JP2009034567A - ローラの塗工方法及び塗工装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】円柱状基層に塗工液を均一な膜厚で簡易かつ効率よく塗布する方法及び装置を提供する。
【解決手段】塗工液を収容する液槽と円柱状基層に塗工液を塗布する塗工機構と液槽から塗工機構に塗工液を供給する塗工液供給機構を有する塗工装置を用い、長手方向中間部から両端部に向かって直径が大きくなっている弾性を有するチューブ状弾性体を塗工機構の円柱状基層に接触させる部分に用い、塗工液供給機構によって塗工液を前記弾性体に供給し加圧媒体を前記弾性体の内部に供給して前記弾性体を膨張させた状態で前記弾性体を円柱状基層の周面に接触させることで円柱状基層の周面に塗工液を塗布する工程と、円柱状基層の周面に塗工液を塗布した後前記弾性体の内部から加圧媒体を排出しつつ円柱状基層と前記弾性体とを円柱状基層の中間から両端部に向かって連続的に離間させる工程とを有する。この方法を行うに好適な装置。
【選択図】図1

Description

本発明は、複写機やプリンタ等の電子写真装置などに用いられる、表層を有するローラを作製するに好適な、ローラに液体を塗工する塗工方法および装置に関する。
複写機やプリンタなどの電子写真装置には表層を有するローラが用いられている。このようなローラには、良好な画像を得るために、均一な膜厚の表層を形成することが求められている。
従来、ローラ表面に均一な膜厚の表層を形成する塗工方法としてスプレー塗工法や縦ディップ法、ロールコート法が用いられている。
スプレー塗工法は、スプレーガンにより噴出された塗工液が円柱状基層表面に到達する前に溶剤が気化し、乾燥固化した粒子が円柱状基層表面に付着し、平滑性の良い塗工表面を得難く膜厚の制御も困難である場合がある。またスプレー塗工法は、塗工液の利用効率が悪い面も持っている。
ロールコート法や縦ディップ法は、塗工液の利用効率が良く塗工液のコスト面で有利な点が有る。
縦ディップ法は、芯金の一方の端部を保持し、円柱状基層を縦にした状態で塗工液に浸漬した後、塗工液から引き上げることによって、円柱状基層の表面に塗工液を塗布する方法である。縦ディップ法では、円柱状基層の塗工液からの引き上げ速度や塗工液の粘度等をコントロールすることで、表層の膜厚を制御することができる。しかし、塗工条件により塗工に費やす時間が異なるため量産タクトに合せた取数の塗工装置を必要とする。また、円柱状基層全体を塗工液中に浸漬して塗布するため、塗布の必要のない芯金への塗布を防止する為に芯金にキャップ等のマスキングを必要とする。これにより塗工作業が煩雑となる。
ロールコート法として、円柱状基層を水平にして円柱状基層の一部を塗工液に浸漬し、この状態で円柱状基層を回転させながら徐々に塗工液から引き上げることによって、円柱状基層の表面に塗工液を塗工する方法がある。
またロールコート法として次のような方法もある。すなわち、水平に設置した金属ローラ(塗工ローラ)の一部を塗工液に浸漬し、この状態で回転させることで塗工液を汲み上げる。塗工する円柱状基層を、回転する塗工ローラに平行に配置し、回転させながら金属ローラに近づけて塗工液を塗布し、その後回転させながら塗工ローラから離間させる方法である。
ロールコート法では、円柱状基層の回転数、塗工液からの引き上げ速度、塗工液の粘度等をコントロールすることで、表層の膜厚を制御することができる。
しかし円柱状基層を塗工液に浸漬するロールコート法では、円柱状基層を塗工液から引離す際の液溜まりによる塗布ムラが生じ、膜厚の均一な表層を形成するのが困難である場合がある。しかも、液垂れ位置は不定位置であり、膜厚のバラツキ状態も個々の円柱状基層で異なるので、膜厚管理も容易とはいえない。
この液溜まりの発生を回避するために、円柱状基層が1回転してその外周全面に塗料が塗布された時点で、円柱状基層を塗工ローラから離間する方法がある。また円柱状基層を1回転以上回転させて塗布を終了した後、円柱状基層を塗工ローラから離間し、円柱状基層を回転させ続けて塗膜のレベリングを図る方法が報告されている(特許文献1)。
しかし、円柱状基層が1回転しかしない場合には、均一な塗膜を得ることは容易とはいえず、更に、塗工ローラから離間する際に発生する塗工液の継ぎ目が残る場合がある。また、レベリングによる塗膜方法は、精密な塗膜制御をしなければならない点で改善の余地がある。
特許文献2に、さらに改善されたロールコート法が記載される。この方法では、円柱状基層と塗工ローラを同一方向に回転しつつ塗工液を塗布し、塗工ローラと円柱状基層とを離間する際にメタリングロールと塗工液供給ローラの隙間を狭めることで塗工ローラ上の塗料膜厚を減少させる。しかし、この方法では円柱状基層に塗布した塗工液が塗工ローラとの間に表面張力状に液溜めを形成し離間する際に塗工液の継ぎ目が残る問題点が残る。
特開平3−12261号公報 特開平11−216405号公報
近年、電子写真技術の向上により、高速、高精細の画像形成が要望されており、そこに用いられる機能部材としての表層を有するローラにも、表層の厚さをより均一にすることが求められている。
本発明の目的は、円柱状基層の周面に塗工液をより均一な膜厚で、簡易かつ効率よく塗布する塗工方法および塗工装置を提供することである。これによって、より均一な膜厚の表層を有するローラを簡易かつ効率よく製造することが可能となる。
本発明により、ローラの円柱状基層の周面に、表層を形成するために塗工液を塗工するローラの塗工方法であって、
塗工液を収容する液槽と、円柱状基層に塗工液を塗布する塗工機構と、該液槽から該塗工機構に塗工液を供給する塗工液供給機構とを有する塗工装置を用い、
塗工液供給機構によって塗工液が供給された塗工機構に円柱状基層を接触させつつ該塗工機構および該円柱状基層を回転させ、その後、該円柱状基層を該塗工機構から離間させることによって、該円柱状基層の周面に該塗工液を塗工するローラの塗工方法において、
長手方向中間部から両端部に向かって直径が大きくなっている弾性を有するチューブ状弾性体を、該塗工機構の円柱状基層に接触させる部分に用い、
塗工液供給機構によって塗工液をチューブ状弾性体に供給し、気体または液体の加圧媒体を該チューブ状弾性体の内部に供給することにより該チューブ状弾性体を膨張させた状態で該チューブ状弾性体を円柱状基層の周面に接触させることによって、該円柱状基層の周面に該塗工液を塗布する工程と、
該円柱状基層の周面に該塗工液を塗布した後、該チューブ状弾性体の内部から該加圧媒体を排出しつつ円柱状基層と該チューブ状弾性体とを該円柱状基層の中間から両端部に向かって連続的に離間させる工程と
を有することを特徴とするローラの塗工方法が提供される。
本発明により、ローラの円柱状基層の周面に、表層を形成するために塗工液を塗工するローラの塗工装置であって、
塗工液を収容する液槽と、円柱状基層に塗工液を塗布する塗工機構と、該液槽から該塗工機構に塗工液を供給する塗工液供給機構とを有し、
塗工液供給機構によって塗工液が供給された塗工機構に円柱状基層を接触させつつ該塗工機構および該円柱状基層を回転させ、その後、該円柱状基層を該塗工機構から離間させることによって、該円柱状基層の周面に該塗工液を塗工するローラの塗工装置において、
該塗工機構の該円柱状基層に接触させる部分が、長手方向中間部から両端部に向かって直径が大きくなっている弾性を有するチューブ状弾性体であり、
気体または液体の加圧媒体を該チューブ状弾性体の内部に供給または排出して該チューブ状弾性体の内部の圧力を調整する圧力調整機構を有する
ことを特徴とする表層を有するローラの塗工装置が提供される。
本発明により、円柱状基層の周面に塗工液をより均一な膜厚で、簡易かつ効率よく塗布する塗工方法および塗工装置が提供される。これによって、より均一な膜厚の表層を有するローラを簡易かつ効率よく製造することが可能となる。
以下、図面を用いて、本発明について説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
本発明は、ローラ1の円柱状基層1aの周面に、表層を形成するために塗工液4を塗工するローラの塗工方法に関する(図1参照)。
用いる塗工装置は、塗工液を収容する液槽15と、円柱状基層に塗工液を塗布する塗工機構2と、液槽から塗工機構に塗工液を供給する塗工液供給機構3とを有する。
この方法では、塗工液供給機構によって塗工液が供給された塗工機構に円柱状基層を接触させつつ塗工機構および円柱状基層を回転させる。その後、円柱状基層を塗工機構から離間させることによって、円柱状基層の周面に塗工液を塗工する。
そして、長手方向中間部から両端部に向かって直径が大きくなっている弾性を有するチューブ状弾性体2aを、塗工機構2の円柱状基層1aに接触させる部分に用いる。
塗工液供給機構3によって塗工液4をチューブ状弾性体2aに供給し、気体または液体の加圧媒体をチューブ状弾性体2aの内部に供給することによりチューブ状弾性体を膨張させた状態で、チューブ状弾性体を円柱状基層の周面に接触させる。これによって、円柱状基層1aの周面に塗工液を塗布する。
このようにして円柱状基層の周面に塗工液を塗布した後、チューブ状弾性体2aの内部から加圧媒体を排出する。加圧媒体の排出に際して、排出の流量やチューブ状弾性体の内部圧力をコントロールすることでチューブ状弾性体の収縮をコントロールすることが可能になる。これによって、チューブ状弾性体の収縮により円柱状基層とチューブ状弾性体との離間位置が円柱状基層1aの中間位置からになる。
このように中間位置から離間を始め、更に加圧媒体を排出することで両端部に向かって連続的に円柱状基層からチューブ状弾性体を離間させることができる。
本発明は、ローラ1の円柱状基層1aの周面に、表層を形成するために塗工液を塗工するローラの塗工装置に関する。
この塗工装置は、塗工液4を収容する液槽15と、円柱状基層1aに塗工液を塗布する塗工機構2と、液槽から塗工機構に塗工液を供給する塗工液供給機構3とを有する。
この装置による塗工時には、塗工液供給機構によって塗工液が供給された塗工機構に円柱状基層を接触させつつ塗工機構および円柱状基層を回転させ、その後、円柱状基層を塗工機構から離間させる。これによって円柱状基層の周面に塗工液を塗工する。
そして、塗工機構2の円柱状基層1aに接触させる部分が、長手方向中間部から両端部に向かって直径が大きくなっている弾性を有するチューブ状弾性体2aである。
またこの塗工装置は、気体または液体の加圧媒体をチューブ状弾性体2aの内部に供給または排出してチューブ状弾性体の内部の圧力を調整する圧力調整機構を有する。
本発明では、塗工機構の円筒状基層に接触する部分に、両端部より長手方向中間部の直径を小さくしたチューブ状弾性体を用いる。このチューブ状弾性体の内部を液体または気体で加圧し、チューブ状弾性体を膨張させた状態で用いて円柱状基層の周面に塗工液を塗布する。その後、チューブ状弾性体の内部の加圧媒体を排出しつつ円柱状基層を塗工機構から離間させることで円柱状基層の周面に塗工液を均一な厚みで塗布しながら、上記離間を行うことができる。その結果、円柱状基層の周面への塗工液の塗布をより簡易に行うことができる。また、塗工装置においても、ブレードやローラの液切り機構を必要としない為、装置構成を簡略化かつ小型化することができる。
図1に示すように、ローラ1は、軸芯体1bの周りに円柱状基層1aを有する。この円柱状基層の外周面に、表層を設けるために、塗工液を塗工する。図1に示す塗工装置は、表層材である塗工液4を収容する液槽15を有する。またこの装置は、液槽内に周面の一部が浸漬するよう配置した塗工液供給機構3を有する。この装置はさらに、塗工液供給機構3の中心軸に対し中心軸が平行になるよう配置した塗工機構2を有する。塗工液供給機構3により供給された塗工液4は塗工機構2により円柱状基層1aの表面(外周面)に塗布される。
塗工液供給機構3をその周面の一部を液槽に浸漬させた状態で回転させることで、塗工液供給機構3の周面に液槽中の塗工液4を保持させる。さらに塗工機構2も回転する事で塗工機構2の周面にも塗工液4が保持される。塗工機構2周面に塗工液4が保持されたところに円柱状基層1を近づける事で、円柱状基層の表層を形成するための塗工液を円柱状基層に塗布できる。
円柱状基層はゴムまたは樹脂からなる基層であり、軸芯体をその端部から押出す様に搬送すると同時にゴムや樹脂も押出して、軸芯体の周りに層成形した基層部材を円柱状基層とすることができる。円柱状基層の周面にさらに塗工層を形成し、表層(表面層)を得ることができる。なお、軸芯体の周囲に層をなす、多層構造の中で最も厚い層を基層と呼び、ゴムまたは樹脂が用いられる。
〔塗工液供給機構〕
周面の一部を液槽に浸漬させた状態で使用する塗工液供給機構3の材質は特に限定されないが、精度的観点や耐溶剤的観点から金属製の物が望ましい。
また、回転させて使用するために塗工液供給機構の塗工機構に接触する部分は円柱状であることが好ましい。
例えば塗工液供給機構は、塗工液を供給するために塗工機構に接触させる大径の円柱部と、その両端に接続され支持軸として機能させる小径の円柱部を有するローラ状とすることができる。塗工液供給機構(特には塗工機構に接触させる部分)が円柱状である場合、その直径は12mm以上50mm以下が好ましい。また円柱状部を有する塗工液供給機構の回転速度は10rpmから1500rpmが好ましい。塗工液供給機構(塗工機構に接触させる部分)の直径が30mmの場合、その回転速度を200rpmにして用いる事がより好ましい。
塗工液供給機構3は円柱状に限るものではない。例えば、図6(a)または(b)にそれぞれ示すように、塗工液供給機構は歯車形状のような間欠的形状を用いる事もできる。
〔塗工機構〕
円柱状基層1に塗工液4を塗布する塗工機構2は、無加圧時の長手方向中間部の直径がチューブ両端部の直径よりも連続的曲線で小さくなっているチューブ状弾性体2aを有する(図2参照)。この弾性体は、その内部の加圧媒体を加圧することでチューブ中間部の直径をチューブ両端部の直径よりも連続的曲線で大きくし、媒体を排出することで元形状に戻ることが可能である。このチューブ状弾性体は、加圧媒体による加圧や減圧によりチューブ形状を変形できる適宜の弾性を有する。
塗工機構はチューブ状弾性体の内側に中空構造を有する。この中空部内を加圧媒体によって加圧したり、中空部から加圧媒体を排出したりする事によりチューブ状弾性体の形状が可変とされる。
チューブ状弾性体に用いられる材質には、塗工液4(特にはその希釈溶媒)に対する耐性に優れる弾性材が好ましい。例えば、EPDM(エチレン・プロピレン・ジエン共重合体)ゴムが好ましい。
また塗工機構は、回転させて使用するためチューブ状弾性体を加圧した状態で円筒状になるよう成形したチューブ状弾性体が好ましい。加圧した状態で円筒状であったチューブ状弾性体は、加圧媒体を排出することで、軸方向に収縮変形し、収縮変形しない長手方向両端の直径より収縮変形部は直径が小さくなる(図1および2に示した状態)。しかし塗工機構2内を加圧する事で、円柱状基層1の中間部での直径は長手方向における両端の直径と同等ないし大きくすることができる。
塗工液4を塗布する塗工機構2は、チューブ内の加圧媒体を加圧した状態のチューブ中央位置の直径が20mm以上50mm以下であって回転速度20rpm以上1500rpm以下で用いることが好ましい。より好ましくは塗工機構2の直径が30mmであって回転速度300rpmで用いる事が望ましい。なお塗工機構2内の加圧媒体が排出されている際、塗工機構2中間部の径は端部の径よりも小さく、端部の径とチューブ中央位置の径との差は1mm以上10mm以下が好ましく、4mmがより好ましい。
〔圧力調整機構〕
塗工機構2(特にはチューブ状弾性体)の形状を変えるために用いることのできる圧力調整機構の例を図3および図4に示す。図3には加圧媒体として液体、特には水を用いる装置、図4には空気などの気体を加圧媒体に用いる装置を示す。いずれの装置においても塗工機構2の中空部内の圧力を検知できる圧力計7と中空部内圧力が常に設定圧力になるよう圧力媒体の流量調整を行う弁を用いてチューブ状弾性体2aの変形を行なう。
以上説明したように、円柱状基体の外周面に表層を形成するために、塗工液供給機構3と塗工機構2を用いて塗工液4を円柱状基体1に塗布するローラの塗工方法において、本発明では次のようにする。すなわち、塗工機構2として、塗工機構2の、長手方向中間部から両端部に向かって直径が大きくなっているチューブ状弾性体に加圧媒体を充填して塗工機構2を膨張させ円柱状基層1の周面に塗工液4を塗布する。そしてその後、塗工機構2内に充填させた加圧媒体を排出し、円柱状基層1を塗工機構2から離間させる。これによりブレードやローラを必要としないで液切り離間することができる。
〔実施例1〕
図1に示す構成を有する塗工装置を用いて、ローラの円柱状基層1に塗工液4を塗布し、表層を有するローラを作製した。塗工機構2には図4に示す構成を有する、気体を加圧媒体に用いた圧力調整機構を接続した。
塗工液供給機構3は、ローラ周面にアヤメ処理を施した直径(大径部)30mmのステンレスロールを用いる。
塗工機構2には図2に示したようにチューブ状弾性体を用いる。
チューブ状弾性体は次のように作製した。すなわち、EPDM(エチレン・プロピレン・ジエン共重合体)ゴムに、導電性充填剤としてカーボンブラック、可塑剤としてパラフィンオイル、加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤等を練り込みながら添加した。直径20mmの金属シャフトにこの材料を巻き付け割型で成形して断面が円形のチューブ状の成形品を得た。この成形品を、160℃の雰囲気中で30分間、加硫させチューブ状弾性体(形状は未調整)を得た。加硫した形状未調整のチューブ状弾性体を、端部外直径30mm、長手方向中間部で外直径26mm、長さ240mmになるよう研磨処理し、目的とするチューブ状弾性体2aを得た。このチューブ状弾性体をシャフトから取り外し接着剤を予め塗布した軸芯体(シャフト2b)に圧入して両者を接着した。このシャフトは、シャフト内を加圧媒体が通過できるようパイプ材(直管)であり、チューブ状弾性体とシャフト間の空間に加圧媒体が出入りできるようシャフト周面に穴2c加工が施されている。チューブ状弾性体2aと軸芯体(シャフト2b)との間に空間を設けるためにカラー2dを設ける。
塗工を行う対象とする円柱状基層1aを有するローラ1は下記の要領で作製した。
・エピクロルヒドリンゴム:100質量部。
・四級アンモニウム塩: 2質量部。
・炭酸カルシウム: 45質量部。
・酸化亜鉛: 5質量部。
・脂肪酸: 5質量部。
以上の材料を60℃に調整した密閉型ミキサーにて10分間混練し、原料コンパウンドを調製した。このコンパウンドに、原料ゴムのエピクロルヒドリンゴム100質量部に対し加硫剤としての硫黄1質量部、次に示す加硫促進剤としてのジベンゾチアジルスルフィド1質量部及びテトラメチルチウラムモノスルフィド0.5質量部を加えた。これを20℃に冷却した2本ロール機にて10分間混練した。
ジベンゾチアジルスルフィド(商品名:ノクセラーDM、大内振興化学工業(株)社製)。
テトラメチルチウラムモノスルフィド(商品名:ノクセラーTS、大内振興化学工業(株)社製)。
得られたコンパウンドを、直径6mmステンレス製支持体(軸芯体1b)の周囲にローラ状になるように押出成型機にて成型し、加熱蒸気加硫した。この後、外直径8.5mm、ローラ長(円筒状基層の長手方向長さ)は228mmになるように研磨処理して弾性層(円筒状基層1a)を得た。
円柱状基層1に塗布する塗工液4は以下のようにして調整した。
・アクリルポリオール溶液:100質量部
(ダイセル化学社製、商品名:PLACCEL DC2016)。
・イソシアネートA(IPDI(イソホロンジイソシアネート)):22質量部
(デグサ社製、商品名:VESTANAT B1370)。
・イソシアネートB(HDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)):33質量部
(旭化成ケミカルズ社製、商品名:DURANATE TPA−B80E)。
・導電性粒子(戸田工業社製、商品名:CS−Bk100Y):56質量部。
・酸化チタン(テイカ社製、商品名:SMT−150IB):18質量部。
・PMMA(ポリメタクリル酸メチル)粒子(積水化成品工業社製、商品名:MAX−12):21質量部。
・変性ジメチルシリコーンオイル:1.7質量部
(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製、商品名:SH28PA)。
・メチルイソブチルケトン:400質量部。
以上の材料を、ミキサーを用いて攪拌し混合溶液を作製した。次いで、その混合溶液を循環式のビーズミル分散機を用いて分散処理(処理速度600ml/min)を行い、ロールコート用塗工液を作製し、液温21.0℃で比重0.927に調整し塗工液4とした。これを塗工液用液槽15に入れた。
なお、円柱状基層1の表面に形成する表層の膜厚は20μm〜30μmとする。
塗工液4に周面の一部を浸漬して設置した塗工液供給機構3に接触するように平行に配置する塗工機構2を有する塗工装置を用い、塗工液供給機構3を200rpmで回転させる。塗工機構2は塗工液供給機構3に接触回転するため、塗工液供給機構3と反対方向に同速で回転する。なお塗工機構2の内部は、排気開閉バルブ13を閉じ給気開閉バルブ12から空気を供給し、塗工機構2内の空気が0.2MPaの圧力になるよう圧力計7で制御しつつ加圧する。
加圧したチューブは、図7に示すように、チューブ端部の外径よりチューブ中央の外径が大きくなる。大きくなるチューブは、チューブ端部からチューブ中央に連続的に大きくなる。
塗工機構は、加圧媒体が流動出来るよう直径2mmの穴2cが周方向に2箇所、軸長手に4箇所空けられた、外径10mm、内径4mmのシャフト(軸芯体)2bを有する。塗工機構は、シャフトに加え、シャフトと同軸状になるよう配置した円柱状のチューブ状弾性体2a、シャフトとチューブ状弾性体を繋ぐと同時に、加圧媒体のシールドをも兼ねるカラー2dからなる。
加圧した塗工機構2に塗工液供給機構3と同方向に同周速で回転する円柱状基層1を近接させ円柱状基層1aの表面に塗工液4を塗布する。
円柱状基層1が1回転以上回転し周面に塗工液4が塗布されたら、塗工機構2の給気開閉バルブ12を閉じ、排気開閉バルブ13を開け塗工機構2内の加圧媒体を排気する。塗工機構2内が降圧する事で塗工機構2のチューブ状弾性体2aは弾性回復し徐々に中間部の径が小さくなる。これにより液離れ跡を円柱状基層1の両端にし、円柱状基層1を塗工機構2から離間させることでブレードやローラの液切り機構を必要としないで液切り離間することができる。
〔比較例1〕
図5に示すように、メタリングロール14と従来の塗工機構(アプリケータロール52)との間に隙間を設けた状態で塗工液供給機構3を回転させると、アプリケータロール52に塗工液4が汲み上げられる。アプリケータロール52が塗工液4で濡れたところで、ローラ1をアプリケータロール52に接触しない位置まで移動させて塗工を行う。ローラ1全体を塗工した後は、メタリングロール14をアプリケータロール52に接触させ液切りを行う。塗工液4の供給がなくなったローラ1はアプリケータロール52から離す。このようにして円筒状基層の周面に塗工液の塗布を行い、その外観の確認を行なった。ローラ1、塗工液4、塗工液供給機構3には実施例1と同様のものを用いた。
従来の塗工機構52とメタリングロール14間の隙間を狭める、または接触させて塗工機構2周面の塗工液の膜厚を少なくして円筒状基層を塗工機構から離間させる塗工方法でローラ1の円筒状基層の周面に塗工液を塗布した。このとき、膜厚が少なくなっても円柱状基層と塗工機構間に表面張力で塗工液4が溜まり、離間させるとき塗工ムラの発生が確認できた。
一方、本発明のように塗工機構2と円柱状基層1の隙間を円柱状基層1の中間部から両端に向かい連続的に離すことで塗工の液切れ位置が両端になり外観上良好な塗工を行なう事ができる。またメタリングロール14の液切り機構を必要としないため装置を簡略化、小型化できる。
本発明のローラへの塗工方法を説明するための模式図である 本発明に用いることのできる塗工機構の無加圧時の模式的断面図である。 本発明に用いることのできる加圧媒体に液体を用いた圧力調整機構の模式図である。 本発明に用いることのできる加圧媒体に気体を用いた圧力調整機構の模式図である。 メタリングロールを用いた従来の塗工方法を説明するための模式図である。 (a)および(b)はそれぞれ塗工液供給機構の例を示す模式図である。 本発明に用いることのできる塗工機構の加圧時の模式的断面図である。
符号の説明
1 ローラ
1a 円柱状基層
1b 軸芯体
2 塗工機構
2a チューブ状弾性体
2b シャフト(軸芯体)
2c 穴
2d カラー
3 塗工液供給機構
4 塗工液
7 圧力計
8 給水開閉バルブ
9 排水開閉バルブ
10 液供給ポンプ
11 塗工ローラ加圧液
12 給気開閉バルブ
13 排気開閉バルブ
14 メタリングロール
15 液槽
52 従来の塗工機構

Claims (2)

  1. ローラの円柱状基層の周面に、表層を形成するために塗工液を塗工するローラの塗工方法であって、
    塗工液を収容する液槽と、円柱状基層に塗工液を塗布する塗工機構と、該液槽から該塗工機構に塗工液を供給する塗工液供給機構とを有する塗工装置を用い、
    塗工液供給機構によって塗工液が供給された塗工機構に円柱状基層を接触させつつ該塗工機構および該円柱状基層を回転させ、その後、該円柱状基層を該塗工機構から離間させることによって、該円柱状基層の周面に該塗工液を塗工するローラの塗工方法において、
    長手方向中間部から両端部に向かって直径が大きくなっている弾性を有するチューブ状弾性体を、該塗工機構の円柱状基層に接触させる部分に用い、
    塗工液供給機構によって塗工液をチューブ状弾性体に供給し、気体または液体の加圧媒体を該チューブ状弾性体の内部に供給することにより該チューブ状弾性体を膨張させた状態で該チューブ状弾性体を円柱状基層の周面に接触させることによって、該円柱状基層の周面に該塗工液を塗布する工程と、
    該円柱状基層の周面に該塗工液を塗布した後、該チューブ状弾性体の内部から該加圧媒体を排出しつつ円柱状基層と該チューブ状弾性体とを該円柱状基層の中間から両端部に向かって連続的に離間させる工程と
    を有することを特徴とするローラの塗工方法。
  2. ローラの円柱状基層の周面に、表層を形成するために塗工液を塗工するローラの塗工装置であって、
    塗工液を収容する液槽と、円柱状基層に塗工液を塗布する塗工機構と、該液槽から該塗工機構に塗工液を供給する塗工液供給機構とを有し、
    塗工液供給機構によって塗工液が供給された塗工機構に円柱状基層を接触させつつ該塗工機構および該円柱状基層を回転させ、その後、該円柱状基層を該塗工機構から離間させることによって、該円柱状基層の周面に該塗工液を塗工するローラの塗工装置において、
    該塗工機構の該円柱状基層に接触させる部分が、長手方向中間部から両端部に向かって直径が大きくなっている弾性を有するチューブ状弾性体であり、
    気体または液体の加圧媒体を該チューブ状弾性体の内部に供給または排出して該チューブ状弾性体の内部の圧力を調整する圧力調整機構を有する
    ことを特徴とする表層を有するローラの塗工装置。
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