JP2009030686A - 可変容量型流体圧ポンプモータ式変速機の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】可変容量型油圧ポンプモータ式変速機において、切替機構の切り替え動作を伴う固定変速段を跨いだ変速時に、動力源の吹き上がりを防止する。
【解決手段】2つの油圧ポンプモータが、一方の押出容積がゼロの場合に他方がロックされるとともに、油圧ポンプモータがロックされた場合に、それぞれ動力源からの動力を出力部材に伝達する所定の変速比の伝動機構と、それらの伝動機構を選択的に動力伝達可能にする切替機構とを備え、いずれかの伝動機構の変速比で決まる固定変速段と、無段変速状態とを設定するように構成された可変容量型油圧ポンプモータ式変速機の制御装置において、固定変速段を跨いで変速比を変化させる変速を行う場合に、変速機の入力回転数が理論入力回転数よりも所定値だけ高い段階で、変速制御の目標入力回転数を低下する入力回転数低下手段(ステップS2〜S4)を備えている。
【選択図】図3

Description

この発明は、圧力流体を相互に授受できる2つの可変容量型流体圧ポンプモータと、それぞれの可変容量型流体ポンプモータによって伝達されるトルクを出力部材に伝達する2つの伝動機構と、それぞれの伝動機構を動力伝達可能状態と動力伝達不可能状態とに切り替える切替機構とを備え、いずれかの伝動機構の変速比で決まる固定変速段と、各可変容量型流体ポンプモータ同士の間で圧力流体を介して伝達する動力を変化させることによる無段変速状態とを設定可能な変速機の制御装置に関するものである。
この種の変速機が特許文献1に記載されている。その構成を簡単に説明すると、一対の遊星歯車機構のそれぞれにおける反力要素に可変容量型流体圧ポンプモータが連結され、各可変容量型流体圧ポンプモータの吐出口同士、および吸入口同士が互いに連結されて閉回路が形成されている。また、各遊星歯車機構における入力要素にはエンジンなどの動力源が出力した動力が入力されるように構成されている。さらに、各遊星歯車機構の出力要素と一体の中間軸上には、いわゆる固定変速段もしくは固定変速比を設定するための駆動ギヤが配置され、それぞれの駆動ギヤに噛み合っている従動ギヤが出力軸上に配置されている。そして、これらの駆動ギヤと従動ギヤとからなる各ギヤ対をトルクの伝達可能な状態とトルクを伝達しない状態とに切り替える切替機構として同期連結機構(いわゆるシンクロ)が設けられている。
したがって、いずれかの可変容量型流体圧ポンプモータをロックして前記反力要素を固定すれば、動力源が出力した動力が、その反力要素を有する遊星歯車機構を介して一方の中間軸に伝達され、さらにその中間軸に対してシンクロによって連結されているギヤ対を介して出力軸に動力が伝達される。その場合の変速比は、動力の伝達に関与している前記ギヤ対のギヤ比に応じた変速比となる。
この場合の可変容量型流体圧ポンプモータのロックは、他方の可変容量型流体圧ポンプモータの押出容積をゼロすなわち最小にすることにより設定される。すなわち、各流体圧ポンプモータは閉回路によって連通されているので、他方の流体圧ポンプモータの押出容積をゼロにすれば、圧力流体の流動が生じなくなるので、一方の流体圧ポンプモータの押出容積を最大にするなど、ゼロより大きい押出容積とすることにより、その一方の流体圧ポンプモータがロックされ、その回転が阻止される。
また、各可変容量型流体圧ポンプモータの押出容積をゼロより大きくするとともに、一方の可変容量型流体圧ポンプモータ側のシンクロによって所定のギヤ対をトルク伝達可能な状態とし、かつ他方の可変容量型流体圧ポンプモータ側のシンクロによって他のギヤ対をトルク伝達可能な状態にすると、各ギヤ対のギヤ比に応じて決まる変速比の中間の値の変速比が設定される。すなわち、一方の可変容量型流体圧ポンプモータが圧力流体を発生させ、これが他方の可変容量型流体圧ポンプモータに供給されてこれがモータとして動作し、その動力が他方のギヤ対を介して出力軸に伝達される。その結果、出力軸には、このような流体を介して伝達された動力と、一方の可変容量型流体圧ポンプモータを介して機械的に伝達された動力とを合成した動力が現れる。そのうちの流体を介した動力は、各可変容量型流体圧ポンプモータの押出容積を連続的に変化させることにより連続的に変化させることが可能であるから、結局、変速機の全体としての変速比を連続的に、すなわち無段階に設定することができる。
特開2006−266493号公報
上記の特許文献1に記載されている変速機では、いずれかのギヤ対のギヤ比に応じた変速比すなわち固定変速段(固定変速比)を超えて変速する場合、シンクロを切り替え動作させることにより、動力の伝達に関与するギヤ対を変更することになる。より具体的には、一方の中間軸側のシンクロをいわゆる係合状態に維持したまま、他方の中間軸側のシンクロをニュートラル位置に移動させ、かつ他のギヤ対側に移動させてそのギヤによって動力を伝達するいわゆる係合状態に切り替える。その切り替えの過程では、一旦、固定変速段を設定し、その状態でトルクの伝達に関与していない方のシンクロを切り替えることになる。すなわち、押出容積がゼロの可変容量型流体圧ポンプモータに繋がっているシンクロを切り替え動作させることになる。
したがって、特許文献1に記載されている変速機では、固定変速段を跨いで変速比を変化させる場合、変速比が固定変速段になった状態でシンクロの切り替えが行われる。そのため、シンクロの切り替え動作が完了するまでの間は、変速比の変化は一時的にその固定変速段で固定されることになる。その結果、動力源として例えばエンジンの回転数と変速機の変速比とを適切に協調制御できなくなる場合がある。
例えば、運転者の加速要求により加速されながらアップシフトする場合には、変速比が固定変速段に到達するまでの間は、車速の上昇に伴って変速比が連続的に低下させられ、すなわち無段階にアップシフトされるため、エンジン回転数は燃費や出力を考慮した適切な所定の回転数で一定に維持される。しかしながら、変速比が固定変速段になると、さらにアップシフトさせるためには、上述したようにシンクロを切り替え動作させる必要があり、そのシンクロの切り替え動作が完了するまでの間は変速比を変化させることができなくなる。そのため、車速の上昇に追従してアップシフトすることができなくなり、その結果、エンジン回転数が一時的に急増するいわゆるエンジンの吹き上がりが生じてしまうおそれがあった。
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであり、可変容量型流体圧ポンプモータを使用した無段変速機において、切替機構の切り替え動作を伴う固定変速段を跨いだ変速であっても、動力源の吹き上がりのない、もしくは抑制した変速を可能にする制御装置を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、可変容量型の第1流体圧ポンプモータと第2流体圧ポンプモータとが、いずれか一方の押出容積がゼロの場合に他方が圧力流体の給排を阻止されてロックされるように相互に連通されるとともに、前記第1流体圧ポンプモータがロックされた場合に動力源からの動力を出力部材に伝達する第1伝動機構と、前記第2流体圧ポンプモータがロックされた場合に動力源からの動力を前記出力部材に伝達する第2伝動機構と、前記各伝動機構を選択的に動力伝達可能な状態にする切替機構とを備え、いずれかの前記伝動機構の変速比で決まる固定変速段と、前記各流体圧ポンプモータ同士の間で圧力流体を介して伝達する動力を連続的に変化させることによる無段変速状態とを設定することが可能なように構成された可変容量型流体圧ポンプモータ式変速機の制御装置において、前記固定変速段を跨いで変速比を変化させる変速制御を行う場合に、前記変速機の入力回転数が、前記固定変速段が設定された状態における前記変速機の入力回転数の理論値である理論入力回転数よりも閾値として予め設定した所定値だけ高い入力回転数になった段階で、前記変速制御での目標入力回転数を低下する入力回転数低下手段を備えていることを特徴とする制御装置である。
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記所定値が、所望する前記固定変速段の状態での走行時間に基づいて設定されることを特徴とする制御装置である。
また、請求項3の発明は、請求項1または2の発明において、前記入力回転数低下手段が、前記変速機の入力回転数が前記動力源の許容回転数の近傍でかつその許容回転数を超えない所定範囲内にあるときに前記目標入力回転数を低下する制御を実行する手段を含むことを特徴とする制御装置である。
また、請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかの発明において、前記入力回転数低下手段が、前記目標入力回転数を前記理論入力回転数まで低下する手段を含むことを特徴とする制御装置である。
そして、請求項5の発明は、請求項1の発明において、前記各伝動機構が、いずれかの前記切替機構によって前記出力部材に選択的に連結されるギヤ対を含むことを特徴とする制御装置である。
請求項1の発明によれば、固定変速段を跨いで変速比を変化させる場合、すなわちいずれか一方の切替機構の切り替え動作を伴う変速を行う場合に、変速機の入力回転数が、固定変速段が設定された状態における理論入力回転数より所定値だけ高い回転数になった時点で、その入力回転数を制御する際の目標値である目標入力回転数が低下させられる。そのため、変速機の変速比が固定変速段に設定される前に、言い換えると、切替機構による伝動機構に対する切り替え動作が行われる前に、変速機の入力回転数を低下させておくことができる。その結果、固定変速段を跨いで変速比を変化させる変速であっても、車速の上昇に追従して変速比が変化しなくなることに起因するいわゆる動力源の吹き上がりを防止もしくは抑制することができる。
また、請求項2の発明によれば、固定変速段を跨いだ変速の際に、変速機の目標入力回転数を事前に低下させる制御の起点となる閾値を設定するための所定値が、所望する固定変速段の状態での走行時間に基づいて設定される。言い換えると、固定変速段の状態で走行させたい時間に応じて前記所定時間が設定される。そのため、例えば、各固定変速段毎、あるいは変速機の運転状況毎に、固定変速段で走行する時間を適宜に調整して設定することができる。
また、請求項3の発明によれば、変速機の入力回転数が動力源の許容回転数以下の近傍の所定範囲内である場合に、固定変速段を跨いだ変速における変速機の目標入力回転数を事前に低下させる制御が実行される。そのため、変速機の入力回転数が動力源の許容回転数近くになるような限界運転状態であっても、固定変速段を跨ぐ変速の過渡時における動力源の吹き上がりを防止して、動力源が吹き上がることにより動力源の回転数が許容回転数を超えてしまう過回転を確実に防止することができる。
また、請求項4の発明によれば、固定変速段を跨いだ変速において、変速機の目標入力回転数を事前に低下させる場合、その目標入力回転数は、固定変速段が設定された状態における理論入力回転数に一致するように低下させられる。そのため、固定変速段を跨いだ変速が行われる場合に、動力源の吹き上がりを防止するとともに、変速機の目標入力回転数を事前に低下させる制御をスムーズに実行することができる。
そして、請求項5の発明によれば、所定の変速比を設定する各伝動機構が、それぞれ各切替機構により出力部材に対して選択的に動力の伝達が可能な状態にされるギヤ対により構成される。したがって、それら各ギヤ対のギヤ比に応じて所定の変速比を適宜に設定することができる。
つぎにこの発明を具体例に基づいて説明する。先ず、この発明で対象とする可変容量型流体圧ポンプモータ式変速機について説明すると、この発明で対象とする可変容量型流体圧ポンプモータ式変速機は、少なくとも2つの動力伝達経路を備えており、それら両方の動力伝達経路を介して、動力源から出力部材にトルクを伝達できるように構成され、その結果、動力源と出力部材との回転数の比である変速比を連続的に変化させることのできる変速機である。
より具体的には、各動力伝達経路は、ポンプおよびモータのそれぞれとして機能する可変容量型流体圧ポンプモータを備えており、この押出容積に応じたトルクを伝達するように構成され、さらにそれぞれの可変容量型流体圧ポンプモータが圧力流体を相互に授受できるように連通されている。したがって、一方の可変容量型流体圧ポンプモータがポンプとして機能することにより、その押出容積に応じたトルクが動力源から出力部材に伝達され、同時に、一方の可変容量型流体圧ポンプモータから他方の可変容量型流体圧ポンプモータに圧力流体が供給されて他方の可変容量型流体圧ポンプモータがモータとして機能する。すなわち、圧力流体を介した動力伝達が並行して行われ、そのトルクが他方の動力伝達経路を介して出力部材に伝達される。その結果、出力部材に伝達されるトルクは、各動力伝達経路を介して伝達されるトルクの合計になり、しかも圧力流体を介して伝達されるトルクは、各押出容積に応じて変化するので、結局は、変速比が連続的に変化することになる。
各動力伝達経路は、それぞれ互いに変速比の異なるギヤ対や巻き掛け伝動装置などの伝動機構を備えることができ、一方の動力伝達経路のみを介して出力部材にトルクを伝達する場合には、変速機の全体としての変速比は、その動力伝達経路における伝動機構の変速比で決まる。このような変速比を仮に固定変速段と称すると、固定変速段を設定している状態では、圧力流体を介した動力の伝達が生じないので、動力の損失が生じにくく、効率の良い伝動状態となる。なお、いずれかの伝動機構のみをトルク伝達に関与させるようにするために、クラッチ機構などの切替機構を各伝動機構に含ませることが好ましく、あるいは動力源もしくは出力部材と伝動機構との間に切替機構を設けることが好ましい。
この発明で対象とする可変容量型流体圧ポンプモータ式変速機は、圧力流体を介して動力を伝達するように構成されているので、ハイドロスタティック・トランスミッション(HST)として構成した変速機であってもよいが、上述したように機械的な動力伝達によって変速比を設定する機能を兼ね備えたハイドロスタティック・メカニカル・トランスミッション(HMT)として構成されたものであることが好ましい。そのメカニカルトランスミッションの部分は、必要に応じて適宜の構成とすることができ、常時噛み合っているギヤ対をクラッチ機構もしくは同期連結機構によって選択する構成の機構や、複数の遊星歯車機構もしくは複合遊星歯車機構によって複数の変速比を設定できる構成などを採用することができる。また、可変容量型流体圧ポンプモータは、動力源と出力部材との間に直列に介在させる構成以外に、反力手段として可変容量型流体圧ポンプモータを用いる構成とすることもできる。
つぎに、この発明で対象とする可変容量型流体圧ポンプモータ式変速機の構成を具体例に基づいて説明する。図1に示す例は、車両用の変速機TMとして構成した例であり、差動機構を動力分配機構として使用するとともに、伝動機構として複数のギヤ対を使用している。したがって、可変容量型流体圧ポンプモータが反力機構となっている例であって、流体を介さずにトルクを伝達して設定できるいわゆる固定変速段として4つの前進段および1つの後進段を設定するように構成した例である。すなわち、図1において、動力源(E/G)1に入力部材2が連結されており、この入力部材2から第1遊星歯車機構3および第2遊星歯車機構4にトルクを伝達するように構成されている。
動力源1は、内燃機関や電気モータあるいはこれらを組み合わせた構成など、車両に使用されている一般的な動力源であってよい。以下の説明では、動力源1として、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンあるいはLPGエンジンなどのエンジン1を使用した例を説明する。また、このエンジン1と入力部材2との間にダンパーやクラッチ、トルクコンバータなどの適宜の伝動手段を介在させてもよい。
第1遊星歯車機構3は、入力部材2と同一軸線上に配置され、第2遊星歯車機構4が第1遊星歯車機構3の半径方向で外側に離隔し、それぞれの中心軸線を平行にした状態で並列に配置されている。これらの遊星歯車機構3,4は、シングルピニオン型やダブルピニオン型などの適宜の形式の遊星歯車機構を用いることができる。図1に示す例はシングルピニオン型遊星歯車機構によって構成した例であり、外歯歯車であるサンギヤ3S,4Sと、そのサンギヤ3S,4Sと同心円状に配置された、内歯歯車であるリングギヤ3R,4Rと、これらサンギヤ3S,4Sとリングギヤ3R,4Rとに噛み合っているピニオンギヤを自転自在かつ公転自在に保持したキャリア3C,4Cとを備えている。そして、第1遊星歯車機構3におけるリングギヤ3Rに入力部材2が連結され、このリングギヤ3Rが入力要素となっている。
また、入力部材2にはカウンタドライブギヤ5が取り付けられており、このカウンタドライブギヤ5にアイドルギヤ6が噛み合っていて、さらにそのアイドルギヤ6にカウンタドリブンギヤ7が噛み合っている。このカウンタドリブンギヤ7は、第2遊星歯車機構4と同一軸線上に配置され、かつ第2遊星歯車機構4のリングギヤ4Rに、一体となって回転するように連結されている。したがって、第2遊星歯車機構4においては、そのリングギヤ4Rが入力要素となっている。各遊星歯車機構3,4の入力要素であるリングギヤ3R,4Rは、カウンタギヤ対がアイドルギヤ6を備えた構成であるから、同方向に回転するようになっている。
第1遊星歯車機構3におけるキャリア3Cは出力要素となっており、そのキャリア3Cに第1中間軸8が、一体になって回転するように連結されている。この第1中間軸8は中空軸であって、その内部をモータ軸9が回転自在に挿入されており、このモータ軸9の一端部が、第1遊星歯車機構3における反力要素であるサンギヤ3Sに、一体となって回転するように連結されている。
第2遊星歯車機構4も同様な構成であって、そのキャリア4Cが出力要素となっており、そのキャリア4Cに第2中間軸10が、一体になって回転するように連結されている。この第2中間軸10は中空軸であって、その内部をモータ軸11が回転自在に挿入されており、このモータ軸11の一端部が、第2遊星歯車機構4における反力要素であるサンギヤ4Sに、一体となって回転するように連結されている。
上記のモータ軸9の他方の端部が、この発明の第1流体圧ポンプモータに相当する可変容量型ポンプモータ12の出力軸に連結されている。この可変容量型ポンプモータ12は、斜軸ポンプや斜板ポンプあるいはラジアルピストンポンプなどの吐出容量すなわち押出容積を変更可能な流体圧(油圧)ポンプであって、その出力軸にトルクを与えて回転させることによりポンプとして機能して圧力流体(圧油)を吐出し、また吐出口もしくは吸入口から圧力流体を供給することにより、モータとして機能するようになっている。なお、この可変容量型ポンプモータ12を以下の説明では、第1ポンプモータ12と記し、図にはPM1と表示する。
また、モータ軸11の他方の端部が、この発明の第2流体圧ポンプモータに相当する可変容量型ポンプモータ13の出力軸に連結されている。この可変容量型ポンプモータ13は、モータ軸9側の第1ポンプモータ12と同様の構成のものであり、したがって斜軸ポンプや斜板ポンプあるいはラジアルピストンポンプなどの吐出容量すなわち押出容積を変更可能な流体圧(油圧)ポンプを採用することができる。なお、この可変容量型ポンプモータ13を以下の説明では、第2ポンプモータ13と記し、図にはPM2と表示する。
各ポンプモータ12,13は、圧力流体である圧油を相互に受け渡すことができるように、油路14,15によって連通されている。すなわち、それぞれの吸入ポート(吸入口)12S,13S同士が油路14によって連通され、また吐出ポート(吐出口)12D,13D同士が油路15によって連通されている。したがって各油路14,15によって閉回路が形成されている。この閉回路での油圧制御のための機構については後述する。
上記の各中間軸8,10と平行に、この発明の出力部材に相当する出力軸16が配置されている。そして、この出力軸16と各中間軸8,10との間のそれぞれに、所定の変速比を設定する伝動機構が設けられている。この伝動機構としては、固定された回転数比(変速比)で動力を伝達する機構に限らず、変速比が可変な機構を採用することができ、図1に示す例では、固定された変速比で動力を伝達する複数のギヤ対17,18,19,20が採用されている。
具体的に説明すると、第1中間軸8には、第1遊星歯車機構3側から順に、この発明の第1伝動機構に相当する、第4速ギヤ対17の第4速駆動ギヤ17Aと、第2速ギヤ対18の第2速駆動ギヤ18Aとが配置されており、それら第4速駆動ギヤ17Aと第2速駆動ギヤ18Aとは第1中間軸8に対して回転自在に嵌合させられている。その第4速駆動ギヤ17Aに噛み合っている第4速ギヤ対17の第4速従動ギヤ17Bと、第2速駆動ギヤ18Aに噛み合っている第2速ギヤ対18の第2速従動ギヤ18Bとが、出力軸16に一体回転するように取り付けられている。
一方、第2中間軸には、第2遊星歯車機構4側から順に、この発明の第2伝動機構に相当する、第3速ギヤ対19の第3速駆動ギヤ19Aと、第1速ギヤ対20の第1速駆動ギヤ20Aとが配置されている。第3速駆動ギヤ19Aは上記の第4速従動ギヤ17Bに噛み合っていて、第1速駆動ギヤ20Aは上記の第2速従動ギヤ18Bに噛み合っている。そして、それら第3速駆動ギヤ19Aと第1速駆動ギヤ20Aとは第2中間軸10に回転自在に嵌合させられている。したがって、第4速従動ギヤ17Bが第3速ギヤ対19の第3速従動ギヤ19Bを兼ねており、また第2速従動ギヤ18Bが第1速ギヤ対20の第1速従動ギヤ20Bを兼ねている。ここで、各ギヤ対17,18,19,20の回転数比もしくは変速比(それぞれの駆動ギヤの歯数に対する従動ギヤの歯数の比)について説明すると、その回転数比は、第1速用ギヤ対20、第2速用ギヤ対18、第3速用ギヤ対19、第4速用ギヤ対17の順に小さくなるように構成されている。
さらに、発進用ギヤ対21が設けられている。この発進用ギヤ対21は、第1速用ギヤ対20と併せて出力軸16に動力を伝達することにより、発進時の駆動力を必要十分に大きくするためのものであって、第1ポンプモータ12側のモータ軸9に取り付けられた発進駆動ギヤ21Aと、出力軸16に回転自在に取り付けられた発進従動ギヤ21Bとを備えている。
上述した各ギヤ対17,18,19,20,21を、いずれかの中間軸8,10と出力軸16との間で選択的にトルク伝達可能な状態とするための機構、すなわちこの発明の切替機構に相当するクラッチ機構が設けられている。このクラッチ機構は、要は、選択的にトルクを伝達する機構であって、従来知られているドグクラッチ機構や同期連結機構(シンクロナイザー)などの機構を採用することができ、図1にはシンクロナイザーを採用した例を示してある。
シンクロナイザーは、基本的には、回転軸と共に回転するスリーブと、その回転軸に対して相対回転する他の回転部材に設けられたスプラインと、前記スリーブに押されて他の回転部材側に移動するシンクロナイザーリングとを有している。そして、スリーブを他の回転部材のスプライン側に移動させる過程でシンクロナイザーリングが回転部材に次第に摩擦接触することにより回転軸と回転部材とを同期させ、その状態でスリーブがスプラインに係合することにより、回転軸と回転部材とを連結するように構成されている。出力軸16上で、発進従動ギヤ21Bに隣接する位置に第1のシンクロナイザー(以下、第1シンクロと記す)22が設けられている。この第1シンクロ22は、そのスリーブを図1の左側に移動させることにより、発進従動ギヤ21Bを出力軸16に連結し、発進用ギヤ対21がモータ軸9と出力軸16との間でトルクを伝達するように構成されている。
また、第2中間軸10上で、第3速駆動ギヤ19Aと第1速駆動ギヤ20Aとの間に第2のシンクロナイザー(以下、第2シンクロと記す)23が設けられている。この第2シンクロ23は、そのスリーブを図1の左側に移動させることにより、第1速駆動ギヤ20Aを第2中間軸10に連結し、第1速用ギヤ対20が第2中間軸10と出力軸16との間でトルクを伝達するように構成されている。また、反対にそのスリーブを図1の右側に移動させることにより、第3速駆動ギヤ19Aを第2中間軸10に連結し、第3速用ギヤ対19が第2中間軸10と出力軸16との間でトルクを伝達するように構成されている。
さらに、第1中間軸8上で、第2速駆動ギヤ18Aと第4速駆動ギヤ17Aとの間に第3のシンクロナイザー(以下、第3シンクロと記す)24が設けられている。この第3シンクロ24は、そのスリーブを図1の左側に移動させることにより、第2速駆動ギヤ18Aを第1中間軸8に連結し、第2速用ギヤ対18が第1中間軸8と出力軸16との間でトルクを伝達するように構成されている。また、反対にそのスリーブを図1の右側に移動させることにより、第4速駆動ギヤ17Aを第1中間軸8に連結し、第4速用ギヤ対17が第1中間軸8と出力軸16との間でトルクを伝達するように構成されている。
またさらに、第2ポンプモータ13側のモータ軸11上で、第2中間軸10の軸端に隣接する位置に後進用のシンクロナイザー(以下、Rシンクロと記す)25が設けられている。このRシンクロ25は、そのスリーブを図1の右側に移動させることにより、モータ軸11と第2中間軸10、すなわち第2遊星歯車機構4におけるサンギヤ4Sとキャリア4Cとを連結して、第2遊星歯車機構4の全体を一体回転させるように構成されている。
上記の各シンクロ22,23,24,25は、手動操作によって切り替え動作するように構成することができるが、これに替えていわゆる自動制御するように構成することもできる。その場合は、例えば前述したスリーブを軸線方向に移動させる適宜のアクチュエータ(図示せず)を設け、そのアクチュエータを電気的に制御するように構成すればよい。
このように、図1に示す可変容量型流体圧ポンプモータ式変速機TMは、エンジン1が出力したトルクが、いずれかの中間軸8,10もしくはモータ軸9,11を介して出力軸16に伝達されるように構成されている。すなわち、エンジン1から第1中間軸8もしくはモータ軸9を経由して出力軸16に至る動力伝達経路と、エンジン1から第2中間軸10もしくはモータ軸11を経由して出力軸16に至る動力伝達経路との、エンジン1と出力軸16との間でそれぞれ互いに異なる複数の変速比を、各シンクロ22,23,24,25の切り替え動作によって選択的に設定可能な2つの動力伝達経路が構成されている。そして、出力軸16には、歯車機構あるいはチェーンなどの巻き掛け伝動装置などの伝動手段26を介してデファレンシャル27が連結され、ここから左右の車軸28に動力を出力するようになっている。
さらに、変速機TMの動作状態を検出するためのセンサが設けられている。具体的には、前述した入力部材2もしくはこれと一体のカウンタドライブギヤ5の回転数を検出する入力回転数センサ29、車軸28の回転数を検出する出力回転数センサ30、第1ポンプモータ12の回転数を検出する回転数センサ31、第2ポンプモータ13の回転数を検出する回転数センサ32などが設けられている。
つぎに、上記の各ポンプモータ12,13を制御するための流体圧回路(油圧回路)について説明する。各ポンプモータ12,13を連通させている前記閉回路14,15には、流体(具体的にはオイル)を補給するためのチャージポンプ(ブーストポンプと称されることもある)33が設けられている。このチャージポンプ33は、上記の閉回路からの漏れなどによるオイルの不足を補うためのものであって、前述したエンジン1や図示しないモータなどによって駆動されて、オイルパン34からオイルを汲み上げて閉回路に供給するようになっている。
そのチャージポンプ33の吐出口は、閉回路における油路14と油路15とにそれぞれチェック弁35,36を介して連通されている。なお、これらのチェック弁35,36は、チャージポンプ33からの吐出方向に開き、これとは反対方向に閉じるように構成されている。さらに、チャージポンプ33の吐出圧を調整するためのリリーフ弁37が、チャージポンプ33の吐出口に連通されている。このリリーフ弁37は、スプリングによる弾性力とパイロット圧もしくはソレノイドによる押圧力との和より高い圧力が作用した場合に開いてオイルをオイルパン34に排出するように構成されており、したがってチャージポンプ33の吐出圧をパイロット圧に応じた圧力に設定するように構成されている。
さらに、第1ポンプモータ12の吸入ポート12Sと油路15との間に、リリーフ弁38が設けられている。すなわち、第1ポンプモータ12と並列に、各油路14,15を連通させるようにリリーフ弁38が設けられている。このリリーフ弁38は、第1ポンプモータ12の吸入ポート12S、または第2ポンプモータ13の吸入ポート13Sから圧油を吐出する場合に、その吐出圧を予め設定した圧力に維持するように構成されている。言い換えれば、リリーフ弁38は、油路14の圧力が予め設定した圧力以上高い場合に開いて排圧するように構成されている。
また、第2ポンプモータ13の吐出ポート13Dと油路14との間に、リリーフ弁39が設けられている。すなわち、第2ポンプモータ13と並列に、各油路14,15を連通させるようにリリーフ弁39が設けられている。このリリーフ弁39は、第2ポンプモータ13の吐出ポート13D、または第1ポンプモータ12の吐出ポート12Dから圧油を吐出する場合に、その吐出圧を予め設定した圧力に維持するように構成されている。言い換えれば、リリーフ弁39は、油路15の圧力が予め設定した圧力以上高い場合に開いて排圧するように構成されている。そして、これらリリーフ弁38,39は、それぞれ調圧可能な構成となっている。
上記の各ポンプモータ12,13の押出容積や各シンクロ22,23,24,25を電気的に制御できるように構成されており、そのための電子制御装置(ECU)40が設けられている。この電子制御装置40は、マイクロコンピュータを主体にして構成されたものであって、所定の回転部材の回転数や動作部材のストロークなどの検出信号が入力され、それらの入力された信号および予め記憶している情報ならびにプログラムに基づいて演算を行い、その演算結果に応じて指令信号を出力するように構成されている。
つぎに、上述した変速機TMの作用について説明する。図2は、各変速段を設定する際の各ポンプモータ(PM1,PM2)12,13、および各シンクロ22,23,24,25の動作状態をまとめて示す図表であって、この図2における各ポンプモータ12,13についての「OFF」は、ポンプ容量を実質的にゼロとし、その出力軸が回転させられても圧油を発生することがなく、また油圧が供給されても出力軸が回転しない状態(フリー)を示し、「LOCK」はそのロータの回転を止めている状態を示している。さらに「油圧発生」は、ポンプ容量を実質的なゼロより大きくするとともに圧油を吐出している状態を示し、したがって該当するポンプモータ12,13はポンプとして機能している。また、「油圧回収」は、一方のポンプモータ13(もしくは12)が吐出した圧油が供給されてモータとして機能している状態を示し、したがって該当するポンプモータ12(もしくは13)は軸トルクを発生し、対応するモータ軸9,11および中間軸8,10に駆動トルクを伝達している。
そして、各シンクロ22,23,24,25についての「右」、「左」は、それぞれのシンクロ22,23,24,25におけるスリーブの図1での位置を示すとともに、丸括弧はダウンシフトするための待機状態、カギ括弧はアップシフトするための待機状態を示し、そして「○」は該当するシンクロ22,23,24,25をOFF状態(中立位置)に設定することにより引き摺りを低減している状態、「●」は該当するシンクロ22,23,24,25をOFF状態(中立位置)に設定して中立状態となっていることを示す。
ニュートラルポジションが選択されてニュートラル(N)状態を設定する際には、各ポンプモータ12,13が「OFF」状態とされ、また各シンクロ22,23,24,25のスリーブが中央位置に設定される。したがって、いずれのギヤ対17,18,19,20,21も出力軸16に連結されていないニュートラル状態となる。すなわち、各ポンプモータ12,13が、それらの押出容積(ポンプ容量)が実質的にゼロとなるように制御される。その結果、いわゆる空回り状態となるので、各遊星歯車機構3,4のリングギヤ3R,4Rにエンジン1からトルクが伝達されても、サンギヤ3S,4Sに反力が作用しない。そのため、出力要素であるキャリア3C,4Cに連結されている各中間軸8,10にはトルクが伝達されない。
シフトポジションがドライブポジションなどの走行ポジションに切り替えられると、第1シンクロ22のスリーブが図1の左側に移動させられるとともに第2シンクロ23のスリーブが、図1の左側に移動させられる。したがって、発進駆動ギヤ21Aがモータ軸9に連結されて第1ポンプモータ12と出力軸16とが連結され、また第1速駆動ギヤ20Aが第2中間軸10に連結されて第2遊星歯車機構4の出力要素であるキャリア4Cと出力軸16とが連結される。すなわち、固定変速段である第1速を設定する状態となる。また、これと併せて各ポンプモータ12,13の押出容積がゼロより大きい容積に制御される。
したがって、第2ポンプモータ13は第2遊星歯車機構4によって分配されたエンジン1の動力によって駆動されてポンプとして機能する。したがって、第2ポンプモータ13は、油圧を発生させることに伴う反力トルクをモータ軸11およびサンギヤ4Sに与える。これを図2には「油圧発生」と記載してある。そのため、第2遊星歯車機構4の差動作用によってキャリア4Cにトルクが伝達され、そのトルクが第1速用ギヤ対20を介して出力軸16に伝達される。
一方、第2ポンプモータ13で発生した油圧がその吸入ポート13Sから吐出されて第1ポンプモータ12の吸入ポート12Sに供給される。その結果、第1ポンプモータ12がモータとして機能する。これを図2には「油圧回収」と記載してある。このようにして第1ポンプモータ12に伝達される動力が発進用ギヤ対21を介して出力軸16に伝達される。したがって発進から第1速までの駆動状態では、第2遊星歯車機構4を介したいわゆる機械的な動力の伝達と、油圧を介した動力の伝達との両方が生じ、これらの動力を合成した動力が出力軸16に現れる。また、この過程での変速比は、固定変速段である第1速より大きい値となり、その変速比は連続的に、あるいは無段階に変化する。
こうしてエンジン1の回転数や車速が変化して第1速の変速比になると、第1ポンプモータ12の押出容積q1がゼロに設定され、また第2ポンプモータ13の押出容積q2が最大に設定され、その結果、実質上、第2ポンプモータ13の回転がロックされる。すなわちモータ軸11およびこれに連結されている第2ポンプモータ13が固定される。また、併せて第1シンクロ22がOFF状態に設定される。その結果、第2遊星歯車機構4のサンギヤ4Sが固定され、また第1遊星歯車機構3は出力軸16に対する動力の伝達に関与しなくなるので、エンジン1が出力した動力は、第2遊星歯車機構4および第1速用ギヤ対20を介して出力軸16に伝達される。すなわち、第1速用ギヤ対20のギヤ比で決まる固定変速段が設定される。なお、この場合、第1ポンプモータ12およびこれに連結されているモータ軸9が空転するので、第1中間軸8にトルクは現れない。
固定変速段である第1速からアップシフトする場合、第3シンクロ24のスリーブを図1の左側に移動させて第2速駆動ギヤ18Aを第1中間軸8に連結しておく。なお、Rシンクロ25は中立状態にしておく。また、第3シンクロ24のスリーブを第2速駆動ギヤ18Aに係合させる場合、第3シンクロ24のスリーブの回転数と第2速駆動ギヤ18Aとの回転数を一致させる同期制御を行う。その同期制御は、前記シンクロ22,23,24,25のスリーブを相手部材に係合させる場合にも同様に行われる。
この状態で、第1ポンプモータ12の押出容積q1を最大に向けて次第に増大させる。第2速へのアップシフト待機状態では、第1ポンプモータ12は逆回転しているから、その押出容積q1を次第に増大させることによりポンプとして機能する。すなわち、油圧を発生し(図2に「油圧発生」と記してある)、同時にそれに伴う反力トルクがモータ軸9に現れる。その結果、第1遊星歯車機構3および第2速用ギヤ対18を介した動力の伝達が次第に行われる。また、第1ポンプモータ12で発生した油圧が第2ポンプモータ13に供給されてこれがモータとして機能する(図2に「油圧回収」と記してある)ので、第2ポンプモータ13および第2遊星歯車機構4ならびに第1速用ギヤ対20を介した動力の伝達が生じる。そのため、第1速から第2速への変速の過程での変速比は、第1速の変速比と第2速の変速比との間の値となり、かつ連続的に変化する変速比となる。すなわち、変速比が連続的に変化する無段変速状態となる。これは、上述した発進から第1速の変速比に到るまでの間、および各固定変速段の間でも同様であり、したがって上述した変速機は、無段変速機として機能させることができる。
固定変速段である第1速を設定している状態では、第1ポンプモータ12の押出容積q1はゼロ(もしくは最小に近い所定値以下)に設定され、また第2ポンプモータ13の押出容積q2は最大もしくはこれに近い所定値以上になっている。したがって、第1ポンプモータ12およびこれに連結されているモータ軸9が空転し、また第2ポンプモータ13から第1ポンプモータ12に対して圧油が流動することができないので、第2ポンプモータ13はロックされた状態になる。この状態から先ず第1ポンプモータ12の押出容積q1が次第に増大させられる。その結果、第1ポンプモータ12で油圧が発生し、これが第2ポンプモータ13に供給されるので、第2ポンプモータ13がモータとして作用する。すなわち、各ポンプモータ12,13の間で圧油を介した動力の伝達が生じる。
こうして第1ポンプモータ12の押出容積q1が最大になると、各ポンプモータ12,13の押出容積q1,q2が共に最大もしくはこれに近い所定値以上となる。その後、第1ポンプモータ12の押出容積q1を最大もしくはこれに近い所定値以上に維持したまま、第2ポンプモータ13の押出容積q2が次第に低下させられる。そして、第2ポンプモータ13の押出容積q2がゼロ(もしくは最小に近い所定値以下)になることにより、固定変速段である第2速が設定される。すなわち、各ギヤ対のうち第2速用ギヤ対18のみを介して動力の伝達が行われ、第2速用ギヤ対18の回転数比に応じた変速比が設定される。
第1ポンプモータ12の押出容積q1がほぼ最大になりその回転が停止し、もしくは停止に近い状態になることにより、モータ軸9が実質的に固定される。また、併せて第2ポンプモータ13がOFF状態に設定される。したがって、第1遊星歯車機構3では、そのサンギヤ3Sが固定されるので、リングギヤ3Rに入力された動力がキャリア3Cから第1中間軸8を経て第2速駆動ギヤ18Aに出力される。一方、第2ポンプモータ13はOFF状態となっており、これと同軸上に配置されているRシンクロ25および第2シンクロ23はOFF状態であってそのスリーブが中立位置にあるので、第2ポンプモータ13や第2遊星歯車機構4は動力の伝達に関与しない。したがって、第2速用ギヤ対18のギヤ比で決まる固定変速段である第2速が設定される。
以下、同様にして、第3速は第2シンクロ23のスリーブを図1の右側に移動させて第3速駆動ギヤ19Aを第2中間軸10に連結し、また第2ポンプモータ13の押出容積q2を最大にすることにより、第1速の場合と同様に、モータ軸11および第2ポンプモータ13を固定し、さらに他のシンクロ22,24がOFF状態に設定される。したがって、第3速用ギヤ対19を介して出力軸16に動力が伝達され、固定変速段である第3速が設定される。また、第4速は第3シンクロ24のスリーブを図1の右側に移動させて第4速駆動ギヤ17Aを第1中間軸8に連結し、また第1ポンプモータ12の押出容積q1を最大にすることにより、第2速の場合と同様に、モータ軸9および第1ポンプモータ12を固定し、さらに他のシンクロ23,25がOFF状態に設定される。したがって、第4速用ギヤ対17を介して出力軸16に動力が伝達され、固定変速段である第4速が設定される。
さらに、後進段について説明すると、リバースポジションが選択された場合には、第1シンクロ22のスリーブが図1の左側に移動させられ、またRシンクロ25のスリーブが図1の右側に移動させられ、さらに他のシンクロ23,24がOFF状態に設定される。したがって、Rシンクロ25によって第2中間軸10とモータ軸11とが連結されることにより、第2遊星歯車機構4のサンギヤ4Sとキャリア4Cとが連結されて第2遊星歯車機構4の全体が実質的に一体化される。また、発進駆動ギヤ21Aがモータ軸9すなわち第1ポンプモータ12のロータに連結される。
したがって、エンジン1から第2遊星歯車機構4に伝達された動力がそのまま第2ポンプモータ13に伝達されてこれが駆動され、第2ポンプモータ13によって油圧が発生する。なお、第2シンクロ23がOFF状態であるから、第2遊星歯車機構4あるいは第2中間軸10から出力軸16に動力が伝達されることはない。一方、第1ポンプモータ12の押出容積q1がゼロより大きい容積、例えば最大容積に制御される。その結果、第2ポンプモータ13から供給された油圧によって第1ポンプモータ12がモータとして機能し、モータ軸9にトルクを出力する。その場合、第1ポンプモータ12にはその吐出ポート12Dから油圧が供給されるので、第1ポンプモータ12が逆回転する。そして、そのトルクが発進用ギヤ対21を介して出力軸16に伝達されるので、後進状態となる。すなわち、後進段では、油圧を介した動力の伝達が生じ、これを図2では、第1ポンプモータ12について「油圧回収」と記し、第2ポンプモータ13について「油圧発生」と記してある
上記のように構成されたこの発明で対象とする可変容量型流体圧ポンプモータ式変速機TMは、固定変速段を跨いでアップシフトする場合は、シンクロの切り替え動作を行う必要があり、その際に変速比の変化が固定変速段の状態で不可避的に停滞してしまう。しかしながら、その場合でも車速は上昇し続けるため、車速と要求駆動力とに基づいて変速機TMの変速比とともに協調制御されるエンジン1の回転数を、適切な値に維持して制御することができなくなる可能性がある。すなわち、変速比の変化が固定変速段の状態で停滞すると、車速の上昇に追従して変速比を低下させることができなくなり、その分だけエンジン1の回転数が急増して、いわゆるエンジン1の吹き上がりが生じてしまい、乗員にショックや違和感を与えてしまう可能性がある。
そこで、この発明の可変容量型流体圧ポンプモータ式変速機TMの制御装置では、シンクロの切り替え動作を伴う変速であっても、エンジン1の吹き上がりを防止してショックや違和感のない変速を可能にするために、以下に示す制御を実行するように構成されている。
図3は、この発明の制御装置による制御例を説明するためのフローチャートであって、このフローチャートで示されるルーチンは、所定の短時間毎に繰り返し実行される。図3において、先ず、変速機TMで最高速段を使用しているか否か、すなわち、第3シンクロ24により、第4速ギヤ対17が出力軸16に対して動力伝達が可能な状態に設定されているか否かが判断される(ステップS1)。前述したように、この発明の制御装置では、変速機TMで設定される固定変速段を跨いでアップシフトされる場合を制御の対象としている。したがって、第4速ギヤ対17が出力軸に対して動力伝達が可能な状態に設定されている場合は、変速機TMで設定される固定変速段の最高速段である第4速を跨いでアップシフトされることはないので、以降の制御は行わず、このルーチンを一旦終了する。
これに対して、変速機TMで最高速段を使用していないこと、すなわち、第3シンクロ24により第4速ギヤ対17が出力軸16に対して動力伝達が可能な状態に設定されていないことにより、ステップS1で否定的に判断された場合には、ステップS2へ進み、変速機TMの「目標入力回転数ninc」がエンジン1の「許容回転数neal」の近傍で制御されているか否か、具体的には、「目標入力回転数ninc」が、「許容回転数neal」より「所定値α」だけ低い回転数すなわち「回転数neal−α」以上であるか否か、言い換えると、「目標入力回転数ninc」が、
ninc ≧(neal−α)
を満たしているか否かが判断される。
ここで、変速機TMの「目標入力回転数ninc」は、変速機TMの変速制御における入力回転数の目標値であり、「所定値α」は、変速機TMの入力回転数を、エンジン1の「許容回転数neal」の近傍でかつ「許容回転数neal」を超えない範囲内で制御する際に、その「許容回転数neal」の近傍の範囲を設定するために予め求められた所定の値である。
したがって、変速機TMの「目標入力回転数ninc」がエンジン1の「許容回転数neal」の近傍でないこと、すなわち、「目標入力回転数ninc」が『ninc≧(neal−α)』を満たしていないことにより、このステップS2で否定的に判断された場合は、以降の制御は行わず、このルーチンを一旦終了する。
これに対して、変速機TMの「目標入力回転数ninc」がエンジン1の「許容回転数neal」の近傍で制御されていること、すなわち、「目標入力回転数ninc」が『ninc≧(neal−α)』を満たしていることにより、ステップS2で肯定的に判断された場合には、ステップS3へ進み、変速機TMの「実入力回転数nin」が、その時点で設定されている変速比に対する高速段側の直近の固定変速比相当の「入力回転数nogear(hi)」に近づいたか否かが判断される。具体的には、「実入力回転数nin」が、高速段側の固定変速段相当の「入力回転数nogear(hi)」より「所定値β」だけ高い回転数、すなわち「回転数nogear(hi)+β」を超えたか否か、言い換えると、「実入力回転数nin」が、
nin <(nogear(hi)+β)
を満たしているか否かが判断される。
なお、ここで、「固定変速段相当の入力回転数」あるいは「固定変速段に相当する入力回転数」とは、変速機TMの変速比が所定の固定変速段に設定されている状態において理論的に求まる変速機TMの入力回転数、すなわち変速機TMの変速比が所定の固定変速段に設定されている状態における変速機TMの理論入力回転数のことである。
また、「所定値β」は、第(N−1)速から第N速へ向かってアップシフトしながら走行する場合に、実際の変速比が第N速の固定変速段になる前に、「目標入力回転数ninc」を第N速に相当する入力回転数に移行させる際の閾値であって、予め定められた所定の値である。この「所定値β」は、各固定変速段にかかわらず一律に設定してもよいが、固定変速段毎に適宜の値に設定することもできる。例えば、第N速の固定変速段における「所定値β」の値を大きくすることにより、その第N速の固定変速段が設定された状態で走行する時間を長くすることができる。反対に、第N速の固定変速段における「所定値β」の値を小さくすることにより、その第N速の固定変速段が設定された状態で走行する時間を短くすることができる。
したがって、変速機TMの「実入力回転数nin」が「入力回転数nogear(hi)」に近づいていないこと、すなわち、「実入力回転数nin」が『nin <(nogear(hi)+β)』を満たしていないことにより、このステップS3でで否定的に判断された場合は、以降の制御は行わず、このルーチンを一旦終了する。
これに対して、変速機TMの「実入力回転数nin」が「入力回転数nogear(hi)」に近づいたこと、すなわち、「実入力回転数nin」が『nin <(nogear(hi)+β)』を満たしたことにより、ステップS3で肯定的に判断された場合には、ステップS4へ進み、変速機TMの「目標入力回転数ninc」が、高速段側の固定変速段相当の「入力回転数nogear(hi)」に設定される。すなわち、変速機TMの実際の変速比が高速段側の固定変速段になる前に、「目標入力回転数ninc」が、予め高速段側の固定変速段に相当する「入力回転数nogear(hi)」に設定される。
このように、この発明で対象とする変速機TMにおいて、最高速段以外の所定の固定変速段を跨いだアップシフトを行う場合、事前に、変速機TMの目標入力回転数を高速段側の所定の固定変速段に相当する入力回転数に移行させて設定することにより、変速比が固定変速段となり、シンクロの切り替えを行うために変速比の変化が一時的に固定される際に、エンジン1の吹き上がりを防止もしくは抑制することができる。
このことを、図4,図5のタイムチャートを用いて説明する。図4のタイムチャートにおいて、後述する「目標入力回転数ninc」の移行点である時刻t1までの期間では、変速機TMの「目標入力回転数ninc」が、エンジン1の「許容回転数neal」の近傍、すなわち「許容回転数neal」から「回転数neal−α」までの範囲内で設定され、それに基づいて変速機TMが変速制御されている。すなわち、この時刻t1までの期間がいわゆる定常の変速状態であり、この期間では、変速機TMの実入力回転数は「目標入力回転数ninc」にほぼ一致している。
そして、高速段側の所定の固定変速段に相当する「入力回転数nogear(hi)」に対して「所定値β」を付加した「回転数nogear(hi)+β」が設定されていて、変速機TMの実入力回転数が「回転数nogear(hi)+β」を超えた時点(時刻t1)で、「目標入力回転数ninc」が「入力回転数nogear(hi)」に設定される。その後、「目標入力回転数ninc」が、再び定常の変速状態における目標入力回転数に到達した時点(時刻t2)で、「目標入力回転数ninc」が定常の変速状態における目標入力回転数に設定される。
「目標入力回転数ninc」が「入力回転数nogear(hi)」に設定されると、変速機TMの実入力回転数は不可避的な制御遅れを伴って「入力回転数nogear(hi)」に向かって低下する。この場合の変速制御では、この実変速比の制御遅れを考慮して、「目標入力回転数ninc」をなまし処理した「過渡目標入力回転数nint」が設定されている。すなわち、この時刻t1から、「目標入力回転数ninc」と「過渡目標入力回転数nint」とが一致する時刻t2’までの期間がいわゆる変速過渡状態であり、この期間では、変速機TMの実入力回転数は「過渡目標入力回転数nint」にほぼ一致している。
従来の変速制御では、図5に示すように、変速機TMの変速比が固定変速段(図5のnogear(1st),nogear(2nd),nogear(3rd),nogear(4th))になり、変速比の変化が一時的に停滞すると、エンジン1の回転数が急増するいわゆるエンジン1の吹き上がりが生じてしまう(図5のA部で示す状態)。例えば、アクセル全開で加速される場合、エンジン1の回転数は最大回転数となりエンジン1の「許容回転数neal」の直下付近で一定になる。このとき、変速比が固定変速段となってエンジン1の吹き上がりが生じると、エンジン1の回転数が「許容回転数neal」を超えて過回転になってしまう可能性がある。
これに対して、この発明の制御装置による変速制御では、上記のように「目標入力回転数ninc」が「入力回転数nogear(hi)」に設定されると、変速機TMの実入力回転数が「入力回転数nogear(hi)」に一致している期間(時刻t3から時刻t4)で、変速機TMの実変速比が上記の所定の固定変速段で固定された状態で走行することになるが、「目標入力回転数ninc」が「入力回転数nogear(hi)」に設定され、それに伴い変速機TMの実入力回転数が「入力回転数nogear(hi)」すなわち高速段側の所定の固定変速段に相当する入力回転数まで低下させられているため、エンジン1の吹き上がりを回避することができる。
以上のように、この発明の可変容量型流体圧ポンプモータ式変速機の制御装置によれば、固定変速段を跨いで変速比を変化させる場合、すなわち、シンクロの切り替えを伴う変速を行う場合に、変速機TMの「実入力回転数nin」が、固定変速段に相当する「入力回転数nogear(hi)」(すなわち固定変速段が設定された状態における理論入力回転数)より所定値βだけ高い「回転数nogear(hi)+β」になった時点で、その「実入力回転数nin」を制御する際の目標値である「目標入力回転数ninc」が低下させられる。そのため、変速機TMの変速比が固定変速段に設定される前に、言い換えると、シンクロによるギヤ対に対する切り替え動作が行われる前に、変速機TMの「入力回転数nogear(hi)」を低下させ、「実入力回転数nin」を低下させておくことができる。その結果、固定変速段を跨いで変速比を変化させる変速であっても、車速の上昇に追従して変速比が変化しなくなることによるいわゆるエンジン1の吹き上がりを防止もしくは抑制することができる。
また、上記のような、固定変速段を跨いだ変速における変速機TMの「目標入力回転数ninc」を事前に低下させる制御は、変速機TMの「実入力回転数nin」がエンジン1の「許容回転数neal」以下の近傍の所定範囲内、すなわち変速機TMの「実入力回転数nin」が「回転数neal−α」以上かつ「許容回転数neal」以下である場合に実行される。そのため、変速機TMの「実入力回転数nin」がエンジン1の「実入力回転数nin」近くになるような限界運転状態であっても、固定変速段を跨ぐ変速の過渡時にエンジン1が吹き上がることによりエンジン1の回転数が「許容回転数neal」を超えてしまう過回転を確実に防止することができる。
そして、変速機TMの「目標入力回転数ninc」を事前に低下させる場合、その「目標入力回転数ninc」は、固定変速段に相当する「入力回転数nogear(hi)」に一致するように低下させられる。そのため、固定変速段を跨いだ変速が行われる場合に、エンジン1の吹き上がりを防止するとともに、上記のような変速機TMの「目標入力回転数ninc」を事前に低下させる制御をスムーズに実行することができる。
ここで、上述した具体例とこの発明との関係を簡単に説明すると、上述したステップS2ないしS4の機能的手段が、この発明の入力回転数低下手段に相当する。
なお、この発明は上記の具体例に限定されないのであって、対象とする変速機は、図1に示す構成以外のものであってもよく、例えば、油圧のみによって動力を伝達し、かつ変速を行うように構成した変速機であってもよい。すなわち、前述したような静圧式変速機(ハイドロスタティック・トランスミッション:HST)であってもよい。また、歯車機構を主体とした変速機構と並列にHSTを設けて、全体として無段階に変速できるように構成した変速機であってもよい。また、図1に示す例では、前進4段・後進1段の固定変速段を設定できるように構成されているが、この発明で対象とする変速機は、固定変速段の数がそれよりも多くてよく、あるいは反対に少なくてもよい。
また、ポンプモータをシングルピニオン型遊星歯車機構やダブルピニオン型遊星歯車機構などの差動機構に対する反力機構として用いる場合、その押出容積をゼロから一方向にのみ増大できるいわゆる片振り型のものに限らず、正負の両方向に変化させることのできるいわゆる両振り型のポンプモータを使用することもできる。その場合、歯車機構は、図1と異なる構成とすることができる。
また、ポンプモータや差動機構ならびにギヤ対などの伝動機構の配列は、必要に応じて適宜変更することができ、いわゆるFR車に適するように配置した構成としてもよい。またさらに、動力源は一方の差動機構に直接連結する替わりに、前述したカウンタギヤ対のアイドルギヤに連結してもよい。さらに、ギヤ対に替えてベルトやチェーンなどの機構を用いてもよい。そして、この発明における動力源は、エンジンである必要はなく、電気モータであってもよく、あるいは内燃機関と電動機とを組み合わせたハイブリッド駆動装置であってもよい。
この発明で対象とする変速機の一例を模式的に示すスケルトン図である。 図1に示す変速機で各変速比を設定する際の各ポンプモータおよび各シンクロの動作状態をまとめて示す図表である。 この発明の制御装置による制御例を説明するためのフローチャートである。 この発明の制御装置による制御例を説明するためのタイムチャートである。 従来の制御例によるエンジンの吹き上がりを説明するためのタイムチャートである。
符号の説明
1…動力源(エンジン,E/G)、 2…入力部材、 3…第1遊星歯車機構、 4…第2遊星歯車機構、 12…第1流体圧ポンプモータ(第1ポンプモータ,PM1)、 13…第2流体圧ポンプモータ(第2ポンプモータ,PM2)、 14,15…油路、 16…出力部材(出力軸)、 17,18,19,20…伝動機構(ギヤ対)、 22,23,24,25…切替機構(第1シンクロ,第2シンクロ,第3シンクロ,Rシンクロ)、 40…電子制御装置(ECU)、 TM…可変容量型流体圧ポンプモータ式変速機。

Claims (5)

  1. 可変容量型の第1流体圧ポンプモータと第2流体圧ポンプモータとが、いずれか一方の押出容積がゼロの場合に他方が圧力流体の給排を阻止されてロックされるように相互に連通されるとともに、前記第1流体圧ポンプモータがロックされた場合に動力源からの動力を出力部材に伝達する第1伝動機構と、前記第2流体圧ポンプモータがロックされた場合に前記動力源からの動力を前記出力部材に伝達する第2伝動機構と、前記各伝動機構を選択的に動力伝達可能な状態にする切替機構とを備え、いずれかの前記伝動機構の変速比で決まる固定変速段と、前記各流体圧ポンプモータ同士の間で圧力流体を介して伝達する動力を連続的に変化させることによる無段変速状態とを設定することが可能なように構成された可変容量型流体圧ポンプモータ式変速機の制御装置において、
    前記固定変速段を跨いで変速比を変化させる変速制御を行う場合に、前記変速機の入力回転数が、前記固定変速段が設定された状態における前記変速機の入力回転数の理論値である理論入力回転数よりも閾値として予め設定した所定値だけ高い入力回転数になった段階で、前記変速制御での目標入力回転数を低下する入力回転数低下手段を備えていることを特徴とする可変容量型流体圧ポンプモータ式変速機の制御装置。
  2. 前記所定値は、所望する前記固定変速段の状態での走行時間に基づいて設定されることを特徴とする請求項1に記載の可変容量型流体圧ポンプモータ式変速機の制御装置。
  3. 前記入力回転数低下手段は、前記変速機の入力回転数が前記動力源の許容回転数の近傍でかつその許容回転数を超えない所定範囲内にあるときに前記目標入力回転数を低下する制御を実行する手段を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の可変容量型流体圧ポンプモータ式変速機の制御装置。
  4. 前記入力回転数低下手段は、前記目標入力回転数を前記理論入力回転数まで低下する手段を含むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の可変容量型流体圧ポンプモータ式変速機の制御装置。
  5. 前記各伝動機構は、いずれかの前記切替機構によって前記出力部材に選択的に連結されるギヤ対を含むことを特徴とする請求項1に記載の可変容量型流体圧ポンプモータ式変速機の制御装置。
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