JP2009025076A - ガスセンサ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ガスセンサ素子2とハウジング3と素子カバー4とを有するガスセンサ1。素子カバー4は、インナーカバー41とアウターカバー42とを備えている。アウターカバー42は、外側開口部421を設けてなるとともに、外側開口部421よりも先端側に排出用開口部422を設けてなる。インナーカバー41は、外側開口部421よりも先端側となる位置に内側開口部411を設けてなる。内側開口部411は、インナーカバー41の外部から内部へ向かう開口方向がガスセンサ1の軸方向基端方向の成分を有する状態に形成されている。外側開口部421を設けた軸方向位置におけるアウターカバー42とインナーカバー41との間のクリアランス43の大きさをA、同じ方向位置におけるアウターカバー42の内径をBとすると、A/B≧0.083の関係が成り立つ。
【選択図】図1
Description
上記ガスセンサ9は、ジルコニア等からなる固体電解質体を用いたガスセンサ素子92を内蔵しているとともに、このガスセンサ素子92をカバーする素子カバー93を有している。素子カバー93は、ステンレス鋼等の金属からなり、排気ガスGを通過させる通気孔933を有している。
ところで、内燃機関の低温始動時等において、排気ガスG中に含まれる水滴などが、停止時に冷えた排気管の内壁面に触れて水滴となり、凝縮することがある。
水滴が付着した状態で内燃機関を始動した場合、特に始動直後の排気ガス温度が低い場合は、凝縮水が気化することなく排気ガスGによって吹き飛ばされ、排気ガスGとともに素子カバー93の内部に浸入する。
そのため、素子カバー93の内側に浸入した水滴がガスセンサ素子92の表面に付着した場合、熱衝撃により、ガスセンサ素子92に割れ(被水割れ)が発生するおそれがある。
しかし、図8に示すごとく、水滴Wがアウターカバー932の外側表面934に付着したとき、この外側表面934を伝って水滴Wが通気孔933まで移動して、アウターカバー932の内部に浸入する。そして、さらに、水滴Wがインナーカバー931の外側表面934やアウターカバー932の内側表面935を伝って、インナーカバー931の通気孔933まで移動して、インナーカバー931の内部に浸入することがある。これにより、この水滴Wがガスセンサ素子92に付着して、被水割れが生ずるおそれがある。
ところが、ガスセンサ素子92の表面に過剰な保護層94を設けると、被測定ガス(排気ガス)が、ガスセンサ素子92のセンシング部に達する時間が長くなり、ガスセンサ9の応答性が低下するおそれがある。また、ガスセンサ素子92の熱容量が大きくなるため、活性時間が長くなるおそれもある。また、アウターカバー932とインナーカバー931との間のクリアランスが小さい場合には、被測定ガスがインナーカバー931の内部へ充分に導入できなくなってしまうおそれがある。
しかし、この場合にも、被測定ガス(排気ガス)が素子カバー93の内部に侵入してガスセンサ素子920に達するまでに時間がかかり、ガスセンサ90の応答性が低下するおそれがある。
上記素子カバーは、インナーカバーと該インナーカバーの外周に配置されたアウターカバーとを備えており、
上記アウターカバーは、側面部に複数の外側開口部を設けてなるとともに、該外側開口部よりも先端側に排出用開口部を設けてなり、
上記インナーカバーは、上記外側開口部よりも先端側となる位置に内側開口部を設けてなり、
該内側開口部は、上記インナーカバーの外部から内部へ向かう開口方向が上記ガスセンサの軸方向基端方向の成分を有する状態に形成されており、
上記外側開口部を設けた軸方向位置における上記アウターカバーと上記インナーカバーとの間のクリアランスの大きさをA、同じ軸方向位置における上記アウターカバーの内径をBとすると、A/B≧0.083の関係が成り立つことを特徴とするガスセンサにある(請求項1)。
上記素子カバーは、上記アウターカバーに上記外側開口部と上記排出用開口部とを設けており、上記インナーカバーにおける上記外側開口部よりも先端側となる位置に内側開口部を設けている。そのため、側方から流れて来る被測定ガスは、外側開口部からアウターカバーとインナーカバーとの間に導入され、排出用開口部から排出される。また、アウターカバーとインナーカバーとの間に導入された被測定ガスの一部が、さらに内側開口部からインナーカバーの内部に導入され、ガスセンサ素子に到達する。
これにより、被測定ガスとともに流れる水滴がインナーカバーの内部に浸入することを防ぎ、ガスセンサ素子の被水を防ぐことができる。そして、被水に起因するガスセンサ素子の被水割れを防ぐことができる。
また、ガスセンサ素子の表面に何ら処理を施さなくても、被測定ガスがガスセンサ素子のセンシング部へ到達することを妨げることがなく、ガスセンサの応答性の低下を防ぐことができる。また、ガスセンサ素子の熱容量を大きくすることもないため、活性時間の短縮を妨げることもない。
また、上記ガスセンサ素子は、例えば、ジルコニア等からなる固体電解質体の一方の面と他方の面とに基準ガス側電極及び被測定ガス側電極とを設けてなる。
また、上記開口方向は、例えば、内側開口部の輪郭線を含む平面に直交する方向として定義することができる。また、上記輪郭線が単一平面上にない場合には、上記輪郭線に最も近似した平面状の曲線(二次元の曲線)を想定し、この曲線を含む平面に直交する方向を上記開口方向とすることができる。
この場合には、アウターカバーとインナーカバーとの間に被測定ガスを一層容易に導入することができる。それゆえ、空燃比の変化とセンサ出力との変化とのズレを一層小さくして、ガスセンサの応答性を一層向上させることができる。
本発明の実施例に係るガスセンサにつき、図1〜図3を用いて説明する。
本例のガスセンサ1は、図1に示すごとく、被測定ガス中の特定ガス濃度を検出するガスセンサ素子2と、該ガスセンサ素子2を内側に挿通するハウジング3と、該ハウジング3の先端側に固定された素子カバー4とを有する。
アウターカバー42は、側面部に複数の外側開口部421を設けてなるとともに、外側開口部421よりも先端側に排出用開口部422を設けてなる。
また、内側開口部411は、インナーカバー41の外部から内部へ向かう開口方向Xがガスセンサ1の軸方向基端方向の成分を有する状態に形成されている。本例のガスセンサ1においては、内側開口部411の開口方向Xはガスセンサ1の軸方向と平行となっており、上記開口方向Xが軸方向基端方向を向いている。
また、上記クリアランス43は、大きさAが1mm以上である。
素子カバー4は、図1、図2に示すごとく、インナーカバー41と該インナーカバー41の外周に配置されたアウターカバー42との二重構造を有している。
アウターカバー42は、側面部に外側開口部421を設けてなる。該外側開口部421は、例えば、直径を1.5mmとして計8個設けることができる。
また、アウターカバー42は、先端側へ行くほど縮径するテーパ形状の外側径変部423を形成してなる。
また、図2、図3に示すごとく、インナーカバー41における基端側の内側径変部413の複数箇所に凹部417を設け、該凹部417の基端を開口させることにより、内側開口部411が形成されている。すなわち、いわゆるルーバー形状の内側開口部411である。内側開口部411は、例えば、ガスセンサ1の周方向の幅hを2mm、ガスセンサ1の径方向の幅dを0.5mmとして、計6個形成することができる。
また、インナーカバー41は、外側開口部421に対向する対向側面部415をガスセンサ1の軸方向に平行に形成してなる。なお、対向側面部415は、基端側及び先端側のいずれの内側径変部413よりも基端側に配設されている。
また、図1、図2に示すごとく、インナーカバー41は、その基端部に基端固定部414を有し、該基端固定部414において、ハウジング3にかしめ固定されている。基端固定部414は、対向側面部415よりも大きい内径を有し、基端固定部414と対向側面部415との間に形成された段部416にハウジング3の先端角部30が当接している。
また、アウターカバー42は、その基端部の外側固定部425を基端固定部414の外周に配置してかしめ固定している。
また、ハウジング3と基端固定部414、及び該基端固定部414と外側固定部425とは溶接されていてもよい。
大気側絶縁碍子13の内側には、ガスセンサ素子2との電気的導通を図るための金属端子14が保持されており、該金属端子14に接続された外部リード15が、大気側カバー13の基端部を閉塞するブッシュ16を挿通するように配線されている。
上記素子カバー4は、アウターカバー42に外側開口部421と排出用開口部422とを設けており、インナーカバー41における外側開口部421よりも先端側となる位置に内側開口部411を設けている。そのため、図2に示すごとく、側方から流れて来る被測定ガスGは、外側開口部421からアウターカバー42とインナーカバー41との間に導入され、排出用開口部422から排出される(G1)。また、アウターカバー42とインナーカバー41との間に導入された被測定ガスの一部(G2)が、さらに内側開口部からインナーカバー41の内部に導入され、ガスセンサ素子2に到達する。
また、ガスセンサ素子2の表面に何ら処理を施さなくても、被測定ガスGがガスセンサ素子2のセンシング部へ到達することを妨げることもなく、ガスセンサ1の応答性の低下を防ぐことができる。また、ガスセンサ素子2の熱容量を大きくすることもないため、活性時間の短縮を妨げることもない。
本例は、図4に示すごとく、内側径変部413が、インナーカバー41の軸方向の二箇所において形成されており、そのうちの基端側の内側径変部413に内側開口部411が内側径変部413に対して垂直方向に穿設されているガスセンサ1の例である。すなわち、対向側面部415の先端側及びインナーカバー42の先端の二箇所に内側径変部413が形成され、そのうちの基端側の内側径変部413に、円形の内側開口部411が穿設されている。この内側開口部411は、実施例1のようなルーバー形状ではなく、単純に内側径変部413に対して直角に形成した開口部である。そして、内側開口部411の開口方向Xのベクトルは、ガスセンサ1の径方向に対する角部θが例えば17°以上であり、ガスセンサ1の軸方向成分(Xz)とともに径方向成分(Xr)を有する。
また、本例においても、クリアランス43の大きさAとアウターカバー42の内径BとはA/B≧0.083を満たす。
その他は、実施例1と同様の構成及び作用効果を有する。
本例は、図5〜図7に示すごとく、外側開口部421を設けた軸方向位置におけるアウターカバー42とインナーカバー41との間のクリアランス43の大きさAとアウターカバー42の内径Bとの比であるA/Bの値の大きさと、ガスセンサの応答性との関係を調べた例である。
本例では、A/Bの値の異なる7種類のガスセンサを用意した。
上記A、Bの寸法以外の寸法や構造は、実施例1のガスセンサと同様である。
なお、本例で使用した符号は、図2における符号に準ずる。
すなわち、まず、3L、直列6気筒直噴エンジンの排気管に上記ガスセンサを設置した。そして、エンジンの回転数を2000回転/分として運転した。また、図5の曲線L1に示すごとく、エンジンの空燃比を制御して、λ値(空気過剰率)が0.9となる状態と、1.1となる状態とを、周波数4.16Hzの周期で交互に形成した。また、ガスセンサの素子温度は750℃とした。
このときのガスセンサの出力の変化を図5の曲線L2に示す。そして、空燃比の変化(L1)に対するセンサ出力の変化(L2)を解析し、ゲイン(利得)を評価した。
同図からわかるように、A/Bの値が0.083以上である場合には、ゲイン値が高く、ガスセンサの応答性を充分に高くすることができ、逆にA/Bの値が0.083を下回るとゲイン値が低下していき、ガスセンサの応答性が低下する。このように、ガスセンサの応答性の観点から、A/Bの値は0.083以上に設定することが好ましいことがわかる。
同図からわかるように、クリアランス43の大きさAが1mm以上であれば、ゲイン値が高く、ガスセンサの応答性を充分に高くすることができる。このように、ガスセンサの応答性の観点から、クリアランス43の大きさAは1mm以上であることが好ましいことがわかる。
2 ガスセンサ素子
3 ハウジング
4 素子カバー
41 インナーカバー
411 内側開口部
42 アウターカバー
421 外側開口部
422 排出用開口部
43 クリアランス
Claims (2)
- 被測定ガス中の特定ガス濃度を検出するガスセンサ素子と、該ガスセンサ素子を内側に挿通するハウジングと、該ハウジングの先端側に固定された素子カバーとを有するガスセンサであって、
上記素子カバーは、インナーカバーと該インナーカバーの外周に配置されたアウターカバーとを備えており、
上記アウターカバーは、側面部に複数の外側開口部を設けてなるとともに、該外側開口部よりも先端側に排出用開口部を設けてなり、
上記インナーカバーは、上記外側開口部よりも先端側となる位置に内側開口部を設けてなり、
該内側開口部は、上記インナーカバーの外部から内部へ向かう開口方向が上記ガスセンサの軸方向基端方向の成分を有する状態に形成されており、
上記外側開口部を設けた軸方向位置における上記アウターカバーと上記インナーカバーとの間のクリアランスの大きさをA、同じ軸方向位置における上記アウターカバーの内径をBとすると、A/B≧0.083の関係が成り立つことを特徴とするガスセンサ。 - 請求項1において、上記クリアランスは、上記大きさAが1mm以上であることを特徴とするガスセンサ。
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