御温度の安定性や過渡応答性に影響を及ぼすことがある。
上述した問題は特に温度変化の激しい温度制御対象や、熱負荷が小さくて熱応答性のよい温度制御対象に対しては影響が大きい。温度制御対象が生化学反応などの熱に敏感な溶液を使用している場合、所望の反応が得られなくなる可能性がある。例えば、DNA(Deoxyribonucleic acid)検査においてDNAを増幅するのに用いられているPCR(polymerase chain reaction)反応の場合に、次のような問題が起こり得る。PCR反応は、耐熱性の酵素を使用しているが、94℃で熱変性をさせる際に、この温度が低いと熱変性せず、また高いと酵素が失活してしまい、増幅反応が得られなくなってしまう。また、PCR反応は例えば94℃と55℃の間で温度サイクルをかけるうえ、急峻な温度変化が必要になるため、高い放熱能力を必要とする。すなわち温度サイクル開始時から放熱面は温度が上昇し始めるため、放熱面温度の変化によるオーバーシュートも大きくなりやすく、酵素が失活など所望の反応が得られなくなる可能性が大きい。
特許文献1の目標温度に対する制御パラメータ設定のみでは放熱面の温度変化に対応できない。
また、特許文献2の温度変化率によるパラメータ設定は、温度変化の緩やかな制御対象に対しては有効であるが、高速の温度変化を求められる温度制御には追従できずにオーバーシュートを起こしてしまう可能性がある。
さらに、特許文献3のように周囲温度からパラメータを設定すると、冷却液の温度変化を加味することができない。
本発明は、環境温度や放熱面温度が変化しても温度安定性や過渡応答性が変わらぬように、迅速に最適なPID制御パラメータを設定することが可能な温度制御装置及び温度制御方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明の温度制御装置は、
温度の制御対象が配置される第1面を有するペルチェ素子と、
前記ペルチェ素子の前記第1面に対する裏面である第2面側に配置される放熱部と、
前記制御対象の温度を検出する対象温度検出部と、
前記放熱部の温度を検出する放熱温度検出部と、
前記放熱部の温度に対応して、PID演算に用いるためのパラメータの値が記述されたテーブルが予め格納され、前記制御対象の目標温度が設定されると、前記テーブルを参照して前記放熱部の温度に対応する前記パラメータの値を特定し、該パラメータの値、及び前記目標温度と前記制御対象の温度との差である偏差を用いて前記PID演算を行い、該PID演算の結果に基づいて前記ペルチェ素子への電力を調整する温度設定部と、
を有する構成である。
本発明によれば、ペルチェ素子を用いた温度制御を行う際に、ペルチェ素子の放熱手段により放熱面の温度が上昇するなどの変化をしても、最適なPID制御のためのパラメータ設定をすることができる。これにより、温度安定性や過渡応答性を一定に保った温度制御を行うことができる。
本発明を実施するための一実施形態の温度制御装置について、図を用いて説明する。図1は本実施形態の温度制御装置の一構成例を示すブロック図である。
図1に示すように、温度制御装置は、ペルチェ素子102と、ヒートシンク103と、温度検出回路201、203と、温度制御のための演算を実行するCPU(Central Processing Unit)204と、メモリ215とを有する。ペルチェ素子102に給電するペルチェドライブ部202が設けられ、ペルチェドライブ部202はリード線を介してペルチェ素子102と接続されている。CPU204が本発明におけるPID制御部及び温度設定部に相当する。
ペルチェ素子102の2つの面のうち、一方の面に制御対象101が密接するように配置され、もう一方の面にヒートシンク103が配置されている。ヒートシンク103は、ペルチェ素子102に接する側の面とは反対側の面にファン104が配置されている。ペルチェ素子102からヒートシンク103のフィンに伝わった熱が、ファン104の生成した、空気の流れにより大気中に排出されることで、放熱が行われる。ヒートシンク103及びファン104が本発明における放熱部に相当する。
なお、図1に示した放熱部の構成は一例であり、ファンの数や空気の対流発生手段を変えた別の構成であってもよい。また、図8(b)で説明したような液冷などの構成にすることも可能である。
制御対象101の温度PV(Process Value)を検出するための熱電対210と放熱部の温度TR(Temperature of the Radiator)を検出するための熱電対211が設けられている。熱電対210が温度検出回路201に接続され、熱電対211が温度検出回路203に接続されている。温度検出回路201、203のそれぞれは信号線を介してCPU204と接続されている。
温度検出回路201、203のそれぞれは、所定時間のサンプリング間隔で温度を検出し、検出した温度のデータをCPU204に送信する。温度検出回路201は本発明における対象温度検出部に相当し、温度検出回路203は本発明における放熱温度検出部に相当する。
メモリ215には、放熱部温度TRに対応してPID制御のための各種パラメータの値が記述されたパラメータデータテーブル209が予め格納されている。以下では、PID制御のためのパラメータをPID制御パラメータと称する。
温度制御演算を行うCPU204にはプログラムが格納され、CPU204はプログラムにしたがって、次のような処理を行う。CPU204は、温度制御目標値(SV:Set Value)205が設定され、制御対象101の温度PVを温度検出回路201から受信すると、これらの温度の差を偏差として算出する。また、CPU204は、放熱部温度TRを温度検出回路203から受信すると、パラメータデータテーブル209を参照し、PIDパラメータ設定部208でPID制御パラメータの値を設定する。算出した偏差とPID制御パラメータの値とを用いてPID演算206を行って出力値を求める。そして、求めた出力値に対応する制御信号のペルチェドライブ部202に対する出力であるPWM(Pulse Width Modulation)出力207を行う。
温度制御目標値SVは、ユーザにより入力され、または、予め設定されていてもよい。また、制御開始からの時間に対応して、CPU204が温度制御目標値SVを決めるようにしてもよい。この場合、温度と時間の関係のテーブル(以下では、「温度−時間テーブル」と表記する)と、制御開始からの時間に対応して温度−時間テーブルで求まる温度を目標値に決めることが記述されたプログラムとが予めCPU204に格納されている。CPU204がそのプログラムを実行することで、温度制御目標値SVを時間にしたがって変化するように制御することも可能である。
CPU204が実行するPID演算206で用いられ、一般的なデジタル処理で計算可能なPID演算式を式(2)に示す。上記PID制御パラメータは、比例ゲインK、積分時間TI、及び微分時間TDの3つのパラメータのことを指す。なお、ynはペルチェドライブ部202への出力値であり、θは各温度検出回路のサンプリング間隔の時間であり、enは最新のサンプリングによる偏差であり、en-1はenの一つ前のサンプリングによる偏差である。
Figure 2009043080
なお、上記演算式に、過積分対策としてのARW(Anti-Reset Windup)や、温度センサ回路のノイズ除去のためのフィルタなどの項を必要に応じて付加する。また、メモリ215またはCPU204内のメモリには、CPU204により算出される偏差の情報が、温度検出回路201、203のサンプリングに対応して少なくとも連続2回分が一時保存される。
ペルチェドライブ部202は、CPU204からのPWM出力207の制御信号にしたがってペルチェ素子102に供給する駆動電流を制御する。
なお、PID制御部はCPU204によるものに限定されるものではなく、ゲートアレイやDSP(Digital Signal Processor)やハードウェア回路などにより構成されてもよい。また、ペルチェドライブ部202への出力信号はPWM信号に限定されるものではなく、シリアル信号や電圧値など、最大出力に対する割合(%)を伝えられるものであればよい。さらに、それぞれの温度検出に用いる温度センサは熱電対に限定されるものではなく、白金抵抗体やサーミスタなど制御に必要な温度精度や熱応答性等により選択される。パラメータデータテーブル209を格納するためのメモリ215をCPU204とは別の構成で示しているが、CPU204にパラメータデータテーブル209が格納されていてもよい。
次に、図1に示した温度制御装置の動作を説明する。図2は、CPUが実行する温度制御方法の動作手順を示すフローチャートである。
温度制御開始の指令信号が入力されると、CPU204は、制御対象101の温度の目標値を設定するための、制御温度の設定を行う(Step-301)。この設定はシリアルインタフェース等のインターフェースを通してCPU204の外部より与えられてもよいし、CPU204に格納されたプログラムに予め記述されていてもよい。このステップで、制御対象を一定の温度に保つ定値制御か、温度−時間テーブルで指定される目標温度を時間にしたがって変化するように制御するプログラム制御かの選択もユーザにより行われる。定値制御として温度制御目標値205が設定された場合、CPU204は、温度制御目標値205を一時保存する。
続いて、CPU204は、温度制御の繰り返し処理のループに入ると、温度制御目標値の設定がプログラム制御の場合、温度制御目標値の計算を初めに行う(Step-302)。前述した定値制御の場合はこのステップをスキップするが、プログラム制御の場合、CPU204は、制御開始時刻からの経過時間と温度−時間テーブルとにより、現在の温度制御目標値SVを求める。
続いて、CPU204は温度制御終了か否かの判断を行う(Step-303)。このステップで、プログラム制御の全工程が終了して温度制御目標値がない場合や、温度制御停止の指令信号が与えられた場合は、PWM出力の停止やログの記録などの温度制御終了処理を行い(Step-310)、温度制御の繰り返し処理のループから抜ける。
一方、ステップ303において制御終了の要因がない場合、CPU204は、制御対象101の温度PVのデータを取得し(Step-304)、ステップ302で求めた温度制御目標値SVと温度PVとの偏差を計算する(Step-305)。このステップで算出された偏差がPID演算で使用される。
続いて、CPU204は放熱部の温度TRのデータを取得する(Step-306)。そして、メモリ215に格納されたパラメータデータテーブル209を参照し、PID制御パラメータについて放熱部温度TRに対応する最適値を選択してPID演算用の式(2)の変数に設定する(Step-307)。上述した制御対象101の温度PVと温度制御目標値SVとの偏差と、各PID制御パラメータについて選択した値を用いてPID演算を行う(Step-308)。
CPU204は、PID演算結果の出力値をPWM出力207のパルス幅に換算し設定する(Step-309)。このPWM出力207による制御信号がペルチェドライブ部202に入力されると、ペルチェドライブ部202は制御信号にしたがってペルチェ素子102に給電する。このようにして、CPU204がペルチェドライブ部202への出力値を調整することで、ペルチェ素子102に供給する電力を制御することができる。この後、所定時間、すなわちサンプリング間隔の時間のウェイトを入れた後、CPU204は、温度制御のループの先頭に戻って処理を繰り返す。
ここで、パラメータデータテーブル209の具体例を説明する。図3はパラメータデータテーブルの一例を示す図である。前述した通り、設定するPID制御パラメータは、比例ゲインK、積分時間TI、及び微分時間TDの3種類である。放熱部温度TRに対する制御安定性や過渡応答性の不具合は、1℃ごとに変更しなければならないほどの精密性は要求されない。そのため、ここでは仮に15℃ずつの温度範囲のそれぞれについて各PID制御パラメータの数値を記述したテーブルを示す。温度制御を行う制御対象に適した、15℃ずつの温度範囲に対する各制御パラメータの値を実験により予め取得しておき、メモリ215に保存しておく。
例えば、放熱部温度TRが30℃の場合、CPU204は、各PID制御パラメータの値を図3に示すテーブルでKP2、TI2、TD2に特定し、これらの値を式(2)に代入する。放熱部温度TRが上昇して35℃を超えたら、各PID制御パラメータの値をKP3、TI3、TD3に変更する。このように、PID制御パラメータの値を選択するステップ(Step-307)では、CPU204は、放熱部温度TRがテーブルに記述された温度範囲のいずれに属しているかを判定し、その温度範囲に該当する値を各PID制御パラメータについて選択する。
本実施形態の温度制御装置は、放熱部温度に対応してPID演算に用いるパラメータの値が予め格納されているため、放熱部温度が変化しても安定した温度制御を行うための、PID制御のパラメータに最適な値を用いた演算を行うことができる。
本発明を適用可能な、DNA検査装置の温度制御について、図を用いて説明する。
DNA検査装置は、DNAチップを用いて検体中に含まれる検査対象DNAの存在や量を検出するための装置である。DNAチップは、異なる塩基配列を有する一群のDNAプローブを、所定の配列順序にしたがってアレイ状に基板上などに配置したプローブ・アレイであり、同時に多項目の遺伝子診断を行う際などに用いられる。
プローブを使用した遺伝子等の解析方法は、まず被検体から標的高分子を抽出した後、必要に応じて増幅処理を行う。このとき、標的高分子に蛍光等の検出可能な標識を貼付する。その標的高分子をプローブへハイブリダイゼーション反応により結合させ、標識を検出することでプローブへの反応を判定する。このようにDNA検査は、抽出工程、増幅工程、ハイブリ工程、及び検出工程の大きく4つの工程からなる。例えば、複数種類の菌やウイルスなどの特異的な塩基配列のDNAプローブを用いた場合、被検体にどの菌やウイルスが含まれているかが判定でき、治療に役立てることができる。
図4は全自動のDNA検査装置の一構成例を示す概念図である。
DNA検査装置は、磁石、ヒートブロック及びポンプなどを付属し、各工程に対応した4つの処理ユニットと、各工程間の試薬の移動、並びに溶液の吸引、吐出及び攪拌といった液体のハンドリングを行うピペットユニット501とを有する構成である。4つの処理ユニットとは、抽出ユニット508、増幅ユニット514、ハイブリダイゼーションユニット521、及び検出ユニット529である。
なお、図の簡素化のため、図4では一つの検体を処理する場合の概略図を示しているが、複数の検体、例えば、6つの検体を同時に処理する装置であっても、シリンジやウェルの数が増えるだけで、基本的な構成は図4と同様である。
ピペットユニット501は、吸引や吐出を行うためのシリンジと、試薬パックのフタ開け機構や、使い捨てのピペットチップのエジェクト機構とを有する。また、ピペットユニット501は、各ユニット間を移動して吸引、吐出、フタ開けをするためにX方向の移動とZ方向の昇降をする必要があり、Xステージ502上に搭載されたZステージ503に固定されている。各ユニットの位置関係がXY平面上に広がっている場合は、XYステージに搭載する。この構成により、装置内の各ユニット間を上下左右に動作して、試薬の搬送を行うことができる。
ピペットユニット501は、試薬とともに供給されるピペットチップ504を、ピペットチップ505置き場より圧入して装着し使用する構成となっており、ピペットチップ504は検体ごとに新品を使用する。全工程終了時には、ピペットユニット501に備えたエジェクト機構で、ピペットチップ捨て場507に廃棄する。すなわち、試薬を扱うピペットチップ504と、各工程の処理で使用される試薬が使い捨てであることで、コンタミネーションを発生しにくくすることができる。このようにピペットチップ504を検体ごとに換えるため、並列処理を行う際には、ジョブごとにピペットチップ504の交換が必要となる。例えば、先発ジョブがハイブリダイゼーション中に、後発ジョブの1stPCR増幅産物を精製するときは、先発ジョブで使用しているピペットチップ504をチップ仮置き場506に仮置きをしてから後発のピペットチップ506を装着する必要がある。なお、図中ではピペットチップは一つのみであるが、一つに限定するものではなく複数使用してもよい。仮に試薬ごとにピペットチップを廃棄交換する際には、上記ピペットチップの仮置き場506を使用したピペットチップ504の交換動作は不要となる。
抽出ユニット508には、DNAの溶解処理を行うためのヒートブロック509と、シリカコート磁性粒子による抽出処理を行うための磁石510とが搭載されている。溶解試薬と検体を混合し、ヒートブロック509上にて加熱処理により検体の細胞膜の溶解を行う。ピペットユニット501による混合動作は、まず検体を吸引し、予め試薬の充填されたウェルへ吐出をした後、ピペットシリンジにより吸引動作と吐出動作を繰り返すことで、溶液攪拌を行う。
溶解処理後、磁気精製ウェル513のシリカコート磁性粒子と混合してDNAを吸着させ、磁石510をウェル513に近接させる磁石駆動手段を用いて近接させて、磁性粒子を捕集する。残りの液を吸引し廃棄することで、磁性粒子に吸着したDNAのみを抽出することができる。その後、洗浄液等を用いて、上記と同様の精製工程を繰り返し、DNA以外の物質を除去する。最後に、磁性粒子からDNAを溶出液で溶出し、磁性粒子を磁石510で捕集した状態で溶液を吸引することで、抽出DNAを得ることができ、抽出工程が終了する。
なお、図の簡素化のため図中の試薬ウェル512は一つのみであるが、精製液や溶出液等、必要数用意されるものである。
増幅ユニット514には、PCR処理を行うためのヒートブロック515と、シリカコート磁性粒子による精製処理を行うための磁石516とが搭載されている。酵素やプライマ等の増幅試薬と、前工程で得られた抽出産物とをヒートブロック515上の増幅ウェル517内で混合する。そして、ヒートブロック515で、例えば、94℃から64℃の間で温度を上下させるサーマルサイクルをかけることにより、1stPCR増幅が実現できる。その際、図中には示されていないが、増幅ウェル517に、蒸発防止のフタや、結露防止用のフタ加熱手段を用いる。人から抽出したDNAは、そのほとんどがヒトゲノムであり、感染症の菌を検出したい場合などは、その標的とする菌のDNAはほとんど含まれていない。そのため、この1stPCR増幅で温度のサイクルを例えば40回行い、検出するのに必要な量になるよう、標的とするDNAを増幅させる。
1stPCR増幅後、反応に使用されなかった増幅試薬等を除去するため、精製工程を行う。精製工程は、上記抽出工程での精製工程と同様に、磁性粒子を用いて磁石516を精製ウェル519に近接させるように駆動し、捕集したシリカコート磁性粒子以外の液を廃棄することで行われる。抽出工程と同様に精製DNAをシリカコート磁性粒子から溶出後、2ndPCR工程に移行する。2ndPCRは、1stPCRで使用した増幅試薬とはプライマが異なり、DNAチップに固定したプローブと相補的な片鎖のプライマで、かつ、検出するための蛍光標識を貼付したプライマを用いる。図4では一つであるが、サーマルサイクルをかける増幅ウェル517は、1stPCR用とは別のものを用意する。この2ndPCRは、サーマルサイクルを例えば25回行い、増幅済みのDNAに蛍光標識を貼付し、検出に必要な片鎖を増やすことを主な目的としている。
ハイブリダイゼーションユニット521には、DNAチップ528を組み込んだカセット527とDNAを結合反応させるためのヒートブロック522と、乾燥させるためのポンプ524とが搭載されている。カセット527は、DNAチップ528上に標的DNAを含むハイブリダイゼーション液を導入する開口部と流路を備え、かつ、DNAチップ528上にハイブリダイゼーション液を保持してハイブリダイゼーション反応を行うための反応チャンバを有している。またカセット527は、反応の終了したハイブリダイゼーション液を廃棄するための開口部を備え、液の導入や廃棄吸引や乾燥のためのポンプ手段524に連結されている。カセット527に導入される液は、ハイブリダイゼーション液、洗浄液、乾燥用アルコール等である。
まず、前工程で得られた蛍光標識貼付増幅産物と、ハイブリダイゼーション反応のための液を混合し、攪拌を行い、カセット527に供給する。カセット527のDNAチップ528上に液を導入するために、ポンプ524を駆動して、負圧を利用してハイブリダイゼーション液を反応チャンバに導入する。この際の負圧は、液を引ききるのではなく、チャンバ上にとどめるためのものであるため、ポンプ524は、真空ポンプのような圧力制御方式のものではなく、シリンジポンプのような吸引量制御方式のものが望ましい。溶液導入後、ヒートブロック523の駆動を行い、反応に適した温度例えば50℃に制御し、反応促進のためにポンプ524を用いて液の移動を行いながら、ハイブリダイゼーション反応をさせる。
ハイブリダイゼーション反応終了後、洗浄液や乾燥用アルコールをチャンバ内に導入し、ポンプ524の負圧を利用して確実に吸引し、DNAチップ528上の洗浄と乾燥を行う。ここでDNAチップ528上に液滴が残存していると、検出を阻害し、正しい結果を得ることができなくなる可能性がある。この際の負圧は、液を引ききるためのものであるため、真空ポンプなどの圧力制御方式のものが望ましい。
検出ユニット529には、蛍光検出のためのレーザーやレンズといった光学系機器と、DNAチップをスキャンするための主走査及び副走査ユニットとが搭載されている。まず、検出ユニット529の搬入口530を開き、前工程の処理が完了したカセット527を、移送手段を用いて移送する。移送完了後、搬入口530を閉じ、主走査ユニットでスキャンしながら副走査ユニットでフィードして、カセット527のDNAチップ528のある検出エリアを検出する。検出終了後、搬出口531を開き、カセットを取り出して、全工程が終了となる。
各工程ユニットでは常に並列処理が可能であり、その工程の処理を行えるか否かは、共通で使用しているピペットユニット501の使用タイミングのみで決定される。増幅のPCR処理は、ヒートサイクルの時間が長く、その間ピペットユニット501を必要としない。またハイブリダイゼーション処理も、そのほとんどの時間はヒートブロック523で加熱処理を行う工程であり、その間ピペットユニット501を必要としない。検出は全くピペットユニット501を必要としない。そのため、上記のような空白時間を利用することで、ジョブの並列処理が可能となる。例えば、前のジョブがハイブリダイゼーション処理を開始したときに、その処理時間内で次のジョブの抽出処理を行い、前のジョブが検出に進んだところで増幅処理を始めることができる。そのように開始できる処理を次々と実施することで、多数の検体処理を行う際に、時間の無駄を省き、結果的に短時間で検査を行うことが可能となる。
図には示していないが、上述した装置は、制御用のCPUにより、各々の動作が制御駆動され、検査プロセスや検査結果が管理される。
本実施例のDNA検査装置においては、温度制御が必要なヒートブロックは4つある。まず、1つ目は、抽出処理工程におけるDNAの溶解処理を行うためのヒートブロック509である。2つ目は、増幅処理工程において、サーマルサイクルをかけるためのヒートブロック515である。3つ目は、図に示していないが、増幅ウェルの結露防止用のフタ加熱手段である。そして、4つ目は、ハイブリダイゼーション処理工程において、反応を行うための温度に制御するためのヒートブロック523である。
図5は、温度制御を行うヒートブロックと、液冷方式の放熱部の一構成例を示す図である。図5に示すように、ヒートブロック509、515、523のそれぞれにペルチェ素子と放熱ブロックとが設けられている。以下に、構成を詳しく説明する。
抽出ユニットのヒートブロック509に密接したペルチェ素子602の裏面に放熱ブロック601が配置されている。サーマルサイクルを行う増幅ユニットのヒートブロック515に密接したペルチェ素子604の裏面に放熱ブロック603が配置されている。また、増幅ウェル517の上方にはフタ加熱ブロック605が配置され、それに密接して設けられたペルチェ素子607の裏面に放熱ブロック616が配置されている。ハイブリユニットのヒートブロック523に密接したペルチェ素子609の裏面に放熱ブロック608が配置されている。
上述した放熱ブロック601、603、616、608には、液冷を行うための流路が形成されており、この流路に水などの冷却液を流すことで熱交換を行う仕組みになっている。それぞれの放熱ブロックはパイプやチューブで接続され、お互いの放熱ブロックを循環する冷却液流路610が形成されている。冷却液は冷却液流路の片側の端から供給され、負圧発生部611により駆動されて全放熱ブロックを循環する。図5に示す例では、冷却液は、はじめにハイブリユニットに導入され、その後、増幅サーマルサイクルユニット、増幅フタ加熱ユニット、及び抽出ユニットの順に循環し、各放熱ブロックでの熱交換で加熱されて液温が上昇する。したがって全てのユニットが動作しているときは、抽出ユニットでの冷却液温度が最も高温になる。
循環して戻ってきた冷却液は、ヒートパイプを通してファンで風を当てるなどの、冷却液の放熱部により外部に放熱し、再び各ユニットの放熱ブロックを循環する。循環してきた冷却液の温度を一定に保つためには、冷却液の放熱部が強力な放熱能力を有する必要があるが、装置サイズが大きくなり製造コストも高くなる。DNA検査装置に求められるサイズやコストを考慮して、冷却液の放熱部の放熱能力と、各ユニットの放熱ブロックで冷却液に与える熱量とのバランスにより熱設計を行い、冷却液の循環する順序や、循環経路を複数に分割するなど、冷却水流路を決定する。
図に示していないが、それぞれのヒートブロックにはPID制御を行うためのフィードバック温度検知用の温度センサが配置されている。また、各ユニットのペルチェ素子の放熱部温度TRを検知するための温度センサ612、613、614、615が、それぞれ配置されている。
前述した通り、増幅処理工程のサーマルサイクルは、例えば、94℃から64℃の間で温度の上昇と下降を繰り返す。検査時間の短縮や、増幅反応の正確性を確保するために、温度の変化率は大きいことが求められる。変化率を大きくすることは、ペルチェ素子に流す電流を増大させることであり、結果としてジュール熱が多く発生することになり、高い放熱能力が求められる。放熱部の構成によっては、冷却液温度が高く上昇してしまうため、最適なPID制御を行うために、ペルチェ素子の放熱部温度TRによってPID制御パラメータを変更する。その際、サーマルサイクルを行うヒートブロック515では、温度の上昇と下降を繰り返すプログラム制御を行うため、それぞれの温度ステップにおけるPID制御パラメータの最適値が異なる。PID制御パラメータが最適でなくなると、温度の上昇や下降の際にオーバーシュートを起こす可能性がある。増幅処理で行うPCR法では耐熱性酵素を増幅用試薬として用いるが、高温に長時間さらされることにより酵素が失活して増幅ができなることが知られているため、オーバーシュートは検査異常を引き起こす原因になる。
このようにサーマルサイクルを行う際、目標温度SVは時間経過と共に大きく変わり、また放熱部の温度が上昇していく。そのため、目標温度SVと放熱部温度TRの温度差における、最適なPID制御パラメータを予め取得してメモリに格納しておき、温度差により制御パラメータを変更して制御を行う。なお、サーマルサイクルを行うヒートブロック以外のヒートブロックに対しても、このPID制御パラメータは有効である。特に冷却液の循環経路がサーマルサイクルユニットの後段に位置するユニットは、サーマルサイクルを行っている時と停止している時で放熱部温度TRが大きく異なってしまうため、それをフィードバックしたPID制御パラメータにする必要がある。
図6(a)は、目標温度SVと放熱部温度TRの温度差に対するPID制御パラメータの値を示すパラメータデータテーブルの一例である。
図6(a)に示すテーブルは、目標温度SVと放熱部温度TRの温度差を、例えば15℃の範囲に区切り、それぞれの範囲でのPID制御パラメータについて予め取得した値を記述して表にしたものである。
図6(a)を用いて各PID制御パラメータの決め方の具体例を説明する。放熱部温度TRが30℃の場合、目標温度SVが94℃ではKP4、TI4、TD4をPID制御パラメータとして使用し、目標温度SVが64℃になるとKP2、TI2、TD2をPID制御パラメータとして使用する。放熱部温度TRが50℃に上昇した場合は、目標温度SVが94℃ではKP3、TI3、TD3をPID制御パラメータとして使用し、目標温度SVが64℃ではKP1、TI1、TD1をPID制御パラメータとして使用する。
なお、目標温度SV及び放熱部温度TRに対してPID制御パラメータの値が求まる図6(b)のようなテーブルをパラメータデータテーブルとして使用することも可能である。
次に、本実施例のDNA検査装置の各ヒートブロックでの温度制御方法を説明する。なお、図1に示した温度制御装置を用いる場合とする。図7(a)は、本実施例の温度制御方法の動作手順を示すフローチャートである。
本実施例のDNA検査装置は複数ユニットの並列処理を行っているため、図2に示したようなシリアル処理は適しておらず、マルチタスクのリアルタイム制御が有効である。そこで、ここではCPU204に実行させるマルチタスクとして、PID演算タスクと、制御対象温度取得タスクと、放熱部温度取得及びPID制御パラメータ設定を行うタスクとの3つのタスクを並列に設けている。
PID演算タスクはStep-801〜Step-805に該当し、図7(a)ではこのタスクを「タスク1001」で示している。制御対象温度取得タスクはStep-806〜Step-807に該当し、図7(a)ではこのタスクを「タスク1002」で示している。放熱部温度取得及びPID制御パラメータ設定のタスクはS-808〜S-810に該当し、図7(a)ではこのタスクを「タスク1003」で示している。これら3つのタスクのそれぞれは図7(b)に示すようなループ処理である。温度制御スタートと同時にこれら3つのタスクがスタートする。
PID演算タスクでは、CPU204は、まず、制御対象の温度の目標値を設定するための、制御温度の設定を行う(Step-801)。これはシリアルインタフェース等のインターフェースを通して外部より与えられてもよいし、予め設定されていてもよい。このステップで、一定温度に制御する定値制御か、温度−時間のテーブルで指定される温度制御目標値SVを経過時間にしたがって変化するように制御するプログラム制御かの選択もユーザにより行われる。
定値制御として温度制御目標値205が設定された場合、CPU204は、温度制御目標値205を一時保存する。温度制御目標値の設定がプログラム制御の場合、CPU204は、温度制御目標値の計算を行う(Step-302)。前述した定値制御の場合はこのステップをスキップするが、プログラム制御の場合、CPU204は、制御開始時刻からの経過時間と、予め格納された温度−時間テーブルとにより、現在の温度制御目標値SVを求め目標温度815として一時保存する。
続いて、CPU204は、上記目標温度(SV)815と、タスク1002による制御対象温度データ(PV)812との偏差を計算する(Step-803)。求めた偏差と、タスク1003で設定されたPID制御パラメータ814の値とを用いてPID演算を行う(Step-804)。演算結果の出力値を、図1に示したペルチェドライブ部202へのPWM出力のパルス幅に換算し設定する(Step-805)。ここで、所定時間、すなわちPID制御間隔の時間のウェイトを入れた後、ループの先頭(Step-802)に戻って処理を繰り返す。
制御対象温度取得タスクでは、CPU204は、まず、制御対象温度センサの出力電圧のA/D変換値を取得する(Step-806)。取得したA/D変換値を温度データに換算し、制御対象温度(PV)データ812として一時保存する(Step-807)。ここで、所定時間、すなわち制御対象温度PVのサンプリング間隔の時間のウェイトを入れた後、ループの先頭(Step-806)に戻って処理を繰り返す。なお、ノイズ対策で複数回取得した値から計算した値を使用する場合は、所定回数ループを繰り返した後に平均値を計算し、制御対象温度データ812にその平均値を設定する。
放熱部温度取得及びPID制御パラメータ設定のタスクでは、CPU204は、まず、放熱部温度センサの出力電圧のA/D変換値を取得する(Step-808)。取得したA/D変換値を温度データに換算し、放熱部温度(TR)データ813として一時保存する(Step-809)。また、放熱部温度TRの異常判断も行い、温度が適正範囲内にない場合には温度制御停止の指令信号をペルチェドライブ部202に出す。CPU204は、上記放熱部温度データ813と、PID演算タスクの目標値計算(Step-802)で出力された目標温度815との温度差を求める。そして、求めた温度差の情報でパラメータデータテーブル816から適切なPID制御パラメータの値を選択し、PID制御パラメータ814にその値を設定する。ここで、所定時間、すなわち放熱部温度TRのサンプリング間隔の時間のウェイトを入れた後、ループの先頭(Step-806)に戻って処理を繰り返す。
なお、プログラム制御の全工程が終了して温度制御目標値SVがない場合や、温度制御停止の指令信号が与えられた場合は、PWM出力を停止し、ログを記録するなどの温度制御終了処理を行い(Step-811)、各タスクを停止する。
本実施例の温度制御方法によると、急激な放熱部温度の変化に際しても適切なPID制御パラメータの設定が可能となり、かつ、それぞれのタスクのウェイト時間を調節することで、CPUの負荷を低減させることもできる。また、目標温度と放熱部温度の両方が変化しても、パラメータデータテーブルにしたがって最適なPID制御パラメータを設定することにより、オーバーシュート量の一定な過渡応答性や、制御温度安定性を確保できる。
環境温度や装置の設置条件等により、放熱部の温度が変化する可能性のある、ペルチェ素子を用いた温度制御を行う装置に適用可能である。例えば、化学反応装置、電子機器の冷却、恒温槽、温水制御装置などで、同様の効果が得られる。
本実施形態の温度制御装置の一構成例を示すブロック図である。 CPUが実行する温度制御方法の動作手順を示すフローチャートである。 パラメータデータテーブルの一例を示す図である。 全自動のDNA検査装置の一構成例を示す概念図である。 ヒートブロックと液冷方式の放熱部の一構成例を示す図である。 (a)は目標温度と放熱部温度の温度差に対するPID制御パラメータの値を示すパラメータデータテーブルの一例であり、(b)は目標温度及び放熱部温度に対してPID制御パラメータの値が求まるパラメータデータテーブルの一例である。 実施例1の温度制御方法の動作手順を示すフローチャートである。 一般的なペルチェ素子を使用した温調器の一構成例を示す側面図である。
符号の説明
101 制御対象
102 ペルチェ素子
103 ヒートシンク
201、203 温度検出回路
204 CPU

Claims (6)

  1. 温度の制御対象が配置される第1面を有するペルチェ素子と、
    前記ペルチェ素子の前記第1面に対する裏面である第2面側に配置される放熱部と、
    前記制御対象の温度を検出する対象温度検出部と、
    前記放熱部の温度を検出する放熱温度検出部と、
    前記放熱部の温度に対応して、PID演算に用いるためのパラメータの値が記述されたテーブルが予め格納され、前記制御対象の目標温度が設定されると、前記テーブルを参照して前記放熱部の温度に対応する前記パラメータの値を特定し、該パラメータの値、及び前記目標温度と前記制御対象の温度との差である偏差を用いて前記PID演算を行い、該PID演算の結果に基づいて前記ペルチェ素子への電力を調整する温度設定部と、
    を有する温度制御装置。
  2. 温度の制御対象が配置される第1面を有するペルチェ素子と、
    前記ペルチェ素子の前記第1面に対する裏面である第2面側に配置される放熱部と、
    前記制御対象の温度を検出する対象温度検出部と、
    前記放熱部の温度を検出する放熱温度検出部と、
    前記制御対象の目標温度と前記放熱部の温度との差に対応して、PID演算に用いるためのパラメータの値が記述されたテーブルが予め格納され、前記目標温度が設定されると、該目標温度と前記放熱部の温度との差を算出し、算出した差の値に対応する前記パラメータの値を前記テーブルを参照して特定し、該パラメータの値、及び前記目標温度と前記制御対象の温度との差である偏差を用いて前記PID演算を行い、該PID演算の結果に基づいて前記ペルチェ素子への電力を調整する温度設定部と、
    を有する温度制御装置。
  3. 前記テーブルには、比例ゲインK、積分時間TI、及び微分時間TDをパラメータとして前記放熱部の温度に対応する値が記述され、
    前記温度設定部は、
    前記ペルチェ素子への電力に対応する出力値をynとし、前記対象温度検出部及び前記放熱温度検出部のサンプリング間隔の時間をθとし、前記対象温度検出部の最新のサンプリングによる前記偏差をenとし、該enの一つ前のサンプリングによる前記偏差をen-1とすると、前記PID演算において、
    Figure 2009043080
    上式に、前記パラメータの値を代入して前記出力値を算出する、請求項1または2記載の温度制御装置。
  4. 温度の制御対象が配置される第1面を有するペルチェ素子と、前記ペルチェ素子の前記第1面に対する裏面である第2面側に配置される放熱部と、前記制御対象の温度を検出する対象温度検出部と、前記放熱部の温度を検出する放熱温度検出部とを有する制御装置による温度制御方法であって、
    前記放熱部の温度に対応して、PID演算に用いるためのパラメータの値が記述されたテーブルを格納し、
    前記制御対象の目標温度が設定されると、前記テーブルを参照して前記放熱部の温度に対応する前記パラメータの値を特定し、
    前記パラメータの値、及び前記目標温度と前記制御対象の温度との差である偏差を用いて前記PID演算を行い、
    前記PID演算の結果に基づいて前記ペルチェ素子への電力を調整する、温度制御方法。
  5. 温度の制御対象が配置される第1面を有するペルチェ素子と、前記ペルチェ素子の前記第1面に対する裏面である第2面側に配置される放熱部と、前記制御対象の温度を検出する対象温度検出部と、前記放熱部の温度を検出する放熱温度検出部とを有する制御装置による温度制御方法であって、
    前記制御対象の目標温度と前記放熱部の温度との差に対応して、PID演算に用いるためのパラメータの値が記述されたテーブルを格納し、
    前記目標温度が設定されると、該目標温度と前記放熱部の温度との差を算出し、算出した差の値に対応する前記パラメータの値を前記テーブルを参照して特定し、
    前記パラメータの値、及び前記目標温度と前記制御対象の温度との差である偏差を用いて前記PID演算を行い、
    前記PID演算の結果に基づいて前記ペルチェ素子への電力を調整する、温度制御方法。
  6. 前記テーブルには、比例ゲインK、積分時間TI、及び微分時間TDをパラメータとして前記放熱部の温度に対応する値が記述され、
    前記ペルチェ素子への電力に対応する出力値をynとし、前記対象温度検出部及び前記放熱温度検出部のサンプリング間隔の時間をθとし、前記対象温度検出部の最新のサンプリングによる前記偏差をenとし、該enの一つ前のサンプリングによる前記偏差をen-1とすると、前記PID演算において、
    Figure 2009043080
    上式に前記パラメータの値を代入して前記出力値を算出する、請求項4または5記載の温度制御方法。
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