JP2009029942A - 塗料組成物及び複層塗膜形成方法 - Google Patents

塗料組成物及び複層塗膜形成方法 Download PDF

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Naohito Adachi
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Abstract

【課題】耐チッピング性及び仕上り外観に優れた塗料組成物、及び該塗料組成物を用いた複層塗膜形成方法を提供すること。
【解決手段】フィロケイ酸塩鉱物より得られる無機顔料(A)、水酸基含有樹脂(B)及び硬化剤(C)を含有する塗料組成物であって、該無機顔料(A)の平均粒子径が500nm未満であることを特徴とする塗料組成物及び該塗料組成物を用いた複層塗膜形成方法。とくに、無機顔料(A)が、パイロフィライト−タルク群のフィロケイ酸塩鉱物より得られる無機顔料である塗料組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、耐チッピング性及び仕上り外観に優れた塗料組成物、及びこの塗料組成物を用いた複層塗膜形成方法に関する。
自動車車体の外板部は、通常、防食及び美感の付与を目的として、カチオン電着塗料による下塗塗膜、中塗塗膜及び上塗塗膜からなる複層塗膜により被覆されている。
上記複層塗膜において、主として、下塗塗膜により防食性、中塗塗膜により塗面平滑性、上塗塗膜により美感及び耐侯性、耐酸性、耐擦り傷性等の諸性能が付与されている。
自動車車体外板部の複層塗膜においては、走行中の石はね等による耐損傷性(「耐チッピング性」という)に優れた塗膜であることも求められており、耐チッピング性においては中塗塗膜が重要な役割を果たしている。
これまでに耐チッピング性に優れた塗料として、例えば、特定のタルク及びシランカップリング剤を含有することを特徴とする水性中塗り塗料組成物が提案されている(特許文献1)。しかしながら、上記水性中塗り塗料組成物より得られる塗膜は、耐チッピング性のレベルが不十分であった。
また、特定平均粒径範囲の球状シリコーンゴム粒子を塗膜形成性固形分中に所定量含有させ、かつ形成される塗膜中に該球状ゴム粒子の状態のままで分布させたことを特徴とする、耐チッピング性の優れた自動車用塗料組成物も提案されている(特許文献2)。しかしながら、上記塗料組成物より得られる塗膜は、仕上り外観及び耐チッピング性のレベルが不十分であった。
特開2003−253211号公報 特開平9−316373号公報
本発明の目的は、耐チッピング性及び仕上り外観に優れた塗料組成物、及び該塗料組成物を用いた複層塗膜形成方法を提供することである。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、特定平均粒子径範囲の微粒子状のフィロケイ酸塩鉱物より得られる無機顔料を含有する塗料によれば、形成される塗膜の耐チッピング性が飛躍的に向上し、かつ、塗面平滑性等の仕上がり外観にも優れた塗膜が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、フィロケイ酸塩鉱物より得られる無機顔料(A)、水酸基含有樹脂(B)及び硬化剤(C)を含有する塗料組成物であって、該無機顔料(A)の平均粒子径が500nm未満であることを特徴とする塗料組成物を提供するものである。
また、本発明は、被塗物に順次、中塗塗料及び少なくとも1種の上塗塗料を塗装して複層塗膜を形成する方法であって、該中塗塗料及び/又は上塗塗料として、前記の塗料組成物を塗装することを特徴とする複層塗膜形成方法を提供するものである。
本発明の塗料組成物は、所定範囲未満の平均粒子径の微粒子状に調製されたフィロケイ酸塩鉱物より得られる無機顔料を含有することを特徴とするものである。該無機顔料は層状化合物粒子で、へき開性を有するものであり、本発明の塗料組成物により形成される塗膜中において、そのへき開性により、外部からの衝撃による塗膜破壊における破壊点として点在している。本発明の塗料組成物により形成される塗膜においては、破壊点が微粒子状の層状化合物粒子となることから、破壊部位が通常の塗膜に比べ分散され、塗膜の破壊面積も微小にとどめることができることから、耐チッピング性に優れる塗膜を得ることができる。
また、微粒子状の粒子であるので、通常の微粒化度の状態で配合された塗料により得られる塗膜に比べ、塗面平滑性等の仕上り性にも優れている。
以上、本発明によれば、耐チッピング性及び仕上り外観に優れた塗料組成物を得ることができるという効果を奏することができる。
以下、本発明の塗料組成物(以下、「本塗料」ということもある。)及び複層塗膜形成方法について詳細に説明する。
本発明の塗料組成物は、フィロケイ酸塩鉱物より得られる無機顔料(A)、水酸基含有樹脂(B)及び硬化剤(C)を含有し、該無機顔料(A)の平均粒子径が500nm未満であることを特徴とする塗料組成物である。
無機顔料(A)
本塗料で用いられる無機顔料(A)は、フィロケイ酸塩鉱物より得られる無機顔料である。フィロケイ酸塩鉱物は、SiO四面体が面上に結合している層状型ケイ酸塩鉱物であり、該鉱物より得られる無機顔料は、通常、うろこ状の薄く平らな形状を有している。
かかるフィロケイ酸塩鉱物としては、例えば、カオリナイト、ハロイ石、蛇紋石、白石綿、珪ニッケル鉱等のカオリン−蛇紋石群;モンモリロナイト、ヘクトライト等のスメクタイト群;葉蝋石、タルク等のパイロフィライト−タルク群;白雲母、黒雲母、鱗雲母、チンワルド雲母等の雲母群;クリノクロア石等の緑泥石群;等の天然鉱物や合成カオリナイト、合成スメクタイト、合成タルク、合成雲母等の合成鉱物をあげることができる。
上記のうち、パイロフィライト−タルク群のフィロケイ酸塩鉱物、特にタルクより得られる無機顔料を好適に使用することができる。
上記顔料は1種で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本塗料において、フィロケイ酸塩鉱物より得られる無機顔料の平均粒子径は、耐チッピング性の観点から、500nm未満、好ましくは20nm以上〜500nm未満、さらに好ましくは20nm〜300nm、さらに特に好ましくは20nm〜200nmである。
本明細書において、平均粒子径の値は、遠心沈降式粒径測定により得られる値である。該平均粒子径の測定は、例えば遠心沈降式粒度分布測定装置BI−DCP(BROOKHAVEN INSTRUMENTS社製)を用いて測定することができる。
平均粒子径500nm未満の上記無機顔料粒子は、通常の顔料分散に使用されるボールミル等によっては、調製することが困難であり、上記無機顔料を強力な粉砕手段、例えば、遊星ボールミル、ホモジナイザー等を用いて、所望の500nm未満の平均粒子径となるまで、通常、0.5〜96時間、好ましくは1〜48時間、さらに好ましくは5〜24時間程度処理を行なって微粒化することにより調製することができる。
本塗料において、上記平均粒子径が500nm未満であるフィロケイ酸塩鉱物より得られる無機顔料(A)の含有量は、後述する水酸基含有樹脂(B)及び硬化剤(C)の固形分総量に対して、2〜15質量%、好ましくは3〜10質量%の範囲内である。
上記無機顔料(A)の含有量が2質量%未満であると、耐チッピング性が不十分となる場合があり、15質量%を越えると該粒子の凝集構造が形成されるために塗面平滑性が低下する場合がある。
水酸基含有樹脂(B)
本塗料で用いられる水酸基含有樹脂(B)は、水酸基を含有する樹脂であれば、その種類において特に限定されるものではないが、水酸基価は塗料の硬化性の観点から、80〜200mgKOH/g、とくに100〜180mgKOH/gであるのが好ましい。水酸基含有樹脂(B)としては、例えば、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂などをあげることができ、好ましいものとして、水酸基含有ポリエステル樹脂、水酸基含有アクリル樹脂及び水酸基含有ポリウレタン樹脂をあげることができる。
水酸基含有樹脂は、1種で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
水酸基含有ポリエステル樹脂は、常法により、例えば、多塩基酸と多価アルコ−ルとのエステル化反応によって合成することができる。該多塩基酸としては、例えば、1分子中に2個以上のカルボキシル基を有する化合物をあげることができ、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸及びこれらの無水物などを挙げることができる。また、該多価アルコ−ルは1分子中に2個以上の水酸基を有する化合物であり、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,9−ノナンジオール、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステル、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチルペンタンジオール、水素化ビスフェノールA等のジオール類、及びトリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の三価以上のポリオール、並びに、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロールペンタン酸、2,2−ジメチロールヘキサン酸、2,2−ジメチロールオクタン酸等のヒドロキシカルボン酸などを挙げることができる。
なお、耐チッピング性向上の観点から、水酸基含有ポリエステル樹脂は、構成成分である多塩基酸又は多価アルコ−ルとして、脂環式構造を有する化合物を含有するのが好ましい。
脂環式構造を有する多塩基酸(酸無水物を含む)は、1分子中に1個以上の脂環式構造(主として4〜6員環)と2個以上のカルボキシル基を有する化合物及び該化合物の酸無水物であり、例えば、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、3−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、3−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物、4−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、4−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸1,2−無水物等をあげることができる。
脂環式構造を有する多価アルコールは、1分子中に1個以上の脂環式構造(主として4〜6員環)と2個以上の水酸基を有する化合物であり、例えば、1,3−シクロペンタンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素化ビスフェノールA等をあげることができる。これらのうち、特にシクロヘキシル環を有する多価アルコールが好ましい。
脂環式構造を有する化合物の含有量は、ポリエステル合成における多塩基酸及び多価アルコ−ルの総量に対し、10モル%以上、特に、15モル%以上、さらに特に15〜40モル%であるのが好ましい。
脂環式構造を有する化合物によりポリエステル樹脂中に導入される脂環式部分構造と微粒子状の層状化合物粒子による破壊部位の分散及び微小化の相乗効果により、さらに塗膜の耐チッピング性を向上させることができる。
上記の多塩基酸及び多価アルコールは、それぞれ1種で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、プロピレンオキサイド及びブチレンオキサイドなどのα−オレフィンエポキシド、カージュラE10(ジャパンエポキシレジン社製、商品名、合成高分岐飽和脂肪酸のグリシジルエステル)などのモノエポキシ化合物などを酸と反応させて、これらの化合物をポリエステル樹脂に導入しても良い。
水酸基含有ポリエステル樹脂には、必要に応じてカルボキシル基を含有させることもできる。カルボキシル基を含有させるには、例えば、多価アルコールとして、上記の三価以上のポリオール、ヒドロキシカルボン酸を構成成分とすることにより、また、水酸基含有ポリエステル樹脂に無水酸を付加し、ハーフエステル化することにより含有させることができる。
水酸基含有ポリエステル樹脂の水酸基価は80〜200mgKOH/g、とくに100〜180mgKOH/gの範囲であるのが好ましい。水酸基価が80mgKOH/g未満であると、硬化性が不十分な場合があり、また、200mgKOH/gを越えると塗膜の耐水性が低下する場合がある。
水酸基含有ポリエステル樹脂がカルボキシル基を含有する場合、酸価は0〜50mgKOH/g、とくに1〜40mgKOH/gであるのが好ましい。
水酸基含有ポリエステル樹脂の数平均分子量は、塗膜性能及び塗面平滑性等の観点から250〜4000、特に300〜3500、さらに特に300〜3000の範囲であるのが好ましい。
なお、本明細書において、分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(東ソー社製、「HLC8120GPC」)で測定した分子量をポリスチレンの分子量を基準にして換算した値である。
水酸基含有ポリエステル樹脂のガラス転移温度の好ましい範囲は塗膜硬度及び塗面平滑性等の観点から、−60℃〜30℃、さらに好ましくは−50℃〜20℃である。
水酸基含有アクリル樹脂は、溶液重合、乳化重合等の常法に従い、例えば、ラジカル重合性モノマーを共重合することによって合成することができる。溶液重合の場合、反応に使用する有機溶剤としては、例えば、ケトン系、エステル系、アルコール系、石油系等の通常、塗料用樹脂の合成に使用されるものを使用することができる。特に、水性塗料とする場合は、プロピレングリコール系、ジプロピレングリコール系等の親水性有機溶剤を使用するのが好ましい。
ラジカル重合性モノマーとしては、従来から公知のものが使用でき、例えば、水酸基含有ラジカル重合性モノマー、カルボキシル基含有ラジカル重合性モノマー及びその他のラジカル重合性モノマーを使用することができる。
水酸基含有ラジカル重合性モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン変性ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピル(メタ)アクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどをあげることができる。
カルボキシル基含有ラジカル重合性モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸などを挙げることができる。
その他のラジカル重合性モノマーとしては、例えば、スチレン、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキセニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、アロニックスM110(東亞合成)、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシ(メタ)アクリルアミド、アクリロイルモルホリン、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−ビニル−2−ピロリドン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシランなどを挙げることができる。
なお、上記において、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート又はメタアクリレート」を意味する。
水酸基含有アクリル樹脂の水酸基価は80〜200mgKOH/g、とくに100〜180mgKOH/gの範囲であるのが好ましい。水酸基価が80mgKOH/g未満であると、硬化性が不十分な場合があり、また、200mgKOH/gを越えると塗膜の耐水性が低下する場合がある。
水酸基含有アクリル樹脂がカルボキシル基を含有する場合、酸価は0〜50mgKOH/g、とくに1〜40mgKOH/gであるのが好ましい。
水酸基含有アクリル樹脂の数平均分子量は、塗膜性能及び塗面平滑性等の観点から、溶液重合により合成されるものにあっては、1000〜4000、特に1000〜3500、さらに特に1000〜3000の範囲であるのが好ましい。乳化重合により合成されるものにあっては、数平均分子量は、100000以上、特に200000〜2000000であるのが好ましい。
水酸基含有アクリル樹脂のガラス転移温度は、塗膜硬度及び塗面平滑性等の観点から、−60℃〜30℃、特に−50℃〜20℃の範囲であるのが好ましい。
硬化剤(C)
本塗料で用いられる硬化剤(C)は、水酸基含有樹脂(B)の水酸基と反応性を有するものであれば特に制限なく使用することができるが、メラミン樹脂、ポリイソシアネート化合物及びブロックポリイソシアネート化合物、なかでもメラミン樹脂及びブロックポリイソシアネート化合物を好適に使用することができる。
メラミン樹脂としては、具体的には、ジ−、トリー、テトラ−、ペンタ−、ヘキサ−メチロールメラミン及びそれらのアルコールによるアルキルエーテル化物(アルキルとしては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、2−エチルヘキシル等が挙げられる)並びにそれらの縮合物などを挙げることができる。
メラミン樹脂の具体例としては、例えば、日本サイテックインダストリーズ社製のサイメル202、サイメル303、サイメル323、サイメル325、サイメル327、サイメル350、サイメル370、サイメル380、サイメル385、サイメル212、サイメル251、サイメル254、マイコート776;モンサント社製のレジミン735、レジミン740、レジミン741、レジミン745、レジミン746、レジミン747;住友化学社製のスミマールM55、スミマールM30W、スミマールM50W;三井化学社製のユーバン20SBなどのユーバンシリーズなどを挙げることができる。
水性塗料とする場合、特に好ましいメラミン樹脂として、単核体含有率が35重量%以上であり、かつ、メトキシ基とブトキシ基の比率が100/0〜60/40mol%であるメラミン樹脂をあげることができる。このようなメラミン樹脂の具体例としては、サイメル325、サイメル327、サイメル350、サイメル212、サイメル251、マイコート212、マイコート776等を挙げることができる。
また、メラミン樹脂を架橋剤として使用する場合は、パラトルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸などのスルホン酸、およびこれらの酸とアミンとの塩を触媒として使用することができる。
メラミン樹脂は、1種で又は2種以上を混合して使用することができる。
ポリイソシアネート化合物は、1分子中に遊離のイソシアネート基を2個以上有する化合物であり、従来からポリウレタンの製造に使用されているものを使用することができる。例えば、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート及びこれらポリイソシアネートの誘導体などをあげることができる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、1,2−ブチレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、2,4,4−または2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエートなどの脂肪族ジイソシアネート、例えば、リジンエステルトリイソシアネート、1,4,8−トリイソシアナトオクタン、1,6,11−トリイソシアナトウンデカン、1,8−ジイソシアナト−4−イソシアナトメチルオクタン、1,3,6−トリイソシアナトヘキサン、2,5,7−トリメチル−1,8−ジイソシアナト−5−イソシアナトメチルオクタンなどの脂肪族トリイソシアネートなどを挙げることができる。
脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3−シクロペンテンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(慣用名:イソホロンジイソシアネート)、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−または1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(慣用名:水添キシリレンジイソシアネート)もしくはその混合物、ノルボルナンジイソシアネートなどの脂環族ジイソシアネート、例えば、1,3,5−トリイソシアナトシクロヘキサン、1,3,5−トリメチルイソシアナトシクロヘキサン、2−(3−イソシアナトプロピル)−2,5−ジ(イソシアナトメチル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、2−(3−イソシアナトプロピル)−2,6−ジ(イソシアナトメチル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、3−(3−イソシアナトプロピル)−2,5−ジ(イソシアナトメチル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、5−(2−イソシアナトエチル)−2−イソシアナトメチル−3−(3−イソシアナトプロピル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、6−(2−イソシアナトエチル)−2−イソシアナトメチル−3−(3−イソシアナトプロピル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、5−(2−イソシアナトエチル)−2−イソシアナトメチル−2−(3−イソシアナトプロピル)−ビシクロ(2.2.1)−ヘプタン、6−(2−イソシアナトエチル)−2−イソシアナトメチル−2−(3−イソシアナトプロピル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタンなどの脂環族トリイソシアネートなどをあげることができる。
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3−もしくは1,4−キシリレンジイソシアネートまたはその混合物、ω,ω’−ジイソシアナト−1,4−ジエチルベンゼン、1,3−または1,4−ビス(1−イソシアナト−1−メチルエチル)ベンゼン(慣用名:テトラメチルキシリレンジイソシアネート)もしくはその混合物などの芳香脂肪族ジイソシアネート、例えば、1,3,5−トリイソシアナトメチルベンゼンなどの芳香脂肪族トリイソシアネートなどをあげることができる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、2,4’−または4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートもしくはその混合物、2,4−または2,6−トリレンジイソシアネートもしくはその混合物、4,4’−トルイジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート、例えば、トリフェニルメタン−4,4’,4’’’−トリイソシアネート、1,3,5−トリイソシアナトベンゼン、2,4,6−トリイソシアナトトルエンなどの芳香族トリイソシアネート、例えば、4,4’−ジフェニルメタン−2,2’,5,5’−テトライソシアネートなどの芳香族テトライソシアネートなどをあげることができる。
また、ポリイソシアネートの誘導体としては、例えば、上記したポリイソシアネート化合物のダイマー、トリマー、ビウレット、アロファネート、カルボジイミド、ウレトジオン、ウレトイミン、イソシアヌレート、オキサジアジントリオン、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(クルードMDI、ポリメリックMDI)及びクルードTDIなどをあげることができる。
上記のポリイソシアネート化合物は、単独で用いてもよく、また、2種以上併用してもよい。また、耐候性などの面から、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート、及びこれらの誘導体を好適に使用することができる。
ブロックポリイソシアネート化合物は、上記1分子中に遊離のイソシアネート基を2個以上有するポリイソシアネート化合物のイソシアネート基をブロック剤で封鎖した化合物である。
ポリイソシアネート化合物とブロック剤との反応は既知の条件で行なうことができる。また、両成分の比率は、遊離のイソシアネート基が残存しないようポリイソシアネート化合物中の全イソシアネート基に対して若干過剰量のブロック剤となるような比率とするのが好ましい。ブロック化を行なう(ブロック剤を反応させる)にあたっては、必要に応じて溶剤を添加して行なうことができる。ブロック化反応に用いる溶剤としてはイソシアネート基に対して反応性でないものが良く、例えば、アセトン、メチルエチルケトンのようなケトン類、酢酸エチルのようなエステル類、N−メチルピロリドン(NMP)のような溶剤をあげることができる。
ブロック剤は遊離のイソシアネート基を封鎖する化合物である。ブロックされたイソシアネート基は、通常、例えば100℃以上、好ましくは130℃以上に加熱すると、ブロック剤が解離して遊離のイソシアネート基が再生され、水酸基等と容易に反応させることができる。
ブロック剤としては、例えば、フェノール、クレゾールなどのフェノール系;ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタムなどのラクタム系;メタノール、エタノール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、ラウリルアルコールなどの脂肪族系;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルなどのエーテル系;ベンジルアルコール;グリコール酸メチル、グリコール酸エチルなどのグリコール酸エステル;乳酸、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチルなどの乳酸エステル;メチロール尿素、ジアセトンアルコールなどのアルコール系;アセトオキシム、メチルエチルケトオキシム、ジアセチルモノオキシム、ベンゾフェノンオキシム、シクロヘキサンオキシムなどのオキシム系;マロン酸ジエチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸メチル、アセチルアセトンなどの活性メチレン系;ブチルメルカプタン、t−ブチルメルカプタン、ヘキシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、チオフェノール、エチルチオフェノールなどのメルカプタン系;アセトアニリド、アセトアニシジド、メタクリルアミド、酢酸アミド、ベンズアミドなどの酸アミド系;フタル酸イミド、マレイン酸イミドなどのイミド系;ジフェニルアミン、フェニルナフチルアミン、カルバゾール、アニリン、ナフチルアミン、ブチルアミンなどアミン系;イミダゾール、2−エチルイミダゾールなどのイミダゾール系;尿素、チオ尿素、エチレン尿素、ジフェニル尿素などの尿素系;N−フェニルカルバミン酸フェニルなどのカルバミン酸エステル系;エチレンイミン、プロピレンイミンなどのイミン系;重亜硫酸ソーダ、重亜硫酸カリなどの亜硫酸塩系;3,5−ジメチルピラゾール、3−メチルピラゾール、4−ニトロ−3,5−ジメチルピラゾール、及び4−ブロモ−3,5−ジメチルピラゾール等のピラゾール系の化合物などをあげることができる。
上記ブロック剤のうち、硬化性、塗膜黄変性の観点から、オキシム系、ピラゾール系の化合物を好適に使用することができる。
ブロックポリイソシアネート化合物は、1種で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
水性塗料とする場合、好適なブロックポリイソシアネート化合物として、1分子中に1個以上のヒドロキシル基及び1個以上のカルボキシル基を有するヒドロキシカルボン酸等のブロック剤によりイソシアネート基がブロックされた、水中に安定に存在することが出来るブロックポリイソシアネート化合物をあげることができる。ヒドロキシカルボン酸としては、例えば、ヒドロキシピバリン酸、ジメチロールプロピオン酸などをあげることができる。
ヒドロキシカルボン酸等によりブロックされたブロックポリイソシアネート化合物は、ヒドロキシカルボン酸中のカルボン酸により、ブロックポリイソシアネート化合物中に親水基であるカルボキシル基を含有することとなるので、水分散性の良好なブロックポリイソシアネート化合物として好適に使用することができる。
ポリイソシアネート化合物及びブロックポリイソシアネート化合物の数平均分子量は、仕上がり外観向上の観点から、250〜4000、特に300〜3000、さらに特に300〜2500の範囲であるのが好ましい。
硬化剤(C)は、1種で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本塗料において、(B)成分と(C)成分との比率は、特に制限されるものではなく、(B)成分と(C)成分の合計量を基準にして、(B)成分が50〜90質量%、(C)成分が10〜50質量%とすることができる。
本塗料は無機顔料である(A)成分、樹脂成分である(B)成分及び硬化剤である(C)成分を必須成分とし、これらを必要に応じて添加される溶媒と混合し、分散せしめることにより調製することができる。
より具体的には、例えば、前記の手段により、平均粒子径が500nm未満に調製されたフィロケイ酸塩鉱物より得られる無機顔料(A)(調製にあたって、溶媒及び/又は分散剤(水酸基含有樹脂(B)の一部を使用しても良い)を使用してもよい。この場合、微粒子状となった無機顔料(A)と、溶媒及び/又は分散剤の混合物として塗料の調製に供される)、水酸基含有樹脂(B)及び硬化剤(C)を必要に応じて添加される溶媒及び分散剤等とともに、攪拌機等を用いて混合、分散することにより本塗料を調製することができる。
本塗料の硬化剤(C)として、イソシアネート基がブロックされていない、ポリイソシアネート化合物を使用する場合は、常温で容易に水酸基含有樹脂(B)と架橋反応するので、2液型として、硬化剤(C)のみをあらかじめ分離しておき、硬化剤(C)を塗装直前に混合することが好ましい。
塗料中のVOC削減の観点からは、本塗料の態様は水性塗料であるのが好ましく、この場合、塗料中の溶媒の主成分として水が使用される。
水性塗料とする場合には、通常、(B)成分及び/又は(C)成分として、前記のカルボキシル基を含有するものが好適に使用され、この場合、塗料の調製において、中和剤により中和を行なうのが、水分散性の観点から好ましい。
中和剤として、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウムなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物;アンモニア;エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ベンジルアミン、モノエタノールアミン、ネオペンタノールアミン、2−アミノプロパノール、3−アミノプロパノールなどの第1級モノアミン;ジエチルアミン、ジエタノールアミン、ジ−n−又はジ−iso −プロパノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミンなどの第2級モノアミン;ジメチルエタノールアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、メチルジエタノールアミン、ジメチルアミノエタノールなどの第3級モノアミン;ジエチレントリアミン、ヒドロキシエチルアミノエチルアミン、エチルアミノエチルアミン、メチルアミノプロピルアミンなどのポリアミンを挙げることができる。これらのうち、アミン化合物を好適に使用することができる。
添加する中和剤の量は適宜選択することができるが、樹脂成分中の酸基の総量に対して、0.4〜1.2当量、特に0.5〜1.0当量の範囲内であるのが分散安定性の観点から好ましい。分散性向上の観点から必要に応じて乳化剤を併用することもできる。
本塗料においては、上記無機顔料(A)に加えて、通常、塗料に用いられる顔料も使用することができる。そのような顔料としては、例えば、二酸化チタン、亜鉛華、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、プルシアンブルー、コバルトブルー、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリン顔料、スレン系顔料、ペリレン顔料などの着色顔料;硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナホワイトなどのフィロケイ酸塩鉱物より得られる無機顔料以外の体質顔料;フィロケイ酸塩鉱物より得られる無機顔料以外の光輝性顔料などを好適に使用することができる。
上記顔料は1種で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
なお、上記無機顔料(A)以外の必要に応じて使用される顔料については、平均粒子径については特に制限はなく、通常、塗料組成物において用いられる任意の平均粒子径のものを使用することができる。
上記無機顔料(A)以外の顔料を使用する場合、その含有量は、水酸基含有樹脂(B)及び硬化剤(C)の固形分総量に対して、0〜200質量%、特に30〜170質量%、さらに特に50〜150質量%の範囲であるのが好ましい。
本塗料にはさらに必要に応じて、硬化触媒(例えば、酸触媒、有機錫化合物等)、レオロジーコントロール剤、表面調整剤、分散剤、沈降防止剤、消泡剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、防錆剤などの通常、塗料に用いられる添加剤を適宜配合することができる。
塗装方法
本発明の塗料組成物は、その使用に際して、必要に応じて溶媒で希釈して、塗装粘度を、例えば、フォードカップ粘度計No.4を用いて、20℃において30〜120秒、好ましくは35〜90秒の粘度に調整して塗装することができる。また、塗装時において、固形分濃度は45〜65質量%、とくに50〜60質量%であるのが好ましい。
本発明の塗料組成物は、エアスプレー、エアレススプレー、回転霧化塗装などにより塗装することができる。この時、静電印加して塗装を行なうこともできる。塗装膜厚は任意に選択することができるが、通常、硬化膜厚で15〜45μm、好ましくは20〜40μmの範囲内である。塗膜の硬化は120〜170℃、好ましくは130〜160℃の温度で、10〜40分間程度加熱することにより行なうことができる。
上記加熱硬化を行なう前に溶媒の揮散を促進するために、50〜100℃程度の温度で3〜30分間程度の予備乾燥を行なうことができる。予備乾燥は、塗膜の固形分濃度が90質量%以上となるように行なうのが好ましい。
本発明の塗料組成物は、耐チッピング性及び仕上り外観に優れた塗膜を得ることができるので、例えば、乗用車、オートバイなどの自動車の金属製又はプラスチック製の車体外板部などの自動車車体に対して好適に使用することができる。これらの被塗物はあらかじめ化成処理等の表面処理、下塗塗装(例えばカチオン電着塗装など)などを必要に応じて行なっておくことが好ましい。また、下塗塗装が施された被塗物に塗装する場合、下塗塗膜は硬化塗膜であっても未硬化塗膜であってもよい。
複層塗膜形成方法
高仕上がり外観の求められる塗装、例えば、自動車車体の塗装においては、一般的に、被塗物(通常、表面処理及び電着塗装などの下塗塗装が施されている)上に順次、中塗塗料及び少なくとも1種の上塗塗料が塗装されて複層塗膜が形成される。
本発明の塗料組成物は、上記複層塗膜を形成する方法における中塗塗料又は上塗塗料として特に好適に使用することができる。上塗塗装を行なうにあたって、中塗塗料により形成された中塗塗膜は硬化塗膜であっても未硬化塗膜であってもよい。未硬化状態の中塗塗膜上に上塗塗膜を形成する場合は、未硬化中塗塗膜中の揮発成分の揮散を促進させるため上塗塗料の塗装前に必要に応じて予備乾燥を行なっておくのが好ましい。
本発明の複層塗膜形成方法において、本発明の塗料組成物以外の塗料としては、通常、自動車塗装において用いられる中塗塗料、上塗塗料等を使用することができる。
具体的には、熱硬化性樹脂組成物及び顔料を含有する有機溶剤系又は水系の1コート仕様の中塗塗料、着色上塗塗料等をあげることができる。これらの塗料に使用される熱硬化性樹脂組成物としては、例えば、水酸基などの架橋性官能基を有するアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂などの基体樹脂とメラミン樹脂、(ブロック)ポリイソシアート化合物などの架橋剤からなる組成物、酸基含有樹脂及びエポキシ基含有樹脂を主成分とする酸・エポキシ架橋系塗料組成物などをあげることができる。また、顔料としては、着色顔料、メタリック顔料、体質顔料などをあげることができる。さらに必要に応じて、沈降防止剤、紫外線吸収剤などを適宜含有せしめることもできる。
また、上塗塗料として、着色ベース塗料とクリヤ塗料からなる2コート仕様の塗料も使用することができる。
着色ベース塗料としては、例えば、上記1コート仕様の着色上塗塗料であげたものと同様のものを使用することができる。
クリヤ塗料としては熱硬化性樹脂組成物を主成分とする有機溶剤系又は水系のクリヤ塗料をあげることができ、熱硬化性樹脂組成物としては、例えば、1コート仕様の着色上塗塗料であげたものと同様のものを使用することができる。
上塗塗料としては、VOC削減の観点から、水性型のものを好適に使用することができる。
中塗塗料の塗装は、上記本発明の塗料組成物の塗装方法で説示した方法と同様にして行なうことができる。
上塗塗料の塗装は、溶剤及び/又は水で適正塗装粘度に調整した後、それ自体既知の方法、例えば、エアレススプレー、エアスプレー、回転霧化塗装などにより塗装することができる。この時、静電印加して塗装を行なうこともできる。塗装膜厚は硬化塗膜に基いて、着色上塗塗料は約25〜50μm、特に30〜45μmの範囲内、着色ベース塗料は約10μm〜25μm、特に12〜20μmの範囲内、クリヤ塗料は約25〜50μm、特に30μm〜45μmの範囲内であるのが適している。
上塗塗膜の硬化は1コート仕様の場合は、塗装後、通常、必要に応じて80℃程度で約10分間程度の予備乾燥を行なった後、130〜180℃の温度で10〜40分間程度加熱を行なうことにより硬化させることができる。
2コート仕様の場合は、上記において、まず着色ベース塗料を塗装し、必要に応じて80℃程度で約10分間程度の予備乾燥を行なった後、130〜180℃の温度で10〜40分間程度加熱硬化を行なった後、クリヤ塗料を塗装し、必要に応じて80℃程度で約10分間程度の予備乾燥を行なった後、130〜180℃の温度で10〜40分間程度加熱硬化を行なう2ベーク仕様、又は、着色ベース塗料塗装後、必要に応じて80℃程度で約10分間程度の予備乾燥を行なった後、クリヤ塗料を塗装し、必要に応じて80℃程度で約10分間程度の予備乾燥を行なった後、130〜180℃の温度で10〜40分間程度加熱硬化を行なう1ベーク仕様の方法により硬化させることができる。
上塗塗装の仕様としては上記の他に、通常行なわれている上記の着色上塗塗料、着色ベース塗料及びクリヤ塗料から選ばれる少なくとも1種の組み合わせによる、3コート仕様、4コート仕様などの塗装仕様によっても同様に行なうことができる。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下、「部」及び「%」はいずれも重量基準によるものとし、また、特にことわらない限り塗膜の膜厚は硬化塗膜に基くものである。
無機顔料分散ペースト(A)の製造1(中塗塗料用)
製造例1
MICRO ACE K−1(タルク、日本タルク社製)10部、下記ポリエステル樹脂(B−1)の溶液18.5部及び混合溶剤A(注1)71.5部を混合し、1mmφのYSZビーズ(ニッカトー社製)を加え、遊星ボールミルPM400(レッチェ社製)にて300rpmで10時間粉砕し、顔料分散を行なうことにより、無機顔料分散ペースト(A−1)(顔料濃度10質量%)を得た。
得られた無機顔料分散ペースト(A−1)を100メッシュ絹布でろ過し、粒子径測定に供するため、所定の濃度に希釈し、BI−DCP(BROOKHAVEN INSTRUMENTS社製)で平均粒子径の測定を行なったところ、210nmであった。
(注1)混合溶剤A:キシレン/プロピレングリコールモノメチルエーテルモノプロピオネート=50/50(質量比)である混合溶剤。
製造例2
MICRO ACE K−1 10部、下記ポリエステル樹脂(B−1)の溶液18.5部及び混合溶剤A 71.5部を混合し、0.3mmφのYSZビーズを加え、遊星ボールミルPM400にて300rpmで3時間粉砕し、顔料分散を行なうことにより、無機顔料分散ペースト(A−2)(顔料濃度10質量%)を得た。
得られた無機顔料分散ペースト(A−2)を100メッシュ絹布でろ過し、製造例1と同様にして、平均粒子径の測定を行なったところ、100nmであった。
製造例3
MICRO ACE K−1 10部、下記ポリエステル樹脂(B−1)の溶液18.5部及び混合溶剤A 71.5部を混合し、0.5mmφのYSZビーズを加え、ペイントシェーカーDAS 200−K(LAU社製)にて3時間粉砕し、顔料分散を行なうことにより、無機顔料分散ペースト(A−3)(顔料濃度10質量%)を得た。
得られた無機顔料分散ペースト(A−3)を100メッシュ絹布でろ過し、製造例1と同様にして、平均粒子径の測定を行なったところ、450nmであった。
製造例4
合成モンモリロナイト(ルーセントタイトSWNS、コープケミカル社製)10部、下記ポリエステル樹脂(B−1)の溶液18.5部及び混合溶剤A 71.5部を混合し、1mmφのYSZビーズを加え、遊星ボールミルPM400にて300rpmで3時間粉砕し、顔料分散を行なうことにより、無機顔料分散ペースト(A−4)(顔料濃度10質量%)を得た。
得られた無機顔料分散ペースト(A−4)を100メッシュ絹布でろ過し、製造例1と同様にして、平均粒子径の測定を行なったところ、200nmであった。
製造例5
MICRO ACE K−1 10部、下記ポリエステル樹脂(B−1)の溶液18.5部及び混合溶剤A 71.5部を混合し、1mmφのYSZビーズを加え、ペイントシェーカーDAS 200−Kにて3時間粉砕し、顔料分散を行なうことにより、無機顔料分散ペースト(A−5)(顔料濃度10質量%)を得た。
得られた無機顔料分散ペースト(A−5)を100メッシュ絹布でろ過し、製造例1と同様にして、平均粒子径の測定を行なったところ、550nmであった。
製造例6
MT500HD (酸化チタン、テイカ社製)10部、下記ポリエステル樹脂(B−1)の溶液18.5部及び混合溶剤A 71.5部を混合し、1mmφのYSZビーズを加え、ペイントシェーカーDAS 200−Kにて2時間粉砕し、顔料分散を行なうことにより、無機顔料分散ペースト(A−6)(顔料濃度10質量%)を得た。
得られた無機顔料分散ペースト(A−6)を100メッシュ絹布でろ過し、製造例1と同様にして、平均粒子径の測定を行なったところ、30nmであった。
ポリエステル樹脂(B)(水酸基含有樹脂)の製造(中塗塗料用)
製造例7
加熱装置、攪拌装置、温度計、還流冷却器、水分離器を備えた4つ口フラスコに、無水フタル酸22.0部、アジピン酸33.0部、ネオペンチルグリコール34.2部及びトリメチロールプロパン10.8部を仕込み、160℃から230℃まで3時間かけて昇温させた後、生成した縮合水を水分離器により留去させながら230℃で保持し、酸価が10mgKOH/gになるまで反応させた。冷却後、混合溶剤B(注2)を加えて、ポリエステル樹脂(B−1)溶液(固形分65質量%)を得た。得られたポリエステル樹脂(B−1)の水酸基価は93mgKOH/g、酸価は10mgKOH/g、数平均分子量は2100、脂環構造を有する化合物の量は0モル%であった。
(注2)混合溶剤B:キシレン/スワゾール1000(コスモ石油社製、高沸点石油系溶剤)=50/50(質量比)の混合溶剤。
製造例8〜13
下記表1に示す配合で、製造例7と同様にして合成することにより、ポリエステル樹脂(B−2)〜(B−7)の各溶液を得た。得られた各ポリエステル樹脂の特数値を製造例7と併せて下記表1に示す。
Figure 2009029942
その他の顔料分散ペースト(D)の製造1(中塗塗料用)
製造例14
JR−806(テイカ社製、商品名、ルチル型二酸化チタン)80部、カーボンMA−100(三菱化学社製、商品名、カーボンブラック)1部、上記ポリエステル樹脂(B−1)の溶液35.5部及び混合溶剤A 30.5部を混合し、ハイビーD−24(1〜1.25mmφのガラスビーズ(浅田鉄工社製))加え、ペイントシェーカーDAS 200−Kにて30分間粉砕し、顔料分散を行なうことにより、その他の顔料分散ペースト(D−1)(顔料濃度55質量%)を得た。
得られたその他の顔料分散ペースト(D−1)を100メッシュ絹布でろ過し、製造例1と同様にして、平均粒子径の測定を行なったところ、300nmであった。
塗料組成物(中塗塗料)の製造1
実施例1〜8及び比較例1〜2
上記製造例1〜6で得られた無機顔料分散ペースト(A)、上記製造例7〜13で得られたポリエステル樹脂(B)溶液、硬化剤(C)及び上記製造例14で得られたその他の顔料分散ペースト(D)を後記表2に示す配合にてディスパーを用いて攪拌混合して塗料化を行い、各塗料組成物1〜10を得た。各塗料組成物は、フォードカップNo.4を用いて20℃で35秒の粘度になるように混合溶剤C(注3)にて調整を行なった。
(注3)混合溶剤C:キシレン/スワゾール1500(コスモ石油社製、高沸点石系油溶剤)/n−ブタノール=45/50/5(質量比)の混合溶剤。
なお、後記表2における硬化剤(C−1)及び(C―2)はそれぞれ下記のとおりである。
硬化剤(C−1):Cy202(サイテック社製、商品名、イミノ基含有メトキシ・ブトキシ混合変性メラミン樹脂、重合度2.10、固形分濃度80%)
硬化剤(C―2):B−882N(三井化学社製、商品名、ヘキサメチレンジイソシアネート系ブロックイソシアネート、NCO含有量10.7%、固形分濃度70%)
試験板の作成1
実施例1〜8及び比較例1〜2で得られた各塗料組成物を使用して、それぞれについて以下の様にして試験板を作製した。
パルボンド#3020(日本パーカライジング社製、リン酸亜鉛処理)を施した冷延鋼板に、エレクロンGT−10(関西ペイント社製、熱硬化性エポキシ樹脂系カチオン電着塗料)を膜厚20μmとなるように電着塗装し、170℃で30分間加熱し硬化させ電着塗膜を形成させた。
該電着塗膜上に上記各塗料組成物1〜10を膜厚30μmとなるように塗装し、室温で7分間放置してから、80℃で3分間予備乾燥を行なった後、145℃で30分間加熱して硬化させ中塗塗膜を得た。
該中塗塗膜上に水性メタリックベースコート塗料WBC710T#1E7(関西ペイント社製、アクリル・メラミン樹脂系自動車上塗ベースコート塗料)を膜厚15μmとなるように塗装し、室温で3分間放置してから、80℃で3分間予備乾燥を行なった後、未硬化の該ベースコート塗膜上に有機溶剤型クリヤ塗料(KINO#1200TW、関西ペイント社製、酸・エポキシ硬化型アクリル樹脂系クリヤ塗料)を膜厚35μmとなるように塗装し、室温で7分間放置してから、140℃で30分間加熱してこの両塗膜を一緒に硬化させることにより各試験板を得た。得られた各試験板につき、以下の試験を行なった。
また、上塗り塗料塗装前の中塗り塗膜につき、併せて各試験板の60°鏡面反射率(60°光沢値)を測定して評価を行なった。試験結果は後記表2に示す。
耐水性:試験板を20℃の恒温室に24時間放置後、80℃の温水中に5時間浸漬し、その後浸漬させたままの状態で80℃から室温まで徐々に冷却した。その後水中より引き上げ、試験板の表面状態を以下の基準で評価した。
○:ツヤ感が良好、×:ツヤ感が劣る
耐チッピング性:スガ試験機社製の飛石試験機JA−400型(チッピング試験装置)の試片保持台に試験板を設置し、−20℃において、0.392MPa(4kgf/cm)の圧縮空気により、粒度7号の花崗岩砕石50gを塗面に吹き付け、これによる塗膜のキズの発生部位を目視で観察し評価した。
○:電着面や素地の鋼板が露出していない。
×:キズの大きさはかなり大きく、素地の鋼板も大きく露出している。
また、試験板を画像スキャナー(EPSON社製、商品名:GT−9700F)を用いて、スキャン条件:24bitカラースケール、解像度72dpiの条件でスキャンして、データをコンピューターに入力した。その後、各画像について、画像解析ソフトウェア(NIH Image)を用い面積測定用の設定で、破壊部の個数、破壊部面積%(塗面全体における全破壊部面積の比率)及び破壊部1個当たりの面積%(塗面全体における破壊部1個当たりの面積の比率)を測定し、数値化することにより評価を行なった。
Figure 2009029942
無機顔料分散ペースト(A)の製造2(上塗着色ベース塗料用)
製造例15
MICRO ACE K−1 10部、下記ポリエステル樹脂(B−8)分散液30部及び脱イオン水60部を混合し、1mmφのYSZビーズを加え、遊星ボールミルPM400にて300rpmで10時間粉砕し、顔料分散を行なうことにより、無機顔料分散ペースト(A−7)(顔料濃度10質量%)を得た。
得られた無機顔料分散ペースト(A−7)を100メッシュ絹布でろ過し、製造例1と同様にして、平均粒子径の測定を行なったところ、230nmであった。
製造例16
MICRO ACE K−1 10部、下記ポリエステル樹脂(B−8)分散液30部及び脱イオン水60部を混合し、0.3mmφのYSZビーズを加え、遊星ボールミルPM400にて300rpmで3時間粉砕し、顔料分散を行なうことにより、無機顔料分散ペースト(A−8)(顔料濃度10質量%)を得た。
得られた無機顔料分散ペースト(A−8)を100メッシュ絹布でろ過し、製造例1と同様にして、平均粒子径の測定を行なったところ、100nmであった。
製造例17
MICRO ACE K−1 10部、下記ポリエステル樹脂(B−8)分散液30部及び脱イオン水60部を混合し、0.5mmφのYSZビーズを加え、ペイントシェーカーDAS 200−Kにて3時間粉砕し、顔料分散を行なうことにより、無機顔料分散ペースト(A−9)(顔料濃度10質量%)を得た。
得られた無機顔料分散ペースト(A−9)を100メッシュ絹布でろ過し、製造例1と同様にして、平均粒子径の測定を行なったところ、400nmであった。
製造例18
MICRO ACE K−1 10部、下記ポリエステル樹脂(B−8)分散液30部及び脱イオン水60部を混合し、1mmφのYSZビーズを加え、ペイントシェーカーDAS 200−Kにて3時間粉砕し、顔料分散を行なうことにより、無機顔料分散ペースト(A−10)(顔料濃度10質量%)を得た。
得られた無機顔料分散ペースト(A−10)を100メッシュ絹布でろ過し、製造例1と同様にして、平均粒子径の測定を行なったところ、570nmであった
ポリエステル樹脂(B)(水酸基含有樹脂)の製造2(上塗着色ベース塗料用)
製造例19
加熱装置、攪拌装置、温度計、還流冷却器、水分離器を備えた4つ口フラスコに、無水フタル酸28.0部、アジピン酸25.7部、ネオペンチルグリコール26.4部、トリメチロールプロパン22.9部を仕込み、160℃から230℃まで3時間かけて昇温させた後、生成した縮合水を水分離器により留去させながら230℃で保持し、酸価が3mgKOH/g以下となるまで反応させた。この反応生成物に無水トリメリット酸6.69部を付加させた後、N,N−ジメチルエタノールアミンを酸基に対して当量添加し中和してから、脱イオン水を徐々に添加し水分散することにより、固形分濃度40質量%のポリエステル樹脂(B−8)分散液を得た。得られたポリエステル樹脂(B−8)の水酸基価は137mgKOH/g、酸価は40mgKOH/g、数平均分子量は2000であった。
アクリル樹脂(B)(水酸基含有樹脂)の製造(上塗着色ベース塗料用)
製造例20
温度計、サーモスタット、撹拌器、還流冷却器及び滴下装置を備えた反応容器に脱イオン水145部、Newcol562SF(注4)1.2部を仕込み、窒素気流中で撹拌混合し、80℃に昇温した。次いで下記のモノマー乳化物1の全量のうちの5%量及び3%過硫酸アンモニウム水溶液5.2部とを反応容器内に導入し80℃で20分間保持した。
その後、残りのモノマー乳化物1を3時間かけて反応容器内に滴下し、滴下終了後30分間熟成を行った。ついで、下記のモノマー乳化物2を1.5時間かけて滴下し、2時間熟成した後、1.5%ジメチルエタノールアミン水溶液89部を反応容器に徐々に加えながら30℃まで冷却し、100メッシュのナイロンクロスで濾過しながら排出し、固形分濃度25質量%のアクリル樹脂(B−9)分散液を得た。得られたアクリル樹脂(B−9)の水酸基価は22mgKOH/g、酸価は30mgKOH/g、平均粒子径は100nmであった。粒子径の測定は、COULTER N4型サブミクロン粒子分析装置(日科機(株)社製)を用いて行った。
(注4)Newcol562SF;日本乳化剤社製、商品名、ポリオキシエチレンアルキルベンゼンスルホン酸アンモニウム、有効成分60%。
モノマー乳化物1:脱イオン水94.3部、メチルメタクリレート17部、n−ブチルアクリレート80部、アリルメタクリレート3部及びNewcol562SF1.2部を混合攪拌して、モノマー乳化物1を得た。
モノマー乳化物2:脱イオン水37.3部、メチルメタクリレート15.4部、n−ブチルアクリレート2.9部、ヒドロキシエチルアクリレート5.9部、メタクリル酸5.1部、Newcol562SF 0.5部、及び3%過硫酸アンモニウム水溶液1.7部を混合攪拌して、モノマー乳化物2を得た。
製造例21
温度計、サーモスタット、撹拌器、還流冷却器及び滴下装置を備えた反応容器に、ブチルセロソルブ50部を入れ、120℃に加温した後、さらに単量体としてスチレン10部、メチルメタクリレート25部、n−ブチルメタクリレート20部、n−ブチルアクリレート25部、ヒドロキシエチルメタクリレート15部、アクリル酸5部、並びにラジカル重合開始剤として2,2−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)6部を混合した混合物を5時間かけて滴下した。ついで2時間熟成させた後、N,N−ジメチルエタノールアミン(アミンによるカルボキシル基の中和当量が1.0となる量)を添加して中和し、ブチルセロソルブで希釈することにより、固形分濃度65質量%のアクリル樹脂(B−10)溶液を得た。得られたアクリル樹脂(B−10)の水酸基価は72.5mgKOH/g、酸価は39mgKOH/g、数平均分子量は5500であった。
ポリエステル樹脂(B)(水酸基含有樹脂)の製造3(上塗着色ベース塗料用)
製造例22
攪拌機、還流冷却器、水分離器及び温度計を備えた反応器に、トリメチロールプロパン273部、無水コハク酸200部及びカージュラE10P(ジャパンエポキシレジン社製、ネオデカン酸モノグリシジルエステル)490部を仕込み、100〜230℃で3時間反応させた(この時点でサンプリングを行なったところ水酸基価は350mgKOH/gで、数平均分子量は580であった。)後、さらに無水トリメリット酸192部を加え、180℃で縮合反応させることにより、ポリエステル樹脂(B−11)を得た。得られたポリエステル樹脂(B−11)は、酸価が49mgKOH/g、水酸基価が195mgKOH/g、数平均分子量が1500であった。
塗料組成物(上塗着色ベース塗料用)の製造2
実施例9〜11及び比較例3
上記製造例15〜18で得られた無機顔料分散ペースト(A)、上記製造例19〜22で得られた水酸基含有樹脂及びサイメル325(三井サイテック社製、メトキシ・ブトキシ混合アルキル化メラミン樹脂、固形分80%)を後記表3に示す配合にて加えて混合攪拌した。その後、後記表3に示す量のアルミペーストGX−180A(旭化成社製、アルミニウムフレークペースト、アルミ顔料分74%)を攪拌しながら添加して混合分散することにより、各塗料組成物11〜14を得た。
各塗料組成物は、N,N−ジメチルエタノールアミン及び脱イオン水を添加してpH8.0、フォードカップNo.4による測定で20℃にて40秒の粘度となるように調製を行なった。
試験板の作成2
実施例9〜11及び比較例3で得られた各塗料組成物11〜14を使用して、それぞれについて以下の様にして試験板を作製した。
パルボンド#3020(日本パーカライジング社製、リン酸亜鉛処理)を施した冷延鋼板に、エレクロンGT−10(関西ペイント社製、熱硬化性エポキシ樹脂系カチオン電着塗料)を膜厚20μmとなるように電着塗装し、170℃で30分間加熱し硬化させ電着塗膜を形成させた。
該電着塗膜上に上記塗料組成物9(中塗塗料)を膜厚30μmとなるように塗装し、室温で7分間放置してから、145℃で30分間加熱して硬化させ中塗塗膜を得た。
該中塗塗膜上に上記各塗料組成物11〜14を膜厚15μmとなるように塗装し、室温で3分間放置してから、80℃で3分間予備乾燥を行なった後、未硬化の該着色ベースコート塗膜上に有機溶剤型クリヤコート塗料KINO#1200TW(関西ペイント社製、酸・エポキシ硬化型アクリル樹脂系クリヤ塗料)を膜厚35μmとなるように塗装し、室温で7分間放置してから、140℃で30分間加熱して、ベースコート及びクリヤコート両塗膜を一緒に硬化させることにより各試験板を得た。
実施例12
実施例9(上塗着色ベース塗料は塗料組成物11)において、中塗塗料として、上記塗料組成物1を使用した以外は同様にして試験板を作成し、性能試験を行なった。
得られた各試験板の60°鏡面反射率(60°光沢値)、また、上記試験板の作成1で説示した方法と同様にして耐水性及び耐チッピング性について試験を行なった。性能試験結果を併せて表3に示す。
Figure 2009029942
その他の顔料分散ペースト(D)の製造2(着色上塗塗料用)
製造例23
JR−806 80部、上記ポリエステル樹脂(B−1)溶液36.9部及び混合溶剤A 29.6部を混合し、ハイビーD−24(1〜1.25mmφのガラスビーズ(浅田鉄工社製))加え、ペイントシェーカーDAS 200−Kにて30分間粉砕し、顔料分散を行なうことにより、その他の顔料分散ペースト(D−2)(顔料濃度55質量%)を得た。
得られたその他の顔料分散ペースト(D−2)を100メッシュ絹布でろ過し、製造例1と同様にして、平均粒子径の測定を行なったところ、300nmであった。
ポリエステル樹脂(B)(水酸基含有樹脂)の製造4(着色上塗塗料用)
製造例24
加熱装置、攪拌装置、温度計、還流冷却器、水分離器を備えた4つ口フラスコに、ネオペンチルグリコール15.5部、トリメチロールプロパン10.7部、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物(=ヘキサヒドロ無水フタル酸)31.7部、アジピン酸17.8部及び2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール24.3部を入れ、加熱を開始した。160℃から230℃まで5時間かけて昇温させた後、230℃で2時間保持し生成した縮合水を水分離器により留去させながら230℃で保持し、酸価が10mgKOH/gになるまで反応させた。冷却後、混合溶剤Bを加えて不揮発分65%のポリエステル樹脂(B−12)溶液を得た。得られたポリエステル樹脂(B−12)の水酸基価は119mgKOH/g、酸価は10mgKOH/g、数平均分子量は1380、脂環構造を有する化合物の量は29.5モル%であった。であった。
塗料組成物(着色上塗塗料)の製造3
実施例13〜15及び比較例4
上記製造例1〜3及び5で得られた無機顔料分散ペースト(A)、上記製造例24で得られたポリエステル樹脂(B−12)溶液、硬化剤(C−1)及び上記製造例23で得られたその他の顔料分散ペースト(D−2)を後記表4に示す配合にてディスパーを用いて攪拌混合して塗料化を行い、各塗料組成物15〜18を得た。各塗料組成物は、フォードカップNo.4を用いて20℃で35秒の粘度になるように混合溶剤Cにて調整を行なった。
試験板の作成3
実施例13〜15及び比較例4で得られた各塗料組成物15〜18を使用して、それぞれについて以下の様にして試験板を作製した。
中塗塗膜の形成までは、上記試験板の作成2と同様にして中塗塗膜を得た。
該中塗塗膜上に上記各塗料組成物15〜18を膜厚40μmとなるように塗装し、室温で7分間放置してから、140℃で30分間加熱して、着色上塗塗膜を硬化させることにより各試験板を得た。
実施例16
実施例13(着色上塗塗料は塗料組成物15)において、中塗塗料として、上記塗料組成物1を使用した以外は同様にして試験板を作成し、性能試験を行なった。
得られた各試験板の60°鏡面反射率(60°光沢値)、また、上記試験板の作成1で説示した方法と同様にして耐水性及び耐チッピング性について試験を行なった。性能試験結果を併せて表4に示す。
Figure 2009029942

Claims (9)

  1. フィロケイ酸塩鉱物より得られる無機顔料(A)、水酸基含有樹脂(B)及び硬化剤(C)を含有する塗料組成物であって、該無機顔料(A)の平均粒子径が500nm未満であることを特徴とする塗料組成物。
  2. 無機顔料(A)の平均粒子径が20nm以上500nm未満である請求項1に記載の塗料組成物。
  3. 無機顔料(A)が、パイロフィライト−タルク群のフィロケイ酸塩鉱物より得られる無機顔料である請求項項1又は2に記載の塗料組成物。
  4. 水酸基含有樹脂(B)が、ポリエステル樹脂及びアクリル樹脂から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜3のいずれかに記載の塗料組成物。
  5. ポリエステル樹脂が、多塩基酸と多価アルコ−ルとのエステル化反応によって合成され、該構成成分の総量を基準にして、脂環式構造を有する化合物の含有量が10モル%以上であることを特徴とする請求項4に記載の塗料組成物。
  6. 硬化剤(C)が、メラミン樹脂及びブロックポリイソシアネート化合物から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜5のいずれかに記載の塗料組成物。
  7. 無機顔料(A)の含有量が、水酸基含有樹脂(B)及び硬化剤(C)の固形分総量に対して、2〜15質量%である請求項1〜6のいずれかに記載の塗料組成物。
  8. 下塗塗料が塗装された被塗物に順次、中塗塗料及び少なくとも1種の上塗塗料を塗装して複層塗膜を形成する方法であって、該中塗塗料及び/又は上塗塗料として、請求項1〜7のいずれかに記載の塗料組成物を塗装することを特徴とする複層塗膜形成方法。
  9. 被塗物が自動車車体である請求項8に記載の複層塗膜形成方法。
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