JP2009041519A - 内燃機関の圧縮比可変機構 - Google Patents

内燃機関の圧縮比可変機構 Download PDF

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Abstract

【課題】コントロールシャフトに作用する回転トルクの作用方向が反転する度に、スラスト受部等で発生する打音を抑制する。
【解決手段】コントロールシャフト8と、ピストン1、クランクシャフト6、及びコントロールシャフト8を連結する複数のリンク3、4、5と、コントロールシャフト8を回転駆動するための駆動源13と、駆動源13の駆動力をコントロールシャフト8に伝達する変換手段24と、を備え、コントロールシャフト8を回転させて、一端がコントロールシャフト8に揺動自由に支持されるコントロールリンク5の支持位置を変化させることにより、機関の圧縮比を可変に制御可能な内燃機関の圧縮比可変機構において、コントロールシャフト8に回転トルクが作用したときに、コントロールシャフト8に一定方向の軸方向力を付勢する付勢手段24を備える。
【選択図】図10

Description

本発明は、複リンク式内燃機関に関し、特に圧縮比可変制御のための機構における騒音の防止に関する。
ピストンとクランクとを連結する複数のリンクと、クランクシャフトと略平行に延びるコントロールシャフトと、一端が前記複数のリンクの一と連結され、他端がコントロールシャフトに偏心して連結されるコントロールリンクとを備え、コントロールシャフトを回転させることでコントロールリンクを介して前記複数のリンクの姿勢を変化させ、これによりピストン上死点位置を変化させて圧縮比を変化させ得る可変圧縮比機構を備えた複リンク式内燃機関が知られている。
例えば特許文献1には、コントロールシャフトにウォームホイールを、駆動装置としての電動モータのシャフトにウォームギアをそれぞれ設け、電動モータの回転トルクを減速してコントロールシャフトに伝達する機構が開示されている。
特開2002−47955号公報
ところで、複リンク式内燃機関においては、コントロールシャフトには燃焼荷重や主運動部品の慣性力等に起因して生じる荷重による回転トルクが作用し、この回転トルクは、機関運転状態によっては作用する方向が周期的に反転する交番トルクとして作用する。
また、コントロールシャフトのスラスト方向の動きを制限するためのスラスト受部、及びウォームギヤとウォームホイールとの噛み合い部には隙間が設けられている。
そのため、トルクの作用方向が反転する度にスラスト受部及びウォームギアとウォームホイールとの噛み合い部等で打音が発生するという問題があった。
そこで、本発明では、上記打音の発生を防止することを目的とする。
本発明の内燃機関の圧縮比可変機構は、クランクシャフトと略平行に延びるコントロールシャフトと、ピストン、クランクシャフト、及びコントロールシャフトを連結する複数のリンクと、コントロールシャフトを回転駆動するための駆動源と、駆動源の駆動力をコントロールシャフトの回転に変換する変換手段と、を備え、コントロールシャフトを回転させて、複数のリンクの一つであって一端が前記コントロールシャフトに揺動自由に支持されるコントロールリンクの支持位置を変化させることにより、機関の圧縮比を可変に制御可能な内燃機関の圧縮比可変機構である。そして、コントロールシャフトに回転トルクが作用したときに、前記コントロールシャフトに一定方向の軸方向力を付勢する付勢手段を備える。
本発明によれば、コントロールシャフトに作用する回転トルクの作用方向が反転した場合等に生じる、コントロールシャフトのスラスト方向の動きを抑制することができるので、上述した打音の発生を抑制することができる。
以下本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1、図2は、従来から知られている可変圧縮比機構を備える複リンク式内燃機関の一例を表す図であり、図1はエンジンフロント側から見た図、図2はエンジン側方から見た図である。具体的な構成については、例えば出願人が先に出願した特開2002−47955号公報等に詳しいので、ここでは簡単に説明する。
この可変圧縮比機構は、各気筒のピストン1のピストンピン2に一端が連結されるアッパーリンク3と、このアッパーリンク3の他端にアッパーリンクピン71を介して揺動可能に連結されるとともに、クランクシャフト6のクランクピン7に連結されるロアリンク4と、クランクシャフト6と略平行に延びるコントロールシャフト8と、このコントロールシャフト8に一端が揺動可能に連結されるとともに、ロアリンク4に他端が揺動可能に連結されるコントロールリンク5と、を有している。
コントロールシャフト8には、コントロールリンク5の一端に回転可能に支持されるピンジャーナル10がクランクシャフト6の軸方向に間欠的に形成されている。このピンジャーナル10の回転中心Pdは、コントロールシャフト8の回転中心Pcに対して所定量偏心しており、この回転中心Pdを揺動支点として、コントロールリンク5がコントロールシャフト8に対して揺動する。
従って、コントロールシャフト8が回動すると、コントロールリンク5の揺動支点位置Pdが変化し、これに伴って、クランクピン7からピストンピン2までの距離が変化する。これにより、ピストン1の位置が変化して、機関圧縮比が変化する構成となっている。なお、コントロールシャフト8は、ウォームギア12及びウォームホイール11(図2)を介して接続する電動モータ13等の駆動源により回転駆動され、この駆動源は、周知のエンジンコントロールユニット等により機関運転状態に応じて駆動制御される。
上記のような構成において、コントロールシャフト8に回転方向に作用するトルク(コントロールシャフトトルク)の発生要因について図3を参照して説明する。
図3(a)は複リンク式内燃機関のスケルトン図である。図3(a)に示すように、筒内での燃焼荷重はピストン1の冠面にシリンダ軸線下方向に作用し、この荷重はアッパーリンク3を介してロアリンク4に伝達され、ロアリンク4に対してクランクピン7を軸として図中時計回りのトルクとして作用する。そして、ロアリンク4のアッパーリンク3と連結していない側の端部はコントロールリンク5の上端と連結しているため、ロアリンク4に作用するトルクは、コントロールリンク5に対して軸線方向に斜め上方の荷重として作用する。
コントロールリンク5の下端はコントロールシャフト8に揺動自在に連結されており、この連結部はコントロールシャフト8の主軸中心から所定量偏心しているので、コントロールリンク5に作用する荷重は、コントロールシャフト8に対して、コントロールシャフト8の中心を軸として図中反時計回りのトルクとして作用する。このようにしてコントロールシャフトトルクが発生する。
コントロールシャフトトルクの大きさについて図3(b)を参照して説明する。図3(b)はコントロールシャフト8に作用する荷重の様子を表した図である。
機関圧縮比を変化させる際にはコントロールシャフト8を回転させるが、これに伴ってコントロールシャフト8とコントロールリンク5との連結部の位置も変化する。例えば図3(b)に示す場合には、高圧縮比時には荷重F2がコントロールシャフト8の主軸との偏差L2の位置で作用し、同様に低圧縮比時には荷重F1が偏差L1の位置で作用する。
したがって、コントロールシャフトトルクは、高圧縮比時にはF2×L2、低圧縮比時にはF1×L1だけ作用する。
これに対して、ピストン1が上昇する際の主運動部品、例えばピストン1や各リンク3、4、5等、の慣性荷重は、上記とは逆に作用し、コントロールシャフトトルクも逆方向のトルクとして作用する。そして、この慣性荷重は、特に機関高回転領域になるほど顕著に現れる。
複リンク式内燃機関では、機関運転条件に応じて例えば図4に示すように、低回転・低負荷領域では高圧縮比、高回転・高負荷領域では低圧縮比に制御する。なお、図4は縦軸を機関負荷、横軸を機関回転数とする圧縮比マップである。
これに伴い、上述した燃焼荷重、慣性荷重によるコントロールシャフトトルクも、図5に示すように様々にその振幅とトルクピークが変化する。図5は縦軸をコントロールシャフトトルク、横軸をクランク角とした直列4気筒エンジンのコントロールシャフトトルクの波形図である。なお、縦軸の正の領域はコントロールシャフトを図3中で時計回りに回転させる方向、負の領域は同様に反時計回りの方向の大きさを表す。図5中で、クランク角720度の期間に4つのピークがあるのは、4つの気筒で順次燃焼が行われるからである。
例えば、図4中の領域Aでは、機関負荷が高いため圧縮比は相対的に高く、かつ燃焼荷重も相対的に大きい。そして機関回転数が低いため慣性荷重は相対的に小さい。そのため、ピストン1に作用する荷重は、上死点付近においては燃焼荷重が支配的となり、下死点付近では相対的に小さい慣性荷重が作用する。
したがって、コントロールシャフトトルクの波形は、図5の実線Aで示すように周期的にピーク値が変動するが、常に正の値をとる。すなわち、コントロールシャフトトルクは片方向トルクとして作用する。
一方、図4中の領域Bでは、機関負荷が低いため圧縮比は相対的に低く、かつ燃焼荷重も相対的に小さい。そして、機関回転数が高いため慣性荷重が相対的に大きい。そのため、ピストン1に作用する荷重は、上死点付近においても慣性荷重の影響が大きくなる。つまり領域Aとは逆方向に作用する荷重が大きくなる。一方、下死点付近では領域Aと同様に慣性荷重が支配的となるが、機関回転数が高い分だけ荷重も大きくなる。
したがって、コントロールシャフトトルクの波形は、図5の実線Bで示すように正の値と負の値が周期的に逆転する。すなわち、コントロールシャフトトルクは交番トルクとして作用する。なお、電動モータ13を作動させて高圧縮比化と低圧縮比化とを交互に行う場合も、コントロールシャフト8には交番トルクが作用することとなる。
ところで、ウォームギア12とウォームホイール11とにトルクが作用すると、噛み合い部には、ウォームギア12の軸方向、ウォームホイール11の回転軸方向、ウォームギア12の径方向にそれぞれ平行な3つの分力が発生する。各分力の大きさは印加されるトルクの大きさにより決まる。そして、各分力の作用方向は、印加するトルクの回転方向により決まる。すなわち、トルクの回転方向が逆転すれば、分力の作用方向も反対方向になる。
したがって、図2に示した従来のウォームギア12とウォームホイール11とを用いる構成では、コントロールシャフト8に作用するトルクが交番トルクとなった場合に、噛み合い部での分力の作用方向も周期的に反転する。そのため、ウォームギア12とウォームホイール11との噛み合い部等の隙間で打音が発生する。
また、コントロールシャフト8のスラスト方向の動きを抑制するためには、分力の作用方向が反転することを考慮して、何れの方向への動きをも抑制できるように、コントロールシャフト8用のベアリンクキャップ等を挟む一対のスラスト受部(図示せず)が必要となる。そのため、分力の作用方向が反転するたびにスラスト受部とベアリングキャップ等との間で打音が発生する。
これらの打音は、機関運転中に機関の放射音として発生するため、商品性を著しく低下させることとなる。
ここで、コントロールシャフト8及びクランクシャフト6に作用する荷重による、シリンダブロックの変形について図6、図7を参照して説明する。
図6はクランクシャフト6用及びコントロールシャフト8用のベアリングキャップ14が一体に形成されている場合の、隣接する一対のベアリングキャップ14に着目したモデルを模式的に表した図である。図7(a)、図7(b)はいずれもクランクシャフト6やコントロールシャフト8に作用する荷重によるベアリングキャップ14の変形モードを模式的に表した図である。
クランクシャフト6のクランクピン2や、コントロールシャフト8とコントロールリンク5の連結部(偏心軸受)に作用する荷重は、それぞれ略対向する方向に作用する。したがって、クランクシャフト6とコントロールシャフト8は、それぞれ逆方向に変形する。
そして、相反する方向に作用する燃焼荷重と慣性荷重とが交互に作用するため、ベアリングキャップ14の変形も、図7(a)、図7(b)のような変形を繰り返す。
ここで、コントロールシャフト8にのみ着目すると、前述したベアリングキャップ14の連続的に繰り返される変形によって、コントロールシャフト8には繰り返し曲げ変形が発生する。これにより、機関運転中には、コントロールシャフト8に軸方向の推力が発生していると考えられる。各部品間に軸方向の隙間がある場合には、この推力によって打音が発生する。
そこで、上述したウォームギア12とウォームホイール11との噛み合い部での打音や、コントロールシャフト8及びベアリングキャップ14の変形による打音の発生を抑制するために、次のような波動歯車装置24を用いる。
図8(a)、図8(b)、図9(a)、図9(b)は、ウォームギア12及びウォームホイール11に替えて用いる波動歯車装置24の構成を示す図であり、図8(a)は各構成部品を表す図、図8(b)は各構成部品を組み立てた状態で回転軸方向から見た図、図9(a)、図9(b)はそれぞれ側方から見た断面図である。波動歯車装置24は、一般産業機械に広く使用されている装置であるため、ここでは構成及び作用について簡単に説明する。
図8(a)、図8(b)、図9(a)、図9(b)に示すように、波動歯車装置24は、円環状の内歯車15と、この内歯車15の内側に同心状に配置されたカップ状の可撓性外歯車16と、外輪部材18が楕円形輪郭の波動発生器17とを備える。可撓性外歯車16は、円筒状の胴部19と、その一端を封鎖しているダイヤフラム20と、ダイヤフラム20の中心部分に一体成形されたボス21と、胴部19の開口部23側の外周面に形成された外歯22とを備えている。
可撓性外歯車16の胴部19は波動発生器17を挿入する前の状態では円筒形状であるが、波動発生器17を挿入すると、開口部23側の部分が楕円形に撓む。楕円形の長軸方向については図9(a)に示すように外側に撓み、短軸方向については図9(b)に示すように内側に撓む。
このように構成される波動歯車装置24は、波動発生器17の中心を挟んで互いに対向する2箇所における、長軸方向に撓んだ可撓性外歯車16と内歯車15との噛み合いによって、減速もしくは増速とトルク伝達を行う。なお、波動発生器17の外周はリング状の外輪部材18で覆われており、外輪部材18と可撓性外歯車16とは回転方向に摺動せず、波動発生器17の楕円プロフィールに沿って、可撓性外歯車16を半径方向に弾性変形させている。
本実施形態では、電動モータ13を波動発生器17に、コントロールシャフト8を可撓性外歯車16のボス21にそれぞれ連結して用いる。電動モータ13からコントロールシャフト8を回転駆動する場合には減速機構として、反対にコントロールシャフトトルクによって電動モータ13が回される場合には増速機構として作動する。
カップ状の可撓性外歯車16は、波動発生器17に沿って楕円形に変形させると、コーニングと呼ばれるコーン状の変形形態を示す。コーニング時には、長軸側では図9(a)に示すように可撓性外歯車16は開口部23の径が拡がる方向に変形し、短軸側では図9(b)に示すように開口部23の径が縮まる方向に変形する。
ここで、電動モータ13の出力軸の回転トルクをT、可撓性外歯車16の波動発生器17との接触部分の内径をD(半径R)、長軸側で可撓性外歯車16から波動発生器17に作用する荷重をFL、同じく短軸側で作用する荷重をFSとし、それぞれの荷重に対する抗力の垂直成分をFLV、FSV、水平成分(軸方向成分)をFLH、FSH、可撓性外歯車16の弾性変形による撓み傾き角(抗力と垂直成分のなす角度)をθとすると、垂直成分FLV、FSVはいずれも2T/D、軸方向成分はいずれも2T/D×tanθとなる。
ところで、静止状態では、可撓性外歯車16の波動発生器17と接触する部分は、上記の軸方向成分によりコーニングと同時に軸方向にも動くこととなるが、長軸側と短軸側とでは図9(a)、(b)に示すように軸方向成分が逆向きとなるので力がバランスする。したがって波動歯車装置24が静止した状態では、波動発生器17は軸方向に動かない。
しかし、波動歯車装置24を減速機構として回転作動させると、長軸側と短軸側とでコーニングに伴って発生する荷重のバランスが崩れ、短軸側での荷重が優位となることが知られている。一方、波動歯車装置24を増速機構として使用する場合には、長軸側での荷重が優位になることが知られている。
すなわち、減速機構として回転作動させる場合には、波動発生器17はカップ状の可撓性外歯車16の中側(軸方向でボス21側)に引き込まれる方向に荷重が作用する。逆に、増速機構として回転作動させる場合には、可撓性外歯車16の外側(軸方向で開口部23側)に押し出される方向に荷重が作用する。
このような荷重のバランスが崩れるメカニズムについての詳細は明らかになっていないが、可撓性外歯車16と波動発生器17の外輪部材18との間の軸方向の摩擦力に起因するため、摩擦係数をμとすると、摩擦力の軸方向成分は簡易的には2T/D×tanθ×μと表すことができる。
なお、減速機構として回転作動させる場合とは、電動モータ13によりコントロールシャフト8を回転作動させる状態に相当し、波動発生器17に作用する軸方向力は電動モータ13の回転方向、つまり高圧縮比化又は低圧縮比化によらず一定となる。同様に、増速機構として回転作動させる場合とは、圧縮比を変化させずに、コントロールシャフトトルクに抗してコントロールシャフト8の回転角を保持している状態に相当し、軸方向力はコントロールシャフトトルクの回転方向によらず一定である。
上述したような特性を有する波動歯車装置24を複リンク式内燃機関に適用するための構成の一例を図10に示す。
図10は、コントロールシャフト8のエンジンフロント側端部付近をエンジン側方から見た図である。
コントロールシャフト8は、シリンダブロックの隔壁27で回転自在に支持し、端部は可撓性外歯車16のボス21に圧入する。一方、波動発生器17は電動モータ13のシャフトに、回転方向のみ拘束し軸方向の自由度は残した状態で連結する。
内歯車15は、波動発生器17及び可撓性外歯車16を覆うハウジングの内側に形成する。このハウジングはシリンダブロックにボルト等で固定し、軸方向前端面には電動モータ13を固定する。
なお、波動発生器17の軸方向で電動モータ13側への動きは、スラストベアリング25により制限される。
上記のような構成において、電動モータ13を回転させて減速機構として作動させる場合には、上述したように波動発生器17に可撓性外歯車16に引き込まれる方向(図中左方向)の軸方向力が作用し、この軸方向力は可撓性外歯車16を介してコントロールシャフト8の軸端に作用する。
一方、コントロールシャフトトルクによって電動モータ13が回転させられ、増速機構として作動する場合には、波動発生器17には可撓性外歯車16から押し出される方向(図中右方向)の軸方向力が作用する。この場合、波動発生器17は図中右方向に付勢されることとなるが、スラストベアリング25によって図中右方向への動きが制限されるので、軸方向力の反力が可撓性外歯車16を図中左側に付勢することとなる。つまり、コントロールシャフト8には、図中左側方向の軸方向力が作用する。
すなわち、図10に示したような構成にすることで、波動歯車装置24を減速機構として使用する場合、増速機構として使用する場合のいずれの場合も、コントロールシャフト8には図中左方向の軸方向力が付勢されることとなる。
図11は機関全体での波動歯車装置24と電動モータ13の配置の一例を表す図であり、図11(a)はエンジンフロント方向から見た図、図11(b)はエンジン側方から見た図、図11(c)はエンジン下面側から見た図である。
波動歯車装置24はシリンダブロックの最前部の隔壁27に固定する。また、コントロールシャフト8のスラスト方向の動きは、コントロールシャフト8に一体的に設けた一対のスラスト受用フランジ26により制限する。一対のスラスト受用フランジ26は、いずれか一つの隔壁27をエンジンフロント側及びエンジンリア側から挟むように、かつ隔壁27との間に所定の間隔が開くように設ける。
これにより、コントロールシャフト8のスラスト方向の動きを、いずれか一方のスラスト受用フランジ26が隔壁27と当接するまでの範囲に制限することができる。なお、図11では中央の隔壁27近傍にスラスト受用フランジ26を設けているが、この場所に限られることはなく、いずれの隔壁27近傍に設けてもよい。
従来のようにウォームギア12とウォームホイール11とを用いてコントロールシャフト8を回転作動させる構成では、コントロールシャフトトルクが交番トルクとして作用した場合等には、コントロールシャフト8のスラスト方向の動きは周期的に逆転するため、スラスト受用フランジ26と隔壁27との衝突による打音が発生してしまう。しかしながら、波動歯車装置24を用いる構成では、前述したようにコントロールシャフト8には常に一方向の軸方向力が付勢されるため、スラスト受用フランジ26と隔壁27との間に隙間を設けても、打音の発生を防止することができる。
以上により本実施形態では、次のような効果を得ることができる。
複リンク式内燃機関の圧縮比可変機構において、コントロールシャフト8に回転トルクが作用した場合に、コントロールシャフト8に加わる回転トルクの向きに関わらず、波動歯車装置24によってコントロールシャフト8に一定方向の軸方向力を付勢するので、スラスト受用フランジ26やコントロールリンク5とコントロールシャフト8との連結部等での、軸方向隙間に起因する打音の発生を抑制することができる。
また、打音発生の原因となる局部打撃が抑制されるので、局部打撃によって生じる摩耗による耐久性低下を抑制することができる。
さらに、電動モータ13の駆動力をコントロールシャフト8の回転に変換する変換手段としての波動歯車装置24が付勢手段としての機能を兼ねており、コントロールシャフト8に付勢する軸方向力として、波動歯車装置24内で発生する荷重の分力を利用するので、別体の軸方向力発生手段を設ける必要がなく、機関のコンパクト化、コスト低減を図ることができる。
コントロールシャフト8に作用する回転トルクの原因要素が、電動モータ13から伝達されるトルクである場合に、コントロールシャフト8に一定方向の軸方向力を付勢するので、例えば低・中速域のように高頻度で高圧縮比化、低圧縮比化を繰り返すような圧縮比可変制御を行う場合の、打音の発生を抑制することができる。
コントロールシャフト8に作用する回転トルクの原因要素が、コントロールリンク5を介して作用する荷重によるコントロールシャフトトルクである場合に、コントロールシャフト8に一定方向の軸方向力を付勢するので、例えば低負荷・高回転域のようにコントロールシャフトトルクが交番トルクとして作用する場合にも打音の発生を抑制することができる。
なお、本発明は上記の実施の形態に限定されるわけではなく、特許請求の範囲に記載の技術的思想の範囲内で様々な変更を成し得ることは言うまでもない。
複リンク式内燃機関の一例を表す図である(エンジンフロント方向視)。 複リンク式内燃機関の一例を表す図である(エンジン側面方向視) (a)は複リンク式内燃機関のスケルトン図、(b)はコントロールシャフトに作用する荷重を模式的に表した図である。 可変圧縮比機構の圧縮比マップである。 コントロールシャフトに作用するトルクの波形図である。 クランクシャフト及びコントロールシャフトの変形の様子を表す概念図である。 (a)、(b)はクランクシャフト等の軸受部の変形モードを表す概念図である。 (a)、(b)はそれぞれ波動歯車装置の構成部品を表す図、概略構成図である。 波動歯車装置で発生する軸方向力を現す図である。 波動歯車装置の複リンク式内燃機関への適用例を表す図である。 (a)〜(c)はそれぞれエンジンフロント側、エンジン側方側、エンジン下面側から見た機関全体の構成図である。
符号の説明
1 ピストン
2 ピストンピン
3 アッパーリンク
4 ロアリンク
5 コントロールリンク
6 クランクシャフト
7 クランクピン
8 コントロールシャフト
11 ウォームホイール
12 ウォームギア
13 電動モータ(駆動源)
14 ベアリングキャップ
15 内歯車
16 可撓性外歯車
17 波動発生器
18 外輪部
19 胴部
20 ダイヤフラム
21 ボス
22 外歯
23 開口部
24 波動歯車装置(変換手段、付勢手段)
25 スラストベアリング
26 スラスト受用フランジ
27 隔壁

Claims (5)

  1. クランクシャフトと略平行に延びるコントロールシャフトと、
    ピストン、前記クランクシャフト、及び前記コントロールシャフトを連結する複数のリンクと、
    前記コントロールシャフトを回転駆動するための駆動源と、
    前記駆動源の駆動力を前記コントロールシャフトの回転に変換する変換手段と、
    を備え、
    前記コントロールシャフトを回転させて、前記複数のリンクの一つであって一端が前記コントロールシャフトに揺動自由に支持されるコントロールリンクの支持位置を変化させることにより、機関の圧縮比を可変に制御可能な内燃機関の圧縮比可変機構において、
    前記コントロールシャフトに回転トルクが作用したときに、前記コントロールシャフトに一定方向の軸方向力を付勢する付勢手段を備えることを特徴とする内燃機関の圧縮比可変機構。
  2. 前記付勢手段は、前記コントロールシャフトに作用する回転トルクの回転方向に関わらず前記コントロールシャフトに一定方向の軸方向力を付勢することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の圧縮比可変機構。
  3. 前記付勢手段は、前記コントロールシャフトが回転することによって前記変換手段内で発生する荷重の少なくとも一部を、前記軸方向力に変換して付勢することを特徴とする請求項1または2に記載の内燃機関の圧縮比可変機構。
  4. 前記変換手段が前記付勢手段を兼ねることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の内燃機関の圧縮比可変機構。
  5. クランクシャフトと略平行に延びるコントロールシャフトと、
    ピストン、前記クランクシャフト、及び前記コントロールシャフトを連結する複数のリンクと、
    前記コントロールシャフトを回転駆動するための駆動源と、
    前記駆動源の駆動力を前記コントロールシャフトの回転に変換する波動歯車装置と、
    を備えることを特徴とする内燃機関の圧縮比可変機構。
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