JP2009032532A - 電線処理システム - Google Patents
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Abstract
【課題】多品種少量生産に適したワイヤーハーネスの製造を可能にし、生産性を高めることが可能な電線処理システムを提供する。
【解決手段】複数本の電線を並列状態で一本ずつ挟持可能な複数の挟持部13、及び夫々の挟持部13を閉鎖位置側に付勢する付勢手段を有する電線保持具2と、電線保持具2を一定方向に搬送する保持具搬送ユニット50と、搬送される電線保持具2に対し順に電線を供給する複数の電線供給ユニットと、電線保持具2に配列された複数の電線の後端側を、夫々別々に挟持可能な複数の挟持用シリンダ184と、電線保持具2を固定した状態で、挟持用シリンダ184を第三保持具搬送ユニット65に接近した位置から遠ざかる方向に移動させることで、挟持用シリンダ184によって挟持されている電線Lを電線保持具2に対してスライドさせる電線スライド機構176とを具備する。
【選択図】図14
【解決手段】複数本の電線を並列状態で一本ずつ挟持可能な複数の挟持部13、及び夫々の挟持部13を閉鎖位置側に付勢する付勢手段を有する電線保持具2と、電線保持具2を一定方向に搬送する保持具搬送ユニット50と、搬送される電線保持具2に対し順に電線を供給する複数の電線供給ユニットと、電線保持具2に配列された複数の電線の後端側を、夫々別々に挟持可能な複数の挟持用シリンダ184と、電線保持具2を固定した状態で、挟持用シリンダ184を第三保持具搬送ユニット65に接近した位置から遠ざかる方向に移動させることで、挟持用シリンダ184によって挟持されている電線Lを電線保持具2に対してスライドさせる電線スライド機構176とを具備する。
【選択図】図14
Description
本発明は、電線処理システムに関するものであり、特に、多種類の電線を用いたワイヤーハーネスを製造するための電線処理システムに関するものである。
端末処理装置として、電線の端部の被覆材を除去し、その端部に端子を圧着するとともに、電線を所定の長さに切断する端子圧着装置が知られている。具体的には、図21に示すように、端子圧着装置501は、電線癖取装置502と、電線Lの先端側及び後端側に端子を圧着させるための第一圧着機構503,第二圧着機構504と、電線Lを切断するとともに電線Lの端部の被覆材を除去する切断機構505と、電線Lの先端側を第一圧着機構503に送り込む電線送込み機構506と、切断後の電線Lを保持し電線Lの後端側を第二圧着機構504に送り込むチャック機構(図示しない)と、端子Tを圧着し終えた電線Lを外部へ排出する排出装置(図示しない)とを備えている。
第一圧着機構503と第二圧着機構504とは基本的な構成が等しく、端子を圧着するためのアプリケータ509がフレーム部材510に取付けられている。つまり、フレーム部材510の側面には、切欠き511が形成され、その切欠き511内にアプリケータ509が取付けられている。詳しくは、切欠き511の上方にはアプリケータ509の上側ユニット512が、また、切欠き511の下方には、アプリケータ509の下側ユニット513が夫々取付けられている。
また、電線送込み機構506は、電線取込みガイド557、電線Lの長さを測長するエンコーダ558、及び、所定距離離間して配置される一対のローラ559等から構成されている。(特許文献1参照)。
一方、端子圧着装置501に電線を供給する方法として、例えば互いに異なる電線が巻かれた複数の電線ドラムを備え、複数の電線ドラムの中から加工処理する電線を、手作業で端子圧着装置501に供給することが一般的に行われている。つまり、電線ドラムに巻かれた電線の先端を、端子圧着装置501の電線癖取装置502を通して電線送込み機構506にセットする方法であり、その後は、電線送込み機構506の設けられた一対のローラ559の動力(引張操作)によって、電線ドラムから電線を繰出させることができる。
ところで、電気製品には配線用の被覆電線が数多く使用されている。これらの被覆電線は、銅等で形成された芯線と、塩化ビニール等の樹脂で形成され芯線を絶縁するための被覆とから構成され、配線場所、用途、消費電力、及び接続方法等の使用条件に適するように、その全長、芯線の直径、及び芯線の露出長さ等が夫々設定される。
また、複数の電気部品を電気的に接続するために、複数の電線を束ねたワイヤーハーネスが使用されることもある。そして、このワイヤーハーネスでは複数の色(例えば13色)の被覆電線が用いられている。なお、ワイヤーハーネスでは、複数の電線の先端側及び後端側に夫々圧着された圧着端子を、一つまたは複数のコネクタ(ハウジングともいう)にまとめて接続しており、コネクタを介して電気部品の基板等に連結されるようになっている。そして、ワイヤーハーネスを製造するには、コネクタに接続する電線の種類及び順序が極めて正確に配線されていることが要求されることから、配線ミスを防止するために各々の電線を色分けしたりすることが行われている。
なお、近年、電気製品の多品種化に伴い、それに使用される被覆電線の種類も極めて多様になってきており、しかも在庫をもたずに適切なタイミングで適切な分だけ納品できるように少量生産が一般的に行われている。特に車両に用いられるワイヤーハーネスでは、複数の色の被覆電線を単品生産することも要望されている。
ところが、従来の電線供給方法では、電線の種類が変わるごとに電線を手作業で掛け換える作業が必要となることから、端子圧着装置の稼動率が大幅に低下していた。具体的には、端子圧着装置101の加工処理能力が3000本/時間であっても、電線の掛け換えに1分間要する場合には、1時間当りの生産量は60本以下となっていた。つまり、多品種少量生産の場合、生産性が極めて悪くなり、ひいては製造コストの増加、及び作業者の負担の増加が問題となっていた。
また、一般の電線ドラムは比較的大型であることから、それらを数多く並べるには極めて広いスペースが必要となり、設備の導入が困難となっていた。また、電線ドラムに巻かれている電線が残り少なくなった場合には、新たな電線ドラムと交換しなければならないが、この際、大きな電線ドラムを現場で取外したりセットしたりする作業が必要となり、稼動率の低下、及び作業者の負担の増加が助長されていた。
また、現場に十分な配設スペースがない場合には、一つまたは頻繁に使用する電線ドラムのみを端子圧着装置の近傍に配置し、残り全ての電線ドラムを倉庫や収納庫で保管しておくことも一般的に行われているが、これによれば、保管された電線ドラムを使用する際に、倉庫等から端子圧着装置の近傍まで電線ドラムを搬送しなければならず、電線の掛け換えが完了するまでに一層長い時間を要していた。
そこで、本願出願人は、作業者の負担を軽減するとともに、多品種少量生産に適した電線供給を可能にした電線処理システムを先に提案している。これは、互いに異なる線種の電線が巻かれた複数の電線ドラムと、複数の電線ドラムの中から一つの電線ドラムを選択しその電線ドラムを所定の取出位置まで移動させるドラム移動手段とを有する電線供給装置を備えるものであり、取出位置の電線ドラムに巻かれた電線を端子圧着装置に対して供給することを可能にしている。また、電線ドラムから延出された電線を、電線送り装置によって引張り出し、電線の先端部分を端子圧着装置に供給することが可能になっている。これによれば、選択された一つの電線ドラムを所定の取出位置に移動させる動作、及びその電線ドラムから延出された電線を端子圧着装置に受渡す動作、を機械的に行うため、一連の作業を自動化することができ、作業者の負担を軽減することが可能となる。
ところが、端子圧着装置における稼動率の低下は、電線の掛け換えによるものだけではなく、圧着端子(リール)の交換作業やアプリケータの交換作業も要因となっており、多品種少量生産が主流となる現在の生産体制の下では、生産性を高めることが困難となっていた。つまり、コネクタや電線の種類が変わると、それに伴って圧着機構におけるアプリケータや、アプリケータに供給される圧着端子の交換が必要となり、端子圧着装置の稼動率を大幅に低下させていた。特にアプリケータは、押圧部材を動作させるための昇降部材や端子圧着装置の動力機構と一体的に取扱われており、押圧部材やアンビルの形状は圧着端子の形状に応じて異なることから、加工すべき圧着端子の種類が多い場合には、多くの種類のユニットを常備しなければならず、ユニットの取出し及び収納等を含む交換作業に多くの時間を要していた。しかも、ユニットを保管するために大型の倉庫が必要となっていた。また、アプリケータを交換した際には、調整作業も必要となり、手間が極めて大きくなっていた。
そこで、本願出願人は、以下の電線処理システムも提案している。すなわち、電線供給装置から供給される複数本の電線を順番に受取るとともに、受け取った複数本の電線を所定の配列に保持したまま持ち運ぶことを可能にする電線保持具と、電線保持具に配列された複数本の電線に対し、夫々の圧着処理に用いられる端子圧着装置を、複数の端子圧着装置の中から特定する圧着装置特定手段と、特定された端子圧着装置の識別番号を、電線保持具の持ち運び先として作業者に案内する誘導装置とを具備するものである。これによれば、複数の種類のアプリケータと複数の種類の圧着端子とを組合せた、複数のタイプの端子圧着装置が並設されているため、多品種少量生産によりコネクタや電線の種類が頻繁に変化しても、アプリケータや圧着端子を交換することなく、夫々の電線の先端または後端に圧着端子を圧着させることが可能になる。
しかし、上記の電線処理システムでは、複数の電線ドラムの中から少なくとも一つの電線ドラムを選択し、その電線ドラムを所定の取出位置まで移動させる構成を備えなければならず、これによれば、電線保持具に複数の電線が全て送り込まれるまでに、比較的長い時間を要していた。また、電線の種類が多い場合には、電線ドラムの数も多くなるため、電線ドラムを移動させるための構成が極めて大掛かりなものとなっていた。さらに、比較的離れた位置に配置された二つまたは複数の電線ドラムが順次選ばれることもあり、この場合には、電線を供給するまでに要する時間が助長され、生産性を高めることが困難となっていた。また、数多くの電線ドラムを同時に移動させることから、大型の駆動手段が必要となり、エネルギーの消費も多くなっていた。
そこで、本発明は、上記の実状に鑑み、多品種少量生産に適したワイヤーハーネスの製造を可能にし、生産性を高めることが可能な電線処理システムの提供を課題とする。
本発明にかかる電線処理システムは、「電線を挟持することが可能な閉鎖位置と電線の挿入及び抜取りが可能な開放位置との間で変位可能に支持され、複数本の電線を並列状態で一本ずつ挟持させることが可能な複数の挟持部、及び夫々の該挟持部を個々に前記閉鎖位置側に付勢する付勢手段を有する電線保持具と、
該電線保持具を一定方向に搬送する保持具搬送装置と、
該保持具搬送装置の搬送方向に対して所定の間隔で配置され、前記保持具搬送装置によって搬送される前記電線保持具に対し順に電線を供給する複数の電線供給装置と、
該複数の電線供給装置によって供給され前記電線保持具に配列された複数の電線の後端側を、夫々別々に挟持することが可能な複数の電線挟持機構と、
前記電線保持具を固定した状態で、複数の前記電線挟持機構を前記保持具搬送装置に接近した位置から遠ざかる方向に移動させることで、前記電線挟持機構によって挟持されている電線を前記電線保持具に対してスライドさせる電線スライド機構と
を具備する」ことを特徴とするものである。
該電線保持具を一定方向に搬送する保持具搬送装置と、
該保持具搬送装置の搬送方向に対して所定の間隔で配置され、前記保持具搬送装置によって搬送される前記電線保持具に対し順に電線を供給する複数の電線供給装置と、
該複数の電線供給装置によって供給され前記電線保持具に配列された複数の電線の後端側を、夫々別々に挟持することが可能な複数の電線挟持機構と、
前記電線保持具を固定した状態で、複数の前記電線挟持機構を前記保持具搬送装置に接近した位置から遠ざかる方向に移動させることで、前記電線挟持機構によって挟持されている電線を前記電線保持具に対してスライドさせる電線スライド機構と
を具備する」ことを特徴とするものである。
ここで、「電線保持具」としては、上方から複数本の電線を整列させた状態で差し込むことを可能にした略櫛形状のものを例示することができる。
本発明の電線処理システムによれば、電線保持具が用いられ、電線保持具に設けられた複数の挟持部によって複数本の電線を並列状態で一本ずつ挟持させることが可能となっている。そして、この電線保持具に電線を送込むために保持具搬送装置及び複数の電線供給装置が使用される。つまり、電線保持具を一定方向に搬送しながら夫々の挟持部に対して互いに異なる電線供給装置から電線が送込まれる。なお、夫々の電線供給装置から供給される電線の種類を互いに異ならせることにより、夫々の挟持部に対して互いに異なる電線を送込むことが可能になる。また、複数本の電線を設定された配線パターン通りに配列させることが可能となるため、多品種少量生産に適したワイヤーハーネスの製造を可能にし、生産性を高めることが可能となる。
ところで、保持具搬送装置と夫々の電線供給装置との距離を比較的長く形成した場合には、電線保持具の両側に大きなスペースが形成されるため、電線の先端側及び後端側の両方を電線保持具から大きく延出させることが可能になるが、その反面、システム全体が大型化し、設備として設置することが困難になる虞がある。また、電線供給装置が電線保持具から離れるため、電線保持具の挟持部に対して円滑に電線を送込むことが困難となる。一方、夫々の電線供給装置を保持具搬送装置に接近させて配置した場合には、電線を円滑に送込むとともに全体を小型化することが可能になるが、電線保持具と電線供給装置との間のスペースが確保されないため、電線の後端側を電線保持具から大きく延出させることが困難となり、ひいては後端部分に圧着端子を圧着させることが困難になる。
これに対し、本発明では、電線保持具に配列された複数の電線の後端側を挟持し、電線の後端側を電線保持具から引き出す機構を備えている。具体的には、電線保持具に配列された複数の電線を、夫々別々に挟持することが可能な複数の電線挟持機構と、電線保持具を固定した状態で、複数の電線挟持機構を保持具搬送装置に接近した位置から遠ざかる方向に移動させることで、電線挟持機構によって挟持されている電線を電線保持具に対してスライドさせる電線スライド機構とを備えている。これによれば、電線保持具に全ての電線が配列されるまでは、電線の後端側をあまり延出させることなく搬送させることができ、一方、全ての電線を配列させた後には、これらの電線を纏めて引き出すことが可能になる。したがって、電線供給装置を保持具搬送装置に接近した状態で配置させるにも拘らず、電線の後端部分を電線保持具から延出させ、ひいては後端部分に対して圧着端子を容易に圧着させることが可能になる。
また、本発明にかかる電線処理システムにおいて、「配列された複数の電線における前記電線保持具からの設定突出長さを、夫々の前記挟持部に対応させて予め記憶する突出長さ記憶手段と、
該突出長さ記憶手段に記憶された夫々の突出長さに基づいて、夫々の前記電線挟持機構における挟持解除のタイミングを個々に設定することで、複数の電線の突出長さを夫々別々に調整する突出長さ調整手段と
をさらに具備する」ように構成してもよい。
該突出長さ記憶手段に記憶された夫々の突出長さに基づいて、夫々の前記電線挟持機構における挟持解除のタイミングを個々に設定することで、複数の電線の突出長さを夫々別々に調整する突出長さ調整手段と
をさらに具備する」ように構成してもよい。
本発明の電線処理システムによれば、突出長さ記憶手段が設けられ、複数の電線における電線保持具からの設定突出長さが夫々の挟持部に対応させて記憶されている。そして、記憶されている夫々の突出長さに基づいて、夫々の電線挟持機構における挟持解除のタイミングが個々に設定される。つまり、設定突出長さが短い場合には、電線挟持機構を早い段階で解除することにより、その電線の引き出しが中断され、一方、設定突出長さが長い場合には、電線挟持機構の解除を遅くすることにより、引き出される電線を長くすることが可能となる。このため、複数の電線の突出長さを夫々別々に調整することが可能となり、例えば、コネクタ(ハーネスのハウジング)におけるピッチと電線保持具における挟持部の間隔との差を考慮した突出長さとすることが可能となり、これによれば、中央の挟持部に挟持された電線等、一部分の電線のみが余剰となって撓みが生じることを防止できる。
また、本発明にかかる電線処理システムにおいて、「前記保持具搬送装置は、夫々の前記電線挟持機構と対向する位置に停止した前記電線保持具における前記挟持部を押圧し、前記付勢手段の付勢力に抗して夫々の前記挟持部を前記閉鎖位置から前記開放位置に強制的に変位させることが可能な複数の開放操作手段と、
前記電線スライド機構によって電線をスライドさせる前に前記開放操作手段の作動を開始し、前記電線挟持機構における挟持状態を解除した後、前記開放操作手段の作動を停止させる開放制御手段と
をさらに備える」ように構成してもよい。
前記電線スライド機構によって電線をスライドさせる前に前記開放操作手段の作動を開始し、前記電線挟持機構における挟持状態を解除した後、前記開放操作手段の作動を停止させる開放制御手段と
をさらに備える」ように構成してもよい。
本発明の電線処理システムによれば、電線保持具の挟持部は、閉鎖位置と開放位置との間で変位可能に支持されるとともに、付勢手段によって閉鎖位置側に付勢される。このため、閉鎖位置では電線を挟持することが可能となり、開放位置では電線の挿入及び抜取りが可能となる。また、保持具搬送装置には、夫々の電線挟持機構と対向して配置された開放操作手段が設けられており、電線スライド機構によって電線をスライドさせる前に開放操作手段の作動を開始し、付勢手段の付勢力に抗して挟持部を閉鎖位置から開放位置に強制的に変位させる。このように電線をスライドさせる際に、挟持部を開放位置とすることにより電線を容易に引き出すことが可能となる。一方、電線挟持機構における挟持状態を解除した後は、開放操作手段の作動を停止させる。これにより、電線を確実に保持することが可能となり、電線保持具を持ち運ぶ際に電線が挟持部から逸脱することを防止できる。
また、本発明にかかる電線処理システムにおいて、「前記保持具搬送装置に配置され、前記挟持部が開放位置に変位した際に、前記挟持部から電線が逸脱しないように夫々の電線を直線状に支持する上面波形状の逸脱防止板をさらに備える」ように構成してもよい。
本発明の電線処理システムによれば、電線を引張る際には挟持部を開放位置に変位させるが、電線保持具の近傍には逸脱防止板が設けられているため、この逸脱防止板によって挟持部から電線が逸脱することが防止される。したがって、電線を比較的速やかにスライドさせても、電線を滑らかに摺動させることができるとともに、電線の保持状態を維持することができる。特に、逸脱防止板は上面波形状の板材によって構成されているため、比較的簡単な構成でありながらも、配列された全ての電線を同時に支持することが可能である。
このように、本発明の電線処理システムによれば、ワイヤーハーネスの配線パターンに合わせた電線の配列を速やかに行うことができ、ひいては多品種少量生産に適した配線処理が可能となる。また、夫々の電線供給装置を保持具搬送装置に接近した状態で配置させ、システムの小型化を図るとともに、電線の後端部分に対しても確実に圧着端子等を圧着させることができる。
以下、本発明の一実施形態である電線処理システムについて、図1乃至図20に基づき説明する。図1は電線処理システムの概略構成を示す模式図である。図1に示すように、電線処理システム1は、複数の電線を所定の配列に保持したまま持ち運ぶことを可能にする電線保持具2と、電線保持具2に複数種類の電線を送込み所定のパターンで配列させる電線配列システム3と、電線保持具2によって保持された複数の電線の先端または後端に端子を圧着するための複数の端子圧着装置4を有する圧着システム5と、を具備して構成されている。
[電線保持具の構成]
まず、電線保持具2について図2〜図4を基に詳細に説明する。図2は電線保持具2を上方から見た斜視図であり、図3(a)は挟持部を開放した状態を示す斜視図であり、図3(b)は電線保持具2をひっくり返した状態を示す斜視図であり、図4は電線保持具2の縦断面図である。
まず、電線保持具2について図2〜図4を基に詳細に説明する。図2は電線保持具2を上方から見た斜視図であり、図3(a)は挟持部を開放した状態を示す斜視図であり、図3(b)は電線保持具2をひっくり返した状態を示す斜視図であり、図4は電線保持具2の縦断面図である。
電線保持具2は、図2に示すように、略直方体形状を呈する保持具本体10と、保持具本体10の上面11に固定状態で設けられ搬送方向(長手方向)に対して所定の間隔で配置された複数の固定板12と、これらの固定板12と対向し上面11から突出可能な断面略L字形の複数の挟持部13とを具備して構成されている。この電線保持具2における長手方向の長さは、容易に持ち運ぶことが可能な大きさ、例えば20cmに設定されており、この中で20本の電線を保持することが可能になっている。挟持部13は、突出すると固定板12との間に電線を挿入させることが可能な隙間を形成し(図3(a)参照)、没入方向(下方)に変位すると固定板12との協働によって電線を挟持する。
挟持部13の挟持面には緩衝材13aが貼着されており、挟持の際に電線に加わる圧力を抑制し電線が潰れることを防止している。また、図4に示すように、保持具本体10の内部には、夫々の挟持部13に対応するように複数の穴部15が設けられている。なお、穴部15は底面14に開口20を有するとともに、挟持部13の摺動片17が摺動可能な連通溝16を介して上面11と連通している。穴部15内には、挟持部13を下方に向って付勢するコイルバネ等の付勢手段18が収容されており、付勢手段18は上端が穴部15の天井面に当接し、下端が挟持部13の受止片19に当接している。つまり、受止片19を下方に向って押圧することにより挟持力を発生している。なお、付勢手段18及び受止片19を収容する穴部15は保持具本体10の底面14に開口しているため、開口20から押圧操作部(図示しない)を挿入し、夫々の受止片19を上方に向って押圧すれば、付勢手段18の付勢力に抗して挟持部13を個々に突出側に変位させることが可能となる。
電線保持具2の底面14側には、全周にわたって水平方向に突出するフランジ21が形成されている。また、搬送方向の先端側(図面では右端側)の底面14には、搬送方向に並んで配置された二本のスリット22が形成されており、そのスリット22の内部には光を反射させることが可能な反射部材23が設けられている。なお、この反射部材23は電線保持具2の位置を検出するために設けられているが、この点については後述する。また、電線保持具2における搬送方向の先端側には、夫々の電線保持具2を識別するための識別情報を読書き可能な識別情報記憶部24が埋設されている。なお、本例では、識別情報記憶部24としてICチップを用いている。ICチップは、情報を記憶する記憶回路を備え、内蔵された電源、あるいは、外部から供給される電源により、記憶回路に情報を書込んだり、記憶された情報を外部に発信したりする。
[電線配列システムの全体構成]
次に電線配列システム3の全体的な概略構成を、図5及び図6に基づき説明する。図5は電線配列システムにおける前半部分の工程を示す平面図であり、図6は後半部分の工程を示す平面図である。図5に示すように、電線配列システム3の前半部分には、電線保持具2を一定方向に搬送しながら電線保持具2における夫々の挟持部13に対して互いに異なる種類の電線を送込み、複数の電線を略平行状態に配列させる配列装置33と、互いに異なる種類の電線が巻かれた複数の電線ドラム34と、配列装置33に空の状態の電線保持具2を搬入させる保持具搬入装置35とが備えられている。なお、搬送される電線保持具2を挟んで配列装置33と対向するように電線案内装置39が配置されており、電線保持具2の挟持部13に送込まれた電線を、挟持部13を通過した後も、送込み方向の延長線上に沿って案内するようにしている。
次に電線配列システム3の全体的な概略構成を、図5及び図6に基づき説明する。図5は電線配列システムにおける前半部分の工程を示す平面図であり、図6は後半部分の工程を示す平面図である。図5に示すように、電線配列システム3の前半部分には、電線保持具2を一定方向に搬送しながら電線保持具2における夫々の挟持部13に対して互いに異なる種類の電線を送込み、複数の電線を略平行状態に配列させる配列装置33と、互いに異なる種類の電線が巻かれた複数の電線ドラム34と、配列装置33に空の状態の電線保持具2を搬入させる保持具搬入装置35とが備えられている。なお、搬送される電線保持具2を挟んで配列装置33と対向するように電線案内装置39が配置されており、電線保持具2の挟持部13に送込まれた電線を、挟持部13を通過した後も、送込み方向の延長線上に沿って案内するようにしている。
また、図6に示すように、電線配列システム3の後半部分には、電線保持具2に送込まれた複数の電線の配列が、予め設定された配線パターン(すなわちワイヤーハーネスの配線パターン)に一致するか否かを判定することで、電線の配列に関する品質検査をライン上で行う配列検査装置36と、電線保持具2に配列された複数の電線に対し後端側を引張ることにより電線保持具2から電線を延出させる電線延出装置37と、複数の電線が配列され且つ電線の延出長さが調整された電線保持具2を、作業者が取り出すまでラインの延長上で保留させる保持具排出装置38とが備えられている。
[配列装置の構成]
配列装置33の具体的な構成を、図9〜図13に基づき説明する。ここで、図9は配列装置33における要部の構成を示す斜視図であり、図10は筐体の蓋を外した状態を示す配列装置33の平面図であり、図11は配列装置33における電線供給ユニットの側面図であり、図12及び図13は電線を電線保持具2に送込む際の動作を説明するための説明図である。
配列装置33の具体的な構成を、図9〜図13に基づき説明する。ここで、図9は配列装置33における要部の構成を示す斜視図であり、図10は筐体の蓋を外した状態を示す配列装置33の平面図であり、図11は配列装置33における電線供給ユニットの側面図であり、図12及び図13は電線を電線保持具2に送込む際の動作を説明するための説明図である。
図5及び図9に示すように、配列装置33は、電線保持具2を一定の方向に搬送する保持具搬送ユニット50と、保持具搬送ユニット50によって搬送される電線保持具2に向って電線を供給する電線供給ユニット51とを含む単体ユニット装置52を、複数組並設して構成されている。そして、夫々の電線供給ユニット51には、それらに対応して配置された電線ドラム34から互いに異なる種類の電線が送られるようになっている。ここで、保持具搬送ユニット50が本発明の保持具搬送装置に相当し、電線供給ユニット51が本発明の電線供給装置に相当する。
(保持具搬送ユニットの構成)
保持具搬送ユニット50は、図6及び図9に示すように、電線保持具2を摺動させることが可能な搬送台55と、搬送台55の上面から突出し駆動モータ(図示しない)によって互いに反対方向に回転させることにより電線保持具2を挟んだ状態で送り出す一対の送りローラ56とを備えている。なお送りローラ56は、搬送方向(長手方向)に所定の間隔で複数組配設されており、全体として電線保持具2を連続して搬送するローラ機構57を構成している。このため、ローラ機構57の駆動状態を制御することにより、電線保持具2を搬送したり所定の位置で停止させたりすることが可能となり、特に、ローラ機構57における複数組の送りローラ56を個別に制御することにより一連の搬送台55の上で複数の電線保持具2を別々に摺動させることが可能となる。例えば、所定の電線保持具2に対して電線を供給している間(すなわち所定の電線保持具2の停止中)であっても、他の電線保持具2に対して電線の供給が終了していれば、それらの電線保持具2を摺動させることが可能となる。
保持具搬送ユニット50は、図6及び図9に示すように、電線保持具2を摺動させることが可能な搬送台55と、搬送台55の上面から突出し駆動モータ(図示しない)によって互いに反対方向に回転させることにより電線保持具2を挟んだ状態で送り出す一対の送りローラ56とを備えている。なお送りローラ56は、搬送方向(長手方向)に所定の間隔で複数組配設されており、全体として電線保持具2を連続して搬送するローラ機構57を構成している。このため、ローラ機構57の駆動状態を制御することにより、電線保持具2を搬送したり所定の位置で停止させたりすることが可能となり、特に、ローラ機構57における複数組の送りローラ56を個別に制御することにより一連の搬送台55の上で複数の電線保持具2を別々に摺動させることが可能となる。例えば、所定の電線保持具2に対して電線を供給している間(すなわち所定の電線保持具2の停止中)であっても、他の電線保持具2に対して電線の供給が終了していれば、それらの電線保持具2を摺動させることが可能となる。
また、保持具搬送ユニット50には、送りローラ56によって送られる電線保持具2の識別情報記憶部24から識別情報を読出す識別情報読出手段58が、電線供給ユニット51に対応して配置されている。そして、読出された識別情報に基づいて夫々の電線保持具2の停止位置が個々に決定され、それらの停止位置で電線保持具2を停止させるように夫々の送りローラ56が個々に制御されるようになっている。このため、複数の挟持部13のうち、識別情報に対応した挟持部13を、電線供給ユニット51に対向させることが可能となる。なお、詳細な制御処理に関しては後述する。
ところで、電線の種類が多ければ多い程、それに応じて電線供給ユニット51の数が多くなり、保持具搬送ユニット50の長さも長くなる。このため、送りローラ56の回転数が精度よく制御されていても、搬送方向の下流側の領域では誤差が累積されることとなり、設定された停止位置からずれた位置で停止する虞もある。そして、この場合には、電線供給ユニット51から供給された電線を目標の挟持部13に送込むことができなくなることが懸念される。
そこで、本例の保持具搬送ユニット50には、複数の通過検出手段61が所定の間隔で配置されている。通過検出手段61は、図18に示すように保持具搬送ユニット50の上方、すなわち通過する電線保持具2に向って光を放射する発光部61aと、発光部61aから放射した光が電線保持具2の反射部材23によって反射された場合にその光を受ける受光部61bとを備えており、反射の有無に基づいて電線保持具2が通過したか否かを判定している。特に、前記のように、電線保持具2の底面14には、反射部材23に対する光の通過孔であるスリット22が長手方向に二本並んで形成されており、通過検出手段61では、パルス状(オン・オフを繰り返す状態)の光を受光した際に通過と判定する。このため、電線保持具2が通過していないにも拘らず、別の物体(例えば作業者の手)によって、電線保持具2が通過したと判定されてしまうことを抑制することが可能になる。そして、スリット22の通過が検出された場合には、その検出後の送りローラ56の回転数または回転時間に基づいて電線保持具2の現在位置を認識する。このように、電線保持具2が所定の距離を移動するごとに電線保持具2の現在位置が繰返し認識し直されるため、誤差の累積を抑制し、ひいては電線保持具2を常に適切な位置で停止させることが可能となる。
また、図6に示すように、夫々の保持具搬送ユニット50には、搬送台55の上面から出没可能に設けられた開放操作手段63が配置されている。この開放操作手段63はシリンダからなり、電線の送込みを実行する前に、電線供給ユニット51と対向する位置に停止した電線保持具2の挟持部13(詳しくは挟持部13における受止片19)を下方から押し上げ、付勢手段18の付勢力に抗して挟持部13を閉鎖位置(下降位置)から開放位置(突出位置)に強制的に変位させる。このため、電線を挿入する際には、挟持部13を開放位置とすることにより電線を送込むことが可能となり、一方、送込みが完了した後は閉鎖位置とすることにより電線を確実に保持することが可能となる。
なお、保持具搬送ユニット50の下流側には、配列検査装置36における第二保持具搬送ユニット64、電線延出装置37における第三保持具搬送ユニット65、及び保持具排出装置38における第四保持具搬送ユニット66が順に連結されており、電線保持具2を連続して搬送させることが可能になっている。なお、夫々の保持具搬送ユニットはいずれも略同一の構成を採用しており、送りローラ56の回転によって電線保持具2を搬送する。
(電線供給ユニットの構成)
電線供給ユニット51は、図9及び図11に示すように、側面視が略長方形で後端部分の上面が傾斜した筐体70と、筐体70の内部に配置された機構部71(図10参照)と、筐体70の外側(特に側面外側)に配置された作動部72とから構成されている。つまり、電線Lに接する部分が筐体70から突出して配置され、それらを駆動する機構が筐体70の内部に収容されている。作動部72には、筐体70に対して回転可能に支持され、電線ドラム34から繰出された電線Lを受け取るリール73(図9では省略)と、電線Lの挿入方向を案内するガイド部74と、所定の間隔で配置されるとともに、夫々回転可能に支持され、回転力が付与されることにより、電線ドラム34から繰出される電線Lを電線保持具2に向って搬送する一対の送りローラ75と、その送りローラ75によって送出される電線Lの送り方向を案内するパイプ状のガイドパイプ76と、上下方向に可動してせん断力を発生する上刃85及び下刃86を有し、ガイドパイプ76を通して搬送される電線Lの切断または皮剥きを行うための切断刃77と、が備えられている。
電線供給ユニット51は、図9及び図11に示すように、側面視が略長方形で後端部分の上面が傾斜した筐体70と、筐体70の内部に配置された機構部71(図10参照)と、筐体70の外側(特に側面外側)に配置された作動部72とから構成されている。つまり、電線Lに接する部分が筐体70から突出して配置され、それらを駆動する機構が筐体70の内部に収容されている。作動部72には、筐体70に対して回転可能に支持され、電線ドラム34から繰出された電線Lを受け取るリール73(図9では省略)と、電線Lの挿入方向を案内するガイド部74と、所定の間隔で配置されるとともに、夫々回転可能に支持され、回転力が付与されることにより、電線ドラム34から繰出される電線Lを電線保持具2に向って搬送する一対の送りローラ75と、その送りローラ75によって送出される電線Lの送り方向を案内するパイプ状のガイドパイプ76と、上下方向に可動してせん断力を発生する上刃85及び下刃86を有し、ガイドパイプ76を通して搬送される電線Lの切断または皮剥きを行うための切断刃77と、が備えられている。
なお、図10に示すように、切断刃77における上刃85及び下刃86は、夫々アーム部87を介して摺動部89に接続されており、摺動部89はガイド部88によって上下方向に摺動可能に支持されている。また、筐体70の内部には、摺動部89を昇降させる昇降機構90が設けられており、昇降機構90の動作によって上刃85と下刃86との間隔を変化させることが可能になっている。つまり、上刃85と下刃86との間に電線Lを挿入した状態で、上刃85が下刃86に当接するように昇降機構90を動作させることにより、電線Lが切断される。また、電線Lの端部が所定長さ突出するように、上刃85と下刃86との間に電線Lを挿入した状態で、上刃85と下刃86との間隔が電線Lの芯線の大きさに対応した距離になるように昇降機構90を動作させ、続いて電線Lを引っ張ることにより、電線Lの端部の被覆材が除去される。
特に、本例では、電線Lを引っ張る手段として移動式チャック機構78が設けられている。移動式チャック機構78は、ガイドパイプ76によって案内された電線Lを保持する保持状態と電線Lを保持しない非保持状態とに切替え可能であり、切断刃77よりもガイドパイプ76側である第一位置(図11において実線で示す)と、切断刃77よりも電線保持具2である第二位置(図11において二点鎖線で示す)との間で移動可能に支持されている。
詳しく説明すると、図10に示すように、移動式チャック機構78は、保持状態と非保持状態とに切替え可能な挟持機構96と、挟持機構96を前後方向に摺動させるスライド機構95とを備えている。スライド機構95は、軸心方向を鉛直方向として回転力を発生させるモータ97と、モータ97の回転軸に取付けられたピニオン98と、ピニオン98と噛合しモータ97の回転運動を前後方向(図面では左右方向)の直線運動に変換するラック99と、ラック99に連結されるとともにリニアガイド101によって運動方向が案内される摺動部材100と、挟持機構96と摺動部材100とを連結し前後方向に往復運動するベース部材102とから構成されている。つまり、モータ97の回転方向及び回転数を制御することにより、挟持機構96を前後方向に適切な距離だけ移動させることが可能になっている。
一方、挟持機構96は、ベース部材102に対して固定状態で取付けられた固定側挟持部材103と、挟持機構96の移動方向に対して垂直な方向(即ち電線保持具2の搬送方向と同一の方向)に摺動可能に支持され、固定側挟持部材103との間に電線Lが通過する通路を形成した可動側挟持部材104と、可動側挟持部材104の外面に摺接するとともに、シリンダ106の動作によって挟持機構96の移動方向と同一の方向に移動可能な挟持作動部材105とを具備して構成されている。つまり、可動側挟持部材104は、外面側が傾斜した平面視台形形状を呈しており、これに当接する挟持作動部材105は、当接面が可動側挟持部材104の傾斜とは逆の傾斜となった楔形の形状を呈していることから、挟持作動部材105を前後方向に移動させることにより、可動側挟持部材104を挟持作動部材105の移動方向に対して垂直方向に移動させ、固定側挟持部材103との間隔、つまり、電線Lの通路の幅を変化させることが可能になる。このように、固定側挟持部材103と可動側挟持部材104との間隔を広げることにより非保持状態とし、一方固定側挟持部材103と可動側挟持部材104との間隔を狭くすることにより保持状態とする。
ところで、断面L字形の挟持部13を備えた電線保持具2(図3参照)を用いた場合、挟持部13と固定板12との間に電線Lを送り込むには、挟持部13を開放位置に保持した状態で電線Lを隙間に向って真直ぐ供給するようにすればよいが、隙間が狭い場合には、挿入させることが困難となる。また、電線Lを供給する挟持部13が電線供給ユニット51と対向するまで、すなわち電線保持具2が対向する位置で停止するまで電線Lを供給することができないため、一連の処理時間を短縮することが困難となる。これに対し、本例では、切断刃77と電線保持具2との間に電線把持機構80を配置しており、電線把持機構80の把持部81によって電線Lを保持した状態で昇降及び揺動させることを可能にしている。このため、把持部81を揺動させることにより、断面略L字形の挟持部13と保持具本体10の上面の固定板12との間の隙間に対して、開放側である側方から電線Lを挿入させることが可能となる。また、電線Lを挿入した後、把持状態を解除し、把持部81を上昇させれば、把持部81を電線Lと干渉させることなく所定の高さまで戻すことも可能となる。したがって、電線保持具2の挟持部13に対して電線Lを確実に挿入させることが可能になるとともに、一連の処理速度を高め、生産性を一層上げることができる。
ところで、夫々の電線供給ユニット51には、別々の電線ドラム34から電線Lが供給されることから、電線ドラム34に巻かれた電線Lの残量が少なくなった場合、あるいは電線Lを全て使い切った場合には、電線ドラム34を新しいドラムと交換する必要がある。そして、電線ドラム34を交換する際には、その間、電線供給ユニット51からの電線Lの供給が停止することになり、電線配列システム3の稼働率を低下させてしまう。
そこで、本例では、筐体70の左右両側に同一構造の電線供給ユニット51が対峙して配置されるとともに、選択された一方の電線供給ユニット51から電線が供給されるようになっている。なお、2組の電線供給ユニット51には、同じ種類の電線が巻かれた別々の電線ドラム34から電線Lが供給されるように構成されている。また、図11に示すように、夫々の電線ドラム34に巻かれている電線Lの残量が少なくなったことを検出する残量検出手段109が設けられている。この残量検出手段109は、電線ドラム34から繰出される電線の長さと、電線保持具2に送られる電線Lの長さとの差分を検出することにより電線Lの残量を検出するものである。詳しく説明すると、電線保持具2に送られる電線Lの長さは測長された所定の長さであるが、電線ドラム34から繰出される電線Lの長さは電線Lの残量によって異なるため、これを利用して電線Lの残量を検出している。つまり、電線Lを繰出すためのモータ(図示しない)は一定回転数で回転することから、電線の残量が多い場合(すなわち電線ドラム34に巻かれている電線の径が大きい場合)と、電線の残量が少ない場合(すなわち電線の径が小さい場合)とでは、単位時間当りに繰出される電線Lの長さが異なることとなり、電線ドラム34とリール73との間で撓んだ状態となる電線Lの余剰分が、電線の残量が少なくなるほど少なくなるため、残量検出手段109では、電線Lの余剰分が少なくなったこと、すなわち電線ドラム34とリール73との間の電線が撓んだ状態から張った状態に変化したことを検出することにより、電線の残りが少なくなったものと判定している。
そして、一方の電線供給ユニット51から電線Lを供給している際にその電線供給ユニット51に対応する電線ドラム34の電線Lが残り少なくなった場合または電線Lがなくなった場合には、作動中の電線供給ユニット51を停止し、他方の電線供給ユニット51から電線Lを供給する。このため、電線ドラム34の交換中も、電線Lを供給し続けることができ、電線供給ユニット51の稼働率をさらに高めることが可能となる。なお、電線供給ユニット51が切替えられると、それに合わせて電線保持具2の停止位置も変更されるため、何れの電線供給ユニット51が選択された場合も電線Lが的確に送り込まれる。
(電線案内装置の構成)
次に、電線案内装置39の具体的な構成について図9を基に説明する。電線案内装置39は、筐体70から電線の供給方向に対して延出された支持杆140と、支持杆140からアーム部141を介して装着され、電線保持具2の挟持部13と固定板12との隙間を挿通した電線を、送込み方向の延長線上に沿って案内する一対の保持板142と、アーム部141と保持板142との間に介在され一対の保持板142を互いに突き合わせた閉鎖状態と上端を支点として下端側を開放させた開放状態とに切替え可能な開閉用シリンダ144とを具備して構成されている。なお、保持板142の中央部分に外側に向って「く」字状に突出した突出部143が形成されており、一対の保持板142を突き合わせることにより菱形の通路を形成している。これによれば、夫々の電線供給ユニット51から送込まれ電線保持具2の挟持部13を通過した電線は、送込み方向の延長線上に沿って案内され、直線状態を維持したまま送られる。このため、複数の挟持部13が互いに接近して配置されていても、電線を送込む際に隣接する電線同士が絡み合うことを防止し、円滑に送込むことが可能になる。なお、電線の送込みが完了すると、突出部143が開放状態となり保持状態が解除されるため、電線保持具2を引続き搬送させることが可能になる。
次に、電線案内装置39の具体的な構成について図9を基に説明する。電線案内装置39は、筐体70から電線の供給方向に対して延出された支持杆140と、支持杆140からアーム部141を介して装着され、電線保持具2の挟持部13と固定板12との隙間を挿通した電線を、送込み方向の延長線上に沿って案内する一対の保持板142と、アーム部141と保持板142との間に介在され一対の保持板142を互いに突き合わせた閉鎖状態と上端を支点として下端側を開放させた開放状態とに切替え可能な開閉用シリンダ144とを具備して構成されている。なお、保持板142の中央部分に外側に向って「く」字状に突出した突出部143が形成されており、一対の保持板142を突き合わせることにより菱形の通路を形成している。これによれば、夫々の電線供給ユニット51から送込まれ電線保持具2の挟持部13を通過した電線は、送込み方向の延長線上に沿って案内され、直線状態を維持したまま送られる。このため、複数の挟持部13が互いに接近して配置されていても、電線を送込む際に隣接する電線同士が絡み合うことを防止し、円滑に送込むことが可能になる。なお、電線の送込みが完了すると、突出部143が開放状態となり保持状態が解除されるため、電線保持具2を引続き搬送させることが可能になる。
(電線の送込み動作)
続いて、電線保持具2に対する電線の送込み動作を、図11〜図13に基づき説明する。なお、図12及び図13において、(e),(f),(g),(i)は、電線保持具2及び把持部81の関係を正面から見た状態を示し、その他の図面は全体構成を右側方から見た状態を示している。まず、図11に示すように、電線Lを挟む一対の送りローラ75を互いに反対方向(矢印の方向)に回転させると、電線ドラム34から繰出された電線Lは、送りローラ75によって搬送され、ガイドパイプ76を通って切断刃77における上刃85と下刃86との間に挿入される。電線Lの先端側の皮剥きを行う場合には、図12(a)に示すように、移動式チャック機構78を、切断刃77よりもガイドパイプ76側である第一位置に位置させ、ガイドパイプ76によって案内された電線Lを保持させる。そして、図12(b)に示すように、上刃85と下刃86との間隔を電線Lの芯線の大きさに対応した距離にするとともに、移動式チャック機構78によって電線Lを挟持した状態で引っ張る。すると、電線Lの先端側の被覆材が除去される。
続いて、電線保持具2に対する電線の送込み動作を、図11〜図13に基づき説明する。なお、図12及び図13において、(e),(f),(g),(i)は、電線保持具2及び把持部81の関係を正面から見た状態を示し、その他の図面は全体構成を右側方から見た状態を示している。まず、図11に示すように、電線Lを挟む一対の送りローラ75を互いに反対方向(矢印の方向)に回転させると、電線ドラム34から繰出された電線Lは、送りローラ75によって搬送され、ガイドパイプ76を通って切断刃77における上刃85と下刃86との間に挿入される。電線Lの先端側の皮剥きを行う場合には、図12(a)に示すように、移動式チャック機構78を、切断刃77よりもガイドパイプ76側である第一位置に位置させ、ガイドパイプ76によって案内された電線Lを保持させる。そして、図12(b)に示すように、上刃85と下刃86との間隔を電線Lの芯線の大きさに対応した距離にするとともに、移動式チャック機構78によって電線Lを挟持した状態で引っ張る。すると、電線Lの先端側の被覆材が除去される。
その後、図12(c)に示すように、送りローラ75が回転し、電線Lを所定長さだけ送込む。なお、この場合、電線保持具2の挟持部13はまだ閉鎖位置であるため、供給された電線は挟持部13の上方を通過する。そして、この際、移動式チャック機構78は、上刃85及び下刃86の間を通って、切断刃77よりも電線保持具2側である第二位置まで移動する。このとき、移動式チャック機構78は電線Lを保持していないため、電線Lを送りながら、または電線Lの供給とは無関係に移動式チャック機構78を移動させることができる。
次に、図12(d)及び(e)に示すように、電線把持機構80の把持部81によって電線Lを把持し、さらに、把持部81を挟持部13の開放側(図面では反時計方向)に所定角度回動させ、その後挟持部13を開放位置まで変位させる(図12(f)参照)。このように電線Lを斜め上方に移動させてから挟持部13を突出させるため、電線Lに干渉することなく挟持部13を変位させることが可能となる。
その後、図13(g)及び(h)に示すように、把持部81を元の位置に戻す。これによれば、挟持部13と固定板12との間に電線Lを挿入することが可能となる。そして、図13(i)に示すように、把持部81による電線Lの保持状態を解除するとともに、送りローラ75によって電線Lを設定された長さだけ送り込む。なお、この際、挟持部13は開放状態のままであり、把持部81は保持状態を解除した後、上方に移動する。また、送りローラ75によって送られた電線Lは電線案内装置39によって案内され直線状に支持される。
送込まれた電線Lが設定長さに達すると、図13(j)に示すように、送りローラ75の動作を停止するとともに、切断刃77によって電線Lを切断する。その後、電線Lの後端側に対して皮剥き処理が行われる。具体的には、図13(k)に示すように、上刃85と下刃86との間隔を電線Lの芯線の大きさに対応した距離にするとともに、移動式チャック機構78によって電線Lを挟持した状態で電線保持具2側に引っ張る。
そして、図13(L)に示すように、電線保持具2の挟持部13を閉鎖位置に変位させ、その後、電線案内装置39を開放状態とする。これにより、電線Lを挟持部13によって挟持するとともに、電線保持具2を搬送させることが可能になる。なお、移動式チャック機構78は、上刃85と下刃86との間を通って切断刃77よりもガイドパイプ76側の第一位置に戻る。これにより、電線の送込みに関する一連の処理が終了する。
[保持具搬入装置の構成]
次に、保持具搬入装置35の具体的な構成について、図8を基に説明する。図8(a)は保持具搬入装置35の側面図であり、図8(b)は保持具搬入装置35の平面図(一部断面)である。なお、図8(a)では電線保持具2を載置した状態を示し、図8(b)は電線保持具2を載置していない状態を示している。
次に、保持具搬入装置35の具体的な構成について、図8を基に説明する。図8(a)は保持具搬入装置35の側面図であり、図8(b)は保持具搬入装置35の平面図(一部断面)である。なお、図8(a)では電線保持具2を載置した状態を示し、図8(b)は電線保持具2を載置していない状態を示している。
保持具搬入装置35は、駆動ローラ151及び従動ローラ152に巻き掛けられた無端のコンベアベルト153と、駆動ローラ151に回転力を付与するモータ150と、コンベアベルト153の外周面に配置され電線保持具2を載置可能な複数の収容部154とを具備して構成されている。図5に示すように、収容部154は、電線保持具2の長手方向が保持具搬送ユニット50の搬送方向と略平行となり、且つ複数の電線保持具2が搬送方向に対して略垂直方向に並ぶように、電線保持具2を整列させた状態で載置することが可能となっている。つまり、モータ150を一定方向に回転させると、コンベアベルト153の上側に位置する収容部154が順に、保持具搬送ユニット50の搬入側に到達するように構成されている。
また、図5に示すように、保持具搬送ユニット50に対する上流側の延長線上には、保持具送り用シリンダ156が配設されており、保持具搬入装置35によって保持具搬送ユニット50の搬入側に到達した電線保持具2は、保持具送り用シリンダ156の押圧操作によって収容部154から排出され、保持具搬送ユニット50に送込まれる。このように、空の状態(電線を保持していない状態)の電線保持具2を複数個貯え得るとともに、保持具搬送ユニット50に対して順に送込むことから、電線保持具2を円滑に且つ適切なタイミングで供給することができ、例えば電線保持具2の搬入遅れによる生産効率の低下を抑制することが可能になる。
また、保持具搬入装置35の収容部154は断面凹状の樋形を呈しており、立設した側壁によって電線保持具2の両側を支持するとともに、電線保持具2を保持具搬送ユニット50に向って案内するための案内部としても作用する。このため、収容部154に載置された電線保持具2を保持具搬送ユニット50に向ってスライドさせるのみで円滑に送込むことが可能となり、シリンダを用いた比較的簡単な構成で実現することが可能となる。
また、図8(b)に示すように、保持具搬入装置35には識別情報書込手段157が設けられており、電線保持具2を識別するための識別情報が電線保持具2の識別情報記憶部24に書込まれる。これにより、保持具搬送ユニット50に搬入される夫々の電線保持具2を、識別情報を基に区別することが可能となり、夫々の電線保持具2と電線の配線パターンとを対応付けることが可能になる。つまり、夫々の電線供給ユニット51では、電線保持具2の識別情報を基に、電線を送込む挟持部13を特定することが可能になる。なお、詳細は後述する。
ところで、上記のように、略直方体形状の電線保持具2をスライドさせることにより保持具搬送ユニット50に搬入させるものでは、収容部154に対して電線保持具2を逆向きに誤セットする虞もあり、これによれば、電線の配線パターンが左右逆配線となってしまう。
そこで、本例では、収容部154に載置された電線保持具2の向きを個々に判別する載置方向判別手段161(図19参照)を備えており、電線保持具2の向きが正規の向きに対して逆向きであると判別された場合には、保持具送り用シリンダ156による送り動作を禁止する。このため、配線パターンの間違ったワイヤーハーネスが製造されることを未然に防止することができる。また、保持具搬入装置35における保持具搬送ユニット50の搬入側よりもさらに下流側には、保持具搬送ユニット50に送込まれなかった電線保持具2を受け止め支持する一対の受止板160が左右両側に配置されている。このため、保持具搬送ユニット50に送込まれなかった電線保持具2がコンベアベルト153の上面先端側から排出されても(すなわち、凹状の収容部154が駆動ローラ151の周面に沿って傾斜し電線保持具2を支持することができなくなっても、電線保持具2を落下させることなく架設した状態で受け止めることができ、ひいては落下による電線保持具2の破損を防止することができる。なお、載置方向判別手段161の構成は特に限定されるものではないが、本例では電線保持具2の底面14に形成されたスリット22の配置位置に対して光を放射し、反射部材23によって光が反射されるか否かを検出することにより、正規の載置方向か否かを判別するようにしている。なお、これに代えて、識別情報記憶部24に識別情報が書き込まれたか否かを判定することにより電線保持具2の向きを判別することも可能である。
[配列検査装置の構成]
次に、配列検査装置36の具体的な構成を、図6及び図7に基づき説明する。配列検査装置36は、第二保持具搬送ユニット64に搬入された電線保持具2に対し、電線保持具2によって配列されている複数の電線を撮像する撮像装置170と、その撮像装置170の出力に基づいて配線パターンにおける色の変化を認識する配線色認識手段171(図19(b)参照)と、配線色認識手段171によって認識された色の変化と後述する管理用コンピュータ40から送信される配線パターンとを照合し、互いに合致するか否かを判定する配線チェック手段172と、配線チェック手段172による判定の結果を表示する表示装置173とを具備して構成されている。つまり、配線パターン通りの順序で複数の電線が配列されているか否かを色の変化によってチェックするように構成されている。したがって、作業者は表示装置173を視認することにより、電線の配線が正しいか否か、すなわち配線ミスがないか否かを把握することが可能となる。なお、認識された色の変化と配線パターンとが一致しない場合、配線間違いあることを示す表示とともに、何番目の電線が一致しないのかが音声によって通知される。
次に、配列検査装置36の具体的な構成を、図6及び図7に基づき説明する。配列検査装置36は、第二保持具搬送ユニット64に搬入された電線保持具2に対し、電線保持具2によって配列されている複数の電線を撮像する撮像装置170と、その撮像装置170の出力に基づいて配線パターンにおける色の変化を認識する配線色認識手段171(図19(b)参照)と、配線色認識手段171によって認識された色の変化と後述する管理用コンピュータ40から送信される配線パターンとを照合し、互いに合致するか否かを判定する配線チェック手段172と、配線チェック手段172による判定の結果を表示する表示装置173とを具備して構成されている。つまり、配線パターン通りの順序で複数の電線が配列されているか否かを色の変化によってチェックするように構成されている。したがって、作業者は表示装置173を視認することにより、電線の配線が正しいか否か、すなわち配線ミスがないか否かを把握することが可能となる。なお、認識された色の変化と配線パターンとが一致しない場合、配線間違いあることを示す表示とともに、何番目の電線が一致しないのかが音声によって通知される。
[電線延出装置の構成]
次に、電線延出装置37の具体的な構成を、図6及び図14に基づき説明する。図14は電線延出装置37における要部の構成を示す斜視図である。電線延出装置37は、複数の電線供給ユニット51によって供給され電線保持具2に配列された複数の電線の後端側を、夫々別々に挟持することが可能な電線挟持ユニット175と、電線保持具2を固定した状態で、電線挟持ユニット175を第三保持具搬送ユニット65に接近した位置から遠ざかる方向に移動させることで、電線挟持ユニット175によって挟持されている電線を電線保持具2に対してスライドさせる電線スライド機構176とを具備して構成されている。電線挟持ユニット175は、断面略凸状に折り曲げ形成された板金製のベース部材183と、ベース部材183の上面から立設するとともに電線保持具2における挟持部13の間隔と同じ間隔で配置された複数本の挟持用シリンダ184とを具備している。挟持用シリンダ184は、ピストンロッド186がベース部材183を貫通して出没可能となっており、ピストンロッド186が突出すると、ベース部材183の底面内側に固定された支持マット部185に圧接し、支持マット部185との協働で電線Lの後端側を挟持することが可能になる。なお、ベース部材183における第三保持具搬送ユニット65の反対側には、延出部187が突出して形成されており、電線保持具2から突出する電線の後端側を曲げることなく支持できるようになっている。ここで、挟持用シリンダ184が本発明の電線挟持機構に相当する。
次に、電線延出装置37の具体的な構成を、図6及び図14に基づき説明する。図14は電線延出装置37における要部の構成を示す斜視図である。電線延出装置37は、複数の電線供給ユニット51によって供給され電線保持具2に配列された複数の電線の後端側を、夫々別々に挟持することが可能な電線挟持ユニット175と、電線保持具2を固定した状態で、電線挟持ユニット175を第三保持具搬送ユニット65に接近した位置から遠ざかる方向に移動させることで、電線挟持ユニット175によって挟持されている電線を電線保持具2に対してスライドさせる電線スライド機構176とを具備して構成されている。電線挟持ユニット175は、断面略凸状に折り曲げ形成された板金製のベース部材183と、ベース部材183の上面から立設するとともに電線保持具2における挟持部13の間隔と同じ間隔で配置された複数本の挟持用シリンダ184とを具備している。挟持用シリンダ184は、ピストンロッド186がベース部材183を貫通して出没可能となっており、ピストンロッド186が突出すると、ベース部材183の底面内側に固定された支持マット部185に圧接し、支持マット部185との協働で電線Lの後端側を挟持することが可能になる。なお、ベース部材183における第三保持具搬送ユニット65の反対側には、延出部187が突出して形成されており、電線保持具2から突出する電線の後端側を曲げることなく支持できるようになっている。ここで、挟持用シリンダ184が本発明の電線挟持機構に相当する。
一方、電線スライド機構176は、後方に向って大きく延設されたベース板188と、回転軸の軸心方向を鉛直方向として支持されたモータ189と、モータ189の回転軸に取付けられたピニオン190と、ピニオン190に噛合されモータ189の回転運動を電線保持具2の搬送方向に対して垂直となる方向(前後方向)の直線運動に変化させるラック191と、ラック191と電線挟持ユニット175とを繋ぐ摺動部材192とを備えている。つまり、モータ189を一定方向に回転させることにより、複数の挟持用シリンダ184を備えた電線挟持ユニット175を移動させることが可能になっている。
これによれば、電線保持具2に全ての電線Lが配列されるまでは、電線Lの後端側をあまり延出させることなく搬送させることができ、一方、全ての電線Lを配列させた後には、これらの電線Lを纏めて引き出すことが可能になる。したがって、電線供給ユニット51を保持具搬送ユニット50に接近した状態で配置させるにも拘らず、電線Lの後端部分を電線保持具2から延出させ、ひいては後端部分に対して圧着端子(図示しない)を容易に圧着させることが可能になる。
また、電線延出装置37には、夫々の挟持用シリンダ184における挟持解除のタイミングを個々に設定することで、複数の電線の突出長さを夫々別々に調整する突出長さ調整手段194(図19(c)参照)が備えられている。つまり、設定突出長さが短い場合には、挟持用シリンダ184を早い段階で解除することにより、その電線の引き出しが中断され、一方、設定突出長さが長い場合には、挟持用シリンダ184の解除を遅くすることにより、引き出される電線を長くする。このため、複数の電線の突出長さを夫々別々に調整することが可能となり、例えば、コネクタ(ハーネスのハウジング)におけるピッチと電線保持具2における挟持部13の間隔との差を考慮し、後端がV字形になるように(図14(a)参照)突出長さを設定することが可能となり、これによれば、中央の挟持部13に挟持された電線等、一部分の電線のみが余剰となって撓みが生じることを防止できる。なお、図14(b)に示すように複数の電線Lの後端が円弧状になるように配列させたり、図14(c)に示すように複数の電線Lの後端が傾斜状になるように配列させたりすることも可能になる。
また、電線延出装置37における第三保持具搬送ユニット65には、夫々の挟持用シリンダ184と対向して配置された開放操作手段195が設けられており、電線スライド機構176によって電線をスライドさせる前に開放操作手段195の作動を開始する。これによれば、電線保持具2における付勢手段18の付勢力に抗して挟持部13を閉鎖位置から開放位置に強制的に変位させることができ、電線Lを容易に引き出すことが可能になる。なお、開放操作手段195の構成は、開放操作手段63の構成と同じであり、電線保持具2の底面14に形成された開口20から挿入することにより、受止片19を上方に押圧する。一方、電線挟持ユニット175における挟持状態を解除した後は、開放操作手段195の作動を停止させる。これにより、電線Lを再び挟持することが可能となり、電線保持具2を持ち運ぶ際に電線が挟持部13から逸脱することを防止できる。
また、本例の電線延出装置37には、開放操作手段195によって挟持部13を開放位置に変位させた際に、挟持部13から電線が逸脱しないように夫々の電線Lを直線状に支持する逸脱防止板197が設けられている。なお、逸脱防止板197は、電線保持具2を挟むように、第三保持具搬送ユニット65上に対峙して配置されており、その上部には挟持部13の間隔に対応したピッチで繰り返される波形状の切欠が形成されている。このため、これらの逸脱防止板197によって挟持部13から電線Lが逸脱することが防止され、電線Lを比較的速やかにスライドさせても、電線Lを滑らかに摺動させることができるとともに、電線Lの保持状態を維持することができる。特に、逸脱防止板197は上部が波形状となっているため、比較的簡単な構成でありながらも、配列された全ての電線Lを同時に支持することが可能となる。
[保持具排出装置の構成]
保持具排出装置38の具体的な構成について説明する。図6に示すように、保持具排出装置38は、電線保持具2を搬送可能な第四保持具搬送ユニット66と、第四保持具搬送ユニット66の終端に配置され、電線保持具2が到達したことを検出する最終地点検出センサ199と、最終地点検出センサ199によって電線保持具2が検出された際、終端側の送りローラ56を停止させ、電線保持具2が第四保持具搬送ユニット66の終端から落下してしまうことを阻止する搬送停止制御手段(図示しない)から構成されている。このため、電線が所定の配線パターンで配列され且つ電線の延出長さが調整された電線保持具2を、作業者が取り出すまでラインの延長上で保管することが可能になる。
保持具排出装置38の具体的な構成について説明する。図6に示すように、保持具排出装置38は、電線保持具2を搬送可能な第四保持具搬送ユニット66と、第四保持具搬送ユニット66の終端に配置され、電線保持具2が到達したことを検出する最終地点検出センサ199と、最終地点検出センサ199によって電線保持具2が検出された際、終端側の送りローラ56を停止させ、電線保持具2が第四保持具搬送ユニット66の終端から落下してしまうことを阻止する搬送停止制御手段(図示しない)から構成されている。このため、電線が所定の配線パターンで配列され且つ電線の延出長さが調整された電線保持具2を、作業者が取り出すまでラインの延長上で保管することが可能になる。
[圧着システムの構成]
次に、圧着システム5について、図15及び図16に基づき詳細に説明する。図15は端子圧着装置の概略構成を示す模式図であり、図16は端子圧着装置におけるアプリケータの構成を示す正面図である。圧着システム5は、図1に示すように、コ字形または直線上に並設された複数台の端子圧着装置4から構成されており、それらの前方には、作業者が圧着操作及び移動することが可能なスペースが確保されている。本実施形態の端子圧着装置4は、圧着端子の供給、電線Lの送込み、及び圧着端子の圧潰を一連の動作として行い、圧着端子が圧着された所定長さの電線Lを生成するものである。この端子圧着装置4は、図15に示すように、電線Lの先端側に圧着端子を圧着させる圧着機本体202と、電線Lの先端側を圧着機本体202に送り込む電線送り機構203とを備えている。
次に、圧着システム5について、図15及び図16に基づき詳細に説明する。図15は端子圧着装置の概略構成を示す模式図であり、図16は端子圧着装置におけるアプリケータの構成を示す正面図である。圧着システム5は、図1に示すように、コ字形または直線上に並設された複数台の端子圧着装置4から構成されており、それらの前方には、作業者が圧着操作及び移動することが可能なスペースが確保されている。本実施形態の端子圧着装置4は、圧着端子の供給、電線Lの送込み、及び圧着端子の圧潰を一連の動作として行い、圧着端子が圧着された所定長さの電線Lを生成するものである。この端子圧着装置4は、図15に示すように、電線Lの先端側に圧着端子を圧着させる圧着機本体202と、電線Lの先端側を圧着機本体202に送り込む電線送り機構203とを備えている。
圧着機本体202は、図16に示すように、電線の先端または後端に圧着端子を圧着するアプリケータ205を備えている。アプリケータ205は、上下方向への往復運動により圧着端子を押圧する上側ユニット206と、新たな圧着端子を順次供給するとともに供給された圧着端子を保持する下側ユニット207とから構成されている。上側ユニット206及び下側ユニット207は、互いに分離されており、個々に交換可能な状態で取付けられている。なお、上側ユニット206と下側ユニット207との間には空間が形成されているため、紙面手前側から紙面後方側に向って電線Lを送ることが可能である。
上側ユニット206は、動力機構(図示しない)と、動力機構の動作により上下運動するスライド部材(図示しない)と、スライド部材に連結された昇降部材211と、昇降部材211の先端に取付けられ圧着端子を押圧する押圧部材212とを具備している。スライド部材は、圧着機本体202に固定された支持部材(図示しない)によって左右両端を支持され、上下方向にのみ摺動可能となっている。
動力機構は、図示しないが、電動機でクランク軸を回転させることにより、スライド部材を摺動させるものである。スライド部材の上部側中央には、左右方向に延びる長孔状のガイド孔が穿設されており、ガイド孔には、高さがガイド孔に略等しい砲金からなる摺動部材が、平行移動可能に嵌め込まれている。また、摺動部材は、電動機の駆動軸に連結されたクランク軸の端部に回動可能に軸支されている。
また、スライド部材の下部には、昇降部材211を着脱可能に取り付けるための取付突部(図示しない)が、表面から突出して形成されている。これに対し、昇降部材211には、四角筒状の連結部224が設けられており、連結部224内に取付突部が嵌挿され、ボルト等の締結手段(図示しない)によって互いに連結されるようになっている。連結部224の下方には、調整機構225を介して押圧部材212が取付けられている。
調整機構225は、ステッピングモータ等を有し、ステッピングモータの駆動軸の回転方向、及び回転角度を所定の範囲内で自在に数値制御することにより、押圧部材212の移動量(すなわち下方への突出長さ)を調整する。すなわち、この調整機構225により、押圧部材212の先端と後述するアンビルとの距離が調整されるようになっている。なお、調整部材225には、移動量を設定するための調整ダイヤル226が設けられており、手動での調整を可能にしている。
一方、下側ユニット207は、図16に示すように、圧着機本体202に形成された取付突部230に対して着脱可能な四角筒状の連結部231と、連結部231に固定され上面にアンビル232が形成された基台233と、連結部231の上方に位置するとともに水平方向に延出された端子搬送手段234とを具備している。なお、アンビル232が形成された基台233は、押圧部材212の下方に配置される。ここで、端子搬送手段234が本発明の端子供給機構に相当する。
端子搬送手段234は、板状のキャリアによって一連に繋がれた圧着端子(図示しない)を基台233のアンビル232上に順次供給するものであり、ベース部材240と、ベース部材240の上面に形成された溝状のガイド部241と、ガイド部241の開口部分を部分的に塞ぎキャリアの逸脱を防止する逸脱防止機構242と、キャリアによって繋がれた複数の圧着端子を移送させる移送機構243とから構成されている。
一方、電線送り機構203は、図15に示すように、電線取込みガイド270、一対のローラ271、及びガイドパイプ272等から構成されている。なお、ローラ271がローラ駆動手段(図示しない)により駆動され、回転方向及び回転数を制御することにより、電線Lを任意の長さだけ送ることを可能にしている。電線取込みガイド270を介して取込まれた電線Lは、ローラ271により、ガイドパイプ272内に送り込まれ、さらにガイドパイプ272の先端へと導かれる。
このように圧着機本体202は、圧着端子が、端子搬送手段234によってアンビル232上に送られ、その後、電線Lの先端がアンビル232上の圧着端子に送り込まれると、動力機構を動作しスライド部材及び昇降部材211を下死点側へ変位させ、押圧部材212とアンビル232との間で圧着端子を圧潰する。また、この際、切断部(図示しない)によって、圧潰される圧着端子がキャリアから切り離される。そして、圧着端子が圧着された電線Lは、電線送り機構203によってさらに直線状に送られる。
ところで、夫々の端子圧着装置4では、アプリケータ205、及び端子搬送手段234によって送られる圧着端子が、互いに異なるように個別に設定されている。つまり、圧着システム5には、複数の種類のアプリケータ205と複数の種類の圧着端子とを組合せた、複数の端子圧着装置4が並設されている。このため、多品種少量生産によりコネクタや電線の種類が頻繁に変化しても、アプリケータ205や圧着端子を交換することなく、夫々の電線の先端または後端に圧着端子を圧着させることが可能になる。なお、図1に示すように、夫々の端子圧着装置4には識別番号(例えば「1」〜「100」)が付与されており、識別番号によって夫々の端子圧着装置4を区別することが可能になっている。
また、図1に示すように、夫々の端子圧着装置4には、情報表示装置250が配置されており、電線供給装置2から送信された情報(詳細は後述する)が個別に表示されるようになっている。また、夫々の端子圧着装置4には、ランプ251が設けられており、電線供給装置2から圧着処理を行うことが指示された場合、すなわち、端子圧着装置4から繰出された電線の処理先として特定された場合に点灯するようになっている。さらに、夫々の端子圧着装置4の前側には、複数のコネクタ(図示しない)を収容するコネクタ収容箱252が設けられており、端子圧着装置4において圧着された電線の先端を、その場でコネクタに接続させることが可能になっている。
[電線処理システムの制御に関する機能的構成]
続いて、電線処理システム1の制御装置における機能的構成を、図17〜図20のブロック図を基に説明する。ここで、図17は管理用コンピュータ40における機能的構成を示し、図18は単体ユニット装置32における機能的構成を示し、図19は保持具搬入装置35,配列検査装置36,及び電線延出装置37における機能的構成を示し、図20は端子圧着装置4における機能的構成を示している。
続いて、電線処理システム1の制御装置における機能的構成を、図17〜図20のブロック図を基に説明する。ここで、図17は管理用コンピュータ40における機能的構成を示し、図18は単体ユニット装置32における機能的構成を示し、図19は保持具搬入装置35,配列検査装置36,及び電線延出装置37における機能的構成を示し、図20は端子圧着装置4における機能的構成を示している。
図17に示すように、管理用コンピュータ40は、電線配列システム3における、各単体ユニット装置32、保持具搬入装置35、配列検査装置36、及び電線延出装置37に対して指令を出力するとともに、圧着システム5における各端子圧着装置4と通信を行う。つまり、管理用コンピュータ40は、電線処理に関する制御を一元的に管理するサーバとして機能している。具体的には、予め電線の種類(径,長さ,材質,色等)、及び圧着端子の種類等の加工情報を入力する情報入力手段120と、情報入力手段120によって入力された加工情報、及び予め記憶された加工条件等に基づいて、夫々の電線保持具2に送込む複数の電線の配線パターンを決定する配線パターン決定手段121とを有している。
また、管理用コンピュータ40には、電線ドラム34に巻かれた電線の種類と夫々の電線供給ユニット51との対応付けを記憶する線種記憶手段122と、配線パターン決定手段121によって決定された配線パターンに対して識別情報を付与する識別番号付与手段124と、全ての単体ユニット装置52に対して識別情報及び配線パターンを送信する第一送信制御手段123と、保持具搬入装置35に対して識別情報を送信する第二送信制御手段125と、有している。つまり、管理用コンピュータ40は、電線保持具2の各挟持部13に送込む電線の種類を、ワイヤーハーネスの配線態様等に応じて決定するとともに、その組合せである電線の配線パターンに対して識別情報を付与する。また、その識別情報及び配線パターンを全ての単体ユニット装置52に送信するとともに、識別情報を保持具搬入装置35に送信する。
これに対し、保持具搬入装置35には、図19(a)に示すように、識別情報書込手段157が設けられており、管理用コンピュータ40から送信された識別情報を第二受信制御手段136によって受信すると、その識別情報を電線保持具2の識別情報記憶部24に書込む。これにより、保持具搬送ユニット50に搬入される夫々の電線保持具2を、識別情報を基に区別することが可能となる。つまり、配線パターンに対して付与された識別情報が、その配線パターンを採用する電線保持具2に対して割り振られる。
一方、夫々の単体ユニット装置32には、図18に示すように、情報読出手段58が設けられており、搬入される電線保持具2の識別情報が識別情報記憶部24から読出される。また、単体ユニット装置32には、機能的構成として、送込有無判定手段68、及び停止位置決定手段59が設けられている。送込有無判定手段68は、管理用コンピュータ40から送信された識別情報及び配線パターンと、識別情報読出手段58によって読出された電線保持具2の識別情報とに基づいて、電線保持具2に対する電線の送込みの有無を個々に判定する。つまり、新しく搬入される電線保持具2に対して、電線を送込む必要があるか否かを、夫々の単体ユニット装置32において判定する。そして、停止位置決定手段59は、送込みの必要な電線保持具2であると判定された場合、すなわち電線供給ユニット51に対応付けて記憶された電線の種類が、配線パターンに含まれる電線の種類に一致している場合には、配線パターンに基づいて電線が送り込まれる挟持部13の位置を特定し、その位置が電線供給ユニット51と対向するように電線保持具2の停止位置を決定する。
また、単体ユニット装置32には搬送制御手段60が設けられており、夫々の送りローラ56を駆動して電線保持具2を搬送するとともに、停止位置決定手段59によって決定された停止位置に到達するとその位置で電線保持具2の搬送を停止させる。これにより、複数の挟持部13のうち、識別情報に対応した挟持部13を、電線供給ユニット51に対向させることができる。また、保持具搬送ユニット50には、通過検出手段61及び可動位置認識手段62が設けられており、通過検出手段61は通過する電線保持具2に向って光を放射する発光部61aと、電線保持具2の反射部材23によって反射されるパルス状の光を受光する受光部61bを備えることにより、電線保持具2の通過を検出する。この際、パルス状(オン・オフを繰り返す状態)の光を受光した際に通過と判定するため、電線保持具2が通過していないにも拘らず、別の物体(例えば作業者の手)によって、電線保持具2が通過したと判定されてしまうこと、すなわち誤検知を抑制することが可能になる。可動位置認識手段62は、電線保持具2の現在位置を認識するものであり、通過検出手段61によってスリット22の通過が検出された場合、その検出後の送りローラ56の回転数を回転数検出手段62aによって検出し、その回転数に基づいて電線保持具2の現在位置を認識する。
また、単体ユニット装置32には、開放制御手段67が備えられており、電線の送込みを実行する前に、電線供給ユニット51と対向する位置に停止した電線保持具2の挟持部13を開放操作手段63によって押圧し、付勢手段18の付勢力に抗して挟持部13を閉鎖位置から開放位置に強制的に変位させる。
さらに、単体ユニット装置32には電線供給制御手段94が設けられており、所定の長さの電線を送込むために送りローラ制御手段92、切断刃制御手段93、及びチャック制御手段91等を制御する。送りローラ制御手段92は、送りローラ75の回転の有無及び回転数を制御するものであり、予め設定された長さの電線が電線保持具2に向って搬送されるように送りローラ75の回転数を制御する。切断刃制御手段93は、切断刃77の動作を制御するものであり、上刃85と下刃86との間隔を変化させることにより、切断可能な状態と、皮剥き可能な状態と、電線に接触しない状態(詳しくは移動式チャック機構78が通過可能な隙間が形成された状態)とに切替える。
チャック制御手段91は、電線の先端側の皮剥きを行う際に移動式チャック機構78を第一位置で保持状態とし、電線の後端側の皮剥きを行う際に移動式チャック機構78を第二位置で保持状態とし、一方、送りローラ75によって電線を搬送する際は、移動式チャック機構78を非保持状態とする。
また、単体ユニット装置32には、前述したように残量検出手段109と、切替手段110を有する供給装置選択手段108とが設けられており、電線ドラム34に巻かれた電線の残量が少なくなると、電線保持具2に対して電線を供給する電線供給ユニット51を、一方の電線供給ユニット51(電線の残量が少なくなった電線供給ユニット51)から、他方の電線供給ユニット51(電線が豊富に巻かれている電線供給ユニット51)に切替えるように制御される。
一方、図17に示すように、管理用コンピュータ40には、さらに機能的構成として、突出長さ記憶手段193が設けられている。この突出長さ記憶手段193には、複数の電線における電線保持具2からの設定突出長さが夫々の挟持部13に対応させて記憶されている。そして、識別情報付与手段124によって設定された識別情報と、突出長さ記憶手段193に記憶されている夫々の電線の突出長さとが、第三送信制御手段126によって電線延出装置37に送信される。
これに対し、電線延出装置37では、図19(c)に示すように、突出長さ調整手段194が設けられており、管理用コンピュータ40から送信された情報を第三受信制御手段138によって受信すると、突出長さ調整手段194は、受信した夫々の突出長さに基づいて、夫々の挟持用シリンダ184における挟持解除のタイミングを個々に設定する。つまり、設定突出長さが短い場合には、挟持用シリンダ184を早い段階で解除することにより、その電線の引き出しを中断し、一方、設定突出長さが長い場合には、挟持用シリンダ184の解除を遅くすることにより、引き出される電線を長くする。また、開放制御手段196を備えており、電線スライド機構176によって電線をスライドさせる前に開放操作手段195の作動を開始し、付勢手段18の付勢力に抗して挟持部13を閉鎖位置から開放位置に強制的に変位させる。
一方、図17に示すように、管理用コンピュータ40には、さらに配線パターン決定手段121によって決定された配線パターン、及び識別情報付与手段124によって付与された識別情報を配列検査装置36に送信する第四送信制御手段127が設けられている。これに対し、配列検査装置36には、図19(b)に示すように、電線保持具2に配列された複数の電線を撮像装置170によって撮影するとともに、その検出画像データに基づいて配線パターンにおける色の変化を認識する配線色認識手段171と、配線色認識手段171によって認識された色の変化と管理用コンピュータ40から送信された配線パターン(第四受信制御手段137によって受信された配線パターン)とを照合し、互いに合致するか否かを判定する配線チェック手段172とを備えている。なお、配列検査装置36には電線保持具2の識別情報記憶部24から識別情報を読出す識別情報読出手段169も備えられており、配線チェック手段172では識別情報に対応する配線パターンと照合するようになっている。そして、チェック結果表示制御手段174を備え、配線チェック手段172による判定の結果を表示装置173に表示させる。
ところで、図17に示すように、管理用コンピュータ40は、端子圧着装置4を制御するための機能的構成として、電線供給ユニット51から順次繰出された電線、すなわち電線保持具2に保持された複数の電線に対し、夫々の圧着処理に用いられる端子圧着装置4を、圧着システム5に備えられた複数の端子圧着装置4の中から、配線パターン決定手段121の出力に基づいて特定する圧着装置特定手段128を備えている。そして、圧着装置特定手段128の出力は第五送信制御手段132によって送られ、特定された端子圧着装置4に対し、特定されたことを示す情報を通知する。なお、電線保持具5に保持された夫々の電線に対応する端子圧着装置4が互いに異なる場合には、複数の端子圧着装置4が特定されることになるが、この場合、特定された全ての端子圧着装置4に対し同時に通知することは行わず、最初に圧着処理が行われる端子圧着装置4、すなわち例えば右端に送り込まれた電線に対応する端子圧着装置4に対してのみ通知を行い、その後、その端子圧着装置4において圧着処理が終了したことを示す情報が端子圧着装置4から送信された時に、次に圧着処理が行われる端子圧着装置4に対して通知を行う。つまり、圧着加工が終了する毎に、順に通知を行うように制御される。
また、管理用コンピュータ40には、圧着装置特定手段128によって特定された端子圧着装置4の識別番号を、電線保持具2の持ち運び先として表示する誘導制御手段129が備えられている。なお、最初に圧着処理が行われる端子圧着装置4の識別番号(以下、「最初の識別番号」という)は、管理用コンピュータ40に設けた表示手段130において表示され、二番目以降に圧着処理が行われる端子圧着装置4の識別番号(以下、「二番目以降の識別番号」という)は、第五送信制御手段132によって端子圧着装置4に送信され、圧着処理が終了した端子圧着装置4の情報表示装置250において表示されるようになっている。具体的に図1に基づき説明すると、電線保持具2によって保持された複数の電線に対応する端子圧着装置4が、圧着装置特定手段128によって、「31」,「66」,「86」…と特定された場合、まず、表示手段130に最初の識別番号である「31」を表示する。これにより、作業者はそれらの電線が保持された電線保持具2を持って31番の端子圧着装置4に向かい、電線保持具2に保持された複数の電線の中から一番端の電線の先端に圧着端子を圧着することとなる。31番の端子圧着装置4による圧着処理が終了すると、次に圧着処理が行われる66番の端子圧着装置4の識別番号「66」を、31番の端子圧着装置4に設けられた情報表示装置250に表示する。このため、作業者はその電線保持具2を持ったまま66番の端子圧着装置4に向かい、電線保持具2に保持された複数の電線の中から二番目の電線に圧着端子を圧着することとなる。また、同様に、66番の端子圧着装置4による圧着処理が終了すると、その次に圧着処理が行われる86番の端子圧着装置4の識別番号「86」を、66番の端子圧着装置4に設けられた情報表示装置250に表示する。このように、最初は管理用コンピュータ40側において移動先が表示され、その後は圧着処理が終了する毎にその場で移動先が表示されるため、圧着処理を行うべき端子圧着装置4を間違えることなく認識でき、速やかに移動することが可能になる。ここで、誘導制御手段129が本発明の誘導装置に相当し、第五送信制御手段132が本発明の識別情報送信手段に相当する。
また、管理用コンピュータ40には、圧着端子の接続先であるコネクタの種類及びピン番号を含むコネクタ情報を、電線保持具2に供給された電線に対応付けて送信するコネクタ情報送信手段131を備えている。コネクタ特定手段131の出力も第五送信制御手段132に送られ、特定された端子圧着装置4に送信される。
一方、図20に示すように、夫々の端子圧着装置4は、運転制御手段271を備えている。運転制御手段271は、演算及び制御を行う中央情報処理装置(CPU)と、読み出し専用メモリ(ROM)及びランダムアクセスメモリ(RAM)からなる補助記憶装置とを備えており、予め入力されたプログラムに従って、一連の圧着処理を行う。
運転制御手段271の出力ポートには、動力機構制御部273、及び電線搬送制御部275が接続されている。動力機構制御部273は、圧着機構206の動力部を制御するものであり、運転制御手段271の出力に基づいて、圧着機構206の電動機272を駆動する。電線搬送制御部275は、電線送込み機構209を制御するものであり、運転制御手段271の出力に基づいて、ローラ駆動手段274を駆動する。
また、運転制御手段271には、送受信制御手段279が接続されている。送受信制御手段279は、管理用コンピュータ40に備えられた第五送信制御手段132と双方向の通信を行うものである。
また、端子圧着装置4には、管理用コンピュータ40の第五送信制御手段132から送信された識別情報、すなわち管理用コンピュータ40において付与された電線保持具2の識別情報を受信する識別情報受信手段280と、端子圧着装置4の近傍に位置する電線保持具2から識別情報を直接読取って認識する第二識別情報認識手段281とが備えられている。また、第二識別情報認識手段281によって認識された識別情報と識別情報受信手段280によって受信した識別情報とが一致しているか否かを判定し、一致している場合にのみ、運転制御手段271に信号を出力しアプリケータ205による圧着処理を許可する圧着処理許可手段282も備えられている。つまり、端子圧着装置4では、持ち運ばれた電線保持具2の識別情報を直接読取るとともに、その識別情報と、受信によって把握した識別情報とが一致しているか否かを判定し、一致していると判定された場合にのみ、圧着処理を許可する。
また、端子圧着装置4には、圧着情報認識手段284及びコネクタ情報認識手段283が備えられている。圧着情報認識手段284は、第五送信制御手段132から送信された圧着情報、すなわち特定された端子圧着装置4であることを示す通知と、次に圧着処理を行う端子圧着装置4の識別番号、とを読取る。そして、特定された(選択された)端子圧着装置4であることを認識した場合には、ランプ制御手段285によってランプ251を点灯させ、圧着処理を行うべき端子圧着装置4であることを作業者に報知する。このため、遊技者は、案内された識別番号の端子圧着装置4を一層速やかに見つけることができるとともに、間違った端子圧着装置4へ向かうことを抑制できる。また、圧着情報認識手段284によって、二番目以降の識別番号を認識した場合には、圧着処理の終了後、情報表示装置250にその識別番号を表示する。
また、コネクタ情報認識手段283は、第五送信制御手段132によって送信されたコネクタ情報を認識するものであり、端子圧着装置4による圧着処理の終了後、認識されたコネクタ情報を、接続先案内手段286によって情報表示装置250に出力する。なお、本例では、対応するコネクタの絵を情報表示装置250に表示し、ピン番号の位置を指標で示すようにしている。このように、夫々の端子圧着装置4の近傍にコネクタを収容するとともに、コネクタ情報を表示させることにより、作業者は、圧着端子が圧着された後の電線の接続先、すなわちコネクタの種類とピン番号とを、その場で把握することが可能となり、コネクタへの接続作業を速やかに且つ間違いなく行わせることが可能になる。特に、電線保持具2における電線の配列と、コネクタにおけるピンの配置とを一致させるようにしておけば、並列状態に保持されている複数の電線を、順序を変えることなくそのままコネクタに接続させることができるため、コネクタへの接続作業を極めて短時間で行うことが可能になる。
以上のように、本例の電線処理システム1によれば、圧着システム5には、アプリケータ205や圧着端子の種類が異なる複数の端子圧着装置4が並設されているため、多品種少量生産によりコネクタや電線の種類が頻繁に変化しても、アプリケータ205や圧着端子を交換することなく、夫々の電線の先端または後端に圧着端子を圧着させることができる。
また、本例の電線処理システム1によれば、電線配列システム3と端子圧着装置4との間で電線を持ち運ぶことが可能な電線保持具5を備えており、この電線保持具5では、配列装置33によって順次供給される複数本の電線を順番に受取るとともに、受け取った複数本の電線を保持するため、複数の電線を、所定のパターンに整列させた状態で持ち運ぶことが可能になる。そして、電線保持具5に配列された複数本の電線に対し、夫々の圧着処理に用いられる端子圧着装置4を、複数の端子圧着装置4の中から特定し、その端子圧着装置4の識別番号を作業者に案内するため、作業書等を確認しなくても、圧着処理を行うべき端子圧着装置4を順に把握することができる。したがって、作業効率を高めるとともに、不慣れな作業者であっても間違いなく処理することが可能になり、ひいては多品種少量生産に適した圧着処理を行うことができる。
また、本例の電線処理システム1によれば、管理用コンピュータ40に表示手段130を備え、電線保持具5に複数の電線が配列された後、端子圧着装置4の識別番号が、電線保持具5における最初の持ち運び先として表示が行われるため、電線配列システム3の近傍で電線保持具5を受け取った作業者は、表示手段130で表示される識別番号によって、最初の移動先を視覚的に認識することができる。また、夫々の端子圧着装置4には、情報表示装置250が備えられており、夫々の端子圧着装置4における圧着処理の終了後に、次に圧着処理を行う端子圧着装置4の識別番号が表示されるため、作業者は、表示手段130が設置されている管理用コンピュータ40の付近まで戻らなくても、情報表示装置250での案内によって、その場で移動先を認識することができ、速やかに移動することが可能になる。したがって、作業性を一層高めることができる。
また、本例の電線処理システム1によれば、電線保持具5には、電線保持具5を識別するための識別情報が記憶されており、夫々の端子圧着装置4において、この識別情報を読取ることが可能になっている。そして、夫々の端子圧着装置4では、圧着処理が指示されると、持ち運ばれた電線保持具5の識別情報を直接読取るとともに、その識別情報と、管理用コンピュータ40から送信された識別情報とが一致しているか否かを判定し一致していると判定された場合にのみ、アプリケータ205による圧着処理を許可する。このため、譬え、作業者の間違いにより、電線保持具5が別の端子圧着装置4に運び込まれても、その端子圧着装置4による圧着処理が禁止され、ひいては圧着処理の失敗を未然に防止することができる。
また、本例の電線処理システム1によれば、電線配列システム3を備えており、電線保持具2を一定方向に搬送しながら、複数の電線供給ユニット51によって、対応する挟持部13に順次電線を送込むことにより、複数本の電線を設定された配線パターン通りに配列させることができる。したがって、多品種少量生産に適したワイヤーハーネスの製造を可能にし、生産性を高めることができる。
また、本例の電線処理システム1によれば、電線保持具2に電線を挿入する際には、挟持部13を開放位置とすることにより電線を送込むことが可能となり、一方、送込みが完了した後は電線を確実に保持することが可能となり、電線保持具2の搬送中に電線が挟持部から逸脱することを防止できる。
また、本例の電線処理システム1によれば、電線延出装置37を備えているため、電線保持具2に全ての電線が配列されるまでは、電線の後端側をあまり延出させることなく搬送させることができ、一方、全ての電線を配列させた後には、これらの電線を纏めて引き出すことが可能になる。したがって、電線供給ユニット51を保持具搬送ユニット50に接近した状態で配置させるにも拘らず、電線の後端部分を電線保持具2から延出させ、ひいては後端部分に対して圧着端子を容易に圧着させることが可能になる。
また、複数の電線の突出長さを夫々別々に調整することが可能となり、例えば、コネクタにおけるピッチと電線保持具2における挟持部13の間隔との差を考慮した突出長さとすることが可能となり、これによれば、中央の挟持部に挟持された電線等、一部分の電線のみが余剰となって撓みが生じることを防止できる。
また、本例の電線処理システム1によれば、電線スライド機構176によって電線をスライドさせる前に開放操作手段195の作動を開始し、付勢手段18の付勢力に抗して挟持部13を閉鎖位置から開放位置に強制的に変位させるため、電線を容易に引き出すことが可能となる。一方、挟持用シリンダ184における挟持状態を解除した後は、開放操作手段195の作動を停止させるため、電線を確実に保持することが可能となり、電線保持具2を持ち運ぶ際に電線が挟持部から逸脱することを防止できる。
また、本例の電線処理システム1によれば、電線保持具2の近傍には逸脱防止板197が設けられているため、この逸脱防止板197によって挟持部13から電線が逸脱することが防止される。したがって、電線を比較的速やかにスライドさせても、電線を滑らかに摺動させることができるとともに、電線の保持状態を維持することができる。特に、逸脱防止板197は上面波形状の板材によって構成されているため、比較的簡単な構成でありながらも、配列された全ての電線を同時に支持することができる。
以上、本発明を実施するための最良の形態を挙げて説明したが、本発明はこの実施の形態に限定されるものではなく、以下に示すように本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良および設計の変更が可能である。
すなわち、上記実施形態では、情報表示装置250に、二番目以降の識別番号と、コネクタ情報とを表示させるものを示したが、これに加え、電線の色に関する情報を表示させるようにしてもよい。具体的に説明すると、夫々の端子圧着装置4において圧着処理する際には、端部側の電線から順番に圧着することとなるが、電線保持具5には、複数の電線が並列状態で保持されているため、どちらの端部側の電線が最初の電線であるかを間違えてしまうことが懸念される。そこで、管理用コンピュータ40から最初の端子圧着装置4に、一番目の電線の色に関する情報を送信し、その端子圧着装置4の情報表示装置250においてその色に関する情報を表示させるようにすることが好ましい。これによれば、最初の端子圧着装置4において圧着処理を行う際、情報表示装置250に表示された色と、端子圧着装置4に送り込む電線の色とが、一致しているか否かを判断することが可能になり、ひいては最後の電線を一番目の電線と間違えて圧着処理を行うことによる不良品の生成を、防止することが可能になる。なお、一番目の電線の色だけではなく、二番目以降の電線の色についても夫々の端子圧着装置4に送信し、表示させるようにしてもよい。これによれば、譬え、1番目の電線と最後の電線が同じ色であっても、二番目、またはそれ以降の電線の色を確認することにより、電線の間違いを比較的早い段階で認識させることができ、無駄な作業を極力防止することができる。また、夫々の電線の色が正しいか否かを確認しながら作業を行うことができるため、接続間違いを軽減するとともに、作業者に安心感を与えることができる。
また、電線供給装置2から端子圧着装置4に送信される圧着情報の一つとして、電線の先端側に圧着端子を圧着させるのか、それとも電線の後端側に圧着端子を圧着させるのかを示す情報を含めるようにしてもよい。これによれば、電線に圧着する圧着端子の種類が、電線の先端側と後端側とで異なっていても、その表示を確認しながら作業を行わせることにより、夫々の圧着端子を電線の両端に間違いなく圧着させることができる。
また、上記実施形態では、端子圧着装置4において、圧着処理の終了後、次に圧着処理を行う端子圧着装置4の識別番号を表示させるものを示したが、次も同じ端子圧着装置4で圧着処理を行う場合(すなわち複数回連続して圧着処理を行う場合)には、情報表示装置250に何も表示させないようにしてもよい。これによれば、情報表示装置250に識別番号が表示されるまで、圧着処理を繰返し行うこととなり、識別番号の表示が、作業者の移動を示唆していることを理解させることができる。
また、上記実施形態では、並設されるすべての端子圧着装置4において、アプリケータ205及び圧着端子のいずれか一方を互いに異なるように設定するものを示したが、使用頻度の多い端子圧着装置4においては、同じ種類の端子圧着装置4を複数台備えるようにしてもよい。これによれば、複数の作業者が同じ種類の圧着端子を圧着する場合があっても、1台の端子圧着装置4に作業が集中することなく、すなわち順番を待つことなく、並行して作業を行うことができるため、一層効率的な生産が可能となる。
さらに、上記実施形態では、電線配列システム3に、配列検査装置36、及び保持具排出装置38を具備するものを示したが、これらの装置は不要であれば備えなくてもよい。
1 電線処理システム
2 電線保持具
13 挟持部
18 付勢手段
50 保持具搬送ユニット(保持具搬送装置)
51 電線供給ユニット(電線供給装置)
176 電線スライド機構
184 挟持用シリンダ(電線挟持機構)
193 突出長さ記憶手段
194 突出長さ調整手段
195 開放操作手段
196 開放制御手段
197 逸脱防止板
2 電線保持具
13 挟持部
18 付勢手段
50 保持具搬送ユニット(保持具搬送装置)
51 電線供給ユニット(電線供給装置)
176 電線スライド機構
184 挟持用シリンダ(電線挟持機構)
193 突出長さ記憶手段
194 突出長さ調整手段
195 開放操作手段
196 開放制御手段
197 逸脱防止板
Claims (4)
- 電線を挟持することが可能な閉鎖位置と電線の挿入及び抜取りが可能な開放位置との間で変位可能に支持され、複数本の電線を並列状態で一本ずつ挟持させることが可能な複数の挟持部、及び夫々の該挟持部を個々に前記閉鎖位置側に付勢する付勢手段を有する電線保持具と、
該電線保持具を一定方向に搬送する保持具搬送装置と、
該保持具搬送装置の搬送方向に対して所定の間隔で配置され、前記保持具搬送装置によって搬送される前記電線保持具に対し順に電線を供給する複数の電線供給装置と、
該複数の電線供給装置によって供給され前記電線保持具に配列された複数の電線の後端側を、夫々別々に挟持することが可能な複数の電線挟持機構と、
前記電線保持具を固定した状態で、複数の前記電線挟持機構を前記保持具搬送装置に接近した位置から遠ざかる方向に移動させることで、前記電線挟持機構によって挟持されている電線を前記電線保持具に対してスライドさせる電線スライド機構と
を具備することを特徴とする電線処理システム。 - 配列された複数の電線における前記電線保持具からの設定突出長さを、夫々の前記挟持部に対応させて予め記憶する突出長さ記憶手段と、
該突出長さ記憶手段に記憶された夫々の突出長さに基づいて、夫々の前記電線挟持機構における挟持解除のタイミングを個々に設定することで、複数の電線の突出長さを夫々別々に調整する突出長さ調整手段と
をさらに具備することを特徴とする請求項1に記載の電線処理システム。 - 前記保持具搬送装置は、夫々の前記電線挟持機構と対向する位置に停止した前記電線保持具における前記挟持部を押圧し、前記付勢手段の付勢力に抗して夫々の前記挟持部を前記閉鎖位置から前記開放位置に強制的に変位させることが可能な複数の開放操作手段と、
前記電線スライド機構によって電線をスライドさせる前に前記開放操作手段の作動を開始し、前記電線挟持機構における挟持状態を解除した後、前記開放操作手段の作動を停止させる開放制御手段と
をさらに備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電線処理システム。 - 前記保持具搬送装置に配置され、前記挟持部が前記開放位置に変位した際に、前記挟持部から電線が逸脱しないように夫々の電線を直線状に支持する上面波形状の逸脱防止板をさらに備えることを特徴とする請求項3に記載の電線処理システム。
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JP2007195301A JP2009032532A (ja) | 2007-07-27 | 2007-07-27 | 電線処理システム |
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JP2007195301A JP2009032532A (ja) | 2007-07-27 | 2007-07-27 | 電線処理システム |
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JP2009032532A true JP2009032532A (ja) | 2009-02-12 |
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JP2007195301A Pending JP2009032532A (ja) | 2007-07-27 | 2007-07-27 | 電線処理システム |
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JP (1) | JP2009032532A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2011145200A1 (ja) * | 2010-05-20 | 2011-11-24 | 日本オートマチックマシン株式会社 | 電線ストリップクリンパ装置 |
-
2007
- 2007-07-27 JP JP2007195301A patent/JP2009032532A/ja active Pending
Cited By (3)
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CN102511114A (zh) * | 2010-05-20 | 2012-06-20 | 日本自动机械株式会社 | 电线剥皮压接装置 |
JP5095859B2 (ja) * | 2010-05-20 | 2012-12-12 | 日本オートマチックマシン株式会社 | 電線ストリップクリンパ装置 |
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