JP2009030740A - 流量制御用電磁比例制御弁の制御方法及び制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】可動子の摺動不良が発生した場合に、ハンチング現象を生じることなく摺動不良を速やかに解消し、流量を安定的に増大させることができる流量制御用電磁比例制御弁の制御方法及びそのような制御方法を実施可能な制御装置を提供する。
【解決手段】駆動用電磁ソレノイドの電磁力と、電磁力とは反対の方向に作用するバネ力と、によって軸方向に移動する可動子を備え、駆動用電磁ソレノイドのコイルに供給される電気的エネルギを制御することにより可動子の移動量を変化させて弁の開度を調節し、流体の流量を比例制御する流量制御用電磁比例制御弁の制御方法であって、電気的エネルギの値を減少させる方向に可動子を移動させる際に、電気的エネルギの値を可動子の目標位置に対応する目標値よりも一時的に小さくした後、目標値に戻す。
【選択図】図1
【解決手段】駆動用電磁ソレノイドの電磁力と、電磁力とは反対の方向に作用するバネ力と、によって軸方向に移動する可動子を備え、駆動用電磁ソレノイドのコイルに供給される電気的エネルギを制御することにより可動子の移動量を変化させて弁の開度を調節し、流体の流量を比例制御する流量制御用電磁比例制御弁の制御方法であって、電気的エネルギの値を減少させる方向に可動子を移動させる際に、電気的エネルギの値を可動子の目標位置に対応する目標値よりも一時的に小さくした後、目標値に戻す。
【選択図】図1
Description
本発明は、流量制御用電磁比例制御弁の制御方法及び制御装置に関する。特に、軸方向に移動する可動子の移動量を制御することにより流体の流量を比例制御する電磁比例制御弁の制御方法及び制御装置に関する。
従来、燃料その他の流体の流量を制御するための流量制御用電磁比例制御弁が種々の装置に用いられている。そのような装置の一態様として、コモンレール内に高圧燃料を蓄積し、この高圧燃料を、インジェクタを介して内燃機関の複数の気筒に噴射供給する蓄圧式燃料噴射システム(コモンレールシステム)が知られている。
かかるコモンレールシステムは、コモンレールに高圧燃料を圧送するための燃料供給用ポンプを備えており、この燃料供給用ポンプの加圧室内に送られる燃料は、電磁比例制御弁によって、コモンレールの目標レール圧に見合った最適な流量に制御されるようになっている。
かかるコモンレールシステムは、コモンレールに高圧燃料を圧送するための燃料供給用ポンプを備えており、この燃料供給用ポンプの加圧室内に送られる燃料は、電磁比例制御弁によって、コモンレールの目標レール圧に見合った最適な流量に制御されるようになっている。
このような目的で用いられる電磁比例制御弁の構成例の概略を、図2を参照して説明する。この電磁比例制御弁は、外部ケーシング55の内周に円筒状のソレノイド60がはまり合うとともに、当該ソレノイド60の内周に可動子70がはまり合い、さらに、外部ケーシング55の開口部分にマグネティックコア80がはまり合って開口が閉じられている。可動子70はアンカー72とプッシュロッド74とからなり、マグネティックコア80側のガイド部83と、他端側のガイド部としてのブッシュ78によって支持されるとともに、ガイドされている。また、マグネティックコア80のピストンシリンダ部82の孔82hには、ピストンからなる弁部材90が移動可能にはまり合い、弁部材90は、コイルばね94の付勢力とソレノイド60の電磁力とによって移動し、通過する燃料流量の制御が可能となっている。
かかる構成の電磁比例制御弁において、可動子の軸受け部の劣化や一時的な異物の介在等が発生すると軸受け部の摩擦抵抗が増大し、その結果、可動子の摺動不良が引き起こされる場合がある。このような可動子の摺動不良が生じると、流量制御を正確に行えなくなってしまう。そこで、このような電磁比例制御弁の故障を判定する方法として、コモンレールの目標レール圧と実レール圧との偏差の大きさに基づいて故障判定する方法がある。ただし、レール圧の偏差に基づく故障判定を行う場合、誤判定を避けるために、故障していると判定するレール圧偏差のしきい値が比較的大きな値に設定されることが多く、アイドル運転からの緩加速時のように、現在のレール圧と目標レール圧との差が小さい場合には、レール圧偏差が生じているとしても故障とは認識されないことになる。
また、可動子の摺動不良が生じるおそれがある場合においても、流量制御を安定的に行えることを目的とした電磁比例制御弁の駆動方法が提案されている。より具体的には、電磁ソレノイドのソレノイドコイルに印加するパルス電圧のデューティ比を調節することによって流量調節を行うようにしたコモンレールシステムのポンプの流量制御用の電磁比例制御弁において、電磁比例制御弁が動作にヒステリシスを生じさせるおそれのある運転条件にある場合に、パルス電圧の波高値又はパルス幅を一時的に大きくし、電磁ソレノイドの駆動力を瞬時的に高め、これによりピストンの円滑な作動を確保するようにした駆動方法が開示されている(特許文献1参照)。
ところで、可動子の摺動摩擦抵抗による摺動不良は、電磁力が弱められ、コイルばねの付勢力によって可動子を移動させる際、すなわち、流量を増大させるときに生じやすくなっている。具体的には、流量を減少させるときには、電磁力によってコイルばねを圧縮させる方向に可動子を移動させる状態となり、理論的には電磁力がコイルばねの付勢力と摺動摩擦抵抗との和よりも大きくなる限り可動子が移動することになる。これに対して、流量を増大させるときには、電磁力が弱められ、コイルばねの付勢力によって可動子を移動させる状態となり、コイルばねの付勢力と電磁力との差が摺動摩擦抵抗よりも大きくならない限り可動子が移動しないことになる。
このことは、図3に示されるように、可動子の摺動不良が生じている場合と生じていない場合の電磁比例制御弁の電流値(I)と流量(Q)との特性(I−Q特性)を見ると明らかである。図3(a)は、可動子の摺動不良を生じていない場合のI−Q特性を示しており、ソレノイドに与える電流値を大きくしていく場合及び小さくしていく場合それぞれにおいて、電流値の変化に伴い流量がほぼリニアに増減しており、可動子のスムーズな摺動状態が理解される。一方、図3(b)では、可動子の摺動不良を生じている場合のI−Q特性を示しており、ソレノイドに与える電流値を大きくしていく場合には流量がほぼリニアに減少している一方、ソレノイドに与える電流値を小さくしていく場合には、初期段階では可動子が移動しないため流量が変化せず、ある時点で突然可動子が移動して流量が急激に増加している(以下、このような現象を「スリップスティック現象」と称する。)ことが理解できる。
このようなスリップスティック現象が発生する状態では、電流値を小さくし始めてから動き出すまでの間、継続的に燃料の供給量が不足し、実レール圧と目標レール圧との偏差が次第に大きくなる結果、電磁比例制御弁が故障しているものと判定されるおそれがある。上述の故障判定方法においては故障判定のしきい値を超えて故障と判定されるに至ることになる。あるいは、故障と判定される以前に可動子が動き出すとしても、その時点では本来必要な要求量に対して過大な要求量となっており、可動子が突如として大きく動き出すことになる。そして、動き出した後は、過大な流量の燃料がコモンレールに供給され、レール圧が目標レール圧を大きく上回ってオーバーシュートするとともに、今度は、目標レール圧に戻すために本来必要な要求量よりも減少させるように働き、アンダーシュートすることになって、いわゆるハンチング現象を生じるおそれがある。
したがって、燃料流量を増大させる際には、速やかに摺動不良状態から脱出させることが求められる。
したがって、燃料流量を増大させる際には、速やかに摺動不良状態から脱出させることが求められる。
また、特許文献1に記載された駆動方法は、適宜のタイミングでパルス電圧を一時的に大きくしてピストンの円滑な作動を確保しようとするものであるが、流量を増大させる際の可動子の移動方向とは逆方向に移動させるような制御になるため、レール圧が不安定になるおそれがある。さらに、電磁比例制御弁は、供給する電流値が大きくなるにしたがいサイドフォースが大きくなる特性、すなわち、可動子がソレノイドコイル側に引き付けられやすくなる特性があるため、より大きなパルス電圧を与える必要が生じ、非効率となるおそれがある。
そこで、本発明の発明者らは鋭意検討した結果、流体の流量を増大させる際に、電気的エネルギの値を目標値よりも一時的に小さくすることによりこのような問題を解決できることを見出し、本発明を完成させたものである。
すなわち、本発明は、可動子の摺動不良が発生した場合に、ハンチング現象を生じることなく摺動不良を速やかに解消し、流量を安定的に増大させることができる流量制御用電磁比例制御弁の制御方法及びそのような制御方法を実施可能な制御装置を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、可動子の摺動不良が発生した場合に、ハンチング現象を生じることなく摺動不良を速やかに解消し、流量を安定的に増大させることができる流量制御用電磁比例制御弁の制御方法及びそのような制御方法を実施可能な制御装置を提供することを目的とする。
本発明によれば、駆動用電磁ソレノイドの電磁力と、電磁力とは反対の方向に作用するバネ力と、によって軸方向に移動する可動子を備え、駆動用電磁ソレノイドのコイルに供給される電気的エネルギを制御することにより可動子の移動量を変化させて弁の開度を調節し、流体の流量を比例制御する流量制御用電磁比例制御弁の制御方法であって、電気的エネルギの値を減少させる方向に可動子を移動させる際に、電気的エネルギの値を可動子の目標位置に対応する目標値よりも一時的に小さくした後、目標値に戻すことを特徴とする流量制御用電磁比例制御弁の制御方法が提供され、上述した問題を解決することができる。
また、本発明の流量制御用電磁比例制御弁の制御方法を実施するにあたり、電磁力とバネ力との差が、可動子の摺動摩擦抵抗よりも大きくなるように電気的エネルギの値を一時的に小さくすることが好ましい。
また、本発明の流量制御用電磁比例制御弁の制御方法を実施するにあたり、流量制御用電磁比例制御弁はコモンレールシステムのポンプの流量を制御し、コモンレールのレール圧を制御するための弁であり、コモンレールの目標レール圧と実レール圧との偏差が所定のしきい値を越えたときに、電気的エネルギの値を目標値よりも一時的に小さくする制御を行うことが好ましい。
また、本発明の流量制御用電磁比例制御弁の制御方法を実施するにあたり、電気エネルギの値を所定時間一時的に小さくすることが好ましい。
また、本発明の流量制御用電磁比例制御弁の制御方法を実施するにあたり、目標レール圧と実レール圧との偏差が所定値未満となるまで、複数回繰返し、電気的エネルギの値を一時的に小さくすることが好ましい。
また、本発明の流量制御用電磁比例制御弁の制御方法を実施するにあたり、目標レール圧と実レール圧との偏差が所定値未満となるまでの間、電気的エネルギの値を一時的に小さくすることが好ましい。
また、本発明の流量制御用電磁比例制御弁の制御方法を実施するにあたり、実レール圧が目標レール圧に到達する以前に電気的エネルギの値を目標値に戻すことが好ましい。
また、本発明の別の態様は、駆動用電磁ソレノイドの電磁力と、電磁力とは反対の方向に作用するバネ力と、によって軸方向に移動する可動子を備え、駆動用電磁ソレノイドのコイルに流れる電気的エネルギを制御することにより可動子の移動量を変化させて弁の開度を調節し、流体の流量を比例制御する流量制御用電磁比例制御弁の制御装置であって、可動子を目標位置に移動させるために、駆動用電磁ソレノイドに対して供給すべき目標位置に対応する値の電気的エネルギを演算するための電気的エネルギ演算手段と、電気的エネルギの値を減少させる方向に可動子を移動させる際に、電気的エネルギの値を可動子の目標位置に対応する目標値よりも一時的に小さくした後、目標値に戻すための制御手段と、を備えることを特徴とする流量制御用電磁比例制御弁の制御装置である。
また、本発明のさらに別の態様は、駆動用電磁ソレノイドの電磁力と、電磁力とは反対の方向に作用するバネ力と、によって軸方向に移動する可動子を備え、駆動用電磁ソレノイドのコイルに流れる電気的エネルギを制御することにより可動子の移動量を変化させて弁の開度を調節し、流体の流量を比例制御するようにしたコモンレールシステムのポンプの流量制御用電磁比例制御弁の制御装置であって、可動子を目標位置に移動させるために、駆動用電磁ソレノイドに対して供給される目標位置に対応する値の電気的エネルギを演算するための電気的エネルギ演算手段と、コモンレールの目標レール圧と実レール圧との偏差を所定のしきい値と比較するためのレール圧偏差比較手段と、レール圧偏差がしきい値以上である状態で電気的エネルギの値を減少させる方向に可動子を移動させる際に、電気的エネルギの値を可動子の目標位置に対応する目標値よりも一時的に小さくした後、目標値に戻すための制御手段と、を備えることを特徴とするポンプの流量制御用電磁比例制御弁の制御装置である。
本発明の流量制御用電磁比例制御弁の制御方法によれば、可動子の摺動不良が生じやすい状態となる、電気的エネルギの値を減少させる方向に可動子を移動させる際に、電気的エネルギの値を目標値よりも一時的に小さくすることにより、電磁力が一旦弱められてバネ力と電磁力との差が摺動摩擦抵抗を確実に越え、摺動不良状態を速やかに解消させることができる。また、電気的エネルギの値を一時的に小さくした後、速やかに目標値に戻されるため、流量を大幅に増大させることなく、摺動不良状態を解消させることができる。さらに、目標値よりも小さくする時間が極めて短時間であるため、仮に、摺動不良を生じていなかったとしても、流量制御に大きく影響することがない。
また、本発明の流量制御用電磁比例制御弁の制御方法において、電気的エネルギの値を一時的に目標値よりも小さくする際に、電磁力とバネ力との差及び摺動摩擦抵抗の関係を考慮して電気的エネルギの値を小さくすることにより、可動子の摺動不良状態を速やかに解消させることができる。
また、本発明の流量制御用電磁比例制御弁の制御方法を、コモンレールシステムのポンプの流量制御として実施することにより、コモンレール圧のハンチング現象を抑えるとともに、レール圧制御を精度よく行うことができるようになる。
また、本発明の流量制御用電磁比例制御弁の制御方法において、電気エネルギの値を一定の時間だけ一時的に小さくするように制御することにより、電磁力が一時的に弱められ、可動子を移動させる起動力となって、可動子の摺動不良状態を解消させることができる。
また、本発明の流量制御用電磁比例制御弁の制御方法において、目標レール圧と実レール圧との偏差が所定値未満となるまで繰返し電気的エネルギの値を小さくすることにより、電気的エネルギの値が著しく小さくなることによるコモンレールへの過大な流量の燃料の供給が防がれ、ハンチング現象を低減することができる。
また、本発明の流量制御用電磁比例制御弁の制御方法において、目標レール圧と実レール圧との偏差が所定値未満となるまでの間、すなわち、レール圧偏差の縮小が確認されるまでの間、電気的エネルギの値を小さくすることにより、コモンレールへの燃料の流量が過大になることが防がれ、ハンチング現象をより低減することができる。
また、本発明の流量制御用電磁比例制御弁の制御方法において、電磁比例制御弁での流量制御がレール圧となって現れるタイムラグを考慮して、実レール圧が目標レール圧に到達する前に電気的エネルギの値を目標値に戻すことにより、ハンチング現象を低減することができる。
また、本発明の流量制御用電磁比例制御弁の制御装置によれば、所定の制御手段を備えているために、可動子の摺動不良が生じやすい状態となる、電気的エネルギの値を減少させる方向に可動子を移動させる際に、電気的エネルギの値が目標値よりも一時的に小さくされ、摺動不良状態を速やかに解消させることができる。また、電気的エネルギの値を一時的に小さくした後、速やかに目標値に戻されるために、ハンチング現象を生じさせることなく、摺動不良状態を解消させることができる。
また、本発明のコモンレールシステムのポンプの流量制御用電磁比例制御弁の制御装置によれば、レール圧偏差をもとに電気的エネルギの値を制御する所定の制御手段を備えているために、電気的エネルギの値を減少させる方向に可動子を移動させる際に、電気的エネルギの値が目標値よりも一時的に小さくされ、摺動不良状態を速やかに解消させることができる。また、電気的エネルギの値を一時的に小さくした後、速やかに目標値に戻されるために、コモンレール圧にハンチング現象を生じさせることなく、摺動不良状態を解消させることができる。
以下、適宜図面を参照しながら、本発明の流量制御用電磁比例制御弁の制御方法及び制御装置に関する実施の形態として、内燃機関用の燃料噴射システムとしてのコモンレールシステムに用いられる流量制御用電磁比例制御弁(以下、単に「電磁比例制御弁」と称する。)の制御装置及びその制御方法を例にとって具体的に説明する。ただし、この実施形態は本発明の一態様であり、この発明を限定するものではなく、本発明の範囲内で任意に変更することが可能である。
なお、各図中、同一の符号を付してあるものは同一の部材を示しており、適宜説明が省略されている。
なお、各図中、同一の符号を付してあるものは同一の部材を示しており、適宜説明が省略されている。
1.コモンレールシステム
図1は、コモンレールシステムの構成の一例を示す概要図である。
このコモンレールシステムは、コモンレール2内に蓄積された高圧燃料を複数のインジェクタ3により内燃機関の各気筒に直接噴射供給する燃料噴射システムであり、コモンレール2には、ポンプユニット4から高圧燃料が供給されるようになっている。
図1は、コモンレールシステムの構成の一例を示す概要図である。
このコモンレールシステムは、コモンレール2内に蓄積された高圧燃料を複数のインジェクタ3により内燃機関の各気筒に直接噴射供給する燃料噴射システムであり、コモンレール2には、ポンプユニット4から高圧燃料が供給されるようになっている。
ポンプユニット4は、フィードポンプ41及び高圧ポンプ部32、33によって構成されており、基本的には従来公知のものを用いることができる。
フィードポンプ41は、燃料タンク5内の燃料を、フィルタ7を介して、図示しない駆動部によって駆動される高圧ポンプ部32、33の高圧プランジャ37、38によって加圧される二つの加圧室42、43に送るようになっている。このポンプユニット4におけるフィルタ7と加圧室42、43との間には電磁比例制御弁44が備えられており、加圧室42、43に送られる燃料の流量を調節できるようになっている。
フィードポンプ41は、燃料タンク5内の燃料を、フィルタ7を介して、図示しない駆動部によって駆動される高圧ポンプ部32、33の高圧プランジャ37、38によって加圧される二つの加圧室42、43に送るようになっている。このポンプユニット4におけるフィルタ7と加圧室42、43との間には電磁比例制御弁44が備えられており、加圧室42、43に送られる燃料の流量を調節できるようになっている。
電磁比例制御弁44によって流量を調節された燃料は、逆止弁45、46を介して対応する加圧室42、43に送られ、高圧プランジャ37、38によって高圧化された後、逆止弁47、48を介してコモンレール2に供給される。本実施形態のコモンレールシステムに用いられるポンプユニット4は、電磁比例制御弁44の上流側にオーバーフローバルブ49が備えられ、フィードポンプ41から送られる余剰燃料が燃料タンク5内に戻されるようになっている。
2.電磁比例制御弁
図2は、電磁比例制御弁44の構成例を示す断面図である。この図2は、可動子70の動きの理解を容易にするため、可動子70の2つの状態を半断面によって示している。
この電磁比例制御弁44は、入力ソケット部51eを含む樹脂部分51と、樹脂部分51と一体化した磁性材料からなるケース52とによって構成され、軸線方向の一端が閉じ、他端が開口したケーシング55を備えている。また、ケーシング55を構成するケース52の一端側にシリンダ部分52bが設けられ、さらにケーシング55の内周にソレノイドコイル64を含むソレノイド60が配設され、これらのシリンダ部分52b及びソレノイド60の内周に磁性材料からなる可動子70が、シリンダ部分52b及びマグネティックコア80の可動子シリンダ部81に対して適切なクリアランスをもって配設されている。ソレノイドコイル64は、入力ソケット部51eに電気的に接続され、外部から通電される。
図2は、電磁比例制御弁44の構成例を示す断面図である。この図2は、可動子70の動きの理解を容易にするため、可動子70の2つの状態を半断面によって示している。
この電磁比例制御弁44は、入力ソケット部51eを含む樹脂部分51と、樹脂部分51と一体化した磁性材料からなるケース52とによって構成され、軸線方向の一端が閉じ、他端が開口したケーシング55を備えている。また、ケーシング55を構成するケース52の一端側にシリンダ部分52bが設けられ、さらにケーシング55の内周にソレノイドコイル64を含むソレノイド60が配設され、これらのシリンダ部分52b及びソレノイド60の内周に磁性材料からなる可動子70が、シリンダ部分52b及びマグネティックコア80の可動子シリンダ部81に対して適切なクリアランスをもって配設されている。ソレノイドコイル64は、入力ソケット部51eに電気的に接続され、外部から通電される。
ケーシング55の開口部分には、フランジ部80fを含むシリンダ体からなるマグネティックコア80が嵌め合わせされ開口を閉じている。すなわち、マグネティックコア80は、ケーシング55と相俟って、電磁比例制御弁44のハウジングを構成する。このマグネティックコア80のうちのソレノイド60の内周に配置された可動子シリンダ部81は、可動子70と適正なクリアランスをもって配設されるとともに、シリンダ部分52bとは可動子70を介さず直接磁束が透過しない十分なクリアランスをもって配設されている。また、マグネティックコア80のフランジ部80fの外周は磁性材料からなるケース52と嵌め合わせられ、電磁サーキットを構成している。
この図2に示す電磁比例制御弁44では、可動子シリンダ部81が一体化されたマグネティックコア80を使用しているが、非磁性材料からなるバレルと磁性材料からなる可動子シリンダ部とを別体化して構成したものであっても構わない。
また、マグネティックコア80のピストンシリンダ部82の孔82hには、ピストンからなる弁部材90が移動可能に収容されている。この弁部材90は、例えば三角形状のスリット92を有し、そのスリット92がフィードポンプ(図示せず)側に連絡するポート84、及びサプライポンプ(図示せず)側に連絡する通路85にそれぞれ連絡可能となっている。このスリット92の形状は三角形状に限られるものではなく、弁部材90のリフト量に応じて開口面積が変化すればよく、適宜変更が可能である。
また、図2に示すように、弁部材90は、一端が可動子70側の非磁性材料からなるプッシュロッド74の先端に当接しているとともに、ピストンシリンダ部82の開口部分に圧入したスプリングシート96との間にコイルばね94を挟持しており、このコイルばね94によって常時可動子70側に付勢されている。コイルばね94によるばね力は、ソレノイド60の励磁に伴う電磁力と釣り合っているが、電磁力が生じないときに、弁部材90を通して可動子70を軸方向移動できるように構成されている。
また、マグネティックコア80の可動子シリンダ部81内の可動子70に対向する面には、リング状のスペーサ88が配設されている。このスペーサ88によって、可動子70の軸方向移動距離を調整することができる。ただし、このスペーサ88は省略されていても構わない。
かかる構成の電磁比例制御弁44では、ソレノイド60の励磁に伴う電磁力によって、可動子70が軸方向に移動するとき、プッシュロッド74は、可動子シリンダ部81内をピストンシリンダ部82の孔82h側に進入する。そして、コイルばね94をたわめ、可動子70の端面がスペーサ88に近づく方向が、内燃機関のアイドリング状態であり、コイルばね94が弁部材90を押し、可動子70をスペーサ88から遠ざけるとき、内燃機関は高速運転状態にある。
ここで、図3(a)には、図2に示す構成の電磁比例制御弁44における、正常な状態でのソレノイドコイル64に通電する電流値と電磁比例制御弁44を通過する流体の流量との関係が示されている。この図3(a)に示すように、本実施形態の電磁比例制御弁では、ソレノイドコイルに通電する電流値が大きくなるにしたがってポート84の開口面積が小さくなり、流量が減少するようになっている。ただし、言うまでもなく、この特性とは逆に、電流が増大するに伴って流量を増やすような制御特性にすることもできる。このように構成される電磁比例制御弁において、高精度な制御特性および迅速なレスポンスを得るためには、可動子をできるだけスムーズに移動させることが必要とされる。
3.電磁比例制御弁の制御装置
図1に示すように、本実施形態のコモンレールシステムは、電磁比例制御弁44を駆動制御するための駆動制御ユニット8を備えている。この駆動制御ユニット8は、公知のマイクロコンピュータを中心に構成されており、コモンレール2内の燃料圧力であるレール圧を検出するための圧力センサ9からの実レール圧値を示す実レール圧信号S1、キースイッチがON位置にあることを示すキースイッチON信号S2、内燃機関の回転数を検出する回転数センサからの回転数を示す回転数信号S3、ポンプユニット内の燃料温度を検出する温度センサからの燃料温度を示す温度信号S4、及び図示しないアクセルペダルの操作量を検出するアクセルセンサからのアクセル開度を示すアクセル信号S5が入力されるようになっている。駆動制御ユニット8では、これらの各センサからの信号S1〜S5に応じて、各運転状態に見合った燃料流量を得るために必要な電磁比例制御弁44の駆動制御が行われる。
図1に示すように、本実施形態のコモンレールシステムは、電磁比例制御弁44を駆動制御するための駆動制御ユニット8を備えている。この駆動制御ユニット8は、公知のマイクロコンピュータを中心に構成されており、コモンレール2内の燃料圧力であるレール圧を検出するための圧力センサ9からの実レール圧値を示す実レール圧信号S1、キースイッチがON位置にあることを示すキースイッチON信号S2、内燃機関の回転数を検出する回転数センサからの回転数を示す回転数信号S3、ポンプユニット内の燃料温度を検出する温度センサからの燃料温度を示す温度信号S4、及び図示しないアクセルペダルの操作量を検出するアクセルセンサからのアクセル開度を示すアクセル信号S5が入力されるようになっている。駆動制御ユニット8では、これらの各センサからの信号S1〜S5に応じて、各運転状態に見合った燃料流量を得るために必要な電磁比例制御弁44の駆動制御が行われる。
図4は、図1に示す駆動制御ユニット8の構成を示す概略図である。駆動制御ユニット8はマイクロコンピュータ8Aを備え、上述の各入力信号S1〜S5が制御コントロールユニット(図4では「CPU」と表記)8Bにおいて制御プログラムに従って処理され、電磁比例制御弁を駆動させるための電圧信号である制御出力信号CSが出力される。また、駆動制御ユニット8は、フライホイールダイオード8Cとスイッチングトランジスタ8Dとからなる駆動回路を備えており、フライホイールダイオード8Cとスイッチングトランジスタ8Dとの接続点は、検出抵抗器8Eを介して電磁比例制御弁44のソレノイドコイル64の一端に接続され、ソレノイドコイル64の他端は直流電源+Bに接続されている。
制御出力信号CSは、具体的には、スイッチングトランジスタのオン、オフをパルス信号によるデューティ比制御によって行うための所定の周波数のパルス電圧信号である。また、スイッチングトランジスタ8Dは制御出力信号CSに応答してオン、オフし、ソレノイドコイル64には制御出力信号CSに従うパルス電圧が印加される。その結果、パルス電圧信号のデューティ比に従う駆動電流が駆動信号としてソレノイドコイル64に流れる構成となっている。このとき検出抵抗器8Eに流れる電流によって生じる電圧信号Vdに応答して、電圧増幅器からはソレノイドコイル64に流れている駆動電流の大きさを示す検出信号S6が出力され、マイクロコンピュータ8Aに入力されるようになっている。
図5は、CPU8Bのうち、電磁比例制御弁の駆動制御に関する部分について機能的なブロックに表した構成例を示したものである。
このCPU8Bは、目標レール圧演算部(図5では「Pt演算」と表記)と、レール圧偏差演算部(図5では「dP演算」と表記)と、電磁比例制御弁の目標流量演算部(図5では「Ft演算」と表記)と、電気的エネルギ演算部(図5では「Vd演算」と表記)と、所定のタイミングでソレノイドに供給される電気的エネルギが一時的に小さくなるように制御する機能を有する電気的エネルギ制御部(図5では「Vd制御」と表記)等を主要な要素として構成されている。
このCPU8Bは、目標レール圧演算部(図5では「Pt演算」と表記)と、レール圧偏差演算部(図5では「dP演算」と表記)と、電磁比例制御弁の目標流量演算部(図5では「Ft演算」と表記)と、電気的エネルギ演算部(図5では「Vd演算」と表記)と、所定のタイミングでソレノイドに供給される電気的エネルギが一時的に小さくなるように制御する機能を有する電気的エネルギ制御部(図5では「Vd制御」と表記)等を主要な要素として構成されている。
本実施形態のCPU8Bの目標レール圧演算部では、上述の回転数信号S3やアクセル信号S5をもとに、コモンレール内の圧力の目標値である目標レール圧Ptが演算されるようになっている。また、レール圧偏差演算部では、算出された目標レール圧Ptと実レール圧信号S1とを比較してレール圧偏差(目標レール圧と実レール圧との差の絶対値)dPが算出されるようになっている。さらに、目標流量演算部では、レール圧偏差dPをもとにして、電磁比例制御弁における燃料の目標流量Ftが演算されるようになっている。
また、電気的エネルギ演算部では、算出されたレール圧偏差dPや電磁比例制御弁における燃料の目標流量Ft、上述の駆動電流の大きさを示す検出信号S6等をもとにして、目標流量Ftを得るために必要な制御出力信号CSの通電デューティ比DTaが演算され、この通電デューティ比DTaに従ってデューティ比が制御されている所定の周波数のパルス電圧Vdが演算されるようになっている。
また、電気的エネルギ制御部では、燃料流量を増大させる際に、電磁比例制御弁の可動子の摺動摩擦不良が生じているおそれのある場合に、ソレノイドに与えられる電気的エネルギを一時的に小さくするように補正を行うようになっている。具体的には、本実施形態の制御コントロールユニットでは、燃料流量を増大させる際にレール圧偏差dPが所定のしきい値以上となっている状態が所定時間以上継続したときに、上記補正を行うようになっている。
4.電磁比例制御弁の制御方法
上述の各センサ信号S1〜S5に基づいて実行される電磁比例制御弁の制御方法の一例について説明する。図6は、電磁比例制御弁の駆動制御のためにマイクロコンピュータにセットされ、実行される制御プログラムを示すフローチャートである。
上述の各センサ信号S1〜S5に基づいて実行される電磁比例制御弁の制御方法の一例について説明する。図6は、電磁比例制御弁の駆動制御のためにマイクロコンピュータにセットされ、実行される制御プログラムを示すフローチャートである。
この制御プラグラムが起動されて実行が開始されると、まず、ステップS11ではコモンレール内に備えられた圧力センサからの実レール圧信号S1を記録する。次いで、ステップS12では、アクセル信号S5と回転数信号S3とに基づいて目標レール圧Ptが演算される。
次いで、ステップS13では、算出された目標レール圧Ptとレール圧信号S1とに基づいて電磁比例制御弁44における燃料の目標流量Ftが演算される。そして、ステップS14では、この目標流量Ftと検出信号S6とに基づいて、目標流量Ftを得るのに必要な制御出力信号Vdの通電デューティ比DTaが演算される。基本的には、この通電デューティ比DTaに従ってデューティ比が制御されている所定の周波数のパルス電圧が制御出力信号Vdとして出力される。
ここで、出力するパルス電圧Vdの値を減少させる際に、電磁比例制御弁44の可動子の摺動部分における摺動摩擦のために摺動不良が発生している場合にはスリップスティック現象が現れるおそれがある。これを解消するために、本実施形態の電磁比例制御弁の制御方法では、ソレノイドに対して与えられる電流値を一時的に目標値よりも小さくする制御を行うか否かが判別される。
まず、ステップS15で、ステップS14で算出される通電デューティ比DTaに従って出力されたパルス電圧Vdnの値が、前回算出されたパルス電圧Vdn-1の値よりも小さい値であるか否かが判別される。パルス電圧Vdnの値が直前のパルス電圧Vdn-1の値以上となっている場合には、ステップS15の判定結果はNOとなり、ステップS23に進む。ステップS23以降では、ステップS14で得られた通電デューティ比DTaに従うデューティ比に制御された所定の周波数のパルス電圧Vdnが制御出力信号CSsとして出力される通常電流出力処理が実行される。すなわち、ステップS23で通電デューティ比DTaに従う駆動電流(目標電流値)I_sollが演算された後、ステップS24でこの目標電流値I_sollに従う制御出力信号CSsが出力される。スイッチングトランジスタは、この制御出力信号CSsに応答してオン、オフされ、この結果得られるパルス電圧がソレノイドに印加されるので、電磁比例制御弁のソレノイドには、通電デューティ比DTaに従う駆動電流(目標電流値)I_sollが駆動信号としてパルス的に流れ、これにより電磁比例制御弁における燃料の流量が目標流量Ftとなるように制御される。
一方、パルス電圧Vdnの値が直前のパルス電圧Vdn-1の値未満となっている場合には、ステップS15の判定結果はYESとなり、ステップS16に進む。ステップS16では、可動子に摺動不良が生じているおそれがある状態か否かが判別される。ステップS16におけるこの判別は、基本的には、目標レール圧Ptと実レール圧信号S1との偏差(Pt−S1)dPが所定のしきい値thp2以上となっている状態が所定時間Th_t2以上継続しているか否かを判別することによって行われる。本実施形態では、ソレノイドに供給されている電流値I_istが規定値I_ist0以上となっている状態でレール圧偏差dPが所定のしきい値thp2以上となっている状態が所定時間Th_t2以上継続しているか否かについて判別するようになっている。これは、ソレノイドに供給されている電流値I_istの値が小さすぎる場合には、サイドフォースが小さくスリップスティックが発生しにくいと考えられるとともに、この領域ではすでに実レール圧が高いために、電気的エネルギの値を一時的にとはいえ小さくすることによって、コモンレールへの過大な流量の燃料供給を引き起こすおそれがあるためである。ただし、電流値I_istが規定値以上になっているか否かの条件は省略されていても構わない。
このレール圧偏差dPのしきい値thp2は、電磁比例制御弁の故障判定を行う際の故障判定のしきい値thp1よりも小さい値に設定されている。
ただし、可動子の摺動不良が生じている状態でのレール圧偏差dPの変化は、運転状態によってばらつきがある。したがって、運転状態をも考慮して、可動子が摺動不良状態となっているおそれがあるか否かを判別するためには、図7に示すように、複数のしきい値を設定するとともに、それぞれのしきい値の大きさに反比例させてタイマ終了時間Th_t2を設定し、いずれかのタイマ終了時間を最も早く経過した時点でスリップスティック脱出モードに移行されるように設定することもできる。
ただし、可動子の摺動不良が生じている状態でのレール圧偏差dPの変化は、運転状態によってばらつきがある。したがって、運転状態をも考慮して、可動子が摺動不良状態となっているおそれがあるか否かを判別するためには、図7に示すように、複数のしきい値を設定するとともに、それぞれのしきい値の大きさに反比例させてタイマ終了時間Th_t2を設定し、いずれかのタイマ終了時間を最も早く経過した時点でスリップスティック脱出モードに移行されるように設定することもできる。
この図7では、4段階のしきい値thp2_1〜thp2_4が設定され、しきい値の大きさに反比例させるように対応するタイマ終了時間th_t2_1〜th_t2_4が設定されている。それぞれのタイマは、レール圧偏差dPが推移し、それぞれのしきい値thp2_nに到達したときにタイマカウントが開始される一方、再びしきい値thp2_nまで減少するとタイマがリセットされるようになっている。そして、図7の例では、しきい値thp2_2に対応するタイマ終了時間が最も早く経過しているために、このときにスリップスティック脱出モードに移行されることになる。
可動子に摺動不良が生じているおそれが小さい場合には、ステップS16の判定結果はNOとなり、ステップS23に進み、上述したような通常電流出力処理が実行される。一方、可動子に摺動不良が生じているおそれがある場合にはステップS16の判別結果はYESとなり、スリップスティック脱出モードがOnにされてステップS17に進む。ステップS17では、可動子を摺動不良状態から脱出させるために十分に低い値の脱出電流値I_escapeの演算が行われる。ここでは、あらかじめ用意されたレール圧偏差dPと脱出電流値I_escapeとの関係を示すマップに基づいて脱出電流値I_escapeが決定されるようになっている。
ただし、脱出電流値I_escapeは演算によって求めるものでなくても、一定の値を用いることもできる。また、一度可動子の脱出制御に失敗しているような場合には、前回よりもさらに小さい脱出電流値に設定されるようにすることもできる。
ただし、脱出電流値I_escapeは演算によって求めるものでなくても、一定の値を用いることもできる。また、一度可動子の脱出制御に失敗しているような場合には、前回よりもさらに小さい脱出電流値に設定されるようにすることもできる。
なお、可動子の摺動不良を速やかに解消するためには、発生する電磁力とコイルばねによる付勢力との差が、可動子の摺動摩擦抵抗よりも大きくなるような値に脱出電流値I_escapeの値を設定する必要があるが、脱出電流値I_escapeを必要以上に小さくすると、コモンレールへの過大な流量の燃料供給を引き起こすおそれがある。したがって、レール圧偏差dPと摺動摩擦抵抗との関係を考慮して規定される脱出電流値I_escapeの値をマップから読み取って決定することが好ましい。
次いで、ステップS18では、ステップS17で算出された脱出電流値I_escapeを与えた後、本来の目標レール圧Ptに戻すためのスタンドオフ電流値I_offを演算する。このスタンドオフ電流値I_offは、目標レール圧Pt、回転数信号S3、温度信号S4、アクセル信号S5等の運転条件をもとに算出される見込み値である。このスタンドオフ電流値I_offについては、あらかじめ用意したマップを用いて求めることもできる。あるいは、システムの個体差や経時変化を吸収するために、アイドル運転時及びフル回転時に算出されたスタンドオフ電流値I_offと実電流値との偏差を学習させ、この偏差に基づいて補正を加えて算出することもできる。さらには、レール圧偏差dPがしきい値thp2を超えたときの目標レール圧Ptを記憶しておき、この値をスタンドオフ電流値I_offを計算する際の目標レール圧Ptとすることもできる。
次いで、ステップS19では、スリップスティック脱出モードを解除し通常の制御に戻すための条件が設定される。例えば、レール圧偏差の所定のしきい値thp3を設定し、レール圧偏差dPがしきい値thp3に到達するまでの間、スタンドオフ電流値I_offを与えるようにすることができる。なお、レール圧のハンチング現象を防ぐためには、しきい値thp3の値をなるべく小さい値に設定することが好ましい。あるいは、このしきい値thp3を一定の値とせずに、可動子を移動させる制御を行う直前のレール圧偏差dP0に対応する変数とすることもできる。
次いで、ステップS20では、スリップスティック脱出モードに入ってもレール圧偏差dPがしきい値thp3に到達しない場合が考えられるため、スタンドオフ電流値I_offのまま保持される最大時間(スリップスティック脱出モードOn最大時間)Th_t3が設定されるようになっている。
次いで、ステップS20では、スリップスティック脱出モードに入ってもレール圧偏差dPがしきい値thp3に到達しない場合が考えられるため、スタンドオフ電流値I_offのまま保持される最大時間(スリップスティック脱出モードOn最大時間)Th_t3が設定されるようになっている。
次いで、ステップS21では、ステップS17での演算結果に従って、ステップS14で算出された目標電流値I_sollよりも小さい脱出電流値I_escapeを流す脱出処理が実行され、この処理に従う制御出力信号CSeが出力される。脱出電流値I_escapeを流す時間は、電磁比例制御弁を作動させてコモンレールの実レール圧信号S1が上昇して目標レール圧Ptとなるときまでに、すでにスタンドオフ電流値I_offとなっていることが好ましいことから、十分に短い時間に設定される必要がある。通常は一定の時間に設定されているが、一度可動子の脱出制御に失敗しているような場合には、可動子の応答遅れを考慮して、前回よりも長めの時間に設定されるようにすることもできる。
そして、ステップS22では、ステップS18での演算結果に従って、スタンドオフ電流値I_offが供給されるように制御出力信号CSoが速やかに出力される。その結果、コモンレール圧にハンチング現象を生じさせることなく目標レール圧にすることができる。
次に、図6で説明したフローチャートに基づく電磁比例制御弁の駆動制御を概念的に説明する。図8(a)及び(b)は、一点鎖線に示されるIQ特性を有する、可動子の摺動不良を生じている電磁比例制御弁において、流量を少量増加させるための制御を行った場合の流量の変化を表した概念図である。図8(a)は本発明の電磁比例制御弁の駆動制御を実施しない場合の流量変化を示し、図8(b)は本発明の電磁比例制御弁の駆動制御を実施した場合の流量変化を示している。
まず、図8(a)に示される、本発明の駆動制御を実施しない例では、流量をF1からF2に増大させるために電流値をI1からI2に減少させた場合であっても、可動子が摺動不良を生じているため移動することができず、流量はF1のままで留まる状態となっている。
一方、図8(b)では、流量をF1からF2に増大させる際に、電流値を一時的に目標値I2よりも小さいI3にした後、速やかにI2に戻されるため、目標流量F2を達成することができる。なお、図8(b)では理解を容易にするために、流量がF1から一旦F3になった後F2に変化するように示されているが、実際には、可動子が摺動摩擦に打ち勝って動き出してから目標流量F2となる以前に電流値はI2に戻されるため、実際の流量はF2を大幅に上回ることなくF2に移行されるようになる。
一方、図8(b)では、流量をF1からF2に増大させる際に、電流値を一時的に目標値I2よりも小さいI3にした後、速やかにI2に戻されるため、目標流量F2を達成することができる。なお、図8(b)では理解を容易にするために、流量がF1から一旦F3になった後F2に変化するように示されているが、実際には、可動子が摺動摩擦に打ち勝って動き出してから目標流量F2となる以前に電流値はI2に戻されるため、実際の流量はF2を大幅に上回ることなくF2に移行されるようになる。
なお、図6のフローチャートのステップS16において、レール圧偏差dPがしきい値thp2を上回っており、可動子の摺動不良が生じているおそれがあると判定された場合に、実際には可動子の摺動不良が発生していない場合も想定される。しかしながら、本発明の制御方法であれば、可動子が本来移動すべき方向に向けて一時的に大きく移動させて、速やかに本来の目標位置に戻されるものであるため、目標位置からの乖離幅を比較的小さく済ませられ、レール圧に与える悪影響が大きくならないようになっている。
また、図6に示すフローの例では、タイマカウンタがスリップスティック脱出モードOn最大時間Th_t3を経過する以前にレール圧偏差(F)がしきい値thp3に到達し、スリップスティック脱出モードがOffにされているが、所定時間Th_t3経過時においてもレール圧偏差(F)がしきい値thp3に到達しない場合にスリップスティックからの脱出が不成功に終わったものと認識し、レール圧偏差(F)がしきい値thp3を越えるまでスリップスティック脱出モードのOn、Offを繰返し行うようにすることもできる。
例えば、レール圧偏差(F)がしきい値thp3に到達しないまま所定時間Th_t3を経過した場合に一旦スリップスティック脱出モードを終了させ、今度は、前回よりもさらに小さい脱出電流値I_escape’に設定した上でスリップスティック脱出モードが行われるようにすることができる。
例えば、レール圧偏差(F)がしきい値thp3に到達しないまま所定時間Th_t3を経過した場合に一旦スリップスティック脱出モードを終了させ、今度は、前回よりもさらに小さい脱出電流値I_escape’に設定した上でスリップスティック脱出モードが行われるようにすることができる。
図9は、そのような制御の実施の形態の要部を示すフローチャートであり、図6のステップS22の後に行われるものである。
まず、ステップS25で、レール圧偏差dPの値がしきい値thp3を超えているか否かが判別される。レール圧偏差dPがしきい値thp3以下となっていればNOと判定され処理が終了される一方、しきい値thp3を超えている場合にはYESと判定されステップS26に進む。
まず、ステップS25で、レール圧偏差dPの値がしきい値thp3を超えているか否かが判別される。レール圧偏差dPがしきい値thp3以下となっていればNOと判定され処理が終了される一方、しきい値thp3を超えている場合にはYESと判定されステップS26に進む。
ステップS26では、脱出電流値I_escapeが供給されたスリップスティック脱出モードとなってから所定時間Th_t3が経過したか否かが判別される。経過していない場合にはNOと判定されステップS25に戻される一方、経過している場合にはYESと判定されステップS27に進む。そして、ステップS27で、ステップS17で算出された前回の脱出電流値I_escapeの値よりも小さい脱出電流値I_escape’が演算された後、ステップS28で、脱出電流値I_escape’を供給した後、目標電流値I_sollに戻すために供給されるスタンドオフ電流値I_off’が演算され、さらに、ステップS29で、スタンドオフ電流値I_off’のまま保持される最大時間(スリップスティック脱出モードOn最大時間)Th_t4が演算される。それぞれの値の算出の仕方については、上述したステップS17〜S20までと同様である。
次いで、ステップS30では、ステップS27での演算結果に従って脱出電流値I_escape’を流す脱出処理が実行され、この処理に従う制御出力信号CSe’が出力される。次いで、ステップS31では、ステップS28での演算結果に従って、スタンドオフ電流値I_off’が供給されるように制御出力信号CSo’が速やかに出力される。その後、再びステップS25に戻され、ステップS25でレール圧偏差dPの値がしきい値thp3以下となるまで以上のステップが繰り返されるようになっている。その結果、コモンレール圧にハンチング現象を生じさせることなく目標レール圧にすることができる。
[実施例1]
図10には、本実施形態の電磁比例制御弁の駆動制御を実施した場合の、可動子のリフト量、電流値、コモンレール圧、及びレール圧偏差それぞれの推移が示されている。それぞれ、破線Aは可動子の目標リフト量、実線Bは可動子の実リフト量、実線Cはソレノイドに与えられる電流値、破線Dはコモンレールの目標レール圧、実線Eはコモンレールの実レール圧、実線Fはレール圧偏差の推移を示している。
図10には、本実施形態の電磁比例制御弁の駆動制御を実施した場合の、可動子のリフト量、電流値、コモンレール圧、及びレール圧偏差それぞれの推移が示されている。それぞれ、破線Aは可動子の目標リフト量、実線Bは可動子の実リフト量、実線Cはソレノイドに与えられる電流値、破線Dはコモンレールの目標レール圧、実線Eはコモンレールの実レール圧、実線Fはレール圧偏差の推移を示している。
t0〜t1の間は実レール圧(E)が一定値P1であるために、いずれの値も変化しないで推移している。この後、t1の時点でアクセルがOnにされて、t1〜t2の間は、目標レール圧(D)がP2まで上昇したため、これに対応して燃料流量を増加させるためにソレノイドに与えられる電流値(C)は低下している。また、これに伴い、可動子の目標リフト量(A)も減少している。ただし、可動子の摺動不良が生じているために、可動子の実際のリフト量(B)は変化せず、これに伴ってコモンレールの実レール圧(E)も変化していない。その結果、レール圧偏差(F)は次第に大きくなっている。
この状態でt2になると、目標レール圧(D)はP2で定常に維持されるようになるが、t1の時点から可動子の実リフト量(B)に変化がないために、コモンレールに供給される燃料流量が常に不足する状態となり、コモンレールの実レール圧(E)は継続的に低下し、レール圧偏差(F)は次第に大きくなる。その後、レール圧偏差(F)の値がthp2となったt3の時点でスリップスティックのおそれが認識されるとともにタイマカウントをスタートする。
そして、所定時間Th_t2が経過したt4の時点で完全にスリップスティックが発生していると認識され、スリップスティック脱出モードがOnにされる。t4では、電流値(C)を一時的にこの時点での目標値A2よりも小さいA4にし、脱出電流(I_escape)保持時間が経過した時点で速やかにスタンドオフ電流値I_offを与えA6まで戻す。また、t4の時点から、スリップスティック脱出モードのタイムアウト時間が規定されるタイマカウンタをスタートする。
そうすると、可動子の目標リフト量(A)はL4となった後L6とへ移行し、L1となっていた実際のリフト量(B)は一旦L2を超えるものの速やかにL6に戻されるようになる。これに伴って、実レール圧(E)は上昇し始めるとともに、レール圧偏差(F)は小さくなっていく。そして、t5の時点でレール圧偏差(F)の値がしきい値thp3に到達するとスリップスティック脱出モードがOffにされる。この時点では、実レール圧(E)は未だ目標レール圧P2よりも低い値である。ただし、脱出電流値I_escape及びスタンドオフ電流値I_offの設定や、可動子の状態によっては実レール圧(E)の回復が早く、t5の時点で目標レール圧P2以上となる場合も考えられる。
その後、可動子のリフト量が一旦L2を越えたことに対応して、t5の時点でスリップスティック脱出モードがOffにされるが、このとき目標レール圧P2を得るための目標電流値A2とA5との間には多少の乖離が生じている可能性が高く、この時点では、A5がA2よりも小さい値であることが一般的である。この乖離を修正するために、目標電流値A2よりも大きな電流値がソレノイドに対して極めて短い時間供給されるが、この時点での乖離量は十分小さく、可動子もすでに適切な位置に近づいているために、可動子のリフト量も極めて短い時間目標位置を上回るようになる。これに応じて、コモンレール圧及びレール圧偏差が極めて短い時間目標値を上回るが、その後は安定的に目標値に維持される。
[実施例2]
図11には、本実施形態の電磁比例制御弁の駆動制御を実施した場合の、可動子のリフト量、電流値、コモンレール圧、及びレール圧偏差それぞれの推移が示されている。基本的には実施例1と同様であるが、スリップスティック脱出モードが繰返しOn−Offされる点で異なっている例である。
図11には、本実施形態の電磁比例制御弁の駆動制御を実施した場合の、可動子のリフト量、電流値、コモンレール圧、及びレール圧偏差それぞれの推移が示されている。基本的には実施例1と同様であるが、スリップスティック脱出モードが繰返しOn−Offされる点で異なっている例である。
t0〜t4までの間は実施例1と同様に推移する。そして、実施例2では、レール圧偏差(F)がしきい値thp3に到達しないまま所定時間Th_t3経過したt5の時点で、スリップスティックからの脱出が不成功に終わったものと認識される。そして、今度は、前回の脱出電流値I_escapeA4よりも小さい値の脱出電流値I_escape’A5を一時的に供給した後、再び速やかにスタンドオフ電流値I_off’に戻す。
この結果、スリップスティックが解除されると可動子が動き始め、依然L1のままであった実際のリフト量は小さくされ、これに伴って実レール圧(E)は上昇し始めるとともに、レール圧偏差(F)は次第に小さくなっていく。そして、t6の時点でレール圧偏差(F)の値がしきい値thp3に到達するとスリップスティック脱出モードがOffにされる。この時点では、実レール圧(E)は未だ目標レール圧P2よりも低い値である。このように、レール圧偏差(F)の値がしきい値thp3に到達するまで、脱出電流値I_escapeの値を変えながらスリップスティック脱出モードの実行が繰返し行われ、その後は実施例1と同様に安定的に目標値に維持される。
[比較例1]
図12には、本実施形態の電磁比例制御弁の制御方法を実施しないで駆動制御を行った場合の可動子のリフト量、電流値、コモンレール圧、及びレール圧偏差それぞれの推移が示されている。それぞれ、破線A´は可動子の目標リフト量、実線B´は可動子の実リフト量、実線C´はソレノイドに与えられる電流値、破線D´はコモンレールの目標レール圧、実線E´はコモンレールの実レール圧、実線F´はレール圧偏差の推移を示している。
図12には、本実施形態の電磁比例制御弁の制御方法を実施しないで駆動制御を行った場合の可動子のリフト量、電流値、コモンレール圧、及びレール圧偏差それぞれの推移が示されている。それぞれ、破線A´は可動子の目標リフト量、実線B´は可動子の実リフト量、実線C´はソレノイドに与えられる電流値、破線D´はコモンレールの目標レール圧、実線E´はコモンレールの実レール圧、実線F´はレール圧偏差の推移を示している。
t0〜t1の間は実レール圧(E´)が一定値P1であるために、いずれの値も変化しない状態で推移している。この後、t1の時点でアクセルがOnにされて、t1〜t2にかけて目標レール圧(D´)がP2まで上昇したため、これに対応して燃料流量を増加させるためにソレノイドに与えられる電流値(C´)は低下している。また、これに伴い、可動子の目標リフト量(A´)も減少している。ただし、可動子の摺動不良が生じているために、可動子の実際のリフト量(B´)は変化せず、これに伴ってコモンレールの実レール圧(E´)も変化していない。その結果、レール圧偏差(F´)は次第に大きくなっている。
この状態でt2になると、目標レール圧(D´)はP2で定常に維持されるようになるが、t1の時点から可動子の実リフト量(B´)は変化しないために、コモンレールに供給される燃料流量が常に不足する状態となり、コモンレールの実レール圧(E´)は継続的に低下し、レール圧偏差(F´)は次第に大きくなる。そして、t3の時点でレール圧偏差(F´)が電磁比例制御弁に故障が生じたおそれがあると判定されるthp1を上回ったときにタイマカウンタがスタートされ、その後所定時間Th_t1経過したt4の時点で故障判定されることになる。
[比較例2]
図13には、本実施形態の電磁比例制御弁の制御方法を実施しないで駆動制御を行った場合の可動子のリフト量、電流値、コモンレール圧、及びレール圧偏差それぞれの推移が示されている。それぞれ、破線A´´は可動子の目標リフト量、実線B´´は可動子の実リフト量、実線C´´はソレノイドに与えられる電流値、破線D´´はコモンレールの目標レール圧、実線E´´はコモンレールの実レール圧、実線F´´はレール圧偏差の推移を示している。
図13には、本実施形態の電磁比例制御弁の制御方法を実施しないで駆動制御を行った場合の可動子のリフト量、電流値、コモンレール圧、及びレール圧偏差それぞれの推移が示されている。それぞれ、破線A´´は可動子の目標リフト量、実線B´´は可動子の実リフト量、実線C´´はソレノイドに与えられる電流値、破線D´´はコモンレールの目標レール圧、実線E´´はコモンレールの実レール圧、実線F´´はレール圧偏差の推移を示している。
t0〜t1の間は実レール圧(E´´)が一定値P1であるために、いずれの値も変化しない状態で推移している。この後、t1の時点でアクセルがOnにされて、t1〜t2にかけて目標レール圧(D´´)がP2まで上昇したため、これに対応して燃料流量を増加させるためにソレノイドに与えられる電流値(C´´)は低下している。また、これに伴い、可動子の目標リフト量(A´´)も減少している。ただし、可動子の摺動不良が生じているために、可動子の実際のリフト量(B´´)は変化せず、これに伴ってコモンレールの実レール圧(E´´)も変化していない。その結果、レール圧偏差(F´´)は次第に大きくなっている。
この状態でt2になると、目標レール圧(D´´)はP2で定常に維持されるようになるが、t1の時点から可動子の実リフト量(B´´)に変化がないために、コモンレールに供給される燃料流量が常に不足する状態となり、コモンレールの実レール圧(E´´)は継続的に低下し、レール圧偏差(F´´)は次第に大きくなる。その後、コイルばねによる付勢力と電磁力との差が摺動摩擦抵抗を上回るt3の時点で、可動子が突如として移動し始める。そうすると、t4の時点以降、コモンレールに供給される燃料流量が急激に増大する結果、実レール圧(E´´)も急激に上昇しオーバーシュートを生じている。これに伴って、レール圧偏差(F´´)は急激に減少し、実レール圧(E´´)が目標レール圧P2を超えると、今度は、レール圧偏差(F´´)が大きくなるために、実レール圧(E´´)を小さくする方向に制御されアンダーシュートを生じている。この動作が繰り返されて、レール圧にハンチング現象が生じている。
以上説明したように、本発明の流量制御用電磁比例制御弁によれば、可動子のスムーズな軸方向移動を可能にできるとともに、偏荷重による偏磨耗の発生を低減させて、安定的に流量制御を行うことができる流量制御用電磁比例制御弁を提供することができるようになった。
したがって、上述の実施形態では、内燃機関に供給する燃料の流量を制御するための電磁比例制御弁を例にとって説明したが、これ以外にも、主として液体の流量制御を目的として、種々の分野において用いることができる。
したがって、上述の実施形態では、内燃機関に供給する燃料の流量を制御するための電磁比例制御弁を例にとって説明したが、これ以外にも、主として液体の流量制御を目的として、種々の分野において用いることができる。
2:コモンレール、3:インジェクタ、4:ポンプユニット、5:燃料タンク、7:フィルタ、8:駆動制御ユニット、8A:マイクロコンピュータ、8B:制御コントロールユニット(CPU)、8C:フライホイールダイオード、8D:スイッチングトランジスタ、8E:検出抵抗器、9:圧力センサ、32・33:高圧ポンプ、37・38:高圧プランジャ、41:フィードポンプ、42・43:加圧室、45・46:逆止弁、47・48:逆止弁、49:オーバーフローバルブ、51:樹脂部分、52:ケース、52b:シリンダ部分、55:外部ケーシング、60:ソレノイド、64:ソレノイドコイル、70:可動子、72:アンカー、74:プッシュロッド、78:ブッシュ、80:マグネティックコア、81:可動子シリンダ部、80f:フランジ部、82:ピストンシリンダ部、82h:孔、83:ガイド部、84:ポート、85:通路、90:弁部材、92:スリット、94:コイルばね、96:スプリングシート
Claims (9)
- 駆動用電磁ソレノイドの電磁力と、前記電磁力とは反対の方向に作用するバネ力と、によって軸方向に移動する可動子を備え、前記駆動用電磁ソレノイドのコイルに供給される電気的エネルギを制御することにより前記可動子の移動量を変化させて弁の開度を調節し、流体の流量を比例制御する流量制御用電磁比例制御弁の制御方法において、
前記電気的エネルギの値を減少させる方向に前記可動子を移動させる際に、前記電気的エネルギの値を前記可動子の目標位置に対応する目標値よりも一時的に小さくした後、前記目標値に戻すことを特徴とする流量制御用電磁比例制御弁の制御方法。 - 前記電磁力と前記バネ力との差が、前記可動子の摺動摩擦抵抗よりも大きくなるように前記電気的エネルギの値を一時的に小さくすることを特徴とする請求項1に記載の流量制御用電磁比例制御弁の制御方法。
- 前記流量制御用電磁比例制御弁はコモンレールシステムのポンプの流量を制御し、コモンレールのレール圧を制御するための弁であり、前記コモンレールの目標レール圧と実レール圧との偏差が所定のしきい値を越えたときに、前記電気的エネルギの値を前記目標値よりも一時的に小さくする制御を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の流量制御用電磁比例弁の制御方法。
- 前記電気エネルギの値を所定時間一時的に小さくすることを特徴とする請求項3に記載の流量制御用電磁比例制御弁の制御方法。
- 前記目標レール圧と前記実レール圧との偏差が所定値未満となるまで、複数回繰返し、前記電気的エネルギの値を一時的に小さくすることを特徴とする請求項3又は4に記載の流量制御用電磁比例制御弁の制御方法。
- 前記目標レール圧と前記実レール圧との偏差が所定値未満となるまでの間、前記電気的エネルギの値を一時的に小さくすることを特徴とする請求項3に記載の流量制御用電磁比例制御弁の制御方法。
- 前記実レール圧が前記目標レール圧に到達する以前に前記電気的エネルギの値を前記目標値に戻すことを特徴とする請求項5又は6に記載の流量制御用電磁比例制御弁の制御方法。
- 駆動用電磁ソレノイドの電磁力と、前記電磁力とは反対の方向に作用するバネ力と、によって軸方向に移動する可動子を備え、前記駆動用電磁ソレノイドのコイルに流れる電気的エネルギを制御することにより前記可動子の移動量を変化させて弁の開度を調節し、流体の流量を比例制御する流量制御用電磁比例制御弁の制御装置において、
前記可動子を目標位置に移動させるために、前記駆動用電磁ソレノイドに対して供給すべき前記目標位置に対応する値の電気的エネルギを演算するための電気的エネルギ演算手段と、
前記電気的エネルギの値を減少させる方向に前記可動子を移動させる際に、前記電気的エネルギの値を前記可動子の目標位置に対応する目標値よりも一時的に小さくした後、前記目標値に戻すための制御手段と、
を備えることを特徴とする流量制御用電磁比例制御弁の制御装置。 - 駆動用電磁ソレノイドの電磁力と、前記電磁力とは反対の方向に作用するバネ力と、によって軸方向に移動する可動子を備え、前記駆動用電磁ソレノイドのコイルに流れる電気的エネルギを制御することにより前記可動子の移動量を変化させて弁の開度を調節し、流体の流量を比例制御するようにしたコモンレールシステムのポンプの流量制御用電磁比例制御弁の制御装置において、
前記可動子を目標位置に移動させるために、前記駆動用電磁ソレノイドに対して供給される前記目標位置に対応する値の電気的エネルギを演算するための電気的エネルギ演算手段と、
コモンレールの目標レール圧と実レール圧との偏差を所定のしきい値と比較するためのレール圧偏差比較手段と、
前記レール圧偏差が前記しきい値以上である状態で前記電気的エネルギの値を減少させる方向に前記可動子を移動させる際に、前記電気的エネルギの値を前記可動子の目標位置に対応する目標値よりも一時的に小さくした後、前記目標値に戻すための制御手段と、
を備えることを特徴とするコモンレールシステムのポンプの流量制御用電磁比例制御弁の制御装置。
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