JP2009030736A - 高硬度アルミニウム合金製ねじ部品 - Google Patents

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Abstract


【課題】比較的軟質なワークに使用可能でアルミニウム合金のリサイクル性を高める高硬度アルミニウム合金製ねじ部品を得る。
【解決手段】アルミニウム合金製のねじ素材1aの脚部3にねじ山10を転造加工し、更に、ねじ素材1aに熱処理を施し、ねじ素材1aに250gr/l〜350gr/lの範囲の硫酸と、15gr/l〜25gr/lの範囲の硫酸ニッケルとを含む第1の溶液と、280gr/l〜320gr/lの範囲で、低重合アクリル樹脂組成物を添加した第2の溶液とを混合し、浴液温度が−10℃〜+25℃の範囲で、電圧がDC10V〜200Vの範囲で、電流密度が0.5A/dm〜20A/dmの範囲での条件で複合硬質酸化被膜30を施した高硬度アルミニウム合金製ねじ部品であるので、アルミニウム合金製の鋳物や板材等の下穴にアルミニウム合金製のねじ部品を直接ねじ込むことが可能になる。
【選択図】図1

Description

本発明は、アルミニウム合金あるいはマグネシウム合金等の軟質材製のワークに部品を取り付けるためのねじであって、このような軟質材製のワークに形成された下穴に雌ねじを形成しながらねじ込んだり、ワークに下穴を開けると同時に雌ねじを形成しながらねじ込まれる高硬度アルミニウム合金製ねじ部品に関する。
近年多く普及している携帯電話、パソコン及び携帯型音楽プレーヤ等の電気製品や自動車部品等においては、その軽量化、小型化及び加工性の良さからアルミニウム合金やマグネシウム合金が多く使用されており、このような軟質材製のワークに部品を取り付けるために多くのねじ部品が使用されている。このねじ部品は前記軟質材製のワークへの締結強度を維持する必要から各種開発されているが、これらは全てワークに雌ねじが形成されたねじ込み用下穴としての雌ねじ穴をあらかじめ形成し、これにねじ部品をねじ込んでおり、未だにこれら軟質材製のワークと同一種類の材料で雌ねじを形成しながらあるいはワークに下穴を開けながら安定してねじ込むことのできる強度の高いねじ部品の製品化が十分に進んでいない。
このようなアルミニウム合金製のねじとして特公平7−92101号公報に示すようなものも開発されている。これは、アルミニウム合金製ボルトの製造方法に関するものであり、7000系アルミニウム合金製の線材を冷間圧造してボルト形状に成形した後、480℃を超える温度からの急冷と150〜220℃の範囲内での時効処理とを含む熱処理を加え、次いで亜鉛メッキ、クロム酸酸化、及び陽極酸化から選択されたいずれかの表面処理を行うようにしてボルトを製造する方法である。このような工程によりボルトを製造しているのは、圧造によって乱れた材料内部の結晶構造の歪みを緩和するとともに結晶粒界を強化するためであり、応力腐食発生を防ぐのに必要とされている。このような製造方法におけるボルトのねじ山としては図8及び図9に示すような形状が一般的に用いられており、特に、従来から使用されている鉄鋼材料製のボルトによりワークの下穴に雌ねじを形成しながらねじ込む場合、このねじ山110のねじ山頂角(α)がJIS規格により設定された角度即ち、60°に形成されており、これにより、雌ねじの成形を容易にしている。そして、これと同様の形状に冷間圧造成形されたアルミニウム合金製のボルトをワークに使用することで、製品全体の重量の軽量化を可能にしている。
特公平7−92101号公報
しかしながら、一般に普及している前記ねじ山形状を有するボルトあるいはねじの素材をアルミニウム合金製とした場合、これに硬質陽極酸化処理、所謂、硬質アルマイト処理を行って製品化を行っても、強度は増すが、アルミニウム材を素材として冷間圧造成形した場合、特に、ねじ山を転造加工により成形すると、ねじ山はほぼ成形されるが、転造加工による素材の流れが複雑になり、図9に示すように、ねじ山の谷部の表面には肌荒れが生じ、この肌荒れが生じた表面に前記硬質陽極酸化処理を施してもこの肌荒れ面が障害となって十分な耐食性を有する被膜を維持させることができない。更に、ねじが比較的小さい場合、この肌荒れがねじ込み抵抗となってねじ込み作業に影響し、ねじ込みトルクが増大し、自動ねじ締め機によるねじ込み時のトルク管理に悪影響を及ぼしている。しかも、図8に示すように、ねじ山頂角(α)は通常60°に設定してあり、その頂部113及び入り隅部114(ねじ山谷面とフランク面との交叉部)は角を有していることから、このようなねじに硬質陽極酸化処理を施してもねじ山頂部や入り隅部の角には被膜が形成されず、筋状の割れや隙間117が発生したり、被膜が極端に薄く形成されたりし、このようなねじ部品をワークにねじ込んだ際にこの部分からねじ山の潰れが生じやすい。この原因は表面を覆う被膜の厚さが30〜40μmと薄いためねじ山のように凹凸が多いとこの境には十分な厚さが得られないとともに表面硬度もHv300〜350と低いことに起因している。そして、ねじとワークの下穴との間で凝着状態が生じ、ねじは完全にねじ込まれず、ワークからねじの座面が浮いた状態、所謂、ねじ浮き現象が生じている。しかも、ワークがアルミニウム合金製あるいはこれに類似の性質を有するマグネシウム合金製で、これに使用するねじが鉄製あるいはステンレス製であると、アルミニウム合金製のねじを使用した場合に比べてねじとワークとの間の電位差が高くなり、その間に水分が介在すると、ねじとワークとの間に接触腐食が発生し、腐食の原因となっている。その上、熱伝導効率の高いアルミニウム合金やマグネシウム合金製等のように放熱効果の大きいワーク例えば、窓枠などのアルミサッシに鉄あるいはステンレス製のねじ部品を使用すると、これらねじ部品は熱伝導効率が低いため、室内温度に短時間に対応できないのでねじ部品に水滴が付着する。一方、アルミニウムやマグネシウム合金等の軟質材と鉄やステンレス材とはその膨張係数が異なることから即ち、軟質材は鉄やステンレス材とはその膨張係数が大きいので、これらワークとねじ部品との間に隙間が生じ、前記水滴が繰り返しこの隙間に入り込み腐食が進行しやすい等の諸々の課題を有している。
本発明の目的は、このような課題を解消するとともに比較的軟質なアルミニウム合金あるいはマグネシウム合金製のワークに使用可能でアルミニウム合金のリサイクル性を高めることを可能にした高硬度アルミニウム合金製ねじ部品を得ることである。
本発明の目的は、駆動穴4を有する頭部2とこれと一体の脚部3とから構成され、この脚部3にねじ山10が形成されたねじ部を有するねじ素材1aに表面処理を施したねじ部品において、前記ねじ素材1aをアルミニウム合金製とし、ねじ素材1aの脚部3にねじ山10を転造加工し、更に、前記頭部2とねじ山10が形成された脚部3とからなるアルミニウム合金製のねじ素材1aにT73処理の熱処理を施し、この熱処理を施したねじ素材1aに250gr/l〜350gr/lの範囲の硫酸と、15gr/l〜25gr/lの範囲の硫酸ニッケルとを含む水溶液からなる第1の溶液と、280gr/l〜320gr/lの範囲で、低重合アクリル樹脂組成物を添加した第2の溶液とを混合した混合溶液を用い、しかも、浴液温度が−10℃〜+25℃の範囲で、電圧がDC10V〜200Vの範囲で、電流密度が0.5A/dm〜20A/dmの範囲での条件により複合硬質陽極酸化被膜30を施した高硬度アルミニウム合金製ねじ部品を提供することで達成される。
また、本発明の目的は、前記構成に加えて、ねじ素材はAl−Zn−Mg系であって、JIS規格の材料記号A7050、A7075のアルミニウム合金に圧造及び転造加工を施した高硬度アルミニウム合金製ねじ部品であるので、ねじ部品の心部の強度も向上するとともにこれに複合硬質陽極酸化被膜を施すことでより硬度の高いアルミニウム合金製ねじ部品の表面が得られる。
本発明によれば、アルミニウム合金製の鋳物や板材等の軟質材製のワークの下穴にアルミニウム合金製のねじ部品で直接雌ねじを形成しながらねじ込むことが可能になる。また、このねじ部品は低重合アクリル樹脂組成物を含有している複合硬質陽極酸化被膜で表面処理がなされているので、ねじ山を構成するフランク面とねじ山頂面及びねじ山谷面との間の角に割れやひび状の隙間が発生せずに滑らかに形成されから腐食の発生原因が解消され、耐食性が向上する。更に、転造加工においてねじ山表面に肌荒れが発生しても、前記処理で肌荒れが図7のように解消され、従来のように、ねじ込み作業において大きな悪影響を与える要因がなくなる。その上、この複合硬質陽極酸化処理はアルミニウム合金製のねじ部品の表面に対して40〜80μmという厚い硬化被膜層が形成されるので、ねじ山が潰れることなくねじ込み可能となることからねじ込みトルクが安定し、自動ねじ締め機によるねじ込み時のトルク管理がやりやすい。しかも、ねじ山頂角が60°〜70°に設定されたアルミニウム合金製のねじ部品にこのように従来より厚い硬化被膜層が均等に形成されることで、ねじ山に筋状の割れが発生したり、被膜が部分的に薄く形成されたりすることがない。このため、ワークにねじ込んだ際に凝着状態とならず、ねじ部品は確実にねじ込まれて座面がワークに常時着座可能になり、安定したねじ込み作業が得られる。
その上、ねじ素材はAl−Zn−Mg系であって、JIS規格の材料記号A7050、A7075のアルミニウム合金材料とし、この材料に圧造及び転造加工を施してから、T73処理による熱処理を加えた後、このねじ素材に複合硬質陽極酸化処理を施したねじ部品とすることで、例えば、ワークがアルミニウム合金ダイキャスト(JIS規格のADC12)であっても、このねじ部品の表面硬度がHv350を超える高い値で、これの心部硬度がHv170〜200であることから、下穴に雌ねじを形成しながらねじ込む、所謂タッピンねじとしての使用が可能になるとともに先端にドリル部を有するドリリングねじとして使用してもねじ山が潰れることがない。更に、アルミサッシ等に使用してもねじとの間で材料の違いから生じる電位差が少ないので、電位差の高いねじ部品の使用により生じる接触腐食の発生がなく、寿命も長い。その上、ねじ部品とワークとの材質の違い、例えば、アルミサッシをステンレス製ねじを用いて組み立てた場合に比べて、アルミニウム合金製のねじ部品を使用した場合は熱伝導率がほとんど同じでこのため、放熱効果に差が生じないので、結露の発生も減少する。しかも、ワークとねじ部品とは膨張係数が同じであることからねじ込まれたねじ部品とワークとの間にほとんど隙間が発生せず、結露により生じた水滴が繰り返しこの隙間に入り込むといったこともなく、これが原因での腐食進行も減少する。その上、複合硬質陽極酸化被膜を施すことでねじ素材には大きな放熱効果が付与されることからラジエータ、ヒートシンク等の部品にも積極的に使用することができる。
また、このように複合硬質陽極酸化被膜を施したねじ部品の脚部に潤滑剤を塗布することで、このポーラスに潤滑剤が浸透するから潤滑効果が長く且つ効率よく得られる。更に、アルミニウム合金製のねじ部品は比重や引っ張り強さで樹脂材と類似した性質があり、このため、軽量化に貢献できるとともに締結ヶ所でねじ部品に負荷がかかりにくい。更に、ワークとこれにねじ込まれているねじ部品とは共にアルミニウム合金であるので、再利用における分別処理が不要になり、リサイクル率が向上する等の特有の効果がある。
以下、本発明の実施の形態を図1乃至図7に基づき説明する。図2及び図3において、1は頭部2とこれに一体に形成された脚部3とからなるアルミニウム合金製で且つ雌ねじ成形機能を有する高硬度アルミニウム合金製のねじ部品の一例としてのタッピンねじである。前記頭部2にはタッピンねじ1にドライバビット(図示せず)からねじ込み駆動力が伝達される駆動穴4が形成されている。この頭部2と一体の前記脚部3には一条のねじ山10が頭部2の座面5の近くから脚部3の先端にかけて形成してあり、この脚部3の途中から頭部側にかけては一般的なタッピンねじと同様の高さで、その高さの等しい完全ねじ山部が形成された通常ねじ山部11となっている。また、この通常ねじ山部11に連続して脚部3の先端にはねじ山10が先端に達するにつれて高さが低くなった不完全ねじ山部となっている案内ねじ山部12が形成してあり、これら通常ねじ山部11と案内ねじ山部12とからなるねじ部のねじ山10の稜線を形成するねじ山頂点部はその全長に渡って平坦な頂面13となっており、ねじ山断面が略台形形状に形成されている。そして、前記通常ねじ山部11及び案内ねじ山部12に渡ってねじ山の稜線を形成している。
このねじ山の山と山との間即ち、ねじ山のピッチ間には平坦な谷面14が形成してあり、このねじ山形状は一般的なJISに規定されたタッピンねじと同様な形状となっている。また、図1に示すように、ねじ山10はその角度がリード線に対する直角断面においてそのねじ山10を形成する追い側フランク面15と進み側フランク面16とから構成されており、角度(α)は60°〜70°の範囲に設定されている。
更に、この脚部3は図3に示すように、その軸直角断面が略三角形状となっており、ねじ込み時の雌ねじ形成時の抵抗が僅かでも軽減されるようになっている。しかも、前記案内ねじ山部12の先端近くに位置する前記略三角形状の三頂点で形成される軌跡円直径はワーク(図示せず)に形成されている下穴(図示せず)の直径と同径かこれより僅かに大きくて前記通常ねじ山部11より小さいねじ山径に設定されている。このため、ねじ込み開始時における下穴には僅かにねじ山稜線による筋状の雌ねじ(図示せず)が形成される程度となっている。
しかも、この案内ねじ山部12が通常ねじ山部11に達するにつれてねじ山10が高くなっていることから、このタッピンねじ1をねじ込むにつれて前記下穴には雌ねじが形成されるようになっている。尚、前記実施の形態では脚部3の軸直角断面が略三角形状のタッピンねじ1により説明したが、脚部3を円形形状としたタッピンねじであってもよく、この場合は、前記略三角形状となったタッピンねじ1に比べてねじ山10と雌ねじとの接触ヶ所が多くなることから僅かにねじ込み時のトルクが高くなる傾向がある。
図5はこのようなアルミニウム合金製のタッピンねじ1を加工するための製造工程図であり、20は所定長さのアルミニウム合金素材(図示せず)に頭部2を形成するための圧造加工工程である。この工程で頭部2が形成された素材は次に配置されている転造加工工程21に移り、脚部3の外周にねじ山10が転造されるようになっている。このようにして得られたねじ素材1aには次の熱処理工程22においてJISに定められているT73処理による熱処理が施され、続いて複合硬質陽極酸化処理工程23に移り、図1及び図4に示すように前記アルミニウム合金製のタッピンねじ1にはその素材表面に複合硬質陽極酸化被膜30が施されるようになっている。
この処理は、図示しないが、カーボン・グラファイト等の非消耗電極を配置した構造となっている電解槽内には、250gr/l〜350gr/lの範囲の硫酸と、15gr/l〜25gr/lの範囲の硫酸ニッケルとを含む水溶液からなる第1の溶液と、280gr/l〜320gr/lの範囲で、低重合アクリル樹脂組成物を添加した第2の溶液とを混合した混合溶液が前記非消耗性電極及び処理部品としてのねじ部品であるタッピンねじ1のねじ素材1aを浸すように貯められており、そして、この処理部品に交流電源から電流を通電することで処理部品としてのねじ素材1aに複合硬質陽極酸化被膜30が形成されるものである。しかも、この処理の条件は、溶液温度が−10℃〜+25℃の範囲で、電圧がDC10V〜200Vの範囲で、電流密度が0.5A/dm〜20A/dmの範囲にすることで、複合硬質陽極酸化処理が行われるようになっている。この複合硬質陽極酸化処理は通常行われている硬質アルマイト処理に比べてその被膜の機械的性質が向上しており、具体的には処理品の表面硬度はHv350を超える高い値で、硬化被膜層の厚さは40〜80μmとなっている。このように本発明を構成する複合硬質陽極酸化処理は高硫酸イオン濃度、低温、高電流密度という条件で陽極酸化処理を行う点が従来の陽極酸化処理(アルマイト処理)とは全く異なる処理である。
また、第2の溶液に添加される前記低重合アクリル樹脂組成物としては、例えば、重量百分比で、ヒドロキシプロピルメタクリレート68%と、ネオペンチルグリコールジメタクリレート10%と、ポリプロピレングリコールメタクリレート19.5%と、1,6ヘキサンジオールジグリシジルエーテル1%と、ブチルパーオキシオクトエイト1%と、ハイドロキノンモノメチルエーテル500ppmと、ジシアンジアミド0.3%とからなるものが好適に用いられる。この低重合アクリル樹脂組成物を添加した第2溶液を第1溶液に混合した混合溶液により酸化アルミとアクリル樹脂組成物の複合した硬質陽極酸化被膜が形成される。
このような複合硬質陽極酸化処理工程23による複合硬質陽極酸化被膜30は図6に示すように、アルミニウム合金製のねじ素材1aの表面に形成されたバリア層31と、その上に形成された多孔性被膜部32と、その多孔質層内に浸透、固定されたアクリル樹脂組成物被膜部33とからなる構造であり、これらの両被膜部32及び33によって強固且つ緻密な複合硬質陽極酸化被膜30が形成されている(図7参照)。この複合硬質陽極酸化被膜30はバリア層31に近い部分ほど硬度が上がり緻密となっている。
この処理は一般的にJIS規格に示されているアルミニウム合金の材料記号1000、2000、5000、6000、7000番台及びその他のものを用いて製造されたねじ部品に使用されており、その中でも特に、Al−Zn−Mg系であって、JIS規格の材料記号A7050、A7075のアルミニウム合金で、頭部2の圧造及び脚部3にねじ山転造加工を施してねじ素材1aを形成し、これにJISに定められたT73処理による熱処理を加えてから、複合硬質陽極酸化処理を施すことにより得られるねじ部品はタッピンねじ1には最も好適である。このT73処理はJIS規格の材料記号A7050、A7075の合金で必要な処理であり、アルミニウム合金の種類が変われば当然にこの処理の必要ないものや異なる他の処理が必要になるものがあることは当然に理解されることである。
このような処理により得られたタッピンねじ1であっても十分に使用可能であるが、更に図5に示すように、この処理に続いて配置されている潤滑処理工程24にタッピンねじ1を移すと、タッピンねじ1にはその表面に潤滑剤(図示せず)が付着され、これにより潤滑効果が得られる。一方、前記複合硬質陽極酸化処理工程23においてねじ1の表面には微細な孔(図示せず)即ち、ポーラスが無数に形成されているので、前記潤滑剤はこの孔に浸透可能となり、潤滑剤をねじ表面に付着させただけのタッピンねじ1に比べて、このようにポーラスに潤滑剤を含浸させたタッピンねじ1の製品25はねじ込み作業中のねじ込み抵抗を更に少なくすることができ、ワークとの焼き付きが発生するといったことが確実に解消される。
尚、これらの実施の形態では、主としてワークの下穴に雌ねじを形成しながらねじ込むタッピンねじ1について説明したが、これ以外に例えば、図示しないが、ワークに直接下穴を開け、続いてこれに雌ねじを形成しながらねじ込む、ドリル部を一体に形成した、所謂ドリリングねじ(図示せず)に使用することもできる。また、これらの実施の形態以外のアルミ合金製の小ねじに前記複合硬質陽極酸化被膜を施すことも可能であることは言うまでもない。
このようにして得られたアルミニウム合金製のタッピンねじ1をあらかじめワークに形成されている下穴に対してねじ込みを開始すると、ねじ込み開始時には図2及び図3に示されたタッピンねじ1の脚部3の案内ねじ山部12が下穴に押し込まれる。この状態においてタッピンねじ1は回転しているから続いて、空転することなく、下穴に食い付いて雌ねじが形成されながらねじ込まれる。
このねじ込み作業により、雌ねじが形成されることになり、通常ねじ山部11のねじ山10は雌ねじへの接触が緩和された状態となってねじ込まれる。このようにしてタッピンねじ1の座面5がワークに着座すると、ねじ込み作業は完了する。このようなねじ込み作業において、タッピンねじ1には潤滑剤(図示せず)が付着含浸しているので、ワークとの間にはその潤滑剤が介在することになり、タッピンねじ1とワークとの間に大きな接触抵抗が生じず、滑らかなねじ込み作用が得られる。
本発明の実施の形態を示す拡大部分断面正面図である。 本発明の実施の形態であるタッピンねじの全体正面図である。 図2の右側面図である。 図1の拡大要部断面図である。 本発明に係るねじ部品の製造工程を示す概略工程図である。 本発明に係るねじ部品の被膜部分の拡大断面図である。 本発明に係るねじ部品のねじ山部分を示す拡大写真である。 本発明の従来例の拡大要部断面図である。 本発明の従来例を示すねじ山部分を示す拡大写真である。
符号の説明
1 タッピンねじ
1a ねじ素材
2 頭部
3 脚部
4 駆動穴
5 座面
10 ねじ山
11 通常ねじ山部
12 案内ねじ山部
13 頂面
14 谷面
15 追い側フランク面
16 進み側フランク面
20 圧造加工工程
21 転造加工工程
22 熱処理工程
23 複合硬質陽極酸化処理工程
24 潤滑処理工程
25 製品
30 複合硬質陽極酸化被膜
31 バリア層
32 多孔性被膜部
33 アクリル樹脂組成物被膜部

Claims (2)

  1. 駆動穴(4)を有する頭部(2)とこれと一体の脚部(3)とから構成され、この脚部にねじ山(10)が形成されたねじ部を有するねじ素材(1a)に表面処理を施したねじ部品において、
    前記ねじ素材をアルミニウム合金製とし、ねじ素材の脚部にねじ山を転造加工し、更に、前記頭部とねじ山が形成された脚部とからなるアルミニウム合金製のねじ素材にT73処理の熱処理を施し、この熱処理を施したねじ素材に250gr/l〜350gr/lの範囲の硫酸と、15gr/l〜25gr/lの範囲の硫酸ニッケルとを含む水溶液からなる第1の溶液と、280gr/l〜320gr/lの範囲で、低重合アクリル樹脂組成物を添加した第2の溶液とを混合した混合溶液を用い、しかも、浴液温度が−10℃〜+25℃の範囲で、電圧がDC10V〜200Vの範囲で、電流密度が0.5A/dm〜20A/dmの範囲での条件により複合硬質陽極酸化被膜(30)を施したことを特徴とする高硬度アルミニウム合金製ねじ部品。
  2. ねじ素材はAl−Zn−Mg系であって、JIS規格の材料記号A7050、A7075のアルミニウム合金に圧造及び転造加工を施したことを特徴とする請求項1記載の高硬度アルミニウム合金製ねじ部品。
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