JP2009040722A - 複数のタンパク質からなるカゼインナノ粒子 - Google Patents

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Abstract

【課題】タンパク質の純度に関わらず、また特別な精製工程を経ずに製造することができるカゼインナノ粒子を提供すること。
【解決手段】少なくとも一種のカゼインを含む複数種のタンパク質からなるカゼインナノ粒子。
【選択図】なし

Description

本発明は、少なくとも一種のカゼインを含む複数種のタンパク質からなるカゼインナノ粒子、生理活性物質を内包又は吸着している該カゼインナノ粒子、およびそれを含む分散物に関する。
栄養、生理、薬理機能を持った生理活性化合物には、疎水性物質が多数存在する。そのような疎水性物質を食品や医薬品の成分として経口で摂取する際には、容易に摂取できる水溶液に可溶化されていることが望まれる。しかし、疎水性物質を水溶液にする場合、水に対する溶解度が低いという課題がある。疎水性物質の中には、水溶液の調製時に一旦溶解しても、その後、経時的に沈澱を生じ、疎水性物質含有水溶液としての保存安定性を保つことができず、品質低下の原因となっている。そのため、これらの疎水性物質の配合量が制限され、機能を満足に発揮できる製品を得ることが困難な場合がある。そこで、疎水性の高い化合物を水中に高濃度に且つ均一に可溶化するための技術の開発が望まれている。疎水性物質を高濃度で水溶液中に含有させるために、界面活性剤を用いた乳化技術、硬化剤を巧みに使用したマイクロカプセル技術などが開発されている。
疎水性物質を含むマイクロカプセルの製造方法としては、例えば米国特許第2800457号明細書に記載されるコンプレックスコアセルベーション法が代表的であるが、疎水性物質を可溶化するための溶剤や食用に適さないアルデヒド等の硬化剤が用いられることが多い。そこで、蛋白質と多糖類からなるコンプレックスコアセルベーション法において、蛋白架橋酵素であるトランスグルタミナーゼを被膜硬化剤として用いることを特徴とする可食性のマイクロカプセルの製造方法(例えば特開平5−292899号公報)や、蛋白と塩類の組合せにより塩析法で壁膜を形成し、トランスグルタミナーゼで壁膜を硬化するマイクロカプセルの製造方法(例えば特開平9−248137号公報)等、食用に適さない硬化剤を用いずにマイクロカプセルを製造する方法が開示されている。しかしながら、これらの文献に開示されているマイクロカプセルの大きさは平均粒径数10〜数100μmの大きさであり、「疎水性物質を過飽和濃度においても透明で安定に可溶化させる」ことはできなかった。
カゼインは乳タンパク質の主体をなす不溶性のタンパク質であり、疎水性部分が外に面しているため、集合体を作りやすく、10-100個のカゼインが集まり、20nm程のサブミセルを形成し、更には100-1000個のカゼインが集まって90-150nmのカゼインミセルを形成する。カゼインミセルがさらに集まって、500nm程のミセル会合体を形成する。 したがって、カゼインミセルのサイズは分布が広く、ナトリウムやマグネシウムなどの塩の添加や、pHを酸性にすると凝集が起こる。
カゼインは、αs1-カゼイン、αs2-カゼイン、β-カゼイン、κ-カゼインと呼ばれる4種類のタンパク質成分(以下カゼインサブユニット)からなる。これらのカゼインサブユニットは、それぞれ単独では特定の高次構造を持たないが、その両親媒性と高い界面活性から、水中でその濃度や環境に応じて分子集合体を形成することが知られている。最近の研究で、カゼイン分子が有する自己組織性とトランスグルタミナーゼによる架橋反応を組み合わせることで、カゼイン分子の集合体(カゼインミセル)を安定化できることが示されている(J.E. O'Connell and C.G. de Kruif, Physicochem. Eng. Aspects, 216, 75-81(2003))が、この安定化カゼインミセル内に疎水性物質を吸着保持し、疎水性物質を過飽和濃度で水に可溶化させること開示されていない。近年、疎水性物質を架橋されたカゼインミセル内部に吸着保持し、粒径がナノサイズの構造体が得られ、疎水性物質をその溶解度以上の濃度、すなわち過飽和濃度においても、透明で安定に可溶化することを示した(特開2006−115751号公報)。しかし、該特許技術では、タンパク質、特にカゼインを架橋しなければならない事、カゼイン成分を単一にしなければ50nm以下のサイズを実現できないなど、制約が大きかった。
単一成分カゼインは公知であり、一般的に入手できるが、これらの製造方法は、非常に煩雑であり、時間やコストがかかり、工業的に用いることは困難である。
カゼインサブユニットの精製には、溶解度や分子サイズの違いを利用した粗画分、タンパク質の親疎水性、電荷、特異結合を利用したクロマトグラフィー、電気泳動法など、種々の分離精製方法が存在するが、カゼインの性質から、数回の精製工程を行うか、精製技術の確立に非常に労力を費やす必要があったため、大量サンプルを簡便に入手する事が困難である。
それぞれを分離精製するために、特表平6-25297号公報、特表平5-146258号公報に記載されるような工業的な技術革新が必要であった。現在でも、単一成分もしくは高純度カゼインは、生産数量が少ない、コストが高いなどの汎用的材料としての障壁を有したままである。更に、分画を徹底的に透析した場合でも有害物質が一部残留するため、このカゼイン分画の食物への使用は好適ではない。従って、安全上の観点からも、精製・分離工程を経ないカゼインを用いる事が重要である。分離精製の難易度、重要性については例えば特表2004-521650号公報に示されている。その為、現在ではカゼインは個別のカゼインサブユニット毎ではなく、簡便かつ大量に入手できる、タンパク質の混合物でナノ粒子化できることが求められていた。
これらのことから、入手が容易な単純成分かつ、簡易的手法で、疎水成分を内包したカゼインナノ粒子を得る事が望まれていた。
J.E. O'Connell and C.G. de Kruif, Physicochem. Eng. Aspects, 216, 75-81(2003) 米国特許第2800457号明細書 特開平5−292899号公報 特開平9−248137号公報 特表平6-25297号公報 特表平5-146258号公報 特表2004-521650号公報 特開2006−115751号公報
本発明は、タンパク質の純度に関わらず、また特別な精製工程を経ずに製造することができるカゼインナノ粒子を提供することを解決すべき課題とした。さらに本発明は。生理活性物質を内包又は吸着している該カゼインナノ粒子、およびそれを含む分散物を提供することを解決すべき課題とした。
本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、少なくとも一種のカゼインを含む複数種のタンパク質からなるカゼインナノ粒子を製造できることを実証し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明によれば、少なくとも一種のカゼインを含む複数種のタンパク質からなるカゼインナノ粒子が提供される。
好ましくは、本発明のカゼインナノ粒子は、複数種のタンパク質として、少なくとも一種のカゼインと、少なくとも一種のゼラチンとを少なくとも含む。
好ましくは、本発明のカゼインナノ粒子は、少なくとも一種のカゼインとして、α-、β-、及びκ-カゼインから選ばれる2種もしくは3種のカゼインを含む。
好ましくは、本発明のカゼインナノ粒子は、α-、β-、及びκ-カゼインから選ばれる2種もしくは3種のカゼインと、少なくとも一種のゼラチンとを少なくとも含む。
好ましくは、本発明のカゼインナノ粒子は、α-、β-、及びκ-カゼインの3種のカゼインを含む。
好ましくは、α-、β-、及びκ-カゼインの重量比率は、40〜60:30〜50:5〜20である。
好ましくは、本発明のカゼインナノ粒子は、生理活性物質をさらに含む。
好ましくは、本発明のカゼインナノ粒子は、10nm以上100nm未満の粒径を有する。
好ましくは、本発明のカゼインナノ粒子は、下記の工程(a)から(c)によって作製されるカゼインナノ粒子を含む。
(a)少なくとも一種のカゼインを含む複数種のタンパク質をpH8以上11未満の塩基性水性媒体に混合させる工程;
(b)工程(a)で得た溶液に少なくとも1種の生理活性物質を添加する工程;及び
(c)工程(b)で得た溶液を pH3.5〜7.5の酸性水性媒体に注入する工程:
好ましくは、本発明のカゼインナノ粒子は、下記の工程(a)から(c)によって作製されるカゼインナノ粒子を含む。
(a)少なくとも一種のカゼインを含む複数種のタンパク質をpH8以上11未満の塩基性水性媒体に混合させる工程;
(b)工程(a)で得た溶液に少なくとも1種の生理活性物質を添加する工程;及び
(c)工程(b)で得た溶液を攪拌しながら、該溶液のpH を等電点からpH1以上離れたpHまで下降させる工程:
本発明の別の側面によれば、上記した本発明のカゼインナノ粒子を分散媒中に含む分散物が提供される。
本発明のカゼインナノ粒子は、タンパクの純度に関わらず、また特別な工程を経ずに製造することができる。更に、本発明のカゼインナノ粒子は、生理活性物質を内包、吸着が可能である。
以下、本発明の実施の形態についてさらに具体的に説明する。
本発明のカゼインナノ粒子は、少なくとも一種のカゼインを含む複数種のタンパク質からなるカゼインナノ粒子である。本発明に使用されるカゼインは、植物由来でも、動物由来でも、有機合成生成物でも、遺伝子組み換えにより生産されうる原料でも構わない。動物由来の例としては、牛、ヤギ、水牛、豚、馬、ヒツジ、ヒト等、哺乳類が挙げられる。また、有機合成、遺伝子組み換えにてカゼインを生成したものでも、カゼインのタンパク質構造を有するものであれば特に限定されず、それらを混合しても、単独で使用しても構わない。
本発明に使用されるカゼインは、αカゼイン、βカゼイン、κカゼインのうち少なくとも2種以上からなり、混合している場合は、αカゼインを30%以上、より好ましくはαカゼインを40%以上。βカゼインを15%以上、より好ましくはβカゼインを20%以上、κカゼインを3%以上、より好ましくはκカゼインを5%以上含んでいることが好ましい。
より好ましくは、α-、β-、及びκ-カゼインの重量比率は、40〜60:30〜50:5〜20である。
αカゼインは、α(S1)カゼイン、α(S2)カゼインから構成されていても、それぞれ単品でも構わない。
また、本発明のナノ粒子には、カゼイン以外のタンパク質を添加してもよい。カゼイン以外のタンパク質の種類は、カゼインの構造が保持される限り特に限定されない。カゼインに混合するタンパク質の例としては、コラーゲン、ゼラチン、酸処理ゼラチン、アルブミン、オバルブミン、オバルブミン、カゼイン、トランスフェリン、グロブリン、フィブロイン、フィブリン、ラミニン、フィブロネクチン、又はビトロネクチンからなる群より選ばれるタンパク質であるが、好ましくはゼラチンである。
本発明のカゼインナノ粒子を構成するタンパク質は、架橋していても、架橋していなくとも構わない。架橋する場合、化学的架橋、物理的架橋、生物学的架橋のどれを用いても構わない。架橋剤を用いる場合は、カゼインに対して、0.1〜100質量%添加することが好ましいが、ナノ粒子を構成する量であれば添加量は限定されない。
化学架橋させる場合は、架橋剤としては、無機または有機の架橋剤を用いることができる。無機または有機の架橋剤の具体例としては、クロム塩(クロム明ばん、酢酸クロムなど);カルシウム塩(塩化カルシウム、水酸化カルシウムなど);アルミニウム塩(塩化アルミニウム、水酸化アルミニウムなど);カルボジイミド類(EDC,WSC、N-ヒドロキシ-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボキシイミド(HONB)、N-ヒドロキシコハク酸イミド(HOSu)、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)など);N−ヒドロキシスクシイミド;オキシ塩化リン、ビニルスルホンなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。上記した架橋剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて用いることもできる。架橋剤を使用する場合、タンパク質の重量に対して、好ましくは0.1〜100重量%の架橋剤を添加して架橋処理を行うことができる。
また、反応性基を導入したタンパク質を用いてもよい。反応性基として例えば、光反応性基(例えば、シンナミル基)、ラジカル発生基(例えば、ジチオカルバミル基、カンファキノン基)、ビニル基(例えば、スチレン基)が挙げられる。さらに、反応性基と反応する化合物と混合して使用することもできる。
物理的に架橋させる場合は、光反応性基を有するモノマー用いUV照射する方法、パルス照射により局所的にラジカルを発生させ架橋する方法、加熱により架橋させる方法などを用いても構わない。
酵素としては、タンパク質の架橋作用を有するものであれば特に限定されないが、好ましくはトランスグルタミナーゼを用いることができる。トランスグルタミナーゼは、哺乳類由来のものであっても、微生物由来のものであってもよく、具体的には、味の素(株)製アクティバシリーズ、試薬として発売されている哺乳類由来のトランスグルタミナーゼ、例えば、オリエンタル酵母工業(株)製、Upstate USA Inc.製、Biodesign International製などのモルモット肝臓由来トランスグルタミナーゼ、ヤギ由来トランスグルタミナーゼ、ウサギ由来トランスグルタミナーゼなどが挙げられる。
本発明で言うナノ粒子とは、体積平均粒径は、通常は1〜1000nmであり、好ましくは10〜1000nmであり、より好ましくは10〜200nmであり、さらに好ましくは10〜100nmであり、特に好ましくは20〜50nmである。なお、本発明で言う体積平均粒径は、例えば、Sysmex社製「Zetasizer Nano」を用いて測定して求めることができる。
本発明のカゼインナノ粒子には、脂質(リン脂質など)、アニオン性多糖、カチオン性多糖、アニオン性タンパク質、カチオンタンパク質、又はシクロデキストリンから選択される1種以上の成分を添加することもできる。脂質(リン脂質など)、アニオン性多糖、カチオン性多糖、アニオン性タンパク質、カチオンタンパク質、及びシクロデキストリンの添加量は特に限定されないが、一般的にはタンパク質の重量に対して0.1〜100重量%の量で添加することができる。本発明のカゼインナノ粒子及び分散物においては、上記成分とタンパク質の比を変えることよって、徐放速度を調整することができる。
本発明のカゼインナノ粒子に用いることができるリン脂質として具体例を列挙するが、本発明においてはこれらの化合物に限定されるものではない。ホスファチジルコリン(レシチン)、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、ジホスファチジルグリセロール、スフィンゴミエリンなどが挙げられる。
本発明のカゼインナノ粒子に用いることができるアニオン性多糖とはカルボキシル基、硫酸基又はリン酸基等の酸性極性基を有する多糖類である。以下に具体例を列挙するが、本発明においてはこれらの化合物に限定されるものではない。コンドロイチン硫酸、デキストラン硫酸、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルデキストラン、アルギン酸、ペクチン、カラギーナン、フコイダン、アガロペクチン、ポルフィラン、カラヤガム、ジェランガム、キサンタンガム、ヒアルロン酸類等が挙げられる。
本発明のカゼインナノ粒子に用いることができるカチオン性多糖とは、アミノ基等の塩基性極性基を有する多糖類である。以下に具体例を列挙するが、本発明においてはこれらの化合物に限定されるものではない。キチン、キトサンなどのグルコサミンやガラクトサミンを構成単糖として含むものなどが挙げられる。
本発明のカゼインナノ粒子に用いることができるアニオン性タンパク質とは等電点が生理的pHよりも塩基性側にあるタンパク質およびリポタンパク質である。具体例を列挙するが、本発明においてはこれらの化合物に限定されるものではない。ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、リゾチーム、チトクロムC、リボヌクレアーゼ、トリプシノーゲン、キモトリプシノーゲン、α−キモトリプシンなどが挙げられる。
本発明のカゼインナノ粒子に用いられるカチオンタンパク質とは等電点が生理的pHよりも酸性側にあるタンパク質およびリポタンパク質である。具体例を列挙するが、本発明においてはこれらの化合物に限定されるものではない。ポリリジン、ポリアルギニン、ヒストン、プロタミン、オバルブミンなどが挙げられる。
本発明においては、下記の工程(a)から(c)によって作製される、生理活性物質を内包した平均粒経10nm以上100nm未満のカゼインナノ粒子を用いることができる。
(a)少なくとも一種のカゼインを含む複数種のタンパク質をpH8以上11未満の塩基性水性媒体に混合させる工程;
(b)工程(a)で得た溶液に少なくとも1種の生理活性物質を添加する工程;及び
(c)工程(b)で得た溶液を pH3.5〜7.5の酸性水性媒体に注入する工程:
さらに本発明においては、下記の工程(a)から(c)によって作製される、生理活性物質を内包した平均粒経10nm以上100nm未満のカゼインナノ粒子を用いることができる
(a)少なくとも一種のカゼインを含む複数種のタンパク質をpH8以上11未満の塩基性水性媒体に混合させる工程;
(b)工程(a)で得た溶液に少なくとも1種の生理活性物質を添加する工程;及び
(c)工程(b)で得た溶液を攪拌しながら、該溶液のpH を等電点からpH1以上離れたpHまで下降させる工程:
本発明においては、所望のサイズのカゼインナノ粒子を作製できる。また、疎水性成分とカゼイン疎水性部分の相互作用を利用して、カゼインナノ粒子内に有効成分を内包できる。さらに、これらの粒子は水溶液中で安定に存在することが見出された。
また、カゼインとイオン性多糖または別種のイオン性タンパク質との混合粒子により、イオン性活性成分を内包することも見出された。
本発明の分散物の作製方法は、少なくとも一種のカゼインを含む複数種のタンパク質を塩基性水性媒体液に混合し、塩基性水性媒体中に注入する方法と、少なくとも一種のカゼインを含む複数種のタンパク質を塩基性水性媒体液に混合し、攪拌しながら、pHを下降させる方法が挙げられる。
カゼインを含むタンパク質を塩基性水性媒体液に混合し、塩基性水性媒体中に注入する方法としては、シリンジによるのが簡便で好ましいが、注入速度、溶解性、温度、撹拌状態を満足する方法であれば特に限定しない。一般的には、注入速度は、1mL/minから100mL/minで注入することができる。塩基性水性媒体の温度は、適宜設定することができるが、標準的には、0℃から80℃にすることができ、好ましくは、25℃から70℃にすることができる。水性媒体の温度は、適宜設定することができるが、標準的には、0℃から80℃にすることができ、好ましくは、25℃から60℃ですることができる。攪拌速度は、適宜設定することができるが、標準的には、100rpmから3000rpmにすることができ、好ましくは、200rpmから2000rpmである。
カゼインを含むタンパク質を塩基性水性媒体液に混合し、攪拌しながら、pHを下降させる方法としては、酸を滴下するのが簡便で好ましいが、溶解性、温度、撹拌状態を満足する方法であれば特に限定しない。塩基性水性媒体の温度は、適宜設定することができるが、標準的には、0℃から80℃にすることができ、好ましくは、25℃から70℃にすることができる。攪拌速度は、適宜設定することができるが、標準的には、100rpmから3000rpmにすることができ、好ましくは、200rpmから2000rpmである。
本発明に用いる水性媒体は、有機酸または塩基、無機酸または無機塩基の水溶液、又は緩衝液を用いることができる。
具体的には、クエン酸、アスコルビン酸、グルコン酸、カルボン酸、酒石酸、コハク酸、酢酸またはフタル酸、トリフルオロ酢酸、モルホリノエタンスルホン酸、2-〔4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジニル〕エタンスルホン酸のような有機酸;トリス(ヒドロキシメチル)、アミノメタン、アンモニアのような有機塩基;塩酸、過塩素酸、炭酸のような無機酸;燐酸ナトリウム、燐酸カリウム、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウムのような無機塩基を用いた水溶液が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明に用いる水性媒体の濃度は、約10mMから約1Mが好ましい。より好ましくは、約20mMから約200mMである。
本発明に用いる塩基性水性媒体のpHは、8以上が好ましく、8から12が好ましい。より好ましくはpH10〜12である。pHが高すぎると加水分解の懸念や取り扱い上の危険性があるため、上述の範囲が好ましい。
本発明において、カゼインを含むタンパク質をpH8以上の塩基性水性媒体に混合させる温度は、0〜80℃が好ましく、10〜60℃が好ましい。より好ましくは、20〜40℃である。
本発明に用いる酸性水性媒体のpHは、好ましいpHは3.5〜7.5である。より好ましくはpHは5から6である。前述の範囲外では、粒子サイズが大きくなる傾向が見られる。
本発明においては、生理活性成分とカゼイン疎水性部分の相互作用を利用して、カゼインナノ粒子内に生理活性成分を内包できる。さらに、これらの粒子は水溶液中で安定に存在することが見出された。生理活性成分としては、水難溶性の脂溶性化合物が好ましく、好ましくはClogPが0より大きく、より好ましくはClogPが1以上である。
本発明のカゼインナノ粒子に含有する生理活性成分は、特に限定されないが、例えば、化粧品用成分又は医薬品成分から選ぶことができる。化粧品用成分としては、例えば、保湿剤、美白剤、育毛剤、養毛剤、発毛剤、抗白髪剤、アンチエイジング剤、抗酸化剤、コラーゲン合成促進剤、抗しわ剤、抗にきび剤、ビタミン剤、紫外線吸収剤、香料、色素剤、制汗剤、冷感剤、温感剤、メラニン生成抑制剤、メラノサイト活性化剤、クレンジング剤、痩身剤などを挙げることができる。また、医薬品成分としては、育毛剤、養毛剤、発毛剤、抗生剤、制癌剤、抗炎症剤、抗アレルギー剤、ホルモン剤、抗血栓剤、免疫抑制剤、皮膚疾患治療薬、抗真菌薬、核酸医薬、麻酔薬、解熱剤、鎮痛剤、鎮痒剤、抗浮腫剤、鎮咳裾痰剤、抗てんかん剤、抗パーキンソン剤、催眠鎮静剤、抗不安剤、興奮剤、精神神経用剤、筋弛緩剤、抗鬱剤、総合感冒薬剤、自律神経系剤、鎮けい剤、発汗剤、止汗剤、強心剤、不整脈用剤、抗不整脈剤、血管収縮剤、血管拡張剤、抗不整脈剤、血圧降下剤、糖尿治療剤、高脂血漿剤、呼吸促進剤、鎮咳剤、ビタミン剤、寄生性皮膚疾患用剤、恒常性剤、ポリペプチド、ホルモン、不全角化抑制剤、ワクチン、又は皮膚軟化剤などを挙げることができる。上記した活性成分は、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
本発明において生理活性成分は、タンパク質ナノ粒子の形成時に添加してもよいし、ナノ粒子の作成後に添加してもよい。
本発明のカゼインナノ粒子は、タンパク質の重量に対して、0.1〜100重量%の生理活性物質を含有することが好ましく、タンパク質の重量に対して、0.1〜50重量%の生理活性物質を含有することがさらに好ましい。
本発明の分散物はさらに、添加物を含むことができる。添加物としては特に限定することはないが、保湿剤、柔軟剤、経皮吸収促進剤、無痛化剤、防腐剤、酸化防止剤、色素剤、増粘剤、香料、又はpH調整剤から選択される1種以上のものを使用することができる。
本発明で用いることができる保湿剤として具体例を列挙するが、本発明においてはこれらの化合物に限定されるものではない。カンテン、ジグリセリン、ジステアリルジモニウムヘクトライト、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、へキシレングリコール、ヨクイニンエキス、ワセリン、尿素、ヒアルロン酸、セラミド、リピジュア、イソフラボン、アミノ酸、コラーゲン、ムコ多糖、フコダイン、ラクトフェリン、ソルビトール、キチン・キトサン、リンゴ酸、グルクロン酸、プラセンタエキス、海藻エキス、ボタンピエキス、アマチャエキス、オトギリソウエキス、コレウスエキス、マサキ抽出物、コウカエキス、マイカイ花エキス、チョレイエキス、サンザシエキス、ローズマリーエキス、デュークエキス、カミツレエキス、オドリコソウエキス、レイシエキス、セイヨウノコギリソウエキス、アロエエキス、マロニエエキス、アスナロエキズ、ヒバマタエキス、オスモインエキス、オーツ麦エキス、チューベロースポリサッカライド、冬虫夏草エキス、大麦エキス、オレンジ抽出物、ジオウエキス、サンショウエキス、ヨクイニンエキスなどが挙げられる。
本発明で用いることができる柔軟剤として具体例を列挙するが、本発明においてはこれらの化合物に限定されるものではない。グリセリン、ミネラルオイル、エモリエント成分(例えば、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸ポリグリセリル、イソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸オクチル、オレイン酸、オレイン酸グリセリル、カカオ脂、コレステロール、混合脂肪酸トリグリセリド、コハク酸ジオクチル、酢酸ステアリン酸スクロース、シクロペンタシロキサン、ジステアリン酸スクロース、パルミチン酸オクチル、ヒドロキシステアリン酸オクチル、ベヘン酸アラキル、ポリベヘン酸スクロース、ポリメチルシルセスキオキサン、ミリスチルアルコール、ミリスチン酸セチル、ミリスチン酸ミリスチル、ラウリン酸ヘキシルなど)が挙げられる。
本発明で用いることができる経皮吸収促進剤として具体例を列挙するが、本発明においてはこれらの化合物に限定されるものではない。エタノール、ミリスチン酸イソプロピル、クエン酸、スクワラン、オレイン酸、メントール、N-メチル-2-ピロリドン、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸イソプロピル、オレイン酸オクチルドデシル、イソステアリルアルコール、2-オクチルドデカノール、尿素、植物油、動物油が挙げられる。
本発明で用いることができる無痛化剤として具体例を列挙するが、本発明においてはこれらの化合物に限定されるものではない。ベンジルアルコール、塩酸プロカイン、塩酸キシロカイン、 クロロブタノールなどが挙げられる。
本発明で用いることができる防腐剤として具体例を列挙するが、本発明においてはこれらの化合物に限定されるものではない。安息香酸、安息香酸ナトリウム、パラベン、エチルパラベン、メチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、ソルビン酸カリウム、ソルビン酸ナトリウム、ソルビン酸、デヒドロ酢酸ナトリウム、過酸化水素、ギ酸、ギ酸エチル、ジ亜塩素酸ナトリウム、プロピオン酸、プロピオン酸ナトリウム、プロピオン酸カルシウム、ペクチン分解物、ポリリジン、フェノール、イソプロピルメチルフェノール、オルトフェニルフェノール、フェノキシエタノール、レゾルシン、チモール、チラム、ティートリー油が挙げられる。
本発明で用いることができる酸化防止剤として具体例を列挙するが、本発明においてはこれらの化合物に限定されるものではない。ビタミンA、レチノイン酸、レチノール、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール、レチニルアセテート、レチニルパルミテート、レチノイン酸トコフェリル、ビタミンCおよびその誘導体、カイネチン、β−カロテン、アスタキサンチン、ルテイン、リコピン、トレチノイン、ビタミンE、α−リポ酸、コエンザイムQ10、ポリフェノール、SOD、フィチン酸などが挙げられる。
本発明で用いることができる色素剤として具体例を列挙するが、本発明においてはこれらの化合物に限定されるものではない。オキアミ色素、オレンジ色素、カカオ色素、カオリン、カルミン類、グンジョウ、コチニール色素、酸化クロム、酸化鉄、二酸化チタン、タール色素、クロロフィルなどが挙げられる。
本発明で用いることができる増粘剤として具体例を列挙するが、本発明においてはこれらの化合物に限定されるものではない。クインスシード、カラギーナン、アラビアガム、カラヤガム、キサンタンガム、ジェランガム、タマリンドガム、ローカストビーンガム、トラガントガム、ペクチン、デンプン、シクロデキストリン、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウムなどが挙げられる。
本発明で用いることができる香料として具体例を列挙するが、本発明においてはこれらの化合物に限定されるものではない。ジャコウ、アカシア油、アニス油、イランイラン油、シナモン油、ジャスミン油、スウィートオレンジ油、スペアミント油、ゼラニウム油、タイム油、ネロリ油、ハッカ油、ヒノキ油、フェンネル油、ペパーミント油、ベルガモット油、ライム油、ラベンダー油、レモン油、レモングラス油、ローズ油、ローズウッド油、アニスアルデヒド、ゲラニオール、シトラール、シベトン、ムスコン、リモネン、バニリンなどが挙げられる。
本発明で用いることができるpH調整剤として具体例を列挙するが、本発明においてはこれらの化合物に限定されるものではない。クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸、コハク酸が挙げられる。
本発明の分散物の剤型は特に限定されないが、例えば、外用液剤、湿布剤、塗布剤、清拭剤、浴剤、消毒剤、軟膏剤、ゲル剤、クリーム剤、泥膏剤、パップ剤、硬膏剤、創面被覆剤、創面被覆剤-ガーゼ型、止血剤、接着剤、粘着テープ剤、経皮吸収型粘着テープ、創傷保護剤、エアゾール剤、ローション剤、トニック剤、リニメント剤、乳剤、懸濁剤、飽和剤、チンキ剤、粉剤、泡剤、化粧水、マッサージクリーム、栄養クリーム、パック、シート状外用剤、メーキャップ化粧料、皮膚着色用外用剤、皮膚粘着タイプの化粧料、シャンプー、リンス、パーマネントウエーブ用組成物、染毛剤、ボディーソープ、石鹸、浴用剤、サンケア(サンスクリーン、サンオイル、アフターサンローション)、フレグランスなどを挙げることができる。
本発明の分散物は、含有する成分により、単一もしくは複数の効果を有する分散物、分散物製剤または経皮吸収剤として使用できる。
以下の実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1:
カゼインNa(乳由来・和光純薬製)30mgをpH9、50mMリン酸バッファー1mLに混合させた。グリチルレチン酸(和光純薬製)1.7mgをエタノール0.25mLに溶解させる。カゼイン溶液に攪拌下、グリチルレチン酸溶液を滴下し、この混合液を、外設40℃、800rpmの攪拌条件で、1mLをマイクロシリンジを用いて、pH5、200mMのリン酸バッファー水2mL中に注入したところ、グリチルレチン酸を内包したカゼインナノ粒子の水分散液が得られた。上記粒子の体積平均粒経は、Sysmex社製「Zetasizer Nano」を用いて測定したところ、18nmであった。
実施例2:
カゼインNa(乳由来・和光純薬製)30mgをpH9、50mMリン酸バッファー1mLに混合させる。酢酸トコフェロール(和光純薬製)7.5mgをエタノール0.02mLに溶解させる。カゼイン溶液に攪拌下、酢酸トコフェロール溶液を滴下し、この混合液を、外設65℃、800rpmの攪拌条件で、1mLをマイクロシリンジを用いて、pH5、200mMのリン酸バッファー水2mL中に注入したところ、酢酸トコフェロールを内包したカゼインナノ粒子の水分散液が得られた。上記粒子の体積平均粒径は、Sysmex社製「Zetasizer Nano」を用いて測定したところ、19nmであった。
実施例3:
カゼインNa(乳由来・和光純薬製)50mg/mlになるように実施例1同様の方法で調整した。上記粒子の体積平均粒径は、Sysmex社製「Zetasizer Nano」を用いて測定したところ、24nmであった。
実施例4:
カゼインNa(乳由来・和光純薬製)10 mg/mlになるように実施例1同様の方法で調整した。上記粒子の体積平均粒径は、Sysmex社製「Zetasizer Nano」を用いて測定したところ、20nmであった。
実施例5:
カゼインNa(乳由来・和光純薬製)7.5 mg/mlになるように実施例1同様の方法で調整した。上記粒子の体積平均粒径は、Sysmex社製「Zetasizer Nano」を用いて測定したところ、23nmであった。
実施例6:
カゼインNa(乳由来・和光純薬製)7.5 mg/mlになるように実施例2同様の方法で調整した。上記粒子の体積平均粒径は、Sysmex社製「Zetasizer Nano」を用いて測定したところ、21nmであった。
実施例1〜6で用いたカゼイン比率はαカゼイン:βカゼイン:κカゼイン=55:33:12であった。
Figure 2009040722
実施例7:
30mg/mlのカゼインNa (αカゼイン:βカゼイン:κカゼイン=49:38:13) となるように、実施例2同様の方法で50mM リン酸バッファー、pH9で調製し、酢酸トコフェロール(和光純薬製)7.5mgをエタノール0.02mLに溶解させる。カゼイン溶液に攪拌下、酢酸トコフェロール溶液を滴下し、37℃で24時間温置した。得られたカゼイン粒子径をSysmex社製「Zetasizer Nano」にて測定し、体積平均粒径を求めたところ、21nmであった。
実施例8:
5mg/mlのカゼインNa(乳由来 αカゼイン:βカゼイン:κカゼイン=52:38:10)となるように、50mM リン酸バッファー、pH9で調製し、酢酸トコフェロール(和光純薬製)7.5mgをエタノール0.02mLに溶解させる。カゼイン溶液に攪拌下、酢酸トコフェロール溶液を滴下し、37℃で24時間温置した。得られたカゼイン粒子径をSysmex社製「Zetasizer Nano」にて測定し、体積平均粒径を求めたところ、35nmであった。
実施例9:
15mg/mlのカゼインNa(乳由来・和光純薬製 αカゼイン:βカゼイン:κカゼイン=52:38:10)となるように、50mM リン酸バッファー、pH9で調製し、37℃で24時間温置した。得られたカゼイン粒子径をSysmex社製「Zetasizer Nano」にて測定し、体積平均粒径を求めたところ、21nmであった。
実施例10:
実施例9で作成した分散物にアスコルビン酸を5mg/mlとなるように添加した抗酸化経皮吸収剤を作成した。Sysmex社製「Zetasizer Nano」にて測定し、体積平均粒径を求めたところ、23nmであった
実施例11:
実施例9で作成した分散物にヒノキチオールを1.5mg/mlとなるように添加した育毛剤を作成した。Sysmex社製「Zetasizer Nano」にて測定し、体積平均粒径を求めたところ、25nmであった
実施例12:
実施例9で作成した分散物にアルブチンを0.1mg/mlとなるように添加した美白剤を作成した。Sysmex社製「Zetasizer Nano」にて測定し、体積平均粒径を求めたところ、32nmであった
実施例13:
20mg/mlのカゼインNa(乳由来:和光純薬製)となるように、50mM リン酸バッファー、pH10で調製し、グリチルレチン酸(和光純薬製)1.1mgをエタノール0.02mLに溶解させる。カゼイン溶液に攪拌下、グリチルレチン酸溶液を滴下し、37℃で24時間温置した。得られたカゼイン粒子径をSysmex社製「Zetasizer Nano」にて測定し、体積平均粒径を求めたところ、17.7nmであった。
実施例14:
先ず、19.0mg/mlとなるように、カゼインNa(乳由来:和光純薬製)を、あらかじめ50mMpH10に調整したリン酸水素2ナトリウム水溶液に65℃で30分溶解し、その調整液にさらに、1.0mg/mlとなるように牛ゼラチン(新田ゼラチン製)を加え更に65℃で30分溶解する。その調整液に、グリチルレチン酸(和光純薬製)1.1mgをエタノール0.02mLに溶解させ、該タンパク質溶液に攪拌下、グリチルレチン酸溶液を滴下し、37℃で24時間温置した。
実施例15〜17:
また、タンパク質組成(混合タンパクとして新田ゼラチン製Gelを使用)となるように実施例ごとに調整した。得られた混合タンパク粒子径をSysmex社製「Zetasizer Nano」にて測定し、体積平均粒径を求めたところ、下表のような粒子を作成した。
Figure 2009040722
実施例18:
先ず、10.0mg/mlとなるように、カゼインNa(乳由来:和光純薬製)を、あらかじめ50mMpH10に調整したクエン酸3ナトリウム水溶液に65℃で30分溶解し、その調整液に、グリチルレチン酸(和光純薬製)1.1mgをエタノール0.02mLに溶解させ、該タンパク質溶液に攪拌下、グリチルレチン酸溶液を滴下し、37℃で24時間温置した。
実施例19〜21:
先ず、9.9mg/mlとなるように、カゼインNa(乳由来:和光純薬製)を、あらかじめ50mMpH10に調整したクエン酸3ナトリウム水溶液に65℃で30分溶解し、その調整液にさらに、0.1mg/mlとなるようにアルブミン(SIGMA製)を加え更に65℃で30分溶解する。その調整液に、グリチルレチン酸(和光純薬製)1.1mgをエタノール0.02mLに溶解させ、該タンパク質溶液に攪拌下、グリチルレチン酸溶液を滴下し、37℃で24時間温置した。
また、タンパク質組成(混合タンパクとしてアルブミン SIGMA製を使用)となるように実施例ごとに調整した。得られた混合タンパク粒子径をSysmex社製「Zetasizer Nano」にて測定し、体積平均粒径を求めたところ、下表のような粒子を作成した。
Figure 2009040722
実施例22〜25:
先ず、9.9mg/mlとなるように、カゼインNa(乳由来:和光純薬製)を、あらかじめ50mMpH10に調整したクエン酸3ナトリウム水溶液に65℃で30分溶解し、その調整液にさらに、0.1mg/mlとなるように魚由来コラーケ゛ン(チッソ株式会社製)を加え更に65℃で30分溶解する。その調整液に、グリチルレチン酸(和光純薬製)1.1mgをエタノール0.02mLに溶解させ、該タンパク質溶液に攪拌下、グリチルレチン酸溶液を滴下し、37℃で24時間温置した。
また、タンパク質組成(混合タンパクとして魚由来コラーケ゛ン チッソ株式会社製を使用)となるように実施例ごとに調整した。得られた混合タンパク粒子径をSysmex社製「Zetasizer Nano」にて測定し、体積平均粒径を求めたところ、下表のような粒子を作成した。
Figure 2009040722
以上より、混合タンパク質でも、ナノ粒子を形成する事がわかった。
また、それらサンプルを、4℃にて3ヶ月遮光保存し、混合タンパク粒子径をSysmex社製「Zetasizer Nano」にて測定し、体積平均粒径を求めたところ、下表のような安定粒子である事が確認できた。
Figure 2009040722

Claims (11)

  1. 少なくとも一種のカゼインを含む複数種のタンパク質からなるカゼインナノ粒子。
  2. 複数種のタンパク質として、少なくとも一種のカゼインと、少なくとも一種のゼラチンとを少なくとも含む、請求項1に記載のカゼインナノ粒子。
  3. 少なくとも一種のカゼインとして、α-、β-、及びκ-カゼインから選ばれる2種もしくは3種のカゼインを含む、請求項1又は2に記載のカゼインナノ粒子。
  4. α-、β-、及びκ-カゼインから選ばれる2種もしくは3種のカゼインと、少なくとも一種のゼラチンとを少なくとも含む、請求項1から3の何れかに記載のカゼインナノ粒子。
  5. α-、β-、及びκ-カゼインの3種のカゼインを含む、請求項3又は4に記載のカゼインナノ粒子。
  6. α-、β-、及びκ-カゼインの重量比率が、40〜60:30〜50:5〜20である、請求項5に記載のカゼインナノ粒子。
  7. 生理活性物質をさらに含む、請求項1から6の何れかに記載のカゼインナノ粒子。
  8. 10nm以上100nm未満の粒径を有する、請求項1から7の何れかに記載のカゼインナノ粒子。
  9. 下記の工程(a)から(c)によって作製されるカゼインナノ粒子を含む、請求項1から8の何れかに記載のカゼインナノ粒子。
    (a)少なくとも一種のカゼインを含む複数種のタンパク質をpH8以上11未満の塩基性水性媒体に混合させる工程;
    (b)工程(a)で得た溶液に少なくとも1種の生理活性物質を添加する工程;及び
    (c)工程(b)で得た溶液を pH3.5〜7.5の酸性水性媒体に注入する工程:
  10. 下記の工程(a)から(c)によって作製されるカゼインナノ粒子を含む、請求項1から8の何れかに記載のカゼインナノ粒子。
    (a)少なくとも一種のカゼインを含む複数種のタンパク質をpH8以上11未満の塩基性水性媒体に混合させる工程;
    (b)工程(a)で得た溶液に少なくとも1種の生理活性物質を添加する工程;及び
    (c)工程(b)で得た溶液を攪拌しながら、該溶液のpH を等電点からpH1以上離れたpHまで下降させる工程:
  11. 請求項1から10のいずれか一項に記載のカゼインナノ粒子を分散媒中に含む分散物。
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