JP2009032179A - 移動ロボット及び遠隔操作システム - Google Patents

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Abstract

【課題】移動ロボットの方向検知に使用する積算型センサの累積誤差を補正し、移動ロボットの向いている方向を容易に且つ高精度に検出する。
【解決手段】床面上における前記移動ロボットのヨー角方向の回動角を算出する積算型センサ(角速度センサ141,回動角算出部104,誤差補正部107,方位情報記憶部151)と、段差部の側面と上面によって共有されたエッジ部の延びる方向の向きに対する移動ロボットの進行方向、又は上面の存在情報を検出する段差検出部106と、検出されたエッジ部の延びる方向の向き、この向きに対する移動ロボットの進行方向、又は上面の存在情報に基づき移動ロボットの向いている方向を検出する補正角度算出部105とを備え、積算型センサには、補正角度算出部105において検出された移動ロボット1の向いている方向を用いて回動角に含まれる累積誤差を補正する誤差補正部107が含まれる。
【選択図】図5

Description

本発明は、段差部を含む床面上を移動する移動ロボット、この移動ロボットを用いた遠隔操作システムに関する。
近年、ビル、家屋等の建造物の天井裏や床下、トンネル内部、原子力発電所、地下実験施設、洞窟内部、災害現場など、人間の立ち入ることが困難な特殊な環境に進入して様子を調査したり、人間では危険であったり困難であったりする各種作業を行うことのできる移動ロボットの需要が高まっている。
上述した特殊環境のなかでも、ビル、家屋等の建造物の天井裏や床下などは、閉鎖的であり、風景が単調であることから、移動ロボットの向いている方向を極めて見失い易い。このような環境下で移動ロボットを効率よく移動させるためには、移動ロボットの位置や向いている方向を正確に検知できる機能が重要である。
位置、方向を取得する有効な手段として、GPS(Global Positioning System)が知られているが、上述した特殊な環境下では、GPS衛星からの電波が受信困難であるために、GPSは不適である。更に、建造物の内部、洞窟内部などでは、鉄筋や岩盤などによる地磁気の乱れから、方位磁石も利用できないという問題がある。
そこで、方向検出用にエンコーダを設ける構成や、壁との距離を計測して壁面に沿って移動したり、目標物になり得る対象物に発光塗料を付け、これらの対象物の位置をCCDカメラ等で直接検出することで現在地を把握する作業ロボットが提案されている(特許文献1参照)。
特許第2594880号公報
特許文献1では、ロボットの走行距離と回転角は、左右のキャタピラ(クローラ)に付属されたエンコーダにより検出される。特許文献1では、左右のモータの正・逆回転量をエンコーダで検出することで、超信地旋回でのロボットの回転角を検出するのであろうが、エンコーダを使用しているために累積的な誤差が生じる。更に、段差、砂利、コンクリート、炭など床面の状況によっては、クローラがスリップすることがあり、左右のエンコーダの検出値に大幅な誤差が生じる。このため、高精度な位置検出及び方向検出が困難であった。
このように、位置情報を取得するためにGPS、方位磁針等が使用できない特殊な環境での使用を目的とした従来のロボットにおいて、ロボットの位置や向いている方向を検知するための一手法としてエンコーダを用いた積算型センサを使用する場合、スリップ等による誤差を含めた積算型センサの累積誤差を有効に補正することが困難であったため、ロボットの向いている方向を容易且つ高精度に検出することが困難であった。また、積算型センサの一例としてジャイロセンサを用いた場合にも同様に、累積誤差を有効に補正することが困難なため、ロボットの向いている方向を容易且つ高精度に検出することが困難であった。
そこで、本発明は、上記問題点に鑑みて提案されたものであり、GPS等の有効手段が使用できない、更には方位磁針も使用できない特殊な環境下での使用を目的とした移動ロボットにおいて、移動ロボットの方向検知に用いられる積算型センサによって算出された回動角に含まれる累積誤差を補正することができ、移動ロボットの向いている方向を容易に且つ高精度に検出することが可能な移動ロボット及び遠隔操作システムを提供することを目的とする。
本発明の特徴は、基底部と前記基底部から突出した段差部とを含む床面上を移動する移動ロボットであって、前記段差部は、所定の長さを有し、前記基底部と所定角度を有して前記基底部に連なって隣接する側面と、前記側面の上端辺に連なって隣接する上面と、前記側面と前記上面が隣接する部分であるエッジ部とを有し、前記移動ロボットは、前記床面上における前記移動ロボットのヨー角方向の回動角を算出する積算型センサ(角速度センサ141,回動角算出部104,誤差補正部107,方向情報記憶部151)と、前記移動ロボットが前記段差部の上を移動するとき、前記エッジ部の延びる方向の向きに対する前記移動ロボットの進行方向、又は前記上面の存在情報を検出する段差検出部(段差検出部106)と、前記段差検出部によって検出された前記エッジ部の延びる方向の向きに対する前記移動ロボットの進行方向、又は前記上面の存在情報に基づき、前記床面上において前記移動ロボットの向いている方向を検出する補正角度算出部(補正角度算出部105)とを備え、前記積算型センサは、前記補正角度算出部において検出された前記移動ロボットの向いている方向を用いて前記回動角に含まれる累積誤差を補正する誤差補正部(誤差補正部107)を備えることを要旨とする。
「回動角」とは、例えば、移動ロボットの前後軸と床面に定義された基準軸とのなす角度を意味し、床面に対する移動ロボットの相対的な方向を意味する。例えば、床面上における移動ロボットのヨー角方向の角速度の累積や、車輪、クローラ等の回転情報の履歴から算出することができる。なお、「積算型センサ」の内部において、例えば、ジャイロセンサ、エンコーダ(ロータリエンコーダ)等を使用することができる。
また、段差部が「所定の長さ」を有するとは、ここでは、段差部が少なくとも移動ロボットの幅と略同長であることを意味する。段差部は、移動ロボットが乗り越えられるものであることが前提であり、乗り越えることができない壁など、或いは、車輪、クローラ等、一対で設けられている移動ロボットの駆動部の片方のみが乗り越える程度の形状の障害物は含まない。
かかる特徴によれば、移動ロボットが段差部の上を移動するとき、段差検出部において、エッジ部の延びる方向の向きに対する移動ロボットの進行方向、又は上面の存在情報を検出し、補正角度算出部によって、段差検出部で検出されたエッジ部の延びる方向の向きに対する移動ロボットの進行方向、又は上面の存在情報に基づいて床面上において移動ロボットが向いている方向を検出する。積算型センサは、補正角度算出部において検出された移動ロボットの向いている方向を用いて回動角に含まれる累積誤差を補正する。
したがって、かかる特徴によれば、GPS等の有効手段が使用できない、更には方位磁針も使用できない、閉鎖空間を含む特殊な環境下での使用を目的とした移動ロボットにおいて、移動ロボットの積算型センサによって算出された回動角に含まれる累積誤差を補正することができる。また、これにより、移動ロボットの向いている方向を容易に且つ高精度に検出することができる。
上記の特徴にかかる移動ロボットは、前記移動ロボットと前記床面との距離を計測する距離センサを備え、前記段差検出部は、前記距離センサによる計測結果と所定の閾値とを比較した結果から、計測対象が前記基底部から前記上面へ変化したこと、又は計測対象が前記上面から前記基底部へ変化したことを検出することが好ましい。
また、上記の特徴にかかる移動ロボットは、移動ロボットと床面との距離を計測する第1距離センサと第2距離センサ(下部距離センサ142a,142b)とを備え、段差検出部は、移動ロボットが前記段差部の上を移動するとき、エッジ部の延びる方向の向きに対する移動ロボットの進行方向とのなす角度、若しくはエッジ部の延びる方向の向きに直交する方向と前記移動ロボットの進行方向とのなす角度を算出する角度算出部(角度算出部109)を有する。
角度算出部は、第1距離センサ又は第2距離センサの何れか一方の距離センサの計測結果と前記所定の閾値とを比較した結果から、計測対象が前記基底部から前記上面へ変化したときから、前記他方の距離センサの計測結果と前記所定の閾値とを比較した結果から、計測対象が前記基底部から前記上面へ変化するまでに、前記移動ロボットが移動した距離から、前記床面において前記一方の距離センサによって検出されたエッジ部の延びる方向の向きと前記移動ロボットの進行方向とのなす角度、又は、前記床面において前記一方の距離センサによって検出されたエッジ部の延びる方向の向きに直交する方向と前記移動ロボットの進行方向とのなす角度を算出する。
角度算出部は、第1距離センサ又は第2距離センサの何れか一方の距離センサの計測結果と前記所定の閾値とを比較した結果から、計測対象が前記上面から前記基底部へ変化したときから、前記他方の距離センサの計測結果と前記所定の閾値とを比較した結果から、計測対象が前記上面から前記基底部へ変化するまでに、前記移動ロボットが移動した距離から、前記床面において前記一方の距離センサによって検出されたエッジ部の延びる方向の向きと前記移動ロボットの進行方向とのなす角度、又は、前記床面において前記一方の距離センサによって検出されたエッジ部の延びる方向の向きに直交する方向と前記移動ロボットの進行方向とのなす角度を算出する。
また、上記の特徴にかかる移動ロボットは、段差検出部で検出されたエッジ部の延びる方向の向きと前記移動ロボットの進行方向とのなす角度を用いて、前記エッジ部の延びる方向の向きに直交する方向に前記移動ロボットを進行させる制御を行う動作制御部を備えることが好ましい。
更にまた、上記の特徴にかかる移動ロボットは、前記移動ロボットと前記床面との距離を計測する第1距離センサと第2距離センサ(下部距離センサ142a,142b)と、前記移動ロボットの移動機構を制御する動作制御部(動作制御部110)とを備え、段差検出部において、前記第1距離センサ又は前記第2距離センサのうち一方の距離センサの計測結果と前記所定の閾値とを比較した結果から、計測対象が前記基底部から前記上面へ変化したこと、又は計測対象が前記上面から前記基底部へ変化したことを検出したとき、動作制御部は、前記移動ロボットを前記移動ロボットのヨー軸に対する回動動作を開始させ、その後、他方の距離センサの計測結果と前記所定の閾値とを比較した結果から、計測対象が前記基底部から前記上面へ変化したこと、又は前記上面から前記基底部へ変化したことを検出したとき、前記回動動作を停止させる制御を行い、補正角度算出部は、動作制御部によって行われた回動動作が停止されたときの前記移動ロボットの向いている方向を検出し、誤差補正部は、前記補正角度算出部において検出された前記移動ロボットの向いている方向を用いて前記回動角に含まれる累積誤差を補正することが好ましい。
上記の特徴にかかる移動ロボットにおいて、前記距離センサ(第1距離センサ、第2距離センサ)の検知方向は、前記移動ロボットの水平面に対する鉛直下方向に対して、前記移動ロボットの前又は後方向に所定角度を有していることが好ましい。
また、本発明の他の特徴は、基底部と前記基底部から突出した段差部とを含む床面上を移動する移動ロボットと、前記移動ロボットを遠隔操作する操作端末とを具備する遠隔操作システムであって、前記段差部は、所定の長さを有し、前記基底部と所定角度を有して前記基底部に連なって隣接する側面と、前記側面の上端辺に連なって隣接する上面と、前記側面と前記上面が隣接する部分であるエッジ部とを有し、前記床面上における前記移動ロボットのヨー角方向の回動角を算出する積算型センサと、前記移動ロボットが前記段差部の上を移動するとき、前記エッジ部の延びる方向の向きに対する前記移動ロボットの進行方向、又は前記上面の存在情報を検出する段差検出部と、前記段差検出部によって検出された前記エッジ部の延びる方向の向きに対する前記移動ロボットの進行方向、又は前記上面の存在情報に基づき、前記床面上において前記移動ロボットの向いている方向を検出する補正角度算出部とを備え、前記積算型センサは、前記補正角度算出部において検出された前記移動ロボットの向いている方向を用いて前記回動角に含まれる累積誤差を補正する誤差補正部を備えることを要旨とする。
本発明によれば、GPS、方位磁針等が使用できない特殊な環境下での使用を目的とした移動ロボットにおいて、移動ロボットの方向検知に用いられる積算型センサによって算出された回動角に含まれる累積誤差を補正することができ、移動ロボットの向いている方向を容易に且つ高精度に検出することが可能な移動ロボット及び遠隔操作システムを提供することができる。また、特殊な環境に含まれる、床下、建物内部等の閉鎖空間で使用する際にも同様に、移動ロボットの方向検知に用いられる積算型センサによって算出された回動角に含まれる累積誤差を補正することができ、移動ロボットの向いている方向を容易に且つ高精度に検出することができる。
次に、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。但し、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。また、以下の説明では、本発明の要旨を説明することのできる必要最低限の要素のみが記載されていることに留意すべきである。
(遠隔操作システムの全体構成例)
本実施形態にかかる遠隔操作システムの全体構成例について説明する。図1は、本実施形態にかかる遠隔操作システムの全体構成図である。
本実施形態にかかる遠隔操作システムは、移動ロボット1と、無線通信によって移動ロボット1を遠隔操作する操作端末2とを有する。操作端末2としては、例えばノートPCが使用できる。
本実施形態にかかる遠隔操作システムでは、移動ロボット1は、GPS(Global Positioning System)衛星からの電波が受信困難で、GPSを用いて正確な位置情報を取得することが困難な環境、或いは方位磁針も使用できない特殊な環境において好適に使用される。例えば、建造物の内部、トンネル内部、洞窟内部等の閉鎖空間、災害現場等が挙げられる。屋外、屋内は問わない。以下では、上述のような条件にある環境の一例として、移動ロボットを建造物の「床下」で使用する場合について説明するが、本実施形態は言うまでもなく「床下」に限定されない。
移動ロボット1は、操作端末2の制御下で、床下を移動して床下の状況を撮像する。移動ロボット1は、床下内を撮像し、撮像して得られた撮像データを操作端末2へ送信する。また、操作端末2は、移動ロボット1から受信した撮像データや、移動ロボット1の向いている方向(以下、単に「移動ロボット1の方向」という)をリアルタイムに表示する。
操作端末2は、ユーザ入力に応じて、移動ロボット1を操作する遠隔操作コマンドを移動ロボット1へ送信し、移動ロボット1を遠隔操作する。この遠隔操作コマンドには、移動に関するコマンドや、撮像に関するコマンドなどが存在する。
なお、図1においては、移動ロボット1及び操作端末2が建造物内に存在する場合を例示しているが、操作端末2は、建造物の外部から移動ロボット1を遠隔操作することも可能である。
(床下環境の一例)
次に、床下環境の一例について説明する。図2は、床下環境の一例を示す図である。
床下は、高さ32cm〜37cm程度の空間であり、基礎により長方形の区画に区切られている。また、本実施形態では、基礎により区切られた区画が矩形、すなわち、移動ロボットが移動する床面の四隅が90°である。本実施形態では、段差部である束基礎は、区画の四辺を構成する何れかの基礎に平行に設置されている。移動ロボット1が床下点検時に確認すべき内容としては、小動物の死骸や、基礎のクラックなどがある。区画間には通気口と呼ばれる高さ30cm、幅60cm程度の開口部が存在(1区画当たり2箇所程度)する。
移動ロボット1は、床下点検時にはこの通気口を通過して隣の区画へと移動する。また、ケーブルやパイプなどが、床下天井からぶら下がっていたり、床下地面を這い回っていたりする。
更に、基礎近くには配管が存在し、束と呼ばれる細い柱があらゆる場所に存在する。また、束を固定するための束基礎と呼ばれるコンクリート製の台が存在する。この束基礎は、移動ロボットが乗り越えられる程度の段差部である。
図3は、束基礎周囲の床下地面を説明する断面図であり、図2に示すA−A’断面を示す。
床下地面(床面に相当)は、基底部4と、基底部4から突出した束基礎(段差部に相当)3とを含む。束基礎3は、所定の長さを有し、基底部4と所定角度を有して基底部4に連なって隣接する側面3aと、側面3aの上端辺に連なって隣接する上面3cとを有している。また、側面3aの背面側には、基底部4と所定角度を有して基底部4に連なって隣接する側面3bがあり、側面3の上端辺は、上面3cに連なって隣接している。また、段差部3は、側面3aと上面3cが隣接する部分であるエッジ部3d(第1のエッジ部3dという)と、側面3bと上面3cが隣接する部分であるエッジ部3e(第2のエッジ部3eという)とを有する。
束基礎3が「所定の長さ」を有するとは、束基礎の延びる方向の長さが少なくとも移動ロボット1の幅と略同長であることを意味する。束基礎3は、移動ロボット1が乗り越えられる程度の高さであることが前提であり、乗り越えることができないもの、或いは、車輪、クローラ等、一対で設けられる移動ロボットの駆動部の片方のみが乗り越える程度の形状の障害物は含まない。なお、本実施形態で挙げる床下環境では、束基礎3は、例えば、地面(床面に相当)からの高さが5cm程度になっている。
移動ロボット1が床下地面上を移動する際には、床下地面上に存在する凹凸による走行振動や、鉄筋による地磁気の乱れの影響を受けるが、移動ロボット1は、これらの影響に関わらず、自己の向いている方向を検出可能なように構成されている。
(移動ロボットの構成例)
次に、移動ロボット1の構成例について説明する。
(1)移動ロボットの外観例
図4(a)は移動ロボット1の側面視を示す図であり、図4(b)は移動ロボット1の上面視を示す図であり、図4(c)は移動ロボット1の正面視を示す図である。
移動ロボット1は、床下内において、床下地面Sr上を移動する。具体的には、移動ロボット1は、前輪11aと、後輪11bと、クローラ12と、撮像ユニット13とを備える。また、移動ロボット1は、本体部に、床下地面Srとの距離を計測するための下部距離センサ142a,142bを備える。
なお、移動ロボット1は、図示するセンサのほかに、移動ロボット1の側面方向にある障害物との距離を測定するための距離センサや、前方の障害物を監視する前方障害物センサなどを備えていてもよい。
前輪11a又は後輪11bは、クローラ12を回転させる駆動輪である。また、左クローラ12lと右クローラ12rとは独立して駆動可能であり、左右輪独立駆動型の移動機構を構成している。したがって、移動ロボット1は、超信地旋回等により方向転換可能である。
クローラ12は、前輪11a及び後輪11bに掛け渡されており、床下地面Srの凹凸などを吸収する。
撮像ユニット13は、床下地面Srと平行及び垂直な面内で、回動可能に構成されており、床下内を撮像するカメラ131を有している。具体的には、撮像ユニット13は、カメラ131を左右方向(パン方向)に回動させるとともに、カメラ131を上下方向(チルト方向)に回動させる。
下部距離センサ142a及び下部距離センサ142bとしては、例えば、光学距離センサ又は超音波距離センサを使用することができ、移動ロボット1の本体腹部に設けられている。また、接触子或いはスイッチが地面と接触するか否か(すなわち、接触子或いはスイッチのオン/オフ)により距離を検出するセンサを使用することもできる。また、所定の距離で出力が変化するデジタル出力タイプの距離センサを使用することもできる。下部距離センサ142a,142bは、移動ロボット1と移動ロボット1の下方に存在する床面との距離を計測する。この場合、計測対象は、床面の基底部4、段差部3の側面3a,3b、上面3c、エッジ部3e,3dのうちの何れかである。
(2)移動ロボットの機能構成例
図5は、移動ロボット1の構成例を示す機能ブロック図である。
移動ロボット1は、撮像ユニット13と、移動機構120と、センサ14と、制御部100と、方向情報記憶部151と、無線通信部161とを備える。
撮像ユニット13は、床下内の被写体を撮像する。具体的には、撮像ユニット13は、カメラ131と、チルト機構132と、パン機構133と、ズーム機構134と、フォーカス機構135と、照明装置136とを備える。
カメラ131は例えばCCDカメラであり、カメラ131から得られた撮像データは、制御部100及び無線通信部161を介して操作端末2に送信される。チルト機構132は、カメラ131をチルト方向に回動させる。パン機構133は、カメラ131をパン方向に回動させる。ズーム機構134は、例えばカメラ131の光学ズーム率を変更する。フォーカス機構135は、カメラ131をオートフォーカス制御する。照明装置136は床下内を照明する。
移動機構120は、床下地面上を移動するためのものであり、クローラ12やモータ121などを備える。
無線通信部161は、例えば無線LAN又はブルートゥースなどの近距離無線通信方式に準拠した構成を有し、操作端末2と無線通信を行う。
センサ14は、角速度センサ141と、下部距離センサ142と、移動距離センサ143と、傾斜センサ144とを備える。
角速度センサ141は、例えば、ジャイロセンサであり、移動ロボット1が床下地面上をヨー角方向に回動する際の角速度を検出する。
下部距離センサ142には、下部距離センサ142a及び下部距離センサ142bが含まれる。下部距離センサ142a,142bとしては、一例として、光学式の距離センサを使用することができる。本実施形態では、下部距離センサ142a,142bは、移動ロボットの後端部寄りの所定位置に、互いの間隔が“L1”で設置されている。また、下部距離センサ142a,142bは、距離検出方向が移動ロボット1を水平面に設置したとき、鉛直下方向に向けられている。
移動距離センサ143としては、クローラ12l,12rを回転させる各車輪の回動角を検出するロータリエンコーダが使用できる。また、傾斜センサ144は、移動ロボット1のロール方向及びピッチ方向の傾斜角を検出する。
制御部100は、撮像制御部101と、移動制御部102と、通信制御部103と、回動角算出部104と、補正角度算出部105と、段差検出部106と、誤差補正部107と、段差昇降検出部108とを備える。
撮像制御部101は、操作端末2から受信した撮像コマンドに応じて撮像ユニット13を制御する。
移動制御部102は、操作端末2から受信した移動コマンドに応じて移動機構120を制御する。
通信制御部103は、無線通信部161を用いて操作端末2と無線通信を実行する。
回動角算出部104は、角速度センサ141が検出した角速度を積分(単位時間毎に積算)することによって、床下地面上における移動ロボットのヨー角方向の回動角を算出する。具体的には、移動ロボット1が地面上に載置された初期姿勢(後述する)から移動ロボット1のヨー角方向の回動角を算出する。
回動角算出部104は、移動ロボット1の方向を示す回動角γ’を算出する。算出された回動角γ’は、方向情報記憶部151に記憶される。なお、一般的に、ジャイロセンサなどの角速度センサ141が検出する角速度には、ノイズや信号電圧の温度ドリフトなどに伴う誤差が含まれている。したがって、角速度の積算によって算出される回動角には、誤差が累積的に蓄積される。累積的に蓄積される誤差を「累積誤差」と称する。本実施形態では、補正角度算出部105により、段差検出部106で検出された束基礎のエッジ部(第1のエッジ部3d,第2のエッジ部3e)の延びる方向の向きに対する移動ロボット1の進行方向、又は上面3cの存在情報(上面が存在するかしないか)に基づき、床面上において移動ロボット1の向いている方向を検出し、補正角度算出部105において検出された移動ロボット1の向いている方向を用いて、誤差補正部107によって、回動角に含まれる累積誤差を補正することができる。角速度センサ141、回動角算出部104、誤差補正部107、方向情報記憶部151は、床下地面上における移動ロボット1のヨー角方向の回動角を算出する積算型センサとして機能する。
補正角度算出部105は、後述する段差検出部106によって検出された第1のエッジ部3d又は第2のエッジ部3eの延びる方向の向きに対する移動ロボット1の進行方向、又は上面3cの存在情報(上面が存在するかしないか)に基づき、床面上において移動ロボット1の向いている方向を検出する。具体的には、補正角度算出部105は、移動ロボット1が束基礎3の上を移動する(登る又は降りる)とき、後述する段差検出部106によって検出される束基礎3に関する情報を用いて、移動ロボット1の正確な回動角γを算出する。誤差補正部107は、方向情報記憶部151に記憶された誤差を含む回動角γ’を新たに算出された回動角γに更新する。補正角度算出部105による方向検出処理の詳細は後述する。
段差検出部106は、床下地面上にある段差部を検出する検出部であり、本実施形態では、束基礎3を検出する。段差検出部106は、下部距離センサ142aによる第1距離計測結果と、下部距離センサ142bによる第2距離計測結果とに基づき、移動ロボット1が束基礎3の上を移動するとき、束基礎3に関する情報を検出する。具体的には、段差検出部106は、移動ロボット1が図3に示す束基礎3を左から右へと移動する場合には、束基礎3を登るときに、下部距離センサ142a,142bの検出結果に基づき、束基礎3の側面3aと上面3cが隣接する部分である第1のエッジ部3dを通過したことを検出し、床面において第1のエッジ部3dの延びる方向の向きに対する移動ロボット1の進行方向を検出する。また、束基礎3を降りるときに、下部距離センサ142a,142bの検出結果に基づき、側面3bと上面3cが隣接する部分である第2のエッジ部3eを通過したことを検出し、床面において第2のエッジ部3eの延びる方向の向きに対する移動ロボット1の進行方向を検出する。または、下部距離センサ142a,142bの検出結果に基づき、上面3cの存在情報(上面が存在するかしないか)を検出する。
また、段差検出部106は、下部距離センサ142a,142bによる計測結果から、計測対象が基底部4から第1のエッジ部3dを経て上面3cへ変化したことを検出する。すなわち、移動ロボット1が束基礎3を乗り越えようとしていること(束基礎3を登っている状態)を検出することができる。または、段差検出部106は、計測対象が上面3cから第2のエッジ部3eを経て基底部4へ変化したことを検出する。すなわち、移動ロボット1が束基礎3を乗り越えて、離脱しようとしていること(束基礎3を降りている状態)を検出することができる。
ここでの閾値とは、光学式センサの計測距離であってもよいし、単位時間当たりの距離の増加量(検出される距離の微分)の閾値であってもよい。また、例えば、光学式センサの検出可能範囲が、移動ロボット1が束基礎3上を移動するときに検出される床面との距離の最大値よりも短い場合には、検出距離が検出可能範囲外になるときと、検出可能範囲外から検出可能範囲に戻るときとを含む計測距離の変化から、移動ロボット1が束基礎3を登っている状態か、束基礎3を降りている状態かを検出することができる。
また、段差検出部106は、角度算出部109を有する。角度算出センサ109は、下部距離センサ142a又は下部距離センサ142bの何れか一方の距離センサの計測結果と所定の閾値とを比較した結果から、計測対象が上面3cから基底部4へ変化したことを検知したときから、他方の距離センサの計測結果と所定の閾値とを比較した結果から、計測対象が上面3cから基底部4へ変化するまでに移動ロボット1が移動した距離から、床面において第2のエッジ部3eの延びる方向の向きと移動ロボット1の進行方向とのなす角度を算出する。又は床面において第2のエッジ部3eの延びる方向の向きに直交する方向と移動ロボット1の進行方向とのなす角度(後述する「離脱角度α」に相当)を算出する。
離脱角度αは、移動ロボット1が束基礎3を乗り越えて離脱するときの、束基礎3の第2のエッジ部3eの延びる方向に対する移動ロボット1の進行方向のなす角度を検出することを意味する。角度算出部109によって算出された回動角は、補正角度算出部105に送られる。補正角度算出部105は、算出された回動角を用いて、移動ロボット1の正確な回動角を算出する。誤差補正部107は、方向情報記憶部151に記憶された誤差を含む回動角を新たに算出された回動角に更新する。
本実施形態では、移動ロボット1が束基礎3を乗り越えて離脱するときの離脱角度αを検出する場合について、後段にて詳細に説明するが、角度算出部109は、上述したように、移動ロボット1が束基礎3を乗り越えようとしている(束基礎3を登っている状態)ときに、束基礎3の第1のエッジ部3dの延びる方向に対する移動ロボット1の角度を検出することもできる。
この場合、角度算出部109は、下部距離センサ142a又は下部距離センサ142bの何れか一方の距離センサの計測結果と所定の閾値とを比較した結果から、計測対象が基底部4から上面3cへ変化したときから、他方の距離センサの計測結果と所定の閾値とを比較した結果から、計測対象が基底部4から上面3cへ変化するまでに移動ロボット1が移動した距離から、床面において第1のエッジ部3dの延びる方向の向きと移動ロボット1の進行方向とのなす角度を算出する。又は床面において第1のエッジ部3dの延びる方向の向きに直交する方向と移動ロボット1の進行方向とのなす角度を算出する。
段差検出部106による段差検出処理、及び角度算出部109による角度算出処理の詳細については後述する。
段差昇降検出部108は、傾斜センサ144の検出結果に応じて、移動ロボット1が段差の乗り越えを開始したか終了したか(通過の開始と終了)を検出する。段差昇降検出部108の検出結果に応じて、回動角算出部104における回動角の算出処理を停止又は開始したり、図示しない前方障害物センサの検出結果に応じて行われる障害物回避動作等を停止又は開始したりする。
なお、移動ロボット1には、図示を省略するバッテリが搭載されている。このバッテリは、移動ロボット1の動作に用いる電力を蓄積可能なバッテリであって、移動ロボット1に電力を供給する。例えば、バッテリは、リチウム電池などの一次電池、リチウムイオン電池やニッケル水素電池などの二次電池である。
(方向検出動作)
次に、移動ロボット1による方向検出動作について説明する。移動ロボット1による方向検出動作を説明する前に、図6を参照して、移動ロボット1の方向について説明する。本実施形態では、移動ロボット1の方向は、上述したように、移動ロボット1のヨー角方向の回動角を基に検出される。回動角は、床下地面に対する移動ロボットの相対的な方向である。
移動ロボット1の前方がどの方向を向いているかを検出するために、図7に示すように、床下空間に座標軸X,Yを定義する。また、図7(a)に示すように、移動ロボット1の前後軸が区画の一辺(座標軸X)と平行になるように設置して、移動ロボット1の移動を開始させる。
図7(b)に示すように、移動開始直後では、移動ロボット1の実際の回動角γと移動ロボット1の積算型センサによって算出された回動角γ’とは略一致している。その後、図7(c)に示すように、時間経過とともに移動ロボット1の回動角γ’の累積誤差が増大し、移動ロボット1の実際の回動角γと移動ロボット1の積算型センサによって算出された回動角γ’との誤差が大きくなる。
図7(d)は、移動ロボット1が束基礎3を通過し終えようとしている状態を示している。束基礎3は、座標軸Xと平行方向に所定の長さを有する段差部である。移動ロボット1が束基礎3の延びる方向の向き略直交する方向を進行方向として乗り越えることができれば、移動ロボット1の方向は、座標軸Y方向であるとみなすことができる。したがって、束基礎3の通過時に、移動ロボット1が座標軸Y方向を向いていれば、移動ロボット1の正しい回動角が90°であると判断できる。更に、移動ロボット1が束基礎3から離れるときの離脱角度αを算出することができれば、この離脱角度αを用いて高精度に移動ロボット1の方向を補正することが可能となる。図7(d)においては、“90°−α”の値が移動ロボット1の正確な回動角γである。
本実施形態では、基礎により区切られた区画が矩形、すなわち、移動ロボットが移動する床面の四隅が90°であり、段差部である束基礎が、区画の四辺を構成する何れかの基礎に平行に設置されており、累積誤差が±45°未満であることを前提としている。このような場合には、累積誤差を含む回動角と、段差部の延びる方向の向きと、移動ロボット1との位置関係から回動角に含まれる累積誤差を補正することができ、移動ロボット1の向いている方向を容易且つ高精度に推定することができる。
(通過検出動作及び離脱角度算出動作)
次に、移動ロボット1による通過検出動作及び離脱角度算出動作について説明する。図8は、床下地面と平行な平面視において、移動ロボット1が束基礎3を乗り越える前の様子を示す図である。移動ロボット1は、所定の速度v、所定の進入角度θで束基礎3に対して進入する。進入角度θは、束基礎3の延びる方向の向きに直交する軸に対する移動ロボット1の前後軸とのなす角度である。このとき、事前に、障害物センサ(図5には図示しない)により、通過可能な障害物か通過できない壁等の障害物かが判定される。
なお、離脱角度を算出するのは、束基礎3を乗り越える際に、地面の凹凸、乗越時の衝撃等で移動ロボット1の姿勢が乱れることがあるためである。通過後に、移動ロボット1の向き(束基礎に対する離脱角度)を補正することが好ましい。
図9(a)乃至図9(d)は、移動ロボット1が束基礎3を乗り越えるときの、下部距離センサ142a,142bの検出距離を説明する図である。各図には、束基礎3の延びる方向の向きに直交する方向からみた図と、そのとき上方からみた平面図が対応して示されている。以下においては、移動ロボット1の腹部後左側に設けられるセンサが下部距離センサ142aであり、移動ロボット1の腹部後右側に設けられるセンサが下部距離センサ142bである。
図10の上段に示す図は、移動ロボット1が図9に示すように束基礎3を乗り越えるときの下部距離センサ142aの距離計測結果を示し、図10の下段に示す図は、図9に示すように移動ロボット1が束基礎3を乗り越えるときの下部距離センサ142bの距離計測結果を示す。また、図10におけるLa,Lb,Ra,Rbは、図11に示す移動ロボット1の位置に対応する。
なお、上述した図10は、下部距離センサ142a,142bが移動ロボットの後端部寄りの所定位置に互いの間隔が“L1”で、距離検出方向が移動ロボット1を水平面に設置したとき鉛直下方向に向けられた状態で搭載されている場合の、移動ロボット1の重心の移動距離に対する計測距離の挙動の一例を示すものである。
移動ロボット1が束基礎3の上を移動する動作において、基底部4から上面3cへの移動か、又は上面3cから基底部4への移動かを検出するために、距離計測値には、閾値が決められている。計測結果を閾値と比較することにより、計測対象が基底部4から第1のエッジ部3dを経て上面3cへ変化したこと、すなわち、移動ロボット1が束基礎3を乗り越えようとしていること(束基礎3を登っている状態)と、計測対象が上面3cから第2のエッジ部3eを経て基底部4へ変化したこと、すなわち、移動ロボット1が束基礎3を乗り越えて離脱しようとしていること(束基礎3を降りている状態)とを検出することができる。閾値は、段差の床下地面からの高さに応じて決定される値である。閾値を変えることにより、床下地面上に存在するどの障害物を通過しているかを検知することもできる。本実施形態では、束基礎3の高さに対して、閾値Dth(一例として、50mm)を定める。
状態A(図9(a)に示す)では、下部距離センサ142a,142bの計測結果は、ともに略最小値(初期値という)を示す。すなわち、通常の走行状態にあるときは、移動ロボット1の腹面と床下地面との距離は、下部距離センサ142a,142bにおいてともに略等距離(例えば、本実施形態では、18mm程度)に検出される。
移動ロボット1が束基礎3を登り始める状態B(図9(b)に示す)では、移動ロボット1の腹面と床面との間隔が開くので、計測距離が長くなる。このとき、図8に示すように移動ロボット1が束基礎3に対して進入角度θで進入しているとすると、下部距離センサ142aと下部距離センサ142bの計測結果には、距離の測定結果の立ち上がり等に差が生じる。図10では、横軸を移動ロボット1の位置遷移(下部距離センサ142a,142bの位置遷移)としている。したがって、移動ロボット1が束基礎3を乗り越えるときの移動ロボット1と束基礎3の位置関係に応じてセンサ計測結果に差が生じる。
移動ロボット1の下に束基礎3が位置している状態としては、具体的には、状態B(図9(b))と状態C(図9(c))の中間状態である、状態C1,C2,C3がある(図10参照)。状態C1では、移動ロボット1は、上面cを走行しながら基底部4を検知する。状態C2では、移動ロボット1は、上面cを走行しながら上面cを検知する。状態C3は、移動ロボット1のクローラ12の前端部が基底部4に接触した状態である。状態C3では、下部距離センサ142は、遙か後方の基底部4を検出するため、計測距離が最大になる。この場合には、検出範囲外を示す。更に移動ロボット1が前進すると、移動ロボット1のクローラ12の前端部が基底部4に接触した状態で、下部距離センサ142が上面cを検知する(図10では、検出点P1がこれに該当する)。
状態Cの図9(c)に示す点線の姿勢に差し掛かるにつれて、下部距離センサ142による上面cの計測距離は、徐々に短くなる。距離が最短になったところを第2のエッジ部近傍であるとみなすことができる(図10の検出点P2)。そして、状態Cの図9(c)に示す実線の姿勢)に差し掛かるにつれて、下部距離センサ142bは、上面cから側面(ここでは、側面3b)を検出し、やがて側面3bから基底部4を検出するので、計測距離が再び閾値を超える(検出点P3)。この過程で、図11に示すLa,Ra,Lb,Rbが検出される。
その後、移動ロボット1の腹面と床面(束基礎3の上面3c)との間隔が再び縮まるので、計測距離が短くなる。移動ロボット1が束基礎を完全に通過した状態D(図9(d)に示す)では、下部距離センサ142a,142bの計測結果は、ともに初期値とほぼ同じ値を示す。
したがって、移動ロボット1が進入角度θで束基礎3を乗り越える場合には、通過検出動作時においては、下部距離センサ142aは、図10上段に示す挙動になる。また、下部距離センサ142bの距離計測結果は、進入角度θに応じて移相がずれた、図10下段に示す挙動になる。両者の計測結果から、移動ロボット1と移動ロボット1の下にある束基礎3の上面3cの存在情報(上面が存在するかしないか)を検出することができる。すなわち、図10に示す計測結果から、移動ロボット1が基底部4から束基礎3の上面3cへ移動(束基礎3を登るという)し、上面3cから基底部4へ戻る(束基礎3から降りる)という、移動ロボット1が束基礎3を通過する動作を検出できる。
なお、図10を用いて説明した、下部距離センサ142a、142bによる一連の距離検出では、検出点P2から検出点P3に至る変化に類似する挙動が3回現れる。したがって、後述する離脱角度αの算出処理に必要な、所望とする検出点であることを特定するために、例えば、初期値近傍の値から閾値を超えた回数をカウントする、或いは移動ロボット1の傾斜角(チルト角)を測定するなどしてもよい。これにより、離脱角度算出処理を正確なタイミングで実行することができる。本実施形態では、移動ロボット1に搭載された傾斜センサ144を使用している。
図11は、床下地面と平行な平面視において、移動ロボット1が束基礎3を通過した後の様子を示す図である。このとき、移動ロボット1が束基礎3から離脱する離脱角度αは、束基礎3の延びる方向の向きに直交する方向に対する移動ロボット1の前後軸のなす角である。離脱角度αの検出には、以下の方法が使用できる。
図11に示すように、次の式(1)により離脱角度αが算出される。
α=ATAN(L2/L1) ・・・(1)
ここで、“L1”は、図11において、移動ロボット1の左右軸上での下部距離センサ142aと下部距離センサ142bとの設置間隔(長さ)を示し、“L2”は、移動ロボット1の前後軸上での点Laと点Lbとの間の距離(長さ)を示している。
ここで、“L2”は、移動ロボット1の移動速度と時間によって算出することができる。この場合には、下部距離センサ142aの計測結果における下りの際のボトム値(検出点P2、図11の位置Laに相当)と、下部距離センサ142bのボトム値(検出点P2’、図11の位置Rbに相当)の検出タイミングの差が「時間」になる(図9(a),(b)参照)。
下部距離センサ142aのボトム値からの立ち上がりは、上面3cの第2のエッジ部3eを検出していた下部距離センサ142aの検出対象が上面3c(第2のエッジ部3e)から基底部4或いは側面3bへ変化することを示している。また、下部距離センサ142bのボトム値からの立ち上がりは、上面3cの第2のエッジ部3eを検出していた下部距離センサ142bの検出対象が上面3c(第2のエッジ部3e)から基底部4或いは側面3bへ変化することを示している。
検出間隔は、有限時間であるので、上述した離脱角度αの検出処理では、所定の閾値を超えた検出点(図10に示すP4)をLa又はRbとみなして扱う。
“L2”は、クローラ12の回転量からも算出することができる。また、下部距離センサ142aの計測結果における下りの際のボトム値と、下部距離センサ142bのボトム値の検出タイミングの差である「時間」と移動速度とからL2を算出するほか、時間に対する距離L2の値のテーブルを移動ロボット1又は操作端末2のメモリ等に用意しておき、上述した時間に対応する移動距離“L2”をテーブルから抽出してもよい。
また、図10に示す検出点は、説明のために明示したものであって、実際の測定間隔は、適宜設定することができる。
また、例えば、下部距離センサ142a,142bを移動ロボットの前端部寄りの所定位置に搭載した場合であっても、上述したものと同様の考え方に基づいて、基底部4から上面3cへの変化で最初に検出されるエッジ部(この場合には第1のエッジ部)を検出することができ、更には進入角度を検出することができる。
(方向検出処理の概略処理フロー例)
次に、移動ロボットにおける方向検出処理フローについて説明する。
図12は、移動ロボットにおける方向検出処理フロー例を示すフローチャートである。
ステップS101において、移動ロボット1が、座標軸X(X軸)と平行になる初期姿勢で床下に投入される。詳細には、移動ロボット1は、移動ロボット1の前後軸方向が、ある区画の壁面に対して平行であると目視で確認された方向に向けて設置される。
ステップS102において、補正角度算出部105は、移動ロボット1の回動角γ’を“0”に初期化する。
ステップS103において、段差検出部106は、移動ロボット1が段差部(ここでは、束基礎3)を通過中であるかを判定する。移動ロボット1が束基礎3を通過した場合には、ステップS104の処理に進む。一方、移動ロボット1が束基礎3を通過していない場合には、ステップS105の処理に進む。
ステップS104において、角度算出部109は、束基礎3に対する移動ロボット1の離脱角度αを算出する(図7,図10,図11を参照)。補正角度算出部105は、累積誤差が±45°未満であることを仮定して、この束基礎3を軸Xに平行な束基礎3とし、この束基礎3に対する移動ロボット1の前後軸の角度(つまり、90°−α)を移動ロボットの向いている方向(すなわち、正確な回動角)γとする。
ステップS105においては、積算型センサは、角速度センサ141が検出した角速度情報を積分して、移動ロボット1の回動角γ’を算出する。
(方向検出処理)
次に、移動ロボット1における方向検出処理について詳細に説明する。図13は、移動ロボット1における方向検出処理の一例を示すフローチャートである。なお、図13は、移動ロボット1が束基礎3を降りるときに、段差検出部106で検出される束基礎3に関する情報を用いて、移動ロボット1の正確な回動角γを算出する場合である。
ステップS201において、制御部100は、下部距離センサ142a,142bをオンにし、計測を開始する。続いて、ステップS202において、制御部100は、束基礎3の登りはじめを検出したか否か判定する。具体的に、制御部100の段差昇降検出部108は、傾斜センサ144によって検出される移動ロボット1のチルト角が所定角よりも上向きを検出したか否かを判定する。
所定角よりも上向きであったとき、段差昇降検出部108は、束基礎3の登りはじめを検出したと判定し、ステップS203において、回動角算出部104における回動角の算出処理を一時的に停止する。
続いて、制御部100は、ステップS204において、束基礎3の降りはじめを検出したか否か判定する。具体的に、制御部100の段差昇降検出部108は、傾斜センサ144によって検出される移動ロボット1のチルト角が所定角よりも下向きを検出したか否かを判定する。すなわち、移動ロボット1が前傾している状態か否かを判定する。
制御部100は、ステップS205において、移動ロボット1のチルト角が所定角よりも下向きの状態で(ステップS204:yes)、且つ下部距離センサ142a,142bの計測結果がともに所定値以下であるか否かを判定する。ここで、下部距離センサ142a,142bの計測結果がともに所定値以下になるときの移動ロボット1の状態とは、図10に示す状態C3において、下部距離センサ142が、遙か後方の基底部4を検出した状態から、前進し、移動ロボット1のクローラ12の前端部が基底部4に接触した状態で、下部距離センサ142が上面cを検知する(図10、検出点P1)し、更に、状態Cの図9(c)に示す点線の姿勢に差し掛かる状態であることを意味する。
次に、制御部100は、ステップS206において、下部距離センサ142a,142bの計測結果がともに閾値(Dth=50mm)以上であるか否かを判定する。閾値を超えたとき、ステップS207において、段差検出部106は、移動ロボット1が段差を通過したと判断する。
続いて、ステップS208において、制御部100の角度算出部107は、束基礎3に対する移動ロボット1の離脱角度αを算出する。離脱角度αの算出処理は、図10及び図11を用いて説明した処理に従う。
ステップS209において、補正角度算出部105は、ステップS208で算出された離脱角度αと、検出された段差部に関する情報とに基づいて、移動ロボットの向いている方向を検出し、検出した方向を用いて移動ロボット1の回動角γ’を補正する。具体的には、補正角度算出部105は、累積誤差が±45°未満であるとしたうえで、回動角が45°以上135°以下の範囲であれば、検出された段差部の延びる方向の向きが軸Xと平行である束基礎3であると決める(図7を参照)。補正角度算出部105は、この束基礎3の延びる方向の向きに対する移動ロボット1の前後軸の角度(つまり、90°−α)を補正後の回動角γとする。誤差補正部107は、補正後の回動角γを方向情報記憶部151に記憶する。すなわち、方向情報記憶部151に記憶された誤差を含む回動角γ’を新たに算出された回動角γに更新する。
また、制御部100は、ステップS210において、回動角算出部104における回動角の算出処理を再開する。
(作用・効果)
以上詳細に説明したように、本実施形態によれば、移動ロボット1は、積算型センサによって算出された累積誤差を含む回動角を、補正角度算出部105によって検出された移動ロボット1の向いている方向と、段差検出部106により検出された段差部に関する情報とを用いて補正することができる。これにより、GPS、方位磁針等を用いた正確な位置検出が行えない環境であっても、移動ロボット1の向いている方向を正確に計測することができる。
[第1変形例]
(移動ロボットの機能構成例)
上述した実施形態では、角度算出部107において、移動ロボット1が段差部から離脱するときの離脱角度を検出することにより、移動ロボット1の向いている正しい方向を検出する手法について説明した。本発明の実施形態の第1変形例では、段差部に対する移動ロボット1の姿勢を補正することにより、移動ロボット1の方向を検出する。図14に、第1変形例の移動ロボット1の構成を説明する機能ブロック図を示す。図面において、上述の実施形態と同一の作用効果を有する構成については、同一の番号を付け、詳細な説明は省略する。
第1変形例として示す移動ロボット1は、制御部100に、下部距離センサ142の計測結果を比較し、計測結果に応じて移動機構120を制御する移動機構120を制御する信号を生成する動作制御部110を備えることを特徴とする。
動作制御部110は、段差検出部106で通過したことが検出された第1のエッジ部3d又は第2のエッジ部3eのうちの何れか一方のエッジ部の延びる方向の向きに対する移動ロボット1の進行方向を用いて、一方のエッジ部の延びる方向の向きに直交する方向に移動ロボット1を進行させる制御を行う。具体的に、段差検出部106が下部距離センサ142a,142bのうち一方の距離センサの計測結果と所定の閾値とを比較した結果から、計測対象が基底部4から第1のエッジ部3dを経て上面3cへ変化したことを検出したとき、すなわち、移動ロボット1が束基礎3を乗り越えようとしていること(束基礎3を登っている状態)を検出したとき、動作制御部110は、移動ロボット1を移動ロボット1のヨー角方向に回動動作させて、その後、他方の距離センサの計測結果と所定の閾値とを比較した結果から、計測対象が基底部4から第1のエッジ部3dを経て上面3cへ変化したことを検出したとき、回動動作を停止させる。動作制御部110は、前後微移動、超信地旋回等の移動コマンドを生成し、移動機構120に送る。
また、段差検出部106が下部距離センサ142a,142bのうち一方の距離センサの計測結果と所定の閾値とを比較した結果から、計測対象が上面3cから第2のエッジ部3dを経て基底部4へ変化したことを検出したとき、すなわち、移動ロボット1が束基礎3を乗り越えて離脱しようとしていること(束基礎3を降りている状態)を検出したとき、動作制御部110は、移動ロボット1を移動ロボット1のヨー角方向に回動動作させて、その後、他方の距離センサの計測結果と所定の閾値とを比較した結果から、計測対象が上面3cから第2のエッジ部3dを経て基底部4へ変化したことを検出したとき、回動動作を停止させる。
(姿勢補正)
次に、第1変形例にかかる移動ロボット1による通過検出動作及び姿勢補正について、図15及び図16を用いて説明する。
図15(a)乃至図15(d)は、移動ロボット1が束基礎3を乗り越える際の、下部距離センサ142a,142bの測定距離を説明する図である。各図には、束基礎の延びる方向の向きに対する直交方向からみた図と、そのとき上方からみた平面図が対応して示されている。以下においては、移動ロボット1の腹部後左側に設けられるセンサが下部距離センサ142aであり、移動ロボット1の腹部後右側に設けられるセンサが下部距離センサ142bである。
第1変形例では、移動ロボット1が束基礎3を完全に通過する状態D(図15(d)に示す)になる前に、下部距離センサ142a,142bの計測結果を監視しながら、状態C(図15(c))において、動作制御部110により移動ロボット1の向きを補正する。状態Cにおいて、下部距離センサ142aと下部距離センサ142bの距離計測結果が、例えば、所定の値(Dm(=Dth))になるような姿勢である。ここで、Dmは、下部距離センサ142a,142bによって検出される計測結果の最大値であってもよい。このとき、移動ロボット1が図15に示すように束基礎3を乗り越えるときの下部距離センサ142aの距離計測結果、下部距離センサ142bの距離計測結果の挙動を図16に示す。図16におけるLa,Lb,Ra,Rbは、束基礎3に対する移動ロボット1の位置(図11参照)に対応している。
移動ロボット1が束基礎3の上を移動する動作において、基底部4から上面3cへの移動か、又は上面3cから基底部4への移動かを検出するために、距離計測値には、閾値が決められている。計測結果を閾値と比較することにより、計測対象が基底部4から第1のエッジ部3dを経て上面3cへ変化したこと、すなわち、移動ロボット1が束基礎3を乗り越えようとしていること(束基礎3を登っている状態)と、計測対象が上面3cから第2のエッジ部3eを経て基底部4へ変化したこと、すなわち、移動ロボット1が束基礎3を乗り越えて離脱しようとしていること(束基礎3を降りている状態)とを検出することができる。閾値は、段差の床下地面からの高さに応じて決定される値である。閾値を変えることにより、床下地面上に存在するどの障害物を通過しているかを検知することもできる。本実施形態では、束基礎3の高さに対して、閾値Dth(=50mm)を定める。
移動ロボット1が束基礎3を登り始める状態A(図15(a)に示す)では、移動ロボット1の腹面と床面との間隔が開くので、計測距離が長くなる。このとき、図8に示すように移動ロボット1が束基礎3に対して進入角度θで進入しているとすると、下部距離センサ142aと下部距離センサ142bの計測結果には、距離の測定結果の立ち上がり等に差が生じる。図16では、横軸を移動ロボット1の位置遷移(下部距離センサ142a,142bの位置遷移)としている。したがって、移動ロボット1が束基礎3を乗り越えるときの移動ロボット1と束基礎3の位置関係に応じてセンサ計測結果に差が生じる。
移動ロボット1の下に束基礎3が位置している状態としては、具体的には、状態Aと状態Bの中間状態である、状態B1,B2,B3がある(図16参照)。状態B1では、移動ロボット1は、上面cを走行しながら基底部4を検知する。状態B2では、移動ロボット1は、上面cを走行しながら上面cを検知する。状態B3は、移動ロボット1のクローラ12の前端部が基底部4に接触した状態である。状態B3では、下部距離センサ142は、遙か後方の基底部4を検出するため、計測距離が最大になる。この場合には、検出範囲外を示す。更に移動ロボット1が前進すると、移動ロボット1のクローラ12の前端部が基底部4に接触した状態で、下部距離センサ142が上面cを検知する(図16では、検出点Q1がこれに該当する)。
状態B(図15(b)に示す)の姿勢に差し掛かるにつれて、下部距離センサ142による上面cの計測距離は、徐々に短くなる。距離が最短になったところを第2のエッジ部近傍であるとみなすことができる(図16の検出点Q2)。そして、図15(c)に示す姿勢に差し掛かるにつれて、下部距離センサ142bは、上面cから側面(ここでは、側面3b)を検出し、やがて側面3bから基底部4を検出するので、計測距離が再び閾値を超える(検出点Q3)。この過程で、図11に示すLa,Ra,Lb,Rbが検出される。
その後、移動ロボット1の腹面と床面(束基礎3の上面3c)との間隔が再び縮まるので、計測距離が短くなる。移動ロボット1が束基礎を完全に通過した図15(d)に示す状態では、下部距離センサ142a,142bの計測結果は、ともに初期値とほぼ同じ値を示す。
したがって、移動ロボット1が進入角度θで束基礎3を乗り越える場合には、通過検出動作時においては、下部距離センサ142aは、図16上段に示す挙動になる。また、下部距離センサ142bの距離計測結果は、進入角度θに応じて移相がずれた、図16下段に示す挙動になる。両者の計測結果から、移動ロボット1と移動ロボット1の下にある束基礎3の上面3cの存在情報(上面が存在するかしないか)を検出することができる。すなわち、図16に示す計測結果から、移動ロボット1が基底部4から束基礎3の上面3cへ移動(束基礎3を登ること)し、上面3cから基底部4へ戻る(束基礎3から降りること)という、移動ロボット1が束基礎3を通過する動作を検出できる。
なお、図16を用いて説明した、下部距離センサ142a、142bによる一連の距離検出では、検出点Q2から検出点Q3に至る変化に類似する挙動が3回現れる。したがって、後述する移動ロボット1の向きを補正する処理に必要な、所望とする検出点であることを特定するために、例えば、初期値近傍の値から閾値を超えた回数をカウントする、或いは移動ロボット1の傾斜角(チルト角)を測定するなどしてもよい。これにより、束基礎3の延びる方向の向きに対する移動ロボット1の前後軸の向きを制御する処理を正確なタイミングで実行することができる。本実施形態では、移動ロボット1に搭載された傾斜センサ144を使用している。また、閾値を超える毎に、移動ロボット1の向きを補正する処理を実行してもよい。
第1変形例では、下部距離センサ142bがRbを検出したとき、動作制御部110は、第2のエッジ部3eの延びる方向の向きに直交する方向に移動ロボット1を進行させる制御を行う。具体的に、図11,図16では、下部距離センサ142bの計測結果と所定の閾値とを比較した結果から、計測対象が上面3cから第2のエッジ部3eを経て基底部4へ変化したとき、すなわち、移動ロボット1が束基礎3を降りている状態を検出したとき、動作制御部110は、下部距離センサ142aが同じエッジ部を検出するように、移動ロボット1を移動ロボット1のヨー角方向に回動動作させる。このとき、動作制御部110は、前後微移動、超信地旋回等の移動コマンドを生成し、移動機構120に送る。
(方向検出処理の概略処理フロー例)
次に、移動ロボットにおける方向検出処理フローについて説明する。図17は、移動ロボットにおける方向検出処理フロー例を示すフローチャートである。
ステップS301において、移動ロボット1が、座標軸X(X軸)と平行になる初期姿勢で床下に投入される。詳細には、移動ロボット1は、移動ロボット1の前後軸方向が、ある区画の壁面に対して平行であると目視で確認された方向に向けて設置される。
ステップS302において、補正角度算出部105は、移動ロボット1の回動角γ’を“0”に初期化する。
ステップS303において、段差検出部106は、移動ロボット1が段差部(ここでは、束基礎3)を通過中であるかを判定する。移動ロボット1が束基礎3を通過しているときには、ステップS304の処理に進む。一方、移動ロボット1が束基礎3を通過していない場合には、ステップS305の処理に進む。
ステップS304において、動作制御部110は、下部距離センサ142a,142bのうち一方の距離センサの計測結果と所定の閾値とを比較した結果から、計測対象が基底部4から第1のエッジ部3dを経て上面3cへ変化したことを検出したとき、すなわち、移動ロボット1が束基礎3を乗り越えようとしていること(束基礎3を登っている状態)を検出したとき、動作制御部110は、移動ロボット1を移動ロボット1のヨー角方向に回動動作させる。その後、他方の距離センサの計測結果と所定の閾値とを比較した結果から、他方の距離センサの計測対象が基底部4から第1のエッジ部3dを経て上面3cへ変化したことを検出したとき、回動動作を停止させる。
または、下部距離センサ142a,142bのうち一方の距離センサの計測結果と所定の閾値とを比較した結果から、計測対象が上面3cから第2のエッジ部3dを経て基底部4へ変化したことを検出したとき、すなわち、移動ロボット1が束基礎3を乗り越えて離脱しようとしていること(束基礎3を降りている状態)を検出したとき、動作制御部110は、移動ロボット1を移動ロボット1のヨー角方向に回動動作させる。その後、他方の距離センサの計測結果と所定の閾値とを比較した結果から、他方の距離センサの計測対象が上面3cから第2のエッジ部3dを経て基底部4へ変化したことを検出したとき、回動動作を停止させる。
そして、ステップS306において、補正角度算出部105は、現在の回動角γ’を束基礎3の延びる方向の向きに対する直交方向に補正する。すなわち、束基礎3に対する移動ロボット1の前後軸の角度(この場合、+90°)を移動ロボットの向いている方向(すなわち、正確な回動角)γとする。
ステップS305においては、積算型センサは、角速度センサ141で検出された角速度情報を積分して、移動ロボット1の回動角γ’を算出する。
(方向検出処理)
次に、移動ロボット1における方向検出処理について説明する。図18は、移動ロボット1における方向検出処理の一例を示すフローチャートである。なお、図18は、移動ロボット1が束基礎3を降りるときに、移動ロボット1の正確な回動角γを算出する場合である。
ステップS401において、制御部100は、下部距離センサ142a,142bをオンにし、計測を開始する。続いて、ステップS402において、制御部100は、束基礎3の登りはじめを検出したか否か判定する。具体的に、制御部100の段差昇降検出部108は、傾斜センサ144によって検出される移動ロボット1のチルト角が所定角よりも上向きを検出したか否かを判定する。
所定角よりも上向きであったとき、段差昇降検出部108は、束基礎3の登りはじめを検出したと判定し、ステップS403において、回動角算出部104における回動角の算出処理を一時的に停止する。
続いて、制御部100は、ステップS404において、束基礎3の降りはじめを検出したか否か判定する。具体的に、制御部100の段差昇降検出部108は、傾斜センサ144によって検出される移動ロボット1のチルト角が所定角よりも下向きを検出したか否かを判定する。すなわち、移動ロボット1が前傾している状態か否かを判定する。
制御部100は、ステップS405において、移動ロボット1のチルト角が所定角よりも下向きの状態で(ステップS404:yes)、且つ下部距離センサ142a,142bの計測結果がともに所定値以下であるか否かを判定する。ここで、下部距離センサ142a,142bの計測結果がともに所定値以下になるときの移動ロボット1の状態とは、図106示す状態B3において、下部距離センサ142が、遙か後方の基底部4を検出した状態から、前進し、移動ロボット1のクローラ12の前端部が基底部4に接触した状態で、下部距離センサ142が上面cを検知する(図16、検出点Q1)し、更に、状態Cの図9(c)に示す点線の姿勢に差し掛かる状態であることを意味する。
次に、制御部100は、ステップS406において、下部距離センサ142a,142bの計測結果がともに閾値(Dth=50mm)以上であるか否かを判定する。閾値を超えたとき、ステップS407において、段差検出部106は、移動ロボット1が段差を通過したと判断する。
続いて、ステップS408において、動作制御部110は、移動機構120を動作させる制御コマンドを生成し、移動ロボット1を移動ロボット1のヨー角方向に回動動作させる。その後、動作制御部110は、下部距離センサ142bが下部距離センサ142aによって検出された計測対象と同じエッジ部(第2のエッジ部3e)を検出したとき、すなわち、下部距離センサ142a,142bにおいて、所定の検出距離を検出したとき(例えば、Dm)、回動動作を停止させる。このとき、移動ロボット1の前後軸は、束基礎3の延びる方向の向きに対して略90°である。
ステップS409において、補正角度算出部105は、移動ロボット1の前後軸が束基礎の延びる方向の向きに対して略90°であるという情報を用いて回動角γ’を補正する。図7を用いて説明した例では、補正角度算出部105は、この束基礎3の延びる方向の向きに対する移動ロボット1の前後軸の角度(つまり、+90°(図7,Y軸方向)になる)を補正後の回動角γとする。誤差補正部107は、補正後の回動角γを方向情報記憶部151に記憶する。すなわち、方向情報記憶部151に記憶された誤差を含む回動角γ’を新たに算出された回動角γ(+90°)に更新する。
また、制御部100は、ステップS410において、回動角算出部104における回動角の算出処理を再開する。
(作用・効果)
以上詳細に説明したように、本実施形態によれば、移動ロボット1が段差部から離脱するときの移動ロボット1の姿勢が段差部に対して90°となるように姿勢補正するとともに移動ロボット1の回動角を補正することにより、積算型センサによって算出された累積誤差を含む回動角を補正することができる。また、第1変形例では、動作制御部110は、下部距離センサ142a,142bのうち一方の距離センサの計測結果と所定の閾値とを比較した結果から、計測対象が基底部4から第1のエッジ部3dを経て上面3cへ変化したことを検出したとき、又は下部距離センサ142a,142bのうち一方の距離センサの計測結果と所定の閾値とを比較した結果から、計測対象が上面3cから第2のエッジ部3eを経て基底部4へ変化したことを検出したとき、移動ロボット1を移動ロボット1のヨー角方向に回動動作させる。その後、他方の距離センサの計測結果と所定の閾値とを比較した結果から、他方の距離センサにおいて一方の距離センサの計測対象と同じエッジ部を検出するまで移動ロボット1の姿勢を補正し、補正後の進行方向とエッジ部の延びる方向の向きとを用いて回動角に含まれる累積誤差を補正するので、上述した実施形態に比べて、補正処理にかかる演算量が少なくて済むという利点がある。これにより、GPS、方位磁針等を用いた正確な位置検出が行えない環境においても、移動ロボットの向いている方向を高精度に検出することができる。
なお、この第1変形例は、上述した実施形態とを組み合わせて適用することもできる。すなわち、段差検出部106の角度算出部109において、第2のエッジ部3eの延びる方向の向きに直交する方向と移動ロボット1の進行方向とのなす角度(離脱角度α)を算出し、算出された角度を用いて、積算型センサによって算出される回動角に含まれる累積誤差を補正した上で、更に、第2のエッジ部の延びる方向の向きに直交する方向に移動ロボット1を進行させる制御を行うこともできる。
[下部距離センサ142a,142bの取付位置]
上述した実施形態及び第1変形例では、下部距離センサ142a,142bは、移動ロボットの後端部寄りに設置されており、距離検出方向が移動ロボット1を水平面に設置したとき、鉛直下方向に向けられている場合について説明したが、下部距離センサ142a,142bは、距離検出方向が移動ロボット1を水平面に設置したときの鉛直下方向に対して、移動ロボット1の前又は後方向(すなわち、前後軸に沿う方向)に所定角度を有して配置されているとよい。
図19は、下部距離センサ142a,142bの距離検出方向の違いによる計測距離の違いを、移動ロボット1が束基礎3を降りる際に着目して説明する図である。図19(a)は、下部距離センサ142a,142bの距離検出方向が鉛直下方向に向けられている場合の計測距離を説明する模式図である。図19(b)は、下部距離センサ142a,142bの距離検出方向が鉛直下方向に対して、移動ロボット1の向いている方向に所定角度を有して配置されている場合の計測距離を説明する模式図である。図における矢印の向きが距離検出方向を示している。
図20は、下部距離センサ142a,142bの距離検出方向の違いによる計測結果の違いを説明する模式図である。図において破線は、下部距離センサ142a,142bの距離検出方向が鉛直下方向に向けられている場合(図19(a))の計測距離の変動を示し、図10上段に示す図と同一である。実線は、鉛直下方向に対して移動ロボット1の向いている方向に所定角度を有して配置されている場合(図19(b))の計測距離の変動を示す。
図示するように、下部距離センサ142a,142bの距離検出方向が鉛直下方向に対して移動ロボット1の向いている方向に所定角度を有して配置された例では、移動ロボット1が束基礎3を降りる際に、図10を用いて説明した、検出点P2と検出点P3との計測距離の変化が、より急峻に検出される。図10に示す検出点P2,P3は、図20に示す検出点T2,T3に相当する。したがって、下部距離センサ142a,142bの距離検出方向が鉛直下方向に対して移動ロボット1の向いている方向に所定角度を有して配置された例では、図20に示すように、第2のエッジ部3eの検出精度が向上する。
束基礎3の延びる方向の向きに直交する断面形状は、矩形であるとは限らない。また、束基礎3の上面3cの形状は、劣化やゴミ等の堆積により、実際には必ずしも平面であるとは限らない。下部距離センサ142a,142bの距離検出方向を鉛直下方向に対して移動ロボット1の向いている方向に所定角度を付けて配置することによって、束基礎の上面3cが、例えば、湾曲している場合、或いは、側面3aと上面3cが隣接する部分である第1のエッジ部3d(又は側面3bと上面3cが隣接する部分である第2のエッジ部3e)の存在が明確でない場合であっても、床下地面の変化を精度よく検出することができる。
[第2変形例]
上述した実施形態においては、移動ロボット1自身が、自己の方向を検出する構成について説明した。本発明の実施形態の第2変形例として、移動ロボット1ではなく、操作端末2側で、移動ロボット1の方向を検出する構成について説明する。
本変形例にかかる操作端末2は、図20に示すように、入力部21と、表示部22と、方向情報記憶部23と、制御部200と、無線通信部24とを備える。
入力部21は、例えばキーボード又はマウス等により構成され、ユーザ入力を受け付ける。無線通信部24は、例えば無線LAN又はブルートゥース等の近距離無線通信方式に準拠した構成を有し、移動ロボット1側の無線通信部161と無線通信を実行する。表示部22は、撮像データやセンサ情報などを表示する。
制御部200は、通信制御部201と、コマンド制御部202と、表示制御部203と、補正角度算出部204と、段差検出部205と、誤差補正部206と、角度算出部207とを備える。
通信制御部201は、無線通信部24を用いて移動ロボット1と通信を行う。コマンド制御部202は、入力部21が受け付けたユーザ入力に応じて、移動ロボット1に送信するコマンドを制御する。表示制御部203は、無線通信部24が移動ロボット1から受信したデータ、例えば撮像データ及びセンサ情報を表示部22上に表示させる。
段差検出部205は、移動ロボット1から受信した、床下地面上にある段差部を検出する検出部であり、本実施形態では、束基礎3を検出する。段差検出部205は、下部距離センサ142aによる第1距離計測結果と、下部距離センサ142bによる第2距離計測結果とに基づき、束基礎3に関する情報を検出する。具体的には、段差検出部205は、移動ロボット1が図3に示す束基礎3を左から右へと移動する場合には、束基礎3を登るときに、下部距離センサ142a,142bの検出結果に基づき、束基礎3の側面3aと上面3cが隣接する部分である第1のエッジ部3dの延びる方向の向きに対する移動ロボット1の進行方向を検出する。また、束基礎3を降りるときに、下部距離センサ142a,142bの検出結果に基づき、側面3bと上面3cが隣接する部分である第2のエッジ部3eの延びる方向の向きに対する移動ロボット1の進行方向を検出する。または、下部距離センサ142a,142bの検出結果に基づき、上面3cの存在情報(上面が存在するかしないか)を検出する。
また、段差検出部205は、移動ロボット1から受信した、下部距離センサ142a,142bによる計測結果を所定の閾値とを比較することにより、計測対象が基底部4から第1のエッジ部3dを経て上面3cへ変化したことを検出する。すなわち、移動ロボット1が束基礎3を乗り越えようとしていること(束基礎3を登っている状態)を検出することができる。または、段差検出部205は、計測対象が上面3cから第2のエッジ部3eを経て基底部4へ変化したことを検出する。すなわち、移動ロボット1が束基礎3を乗り越えて、離脱しようとしていること(束基礎3を降りている状態)を検出することができる。
また、段差検出部205は、角度算出部207を有する。角度算出部207は、下部距離センサ142a又は下部距離センサ142bの何れか一方の距離センサの計測結果と所定の閾値とを比較した結果から、計測対象が束基礎3の上面3cから第2のエッジ部3eを経て基底部4へ変化したときから、他方の距離センサの計測結果と所定の閾値とを比較した結果から、計測対象が上面3cから第2のエッジ部3eを経て基底部4へ変化するまでに、移動ロボット1が移動した距離から、第2のエッジ部3eの延びる方向の向きと移動ロボット1の進行方向とのなす角度を算出する。または、第2のエッジ部3eの延びる方向の向きに直交する方向と移動ロボット1の進行方向とのなす角度(後述する「離脱角度α」に相当)を算出する。
補正角度算出部204は、段差検出部205によって検出された第1のエッジ部3dの延びる方向の向き、又は第1のエッジ部3dの延びる方向の向きに対する移動ロボット1の進行方向、又は第2のエッジ部3eの延びる方向の向き、又は第2のエッジ部3eの延びる方向の向きに対する移動ロボット1の進行方向、又は上面3cの存在情報(上面が存在するかしないか)に基づき、床下地面上において移動ロボット1の向いている方向を検出する。具体的には、補正角度算出部204は、移動ロボット1が束基礎3を乗り越えるタイミングで、段差検出部205によって検出された第2のエッジ部3eの延びる方向の向きに直交する方向と移動ロボット1の進行方向とのなす角度(離脱角度α)を用いて、移動ロボット1の正確な回動角γを算出する。誤差補正部206は、方向情報記憶部23に記憶された誤差を含む回動角γ’を新たに算出された回動角γに更新する。
(作用・効果)
以上説明したように、第2変形例によれば、移動ロボット1において積算型センサによって算出された累積誤差を含む回動角を、補正角度算出部204によって検出された移動ロボット1の向いている方向と、段差検出部205により検出された段差部に関する情報とを用いて補正することができる。これにより、GPS、方位磁針等を用いた正確な位置検出が行えない環境においても方位を正確に計測することができる。
[第3変形例]
移動ロボット1自身が、自己の方向を検出する構成の第1変形例に対応する構成を操作端末2に備えることにより、移動ロボット1の方向を補正する例について説明する。
本変形例にかかる操作端末2は、図21に示すように、入力部21と、表示部22と、方向情報記憶部23と、制御部200と、無線通信部24とを備えており、制御部200に、移動ロボット1から取得した下部距離センサ142の計測結果に応じて移動ロボット1の移動機構120を制御する信号を生成するロボット動作制御部208を備えることを特徴とする。
ロボット動作制御部208は、段差検出部205で検出された第1のエッジ部3d又は第2のエッジ部3eのうちの何れか一方のエッジ部の延びる方向の向きに対する移動ロボット1の進行方向を用いて、一方のエッジ部の延びる方向の向きに直交する方向に移動ロボット1を進行させる制御を行う。具体的に、段差検出部205が下部距離センサ142a,142bのうち一方の距離センサの計測結果と所定の閾値とを比較した結果から、計測対象が基底部4から第1のエッジ部3dを経て上面3cへ変化したことを検出したとき、すなわち、移動ロボット1が束基礎3を乗り越えようとしていること(束基礎3を登っている状態)を検出したとき、ロボット動作制御部208は、移動ロボット1を移動ロボット1のヨー角方向に回動動作させる。その後、他方の距離センサの計測結果と所定の閾値とを比較した結果から、他方の距離センサの計測対象が基底部4から第1のエッジ部3dを経て上面3cへ変化したことを検出したとき、回動動作を停止させる信号を生成し、移動ロボット1に送信する。
また、段差検出部205が下部距離センサ142a,142bのうち一方の距離センサの計測結果と所定の閾値とを比較した結果から、計測対象が上面3cから第2のエッジ部3dを経て基底部4へ変化したことを検出したとき、すなわち、移動ロボット1が束基礎3を乗り越えて離脱しようとしていること(束基礎3を降りている状態)を検出したとき、ロボット動作制御部208は、移動ロボット1を移動ロボット1のヨー角方向に回動動作させる。その後、他方の距離センサの計測結果と所定の閾値とを比較した結果から、他方の距離センサの計測対象が上面3cから第2のエッジ部3dを経て基底部4へ変化したことを検出したとき、回動動作を停止させる信号を生成し、移動ロボット1に送信する。
このように、ロボット動作制御部208は、両方の下部距離センサ142が同じエッジ部を検出するまで、前後微移動、超信地旋回等の移動コマンドを生成し、移動ロボット1の移動機構120に送る。補正角度検出部204は、両方の下部距離センサ142が同じエッジ部を検出したとき、移動ロボット1の前後軸が束基礎の延びる方向の向きに対して略90°であるとし、この情報を用いて回動角γ’を補正する。補正後の回動角γが方向情報記憶部23に記憶される。
(作用・効果)
以上詳細に説明したように、本実施形態によれば、移動ロボット1が段差部から離脱するときの移動ロボット1の姿勢が段差部に対して90°となるように姿勢補正するとともに移動ロボット1の回動角を補正することにより、積算型センサによって算出された累積誤差を含む回動角を補正することができる。また、第3変形例では、下部距離センサ142a,142bの両方が同じエッジ部を検出するまで移動ロボット1の姿勢を補正し、補正後の進行方向とエッジ部の延びる方向の向きとを用いて回動角に含まれる累積誤差を補正するので、上述した実施形態に比べて、補正処理にかかる演算量が少なくて済むという利点がある。これにより、GPS、方位磁針等を用いた正確な位置検出が行えない環境においても、移動ロボットの向いている方向を高精度に検出することができる。
[その他の実施形態]
上記のように、本発明は実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。
上述した実施形態では、積算型センサの一例としてジャイロセンサを挙げたが、これに限定されるものではない。例えば、積算型センサは、移動ロボット1に設けられた左右のクローラの回転数(又は、左右のクローラを駆動するモータの回転数)をデジタル値で検出するロータリエンコーダであってもよい。
更に、上述した実施形態では、床下地面Srと平行な平面視において床面が矩形であるとしたが、移動ロボットが移動可能な床面であれば、これに限定されるものではない。例えば、床下地面Srと平行な平面視において、各区画が、三角形、六角形などの形状であってもよい。
また、GPSを用いて正確な位置情報を取得することが困難な環境、或いは方位磁針も使用できない特殊な環境であっても、環境の状況(障害物の存在の有無、所定の障害物の座標など)が既知の場合がある。例えば、本実施形態で説明した床下環境の場合には、基礎伏図と呼ばれる図面から、基礎における開口部の位置、束基礎の敷設方向等を予め知ることもできる。束基礎の延びる方向の向きなどの情報が判っている場合には、移動ロボット1が誤差を補正するときに、例えば、乗り越えた束基礎の延びる方向の向きを、外部から取得する或いは移動ロボット1のオペレータが入力するなどしてもよい。
上述した実施形態では、図3に示すように、束基礎3の断面が略矩形状であって、基底部4と側面3aとのなす所定角度と、基底部4と側面3bとのなす所定角度とがともに90°の場合について、段差検出部106が、下部距離センサ142a,142bによる計測結果を所定の閾値とを比較し、計測対象が基底部4から第1のエッジ部3dを経て上面3cへ変化したこと、又は計測対象が上面3cから第2のエッジ部3eを経て基底部4へ変化したことを検出することにより、移動ロボット1が束基礎3を登っているか、束基礎を降りているか、また移動ロボット1の下に上面3cがあるかないかを検出していると説明した。
ここで、段差部の形状は、矩形状に限定されない。例えば、断面が台形であってもよい。段差部の断面が台形の場合には、段差検出部106が移動ロボット1が束基礎3を乗り越えようとしていること(束基礎3を登っている状態)を検出するときには、移動ロボット1の移動距離と下部距離センサ142による計測結果とから、側面3aの傾斜角を計測することができる。また、同様に、移動ロボット1が束基礎3を乗り越えて離脱しようとしていること(束基礎3を降りている状態)を検出するときには、移動ロボット1の移動距離と下部距離センサ142による計測結果とから、側面3bの傾斜角を計測することができる。
上述した実施形態では、下部距離センサ142a,142bを移動ロボット1の後端部寄りに設置しているが、前端部寄りに設置してもよい。この場合、図19、図20を用いて説明した理由から、距離検出方向は、移動ロボット1を水平面に設置したときの鉛直下方向に対して、移動ロボット1の向いている方向と反対方向(進行方向と逆)に所定角度を有して配置されているとよい。
また、床下には、束を固定するための束基礎が存在しない場合がある。積算型センサの誤差を補正する基準となる段差部がない場合に備えて、壁と、移動ロボット1との位置関係から回動角に含まれる累積誤差を補正する構成を備えていてもよい。この場合には、図5などには図示しない、移動ロボット1の側面方向にある障害物との距離を測定するための距離センサや、前方の障害物を監視する前方障害物センサの計測結果を使用する。但し、床面上にある障害物を誤検出する可能性が高く操作者の了解の後に累積誤差を補正することが望ましい。
このように本発明は、ここでは記載していない様々な実施形態などを包含するということを理解すべきである。したがって、本発明はこの開示から妥当な特許請求の範囲の発明特定事項によってのみ限定されるものである。
本発明の実施形態にかかる遠隔操作システムの全体構成図である。 本発明の実施形態にかかる移動ロボットが点検する床下の環境の一例を示す図である。 束基礎周囲の床下地面を説明する断面図である。 図4(a)は移動ロボットの側面視を示す図であり、図4(b)は移動ロボットの上面視を示す図であり、図4(c)は移動ロボットの正面視を示す図である。 本発明の実施形態にかかる移動ロボットの機能構成例を示す機能ブロック図である。 本発明の実施形態にかかる移動ロボットが向いている方向を説明するための図である。 本発明の実施形態にかかる移動ロボットによる方向検出動作を説明するための図である。 本発明の実施形態にかかる移動ロボットが束基礎を乗り越える前の様子を示す図である。 図9(a)乃至図9(d)は、移動ロボット1が束基礎を乗り越える際の、下部距離センサの検出距離を説明する図である。 本発明の実施形態にかかる移動ロボットが束基礎を乗り越えるときの下部距離センサの距離計測結果を説明する図である。 本発明の実施形態にかかる移動ロボットが束基礎を通過した後の様子を説明する図である。 本発明の実施形態の移動ロボットにおける方向検出処理の一例を説明するフローチャートである。 本発明の実施形態の移動ロボットにおける方向検出処理の一例を説明するフローチャートである。 本発明の第1変形例の移動ロボットの構成を説明する機能ブロック図である。 図15(a)乃至図15(d)は、移動ロボット1が束基礎を乗り越える際の、下部距離センサの検出距離を説明する図である。 本発明の実施形態にかかる移動ロボットが束基礎を乗り越えるとき下部距離センサの距離計測結果を説明する図である。 本発明の実施形態の第1変形例の移動ロボットにおける方向検出処理の一例を説明するフローチャートである。 本発明の実施形態の第1変形例の移動ロボットにおける方向検出処理の一例を説明するフローチャートである。 図19(a)は、本発明の実施形態の移動ロボットにおける下部距離センサの距離検出方向が鉛直下方向に向けられている場合の計測距離を説明する模式図であり、図19(b)は、下部距離センサの距離検出方向が鉛直下方向に対して所定角度を有して配置されている場合の計測距離を説明する模式図である。 下部距離センサの距離検出方向の違いによる計測結果の違いを説明する模式図である。 本発明の第2変形例の移動ロボットの構成を説明する機能ブロック図である。 本発明の第3変形例の移動ロボットの構成を説明する機能ブロック図である。
符号の説明
1…移動ロボット、2…操作端末、11a…前輪、11b…後輪、12…クローラ、12l…左クローラ、12r…右クローラ、13…撮像ユニット、14…センサ、21…入力部、22…表示部、23…方向情報記憶部、24…無線通信部、100…制御部、101…撮像制御部、102…移動制御部、103…通信制御部、104…回動角算出部、105…補正角度算出部、106…段差検出部、107…誤差補正部、108…段差昇降検出部、109…角度算出部、110…動作制御部、120…移動機構、121…モータ、131…カメラ、132…チルト機構、133…パン機構、134…ズーム機構、135…フォーカス機構、136…照明装置、141…角速度センサ、142a…下部距離センサ、142b…下部距離センサ、143…移動距離センサ、144…傾斜センサ、151…方向情報記憶部、161…無線通信部、200…制御部、201…通信制御部、202…コマンド制御部、203…表示制御部、204…補正角度算出部、205…段差検出部、206…誤差補正部、207…角度算出部、208…ロボット動作制御部

Claims (7)

  1. 基底部と前記基底部から突出した段差部とを含む床面上を移動する移動ロボットであって、
    前記段差部は、所定の長さを有し、前記基底部と所定角度を有して前記基底部に連なって隣接する側面と、前記側面の上端辺に連なって隣接する上面と、前記側面と前記上面が隣接する部分であるエッジ部とを有し、
    前記移動ロボットは、
    前記床面上における前記移動ロボットのヨー角方向の回動角を算出する積算型センサと、
    前記移動ロボットが前記段差部の上を移動するとき、前記エッジ部の延びる方向の向きに対する前記移動ロボットの進行方向、又は前記上面の存在情報を検出する段差検出部と、
    前記段差検出部によって検出された前記エッジ部の延びる方向の向きに対する前記移動ロボットの進行方向、又は前記上面の存在情報に基づき、前記床面上において前記移動ロボットの向いている方向を検出する補正角度算出部とを備え、
    前記積算型センサは、前記補正角度算出部において検出された前記移動ロボットの向いている方向を用いて前記回動角に含まれる累積誤差を補正する誤差補正部を備えることを特徴とする移動ロボット。
  2. 前記移動ロボットと前記床面との距離を計測する距離センサを備え、
    前記段差検出部は、前記距離センサによる計測結果と所定の閾値とを比較した結果から、計測対象が前記基底部から前記上面へ変化したこと、又は計測対象が前記上面から前記基底部へ変化したことを検出することを特徴とする請求項1に記載の移動ロボット。
  3. 前記移動ロボットと前記床面との距離を計測する第1距離センサと第2距離センサを備え、
    前記段差検出部は、
    前記移動ロボットが前記段差部の上を移動するとき、前記エッジ部の延びる方向の向きに対する前記移動ロボットの進行方向とのなす角度、若しくは前記エッジ部の延びる方向の向きに直交する方向と前記移動ロボットの進行方向とのなす角度を算出する角度算出部を有し、
    前記角度算出部は、
    前記第1距離センサ又は第2距離センサの何れか一方の距離センサの計測結果と前記所定の閾値とを比較した結果から、計測対象が前記基底部から前記上面へ変化したときから、前記他方の距離センサの計測結果と前記所定の閾値とを比較した結果から、計測対象が前記基底部から前記上面へ変化するまでに、前記移動ロボットが移動した距離から、前記床面において前記一方の距離センサによって検出されたエッジ部の延びる方向の向きと前記移動ロボットの進行方向とのなす角度、又は、前記床面において前記一方の距離センサによって検出されたエッジ部の延びる方向の向きに直交する方向と前記移動ロボットの進行方向とのなす角度を算出する、
    或いは前記第1距離センサ又は第2距離センサの何れか一方の距離センサの計測結果と前記所定の閾値とを比較した結果から、計測対象が前記上面から前記基底部へ変化したときから、前記他方の距離センサの計測結果と前記所定の閾値とを比較した結果から、計測対象が前記上面から前記基底部へ変化するまでに、前記移動ロボットが移動した距離から、前記床面において前記一方の距離センサによって検出されたエッジ部の延びる方向の向きと前記移動ロボットの進行方向とのなす角度、又は、前記床面において前記一方の距離センサによって検出されたエッジ部の延びる方向の向きに直交する方向と前記移動ロボットの進行方向とのなす角度を算出する
    ことを特徴とする請求項2に記載の移動ロボット。
  4. 前記段差検出部で検出された前記エッジ部の延びる方向の向きと前記移動ロボットの進行方向とのなす角度を用いて、前記エッジ部の延びる方向の向きに直交する方向に前記移動ロボットを進行させる制御を行う動作制御部
    を備えることを特徴とする請求項3に記載の移動ロボット。
  5. 前記移動ロボットと前記床面との距離を計測する第1距離センサと第2距離センサと、
    前記移動ロボットの移動機構を制御する動作制御部とを備え、
    前記段差検出部が前記第1距離センサ又は前記第2距離センサのうち一方の距離センサの計測結果と前記所定の閾値とを比較した結果から、計測対象が前記基底部から前記上面へ変化したこと、又は計測対象が前記上面から前記基底部へ変化したことを検出したとき、
    前記動作制御部は、
    前記移動ロボットを前記移動ロボットのヨー軸に対する回動動作を開始させ、その後、他方の距離センサの計測結果と前記所定の閾値とを比較した結果から、計測対象が前記基底部から前記上面へ変化したこと、又は計測対象が前記上面から前記基底部へ変化したことを検出したとき、前記回動動作を停止させる制御を行い、
    前記補正角度算出部は、前記動作制御部によって行われた回動動作が停止されたときの前記移動ロボットの向いている方向を検出し、
    前記誤差補正部は、前記補正角度算出部において検出された前記移動ロボットの向いている方向を用いて前記回動角に含まれる累積誤差を補正することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の移動ロボット。
  6. 前記距離センサの検知方向は、前記移動ロボットの水平面に対する鉛直下方向に対して、前記移動ロボットの前又は後方向に所定角度を有していることを特徴とする請求項2乃至請求項5の何れか1項に記載の移動ロボット。
  7. 基底部と前記基底部から突出した段差部とを含む床面上を移動する移動ロボットと、前記移動ロボットを遠隔操作する操作端末とを具備する遠隔操作システムであって、
    前記段差部は、所定の長さを有し、前記基底部と所定角度を有して前記基底部に連なって隣接する側面と、前記側面の上端辺に連なって隣接する上面と、前記側面と前記上面が隣接する部分であるエッジ部とを有し、
    前記床面上における前記移動ロボットのヨー角方向の回動角を算出する積算型センサと、
    前記移動ロボットが前記段差部の上を移動するとき、前記エッジ部の延びる方向の向きに対する前記移動ロボットの進行方向、又は前記上面の存在情報を検出する段差検出部と、
    前記段差検出部によって検出された前記エッジ部の延びる方向の向きに対する前記移動ロボットの進行方向、又は前記上面の存在情報に基づき、前記床面上において前記移動ロボットの向いている方向を検出する補正角度算出部とを備え、
    前記積算型センサは、前記補正角度算出部において検出された前記移動ロボットの向いている方向を用いて前記回動角に含まれる累積誤差を補正する誤差補正部を備えることを特徴とする遠隔操作システム。
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