JP2009036160A - ギヤポンプの慣らし方法及び装置 - Google Patents

ギヤポンプの慣らし方法及び装置 Download PDF

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Abstract

【課題】ギヤポンプの慣らしを適切に行う。
【解決手段】ギヤポンプの吸込ポートにオイルタンクを接続し、吐出ポートに圧力調整弁を接続し、ギヤポンプをモータによって駆動して慣らしを行う。このとき、一定周期の慣らしパターンAに従って吐出圧力を調整し、各周期毎に一定吐出圧力Pにおける駆動トルクτ1、τ2、…τ10を監視する。慣らし開始時の初期駆動トルクτ1の一次関数として基準駆動トルクτR=Aτ1+B(A、Bは定数)を演算する。駆動トルクτ10を基準駆動トルクτRと比較して、駆動トルクτ10が基準駆動トルクτR以下ならば慣らし終了OKと判定し、駆動トルクτ10が基準駆動トルクτRを超えていれば、慣らし終了NGと判定する。これにより、切削代にバラツキがあっても慣らし終了を正確に判定することができるので、ギヤポンプの慣らしを効率的に適切に行うことができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、ハウジング内で互いに噛合う歯車を回転させて流体の吐出を行うギヤポンプの慣らし方法及び装置に関するものである。
一例として、自動車等に搭載される油圧システムの油圧源として使用されるギヤポンプについて、図8及び図9を参照して説明する。図8及び図9に示すように、ギヤポンプ1は、外接歯車ポンプであって、ハウジング2のポンプ室3内に互いに噛合わされた駆動ギヤ4(平歯車)及び従動ギヤ5(平歯車)が設けられている。
ポンプ室3は、互いに噛合う駆動ギヤ4及び従動ギヤ5に外接する略繭形の凹部2Aをハウジング2に形成し、この凹部2Aにサイドプレート6を摺動可能かつ液密的に嵌合することによって形成されている。駆動ギヤ4及び従動ギヤ5の軸部7、8は、ハウジング2及びサイドプレート6に設けられた軸受9、10によってそれぞれ回転可能に軸支されている。駆動ギヤ4の軸部7の先端部は、ハウジング2を貫通して外部に延出されており、ジョイント11Aによってモータ11等の駆動源に連結されるようになっている。
ハウジング2には、駆動ギヤ4と従動ギヤ5との噛合い部に臨んでポンプ室3内の互いに反対側に開口する吸込ポート12及び吐出ポート13が形成されている。ハウジング2には、凹部2Aに嵌合されたサイドプレート6の背面部を覆うカバー14が取付けられており、サイドプレート6とカバー14との摺動部をOリング24及びバックアップリング25によってシールしてサイドプレート6の背面部に圧力室15が形成されている。圧力室15は、カバー14に形成された通路16及びハウジング2に形成された通路17を介して吐出ポート13に連通されている。
このように構成されたギヤポンプ1の作用について次に説明する。
駆動ギヤ4の軸部7をジョイント11Aによってモータ11等の駆動源に連結して、駆動ギヤ4を一定方向(図9において矢印で示す時計方向)に回転させると、従動ギヤ5がその反対方向(図9において矢印で示す反時計方向)に回転する。これにより、吸込ポート12側では、駆動ギヤ4と従動ギヤ5との噛合いが離れることによって流体が吸込まれる。そして、駆動ギヤ4及び従動ギヤ5の歯溝とポンプ室3の内壁との間に閉じ込められた流体は、駆動ギヤ4及び従動ギヤ5の回転によってポンプ室3の内周面に沿って吐出ポート13に運ばれる。吐出ポート13側では、駆動ギヤ4と従動ギヤ5とが噛合うことによって歯溝間に閉じ込められた流体が押し出されて吐出される。
このとき、吐出ポート13の吐出圧力が通路16、17を介して圧力室15に導入されて、吐出圧力に応じてサイドプレート6を駆動ギヤ4及び従動ギヤ5の側面に押付ける。これにより、駆動ギヤ4及び従動ギヤ5の側面部のシール性を高めている。ここで、サイドプレート6の圧力室15に対する受圧面積を大きくして駆動ギヤ4及び従動ギヤ5への押圧力を大きくすることにより、シール性を向上させて容積効率を高めることができるが、このようにした場合、摩擦抵抗が増大して機械効率が低下することになる。そこで、容積効率及び機械効率を考慮して、これらを両立させるようにサイドプレート6の圧力室15に対する受圧面積が決定される。
上述のギヤポンプ1では、その構造上、駆動ギヤ4及び従動ギヤ5の外周及び側面とポンプ室3との間に一定のクリアランスを設ける必要があるため、高圧の吐出ポート13側の流体が低圧の吸込ポート12側へ僅かに戻される(漏れる)ことになる。これに対して、各部品の形状及び寸法を精密に機械加工して、これらのクリアランスをできるだけ小さくすることにより、漏れを低減して容積効率を高めることが可能である。
しかしながら、機械加工の精度を高めるだけでは、クリアランスの精度管理が困難であり、また、コストもかかる。そこで、従来、例えば特許文献1に記載されているように、ギヤポンプ1を組付ける際に、いわゆる慣らし(ギヤトラッキング)を行うことにより、クリアランスの精度を確保している。
特開平11−210644号公報
従来のギヤポンプ1の慣らしについて次に説明する。
駆動ギヤ4及び従動ギヤ5の軸部7、8がその軸受9、10内で径方向に移動したとき、ポンプ室3の内周面と駆動ギヤ4及び従動ギヤ5とが僅かに干渉するように設定された寸法公差で各部品を機械加工する。そして、これらの部品を組付けたギヤポンプ1の駆動ギヤ4の軸部7にモータを連結し、吸込ポート12にオイルタンクを接続し、また、吐出ポート13に圧力調整弁等の負荷手段を接続して、通常の吐出圧力よりも高い吐出圧力でギヤポンプ1を一定時間運転する。
このとき、図10に示すように、ポンプ室3内の駆動ギヤ4及び受動ギヤ5は、低圧の吸込ポート12と高圧の吐出ポート13と差圧によって低圧の吸込ポート12側へ押圧される。そして、上述の寸法公差によって、駆動ギヤ4及び従動ギヤ5の歯先がポンプ室3の吸込ポート12側の内周面に接触して、これを切削する。なお、図10において、駆動ギヤ4及び従動ギヤ5の押圧方向を矢印Aで示し、切削部T(トラッキング部)を斜線で示す。また、吐出ポート13から圧力室15に導入された吐出圧力によってサイドプレート6が駆動ギヤ4及び従動ギヤ5の側面部に押付けられることにより、駆動ギヤ4及び従動ギヤ5の両側面部とこれらに当接する凹部2Aの底部及びサイドプレート6が切削される。このように慣らしを実行することにより、各部品の機械加工精度のみに依存することなく、容易に適切なクリアランスを得ることができる。
しかしながら、上記従来の慣らし工程では、次のような問題がある。従来のギヤポンプの慣らしは、実験的に決定された一定の慣らしパターンに従って圧力調整弁によって吐出圧力を周期的に変化させながらギヤポンプを一定時間運転することによって行われており、実際に慣らしが適切に終了されたかどうかを判定しているわけではない。このため、各部品の機械加工精度によってクリアランスの精度にバラツキが生じる虞がある。また、確実に慣らしを終了するためには慣らし時間を長めに設定する必要があり、生産性の低下の原因となる。
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、ギヤポンプの慣らしを適切に行うことができるギヤポンプの慣らし方法及び装置を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明は、ハウジング内で互いに噛合う歯車を回転させて流体を吐出するギヤポンプを所定の吐出圧力で運転して、前記ハウジングと前記歯車との接触部を切削するギヤポンプの慣らし方法又は装置において、
所定の慣らしパターンに従って吐出圧力を周期的に増減させ、所定の吐出圧力に対する前記歯車の駆動トルクを監視し、慣らし開始時に検出した初期駆動トルクに基づいて基準駆動トルクを決定し、駆動トルクが前記基準駆動トルクに達したとき、慣らし終了と判定することを特徴とする。
また、ハウジング内で互いに噛合う歯車を回転させて流体を吐出するギヤポンプを所定の吐出圧力で運転して、前記ハウジングと前記歯車との接触部を切削するギヤポンプの慣らし方法又は装置において、
所定の慣らしパターンに従って吐出圧力を周期的に増減させ、所定の吐出圧力に対する前記歯車の駆動トルクの傾きを監視し、慣らし開始時に検出した初期駆動トルクの傾きに基づいて駆動トルクの傾きの基準値を決定し、駆動トルクの傾きが前記駆動トルクの傾きの基準値に達したとき、慣らし終了と判定することを特徴とする。
(発明の態様)
以下に、本発明において特許請求が可能と認識される発明(以下、「請求可能発明」という場合がある。)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、請求可能発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。なお、以下の(1)乃至(4)における方法の内容が請求項1乃至4にそれぞれ対応し、(1)乃至(4)における装置の内容が請求項5乃至8にそれぞれ対応する。
(1)ハウジング内で互いに噛合う歯車を回転させて流体を吐出するギヤポンプを所定の吐出圧力で運転して、前記ハウジングと前記歯車との接触部を切削するギヤポンプの慣らし方法(又は装置)において、
所定の慣らしパターンに従って吐出圧力を周期的に増減させ、所定の吐出圧力に対する前記歯車の駆動トルクを監視し、慣らし開始時に検出した初期駆動トルクに基づいて基準駆動トルクを決定し、駆動トルクが前記基準駆動トルクに達したとき、慣らし終了と判定することを特徴とするギヤポンプの慣らし方法(又は装置)。
このように構成したことにより、慣らしの進行、すなわち、切削の進行によって歯車の駆動トルクが低下するので、駆動トルクを監視することによって慣らしの終了を判定することができる。このとき、慣らし開始時の初期駆動トルクに基づいて基準駆動トルクを決定することにより、切削代を考慮して慣らし終了を正確に判定することができる。
ここで、慣らしパターンとしては、例えば一定速度及び一定周期で昇圧及び減圧を繰返す三角波パターンのほか、様々な周期的なパターンを想定することができる。
(2)上記(1)の構成において、前記基準駆動トルクは、前記初期駆動トルクの一次関数として決定されることを特徴とするギヤポンプの慣らし方法(又は装置)。
このように構成したことにより、初期駆動トルクτ1に対して、基準駆動トルクτRをτR=Aτ1+B(A、Bは定数)として決定することができる。
(3)ハウジング内で互いに噛合う歯車を回転させて流体を吐出するギヤポンプを所定の吐出圧力で運転して、前記ハウジングと前記歯車との接触部を切削するギヤポンプの慣らし方法(又は装置)において、
所定の慣らしパターンに従って吐出圧力を周期的に増減させ、所定の吐出圧力に対する前記歯車の駆動トルクの傾きを監視し、慣らし開始時に検出した初期駆動トルクの傾きに基づいて駆動トルクの傾きの基準値を決定し、駆動トルクの傾きが前記駆動トルクの傾きの基準値に達したとき、慣らし終了と判定することを特徴とするギヤポンプの慣らし方法(又は装置)。
このように構成したことにより、慣らしの進行、すなわち、切削の進行によって歯車の駆動トルクと共に駆動トルクの傾きが低下するので、駆動トルクの傾きを監視することによって慣らしの終了を判定することができる。このとき、慣らし開始時の初期駆動トルクの傾きに基づいて駆動トルクの傾きの基準値を決定することにより、切削代を考慮して慣らし終了を正確に判定することができる。また、駆動トルクの傾きθを用いて慣らし終了の判定を行うことにより、設備の経時変化等によって吐出圧力に対する駆動トルクの検出値が大きくなっても駆動トルクの傾きは変化しないため、慣らし終了の判定精度を維持することができ、設備の経時変化に対するロバスト性を高めることができる。
なお、慣らしパターンとしては、例えば一定速度及び一定周期で昇圧及び減圧を繰返す三角波パターンのほか、様々な周期的なパターンを想定することができる。
(4)上記(3)の構成において、前記駆動トルクの傾きの基準値は、前記初期駆動トルクの傾きの一次関数として決定されることを特徴とするギヤポンプの慣らし方法(又は装置)。
このように構成したことにより、初期駆動トルクの傾きθ1に対して、駆動トルクの傾きの基準値θRをθR=A´θ1+B´(A´、B´は定数)として決定することができる。
本発明に係るギヤポンプの慣らし方法又は装置によれば、慣らしの進行、すなわち、切削の進行によって歯車の駆動トルクが低下するので、駆動トルクを監視することによって慣らしの終了を判定することができる。このとき、慣らし開始時の初期駆動トルクに基づいて基準駆動トルクを決定することにより、切削代を考慮して慣らし終了を正確に判定することができる。また、初期駆動トルクの傾きに基づいて駆動トルクの傾きの基準値を決定することにより、切削代を考慮して慣らしの終了を正確に判定することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本実施形態に係るギヤポンプの慣らし方法は、図8及び図9に示すギヤポンプ1に適用することができるものであり、以下、一例としてギヤポンプ1の慣らしを行う場合について説明する。
第1実施形態について図1乃至図5を参照して説明する。
図3に示すように、本実施形態に係るギヤポンプの慣らし方法に用いられる慣らし装置18は、ギヤポンプ1の駆動ギヤ4の軸部7に連結されるモータ11と、モータ11の駆動トルクを検出するトルクセンサ20と、ギヤポンプ1の吸込ポート12に接続されて作動流体を供給するタンク21と、吐出ポート13に接続されて吐出圧力を所定圧力に調整する調圧弁22と、吐出ポート13の吐出圧力を検出する圧力センサ23とを備えている。
モータ11は、ギヤポンプ1の駆動ギヤ4の軸部7にジョイント11Aによって連結され、所定の回転速度で駆動ギヤ4を駆動することができるものである。調圧弁22は、ギヤポンプ1の吐出ポート13に接続され、タンク21への流路を調整することによって吐出ポート13の吐出圧力を所定圧力に調整できるようになっている。
ギヤポンプ慣らし装置18を用いたギヤポンプ1の慣らし方法について次に説明する。
上記従来の慣らし方法の場合と同様、所定の寸法公差で機械加工された各部品を組付けたギヤポンプ1の駆動ギヤ4の軸部7にジョイント11Aによってモータ11を連結し、吸込みポート12にタンク21を接続し、また、吐出ポート13に調圧弁22を接続する。
モータ11によってギヤポンプ1の駆動ギヤ4を一定の回転速度で駆動し、調圧弁22によって吐出圧力を図1中に破線で示す一定の慣らしパターンA(吐出圧力パターン)に従って調整してギヤポンプ1の慣らしを行う。この慣らしパターンAは、一定の昇圧速度(例えば0.5MPa/秒程度)で最大圧力(例えば15MPa程度)まで昇圧した後、一定の速度で減圧し、これを繰返す三角波パターンであり、これを所定周期(図示の例では第10周期)まで繰返す。このとき、モータ11の駆動トルクτは、切削抵抗に応じて変化するので、図1中に実線で示すように、慣らしパターンAに沿って変化することになるが、慣らし(切削)の進行に伴って切削抵抗が減少するため、駆動トルクτのピークは徐々に小さくなる。
この慣らしパターンAの各周期の立上がりにおいて、吐出圧力が所定圧力P(例えば4MPa程度)のとき、トルクセンサ20によってモータ11の駆動トルクτ(τ=τ1、τ2、…、τ10)を検出し、この駆動トルクτに基づいて慣らし終了を判定する。
図5(A)に示すように、慣らし中のモータ11の駆動トルクτは、吐出圧力の発生(a部)、ポンプの機械的な摩擦損失(b部)及び切削抵抗(c部)によって消費され、慣らし(切削)の進行に伴い、切削抵抗の減少にしたがって徐々に低下し、ほぼ一定のトルクに落着くことになる。このとき、個々のギヤポンプ1の寸法公差等によって切削代(ギヤ出代)にバラツキがあり、図5(B)に示すように、切削代が大きい場合(曲線τH参照)、慣らし初期の駆動トルクが大きく、切削代が小さい場合(曲線τL参照)、慣らし初期の駆動トルクが小さくなるが、慣らしの進行に伴う切削抵抗(駆動トルク)の減少量にはバラツキがあり、また、慣らし終了時の駆動トルクも一定にはならない。したがって、駆動トルクの減少量を一定の基準値と比較することによって慣らし終了を判定した場合、正確な判定を行うことができない虞がある。
そこで、本実施形態では、慣らしパターンAの第1周期で検出した初期駆動トルクτ1に基づいて切削代を推定して、慣らし終了を判定するための基準駆動トルクτRを決定する。図4(a)に示すように、慣らしの切削代と初期駆動トルクτ1との間には、ほぼ線形の相関関係があるので、切削代は、τ1の一次関数
f(τ1)=aτ1+b (a、bは定数)
として表すことができる。そして、慣らしの切削量は、図4(b)に示すように、駆動トルクの変化(τ1−τ10)の一次関数
g(τ1−τ10)=c(τ1−τ10)+d (c、dは定数)
として表すことができる。切削残りが基準値α以下となったとき、慣らし終了とすると、
f(τ1)−g(τ1−τ10)≦α
となり、したがって、
Aτ1+B≧τ10 (A、Bは定数) …(1)
となる。これにより、基準駆動トルクτR=Aτ1+Bとして、τ10が基準駆動トルクτR(=Aτ1+B)以下であれば、切削残りが基準値α以下となり、慣らし終了を判定することができる。
次に、慣らし終了を判定するための制御フローの一例について、図2を参照して説明する。図2を参照して、慣らしパターンAを実行し、ステップS1で駆動トルクτ1を検出し、ステップS2で駆動トルクτ2を検出し、同様に、順次、ステップS3乃至ステップS10で駆動トルクτ3乃至τ10を検出し、第1周期において検出した初期駆動トルクτ1に基づいて基準駆動トルクτR=Aτ1+B(A、Bは定数)を演算する。ステップS11で、τ10を基準駆動トルクτRと比較して、駆動トルクτ10が基準駆動トルクτR以下ならば慣らし終了(OK)と判定し、駆動トルクτ10が基準駆動トルクτRを超えていれば、慣らし終了NGと判定する。
このようにして、寸法公差等によって切削代にバラツキがある場合でも、慣らし終了を正確に判定することができる。その結果、ギヤポンプ1のクリアランスの精度のバラツキを解消すると共に慣らし時間を短縮することが可能となる。
なお、上記実施形態において、慣らしパターンAを一定周期(第10周期)まで実行した後、慣らしの終了判定を行い、慣らし終了NGと判定された場合、第11周期以降も慣らしを継続し、その周期毎に終了判定を行うようにしてもよい。また、慣らし開始時から周期毎に駆動トルクτを監視し、駆動トルクτが基準駆動トルクτR以下となったとき、慣らし終了OKを判定して、慣らしを終了するようにしてもよい。
次に、本発明の第2実施形態について、図6及び図7を参照して説明する。なお、上記第1実施形態に対して、同様の部分には同一の符号を用いて、異なる部分についてのみ詳細に説明する。
本実施形態では、上記第1実施形態に対して、駆動トルクτの代わりに、駆動トルクτの傾きθ(N・m/MPa)を用いて慣らしの終了の判定を行う。図6に示すように、切削時の駆動トルクτが大きい場合(τ=τH)、駆動トルクの傾きθも大きく(θ=θh)、駆動トルクτが小さい場合(τ=τL)、駆動トルクの傾きθも小さくなり(θ=θL)、τH>τLならばθH>θLとなる。したがって、駆動トルクτの代わりに駆動トルクの傾きθを用いることができる。
この場合、上記(1)式は、
A´θ1+B´≧θ10 (A´、B´は定数) …(2)
とすることができ、θ10が駆動トルクの傾きの基準値θR(=A´θ1+B´)以下であれば、切削残りが基準値α以下となり、慣らし終了OKと判定することができ、θ10が駆動トルクの傾きの基準値θRを超えている場合、切削残り基準値αを超えており、慣らし終了NGと判定することができる。
そして、図2に示す制御フローにおいては、τ1、τ2、…τ10をθ1、θ2、…θ10に置換え、第1周期において検出した初期駆動トルクの傾きθ1に基づいて駆動トルクの傾きの基準値θR=A´θ1+B´(A´、B´は定数)を演算する。ステップS11では、θ10を駆動トルクの傾きの基準値θRと比較して、駆動トルクの傾きθ10が駆動トルクの傾きの基準値θR以下ならば慣らし終了OKと判定し、駆動トルクθ10が駆動トルクの傾きの基準値θRを超えていれば、慣らし終了NGと判定して慣らしを終了する。これにより、慣らしの終了を正確に判定することができる。
このように、駆動トルクτの代わりに駆動トルクの傾きθを用いて慣らしの終了の判定を行うことにより、設備の経時変化等により、図7に示すように、所定圧力に対するトルクの検出値が大きくなっても駆動トルクの傾きは変化しないため、慣らし終了の判定精度を維持することができ、設備の経時変化に対するロバスト性を高めることができる。
本発明の第1実施形態に係るギヤポンプの慣らし方法における慣らしパターンを示すグラフ図である。 本発明の第1実施形態に係るギヤポンプの慣らし方法における慣らし終了を判定するため制御を示すフローチャートである。 本発明の第1実施形態に係るギヤポンプの慣らし方法に使用するギヤポンプ慣らし装置の概略構成を示す回路図である。 ギヤポンプの慣らし装置において、(a)切削代(ギヤ出代)とモータの駆動トルクとの関係、及び、(b)切削量とモータの駆動トルクの変化量との関係を示す相関図である。 ギヤポンプの慣らし装置におけるモータの駆動トルクと慣らしの進行との関係を示すグラフ図である。 ギヤポンプの慣らしにおけるモータの駆動トルクと駆動トルクの傾きとの関係を示すグラフ図である。 ギヤポンプの慣らし装置における設備の経時変化によるモータの駆動トルクの検出値の変化を示すグラフ図である。 本発明に係る慣らし方法を適用することができるギヤポンプの概略構造を示す縦断面図である。 図8に示すギヤポンプの概略構成を示す側面の縦断面図である。 図8に示すギヤポンプの慣らし工程における駆動ギヤ及び従動ギヤによるハウジングの切削部を示す説明図である。
符号の説明
1 ギヤポンプ、2 ハウジング、4 駆動ギヤ(歯車)、5 従動ギヤ(歯車)、18 慣らし装置、A 慣らしパターン、τ 駆動トルク

Claims (8)

  1. ハウジング内で互いに噛合う歯車を回転させて流体を吐出するギヤポンプを所定の吐出圧力で運転して、前記ハウジングと前記歯車との接触部を切削するギヤポンプの慣らし方法において、
    所定の慣らしパターンに従って吐出圧力を周期的に増減させ、所定の吐出圧力に対する前記歯車の駆動トルクを監視し、慣らし開始時に検出した初期駆動トルクに基づいて基準駆動トルクを決定し、駆動トルクが前記基準駆動トルクに達したとき、慣らし終了と判定することを特徴とするギヤポンプの慣らし方法。
  2. 前記基準駆動トルクは、前記初期駆動トルクの一次関数として決定されることを特徴とする請求項1に記載のギヤポンプの慣らし方法。
  3. ハウジング内で互いに噛合う歯車を回転させて流体を吐出するギヤポンプを所定の吐出圧力で運転して、前記ハウジングと前記歯車との接触部を切削するギヤポンプの慣らし方法において、
    所定の慣らしパターンに従って吐出圧力を周期的に増減させ、所定の吐出圧力に対する前記歯車の駆動トルクの傾きを監視し、慣らし開始時に検出した初期駆動トルクの傾きに基づいて駆動トルクの傾きの基準値を決定し、駆動トルクの傾きが前記駆動トルクの傾きの基準値に達したとき、慣らし終了と判定することを特徴とするギヤポンプの慣らし方法。
  4. 前記駆動トルクの傾きの基準値は、前記初期駆動トルクの傾きの一次関数として決定されることを特徴とする請求項3に記載のギヤポンプの慣らし方法。
  5. ハウジング内で互いに噛合う歯車を回転させて流体を吐出するギヤポンプを所定の吐出圧力で運転して、前記ハウジングと前記歯車との接触部を切削するギヤポンプの慣らし装置において、
    所定の慣らしパターンに従って吐出圧力を周期的に増減させ、所定の吐出圧力に対する前記歯車の駆動トルクを監視し、慣らし開始時に検出した初期駆動トルクに基づいて基準駆動トルクを決定し、駆動トルクが前記基準駆動トルクに達したとき、慣らし終了と判定することを特徴とするギヤポンプの慣らし装置。
  6. 前記基準駆動トルクは、前記初期駆動トルクの一次関数として決定されることを特徴とする請求項5に記載のギヤポンプの慣らし装置。
  7. ハウジング内で互いに噛合う歯車を回転させて流体を吐出するギヤポンプを所定の吐出圧力で運転して、前記ハウジングと前記歯車との接触部を切削するギヤポンプの慣らし装置において、
    所定の慣らしパターンに従って吐出圧力を周期的に増減させ、所定の吐出圧力に対する前記歯車の駆動トルクの傾きを監視し、慣らし開始時に検出した初期駆動トルクの傾きに基づいて駆動トルクの傾きの基準値を決定し、駆動トルクの傾きが前記駆動トルクの傾きの基準値に達したとき、慣らし終了と判定することを特徴とするギヤポンプの慣らし装置。
  8. 前記駆動トルクの傾きの基準値は、前記初期駆動トルクの傾きの一次関数として決定されることを特徴とする請求項7に記載のギヤポンプの慣らし装置。
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