JP2012187984A - 前後駆動力配分比制御装置 - Google Patents

前後駆動力配分比制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】加速応答性の向上と旋回性能の向上とを両立させることのできる四輪駆動車の前後駆動力配分比制御装置を提供することを目的とする。
【解決手段】車両における前輪と後輪との駆動力を変化させることのできる前後駆動力配分比制御装置において、前後加速度が生じる場合の目標スタビリティファクタを求める目標値算出手段(ブロックB2)と、前記目標値算出手段によって求められた目標スタビリティファクタと車両に実際に生じている前後加速度に応じて変化する加速度検出値とに基づいて前輪と後輪との少なくともいずれか一方に対する駆動力の配分比を求める前後配分比算出手段(ブロックB3〜B7)とを備えている。
【選択図】図1

Description

この発明は、車両における前輪と後輪とに対する駆動力の配分比を制御する装置に関するものである。
車両の車輪で生じる駆動力は、車両を前後方向に加速させるだけでなく、転舵されている場合には横力をも変化させるので、車両の旋回性能にも影響を及ぼす。そこで例えば特許文献1に記載された車両制御装置においては、車両のスタビリティファクタが目標スタビリティファクタに近付くように前後力配分比を決定し、車輪に作用する前後力がその決定された前後力配分比となるように制御している。具体的には、前後輪のコーナリングパワー、ホイールベース、車体重量、重心位置から前輪軸までの距離ならびに重心位置から後輪軸までの距離に基づいて実スタビリティファクタを求める一方、重心位置から前後軸までの距離を、横加速度および車体重量ならびに左右輪の前後力差およびトレッドに基づいて求まる重心の移動量で補正することにより目標スタビリティファクタを求めている。そして、これらのスタビリティファクタの差がなくなるように前後力配分比を変更している。
なお、特許文献2には、車両のスタビリティファクタが予め定めた閾値より小さい場合には前輪駆動モードとし、これとは反対にスタビリティファクタが閾値を超えた場合に4輪駆動モードに切り換えるように構成された自動車が記載されている。
特開2005−003083号公報 特開平04−005132号公報
車両の制御において、理論式や数値モデルなどを用いて目標値を求め、実際の値がその目標値に一致し、もしくは追従して変化するように制御量を設定することは広く行われている。上記の特許文献1に記載された装置は、そのような一般的な制御手法を、スタビリティファクタに着目した前後力配分比の制御に適用したものである。しかしながら、特許文献1に記載されている装置は、前後力配分比を、仮想的な重心位置の変化に関連づけて制御するように構成されているので、理論に忠実な制御と言い得るが、前後力配分比の変更に伴って変化する前後輪における横力を利用して目標スタビリティファクタを求めるように構成されているなどのために、いわゆるフィードバック的な制御になって制御応答性が必ずしも十分なものにならないなど、未だ改善の余地があった。
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであり、車両の旋回性能あるいは安定性を向上させるための前後車輪に対する駆動力の配分比を応答性良く制御することのできる装置を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、車両における前輪と後輪との駆動力を変化させることのできる前後駆動力配分比制御装置において、前後加速度が生じる場合の目標スタビリティファクタを求める目標値算出手段と、前記目標値算出手段によって求められた前記目標スタビリティファクタと前記車両に実際に生じている前記前後加速度に応じて変化する加速度検出値とに基づいて前記前輪と前記後輪との少なくともいずれか一方に対する前記駆動力の配分比を求める前後配分比算出手段とを備えていることを特徴とするものである。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記目標値算出手段は、要求駆動量と車速に応じて変化する車速検出値とに基づいて求められた目標前後加速度と、駆動あるいは制動を伴う円旋回まで拡張されたスタビリティファクタを定義する前後駆動力の二次式とに基づいて前記目標スタビリティファクタを求める手段を含むことを特徴とする前後駆動力配分比制御装置である。
請求項3の発明は、請求項1または2の発明において、前記前後配分比算出手段は、駆動あるいは制動を伴う円旋回まで拡張された前記スタビリティファクタを定義する前記前後駆動力の前記二次式における二次の項の係数を変数とした算出式に、前記目標値算出手段で算出された前記目標スタビリティファクタと前記車両に実際に生じている前記前後加速度に応じて変化する前記加速度検出値とを代入して前記二次の項の前記係数を算出し、その算出された前記係数から前記前輪と前記後輪との少なくともいずれか一方に対する前記駆動力の前記配分比を求める手段を含むことを特徴とする前後駆動力配分比制御装置である。
請求項4の発明は、請求項3の発明において、前記前後配分比算出手段は、前記前輪と前記後輪との少なくともいずれか一方に対する前記駆動力の前記配分比を求めるために使用する前記二次式が虚数解を持たないように前記目標スタビリティファクタを制限するガード手段を更に含むことを特徴とする前後駆動力配分比制御装置である。
請求項5の発明は、請求項1ないし4のいずれかの発明において、前記前後配分比算出手段は、前記前輪と前記後輪との少なくともいずれか一方に対する前記駆動力の前記配分比を、駆動力配分制御で許容される予め定められた範囲に制限する配分比制限手段を更に備えていることを特徴とする前後駆動力配分比制御装置である。
請求項6の発明は、請求項1ないし5のいずれかの発明において、前記前後配分比算出手段は、前記前輪と前記後輪との少なくともいずれか一方に対する前記駆動力の前記配分比が複数ある場合に、現在の前記配分比との差が小さい値の配分比を、前記前輪と前記後輪とに対する前記駆動力の配分制御に採用する配分比決定手段を更に備えていることを特徴とする前後駆動力配分比制御装置である。
請求項1の発明によれば、駆動あるいは制動に伴って前後加速度が生じる場合の目標スタビリティファクタが求められる。その前後加速度は目標前後加速度であって、例えば請求項2の発明におけるように、要求駆動量と車速に対応する車速検出値とに基づいて求めることができ、また目標スタビリティファクタは例えば請求項2の発明におけるように、いわゆる拡張されたスタビリティファクタの定義式を使用して求めることができる。そして、請求項1の発明では、その目標スタビリティファクタと実際の前後加速度に対応する加速度検出値とに基づいて前後輪のいずれかに対する駆動力の配分比が求められる。これは、例えば請求項3の発明におけるように、いわゆる拡張されたスタビリティファクタの定義式における加速度の二次の項の係数が前後輪のいずれかの駆動力配分比を含んだものとなっていることを利用して求めることができ、先ずはその係数の値を算出し、その値から前後輪のいずれかの駆動力配分比が求められる。したがって請求項1の発明によれば、目標値が求められると、それに基づいて、設定するべき前後駆動力配分比が求められるので、目標値と実際値との偏差が求められるまで前後駆動力配分比を決定できないなど、制御の遅延要因を排除して、応答性の良い前後駆動力配分比の制御を行うことが可能になる。
また、この発明では、請求項4に記載されているように、前後輪のいずれかの駆動力配分比を算出するにあたり、二次式を用いるとしても虚数解が出ないように目標スタビリティファクタを制限するので、スタビリティファクタを目標値に可及的に近づけることができ、ひいては車両の旋回性能あるいは走行安定性を向上させることができる。
さらに、この発明では、請求項5あるいは請求項6に記載されているように、算出された駆動力配分比を制限するので、前後輪に対する駆動力配分比を変更する際の過渡的な挙動の安定性を確保することができる。
この発明に係る前後駆動力配分比制御装置の構成を説明するためのブロック図である。 前後加速度を求める制御を説明するためのフローチャートである。 目標前後加速度に基づいて目標スタビリティファクタを求める制御を説明するためのフローチャートである。 目標スタビリティファクタと実前後加速度とに基づいてスタビリティファクタを定義する二次方程式を求める制御を説明するためのフローチャートである。 その二次方程式の解が虚数解とならないように制限する制御を説明するためのフローチャートである。 その二次方程式を解いて前輪駆動力配分比を算出する制御を説明するためのフローチャートである。 算出された前輪駆動力配分比を予め定めた所定の範囲内に制限する制御を説明するためのフローチャートである。 二つの制限後配分比から制御に使用する前輪駆動力配分比を選択する制御を説明するためのフローチャートである。 この発明で対象とする車両の駆動系統および制御系統を模式的に示すブロック図である。
この発明は、前後の四輪の駆動力を変更させることのできる車両を対象とし、その前後輪に対する駆動力の配分比を制御するように構成されている。そのように前輪と後輪との駆動力を与えることのできる車両の様式は、エンジンなどの単一の動力源が出力した動力を前後に分配して四輪を駆動する様式、前輪と後輪とのいずれか一方の二輪をエンジンによって駆動するとともに他方の二輪をモータによって駆動する様式、四輪のそれぞれにモータ(例えばインホイールモータ)を設けて四輪のそれぞれを独立して駆動する様式など、従来知られている適宜の四輪駆動用様式であってよい。図9に示す例は、エンジン1によって前輪Fl,Frを駆動するように構成されたいわゆるFF(前置きエンジン前輪駆動)ベースの四輪駆動車の例であり、特にエンジン1とモータ(もしくはモータ・ジェネレータ)とを駆動力源としたハイブリッド形式の四輪駆動車の例である。
具体的に説明すると、エンジン1が出力した動力を、いわゆるツーモータ形式のハイブリッド機構2を介して前輪Fl,Frに伝達する一方、後輪Rl,Rrをモータ(もしくはモータ・ジェネレータ)によって駆動するように構成されている。そのハイブリッド機構2は、動力分割装置としてシングルピニオン型遊星歯車機構3を備えており、その遊星歯車機構3における所定の回転要素(例えばキャリヤ5)にエンジン1からの動力が入力されており、また他の回転要素(例えばサンギヤ4)に第1のモータ・ジェネレータ6が連結されており、さらに残る一つの回転要素(例えばリングギヤ7)に出力ギヤ8が取り付けられている。その出力ギヤ8には、第2のモータ・ジェネレータ9が減速機構10を介して連結されている。したがって、ハイブリッド機構2は、エンジン1から出力された動力が、遊星歯車機構3において、サンギヤ4(すなわち第1のモータ・ジェネレータ6)側とリングギヤ7(すなわち出力ギヤ8)側とに分割され、第1のモータ・ジェネレータ6がエンジン1から伝達されるトルクで駆動されて発電を行い、また出力ギヤ8にはエンジン1から伝達されるトルクと第1のモータ・ジェネレータ6が発電を行うことによる反力トルクとが現れるように構成されている。また、このような作用に伴って第1のモータ・ジェネレータ6によってエンジン1の回転数を制御できる。
さらに、第1のモータ・ジェネレータ6で発電した電力を第2のモータ・ジェネレータ9に供給することができ、第2のモータ・ジェネレータ6はその電力によってモータとして動作し、出力ギヤ8にそのトルクを伝達する。すなわち、エンジン1が出力とした動力の一部は、遊星歯車機構3を介して出力ギヤ8に伝達され、また他の一部が一旦電力に変換された後、その電力で駆動する第2のモータ・ジェネレータ9で機械的な力であるトルクに変化されて出力ギヤ8に伝達されるようになっている。
出力ギヤ8は、他の減速機構11を介して前輪側の終減速機(フロントデファレンシャル)12のリングギヤに連結されている。このフロントデファレンシャル12は従来知られている構成のものであって、左右のドライブシャフト13,14を介して左右の前輪Fl,Frに連結され、その差動作用によって左右の前輪Fl,Frの差動回転を許容しつつ、これらの前輪Fl,Frにトルクを伝達するように構成されている。
一方、左右の後輪Rl,Rrにリヤドライブシャフト15,16を介して連結された後輪側の終減速機(リヤデファレンシャル)17が設けられており、そのリヤデファレンシャル17のリングギヤに第3のモータ・ジェネレータ18が連結されている。この第3のモータ・ジェネレータ18ならびに上記の第1および第2のモータ・ジェネレータ6,9は、図示しないインバータなどのコントローラを介して蓄電装置に接続されている。そして、そのコントローラを介して各モータ・ジェネレータ6,9,18を制御するハイブリッド用電子制御装置(HV−ECU)19が設けられている。この電子制御装置19は、主として、駆動力を制御するように構成されており、前述した車輪速センサ6やヨーレートセンサが出力する検出信号、前後加速度、横加速度、操舵角、アクセル開度、ブレーキ信号、路面摩擦係数、前後駆動力配分比などの各種の検出信号が入力されており、また車体重量やホイールベース、車体の重心から前後輪の軸までの距離(前後軸間距離)、前後輪のコーナリングスティッフネスなどのデータおよびその他の予め設定した定数やマップがハイブリッド用電子制御装置19に記憶させられている。そして、この電子制御装置19は、各種のセンサから入力されデータや予め記憶しているデータあるいは演算式などに基づいて演算を行い、その演算結果を制御指令信号として出力するように構成されている。例えばエンジン1の回転数が燃費の良い回転数となるように第1のモータ・ジェネレータ6の回転数を制御し、また車両の駆動力が要求に適するように第2のモータ・ジェネレータ9のトルクを制御し、さらに第2のモータ・ジェネレータ6のトルクと併せて第3のモータ・ジェネレータ18のトルクを制御することにより、前後輪の駆動力配分比を適宜制御し、そして、減速時などにいずれかのモータ・ジェネレータ6,9,18を発電機として機能させてエネルギ回生を行うように構成されている。
この発明に係る制御装置は、上述した車両における加減速性能(動力性能)および旋回性能を共に向上させることを目的として前後駆動力配分比を制御するように構成されている。図1はこの発明に係る制御装置の一例を説明するための制御ブロック図であり、先ず、目標前後加速度Gxrefが求められる(ブロックB1)。その演算のための制御例を図2にフローチャートで示してあり、先ず、車体速度Vとアクセルペダル開度Saccr とが読み込まれる(ステップS10)。その車体速度Vは、車両に搭載されている車速センサによって得ることができ、あるいはこれに替えて前後の各車輪の回転速度から得られた車体速度であってもよく、あるいは前述した出力ギヤ8の回転数から求めたものであってもよい。これら、車速センサによって得られた値や、車輪の回転速度から求められた値姉医は出力ギヤ8の回転数が求められた値などがこの発明における車速検出値に相当する。したがって例えば従来知られているアンチロック・ブレーキシステム(ABS)での車体速度を求めるための演算によって車体速度Vを求めることができ、あるいはABSによる車体速度を利用することができる。一方、アクセルペダル開度Saccrは、要求駆動量を示すデータの一種であり、従来知られている車両で採用されている要求駆動量と同様のデータであってよい。これらのデータに基づいて目標駆動力が算出される(ステップS11)。その駆動力マップは従来知られているものと同様であってよく、車両毎もしくは車種毎に車体速度Vおよびアクセルペダル開度Saccrと駆動力Fとの関係を定めたものであり、実験やシミュレーションなどによって予め求めておくことができる。こうして求められた目標駆動力が目標前後加速度Gxrefに換算される(ステップS12)。その演算は、
Gxref=Freq /Massv
として行うことができる。ここで、Freq は目標駆動力、Massvは車体質量である。なお、車両には、不可避的な摩擦損失などの損失が存在するから、上記の目標前後加速度Gxrefあるいは目標駆動力Freq を、それらの損失を勘案して補正してもよい。
上述したようにして演算された目標前後加速度Gxrefに基づく目標スタビリティファクタkhrefが演算される(ブロックB2)。駆動あるいは制動を伴う円旋回にまで拡張されたスタビリティファクタは前後加速度の二次式で表せることが知られており、これを適用すると、目標スタビリティファクタkhrefは、
khref=kh0+kh1×Gxref+kh2×Gxref
で表される。この演算を行う制御例を図3にフローチャートで示してある。先ず、定常項である右辺第1項の値kh0が算出される(ステップS20)。この右辺第1項は、定常円旋回時のスタビリティファクタに相当するものであり、したがって車両毎に設定した定数であってよく、あるいは車体速度Vを変数としたマップに基づいて求めてもよい。
また、これと相前後して一次の項が算出される(ステップS21)。この一次の項の係数kh1は、理論的には下記の(1)式で近似的に算出できるが、ここでは実験あるいはシミュレーションによって予め求めた定数とすることができる。
ここで、Wは車体荷重(N)、Lはホイールベース(m)、Lr およびLf は車体の重心点から前後の車軸までの距離(m)、hは重心の高さ(m)、gは重力加速度(m/s)、Kr およびKf は前後輪のコーナリングスティッフネス(N/rad)であり、ΔKf/ΔmならびにΔKr/Δmは正規化した前後輪のコーナリングスティッフネス(1/rad)である。こうして求められた係数kh1と目標前後加速度Gxrefとの積として一次の項が算出される。
同様にして二次の項が算出される(ステップS22)。この二次の項の係数kh2は、理論的には下記の(2)式で算出できるが、ここでは実験あるいはシミュレーションによって予め求めた定数とすることができる。
ここで、μは路面摩擦係数であって従来知られている方法で求めることができ、またκは前輪駆動力配分比であり、したがって(1−κ)が後輪駆動力配分比になる。そして、この係数kh2と目標前後加速度Gxrefの二乗との積として二次の項が算出される。ついで、これら定常項と一次の項と二次の項とが加算される(ステップS23)。
上記の目標スタビリティファクタkhrefを現在の実前後加速度Gxで達成するために必要とする前後駆動力配分比を求めるための二次方程式を定義する(ブロックB3)。これは、前述したいわゆる拡張されたスタビリティファクタの定義式を利用するものであり、そこで、先ず、図4のフローチャートに示すように、実前後加速度Gxならびに目標スタビリティファクタkhrefおよび各係数kh0,kh1,kh2が読み込まれる(ステップS30、S31、S32)。その実前後加速度Gxは、加速度センサで検出してもよく、あるいは一定時間内の車速の変化とその時間とから演算して求めてもよく、その検出値もしくは演算値がこの発明における加速度検出値に相当する。そして、これらを使用して下記の二次方程式が定義される(ステップS33)。
khref=kh0+kh1×Gx+kh2×Gx …(3)
なお、この場合、二次の項の係数kh2は、前述した(2)式で与えられる。
この二次方程式の解として虚数解が出る可能性があるが、虚数解には技術的意味がないので、これを避けるために、目標スタビリティファクタkhrefに制限を施す(ブロックB4)。具体的には、二次方程式の一般解におけるルート(√)の中の値が「0」以上となるように処理を施す。図5にその処理の内容をフローチャートで示してあり、上記の式における実前後加速度Gxが読み込まれ(ステップS40)、また目標スタビリティファクタkhrefが読み込まれ(ステップS41)、さらに定常項の値kh0ならびに一次の項の係数kh1が読み込まれる(ステップS42)。なお、二次の項の係数kh2は、前述した(2)式のとおりである。
こうして得られる二次方程式の一般解におけるルート(√)の中の値が「0」以上となるためには下記の(4)式が成り立つ必要がある。
khref≧kh0+kh1×Gx−(4Wg×Gx)/(LfKf−LrKr) …(4)
そこで、ステップS43ではこの(4)式が成り立つか否かが判断される。このステップS43で肯定的に判断されれば、虚数解が出ないのであるから、目標スタビリティファクタkhrefに特別な処理を施さずに、図5に示すルーチンを一旦終了する。これとは反対にステップS43で否定的に判断された場合には、目標スタビリティファクタkhrefの値を(4)式の右辺で求められる値にする(ステップS44)。すなわち、目標スタビリティファクタkhrefの値をこのように置き換えるガード処理を施す。
ブロックB4でガード処理を施すことにより(3)式として示す二次方程式が確定するので、これを前輪駆動力配分比κについて解く(ブロックB5)。具体的には、図6のフローチャートに示すとおりであり、先ず目標スタビリティファクタkhrefが読み込まれる(ステップS50)。その値は、前述した図5のステップS43で肯定的に判断された場合には、車体速度Vならびに要求駆動量に基づいて求められた値であり、ステップS43で否定的に判断された場合には、前述した(4)式の右辺で算出された値である。また、前述した実前後加速度Gxならびに定常項の値kh0および一次の項の係数kh1が読み込まれる(ステップS51,S52)。その結果、得られる二次方程式は、前輪駆動力配分比κを変数とする二次方程式となるので、前輪駆動力配分比κについて解くと、下記の解が得られる。
κ1=[−B+(B−AC)1/2]/A
κ2=[−B−(B−AC)1/2]/A
なお、ここで、上記のA,B,Cは下記のとおりである。
こうして得られた前輪駆動力配分比κは車体速度や要求駆動量などによって種々の値となるのに対して、車両の状況によっては前後輪の駆動力配分比が制限される場合がある。例えば変速機やトランスファなどの駆動機構における油温が低い場合や路面摩擦係数が低下している場合、手動操作によって四輪駆動状態が選択されている場合などには、前後輪の駆動力配分比を固定して変更しないことが好ましく、あるいは前輪駆動状態に近い状態を維持することが好ましいなど、前輪駆動力配分比κを制限する必要がある。そこで、このような事情に基づいて、上記の解に制限を付す(ブロックB6)。この制限制御は、要は、算出された前輪駆動力配分比κが車両や路面などの状態に基づいて決められる所定の範囲内に制限する制御であり、したがってその範囲を決めている上限値と下限値と比較され、上限値を超え、あるいは下限値を下回っている場合には、その上限値もしくは下限値に制限される。具体的には、図7に示すように制御される。
図7に示す制御例では、先ず、上述した二次方程式の二つの解κ1,κ2が読み込まれ(ステップS60)、ついでそれらの解κ1,κ2と予め定められた上限値κ_upperおよび下限値κ_lowerとが比較される。例えば上限値κ_upperと比較され、小さい方の値が上限ガード値κ_upgdとされる(ステップS61)。いわゆるミニマムセレクト処理である。これを式で表せば、下記のとおりである。
κ_upgd*=min(κ*,κ_lower) *:1または2
なおここで、上限値κ_upperは、上述したようにその時点の油温や路面摩擦係数あるいは運転者による前後輪への駆動力配分の選択などに対応させて予め定めた値であり、実験やシミュレーションなどによって求めておくことができる。また、ステップS61の処理は、上記の二つの解κ1,κ2のそれぞれについて実行される。
ついで、ステップS61で求められた上限ガード値κ_upgdと下限値κ_lowerとが比較され、大きい方の値がガード処理の終了した制限後配分比κ_gdとされる(ステップS62)。いわゆるマックスセレクト処理である。これを式で表せば、下記のとおりである。
κ_gd*=max(κ*,κ_upgd) *:1または2
なおここで、下限値κ_lowerは、上述したようにその時点の油温や路面摩擦係数あるいは運転者による前後輪への駆動力配分の選択などに対応させて予め定めた値であり、実験やシミュレーションなどによって求めておくことができる。また、ステップS62の処理は、上記の二つの解κ1,κ2のそれぞれについて実行される。さらに、上述したいわゆる上限ガード処理に続けて下限ガード処理を行うことに替えて、下限ガード処理を先に行い、その結果について上限ガード処理を行ってもよい。
前述した二次方程式の解が二つ生じることがあるから、その場合には制限後配分比κ_gd1,κ_gd2が得られる。これら二つの制限後配分比κ_gd1,κ_gd2から最終的な前輪駆動力配分比κが求められる。すなわち、前輪駆動力配分比κを変更すれば、前輪Fl,Frと後輪Rl,Rrとの駆動力が変化するので、車両の駆動性能が変化し、あるいは一時的な挙動の変化が生じるから、前後輪への駆動力配分比の変更が違和感とならないようにするための処理が行われる。その一例は、二つの制限後配分比κ_gd1,κ_gd2のうち、現在の配分比との差が小さい方の値が採用される。その制御例を図8にフローチャートで示してある。図8に示す例では、先ず、上記の二つの制限後配分比κ_gd1,κ_gd2が読み込まれ(ステップS70)、またこれと相前後して前輪駆動力配分比の前回値κ_oldが読み込まれる(ステップS71)。なお、これらの読み込みの順序は特に問わない。
そして、各制限後配分比κ_gd1,κ_gd2のそれぞれと前回値κ_oldとの差の絶対値が比較される(ステップS72)。具体的には、第1の制限後配分比κ_gd1と前回値κ_oldとの差の絶対値が、第2の制限後分配比κ_gd2と前回値κ_oldとの差の絶対値より小さいか否かが判断される。これを式で表せば、下記のとおりである。
その判断の結果、第1の制限後配分比κ_gd1と前回値κ_oldとの差の絶対値が小さいことによりステップS72で肯定的に判断された場合には、その第1の制限後配分比κ_gd1が制御上の最終的な前輪駆動力配分比κとして採用される(ステップS73)。これとは反対に、第2の制限後配分比κ_gd2と前回値κ_oldとの差の絶対値が小さいことによりステップS72で肯定的に判断された場合には、その第2の制限後配分比κ_gd2が制御上の最終的な前輪駆動力配分比κとして採用される(ステップS74)。すなわち、直前の前輪駆動力配分比に対する変化の程度が小さい方の制限後配分比κ_gd1,κ_gd2が制御のための値として選択される。なお、ブロックB7の制御は、前述したように駆動力配分比の変更が違和感とならないようにするためのものであるから、選択された値を更になまし処理するなど、挙動の変化を緩和するための処理を更に実行してもよい。
こうして求められた最終的な前輪駆動力配分比κが、前輪Fl,Frおよび後輪Rl,Rrの駆動力の制御に使用され、それぞれの車輪Fl,Fr,Rl,Rrが制御される。例えば前述した図9に示す駆動系統を備えた車両では、第2のモータ・ジェネレータ9のトルクを増大させて前輪Fl,Frの駆動力を増大させるとともに、第3のモータ・ジェネレータ18のトルクを、第2のモータ・ジェネレータ9のトルクの増大分に応じて低減させて後輪Rl,Rrの駆動力を低下させることにより前輪Fl,Frに対する駆動力配分比を増大させる。あるいはこれとは反対に、第3のモータ・ジェネレータ18のトルクを増大させて後輪Rl,Rrの駆動力を増大させるとともに、第2のモータ・ジェネレータ9のトルクを、第3のモータ・ジェネレータ18のトルクの増大分に応じて低減させて前輪Fl,Frの駆動力を低下させることにより前輪Fl,Frに対する駆動力配分比を低下させる。このように前後輪の駆動力配分比を目標スタビリティファクタkhrefに基づいて制御する場合、上述した制御を実行するこの発明に係る制御装置によれば、車両が実際に走行していることにより得られるデータとの偏差を求めたり、その偏差に基づいて制御量を算出したりするなどのいわゆるフィードバック的な制御プロセスがなく、目標スタビリティファクタkhrefから直接的に前後駆動力配分比を求めるので、制御応答性を従来になく向上させることができる。また、上述した具体例で述べたように、駆動力源としてモータを使用することにより、制御応答性が更に良好になる。
なお、この発明は上述した具体例に限定されないのであって、データの読み込みや演算の順序は、特に制限されない限り、上述した各フローチャートで挙げてある順序でなくてもよい。また、上記の具体例では、前輪駆動力配分比を算出し、その値に基づいて後輪に対する駆動力配分比を求めることとしてあるが、この発明では、後輪に対する駆動力配分比を目標スタビリティファクタに基づいて算出し、その後輪駆動力配分に基づいて前輪駆動力配分比を算出することとしてもよい。その場合、前述した(2)式における「κ」を「(1−κ)」に置き換え、また「(1−κ)」を「κ」に置き換えればよい。
ここで、上述した具体例とこの発明との関係を簡単に説明すると、図1に示すブロックB1ないしブロックB2の制御を実行する機能的手段が、この発明における目標値算出手段に相当し、ブロックB3ないしブロックB7の制御を実行する機能的手段が、この発明における前後配分比算出手段に相当する。そして、ブロックB6の制御を実行する機能的手段が、その発明における配分比制限手段に相当し、ブロックB7の制御を実行する機能的手段が、この発明における配分比決定手段に相当する。
1…エンジン、 Fl,Fr…前輪、 Rl,Rr…後輪、 9…第2のモータ・ジェネレータ、 18…第3のモータ・ジェネレータ、 19…ハイブリッド用電子制御装置(HV−ECU)。

Claims (6)

  1. 車両における前輪と後輪との駆動力を変化させることのできる前後駆動力配分比制御装置において、
    前後加速度が生じる場合の目標スタビリティファクタを求める目標値算出手段と、
    前記目標値算出手段によって求められた前記目標スタビリティファクタと前記車両に実際に生じている前記前後加速度に応じて変化する加速度検出値とに基づいて前記前輪と前記後輪との少なくともいずれか一方に対する前記駆動力の配分比を求める前後配分比算出手段と
    を備えていることを特徴とする前後駆動力配分比制御装置。
  2. 前記目標値算出手段は、要求駆動量と車速に応じて変化する車速検出値とに基づいて求められた目標前後加速度と、駆動あるいは制動を伴う円旋回まで拡張されたスタビリティファクタを定義する前後駆動力の二次式とに基づいて前記目標スタビリティファクタを求める手段を含むことを特徴とする請求項1に記載の前後駆動力配分比制御装置。
  3. 前記前後配分比算出手段は、駆動あるいは制動を伴う円旋回まで拡張された前記スタビリティファクタを定義する前記前後駆動力の前記二次式における二次の項の係数を変数とした算出式に、前記目標値算出手段で算出された前記目標スタビリティファクタと前記車両に実際に生じている前記前後加速度に応じて変化する前記加速度検出値とを代入して前記二次の項の前記係数を算出し、その算出された前記係数から前記前輪と前記後輪との少なくともいずれか一方に対する前記駆動力の前記配分比を求める手段を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の前後駆動力配分比制御装置。
  4. 前記前後配分比算出手段は、前記前輪と前記後輪との少なくともいずれか一方に対する前記駆動力の前記配分比を求めるために使用する前記二次式が虚数解を持たないように前記目標スタビリティファクタを制限するガード手段を更に含むことを特徴とする請求項3に記載の前後駆動力配分比制御装置。
  5. 前記前後配分比算出手段は、前記前輪と前記後輪との少なくともいずれか一方に対する前記駆動力の前記配分比を、駆動力配分制御で許容される予め定められた範囲に制限する配分比制限手段を更に備えていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の前後駆動力配分比制御装置。
  6. 前記前後配分比算出手段は、前記前輪と前記後輪との少なくともいずれか一方に対する前記駆動力の前記配分比が複数ある場合に、現在の前記配分比との差が小さい値の配分比を、前記前輪と前記後輪とに対する前記駆動力の配分制御に採用する配分比決定手段を更に備えていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の前後駆動力配分比制御装置。
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