JP2009025076A - ガスセンサ - Google Patents

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Abstract

【課題】ガスセンサ素子の被水割れを防止するとともに応答性に優れたガスセンサを提供すること。
【解決手段】ガスセンサ素子2とハウジング3と素子カバー4とを有するガスセンサ1。素子カバー4は、インナーカバー41とアウターカバー42とを備えている。アウターカバー42は、外側開口部421を設けてなるとともに、外側開口部421よりも先端側に排出用開口部422を設けてなる。インナーカバー41は、外側開口部421よりも先端側となる位置に内側開口部411を設けてなる。内側開口部411は、インナーカバー41の外部から内部へ向かう開口方向がガスセンサ1の軸方向基端方向の成分を有する状態に形成されている。外側開口部421を設けた軸方向位置におけるアウターカバー42とインナーカバー41との間のクリアランス43の大きさをA、同じ方向位置におけるアウターカバー42の内径をBとすると、A/B≧0.083の関係が成り立つ。
【選択図】図1

Description

本発明は、内燃機関の排気系等に配設され、被測定ガス中の特定ガス濃度を検知するガスセンサに関する。
自動車エンジン等の内燃機関の排気系に、図8に示すような、排気ガスG中の酸素濃度等を検知するガスセンサ9を配設し、該ガスセンサ9による酸素濃度等の測定値から空燃比を検出し、これを利用して内燃機関の燃焼制御を行う技術がある。
上記ガスセンサ9は、ジルコニア等からなる固体電解質体を用いたガスセンサ素子92を内蔵しているとともに、このガスセンサ素子92をカバーする素子カバー93を有している。素子カバー93は、ステンレス鋼等の金属からなり、排気ガスGを通過させる通気孔933を有している。
排気管を流通する排気ガスGは、上記通気孔933から上記素子カバー93の内側に導入され、上記ガスセンサ素子92に到達する。そして、ガスセンサ素子92に排気ガスGが接触することにより、排気ガスG中の酸素濃度等の測定が可能となる。
ところで、内燃機関の低温始動時等において、排気ガスG中に含まれる水滴などが、停止時に冷えた排気管の内壁面に触れて水滴となり、凝縮することがある。
水滴が付着した状態で内燃機関を始動した場合、特に始動直後の排気ガス温度が低い場合は、凝縮水が気化することなく排気ガスGによって吹き飛ばされ、排気ガスGとともに素子カバー93の内部に浸入する。
一方、上記ガスセンサ9による測定に当たっては、固体電解質体からなるガスセンサ素子92の温度を400℃以上という高温に保ち、活性状態を保つ必要がある。
そのため、素子カバー93の内側に浸入した水滴がガスセンサ素子92の表面に付着した場合、熱衝撃により、ガスセンサ素子92に割れ(被水割れ)が発生するおそれがある。
かかる被水割れの対策として、図8に示すごとく、素子カバー93をインナーカバー931とアウターカバー932とによる二重構造とするとともに、排気管における排気ガスGの流れ方向に関して、通気孔933の位置が重ならないようにして、ガスセンサ素子92への水滴付着を防止している。
しかし、図8に示すごとく、水滴Wがアウターカバー932の外側表面934に付着したとき、この外側表面934を伝って水滴Wが通気孔933まで移動して、アウターカバー932の内部に浸入する。そして、さらに、水滴Wがインナーカバー931の外側表面934やアウターカバー932の内側表面935を伝って、インナーカバー931の通気孔933まで移動して、インナーカバー931の内部に浸入することがある。これにより、この水滴Wがガスセンサ素子92に付着して、被水割れが生ずるおそれがある。
そこで、図9に示すごとく、ガスセンサ素子92自体の表面に撥水性の保護層94を設けて、水滴がガスセンサ素子92に付着することを防ぐ技術がある(特許文献1参照)。
ところが、ガスセンサ素子92の表面に過剰な保護層94を設けると、被測定ガス(排気ガス)が、ガスセンサ素子92のセンシング部に達する時間が長くなり、ガスセンサ9の応答性が低下するおそれがある。また、ガスセンサ素子92の熱容量が大きくなるため、活性時間が長くなるおそれもある。また、アウターカバー932とインナーカバー931との間のクリアランスが小さい場合には、被測定ガスがインナーカバー931の内部へ充分に導入できなくなってしまうおそれがある。
また、図10に示すごとく、素子カバー93の通気孔933を覆うように保護層94を形成したガスセンサ90も開示されている(特許文献2参照)。
しかし、この場合にも、被測定ガス(排気ガス)が素子カバー93の内部に侵入してガスセンサ素子920に達するまでに時間がかかり、ガスセンサ90の応答性が低下するおそれがある。
特開平8−240559号公報 実開平4−11461号公報
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、ガスセンサ素子の被水割れを防止するとともに応答性に優れたガスセンサを提供しようとするものである。
本発明は、被測定ガス中の特定ガス濃度を検出するガスセンサ素子と、該ガスセンサ素子を内側に挿通するハウジングと、該ハウジングの先端側に固定された素子カバーとを有するガスセンサであって、
上記素子カバーは、インナーカバーと該インナーカバーの外周に配置されたアウターカバーとを備えており、
上記アウターカバーは、側面部に複数の外側開口部を設けてなるとともに、該外側開口部よりも先端側に排出用開口部を設けてなり、
上記インナーカバーは、上記外側開口部よりも先端側となる位置に内側開口部を設けてなり、
該内側開口部は、上記インナーカバーの外部から内部へ向かう開口方向が上記ガスセンサの軸方向基端方向の成分を有する状態に形成されており、
上記外側開口部を設けた軸方向位置における上記アウターカバーと上記インナーカバーとの間のクリアランスの大きさをA、同じ軸方向位置における上記アウターカバーの内径をBとすると、A/B≧0.083の関係が成り立つことを特徴とするガスセンサにある(請求項1)。
次に、本発明の作用効果につき説明する。
上記素子カバーは、上記アウターカバーに上記外側開口部と上記排出用開口部とを設けており、上記インナーカバーにおける上記外側開口部よりも先端側となる位置に内側開口部を設けている。そのため、側方から流れて来る被測定ガスは、外側開口部からアウターカバーとインナーカバーとの間に導入され、排出用開口部から排出される。また、アウターカバーとインナーカバーとの間に導入された被測定ガスの一部が、さらに内側開口部からインナーカバーの内部に導入され、ガスセンサ素子に到達する。
上述のごとく、上記内側開口部は、外側開口部よりも先端側となる位置に形成されているとともに、上記インナーカバーの外部から内部へ向かう開口方向が上記ガスセンサの軸方向基端方向の成分を有する状態に形成されている。それゆえ、アウターカバーの外側開口部から導入された被測定ガスの流れのうち、排出用開口部へ向かう流れは比較的直線的な流れとなるが、内側開口部からインナーカバーの内部へ向かう流れは曲線的な流れとなる。
これにより、アウターカバーとインナーカバーとの間に導入された被測定ガスとともに流れる水滴は、その慣性力によって、排出用開口部へ向かって流れ、該排出用開口部から外部へ排出される。すなわち、水滴は被測定ガスに比べて比重が大きいため、慣性力が大きく働き、上記のごとく直線的な流れである排出用開口部へ向かう流れに沿って排出用開口部から外部へ排出される。一方、比重の小さい被測定ガス自体は、上記の直線的な流れ以外にも、曲線的な流れであるインナーカバーの内部へ向かう流れをも形成することとなる。
これにより、被測定ガスとともに流れる水滴がインナーカバーの内部に浸入することを防ぎ、ガスセンサ素子の被水を防ぐことができる。そして、被水に起因するガスセンサ素子の被水割れを防ぐことができる。
また、上記素子カバーには外側開口部及び内側開口部が形成されており、これらの位置関係によって、上記のごとく水滴の浸入を防ぐため、被測定ガスを素子カバーの内部に充分に導入することができる。それゆえ、応答性に優れたガスセンサを得ることができる。
また、ガスセンサ素子の表面に何ら処理を施さなくても、被測定ガスがガスセンサ素子のセンシング部へ到達することを妨げることがなく、ガスセンサの応答性の低下を防ぐことができる。また、ガスセンサ素子の熱容量を大きくすることもないため、活性時間の短縮を妨げることもない。
特に、本発明のガスセンサは、上記クリアランスの大きさをA、上記アウターカバーの内径をBとすると、A/B≧0.083の関係が成り立つよう構成されている。そのため、アウターカバーとインナーカバーとの間に導入された被測定ガスの一部を、さらに内側開口部からインナーカバーの内部に容易にかつ充分に導入することができる。これにより、排気管内等において流通している被測定ガスを、円滑にかつ充分にガスセンサ素子に供給することができる。その結果、空燃比の変化とセンサ出力の変化とのズレを充分に小さくして、ガスセンサの応答性を充分に向上させることができる。
以上のごとく、本発明によれば、ガスセンサ素子の被水割れを防止するとともに応答性に優れたガスセンサを提供することができる。
本発明(請求項1)において、上記ガスセンサとしては、自動車エンジン等の各種車両用内燃機関の排気管に設置して、排気ガスフィードバックシステムに使用する空燃比センサ(A/Fセンサ)、排気ガス中の酸素濃度を測定する酸素センサ(O2センサ)、また排気管に設置する三元触媒の劣化検知等に利用するNOx等の大気汚染物質濃度を調べるNOxセンサ等がある。
また、上記ガスセンサ素子は、例えば、ジルコニア等からなる固体電解質体の一方の面と他方の面とに基準ガス側電極及び被測定ガス側電極とを設けてなる。
また、本明細書において、上記ガスセンサを内燃機関の排気管等に挿入する側を先端側、その反対側を基端側として説明する。
また、上記開口方向は、例えば、内側開口部の輪郭線を含む平面に直交する方向として定義することができる。また、上記輪郭線が単一平面上にない場合には、上記輪郭線に最も近似した平面状の曲線(二次元の曲線)を想定し、この曲線を含む平面に直交する方向を上記開口方向とすることができる。
なお、本発明において、上記A/Bの値が0.083未満である場合には、上記クリアランスの大きさが充分に確保されているとはいえない。したがって、この場合には、アウターカバーとインナーカバーとの間に導入された被測定ガスの一部を、さらに内側開口部からインナーカバーの内部に充分に導入することが困難となるおそれがある。その結果、ガスセンサの応答性を向上させることが困難となるおそれがある。
また、上記クリアランスは、上記大きさAが1mm以上であることが好ましい(請求項2)。
この場合には、アウターカバーとインナーカバーとの間に被測定ガスを一層容易に導入することができる。それゆえ、空燃比の変化とセンサ出力との変化とのズレを一層小さくして、ガスセンサの応答性を一層向上させることができる。
(実施例1)
本発明の実施例に係るガスセンサにつき、図1〜図3を用いて説明する。
本例のガスセンサ1は、図1に示すごとく、被測定ガス中の特定ガス濃度を検出するガスセンサ素子2と、該ガスセンサ素子2を内側に挿通するハウジング3と、該ハウジング3の先端側に固定された素子カバー4とを有する。
素子カバー4は、図1、図2に示すごとく、インナーカバー41と該インナーカバー421外周に配置されたアウターカバー42とを備えている。
アウターカバー42は、側面部に複数の外側開口部421を設けてなるとともに、外側開口部421よりも先端側に排出用開口部422を設けてなる。
インナーカバー41は、図1、図2に示すごとく、外側開口部421よりも先端側となる位置に内側開口部411を設けてなる。そして、内側開口部411よりも軸方向先端側にガスセンサ素子2のセンシング部が配設されている。
また、内側開口部411は、インナーカバー41の外部から内部へ向かう開口方向Xがガスセンサ1の軸方向基端方向の成分を有する状態に形成されている。本例のガスセンサ1においては、内側開口部411の開口方向Xはガスセンサ1の軸方向と平行となっており、上記開口方向Xが軸方向基端方向を向いている。
また、ガスセンサ1は、外側開口部421を設けた軸方向位置におけるアウターカバー42とインナーカバー41との間のクリアランス43の大きさをA、同じ軸方向位置におけるアウターカバー42の内径をBとすると、A/B≧0.083の関係が成り立つよう構成されている。
また、上記クリアランス43は、大きさAが1mm以上である。
本例のガスセンサ1につき、以下に詳細に説明する。
素子カバー4は、図1、図2に示すごとく、インナーカバー41と該インナーカバー41の外周に配置されたアウターカバー42との二重構造を有している。
アウターカバー42は、側面部に外側開口部421を設けてなる。該外側開口部421は、例えば、直径を1.5mmとして計8個設けることができる。
また、アウターカバー42は、先端側へ行くほど縮径するテーパ形状の外側径変部423を形成してなる。
インナーカバー41は、先端側へ行くほど縮径するテーパ形状の内側径変部413を、軸方向の二箇所において有する。
また、図2、図3に示すごとく、インナーカバー41における基端側の内側径変部413の複数箇所に凹部417を設け、該凹部417の基端を開口させることにより、内側開口部411が形成されている。すなわち、いわゆるルーバー形状の内側開口部411である。内側開口部411は、例えば、ガスセンサ1の周方向の幅hを2mm、ガスセンサ1の径方向の幅dを0.5mmとして、計6個形成することができる。
また、インナーカバー41は、先端部に素子カバー4の外部に開口する先端開口部412を形成してなる。該先端開口部412は、例えば、直径を2mmとすることができる。
また、インナーカバー41は、外側開口部421に対向する対向側面部415をガスセンサ1の軸方向に平行に形成してなる。なお、対向側面部415は、基端側及び先端側のいずれの内側径変部413よりも基端側に配設されている。
素子カバー4は、インナーカバー41の先端部がアウターカバー42の先端部と略同じ軸方向位置にある状態で、インナーカバー41とアウターカバー42とを重ね合わせている。すなわち、アウターカバー42の先端部には、インナーカバー41の先端部の外形(例えば直径5mm)よりも大きい大径開口部424(例えば内径6mm)が形成されている。そして、該大径開口部424に対してインナーカバー41の先端部を挿通することにより、該先端部の外壁と大径開口部424の内壁との間に、例えば0.5mmの幅の上記排出用開口部422が形成される。
なお、インナーカバー41の先端部は、アウターカバー42の先端部から突出していてもよく、また、アウターカバー42の先端部よりも基端側へ後退していてもよい。
また、図1、図2に示すごとく、インナーカバー41は、その基端部に基端固定部414を有し、該基端固定部414において、ハウジング3にかしめ固定されている。基端固定部414は、対向側面部415よりも大きい内径を有し、基端固定部414と対向側面部415との間に形成された段部416にハウジング3の先端角部30が当接している。
また、アウターカバー42は、その基端部の外側固定部425を基端固定部414の外周に配置してかしめ固定している。
また、ハウジング3と基端固定部414、及び該基端固定部414と外側固定部425とは溶接されていてもよい。
上記のごとく、本例のガスセンサ1においては、外側開口部421を設けた軸方向位置におけるアウターカバー42とインナーカバー41との間のクリアランス43の大きさをA、同じ方向位置におけるアウターカバー42の内径をBとすると、A/B≧0.083の関係が成り立つ。ここで、クリアランス43の大きさAは、図2に示すように、外側開口部421と対向側面部415との間の径方向の距離のことをいう。また、アウターカバー42の内径Bは、外側開口部421が設けられている軸方向位置におけるアウターカバー42の内径Bをいう。
図1に示すごとく、ハウジング3の内側には、ガスセンサ素子2を挿通保持する素子側絶縁碍子11が保持されている。また、素子側絶縁碍子11の基端側には大気側絶縁碍子12が配設されており、大気側絶縁碍子12を覆うように配された大気側カバー13がハウジング3の基端部に固定されている。
大気側絶縁碍子13の内側には、ガスセンサ素子2との電気的導通を図るための金属端子14が保持されており、該金属端子14に接続された外部リード15が、大気側カバー13の基端部を閉塞するブッシュ16を挿通するように配線されている。
また、ガスセンサ素子2は、ジルコニアを主成分とする固体電解質体の一方の面と他方の面とに基準ガス側電極及び被測定ガス側電極とを設けてなる(図示略)。また、ガスセンサ素子2には、ヒータが内蔵されており(図示略)、ガスセンサ1の使用時において、ガスセンサ素子2を400℃以上の高温に加熱して、活性状態とする。
次に、本例の作用効果につき説明する。
上記素子カバー4は、アウターカバー42に外側開口部421と排出用開口部422とを設けており、インナーカバー41における外側開口部421よりも先端側となる位置に内側開口部411を設けている。そのため、図2に示すごとく、側方から流れて来る被測定ガスGは、外側開口部421からアウターカバー42とインナーカバー41との間に導入され、排出用開口部422から排出される(G1)。また、アウターカバー42とインナーカバー41との間に導入された被測定ガスの一部(G2)が、さらに内側開口部からインナーカバー41の内部に導入され、ガスセンサ素子2に到達する。
上述のごとく、内側開口部411は、外側開口部421よりも先端側となる位置に形成されているとともに、インナーカバー41の外部から内部へ向かう開口方向がガスセンサ1の軸方向基端方向の成分を有する状態に形成されている。それゆえ、アウターカバー42の外側開口部421から導入された被測定ガスGの流れのうち、排出用開口部42へ向かう流れ(G1)は比較的直線的な流れとなるが、内側開口部411からインナーカバー41の内部へ向かう流れ(G2)は曲線的な流れとなる。
これにより、アウターカバー42とインナーカバー41との間に導入された被測定ガスとともに流れる水滴は、その慣性力によって、排出用開口部422へ向かって流れ、該排出用開口部422から外部へ排出される。すなわち、水滴は被測定ガスに比べて比重が大きいため、慣性力が大きく働き、上記のごとく直線的な流れである排出用開口部422へ向かう流れ(G1)に沿って排出用開口部422から外部へ排出される。一方、比重の小さい被測定ガス自体は、直線的な流れ(G1)以外にも、曲線的な流れであるインナーカバー41の内部へ向かう流れ(G2)をも形成することとなる。
これにより、被測定ガスGに含まれる水滴がインナーカバーの内部に浸入することを防ぎ、ガスセンサ素子2の被水を防ぐことができる。そして、この被水に起因するガスセンサ素子2の被水割れを防ぐことができる。
また、上記素子カバー4には外側開口部42及び内側開口部41が形成されており、これらの位置関係によって、上記のごとく水滴の浸入を防ぐため、被測定ガスGを素子カバー4の内部に充分に導入することができる。それゆえ、応答性に優れたガスセンサ1を得ることができる。
また、ガスセンサ素子2の表面に何ら処理を施さなくても、被測定ガスGがガスセンサ素子2のセンシング部へ到達することを妨げることもなく、ガスセンサ1の応答性の低下を防ぐことができる。また、ガスセンサ素子2の熱容量を大きくすることもないため、活性時間の短縮を妨げることもない。
特に、本例のガスセンサ1は、クリアランス43の大きさをA、アウターカバー42の内径をBとすると、A/B≧0.083の関係が成り立つよう構成されている。そのため、アウターカバー42とインナーカバー41との間に導入された被測定ガスの一部を、さらに内側開口部411からインナーカバー41の内部に容易にかつ充分に導入することができる。これにより、排気管内等において流通している被測定ガスを、円滑にかつ充分にガスセンサ素子2に供給することができる。その結果、空燃比の変化とセンサ出力の変化とのズレを充分に小さくして、ガスセンサ1の応答性を充分に向上させることができる。
また、上記クリアランス43は、上記大きさAが1mm以上であるため、アウターカバー42とインナーカバー41との間に被測定ガスを一層容易に導入することができる。それゆえ、空燃比の変化とセンサ出力との変化とのズレを一層小さくして、ガスセンサ1の応答性を一層向上させることができる。
以上のごとく、本例によれば、ガスセンサ素子の被水割れを防止するとともに応答性に優れたガスセンサを提供することができる。
(実施例2)
本例は、図4に示すごとく、内側径変部413が、インナーカバー41の軸方向の二箇所において形成されており、そのうちの基端側の内側径変部413に内側開口部411が内側径変部413に対して垂直方向に穿設されているガスセンサ1の例である。すなわち、対向側面部415の先端側及びインナーカバー42の先端の二箇所に内側径変部413が形成され、そのうちの基端側の内側径変部413に、円形の内側開口部411が穿設されている。この内側開口部411は、実施例1のようなルーバー形状ではなく、単純に内側径変部413に対して直角に形成した開口部である。そして、内側開口部411の開口方向Xのベクトルは、ガスセンサ1の径方向に対する角部θが例えば17°以上であり、ガスセンサ1の軸方向成分(Xz)とともに径方向成分(Xr)を有する。
また、本例においても、クリアランス43の大きさAとアウターカバー42の内径BとはA/B≧0.083を満たす。
その他は、実施例1と同様の構成及び作用効果を有する。
(実施例3)
本例は、図5〜図7に示すごとく、外側開口部421を設けた軸方向位置におけるアウターカバー42とインナーカバー41との間のクリアランス43の大きさAとアウターカバー42の内径Bとの比であるA/Bの値の大きさと、ガスセンサの応答性との関係を調べた例である。
本例では、A/Bの値の異なる7種類のガスセンサを用意した。
上記A、Bの寸法以外の寸法や構造は、実施例1のガスセンサと同様である。
なお、本例で使用した符号は、図2における符号に準ずる。
また、ガスセンサの応答性は以下のような方法にて評価した。
すなわち、まず、3L、直列6気筒直噴エンジンの排気管に上記ガスセンサを設置した。そして、エンジンの回転数を2000回転/分として運転した。また、図5の曲線L1に示すごとく、エンジンの空燃比を制御して、λ値(空気過剰率)が0.9となる状態と、1.1となる状態とを、周波数4.16Hzの周期で交互に形成した。また、ガスセンサの素子温度は750℃とした。
このときのガスセンサの出力の変化を図5の曲線L2に示す。そして、空燃比の変化(L1)に対するセンサ出力の変化(L2)を解析し、ゲイン(利得)を評価した。
測定結果を図6に示す。なお、図6中における△はアウターカバー42の内径Bが9mm、□はアウターカバー42の内径Bが10mm、◇はアウターカバー42の内径Bが12mmであるガスセンサの応答性をプロットしたものである。
同図からわかるように、A/Bの値が0.083以上である場合には、ゲイン値が高く、ガスセンサの応答性を充分に高くすることができ、逆にA/Bの値が0.083を下回るとゲイン値が低下していき、ガスセンサの応答性が低下する。このように、ガスセンサの応答性の観点から、A/Bの値は0.083以上に設定することが好ましいことがわかる。
さらに、上記の応答性の評価結果から、アウターカバー42の内径Bが12mmである4種類のガスセンサの応答性の評価結果を抜き出してプロットしたものを図7に示す。
同図からわかるように、クリアランス43の大きさAが1mm以上であれば、ゲイン値が高く、ガスセンサの応答性を充分に高くすることができる。このように、ガスセンサの応答性の観点から、クリアランス43の大きさAは1mm以上であることが好ましいことがわかる。
実施例1における、ガスセンサの縦断面説明図。 実施例1における、素子カバーの縦断面説明図。 実施例1における、インナーカバーの斜視図。 実施例2における、素子カバーの縦断面説明図。 実施例3における、応答性評価試験方法の説明図。 実施例3における、ガスセンサの応答性とA/Bの値との関係を示す測定結果。 実施例3における、ガスセンサの応答性とクリアランスの大きさとの関係を示す測定結果。 従来例における、ガスセンサ素子の被水割れの原因を説明する断面説明図。 従来例における、ガスセンサ素子に保護層を形成したガスセンサの断面図。 従来例における、通気孔を保護層によって覆ったガスセンサの断面図。
符号の説明
1 ガスセンサ
2 ガスセンサ素子
3 ハウジング
4 素子カバー
41 インナーカバー
411 内側開口部
42 アウターカバー
421 外側開口部
422 排出用開口部
43 クリアランス

Claims (2)

  1. 被測定ガス中の特定ガス濃度を検出するガスセンサ素子と、該ガスセンサ素子を内側に挿通するハウジングと、該ハウジングの先端側に固定された素子カバーとを有するガスセンサであって、
    上記素子カバーは、インナーカバーと該インナーカバーの外周に配置されたアウターカバーとを備えており、
    上記アウターカバーは、側面部に複数の外側開口部を設けてなるとともに、該外側開口部よりも先端側に排出用開口部を設けてなり、
    上記インナーカバーは、上記外側開口部よりも先端側となる位置に内側開口部を設けてなり、
    該内側開口部は、上記インナーカバーの外部から内部へ向かう開口方向が上記ガスセンサの軸方向基端方向の成分を有する状態に形成されており、
    上記外側開口部を設けた軸方向位置における上記アウターカバーと上記インナーカバーとの間のクリアランスの大きさをA、同じ軸方向位置における上記アウターカバーの内径をBとすると、A/B≧0.083の関係が成り立つことを特徴とするガスセンサ。
  2. 請求項1において、上記クリアランスは、上記大きさAが1mm以上であることを特徴とするガスセンサ。
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