JP2009029354A - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】タイヤのトレッド踏面に、トレッド周線に沿って延びる少なくとも1本の周方向溝と、該周方向溝に開口する複数の共鳴器とを具える空気入りタイヤであって、前記共鳴器は、前記周方向溝に一端が開口する管状部と、該管状部の他端に接続し、該管状部の断面積よりも大きな断面積を有する気室部とを具え、前記管状部における平均断面積Sに対する平均周長Lの比L/Sが2以上である。
【選択図】図2
Description
すなわち、周方向溝を有するタイヤが接地した状態において、該周方向溝の溝壁と、接地面との間に接地長と同じ長さの管が形成され、タイヤの走行に伴い、気柱共鳴音と呼ばれるノイズが発生する。この気柱共鳴音の周波数f0は、音速をcとし、管の長さ、すなわち、周方向溝の長さに開口端補正量を足したものをLとすると、
f0=c/2L
で表わされる一定の周波数である。なお、開口端補正量とは、通常は実験によって求められるものであり、管が円筒形の場合、管の内側の半径に定数を乗じたものとなる。
で表されることがわかっている。
この場合、音速をc、枝溝部の長さに開口端補正量を足したものをL、枝溝部の断面積をS、気室部の体積をVとすると、減音する周波数fは、
(1)タイヤのトレッド踏面に、トレッド周線に沿って延びる少なくとも1本の周方向溝と、該周方向溝に開口する複数の共鳴器とを具える空気入りタイヤであって、
前記共鳴器は、前記周方向溝に一端が開口する管状部と、該管状部の他端に接続し、該管状部の断面積よりも大きな断面積を有する気室部とを具え、
前記管状部における平均断面積(以下、「平均管断面積」という)Sに対する平均周長(以下、「平均管周長」という)Lの比L/Sが2以上である
ことを特徴とする空気入りタイヤ。
なお、平均管断面積の単位はmm2、平均管周長の単位はmmであるので、上記比は、mm−1の単位となる。
なお、タイヤの内部補強構造等は一般的なラジアルタイヤのそれと同様であるので図示を省略する。
本実施形態の空気入りタイヤのトレッド踏面1には、タイヤ周方向に連続して延びる複数本の周方向溝2を有し、それら周方向溝2のうち、図においてタイヤの赤道CLの近傍の周方向溝2とその片側に配置した周方向溝2に対して複数の共鳴器3を設けている。共鳴器3は、周方向溝2に一端が開口する溝による管状部3aと、管状部3aの他端に接続し、管状部3aよりも断面積が大きい気室部3bとからなる。ここで、管状部3aの断面積は、図2のA−A線に沿う断面積であり、気室部3bの断面積は、図2のB−B線に沿う断面積である。すなわち、管状部3aおよび気室部3bの断面積は、管状部3aおよび気室部3bが曲線状に延びているので、管状部3aおよび気室部3bそれぞれの延在長さの中間点における側壁に対する法線に沿って管状部3aおよび気室部3bを切断した面の面積のことである。
例えば、本発明に従う共鳴器の典型的な形態(溝形態)を、図4(a)に斜視図で、図4(b)に断面図として示すように、管状部3aの深さL1と溝幅L2とが一定の場合は、管状部3aと接地面とにより構成される管の平均管周長Lは、2L1+2L2となり、管の平均管断面積Sは、L1×L2となるので、
となることが肝要である。
またより一般的に、管状部が一様の形状でない場合(管状部3aの深さL1と溝幅L2とが一定でない場合)は、管状部3aと接地面とにより構成される管の側面積Pと管状部3aの長さQを用いて、平均管周長Lは、P/Qとなるので、平均管断面積Sを用いて、
となることが肝要である。なお、管状部の側面積とは、管状部の全表面積から管状部の両端面の面積を引いた面積である。
さて、管を通過する音の減衰は、管内の表面積と管を通過する音の粒子速度に比例することが分かっている。そして、管を通過する音の粒子速度は管の断面積に反比例する。それゆえ、この減衰を大きくするためには、粒子速度を下げずに管内の表面積を増加する、すなわち、管の断面積に対して管の周長を長くすることが有効である。
なお、上限については、比L/Sが10以下であることが好適である。なぜなら、比L/Sが10より大きくなると、減衰は大きくなるが、一方で、減衰の大きさは適度に保つことが肝要である点、この場合は減衰が大きくなりすぎることにより、共鳴器の効果が減少する。また、現実的には、管状部の幅が極端に狭いため管状部が閉じて共鳴器のポートとして作用しない状態となり、共鳴器の減音効果が減少する場合もある。
上述したとおり、図2は発明例タイヤのトレッドパターンの展開図であり、また、図5は比較例タイヤのトレッドパターンの展開図であり、図6は基準タイヤのトレッドパターンの展開図である。
図5に示す比較例タイヤは、管状部の幅と深さが異なる点以外は、図2に示す発明例タイヤと同じ溝構造である。表1に、図2の発明例タイヤおよび図5の比較例タイヤのトレッドパターンの共鳴器の寸法を示す。発明例タイヤおよび比較例タイヤの共鳴器の管状部は、いずれも図4に示すような一定の深さL1、幅L2を有し、管周長は異なるが管断面積は同一である。
一方、図6に示す基準タイヤは、タイヤ騒音低減のための共鳴器を持たない従前のタイヤであり、隣接する周方向溝2間をつなぐ幅方向溝4を有する。
比較例タイヤは、周方向溝2の気柱共鳴音1000Hz部分のみは高い減音効果(約2.5dB)があるが、その他の周波数帯域ではあまり減音効果は見られない。
発明例タイヤは、1000Hz部分は、比較例タイヤほど高い減音効果はないが、625Hz〜1250Hzの周波数帯域において1dB以上の減音効果があった。
それゆえ、基準タイヤ対比の総合的な減音効果を、表1に表すように、比較例タイヤでは1.4dB、発明例タイヤでは1.8dBであった。
表2に、発明例1〜6および比較例1〜3のタイヤのトレッドパターンの共鳴器の寸法を示す。発明例1および比較例1〜3のタイヤの共鳴器の管状部は、いずれも図4に示すような一定の深さL1および幅L2を有する溝であり、発明例2〜6のタイヤの共鳴器の管状部は、いずれも管周長を長くするために、図8に示すような溝の深さ方向にジグザグの形状を有し、深さL1=L11+L12+L13とする。
以上により、共鳴器となる管状部の管断面積Sに対する管周長の比L/Sを2以上とすることによって、トレッドパターンのデザイン自由度を阻害することなく、幅広い周波数帯域の気柱共鳴音の低減を高次元で達成されことが分かる。
1 トレッド踏面
2 周方向溝
3 共鳴器
3a 管状部
3b 気室部
4 幅方向溝
Claims (3)
- タイヤのトレッド踏面に、トレッド周線に沿って延びる少なくとも1本の周方向溝と、該周方向溝に開口する複数の共鳴器とを具える空気入りタイヤであって、
前記共鳴器は、前記周方向溝に一端が開口する管状部と、該管状部の他端に接続し、該管状部の断面積よりも大きな断面積を有する気室部とを具え、
前記管状部における平均断面積Sに対する平均周長Lの比L/Sが2以上である
ことを特徴とする空気入りタイヤ。 - 前記比L/Sが10以下である請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- 前記管状部を区画する面の表面粗さが粗い請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
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