JP2009038175A - 窒化物半導体トランジスタとその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】電流コラプスの発生を抑制するとともに、ノーマリーオフ型の窒化物半導体トランジスタを実現する。
【解決手段】半導体トランジスタは、基板501、バッファ層502、第1窒化物半導体層503、第2窒化物半導体層504、p型窒化物半導体層506、ソース電極508、ドレイン電極509およびゲート電極510を備えている。第2窒化物半導体層504のうちp型窒化物半導体層506の下に位置する部分には、p型ドーパントを含むドーパント層511が形成されている。
【選択図】図5
【解決手段】半導体トランジスタは、基板501、バッファ層502、第1窒化物半導体層503、第2窒化物半導体層504、p型窒化物半導体層506、ソース電極508、ドレイン電極509およびゲート電極510を備えている。第2窒化物半導体層504のうちp型窒化物半導体層506の下に位置する部分には、p型ドーパントを含むドーパント層511が形成されている。
【選択図】図5
Description
本発明は、窒化物半導体トランジスタとその製造方法とに関し、例えば汎用インバータ等の民生機器の電源回路として使用可能なパワートランジスタに適用できる窒化物半導体トランジスタとその製造方法とに関する。
近年、高周波且つ大電力デバイスとして、窒化ガリウム(GaN)などの窒化物系化合物半導体を用いた電界効果トランジスタ(FET:field-effect transistor)の研究が活発に行われている。GaNなどの窒化物系化合物半導体は、窒化アルミニウム(AlN)または窒化インジウム(InN)と様々な混晶を作ることができるので、従来のガリウム砒素(GaAs)などの砒素系半導体と同様に他の窒化物系化合物半導体とヘテロ接合を作ることができる。
このようなヘテロ接合では、自発分極あるいはピエゾ分極に起因して、キャリアをドーピングさせなくてもヘテロ界面に高濃度のキャリアが発生する。この結果、窒化物系化合物半導体を用いてFETを作製した場合には、デプレッション型(ノーマリーオン型)になり易く、エンハンスメント型(ノーマリーオフ型)の特性を得ることは難しい。しかしながら、現在パワーエレクトロニクス市場で使用されているデバイスの殆どがノーマリーオフ型である。よって、窒化物系化合物半導体層を備えたFETについても、ノーマリーオフ型が強く求められている。
ノーマリーオフ型の窒化物半導体トランジスタを実現させる方法として、ゲート部を掘り込むことによって閾値電圧をプラスにシフトさせる方法(例えば、非特許文献1を参照)、または、GaN(11−20)面という所謂無極性面上にFETを作製して窒化物半導体の結晶が成長する方向に分極電界を生じないようにする方法(例えば、非特許文献2を参照)などがある。また、ノーマリーオフ型FETを実現する有望な構造として、ゲート部にp型AlGaN層を形成したゲート注入型トランジスタ(GIT:Gate Injection Transistor)が提案されている(例えば、非特許文献3を参照)。このGIT構造では、アンドープGaN層(チャネル層)の上にAlGaN層(バリア層)が形成されており、そのAlGaN層の上にp型AlGaN層が形成されている。このp型AlGaN層を薄くする、または、このp型AlGaN層におけるAl組成比を低くすることにより、ノーマリーオフ化を実現することができる。
T. Kawasaki et al., Solid State Devices and Materials 2005 tech. digest pp206. M. Kuroda et al., Solid State Devices and Materials 2005 tech. digest pp470. Y. Uemoto et al., International Electron Devices Meeting 2006 tech. digest S35p2
T. Kawasaki et al., Solid State Devices and Materials 2005 tech. digest pp206. M. Kuroda et al., Solid State Devices and Materials 2005 tech. digest pp470. Y. Uemoto et al., International Electron Devices Meeting 2006 tech. digest S35p2
このように窒化物半導体トランジスタのノーマリーオフ化を実現させるために、様々なデバイス構造が提案または試作されている。
ところで、ノーマリーオフ型の窒化物半導体トランジスタを作製すると、高電圧を印加した後にドレイン電流が減少する、いわゆる電流コラプス現象が発生していまう。そのため、ノーマリーオフ型の窒化物半導体トランジスタ実用化させるためには、電流コラプス現象の発生を解決することが大きな課題である。
しかしながら、ノーマリーオフ型の窒化物半導体トランジスタにおいて電流コラプス現象の抑制を検討した例は少ない。そのため、ノーマリーオフ型の窒化物半導体トランジスタを例えばスイッチングトランジスタとして用いる場合には、窒化物半導体トランジスタをオフからオンに切り替えた時の抵抗(オン抵抗)を十分小さくすることは難しく、窒化物半導体トランジスタにおける損失の低減には限界があった。
本発明は上記の課題に鑑み、電流コラプスを抑制するとともに、パワートランジスタに適用可能なノーマリーオフ型の窒化物半導体トランジスタ及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の窒化物半導体トランジスタは、基板と、第1窒化物系化合物半導体層と、第2窒化物系化合物半導体層と、第3窒化物系化合物半導体層と、ゲート電極と、ソース電極と、ドレイン電極とを備えている。第1窒化物系化合物半導体層は、基板の上に設けられている。第2窒化物系化合物半導体層は、第1窒化物系化合物半導体層の上に設けられ、第1窒化物系化合物半導体層とヘテロ接合する。第3窒化物系化合物半導体層は、第2窒化物系化合物半導体層の上面の一部分に設けられている。ゲート電極は、p型窒化物系化合物半導体層の上に設けられている。ソース電極およびドレイン電極は、第2窒化物系化合物半導体層の上面のうち第3窒化物系化合物半導体層が設けられた部分以外の部分に、p型窒化物系化合物半導体層を挟むように設けられている。そして、第2窒化物系化合物半導体層内のうち第3窒化物系化合物半導体層の下に位置する部分には、p型ドーパントを含むドーパント層が存在している。
この構成によれば、第2窒化物系化合物半導体層の膜厚は、ゲート電極の下に位置する部分の方がゲート電極が設けられていない部分よりも薄くなる。これにより、ゲート電極が設けられていない部分における閾値電圧Vth2を小さくすることができ、ゲート電極の下に位置する部分における閾値電圧Vth1との差ΔVth(=Vth1−Vth2)を大きくすることができる。よって、表面準位の影響を低減することができ、電流コラプス現象の発生を抑制できる。
本発明の窒化物半導体トランジスタでは、p型ドーパントはドーパント層内で拡散しており、ドーパント層は第2窒化物系化合物半導体層内にのみ存在していることが好ましい。
一般に、第1窒化物系化合物半導体層と第2窒化物系化合物半導体層とのヘテロ接合により構成されるチャネル構造にp型ドーパントが存在すると、空乏層がチャネル構造に常に塞いでしまう虞があり、ノーマリーオフ型を実現することが難しい。しかし、上記のような構成では、p型ドーパントがチャネル構造に存在することを抑制できる。よって、空乏層がチャネル構造を常時塞ぐことを抑制でき、トランジスタの正常な動作を保てると同時にドレイン電極とソース電極との間に流れる電流の減少を抑えることができる。
本発明の窒化物半導体トランジスタでは、第2窒化物系化合物半導体層内、または、第1窒化物系化合物半導体層と第2窒化物系化合物半導体層との間に、p型ドーパントの拡散をストップさせるための拡散ストップ層が設けられていることが好ましい。
これにより、p型ドーパントがチャネル構造で拡散することを抑制できる。
本発明の窒化物半導体トランジスタでは、拡散ストップ層はAlを含んでおり、拡散ストップ層内におけるAlの濃度は第2窒化物系化合物半導体層内におけるAlの濃度よりも高いことが好ましい。
一般に、窒化物系化合物半導体層におけるAl組成比が高ければ高いほど、p型ドーパントは拡散しにくい。よって、上記構成とすることにより、有効な拡散ストップ層を形成することができる。
本発明の窒化物半導体トランジスタでは、第2窒化物系化合物半導体層とp型窒化物系化合物半導体層との境界において、第2窒化物系化合物半導体層における窒化物系化合物半導体の組成とp型窒化物系化合物半導体層における窒化物系化合物半導体の組成とが同一であることが好ましい。
p型ドーパントをp型窒化物系化合物半導体層から第2窒化物系化合物半導体層へ拡散させることによりドーパント層を形成する場合には、p型ドーパントはp型窒化物系化合物半導体層から第2窒化物系化合物半導体層へ拡散しやすくなる。
本発明の窒化物半導体トランジスタでは、第2窒化物系化合物半導体層はAlを含んでおり、第2窒化物系化合物半導体層におけるAlの濃度は第1窒化物系化合物半導体層におけるAlの濃度よりも高いことが好ましい。
本発明の窒化物半導体トランジスタでは、ドーパント層の少なくとも一部分がp型化していてもよい。
本発明の窒化物半導体トランジスタでは、第1窒化物系化合物半導体層はGaN層であり、第2窒化物系化合物半導体層はAlzGa1−zN(0<z≦1)層であってもよい。
本発明の窒化物半導体トランジスタの製造方法は、
基板の上に第1窒化物系化合物半導体層を形成し、第1窒化物系化合物半導体層の上に第1窒化物系化合物半導体層よりもバンドギャップエネルギーが大きい第2窒化物系化合物半導体層を形成し、第2窒化物系化合物半導体層の上面の一部分に第3窒化物系化合物半導体層を形成して積層体を形成する工程(a)と、
第2窒化物系化合物半導体層内のうち前記第3窒化物系化合物半導体層の下に位置する部分においてp型ドーパントを拡散させる工程(b)と、
第3窒化物系化合物半導体層をp型窒化物系化合物半導体層とする工程(c)と、
p型窒化物系化合物半導体層の上にゲート電極を形成し、第2窒化物系化合物半導体層の上面のうちp型窒化物系化合物半導体層が形成されていない部分にp型窒化物系化合物半導体層を挟むようにソース電極およびドレイン電極を形成する工程(d)と
を備えている。
基板の上に第1窒化物系化合物半導体層を形成し、第1窒化物系化合物半導体層の上に第1窒化物系化合物半導体層よりもバンドギャップエネルギーが大きい第2窒化物系化合物半導体層を形成し、第2窒化物系化合物半導体層の上面の一部分に第3窒化物系化合物半導体層を形成して積層体を形成する工程(a)と、
第2窒化物系化合物半導体層内のうち前記第3窒化物系化合物半導体層の下に位置する部分においてp型ドーパントを拡散させる工程(b)と、
第3窒化物系化合物半導体層をp型窒化物系化合物半導体層とする工程(c)と、
p型窒化物系化合物半導体層の上にゲート電極を形成し、第2窒化物系化合物半導体層の上面のうちp型窒化物系化合物半導体層が形成されていない部分にp型窒化物系化合物半導体層を挟むようにソース電極およびドレイン電極を形成する工程(d)と
を備えている。
このような製造方法では、工程(b)において、第2窒化物系化合物半導体層内のうち第3窒化物系化合物半導体層の下に位置する部分において、ドーパント層を形成することができる。
本発明の窒化物半導体トランジスタの製造方法では、工程(b)では、加熱することによりp型ドーパントを拡散させてもよく、または、p型ドーパントをイオン注入することによりp型ドーパントを拡散させてもよい。
加熱することによりp型ドーパントを拡散させる場合、工程(a)では、第2窒化物系化合物半導体層の上面の一部分に、p型ドーパントを含む第3窒化物系化合物半導体層を形成することが好ましい。工程(b)では、工程(a)で形成された積層体を1000℃以上の温度で加熱して、第3窒化物系化合物半導体層に含まれているp型ドーパントを第3窒化物系化合物半導体層から第2窒化物系化合物半導体層へ拡散させることが好ましい。工程(c)では、第3窒化物系化合物半導体層が含むp型ドーパントを活性化させることが好ましい。この場合、工程(b)では第1の温度で加熱し、工程(c)では第1の温度よりも高い第2の温度で加熱し、工程(c)において第2の温度に保つ保持時間は工程(b)において第1の温度に保つ保持時間よりも短いことが好ましい。このようにすると、工程(b)においてp型窒化物系化合物半導体層から第2窒化物系化合物半導体層へp型ドーパントを拡散させることができ、工程(c)においてp型ドーパントを活性化させることができる。また、上述のように工程(c)での保持時間は工程(b)での保持時間よりも短いので、窒化物半導体が化学的に分解することを抑制できる。
また、加熱することによりp型ドーパントを拡散させる場合、工程(b)の前に、第3窒化物系化合物半導体層の表面を保護膜で覆い、工程(c)と工程(d)との間で、保護膜を除去することが好ましい。このようにすると、積層体を加熱したときに、p型ドーパントまたは窒素が第3窒化物系化合物半導体層から抜け出ることを抑制できる。さらに、p型ドーパントまたは窒素の抜けを防止できるので、第3窒化物系化合物半導体層の表面に空孔が生じることを抑制できる。
保護膜としては、半導体の組成が第3窒化物系化合物半導体層の上層部分と同一である窒化物半導体膜を用いることができ、工程(b)では、p型ドーパントを保護膜内でも拡散させ、工程(c)では、保護膜内で拡散しているp型ドーパントも活性化させて保護膜をp型化することが好ましい。このようにすると、保護膜をp型窒化物系化合物半導体層の一部分とすることができるので、保護膜を除去する手間を省くことができる。
さらに、加熱することによりp型ドーパントを拡散させる場合、工程(a)では、第3窒化物系化合物半導体層において、下層部分におけるp型ドーパントの濃度を上層部分におけるp型ドーパントの濃度よりも高くすることが好ましい。このようにすると、第3窒化物系化合物半導体層から第2窒化物系化合物半導体層へp型ドーパントが拡散しても、第3窒化物系化合物半導体層の層厚方向においてp型ドーパントの濃度を均一にすることができる。
一方、工程(b)においてp型ドーパントをイオン注入する場合、工程(b)では第3窒化物半導体層にもp型ドーパントをイオン注入することが好ましく、工程(c)では第3窒化物系化合物半導体層にイオン注入されたp型ドーパントを活性化させることが好ましい。
本発明によれば、窒化物半導体トランジスタにおいて、電流コラプスを抑制できるとともにノーマリーオフ化を図ることができる。
本発明の実施形態を説明する前に、本願発明者らが検討した内容を比較の形態として示す。
《比較の形態》
図1は、本願発明者らが実験的に試作したGIT構造のノーマリーオフ型窒化物半導体トランジスタの断面図である。同図に示すように、本比較の形態では、窒化物半導体トランジスタは、サファイア基板101と、AlNバッファ層102と、アンドープGaN層103と、アンドープAlGaN層104と、p−GaN層105と、ソース電極106と、ドレイン電極107と、ゲート電極108とを備えている。
図1は、本願発明者らが実験的に試作したGIT構造のノーマリーオフ型窒化物半導体トランジスタの断面図である。同図に示すように、本比較の形態では、窒化物半導体トランジスタは、サファイア基板101と、AlNバッファ層102と、アンドープGaN層103と、アンドープAlGaN層104と、p−GaN層105と、ソース電極106と、ドレイン電極107と、ゲート電極108とを備えている。
サファイア基板101では、(0001)面が主面である。AlNバッファ層102はサファイア基板101の(0001)面上に設けられ、その厚さは100nmである。アンドープGaN層103はAlNバッファ層102の上に設けられ、その厚さは2μmである。アンドープAlGaN層104はアンドープGaN層103の上に設けられ、その厚さ25nmである。p−GaN層105はアンドープAlGaN層104の上に設けられ、その厚さは100nmである。ソース電極106およびドレイン電極107は、アンドープAlGaN層104の上面のうちp−GaN層105が設けられていない部分に、p−GaN層105を挟むように設けられており、Ti層とAl層との積層構造を有している。ゲート電極108は、p−GaN層105の上に設けられており、Pdからなる。ここで、「アンドープ」とは、不純物が窒化物系化合物半導体層に意図的に導入されていないことを意味する。
p−GaN層105には、p型ドーパントとしてMgが1×1019cm−3程度ドーピングされている。Mgの濃度は、p−GaN層105の大部分においては1×1018cm−3程度となっているが、ゲート電極108との界面から10nm程度では1×1020cm−3程度である。ここで、「ドーパント」とは、窒化物系化合物半導体層に意図的に導入された不純物であり、「p型ドーパント」とは、窒化物系化合物半導体に導入して活性化させることによりその窒化物系化合物半導体がp型化するドーパントのことである。p型ドーパントとしては、II族元素(代表的にはMg)を用いることが望ましい。
図1に示すGITトランジスタでは、従来のJFET(junction field-effect transistor)とは異なり、ゲート電極108に正電圧を印加した際にドレイン電流が大きく増加することが判明した。この理由としては、ゲート電極108から正孔が注入されるとヘテロ界面において電子が発生し、この電子がドレイン電流として流れるためと考えられる。この動作(ゲート電極108に正電圧を印加するとドレイン電流が大きく増加すること)は、一般的なJFETでは生じず、正孔の移動度が電子の移動度に比べて小さい窒化物半導体トランジスタに特有の現象である。
このように、図1に示すGITトランジスタでは、ゲート電極108に正電圧を印加するとドレイン電流が大きく増加するので、ノーマリーオフ型を実現することができる。しかし、図1に示すGITトランジスタを実際に作製すると、高いドレイン電圧を印加した後にドレイン電流が減少する、所謂電流コラプスという現象が生じることがわかった。
図2は、本比較の形態にかかる窒化物半導体トランジスタに対してパルス電圧を印加したときのドレイン電流(Id)とドレイン電圧(VDS)との関係を示す図である。パルス電圧を印加する前のバイアス条件として、ゲート電圧およびドレイン電圧が0Vである場合と、ゲート電圧が0Vでありドレイン電圧が60Vである場合とを設定し、ゲート電極108およびドレイン電極107にパルス電圧を印加してドレイン電流(Id)とドレイン電圧(VDS)との関係を調べた。ゲート電極108とドレイン電極107とに印加したパルス電圧については、パルス幅は0.5μ秒であり、パルス間隔は1m秒であった。図2に示す黒丸は、バイアス条件としてゲート電圧およびドレイン電圧が0Vであった場合の結果であり、図2に示す白丸は、バイアス条件としてゲート電圧が0Vでありドレイン電圧が60Vであった場合の結果である。
図2に示すように、パルス電圧を印加する前のバイアス条件としてゲート電圧が0Vでありドレイン電圧が60Vである場合には、バイアス条件としてゲート電圧が0Vでありドレイン電圧が0Vである場合と比較して、パルス電圧を印加した後に低いドレイン電圧に対するドレイン電流が減少し、トランジスタをオフからオンに切り替えた時に発生する抵抗(以下では「オン抵抗」という。)が増大した。これが電流コラプスと呼ばれる現象であり、電流コラプスが生じるとオン抵抗が大幅に増大する。よって、パワートランジスタのようにトランジスタをオンに切り替える際に高いドレイン電圧が印加されるトランジスタでは、電流コラプスの発生が重大な問題となる。
この電流コラプス現象は、次のように説明することができる。窒化物系化合物半導体層の表面のうちゲート電極108が設けられていない部分の表面準位に電子がトラップされると、空乏層が生じる。トランジスタがオフ状態であるときには、その空乏層はチャネル109にまで延びる。トランジスタをオフからオンに切り替えると、ゲート電極108の下に位置する部分では空乏層は縮むのでチャネル109を塞がないが、ゲート電極108が設けられていない部分の下では空乏層は縮まないのでチャネル109の一部を塞いだままとなる。よって、ドレイン電流が小さくなってしまう。
図3および図4を用いて、電流コラプス現象をより詳細に説明する。図3に、ゲート電圧およびドレイン電圧ともに0Vである(トランジスタがオフである)ときの空乏層の拡がりを模式的に示す。
ゲート電極108の下に位置する部分について示す。アンドープAlGaN層104の上にp−GaN層105を形成することにより、ゲート電極108の下に位置する部分ではアンドープAlGaN層104とアンドープGaN層103とのヘテロ接合部でのキャリア濃度が小さくなる。これにより、ゲート電極108の下における閾値電圧Vth1は、正電圧側に大きくなり、例えば+0.5Vとなる。よって、トランジスタがオフ状態である(例えば、ゲート電極108に電圧を印加しないまたは負の電圧を印加する)場合には、空乏層のうちゲート電極108の下に位置する部分がチャネル109を横切るのでノーマリーオフ型を実現することができる。
ゲート電極108が設けられていない部分の下では、アンドープAlGaN層104の上にp−GaN層105が存在しないため、アンドープAlGaN層104とアンドープGaN層103とのヘテロ接合部におけるキャリア濃度が大きくなる。よって、ゲート電極108が設けられていない部分の下における閾値電圧Vth2は、負電圧側に小さい値となり、例えば−1Vである。以上より、ゲート電圧およびドレイン電圧ともに0Vである場合には、空乏層の下端111は図3の破線で示される。
このようなGIT構造において、例えば60V程度の高いドレイン電圧を印加すると、ゲート電極108が設けられていない部分の下では空乏層がさらに拡がると予想されるので、空乏層の下端112は図4に示す破線で示される。なお、図4において、ゲート電極108が設けられていない部分の下では、112(破線)と113(実線)とが重なっているので、112(破線)が見えていない。
この状態から例えばゲート電圧を正電圧側に変化させてトランジスタをオンにすると、空乏層の下端113は図4に示す実線に変化すると推測される。すなわち、ゲート電極108の下では、ゲート電圧が正電圧側に変化すると、空乏層が縮んでチャネル109を開放する。一方、ゲート電極108が設けられていない部分の下では、トランジスタがオフからオンへ切り替わっても表面準位から電子115が放出されるまでに時間がかかるので、空乏層が縮まず、よって、チャネル109は空乏層に塞がれたままである。これにより、窒化物半導体トランジスタをオフからオンに切り替えても、ドレイン電流を大きくできない。これが電流コラプス現象のメカニズムであると考えられる。
以上説明した課題を鑑み、本願発明者らは本発明を完成させた。以下に、図面を用いて本発明の実施形態を説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されない。また、以下の実施形態では、実質的に同一の部材に対して同一の符号を付け、その説明を省略する場合がある。
《発明の実施形態1》
図5は、実施形態1にかかる窒化物半導体トランジスタの構成を示す断面図である。
図5は、実施形態1にかかる窒化物半導体トランジスタの構成を示す断面図である。
図5に示すように、本実施形態では、窒化物半導体トランジスタは、基板501と、バッファ層502と、第1窒化物系化合物半導体層(「窒化物系化合物半導体層」を以下単に「窒化物半導体層」と記す)503と、第2窒化物半導体層504と、p型窒化物半導体層506と、ソース電極508と、ドレイン電極509と、ゲート電極510と、ドーパント層511とを備えている。本実施形態では、p型窒化物半導体層506は第1層505と第2層507とが積層されて形成されている。
ここで、半導体層の厚みを示すと、それぞれ、バッファ層502の厚みは100nm以上であることが好ましく例えば160nmであり、第1窒化物半導体層503の厚みは0.5μm以上であることが好ましく例えば0.9μmであり、バッファ層502および第1窒化物半導体層503は厚い方が好ましい。第2窒化物半導体層504の厚みは、窒化物半導体の組成などに依存するので一概には言えないが例えば40nmであることが好ましく、p型窒化物半導体層506の第1層505の厚みは5nm以上50nm以下であることが好ましく例えば15nmであり、p型窒化物半導体層506の第2層507の厚みは50nm以上500nm以下であることが好ましく例えば185nmである。
基板501は、(0001)面を主面とするサファイア基板であることが好ましい。
バッファ層502は、基板501の上面に設けられており、例えばサファイア基板の(0001)面に設けられており、AlN層であることが好ましい。
第1窒化物半導体層503は、バッファ層502の上面に設けられており、アンドープGaN層であることが好ましい。
第2窒化物半導体層504は、第1窒化物半導体層503の上面に設けられている。第2窒化物半導体層504は、第1窒化物半導体層503とヘテロ接合し、第1窒化物半導体層503のバンドギャップエネルギーよりも大きなバンドギャップエネルギーを有していることが好ましく、第1窒化物半導体層503よりもAlに富んでいることが好ましい。上述のように第1窒化物半導体層503がアンドープGaN層である場合には、第2窒化物半導体層504はアンドープAlGaN層であることが好ましい。
p型窒化物半導体層506は、第2窒化物半導体層504の上面の一部分に設けられている。第1層505は、第2窒化物半導体層504と同一の組成を有する半導体層がp型化されたものであることが好ましく、上述のように第2窒化物半導体層504がアンドープAlGaN層である場合にはp型AlGaN層である。このように第2窒化物半導体層504とp型窒化物半導体層506の第1層505とにおいて窒化物半導体の組成が同一であれば、加熱によりドーパント層511を形成する場合には、p型ドーパント(MgまたはBeなどのII族元素)を第3窒化物半導体層516(図 に図示、p型窒化物半導体層506がp型化する前の窒化物半導体層)から第2窒化物半導体層504へ容易に拡散させることができる。
第2層507は、第2窒化物半導体層504とヘテロ接合することが好ましく、上述のように第2窒化物半導体層504がアンドープAlGaN層である場合にはp型GaN層であることが好ましい。このように第2層507が第2窒化物半導体層504とヘテロ接合するので、窒化物半導体トランジスタをノーマリーオフ型とすることができる。
ソース電極508およびドレイン電極509は、第2窒化物半導体層504の上面のうちp型窒化物半導体層506が設けられていない部分に、p型窒化物半導体層506を挟むように設けられている。ソース電極508およびドレイン電極509は例えばTi層とAl層とが積層されたものであることが好ましい。
ゲート電極510は、p型窒化物半導体層506の上に設けられており、第2窒化物半導体層504にオーミック接合可能な金属であることが好ましく、Pd、NiまたはPtなどの仕事関数の大きい金属であることが好ましい。
ドーパント層511は、第2窒化物半導体層504のうちp型窒化物半導体層506の下に位置する部分に形成されている。ドーパント層511では、p型窒化物半導体層506内に存在するp型ドーパントが拡散している。このように、p型ドーパントはドーパント層511で拡散しておりドーパント層511は第2窒化物半導体層504内に存在しているので、窒化物半導体トランジスタの動作を正常に保つことができるとともにドレイン電流の減少を抑制することができる。また、このp型ドーパントの少なくとも一部分は活性化されていてもよく、その場合には、ドーパント層511では第2窒化物半導体層504がp型化されている。
本実施形態では、比較の形態とは異なり、ドーパント層511が存在している。そのため、第2窒化物半導体層504の厚みは、ゲート電極510の下の方がゲート電極510が設けられていない部分の下よりも薄くなる。よって、ゲート電極510が設けられていない部分の下における閾値電圧Vth2を小さくすることができるので、閾値電圧差ΔVthを大きくすることができ、電流コラプスの発生を抑制することができる。以下、詳細に示す。
図6を用いて、本実施形態にかかる窒化物半導体トランジスタをオフからオンに切り替えたときに空乏層が変化する様子を説明する。図6には、ドレイン電極509に高電圧(例えば60Vの電圧)を印加しゲート電極510に電圧を印加しないまたは負の電圧を印加した場合と、ドレイン電極509に高電圧を印加しゲート電極510に正の電圧(例えば3Vの電圧)を印加した場合とにおいて、空乏層の拡がりを模式的に示している。
ドレイン電極509に高電圧(例えば60Vの電圧)を印加しゲート電極510に電圧を印加しないまたは負の電圧を印加すると、比較の形態で示したようにゲート電極510の下において空乏層が拡がるので、空乏層の下端522は図6に示す破線で表される。しかし、本実施形態では、比較の形態に比べて閾値電圧差ΔVthが大きいので、ゲート電極510が設けられていない部分の下では空乏層はチャネル519を塞いでいない。言い換えると、チャネル519は、ゲート電極510の下においてのみ、空乏層に塞がれている。このようにゲート電極510の下ではチャネル519が空乏層に塞がれているので、本実施形態にかかる窒化物半導体トランジスタをノーマリーオフ型とすることができる。
ドレイン電極509に高電圧を印加した状態でゲート電極510に正の電圧(例えば3Vの電圧)を印加すると、比較の形態で示したように、空乏層は、ゲート電極510の下では縮むがゲート電極510が設けられていない部分の下では縮まない。しかし、比較の形態とは異なり、ドレイン電極509に高電圧を印加しゲート電極510に電圧を印加しないまたは負の電圧を印加したときには、図6の破線に示すように、ゲート電極510が設けられていない部分の下では空乏層はチャネル519を塞いでいない。言い換えると、本実施形態にかかる窒化物半導体トランジスタでは、ゲート電極510が設けられていない部分の下では、常に、チャネル519は、空乏層に塞がれていない。よって、ゲート電極510に正の電圧を印加して窒化物半導体トランジスタをオンにすると、空乏層の下端523は図6の実線で示されるように変化し、チャネル519は、ゲート電極510が設けられていない部分の下においても空乏層に塞がれていない。これにより、本実施形態にかかる窒化物半導体トランジスタでは、電流コラプスの発生を抑制できる。
以上より、本実施形態にかかる窒化物半導体トランジスタでは、ノーマリーオフ型を実現できるとともに電流コラプスの発生を抑制することができる。本願発明者らは、ドーパント層511の構造を最適化することにより、ノーマリーオフ型を実現可能であり電流コラプスの発生を抑制できる窒化物半導体トランジスタの構造を最適化した。
なお、本願発明者らは、窒化物半導体トランジスタの構成を最適化させるさいには、第1窒化物半導体層503としてアンドープGaN層を用い、第2窒化物半導体層504としてアンドープAlGaN層を用い、p型窒化物半導体層506の第1層505としてp型AlGaN層を用い、p型窒化物半導体層506の第2層507としてp型GaN層を用い、p型ドーパントとしてはMgを用いた。また、第2窒化物半導体層504の層厚を25nmとした。
まず、閾値電圧差ΔVthを最適化させるために、本願発明者らは、閾値電圧差ΔVthとパルス電圧を印加させたときのドレイン電流比との関係を調べた。具体的には、閾値電圧差ΔVthが相異なる複数の窒化物半導体トランジスタを用意し、それぞれの窒化物半導体トランジスタに対してドレイン電流比を求めた。閾値電圧差ΔVthについては、第2窒化物半導体層504の層厚とp型窒化物半導体層506の第1層505の層厚とを変化させることにより、閾値電圧差ΔVthを変えた。図7に、閾値電圧差ΔVthとパルス電圧を印加させたときのドレイン電流比との関係を示す。
ドレイン電流比とは、パルス電圧を印加させてドレイン電圧を10Vとしゲート電圧を5Vとした場合にソース電極とドレイン電極との間に流れたドレイン電流において、パルス電圧を印加する直前のドレイン電圧が0Vであった場合に流れたドレイン電流に対するパルス電圧を印加する直前のドレイン電圧が60Vであった場合に流れたドレイン電流の比率である。ドレイン電流比が1に近い値を示せば、60Vの電圧をドレイン電極509に印加した後に窒化物半導体トランジスタをオンにしたときに流れるドレイン電流と0Vの電圧をドレイン電極509に印加した後に窒化物半導体トランジスタをオンにしたときに流れるドレイン電流とがほぼ同一であるので、電流コラプスの発生が抑制されていることを意味する。
閾値電圧差ΔVthとドレイン電流比との関係を調べると、図7に示すように、ΔVthが大きいほど電流コラプスの発生が抑制されることがわかった。特に、ΔVthが2.5V以上であればドレイン電流比は1となり、ΔVthが2.5V未満である場合に比べて電流コラプスの発生をさらに抑制できることがわかった。
そこで、本願発明者らは、閾値電圧差ΔVthが2.5V以上となるように、ドーパント層511の層厚を最適化した。具体的には、ドーパント層511の層厚が相異なる複数の窒化物半導体トランジスタを用意し、それぞれの窒化物半導体トランジスタに対して閾値電圧差ΔVthを求めた。その結果を図8に示す。
図8に示すように、ドーパント層511の層厚が10nm程度であれば閾値電圧差ΔVthが2.5Vであったので、ドーパント層511の層厚を10nm以上とすることが望ましいことがわかった。
以上より、本願発明者らは、層厚が25nmである第2窒化物半導体層504に対して層厚が10nm以上となるようにドーパント層511を形成すれば、閾値電圧差ΔVthが2.5V以上となるので、電流コラプスを抑制できることがわかった。
以上説明したように、本実施形態にかかる窒化物半導体トランジスタでは、第2窒化物半導体層504がp型窒化物半導体層506の第2層507にヘテロ接合されるので、図6に示すようにノーマリーオフ型を実現することができる。
また、本実施形態にかかる窒化物半導体トランジスタでは、第2窒化物半導体層504のうちp型窒化物半導体層506の下に位置する部分にドーパント層511が形成されている。これにより、ドーパント層511が形成されていない窒化物半導体トランジスタに比べて、ゲート電極510が設けられていない部分の下における閾値電圧Vth2を小さくすることができるので、閾値電圧差ΔVthを大きくすることができる。よって、電流コラプスの発生を抑制することができる。
また、ドーパント層511は第2窒化物半導体層504内に存在しているので、p型ドーパントはチャネル519には存在していない。一般に、チャネルにp型ドーパントが存在すると、空乏層がチャネルに常時存在してしまうので、窒化物半導体トランジスタをオンにしてもチャネルは空乏層に塞がれたままとなる。よって、ノーマリーオフ型の窒化物半導体トランジスタを実現することが難しく、また、窒化物半導体トランジスタをオンにしたときにドレイン電流が低下する虞がある。しかし、本実施形態にかかる窒化物半導体トランジスタではp型ドーパントはチャネル519に存在しないので、本実施形態にかかる窒化物半導体トランジスタを正常に動作させることができるとともにドレイン電流の低下を抑制できる。
また、p型窒化物半導体層506の第1層505と第2窒化物半導体層504とでは、窒化物半導体の組成が互いに同一である。そのため、後述のように加熱によりドーパント層511を形成する場合には、p型ドーパントを第3窒化物半導体層516から第2窒化物半導体層504へ容易に拡散させることができる。
図9(a)〜(e)は、本実施形態にかかる窒化物半導体トランジスタの作製方法を示す断面図である。
まず、図9(a)に示すように、例えばMOCVD(metallorganic chemical vapor deposition)法または気相成長法などを用いて、バッファ層502と第1窒化物半導体層503と第2窒化物半導体層504と第4窒化物半導体層513の第1層512および第2層514とを基板501の上面にエピタキシャル成長させる。第4窒化物半導体層513をエピタキシャル成長させる場合には、p型ドーパントとしてMgまたはBeなどのII族元素を含んだガスを用いて、後述に示す理由から第1層512の方が第2層514の上層部分よりもp型ドーパントの濃度が高くなるようにp型ドーパントをドープさせることが好ましい。
次に、例えばドライエッチング法またはRIE(反応性イオンエッチング;reactive ion etching)法を用いて、第4窒化物半導体層513の一部分を除去する。これにより、図9(b)に示すように、第2窒化物半導体層504の上面の一部分に、第1層515および第2層517が順に積層された第3窒化物半導体層516が形成される。
続いて、図9(b)に示す積層体を加熱して、p型ドーパントを第3窒化物半導体層516から第2窒化物半導体層504へ拡散させる(工程(b))。これにより、図9(c)に示すように、ドーパント層511を第2窒化物半導体層504内に形成することができる。本願発明者らは、ドーパント層511の形成条件を検討し、以下に示す条件でドーパント層511を形成することが好ましい,と考えている。
具体的には、本願発明者らは、第1窒化物半導体層503としてアンドープGaN層を用い、第2窒化物半導体層504としてアンドープAlGaN層を用い、第3窒化物半導体層516の第1層515としてp型AlGaN層を用い、第3窒化物半導体層516の第2層517としてp型GaN層を用い、p型ドーパントとしてMgを用い、第2窒化物半導体層504および第3窒化物半導体層516の第1層515の層厚をどちらも25nmとして図9(b)に示す積層体を2つ形成した。その後、一方の積層体を大気圧下で800℃で加熱し、他方の積層体を大気圧下で1000℃で加熱し、加熱後の2つの積層体に対してSIMS(secondary ion mass spectrometer)を用いてMg元素の濃度分布を調べた。その測定結果を図10に示す。なお、図10において、「503」は第1窒化物半導体層503であり、「504」は第2窒化物半導体層504であり、「505」はp型窒化物半導体層506の第1層505である。
図10に示すように、p型ドーパントは、1000℃で加熱した場合の方が800℃で加熱した場合に比べて、第2窒化物半導体層504の層厚方向に拡散していることがわかった。1000℃で加熱した場合には、第2窒化物半導体層504の深さが15nmにおいてもMg濃度が1×1019cm−3であり、ドーパント層511の層厚が15nm程度であることがわかった。図8に示す結果より、ドーパント層511の層厚が10nm以上であれば閾値電圧差ΔVthが2.5V以上となり電流コラプスを抑制することができるので、800℃で加熱するよりも1000℃で加熱した方が好ましいことがわかった。
このようにp型ドーパントを第3窒化物半導体層516から第2窒化物半導体層504へ拡散させると、第3窒化物半導体層516の第1層515に存在するp型ドーパントが第2窒化物半導体層504へ拡散すると考えられる。そのため、拡散前において第3窒化物半導体層516でのp型ドーパントの濃度が均一であれば、拡散後において第3窒化物半導体層516では第1層515の方が第2層517の上層部分よりもp型ドーパントの濃度は薄くなる。
そこで、本願発明者らは、拡散後の第3窒化物半導体層516においてp型ドーパントのこのような濃度勾配が発生するのを防ぐために、拡散前の第3窒化物半導体層516では第1層515の方が第2層517の上層部分よりもp型ドーパントに富んでいる方が好ましい,と考えている。例えば、図11における「拡散前」のグラフに示すように、p型ドーパントの濃度は、第1層515の方が第2層517の上層部分よりも高く、例えば第3窒化物半導体層516の第1層515と第2層517との界面では1×1019cm3程度であり、第2窒化物半導体層504との界面では1×1020cm3以上であることが好ましい。このように、拡散前の第3窒化物半導体層516において第1層515の方が第2層517の上層部分よりもp型ドーパントに富んでいれば、図11における「拡散後」のグラフに示すように、拡散後の第3窒化物半導体層516ではp型ドーパントの濃度は層厚方向において均一となる。よって、図9(a)に示す工程では、第4窒化物半導体層513をエピタキシャル成長させる際には、第1層512の方が第2層514の上層部分よりもp型ドーパントの濃度が高くなるようにp型ドーパントをドープさせることが好ましい。
このようにしてドーパント層511を形成したのち、図9(c)に示す積層体を大気圧下1000℃(第1の温度)よりも高い温度(第2の温度)で加熱して、p型ドーパントを活性化させる(工程(c))。
このとき、1000℃よりも高い温度で加熱すると、窒化物半導体が化学的に分解する虞がある。そのため、ランプアニール(RTA;Rapid Thermal Annealing)法などを用いて1150℃で30秒加熱することが好ましい。これにより、図9(d)に示すように、第3窒化物半導体層516の第1層515がp型窒化物半導体層506の第1層505となり、第3窒化物半導体層516の第2層517がp型窒化物半導体層506の第2層507となり、場合によってはドーパント層511の一部分がp型化される。
その後、図9(e)に示すように、p型窒化物半導体層506の第2層507の上にゲート電極510を形成し、また、第2窒化物半導体層504の上面のうちp型窒化物半導体層506が形成されていない部分にp型窒化物半導体層506を挟むようにソース電極508およびドレイン電極509を形成する(工程(d))。このようにして、本実施形態にかかる窒化物半導体トランジスタを作製することができる。
以上説明したように、本実施形態にかかる窒化物半導体トランジスタの製造方法では、電流コラプスを抑制する条件を満たすようにドーパント層511が形成されている。よって、この製造方法に従って製造された窒化物半導体トランジスタでは、電流コラプスを抑制することができる。
また、拡散前の第3窒化物半導体層516では、第1層515の方が第2層517の上層部分よりもp型ドーパントの濃度が高い。これにより、拡散後の第3窒化物半導体層516におけるp型ドーパントの濃度分布を層厚方向において均一にすることができる。
なお、本実施形態では、p型窒化物半導体層は2層であるとしたが、3層以上であってもよく、または、窒化物半導体の組成が層厚方向において連続的に変化する一層であってもよい。何れの場合であっても、p型窒化物半導体層の下層部分と第2窒化物半導体層とにおいて、窒化物半導体の組成が同一であればよい。
《発明の実施形態2》
図12は、実施形態2にかかる窒化物半導体トランジスタの構成を示す断面図である。
図12は、実施形態2にかかる窒化物半導体トランジスタの構成を示す断面図である。
上記実施形態1ではp型窒化物半導体層506は2層であるが、本実施形態ではp型窒化物半導体層606は1層である。
具体的には、本実施形態では、p型窒化物半導体層606は、第2窒化物半導体層504とヘテロ接合可能な窒化物半導体層にp型ドーパントがドープされたものであることが好ましく、上記実施形態1で記載したように第2窒化物半導体層504がAlGaN層である場合にはp型GaN層であることが好ましい。
本実施形態では、上記実施形態1と同じく、p型窒化物半導体層606は第2窒化物半導体層504とヘテロ接合可能であるのでノーマリーオフ型を実現することができ、また、第2窒化物半導体層504にはドーパント層511が設けられているので電流コラプスの発生を抑制することができる。
なお、本実施形態のようにp型窒化物半導体層606と第2窒化物半導体層504とで窒化物半導体の組成が相異なる場合であっても、p型ドーパントをp型窒化物半導体層606から第2窒化物半導体層504へ拡散させることができる。
《発明の実施形態3》
実施形態3では、窒化物半導体トランジスタの構造は上記実施形態1と同じであるが、窒化物半導体トランジスタの製造方法が上記実施形態1とは異なる。
実施形態3では、窒化物半導体トランジスタの構造は上記実施形態1と同じであるが、窒化物半導体トランジスタの製造方法が上記実施形態1とは異なる。
図13(a)〜(f)は、本実施形態にかかる窒化物半導体トランジスタの製造方法の一工程を示す断面図である。
まず、図13(a)に示すように、上記実施形態1で記載した方法に従って、基板501の上に、バッファ層502、第1窒化物半導体層503、第2窒化物半導体層504および第4窒化物半導体層513を順に形成する。
次に、図13(b)に示すように、上記実施形態1で記載した方法に従って、第4窒化物半導体層513の一部分を除去して第3窒化物半導体層516を形成する。
続いて、図13(c)に示すように、図13(b)における積層体の上面を保護膜701で覆う。これにより、第3窒化物半導体層516の表面が露出しないように、保護膜701で第3窒化物半導体層516を覆うことができる。保護膜701としては、例えば、SiN、SiO2、SiONまたはAlNなどの絶縁膜を用いることが好ましい。
続いて、上記実施形態1で記載した方法に従って、p型ドーパントを第3窒化物半導体層516から第2窒化物半導体層504へ拡散させ、その後、p型ドーパントを活性化させる。これにより、図13(d)に示すように、ドーパント層511が形成されるとともに、第3窒化物半導体層516がp型窒化物半導体層506となる。
続いて、ドライエッチング方法またはRIE法などの公知の手法を用いて、図13(e)に示すように保護膜701を除去する。
その後、図13(f)に示すように、上記実施形態1で記載した方法に従ってソース電極508とドレイン電極509とゲート電極510とを形成する。
本実施形態では、窒化物半導体トランジスタの構成は上記実施形態1と同じであるので、上記実施形態1と同様の効果を奏する。
さらに、加熱する前に第3窒化物半導体層516を保護膜701で覆うので、図13(c)に示す積層体を高温に加熱したときに、p型ドーパントおよび窒素が第3窒化物半導体層516から積層体の外へ抜けてしまうことを防止できる。その上、p型ドーパントおよび窒素の抜けを防止できるので、第3窒化物半導体層516の表面に空孔が形成されることを防止できる。
《発明の実施形態4》
実施形態4では、窒化物半導体トランジスタの構造は上記実施形態1と同じであり、上記実施形態3と同じく保護膜を用いて窒化物半導体トランジスタを製造するが、保護膜の材質が上記実施形態3とは異なる。
実施形態4では、窒化物半導体トランジスタの構造は上記実施形態1と同じであり、上記実施形態3と同じく保護膜を用いて窒化物半導体トランジスタを製造するが、保護膜の材質が上記実施形態3とは異なる。
図14(a)〜(d)は、本実施形態にかかる窒化物半導体トランジスタの製造方法の一工程を示す断面図である。
まず、図14(a)に示すように、上記実施形態1で記載した方法に従って、基板501の上に、バッファ層502、第1窒化物半導体層503、第2窒化物半導体層504および第4窒化物半導体層513を順に形成し、第4窒化物半導体層513の上に第5窒化物半導体層811を形成する。第5窒化物半導体層811としては、p型ドーパントなどの不純物を含んでいないとともに窒化物半導体の組成が第4窒化物半導体層513の第2層514と同一である窒化物半導体層を用いることが好ましく、アンドープGaN層を用いることが好ましい。また、第5窒化物半導体層811の層厚としては、15nm程度とすることが好ましい。
次に、上記実施形態1で記載した方法に従って、第4窒化物半導体層513および第5窒化物半導体層811の一部分を除去する。これにより、図14(b)に示すように、第4窒化物半導体層513の一部分が除去されて第3窒化物半導体層516となり、第5窒化物半導体層811の一部分が除去されて保護膜801となる。
続いて、上記実施形態1で記載した方法に従って、p型ドーパントを第3窒化物半導体層516から第2窒化物半導体層504へ拡散させ、その後、p型ドーパントを活性化させる。これにより、図14(c)に示すように、ドーパント層511が形成されるとともに、第3窒化物半導体層516がp型窒化物半導体層506となる。また、保護膜801の膜厚が15nm程度であるので保護膜801にもp型ドーパントが拡散し、図14(c)に示すように保護膜801がp型化されてp型窒化物半導体層506の第2層507の一部となる。
その後、図14(d)に示すように、上記実施形態1で記載した方法に従ってソース電極508とドレイン電極509とゲート電極510とを形成する。
本実施形態では、窒化物半導体トランジスタの構成は上記実施形態1と同じであるので、上記実施形態1と同様の効果を奏する。
さらに、本実施形態では、保護膜801がp型窒化物半導体層506の一部分になるので、上記実施形態3とは異なり、保護膜801を除去しなくてもよい。よって、本実施形態では、上記実施形態3に比べて、保護膜801を除去する手間を省くことができる。
なお、上記実施形態2のようにp型窒化物半導体層が1層からなる場合には、保護膜としては、窒化物半導体層の組成比がp型窒化物半導体層と同一であればよい。
《発明の実施形態5》
実施形態5では、窒化物半導体トランジスタの構成は上記実施形態1と同一であるが、p型ドーパントを拡散させる方法が上記実施形態1とは異なる。
実施形態5では、窒化物半導体トランジスタの構成は上記実施形態1と同一であるが、p型ドーパントを拡散させる方法が上記実施形態1とは異なる。
図15(a)〜図15(e)は、本実施形態にかかる窒化物半導体トランジスタの製造方法を示す断面図である。
まず、図15(a)に示すように、上記実施形態1で記載した方法に従って、基板501の上に、バッファ層502、第1窒化物半導体層503および第2窒化物半導体層504を順に形成し、第2窒化物半導体層504の上に第4窒化物半導体層913を形成する。ここで、第4窒化物半導体層913は、上記実施形態1などに記載の第4窒化物半導体層513とは異なりp型ドーパントを含んでおらず、例えばアンドープGaN層である。
次に、図15(b)に示すように、上記実施形態1で記載した方法に従って、第4窒化物半導体層913の一部分を除去して第3窒化物半導体層916を形成する。
続いて、図15(c)に示すように、第2窒化物半導体層504の上面のうち第3窒化物半導体層916が形成されていない部分にレジスト膜(例えばSiO2膜)901を設ける。
その後、図15(c)に示す積層体の上面からp型ドーパントを注入する。このときの注入エネルギーは例えば70keVであり、注入量は1×1019/cm3以上であることが好ましい。イオン注入が終了したら、レジスト膜901を除去し、上記実施形態1で記載した方法に従ってp型ドーパントを活性化させる。これにより、図15(d)に示すように、第2窒化物半導体層504内にp型ドーパント層511が形成されるとともに、第3窒化物半導体層916がp型窒化物半導体層906となる。
その後、図15(e)に示すように、上記実施形態1で記載した方法に従ってソース電極508とドレイン電極509とゲート電極510とを形成する。
このようにp型ドーパントをイオン注入させた場合であっても、上記実施形態1と同様の効果を得ることができる。
なお、本実施形態では、p型ドーパントをイオン注入する際に第3窒化物半導体層913にもp型ドーパントが注入されるのでp型ドーパントは第3窒化物半導体層913内に予め含まれていなくても良いが、上記実施形態1などのようにp型ドーパントが第3窒化物半導体層913内に予め含まれていても良い。また、p型窒化物半導体層906は、上記実施形態1におけるp型窒化物半導体層506のように第1層505と第2層507とが積層された積層体であってもよい。
《発明の実施形態6》
図16は、実施形態6にかかる窒化物半導体トランジスタの構成を示す断面図である。
図16は、実施形態6にかかる窒化物半導体トランジスタの構成を示す断面図である。
図16に示すように、本実施形態では、第2窒化物半導体層504内に拡散ストップ層1001が設けられている。これにより、上記実施形態1,3および4に記載のように加熱によりp型ドーパントを拡散させる場合であっても、上記実施形態5に記載のようにイオン注入によりp型ドーパントを拡散させる場合であっても、p型ドーパントが、第3窒化物半導体層516から、第2窒化物半導体層504のうち拡散ストップ層1001よりも下の部分にまで拡散してしまうことを防止できる。
拡散ストップ層1001は、上述のようにp型ドーパントの拡散を防止するために設けられた層であり、Alの濃度が第2窒化物半導体層504内におけるAl濃度よりも高くなるように形成されていることが好ましく、上記実施形態1に記載したように第2窒化物半導体層504がAlGaN層である場合にはAlN層であることが好ましい。その厚みは、1nm以上であり、例えば2nmである。
一般に、p型ドーパントがチャネルに存在すると、空乏層がチャネルに常時存在してしまう,と考えられている。そのため、窒化物半導体トランジスタをオンにしても、チャネルは空乏層に塞がれたままであるのでドレイン電流を大きくすることができない。よって、p型ドーパントがチャネルに存在すると、電流コラプスが発生してしまう。
しかし、本実施形態では、拡散ストップ層1001を設けることにより、p型ドーパントがチャネルで拡散することを抑制できる。よって、空乏層がチャネルに常時存在してしまうことを回避できる。
また、p型ドーパントは拡散ストップ層1001よりも下には拡散しないので、ドーパント層511の厚みを制御することもできる。
なお、拡散ストップ層1001は、第1窒化物半導体層503と第2窒化物半導体層504との間に設けられていても良い。この場合であっても、p型ドーパントがチャネルに拡散することを抑制できる。
《その他の実施形態》
本発明は、上記実施形態1〜6について、以下のような構成としてもよい。
本発明は、上記実施形態1〜6について、以下のような構成としてもよい。
基板、バッファ層、第1窒化物半導体層、第2窒化物半導体層、p型窒化物半導体層、ソース電極、ドレイン電極およびゲート電極の組成および厚みは、上記記載に限定されない。
加熱またはイオン注入によりドーパント層を形成するとしたが、それ以外の方法によってドーパント層を形成してもよい。
上記実施形態2にかかる窒化物半導体トランジスタは、上記実施形態3〜5の何れかに記載された方法を用いて製造されてもよく、または、上記実施形態6に記載された拡散ストップ層を備えていても良い。同様に、上記実施形態6にかかる窒化物半導体トランジスタは、上記実施形態3〜5の何れかに記載された方法を用いて製造されてもよく、または、上記実施形態2に記載されたp型窒化物半導体層(一層からなるp型窒化物半導体層)を備えていても良い。
第3窒化物半導体層を形成する際、上記実施形態1などでは、第2窒化物半導体層の上に窒化物半導体層をエピタキシャル成長させ、その窒化物半導体層の一部分を除去して第3窒化物半導体層を形成しているが、それ以外の方法を用いて第3窒化物半導体層を形成しても良い。
以上説明したように、本発明は、トランジスタをオンにした時の抵抗が小さく且つ電流コラプスが抑制されたノーマリーオフ型のトランジスタを実現することができ、汎用インバータ等の民生機器の電源回路等で用いられるパワートランジスタとして有用である。
101 サファイア基板
102 AlNバッファ層
103 アンドープGaN層
104 アンドープAlGaN層
105 p−GaN層
106 ソース電極
107 ドレイン電極
108 ゲート電極
501 基板
502 バッファ層
503 第1窒化物半導体層
504 第2窒化物半導体層
506 p型窒化物半導体層
508 ソース電極
509 ドレイン電極
510 ゲート電極
511 ドーパント層
516 第3窒化物半導体層
606 p型窒化物半導体層
701 保護膜
801 保護膜
906 p型窒化物半導体層
916 第3窒化物半導体層
1001 拡散ストップ層
102 AlNバッファ層
103 アンドープGaN層
104 アンドープAlGaN層
105 p−GaN層
106 ソース電極
107 ドレイン電極
108 ゲート電極
501 基板
502 バッファ層
503 第1窒化物半導体層
504 第2窒化物半導体層
506 p型窒化物半導体層
508 ソース電極
509 ドレイン電極
510 ゲート電極
511 ドーパント層
516 第3窒化物半導体層
606 p型窒化物半導体層
701 保護膜
801 保護膜
906 p型窒化物半導体層
916 第3窒化物半導体層
1001 拡散ストップ層
Claims (16)
- 基板と、
前記基板の上に設けられた第1窒化物系化合物半導体層と、
前記第1窒化物系化合物半導体層の上に設けられ、前記第1窒化物系化合物半導体層とヘテロ接合する第2窒化物系化合物半導体層と、
前記第2窒化物系化合物半導体層の上面の一部分に設けられたp型窒化物系化合物半導体層と、
前記p型窒化物系化合物半導体層の上に設けられたゲート電極と、
前記第2窒化物系化合物半導体層の上面のうち前記p型窒化物系化合物半導体層が設けられた部分以外の部分に、前記p型窒化物系化合物半導体層を挟むように設けられたソース電極およびドレイン電極とを備え、
前記第2窒化物系化合物半導体層内のうち前記p型窒化物系化合物半導体層の下に位置する部分には、p型ドーパントを含むドーパント層が存在している、窒化物半導体トランジスタ。 - 前記ドーパント層は、前記第2窒化物系化合物半導体層内にのみ存在している、請求項1に記載の窒化物半導体トランジスタ。
- 前記第2窒化物系化合物半導体層内、または、前記第1窒化物系化合物半導体層と前記第2窒化物系化合物半導体層との間に、前記p型ドーパントの拡散をストップさせるための拡散ストップ層が設けられている、請求項2に記載の窒化物半導体トランジスタ。
- 前記拡散ストップ層は、Alを含んでおり、
前記拡散ストップ層内におけるAlの濃度は、前記第2窒化物系化合物半導体層内におけるAlの濃度よりも高い、請求項3に記載の窒化物半導体トランジスタ。 - 前記第2窒化物系化合物半導体層と前記p型窒化物系化合物半導体層との境界では、前記第2窒化物系化合物半導体層における窒化物系化合物半導体の組成と前記p型窒化物系化合物半導体層における窒化物系化合物半導体の組成とが同一である、請求項1から4の何れか1つに記載の窒化物半導体トランジスタ。
- 前記第2窒化物系化合物半導体層は、Alを含んでおり、
前記第2窒化物系化合物半導体層におけるAlの濃度は、前記第1窒化物系化合物半導体層におけるAlの濃度よりも高い、請求項1から5の何れか1つに記載の窒化物半導体トランジスタ。 - 前記ドーパント層の少なくとも一部分がp型化している、請求項1から6の何れか1つに記載の窒化物半導体トランジスタ。
- 前記第1窒化物系化合物半導体層は、GaN層であり、
前記第2窒化物系化合物半導体層は、AlzGa1−zN(0<z≦1)層である、請求項1から7の何れか1つに記載の窒化物半導体トランジスタ。 - 基板の上に第1窒化物系化合物半導体層を形成し、前記第1窒化物系化合物半導体層よりもバンドギャップエネルギーが大きい第2窒化物系化合物半導体層を前記第1窒化物系化合物半導体層の上に形成し、前記第2窒化物系化合物半導体層の上面の一部分に第3窒化物系化合物半導体層を形成する工程(a)と、
前記第2窒化物系化合物半導体層内のうち前記第3窒化物系化合物半導体層の下に位置する部分においてp型ドーパントを拡散させる工程(b)と、
前記第3窒化物系化合物半導体層をp型窒化物系化合物半導体層とする工程(c)と、
前記p型窒化物系化合物半導体層の上にゲート電極を形成し、前記第2窒化物系化合物半導体層の上面のうち前記p型窒化物系化合物半導体層が形成されていない部分に前記p型窒化物系化合物半導体層を挟むようにソース電極およびドレイン電極を形成する工程(d)と
を備えている、窒化物半導体トランジスタの製造方法。 - 前記工程(a)では、前記第2窒化物系化合物半導体層の上面の一部分に、p型ドーパントを含む前記第3窒化物系化合物半導体層を形成し、
前記工程(b)では、前記工程(a)で形成された積層体を1000℃以上の温度で加熱して、前記第3窒化物系化合物半導体層に含まれている前記p型ドーパントを前記第3窒化物系化合物半導体層から前記第2窒化物系化合物半導体層へ拡散させ、
前記工程(c)では、前記第3窒化物系化合物半導体層が含む前記p型ドーパントを活性化させる、請求項9に記載の窒化物半導体トランジスタの製造方法。 - 前記工程(b)では、第1の温度で加熱し、前記工程(c)では、前記第1の温度よりも高い第2の温度で加熱し、
前記工程(c)において前記第2の温度に保つ保持時間は、前記工程(b)において前記第1の温度に保つ保持時間よりも短い、請求項10に記載の窒化物半導体トランジスタの製造方法。 - 前記工程(b)の前に、前記第3窒化物系化合物半導体層の表面を保護膜で覆い、
前記工程(c)と前記工程(d)との間で、前記保護膜を除去する、請求項10または11に記載の窒化物半導体トランジスタの製造方法。 - 前記保護膜として、半導体の組成が前記第3窒化物系化合物半導体層の上層部分と同一である窒化物半導体膜を用い、
前記工程(b)では、前記p型ドーパントを前記保護膜内でも拡散させ、
前記工程(c)では、前記保護膜内で拡散している前記p型ドーパントも活性化させて前記保護膜をp型化する、請求項10または11に記載の窒化物半導体トランジスタの製造方法。 - 前記工程(a)では、前記第3窒化物系化合物半導体層において、下層部分における前記p型ドーパントの濃度を上層部分における前記p型ドーパントの濃度よりも高くする、請求項10から13の何れか1つに記載の窒化物半導体トランジスタの製造方法。
- 前記工程(b)では、前記第2窒化物系化合物半導体層内のうち前記第3窒化物系化合物半導体層の下に位置する部分にp型ドーパントをイオン注入する、請求項9に記載の窒化物半導体トランジスタの製造方法。
- 前記工程(b)では、前記第3窒化物系化合物半導体層にも前記p型ドーパントをイオン注入し、
前記工程(c)では、前記工程(b)において前記第3窒化物系化合物半導体層にイオン注入された前記p型ドーパントを活性化させる、請求項15に記載の窒化物半導体トランジスタの製造方法。
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-
2007
- 2007-08-01 JP JP2007200464A patent/JP2009038175A/ja not_active Withdrawn
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