JP2009033888A - 複数駆動源の駆動制御装置 - Google Patents

複数駆動源の駆動制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】複数の駆動源の出力限界の範囲内で「運転者の運転操作に基づく車両の総トルク要求」と「操舵操作等を基にした旋回制御に応じる左右トルク差要求」を可能な限り満足させることができる複数駆動源の駆動制御装置を提供する。
【解決手段】前側左右輪が1つのモータ21で駆動され、後側左右輪が左右輪独立の2つのモータ31L,31Rにより駆動される車両10で各モータの駆動力を調整する。駆動制御装置40の調整システム120は、3つのモータの出力値をX,Y,Zとし、3次元空間でのデータマップ内で、要求車両トルク(Treq)の取り得る値を「Treq=X+Y+Z」で定義される平面で表すと共に要求左右輪トルク差分(Nreq)の取り得る値を「Nreq=Z−Y」の平面で表し、2つの平面が交わる線上で、3つのモータの各々の出力限界値を超えない範囲内で、3つのモータの出力トルクを調整する。
【選択図】図2

Description

本発明は、複数駆動源の駆動制御装置に関し、特に、3つの駆動用モータ等とこれらを統合して制御するECUを備えた車両において「運転者の運転操作に基づく車両の総トルク要求」と「操舵操作等を基にした旋回制御に応じる左右トルク差要求」の2つの要求を可能な限り満たす解を求めるようにした複数駆動源の駆動制御装置に関する。
近年、複数の駆動源を備える自動車等の車両において、複数の駆動源の各々から出力される駆動力を車両の走行状態に応じて調整する駆動制御装置が開発されている。例えば、特許文献1に記載される電動車両では、四輪自動車において4つの車輪の各々が個別のモータで駆動される構成を有している。この電動車両では、4つの車輪の各々に加わる荷重と、運転者の運転操作によるアクセルペダルまたはブレーキペダルの踏み込み量とに基づいて、4つのモータの各々に対する駆動力指令値を計算して設定する。
特開2003−333707公報
一般的に、モータ(電動機)のごとき駆動源には出力限界が存在する。そのため、その出力限界の範囲内で駆動力指令値を決定する必要がある。ところが、特許文献1に記載された電動車両での各モータの駆動力指令値を計算する手法では、4つのモータの各々の出力限界を考慮していない。そのため、荷重が特定の1つの車輪に大きくかかる場合等には、当該車輪のモータに対してその出力限界を超える駆動力指令値が与えられることがある。その結果、モータに対して大きな負担を与える結果となる。このような観点から、複数のモータの各々の出力限界内でその駆動が制御されることが望まれる。
また特許文献1に記載された電動車両では、4つの車輪のいずれか1つの車輪にスリップ状態が検出される場合には、スリップが検出された車輪を駆動するモータに対する駆動力指令値だけを低下させるようにしている。しかし、この制御で、左右の車輪のうちの一方のみの駆動力が下がった場合には旋回力が発生し、運転者の操舵操作に対して違和感を与えるおそれも生じる。
本発明の目的は、上記の課題を解決することにあり、例えば3つまたはこれに類似する複数の駆動用モータ(電動機)等の駆動源と、これらを統合して制御するECUとを備えた車両において、各モータ等の出力限界の範囲で、「運転者の運転操作に基づく車両の総トルク要求」と「操舵操作等を基にした旋回制御に応じる左右トルク差要求」という2つの要求を可能な限り満足するような各モータ等の出力トルクの組合せ解を算出し、算出された候補解の中から最終的な解を求め、あるいは組合せ解が存在しないときには特定な方針に従う調整で得られる要求に近い妥当解を求め、これにより最終的に最適な駆動力指令値を与えることができる複数駆動源の駆動制御装置を提供することにある。
さらに本発明の他の目的は、例えば3つまたはこれに類似する複数の駆動用モータ(電動機)等の駆動源と、これらを統合して制御するECUとを備えた車両において、左右2輪の一方の車輪にスリップ状態が検出される場合に、スリップが検出された車輪を駆動するモータに対する駆動力指令値だけを低下させることなく、複数の車輪の駆動力指令値を最適に与え、旋回力が発生させず、運転者の操舵操作に対して良好な操舵感が与えることができる複数駆動源の駆動制御装置を提供することにある。
本発明に係る複数駆動源の駆動制御装置は、上記の目的を達成するため、以下のように構成される。
第1の複数駆動源の駆動制御装置(請求項1に対応)は、前提構成として、前側左右輪と後側左右輪のうちの一方が1つの駆動源により駆動され、他方が左右輪独立の2つの駆動源により駆動されるように構成された車両において、3つの駆動源の各々に対して駆動力指令値を与えて駆動力を調整するように構成されている。かかる駆動制御装置は、さらに、前側左右輪と後側左右輪の各々の車輪速を検出する車輪速検出手段と、車輪速検出手段により検出された車輪速に係る信号に基づき要求車両トルクを演算する要求車両トルク演算手段と、操舵輪の舵角を検出する舵角検出手段と、舵角検出手段により検出された舵角に係る信号に基づき、左右輪の各々が独立で駆動力制御される当該左右輪に対して要求される要求トルク差分を演算する要求左右輪トルク差分演算手段と、出力トルク調整手段とを備える。当該出力トルク調整手段では、3つの駆動源の出力値をX,Y,Zとし、要求車両トルク(Treq)を「Treq=X+Y+Z」と定義すると共に要求左右輪トルク差分(Nreq)を「Nreq=Z−Y」と定義するとき、原則的に、3つの駆動源の各々の出力限界値を超えない範囲内で、要求車両トルク(Treq)および要求左右輪トルク差分(Nreq)の両方の定義を満たす出力値X,Y,Zが存在するように、要求車両トルク(Treq)および要求左右輪トルク差分(Nreq)を調整する。
上記の駆動制御装置の構成では、原則的に、複数の駆動源(電動モータ等)の出力限界の範囲内で、アクセルペダルの操作に基づいて運転者が要求する車両の総トルク要求と、操舵操作等に基づく旋回制御に応じる左右トルク差要求という2つの要求とを、X,Y,Zから成る制御解(候補解)が存在する3次元領域(3次元マップ)を利用して可能限り満足するような各駆動源の出力する駆動トルクの組合せ解を算出し、算出された候補解から最終的な解を求める。ただし、制御解(候補解)が存在する3次元領域に含まれる組合せ解が存在しない場合には、適切に決定される或る特定な方針に従って上記の2つの要求を調整(調停)することによって要求に近い妥当な解を算出する。これにより、3つの駆動源の出力限界値やスリップ対応に合わせて出力値を調整することが可能となる。
第2の複数駆動源の駆動制御装置(請求項2に対応)は、前述した前提構成を有する駆動制御装置であって、さらに、前述した車輪速検出手段、要求車両トルク演算手段、舵角検出手段、要求左右輪トルク差分演算手段と、出力トルク調整手段とを備える。当該出力トルク調整手段では、3つの駆動源の出力値をX,Y,Zとし、これらの出力値をX軸、Y軸、Z軸に対応するように表した3次元空間の中で、各駆動源の取り得る出力トルクの範囲内で規定されたデータマップを形成し、要求車両トルク(Treq)に対して出力値X,Y,Zの取り得る値を「Treq=X+Y+Z」で定義される平面で表すと共に、要求左右輪トルク差分(Nreq)に対して出力値のY,Zの取り得る値を「Nreq=Z−Y」で定義される平面で表し、要求車両トルク(Treq)および要求左右輪トルク差分(Nreq)の両方の定義を満たす出力値X,Y,Zが、データマップ内で存在するように設定するために、要求車両トルク(Treq)に係る平面と要求左右輪トルク差分(Nreq)に係る平面との交線が、データマップと交わる、あるいは接するように、要求車両トルク(Treq)および要求左右輪トルク差分(Nreq)を調整する。
上記の駆動制御装置の構成では、複数の駆動源の出力限界の範囲内で、アクセルペダルの操作に基づいて運転者が要求する車両の総トルク要求と、操舵操作等に基づく旋回制御に応じる左右トルク差要求という2つの要求とを、X,Y,Zから成る制御解(候補解)が存在する3次元領域(3次元マップ)を利用して可能限り満足するような各駆動源の出力する駆動トルクの組合せ解を算出し、算出された候補解から最終的な解を求める。これにより、3つの駆動源の出力限界値やスリップ対応に合わせて出力値を調整することが可能となる。
第3の複数駆動源の駆動制御装置(請求項3に対応)は、上記の構成において、出力トルク調整手段は、調整後の要求車両トルクと、調整後の要求左右輪トルク差分との両方の定義を満たす3つの駆動源の出力値X,Y,Zの中から、各駆動源を駆動するための出力値Fx,Fy,Fzを選出する際に、車両の走行状態に応じて任意に設定することができる車両の駆動力の前後配分比に基づいて出力値Fx,Fy,Fzを一意に設定することを特徴とする。
第4の複数駆動源の駆動制御装置(請求項4に対応)は、上記の構成において、出力トルク調整手段は、車両の作動状態を制御する他の制御装置からトルク要求が入力されたとき、当該トルク要求に基づき要求車両トルク(Treq)および要求左右輪トルク差分(Nreq)を調整するまたは補正することを特徴とする。
本発明によれば、次の効果を奏する。
例えば3つの電動モータ等の駆動源を備えた車両であり、前側左右輪と後側左右輪のうちの一方が1つの駆動源により駆動され、他方が左右輪独立の2つの駆動源により駆動されるように構成された車両で、3つの駆動源の各々に対して駆動力指令値を与えて駆動力を調整する駆動制御装置において、3つの駆動源の各々の出力限界値を超えない範囲内または範囲に接する範囲で3つの駆動源の出力トルクを調整するようにしたため、各駆動モータの出力限界の範囲内で「運転者の運転操作に基づく車両の総トルク要求」と「操舵操作等を基にした旋回制御に応じる左右トルク差要求」という2つの要求を、可能な限り満足するような各モータ等の出力トルクの組合せ解を算出し、算出された候補解の中から最終的な解を求めて最適な駆動力指令値を与えることができる。さらに制御解(候補解)が存在する3次元領域に含まれる組合せ解が存在しない場合には、適切に決定される或る特定な方針に従って上記の2つの要求を調整(調停)することによって当該要求に近い妥当な解を算出するようにし、これによって望ましい最適な駆動力指令値を与えることができる。
以上によって、3つの駆動源の出力限界値やスリップ対応に合わせて出力値を調整することができる。
また本願発明によれば、ABS等の外部制御装置からのトルク要求に対しても同様の制御を行うことができる。
以下に、本発明の好適な実施形態(実施例)を添付図面に基づいて説明する。
図1は本発明に係る複数駆動源の駆動制御装置を装備した車両(四輪乗用自動車)の模式的平面図を示し、図2は当該駆動制御装置の全体構成の回路ブロック図を示す。
図1に示した車両10において、図中上側部分が車体前側(前進方向)であり、図中下側部分が車体後側である。車両10は、左右の前輪(前側左右輪)11L,11Rと左右の後輪(後側左右輪)12L,12Rとを備えている。また車両10は、左右の前輪11L,11Rを駆動する前輪駆動系20と、左右の後輪12L,12Rを駆動する後輪駆動系30と、前輪駆動系20および後輪駆動系30を駆動制御する駆動制御装置40を備えている。
前輪駆動系20は、前輪駆動用モータ21と、前輪駆動用モータ21が出力する駆動トルクを車軸22を介して左右の前輪11L,11Rに伝達する前側のギヤ機構(ディファレンシャルギヤ)23とから構成される。後輪駆動系30は、左側後輪12Lを駆動するためのモータ31Lと、右側後輪12Rを駆動するためのモータ31Rと、モータ31Lが出力する駆動トルクを左側後輪12Lに伝達する左側後輪用ギヤ機構32Lと、モータ31Rが出力する駆動トルクを右側後輪12Rに伝達する右側後輪用ギヤ機構32Rとから構成される。
車両10に搭載された上記3つのモータ21,31L,31Rの各々は電動機(電気モータ)であり、それぞれ対応する車輪を回転駆動する駆動源である。図1に示された構成では、前輪駆動系20では左右の前輪11L,11Rは1台の共通のモータ21によって回転駆動されるように構成され、後輪駆動系30では左右の後輪12L,12Rは各々独立して設けられた対応するもモータ31L,31Rによって回転駆動されるように構成されている。
なお上記の前輪駆動系20の構成と後輪駆動系30の構成は反対にすることもできる。すなわち、前輪駆動系20を後輪駆動系30のごとく2つのモータを利用して構成するようにし、後輪駆動系30を前輪駆動系20のごとく1つのモータを利用して構成するようにすることもできる。
以下の説明では、前輪駆動用モータ21のことを「前モータ21」と記し、左側後輪用モータ31Lのことを「左後モータ31L」と記し、右側後輪用モータ31Rのことを「右後モータ31R」と記す。
上記の前輪駆動系20と後輪駆動系30の駆動を制御する駆動制御装置40は、本実施形態の場合には、センタ制御部41と、前輪制御部42と、左後輪制御部43Lと、右後輪制御部43Rとから構成されている。これらの制御部41,42,43L,43RはそれぞれECUで形成されている。3つの制御部41,42,43L,43Rによって、図2に示されるような各種の機能ブロックを有する制御システムが実現される。なお駆動制御装置40は、必ずしも3つの制御部で構成する必要はなく、1つまたは任意の個数で構成することができる。
前輪制御部42と前モータ21との間にはドライブ回路44、左後輪制御部43Lと左後モータ31Lとの間にはドライブ回路45L、右後輪制御部43Rと右後モータ31Rの間にはドライブ回路45Rがそれぞれ設けられている。これらのドライブ回路44,45L,45Rはそれぞれ駆動指令信号を受けてモータ21,31L,31Rを個別に駆動制御する。ドライブ回路44,45L,45Rは、駆動指令信号に応じてバッテリ46から各モータ21,31L,31Rへ駆動電流を供給する。
駆動制御装置40を構成するセンタ制御部41、前輪制御部42、左後輪制御部43L、右後輪制御部43Rは、以下に説明するように、前モータ21の出力する駆動トルクを「X」とし、左後モータ31Lの出力する駆動トルクを「Y」とし、右後モータ31Rの出力する駆動トルクを「Z」とし、これらのX,Y,Zの3軸で定義される3次元座標系での制御手法を導入し、各モータ21,31L,31Rの出力限界の範囲内で、「運転者のアクセルペダル操作に基づく車両の総トルク要求」と「操舵操作等を基にした旋回制御に応じる左右トルク差要求」という2つの要求を、可能な限り満足するような各モータの出力駆動トルクの組合せ解を数学的に算出し、算出された候補解の中から最終的な解を求めて最適な駆動力指令値を与える処理を行う。ただし、解が存在しない場合には、2つの要求を或る基準(ルール)または方針に従って調整(調停)することにより、要求に近い妥当な解を算出する。さらに候補解が3次元で直線を表し、前後分配比の式が平面であることを利用して最終的な解を算出する。
次に、上記の図1および図2〜図6を参照して、駆動制御装置40に基づく複数駆動源(モータ21,31L,31R)の駆動制御の原理(考え方)を説明する。
図3に、前モータ21の出力する駆動トルクX、左後モータ31Lの出力する駆動トルクY、右後モータ31Rの出力する駆動トルクZを模式的に示す。図3では、前輪駆動系20における左右の前輪11L,11Rと前モータ21と車軸22が示され、後輪駆動系30における左側後輪12Lおよび左後モータ31Lと右側後輪12Rおよび右後モータ31Rとが示されている。駆動トルクXは前モータ21に関連づけて示され、駆動トルクYは左後モータ31Lに関連づけて示され、駆動トルクZは右後モータ31Rに関連づけて示されている。図3において、駆動トルクX,Y,Zはそれぞれベクトル的に図示されており、矢印の方向はトルクの発生方向であり、車両前方に向かっているときには正の場合であって「駆動」を意味し、車両後方に向かっているときには負の場合であって「制動」を意味する。また矢印の長さが駆動トルクの大きさを示している。なお上記の駆動トルクX,Y,Zは減速比も含んだ後の各モータの出力トルクである。
図3の矢印で示された駆動トルクX,Y,Zの関係では、駆動トルクY,Zの間の大小関係でY<Zの関係にある。このことは、右後モータ31Rの駆動トルクZが左後モータ31Lの駆動トルクYよりも大きいことを意味する。このとき、旋回外輪である左後モータ31Lは回転速度が大きくなって駆動トルクが小さくなっているので、前進中の車両10は右側に旋回する走行制御状態になっている。左側に旋回する走行制御状態ではYとZの大小関係は反対になる。また左右の駆動トルクY,Zが等しいときには、車両10は前方直進状態にある
また上記の3つの駆動トルクX,Y,Zについては、図4に示すごとく、出力できるトルク範囲に関して制限を設けている。図4において縦軸はトルクの大きさを示している。駆動トルクX,Y,Zは、プラス側およびマイナス側で同じ大きさのトルク出力限界値+T1と−T1が設定される。+T1は上限を制限する限界値であり、−T1は下限を制限する限界値である。トルク出力限界値+T1,−T1は、モータ単体の出力限界に依存する物理的に出力可能な限界値である。またトルク出力限界値+T1,−T1は、固定値ではなく、モータ回転数(回転速度)または車輪速によって影響を受ける。一般的に、モータ回転数が高くなると、出力トルク限界値は下がる。そのため、車速が上がると、各モータの出力できる駆動トルクの限界値は下がってくる。このようにして、出力可能なトルク範囲Rが設定される。
上記のごとく、前モータ21の出力する駆動トルクを「X」、左後モータ31Lの出力する駆動トルクを「Y」、右後モータ31Rの出力する駆動トルクを「Z」とすることにより、X,Y,Zの3軸で定義される3次元座標系201を図5に示す。図5に示した直交3次元座標系201では、X軸、Y軸、Z軸のそれぞれで、原点O(0,0,0)を中心に例えば−1500〜+1500[Nm]の範囲が設定されている。この3次元座標系201において、一例として直方体領域202が仮想的に設定されている。直方体領域202は、上記のごとく3つの駆動トルクX,Y,Zを決定するにあたっては各々の軸で上限限界値(Lim_H)と下限限界値(Lim_L)が設定されているので、制御解(駆動指令値X,Y,Zの組合せ)が存在し得る解領域を示している。
なお上記の直方体領域202は、各モータの上下限の限界値で定められる制御解(候補解)の存在する領域であるので、上下限の限界値は各モータの回転数(回転速度)または車輪速に応じて変化するので、その領域が変わり得るという特性を有している。また制御解の存在領域(候補解の存在空間)は必ずしも直方体に限らない。1個のモータの上限限界値(Lim_H)と下限限界値(Lim_L)が同じ値であれば、直方体は長方形になるし、2個のモータがそうであれば直線になるし、3個のモータがそうであれば点となる。
駆動制御装置40に基づく3つのモータ21,31L,31Rの各々を駆動制御するための制御解(X,Y,Z)の求める考え方は次の通りである。
ここで、図2を参照して、制御変数として「Treq」と「Nreq」を定義すると共に、駆動制御装置40の内部構成を説明する。複数駆動源(モータ21,31L,31R)の駆動制御の原理(考え方)を踏まえて図2に示した制御全体の機能ブロックの構成と各部の動作を説明する。
制御変数「Treq」は、要求車両トルクであり、3つのモータ21,31L,31Rから出力されることを要求される総トルク(以下では「要求車両トルク」とも記す)を意味している。駆動制御装置40の入力側におけるTreqは、図2に示すごとく「Treq0」として、運転者によるアクセルペダル(図1および図2で符号101で示す)の操作量信号(アクセル開度センサ102aの出力信号)と、3つの車輪速センサ(図1および図2で符号102a,102b,102cで示す)の各々で検出される車輪速信号とに基づいて、要求車両トルク演算部103から出力される。上記の「Treq0」は、正確には、「運転者の操作または車両の挙動に伴い指令値として出力される前進方向の要求車両総トルクである」と定義される。
なお車輪速センサとしては、対応する駆動用モータの回転数(回転速度)に係る信号を用いることもできる。
制御変数「Nreq」は、要求左右輪トルク差分であり、左右輪独立で駆動力が制御される左右の後輪12L,12Rに関する要求トルク差分(以下では「要求左右輪トルク差分」とも記す)を意味している。駆動制御装置40の入力側におけるNreqは、図2に示すごとく「Nreq0」として、左右配分部104から出力される。当該の「Nreq0」は、正確には、「運転者の操作または車両の挙動に伴い指令値として出力される要求左右輪トルク差分」と定義される。
なお、左右配分部104の入力側には、舵角センサ105から出力される舵角信号と、車速推定部106から出力される推定車速信号と、ヨーレートセンサ107から出力されるヨーレート信号が入力されている。さらに車速推定部106は、車輪速センサ102a,102b,102cから出力される車輪速信号と、縦Gセンサ108から出力される縦G信号と、横Gセンサ109から出力される横G信号とに基づいて車速推定を行う。なお図1において、舵角センサ105、ヨーレートセンサ107、縦Gセンサ108、横Gセンサ109の図示は省略されている。
また要求車両トルク演算部103の入力側には、モータ単体出力トルク限界マップ保存部110が設けられる。モータ単体出力トルク限界マップ保存部110は、3次元座標系における各モータの上下限の限界値で決まる制御解許容領域のデータマップを保存している。モータ単体出力トルク限界マップ部110は、車輪速センサ102a,102b,102cから出力される車輪速信号が入力される。モータ単体出力トルク限界マップ部110では、3つのモータ21,31L,31Rの各々について個別の限界値データがマップ形式で保存されている。モータ単体出力トルク限界マップ保存部110は、3つのモータ21,31L,31Rの各々について、対応する車輪速度信号に応じた上限限界値(Lim_H)と下限限界値(Lim_L)を出力する。各モータについての上限限界値(Lim_H)はモータギヤ比変換部111を通して、さらに各モータについての下限限界値(Lim_L)はモータギヤ比変換部112を通して、それぞれ要求車両トルク演算部103に入力される。従って、上記の要求車両トルク演算部103には、前述したアクセルペダル信号および車輪速信号と共に、各モータの上限限界値(Lim_H)および下限限界値(Lim_L)が入力される。
なお、上限限界値(Lim_H)は結合子113を通して、また下限限界値(Lim_L)は結合子114を通して、後段に位置する調整システム120内の入力段リミッタ121、調整部122、候補解算出部123のそれぞれに入力される。
また調整システム120と調整部122については、後述するように、制御解(解候補)が存在しない場合において、他の基準(ルール)または方針で2つの要求(要求車両トルク「Treq」、要求左右輪トルク差分「Nreq」)を調停することにより適宜に現実解を探索するので、それぞれ、「調停システム120」と「調停部122」ということもできる。
入力段リミッタ121には、他に、要求車両トルク演算部103から出力される入力側の要求車両トルク「Treq0」と、左右配分部104から出力される入力側の要求左右輪トルク差分「Nreq0」とが入力される。また入力段リミッタ部121は、中間値である要求車両トルク「Treq1」と要求左右輪トルク差分「Nreq1」を出力し、調整部122に与える。要求車両トルク「Treq1」と要求左右輪トルク差分「Nreq1」は、調整部(調停部)122の入力である。この場合において、要求車両トルク「Treq1」は、厳密には、3つのモータ21,31L,31Rの各々の出力限界値の範囲内であると共に、外部の制御システムから要求される出力限界値の範囲内となるように制限された要求車両トルクである。また要求左右輪トルク差分「Nreq1」は、厳密には、3つのモータ21,31L,31Rの各々の出力限界値の範囲内であると共に、外部の制御システムから要求される出力限界値の範囲内となるように制限された要求左右輪トルク成分である。
調整部122は、入力された値(Treq1,Nreq1,Lim_H,Lim_L)を用いて出力側の要求車両トルク「Treq2」と要求左右輪トルク差分「Nreq2」を出力し、候補解算出部123と後段の選択部124とに与える。ここで「Treq2」は調停後の車両総トルクであり、「Nreq2」は調停後の左右輪トルク成分である。候補解算出部123は、入力された値(Treq2,Nreq2,Lim_H,Lim_L)を用いて第1の解座標「Point1」と第2の解座標「Point2」を出力し、選択部124に与える。ここで、「Point1」はTreq2とNreq2の交線とXYZの直方体とが交わる交線の一端を意味し、「Point2」はTreq2とNreq2の交線とXYZの直方体とが交わる交線の他端を意味している。
選択部124には、上記の出力側の要求車両トルク「Treq2」および要求左右輪トルク差分「Nreq2」と、第1の解座標「Point1」および第2の解座標「Point2」とが入力され、これらの入力値に基づき、前モータ21の動作を制御する駆動指令値「T_f」と、左後モータ31Lの動作を制御する駆動指令値「T_rl」、右後モータ31Rの動作を制御する駆動指令値「T_rr」が生成され、出力される。これらの3つの駆動指令値「T_f」,「T_rl」,「T_rr」が、直方体領域202を考慮して決定された前述の制御解(駆動指令値X,Y,Zの組合せ)に対応している。これらの駆動指令値「T_f」,「T_rl」,「T_rr」は、それぞれ、ギヤ比変換部125a,125b,125cを介して、前モータ21の駆動トルク126a、左後モータ31Lの駆動トルク126b、右後モータ31Rの駆動トルク126cになる。
さらに図2においては、別途に、外部要求トルク「OTreq」が、外部要求トルク発生部127から出力される。外部要求トルク発生部127は、外部のTCS制御装置やABS制御装置等からデータを受けて外部要求トルク「OTreq」を生成する。外部要求トルク「OTreq」は入力段リミッタ121に入力されている。
駆動制御装置40の上記の内部構成に基づいて、「運転者の運転操作(アクセルペダル操作)に基づく車両の総トルク要求」と「操舵操作等を基にした旋回制御に応じる左右トルク差要求」という2つの要求を、可能な限り満足するような各モータ21,31L,31Rの出力駆動トルクの組合せ解を算出し、算出された候補解の中から最終的な解を求めて最適な駆動力指令値を生成する。
駆動制御装置40の調整システム120では、原則的な制御用基本演算として、図5で示した直方体領域202の中で要求車両トルク「Treq」および要求左右輪トルク差分「Nreq」の両方を満足する解を見つけることが実行される。
前述した制御解(駆動指令値X,Y,Zの組合せ)の満たすべき条件は次の通りである。要求車両トルク「Treq」については「Treq=X+Y+Z」という条件である。この条件は、図5に示した3次元座標系201において、点(0,0,Treq)を通り、法線ベクトル[=(1,1,1)]の平面を意味している。また要求左右輪トルク差分「Nreq」については「Nreq=Z−Y」という条件である。ただし、この場合においてNreqは反時計方向回りの向きを正としている。この条件は、図5に示した3次元座標系201において、点(0,0,Nreq)を通り、法線ベクトル[=(0,−1,1)]の平面を意味している。この平面はX軸に平行な平面である。
要求車両トルク「Treq」の満たす条件、要求左右輪トルク差分「Nreq」の満たす条件は、いずれも、平面で示される。換言すれば、上記の制御解(解候補)は2つの平面の交線の中で上記の直方体領域202を通過する線分の部分に含まれる点となる。
図6に制御解(解候補)のイメージを示す。図6において、3次元座標系201での線211は、要求車両トルク「Treq」の平面と、要求左右輪トルク差分「Nreq」の平面との交線を示している。この線211と前述の直方体領域202とが交わる部分(交点A1とA2の間の太い破線211Aで示す)に含まれる点(X,Y,Z)が制御解(解候補)となる。直方体領域202を示す枠体の内部でX,Y,Zを決めれば、要求車両トルク「Treq」と要求左右輪トルク差分「Nreq」の両方を満たす解となる。このように制御解(解候補)は、3次元座標系201において線分または点で表現されることになる。
なお、要求車両トルク「Treq」のとり得る値、または要求左右輪トルク差分「Nreq」のとり得る値に応じて、2つの平面の交線が直方体領域202を必ずしも通過するとは限らない。このような場合には解が存在しないことになる。そこでこのような場合には、要求車両トルク「Treq」と要求左右輪トルク差分「Nreq」を他の基準(ルール)または方針で調整または調停することにより適宜に現実解を探索する。調整(調停)システム120の調整部(調停部)122には、上記の場合を考慮して、以下に説明するように、別途に、最適な現実解を求めるための調整または調停のアルゴリズムが用意されている。以下では、「調停アルゴリズム」という用語を用いて説明する。
次に、図7〜図12に示したフローチャートを参照して調停アルゴリズムを説明する。図7は、調停アルゴリズムの基本的な処理フローを示すフローチャートである。図8は、図7に示したルーチンステップS23の内容を示すフローチャートである。図9〜図12は、それぞれ、図8に示した偏向(1)〜(4)毎の処理内容を示すフローチャートである。
上記の調停アルゴリズムでは、要求車両トルク「Treq」と要求左右輪トルク差分「Nreq」の2つの要求を調停する。特に、本実施形態の調停アルゴリズムでは、要求車両トルク「Treq」を優先して調停を行うことにより現実解を探索する。さらに要求車両トルク「Treq」を優先する調停方法では、「偏向あり」の場合と「偏向なし」の場合とに分けて処理が異なる。要求車両トルク「Treq」を優先する理由、および「偏向」については、以下に説明される。
図7〜図12の処理内容を説明する前に、当該処理内容の基本となる要求車両トルク「Treq」を優先する理由と「偏向」について説明する。
[要求車両トルク「Treq」を優先する理由]
前述した通り、要求車両トルク「Treq」または要求左右輪トルク差分「Nreq」のとり得る値に応じて、2つの平面の交線が直方体領域202を通過しない場合には解が存在せず、この場合には何らの基準(ルール)に基づく調停アルゴリズムにより要求車両トルク「Treq」と要求左右輪トルク差分「Nreq」の現実解を探索しなければならない。
上記の場合において、現実解を探索する場合の第1の例を図13と図14に基づいて説明する。図13は、図5に示した3次元座標系201で、直方体領域202に関してX_max平面で切ったときのY−Z平面図(面202−1)を示す。図14は、3つのモータ21,31L,31Rの各々の走行状態に応じた出力トルク値のとり得る状態を(A),(B),(C)の3通りで示している。(A)では、3つのモータ21,31L,31Rの各駆動トルクX,Y,Zに関する走行状態における最大出力トルク状態を3つの円で示している。駆動トルクX,Y,Zに係る3つの円の大きさが、とり得る最大出力トルクの大きさをイメージしている。(B)はアクセルを全開した状態(各モータのトルクを最大した状態)での駆動トルクのイメージを示している。3つの円の中に図示された矢印は、トルクの大きさと方向を示している。トルクの大きさは、円の半径に対応している。(C)は、操舵に基づく舵角が最大(Max)の状態をとるときのイメージを示している。このときには、駆動トルクYと駆動トルクZは向きが反対になっており、右後モータ31Rの駆動トルクZは制動状態になっている。また前モータ21の駆動トルクXについては駆動であるか制動であるかは任意になっている。
図13において、直方体領域202に関する1つの矩形面202−1に対して、要求車両トルク「Treq」の平面と要求左右輪トルク差分「Nreq」の平面とが作る交線(211)が交わらないを示している。3つの直線301a,301b,301cは要求車両トルク「Treq」の平面に含まれる直線であり、直線302は要求左右輪トルク差分「Nreq」の平面に含まれる直線である。3つの交点303a,303b,303cは、それぞれ、直線301a,301b,301cと直線302とが直交する交点であり、上記の交線211に含まれる点である。交点303a等は矩形面202−1から離れた位置に存している。
図13において、要求車両トルク「Treq」の平面は、法線ベクトル(1,1,1)で、Y−Z平面に垂直な平面でないので、実線で描いた直線301a以外に点線直線301bと一点鎖線直線301cを併せて示し、3線で描いている。点線直線301bはX=0の平面との交線であり、一点鎖線直線301cはX=X_MINの平面との交線を表している。また実線直線301aと点線直線301bの間の距離はX_MAXに依存して決まる。点線直線301bと一点鎖線直線301cの間の距離はX_MINに依存して決まる。3つの直線301a,301b,301cの間で示した矢印301は要求車両トルク「Treq」の平面の下げ勾配を示している。なお、交点304は最大要求車両トルク(最大Treq)を示し、交点305は最小要求左右輪トルク差分(最小Nreq)を示している。
図13に示した関係は、車両10の走行状態で考えると、図14の(A),(B),(C)で示された状態にある。すなわち、右旋回中であって左側後輪12Lの出力限界が小さくなっており(図14の(A))、運転者はアクセルペダル101を踏み込んでアクセルを全開とし(図14の(B))、かつ操向輪(前輪)の舵角を右いっぱいに切った状態である(図14の(C))。
図13に示した関係の場合にどのように調停するかを検討する。
第1の考え方は、図15に示すように、要求車両トルク「Treq」を固定した状態で、要求左右輪トルク差分「Nreq」に係る直線302を、交点303aが直方体領域202との間で交わるまで、すなわち矩形面202−1に交わるまで、移動させる(矢印311)。図15の(B)の図示例では、交点303aが矩形面202−1の角部に接触した状態になるまで直線302を移動させている。この場合には、図15の(A)に示した車両の走行イメージで明らかなように、車両10は勝手に左に曲がろうとする動作が生じる。従って右旋回を行いたいにも拘わらず、うまく右旋回をできない。
第2の考え方は、図16に示すように、要求左右輪トルク差分「Nreq」を固定した状態で、要求車両トルク「Treq」に係る直線301a,301b,301cを、交点303aが直方体領域202との間で交わるまで、すなわち矩形面202−1に交わるまで、移動させる(矢印312)。図16の(B)の図示例では、交点303aが矩形面202−1の角部に接触した状態になるまで直線301a,301b,301cを移動させている。この場合には、図16の(A)に示した車両の走行イメージで明らかなように、車両10では右側後輪12RのトルクZで制動状態が生じる。従って右旋回は可能であるが、車両10にブレーキが掛かり、前進走行は制限を受ける。
図15と図16の例を併せて考慮すると、現実的には図17に示すような妥協策が選択される。この妥協策では、図17の(B)に示されるように、要求車両トルク「Treq」に係る直線301aを矢印313のごとく移動させ、かつ要求左右輪トルク差分「Nreq」に係る直線302を矢印314のごとく移動させ、交点303aが矩形面202−1に交わるようにする。この場合には、要求左右輪トルク差分「Nreq」はNreq=0まで譲歩される。すなわち、図17の(A)に示すように、左右後輪のトルク差をなくすと共に総トルクを下げるようにする。この場合、後輪による旋回アシストはなくなり、ハンドル操舵のみで旋回させる。こうして、要求車両トルク「Treq」を優先した調停を行うことが望ましいことが分かる。
図18〜図20を参照して現実解を探索する場合の第2の例を説明する。図18は上記図13に対応し、図19は上記図14に対応し、図20は上記図17に対応している。図18〜図20で、図13や図14等で説明された要素と実質的に同一の内容には同一の符号を付している。
第2の例における車両10の走行状態に関して、図18に示した関係は、図19の(A),(B),(C)で示された状態にあり、右旋回中であって左側後輪12Lの出力限界が小さくなっており(図19の(A))、運転者はアクセルペダル101を踏み込まずアクセルをオフとし(図19の(B)、回生ブレーキのイメージ)、かつ操向輪(前輪)の舵角を左いっぱいに切った状態である(図19の(C))。
第2の例における現実解の探索の仕方は、図20に示す通り、要求車両トルク「Treq」に係る直線301aを矢印315のごとく移動させ、かつ要求左右輪トルク差分「Nreq」に係る直線302を矢印316のごとく移動させ、交点303cが矩形面202−1に交わるようにする。この場合には、運転者からの要求が回生ブレーキであるので、回生ブレーキを緩めると共に、要求左右輪トルク差分「Nreq」はNreq=0まで譲歩する。こうして、要求車両トルク「Treq」を優先した調停を行うことが望ましい。
[「偏向」およびその有無について、および各場合の調停の仕方]
次に、図21〜図23を参照して、要求車両トルク「Treq」を優先した調停を行うことを前提とした場合における「偏向」およびその有無について説明する。図21と図22は「偏向あり」の場合を示し、図23は「偏向無し」の場合を示す。
図21と図22において図中に示し矩形領域(長方形領域)は前述した矩形面202−1である。矩形面202−1は、図21に示すごとく前述した通りの縦長の矩形の場合も、また図22に示すごとく横長の矩形の場合もあり得る。ここで、図21および図22における矩形(長方形)における角部の斜線の4つの三角領域321A,321B,321C,321Dのそれぞれが「偏向」を意味する。また矢印322Aは(1)Nプラス側偏向領域を示し、矢印322Bは(2)Nマイナス側偏向領域を示し、矢印322Cは(3)Nマイナス側偏向領域を示し、矢印322DはNプラス側偏向領域を示している。なお図21と図22で、直線323はNreq=0の直線を示している。図21と図22では、要求車両トルク「Treq」を優先して調停を行う例を示しているので、(1)〜(4)の偏向領域に係る偏向パターンに基づいて要求車両トルク「Treq」に係る直線301a,301b,301cを移動させ、調停を行うことができる。「偏向あり」の場合の偏向パターン(1)〜(4)の調停の仕方は、それぞれ、後で、図24〜図27を参照して説明される。
「偏向無し」の場合の図23では、前述の横長の矩形面202−1に対して、要求左右輪トルク差分「Nreq」がNmaxよりも大きい場合には、矢印331に示すようにNmaxで切ることにする。また要求左右輪トルク差分「Nreq」がNminよりも小さい場合には、矢印332示すようにNminで切ることにする。Nmaxを通る要求左右輪トルク差分「Nreq」の直線とNminを通る要求左右輪トルク差分「Nreq」の直線の間で、要求車両トルク「Treq」に係る直線301a,301b,301cを移動させ、その交点が矩形面202−1に接触する状態で現実解を探索する。この場合には、現実解の探索の上で、矩形面202−1の偏向321C,321Dとの関係は存在しない。
次に、「偏向あり」の場合における上記4つの偏向パターン(1)〜(4)での調停の仕方(内容)を説明する。
図24は、偏向パターン(1)における調停を示す。図24の(A)では、ベース図が示され、当該ベース図では、要求左右輪トルク差分「Nreq」に関して最大値Nmaxと最小値Nminを通る2つの直線302に基づいて、A領域、B領域、C領域の3つの領域に分けられる。
図24の(B)に示すように、要求左右輪トルク差分「Nreq」に関する直線がA領域に存するときには、要求車両トルク「Treq」はそのままにして、要求左右輪トルク差分「Nreq」をNmaxまで下げる。
図24の(C)に示すように、要求左右輪トルク差分「Nreq」に関する直線がC領域に存してNreq≧0であるときには、要求車両トルク「Treq」を要求左右輪トルク差分「Nreq」に接触するまで下げ、要求左右輪トルク差分「Nreq」はそのままとする。
図24の(D)に示すように、要求左右輪トルク差分「Nreq」に関する直線がC領域に存してNreq<0であるときには、要求車両トルク「Treq」を要求左右輪トルク差分「Nreq」=0と接触するまで下げ、要求左右輪トルク差分「Nreq」は0とする。
図25は、偏向パターン(2)における調停を示す。図25の(A)では、ベース図が示され、当該ベース図では、要求左右輪トルク差分「Nreq」に関して最大値Nmaxと最小値Nminを通る2つの直線302に基づいて、A領域、B領域、C領域の3つの領域に分けられる。
図25の(B)に示すように、要求左右輪トルク差分「Nreq」に関する直線がA領域に存してNreq≧0であるときには、要求車両トルク「Treq」は要求左右輪トルク差分「Nreq」=0と接触するまで下げ、要求左右輪トルク差分「Nreq」は0とする。
図25の(C)に示すように、要求左右輪トルク差分「Nreq」に関する直線がA領域に存してNreq<0であるときには、要求車両トルク「Treq」を要求左右輪トルク差分「Nreq」に接触するまで下げ、要求左右輪トルク差分「Nreq」はそのままとする。
図25の(D)に示すように、要求左右輪トルク差分「Nreq」に関する直線がC領域に存するときには、要求車両トルク「Treq」をそのままにして、要求左右輪トルク差分「Nreq」をNminまで下げる。
図26は、偏向パターン(3)における調停を示す。図26の(A)では、ベース図が示され、当該ベース図では、要求左右輪トルク差分「Nreq」に関して最大値Nmaxと最小値Nminを通る2つの直線302に基づいて、A領域、B領域、C領域の3つの領域に分けられる。
図26の(B)に示すように、要求左右輪トルク差分「Nreq」に関する直線がA領域に存してNreq≧0であるときには、要求車両トルク「Treq」は要求左右輪トルク差分「Nreq」=0と接触するまで下げ、要求左右輪トルク差分「Nreq」は0とする。
図26の(C)に示すように、要求左右輪トルク差分「Nreq」に関する直線がA領域に存してNreq<0であるときには、要求車両トルク「Treq」を要求左右輪トルク差分「Nreq」に接触するまで下げ、要求左右輪トルク差分「Nreq」はそのままとする。
図26の(D)に示すように、要求左右輪トルク差分「Nreq」に関する直線がC領域に存するときには、要求車両トルク「Treq」をそのままにして、要求左右輪トルク差分「Nreq」をNminまで下げる。
図27は、偏向パターン(4)における調停を示す。図27の(A)では、ベース図が示され、当該ベース図では、要求左右輪トルク差分「Nreq」に関して最大値Nmaxと最小値Nminを通る2つの直線302に基づいて、A領域、B領域、C領域の3つの領域に分けられる。
図27の(B)に示すように、要求左右輪トルク差分「Nreq」に関する直線がA領域に存するときには、要求車両トルク「Treq」はそのままにして、要求左右輪トルク差分「Nreq」をNmaxまで下げる。
図27の(C)に示すように、要求左右輪トルク差分「Nreq」に関する直線がC領域に存してNreq≧0であるときには、要求車両トルク「Treq」を要求左右輪トルク差分「Nreq」に接触するまで上げ、要求左右輪トルク差分「Nreq」はそのままとする。
図27の(D)に示すように、要求左右輪トルク差分「Nreq」に関する直線がC領域に存してNreq<0であるときには、要求車両トルク「Treq」を要求左右輪トルク差分「Nreq」=0と接触するまで上げ、要求左右輪トルク差分「Nreq」は0とする。
以上に基づいて、要求車両トルク「Treq」を優先する理由、要求車両トルク「Treq」を優先する場合における「偏向」の有無とそれぞれの場合の調停の仕方が明確にされた。前述した図7のフローチャートの処理フローは、前述した各場合の調停を実行するように構成されている。
次に、上記の各調停の内容を実行するように構成された調停アルゴリズムに基づく図7〜図12に示した処理の内容を説明する。
最初のステップS11では、前述の通り、要求車両トルク「Treq1」と要求左右輪トルク差分「Nreq1」が読み込まれ、さらに次のステップS12では、要求左右輪トルク差分「Nreq」に関するNmaxとNminとが取得するルーチン処理が実行される。その後のステップS13では、前述した3つの領域A,B,Cを判定するルーチン処理が実行される。次の判定ステップS14では、ステップS13で判定された領域がBであるか否かを判定する。領域Bであると判定された場合(YESの場合)には、入力であるTreq1をそのまま出力Treq2(調停後トルク要求)とするステップS15と、入力であるNreq1をそのまま出力Nreq2(調停後左右トルク差要求)とするステップS16が実行される。ステップS15,S16が実行すると、処理が終了する。
判定ステップS14で領域B以外の場合には、偏向判定のルーチンステップS17に移行する。偏向判定のステップS17では、前述した偏向の有無が判定される。次の判定ステップS18で「偏向無し」か否かが判定される。判定ステップS18で偏向無しと判定された場合(YESの場合)には前述した図23で説明された調停が実行される。すなわち、出力Treq2に関しては入力Treq1を用いることとし(ステップS19)、さらに出力Nreq2については、Nreq1が0以上か否かを判定し(ステップS20)、Nreq1が0以上のときにはNmaxを出力Nreq2とし(ステップS21)、Nreq1が0よりも小さいときにはNminを出力Nreq2とする(ステップS22)。
上記の判定ステップS18において「偏向あり」と判定された場合(NOの場合)には、前述した偏向(1)〜(4)の場合のそれぞれ毎の処理が実行される(ルーチン処理ステップS23)。ステップS23の具体的な処理フローは図8に示される。
図8において、偏向(1)〜(4)毎の処理(ステップS30)に入ると、次に、偏向(1)〜(4)のうちのいずれであるかが判定される(判定ステップS31〜S33)。偏向(1)であると判定された場合には偏向(1)の処理(ステップS34)が実行される。偏向(1)の処理(ステップS34)の具体的内容は図9に示される。偏向(2)であると判定された場合には偏向(2)の処理(ステップS35)が実行される。偏向(2)の処理(ステップS35)の具体的内容は図10に示される。偏向(3)であると判定された場合には偏向(3)の処理(ステップS36)が実行される。偏向(3)の処理(ステップS36)の具体的内容は図11に示される。偏向(4)であると判定された場合には偏向(4)の処理(ステップS37)が実行される。偏向(4)の処理(ステップS37)の具体的内容は図12に示される。
図9に示す偏向(1)の処理(ステップS34)の具体的内容は、上記図24の(A)〜(D)に基づいて説明した調停内容である。偏向(1)の処理(ステップS34)の具体的内容では、判定ステップS41で領域Aであるか否かが判定される。領域Aであると判定された場合には、出力Treq2に入力Treq1をそのまま代入し(ステップS42)、かつ出力Nreq2にNmaxを代入する(ステップS43)。この処理内容は上記図24の(B)に示した調停内容に対応している。判定ステップS41で領域Aでないと判定された場合(NOの場合)には、判定ステップS44でNreq1が0以上(≧0)であるか否かが判定される。Nreq1が0以上である場合には、出力Treq2に「Treq1−(Nmin−Nreq1)」を代入し(ステップS45)、かつ出力Nreq2に入力Nreq1をそのまま代入する(ステップS46)。この処理内容は上記図24の(C)に示した調停内容に対応している。Nreq1が0より小さい場合には、出力Treq2に「Treq1−(Nmin−0)」を代入し(ステップS47)、かつ出力Nreq2に0を代入する(ステップS48)。この処理内容は上記図24の(D)に示した調停内容に対応している。
図10に示す偏向(2)の処理(ステップS35)の具体的内容は、上記図25の(A)〜(D)に基づいて説明した調停内容である。偏向(2)の処理(ステップS35)の具体的内容では、判定ステップS51で領域Aであるか否かが判定される。領域Aであると判定された場合には、次に判定ステップS52でNreq1が0以上(≧0)であるか否かが判定される。Nreq1が0以上である場合には、出力Treq2に「Treq1+(0−Nmax)」を代入し(ステップS53)、かつ出力Nreq2に0を代入する(ステップS54)。この処理内容は上記図25の(B)に示した調停内容に対応している。Nreq1が0より小さい場合には、出力Treq2に「Treq1+(Nreq1−Nmax)」を代入し(ステップS55)、かつ出力Nreq2に入力Nreq1をそのまま代入する(ステップS56)。この処理内容は上記図25の(C)に示した調停内容に対応している。また判定ステップS51において領域Aでないと判定された場合(NOの場合)には、出力Treq2に入力Treq1をそのまま代入し(ステップS57)、かつ出力Nreq2にNminを代入する(ステップS58)。この処理内容は上記図25の(D)に示した調停内容に対応している。
図11に示す偏向(3)の処理(ステップS36)の具体的内容は、上記図26の(A)〜(D)に基づいて説明した調停内容である。偏向(3)の処理(ステップS36)の具体的内容では、判定ステップS61で領域Aであるか否かが判定される。領域Aであると判定された場合には、次に判定ステップS62でNreq1が0以上(≧0)であるか否かが判定される。Nreq1が0以上である場合には、出力Treq2に「Treq1−(0−Nmax)」を代入し(ステップS63)、かつ出力Nreq2に0を代入する(ステップS64)。この処理内容は上記図26の(B)に示した調停内容に対応している。Nreq1が0より小さい場合には、出力Treq2に「Treq1−(Nreq1−Nmax)」を代入し(ステップS65)、かつ出力Nreq2に入力Nreq1をそのまま代入する(ステップS66)。この処理内容は上記図26の(C)に示した調停内容に対応している。また判定ステップS61において領域Aでないと判定された場合(NOの場合)には、出力Treq2に入力Treq1をそのまま代入し(ステップS67)、かつ出力Nreq2にNminを代入する(ステップS68)。この処理内容は上記図26の(D)に示した調停内容に対応している。
図12に示す偏向(4)の処理(ステップS37)の具体的内容は、上記図27の(A)〜(D)に基づいて説明した調停内容である。偏向(4)の処理(ステップS37)の具体的内容では、判定ステップS71で領域Aであるか否かが判定される。領域Aであると判定された場合には、出力Treq2に入力Treq1をそのまま代入し(ステップS72)、かつ出力Nreq2にNmaxを代入する(ステップS73)。この処理内容は上記図27の(B)に示した調停内容に対応している。判定ステップS71で領域Aでないと判定された場合(NOの場合)には、判定ステップS74でNreq1が0以上(≧0)であるか否かが判定される。Nreq1が0以上である場合には、出力Treq2に「Treq1+(Nmin−Nreq1)」を代入し(ステップS75)、かつ出力Nreq2に入力Nreq1をそのまま代入する(ステップS76)。この処理内容は上記図27の(C)に示した調停内容に対応している。Nreq1が0より小さい場合には、出力Treq2に「Treq1+(Nmin−0)」を代入し(ステップS77)、かつ出力Nreq2に0を代入する(ステップS78)。この処理内容は上記図27の(D)に示した調停内容に対応している。
以上の調停アルゴリズムに基づいて、調整(調停)システム120の調整部(調停部)122において、要求車両トルク「Treq」および要求左右輪トルク差分「Nreq」に関してTreq2とNreq2が生成され、調整部122から出力される。出力Treq2とNreq2は、候補解算出部123と選択部124に供給される。
現実解を探索する場合の前述の実施形態では、図13に示したごとく、直方体領域202で決まる長方形の矩形面202−1(X_max平面で切ったときのY−Z平面図)に基づく調停アルゴリズムを説明した。他方、上記の調停アルゴリズムに対して、左後モータ31Lの出力する駆動トルクYと、右後モータ31Rの出力する駆動トルクZとを、前モータ21の出力する駆動トルクXに比較して小さい値に選択すること(Y,Zのローセレクト)も可能である。この場合には、前述の矩形面202−1が長方形でなくなる。例えば、駆動トルクYと駆動トルクZとがプラスで等しく、かつ駆動トルクXよりも小さい場合、車両は直進状態にあるが、このときには矩形面202−1に相当するY−Z平面は正方形になる。車両の旋回状態ではY−Z平面は必然的に長方形になる。Y,Zのローセレクトの場合には、長方形の上記矩形面202−1に比較して本来的に使える領域を敢えて使わないという調停アルゴリズムになるということを意味する。Y,Zのローセレクトに比較して、前述した矩形面202−1を利用する調停アルゴリズムはより有効な調停を行うことができる。
調整部(調停部)122から出力されたTreq2とNreq2の組合せに関しては、図6に示すごとく、要求車両トルク「Treq」の平面と要求左右輪トルク差分「Nreq」の平面の交線211が少なくとも直方体領域202を貫くことが保証されている。図2に示した候補解算出部123では、直線211が直方体領域202を貫いた際の両端座標、すなわち前述の交点A1,A2の座標を求めることが、候補解算出の役割となる。なお交線211の方程式は「(X−Treq2−Nreq2)/(−2)=Y+Nreq2=Z」で表される。
また出力Treq2,Nreq2と解座標Point1,Point2が入力される選択部124に関しては、例えば「目標k選択」が実行される。図2で示した装置構成について追加的に説明すると、選択部124には目標フロント配分比生成器128で生成される目標フロント配分比(目標値kref)が入力されている。前後のモータの配分比は、フロント側配分比をkとすると、当該kを用いて「(1−k)×X=k×(Y+Z)」の式で与えられる。フロント側配分比kは、例えばFr−Rrが100:0の場合には1、Fr−Rrが0:100の場合には0である。この式は、XYZの3次元座標係で原点(0,0,0)を通り、法線ベクトル=(k−1,k,k)の平面を表している。
上記において、調整システム120が出力する解の組合せの両端のkの値を調べることで、目標であるkの値(目標値kref)を満たすことが可能であるか否かを判定することができる。すなわち、候補解が直線、kの式が平面であるので両端を調べるだけでよい。
図28を参照して説明すれば、線分341が候補解の存在を示す線分であり、矢印線342がk値を示している。線分341の両端に位置する点341a,341bがそれぞれk1とk2に対応している。両端のkの値k1,k2(k1≦k2)を算出し、(1)目標値krefがk1≦kref≦k2の場合には最終k=kref、(2)目標値krefがkref<k1の場合には最終k=k1、(3)目標値krefがkref>k2の場合には最終k=k2、とする。
最終kが決定した後に、以下の演算式に基づいて、前モータ21、左後モータ31L、右後モータ31Rの各出力トルクを決定する。
前モータ21の出力トルク=Treq2×(最終k)
左後モータ31Lの出力トルク=Treq2×(1−最終k)−Nreq2/2
右後モータ31Rの出力トルク=Treq2×(1−最終k)+Nreq2/2
また上記の駆動制御装置40において、調整システム120は、車両の作動状態を制御する他の制御装置(外部のTCS制御装置やABS制御装置等)からのデータを受けて外部要求トルク発生部127で生成された外部要求トルク「OTreq」が入力されたとき、当該トルク要求を満たすように3つの駆動源の各々の出力トルクを調整する。
上記の実施形態の説明では駆動源として電気モータの例を説明したが、これに限定されない。原動機に対して一般的に適用することができる。
以上の実施形態で説明された構成、形状、大きさおよび配置関係については本発明が理解・実施できる程度に概略的に示したものにすぎない。従って本発明は、説明された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示される技術的思想の範囲を逸脱しない限り様々な形態に変更することができる。
本発明は、四輪電気自動車等で複数の車輪が3つの駆動源で駆動される場合に利用され、「運転者の運転操作に基づく車両の総トルク要求」と「操舵操作等を基にした旋回制御に応じる左右トルク差要求」という2つの要求を可能な限り満足するに出力トルクの組合せ解を算出するのに利用される。
本発明に係る複数駆動源の駆動制御装置を装備した車両(四輪乗用車)の模式的平面図である。 本発明の本実施形態に係る駆動制御装置の全体構成の回路ブロック図である。 前モータの出力する駆動トルク(X)、左後モータの出力する駆動トルク(Y)、右後モータの出力する駆動トルク(Z)を図解するための模式図である。 駆動トルク(X,Y,Z)のトルク可能範囲を図解する模式図である 3つのモータの出力する駆動トルクを「X」、「Y」、「Z」の3軸で定義される3次元座標系を示す図である。 XYZの3軸座標系における制御解(解候補)の存在する領域を示す図である。 現実解を求めるための調停アルゴリズムの基本的な処理フローを示すフローチャートである。 図7に示した偏向(1)〜(4)毎の処理に係るルーチンステップの内容を示すフローチャートである。 偏向(1)の場合の処理内容を示すフローチャートである。 偏向(2)の場合の処理内容を示すフローチャートである。 偏向(3)の場合の処理内容を示すフローチャートである。 偏向(4)の場合の処理内容を示すフローチャートである。 現実解を探索する場合の第1の例を示し、図5に示した3次元座標系で、直方体領域に関してX_max平面で切ったときのY−Z平面図を示す図である。 3つのモータの各々の走行状態に応じた出力トルク値のとり得る状態を(A),(B),(C)の3通りで示す図である。 調停の第1の考え方に関する車両イメージ(A)とY−Z平面図(B)を示す図である。 調停の第2の考え方に関する車両イメージ(A)とY−Z平面図(B)を示す図である。 図15に示した第1の考え方と図16に示した第2の考え方を併せて成る現実的な妥協策に関する車両イメージ(A)とY−Z平面図(B)を示す図である。 現実解を探索する場合の第2の例を示し、上記図13に対応する図である。 現実解を探索する場合の第2の例を示し、上記図14に対応する図である。 現実解を探索する場合の第2の例を示し、上記図17に対応する図である。 要求車両トルク「Treq」を優先した調停を行うことを前提とした場合における「偏向」に関して、「偏向あり」の第1の場合を示す図である。 要求車両トルク「Treq」を優先した調停を行うことを前提とした場合における「偏向」に関して、「偏向あり」の第2の場合を示す図である。 要求車両トルク「Treq」を優先した調停を行うことを前提とした場合における「偏向」に関して、「偏向無し」の場合を示す図である。 偏向パターン(1)の場合の調停アルゴリズムを説明するための図である。 偏向パターン(2)の場合の調停アルゴリズムを説明するための図である。 偏向パターン(3)の場合の調停アルゴリズムを説明するための図である。 偏向パターン(4)の場合の調停アルゴリズムを説明するための図である。 前後のモータの配分比を決めるフロント側配分比kの求め方を説明するための図である。
符号の説明
10 車両
11L,11R 前輪
12L,12R 後輪
20 前輪駆動系
21 前輪駆動用モータ
30 後輪駆動系
31L,31R 後輪駆動用モータ
40 駆動制御装置
103 要求車両トルク演算部
104 左右配分部
110 モータ単体出力トルク限界マップ保存部
120 調整システム
122 調整部(調停部)
123 候補解算出部
124 選択部

Claims (4)

  1. 前側左右輪と後側左右輪のうちの一方が1つの駆動源により駆動され、他方が左右輪独立の2つの駆動源により駆動されるように構成された車両で前記3つの駆動源の各々に対して駆動力指令値を与えて駆動力を調整する複数駆動源の駆動制御装置において、
    前記前側左右輪と前記後側左右輪の各々の車輪速を検出する車輪速検出手段と、
    前記車輪速検出手段により検出された車輪速に係る信号に基づき要求車両トルクを演算する要求車両トルク演算手段と、
    操舵輪の舵角を検出する舵角検出手段と、
    前記舵角検出手段により検出された舵角に係る信号に基づき、左右輪の各々が独立で駆動力制御される前記左右輪に対して要求される要求トルク差分を演算する要求左右輪トルク差分演算手段と、
    前記3つの駆動源の出力値をX,Y,Zとしたとき、前記要求車両トルク(Treq)を「Treq=X+Y+Z」と定義すると共に前記要求左右輪トルク差分(Nreq)を「Nreq=Z−Y」と定義し、
    前記3つの駆動源の各々の出力限界値を超えない範囲内で、前記要求車両トルク(Treq)および前記要求左右輪トルク差分(Nreq)の両方の定義を満たす出力値X,Y,Zが存在するように、前記要求車両トルク(Treq)および前記要求左右輪トルク差分(Nreq)を調整する出力トルク調整手段と、
    を備えることを特徴とする複数駆動源の駆動制御装置。
  2. 前側左右輪と後側左右輪のうちの一方が1つの駆動源により駆動され、他方が左右輪独立の2つの駆動源により駆動されるように構成された車両で前記3つの駆動源の各々に対して駆動力指令値を与えて駆動力を調整する複数駆動源の駆動制御装置において、
    前記前側左右輪と前記後側左右輪の各々の車輪速を検出する車輪速検出手段と、
    前記車輪速検出手段により検出された車輪速に係る信号に基づき要求車両トルクを演算する要求車両トルク演算手段と、
    操舵輪の舵角を検出する舵角検出手段と、
    前記舵角検出手段により検出された舵角に係る信号に基づき、左右輪の各々が独立で駆動力制御される前記左右輪に対して要求される要求トルク差分を演算する要求左右輪トルク差分演算手段と、
    前記3つの駆動源の出力値をX,Y,Zとし、これらの出力値をX軸、Y軸、Z軸に対応するように表した3次元空間の中で、各駆動源の取り得る出力トルクの範囲内で規定されたデータマップを形成し、
    前記要求車両トルク(Treq)に対して出力値X,Y,Zの取り得る値を「Treq=X+Y+Z」で定義される平面で表すと共に、前記要求左右輪トルク差分(Nreq)に対して出力値のY,Zの取り得る値を「Nreq=Z−Y」で定義される平面で表し、
    前記要求車両トルク(Treq)および前記要求左右輪トルク差分(Nreq)の両方の定義を満たす出力値X,Y,Zが、前記データマップ内で存在するように設定するために、
    前記要求車両トルク(Treq)に係る平面と前記要求左右輪トルク差分(Nreq)に係る平面との交線が、前記データマップと交わるあるいは接するように、前記要求車両トルク(Treq)および前記要求左右輪トルク差分(Nreq)を調整する出力トルク調整手段と、
    を備えることを特徴とする複数駆動源の駆動制御装置。
  3. 前記出力トルク調整手段は、前記調整後の前記要求車両トルクと、前記調整後の前記要求左右輪トルク差分との両方の定義を満たす前記3つの駆動源の出力値X,Y,Zの中から、各駆動源を駆動するための出力値Fx,Fy,Fzを選出する際に、車両の走行状態に応じて任意に設定することができる車両の駆動力の前後配分比に基づいて前記出力値Fx,Fy,Fzを一意に設定することを特徴とする請求項1または2記載の複数駆動源の駆動制御装置。
  4. 前記出力トルク調整手段は、前記車両の作動状態を制御する他の制御装置からトルク要求が入力されたとき、当該トルク要求に基づき前記要求車両トルク(Treq)および前記要求左右輪トルク差分(Nreq)を調整するまたは補正することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の複数駆動源の駆動制御装置。
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