JP2009036031A - 直噴式エンジン及びその制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】構造を複雑化させずに、すなわち安価に液相の噴射燃料が燃焼室の壁面に付着することを有効に防止する。
【解決手段】ECU30が、筒内圧力センサ25などの信号をもとに噴射燃料の噴霧到達距離(ペネトレーションL)を予測するとともに、クランク角センサ18からの信号をもとにインジェクタ先端とピストン上面との間の距離Dを算出する。そして、噴射燃料の噴霧到達距離がインジェクタ先端とピストン上面との間の距離Dよりも大きいと判断したときに、インジェクタ内部に設けられた燃料加熱ヒータ24を作動させて噴射燃料を加熱し、噴射燃料のペネトレーションを低下させる。
【選択図】図2

Description

本発明は、ピストン上面とシリンダ内周面との間に形成される燃焼室内に燃料噴射装置から燃料を直接噴射する直噴式エンジン及びその制御方法に関する。
ディーゼルエンジンや直噴式ガソリンエンジンなどの内燃機関では、燃料噴射装置(インジェクタ)から燃焼室内に燃料が直接噴射されるが、噴射燃料の噴霧貫徹力(ペネトレーション)が過度に大きくなっていると、燃料の一部が液相の状態でシリンダ内面やピストン上面などの燃焼室壁面に付着してしまう。そして、燃料が液相の状態で燃焼室の壁面に付着すると、燃費の悪化を招くばかりでなく、有害成分の排出に繋がる。そこで、例えば特許文献1においては、噴射燃料のペネトレーションが過度に大きくならないように、燃焼室内の気体の密度状態に応じて、噴射燃料の圧力を一時的に低下させる、或いは、噴射を複数回に分けて1回あたりの噴射時間を短くするといった制御を行うことで、噴射燃料の燃焼室壁面への付着を防止することが提案されている。
特開2003-286879号公報
しかしながら、噴射燃料の圧力を噴射ごとに精度良く上下させるには複雑な構造が必要となり、高価になるという問題点があった。
本発明は、以上のような従来技術の問題点を解決すべく創案されたものであって、構造を複雑化させずに、すなわち安価に液相の噴射燃料が燃焼室の壁面に付着することを有効に防止することを目的としている。
本発明は、燃焼室内の圧力と温度との少なくとも何れかに基づいて噴射燃料の到達距離を予測し、ペネトレーションが過大となり、噴射燃料が液相の状態で前記ピストンの上面に付着する可能性があることが予測される場合には、噴射燃料をヒータで加熱してから噴射させることによって当該噴射燃料のペネトレーションを低下させて、液相の噴射燃料が燃焼室の壁面に付着することを防止する。
本発明によれば、噴射燃料のペネトレーションが過大になると予測されるときにヒータの加熱により噴射燃料のペネトレーション低下が図られるので、構造を複雑化させる、すなわち高価になることなく、液相の噴射燃料が燃焼室の壁面に付着することを有効に防止することができる。
本発明は、燃料噴射装置(インジェクタ)から燃焼室内に燃料を直接噴射する直噴式エンジンを対象とするものである。エンジンには、ガソリンエンジンを代表とする火花点火方式と、ディーゼルエンジンを代表とする圧縮着火方式とがあるが、本発明はそのどちらかに限定されるものでなく、直噴式のエンジンに対して広く適用可能である。
以下では、本発明の具体的な実施例として、ディーゼルエンジンに対して本発明を適用した例(第1実施例)と、直噴式ガソリンエンジンに対して本発明を適用した例(第2実施例)とを例示して説明するが、まず、これらの具体的な実施例の説明に先立ち、本発明適用の背景となるディーゼルエンジンの概要及びガソリンエンジンの概要について、簡単に説明する。
[ディーゼルエンジンについて]
ディーゼルエンジンは、火花点火方式であるガソリンエンジンのように、燃料の自己着火によって生じるノッキングの制約が無いため、圧縮比をガソリンエンジンと比べて高く設定することが可能である。圧縮比を高くすることは、すなわち燃焼室内の平均的な温度を高くすることにつながる。燃焼室内の温度が高い方が熱効率がよくなるので、ディーゼルエンジンはガソリンエンジンと比べて、熱効率がよく、燃料の燃焼によって生じる熱をより効率的に使用することが可能である。
しかしながら、拡散燃焼を主体とするディーゼルエンジンでは、局所的に燃料が空気に対してリッチな空間ができることが不可避であり、その結果、燃料リッチな状況で燃焼した燃料の一部は、内燃機関の運転に寄与することができず、未燃のまま内燃機関外に排出されてしまう。この未燃の燃料はスモークなどと呼ばれ、スモーク中には人体に悪影響な成分が含まれるため、内燃機関の下流にある浄化装置で浄化されてから大気に放出される。つまり、スモークの発生は、燃料が未燃のまま排出されるために熱効率の観点から不利なだけでなく、排気ガス浄化装置を設置しなければならないという、装置の費用面からも不利であることが分かる。
そこで、拡散燃焼ではなく、予め燃料を空気と混合させてから自己着火させる予混合燃焼(以下、HCCI燃焼と呼ぶ)方式のディーゼルエンジンが提案されている。HCCI燃焼は、拡散燃焼で問題となるスモークの発生原因、すなわち局所的に燃料がリッチな状況を作り出す拡散燃焼を避けるために考案されたものであり、燃料を燃焼室内の空気と予め混合させた状態で燃焼させる。そのため、HCCI燃焼方式のディーゼルエンジンは、拡散燃焼を主体とするディーゼルエンジンと比べて、未燃燃料の排出が少ない。
しかしながら、HCCI燃焼の燃料噴射は、拡散燃焼のように圧縮上死点ではなく、圧縮上死点よりも進角するか、あるいは遅角したタイミングで行われるため、噴射燃料の燃焼室壁面への付着が特に問題になる。それは、圧縮上死点では、燃焼室内が高温、高圧であるため燃料は噴射直後に自己着火温度に達して燃焼を始めるが、圧縮上死点を大きく外れた時期での噴射では、燃焼室内の温度、圧力ともに低いため、燃料のペネトレーションが大きくなることに起因し、燃料が噴射される距離(以下、噴霧到達距離ともいう)も長くなり、従って噴射燃料が液相の状態のままで燃焼室の壁面まで到達する可能性が高くなるからである。噴射燃料のペネトレーションと燃焼室内の圧力、温度との関係は、比較的簡単な式を用いて近似することが可能である。ここでは例として、一般的に知られている広安の式を用いて、噴射燃料のペネトレーションと燃焼室内の圧力、温度との関係を示す。なお、燃料のペネトレーションは、一般的には霧状の噴射燃料が気体中をどれだけ進行するかのエネルギ量(噴霧貫徹力)を表しているが、これは噴射燃料の到達距離に置き換えて考えられるので、以下では、噴射燃料のペネトレーションは噴霧到達距離を表すものとして説明する。
Figure 2009036031
以上の広安の式から分かるように、ペネトレーションLは噴射開始直後は時間に比例して増大するが、ある時間tbが経過すると、減速して時間の1/2乗に比例して増大するようになる。また、このときのペネトレーションLは、噴射前の燃料圧力(Pinjection)や、燃焼室内の圧力(Pambient)、温度に応じた燃料室内の密度(ρ)に依存して変化することが分かる。燃焼室内の圧力や温度は内燃機関の運転状態や、ピストン位置によって時々刻々と変化するが、燃焼を考慮しない、言い換えれば燃焼によって発生する熱量を考慮せずに、ピストンによる圧縮だけを考えれば、圧力は圧縮上死点で最大になる。そのため、圧縮上死点で噴射した燃料のペネトレーションLは小さく、圧縮上死点から大きく外れた時期、即ちピストン位置が低い時期の噴射では、ペネトーレーションLが大きくなる。
ここで、噴射燃料のペネトレーションLが過度に大きくなると、噴射燃料の噴霧到達距離が過大となっているため、噴射燃料が燃焼室の壁面に付着するといった問題が生じる。そこで、このようなディーゼルエンジンに本発明を適用し、噴射燃料のペネトレーションLが過大となることが予測される場合には、噴射燃料を加熱することによってペネトレーションを低下させて、噴射燃料の壁面付着の問題を回避する。
[ガソリンエンジンについて]
ガソリンエンジンは火花点火方式であるが、燃料の供給方法で2つに大別することができる。1つは、燃焼室外に燃料を供給し、燃焼室外で空気と混合させてから、混合気として燃焼室内に燃料を供給する方式である。この方式のエンジンでは、一般的に燃焼室近くの吸気ポートから吸気バルブへ向かって燃料を噴射し、高温の燃焼室の熱を利用してガソリンを気化させている。
もう1つは、燃焼室内に直接燃料を噴射する方式であり、直噴式エンジンと呼ばれる。直噴式エンジンは噴射時期を変えることで2つの燃焼を切り替えることが可能である。1つ目の燃焼方式は、吸気行程に燃料を噴射して燃料を均質に空気と混合させてから燃焼させる、均質燃料と呼ばれる方式である。もう1つの燃焼方式は、成層燃焼と呼ばれ、圧縮行程で燃料を噴射し、ピストン上面に設けたキャビティと呼ばれる窪みによって、噴射した燃料を点火プラグ周辺に集めて燃焼させる方式である。
本発明は、この直噴式ガソリンエンジンにも適用が可能であるが、特に成層燃焼時における燃料噴射制御に利用するのがよい。それは、均質燃焼時には吸気行程に燃料を噴射するため、燃料噴射時のピストン位置はインジェクタの噴射孔から離れている、すなわちピストン位置が低いときに燃料を噴射するので、このときはあまり燃料の壁面付着が問題にならないからである。ただし、エンジン始動開始時直後など、燃焼室の温度が通常時と比べて極端に低く、燃料が気化しないことが予想される場合は、均質燃焼時にも本発明の手法を適用して、燃料を加熱してから噴射するようにしてもよい。
[第1実施例]
以下、ディーゼルエンジンに本発明を適用した第1実施例について、図面を参照しながら説明する。図1はディーゼルエンジンの概要を示す模式図であり、図2は図1に示したディーゼルエンジンの制御系のブロック図である。
ディーゼルエンジンは、図1に示すように、ピストン1が往復移動可能に嵌挿されたシリンダ2を有している。ピストン1上面とシリンダ2内周面との間には、燃焼室3が形成されている。なお、図1では簡単のために1つのシリンダ2のみを図示しているが、通常は複数のシリンダ2が直列、V型、水平対向などの方式で配列され、高出力化が図られている。
ピストン1上面とシリンダ2内周面との間に形成される燃焼室3の天井部分には、燃料を燃焼室3内に直接噴射するインジェクタ(燃料噴射装置)4が配設されている。また、このインジェクタ4の周囲には吸気ポート5及び排気ポート6が設けられ、吸気ポート5が吸気流路7、排気ポート6が排気流路8にそれぞれ接続されている。また、吸気ポート5及び排気ポート6の開口部には、これらを開閉する吸気バルブ9及び排気バルブ10が配設されている。
吸気流路7には、吸気ポート5から燃焼室3内に供給される空気の流量を検知するエアフローセンサ11や空気流量を調整する吸気絞り弁12などが配置されている。また、排気流路8には、排気ポート6から排出された排気ガスを浄化する排気浄化装置13が設けられている。さらに、このディーゼルエンジンでは、排気ポート6と吸気ポート5とを接続するようにEGR(Exhaust Gas recirculation)流路14が設けられ、排気ガスの一部を吸気側に還流できるようにしている。EGR流路14にはEGRバルブ15が配置され、このEGRバルブ15の開度を制御することでEGR率が調整される。
シリンダ2内に嵌挿されたピストン1は、コネクティングロッド16を介してクランクシャフト17に連結されている。そして、シリンダ2内におけるピストン1の往復運動は、クランクシャフト17の回転運動に変換される。このクランクシャフト17の回転角は、クランク角センサ18によって検知される。
燃焼室3内に燃料を噴射するインジェクタ4は、高圧配管19を介して蓄圧部20に接続されている。蓄圧部20には、高圧ポンプ21によって圧縮された高圧の燃料が蓄積されている。この蓄圧部20内に蓄積された燃料の圧力は、燃料圧センサ22によって検知される。インジェクタ4は、図2に示すECU(Engine Control Unit)30からの指令に従って、蓄圧部20から高圧配管19を通じて供給される燃料を燃焼室3内に噴射する。インジェクタ4から噴射された燃料は、燃焼室3内で吸気ポート5からの空気と混合され、ピストン1の上昇による燃焼室3内の圧力上昇によって燃焼室3内が高温化することにより、燃焼室3内の少なくとも一部が燃料の自己着火温度に達した時点で自己着火を起こし、その火炎が伝播することで燃焼室3全体が燃焼する。
ECU30は、図2に示すように、各種センサからの信号を入力し、その信号を元にディーゼルエンジンの運転状態を判断して、ディーゼルエンジンに設けられた各種の駆動回路やアクチュエータに信号を出力することで、ディーゼルエンジンの運転状態を制御する。例えば、ECU30は、EGRバルブ15の開度を制御することでEGR率を最適化し、また、吸気絞り弁12の開度を制御することで燃焼室3内への空気供給量を制御する。また、ECU30は、高圧ポンプ21の動作を制御することで、蓄圧部20に蓄積される燃料の圧力、すなわち噴射前の燃料の元圧を制御する。また、ECU30は、本発明に関連する燃料噴射制御に関しては、ディーゼルエンジンの運転状態に応じて適切な時期に燃料が噴射されるように、インジェクタ4の噴射タイミング及び燃料噴射量を決定してインジェクタ4に指令を出す。具体的には、ECU30は、クランク角センサ18の時間に対する増減からエンジン回転数を算出し、アクセル開度センサ23から、運転者の要求するエンジントルクを算出する。そして、この算出されたエンジントルクが現在の状態よりもトルクを要求している場合は、インジェクタ4から噴射される燃料量を増加させるか、あるいは噴射時期を進角させて所望のトルク量までディーゼルエンジンの運転状態を変化させる。つまり、ECU30は、ディーゼルエンジンの運転状態に応じて、燃料の噴射時期や噴射量を制御している。
また、特にこのECU30は、インジェクタ4から燃焼室3内に噴射される燃料のペネトレーションLを予測して、噴射燃料のペネトレーションLが過大となり、噴射燃料が液相の状態で燃焼室3の壁面に付着する可能性があると判断される場合には、インジェクタ4内部に設けられた燃料加熱ヒータ24により噴射燃料を加熱する処理を実行する。噴射燃料は加熱によってペネトレーションLが低下するので、燃料加熱ヒータ24による加熱により噴射燃料の壁面付着の問題が回避される。
図3は、内部に燃料加熱ヒータ24が設けられたインジェクタ4の具体例を示す縦断面図である。この図3に示すインジェクタ4は、ノズルボディ41の先端に設けられた燃料噴射孔42を針弁43で開閉する構造である。針弁43は、燃料非噴射時においては、スプリング44によりノズルボディ41の先端側に付勢されて、燃料噴射孔42を閉塞している。一方、燃料噴射時においては、ECU30の指令によりコア45の周囲に巻装された開弁コイル46が通電され、電磁力の作用により針弁43がスプリング44の付勢力に抗してコア45側へと移動することで、ノズルボディ41先端に設けられた燃料噴射孔42が開放される。インジェクタ4のコア45側は上述した高圧配管19に接続されており、また、インジェクタ4の内部には、高圧配管19との接続部からノズルボディ41先端までつながる燃料流路47が形成されている。したがって、針弁43がコア45側に移動して燃料噴射孔42が開放されると、インジェクタ4に供給された高圧の燃料が燃料流路47を通ってノズルボディ41の先端に導かれて、燃料噴射孔42から噴射される。なお、燃料噴射時に保持コイル48に通電すると、開弁コイル46への通電を停止しても針弁43がコア45側に移動した状態が保持され、燃料噴射孔42からの燃料の噴射が継続される。ECU30は、開弁コイル46への通電のタイミングを制御することで燃料噴射時期を制御し、この保持コイル48への通電時間を制御することで、燃料噴射時間、すなわち燃料噴射量を制御している。
図3に示すインジェクタ4では、ノズルボディ41内周面と針弁43外周面との間の燃料流路47に沿って燃料加熱ヒータ24が配置されている。この燃料加熱ヒータ24は、例えば発熱状態を個別に制御可能な複数の発熱要素24aを、燃料流路47の上流側から下流側に沿って並ぶように、電気的絶縁性を有する断熱材24bを介してノズルボディ41内周面上に取り付けた構成とされる。この燃料加熱ヒータ24の発熱要素24aは、燃料噴射孔42の近傍までカバーするように配設されている。したがって、この燃料加熱ヒータ24は、燃料流路47内の燃料のうちで次回噴射される燃料を確実に加熱することができ、また、ECU30の制御のもとで通電する発熱要素24aの数を変更することで、加熱する燃料の体積を燃料噴射量に合わせて調整して効率の良い加熱を行うことができる。
インジェクタ4から燃焼室3内に噴射燃料のペネトレーションLは、上述したように、燃焼室3内の温度や圧力によって変化する。言い換えると、燃焼室3内の圧力或いは温度が分かれば、噴射前の燃料の元圧との関係から、噴射燃料のペネトレーションLを予測することが可能である。ここで、ECU30は燃料圧センサ22の検知信号を読み込んで噴射前の燃料の元圧を把握しているので、燃焼室3内の圧力或いは温度を検知する手段を設けてECU30に接続することで、噴射燃料のペネトレーションLをECU30で予測することが可能となる。そこで、燃焼室3内の圧力を検知する手段として、例えば燃焼室3内に圧力センサなどを設置して、図2に示すように、その圧力センサ(筒内圧力センサ)25からの信号をECU30に入力する。これにより、ECU30は、筒内圧力センサ25からの信号に基づいて、噴射燃料のペネトレーションLを予測することが可能となる。
ただし、燃焼室3内の圧力を計測するセンサは一般に高価であり、しかも燃焼室3内に取り付ける手間がかかるため、コストアップに繋がる懸念がある。そこで、燃焼室3内の圧力を直接検知するのではなく、燃焼室3内に供給される空気温度などから燃焼室3内の圧力、または温度を間接的に検知(推定)するようにしてもよい。すなわち、圧縮開始前の吸気温度から圧縮行程中の燃焼室3内の圧力、または温度を推定可能であるので、吸気流路7に温度センサを設置してその検知信号をECU30に入力し、燃焼室3内の圧力、または温度を推定するようにしてもよい。
また、過給機(ターボチャージャー、スーパーチャージャー)などを用いているディーゼルエンジンの場合は、吸気圧センサの信号をECU30に入力することで、圧縮行程中の燃焼室3内の圧力、または温度を推定するようにしてもよい。過給機がある場合も、圧縮開始前の燃焼室3内の温度と圧力が分かれば、圧縮行程中の燃焼室3内の圧力と温度は予測可能である。
また、噴射燃料のペネトレーションLは、燃焼室3内の圧力或いは温度に応じて変化するため、燃焼室3内の温度や圧力と噴射前の燃料の元圧に対する噴射燃料のペネトレーションLとの関係を予め実験などによって求めておいて、そのデータをECU30に記憶させておくようにすれば、ECU30は、直接または間接的に検知された燃焼室3内の圧力或いは温度を記憶しているデータと照合することで、噴射燃料のペネトレーションLを簡便に予測することが可能となる。
図4(a)、(b)は、インジェクタ4の先端(燃料噴射孔42が設けられたノズルボディ41先端)とピストン1上面との位置関係を模式的に示す断面図である。これら図4(a)及び図4(b)に示すように、ピストン1の上面には、キャビティ1aと呼ばれる窪みが形成されているのが一般的である。また、インジェクタ4は、燃焼室3上面のシリンダヘッド部に、シリンダ2のほぼ中心に位置して設置されているのが一般的である。
インジェクタ4から燃焼室3内への燃料の噴射方向は、インジェクタ4のノズルボディ41先端に設けられた燃料噴射孔42の向きに沿うため、燃焼室3内における噴射燃料の進行方向は、燃料噴射孔42の穿設角度によって決まることになる。ここで、この噴射燃料の進行方向に沿ったインジェクタ4先端からピストン1上面までの距離(ピストン1上面にキャビティ1aがある場合は、キャビティ1aも含んだピストン1上面までの距離)Dが、噴射燃料のペネトレーションL(ここでは、噴射燃料が液相の状態で到達する距離を意味し、気化した後に進む距離は無視している。)よりも短い、言い換えると、噴射燃料のペネトレーションLが噴射燃料の進行方向に沿ったインジェクタ4先端とピストン1上面との間の距離Dを越えるほどに過大となっていると、噴射燃料が液相の状態でピストン1上面に付着することになる。そこで、ECU30は、噴射燃料のペネトレーションLを予測するとともに、インジェクタ4先端とピストン1上面との間の距離Dを算出して、噴射燃料のペネトレーションLがインジェクタ4先端とピストン1上面との間の距離Dよりも大きいと判断したときに、インジェクタ4内部に設けられた燃料加熱ヒータ24を作動させて噴射燃料を加熱し、噴射燃料のペネトレーションLを低下させる。なお、上記の説明では、インジェクタ4先端からピストン1上面までの距離Dと噴射燃料のペネトレーションL、すなわち噴霧貫徹力という、距離と力というディメンジョンの異なるものを比較することで説明したが、直接比較を行うという意味ではなく、ディメンジョンを合わせたうえで行うものである。
インジェクタ4先端とピストン1上面との間の距離Dは、図4(a)と図4(b)を比べると分かるように、ピストン1の位置によって変化する。ピストン1の位置は、クランクシャフト17のクランク角から算出することが可能であり、ECU30は、クランク角センサ18からの信号を受けてクランク角を認識しているため、ピストン1の位置も認識していると言える。また、インジェクタ4先端とピストン1上面との間の距離Dは、インジェクタ4の位置や、燃料噴射孔42の向き、角度、ピストン1のストロークなどが決まってしまえば、クランク角の位置によって一義的に決定されるため、ECU30は、クランク角に対する上述の距離Dを予め記憶しておくことで、上述した距離Dを簡単に求めることができる。
図5は、ECU30による燃料加熱ヒータ24の動作制御の概要を示すフローチャートである。ECU30は、まずステップS1において、例えばクランク角センサ18や燃料圧センサ22、筒内圧力センサ25などの各種センサからの信号を読み込む。次に、ステップS2において、ステップS1で読み込んだ信号に基づいて、次回に噴射される燃料のペネトレーションLを予測する。また、ステップS3において、ステップS1で読み込んだ信号に基づいて、インジェクタ4先端からピストン1上面までの距離Dを算出する。そして、ステップS4において、ステップS2で予測した噴射燃料のペネトレーションLが、ステップS3で算出したインジェクタ4先端からピストン1上面までの距離Dよりも大きいか否かを判断する。ここで、噴射燃料のペネトレーションLがインジェクタ4先端からピストン1上面までの距離Dよりも大きいと判断した場合は、次のステップS5において、燃料加熱ヒータ24の発熱要素に通電して燃料の加熱した後、ステップS6において、加熱した燃料をインジェクタ4から噴射させる。一方、噴射燃料のペネトレーションLがインジェクタ4先端からピストン1上面までの距離Dに満たないと判断した場合には、燃料加熱を行うことなく、インジェクタ4からの燃料噴射を実行する。
なお、図5に示した例では、噴射燃料のペネトレーションLを予測するとともにインジェクタ4先端からピストン1上面までの距離Dを算出して、これらを比較することで燃料加熱ヒータ24による燃料加熱の要否を判定しているが、実際には燃焼室3内の局所的な気流の流れや、燃焼室3内の温度分布などによる変動要因が存在する。そして、ECU30では、このような変動要因までも含めた正確なペネトレーションLの予測や距離Dの算出は困難である。そのため、予測したペネトレーションLが距離Dよりも若干小さい場合であっても、噴射燃料が液相の状態でピストン1上面に付着してしまう可能性がある。そこで、以上のような変動要因に起因した燃料加熱要否の誤判定を防止するために、算出した距離Dに1よりも小さい補正係数を乗算し、予測した噴射燃料のペネトレーションが、補正係数×距離Dよりも大きい場合に、燃料を加熱するような制御を行うようにしてもよい。ここで、補正係数の値は、実験などで予め決定しておけばよい。
また、燃料の加熱は、噴射燃料のペネトレーションLを上述した距離Dよりも小さくなるまで低下できればよいので、ECU30は、図6に示すように、算出した距離Dに応じて燃料加熱ヒータ24による燃料の加熱量を増減させるようにしてもよい。図6に示す例では、ECU10は、噴射燃料のペネトレーションLがインジェクタ4先端からピストン1上面までの距離Dよりも大きいと判断した場合に、まずステップS51において、距離Dに応じた加熱量を演算し、この加熱量で燃料が加熱されるように、ステップS52において燃料加熱ヒータ24の動作を制御する。そして、ステップS6において、所望の温度に加熱した燃料をインジェクタ4から噴射させる。この場合は、燃料加熱ヒータ24により必要な量だけ燃料を加熱することができるので、加熱に要する電力などを削減することが可能である。
また、インジェクタ4先端からピストン1上面までの距離Dが非常に短くなっている場合(クランク角が圧縮上死点付近にある場合)は、噴射燃料のペネトレーションLを大幅に低下させる必要がある。この場合には、噴射直後に気化する温度となるまで、燃料加熱ヒータ24により燃料を加熱することが有効である。燃料を噴射直後に気化する温度にまで加熱すれば、噴射された燃料が燃焼室3内ですぐに沸騰を開始して微粒化が促進され、その結果、噴射燃料のペネトレーションLが大幅に低下することになる。
ところで、運転中の燃焼室3内の壁温は外気温と比べて非常に高温であるが、運転開始時の温度はほぼ外気温と等しくなっている。そのため、始動時は燃焼室3内の温度が低く、始動時特有の問題が発生する。例えば、燃料が気化しにくいなどはその問題の一つである。燃料は気化しないと燃焼しないため、内燃機関は運転に必要なエネルギを燃焼(爆発)から受け取ることができず、運転を継続できない。そこで、一般的な対策として始動時は通常時と比べて燃料の噴射量を増加させるようにしているが、大量に噴射した燃料の多くは燃焼に寄与することなく未燃ガスとして排気されてしまい、燃費悪化の要因となる。そこで、始動時においては、燃料噴射量を増加させることなく噴射燃料の気化を促進できるように、噴射燃料のペネトレーションLが過大となっているか否かに係わらず、燃料加熱ヒータ24により燃料を加熱してから噴射させるようにしてもよい。
また、始動時は燃焼室3の壁面の温度が低いため、圧縮時に燃焼室3内の空気の温度が壁面から逃げてしまい、燃料が自己着火する温度まで燃焼室3内を加熱できない場合がある。この対策として、ディーゼルエンジンの場合は、通常、燃焼室3内にグロープラグを設置してこのグロープラグを通電により発熱させ、そこに触れた燃料が高温になって燃焼を起こすことによって、燃焼室3内の温度を上昇させて、グロープラグに触れていない燃料までを燃焼させるようにしている。ここで、上述したように、内燃機関の始動時に燃料加熱ヒータ24により燃料を加熱する場合、燃料が噴射直後に自己着火する温度となるまで当該燃料を燃料加熱ヒータ24により加熱するようにすれば、グロープラグの設置を省略することが可能になる。すなわち、燃料が噴射直後に自己着火する温度となるまで燃料加熱ヒータ24で加熱することで、噴射後直後に燃料は燃焼を始める。そして、燃料の一部が燃焼すれば、その熱によって周囲に存在する燃料は連続的に燃焼を起こすので、グロープラグの設置は不要となる。
以上説明したように本実施例では、燃焼室3内の圧力と温度との少なくとも何れかに基づいて噴射燃料の噴霧到達距離を予測し、噴射燃料の噴霧到達距離が過大となり、噴射燃料が液相の状態で前記ピストン1の上面に付着する可能性があることが予測される場合には、噴射燃料を燃料加熱ヒータ24で加熱してから噴射させることによって噴射燃料のペネトレーションLを低下させて、液相の噴射燃料が燃焼室3の壁面に付着することを防止することができる。
従って、構造を複雑化することなく、液相の噴射燃料が壁面に付着することを防止することができるという効果が得られる。
[第2実施例]
次に、直噴式ガソリンエンジンに本発明を適用した第2実施例について、図面を参照しながら説明する。図7は直噴式ガソリンエンジンの概要を示す模式図であり、図8は図7に示した直噴式ガソリンエンジンの制御系のブロック図である。また、図9はインジェクタ4の先端とピストン1上面との位置関係を模式的に示す断面図である。なお、図中、第1実施例と同様の構成については同一の符号を付している。
直噴式ガソリンエンジンとディーゼルエンジンとの大きな違いは、点火プラグ50である。すなわち、直噴式ガソリンエンジンは、上述したように火花点火式燃焼機関なので、インジェクタ4から燃焼室3内に噴射された燃料を点火プラグ50によって着火させる必要がある。この点火プラグ50は、図7に示すように、ディーゼルエンジンにおけるインジェクタ4の位置、すなわち燃焼室3上面のシリンダヘッド部の中心位置に設置されることが多い。
また、インジェクタ4は、図7及び図9に示すように、成層燃焼時にピストン1上面のキャビティ1aに燃料を反射させて、その燃料が点火プラグ50周辺に集まるような位置に設置される。このような位置に設置される理由は、成層燃焼は燃焼室3全体で見ればリーンな状態、すなわち理論混合比(ストイキオメトリック)よりも燃料が少ない状態で燃焼させるためであり、点火プラグ50の周辺に燃料を集めて、その周辺の着火性を向上させるためである。つまり、燃焼室3内の燃料がリーンな状態では、特に火炎の体積が小さい場合(点火プラグ50によって点火された直後の状態)には、燃焼で発生した熱量に対して、点火プラグ50や燃焼室3壁面に逃げていく熱量が大きくなることも想定され、このような場合、火炎の体積が増加せず(つまり、火炎の伝播が起こらない)、燃焼室3全体が燃焼を起こさずに極小体積の一部分のみが燃焼を起こして、失火してしまうことがある。そこで、インジェクタ4を上述した位置に設置することで、点火プラグ50の周辺に比較的濃い燃料の雰囲気を作って、失火を予防するようにしている。
以上のような直噴式ガソリンエンジンにおいても、インジェクタ4から燃焼室3内に噴射される燃料のペネトレーションLが過大となると、噴射燃料が液相の状態でピストン1上面に付着する問題が発生する。そこで、第1実施例と同様に、ECU30が、燃焼室3内の圧力或いは温度をもとに噴射燃料のペネトレーションLを予測して、噴射燃料のペネトレーションLがインジェクタ4先端からピストン1上面までの距離Dよりも大きくなると判断した場合には、インジェクタ4内部に設けられた燃料加熱ヒータ24により噴射燃料を加熱する処理を実行して、噴射燃料のペネトレーションLを低下させる。
ここで、インジェクタ4先端からピストン1上面までの距離Dは、図9に示すとおり噴射された燃料の広がりも考慮したインジェクタ4先端とピストン1上面との間の最短距離のことであり、第1実施例と同様である。第1実施例と第2実施例とではインジェクタ4の設置位置が異なるが、この距離Dの定義は変らない。また、ECU30が噴射燃料のペネトレーションLを求める手法も、上述した第1実施例と同様である。
直噴式ガソリンエンジンにおいては、成層燃焼の場合に、ECU30が上述した燃料加熱の要否を判断して燃料加熱ヒータ24による加熱を実行すればよい。すなわち、均質燃焼時にはピストン1上面までの距離Dが十分に長いため、インジェクタ4から噴射された燃料が液相の状態でピストン1上面に付着することはないと考えられるためである。
ただし、ディーゼルエンジンの場合と同様に、始動時は燃焼室3内の空気や壁面の温度が低いため、この場合のみは均質燃焼、あるいは成層燃焼にかかわらず、燃料加熱ヒータ24による燃料の加熱を行うようにしてもよい。
以上説明したように本実施例では、第1の実施例と同様に、燃焼室3内の圧力と温度との少なくとも何れかに基づいて噴射燃料の噴霧到達距離を予測し、噴射燃料の噴霧到達距離が過大となり、噴射燃料が液相の状態で前記ピストン1の上面に付着する可能性があることが予測される場合には、噴射燃料を燃料加熱ヒータ24で加熱してから噴射させることによって噴射燃料のペネトレーションLを低下させて、液相の噴射燃料が燃焼室3の壁面に付着することを防止することができる。
従って、構造を複雑化することなく、液相の噴射燃料が壁面に付着することを防止することができるという効果が得られる。
[変形例]
以上、本発明を適用した具体的な実施例として第1実施例及び第2実施例を例示したが、本発明の技術的範囲は以上の実施例で開示した内容に限定されるものではなく、これらの開示から容易に導きうる様々な変形、変更、代替技術なども含むものである。例えば、上述した実施例では、燃焼室3内の圧力や温度から予測した噴射燃料のペネトレーションLがインジェクタ4先端からピストン1上面までの距離Dよりも大きい場合に、燃料加熱ヒータ24による燃料の加熱を実行してペネトレーションLを低下させるようにしているが、ピストン1上面以外の燃焼室3内周面への燃料付着の可能性も考慮して、ピストン1の位置に拘わらず、予測した噴射燃料のペネトレーションLが規定値を超える場合にペネトレーションLが過大と判断して、燃料加熱ヒータ24による燃料の加熱を実行するようにしてもよい。
また、上述した実施例では、燃料加熱ヒータ24を内蔵する1つのインジェクタ4を用いて、燃料加熱ヒータ24を作動させるか否かにより噴射燃料の加熱/非加熱を切り替えるようにしているが、燃料加熱ヒータ24を内蔵するインジェクタ4のほかに、ヒータが設けられていない一般的なインジェクタも設置するようにして、予測した噴射燃料のペネトレーションLに応じて、燃料加熱ヒータ24を内蔵するインジェクタ4からの加熱した燃料の噴射、つまりペネトレーションLを低下させた燃料の噴射と、一般的なインジェクタからの燃料の噴射とを切替えながら行うようにしてもよい。
ディーゼルエンジンの概要を示す模式図である。 ディーゼルエンジンの制御系のブロック図である。 内部に燃料加熱ヒータが設けられたインジェクタの具体例を示す縦断面図である。 インジェクタの先端とピストン上面との位置関係を模式的に示す断面図である。 ECUによる燃料加熱ヒータの動作制御の概要を示すフローチャートである。 ECUによる燃料加熱ヒータの動作制御の概要を示すフローチャートであり、ピストン上面までの距離に応じて加熱量を増減させる場合のフローチャートである。 直噴式ガソリンエンジンの概要を示す模式図である。 直噴式ガソリンエンジンの制御系のブロック図である。 インジェクタの先端とピストン上面との位置関係を模式的に示す断面図である。
符号の説明
1 ピストン
2 シリンダ
3 燃焼室
4 インジェクタ
18 クランク角センサ
24 燃料加熱ヒータ
25 筒内圧力センサ
30 ECU

Claims (8)

  1. ピストン上面とシリンダ内周面との間に形成される燃焼室内に燃料噴射装置から燃料を直接噴射する直噴式のエンジンにおいて、
    前記燃料噴射装置から前記燃焼室内に噴射される燃料を加熱可能に配置されたヒータと、
    前記燃焼室内の圧力と温度との少なくとも何れかを検知する燃焼室状態検知手段と、
    前記燃焼室状態検知手段の検知結果に基づいて前記燃料噴射装置から前記燃焼室内に噴射される燃料の噴霧到達距離を予測する噴射燃料到達距離予測手段と、
    前記噴射燃料到達距離予測手段により予測された噴射燃料の噴霧到達距離に基づいて、噴射燃料が液相の状態で前記燃焼室の壁面に付着する可能性を判定する壁面付着可能性判定手段と、
    前記壁面付着可能性判定手段により噴射燃料が液相の状態で前記燃焼室の壁面に付着する可能性があると判定した場合には、前記燃料噴射装置から前記燃焼室内に噴射される燃料を前記ヒータにより加熱する燃料加熱手段とを備えることを特徴とする直噴式エンジン。
  2. 前記ピストンの位置を検知するピストン位置検知手段をさらに備え、
    前記壁面付着可能性判定手段は、前記噴射燃料到達距離予測手段により予測された噴射燃料の噴霧到達距離と前記ピストン位置検知手段の検知結果とに基づいて、噴射燃料が液相の状態で前記ピストンの上面に付着する可能性を判定し、
    前記燃料加熱手段は、前記壁面付着可能性判定手段により噴射燃料が液相の状態で前記ピストンの上面に付着する可能性があると判定した場合に、前記燃料噴射装置から前記燃焼室内に噴射される燃料を前記ヒータにより加熱することを特徴とする請求項1に記載の直噴式エンジン。
  3. 前記燃料加熱手段は、前記燃料噴射装置の噴射孔から前記ピストンの上面までの距離に応じて、前記ヒータによる加熱量を増減することを特徴とする請求項2に記載の直噴式エンジン。
  4. 前記燃料加熱手段は、前記燃料噴射装置から前記燃焼室内に噴射される燃料が噴射直後に気化する温度となるまで、当該燃料を前記ヒータにより加熱することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の直噴式エンジン。
  5. 前記噴射燃料到達距離予測手段は、前記燃焼室内の圧力と温度との少なくとも何れかと噴射燃料の噴霧到達距離との関係を予め実験によって求めたデータを記憶しており、前記燃焼室状態検知手段の検知結果を当該データと照合することで、噴射燃料の噴霧到達距離を予測することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の直噴式エンジン。
  6. 前記燃料加熱手段は、エンジン始動時においては、前記噴射燃料到達距離予測手段により予測された噴射燃料の噴霧到達距離に拘わらず、前記燃料噴射装置から前記燃焼室内に噴射される燃料を前記ヒータにより加熱することを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の直噴式エンジン。
  7. 圧縮自己着火式燃焼を行うディーゼルエンジンであって、
    前記燃料加熱手段は、前記燃料噴射装置から前記燃焼室内に噴射される燃料が噴射直後に自己着火する温度となるまで、当該燃料を前記ヒータにより加熱することを特徴とする請求項6に記載の直噴式エンジン。
  8. ピストン上面とシリンダ内周面との間に形成される燃焼室内に燃料噴射装置から燃料を直接噴射する直噴式エンジンの制御方法であって、
    前記燃焼室内の圧力と温度との少なくとも何れかを検知して、その検知結果に基づいて前記燃料噴射装置から前記燃焼室内に噴射される燃料の噴霧到達距離を予測し、予測した噴射燃料の噴霧到達距離から当該噴射燃料が液相の状態で前記燃焼室の壁面に付着する可能性があると判定される場合に、前記燃料噴射装置から前記燃焼室内に噴射される燃料をヒータにより加熱した後に噴射させることを特徴とする直噴式エンジンの制御方法。
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