JP2009035056A - 燃料タンク - Google Patents
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Abstract
【解決手段】樹脂材料によって形成され、平面視における中央部に上面部10と下面部20とを突き当てた状態で接合した突き当て部30を有する燃料タンク1を、突き当て部における上面部と下面部との間に、弾性を有する材料によってシート状に形成され、両面がそれぞれ上面部と下面部とに接合されたインサート部材40を設けた構成とする。
【選択図】図2
Description
従来、樹脂製燃料タンクにおいて、走行中の燃料の流動音を低減する目的で、タンク内に取付けられる樹脂製部品や燃料タンク本体の内面部からタンク内へ突出した流動干渉体を、これらと一体に形成したものが知られている(例えば、特許文献1、2を参照)。
本発明の課題は、上下面の付き当て部近傍における応力集中を緩和した燃料タンクを提供することである。
請求項1の発明は、樹脂材料によって形成され、平面視における中央部に上面部と下面部とを突き当てて接合した突き当て部を有する燃料タンクであって、前記突き当て部における前記上面部と前記下面部との間に、弾性を有する材料によってシート状に形成され、両面がそれぞれ前記上面部と前記下面部とに接合されたインサート部材を設けたことを特徴とする燃料タンクである。
請求項3の発明は、請求項2に記載の燃料タンクにおいて、前記インサート部材は、前記燃料タンクの側面部と前記付き当て部との間にわたして設けられ、該側面部と該付き当て部との間の部分が前記仕切部として機能することを特徴とする燃料タンクである。
請求項5の発明は、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の燃料タンクにおいて、前記インサート部材は、前記上面部及び前記下面部をブロー成型によって形成する前に該上面部及び該下面部をそれぞれ構成するパリソンの内側にシート状に押し出して形成されることを特徴とする燃料タンクである。
(1)突き当て部における上面部と下面部との間に、弾性を有する材料によってシート状に形成されたインサート部材を設けたことによって、上面部と下面部とを離間させる方向の荷重が作用した場合に、インサート部材が変形することによって、上面部及び下面部の接合部近傍におけるコーナ部等の応力集中を緩和することができる。
(2)インサート部材の一部に突き当て部から張り出した仕切部を設けたことによって、この仕切部が燃料減少時の流動音低減用バッフルとして機能し、騒音を低減することができる。
(3)燃料タンクの内面を構成する材料よりも硬度が低い材料でインサート部材を形成することによって、上述した応力集中を緩和する機能を向上することができる。
(4)インサート部材を、上面部及び下面部をブロー形成する前に、上面部及び下面部をそれぞれ構成するパリソンの内側にシート状に押し出して形成することによって、燃料タンクの外面をブロー成型する際にインサート部材も同時に形成することができ、燃料タンクの製造工程が煩雑になることを防止できる。
図1は、燃料タンクを上方側から見た平面図である。
図2は、図1のII−II部矢視断面図である。
燃料タンク1は、例えば乗用車等の自動車に用いられ、車両後部床下側に装着され、ガソリン等の燃料が貯留される。燃料タンク1は、樹脂材料を用いた多層ブロー成型によって形成されている。この成型工程については後に詳しく説明する。
図2に示すように、燃料タンク1は、対向して配置された上面部10及び下面部20を有する。上面部10及び下面部20は、燃料タンク1の主要部分において上下方向に間隔を隔てて配置され、この間隔内に燃料が貯留される空間部Sが形成される。上面部10及び下面部20は、その主材部分が例えばポリエチレン系等の樹脂材料によって形成されている。
上面部10及び下面部20の外周縁部は、燃料タンク1の側面部、前面部、後面部等まで回り込んで形成され、これらの端部は、燃料タンク1の全周にわたって接合されている。
そして、燃料タンク1の平面視において、この凹部4の車幅方向及び前後方向の中央部に相当する箇所には、強度向上のため上面部10と下面部20とを突き当てて接合された突き当て部30が形成されている。
突き当て部30においては、上面部10はカップ状に下側に張り出して形成され、下面部20はカップ状に上側に張り出して形成されている。そして、上面部10及び下面部20のこれらのカップ状部は、その底面どうしを対向させた状態で配置されている。
インサート40は、燃料タンク1の前後方向におけるほぼ中央部に配置され、車幅方向にほぼ沿って燃料タンク1のほぼ全幅にわたって設けられた帯状の部材である。
インサート40の車幅方向における両端部は、燃料タンク1側部に設けられた上面部10及び下面部20の接合部(燃料タンク1の側面部)において、これらと融着によって接合されている。
そして、インサート40の車幅方向における中央部は、上述した突き当て部30において、上面部10及び下面部20とに挟持され、これらとそれぞれ融着によって接合されている。
また、インサート40における燃料タンク1の側面部と突き当て部30との間の領域は、燃料タンク1内の空間部Sの一部を上下方向に区画する仕切部となる。
突き当て部30において、インサート40の上側の面は、上面部10の下側の面と融着により接合されている。また、インサート40の下側の面は、下面部20の上側の面と融着により接合されている。すなわち、突き当て部30において、上面部10及び下面部20は、インサート40を介して接合されている。
図4は、実施例の燃料タンクの製造工程を示す模式図である。図4(a)は、ダイからパリソンを押し出した状態を示す。図4(b)は、パリソンを金型内に配置し、ブロー成型によって膨張させている途中の状態を示す。図4(c)は、ブロー成型の終了後に製品を金型から取り外した状態を示している。
これらの工程においては、押出機110、ダイ120、及び、二つ割に形成された一対の金型130,140等を用いる。
ダイ120は、押出機110から供給される樹脂を、それぞれ上面部10、下面部20、インサート40となるパリソン10P、20P、40Pとして押し出すものである。ここで、インサート40(パリソン40P)の材料は、バリア層11、21の材料に対して、硬度及び弾性率が低く、柔軟性のあるものが用いられる。
パリソン10P及びパリソン20Pは、中空のチューブ状に形成され、パリソン40Pはその内側に押し出される。
金型130,140は、それぞれ燃料タンク1の上面部10及び下面部20を成型するキャビティが形成されている。
その後、図4(b)に示すように、金型130、140内に閉じこまれたパリソン10Pとパリソン20Pとの間に、ダイ120の中央部に設けられた図示しないノズルから空気を吹き込んで、パリソン10P、20Pを膨張させる。膨張したパリソン10P、20Pは、空気の圧力によって金型130、140のキャビティ内面に押し付けられることによって成型される。
そして、図4(c)に示すように、各パリソンが固化した後に空気を抜き、金型130、140を開いて製品(燃料タンク1)が取り出される。
図5(a)、図5(b)は、本発明の比較例1及び比較例2における突き当て部30近傍を示す断面図であって、上述した実施例における図3に相当する断面を示している。
比較例1の燃料タンクは、実施例の構成からインサート40を取り除き、突き当て部30において、上面部10と下面部20とを直接融着して固定している。
図5(a)に示す比較例1の燃料タンクにおいて、例えば車両の衝突等によって、突き当て部30近傍の上面部10と下面部20とを離間させる方向の荷重Fが作用した場合、突き当て部30近傍の上面部10及び下面部20のコーナ部Cには応力集中が生じる。
図5(b)に示す比較例2は、上述した応力集中に対処するため、比較例1に対してコーナ部Cの極率(R)を大きくしたものである。このように、コーナ部のRを大きくすれば、比較例1で問題となるような応力集中を緩和することはできるが、この場合、燃料タンクを設計する際の形状設定の自由度が低下し、燃料タンクの容量も減少する。さらに、燃料タンクの金型製作後に応力集中の緩和が不十分であることが判明した場合には、大掛かりな型改修が必要となってコスト、時間がかかってしまう。
図6(b)に示すように、実施例においては、上面部10と下面部20とを離間させる方向の荷重Fが作用すると、突き当て部30におけるインサート40が厚みを増すように弾性変形し、上面部10と下面部20との相対変位を許容する。本実施例の場合には、このインサート40の変形によって、上面部10及び下面部20のコーナ部に作用する応力が低減し、燃料タンク1の形状を変更することなくこれらコーナ部の応力集中を緩和することができる。
また、実施例においては、インサート40の材料の硬度及び弾性率を燃料タンク1の内面を構成するバリア層11、21の材料よりも低くすることによって、上面部10と下面部20との相対変位を許容しやすくなり、上述した応力集中緩和効果を促進することができる。
さらに、このようなインサート40の追加は、既存の燃料タンクの金型をほとんど改修することなく実施できるため、既存の燃料タンクにも容易に行うことができる。
本発明は、以上説明した実施例に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内である。
例えば、燃料タンクの形状や構造は、上述した実施例のものに限らず、適宜変更することができる。例えば、インサート部材を上面部、下面部とは別の材料で形成してもよい。また、製造方法も実施例の製造方法には限定されない。
4 凹部 S 空間部
10 上面部 11 バリア層
20 下面部 21 バリア層
30 突き当て部 40 インサート
C コーナ部
110 押出機 120 ダイ
130,140 金型
10P,20P,40P パリソン
Claims (5)
- 樹脂材料によって形成され、平面視における中央部に上面部と下面部とを突き当てて接合した突き当て部を有する燃料タンクであって、
前記突き当て部における前記上面部と前記下面部との間に、弾性を有する材料によってシート状に形成され、両面がそれぞれ前記上面部と前記下面部とに接合されたインサート部材を設けたこと
を特徴とする燃料タンク。 - 請求項1に記載の燃料タンクにおいて、
前記インサート部材は、その一部が前記付き当て部から張り出して形成され、燃料が収容される空間部内の一部を上下方向に区画する仕切部を有すること
を特徴とする燃料タンク。 - 請求項2に記載の燃料タンクにおいて、
前記インサート部材は、前記燃料タンクの側面部と前記付き当て部との間にわたして設けられ、該側面部と該付き当て部との間の部分が前記仕切部として機能すること
を特徴とする燃料タンク。 - 請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の燃料タンクにおいて、
前記インサート部材は、該燃料タンクの内面を構成する材料よりも硬度が低い材料によって形成されること
を特徴とする燃料タンク。 - 請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の燃料タンクにおいて、
前記インサート部材は、前記上面部及び前記下面部をブロー成型によって形成する前に該上面部及び該下面部をそれぞれ構成するパリソンの内側にシート状に押し出して形成されること
を特徴とする燃料タンク。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPH09117956A (ja) * | 1995-08-11 | 1997-05-06 | Solvay & Cie | 熱可塑性材料で作られた中空体の内部に構成部品を固着する方法 |
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