JP2009025371A - 中空部材、定着部材、定着装置および画像形成装置 - Google Patents

中空部材、定着部材、定着装置および画像形成装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2009025371A
JP2009025371A JP2007185686A JP2007185686A JP2009025371A JP 2009025371 A JP2009025371 A JP 2009025371A JP 2007185686 A JP2007185686 A JP 2007185686A JP 2007185686 A JP2007185686 A JP 2007185686A JP 2009025371 A JP2009025371 A JP 2009025371A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pores
hollow
hollow member
fixing
elastic layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2007185686A
Other languages
English (en)
Inventor
Jun Kimura
潤 木村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Business Innovation Corp
Original Assignee
Fuji Xerox Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Xerox Co Ltd filed Critical Fuji Xerox Co Ltd
Priority to JP2007185686A priority Critical patent/JP2009025371A/ja
Publication of JP2009025371A publication Critical patent/JP2009025371A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Fixing For Electrophotography (AREA)

Abstract

【課題】新規な構造を有する中空部材を提供すること。
【解決手段】弾性材料を含むマトリックスと、該マトリックス中に三次元的に連続して設けられ且つ分岐構造を有する細孔610とを含むことを特徴とする中空部材。
【選択図】図1

Description

本発明は、中空部材、定着部材、定着装置および画像形成装置に関するものである。
電子写真プロセスを利用した複写機等においては、記録媒体上に形成されたトナー像を定着して画像を形成する。この定着法としては、一般に加熱によってトナーを溶融させ、記録媒体上に融着させる加熱定着法が広く採用されている。
この加熱定着法に用いる定着装置としては、例えば、加熱ロールと、この加熱ロールに対し圧接するように配置された加圧ロールとで構成されたものなどが知られている。
この装置では、定着に際してトナー像が転写された記録媒体を、一対のロールの圧接部を挿通させて定着を行う。
一方、加熱定着法に用いられる定着装置を構成する加熱ロールや加圧ロールなどのロール状や無端ベルト状の定着部材は、基材と、この基材上に設けられた弾性層とを少なくとも有する場合が多い。
この加圧ロールに用いられる弾性層には、定着時に一対の定着部材間を通過する記録媒体表面との追従性を確保したり、定着部材の熱による形状変化を抑制する等の観点から、断熱性が高く、線膨張率が低いことが求められる。
このため、近年、弾性層としては、加硫発泡などを利用して形成した発泡痕等からなる気泡が個々独立した状態でマトリックス中に存在するゴム部材が多用される傾向にある。しかし、弾性層としては、この他にも、押出成形時に押出機のダイの構造を変化させたり、ピンを利用したりして、基材となる芯金の長手方向に平行で且つ芯金の周方向に多数の貫通孔(あるいは螺旋状の貫通孔)を設けたゴム部材を用いた例も知られている(特許文献1参照)。
なお、ゴムマトリックス中に気泡などの個々独立した中空部を有するゴム部材の製造方法としては、(1)発泡剤(当該発泡剤には水も含む)の加熱による気化反応を利用した気泡形成工程を利用する方法や、この他にも、(2)中空構造を有する樹脂(以下、「中空樹脂粒子」と称す)をマトリックス原料に混合した後、加熱処理や溶解剤などを利用して中空樹脂粒子を構成する樹脂を溶解させて気泡痕を形成する気泡痕形成工程を利用する方法、また、(3)中空構造を有するガラス粒子(以下、「中空ガラス粒子」と称する)をマトリックス原料に配合して中空部材を作製する方法なとが知られている。
特開平2−282283号公報
以上に説明したように、弾性材料を用いた中空部材としては、大別すると(1)発泡剤を利用して形成される中空部材(以下、「発泡剤利用型中空部材」と称する)、(2)中空樹脂粒子を利用して形成される中空部材(以下、「中空樹脂粒子利用型中空部材」と称する)、(3)中空ガラス粒子を利用して形成される中空部材(以下、「中空ガラス粒子利用型中空部材」と称する)、(4)ピン等を利用して形成された貫通孔を有する中空部材(以下、「貫通孔型中空部材」と称する)が知られており、(1)〜(3)は、中空部が個々独立した気泡として存在する中空構造を有し、(4)は中空部が複数本の独立した分岐・網目構造を有さない貫通孔として存在する中空構造を有する。
上記の弾性材料を用いた4種類の中空部材は、その製造方法や中空構造に応じて、以下に説明する特徴を有する。
まず、第1に、発泡剤利用型中空部材は、加熱されると気泡内のガスが膨張しても、ガスが外部へと移動できないために他の中空部材と比べて線膨張率が大きくなる傾向にある。
第2に、中空樹脂粒子利用型中空部材は、その作製プロセスを制御することにより、個々独立した気泡同士が部分的に連結した構造が得られるため、加熱されても気泡内のガスが移動できる余地がある。しかし、全ての気泡同士を連結させた構造は得ることができないため、基本的には、加熱時に膨張したガスが外部へ逃げ切れず、他の中空部材と比べて熱膨張係数が大きくなる傾向にある。
第3に、中空ガラス粒子利用型中空部材は、気泡部の内壁がガラスから構成されるため、マトリックスを構成する弾性材料が他の中空部材で利用しているものと同じであれば、他の中空部材と比べて、中空部材全体の硬度が増加するため、弾性材料本来の特性が失われる傾向にある。また、他の中空部材と同程度の硬度に回復させるために、マトリックスを構成する弾性材料として硬度の低いものを用いれば中空部材全体としては、他の中空部材と同程度の硬度を得ることができる。しかし、この場合は、中空部材の強度が著しく低下する傾向にある。
第4に、貫通孔型中空部材は、中空構造部分(すなわち貫通孔)がピンなどを利用して形成されているため極めて大きな異方性を有する中空構造が形成される。このため、貫通孔型中空部材では、他の中空部材と比べると、表面の硬度が、表面の内部側に貫通孔が存在する部分と、表面の内部側に貫通孔が存在しない部分とで差が生じやすくなる。
一方、上述した定着部材の例にもあるように、弾性材料を利用した中空部材を有する部材では、その用途や市場ニーズなどに応じて更なる特性の改善や、新しい機能・特性が必要とされる場合がある。この場合に、上述した4種類の中空部材では対応できなくなることも考えられる。
本発明は、上記事情に鑑みて成されたものであり、新規な構造を有する中空部材、並びに、これを用いた定着部材、定着装置および画像形成装置を提供することを課題とする。
上記課題は以下の本発明により達成される。すなわち、
請求項1に係わる発明は、
弾性材料を含むマトリックスと、該マトリックス中に三次元的に連続して設けられ且つ分岐構造を有する細孔とを含むことを特徴とする中空部材である。
請求項2に係わる発明は、
空隙率が、5%以上35%以下の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の中空部材。
請求項3に係わる発明は、
前記細孔の平均孔径が、10μm以上500μm以下の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の中空部材である。
請求項4に係わる発明は、
前記細孔が、部材表面へと通じていることを特徴とする請求項1に記載の中空部材である。
請求項5に係わる発明は、
線膨張率が、0.000010以上0.000021以下の範囲内であることを特徴とする請求項4に記載の中空部材である。
請求項6に係わる発明は、
下式(1)で示される線膨張率比ERが、0.40以上0.84以下の範囲内であることを特徴とする請求項4に記載の中空部材である。
・式(1) ER=E1/E2
〔式(1)中、E1は中空部材の線膨張率(1/K)、E2は中空部材を構成するマトリックス部材のみからなる部材の線膨張率(1/K)を表す。〕
請求項7に係わる発明は、
前記弾性材料が、シリコーンゴムを含むことを特徴とする請求項1に記載の中空部材である。
請求項8に係わる発明は、
筒状の基材と、該筒状の基材の上に設けられた弾性層とを少なくとも有し、
前記弾性層が、弾性材料を含むマトリックスと、該マトリックス中に三次元的に連続して設けられ且つ分岐構造を有する細孔とを含み、前記細孔が部材表面へと通じている中空部材を有することを特徴とする定着部材である。
請求項9に係わる発明は、
加熱部材と、該加熱部材に接触して配置される加圧部材とを少なくとも備え、前記加熱部材および前記加圧部材から選択される少なくとも一方の部材が、筒状の基材と、該筒状の基材の上に設けられた弾性層とを少なくとも有し、
前記弾性層が、弾性材料を含むマトリックスと、該マトリックス中に三次元的に連続して設けられ且つ分岐構造を有する細孔とを含み、前記細孔が部材表面へと通じている中空部材を有することを特徴とする定着装置である。
請求項10に係わる発明は、
潜像保持体と、該潜像保持体表面を帯電する帯電手段と、帯電させられた前記潜像保持体表面に潜像を形成する潜像形成手段と、前記潜像を現像剤により現像してトナー像を形成するトナー像形成手段と、前記トナー像を前記潜像保持体表面から記録媒体表面に転写する転写手段と、前記記録媒体表面に転写されたトナー像を定着する定着手段とを少なくとも備え、
前記定着手段が、加熱部材と、該加熱部材に接触して配置される加圧部材とを少なくとも備え、前記加熱部材および前記加圧部材から選択される少なくとも一方の部材が、筒状の基材と、該筒状の基材の上に設けられた弾性層とを少なくとも有し、
前記弾性層が、弾性材料を含むマトリックスと、該マトリックス中に三次元的に連続して設けられ且つ分岐構造を有する細孔とを含み、前記細孔が部材表面へと通じている中空部材を有することを特徴とする画像形成装置である。
請求項11に係わる発明は、
弾性材料を含むマトリックスと、該マトリックス中に連続して設けられた細孔とを含み、
前記細孔の平均孔径が、10μm以上500μm以下であり、前記細孔の孔径分布における標準偏差が50以下であることを特徴とする中空部材である。
請求項12に係わる発明は、
筒状の基材と、該筒状の基材の上に設けられた弾性層とを少なくとも有し、
前記弾性層が、弾性材料を含むマトリックスと、該マトリックス中に連続して設けられた細孔とを含み、前記細孔の平均孔径が、10μm以上500μm以下であり、前記細孔の孔径分布における標準偏差が50以下であり、且つ、前記細孔が部材表面へと通じている中空部材を有することを特徴とする定着部材である。
請求項13に係わる発明は、
加熱部材と、該加熱部材に接触して配置される加圧部材とを少なくとも備え、前記加熱部材および前記加圧部材から選択される少なくとも一方の部材が、筒状の基材と、該筒状の基材の上に設けられた弾性層とを少なくとも有し、
前記弾性層が、弾性材料を含むマトリックスと、該マトリックス中に連続して設けられた細孔とを含み、前記細孔の平均孔径が、10μm以上500μm以下であり、前記細孔の孔径分布における標準偏差が50以下であり、且つ、前記細孔が部材表面へと通じている中空部材を有することを特徴とする定着装置である。
請求項14に係わる発明は、
潜像保持体と、該潜像保持体表面を帯電する帯電手段と、帯電させられた前記潜像保持体表面に潜像を形成する潜像形成手段と、前記潜像を現像剤により現像してトナー像を形成するトナー像形成手段と、前記トナー像を前記潜像保持体表面から記録媒体表面に転写する転写手段と、前記記録媒体表面に転写されたトナー像を定着する定着手段とを少なくとも備え、
前記定着手段が、加熱部材と、該加熱部材に接触して配置される加圧部材とを少なくとも備え、前記加熱部材および前記加圧部材から選択される少なくとも一方の部材が、筒状の基材と、該筒状の基材の上に設けられた弾性層とを少なくとも有し、
前記弾性層が、弾性材料を含むマトリックスと、該マトリックス中に連続して設けられた細孔とを含み、前記細孔の平均孔径が、10μm以上500μm以下であり、前記細孔の孔径分布における標準偏差が50以下であり、且つ、前記細孔が部材表面へと通じている中空部材を有することを特徴とする画像形成装置である。
以上に説明したように本発明によれば、請求項1に記載の発明によれば、個々独立した気泡からなる中空構造や、貫通孔等の分岐構造を有さない連続した中空構造を有するなどの従来の中空部材とは異なる新規な構造を有する中空部材を提供することができる。
請求項2に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比べて、適度な強度を有しつつ、中空構造を全く有さない通常の弾性材料とは異なる機能や特性等を容易に得ることができる中空部材を提供することができる。
請求項3に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比べて、外部から加圧されても細孔の破壊を防ぐと共に、細孔中の物質の移動・拡散も容易な中空部材を提供することができる。
請求項4に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比べて、部材外部から細孔内やあるいはその逆方向への気体状又は液体状の物質の移動や拡散が可能な中空部材を提供することができる。
請求項5に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比べて、同じ弾性材料を用いて作製された中空構造を全く有さない弾性材料を含む部材や、従来の中空部材(特に、中空構造部分が個々独立した構造を有する中空部材)では容易に実現できない低線膨張率の中空部材を提供することができる。
請求項6に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比べて、同じ弾性材料を用いて作製された中空構造を全く有さない弾性材料を含む部材や、従来の中空部材(特に、中空構造部分が個々独立した構造を有する中空部材)では容易に実現できない線膨張率比ERの中空部材を提供することができる。
請求項7に記載の発明によれば、インクジェット法による製造が容易な中空部材を提供することができる。
請求項8に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比べて、紙シワの発生をより確実に抑制することができる定着部材を提供することができる。
請求項9に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比べて、紙シワの発生をより確実に抑制することができる定着装置を提供することができる。
請求項10に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比べて、紙シワの発生をより確実に抑制することができる画像形成装置を提供することができる。
請求項11に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比べて、紙シワの発生をより確実に抑制することができる定着部材を提供することができる。
請求項12に記載の発明によれば、個々独立した気泡からなる中空構造や、貫通孔等の分岐構造を有さない連続した中空構造を有するなどの従来の中空部材とは異なる新規な構造を有する中空部材を提供することができる。
請求項13に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比べて、紙シワの発生をより確実に抑制することができると共に、画像のグロスムラの発生も抑制できる定着装置を提供することができる。
請求項14に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比べて、紙シワの発生をより確実に抑制することができると共に、画像のグロスムラの発生も抑制できる画像形成装置を提供することができる。
<中空部材>
第1の本実施形態の中空部材は、弾性材料を含むマトリックスと、該マトリックス中に三次元的に連続して設けられ且つ分岐構造を有する細孔とを含むことを特徴とする。
また、第2の本実施形態の中空部材は、弾性材料を含むマトリックスと、該マトリックス中に連続して設けられた細孔とを含み、前記細孔の平均孔径が、10μm以上500μm以下であり、前記細孔の孔径分布における標準偏差が50以下であることを特徴とする。
従って、第1の本実施形態の中空部材は、個々独立した気泡からなる中空構造や、ピンやダイなどを用いて形成された貫通孔等の分岐構造を有さない連続した中空構造を有するなどの従来の中空部材とは異なる新規な構造を有している。
また、第2の本実施形態の中空部材は、個々独立した気泡からなる中空構造を有する従来の中空部材とは異なる新規な構造を有している。また、ピンやダイなどを用いて形成された貫通孔等の分岐構造を有さない連続した中空構造を有する従来の中空部材と比べると、第2の本実施形態の中空部材では、ピンやダイなどでは実現できない小ささの孔径を有する細孔からなる新規な中空構造が実現できる。
以下に、本実施形態の中空部材中の細孔構造の具体例について図面を用いてより詳細に説明する。
−中空構造−
図1は、本実施形態の中空部材の中空構造の一例を示す概略模式図であり、図1Aは、マトリックス中に不規則的に細孔が設けられた中空構造の一例を、図1Bはマトリックス中に規則的に細孔が設けられた中空構造の一例を示すものである。
まず、図1A中、610(実線で示される部分)は細孔を表し、余白部分はマトリックスを表す。図1Aに示されるように細孔610は、マトリックス中においてランダムな方向に連続的に伸びて分岐しながら網目状に広がっている。
なお、図1Aでは、2次元平面(図中紙面方向)に細孔610が網目状に広がった状態が示されているが、実際には3次元的に細孔610が網目状に広がっており、図1Aは説明の都合上、この3次元的に細孔610が網目状に広がった状態を2次元平面上に投影して描写したイメージ図である。また、図1Aは、中空部材内部の一部を拡大したもので、表面部分については示されていないが、細孔610は、表面へと通じるように伸びていてもよい。
図1Bは、本実施形態の中空部材の中空構造の他の例を示す概略模式図であり、図中、610(実線で示される部分)は細孔を表し、細孔610のうち610Aで示される細孔は、図中の矢印X方向に平行に連続的に伸びる細孔を表し、細孔610のうち610Bで示される細孔は、図中の矢印Y方向(矢印X方向と直交する方向)に平行に連続的に伸びる細孔を表し、余白部分はマトリックスを表す。
図1Bに示されるように細孔610は、マトリックス中に規則的且つ所定の方向に配向するように網目状に広がっており、矢印X方向に伸びる細孔610A同士を互いに繋ぐように矢印Y方向に伸びる細孔610Bが設けられている。なお、図1Bは、説明の都合上、中空部材内部の一断面を示したものであり、図中には示されてないが、矢印XYが成す平面と垂直な方向にも、細孔610Aが存在し、垂直方向に位置する関係にある細孔610A同士を互いに繋ぐように不図示の細孔が設けられている。また、図1Bには、表面部分については示されていないが、細孔610は、表面へと通じるように伸びていてもよい。
以上に説明したように、本実施形態の中空部材の中空構造は、図1Aに一例を示したように不規則的なものであってもよく、図1Bに一例を示したように規則的なものであってもよく、両者の中間的な状態であってもよい。また、細孔の分岐点における分岐数は3以上であれば特に限定されない。さらに、細孔は少なくとも一方の端が分岐点に接続されているのであれば、他方の端は行き止まりであってもよい。加えて、マトリックス中の細孔は、部材表面へと通じるように伸びていなくてもよく、部材表面へと通じるように伸びていてもよい。細孔が部材表面へと通じている場合は、部材外部から細孔内やあるいはその逆方向への気体状又は液体状の物質の移動や拡散が可能となる。なお、何れの態様を選択するかは中空部材の用途に応じて選択できる。
なお、第2の本実施形態の中空部材中に設けられる細孔は、図1に例示したように分岐構造を有するものであってもよいが、分岐構造を有していなくてもよい。以下に、第2の本実施形態の中空部材中に設けられる細孔が分岐構造を有していない例について図面を用いて説明する。
図2は、第2の本実施形態の中空部材の中空構造の一例を示す概略模式図であり、図2Aは、マトリックス中に不規則的に細孔が設けられた中空構造の一例を、図2Bはマトリックス中に規則的に細孔が設けられた中空構造の一例を示すものである。
まず、図2A中、610(実線で示される部分)は細孔を表し、余白部分はマトリックスを表す。図2Aに示されるように細孔610は、マトリックス中においてランダムな方向に連続的に伸びている。
なお、図2Aでは、2次元平面(図中紙面方向)に細孔610が広がった状態が示されているが、実際には3次元的に細孔610が広がっており、図2Aは説明の都合上、この3次元的に細孔610が広がった状態を2次元平面上に投影して描写したイメージ図である。また、図2A中においては、細孔610同士が交差するように描かれているが、これは細孔610が分岐構造を形成していることを意味するものではなく、実際には紙面と垂直な方向において2つの細孔610が異なる位置に存在していることを意味するものである。また、図2Aは、中空部材内部の一部を拡大したもので、表面部分については示されていないが、細孔610は、表面へと通じるように伸びていてもよい。
図2Bは、第2の本実施形態の中空部材の中空構造の他の例を示す概略模式図であり、図中、610(実線で示される部分)は細孔を表し、余白部分はマトリックスを表す。
図1Bに示されるように細孔610は、マトリックス中に規則的且つ所定の方向に配向するように伸びている。なお、図1Bは、説明の都合上、中空部材内部の一断面を示したものであり、図中には示されてないが、矢印XYが成す平面と垂直な方向にも、細孔610Aが存在していてもよい。また、図1Bには、表面部分については示されていないが、細孔610は、表面へと通じるように伸びていてもよい。
図3、図4は、本実施形態の中空部材中に設けられた細孔の軸方向の形状の一例を示す模式断面図であり、細孔の軸方向を含む面で細孔を切断した場合の拡大断面図を示したものである。ここで、図3および図4中、610は細孔、612は細孔壁、612Aは細孔壁612が細孔610の軸方向に突出した部分(以下、「凸部」と略す場合がある)、612Bは細孔壁612が細孔610の軸方向から離れる方向に突出した部分(以下、「凹部」と略す場合がある)、細孔610中の一点鎖線は、細孔610の軸方向を表す。なお、図中に示す一点鎖線で示される軸線は直線として描かれているが湾曲していてもよい。
図3に示されるように、細孔610は、軸方向に対して一定の孔径(細孔610の軸方向と直交する方向の長さ)を保つように伸びた断面形状を有していてもよい。なお、図3中に示される範囲内においては、細孔610の孔径は一定であるが、巨視的に見た場合、マトリックス内で孔径は様々に異なっていてもよい。
また、図4に示されるように、細孔壁612が凸部612Aと凹部612Bとが軸方向に対して周期的に繰り返される構造を有しているために、細孔610が軸方向に対して周期的に孔径が変化する断面形状を有していてもよい。
図5は、本実施形態の中空部材中に設けられた細孔の孔径方向の形状の一例を示す模式断面図であり、細孔の孔径方向を含む面で細孔を切断した場合の拡大断面図を示したものである。図5中、610は細孔、612は細孔壁、612Cは細孔壁612が細孔610の軸方向に突出するように迫出した部分(以下、「凸部」と略す場合がある)、612Dは細孔壁612が細孔610の軸方向から離れる方向に突出した部分(以下、「凹部」と略す場合がある)、×印は細孔610の軸方向を表す。
ここで、図5Aは、細孔610の孔径方向の断面形状が円形状である場合について示した例であり、図5Bは、細孔610の孔径方向の断面形状が楕円形状である場合について示した例である。また、図5Cは、細孔610の細孔壁612が、軸方向に対して右回り(又は左回り)の方向に、凸部612Cと凹部612Dとが交互に4回繰り返された断面形状を有する例について示したものである。なお、この凸部612Cと凹部612Dとの繰り返しは4回に限定されるものではなく、例えば、3回、5回等であってもよい。また、図5Cは、細孔610断面の縦横の比が1:1となるように描かれているがこれに限定されるものではなく、例えば、縦長であっても横長であってもよい。
−各種特性・物性−
また、本実施形態の中空部材は、上記に種々例を示したように、新規な構造を有するため、従来の中空部材と比較して以下に説明する特徴を有する。
まず、本実施形態の中空部材は、発泡剤利用型中空部材や中空樹脂粒子利用型中空部材と比較すると、部材表面へと細孔が伸びている場合には、熱膨張係数をより小さくすることができる。この理由は、主に以下の2つが挙げられる。
まず第1に、中空部材は、中空構造部分が連続的に繋がると共に中空部材の表面にも通じるように繋がっているために、加熱時に膨張した中空構造部分に存在するガスが外部へと容易に移動できる。このため、中空部に存在するガスの膨張に起因する中空部材の体積膨張が起こり難い。
第2に、細孔内のガスが外部へと移動できるため細孔内のガス圧が外気圧に対して増加し難い。このため、加熱によりマトリックス部材の体積が膨張しても、この膨張効果を中空部材内部の細孔部分が(細孔内のガス圧に起因する反発力が小さいため)容易に縮小することができるので相殺することができる。それゆえ、結果として中空部材全体として体積が膨張するのを抑制できる。
また、本実施形態の中空部材は、中空ガラス粒子利用型中空部材と比較すると、中空構造部分の内壁が、マトリックスと同じ弾性材料を含む部材から構成される。このため、中空部材の硬度が増加したり、硬度の増加を回避するために強度を犠牲にする必要がない。
さらに、第1の本実施形態の中空部材は図1に一例を示したように、中空構造は、異方性の高い構造から低い構造、また、規則的な構造から不規則な構造まで取り得ることが可能である。これに加えて、本実施形態の中空部材は、後述する所謂インクジェット法を利用して作製した場合には、中空構造部分のサイズや形状等も広い範囲で制御できる。すなわち、第1の本実施形態の中空部材は、貫通孔型中空部材と比べると、異方性/等方性や中空構造部分のサイズや形状等の観点で選択可能な中空構造の自由度が高い。これに加えて、第1の本実施形態の中空部材は、取り得る中空構造を選択することによって、表面の硬度ムラの小さい中空部材を得ることが容易である。
これに対して、第2の本実施形態の中空部材は、図1や図2に一例を示したように、中空構造は、異方性の高い構造から低い構造、また、規則的な構造から不規則な構造まで取り得ることが可能である。すなわち、第2の本実施形態の中空部材は、貫通孔型中空部材と比べると、図2Bに例示するような異方性の大きい規則的な中空構造を取り得る点では類似する傾向にあるものの、図1Aや図2Aに例示する等方性の大きい不規則的な中空構造や、図1に例示するような分岐構造も取り得えることが可能な点で中空構造の自由度が比較的大きい。これに加えて、第2の本実施形態の中空部材は、ピンやダイなどを利用して中空構造部が形成される貫通孔型中空部材と比べると、中空構造部のサイズが非常に小さいため、表面の硬度ムラを小さくすることができる。
以上に説明したように、本実施形態の中空部材は、従来の中空部材には無い新たな特性を容易に実現することができる。
次に、本実施形態の中空部材のより好ましい特性について説明する。
本実施形態の中空部材の空隙率は、中空部材の使用用途に応じて選択することができるが、一般的には5%以上35%以下の範囲内であることが好ましく、10%以上30%以下の範囲内であることがより好ましい。これにより、適度な強度を有しつつ、中空構造を全く有さない通常の弾性材料とは異なる機能や特性等を容易に得ることができる。
空隙率が5%未満の場合には、中空構造を全く有さない通常の弾性材料に近い特性や機能を有する傾向にあるため、中空構造を全く有さない通常の弾性材料の代わりに本実施形態の中空部材を利用するメリットが小さくなる場合がある。一方、空隙率が35%を超える場合には、強度が著しく不足するために容易に破損してしまう場合がある。
なお、上記範囲はひとつの目安であり、使用目的によって、例えば、圧力が加わった場合に破壊されやすいことが重要な場合や、機械的特性等の種々の特性において中空構造を全く有さない通常の弾性材料と同様の特性を有するものの、その他の特性において差異がありその差異が重要な場合などにおいては、勿論、空隙率は上記範囲を外れてもよい。
一方、本実施形態の中空部材を電子写真方式の画像形成装置の定着部材の弾性層を構成する部材として利用する場合には、空隙率は10%以上35%以下の範囲内であることが好ましく、15%以上25%以下の範囲内であることがより好ましい。
空隙率が10%未満の場合には、断熱特性や線膨張率等において中空構造を全く有さない通常の弾性材料を弾性層を構成する部材として用いた場合と同程度の特性しか得られなくなる場合がある。これに対して、空隙率が35%を超える場合には、定着時に弾性層に加わる圧力によって、中空構造が押し潰されて破壊されてしまう場合がある。
なお、空隙率は以下の手順で測定した値を意味する。
まず、中空部材を構成する材料の比重Aと、中空部材の比重をA’とを測定する。続いて、下記に示す式に基づいて、空隙率X(%)を求める。
X=(A/A’−1)×100
ここで、比重Aおよび比重A’は、JIS K6268(1998)に準拠した測定方法にて算出した。
また、第1の本実施形態の中空部材中に存在する細孔の平均孔径は、中空部材の使用用途に応じて選択することができるが、一般的には、10μm以上500μm以下の範囲であることが好ましく、20μm以上400μm以下の範囲であることが好ましい。この場合、外部から加圧されても細孔の破壊を防ぐと共に、細孔中の物質の移動・拡散も容易である。
平均孔径が10μm未満の場合には、例えば、細孔中に存在するガスの移動が困難となったり、また、細孔中に液体を充填しようとした場合には目詰まりが起こりやすくなって充填が困難となる等の不具合が生じ、中空構造部分が個々に孤立した構造を有する場合と差異がなくなってしまう場合がある。
また、平均孔径が500μmを超える場合には、例えば、中空部材に圧力が加わった際に細孔部分に大きな応力が集中して細孔の破壊が生じやすくなどの不具合が生じる場合がある。
なお、上記範囲はひとつの目安であり、使用目的によって、例えば、適度に目詰まりが起こりやすいことやガスの移動が困難であることが重要な場合や、中空部材に圧力が加わった際に細孔部分に大きな応力が集中して細孔の破壊が生じることが重要な場合などにおいては、勿論、空隙率は上記範囲を外れてもよい。
一方、第1の本実施形態の中空部材を電子写真方式の画像形成装置の定着部材の弾性層を構成する部材として利用する場合には、平均孔径は10μm以上400μm以下の範囲内であることが好ましく、50μm以上300μm以下の範囲内であることがより好ましい。
平均孔径が10μm未満の場合には、断熱特性や線膨張率等において中空構造を全く有さない通常の弾性材料や、発泡剤利用型中空部材、中空樹脂粒子利用型中空部材などを弾性層を構成する部材として用いた場合と同程度の特性しか得られなくなる場合がある。これに対して、平均孔径が500μmを超える場合には、定着部材表面の内部側(弾性層側)に細孔が存在する部分と、細孔が存在しない部分とで表面硬度に差が生じやすくなる。従って、この場合には、定着時の加圧によって定着部材表面の硬度にばらつきが生じるために、定着部材がトナー像を記録媒体に押し付ける力が記録媒体の面内でばらつき、画像のグロスムラが生じるなどの問題が発生しやすくなる。
一方、第2の本実施形態の中空部材中に存在する細孔の平均孔径は、既述したように、10μm以上500μm以下の範囲であることが必要であり、20μm以上400μm以下の範囲であることが好ましく、50μm以上300μm以下の範囲であることがより好ましい。この場合、表面の硬度ムラを小さくすることができると共に、細孔中の物質の移動・拡散も容易である。
平均孔径が10μm未満の場合には、細孔中に存在するガスの移動が困難となったり、また、細孔中に液体を充填しようとした場合には目詰まりが起こりやすくなって充填が困難となる等の不具合が生じ、中空構造部分が個々に孤立した構造を有する場合と差異がなくなってしまう。
また、平均孔径が500μmを超える場合には、表面の硬度ムラが大きくなってしまう。
なお、第2の本実施形態の中空部材を電子写真方式の画像形成装置の定着部材の弾性層を構成する部材として利用する場合には、第2の本実施形態の中空部材中に存在する細孔の平均孔径は、10μm以上400μm以下の範囲であることが好ましく、50μm以上300μm以下の範囲であることがより好ましい。
平均孔径が10μm未満の場合には、断熱特性や線膨張率等において中空構造を全く有さない通常の弾性材料や、発泡剤利用型中空部材、中空樹脂粒子利用型中空部材などを弾性層を構成する部材として用いた場合と同程度の特性しか得られなくなる場合がある。 また、平均孔径が500μmを超える場合には、電子写真用の定着部材として使用するには表面の硬度ムラが大きくなってしまい、画像のグロスムラが発生してしまう場合がある。
また、第2の本実施形態の中空部材中に存在する細孔の孔径分布における標準偏差は、既述したように50以下であることが必要であり、30以下であることが好ましく、20以下であることがより好ましく、0(単分散)であることが最も好ましい。
標準偏差が50を超える場合には、非常に大きい孔径を有する細孔が部分的に存在することになり、当該部分の近傍では表面の硬度ムラが大きくなってしまう。
なお、第2の本実施形態の中空部材を電子写真方式の画像形成装置の定着部材の弾性層を構成する部材として利用する場合には、第2の本実施形態の中空部材中に存在する細孔の孔径分布における標準偏差は、30以下であることが好ましく、20以下であることがより好ましく、0(単分散)であることが最も好ましい。
標準偏差が30を超える場合、電子写真用の定着部材として使用するには非常に大きい孔径を有する細孔が部分的に存在することになり、画像の光沢ムラが局所的に発生してしまう場合がある。
なお、平均孔径や、細孔の孔径分布における標準偏差は以下の手順で測定した値を意味する。
まず、中空部材を、任意の方向から切断する。なお、細孔が連続して伸びている方向が、一方向に配向している場合には、当該配向方向と直交する切断面が得られるように切断することが好ましい。
次に、切断面に露出した細孔断面を20箇所選択して、デジタルマイクロスコープにて、細孔断面の長径と短径とを測定し、長径と短径との和を2で割った値を孔径値とした。なお、測定対象とした細孔断面は、細孔の孔軸が、切断面に対してほぼ直交するもののみを選択した。
この測定を、中空部材を各々別の位置から切断して得られた5箇所の切断面について実施し、合計100個の細孔の孔径値に基づいて、平均孔径と標準偏差値と求めた。
なお、中空部材が、ロール状や無端ベルト状の定着部材として利用される場合には、切断面を得る位置は、定着ロールの場合は、周方向に72°毎の位置5箇所を選択し、定着ベルトの場合は、周方向に対して5等分した位置5箇所を選択した。
一方、本実施形態の中空部材は、細孔が部材表面へと通じるように伸びている場合、細孔中のガスが容易に部材外部へと移動できるため、中空構造を全く有さない弾性材料を含む部材や、他の中空部材(特に、中空構造部分が個々独立した構造を有する中空部材)と比較して、中空部材の線膨張率や、下式(1)で示される線膨張率比ERをより小さくすることが容易である。
・式(1) ER=E1/E2
ここで、式(1)中、E1は、中空部材の線膨張率(1/K)、E2は中空部材を構成するマトリックス部材のみからなる部材(中空構造を有さない部材)の線膨張率(1/K)を意味する。
なお、中空部材の線膨張率E1は、本実施形態の中空部材の使用目的等に応じて任意に選択することができるが、本実施形態の中空部材と同じ弾性材料を用いて作製された中空構造を全く有さない弾性材料を含む部材や、従来の中空部材(特に、中空構造部分が個々独立した構造を有する中空部材)では容易に実現できない低線膨張率の部材が得られるという観点からは、0.000021以下であることが好ましく、0.000020以下であることが好ましい。一方、線膨張率E1の下限は特に限定されないが実用上は0.000010以上であることが好ましい。なお、中空部材の中空構造が異方性を有する場合は、線膨張率E1が極大となる方向と、極小となる方向とが存在する。この場合には、少なくとも線膨張率E1が極小となる方向における線膨張率E1(以下、「線膨張率E1(min)と称す場合がある)が上記範囲を満たすことが好ましい。
一方、本実施形態の中空部材を電子写真方式の画像形成装置の定着部材の弾性層を構成する部材として利用する場合には、線膨張率E1は、0.000020以下であることが好ましく、0.000018以下であることが好ましい。
線膨張率E1が0.000020を超える場合には、定着時の加熱による定着部材の寸法変化が大きくなり、定着部材間に成形される圧接部の記録媒体通過方向の幅が、当該方向と直交する方向においてばらついてくる可能性がある。但し、この程度のばらつきであっても、空構造を全く有さない弾性材料を含む部材や、他の中空部材(特に、中空構造部分が個々独立した構造を有する中空部材)と同等程度あるいはそれ以下のばらつきとすることができる。
しかしながら、例えば、A3サイズなどの大判サイズの用紙を、その短手方向を給紙方向として給紙した場合や、高温域の定着温度(170度以上210度以下の範囲)で定着した場合には紙シワが生じ、如何様なサイズの用紙で画像を形成した場合においても確実に紙シワの発生が抑制できなくなる場合がある。
これに対して、線膨張率E1の下限は特に限定されるものではないが実用上は0.000010以上であることが好ましい。
なお、中空部材の中空構造が異方性を有する場合は、線膨張率E1が極大となる方向と、極小となる方向とが存在する。この場合には、少なくとも線膨張率E1が極小となる方向が、弾性層の膜厚方向となるように中空部材を用い、且つ、少なくとも線膨張率E1(min)が上記範囲を満たすことが好ましい。
また、線膨張率比ERは、本実施形態の中空部材の使用目的等に応じて任意に選択することができるが、本実施形態の中空部材と同じ弾性材料を用いて作製された中空構造を全く有さない弾性材料を含む部材や、従来の中空部材(特に、中空構造部分が個々独立した構造を有する中空部材)では容易に実現できない線膨張率比ERが得られるという観点からは、線膨張率比ERは、0.84以下であることが好ましく、0.80以下であることが好ましい。一方、線膨張率比ERの下限は特に限定されないが実用上は0.40以上であることが好ましい。なお、中空部材の中空構造が異方性を有する部材は、線膨張率比ERが極大となる方向と、極小となる方向が存在する。この場合には、少なくとも線膨張率比ERが極小となる方向における線膨張率比ER(以下、「線膨張率比ER(min)と称す場合がある)が上記範囲を満たすことが好ましい。
一方、本実施形態の中空部材を電子写真方式の画像形成装置の定着部材の弾性層を構成する部材として利用する場合には、線膨張率比ERは、0.80以下であることが好ましく、0.70以下であることが好ましい。この場合、同じ線膨張率E1を有する中空部材により弾性層を形成する上で、線膨張率に縛られずにマトリックスを構成する部材を幅広く選択できる余地をより広げることが容易となる。従って、定着時の加熱による定着部材の寸法変化を抑制できると共に、その他の特性の両立が容易になる。
これに対して、線膨張率比ERの下限は特に限定されるものではないが実用上は0.40以上であることが好ましい。
また、中空部材の中空構造が異方性を有する場合は、線膨張率比ERが極大となる方向と、極小となる方向とが存在する。この場合には、少なくとも線膨張率比ERが極小となる方向が、弾性層の膜厚方向となるように中空部材を用い、且つ、少なくとも線線膨張率比ER(min)が上記範囲を満たすことが好ましい。
なお、中空部材の線膨張率E1や、中空部材を構成するマトリックス部材のみからなる部材(中空構造を有さない部材)の線膨張率E2はJISK7197に準じて測定した値を意味する。
−中空部材の用途−
本実施形態の中空部材の用途としては、既述したように電子写真方式の画像形成装置の定着部材を構成する弾性層としての用途などが挙げられるが、これに限定されるものではなく、その中空構造や機械的物性等の各種特性を利用して様々な用途に用いることができる。
この場合、その用途に応じて、中空部材の中空構造や、熱膨張係数などの物性値等が制御可能な範囲で選択される。
また、本実施形態の中空部材は、通常、その細孔内に空気などの気体が存在した状態で利用されるがこれに限定されるものではなく、細孔が液体状又は固体状の物質(以下、「細孔充填物質」と称す場合がある)で充填されていてもよい。
細孔内に細孔充填物質を充填する場合、中空部材としては、細孔が部材表面まで通じているものが用いられる。ここで、液体状の細孔充填物質を細孔内に充填する場合は、例えば、細孔内を減圧した後に液体状の細孔充填物質中に中空材料を浸漬したりする方法などが利用できる。
また、細孔内に固体状の細孔充填物質を充填する場合には、充填処理時に液体状の細孔充填物質を用いて細孔内に充填した後、細孔内中で液体状の細孔充填物質を固化する方法が挙げられる。この固化処理方法としては、細孔充填物質の融点以上に加熱した状態で充填処理した後に、細孔内に細孔充填物質が充填された状態の中空部材を、細孔充填物質の融点以下に冷却する方法や、加熱処理等により化学反応を利用して細孔内中で固化させることが可能な液体状の細孔充填物質を用いる方法などが挙げられる。
以上に例を挙げて説明したように、細孔内に液体状又は固体状の物質が充填された中空部材(以下、「複合部材」と称す)は、弾性材料を含むマトリックス中に、三次元的に連続し分岐構造を有する細孔形状に対応した状態の細孔充填物質が存在するため、細孔内に細孔充填物質が充填されていない中空部材には無い新たな特性や機能を得ることが可能である。
例えば、複合部材に用いられる細孔充填物質が水である場合、水の融点前後における液化−固化を利用して、0度を境に急激に弾性が変化するという特性を得ることができる。なお、当該態様においては、表面に通じている細孔は水が液体状である場合に外部へと流出しないように封止することによって、上述した特性を経時的に長期に渡って維持できる。
また、複合部材に用いられる細孔充填物質がオイルである場合は、例えば、この複合部材を、部材表面が他の部材と接触し摺動する態様で用いられ且つ部材表面の弾性が要求される用途や、表面が他の部材と接触する態様で用いられるものの当該他の部材との離型性も要求されると共に部材表面の弾性も要求される用途などに利用することができる。
一方、第1の本実施形態の中空部材は、3次元的な網目状の構造体を得る為の鋳型として利用することもできる。この場合、第1の本実施形態の中空部材を構成するマトリックス部分を鋳型として、細孔中に加熱処理等によって固化する物質を充填する。続いて細孔中の物質を加熱処理等によって固化する。そして、マトリックス部分を溶剤により溶解させたり熱分解させたりすることによって、中空部材の細孔構造に対応する3次元的な網目状の構造体を作製することができる。
−マトリックス部材−
本実施形態の中空部材を構成する材料としては、シリコーンゴムやフッ素ゴムなどの公知の弾性材料を用いることができ、必要に応じて、その他の成分が含まれていてもよい。なお、中空部材を構成するマトリックス部材中、弾性材料は50質量%以上含まれていればよいが、通常は70質量%以上含まれていることが好ましく、マトリックス部材が弾性材料のみから構成されていてもよい。
一方、使用する弾性材料や、必要に応じて添加されるその他の成分、またこれら各種材料の組成比は、中空部材の利用用途に応じて選択することができる。さらに、これらの各種原料成分は、中空部材の作製に際して溶液の態様で利用できることが特に好ましい。
なお、本実施形態の中空部材を、定着部材の弾性層を構成する部材として用いる場合、弾性材料やその他の添加成分としては以下の材料を利用することができる。
まず、弾性材料としては、材料面では、シリコーンゴムやフッ素ゴムなどを用いることができ、また、物性面では機械的特性の良好なものを選択することが好ましい。なお、後述するインクジェット法による中空部材の製造が容易な点からはシリコーンゴムを用いることが好ましい。
ここで、シリコーンゴムとしては、例えばビニルメチルシリコーンゴム、メチルシリコーンゴム、フェニルメチルシリコーンゴム、フロロシリコーンゴム等が利用できる。またフッ素ゴムとしては、フッ化ビニリデン系ゴム、四フッ化エチレン/プロピレン系ゴム、四フッ化エチレン/パーフロロメチルビニルエーテルゴム、フォスファゼン系ゴム、フロロポリエーテル、およびその他のフッ素ゴムが利用できる。これらは、それぞれ単独でもまたは2種以上組み合せてもよい。
なお、定着部材を構成する弾性層には、JIS K6253に規定されているタイプAデュロメータ硬さでA5/S以上A50/S以下程度の硬度に加え、耐熱性、圧縮永久歪及び機械的強度に優れることが求められる。それゆえ、この観点からは、弾性材料として付加反応型の液状シリコーンゴムを用いることが好ましい。
また、弾性材料の他に、併用できる成分としては、無機あるいは有機の各種充填剤が挙げられる。
無機充填剤としては、カーボンブラック、酸化チタン、シリカ、炭化ケイ素、タルク、マイカ、カオリン、酸化鉄、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、酸化マグネシウム、黒鉛、窒化ケイ素、窒化ホウ素、酸化鉄、酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム等が挙げられる。また有機充填剤としては、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンスルフィド等が利用できる。
−中空部材の製造方法−
本実施形態の中空部材の製造方法としては、既述した中空構造が形成できるものであれば特に限定されるものではないが、インクジェット法を利用することが特に好ましい。
この場合、中空部材は、基材表面に、液滴を吐出する2以上のノズルが配置されたノズル面を有し、前記ノズル面が前記基材表面に対向するように配置された液滴吐出ヘッドを、前記基材に対して、少なくとも一方向に相対的に移動させながら、前記ノズル面から、マトリックス部材を含む原料分散液を前記基材表面に吐出することにより塗膜を形成する塗膜形成工程を少なくとも経て作製することができる。
ここで、中空構造は、(1)ノズル面に配列された各ノズルから吐出される原料分散液の吐出のタイミングや、(2)基材に対する液滴吐出ヘッドの走査速度・走査方向、(3)原料分散液の組成や粘性、(4)塗膜形成後の乾燥処理や加熱処理条件などを選択することによって制御できる。
なお、これら4つの主要な制御要因のうち、中空構造そのものを形成する上では(1)吐出タイミング制御や、(2)ヘッド走査条件が重要である。
図6は、本実施形態の中空部材をインクジェット法を利用して作製する場合における塗膜形成工程の一例を示す概略模式図であり、図6Aは、1層目(あるいはN層目;但し、Nは1以上の整数を表す)の液滴層の構造の一例を示す模式図であり、図6Bは2層目(あるいはN+1層目)の液滴層の構造の一例を示す模式図である。また、図中、700は液滴吐出ヘッド(図中、不図示)から吐出されることによって基材上に着弾した状態の液滴、710は節部、720は帯状の液滴層、矢印X方向は液滴吐出ヘッドの走査方向、矢印X方向に直交する矢印Y方向は液滴吐出ヘッドのノズル配列方向を表す。
塗膜形成工程においては、基材表面に対して液滴吐出ヘッドを往復走査させながら液滴を吐出することにより、基材の表面に液滴吐出ヘッドから吐出された液滴が着弾し、液滴の層が積み重なることによって塗膜が形成される。ここで図6Aは基材表面の一部を拡大したものであり、液滴吐出ヘッドを走査することにより1層の液滴層が形成された状態を示したものである。
図6Aに示す液滴層は、以下のように形成される。まず、液滴吐出ヘッドを図中X方向に走査させながら液滴をピッチPxの間隔で連続的に吐出する。この際、直前に基板上に着弾した液滴700と矢印X方向において部分的に重なりあうように液滴700が連続的に基板上に着弾し、X方向に周期的に幅が狭くなった節部710を有するように液滴700が一列に矢印X方向に並んだ帯状の液滴層720が形成される。なお、図6Aに示す例では、液滴吐出ヘッドが矢印Y方向にピッチPyの間隔でノズルが複数個配列されているため、矢印X方向に伸びる帯状の液滴層720が、矢印Y方向にノズル数に対応する数だけ形成されることになる。
このようにして個々の液滴700が矢印X方向と矢印Y方向とにより形成される平面上に、隣接する液滴700の中心同士が、矢印X方向にピッチPx、矢印Y方向にピッチPyの間隔を保つように規則的に配列した1層の液滴層が形成される。
ここで、中空部材を作製する場合には、基材表面に着弾して基材方向にほぼ広がった状態の液滴700の直径が、ピッチPy未満となるように矢印Y方向のノズル間距離や、液滴突出ヘッドから吐出される液滴1滴当たりの原料分散液の液滴量や液滴吐出速度、原料分散液の粘度等が選択される。これにより互いに隣接する一の帯状の液滴層720と他の帯状の液滴層720と間には、少なくとも距離D(=Py−液滴700の直径)の間隙が形成されることになる。そして、この帯状の液滴層720間に形成される矢印X方向に伸びる間隙部分が、最終的に中空部材中の細孔を形成することになる。
図6Aに示すように1層の液滴層の形成が完了したら、次に、基材に対して液滴吐出ヘッドの矢印Y方向におけるノズル位置(図中、不図示)を矢印Y方向に対して、Py/2だけシフトさせ、この状態で再び図6Aに示した場合と同様にして液滴吐出ヘッドから液滴を吐出しながら矢印X方向に液滴吐出ヘッドを走査する。
これにより、図6Bに示すように1層目の液滴層(図中点線で示される液滴700からなる層で、図6Aに示した液滴層に対応する層)上に、2層目の液滴層(図中実線で示される液滴700からなる層)が形成される。
そして、2層目の液滴層上に、基材に対して液滴吐出ヘッドの矢印Y方向におけるノズル位置(図中、不図示)を矢印Y方向に対して、Py/2だけシフトさせて、この状態で1層目や2層目の場合と同様に液滴吐出ヘッドから液滴を吐出しながら矢印X方向に液滴吐出ヘッドを走査すると図6Bに示す2層目の液滴層上に図6Aに示す液滴層が3層目として形成される。
このように図6Aに示すプロセスと図6Bに示すプロセスとを交互に繰り返すことにより液滴層を積み上げて塗膜を形成する。
このようにして形成された塗膜の断面構造を図7に示す。図7は、インクジェット法により基材上に形成された塗膜の断面構造の一例を示す模式断面図であり、図中、700は液滴、730は中空部材における細孔と成り得る中空部、矢印Y方向は図6に示したものと同様に液滴吐出ヘッドのノズル配列方向、矢印Y方向と直交する矢印Z方向は塗膜の膜厚方向、符号Aで示される矢印Y方向と平行な方向の液滴700から構成される層は、図6Aに示される液滴層(あるいは図6Bにおいて点線で示される液滴層)に対応する層(以下、「A層」と称す)、符号Bで示される矢印Y方向と平行な方向の液滴700から構成される層は、図6Bに実線で示される液滴層に対応する層(以下、「B層」と称す)を表す。
図7に示されるように、塗膜は、A層とB層とが膜厚方向に交互に積層して形成されており、B層中の隣り合う2つの液滴700と、これら2つの液滴700に対して膜厚方向の上側と下側とでそれぞれ接するA層を構成する2つの液滴700とで囲まれるように中空部730が形成されている。この中空部730は、矢印X方向(図7中、紙面と垂直な方向)に連続的に伸びており、塗膜を乾燥、加熱処理等する後工程を経て中空部材とした際に、細孔となりえる部分である。
なお、図6、図7に示す例では、個々の中空部730同士は互いに独立した状態であるが、A層やB層の形成に際して、任意の帯状の液滴層720の形成に際して、液滴吐出ヘッドからの連続的な液滴の吐出を、間欠的に中止すれば隣接する中空部730同士を連結して分岐構造を形成すれば、第1の本実施形態の中空部材となりえる塗膜を形成できる。これに加えて更に、距離D(=Py−液滴700の直径)を制御すれば第2の本実施形態の中空部材となりえる塗膜も形成できる。
これに対して、距離D(=Py−液滴700の直径)を制御しつつ、上述した液滴吐出を間欠的に中止しなければ、分岐構造を有さない第2の本実施形態の中空部材となりえる塗膜を形成できる。
この場合、図6や図7に一例として示したような塗膜形成工程を経ることにより、図1Bや図2Bに一例として示したように、規則的な中空構造を有する中空部材を得ることもできる。また、この場合の細孔断面の構造は、塗膜を形成する個々の液滴700の形状を比較的維持した状態で後工程処理が完了し中空部材を得た場合には、孔軸方向の断面が図4に例示する構造を有し、孔径方向の断面が図5(C)に例示する構造を有することになる。
以上、図6および図7により、インクジェット法を利用した中空部材の作製プロセスについて説明したが、インクジェット法を利用して作製される中空部材は、図6、図7等に一例として示したように規則性が高く、液滴形状の履歴が反映された断面形状を有する細孔からなる中空構造のみを取り得るものではなく、種々の製造条件を制御することによって所望の中空構造を得ることができる。
例えば、図1や図2に例示したような中空構造の規則性/不規則性や細孔の配向性、細孔の分岐構造やその有無等は、液滴吐出ヘッドから吐出される原料分散液の吐出のタイミングや、基材に対する液滴吐出ヘッドの走査速度・走査方向等を選択することによって制御することができる。また、図3〜図5に例示したような細孔の断面構造や、孔径は、液滴吐出時のピッチや、液滴吐出ヘッドから吐出される液滴の液滴径、原料分散液の組成や粘性、塗膜形成後の乾燥処理や加熱処理条件等などを選択することによって制御することができる。
なお、中空部材は、インクジェット法を利用して作製する場合は、何らかの基材上に形成されるが、その使用に際しては基材と分離して利用することもできるし、基材と一体となった部材として利用することもできる。
次に、定着部材の作製に際して、中空部材からなる弾性層をインクジェット法を利用して形成する場合を例として、中空部材の製造方法についてより詳細に説明する。
この場合、定着部材は、筒状の基材(以下、「筒状支持体」と称す場合がある)の外周面に、液滴を吐出する2以上のノズルが配置されたノズル面を有し、前記ノズル面が前記筒状支持体外周面に対向するように配置された液滴吐出ヘッドを、前記筒状支持体に対して、前記筒状支持体の幅方向又は周方向から選択される少なくとも一方向に相対的に移動させながら、前記ノズル面から、弾性層形成用の分散液を前記筒状支持体外周面に吐出することにより塗膜を形成する塗膜形成工程を少なくとも経て製造される。
なお、この塗膜形成工程の後に、塗膜を乾燥、加熱処理して弾性層を形成する。この後、更に必要に応じて表面層を形成することもできる。また、塗膜を乾燥させた後に、表面層となる塗膜を更に形成し、乾燥・加熱処理して弾性層と表面層とを同時に形成することもできる。また、必要であればその他の中間層を設けることも可能である。
以下、定着部材の製造方法についてより詳細に説明する。まず、定着部材の製造に際しては、インクジェット法により中空部材からなる弾性層を形成するために筒状支持体を準備する。なお、筒状支持体の外周面は、予めプライマー処理されていてもよい。
上述した弾性層を形成するために用いられる筒状支持体としては、例えば、芯金等のロール状の部材や、アルミニウム等の金属製の円筒部材と、その外周面を被覆するように固定された耐熱性樹脂等を主成分として構成される無端ベルトとからなる部材などが利用できる。
定着部材の弾性層は、上述したように、筒状支持体の外周面に対して、インクジェット法を利用して、弾性層形成用塗布液(中空部材形成用の原料分散液)を塗布して塗膜を形成する塗膜形成工程を少なくとも経て形成される。なお、通常は塗膜形成工程を実施後に、必要に応じて塗膜を乾燥させる乾燥工程が実施され、最後に未乾燥または乾燥処理された塗膜を焼成する焼成工程を経て弾性層が形成される。
ここで、乾燥工程や焼成工程における処理時間や処理温度は、使用する弾性層形成用塗布液の組成に応じて選択できる。
インクジェット方式における噴射方式としては、連続型、間欠型(ピエゾ(圧電素子)、サーマル、静電型など)など一般的な方式が用いられるが、ピエゾを用いた連続型および間欠型(以下、「ピエゾ型」という場合もある)が好ましく、薄膜を形成し、廃液量を低減する観点から、ピエゾを用いた間欠型がより好ましい。
以下の図8〜図12は、円筒状支持体(断面が円形状の筒状支持体)の軸方法に対して走査可能な走査型の液滴吐出ヘッドを用いたインクジェット法により円筒状支持体表面に弾性層を形成する方法の一例を説明する概略模式図であるが、本例において、弾性層を形成する方法は、これらに限定されることはない。
走査型とは、筒状支持体の幅方向(円筒状支持体の場合は軸方向)に並行に液滴吐出ヘッドを走査しながら液滴を吐出することにより塗布を行う方式である。
図8は、通常のインクジェットプリンタの液滴吐出ヘッドを用いたインクジェット方式の一例であり、この液滴吐出ヘッドは、長手方向に複数のノズルを有する。図中に、また、塗布液の供給源として簡便なシリンジが液滴吐出ヘッドに接続されている。
また、円筒状支持体がその軸方向が水平となるように設置された場合は、通常円筒状支持体を回転させながら塗布が行われる。塗膜の品質に影響を与える噴射の解像度は走査方向とノズル列の角度により決定される。
液滴の噴射の解像度(1インチ内の塗布液の画素数)は、原則としては、液滴層を形成する際に図6や図7に示すように、液滴と液滴との間に間隙を形成して、連続する中空部を形成するように調整される必要がある。但し、中空部の形成に実質的に何ら関与しない液滴層(例えば、筒状支持体表面に直接接触する液滴層や、塗膜の最上層となる液滴層など)を形成する場合には図14に示すように、液滴が着弾したあとに液滴が拡がって隣接する液滴どうしが接触するように調整することもできる。
但し、前述したようにピエゾ型のインクジェット液滴吐出ヘッドではそのノズル間距離を短くすることが難しいため、円筒状支持体に対する液滴吐出ヘッドの走査方向や走査ピッチが固定されている場合は、個々の液滴層を形成する場合に液滴間のピッチの調整を柔軟に制御できなくなる。しかし、図15(A)(B)のように液滴吐出ヘッドを円筒状支持体の軸に対して傾斜させて設置すれば、液滴間のピッチの調整を容易に行うことができる。
また、図15(A)に示すように、吐出した液滴が円筒状支持体表面に着弾して点線で示す範囲までしか広がらず、液滴と液滴との間に間隙ができる。この場合には、液滴吐出ヘッドの走査速度を遅くしたり、単位時間当たりに吐出する液滴数を多くすることにより、着弾した液滴が、液滴吐出ヘッドの走査方向に対して部分的に重なり合せるように液滴吐出ヘッドから液滴を吐出することで、液滴吐出ヘッドの走査方向に平行な帯状の液滴層を形成することができる。
一方、図15(A)に示すように、吐出した液滴が円筒状支持体表面に着弾して実線で示す範囲まで広がり、液滴と液滴とが部分的に重なり合う場合には、液滴吐出ヘッドの走査方向に直交する帯状の液滴層が形成できる。この場合には、液滴吐出ヘッドの走査速度を速くしたり、単位時間当たりに吐出する液滴数を少なくすることにより、着弾した液滴が、液滴吐出ヘッドの走査方向に対して間隙を形成するように液滴吐出ヘッドから液滴を吐出する。これにより、液滴吐出ヘッドの走査方向に直交する帯状の液滴層間に間隙を形成することができる。
なお、いずれの場合においても、液滴吐出ヘッドのいずれかのノズルにおいて間欠的に液滴の吐出を中止させることにより、弾性層中に形成される細孔に分岐構造を付与することができる。
また、上述した液滴吐出パターンでは基本的に一方向に直線状に伸びる細孔が形成されることになるが、液滴吐出ヘッドの個々のノズルから吐出される液滴の吐出タイミングや走査速度等を制御して、図1Aや図2Aに一例として示したように不規則な中空構造を形成することも勿論可能である。
次に、図15に示した状態で、円筒状支持体を回転させ、ノズルから塗布液を噴射し、図16に示すように、円筒状支持体の一方の端部から反対側の端部まで液滴吐出ヘッドを水平に移動させる。なお、ノズル面に一列のノズル列しか有さない液滴吐出ヘッドを1つのみ用いる場合には、弾性層中に中空構造を形成するために、重ね塗りを行う必要がある。
具体的には、円筒状支持体を水平に回転できる装置に装着し、円筒状支持体に液滴が噴射するように、弾性層形成用の塗布液を充填した液滴吐出ヘッドを配置する。噴射対象が直径の小さい円筒であるため、液滴吐出ヘッドにあるノズルのうち、塗布液を円筒に着弾させないノズルについては、塞いでおくことが廃液量を減らす観点から好ましい。
なお、図8に示す例では、被塗布部材として円筒状支持体を用いているが、定着部材として定着ベルトを作製する場合は、無端ベルト状の基材を、いずれか一方が駆動ロールとして機能する2本のロールで張架して、無端ベルト状の基材外周面が平面状となった部分に対向するように液滴吐出ヘッドを配置して弾性層を形成することもできる。
図9は、図8に示す液滴吐出ヘッドを円筒状支持体の軸方向に対して複数連結した状態で並べマトリクス状にした一体型ヘッドを用いたインクジェット法により円筒状支持体表面に弾性層を形成する方法の一例を示す概略模式図である。この場合は、一体型ヘッドから一度に大量の塗布液の吐出が可能であり、塗布範囲が広がることより高速塗布が可能となる。また、噴射するノズルを選択したり、ノズルの大きさの異なるものをマトリクス配列したりすることにより吐出量制御が容易になる。なお、この場合は、一体型ヘッドを構成する各々の液滴吐出ヘッド単位で、1種類の塗布液が吐出できる。
図10は円筒状支持体の円周面を取り囲むように配置された円筒型の液滴吐出ヘッドを用いたインクジェット法により円筒状支持体表面に弾性層を形成する方法の一例を示す概略模式図である。この円筒型の液滴吐出ヘッドは内周面の円周方向に通常一定間隔に吐出用のノズルが形成されている。円筒型の液滴吐出ヘッドを使うことにより、周方向での膜厚のムラがより少なくなり、螺旋縞の目立たない成膜が可能となる。
図11は、図10に示す弾性層の形成方法において、円筒状支持体をその軸方向が鉛直方向となるように配置した場合について示す概略模式図である。なお、鉛直方向とは、90°のみを意味するものではなく、90°から角度を有していてもよい。
なお、図10,図11中では、1つの円筒型の液滴吐出ヘッドを用いる場合について示したものであるが、この場合は、円筒型の液滴吐出ヘッドの長手方向に直線状に配置された1列以上のノズル群を備えたものが用いられる。
あるいは、円筒状支持体の軸方向に対して独立に走査可能な2つ以上の円筒型の液滴吐出ヘッドが配置されてもよい。
また、図9に例示した場合と同様に円筒状支持体の軸方向に対して複数の連結された円筒型の液滴吐出ヘッドが配置されていてもよい。
図13は、液滴吐出ヘッドが円筒状支持体の軸方向長さと同等の又はそれ以上の幅を有し、円筒状支持体表面を軸方向全体に渡って一度に塗布するインクジェット法により弾性層を形成する方法の一例を示す概略模式図である。
図13に示されるように円筒状支持体が、その軸方向が水平となるように設置された場合は、通常円筒状支持体を回転させながら塗布が行われる。図13に示す例では、比較的短時間のうちに塗膜を形成することが容易である。
なお、インクジェット法により弾性層を形成する場合、塗布液の粘度は10mPa.s以上200mPa.s以下が好ましく、30mPa.s以上150mPa.s以下がより好ましい。なお、当該粘度の測定は、25℃の環境下で、E型粘度計(東機産業製:RE550L、標準コーンローター、回転速度60rpm)で測定したときの値をいう。
なお、塗布液の粘度は、塗布液中に含まれる固形分の濃度や、溶媒の種類を選択することにより調整できる。
溶媒の大気放出を減らす目的で、高濃度の塗布液すなわち粘度の高い塗布液を用いる場合には、塗布液を加圧する連続型のインクジェット液滴吐出ヘッドが適している。しかし間欠型でも市販のバーコードプリンタで採用されている塗布液の加熱手段を液滴吐出ヘッドに設け、噴射部での粘度を下げることにより高粘度材料の使用が可能となる。塗布液の選択範囲が狭まるが、静電方式で間欠型のインクジェット液滴吐出ヘッドは高粘度の塗布液に対応できる。
噴射される液滴1滴当たりの液量は、生産性の観点から、1pl以上500pl以下であることが好ましく、5pl以上450pl以下であることがより好ましく、10pl以上400pl以下であることが更に好ましい。
なお、液滴1滴当たりの液量は、オフライン可視化評価にて測定したものとする。噴射タイミングと同期させてLEDを液滴に向けて点灯し、CCDカメラにて画像を観察して得られた液滴径と、塗布液の密度とから求めることができる。
なお、ここでは弾性層のみを対象として、インクジェット方式による層の形成方法を説明しているが、弾性層の形成にインクジェット法を用いてもよい。但し、この場合には、着弾した液滴が図14に示すように互いに重なりながら広がるように、液滴吐出条件等を選択する必要がある。
<定着部材>
次に、本実施形態の定着部材について説明する。本実施形態の定着部材は、筒状の基材と、該筒状の基材の上に設けられた本実施形態の中空部材からなる弾性層とを少なくとも有するものであれば特に限定されないが、弾性層上に表面層(「離型層」と称する場合もある)が設けられていてもよい。さらに、必要に応じて、基材および弾性層間に中間層が設けられていてもよい。また、定着部材はロール状であってもよく、無端ベルト状であってもよい。
なお、弾性層として用いられる中空部材としては、既述したように、細孔が部材の表面へと通じていることが特に好ましい。この場合、定着部材が定着時に加熱されても、定着部材の寸法変化を抑制できるため、貫通孔型中空部材を除く従来の中空部材を弾性層として用いた場合と比較して、紙シワが発生するのをより確実に抑制することができる。
さらに、弾性層として用いられる中空部材が第2の本実施形態の中空部材である場合には、従来の貫通孔型中空部材と比べて、表面硬度ムラを確実に小さくできるため、画像のグロスムラが発生することも抑制できる。
本実施形態の定着部材の各部材を構成する材料・部材は、弾性層を構成する部材については既述した本実施形態の中空部材が用いられるが、基材や、表面層(離型層)については以下に説明する材料・部材が用いられることが好ましい。
−基材−
本実施形態の定着部材がロール状の部材(以下、「定着ロール」と称す場合がある)である場合、これを構成する筒状の基材としては、公知の定着ロール用の基材が利用でき、例えば、熱伝導性の良好なアルミニウムや銅、ニッケル等の金属、ステンレスやニッケル合金等の合金などの金属や、セラミックス等から構成される円筒管(円筒状芯体)が利用でき、外径及び肉厚はその使用目的により選択される。
例えば、定着装置として使用する際の所望の接触部の幅に基づいて外径を決定することができる。また、例えば、定着ロールを、加熱部材として使用する際には、円筒状芯体の肉厚は加熱部材のウォームアップタイム短縮の観点から、定着装置として使用する際の接触部に加えられる押圧力に耐えうる範囲で最低とすることが望ましい。
なお、定着ロールの作製に際しては、基材外周面に形成する層との接着性を向上させるために、基材の外周面に種々の表面処理を施しておくこともできる。この表面処理としては特に限定されないが、例えば、有機溶媒を用いた脱脂処理や、サンドブラスト等による粗面化処理、プライマー処理などが挙げられる。
本実施形態の定着部材が無端ベルト状の部材(以下、「定着ベルト」または「無端ベルト」と称す場合がある)である場合、無端ベルトを張架する支持ロールや圧力ロールを巻回するのに適した強度を有するものであればよく、例えば、高分子フィルム、金属フィルム、セラミックスフィルム、ガラス繊維フィルムあるいはこれらいずれか2種以上を複合して得られた複合化フィルムを使用することができる。
上記の高分子フィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート等のポリエステル類、ポリカーボネイト類、ポリイミド類、ポリフッ化ビニルやポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系ポリマー類、ナイロン等のポリアミド類、ポリスチレンやポリアクリル類、ポリエチレンやポリプロピレン類、ポリ酢酸セルロース類等のセルロース変性物類、ポリサルホン類、ポリキシリレン類、ポリアセタール類等のシート状あるいはクロス状成形物等を挙げることができ、更には汎用高分子シートにフッ素系、シリコーン系、架橋性ポリマー等の耐熱樹脂層を積層して得られた高分子複合化物を挙げることができる。これらの中でも、無端ベルトは、耐熱性樹脂からなることが好適である。
また、上述した高分子フィルムは、金属、セラミックス等で形成される耐熱層と複合化してもよく、また、内部に粒状、針状、繊維状等のカーボンブラック、グラファイト、アルミナ、シリコーン、カーバイト、ボロンナイトライド等の熱伝導性向上剤を添加したり、必要に応じて内部もしくは表面に導電化剤、帯電防止剤、剥離剤、補強剤等の添加剤を添加、もしくは適用してもよい。
更に、上記の高分子フィルムの他に、例えばコンデンサー紙、グラシン紙等の紙類や、セラミックス系フィルムや、ガラス繊維でクロス状に成形したガラス繊維フィルムや、ステンレスフィルムや、ニッケルフィルム等の金属フィルムが使用できる。
−表面層(離型層)−
弾性層の表面には、必要に応じて表面層が設けられる。ここで、表面層の形成に際して、表面層と、この層の基材側に設けられる層との接着力を向上させるために、予め、表面層を形成する部材の表面にプライマー層を塗布しておいてもよい。
プライマー層を構成する材料としては、例えば、プライマー:902YL(三井デュポンフロロケミカル社製)、PR990CL (三井デュポンフロロケミカル社製)、DY39−051A/B(東レ・ダウコーニング社製)、DY39−125A/B(東レ・ダウコーニング社製)、プライマ―No.101(信越化学社製)等が挙げられる。プライマー層の厚みは、0.05μm以上2.0μm以下が好ましく、0.1μm以上0.5μm以下がさらに好ましい。
表面層は、フッ素を含む材料から構成され、フッ素を含む材料としては、フッ素樹脂やフッ素ゴムなどのフッ素系材料が用いられ、必要に応じてフィラーなどのその他の添加剤を含むものであってもよいが、トナーに対する離型性に優れることからフッ素樹脂を主成分(フッ素を含む材料中のフッ素樹脂の含有量が95質量%以上100質量%以下の範囲)とすることが好ましい。また、フッ素樹脂は弾性材料でないため、定着部材が弾性層を有する場合に、フッ素樹脂を用いることが特に好適である。
フッ素樹脂としては、柔軟性に優れ、弾性層としてシリコーンゴムを用いた場合に、表面層形成時の焼成温度にシリコーンゴムが耐えられる観点から、テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合体であるテトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(以下、「PFA」と称す場合がある)を用いることが好ましい。
なお、表面層には、必要に応じてフッ素樹脂やフッ素ゴムなどのフッ素系材料以外にフィラーなどの各種の添加剤が含まれていてもよい。
表面層に配合されるフィラーとしては、金属酸化物粒子、ケイ酸塩鉱物、カーボンブラック、窒素化合物及びマイカからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
その中でも、例えばBaSO、ゼオライト、酸化ケイ素、酸化スズ、酸化銅、酸化鉄、酸化ジルコニウム、ITO(錫ドープ酸化インジウム)、窒化珪素、窒化ホウ素、窒化チタン及びマイカからなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることがより好ましく、更に、BaSO、ゼオライト及びマイカからなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることが更に好ましい。さらに、BaSOあるいはゼオライトが特に好ましく、BaSOが最も好ましい。
フィラーの配合割合は特に限定されるものではないが、フッ素系材料としてフッ素樹脂を用いる場合は、フッ素樹脂100質量部当たり1質量部以上30質量部以下が好ましく、1質量部以上20質量部以下がより好ましい。
フィラーの配合割合が、フッ素樹脂100質量部当たり1質量部より低くなるとフッ素樹脂のもつ高離型性により、トナーや記録媒体の離型性には非常に優れるものの、耐摩耗性が劣化する傾向にあるため、表面層表面の磨耗や傷などが発生しやすくなり定着装置の故障が発生しやすくなることがある。
また、フィラーの配合割合が、フッ素樹脂100質量部当たり30質量部より多くなると、表面層中においてフィラーの均一な分散状態が得られ難く、表面層の膜厚むらを招いたり、フッ素樹脂のもつ高離型性が低下してトナーオフセットが発生しやすくなる場合がある。また、表面層表面の粗さが低下して、形成される画像の光沢度が低下したり、画像荒れなどが発生する場合もある。
また、フィラーとして、導電性粒子(体積抵抗率10Ωcm以下の粒子)を用いることもできる。画像形成装置の構成によっては、この装置に搭載される定着装置に用いられる定着部材の表面に導電性(表面抵抗率1×10Ω以下)を付与することが要求される場合があるためである、
この場合は、表面層に配合されるフィラーとして導電性粒子を用いることができる。導電性粒子としては、上述した金属酸化物粒子、ケイ酸塩鉱物、カーボンブラック、窒素化合物、マイカ以外の粒子としてチタン酸化物などを用いることができる。
フィラーとして、導電性粒子を用い、フッ素系材料としてフッ素樹脂を用いる場合は、導電性の付与や、フッ素樹脂による離型性の確保、また、導電性粒子の分散性確保の観点から、表面層の形成に用いられるフッ素樹100質量部当たり、1質量部以上10質量部以下が好適である。
表面層表面の表面粗さ(中心線平均粗さRa)としては特に限定されるものではないが、1.0μm以下であることが好ましく、0.5μm以下であることがより好ましい。表面粗さが、1.0μmを超えると画像の粒状性が不均一となる場合がある。
なお、表面粗さは、円周方向に対して定着部材を2等分する2箇所の位置における幅方向について、幅方向を10等分する9箇所の位置における表面粗さを合計18箇所測定し、上記18箇所の測定点における平均値として求めた。
ここで各測定点における表面粗さは、JIS B0601-1994年に規定された方法により測定することができる。具体的には接触式表面粗さ測定機サーフコム1400A(東京精密社製)にて、測定長さ2.5mmで測定した。例えば、上記各箇所における測定条件は、評価長さLn=2.5mm、基準長さL=0.8mm、カットオフ値=0.8mmで測定した。
なお、表面層は、浸漬塗布法、リングスロットダイ法、ノズルから液流を連続的に流しスパイラル状に成膜する方法、スプレーコーティング法等の塗膜形成方法を利用して弾性層上に塗膜を形成し、この塗膜を乾燥、加熱処理する方法や、基材上に弾性層が形成された筒状部材の外周面を、表面層を構成する材料からなる樹脂チューブで被覆した後に加熱処理する等の公知の方法により形成することができる。また、上述した塗膜形成方法として、浸漬塗布法等の代わりにインクジェット法を用いてもよい。この場合は、中空構造が形成されないように各種成膜条件を選択する。
<定着装置>
本実施形態の定着装置は、加熱部材と、該加熱部材に接触して配置される加圧部材とを少なくとも備え、前記加熱部材および前記加圧部材から選択される少なくとも一方の部材として、本実施形態の定着部材を用いたものである。
この定着装置では、加熱部材と加圧部材との接触部に、未定着トナー像が形成された記録媒体を通過させることにより、未定着トナー像を記録媒体に定着させる。
なお、加熱部材は、この加熱部材の内部又は外部に配置されたヒーターランプや電磁誘導加熱装置などの加熱手段によって加熱される。また、加熱部材および加圧部材のうち、一方の部材が駆動側の定着部材であり、他方の部材が、前記駆動側の定着部材に従動する従動側の定着部材であり、駆動側の定着部材は、モーターなどの駆動源により、必要に応じて、ギヤやシャフトなどの駆動力伝達部材を介して駆動させられるものである。また、接触部は、加熱部材と加圧部材とが互いに押圧するように接触して対向配置されることにより形成される。
なお、定着装置に用いられる一対の定着部材のうち、いずれか一方の定着部材のみが本実施形態の定着部材からなる場合には、他方の定着部材は従来公知の定着部材であれば特に制限なく利用できる。
また、定着装置に用いられる一対の定着部材のうちいずれか一方の定着部材が、無端ベルトである場合、この無端ベルトに対抗配置される定着部材に対して無端ベルトの外周面を押し当てるように無端ベルトの内周面側に押圧部材(パッド)を配置してもよい。
以下、定着装置の具体例を、図面を参照しつつ説明するが、本発明は下記実施形態のみに限定されるものではない。
また、以下の図面に示される各実施態様の説明においては、特に言及していないが、一対の定着部材のうち、少なくともいずれか一方に本実施形態の定着部材が用いられる(但し、弾性層を有さない定着部材が用いられている場合、この定着部材としては、本実施形態の定着部材は用いられない)。
図17は、第一実施形態に係る定着装置である加熱ロール型定着装置の概略構成図である。図17に示す加熱ロール型定着装置においては、その主要部を構成する一対の定着部材である加熱ロール1及び加圧ロール2が対向して設けられ、接触することにより接触部を形成している。
加熱ロール1は、内部にヒーターランプなどの加熱源1dを有する円筒状芯体1a外周面上に弾性層1b及び離型層1cが順次形成されたものである。加熱ロール1の外周には、加熱ロール1表面をクリーニングするためのクリーニング装置5と、加熱ロール1表面に補助的な加熱を行う外部加熱装置6と、定着後の記録媒体3を剥離するための剥離爪7と、加熱ロール1表面の温度を制御するための温度センサー8が設けられている。
加圧ロール2は、内部にヒーターランプなどの加熱源2dを有する円筒状芯体2aに弾性層2bおよび離型層2cが順次形成されてなる。加圧ロール2の外周には、定着後の記録媒体3を剥離するための剥離爪7と、加圧ロール2表面の温度を制御するための温度センサー8が設けられている。
加熱ロール1と加圧ロール2とが形成する接触部に、未定着トナー4が形成された記録媒体3を通過させることで、未定着トナー4を定着させることができる。
ここで、外部加熱装置6、加圧ロール2内部の加熱源2dは必要に応じて設ければよく、設けられない場合もある
図18は、第二実施形態に係る定着装置である加熱ロール・ベルト型定着装置の概略構成図である。第二実施形態に係る加熱ロール・ベルト型定着装置は、加熱ロールと、加熱ロールに接触する加圧ベルトと、を含む一対の定着ユニットを有し、加熱ロールと加圧ベルトとにより形成される接触部に未定着トナー像を保持する記録媒体を通過させ、熱および圧力によって定着を行なう装置である。
図18に示す加熱ロール・ベルト型定着装置においては、その主要部を構成する一対の定着部材である加熱ロール1および加圧ベルト13が対向して設けられ、接触することにより接触部を形成している。
加圧ベルト13はその周内部に配置された加圧パッド12(加圧部材)と加圧ロール11(加圧部材)とにより加熱ロール1に押圧され、接触して接触部が形成されている。加圧パッド12(加圧部材)は加圧ベルト13との接触部(加圧部)の形状がパッド状であり、更に、該接触部ないしその近傍がゴム状の弾性部を含むものであってもよい。
なお、本願明細書において、「接触部の形状がパッド状」とは、加圧パッド12が、加圧ベルト13に対して接触する部分の形状が、加熱ロール1表面と、加圧ロール11と2本の支持ロール10とにより張架された加圧ベルト13の内周面とが隙間無く密着する形状をいう。また、「接触部ないしその近傍」という場合の近傍とは、加圧パッド12の前記接触部に対し、弾性部により弾性を付与し得る程度の部分を差し、一概には言えないものの、前記接触部及び接触部から垂直方向に10mm迄の範囲の加圧パッド12をいう。更に、「該接触部ないしその近傍がゴム状の弾性部を含む」とは、接触部ないしその近傍の少なくとも一部が弾性を有する材料からなることをいう。ゴム状弾性部は、シリコーンゴムやフッ素ゴム等に代表される耐熱性ゴムをいう。
加圧パッド12は、記録媒体の進行方向に沿って、異なる硬度の複数の加圧部を有していてもよい。この場合、例えば、片方がゴム状弾性部材からなる加圧部と、もう片方が金属等の硬い圧力付与部材からなる加圧部と、で構成される場合が多く好適である。また、加圧パッド12は、異なる硬度の複数の加圧部で構成される場合、接触部領域の圧力は記録媒体突入側より記録媒体排出側が高くなるほうが、記録媒体(特に薄い記録媒体)の剥離性が向上され好適である。例えば、加圧パッド12における記録媒体突入側の加圧部をゴム状弾性部材から構成させ、記録媒体排出側の加圧部を金属等の硬い圧力付与部材から構成させることで、好適に、接触部領域の圧力を記録媒体突入側より記録媒体排出側が高くなるようにさせることができる。
加圧パッド12と加圧ベルト13内面との摺動性を向上させる為に、耐熱性樹脂やフッ素樹脂で構成されたシートを摺動シート介して、加圧パッド12を配置してもよい。
加熱ロール1は、内部に加熱源1dを有する円筒状芯体1aに弾性層1bおよび離型層1eが順次形成されて構成されている。
加圧ベルト13は、2本の支持ロール10と1本の加圧ロール11とにより張架されており、支持ロール10の一方は内部に加熱源2dを有する。4は、普通紙等の記録媒体3上に形成された未定着トナー像である。
加熱ロール1の周辺には、ロール表面をクリーニングするためのクリーニング装置5、加熱ロール1を表面から加熱するための外部加熱装置6、定着後の用紙を剥離するための剥離爪7、加熱ロール1表面の温度を制御するための温度センサー8が設けられている。
図18に示す定着装置では、未定着トナー像4を表面に保持する記録媒体3が、矢印A方向に、不図示の搬送手段及び加圧ベルト13により搬送されて、矢印B方向に回転駆動される加熱ロール1と、加圧ベルト13とが接触し形成された接触部領域に挿通される。この際、記録媒体3の未定着トナー像4が形成された面と、加熱ロール1の表面とが、向き合うように記録媒体3が挿通される。この接触部領域を記録媒体3が通過した際に、熱及び圧力が記録媒体3に加えられることにより、未定着トナー像4が、記録媒体3に定着される。定着後の記録媒体は接触部領域を通過後、剥離爪7により加熱ロール1から剥離され、加熱ロール・ベルト型定着装置から排出される。このようにして定着処理がなされる。
図19は、第二実施形態の変形例であるフリーベルト型定着装置の概略構成図である。図19に示すフリーベルト型定着装置は、加熱ロール・ベルト型定着装置において、より一層の小型化、省エネ化と高速化の両立を狙った装置であり、ベルトを張架する為の支持ロールや加圧ローラをもたず、ベルト走行ガイド23に沿ってガイドされ、加熱ロール20からの駆動力を受けることで加圧ベルト21を従動させており、このベルト型定着装置は、支持ロールや加圧ロールをもつタイプ(図18に示す定着装置)と区別する為に、フリーベルト型定着装置と呼ばれる。
図19に示すフリーベルト型定着装置においては、その主要部を構成する一対の定着部材である加熱ロール20および加圧ベルト21が対向して設けられ、接触することにより接触部を形成している。
加圧ベルト21は、その周内部に配置された加圧パッド22(加圧部材)により加熱ロール20に押圧され、接触して接触部が形成されつつ上述のようにベルト走行ガイド23に沿ってガイドされ、加熱ロール20からの駆動力を受けることで従動される。
加圧パッド22(加圧部材)は、記録媒体の進行方向に沿って、異なる硬度の2つの加圧部22a、22bを有する。加圧パッド22における記録媒体突入側の加圧部22aをゴム状弾性部材から構成させ、記録媒体排出側の加圧部22bを金属等の硬い圧力付与部材から構成させ、接触部領域の圧力を記録媒体突入側より記録媒体排出側が高くさせている。この構成により、記録媒体(特に薄い記録媒体)の剥離性が向上される。加圧部22a、22bは、ホルダ22cにより支持され、テフロン(登録商標)を含むガラス繊維シートやフッ素樹脂シートなどの低摩擦層22dを介して加圧ベルト21内周面から加熱ロール20を押圧している。
加熱ロール20は、内部に加熱源24を有する円筒状芯体20aに弾性層20bおよび離型層20cが順次形成されて構成されている。
加熱ロール20の周辺には、定着後の用紙を剥離するための剥離ブレード28、ロール表面の温度を制御するための温度センサー25が設けられている。
図19に示す定着装置では、図18に示す定着装置と同様に、未定着トナー像27を表面に保持する記録媒体26が、矢印A方向に、不図示の搬送手段により搬送されて、矢印B方向に回転駆動される加熱ロール20と、加圧ベルト21とが接触し形成された接触部領域に挿通される。この際、記録媒体26の未定着トナー像27が形成された面と、加熱ロール20の表面とが、向き合うように記録媒体26が挿通される。この接触部領域を記録媒体26が通過した際に、熱及び圧力が記録媒体26に加えられることにより、未定着トナー像27が、記録媒体26に定着される。定着後の記録媒体は接触部領域を通過後、剥離ブレード28により加熱ロール20から剥離され、フリーベルト型定着装置から排出される。このようにして定着処理が成される。
加熱ロール・ベルト型定着装置において、加熱ロールと加圧ベルトとにより形成される接触部に、未定着トナー像を保持する記録媒体が通過する時間(接触部通過時間)は、0.030秒以上であることが望ましい。この接触部通過時間が0.030秒より小さい場合、良好な定着性と、紙しわやカールの発生防止との両立が困難になる為、その分定着温度を上げる必要があり、エネルギーの浪費、部品の耐久性低下、装置の温昇を招く場合がある。なお、記録媒体が接触部を通過する時間の上限は特に限定されるものではないが、定着処理能力と装置・部材の大きさの兼ね合いから、0.5秒以下が好ましい。
図20は、第三実施形態に係る定着装置である加熱ベルト・ロール型定着装置の概略構成図である。第三実施形態に係る加熱ベルト・ロール型定着装置は、加熱ベルトと加圧ロールとにより形成される接触部に未定着トナー像を保持する記録媒体を通過させ、熱および圧力によって定着を行なう。
図20に示す加熱ベルト・ロール型定着装置において、符号30で示される部材は、耐熱性ベースフィルム(例えばポリイミドフィルム等)の基体上に離型層を形成した加熱ベルトである。この加熱ベルト30に接するように加圧ロール31が配され、加熱ベルト30と加圧ロール31とにより接触部を形成している。加圧ロール31は、基体31a上にシリコーンゴム等による弾性層31bを形成し、さらにその上層に離型層31cを形成したものである。
加熱ベルト30内側には、加圧ロール31と対向する位置に、例えば鉄製の圧力ロール33aと、逆T字型をした圧力印加部材33bと、潤滑剤を含浸させた金属パッド33cとからなる加圧部材33が配され、圧力印加部材33bが圧力ロール33aを介して加熱ベルト30を加圧ロール31に押しつけ、前記接触部に押圧力が加わるようになっている。このとき圧力印加部材33bは、金属パッド33cが圧力ロール33aの内面を滑りながら押圧力を印加している。なお、圧力ロール33aの内面には潤滑性のある耐熱オイルがコーティングされていることが好ましい。
さらに加熱ベルト30の内側には、加熱ベルト30の接触部を加熱するためのヒータランプなどの加熱源32が配されている。
圧力ロール33aの矢印D方向への回転に従動して加熱ベルト30は矢印B方向に回転し、それにつれて加圧ロール31も矢印C方向に従動回転する。未定着トナー像34が形成された記録媒体35は矢印A方向に、上記定着装置の接触部に挿通され、加熱溶融および加圧されトナー像が定着される。
図21は、第四実施形態に係る定着装置である加熱ベルト型定着装置の概略構成図である。第四実施形態に係る加熱ベルト型定着装置は、加熱ベルトと加圧ベルトとにより形成される接触部に未定着トナー像を保持する記録媒体を通過させ、熱および圧力によって定着を行なう。
図21に示す加熱ベルト型定着装置において、加熱ベルト40、ヒータランプなどの加熱源42および加圧部材43(圧力ロール43a、圧力印加部材43b及び金属パッド43c)の構成は、図20における定着装置の加熱ベルト30、ヒータランプなどの加熱源32および加圧部材33(圧力ロール33a、圧力印加部材33b及び金属パッド33c)の構成と同一である。
加熱ベルト40に面で接するように加圧ベルト49が配され、加熱ベルト40と加圧ベルト49とにより接触部を形成している。加圧ベルト49は、加熱ベルト40と同様の構成を有する。加圧ベルト49の内側には、加圧部材43と対向する位置にシリコーンゴム等からなる加圧ロール48が配され、前記接触部に押圧力が加わるようになっている。
圧力ロール43aの矢印D方向への回転に従動して加熱ベルト40は矢印B方向に回転し、それにつれて加圧ベルト49も矢印C方向に従動回転する。未定着トナー像44が形成された記録媒体45は矢印A方向に、上記定着装置の接触部に挿通され、加熱溶融および加圧されトナー像が定着される。
<画像形成装置>
次に、本発明の実施形態に係る画像形成装置について説明する。本実施形態の画像形成装置は、定着手段として本実施形態の定着装置を備えたものであれば特に限定されないが、具体的には、潜像保持体と、該潜像保持体表面を帯電する帯電手段と、帯電させられた前記潜像保持体表面に潜像を形成する潜像形成手段と、前記潜像を現像剤により現像してトナー像を形成するトナー像形成手段と、前記トナー像を前記潜像保持体表面から記録媒体表面に転写する転写手段と、前記記録媒体表面に転写されたトナー像を定着する定着手段(すなわち、本実施形態の定着装置)とを少なくとも備えた構成を有するものであることが好ましい。
以下、本実施形態の画像形成装置の一例について、図面を参照して、説明する。
−第一実施形態−
図22は、第一実施形態に係る画像形成装置の概略構成図である。図22に示す画像形成装置200は、潜像保持体207と、潜像保持体207を接触帯電方式により帯電させる帯電装置208と、帯電装置208に接続された電源209と、帯電装置208により帯電される潜像保持体207を露光して静電潜像を形成する露光装置210と、露光装置210により形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像装置211と、現像装置211により形成されたトナー像を被転写媒体に転写する転写装置212と、クリーニング装置213と、除電器214と、定着装置215とを備える。なお、図22には示していないが、トナーを現像装置211に供給するトナー供給装置も備えている。また、本実施形態とは別の実施形態において、除電器214が設けられていなくてもよい。
潜像保持体207と、帯電装置208と、電源209と、露光装置210と、現像装置211と、転写装置212と、クリーニング装置213と、除電器214と、によりトナー像形成部が構成される。
帯電装置208は、潜像保持体207の表面に導電性部材(帯電ロール)を接触させて潜像保持体に電圧を均一に印加し、潜像保持体表面を所定の電位に帯電させるものである。なお、画像形成装置が備える帯電装置は、例えば、コロトロン、スコロトロンによる非接触方式のものでもあってもよい。
これらの導電性部材を用いて潜像保持体207を帯電させる際には、導電性部材に電圧が印加されるが、かかる印加電圧は直流電圧、直流電圧に交流電圧を重畳したもののいずれでもよい。なお、本実施形態において示した帯電ロールの他、帯電ブラシ、帯電フィルム若しくは帯電チューブなどを用いて接触帯電方式による帯電を行ってもよい。また、コロトロン若しくはスコロトロンを用いた非接触方式による帯電を行ってもよい。
露光装置210としては、潜像保持体207の表面に、半導体レーザー、LED(light emitting diode)、液晶シャッター等の光源を所望の像様に露光できる光学系装置等を用いることができる。これらの中でも、非干渉光を露光可能な露光装置を用いると、潜像保持体207を構成する導電性基体と感光層との間での干渉縞を防止することができる。
現像装置211としては、例えば、磁性若しくは非磁性の一成分系現像剤又は二成分系現像剤等を接触又は非接触させて現像する一般的な現像装置を用いて行うことができる。この現像装置としては、上述の機能を有している限り特に制限はなく、目的に応じて選択することができる。
転写装置212としては、ローラー状の接触帯電部材の他、ベルト、フィルム、ゴムブレード等を用いた接触型転写帯電器、あるいはコロナ放電を利用したスコロトロン転写帯電器やコロトロン転写帯電器等が挙げられる。
クリーニング装置213は、トナー像を転写した後の潜像保持体の表面に付着した残存トナーを除去するためのもので、これにより清浄面化された潜像保持体は上記の画像形成プロセスに繰り返し供される。クリーニング装置としては、図示したクリーニングブレードを用いたものの他、ブラシクリーニング、ロールクリーニング等の手法を用いることができるが、これらの中でもクリーニングブレードを用いることが好ましい。また、クリーニングブレードの材質としてはウレタンゴム、ネオプレンゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。
また、画像形成装置は、図22に示したように、除電器(イレーズ光照射装置)214を備える。これにより、潜像保持体が繰り返し使用される場合に、潜像保持体の残留電位が次の画像形成サイクルに持ち込まれる現象が防止されるので、画像品質をより高めることができる。
−第二実施形態−
図23は、第二実施形態に係る画像形成装置の概略構成図である。図23に示す画像形成装置220は中間転写方式の電子写真装置であり、ハウジング400内において4つの潜像保持体401a〜401d(例えば、潜像保持体401aがイエロー、潜像保持体401bがマゼンタ、潜像保持体401cがシアン、潜像保持体401dがブラックの色からなる画像をそれぞれ形成可能である)が中間転写ベルト409に沿って相互に並列に配置されている。
この画像形成装置内には、上記4色に対応した4つのトナー像形成部が設けられ、例えば、イエロー用のトナー像形成部は、潜像保持体401aと、帯電ロール402aと、現像装置404aと、1次転写ロール410aと、クリーニングブレード415aと、から構成される。
ここで、潜像保持体401aは所定の方向(紙面上は反時計回り)に回転可能であり、その回転方向に沿って帯電ロール402a、現像装置404a、1次転写ロール410a、クリーニングブレード415aが配置されている。現像装置404aにはトナーカートリッジ405aに収容されたイエローのトナーが供給可能であり、また、1次転写ロール410aはそれぞれ中間転写ベルト409を介して潜像保持体401aに接触している。
なお、上記の構成は、シアン用、マゼンタ用およびブラック用のトナー像形成部についても同様である。
さらに、ハウジング400内の所定の位置にはレーザー光源(露光装置)403が配置されており、レーザー光源403から出射されたレーザー光を帯電後の潜像保持体401a〜401dの表面に照射することが可能となっている。
これにより、画像形成時に潜像保持体401a〜401dが回転した際に帯電、露光、現像、1次転写、クリーニングが順次行われ、各色のトナー像が中間転写ベルト409上に重ねて転写される。
中間転写ベルト409は駆動ロール406、対向ロール408及び張力付与ロール407により所定の張力をもって支持されており、これらのロールの回転によりたわみを生じることなく回転可能となっている。また、2次転写ロール413は、中間転写ベルト409を介して対向ロール408と接触するように配置されている。対向ロール408と2次転写ロール413とにより挟持されるように配置された中間転写ベルト409は、例えば駆動ロール406の外周面に対向して配置されたクリーニングブレード416により清浄面化された後、次の画像形成プロセスに繰り返し供される。
また、ハウジング400内の所定の位置には記録媒体収納部411が設けられており、記録媒体収納部411内の紙などの記録媒体500が移送ロール412により中間転写ベルト409と2次転写ロール413との接触部、さらには定着装置414に順次移送された後、ハウジング400の外部に排紙される。
なお、上述の説明においては中間転写体として中間転写ベルト409を使用する場合について説明したが、中間転写体は、上記中間転写ベルト409のようにベルト状であってもよく、ドラム状であってもよい。
なお、記録媒体としては、潜像保持体上に形成されたトナー像を、その表面に定着できるものであれば特に制限されず、紙や樹脂フィルム等を用いることができる。
以下に、本発明を実施例を挙げてより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例にのみ限定されるものではない。
<実施例1>
アルミ製(材質CM−10、外径26mm、肉厚1.5mm、長さ400mm)の芯金表面をトルエンで脱脂した後、芯金の両端から幅25mmづつの領域を除く領域にハケで均一な厚みにゴムプライマー(東レ・ダウコーニング社製 DY35−051A/B)を塗布した。続いて、ゴムプライマーを塗布した芯金を30分間乾燥させた後に150℃のオーブン中で30分間加熱を行い、芯金の前処理を行なった。
次に、この芯金の中にヒーターを配置して、芯金外周面の温度が180℃となるように加熱した状態で、芯金のゴムプライマーが処理された領域に対してインクジェット法により、予めA/B液を混合しておいた液状シリコーンゴム(東レ・ダウコーニング社製 DX35−2120A/B)を塗布して、芯金表面に厚み5mmの膜(弾性層)を形成した。
ここで、液状シリコーンゴムの塗布は、ピエゾ方式の連続型の液滴吐出ヘッドを用いて、図9に示すように、芯金を200rpmの速度で回転させながら芯金の軸方向に対して液滴吐出ヘッドを5mm/sの速度で往復走査することにより実施した。また、使用した液滴吐出ヘッドのノズルから吐出される液滴の液滴量は200plとし、図6に示すパターンとなるように液滴吐出のタイミングを制御した(但し、図6中のX軸が芯金軸方向(液滴吐出ヘッド走査方向)であり、Px=120μm、Py=240μmとした)。
なお、芯金外周面に200plの液滴が着弾し硬化した状態のものを光学顕微鏡により観察したところ、扁平形状の粒子となっており、当該粒子の直径(外周面方向の長さ)は約180μm、高さ(外周面と垂直な方向の長さ)は約30μmであった。
従って、これらの値から、形成される細孔の外周面方向の径は約60μm、外周面と垂直な方向の径は約15μmと推定される。
その後、形成された弾性層の表面を、液状シリコーンゴム(東レ・ダウコーニング社製 DX35−2120A/B)とプライマ−(東レ・ダウコーニング社製 DY39−125A/B)とを質量比で1:1の割合で混合した混合液をハケで均一に塗布処理した後、熱収縮PFA Tube(グンゼ製、膜厚30μm)により被覆した。
最後に、外周面に弾性層と熱収縮PFA Tubeが積層された芯金を、オーブンで150℃で30分間熱処理した後、さらにオーブンで200℃で4時間の二次加硫を行い、加圧ロールを得た。
なお、得られた加圧ロールの弾性層の断面を光学顕微鏡で観察したところ、分岐構造が無く、且つ、細孔が一方向に配向した規則的な細孔構造が形成されていることがわかった。
<実施例2>
アルミ製(材質CM−10、外径26mm、肉厚1.5mm、長さ400mm)の芯金表面をトルエンで脱脂した後、芯金の両端から幅25mmづつの領域を除く領域にハケで均一な厚みにゴムプライマー(東レ・ダウコーニング社製 DY35−051A/B)を塗布した。続いて、ゴムプライマーを塗布した芯金を30分間乾燥させた後に150℃のオーブン中で30分間加熱を行い、芯金の前処理を行なった。
次に、この芯金の中にヒーターを配置して、芯金外周面の温度が180℃となるように加熱した状態で、芯金のゴムプライマーが処理された領域に対してインクジェット法により、予めA/B液を混合しておいた液状シリコーンゴム(東レ・ダウコーニング社製 DX35−2120A/B)を塗布して、芯金表面に厚み5mmの膜(弾性層)を形成した。
ここで、液状シリコーンゴムの塗布は、ピエゾ方式の連続型の液滴吐出ヘッドを用いて、図9に示すように、芯金を200rpmの速度で回転させながら芯金の軸方向に対して液滴吐出ヘッドを5mm/sの速度で往復走査することにより実施した。また、使用した液滴吐出ヘッドのノズルから吐出される液滴の液滴量は400plとし、図6に示すパターンとなるように液滴吐出のタイミングを制御した(但し、図6中のX軸が芯金軸方向(液滴吐出ヘッド走査方向)であり、Px=160μm、Py=260μmとした)。
なお、芯金外周面に400plの液滴が着弾し硬化した状態のものを光学顕微鏡により観察したところ、扁平形状の粒子となっており、当該粒子の直径(外周面方向の長さ)は約240μm、高さ(外周面と垂直な方向の長さ)は約35μmであった。
従って、これらの値から、形成される細孔の外周面方向の径は約20μm、外周面と垂直な方向の径は約15μmと推定される。
その後、形成された弾性層の表面を、液状シリコーンゴム(東レ・ダウコーニング社製 DX35−2120A/B)とプライマ−(東レ・ダウコーニング社製 DY39−125A/B)とを質量比で1:1の割合で混合した混合液をハケで均一に塗布処理した後、熱収縮PFA Tube(グンゼ製、膜厚30μm)により被覆した。
最後に、外周面に弾性層と熱収縮PFA Tubeが積層された芯金を、オーブンで150℃で30分間熱処理した後、さらにオーブンで200℃で4時間の二次加硫を行い、加圧ロールを得た。
なお、得られた加圧ロールの弾性層の断面を光学顕微鏡で観察したところ、分岐構造が無く、且つ、細孔が一方向に配向した規則的な細孔構造が形成されていることがわかった。
<比較例1>
ベースコンパウンド(KE903U、信越化学社製)100重量部、加硫剤C−1(信越化学社製)1重量部、加硫剤C−3(信越化学社製)3重量部、発泡剤KE−P−1(信越化学社製)2重量部をロールにて十分に練り合わせ、シリコーンゴムスポンジ用ベースコンパウンドを得た。
また、別途、アルミ製(材質CM−10、外径26mm、肉厚1.5mm、長さ400mm)の芯金表面をトルエンで脱脂した後、芯金の両端から幅25mmづつの領域を除く領域にハケで均一な厚みにゴムプライマー(信越化学社製 No.101)を塗布した。続いて、ゴムプライマーを塗布した芯金を30分間風乾させた後に150℃のオーブン中で30分間加熱を行い、芯金の前処理を行なった。
次に、この芯金と、先に調整しておいたシリコーンゴムスポンジ用ベースコンパウンドを所定の分量に計量した生地とをコンプレッション成型用金型にセットし、プレスにて170℃で15分間成型した後、芯金外周面上に形成される弾性層の厚みが5mmとなるように弾性層を研磨した。
その後、研磨された弾性層の表面を、液状シリコーンゴム(信越化学社製 KE12RTV)とプライマー(信越化学社製 No.101)とを質量比で1:1の割合で混合した混合液をハケで均一に塗布処理した後に、熱収縮PFA Tube(グンゼ製、膜厚30μm)で被覆した。
最後に、外周面に弾性層と熱収縮PFA Tubeが積層された芯金を、オーブンで150℃で30分間熱処理した後、さらにオーブンで200℃で4時間の二次加硫を行い、加圧ロールを得た。
なお、得られた加圧ロールの弾性層の断面を光学顕微鏡で観察したところ、個々独立した気泡跡が形成されていることがわかった。
<比較例2>
弾性層の形成に際して、押し出し成型機に貫通孔が形成できるように貫通孔形成用の部材を用いることにより、芯金軸方向に対して平行且つ連続する直径1mmの貫通孔を弾性層の厚み方向中央部で芯金周方向に対して等間隔に24本受けた以外は、実施例1と同様にして弾性層を形成した。
続いて、比較例1と同様にして、弾性層上に熱収縮PFA Tube(グンゼ製、膜厚30μm)からなる表面層を設けて、加圧ロールを得た。
なお、得られた加圧ロールの弾性層の断面を光学顕微鏡で観察したところ、個々独立した気泡跡に加えて、加圧ロールの軸方向と平行な直径1mmの貫通孔が形成されていることがわかった。
<比較例3>
液状シリコーンゴム(東レ・ダウコーニング社製 DX35−2120A/B)100重量部に対して、樹脂バルーン(松本油脂製薬株式会社製 マツモトマイクロスフィアー F85)3重量部、エチレングリコール4重量部を配合し、室温にてプラネタリーミキサーで10分間混合撹拌し、樹脂バルーン含有液状シリコーンゴム材料を得た。
また、アルミ製(材質CM−10、外径26mm、肉厚1.5mm、長さ400mm)の芯金表面をトルエンで脱脂した後、芯金の両端から幅25mmづつの領域を除く領域にハケで均一な厚みにゴムプライマー(東レ・ダウコーニング社製 DY35−051A/B)を塗布した。続いて、ゴムプライマーを塗布した芯金を30分間乾燥させた後に150℃のオーブン中で30分間加熱を行い、芯金の前処理を行なった。
次に、内周面にPFA Tube(グンゼ製、膜厚30μm)を貼り付けた円筒形金型(内径36mm、長さ400mm)の中央部に、前処理済みの芯金を配置して、PFA Tube内周面と芯金外周面との距離が5mmとなるように芯金および円筒形金型の両端部をキャップ型で固定した。
次に、円筒形金型の注入口から、樹脂バルーン含有液状シリコーンゴム材料を注入して、PFA Tubeと芯金との間を樹脂バルーン含有液状シリコーンゴム材料で満たした。この状態で、円筒形金型を、オーブン中で150℃で30分間の一次加硫を行なった後、弾性層および表面層の両端部の不要部分を切除し、更にオーブン中で200℃で4時間の二次加硫を行い、加圧ロールを得た。
なお、得られた加圧ロールの弾性層の断面を光学顕微鏡で観察したところ、個々独立した気泡跡が形成されていることがわかった。
(各種評価)
得られた加圧ロールについては、弾性層部分について、中空構造、空隙率の他に、空隙が細孔である場合には細孔の分岐構造の有無、平均孔径、標準偏差について評価し、定着ロールとして、表面硬度、熱伝導率、熱膨張係数を評価した。さらに、加圧ロールを定着器に取り付けて紙シワについて評価した。結果を表1に示す。
Figure 2009025371
なお、表1に示す各種評価項目の評価方法や評価基準は、既述したものを除いて以下の通りである。
−表面硬度−
表面硬度(ASKER−C硬度)は、加圧ロールの表面を測定した。
−熱伝導率−
熱伝導率は、各実施例、比較例の加圧ロールの弾性層の作製条件と同様の条件で作製した中空部材のテストサンプル(厚み5mm、縦110mm、横60mm)を用いて測定した。
−熱膨張量−
熱膨張量は、加圧ロールの表面温度が室温(25℃)の場合と、典型的な定着温度である160℃の場合とにおける加圧ロールの外径を、レーザー測定機(キーエンス社製、LK−G80)により測定し、160℃における外径値から室温における外径値を引いた値として求めた。
なお、160℃における加圧ロールの外径測定は、加圧ロールを180℃のオーブン中で1時間加熱した後にオーブンから取り出して、自然放冷しながら赤外線温度計(キーエンス社製、FT−H20)により加圧ロール表面の温度をモニターし、表面温度が160℃になった時点で実施した。
−紙シワ評価−
各実施例、比較例の加圧ロールを、定着装置として加熱ロール及び加圧ロールからなる一対の定着ロールを備えた画像形成装置(富士ゼロックス社製、DocuCentre II7000)の加圧ロールとして取り付けた。なお、この画像形成装置に搭載された定着装置は、加熱ロールが駆動側の定着ロールであり、加圧ロールが従動側の定着ロールである。また、装置内を搬送される用紙は、用紙の中心線と加圧ロール表面層の中央部とが一致するように搬送されるよう改造した。
ここで、定着温度を190℃、プロセススピードを320mm/sに設定して、オイルレス定着によりA4サイズの用紙(富士ゼロックス社製、S紙)を、用紙の長手方向が搬送方向(縦送り)となるように給紙し、用紙全面に50%ハーフトーン黒色画像を連続50枚形成し、次いで、30秒以内にA4の用紙(富士ゼロックス社製、S紙)の短手方向を搬送方向(横送り)とし用紙全面に50%ハーフトーン黒色画像を連続して形成したときの用紙のシワの評価を実施した。
なお、表1に示す紙シワの評価基準は以下の通りである。
A:用紙の送り方向に関係なく紙シワ発生なし
B:用紙の送り方向を横送りにした直後についてシワが発生するが、送り方向変更後10枚以内に紙シワの発生がなくなる。
C:用紙の送り方向を横送りにした直後についてシワが発生するが、送り方向変更後11枚以上20枚以内に紙シワの発生がなくなる。
D:用紙の送り方向を横送りにした直後についてシワが発生し、送り方向変更後21枚目以降でないと紙シワの発生が無くならない。
本実施形態の中空部材の中空構造の一例を示す概略模式図である。 第2の本実施形態の中空部材の中空構造の他の例を示す概略模式図である。 本実施形態の中空部材中に設けられた細孔の軸方向の形状の一例を示す模式断面図である。 本実施形態の中空部材中に設けられた細孔の軸方向の形状の他の例を示す模式断面図である。 本実施形態の中空部材中に設けられた細孔の孔径方向の形状の一例を示す模式断面図である。 本実施形態の中空部材をインクジェット法を利用して作製する場合における塗膜形成工程の一例を示す概略模式図である。 インクジェット法により基材上に形成された塗膜の断面構造の一例を示す模式断面図である。 円筒状支持体の軸方法に対して走査可能な走査型の液滴吐出ヘッドを用いたインクジェット法により円筒状支持体表面に表面層を形成する方法の一例を示す概略模式図である。 図8に示す液滴吐出ヘッドを円筒状支持体の軸方向に対して複数連結した状態で並べマトリクス状にした一体型ヘッドを用いたインクジェット法により円筒状支持体表面に表面層を形成する方法の一例を示す概略模式図である。 円筒状支持体の円周面を取り囲むように配置された円筒型の液滴吐出ヘッドを用いたインクジェット法により円筒状支持体表面に表面層を形成する方法の一例を示す概略模式図である。 図10に示す表面層の形成方法において、円筒状支持体をその軸方向が鉛直方向となるように配置した場合について示す概略模式図である。 円筒型の液滴吐出ヘッドの一例を説明する概略模式図である。 液滴吐出ヘッドが円筒状支持体の軸方向長さと同等の又はそれ以上の幅を有し、円筒状支持体表面を軸方向全体に渡って一度に塗布するインクジェット法により表面層を形成する方法の一例を示す概略模式図である。 液滴吐出手段から吐出された液滴が、円筒状支持体表面に着弾したときの液滴の様子を説明する概略模式図である。 図15(A)及び図15(B)はインクジェット法を利用した表面層の形成方法において、液滴間のピッチを調整する方法の一例を説明する概略模式図である。 円筒状支持体の軸方法に対して走査可能な走査型の液滴吐出ヘッドを用いたインクジェット法により円筒状支持体表面に表面層を形成する方法の他の例を示す概略模式図である。 第一実施形態に係る加熱ロール型定着装置の概略構成図である。 第二実施形態に係る加熱ロール・ベルト型定着装置の概略構成図である。 第二実施形態の変形例であるフリーベルト型定着装置の概略構成図である。 第三実施形態に係る加熱ベルト・ロール型定着装置の概略構成図である。 第四実施形態に係る加熱ベルト型定着装置の概略構成図である。 第一実施形態に係る画像形成装置の概略構成図である。 第二実施形態に係る画像形成装置の概略構成図である。
符号の説明
1 加熱ロール
1a 円筒状芯体
1b 弾性層
1c 離型層
1d 加熱源
2 加圧ロール
2a 円筒状芯体
2d 加熱源
2b 弾性層
2c 離型層
3 記録媒体
4 未定着トナー像
5 クリーニング装置
6 外部加熱装置
7 剥離爪
8 温度センサー
10 支持ロール
11 加圧ロール
12 加圧パッド
13 加圧ベルト
20 加熱ロール
20a 円筒状芯体
20b 弾性層
20c 離型層
21 加圧ベルト
22 加圧パッド
22a 加圧部
22b 加圧部
22c ホルダ
22d 低摩擦層
23 ベルト走行ガイド
24 加熱源
25 温度センサー
26 記録媒体
27 未定着トナー像
28 剥離ブレード
30 加熱ベルト
31 加圧ロール
31a 基体
31b 弾性層
31c 離型層
32 加熱源
33 加圧部材
33a 圧力ロール
33b 圧力印加部材
33c 金属パッド
34 未定着トナー像
35 記録媒体
40 加熱ベルト
42 加熱源
43 加圧部材
43a 圧力ロール
43b 圧力印加部材
43c 金属パッド
44 未定着トナー像
45 記録媒体
48 加圧ロール
49 加圧ベルト
200 画像形成装置
207 潜像保持体
208 帯電装置
209 電源
210 露光装置
211 現像装置
212 転写装置
213 クリーニング装置
214 除電器
215 定着装置
220 画像形成装置
400 ハウジング
401a、401b、401c、401d 潜像保持体
402a、402b、402c、402d 帯電ロール
403 レーザー光源
404a、404b、404c、404d 現像装置
405a、405b、405c、405d トナーカートリッジ
406 駆動ロール
407 張力付与ロール
408 対向ロール
409 中間転写ベルト
410a、410b、410c、410d 1次転写ロール
411 記録媒体収納部
412 移送ロール
413 2次転写ロール
414 定着装置
415a、415b、415c、415d クリーニングブレード
416 クリーニングブレード
500 記録媒体
610、610A、610B 細孔
612 細孔壁
612A 凸部
612B 凹部
612C 凸部
612D 凹部
700 液滴
710 節部
720 帯状の液滴層、
730 中空部材における細孔と成り得る中空部

Claims (14)

  1. 弾性材料を含むマトリックスと、該マトリックス中に三次元的に連続して設けられ且つ分岐構造を有する細孔とを含むことを特徴とする中空部材。
  2. 空隙率が、5%以上35%以下の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の中空部材。
  3. 前記細孔の平均孔径が、10μm以上500μm以下の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の中空部材。
  4. 前記細孔が、部材表面へと通じていることを特徴とする請求項1に記載の中空部材。
  5. 線膨張率が、0.000010以上0.000021以下の範囲内であることを特徴とする請求項4に記載の中空部材。
  6. 下式(1)で示される線膨張率比ERが、0.40以上0.84以下の範囲内であることを特徴とする請求項4に記載の中空部材。
    ・式(1) ER=E1/E2
    〔式(1)中、E1は中空部材の線膨張率(1/K)、E2は中空部材を構成するマトリックス部材のみからなる部材の線膨張率(1/K)を表す。〕
  7. 前記弾性材料が、シリコーンゴムを含むことを特徴とする請求項1に記載の中空部材。
  8. 筒状の基材と、該筒状の基材の上に設けられた弾性層とを少なくとも有し、
    前記弾性層が、弾性材料を含むマトリックスと、該マトリックス中に三次元的に連続して設けられ且つ分岐構造を有する細孔とを含み、前記細孔が部材表面へと通じている中空部材を有することを特徴とする定着部材。
  9. 加熱部材と、該加熱部材に接触して配置される加圧部材とを少なくとも備え、前記加熱部材および前記加圧部材から選択される少なくとも一方の部材が、筒状の基材と、該筒状の基材の上に設けられた弾性層とを少なくとも有し、
    前記弾性層が、弾性材料を含むマトリックスと、該マトリックス中に三次元的に連続して設けられ且つ分岐構造を有する細孔とを含み、前記細孔が部材表面へと通じている中空部材を有することを特徴とする定着装置。
  10. 潜像保持体と、該潜像保持体表面を帯電する帯電手段と、帯電させられた前記潜像保持体表面に潜像を形成する潜像形成手段と、前記潜像を現像剤により現像してトナー像を形成するトナー像形成手段と、前記トナー像を前記潜像保持体表面から記録媒体表面に転写する転写手段と、前記記録媒体表面に転写されたトナー像を定着する定着手段とを少なくとも備え、
    前記定着手段が、加熱部材と、該加熱部材に接触して配置される加圧部材とを少なくとも備え、前記加熱部材および前記加圧部材から選択される少なくとも一方の部材が、筒状の基材と、該筒状の基材の上に設けられた弾性層とを少なくとも有し、
    前記弾性層が、弾性材料を含むマトリックスと、該マトリックス中に三次元的に連続して設けられ且つ分岐構造を有する細孔とを含み、前記細孔が部材表面へと通じている中空部材を有することを特徴とする画像形成装置。
  11. 弾性材料を含むマトリックスと、該マトリックス中に連続して設けられた細孔とを含み、
    前記細孔の平均孔径が、10μm以上500μm以下であり、前記細孔の孔径分布における標準偏差が50以下であることを特徴とする中空部材。
  12. 筒状の基材と、該筒状の基材の上に設けられた弾性層とを少なくとも有し、
    前記弾性層が、弾性材料を含むマトリックスと、該マトリックス中に連続して設けられた細孔とを含み、前記細孔の平均孔径が、10μm以上500μm以下であり、前記細孔の孔径分布における標準偏差が50以下であり、且つ、前記細孔が部材表面へと通じている中空部材を有することを特徴とする定着部材。
  13. 加熱部材と、該加熱部材に接触して配置される加圧部材とを少なくとも備え、前記加熱部材および前記加圧部材から選択される少なくとも一方の部材が、筒状の基材と、該筒状の基材の上に設けられた弾性層とを少なくとも有し、
    前記弾性層が、弾性材料を含むマトリックスと、該マトリックス中に連続して設けられた細孔とを含み、前記細孔の平均孔径が、10μm以上500μm以下であり、前記細孔の孔径分布における標準偏差が50以下であり、且つ、前記細孔が部材表面へと通じている中空部材を有することを特徴とする定着装置。
  14. 潜像保持体と、該潜像保持体表面を帯電する帯電手段と、帯電させられた前記潜像保持体表面に潜像を形成する潜像形成手段と、前記潜像を現像剤により現像してトナー像を形成するトナー像形成手段と、前記トナー像を前記潜像保持体表面から記録媒体表面に転写する転写手段と、前記記録媒体表面に転写されたトナー像を定着する定着手段とを少なくとも備え、
    前記定着手段が、加熱部材と、該加熱部材に接触して配置される加圧部材とを少なくとも備え、前記加熱部材および前記加圧部材から選択される少なくとも一方の部材が、筒状の基材と、該筒状の基材の上に設けられた弾性層とを少なくとも有し、
    前記弾性層が、弾性材料を含むマトリックスと、該マトリックス中に連続して設けられた細孔とを含み、前記細孔の平均孔径が、10μm以上500μm以下であり、前記細孔の孔径分布における標準偏差が50以下であり、且つ、前記細孔が部材表面へと通じている中空部材を有することを特徴とする画像形成装置。
JP2007185686A 2007-07-17 2007-07-17 中空部材、定着部材、定着装置および画像形成装置 Pending JP2009025371A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007185686A JP2009025371A (ja) 2007-07-17 2007-07-17 中空部材、定着部材、定着装置および画像形成装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007185686A JP2009025371A (ja) 2007-07-17 2007-07-17 中空部材、定着部材、定着装置および画像形成装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2009025371A true JP2009025371A (ja) 2009-02-05

Family

ID=40397259

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007185686A Pending JP2009025371A (ja) 2007-07-17 2007-07-17 中空部材、定着部材、定着装置および画像形成装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2009025371A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010231129A (ja) * 2009-03-30 2010-10-14 Shin Etsu Polymer Co Ltd 弾性ローラ及び定着装置
JP2011081061A (ja) * 2009-10-05 2011-04-21 Canon Inc 定着部材及びその製造方法、ならびに像加熱定着装置
JP2013013711A (ja) * 2011-06-09 2013-01-24 Kyoto Seisakusho Co Ltd 錠剤印刷装置および錠剤印刷方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010231129A (ja) * 2009-03-30 2010-10-14 Shin Etsu Polymer Co Ltd 弾性ローラ及び定着装置
JP2011081061A (ja) * 2009-10-05 2011-04-21 Canon Inc 定着部材及びその製造方法、ならびに像加熱定着装置
JP2013013711A (ja) * 2011-06-09 2013-01-24 Kyoto Seisakusho Co Ltd 錠剤印刷装置および錠剤印刷方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5424801B2 (ja) 定着部材及びその製造方法、ならびに像加熱定着装置
JP4882312B2 (ja) フッ素樹脂被覆部材の製造方法
JP5013700B2 (ja) 像加熱装置
JP2008122579A (ja) 定着部材、定着装置および画像形成装置
CN1150382C (zh) 定影带及其制造方法
US8422922B2 (en) Tubular body, tubular body supporting apparatus, image fixing apparatus, and image forming apparatus
JP2008158447A (ja) 定着部材、定着装置および画像形成装置
JP6979164B2 (ja) 定着装置、画像形成装置
JP6201726B2 (ja) 樹脂基材、無端ベルト、定着装置及び画像形成装置
JP2009025371A (ja) 中空部材、定着部材、定着装置および画像形成装置
JP2014191023A (ja) 無端ベルト、定着ベルト、定着装置および画像形成装置
JP6201713B2 (ja) 樹脂管状体、定着装置、および画像形成装置
JP2015129797A (ja) 画像定着用管状体、定着装置、および画像形成装置
JP2008122580A (ja) エンドレスベルト、定着装置、及び画像形成装置
JP2010223417A (ja) 定着部材、定着装置、及び画像形成装置
JP6071424B2 (ja) 基材へのチューブ被覆方法
JP6004893B2 (ja) 基材へのチューブ被覆方法
JP6390304B2 (ja) 樹脂管状体、定着装置、および画像形成装置
JP6303394B2 (ja) 樹脂管状体、定着装置、及び画像形成装置
JP2013142837A (ja) 像加熱装置
JP2010026093A (ja) 無端ベルト、定着装置及び画像形成装置
JP2004163578A (ja) 定着部材
JP2017111242A (ja) 搬送回転体およびこれを備える画像形成装置、搬送回転体の製造方法
WO2022093302A1 (en) Heat treatment device
JP2022178267A (ja) 無端ベルト、定着装置、及び画像形成装置