JP2009026665A - アルカリ型燃料電池用電解質膜とこれを用いた電解質膜−触媒層接合体及び電解質膜−電極接合体、並びに燃料電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】均一な分布と強固な構造を持ち寸法安定性とガスバリア性の高い固体高分子形燃料電池用電解質膜とこれを用いた電解質膜−触媒層接合体、電解質膜−電極接合体及び燃料電池を提供する。
【解決手段】本発明の固体高分子形燃料電池用電解質膜(1)は、アニオン伝導性材料(3)とセラミックス粒子材料(2)(但し、SiO2を除く。)を含み、セラミックス粒子材料(2)は粒子間結合による自己造膜性がある。本発明の電解質膜−触媒層接合体は、前記電解質膜の両面にそれぞれ触媒粒子および電解質バインダーからなる触媒層が形成されている。本発明の電解質膜−電極接合体は、前記電解質膜の両面にそれぞれ触媒粒子および電解質バインダーからなる触媒層と電極基材からなる電極が形成されている。本発明の燃料電池は前記電解質膜−電極接合体を用いたものである。
【選択図】図1
【解決手段】本発明の固体高分子形燃料電池用電解質膜(1)は、アニオン伝導性材料(3)とセラミックス粒子材料(2)(但し、SiO2を除く。)を含み、セラミックス粒子材料(2)は粒子間結合による自己造膜性がある。本発明の電解質膜−触媒層接合体は、前記電解質膜の両面にそれぞれ触媒粒子および電解質バインダーからなる触媒層が形成されている。本発明の電解質膜−電極接合体は、前記電解質膜の両面にそれぞれ触媒粒子および電解質バインダーからなる触媒層と電極基材からなる電極が形成されている。本発明の燃料電池は前記電解質膜−電極接合体を用いたものである。
【選択図】図1
Description
本発明は、アルカリ型燃料電池用電解質膜とこれを用いた電解質膜−触媒層接合体及び電解質膜−電極接合体、並びに燃料電池に関するものである。
固体高分子形燃料電池は、他の燃料電池と比して、軽量化、高出力密度等を達成できる観点から、さまざまな研究がなされている。固体高分子形燃料電池は、電解質膜としてイオン伝導性高分子電解質膜を用い、その両面に触媒層及び電極基材を順に配置し、更にこれをセパレータで挟んだ構造をしている。
電解質膜としてプロトン伝導性高分子電解質膜を用い、その両面に触媒層を配置し、ついでその両面に電極基材を配置し、更にこれをセパレータで挟んだ構造をしている。電解質膜の両面に触媒層を配置したもの(即ち、触媒層/電解質膜/触媒層の層構成のもの)は、電解質膜−触媒層接合体(略称:CCM)と称されており、さらに、その電解質膜−触媒層接合体の両面に電極基材を配置したもの(即ち、電極基材/触媒層/電解質膜/触媒層/電極基材の層構成のもの)は、電解質膜−電極接合体(略称:MEA)と称されている。
通常、カチオン(H+)を通過させるカチオン伝導性高分子電解質膜を使用するところ、近年、当該高分子電解質膜として、アニオン(OH−)を通過させるアニオン伝導性高分子電解質膜を使用したアニオン伝導性固体高分子形燃料電池(「固体アルカリ型燃料電池」とも呼ばれている。)が提案されている(特許文献1及び2)。
しかしながらアニオン伝導性電解質は、上記のとおり電解質膜として高い性能を示すが、一方で、コストが高いという問題がある。また、80℃以上の高温域においては著しい劣化がみられたり、電解質膜の乾燥によりアニオン伝導性が著しく低下したりするといった不具合もみられる。さらに、含水により膨潤して大きな寸法変化を示すために、起動・停止(加湿・乾燥)の繰り返しにおいて電解質膜上に形成した触媒層が剥離するという問題も生じる。これらの欠点を補うために、高分子電解質膜に高分子繊維や無機粒子などのフィラーを埋め込むことで、高温条件下での保水性を増したり、寸法変化を抑制したりという工夫が提案されている(例えば特許文献3〜4)。
特開平11−135137号公報
特開平11−273695号公報
特開2003−157862号公報
特開平6−111827号公報
しかし、高分子電解質膜の内部にフィラーを埋め込むことにより、耐熱性の向上や機械強度の向上、保水性の向上など一定の性能向上が見られる一方で、フィラー成分が凝集したり、電解質膜内部に不均一に分布したりすることにより、期待された性能が十分に発揮されていない可能性がある。また、フィラーの材料としてシリカ(SiO2)がよく知られているが、これは、保水性を高める効果が得られる一方で、加水分解による劣化が懸念されている。
本発明は、上記課題を解決するため、均一な分布と強固な構造を持ち、寸法安定性とガスバリア性の高い固体高分子形燃料電池用電解質膜とこれを用いた電解質膜−触媒層接合体及び電解質膜−電極接合体、並びに燃料電池を提供する。
本発明の固体高分子形燃料電池用電解質膜は、アニオン伝導性材料とセラミックス粒子材料(但し、SiO2を除く。)を含む固体高分子形燃料電池用電解質膜であって、前記セラミックス粒子材料は、粒子間結合による自己造膜性があることを特徴とする。
本発明の電解質膜−触媒層接合体は、前記電解質膜の両面に、それぞれ触媒粒子および電解質バインダーからなる触媒層が形成されていることを特徴とする。
本発明の電解質膜−電極接合体は、前記電解質膜の両面に、それぞれ触媒粒子および電解質バインダーからなる触媒層と電極基材からなる電極が形成されていることを特徴とする。
本発明の燃料電池は、前記電解質膜−電極接合体を用いた燃料電池である。
本発明によれば、均一な分布と構造を持つ支持体を内包するアニオン伝導性電解質膜を得ることができる。また、内包する無機フィラーが電解質膜の構造を保持するために、加湿に際して大きな形状変化を示すことがなく、加湿・乾燥の繰り返しにおける電解質膜上に形成された触媒層の剥離を抑制できる。さらに、保水性の高い無機フィラーを用いることにより、高温運転における電解質膜の乾燥が抑制され、より高温での発電性能の向上効果が得られる。また、自己造膜性のある無機フィラーにより高いガスバリア性が発現し、燃料あるいは酸化剤のクロスリークによる発電性能の低下を抑制できる。さらに、液体燃料を用いる直接エタノール燃料電池での使用においても、アノード側からカソード側へのエタノール水溶液のクロスオーバーを抑制し、発電性能の低下を防ぐ効果を示す。
本発明において、セラミックスの粒子間結合による自己造膜性があるとは、例えばチタニア表面の水酸基同士が脱水縮合して化学結合(-Ti-OH + HO-Ti- → -Ti-O-Ti-,但しTiは4価であるが2価を省略している。)を形成し、粒子間が結合することをいう。その結果、粒子自体で造膜性を有する。このような反応はアルミナ、ジルコニア、マグネシア、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化亜鉛、酸化錫、チタン酸バリウム、チタン酸アルミ、マイカ、及び雲母でも起こる。
前記自己造膜性のあるセラミックス粒子材料は、前記電解質膜の2重量%〜50重量%の範囲であることが好ましく、前記アニオン伝導性材料は前記電解質膜の50重量%〜98重量%の範囲であることが好ましい。セラミックス粒子材料が2重量%未満では、強固な構造と寸法安定性とガスバリア性の改善はそれほど高くはならない。また、セラミックス粒子材料が50重量%を超えると、アニオン伝導性が低下する傾向となる。
本発明で用いられるアニオン性伝導性高分子電解質は公知である。
アニオン伝導性高分子電解質は、特に限定されるものではなく、アニオンとして水酸基イオン(OH−イオン)を伝導できる電解質であればよい。具体的には炭化水素系及びフッ素樹脂系のいずれかの電解質を用いることができる。
炭化水素系樹脂電解質としては、例えば、芳香族ポリエーテルスルホン酸と芳香族ポリチオエーテルスルホン酸との共重合体のクロロメチル化物をアミノ化して得られる電解質等が挙げられる。
フッ素系樹脂電解質としては、例えば、スルホン酸基を有するパーフルオロカーボンポリマーの末端をジアミンで処理し4級化したポリマー、ポリクロロメチルスチレンの4級化物等のポリマー等が挙げられ、これらの中でも、溶媒可溶性のものが挙げられる。
上記電解質は、例えば、特開2003−86193号公報,特開2000−331693号公報で開示されたものを使用すればよい。
より具体的に説明すると、クロロメチル化は、芳香族ポリエーテルスルホン酸と芳香族ポリチオエーテルスルホン酸との共重合体にクロロメチル化剤を反応させて行う。クロロメチル化剤としては、例えば、(クロロメトキシ)メタン、1,4−ビス(クロロメトキシ)ブタン、1−クロロメトキシ−4−クロロブタン、ホル1ムアルデヒド−塩化水素、パラホルムアルデヒド−塩化水素等が使用できる。
このようにして得られたクロロメチル化物を、アミン化合物と反応させてアニオン交換基を導入する。アミン化合物としては、例えば、モノアミン、1分子中に2個以上のアミノ基を有するポリアミン化合物等が使用できる。具体的にはアンモニアの他、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン等のモノアルキルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン等のジアルキルアミン、アニリン、N−メチルアニリン等の芳香族アミン、ピロリジン、ピペラジン、モルホリン等の複素環アミン等のモノアミンや、m−フェニレンジアミン、ピリダジン、ピリミジン等のポリアミン化合物が使用できる。
前記自己造膜性のあるセラミックス粒子材料は、円盤状の平均直径が0.01μm〜10.00μmの範囲の鱗片状材料であることが好ましい。さらに好ましい平均直径は0.05μm〜1.00μmの範囲である。平均直径が前記の範囲であると成膜しやすい。粒子の厚みは0.01μm〜1.00μmの範囲が好ましい。ここで平均直径は、レーザー散乱法・回折式粒度分布計等を用いた測定により、粒子の平均厚みは、走査電子顕微鏡を用いた測定による100個の粒子の平均値より、それぞれ算出した。
また、前記鱗片状、すなわち扁平な円盤状の粒子は、直径/厚みが5〜50の範囲が好ましく、とくに約10程度が好ましい。このような鱗片状、すなわち扁平な円盤状の粒子であると、平面方向に配列しやすく、アニオン伝導性材料と混合してキャスト成膜する際に成膜性が良好となる。また、表面に−OH基を有する無機材料には、脱水縮合による自己造膜性がある。
前記自己造膜性のあるセラミックス粒子材料は、公知のセラミックス材料およびそれらの混合物から選択されることが好ましい。アルミナ、チタニア、ジルコニア、マグネシア、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化亜鉛、酸化錫、チタン酸バリウム、チタン酸アルミ、炭化珪素、窒化珪素、マイカ、雲母などを例として挙げられる。但し、シリカは除く。中でもアルミナ、チタニア、ジルコニア、チタン酸バリウム、チタン酸アルミ、炭化珪素、窒化珪素が好ましく、さらにはアルミナ、チタニア、ジルコニアがより好ましい。
前記自己造膜性のあるセラミックス粒子材料は、前記アニオン伝導性材料により厚さ0.01μm〜1.00μmの被膜で覆われていることが好ましい。アニオン伝導性を高く維持できるからである。
以下、本発明に係る固体高分子形燃料電池用電解質膜及びその製造方法の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1Aは、本発明の一実施形態における鱗片状でかつ自己造膜性のあるセラミックス粒子材料2の模式的斜視図である。図1Bは、同セラミックス粒子材料2を平面状に配置し、自己組織化により積層することで、ガスバリヤ性のある無機材料膜を形成した後の模式的平面図である。図1Cは図1Bの模式的断面図である。図1Dは、自己造膜性のあるセラミックス粒子材料2およびアニオン伝導性材料3からなる電解質膜1の断面を示す模式図である。
上記自己造膜性のあるセラミックス粒子材料2の懸濁液と上記アニオン伝導性材料3の溶液を攪拌、混合した液を図示しない基板表面上にコーティングし、乾燥することにより上記電解質膜1が得られる。上記自己造膜性のあるセラミックス粒子材料の懸濁液と上記アニオン伝導性材料の溶液の混合、攪拌において、スターラーや超音波照射、ボールミルなどの公知の方法を用いることができる。また、上記自己造膜性のあるセラミックス粒子材料の懸濁液と上記アニオン伝導性材料の溶液を混合、攪拌した液の基板上へのコーティングにおいて、ナイフコートやグラビアコート、バーコート、スクリーン印刷など公知の方法を用いることができる。また、上記基板としては、ガラスやアルミナなどの公知のセラミックスからなる基材やポリエチレンフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルムなど、公知のポリマーフィルムなど、上記自己造膜性のあるセラミックス粒子材料およびアニオン伝導性材料からなる電解質膜が乾燥後に該基材から剥離することが可能な材質であれば、いかなる材質の基材でも用いることができる。また、成膜処理は枚葉で行ってもよいし、長尺の基材フィルム上に連続的にコーティングすることにより任意の長さの長尺の膜を成膜してもよい。
上記自己造膜性のあるセラミックス粒子材料は、上記アニオン伝導性材料により薄くコーティングされており、その厚さは約0.01μm〜約1.00μmである。上記アニオン伝導性材料層の厚さが約1.00μmを超えると、上記セラミックス粒子材料の粒子同士の間に働く相互作用が上記アニオン伝導性材料層により阻害され自己造膜性が弱まり効果が抑制されてしまう。また、上記アニオン伝導性材料層の厚さが約0.01μm未満になると、上記アニオン伝導性材料中のアニオン伝導が阻害されアニオン伝導率の低減による性能低下が見られる。このように、上記自己造膜性のあるセラミックス粒子材料が自己造膜性を示し、かつ上記セラミックス粒子材料を覆うアニオン伝導性材料が十分なアニオン伝導率を示すには、上記セラミックス粒子材料を覆う上記アニオン伝導性材料の厚さが、適切な領域にある必要がある。
図2は、図1に示す本発明の電解質膜1を用いた電解質膜−触媒層接合体の断面を示す模式図である。図2に示すように、電解質膜1の両面に、それぞれ触媒粒子および電解質バインダーからなる触媒層4,4’が形成されている。
図3は本発明の一実施形態における電解質膜−電極接合体の断面図である。電解質膜1の上に触媒層4と電極基材5とからなる燃料極6が配置され、前記電解質膜1の下には触媒層4’と電極基材7とからなる空気極8が配置されている。そして、これらの両外側にさらにリブ付きセパレータおよび集電体(図示せず)が配置されることによって、単セル(燃料電池)が構成される。アニオンは燃料極6から電解質膜1内を通過して空気極8に流れる。また、電子は燃料極6から外部回路を介して空気極8に流れる。これにより燃料極6と空気極8との間に電気が流れる。
(実施例1)
以下実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。
以下実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。
(1)電解質膜の作製
無機フィラーとして、鱗片状アルミナ粒子(円盤状の平均直径0.5μm(レーザー散乱式粒度分布計による測定)、平均厚さ0.05μm(走査電子顕微鏡による100個の粒子の平均値)を使用した。
無機フィラーとして、鱗片状アルミナ粒子(円盤状の平均直径0.5μm(レーザー散乱式粒度分布計による測定)、平均厚さ0.05μm(走査電子顕微鏡による100個の粒子の平均値)を使用した。
次に芳香族ポリエーテルスルホン酸と芳香族ポリチオエーテルスルホン酸との共重合体のクロロメチル化物をアミノ化することにより、5wt%アニオン(水酸基イオン)伝導性高分子電解質100gを得た。
組成は、乾燥重量比でアルミナが10重量%、上記5wt%アニオン(水酸基イオン)伝導性高分子電解質が90重量%となるように仕込んだ。
アルミナの水分散液と上記5wt%アニオン(水酸基イオン)伝導性高分子電解質溶液を混合し、マグネチックスターラーによる撹拌と超音波攪拌を繰り返すことで均一な分散液を作製した。得られた分散液を50−80℃で加熱しながらマグネチックスターラーで攪拌し、分散媒を蒸発させながら粘度を調整した。得られた高粘度分散液をポリテトラフルオロエチレン(PTFE)基板上にキャスティングし、約100℃の乾燥オーブン内で静置・乾燥することにより電解質膜を成膜した。得られた電解質膜は厚さ約110μmであった。
(2)発電性能評価(エタノール燃料)
電解質膜−触媒層接合体および電解質膜−電極接合体の作製:
上記(1)にて作製した厚さ約110μmの電解質膜の両面に、触媒(田中貴金属製Pt/C(TEC10E50E)、および電解質バインダー(5wt%アニオン(水酸基イオン)伝導性高分子電解質溶液(上記と同じ))からなる触媒層を形成した。
電解質膜−触媒層接合体および電解質膜−電極接合体の作製:
上記(1)にて作製した厚さ約110μmの電解質膜の両面に、触媒(田中貴金属製Pt/C(TEC10E50E)、および電解質バインダー(5wt%アニオン(水酸基イオン)伝導性高分子電解質溶液(上記と同じ))からなる触媒層を形成した。
具体的には、カソード極は基材としてカーボンクロス(E-TEK社製、LT-1200N、厚み280μm)上にスプレーコートにより、白金量が1mg/cm2となるように触媒層を形成した。
アノード極は基材として発泡ニッケル基材(三菱マテリアル製、呼び孔径150μm、厚さ500μm)上にスプレーコートにより、白金量が4mg/cm2となるように触媒層を形成した。
次にカソード極とアノード極で電解質膜を挟持し、熱プレス(温度:135−150℃、圧力:4−6MPa)により電解質膜と電極を一体化し、電解質膜−電極接合体を形成した。上記電解質膜−電極接合体を燃料および酸化剤を供給するための流路を持つセパレータおよび集電体で挟持し、単セルを構成した。
燃料として10重量%水酸化カリウム+10重量%エタノール水溶液(4mL/min)、酸化剤として乾燥空気(100mL/min)をそれぞれ燃料極と空気極に供給し、室温(30℃)で上記電解質膜−電極接合体の直接エタノール燃料電池の発電性能を評価した。
得られた開放起電力は約650mVであり、最大出力密度は12mW/cm2が得られた。
(実施例2)
(1)電解質膜の作製
無機フィラーとして、酸化ジルコニア粒子(円盤状の平均直径0.3μm(レーザー散乱式粒度分布計による測定)、平均厚さ0.05μm(走査電子顕微鏡による100個の粒子の平均値)を使用し、実施例1と同様にしてアニオン伝導性電解質膜と複合化させた。
組成は、乾燥重量比でジルコニアが10重量%、5wt%アニオン(水酸基イオン)伝導性高分子電解質が90重量%となるように仕込んだ。
(1)電解質膜の作製
無機フィラーとして、酸化ジルコニア粒子(円盤状の平均直径0.3μm(レーザー散乱式粒度分布計による測定)、平均厚さ0.05μm(走査電子顕微鏡による100個の粒子の平均値)を使用し、実施例1と同様にしてアニオン伝導性電解質膜と複合化させた。
組成は、乾燥重量比でジルコニアが10重量%、5wt%アニオン(水酸基イオン)伝導性高分子電解質が90重量%となるように仕込んだ。
ジルコニアの水分散液と上記5wt%アニオン(水酸基イオン)伝導性高分子電解質溶液を混合し、マグネチックスターラーによる撹拌と超音波攪拌を繰り返すことで均一な分散液を作製した。得られた分散液を50−80℃で加熱しながらマグネチックスターラーで攪拌し、分散媒を蒸発させながら粘度を調整した。得られた高粘度分散液をポリテトラフルオロエチレン(PTFE)基板上にキャスティングし、約100℃の乾燥オーブン内で静置・乾燥することにより電解質膜を成膜した。得られた電解質膜は厚さ約108μmであった。
発電性能評価は実施例1と同様に行ない、得られた開放起電力は約630mVであり、最大出力密度は11mW/cm2が得られた。
比較例として、アニオン伝導性高分子電解質膜にアシプレックスA−221(厚さ190μm、旭化成(株)製)を用いた単セルを同様に評価したところ、本実施例と大きな差異は見られなかった。つまり、低電流密度領域はエタノールのクロスオーバーの影響でセル電位の低下が見られる領域であるが、上記本実施例1及び2の電解質膜の厚さは約110μmで、"アシプレックスA−221"膜の厚さ(約190μm)の約半分であるにもかかわらず、比較例に対しセル電位に差異が見られなかった。これは、上記電解質膜が"アシプレックスA−221膜に比べてエタノール透過阻止能が高いことを示している。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
1 電解質膜
2 セラミックス粒子材料
3 アニオン伝導性材料
4,4’ 触媒層
5,7 電極基材
6 燃料極
8 空気極
2 セラミックス粒子材料
3 アニオン伝導性材料
4,4’ 触媒層
5,7 電極基材
6 燃料極
8 空気極
Claims (9)
- アニオン伝導性材料とセラミックス粒子材料(但し、SiO2を除く。)を含むアルカリ型燃料電池用電解質膜であって、
前記セラミックス粒子材料は、粒子間結合による自己造膜性があることを特徴とするアルカリ型燃料電池用電解質膜。 - 前記自己造膜性のあるセラミックス粒子材料は前記電解質膜の2重量%〜50重量%の範囲であり、前記アニオン伝導性材料は前記電解質膜の50重量%〜98重量%の範囲である請求項1に記載のアルカリ型燃料電池用電解質膜。
- 前記アニオン伝導性材料は、フッ素系アニオン伝導性高分子材料、炭化水素系アニオン伝導性材料、から選択される請求項1に記載のアルカリ型燃料電池用電解質膜。
- 前記自己造膜性のあるセラミックス粒子材料は、平均直径が0.01μm〜10.00μmの範囲、平均厚みが0.01〜1.00μmの範囲の鱗片状材料である請求項1に記載のアルカリ型燃料電池用電解質膜。
- 前記自己造膜性のあるセラミックス粒子材料は、前記アニオン伝導性材料により厚さ0.01μm〜1.00μmの被膜で覆われている請求項1に記載のアルカリ型燃料電池用電解質膜。
- 前記セラミックス粒子材料は、アルミナ、チタニア、ジルコニア、マグネシア、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化亜鉛、酸化錫、チタン酸バリウム、チタン酸アルミ、炭化珪素、窒化珪素、マイカ、及び雲母から選ばれる少なくとも1つである請求項1、2、4又は5に記載のアルカリ型燃料電池用電解質膜。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の電解質膜の両面に、それぞれ触媒粒子および電解質バインダーからなる触媒層が形成されていることを特徴とする電解質膜−触媒層接合体。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の電解質膜の両面に、それぞれ触媒粒子および電解質バインダーからなる触媒層と電極基材からなる電極が形成されていることを特徴とする電解質膜−電極接合体。
- 請求項8に記載の電解質膜−電極接合体を用いた燃料電池。
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WO2012032999A1 (ja) * | 2010-09-08 | 2012-03-15 | シャープ株式会社 | 膜電極複合体およびアルカリ形燃料電池 |
JP2015015229A (ja) * | 2013-02-01 | 2015-01-22 | 株式会社日本触媒 | アニオン伝導性材料及び電池 |
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Legal Events
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