JP2009030494A - ディーゼルエンジンの制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】グロープラグを備えたディーゼルエンジンを効率的且つ効果的に暖機する。
【解決手段】グロープラグ210を備えたディーゼルエンジン200を制御するECU100は、始動制御及びエンジン暖機制御を実行する。始動制御において、エンジン200を始動させる場合、ECU100は、グロープラグ210を作動させ、アイドル回転速度を基準アイドル回転速度に制御する。エンジン暖機制御において、ECU100は、グロープラグ210のグローオン期間の終了タイミングにおいてエンジン暖機が完了しているか否かを判別する。エンジン暖機が完了していない旨が判別された場合、ECU100は、当該タイミングに同期したタイミングにおいてエンジン暖機が完了するように、各種動作条件に基づいてアイドル回転速度を設定し、アイドル回転速度を、この設定されたアイドル回転速度へ上昇させる。
【選択図】図4

Description

本発明は、グロープラグを有するディーゼルエンジンの制御装置の技術分野に関する。
この種の装置として、グロープラグへの通電時間を変更するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示されたディーゼルエンジンの燃焼室加熱制御装置(以下、「第1の従来技術」と称する)によれば、大気圧の変化を検出し、その検出信号に応じて予熱時又は予熱時及びエンジン始動後におけるグロープラグへの通電時間を増減させることにより、高地における燃焼性を改善し、始動性を向上させると共に半失火を防止できるとされている。
尚、始動後、設定回転数以上又は設定水温以上となるまでグロープラグへの通電を継続する技術(以下、「第2の従来技術」と称する)も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
また、ディーゼルエンジンとは異なる技術分野では、アイドル放置時に暖機促進を目的とした目標回転数を設定すると共に、冷却水温の低下量が所定量以上である場合には、この暖機促進用の目標回転数を設定する技術(以下、「第3の従来技術」と称する)も提案されている(特許文献3参照)。
特公平2−48744号公報 特公昭61−54952号公報 特開平10−115246号公報
第1及び第2の従来技術では、グロープラグの通電時間が頻繁に変更されるため、グロープラグの品質の劣化を招き易い。一方で、第3の従来技術では、暖機促進用の目標回転数が設定されるが、グロープラグを備えるディーゼルエンジンに適用する場合、グロープラグによる燃焼性改善の効果との相関が不明であり、グロープラグは必ずしも効率的に使用されない。或いは、不必要に目標回転数を増加させることによる燃費の悪化が避け難い。即ち、これら従来の技術では、グロープラグを備えたディーゼルエンジンを効率的且つ効果的に暖機することが困難であるという技術的な問題点がある。
本発明は上述した問題点に鑑みてなされたものであり、グロープラグを備えたディーゼルエンジンを効率的且つ効果的に暖機することが可能なディーゼルエンジンの制御装置を提供することを課題とする。
上述した課題を解決するため、本発明に係るディーゼルエンジンの制御装置は、グロープラグを備えたディーゼルエンジンの制御装置であって、前記ディーゼルエンジンの始動時に所定のグローオン期間作動するように前記グロープラグを制御するグロープラグ制御手段と、前記ディーゼルエンジンにおける所定種類の動作条件に基づいて、前記グローオン期間の終了タイミングに同期したタイミングにおいて前記ディーゼルエンジンの暖機が完了するように前記ディーゼルエンジンのアイドル回転速度の目標値を設定する設定手段と、前記アイドル回転速度を該設定された目標値に制御するアイドル回転速度制御手段とを具備することを特徴とする。
本発明に係るディーゼルエンジンの制御装置によれば、例えばECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等の形態を採り得るグロープラグ制御手段により、当該ディーゼルエンジンの始動時に、例えば常に、又は予めグロープラグを作動せしめるべきものとして定められた作動条件が満たされた場合に、或いはその都度グロープラグを作動せしめるべき旨の個別具体的な判断が下された場合に、例えばグロープラグへ通電がなされること等により所定のグローオン期間グロープラグが作動せしめられる。
このグローオン期間は、例えば予め実験的に、経験的に、理論的に、又はシミュレーション等に基づいて、少なくとも着火性や燃焼安定性の低下を幾らかなり抑制しつつ(好適な一形態としては、これらの低下を実質的に、現実的に或いは可及的に顕在化させない程度に抑制しつつ)、且つグロープラグの物理的、機械的、機構的又は電気的な劣化を可及的に抑制し得る(即ち、言い換えれば、寿命を可及的に延長し得る)ように定められた固定な期間であってもよいし、或いは同じくそのような趣旨に基づいた事前の適合により定められ、且つ外気温、大気圧、湿度及び標高等の少なくとも一部を含み得る各種環境条件並びに燃料噴射量、吸気温度、吸気量、機関回転速度、冷却水温、触媒床温及び潤滑油温等の少なくとも一部を含み得る運転条件を包括する概念としての動作条件に応じて定まる可変な期間であってもよい。グロープラグが作動せしめられることにより、グロープラグから例えば燃焼室に、吸入空気に又は噴射された燃料に直接的に熱エネルギが供与され、或いは例えばシリンダ壁体、冷却水配管或いは潤滑油配管等を介して冷却水、潤滑油或いは触媒装置等に間接的に熱エネルギが供与され、燃焼安定性の向上が図られる。その結果、失火や不完全燃焼の発生が回避され、ディーゼルエンジンの暖機(以下、適宜「暖機」或いは「エンジン暖機」と略称する)が促進される。
ここで、グロープラグの作動期間(グロープラグの通電時間と一義的である場合には通電時間であってもよい)は、グロープラグの物理的、機械的、機構的又は電気的な劣化と相関し、グロープラグの寿命に影響する。即ち、定性的に言えば、当該作動期間が長い程、グロープラグの寿命は短くなる。従って、グロープラグの劣化を回避する観点から言えば、グローオン期間は短い方が望ましく、実践上は、少なくとも着火性や燃焼安定性の向上のみを考慮してグローオン期間を決定することは困難である。即ち、グローオン期間が固定された期間であれば尚更、可変な期間であったとしても、エンジン暖機が完了するまでグロープラグの作動を継続することには実践上の困難が伴い易い。とりわけ、例えば冷間始動時や高地での始動時、又はNOxを低減する等の目的から圧縮比を通常時よりも下げる必要がある場合、或いは予め圧縮比が相対的に低い値に設定されているディーゼルエンジンの始動時等、グロープラグによる熱エネルギの供与の必要性が相対的に高くなる状況においては、グローオン期間内に暖機が完了しない可能性が相対的に高くなる。
一方で、グローオン期間の終了タイミングにおいてエンジン暖機が未完了である場合、グロープラグの作動が停止された時点で着火性や燃焼安定性の悪化が顕在化する可能性が高くなる。これらは、即ち失火、不完全燃焼、トルク変動、回転変動、NV(Noise and Vibration:騒音と振動)特性の悪化、或いはドライバビリティの悪化等を招き易い。従って、ディーゼルエンジンでは、グロープラグによる着火性及び燃焼安定性向上の効果が得られるグローオン期間内に暖機を完了する必要がある。尚、本発明において「暖機が完了する」とは、グロープラグが非作動の状態において少なくとも実践上不具合を顕在化させない程度の燃焼安定性が得られている或いは得られているとみなし得る状態を包括する概念であり、暖機が完了したか否かの判断は、好適な一形態としては、暖機の状態と一対一、一対多、多対一或いは多対多に対応する各種の指標値、例えば冷却水温、潤滑油温、或いは触媒床温等の特定を介して間接的になされ得る。
そこで、本発明に係るディーゼルエンジンの制御装置によれば、以下の如くにして、効率的且つ効果的なエンジン暖機が実現される。即ち、例えばECU等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等の形態を採り得る設定手段により、グローオン期間の終了タイミングに同期したタイミング(以下、適宜「同期タイミング」と称する)においてエンジン暖機が完了するようにアイドル回転速度の目標値が設定され、例えばECU等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等の形態を採り得るアイドル回転速度制御手段により、アイドル放置時(即ち、好適な一形態としては、当該ディーゼルエンジンを搭載する車両が非走行状態に維持され、且つ無負荷レーシング等の特殊操作がなされない場合)の機関回転速度たるアイドル回転速度が、例えば燃料噴射量の増減制御等を介して、この設定された目標値に制御される。
設定手段は、例えばディーゼルエンジンの前述した動作条件等に基づいて、例えばこれらの値をパラメータとして、例えば予め実験的に、経験的に、理論的に又はシミュレーション等によりこのような目標値を実践上過不足なく導出し得るものとして定められたアルゴリズム、計算式又は論理式等に基づいた導出過程(数値演算や論理演算等)を実行することにより、或いは、例えばこれらをパラメータとして、予め然るべき記憶手段に記憶されたマップ等から該当する数値を選択的に取得する等して、当該目標値を設定する。
ここで、「グローオン期間の終了タイミングに同期したタイミング」とは、例えば、グローオン期間の終了タイミング(即ち、終了時刻)そのもの、又は終了タイミングと略同一とみなし得る程度に終了タイミングと前後するタイミング、或いはグロープラグを効率的に使用し得る範囲でグローオン期間の終了タイミングよりも早いタイミング、更には実践上の不具合が顕在化しない程度の時間遅延の範囲内でグローオン期間の終了タイミングよりも遅いタイミング等を含み、総体的に、グロープラグによる着火性及び燃焼安定性向上の利益を無駄なく享受しつつ、暖機未完了による不具合の発生も回避し得る程度に冗長性を有する期間内に含まれる時刻を包括する概念である。
従って、本発明に係るディーゼルエンジンの制御装置によれば、グロープラグによってもたらされる着火性及び燃焼安定性向上に係る実践上の利益を例えば最大限に享受しつつ、グローオン期間の終了タイミングに同期した同期タイミングにおいてエンジン暖機が完了しないことによる失火、不完全燃焼、トルク変動、回転変動、NV特性の悪化、或いはドライバビリティの悪化等の不具合を確実に回避することができる。即ち、グロープラグを備えたディーゼルエンジンを効率的且つ効果的に暖機することが可能となるのである。
尚、補足すれば、上記設定手段による目標値の設定は、何らの指針に基づくことなく単にアイドル回転速度を上昇させることによって、即ち、例えば燃料消費率やエミッションの悪化を考慮することなく、或いは例えばグロープラグからの熱エネルギの供与を考慮することなくアイドル回転速度を上昇させることによってエンジン暖機を図る場合等と較べて、グロープラグとアイドル回転速度との相互的な協調を図り得る点において、言い換えれば、グロープラグの作動期間が冗長に長大化することによるグロープラグの劣化を可及的に回避しつつ、またアイドル回転速度を冗長に上昇させることによる燃料消費率やエミッションの悪化を可及的に抑制しつつ、上述した不具合を回避することができる点において、明らかに有利である。
本発明に係るディーゼルエンジンの制御装置の一の態様では、前記設定手段は、前記ディーゼルエンジンの暖機が完了するように前記アイドル回転速度を設定する場合に、前記ディーゼルエンジンの冷却水温が所定の基準値以上となるように前記目標値を設定する。
この態様によれば、ディーゼルエンジンの暖機状態と高い相関を有する冷却水温が、エンジン暖機が完了した旨の判断を下し得る値としての基準値以上となるように、目標値が設定される。従って、グローオン期間の終了タイミングに同期した、近未来的に訪れる同期タイミングにおけるディーゼルエンジンの暖機状態を、簡便に且つ正確に推定しつつアイドル回転速度を制御することが可能となる。
尚、当該基準値は、例えば上述した環境条件(即ち、外気温、大気圧、湿度或いは標高)等により影響される。例えば、外気温が相対的に低い場合(一義的に吸気温が低い場合)、同一の冷却水温において燃焼性能は相対的に低下するから、暖機が完了したと判断し得る冷却水温(即ち、基準値)は、相対的に高くなる。また、標高が相対的に高い場合、同一の冷却水温において燃焼性能は相対的に低下するから、暖機が完了したと判断し得る冷却水温は相対的に高くなる。即ち、この態様において、基準値は、好適な一形態として可変な値であってよい。
本発明に係るディーゼルエンジンの制御装置の他の態様では、前記アイドル回転速度制御手段は、前記始動時に前記アイドル回転速度を所定の基準回転速度に制御し、前記ディーゼルエンジンの制御装置は、前記アイドル回転速度が前記基準回転速度に制御された場合に前記同期したタイミングにおいて前記暖機が完了するか否かを前記同期したタイミング以前に判別する判別手段を更に具備し、前記設定手段は、前記暖機が完了しない旨が判別された場合に、前記目標値を設定する。
この態様によれば、始動時(総じて始動期間とみなし得る、始動後一定又は不定の時間が経過するまでの期間を含む概念である)において、アイドル回転速度が一時的にしろ、例えば、予め実験的に、経験的に、理論的に、又はシミュレーション等に基づいて例えば燃費やエミッションの悪化を顕在化させることなく暖機の促進による燃焼安定性の早期向上を可及的に図り得るように定められ得る、或いは全くそのような点を考慮しないテンポラリな値としての、一定又は不定の基準回転速度に制御される。
一方、この態様によれば、例えばECU等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等の形態を採り得る判別手段により、同期タイミングにおいてエンジン暖機が完了するか否かが、当該同期タイミング以前に判別される。設定手段は、当該判別処理の結果、同期タイミングにおいてエンジン暖機が完了しない旨が判別された場合に、上述した目標値を設定する。
従って、この態様によれば、例えば、始動時にある程度エンジン暖機がなされている(即ち、冷却水温がある程度高い)場合等、基準回転速度によって問題なくエンジン暖機を図り得る場合には、複雑か否かは別として幾らかなり制御上の負荷を伴う目標値の設定が回避され(即ち、目標値の設定が必要ない)、設定手段の負荷を軽減し得るため、実践上有益である。
本発明に係るディーゼルエンジンの制御装置の他の態様では、前記グロープラグ制御手段は、前記グローオン期間の終了タイミングに同期したタイミングにおいて前記暖機が完了しなかった場合に、前記グロープラグの作動を継続させる。
理想的には、アイドル回転速度が設定された目標値に制御されることにより、同期タイミングにおいてエンジン暖機は完了するが、上述した動作条件、ディーゼルエンジンの個体差、或いは物理的、機械的、機構的又は電気的な理由に起因する各種外乱(即ち、事前予測可能な範囲を超える要因)により、エンジン暖機が完了しない場合も考えられる。この態様によれば、そのような場合において、グロープラグ制御手段によりグロープラグの作動が継続される。従って、未だ暖機が完了していないにもかかわらずグロープラグがグローオフされる、或いはグローオフ後に不具合が顕在化しない範囲の時間遅延の後に速やかにエンジン暖機が完了しないこと等による不具合が回避され、エンジン暖機を確実に図ることが可能となる。
本発明に係るディーゼルエンジンの制御装置の他の態様では、前記設定手段は、前記目標値が予め設定された上限値を超える場合に、該上限値を前記目標値として設定する。
アイドル回転速度の目標値は、同期タイミングにおいて暖機を完了させるためのアイドル回転速度であるから、暖機と相関の低い他の指標への影響は、必ずしも考慮されない。従って、場合によっては、目標値が高過ぎることによって、アイドル放置から車両が走行を開始し始めた時点において、物理的な衝撃がドライバに違和感として伝達され、ドライバビリティを悪化させる可能性がある。或いは車両が急激に発進することによって、ドライバに不快感を与える可能性がある。
この態様によれば、例えば予め実験的に、経験的に、理論的に、又はシミュレーション等に基づいて、例えばこのようなドライバビリティの悪化や不快感を実践上顕在化させることのないようにアイドル回転速度の上限値が設定され、同期タイミングにおいて暖機を完了させるためのアイドル回転速度(即ち、本来目標値とされるべき値であり、以下、適宜「暫定目標値」と称する)が、当該上限値を超える場合には(一旦暫定目標値が目標値として設定された後に上限値を超えるか否かの判別処理を行うことも、暫定目標値を目標値として設定する以前に暫定目標値が上限値を超える旨の判別を行うことも含む趣旨である)、当該上限値が目標値として設定される。即ち、実質的に、目標値は当該上限値により制限される。従って、この態様によれば、他の指標への影響を可及的に抑制しつつエンジン暖機を図ることが可能となり、実践上有益である。
尚、この態様では、前記グロープラグ制御手段は、前記上限値が前記目標値として設定された場合に、前記同期したタイミングにおいて前記暖機が完了するように前記グロープラグの作動時間を延長させる。
目標値が上限値により制限された状態では、必然的に同期タイミングにおいてエンジン暖機が完了しない可能性が高くなる。このような場合に備え、グロープラグ制御手段は、同期タイミングにおいてエンジン暖機が完了するように、逆にグロープラグの作動時間を延長させる。このため、ディーゼルエンジンを確実に暖機させることが可能となる。
この際、グロープラグの作動時間の延長時間は、あくまでも同期タイミングにおいて暖機が完了するように、例えば、暫定目標値と上限値との偏差に応じて相対的に低下する冷却水温が、グローオフ可能な冷却水温(グローオフが燃焼安定性に実践上問題となる影響を与えない冷却水温であり、例えば上述した基準値である)に到達するのに要する時間等として設定されるため、グロープラグが無駄に作動することが防止される。即ち、実践上極めて高い利益が提供される。
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施形態から明らかにされる。
<発明の実施形態>
以下、図面を参照して、本発明の好適な各種実施形態について説明する。
<第1実施形態>
<実施形態の構成>
始めに、図1を参照して、本発明の第1実施形態に係るエンジンシステム10の構成について説明する。ここに、図1は、エンジンシステム10の構成を概念的に表してなる概略構成図である。
図1において、エンジンシステム10は、図示せぬ車両に搭載され、ECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)100及びエンジン200を備える。
ECU100は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等を備え、エンジン200の動作全体を制御することが可能に構成された電子制御ユニットであり、本発明に係る「ディーゼルエンジンの制御装置」の一例である。ECU100は、ROMに格納される制御プログラムに従って、後述する始動制御及びエンジン暖機制御を実行することが可能に構成されている。
尚、ECU100は、本発明に係る「グロープラグ制御手段」、「設定手段」、「アイドル回転速度制御手段」及び「判別手段」の夫々一例として機能する一体の電子制御ユニットであるが、本発明に係るこれら各手段の物理的、機械的及び電気的な構成は、これに限定されるものではなく、例えば複数のECU、各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等として構成されていてもよい。
エンジン200は、軽油を燃料とするディーゼルエンジンである。エンジン200は、シリンダ201内において燃料を含む混合気が圧縮自着火した際に生じる爆発力に応じたピストン202の往復運動を、コネクティングロッド203を介してクランクシャフト204の回転運動に変換することが可能に構成されている。また、クランクシャフト204の近傍には、クランクシャフト204の回転位置を検出するクランクポジションセンサ205が設置されている。クランクポジションセンサ205は、ECU100と電気的に接続されており、ECU100は、クランクポジションセンサ205によって検出されたクランクシャフト204の回転位置に基づいて、エンジン200の機関回転数NEを算出することが可能に構成されている。以下に、エンジン200の要部構成を、その動作の一部と共に説明する。
尚、本実施形態に係るエンジン200は、シリンダ201が図1において紙面と垂直な方向にN本並列してなる直列N気筒ディーゼルエンジンであるが、個々のシリンダ201の構成は相互に等しいため、ここでは一のシリンダ201についてのみ説明することとする。
シリンダ201内における燃料の燃焼に際し、外部から吸入された空気は、図示せぬエアクリーナで浄化された後、吸気管206を通過し、吸気ポート209を介して吸気バルブ209の開弁時にシリンダ201内に吸入される。この際、シリンダ201内に吸入される吸入空気に係る吸入空気量は、図示せぬエアフローメータにより検出され、ECU100に電気信号として一定又は不定の出力タイミングで出力される構成となっている。吸気管206には、吸入空気量を調節可能なスロットルバルブ207が配設されている。このスロットルバルブ207は、ECU100と電気的に接続された不図示のスロットルバルブモータにより、例えば、図示せぬアクセルペダルの操作量等に応じて電気的且つ機械的に駆動される構成となっている。尚、スロットルバルブ207の開閉状態を表すスロットル開度は、ECU100と電気的に接続された図示せぬスロットルポジションセンサにより検出され、ECU100に一定又は不定のタイミングで出力される構成となっている。尚、エンジン200は、ディーゼルエンジンであり、その出力は、ガソリン等を燃料とするエンジンにおける空燃比制御(吸入空気量制御)と異なり、噴射量の増減制御を介してコントロールされる。従って、スロットルバルブ207は、エンジン200の動作期間において通常、全開開度付近に制御される。
エンジン200において、燃料は、燃料タンク212に貯留されている。この燃料タンク212には、燃料タンク212に貯留される燃料の残量を検出可能なフロート式の燃料量センサ217が設置されている。燃料量センサ217は、ECU100と電気的に接続されており、検出された燃料量は、ECU100により、一定又は不定のタイミングで把握される構成となっている。一方、燃料タンク212に貯留される燃料は、筒内直噴型のインジェクタ211によって、シリンダ201内の燃焼室に直接噴射される。インジェクタ211を介した燃料の噴射に際しては、先ず燃料タンク212に貯留された燃料が、フィードポンプ214の作用により低圧配管213を介して燃料タンク212から汲み出され、高圧ポンプ215へ供給される。
ここで、図2を参照して、高圧ポンプ215の構成について説明する。ここに、図2は、高圧ポンプ215の構成を概念的に表してなる概略構成図である。尚、同図において、図1と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
図2において、高圧ポンプ215は、電磁調量弁215A、吸入弁215B、シリンダ215C、プランジャ215D、カム215E、加圧室215F、吐出弁215G及び高圧配管215Hを備える。
電磁調量弁215Aは、フィードポンプ214へと繋がる低圧配管213上に設けられ、フィードポンプ214により送出された燃料の流量を調節する電磁開閉弁である。フィードポンプ214により燃料タンク212から汲み上げられた燃料は、この電磁調量弁215Aによりその流量が調節され、低圧配管213の一端部が接続された加圧室215Fへ供給される。
プランジャ215Dは、シリンダ215C内に設置された加圧部材であり、下端部分に接続されたロッド部材が、エンジン200の吸気カムシャフト11(図1では省略される)に固定され且つ吸気カムシャフト11の回転に連動して回転する、楕円形状を有するカム215Eのカムプロフィールに従って図中上下方向に往復運動するのに伴い、その上端部が図示TDC(Top Death Center:上死点)と図示BDC(Bottom Death Center:下死点)との間で往復運動することが可能に構成されている。加圧室215Fは、シリンダ215Cの内壁部分と、プランジャ215Dの上端部分とによって規定される空間であり、即ち、プランジャ215Dの前述した往復運動に伴ってその容積が変化する空間である。
他方、電磁調量弁215Aにより調量された燃料は、プランジャ215Dがシリンダ215C内をTDCからBDCへ向かって移動する際に、吸入弁215Bを押し開いて加圧室に吸入される。その後、プランジャ215Dがシリンダ215C内をBDCからTDCへ向かって移動する際に、プランジャ215Dによって加圧室215F内部の燃料が圧縮(即ち、加圧)され、吐出弁215Gを押し開いて高圧配管215Hに供給され、高圧配管215Hに接続されたコモンレール216(図2では不図示)へと圧送される構成となっている。
尚、ここに例示する高圧ポンプ215は、筒内直噴型のインジェクタ211に燃料を供給する燃料供給システムの一例であり、無論公知の他の態様を採り得る。
図1に戻り、コモンレール216は、ECU100と電気的に接続され、上流側(即ち、高圧ポンプ215側)から供給される高圧燃料をECU100により設定される目標レール圧まで蓄積することが可能に構成された、高圧貯留手段である。尚、コモンレール216には、レール圧を検出することが可能なレール圧センサ及びレール圧が上限値を超えないように蓄積される燃料量を制限するプレッシャリミッタ等が配設されるが、ここではその図示を省略することとする。
エンジン200における上述したインジェクタ211は、シリンダ201毎に搭載されており、夫々が高圧デリバリを介してコモンレール216に接続されている。ここで、インジェクタ211の構成について補足すると、インジェクタ211は、ECU100から供給される指令に基づいて作動する電磁弁と、この電磁弁への通電時に燃料を噴射するノズル(いずれも不図示)とを備える。当該電磁弁は、コモンレール216の高圧燃料が印加される圧力室と、当該圧力室に接続された低圧側の低圧通路との間の連通状態を制御することが可能に構成されており、通電時に当該加圧室と低圧通路とを連通させると共に、通電停止時に当該加圧室と低圧通路とを相互に遮断する。
一方、ノズルは、噴孔を開閉するニードルを内蔵し、圧力室の燃料圧力がニードルを閉弁方向(噴孔を閉じる方向)に付勢している。従って、電磁弁への通電により加圧室と低圧通路とが連通し、圧力室の燃料圧力が低下すると、ニードルがノズル内を上昇して開弁する(噴孔を開く)ことにより、コモンレール216より供給された高圧燃料を噴孔より噴射することが可能に構成される。また、電磁弁への通電停止により加圧室と低圧通路とが相互に遮断されて圧力室の燃料圧力が上昇すると、ニードルがノズル内を下降して閉弁することにより、噴射が終了する構成となっている。
尚、燃料は、個々のシリンダ201において、インジェクタ211を介し、目標噴射量に相当する燃料が、燃焼室内の急激な温度上昇を防止するための少量のパイロット噴射と、目標噴射量とパイロット噴射量との差分に相当するメイン噴射とに分割して噴射される構成となっている。
このようにしてシリンダ201内に噴射された燃料は、吸気バルブ209を介して吸入された吸入空気と混合され、上述した混合気となる。この混合気は、圧縮工程において自着火して燃焼し、燃焼済みガスとして、或いは一部未燃の混合気として、吸気バルブ209の開閉に連動して開閉する排気バルブ218の開弁時に排気ポート219を介して排気管220に導かれる構成となっている。
ここで、シリンダ201には、燃焼室内に一部が露出してなるグロープラグ210が配設されている。グロープラグ210は、不図示の駆動系を介してECU100と電気的に接続され、ECU100が当該駆動系を制御することにより当該駆動系から供給される電力に応じて赤熱するヒートコイルと、当該ヒートコイルが埋め込まれたセラミック体とを備え、このヒートコイルが燃焼室に露出する構成となっている。ヒートコイルは、その通電時に数百度程度の高温状態となり、燃焼室内に熱エネルギを付与することによって燃焼室を昇温させることが可能に構成されている。尚、本実施形態において、グロープラグ210は、その作動状態として、通電された状態(以下、適宜「通電状態」と称する)と通電されない状態(以下、適宜「非通電状態」と称する)の二値状態を採るものとする。但し、本発明に係るグロープラグの採り得る作動状態としては、このような二値状態に限定されず、段階的或いは連続的に変化する多値状態を採ってもよい。
排気管220には、DPF(Diesel Particulate Filter)221が設置されている。DPF221は、エンジン200から排出されるスート(煤)或いはスモーク、及びPM(Particulate Matter:粒子状物質)を捕集可能且つ浄化可能に構成されている。また、シリンダ201を収容するウォータジャケットには、エンジン200の冷却水温Thwを検出可能に構成された水温センサ222が配設されている。水温センサ222は、ECU100と電気的に接続されており、検出された冷却水温Thwは、ECU100により常に或いは一定又は不定の周期で把握される構成となっている。
尚、紙面の煩雑化を防ぐ目的から図示を省略するが、エンジン200には、上記したセンサ以外にも各種のセンサが配されており、例えば、エンジン200のノッキングレベルを検出するノックセンサ、吸入空気の温度たる吸気温を検出する吸気温センサ及び吸入空気の圧力たる吸気圧を検出する吸気圧センサ等が夫々検出対象毎に最適な位置に設置されている。更に、エンジン200を搭載する不図示の車両には、車両外の外気温を検出する外気温センサ、大気圧を検出する大気圧センサ及び標高を検出する高度センサ(或いはそのような機能を有する、例えばGPSを利用したカーナビゲーション装置)等が設置されている。これら各センサは、全てECU100と電気的に接続されており、各検出結果はECU100により絶えず、或いは一定又は不定の周期で把握される構成となっている。
<実施形態の動作>
<始動制御の詳細>
本実施形態において、エンジン200は、ECU100により実行される始動制御により始動される。ここで、図3を参照し、始動制御の詳細について説明する。ここに、図3は、始動制御のフローチャートである。
図3において、ECU100は、エンジン200の始動条件が満たされるか否かを判別する(ステップS101)。エンジン200の始動条件は特に限定されないが、本実施形態に係るエンジンシステム10は、ECU100と電気的に接続された状態にある、エンジン200を搭載する車両に備わるイグニッションキーやイグニッションスイッチ(図1には不図示)が操作された場合に、始動条件が満たされるように構成されている。エンジン200の始動条件が満たされない場合(ステップS101:NO)、ECU100は、ステップS101に係る処理を繰り返し実行して、実質的に処理を待機状態に制御する。
一方、エンジン200の始動条件が満たされた場合(ステップS101:YES)、ECU100は、エンジン200を始動させる(ステップS102)。また、ECU100は、このエンジン始動と略同時のタイミングにおいて、グロープラグ210を通電状態に制御する(即ち、グロープラグ210がグローオンされる)(ステップS103)。グローオンされることにより、グロープラグ210から発せられる熱エネルギが、燃焼室、噴射燃料或いは吸入空気に供与され、これらが温められる。その結果、エンジン200における着火性及び燃焼安定性が向上し、失火及び不完全燃焼の回避等が図られる。或いは更に、燃焼安定性が向上することによってエンジン200の暖機が促進される。尚、グロープラグ210は、エンジン200の始動に先立って通電状態に制御され、一層の着火性及び燃焼安定性の向上が図られてもよい。
尚、グロープラグ210は、総体的にみれば通電時間に比例して物理的、機械的又は電気的な劣化が進行する。即ち、通電時間が多い程寿命は短くなり易い。そのような点に鑑みれば、グロープラグ210への通電は、エンジン200の始動時に常に行われずともよい。例えば、NOxを低減する目的から圧縮比を低下させる場合、或いはエンジン200の冷却水温Thwが所定値未満である場合(即ち、冷間始動時等)等、燃焼安定性の低下が事前に予測される状況等において限定的に使用されてもよい。或いは逆に、グロープラグ210を使用しない(通電しない)条件が予め定められ、当該条件が満たされる場合以外の状況においてグロープラグ210がグローオンされてもよい。
グロープラグ210がグローオンされると、ECU100は、アイドル回転制御を実行する(ステップS104)。ステップS104に係るアイドル回転制御において、ECU100は、インジェクタ211を介した噴射量の制御を行い、エンジン200の機関回転速度NEを、予め設定された基準アイドル回転速度NEA0(即ち、本発明に係る「基準回転速度」の一例)に制御する。基準アイドル回転速度NEA0の値は、予め実験的に、経験的に、理論的に、又はシミュレーション等に基づいて、燃費及びエミッションの悪化を顕在化させることのない範囲でエンジン200を可及的に早期に暖機せしめ得るように、或いはグロープラグ210のグローオン期間が終了するまでに暖機が完了するように設定されている。
アイドル回転制御が実行される、エンジン200は始動状態となり、引き続いてECU100は、エンジン暖機制御を実行する(ステップS200)。
<エンジン暖機制御の詳細>
次に、図4を参照し、エンジン暖機制御の詳細について説明する。ここに、図4は、エンジン暖機制御のフローチャートである。
図4において、ECU100は、エンジン200がアイドル放置されているか(例えば、エンジン200を搭載する車両がエンジン200の始動後停止しており、且つ無負荷レーシング等特別な操作もなされぬままに放置されているか)否かを判別する(ステップS201)。本実施形態において、ECU100は、エンジン200を搭載する車両のアクセルペダル(図1には不図示)が操作されたか否かに基づいて当該判別処理を実行する。
アイドル放置されていない場合(ステップS201:NO)、ECU100は、通常制御を実行する(ステップS205)。即ち、この場合、ECU100は、アクセルペダルの操作量及び吸入空気量等に基づいて決定される噴射量に相当する燃料が噴射されるようにインジェクタ211を制御し、ドライバの要求に応じた出力が得られるようにエンジン200を制御する。通常制御が行われると、処理はステップS206に移行される。
一方、エンジン200がアイドル放置状態である場合(ステップS201:YES)、即ち、機関回転速度NEが、燃料の噴射量制御等により上述したアイドル回転速度NEA0に維持されている状況において、ECU100は、グロープラグ210のグローオン期間の終了タイミングにおいてエンジン200の暖機が完了しないか否かを判別する(ステップS202)。尚、「完了しないか否か」とは、単に制御上の適宜設計事項であって、制御フローの構築次第で容易に「完了するか否か」と代替され得る趣旨である。
ここで、本実施形態において、ECU100は、エンジン200の暖機状態の判断を、水温センサ222により検出される冷却水温Thwに基づいて行う。即ち、冷却水温Thwには、予めグロープラグ210からの熱エネルギの供与無しに、機関温度が低いことによる実践上の不利益(即ち、失火、不完全燃焼、トルク変動、回転変動、NV特性の悪化、或いはドライバビリティの悪化等)を少なくとも顕在化させない程度に、好適には、着火性及び燃焼安定性が十分に担保される程度に機関温度が高い状態を表し得る(或いは、このような状態に対応付けられた)暖機判断基準値Thwth(即ち、本発明に係る「基準値」の一例)が設定されている。この暖機判断基準値Thwthは、外気温、大気圧及び標高に応じて定まる可変な値である。但し、エンジン200の暖機状態の判断には冷却水温Thw以外の指標値が使用されてもよい。例えば、DPF221の触媒床温やエンジン200内を循環供給される潤滑油(エンジンオイル)の油温等が代替的に利用されてもよい。
ここで、図5を参照し、暖機判断基準値Thwthの特性の一例について説明する。ここに、図5は、外気温に対する暖機判断基準値Thwthの特性を表す模式図である。
図5において、縦軸及び横軸には、夫々暖機判断基準値Thwth及び外気温が表される。図示する通り、暖機判断基準値Thwthは、外気温に対し、外気温が低い程高くなる(即ち、外気温が高い程低くなる)傾向を有する。外気温が低い程、エンジン200の吸気温は低くなり、結果的に燃焼温度が低くなる。従って、同一の冷却水温であっても、燃焼安定性は、外気温が低い程低くなる。従って、同等の燃焼安定性を得るために必要となる(即ち、暖機完了の判断を下し得る)冷却水温の値たる暖機判断基準値Thwthは、外気温が低い程高くなるのである。ECU100のROMには、予め図5に示す暖機判断基準値Thwthに相当する数値データ(例えば、外気温と暖機判断基準値Thwthとを相互に対応付けてなるデータ)が参照可能に記憶されている。
次に、図6を参照し、暖機判断基準値Thwthの特性の他の例について説明する。ここに、図6は、標高に対する暖機判断基準値Thwthの特性を表す模式図である。尚、同図において、図5と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
図6において、縦軸及び横軸には、夫々暖機判断基準値Thwth及び標高が表される。図示する通り、暖機判断基準値Thwthは、標高に対し、標高が高い程高くなる(即ち、標高が低い程低くなる)傾向を有する。標高が高い程、エンジン200の燃焼安定性は悪化する。従って、同等の燃焼安定性を得るために必要となる(即ち、暖機完了の判断を下し得る)冷却水温の値たる暖機判断基準値Thwthは、標高が高い程高くなるのである。ECU100のROMには、予め図6に示す暖機判断基準値Thwthに相当する数値データ(例えば、標高と暖機判断基準値Thwthとを相互に対応付けてなるデータ)が参照可能に記憶されている。
図4に戻り、本実施形態における、グロープラグ210のグローオン期間とは、グロープラグ210が上述したように通電状態及び非通電状態の二値状態を採ることに鑑みれば、即ちグロープラグ210の通電が行われる期間であり、本実施形態では、予め実験的に、経験的に、理論的に又はシミュレーション等に基づいて、グロープラグ210への過度な通電(即ち、寿命の低下を顕在化させる程度に継続した通電)を回避しつつ、当該グローオン期間内にエンジン200の暖機が完了するように、即ち、グローオン期間が終了しグロープラグ210がグローオフされた時点で、既にグロープラグ210による熱エネルギの供与を必要とすることなくエンジン200の燃焼安定性が担保されているように決定されている。従って、通常、グローオン期間の終了タイミングにおいて、エンジン暖機は完了している場合の方が多いが、例えば、図5及び図6で示したような、燃焼安定性の悪化を実践上看過し得ない程度に顕在化させるような環境条件においてエンジン200が始動される場合等には、必ずしも、グローオン期間の終了タイミングで暖機が完了していない可能性がある。即ち、エンジン200の暖機特性は、その都度エンジン200の動作条件に応じて少なからず変化する。
ここで、図7を参照し、そのようなエンジンの暖機特性の相違について説明する。ここに、図7は、冷却水温Thwの時間特性の模式図である。
図7において、縦軸及び横軸には、夫々エンジン200の暖機状態を一義的に表す冷却水温Thw及び時刻が表されている。図示PRF_Hは、始動時の冷却水温が相対的に高い場合の冷却水温Thwの変化特性(即ち、ここで述べるエンジン200の暖機特性)である。図示するように、PRF_Hによれば、時刻T0においてエンジン200が始動し、相応の時間経過を経た時刻T1において冷却水温Thwが上昇を開始する。そして、グロープラグ210のグローオン期間の終了タイミングに相当する時刻T2において、冷却水温がThw1(Thw1>Thwth)を採る。即ち、冷却水温Thwは、上述した暖機判断基準値Thwthよりも高くなり、時刻T2以降グローオフされたとしても、少なくとも燃焼安定性の悪化が顕在化することはない。
一方、図示PRF_Lは、始動時の冷却水温がPRF_Hと較べて低い場合の冷却水温Thwの変化特性である。即ち、PRF_Lによれば、時刻T1において冷却水温Thwが上昇を開始する点において上記PRF_Hと同様であっても、始動時の冷却水温がPRF_Hと比較して低いため、グローオン期間が終了する時刻T2において、冷却水温はThw0(Thw0<Thwth)となり、グローオフされた場合に燃焼安定性の悪化が顕在化しかねない。
図4に戻り、ステップS202に係る処理において、ECU100は、グロープラグ210のグローオン期間の終了タイミング(即ち、グローオン期間の終了タイミングに同期したタイミングの一例)において、冷却水温Thwが暖機判断基準値Thwthに到達しないか否か(即ち、暖機判断基準値以上とならないか否か)を判別する。この際、当該判別処理の実行態様は、何ら限定されないが、好適な一形態として、ECU100は、例えば上述した各種センサにより検出される外気温、大気圧及び標高並びに冷却水Thw及び燃料噴射量に基づいて当該判別処理を実行する。
より具体的には、ECU100のROMには、予めアイドル回転速度NEAをパラメータとする、エンジン始動後の冷却水温Thwの時間特性が数値化されてなるマップが格納されている。この時間特性は、予め設定される基準外気温、基準大気圧、基準標高、基準冷却水温及び基準燃料噴射量に対応する時間特性である。ECU100は、このマップの中から現時点のアイドル回転速度NEA(ここでは、NEA0)に対応するマップを選択すると共に、選択されたマップによって表される冷却水温Thwの時間特性を、各センサにより検出された外気温、大気圧、標高、冷却水温(ここでは、始動時の冷却水温)及び燃料噴射量に応じて補正する。尚、外気温、大気圧、標高、冷却水温及び燃料噴射量に応じた補正を行うための補正係数、補正演算式及び補正アルゴリズム等は、予めROMに格納されている。この段階で、現時点のエンジン200の動作条件に対応する冷却水温Thwの時間特性が推定される。
続いて、ECU100は、上述したように主として環境条件に応じて変化する暖機判断基準値Thwthの値をROMから取得する。即ち、ROMから、現時点の外気温、大気圧及び標高に対応する暖機判断基準値Thwthを取得し、これらのうち最大値(即ち、最も暖機され難い条件に対応する暖機判断基準値)を、暖機判断基準値Thwthとして取得する。尚、暖機判断基準値の決定態様は、実践上不具合を顕在化させない限りにおいて何ら限定されるものではなく、例えば、暖機判断基準値が、これら環境条件を規定する指標値各々をパラメータとして複合的に変化する場合には、これら指標値をパラメータとする各種数値演算等の結果により暖機判断基準値が決定されてもよい。
暖機判断基準値Thwth及び冷却水温Thwの時間特性が決まれば、グローオン期間の終了タイミングにおいて暖機が完了しないか否かを判断することが可能となる。ECU100は、ステップS202に係る処理においてこのようなプロセスを経てグローオン期間の終了タイミングにおいて暖機が完了しないか否かを判別するのである。ステップS202に係る判別処理の結果、グローオン期間の終了タイミングにおいて暖機が完了する旨の判別が下された場合(ステップS202:NO)、ECU100は、処理をステップS206に移行させる。
一方、グローオン期間の終了タイミングにおいて暖機が完了しない旨の判別が下された場合(ステップS202:YES)、ECU100は、アイドル回転速度NEAを、始動制御において一時的に設定された基準アイドル回転速度NEA0からNEA1(NEA1>NEA0)に再設定する(ステップS203)。即ち、アイドル回転速度NEAを変更する。ステップS203に係る処理は、本発明に係る「アイドル回転速度の目標値を設定する」動作の一例である。
ここで、再設定後のアイドル回転速度NEA1は、グローオン期間の終了タイミング(即ち、本発明に係る「グローオン期間の終了タイミングに同期したタイミング」の一例)において、冷却水温Thwの値が上述した暖機判断基準値Thwth以上となるように(即ち、暖機が完了するように)設定される。この際、上述した冷却水温Thwの時間特性を規定するマップが再度参照される。
より具体的には、アイドル回転速度NEAをパラメータとする複数の冷却水温の時間特性の各々に対し、外気温、大気圧、標高、冷却水温及び燃料噴射量に応じた補正を行うことにより、グローオン期間の終了タイミングにおいて冷却水温Thwが暖機判断基準値Thwth以上となるアイドル回転速度NEAを特定し(適当なアイドル回転速度NEAがパラメータとして存在しない場合等には、適宜補間処理等により適切なアイドル回転速度NEAが推定されてもよい)、例えば該当するアイドル回転速度NEAの中で最も低い回転速度(アイドル回転速度の高低がグローオン期間の終了タイミングにおける冷却水温の高低と一義的であれば、即ちグローオン期間の終了タイミングにおける冷却水温が最も低くなるアイドル回転速度と等価である)を、アイドル回転速度NEA1(即ち、目標値)として再設定する。この際、候補値のうち最も低いアイドル回転速度が選択されずともよいが、燃焼安定性が担保される限りにおいて、燃費及びエミッションの悪化を抑制する観点からはアイドル回転速度は低い方が望ましい。尚、本実施形態に係るこのような目標値の再設定態様は一例に過ぎず、同期タイミングにおいて冷却水温が暖機判断基準値Thwth以上となるアイドル回転速度を特定し得る限りにおいて、多様な形態を採り得る。
ここで、図8を参照し、アイドル回転速度の目標値の一特性例について説明する。ここに、図8は、外気温に対する目標値の特性を表してなる模式図である。
図8において、縦軸及び横軸には、夫々アイドル回転速度NEAの目標値及び外気温が表される。図示する通り、アイドル回転速度NEAの目標値は、外気温に対し、外気温が低い程高くなる(即ち、外気温が高い程低くなる)傾向を有する。外気温が低い程、上述したように暖機判断基準値Thwthが高くなるため、グローオン期間が等しいならば、より高速に機関温度を上昇させる必要がある。従って、このように外気温度が低い程目標値が高くなるのである。
次に、図9を参照し、アイドル回転速度の目標値の他の特性例について説明する。ここに、図9は、標高に対する目標値の特性を表してなる模式図である。尚、同図において、図8と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
図9において、縦軸及び横軸には、夫々アイドル回転速度NEAの目標値及び標高が表される。図示する通り、アイドル回転速度NEAの目標値は、標高に対し、標高が高い程高くなる(即ち、標高が低い程低くなる)傾向を有する。標高が高い程、上述したように暖機判断基準値Thwthが高くなるため、グローオン期間が等しいならば、より高速に機関温度を上昇させる必要がある。従って、このように標高が高い程目標値が高くなるのである。
尚、本実施形態では、上述したように、冷却水温の基準特性を規定するマップに基づいて目標値が設定されるが、例えば、図8や図9に示す特性に相当する数値データ(即ち、目標値と外気温や標高等の各種指標値とを対応付けてなるデータ)が予めマップ等として保有されていてもよい。
図4に戻り、このようにアイドル回転速度がNEA0からNEA1へ再設定されると、ECU100は、この再設定されたアイドル回転速度NEA1を目標値として、アイドル回転制御を実行する(ステップS205)。その結果、アイドル回転速度NEAは、迅速且つ正確にアイドル回転速度NEA1に維持される。ステップS205に係る処理が終了すると、ECU100は、処理をステップS206へ移行させる。
ステップS206では、グローオン期間が終了したか否かが判別される。グローオン期間中である場合(ステップS206:NO)、ECU100は、処理をステップS201に戻し、一連の処理を繰り返すと共に、グローオン期間が終了した場合(ステップS206:YES)、ECU100は、速やかにグロープラグ210を非通電状態に制御する(ステップS207)。即ち、ステップS207に係る処理では、グロープラグ210がグローオフされる。グローオフがなされると、エンジン暖機制御は終了する。
ここで、図10を参照し、エンジン暖機制御の効果について説明する。ここに、図10は、エンジン暖機制御の実行過程における機関回転速度NEと冷却水温Thwの時間特性を表す模式図である。尚、同図において、図7と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
図10において、図10(a)には、機関回転速度NEの時間特性が表される。
図示PRF_NEAcmpは、本実施形態との比較に供すべき比較例に係る時間特性であり、時刻T3においてエンジン200の始動が開始され、時刻T4において機関回転速度の上昇が開始され、時刻T5において、基準アイドル回転速度NEA0に維持される特性である。
一方、本実施形態に係るエンジン暖機制御が適用された場合の機関回転速度の時間特性が、図示PRF_NEAとして示される。即ち、時刻T5において機関回転速度がアイドル回転速度NEA0に到達され維持された時点で、上述した暖機完了に係る判別が行われ、グローオン期間の終了タイミングに相当する時刻T6においてエンジン暖機が完了しない旨の判別がなされた結果、アイドル回転速度NEAの再設定が行われる。その結果、機関回転速度は、時刻T5を境に上昇を開始し、上述したアイドル回転速度NEA1まで上昇して維持される。
図10(b)には、図10(a)に対応する冷却水温Thwの時間特性が表される。
図示PRF_Thwcmpは、本実施形態との比較に供すべき比較例に係る時間特性であり、図10(a)におけるPRF_NEAcmpと対をなす時間特性である。即ち、時刻T3においてエンジン200の始動が開始され、時刻T4において冷却水温Thwの上昇が開始され、グローオン期間の終了タイミングに相当する時刻T6において、暖機判断基準値Thwthに到達しない冷却水温の特性である。
一方、本実施形態に係るエンジン暖機制御が適用された場合の冷却水温の時間特性、即ち、図10(a)におけるPRF_NEAと対をなす時間特性が、図示PRF_Thwとして示される。PRF_Thwによれば、時刻T5においてアイドル回転速度NEAがNEA1に再設定されることに伴い、PRF_Thwcmpから乖離し始め、グローオン期間の終了タイミングに相当する時刻T6において、冷却水温Thwが暖機判断基準値Thwthに到達する。即ち、グローオフがなされる時点において、エンジン200の暖機は完了しており、グロープラグ210による熱エネルギの供与無しにエンジン200の燃焼安定性は担保される。
以上説明したように、本実施形態に係るエンジンシステム10においては、ECU100により実行されるエンジン暖機制御によって、グロープラグ210のグローオン期間の終了タイミングに対応付ける形で、適切なアイドル回転速度が設定され、アイドル回転速度の上昇制御とグロープラグ210による熱エネルギの供与とを相互に協調させつつ、即ち、グロープラグ210への通電に過不足を生じさせることなく且つアイドル回転速度を過不足させることなく、エンジン200の暖機を実現することができる。従って、グロープラグ210の寿命を実質的或いは現実的にみて最大限延長しつつ、且つ燃費及びエミッションの悪化を実質的或いは現実的にみて最大限に抑制しつつ、エンジン200の暖機を完了させることができる。即ち、グロープラグを備えたディーゼルエンジンを効率的且つ効果的に暖機することが可能となるのである。
尚、本実施形態においては、エンジン始動直後のアイドル回転速度は、基準アイドル回転速度(本実施形態ではNEA0)に一時的に維持され、この基準アイドル回転速度によってエンジン暖機が完了するか否かが判別される構成となっているが、必ずしもこのようなプロセスを辿る必要はなく、例えばエンジン始動直後において、その時点のエンジン200の動作条件に基づいて、同期タイミングにおいて(好適には、グローオン期間の終了タイミングにおいて)エンジン暖機を完了させるためのアイドル回転速度が導出され、アイドル回転制御に供されてもよい。
<第2実施形態>
エンジン暖機制御は、第1実施形態以外の形態を採ることもできる。ここで、図11を参照し、本発明の第2実施形態として、エンジン暖機制御の他の形態について説明する。ここに、図11は、本発明の第2実施形態に係るエンジン暖機制御のフローチャートである。尚、同図において、図4と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
図11において、グローオン期間が終了した旨の判別がなされると(ステップS206:YES)、ECU100は、エンジン200の暖機が完了したか否かを判別する(ステップS301)。エンジン200の暖機が実際に完了しているか否かは、冷却水温Thwが暖機判断基準値Thwthに到達しているか否かに基づいて行うことができる。
エンジン200の暖機が完了している場合(ステップS301:YES)、ECU100は、グローオフを実行する(ステップS207)と共に、エンジン200の暖機が完了していない場合(ステップS301:NO)、ECU100は、グロープラグ210のグローオン期間を延長する(ステップS302)。即ち、本来グローオフのタイミングであるにもかかわらず、ECU100は、グロープラグ210への通電を継続する。グロープラグ210への通電を継続すると、ECU100は、処理をステップS301に戻し、暖機が完了したか否かに係る判別を繰り返す。その結果、暖機が完了するまでグローオン期間が延長される。
この態様によれば、エンジン200の個体差等に起因して事前の適合値が実際のエンジン200の状態と乖離している場合や、各種外乱要因又はエンジン200の動作条件の微妙な変化等により、グローオン期間の終了タイミングにおいて暖機が未完了である場合には、エンジン暖機が優先されグローオン期間が延長される。従って、確実にエンジン200を暖機させることが可能となる。
<第3実施形態>
エンジン暖機制御は、第1及び第2実施形態以外の形態を採ることもできる。ここで、図12を参照し、本発明の第3実施形態として、エンジン暖機制御の他の形態について説明する。ここに、図12は、本発明の第3実施形態に係るエンジン暖機制御のフローチャートである。尚、同図において、図4と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
図12において、ステップS203に係る処理により、アイドル回転速度NEAがNEA1に再設定されると、ECU100は、この設定された目標値たるNEA1が予め設定された上限値NEAth以下であるか否かを判別する(ステップS401)。
ここで、アイドル回転速度NEAの上限値NEAthは、エンジン200がアイドル放置状態から走行状態(エンジン200を搭載する車両を走行させるための状態)へ遷移した場合に、物理的な衝撃をドライバに知覚させることのないように、或いは車両が急激に発進することのないように、予め実験的に、経験的に、理論的に又はシミュレーション等に基づいて定められたアイドル回転速度の許容値であり、ECU100のROMに格納されている。
アイドル回転速度NEAの暫定目標値たるNEA1が上限値NEAth以下である場合(ステップS401:YES)、ECU100は、上記各種実施形態と同様にアイドル回転速度NEA1でアイドル回転制御を実行する(ステップS204)。一方で、NEA1が上限値NEAthよりも大きい場合(ステップS401:NO)、ECU100は、アイドル回転速度NEAを、当該上限値NEAthに制限する(ステップS402)。即ち、この場合、暫定目標値たるNEA1ではなく、上限値NEAthがアイドル回転速度の目標値として再設定される。上限値NEAthが目標値として再設定されると、ECU100は、機関回転速度がこの上限値NEAthとなるようにアイドル回転制御を実行する(ステップS403)。その結果、アイドル回転速度NEAは、迅速且つ正確に目標値たるNEAthに維持される。
ここで、このような上限値によるアイドル回転速度NEAの制限は、エンジン200の暖機とは無関係な要請により実行されるものであり、このままでは、グローオン期間の終了タイミングにおいて、暖機が完了しない可能性が高くなる。そこで、ECU100は、グローオン期間を再設定する(ステップS404)。この際、ECU100は、上述した冷却水温の基準特性を規定するマップを使用して、アイドル回転速度が上限値NEAthに制限された場合に、冷却水温Thwが暖機判断基準値Thwthに到達する到達時刻を導出し、係る到達時刻とグローオン期間の終了タイミングとの差分に対応する時間、グローオン期間を延長する。その結果、典型的にはアイドル回転速度NEAの偏差(暫定目標値と上限値との偏差)が大きい程、グローオン期間は延長される。グローオン期間が延長されると、ECU100は、処理をステップS206に移行させる。
尚、グローオン期間の延長時間を決定するための上述したプロセスは、本発明に係る「グローオン期間の終了タイミングに同期したタイミングにおいて暖機が完了するように作動時間を延長させる」動作の一例である。従って、上述したプロセスは、グローオン期間の延長期間を導出するプロセスの一例に過ぎず、例えば、アイドル回転速度の暫定目標値(即ち、グローオン期間の終了タイミングに同期したタイミングにおいて暖機を完了させ得るアイドル回転速度)と上限値との偏差が、グローオン時間の延長時間と直接対応付けられる形で然るべき記憶手段に記憶され、ECU100が適宜当該差分に対応する延長時間の値を選択的に取得することにより、グローオン期間の再設定がなされてもよい。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うディーゼルエンジンの制御装置もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
本発明の第1実施形態に係るエンジンシステムの構成を概念的に表してなる概略構成図である。 図1のエンジンシステムに備わる高圧ポンプの構成を概念的に表してなる概略構成図である。 図1のエンジンシステムにおいてECUにより実行される始動制御のフローチャートである。 図3の始動制御において実行されるエンジン暖機制御のフローチャートである。 外気温に対する暖機判断基準値Thwthの特性を表す模式図である。 標高に対する暖機判断基準値Thwthの特性を表す模式図である。 冷却水温Thwの時間特性の模式図である。 外気温に対するアイドル回転速度の目標値の特性を表してなる模式図である。 標高に対するアイドル回転速度の目標値の特性を表してなる模式図である。 エンジン暖機制御の実行過程における機関回転速度NEと冷却水温Thwの時間特性を表す模式図である。 本発明の第2実施形態に係るエンジン暖機制御のフローチャートである。 本発明の第3実施形態に係るエンジン暖機制御のフローチャートである。
符号の説明
10…エンジンシステム、100…ECU、200…エンジン、210…グロープラグ、211…インジェクタ。

Claims (6)

  1. グロープラグを備えたディーゼルエンジンの制御装置であって、
    前記ディーゼルエンジンの始動時に所定のグローオン期間作動するように前記グロープラグを制御するグロープラグ制御手段と、
    前記ディーゼルエンジンにおける所定種類の動作条件に基づいて、前記グローオン期間の終了タイミングに同期したタイミングにおいて前記ディーゼルエンジンの暖機が完了するように前記ディーゼルエンジンのアイドル回転速度の目標値を設定する設定手段と、
    前記アイドル回転速度を該設定された目標値に制御するアイドル回転速度制御手段と
    を具備することを特徴とするディーゼルエンジンの制御装置。
  2. 前記設定手段は、前記ディーゼルエンジンの暖機が完了するように前記アイドル回転速度を設定する場合に、前記ディーゼルエンジンの冷却水温が所定の基準値以上となるように前記目標値を設定する
    ことを特徴とする請求項1に記載のディーゼルエンジンの制御装置。
  3. 前記アイドル回転速度制御手段は、前記始動時に前記アイドル回転速度を所定の基準回転速度に制御し、
    前記ディーゼルエンジンの制御装置は、前記アイドル回転速度が前記基準回転速度に制御された場合に前記同期したタイミングにおいて前記暖機が完了するか否かを前記同期したタイミング以前に判別する判別手段を更に具備し、
    前記設定手段は、前記暖機が完了しない旨が判別された場合に、前記目標値を設定する
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載のディーゼルエンジンの制御装置。
  4. 前記グロープラグ制御手段は、前記同期したタイミングにおいて前記暖機が完了しなかった場合に、前記グロープラグの作動を継続させる
    ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のディーゼルエンジンの制御装置。
  5. 前記設定手段は、前記目標値が予め設定された上限値を超える場合に、該上限値を前記目標値として設定する
    ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のディーゼルエンジンの制御装置。
  6. 前記グロープラグ制御手段は、前記上限値が前記目標値として設定された場合に、前記同期したタイミングにおいて前記暖機が完了するように前記グロープラグの作動時間を延長させる
    ことを特徴とする請求項5に記載のディーゼルエンジンの制御装置。
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