JP2009028729A - 超音波振動接合方法およびこの方法により形成されたデバイス並びに超音波振動接合装置 - Google Patents

超音波振動接合方法およびこの方法により形成されたデバイス並びに超音波振動接合装置 Download PDF

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Abstract

【課題】簡素な構成で効率よく接合作業を行うことのできる技術を提供する。
【解決手段】予め設定された第1時間T1、セラミックヒータを昇温するパルスヒート加熱するとともに、共振器7の熱伝導率が約7.5W/m℃以下であることから、従来のように熱遮断部材を共振器7とセラミックヒータとの間に設けなくとも、セラミックヒータから共振器7への伝熱が抑制され、共振器7が昇温して熱膨張したりしないので、どのような接合温度Hjであっても共振器7を共通して使用することができて効率がよい。また、セラミックヒータで発生する熱の共振器7への放熱が抑制されているため、パルスヒート加熱によるセラミックヒータの加熱であってもセラミックヒータを効率よく昇温できるため、セラミックヒータを短時間で接合温度Hjに昇温することができ、熱遮断部材等を用いずに、簡素な構成で効率よく接合作業を行うことができる。
【選択図】図6

Description

本発明は、接合対象として重合された複数の被接合物に超音波振動を印加して該複数の被接合物どうしを接合する技術に関する。
従来、接合対象として重合された複数の被接合物に超音波振動を印加して該複数の被接合物どうしを接合する際に、超音波振動を印加すると同時に該重ね合わされた被接合物を加熱することにより、超音波振動エネルギーを高くしなくても接合強度を安定させ、品質感および信頼性の向上を図る技術が知られている(例えば、特許文献1)。すなわち、共振器とステージとの間に重合状態の複数の被接合物を挟持した状態で、共振器に結合した振動子に超音波振動エネルギーを供給して振動子を超音波振動させ、共振器を共振振動させるとともに、共振器に内蔵したヒーターにより共振器を所定の温度に加熱している。
このような構成とすれば、共振振動した共振器から重合状態の複数の被接合物に超音波振動が印加されるとともに、ヒーターによって加熱された共振器により該複数の被接合物が加熱される。したがって、重合状態の複数の被接合物には、超音波振動により発生する摩擦熱と、ヒーターによる熱との総和による接合エネルギーが集中するため、振動子に供給する超音波振動エネルギーを高くしたり、重合状態の複数の被接合物への加圧力を強くしなくても、当該複数の被接合物どうしを適切に接合することができる。
ところで、上記した特許文献1に記載の技術では、ヒータを共振器に内蔵して設けているため、次のような点について技術の改善が求められていた。すなわち、超音波振動と加熱を併用して被接合物どうしを接合する際、まず、ヒータにより共振器本体を加熱して、当該加熱された共振器により被接合物を加熱している。このとき、被接合物の材質や大きさによって接合温度は異なるが、共振器の温度が所定の接合温度になるまで時間がかかるため、常に共振器を加熱して所定の接合温度に維持しておく必要があった。
しかしながら、通常、共振器は所定の設定周波数で共振するように設計されているが、常に共振器を所定の接合温度に加熱しておくことにより、加熱された共振器が膨張する等して、当該共振器の固有振動数が設計時の固有振動数からずれることがあった。そのため、各接合温度専用、つまり被接合物の種類や大きさに応じた複数種類の共振器を形成しておき、被接合物の種類等に応じて共振器を交換してその接合温度における接合を行わなければならず、非常に効率が悪かった。
そこで、例えば、特許文献2に記載の技術では、ヒータを有する被接合物の保持手段を熱遮断部材を介して共振器に取り付けるという対策が講じられていた。このような構成とすれば、ヒータから共振器への伝熱が抑制され、共振器の温度を変化させることなく、ヒータの熱が保持手段にのみ伝達されるため、保持手段を所定の接合温度まで昇温する昇温時間の短縮を図ることができる。しかも、共振器の温度変化が抑制されるため、当該共振器の固有振動数が変化せず、被接合物の種類等に応じた様々な接合温度において共通の共振器を使用することができる。
特許第3078231号公報(段落[0004]、[0008]〜[0010]、[0021]、[0034]、[0037]、[0041]、図1,2等) 特開2006−339198号公報(段落[0007]、[0013]、図3参照)
しかしながら、上記した特許文献2に記載の技術では、熱遮断部材を共振器と保持手段との間に別途設けなければならず、部品点数が多くなり、装置構成が複雑になるという問題があった。
この発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、簡素な構成で効率よく接合作業を行うことのできる技術を提供することを目的とする。
上記した目的を達成するため、本発明にかかる超音波振動接合方法は、接合対象として重合された複数の被接合物に超音波振動を印加して該複数の被接合物どうしを接合する超音波振動接合方法において、振動子が発生する振動により超音波振動し、熱伝導率が25.0W/m℃以下の材質からなる共振器の最大振幅部に固着して設けられ、前記複数の被接合物のうち少なくとも一の前記被接合物を加熱可能に保持する加熱保持手段を待機温度から該待機温度よりも高温の接合温度に昇温し、前記一の被接合物を、予め設定された第1時間、前記接合温度にて加熱した後に、前記加熱保持手段を冷却するパルスヒート加熱工程と、前記加熱保持手段、および、前記共振器に対向配置されたステージとの間に重合状態で挟持された前記複数の被接合物に、少なくとも、予め設定された第2時間、前記超音波振動を印加する超音波振動印加工程とを含むことを特徴としている(請求項1)。
また、本発明にかかる超音波振動接合装置は、接合対象として重合された複数の被接合物に超音波振動を印加して該複数の被接合物どうしを接合する超音波振動接合装置において、振動子が発生する振動により超音波振動し、熱伝導率が25.0W/m℃以下の材質からなる共振器と、前記共振器に対向配置されたステージと、前記共振器の最大振幅部に固着して設けられ、前記複数の被接合物のうち少なくとも一の前記被接合物を加熱可能に保持し、前記ステージとの間に重合状態で挟持された前記複数の被接合物に前記共振器の超音波振動を伝達する加熱保持手段と、前記振動子を制御する振動制御手段と、前記加熱保持手段をパルスヒート加熱制御する加熱制御手段とを備え、前記加熱制御手段は、前記加熱保持手段を待機温度から該待機温度よりも高温の接合温度に昇温し、前記一の被接合物を、予め設定された第1時間、前記接合温度にて加熱した後に、前記加熱保持手段を冷却し、前記振動制御手段は、前記加熱保持手段と前記ステージとの間に重合状態で挟持された前記複数の被接合物に、少なくとも、予め設定された第2時間、前記超音波振動を印加することを特徴としている(請求項5)。
このように構成された発明では、熱伝導率が約25.0W/m℃以下の材質からなる共振器の最大振幅部に固着して設けられた加熱保持手段を待機温度よりも高温の接合温度に昇温し、該加熱保持手段により保持された一の被接合物を、予め設定された第1時間、接合温度にて加熱した後に、加熱保持手段を冷却するパルスヒート加熱を行うとともに、加熱保持手段とステージとの間に重合状態で挟持された複数の被接合物に、少なくとも、予め設定された第2時間、超音波振動を印加して、重合された複数の被接合物どうしを接合している。
このとき、加熱保持手段を恒常的(コンスタントヒート加熱)ではなくパルス様(パルスヒート加熱)に昇温して予め設定された第1時間のみ加熱することで、共振器の熱伝導率が約25.0W/m℃以下であることから、従来のように熱遮断部材を共振器と加熱保持手段との間に設けなくとも、加熱保持手段から共振器への伝熱が抑制され、共振器が設計温度よりも高温に昇温することがなく膨張したりしないので、どのような接合温度であっても共振器を共通して使用することができて効率がよい。また、加熱保持手段で発生する熱が共振器に伝導し難いことから、パルスヒート加熱による加熱保持手段の加熱であっても当該加熱保持手段を効率よく昇温させることができるため、当該加熱保持手段を短時間で接合温度に昇温させることができる。したがって、従来のような熱遮断部材等の断熱材を用いずとも、簡素な構成で効率よく接合作業を行うことができる。しかも、被接合物に対する接合温度での加熱を、パルス様に短時間(第1時間)行うだけなので、被接合物を過剰に加熱して該被接合物が溶融しすぎるのを効果的に防止できる。
また、前記接合温度は、前記被接合物の融点よりも低い温度に設定されている構成でもよい(請求項2)。
このような構成とすれば、接合温度が被接合物の融点よりも低い温度に設定されているため、被接合物どうしを接合する際に、当該被接合物が過剰に加熱されることにより溶融して当該被接合物の形状が崩れるのを確実に防止できる。また、被接合物どうしの接合面には超音波振動が印加されることにより摩擦熱が発生しているため、接合面においては当該被接合物の融点を超える温度となるため、被接合物の接合面どうしのみが溶融し、確実に被接合物どうしを接合することができる。
また、接合対象としての少なくとも1つの前記被接合物の接合面には、融点が約450℃以下の材質からなる金属溶融電極が形成されている構成でもよい(請求項3)。
このような構成とすれば、超音波振動を印加することによる摩擦力により金属溶融電極の表面に付着した有機物や酸化膜等の付着物層を除去することができる。また、金属溶融電極の融点が約450℃以下と低温であることから、当該金属溶融電極表面の付着物層を除去した後、低温加熱を行うことにより、該金属溶融電極が形成された被接合物の接合を行うことができる。
したがって、接合面に金属溶融電極が形成された被接合物と、接合面に回路パターンが形成された被接合物との接合を行う場合、超音波振動を印加して金属溶融電極表面に付着した付着物層を除去することにより、従来、金属溶融電極が形成された被接合物と、回路パターンが形成された被接合物とを接合する際に必要であったフラックス(融剤)を用いずとも、当該被接合物どうしを接合することができる。
また、被接合物に対してコンスタントヒート加熱ではなく、被接合物の種類に応じて予め設定された短時間(第1時間)の加熱であるパルスヒート加熱を行うことにより、被接合物の接合面に形成された金属溶融電極が過剰に加熱されて、当該金属溶融電極が溶融しすぎるのを防止できる。したがって、溶融した金属溶融電極が被接合物の接合面上の回路パターンをショートさせたり、被接合物どうしを接合した後の金属溶融電極の形状が歪んだり、金属溶融電極が溶融しすぎて位置ずれしたりすることがないため、被接合物どうしを精度よく接合することができる。
特に、接合温度を金属溶融電極の融点以下としてパルスヒート加熱を行うことにより、超音波振動を印加することによる摩擦熱と、パルスヒート加熱による熱とが金属溶融電極の接合表面のみ溶融させて被接合物どうしの接合が行われるので、よりいっそう効果的に精度よく被接合物どうしの接合を行うことができる。
また、本発明にかかるデバイスは、請求項1ないし3のいずれかに記載の超音波振動接合方法により形成されたデバイスであって、半導体デバイスまたはMEMSデバイスからなることを特徴としている(請求項4)。
このような構成とすれば、超音波振動によるエネルギーと、パルスヒート加熱によるエネルギーとの2つのエネルギーが併用されることにより効率よく発生する接合エネルギーによって被接合物どうしが接合されて、半導体デバイスまたはMEMSデバイスが形成される。したがって、より少ない超音波振動エネルギーで、かつ、過剰な加熱を行わずとも被接合物どうしを接合してデバイスを形成できるので、デバイス作成時に被接合物どうしを接合する接合エネルギーを過剰に印加することで、作成されるデバイスに破損が生じたりするのを防止でき、精度のよいデバイスを提供することができる。
また、前記加熱保持手段は、電源供給用の電極が形成されたセラミックヒータを備え、前記電極に接触して前記セラミックヒータに電源供給する端子を有する電源供給手段をさらに備える構成でもよい(請求項6)。
このような構成とすれば、一般的に昇温特性と冷却特性に優れているセラミックヒータを採用することにより、当該セラミックヒータの昇温と冷却とを迅速に行うことができ、接合される被接合物に対して効率よくパルスヒート加熱を行うことができる。また、セラミックヒータに形成された電極に電源供給手段が有する端子が接触することで当該セラミックヒータに電源供給しているため、従来のように、電源供給用の配線がセラミックヒータに、はんだ等により直接接続されている構成に比べ、電源供給用の配線が共振器と一緒に振動することがなく、共振器の振動特性に影響を与えることがない。また、端子がセラミックヒータに形成された電極に接触して電源供給を行っているため、共振器は電源供給手段の平板端子と独立して超音波振動するので、電源供給用の配線が破損したりすることがなく、装置の耐久性の向上を図ることができる。
また、前記加熱保持手段は、静電チャック手段を備え、該静電チャック手段により前記一の被接合物を保持する構成でもよい(請求項7)。
このような構成とすれば、真空吸着方式と比較して、一の被接合物を保持する保持力が向上し、超音波振動を被接合物に効率よく伝達することができるので、被接合物どうしを良好に接合することができる。また、加熱保持手段に真空吸着のための吸着孔を形成する必要がないため、加熱保持手段の重量バランスが向上し、共振器が安定して超音波振動することとなり、安定した超音波振動を得ることができる。また、静電チャック手段により、真空中で一の被接合物を保持することができるため、真空中で被接合物どうしの接合を行うことができ、被接合物に有機物や酸化膜等の不純物が付着するのが防止されるので、被接合物どうしを良好に接合することができる。
請求項1、5に記載の発明によれば、予め設定された第1時間、加熱保持手段を昇温するパルスヒート加熱を行うとともに、共振器の熱伝導率が約25.0W/m℃以下であることから、従来のように熱遮断部材を共振器と加熱保持手段との間に設けなくとも、加熱保持手段から共振器への伝熱が抑制され、共振器が昇温して熱膨張したりしないので、どのような接合温度であっても共振器を共通して使用することができて効率がよい。また、加熱保持手段で発生する熱が共振器に伝導し難いことから、パルスヒート加熱による加熱保持手段の加熱であっても当該加熱保持手段を効率よく昇温させることができるため、当該加熱保持手段を短時間で所要の接合温度に昇温することができ、熱遮断部材等を用いずとも、簡素な構成で効率よく接合作業を行うことができる。
また、請求項2に記載の発明によれば、接合温度が被接合物の融点よりも低い温度に設定されているため、被接合物どうしを接合する際に、当該被接合物が過剰に加熱されることにより溶融して当該被接合物の形状が崩れるのを確実に防止できるとともに、被接合物どうしの接合面には超音波振動が印加されることにより摩擦熱が発生しているため、接合面においては当該被接合物の融点を超える温度となるため、接合面のみどうしが溶融して確実に被接合物どうしが接合される。
また、請求項3に記載の発明によれば、超音波振動を印加することによる摩擦力により金属溶融電極の表面に付着した有機物や酸化膜等の付着物層を除去することができ、金属溶融電極の融点が約450℃以下と低温であることから、当該金属溶融電極表面の付着物層を除去した後、低温加熱を行うことにより、該金属溶融電極が形成された被接合物の接合を行うことができる。
また、請求項4に記載の発明によれば、超音波振動によるエネルギーと、パルスヒート加熱によるエネルギーとの2つのエネルギーが併用されることにより効率よく発生する接合エネルギーによって被接合物どうしが接合されて、半導体デバイスまたはMEMSデバイスが形成されているため、より少ない超音波振動エネルギーで、かつ、過剰な加熱を行わずとも被接合物どうしを接合してデバイスを形成でき、デバイス作成時に被接合物どうしを接合する接合エネルギーを過剰に印加することで、作成されるデバイスに破損が生じたりするのを防止でき、精度のよいデバイスを提供することができる。
また、請求項6に記載の発明によれば、セラミックヒータに形成された電極に電源供給手段が有する端子が接触することで当該セラミックヒータに電源供給しているため、従来のように、電源供給用の配線がセラミックヒータに、はんだ等により直接接続されている構成に比べ、電源供給用の配線が共振器と一緒に振動することがなく、共振器の振動特性に影響を与えることがない。また、端子がセラミックヒータに形成された電極に接触して電源供給を行っているため、共振器は電源供給手段の端子と独立して超音波振動するので、電源供給用の配線が破損したりすることがなく、耐久性の向上を図ることができる。
また、請求項7に記載の発明によれば、静電チャック手段により、真空中で一の被接合物を保持することができるため、真空中で被接合物どうしの接合を行うことができ、被接合物に有機物や酸化膜等の不純物が付着するのが防止されるので、被接合物どうしを良好に接合することができる。
この発明の一実施形態について図1ないし図5を参照して説明する。図1はこの発明にかかる超音波振動接合装置の一実施形態の概略構成図である。また、図2は図1に示す超音波振動接合装置が備える共振器の下面図である。また、図3は図2の右側面図であって、共振器のA−A線断面図である。また、図4は図2の要部拡大図である。また、図5は図3に示す共振器の動作説明図である。
<装置構成>
図1に示す超音波振動接合装置200では、共振器7が保持する一方の接合対象としての被接合物であって、半導体の接合面に鉛錫はんだからなる金属溶融電極20aを有するチップ20と、共振器7に対向して配置されたステージ10が保持する他方の接合対象としての被接合物であって鉛錫はんだからなる金属溶融電極22aを有する基板22とを、加圧制御可能な上下駆動機構25によって、金属溶融電極20aと金属溶融電極22aとが接触するように加圧しつつ、振動子8および共振器7により超音波振動を印加するとともにセラミックヒータ9で加熱することで、チップ20と基板22とを接合している。このように、本実施形態における超音波振動接合装置200は、チップ20と基板22とを接合することで、種々の半導体デバイス(光素子デバイス等)またはMEMSデバイスなどのデバイスを形成することができるように構成されている。
図1に示すように、超音波振動接合装置200は、接合機構27と、ステージ10とステージテーブル12とを有する実装機構28と、位置認識部29と、搬送部30と、制御装置31とを備えている。また、接合機構27は、上下駆動機構25と、共振器部26とを備え、上下駆動機構25は上下駆動モータ1とボルト・ナット機構2とにより、共振器保持部6を上下ガイド3でガイドしながら上下動できるように構成されている。共振器保持部6は、ヘッド逃がしガイド5で上下方向にガイドされ、自重をキャンセルするための自重カウンター4に牽引された状態でボルト・ナット機構2に連結されている。そして、この共振器保持部6に共振器7を有する共振器部26が結合されている。
また、共振器保持部6には圧力センサ32が配設されており、共振器7とステージ10との間に挟持された被接合物(チップ20、基板22等)への加圧力が検出できるように構成されている。したがって、圧力センサ32により検出された被接合物に対する加圧力を制御装置31へフィードバックすることで、当該フィードバック値に基づいて上下駆動機構25を制御して、被接合物への加圧力を制御することができる。
また、共振器部26は、共振器7と、共振器7の最大振幅部である位置f2(図2参照)に熱硬化型接着剤で接着して設けられチップ20(本発明の「一の被接合物」に相当)を加熱可能に吸着保持するセラミックヒータ(本発明の「加熱保持手段」に相当)9と、振動子8とを備えており、共振器7の振動が阻害されないように配設されている。また、共振器部26の高さは共振器保持部6に設けられた共振器部高さ検出手段24によって検出することができる。なお、共振器部26の構成および動作については後で詳細に述べる。
また、実装機構28は、基板22を吸着保持し、内部にステージヒーター11を内蔵したステージ10と、チップ20に対する基板22の位置を調整するために平行・回転移動自在な移動軸を有するステージテーブル12とを備えている。そして、接合機構27はフレーム34に結合されて、フレーム34は共振器部26の加圧中心の周辺を囲むように配設された4本の支柱13により架台35と連結されている。このように、セラミックヒーター9およびステージヒーター11により、被接合物であるチップ20および基板22を加熱することができる。なお、支柱13およびフレーム34の一部は図示省略している。
また、位置認識部29は、対向配置されたチップ20と基板22の間に挿入されて、上下のチップ20と基板22各々の位置認識用のアライメントマークを認識する上下マーク認識手段14と、チップ20、基板22および共振器7の振幅を検出する振幅検出器33と、被接合物として発光素子を接合する際に当該発光素子を電気的に機能させて発光させることにより被接合物どうしの位置調整(アライメント)を行う際に利用する発光点認識手段(図示省略)と、これらの認識手段14および振幅検出器33を水平および/または上下移動させる認識手段移動テーブル15とを備えている。
また、搬送部30は、基板22を搬送する基板搬送装置16および基板搬送コンベア17と、チップ20を搬送するチップ供給装置18およびチップトレイ19とを備えている。また、制御装置31は、本発明の「振動制御手段」および「加熱制御手段」として機能し、共振器部26を制御するとともに、超音波振動接合装置200全体の制御を行うための操作パネル(図示省略)を備えており、共振器部高さ検出手段24による共振器部26の高さ位置の検出信号によって上下駆動機構25を制御し、共振器部26の図1中の矢印Z方向の高さを調節することができる。なお、制御装置31の構成および動作については後で詳細に述べる。
<共振器>
次に、図2ないし図5を参照して、共振器部26について詳細に説明する。共振器7は、制御装置31に制御された振動子8が発生する振動により超音波振動し、熱伝導率が約25.0W/m℃以下の材質、例えばチタン合金(6Al−4V、約7.5W/m℃)により構成されている。また、図2に示すように、共振器7は、ほぼ中央の位置f2と、両端位置f0,f4とが最大振幅部となるように、共振周波数の一波長の長さでほぼ左右対称に構成されている。また、図3に示すように、共振器7の中央の位置f2の中央部7Cは断面形状がほぼ四角形状で厚みを有する板状に形成されている。そして、中央部7Cを挟んだ右側部7Rおよび左側部7Lは断面形状がほぼ円形状である円柱状に形成され、中央部7Cと一体形成されている。
また、共振器7の右側部7Rのほぼ中央の位置f1と、左側部7Lのほぼ中央の位置f3は最小振幅部(ノーダルポイント)に相当し、当該位置には、他の位置よりもその円柱形状の径が小さい小径部7Ra,7Laが形成されている。そして、この小径部7Ra,7Laを、共振器保持部6に支持された支持部材700と、クランプ部材701とにより挟持してボルト702で固定することにより共振器7が支持部材700に固定されている。また、ボルト702を緩めることで、共振器7は長手方向の中心軸を回転の中心として回転可能に構成されている。なお、共振器7の支持部材700への固定方法はボルト702に限られず、どのようなものであってもよく、例えば、電気制御可能に構成された機械的なクランプ機構であってもよい。
また、図3に示すように、共振器7の中央部7Cの4つの側面のうち、対向する2つの側面にはセラミックヒータ9が配設可能に凹部71が形成されている。そして、この2つの凹部71のそれぞれに、セラミックヒータ9が熱硬化型接着剤により接着して固着されている。したがって、セラミックヒータ9とステージ10との間に重合状態で挟持された複数の被接合物に共振器7の超音波振動をセラミックヒータ9を介して伝達することができる。なお、本実施形態では、チップ20および基板22に該超音波振動を印加するように構成されている。
また、共振器7の長手方向の中心軸上のf2の位置に、セラミックヒータ9を貫通して吸引穴が形成されいる。そして、共振器7には、一端側72aが吸引穴と連通し、他端側72bが上記した4つの側面のうち、セラミックヒータ9が固着されていない側面に露出するように貫通穴が共振器7を貫通して形成されている。
また、図3に示すように、貫通穴の他端側72bには、貫通穴および吸引穴から空気を吸引する吸引ポンプ(図示省略)と連結されたバルブ710が、後述するように矢印Bの方向に移動可能に構成された支持部材701にボルトやナット等で支持されて、該貫通穴の他端側72bと接離自在に配設されている。したがって、吸引ポンプを作動させることにより、バルブ710、貫通穴、吸引穴を介してチップ20(被接合物)を吸着することができる。
また、図2ないし図4に示すようにセラミックヒータ9の表面には電源供給用の電極92が形成されており、後述するように矢印Cの方向に移動可能に構成された支持部材702にねじ等で支持されて電源供給手段720が配設されている。そして、電源供給手段720が有する平板端子721が、セラミックヒータ9の電極92に接離自在に接触して、制御装置31に制御されることで該セラミックヒータ9に電源供給することができるように構成されている。なお、本実施形態では平板端子721が本発明の「端子」として機能しているが、「端子」としては平板端子721に限られず、棒形状の端子等、セラミックヒータ9または電極92の構成・形状等に応じて種々の形状の「端子」を採用することができる。
また、図2に示すように、セラミックヒータ9には熱電対722が接続されており、当該熱電対722の出力を検出することで、制御装置31によりセラミックヒータ9の温度を検出できるように構成されている。したがって、制御装置31により電源供給手段720を制御してセラミックヒータ9に電源供給することで、セラミックヒータ9の昇温と冷却を任意のタイミングで行うパルスヒート加熱制御を行うことができる。よって、セラミックヒータ9により当該セラミックヒータ9に保持された被接合物(チップ20)に対してパルスヒート加熱を行うことができる。また、熱電対722の出力を検出することで、セラミックヒータ9を任意の温度に制御することができるように構成されている。
また、前述したように、支持部材701,702はそれぞれ、矢印B,Cの方向に移動可能に構成されており、図3に示す接触位置と、図5に示す交換位置との間を移動可能に構成されている。すなわち、支持部材701,702が図3に示す接触位置に位置するときに、バルブ710は貫通穴の他端側72bと接触し、電源供給手段720の平板端子721はセラミックヒータ9の電極92と接触するように構成されている。また、支持部材701,702が図5に示す交換位置に位置するときに、バルブ710および平板端子721は、それぞれ、貫通穴の他端側72bおよび電極92と離間するように構成されている。
以上のような構成とすれば、被接合物どうしの超音波振動接合が繰返し行われ、共振器7が繰返し超音波振動することにより、セラミックヒータ9が被接合物との間に生じた摩擦力で磨耗した場合に、共振器7全体を交換しなくても、図5に示すように、支持部材701,702を交換位置に移動させて共振器7を例えば矢印Dの方向に回転させることで、セラミックヒータ9の交換を行うことができる。すなわち、図3に示すように、共振器7の下側に配設されたセラミックヒータ9が磨耗した場合に、図5に示すように共振器7を回転させ、共振器7の上側に配設されて未使用であったセラミックヒータ9を下側に位置させることで、セラミックヒータ9の交換を行うことができる。
なお、本実施形態では、共振器7の中央部7Cの4つの側面のうち、2つの側面にのみセラミックヒータ9を固着しているが、全ての側面にセラミックヒータ9を固着してもよい。また、共振器7の中央部7Cの断面形状がほぼ四角形状となるように当該中央部7Cを形成しているが、中央部7Cの形状としては四角形状に限られず、セラミックヒータ9(加熱保持手段)を固着できる形状であれば、多角形状等、どのような形状であっても構わない。
また、本実施形態では、セラミックヒータ9を共振器7に熱硬化型接着剤により直接接着して固着しているが、接着方法としては熱硬化型接着剤に限られず、例えば、セラミックヒータ9の接着面にNiめっき等を施した後に、Ag、Cu、Ni等の金属ろうを接着剤として、ろう付けしてもよい。また、固着方法としては、接着に限られず、セラミックヒータ9をボルト等で強固に直接共振器7に取り付けてももちろんよい。
また、本実施形態では、本発明の「加熱保持手段」としてセラミックヒータ9を採用したが、セラミックヒータ9のチップ20を吸着する吸着面側にコーティングを施して、セラミックヒータ9の耐磨耗性を向上させてもよい。また、本実施形態では、共振器7をチタン合金により構成したが、共振器7の材質としてはこれに限られず、上記した条件を満足する材質(金属、合金等)であればどのようなものであってもよい。上記した条件を満足する材質としては、ステンレス(オーステナイト系、フェライト系、マルテンサイト系、約14W/m℃〜約25W/m℃)、純チタン(約17.1W/m℃)、快削チタン(約18.0W/m℃)等、種々の材質を採用することができる。
また、本実施形態では、所謂、金属接合を行う超音波振動接合装置200の共振器7を構成する材料として、チタン合金を採用したが、従来、チタン合金は硬度が低かったため、プラスチック等の柔らかい被接合物どうしを接合する超音波振動接合装置に採用されることはあったが、硬度の高い金属を接合する金属接合を行う超音波振動接合装置200に採用することに想到するのは当業者であっても困難であった。しかしながら、本願発明者による種々の実験の結果、硬度の低い共振器7に硬度の高い加熱保持手段、例えばセラミックヒータ9を直接固着することで、硬度の低い共振器7を採用しても、金属接合を良好に行えることを見出した。このような構成とすれば、金属接合を行う超音波振動接合装置200の共振器7として、例えば、音響特性が非常に優れているチタン合金(音速が約6,100m/s)を採用することができ、共振器7を共振させることによる超音波振動を非常に効率よく発生させることができる。
なお、セラミックヒータ9を共振器7に接着剤で直接接着することにより、セラミックヒータ9と共振器7との間で摩擦が発生するおそれがないため、セラミックヒータ9および共振器7とが当該摩擦力により磨耗するおそれが無く、セラミックヒータ9を共振器7にボルト等で直接取り付ける場合に比べ、共振器7の耐久性の向上を図ることができるという、特に有利な効果を奏することができる。
<超音波振動接合動作>
続いて、図1、図6ないし図12を参照して超音波振動接合装置200により被接合物を接合する接合動作例(1)〜(7)について説明する。
1.接合動作例(1)
図6を参照して「接合動作例(1)」について説明する。図6は超音波振動接合処理の動作例(1)を示す図である。まず、チップ20はチップ供給装置18によりチップトレイ19から共振器7に供給され、吸着保持される。また、基板22は、基板搬送装置16により基板搬送コンベア17からステージ10に供給され、吸着保持される。そして、接合面を対向保持されたチップ20と基板22との間に上下マーク認識手段14が認識手段移動テーブル15により挿入され、対向保持されたチップ20と基板22各々の位置合わせ用アライメントマークの位置が上下マーク認識手段14により検出される。この後、チップ20の位置を基準として、ステージテーブル12を平行・回転移動することで基板22の位置を移動させてチップ20および基板22の位置のアライメントが行われる。
次に、チップ20および基板22の接合位置が整合された状態(金属溶融電極20a、22aの位置が合わされた状態)で、上下マーク認識手段14が認識手段移動テーブル15により待避される。続いて、図6に示すように、時刻t0において、上下駆動機構25により、ステージ10からの位置(高さ)がZHである待機位置から共振器部26の下降が開始される。そして、時刻t1で共振器部26の位置が高さZsに達し、チップ20(金属溶融電極20a)と基板22(金属溶融電極22a)が接触する直前に共振器部26の下降速度が減速される。
なお、共振器部26(共振器保持部6)の高さ方向(矢印Zの方向)の位置は共振器部高さ検出手段24により検出されており、共振器部26の下降速度が減速された後、制御装置31により、共振器部26がさらに下降されて、チップ20と基板22とが接近される。また、制御装置31により、上下駆動機構25によるチップ20および基板22への加圧力は圧力P1に設定されている。
そして、時刻t2において、共振器部26の位置が高さZ0(接触位置)に達すると、チップ20と基板22とが接触するため、圧力センサ32からの検出信号に基づき、チップ20および基板22とが共振器7(セラミックヒータ9)およびステージ10との間に挟持されたことが検出される。その後、制御装置31により、共振器部26によるチップ20および基板22への加圧力が圧力P2に再設定され、チップ20および基板22への超音波振動印加工程およびパルスヒート加熱工程が開始される。
具体的には、チップ20が基板22に接触した時刻t2から、少なくとも、予め設定された時刻t3までの時間、すなわち、図6中の第2時間T2の間、チップ20および基板22に対して超音波振動を印加する超音波振動印加工程が実行され、金属溶融電極20a,22aの表面に付着した有機物や酸化物等の付着物層が破壊される。
また、チップ20が基板22に接触した時刻t2以降、セラミックヒータ9の温度が待機温度Hw(約50℃)から、該待機温度Hwよりも高温であって金属溶融電極20a,22aの融点Hm(本実施形態では約183℃)よりも低い温度に設定された接合温度Hj(本実施形態では約150℃)に昇温される。そして、予め設定された時刻t3までの時間、すなわち、図6中の第1時間T1の間、チップ20(金属溶融電極20a)および基板22(金属溶融電極22a)が接合温度Hjにて加熱された後に、セラミックヒータ9が冷却され、これら一連のパルスヒート加熱工程が実行される。
また、超音波振動を印加している間は、振幅検出器33によりチップ20と基板22との間で「滑り」が生じていることを確認しながら、超音波振動を印加するとともに、共振器部26をステージ10へ近接(下降)させている。
続いて、時刻t3において共振器7によるチップ20の吸着が解除され、完了位置Z1から待機位置ZHまで共振器部26の復帰移動が開始される。そして、共振器部26が待機位置ZHに達した時刻t4において共振器部26の移動が停止される。この後、チップ20が実装された状態で、ステージ10上に保持された基板22が基板搬送装置16により基板搬送コンベア17へ排出されて一連の接合動作が終了する。
以上のように、この「接合動作例(1)」では、接合温度Hjが金属溶融電極20a,22aの融点Hmよりも低い温度に設定されているため、チップ20および基板22どうしを接合する際に、チップ20および基板22が過剰に加熱されることにより金属溶融電極20a,22aが溶融して、当該金属溶融電極20a,22aの形状が崩れるのを確実に防止できる。一方、金属溶融電極20a,22aどうしの接合面には超音波振動が印加されることによる摩擦熱が発生していため、接合面においては当該金属溶融電極20a,22aの融点を超える温度となるため、接合面のみが溶融して当該金属溶融電極20a,22aどうしが接合し、確実にチップ20と基板22とが接合される。
すなわち、超音波振動を印加することによる摩擦力により金属溶融電極20a,22a(鉛錫はんだ)の表面に付着した有機物や酸化膜等の付着物層を除去することができ、金属溶融電極20a,22aの融点が約183℃以下と低温であることから、当該金属溶融電極20a,22a表面の付着物層を除去した後、低温加熱(約150℃)を行うのみで、該金属溶融電極20a,22aが形成されたチップ20と基板22との接合を行うことができる。
このように、超音波振動を印加することにより、金属溶融電極20a,22a(鉛錫はんだ)の表面に付着した有機物や酸化膜等の付着物層を除去しているため、従来、これらの金属溶融電極20a,22aどうしの接合に必要であったフラックス(融剤)を使用しなくても、これらの金属溶融電極20a,22aどうしを接合することができる。
また、従来、加熱されて溶融した金属溶融電極20a,22aの形状を整えるため、共振器部26(加熱保持手段)を復帰移動させる前に、当該共振器部26を所定の高さに定められた時間停止させることにより、溶融した金属溶融電極20a,22aを冷却して固化させる冷却固化工程が必要であった。しかしながら、この「接合動作例(1)」では、金属溶融電極20a,22aが過剰に加熱されて溶融しすぎることがないので、金属溶融電極20a,22aの形状を整える冷却固化工程が不要となり、共振器部26の上下動制御を簡略化することができる。
また、上記した冷却固化工程において、過剰に加熱されて溶融した液状の金属溶融電極20a,22aは、その表面張力によりチップ20および基板22上に形成された配線パターンの形状に応じた位置に移動して固化することがある。このため、溶融した金属溶融電極20a,22aが表面張力により配線パターンの形状に応じた位置に移動し、チップ20の基板22への接合位置が本来の位置からずれてしまうおそれがあった。したがって、チップ20および基板22上に形成された配線パターンが微細であって、高精度にチップ20と基板22との間の位置決めを行う必要がある場合に問題となっていた。
しかしながら、この「接合動作例(1)」では、金属溶融電極20a,22aが過剰に加熱されて溶融しすぎることがないので、上記したような問題が生じるおそれがなく、高精度にチップ20および基板22どうしを位置決めして接合することができる。さらに、溶融した金属溶融電極20a,22aにより、チップ20および基板22上に形成された微細な配線パターンが短絡するのを確実に防止できる。
また、パルスヒート加熱してチップ20と基板22とを接合することにより、チップ20および基板22が過剰に加熱されて損傷するのを防止できる。また、加熱されることによりチップ20および基板22が膨張するのを抑制できるため、チップ20および基板22が膨張して、チップ20と基板22との間の接合位置に誤差が生じるのを防止できる。また、熱膨張したチップ20および基板22が冷却されて収縮して変形することにより、接合された金属溶融電極20a,22aに応力が生じるのを緩和することができ、当該応力により金属溶融電極20a,22aに接合不良が生じるのを防止できる。
また、セラミックヒータ9に形成された電極92に、電源供給手段720が有する平板端子721が接触することで当該セラミックヒータ9に電源供給しているため、従来のように、電源供給用の配線がセラミックヒータ9に、はんだ等により直接接続されている構成に比べ、電源供給用の配線が共振器7と一緒に振動することがなく、共振器7の振動特性に影響を与えることがない。また、平板端子721がセラミックヒータ9に形成された電極92に接触して電源供給を行っているため、共振器7は電源供給手段720の平板端子721と独立して超音波振動するので、電源供給用の配線が破損したりすることがなく、装置の耐久性の向上を図ることができる。
なお、「接合動作例(1)」では、共振器部26の位置が、接触位置Z0から、チップ20および基板22に形成された金属溶融電極20a,22aの高さにより予め設定され、良好にチップ20と基板22とを接合できる高さである完了位置Z1となるまでの時間を、同じ時間幅である第1時間T1および第2時間T2(T1=T2)としている。これらの第1時間T1および第2時間を後述する「接合動作例(2)〜(7)」で説明するように、被接合物の種類に応じた最適値を予め実験的に求めることにより設定してもよい。また、図6中、ZLとは、共振器部26が完了位置Z1を超えて移動することにより、チップ20および基板22の破壊を招くおそれのある限界位置である。
なお、共振器部26によるチップ20および基板22への加圧力P2は、金属溶融電極20a,22aの材質、形状、大きさ等に応じて適切に設定すればよく、チップ20および基板22の試験加圧を行うことによって加圧力P2を決定してもよいし、金属溶融電極20a,22aの材質の硬度等から算出される理論値として加圧力P2を設定してもよい。要は、金属溶融電極20a,22aを確実に加圧して押しつぶすことができるとともに、金属溶融電極20a,22aを過剰な加圧力によって破壊しない加圧力P2であればよい。
また、チップ20および基板22を加圧する際の共振器部26の設定速度は金属溶融電極20a,22aが急速につぶれるのを防止して、金属溶融電極20a,22aに均一に超音波振動を印加することができる速度であればよい。例えば、この設定速度の値は、金属溶融電極20a,22aの高さ、形状等から理論値として算出することができる。
また、金属溶融電極20a,22a間の接合面積(実際に接合された部分)が増大すると、チップ20と基板22との接合力が強くなるため、超音波振動エネルギーを一定とすると徐々にチップ20と基板22との間の振幅(「滑り」)が小さくなる。そこで、制御装置31において、チップ20と基板22との間で振幅が一定になるように印加する超音波振動エネルギーを増大させることで、常に接合界面において一定の振幅が得られるのでより良好に接合を行うことができる。
このように、接合される接合界面での実際の振幅(チップ20と基板22との間の「滑り」)を常に接合に最適な値とする方法として、チップ20および基板22の振幅を検出する振幅検出器33を複数設け、チップ20と基板22との間の振幅が任意の一定値となるように印加する超音波振動エネルギーの大きさを制御してもよい。また、チップ20または基板22の振幅を振幅検出器33により検出し、いずれか一方の振幅が任意の一定値となるように印加する超音波振動エネルギーの大きさを制御してもよい。
また、チップ20および基板22間の振幅を求めるためには、複数の振幅検出器33を設けて、チップ20および基板22の振幅を同時に測定する方法もあるが、1つの振幅検出器33でチップ20および基板22の振幅を順番に測定した後、時間軸をずらして時間軸を重ねた状態で振幅差を計算することで、チップ20および基板22間の振幅を計測することもできる。また、チップ20および基板22が、共振器7およびステージ10に確実に保持されていれば、チップ10および基板22のいずれか一方の振幅を検出するだけでよい。
また、振幅検出器33としては、うず電流式、静電容量式、光照射式または音波検出式等、周知のものであればどのようなものを用いても構わない。これらの手段を用いることにより、例えば、レーザードップラー測定器を使用する場合に比べ、低コスト化を達成することができる。
2.接合動作例(2)
図7を参照して「接合動作例(2)」について説明する。図7は超音波振動接合処理の動作例(2)を示す図である。この「接合動作例(2)」が上記した「接合動作例(1)」と異なる点は、チップ20および基板22をパルスヒート加熱するタイミングが異なる点であり、その他の点は「接合動作例(1)」と同様である。したがって、以下では「接合動作例(1)」と異なる点についてのみ説明し、その他の構成および動作については同一符号を付して、その構成および動作の説明を省略する。なお、続いて説明する「接合動作例(3)〜(7)」についても同様に、上記「接合動作例(1)」と同様の構成および動作については同一符号を付して、その構成および動作の説明を省略する。
図7に示すように、この「接合動作例(2)」では、共振器部26が接触位置Z0に到達する時刻t2から、完了位置Z1に到達する時刻t4までの第2時間T2の間、超音波振動を印加する超音波振動印加工程が実行される。また時刻t2から所定時間経過した後の時刻t3から、完了位置Z1に到達する時刻t4までの第1時間T1の間、パルスヒート加熱工程が実行される。
続いて、時刻t4において共振器7によるチップ20の吸着が解除され、完了位置Z1から待機位置ZHまで共振器部26の復帰移動が開始される。そして、共振器部26が待機位置ZHに達した時刻t5において共振器部26の移動が停止される。この後、チップ20が実装された状態で、ステージ10上に保持された基板22が基板搬送装置16により基板搬送コンベア17へ排出されて一連の接合動作が終了する。
この「接合動作例(2)」においても、上記した効果と同様の効果を奏することができる。
3.接合動作例(3)
図8を参照して「接合動作例(3)」について説明する。図8は超音波振動接合処理の動作例(3)を示す図である。この「接合動作例(3)」が上記した「接合動作例(1)」と異なる点は、チップ20および基板22に超音波振動を印加するタイミングが異なる点と、チップ20および基板22をパルスヒート加熱するタイミングおよび温度が異なる点である。
図8に示すように、この「接合動作例(3)」では、共振器部26が接触位置Z0に到達する時刻t2から、完了位置Z1に到達する前の時刻t3までの第2時間T2の間、超音波振動を印加する超音波振動印加工程が実行される。また時刻t3から、完了位置Z1に到達する時刻t4までの第1時間T1の間、接合温度Hjを金属溶融電極20a,22aの融点Hmとしてパルスヒート加熱工程が実行される。
続いて、時刻t4において共振器7によるチップ20の吸着が解除され、完了位置Z1から待機位置ZHまで共振器部26の復帰移動が開始される。そして、共振器部26が待機位置ZHに達した時刻t5において共振器部26の移動が停止される。この後、チップ20が実装された状態で、ステージ10上に保持された基板22が基板搬送装置16により基板搬送コンベア17へ排出されて一連の接合動作が終了する。
この「接合動作例(3)」においても、チップ20と基板22とを良好に接合することができる。また、チップ20および基板22とをパルスヒート加熱する時間(第1時間T1)が短時間であるため、金属溶融電極20a,22aが過剰に加熱されて溶融されることもない。
4.接合動作例(4)
図9を参照して「接合動作例(4)」について説明する。図9は超音波振動接合処理の動作例(4)を示す図である。この「接合動作例(4)」が上記した「接合動作例(1)」と異なる点は、チップ20および基板22に超音波振動を印加するタイミングが異なる点と、チップ20および基板22をパルスヒート加熱するタイミングおよび温度が異なる点である。
図9に示すように、この「接合動作例(4)」では、共振器部26が接触位置Z0に到達する時刻t2から、完了位置Z1に到達する前の時刻t3までの第2時間T2の間、超音波振動を印加する超音波振動印加工程が実行される。また時刻t2の直前から、第1時間T1の間、接合温度Hjを金属溶融電極20a,22aの融点Hmとしてパルスヒート加熱工程が実行される。
続いて、時刻t4において共振器7によるチップ20の吸着が解除され、完了位置Z1から待機位置ZHまで共振器部26の復帰移動が開始される。そして、共振器部26が待機位置ZHに達した時刻t5において共振器部26の移動が停止される。この後、チップ20が実装された状態で、ステージ10上に保持された基板22が基板搬送装置16により基板搬送コンベア17へ排出されて一連の接合動作が終了する。
この「接合動作例(4)」においても、チップ20と基板22とを良好に接合することができる。また、チップ20および基板22とをパルスヒート加熱する時間(第1時間T1)が短時間であるため、金属溶融電極20a,22aが過剰に加熱されて溶融されることもない。
5.接合動作例(5)
図10を参照して「接合動作例(5)」について説明する。図10は超音波振動接合処理の動作例(5)を示す図である。この「接合動作例(5)」が上記した「接合動作例(1)」と異なる点は、チップ20および基板22に超音波振動を印加するタイミングが異なる点と、チップ20および基板22をパルスヒート加熱するタイミングが異なる点である。
図10に示すように、この「接合動作例(5)」では、共振器部26が接触位置Z0に到達する時刻t2から、完了位置Z1に到達する前の時刻t3までの第2時間T2の間、超音波振動を印加する超音波振動印加工程が実行される。また時刻t2の直前から、第1時間T1の間、金属溶融電極20a,22aの融点Hmよりも低い接合温度Hjにてパルスヒート加熱工程が実行される。
続いて、時刻t4において共振器7によるチップ20の吸着が解除され、完了位置Z1から待機位置ZHまで共振器部26の復帰移動が開始される。そして、共振器部26が待機位置ZHに達した時刻t5において共振器部26の移動が停止される。この後、チップ20が実装された状態で、ステージ10上に保持された基板22が基板搬送装置16により基板搬送コンベア17へ排出されて一連の接合動作が終了する。
この「接合動作例(5)」においても、チップ20と基板22とを良好に接合することができる。なお、超音波振動を印加する第2時間T2は、金属溶融電極20a,22aの接合表面が摩擦熱によって接合するのに十分な温度に加熱される程度に予め設定すればよい。
6.接合動作例(6)
図11を参照して「接合動作例(6)」について説明する。図11は超音波振動接合処理の動作例(6)を示す図である。この「接合動作例(6)」が上記した「接合動作例(1)」と異なる点は、チップ20および基板22に超音波振動を印加するタイミングが異なる点である。
図11に示すように、この「接合動作例(6)」では、共振器部26が接触位置Z0に到達する時刻t2から、完了位置Z1に到達する前の時刻t3までの第2時間T2の間、超音波振動を印加する超音波振動印加工程が実行される。また時刻t2から、時刻t4までの第1時間T1の間、金属溶融電極20a,22aの融点よりも低い接合温度Hjにてパルスヒート加熱工程が実行される。
続いて、時刻t4において共振器7によるチップ20の吸着が解除され、完了位置Z1から待機位置ZHまで共振器部26の復帰移動が開始される。そして、共振器部26が待機位置ZHに達した時刻t5において共振器部26の移動が停止される。この後、チップ20が実装された状態で、ステージ10上に保持された基板22が基板搬送装置16により基板搬送コンベア17へ排出されて一連の接合動作が終了する。
この「接合動作例(6)」においても、チップ20と基板22とを良好に接合することができる。なお、超音波振動を印加する第2時間T2は、金属溶融電極20a,22aの接合表面が摩擦熱によって接合するのに十分な温度に加熱される程度に予め設定すればよい。
7.接合動作例(7)
図12を参照して「接合動作例(7)」について説明する。図12は超音波振動接合処理の動作例(7)を示す図である。この「接合動作例(7)」が上記した「接合動作例(1)」と異なる点は、チップ20および基板22に超音波振動を印加するタイミングが異なる点である。
図12に示すように、この「接合動作例(7)」では、共振器部26が接触位置Z0に到達する時刻t2から、完了位置Z1に到達する時刻t3までの時間内の任意のタイミングで、第2時間T2の間、超音波振動を印加する超音波振動印加工程が実行される。また時刻t2から、時刻t3までの第1時間T1の間、金属溶融電極20a,22aの融点Hmよりも低い接合温度Hjにてパルスヒート加熱工程が実行される。
続いて、時刻t3において共振器7によるチップ20の吸着が解除され、完了位置Z1から待機位置ZHまで共振器部26の復帰移動が開始される。そして、共振器部26が待機位置ZHに達した時刻t4において共振器部26の移動が停止される。この後、チップ20が実装された状態で、ステージ10上に保持された基板22が基板搬送装置16により基板搬送コンベア17へ排出されて一連の接合動作が終了する。
この「接合動作例(7)」においても、チップ20と基板22とを良好に接合することができる。なお、超音波振動を印加する第2時間T2は、金属溶融電極20a,22aの接合表面が摩擦熱によって接合するのに十分な温度に加熱される程度に予め設定すればよい。
以上のように、この実施形態では、予め設定された第1時間T1、セラミックヒータ9を昇温するパルスヒート加熱するとともに、共振器7の熱伝導率が約7.5W/m℃以下であることから、従来のように熱遮断部材を共振器7とセラミックヒータ9との間に設けなくとも、セラミックヒータ9から共振器7への伝熱が抑制され、共振器7が昇温して熱膨張等しないので、どのような接合温度Hjであっても共振器7を共通して使用することができて効率がよい。また、セラミックヒータ9で発生する熱が共振器7に伝導し難いことから、パルスヒート加熱によるセラミックヒータ9の加熱であってもセラミックヒータ9を効率よく昇温させることができるため、当該セラミックヒータ9を短時間で接合温度Hjに昇温することができ、熱遮断部材等を用いずとも、簡素な構成で効率よく接合作業を行うことができる。
次に、図13を参照して上記した本実施形態の特徴について説明する。図13はヒータ9および共振器7の昇温特性を示す図である。図13に示すように、共振器7がチタン合金(6Al−4V)で構成されている場合には、セラミックヒータ9へ電源供給が開始されてセラミックヒータ9の昇温が開始されると、共振器7の温度はほとんど上昇せずに、約5秒で約150℃までのセラミックヒータ9の昇温が完了する。
一方、共振器7が、従来の超音波振動による金属接合装置に採用されていた鉄(SKD11、約60.0W/m℃)で構成されている場合には、図13に示すように、セラミックヒータ9へ電源供給が開始されてセラミックヒータ9の昇温が開始されると、セラミックヒータ9から共振器7へ伝熱が進むことで、共振器7の温度が上昇するとともに、共振器7を約150℃まで昇温させるのに約60秒の時間を必要とする。
なお、共振器7が、ステンレス(約25W/m℃)で構成されている場合には、図13に示すようにセラミックヒータ9へ電源供給が開始されてセラミックヒータ9の昇温が開始されると、共振器7の温度はあまり上昇せず、約12秒で約150℃までのセラミックヒータ9の昇温が完了し、共振器7をチタン合金で構成した場合と同様の効果を奏することができるとともに、チップ20と基板22との接合を効率よく行うことができる。
また、この実施形態では、超音波振動によるエネルギーと、パルスヒート加熱によるエネルギーとの2つのエネルギーが併用されることにより効率よく発生する接合エネルギーによってチップ20と基板22とが接合されて、半導体デバイスまたはMEMSデバイスが形成される。このように、より少ない超音波振動エネルギーで、かつ、過剰な加熱を行わずともチップ20と基板22とを接合してデバイスを形成できる。したがって、デバイス作成時にチップ20と基板22とを接合する接合エネルギーを過剰に印加することで、作成されるデバイスに破損が生じたりするのを防止でき、精度のよいデバイスを提供することができる。
また、この実施形態では、被接合物が金属溶融電極20a,22aを有するチップ20と基板22である場合について説明したが、被接合物としては、例えば、Siのような半導体、SiO、ガラス、イオン酸リチウム、酸化物単結晶(LT)、セラミック系を含む酸化物等により形成されるウエハーやチップ等に、金属溶融電極あるいは配線パターンを形成したものであってもよく、これらを接合することができる。また、上記したもの以外に、樹脂製の基板、フィルム基板またはこれらの基板をダイシングしたチップ等を被接合物としてもよい。
また、被接合物は、基板、ウエハー、基板およびウエハーをダイシングしたチップ等、どのような形態のものであってもよく、超音波振動を印加して加熱することで接合できる材質であれば、金属溶融電極20a,22aどうしの接合ではなく、被接合物の一方面の全面どうしを接合してももちろんよい。また、金属溶融電極20a,22aが形成された一方の被接合物を、金属溶融電極20a,22aが形成されていない他方の被接合物の接合面に直接接合してもよい。
また、金属溶融電極20a,22aの形状は、個々に独立した複数のバンプ形状であってもよいし、被接合物間のある領域を、当該被接合物どうしで封止可能に輪郭状につながった形状であってもよく、パッド形状であってもよい。また金属溶融電極20a,22aを形成する材料としては、融点が約450℃以下のはんだが最適であるが、融点が450℃以下の材料であればどのようなものであってもよい。
例えば、融点が約450℃以下の合金である、Ag−Sn、Au−Sn、Sn−Cu、In−Pd等により金属溶融電極を形成してもよい。また、Sn(融点、約232℃)、In(融点、約157℃)、Bi(融点、約271℃)等によっても金属溶融電極を形成することができる。このような構成とすると、超音波振動を印加することによる摩擦力により金属溶融電極の表面に付着した有機物や酸化膜等の付着物層を除去することができ、金属溶融電極の融点が約450℃以下と低温であることから、当該金属溶融電極表面の付着物層を除去した後、低温加熱を行うことにより、該金属溶融電極が形成された被接合物の接合を行うことができる。
また、被接合物の接合面に、上記した、融点が450℃以下の材質により構成される金属溶融電極の代わりに、融点が450℃を超えるITO(Indium−Tin−Oxide)や、Au(融点、約1064℃)、Al(融点、約660℃)、Cu(融点、約1083℃)、Ni(融点、約1453℃)、Ag(融点、約962℃)等により、任意の形状(バンプ形状、パッド形状等)で金属電極を形成してもよい。このような構成としても、該金属電極が形成された被接合物どうしを、超音波振動を印加してパルスヒート加熱することにより効率よく接合することができる。
このように、被接合物の接合面には、種々の材質で任意の形状に金属溶融電極または金属電極を形成することができ、一方の被接合物の接合面に形成された金属溶融電極と、他方の被接合物の接合面に形成された金属電極とを、超音波振動を印加してパルスヒート加熱することにより効率よく接合することもできる。
また、接合装置の構成としては、図1に示すように被接合物を上下方向(Z方向)で重ね合わせて接合してもよいし、Z方向にほぼ直交する左右方向で重ね合わせて接合する構成でもよい。また、3つ以上の被接合物を重合して接合してもよい。
また、被接合物の接合面間に生じる「滑り」とは、適切な加圧力下で、接合面の酸化膜等を除去して被接合物どうしを接合するために必要な振幅が印加されることにより生じる接合界面での滑りである。この「滑り」の大きさは、接合面の材質、面積などにより異なるが、一例として、0.1μm〜0.5μm程度の振幅とすることができる。
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、セラミックヒータ9およびステージ10に静電チャック手段を設けてチップ20および基板22を吸着する構成としてもよい。図14に示すように、セラミックヒータ9の内部に静電チャック電極93,94を埋設することで、チップ20を静電気力により吸着することができる。
このような構成とすれば、静電チャック手段により、真空中でチップ20(一の被接合物)を保持することができるため、真空中でチップ20と基板22との接合を行うことができ、チップ20および基板22に有機物や酸化膜等の不純物が付着するのが防止されるので、チップ20と基板22とを良好に接合することができる。なお、図14は静電チャックの原理説明図である。また、ステージ10側の静電チャック手段の構成については、図14に示すセラミックヒータ9における静電チャックの原理と同様の原理であるので図面を用いた構成および動作の説明を省略する。
また、被接合物をセラミックヒータ9やステージ10へ保持する保持機構としては、上記した真空吸着や静電チャックによる保持機構に限られず、機械式チャック機構、磁気吸着等、周知の保持機構を採用してもよい。
また、上記した実施形態では、ステージ10側がアライメント機能、共振器部26側が上下駆動機能を有するように構成したが、アライメント機能、上下駆動機能はステージ10側、共振器部26側にどのように組み合わせてもよく、また、重複するように構成してもよい。また、共振器部26およびステージ10を上下方向(矢印Z方向)に配置しているが、配置方向としてはこれに限定されず、左右方向や斜め方向であってもよい。
また、上記した実施形態では、接合温度Hjを、鉛錫はんだの融点Hm(約183℃)を基準として設定したが、接合温度Hjはこれに限られず、被接合物の種類または被接合物に形成された金属溶融電極(金属電極)の種類に応じて最適な値に設定すればよい。
また、超音波振動印加工程およびパルスヒート加熱工程を実行するタイミングは、上記した「接合動作例(1)〜(7)」で例に挙げたタイミングに限られず、接合対象である被接合物の種類に応じて、適宜、最適なタイミングで実行することができる。
この発明にかかる超音波振動接合装置の一実施形態の概略構成図である。 図1に示す超音波振動接合装置が備える共振器の下面図である。 図2の右側面図であって、共振器のA−A線断面図である。 図2の要部拡大図である。 図3に示す共振器の動作説明図である。 超音波振動接合処理の動作例(1)を示す図である。 超音波振動接合処理の動作例(2)を示す図である。 超音波振動接合処理の動作例(3)を示す図である。 超音波振動接合処理の動作例(4)を示す図である。 超音波振動接合処理の動作例(5)を示す図である。 超音波振動接合処理の動作例(6)を示す図である。 超音波振動接合処理の動作例(7)を示す図である。 ヒータおよび共振器の昇温特性を示す図である。 静電チャックの原理説明図である。
符号の説明
7 共振器
8 振動子
9 セラミックヒータ(加熱保持手段)
92 電極
10 ステージ
20 チップ(被接合物)
22 基板(被接合物)
20a,22a 金属溶融電極
31 制御装置(振動制御手段、加熱制御手段)
720 電源供給手段
721 平板端子(端子)
93,94 静電チャック電極(静電チャック手段)
Hm 融点
Hj 接合温度
Hw 待機温度
T1 第1時間
T2 第2時間

Claims (7)

  1. 接合対象として重合された複数の被接合物に超音波振動を印加して該複数の被接合物どうしを接合する超音波振動接合方法において、
    振動子が発生する振動により超音波振動し、熱伝導率が25.0W/m℃以下の材質からなる共振器の最大振幅部に固着して設けられ、前記複数の被接合物のうち少なくとも一の前記被接合物を加熱可能に保持する加熱保持手段を待機温度から該待機温度よりも高温の接合温度に昇温し、前記一の被接合物を、予め設定された第1時間、前記接合温度にて加熱した後に、前記加熱保持手段を冷却するパルスヒート加熱工程と、
    前記加熱保持手段、および、前記共振器に対向配置されたステージとの間に重合状態で挟持された前記複数の被接合物に、少なくとも、予め設定された第2時間、前記超音波振動を印加する超音波振動印加工程と
    を含むことを特徴とする超音波振動接合方法。
  2. 前記接合温度は、前記被接合物の融点よりも低い温度に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の超音波振動接合方法。
  3. 接合対象としての少なくとも1つの前記被接合物の接合面には、融点が約450℃以下の材質からなる金属溶融電極が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の超音波振動接合方法。
  4. 請求項1ないし3のいずれかに記載の超音波振動接合方法により形成されたデバイスであって、半導体デバイスまたはMEMSデバイスからなることを特徴とするデバイス。
  5. 接合対象として重合された複数の被接合物に超音波振動を印加して該複数の被接合物どうしを接合する超音波振動接合装置において、
    振動子が発生する振動により超音波振動し、熱伝導率が25.0W/m℃以下の材質からなる共振器と、
    前記共振器に対向配置されたステージと、
    前記共振器の最大振幅部に固着して設けられ、前記複数の被接合物のうち少なくとも一の前記被接合物を加熱可能に保持し、前記ステージとの間に重合状態で挟持された前記複数の被接合物に前記共振器の超音波振動を伝達する加熱保持手段と、
    前記振動子を制御する振動制御手段と、
    前記加熱保持手段をパルスヒート加熱制御する加熱制御手段とを備え、
    前記加熱制御手段は、
    前記加熱保持手段を待機温度から該待機温度よりも高温の接合温度に昇温し、前記一の被接合物を、予め設定された第1時間、前記接合温度にて加熱した後に、前記加熱保持手段を冷却し、
    前記振動制御手段は、
    前記加熱保持手段と前記ステージとの間に重合状態で挟持された前記複数の被接合物に、少なくとも、予め設定された第2時間、前記超音波振動を印加する
    ことを特徴とする超音波振動接合装置。
  6. 前記加熱保持手段は、電源供給用の電極が形成されたセラミックヒータを備え、
    前記電極に接触して前記セラミックヒータに電源供給する端子を有する電源供給手段をさらに備えることを特徴とする請求項5に記載の超音波振動接合装置。
  7. 前記加熱保持手段は、静電チャック手段を備え、該静電チャック手段により前記一の被接合物を保持することを特徴とする請求項5または6に記載の超音波振動接合装置。
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