JP2009024641A - 内燃機関のノッキング判定装置、ノッキング判定方法およびその方法をコンピュータで実現されるプログラムならびにそのプログラムを記録した記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【課題】ノッキングの誤判定を抑制する。
【解決手段】エンジンECUは、回転負荷に応じて係数Caを算出するステップ(S103)と、ノックセンサにより検出された振動から複数の周波数帯の振動の強度を抽出し、周波数帯Aの振動の強度に係数Caを乗じた上で周波数帯B〜Dの振動の強度とクランク角に対応させて加算して、5度毎の積算値を算出ステップ(S104)と、周波数帯Eの振動波形と予め作成されたノック波形モデルとを比較した結果に基づいて相関係数Kを算出するステップ(S116)と、ノック強度Nを算出するステップ(S118)と、算出された相関係数Kとノック強度Nとに応じてノッキングが発生したことを判定するステップ(S122)と、算出された相関係数Kとノック強度Nとに応じてノッキングを発生していないことを判定するステップ(S126)とを含む、プログラムを実行する。
【選択図】図11
【解決手段】エンジンECUは、回転負荷に応じて係数Caを算出するステップ(S103)と、ノックセンサにより検出された振動から複数の周波数帯の振動の強度を抽出し、周波数帯Aの振動の強度に係数Caを乗じた上で周波数帯B〜Dの振動の強度とクランク角に対応させて加算して、5度毎の積算値を算出ステップ(S104)と、周波数帯Eの振動波形と予め作成されたノック波形モデルとを比較した結果に基づいて相関係数Kを算出するステップ(S116)と、ノック強度Nを算出するステップ(S118)と、算出された相関係数Kとノック強度Nとに応じてノッキングが発生したことを判定するステップ(S122)と、算出された相関係数Kとノック強度Nとに応じてノッキングを発生していないことを判定するステップ(S126)とを含む、プログラムを実行する。
【選択図】図11
Description
本発明は、内燃機関のノッキングの判定に関し、特に、内燃機関の振動の波形に基づいてノッキングの有無を判定する技術に関する。
従来より、内燃機関において発生するノッキング(ノック)を検出する様々な方法が提案されている。たとえば、内燃機関の振動の強度がしきい値よりも高いとノッキングが発生したと判定する技術がある。ところが、ノッキングが発生していなくても、たとえば吸気バルブや排気バルブが閉じる際に発生する振動などのノイズの強度がしきい値よりも高い場合がある。この場合、ノッキングが発生していないにもかかわらず、ノッキングが発生したと誤判定し得る。そこで、振動が発生するクランク角や減衰率など、強度以外の特性も考慮するために検出された振動の波形と予め定められたノック波形モデルとの比較結果に基づいてノッキングの有無を判定する技術が提案されている。
特開2006−226967号公報(特許文献1)は、ノッキングが発生したか否かを精度よく判定する内燃機関のノッキング判定装置を開示する。この内燃機関のノッキング判定装置は、内燃機関の振動を検出するための手段と、検出された振動から、内燃機関の気筒におけるタンジェンシャル3次およびタンジェンシャル4次の少なくともいずれか一方の共振モードの周波数帯の振動を抽出するための抽出手段と、抽出された振動に基づいて、内燃機関にノッキングが発生したか否かを判定するための判定手段とを含む。
上述した公報に開示された内燃機関のノッキング判定装置によると、内燃機関の振動のうちノッキング時に特に検出することができる代表的な共振モードであるタンジェンシャル3次および4次の少なくともいずれか一方の共振モードの周波数帯の振動が抽出されることにより、ノッキング以外のノイズが少ない振動を抽出することができる。そのため、ノッキング発生時に特有の振動を精度よく抽出することができる。この振動に基づいて、ノッキングが発生したか否かが判定される。その結果、ノッキングが発生したか否かを精度よく判定することができる内燃機関のノッキング判定装置を提供することができる。
特開2006−226967号公報
ところで、ノッキング時に特有の振動が現れる周波数帯には、代表的なものとして、タンジェンシャル1次、2次、3次および4次の共振モードにおける周波数帯がある。これらの周波数帯の中でもノッキング特有の振動が重畳しやすい周波数帯と重畳しにくい周波数帯とがある。たとえば、タンジェンシャル1次の周波数帯の振動においては、比較的ノッキング特有の振動が重畳しやすい周波数帯である。しかしながら、タンジェンシャル1次の周波数帯は、ノッキング以外のノイズによる影響を受けやすい周波数帯でもある。
上述した公報に開示されたノッキング判定装置のように、タンジェンシャル1次の周波数帯の振動を排除する場合には、ノッキング特有の振動が重畳しやすい周波数帯を除外することとなるため、ノッキングの判定精度が悪化して、ノッキングの誤判定が発生し得るという問題がある。一方、タンジェンシャル1次の周波数帯の振動の影響が大きいと、ノッキングの判定精度が悪化するため、ノッキングの誤判定が発生し得るという問題がある。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであって、その目的は、ノッキングの誤判定を抑制する内燃機関のノッキング判定装置、ノッキング判定方法およびその方法をコンピュータで実現されるプログラムならびにそのプログラムを記録した記録媒体を提供することである。
第1の発明に係る内燃機関のノッキング判定装置は、内燃機関の振動を検出するための手段と、検出された振動から、ノッキングに対応する予め定められた複数の周波数帯の振動をそれぞれ抽出するための抽出手段と、内燃機関の回転負荷に対応した物理量を検出するための手段と、抽出された複数の周波数帯の振動の強度間の重み付けを、検出された回転負荷に応じて変更するための変更手段と、複数の周波数帯の振動の強度に基づいて、クランク角についての予め定められた間隔における振動の波形を検出するための検出手段と、検出された振動の波形を用いて内燃機関にノッキングが発生したか否かを判定するための判定手段とを含む。第9の発明に係る内燃機関のノッキング判定方法は、第1の発明に係る内燃機関のノッキング判定装置と同様の構成を有する。
第1の発明によると、変更手段は、抽出された複数の周波数帯の振動の強度間の重み付けを内燃機関の回転負荷に応じて変更する。内燃機関の低回転、低負荷の条件下においては、絶対振動レベルが小さいため、ノッキングの判定においてノイズの影響を受けやすい。そのため、たとえば、検出された回転負荷が低いと、複数の周波数帯のうちの少なくともいずれか一つの周波数帯(たとえば、タンジェンシャル1次の周波数帯)の振動の強度の重み付けの度合が小さくなるように変更すると、得られた振動の波形を用いてノッキングを判定する際の、ノイズによる影響を小さくすることができる。これにより、ノイズの影響を受ける周波数帯の振動に起因したノッキングの誤判定を抑制することができる。したがって、ノッキングの誤判定を抑制する内燃機関のノッキング判定装置を提供することができる。
第2の発明に係る内燃機関のノッキング判定装置においては、第1の発明の構成に加えて、変更手段は、抽出された複数の周波数帯の振動の強度のうち、ノッキングの判定に対してノッキング以外のノイズの重畳に起因した影響が大きい、少なくともいずれか一つの周波数帯の振動の強度の割合が、検出された回転負荷が低下するほど、減少するように重み付けを変更するための手段を含む。第10の発明に係る内燃機関のノッキング判定方法は、第2の発明に係る内燃機関のノッキング判定装置と同様の構成を有する。
第2の発明によると、内燃機関の低回転、低負荷の条件下においては、絶対振動レベルが小さいため、特に、ノイズの影響を受けやすい周波数帯に起因してノッキングを誤判定する可能性がある。そのため、複数の周波数帯のうちノッキングの判定に対してノッキング以外のノイズの重畳に起因した影響の大きい周波数帯(たとえば、タンジェンシャル1次の周波数帯)の振動の強度の割合が、回転負荷が低下するほど、減少するように重み付けを変更することにより、得られた振動の波形を用いてノッキングを判定する際の、ノイズによる影響を小さくすることができる。これにより、ノッキングの誤判定を抑制することができる。
第3の発明に係る内燃機関のノッキング判定装置においては、第2の発明の構成に加えて、変更手段は、回転負荷に加えて、回転数が小さくなるほど、周波数帯の振動の強度の割合が減少するように重み付けを変更するための手段を含む。第11の発明に係る内燃機関のノッキング判定方法は、第3の発明に係る内燃機関のノッキング判定装置と同様の構成を有する。
第3の発明によると、回転負荷に加えて、回転数が小さくなるほど、絶対振動レベルが小さくなるため、複数の周波数帯のうちノッキングの判定に対してノッキング以外のノイズの重畳に起因した影響の大きい周波数帯(たとえば、タンジェンシャル1次の周波数帯)の振動の強度の割合が、回転数が小さくなるほど、減少するように重み付けを変更することにより、得られた振動の波形を用いてノッキングを判定する際の、ノイズによる影響を小さくすることができる。これにより、ノッキングの誤判定を抑制することができる。
第4の発明に係る内燃機関のノッキング判定装置においては、第2または3の発明の構成に加えて、複数の周波数帯の振動は、タンジェンシャル1次の周波数帯の振動を含む。変更手段は、検出された回転負荷が低下するほどタンジェンシャル1次の周波数帯の振動の強度の重み付けの度合が他の周波数帯の振動の強度の重み付けの度合よりも小さくなるように重み付けを変更するための手段を含む。第12の発明に係る内燃機関のノッキング判定方法は、第4の発明に係る内燃機関のノッキング判定装置と同様の構成を有する。
第4の発明によると、タンジェンシャル1次の周波数帯の振動の強度の割合が、回転負荷が低下するほど、減少するように重み付けを変更することにより、得られた振動の波形を用いてノッキングを判定する際の、ノイズによる影響を小さくすることができる。これにより、ノッキングの誤判定を抑制することができる。
第5の発明に係る内燃機関のノッキング判定装置においては、第1〜4のいずれかの発明の構成に加えて、変更手段は、内燃機関の予め定められた回転数の範囲において、重み付けの度合が、内燃機関の回転数に比例して変化するように重み付けを変更するための手段を含む。第13の発明に係る内燃機関のノッキング判定方法は、第5の発明に係る内燃機関のノッキング判定装置と同様の構成を有する。
第5の発明によると、複数の周波数帯のうちの少なくともいずれか一つの周波数帯(たとえば、タンジェンシャル1次の周波数帯)の重み付けが、内燃機関の予め定められた回転数の範囲において、内燃機関の回転数に比例して変化するように変更される。これにより、重み付けの変動によるノッキング判定への影響を抑制することができる。
第6の発明に係る内燃機関のノッキング判定装置は、第1〜5のいずれかの発明の構成に加えて、検出された振動の波形の強度についての頻度分布を算出するための算出手段をさらに含む。判定手段は、検出された振動の振動の波形に加えて、算出された頻度分布を用いて内燃機関にノッキングが発生したか否かを判定するための手段を含む。算出手段は、重み付けの変更に応じて頻度分布の中央値を補正するための手段を含む。第14の発明に係る内燃機関のノッキング判定方法は、第6の発明に係る内燃機関のノッキング判定装置と同様の構成を有する。
第6の発明によると、重み付けの変更に応じて分布の中央値を補正することにより、重み付けの変動によるノッキング判定への影響を抑制することができる。
第7の発明に係る内燃機関のノッキング判定装置においては、第1〜6のいずれかの発明の構成に加えて、判定手段は、複数の周波数帯の振動の強度についての予め定められたクランク角の間における積算値の総和に基づいてノック強度を算出するための手段と、算出されたノック強度と予め定められた判定値との比較結果に基づいて内燃機関にノッキングが発生したか否かを判定するための手段とを含む。第15の発明に係る内燃機関のノッキング判定方法は、第7の発明に係る内燃機関のノッキング判定装置と同様の構成を有する。
第7の発明によると、複数の周波数帯の振動の強度についての予め定められたクランク角の間における積算値の総和に基づいて算出されたノック強度と予め定められた判定値との比較結果に基づいて内燃機関にノッキングが発生したか否かを精度よく判定することができる。
第8の発明に係る内燃機関のノッキング判定装置においては、第1〜7のいずれかの発明の構成に加えて、判定手段は、ノック強度の比較結果に加えて、検出された振動の波形と内燃機関の振動の波形の基準として予め定められた波形モデルとの比較結果に基づいて内燃機関にノッキングが発生したか否かを判定するための手段を含む。第16の発明に係る内燃機関のノッキング判定方法は、第8の発明に係る内燃機関のノッキング判定装置と同様の構成を有する。
第8の発明によると、ノック強度の比較結果に加えて、検出された振動の波形と内燃機関の振動の波形の基準として予め定められた波形モデルとの比較結果に基づいて内燃機関にノッキングが発生したか否かを精度よく判定することができる。
第17の発明に係るプログラムは、第9〜16のいずれかの発明に係る内燃機関のノッキング判定方法をコンピュータで実現されるプログラムであって、第18の発明に係る記録媒体は、第9〜16のいずれかの発明に係る内燃機関のノッキング判定方法をコンピュータで実現されるプログラムを記録した媒体である。
第17または第18の発明によると、コンピュータ(汎用でも専用でもよい)を用いて、第9〜16のいずれかの発明に係る内燃機関のノッキング判定方法を実現することができる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰り返さない。
図1を参照して、本発明の実施の形態に係るノッキング判定装置を搭載した車両のエンジン100について説明する。このエンジン100には複数の気筒が設けられる。本実施の形態に係る内燃機関のノッキング判定装置は、たとえばエンジンECU(Electronic Control Unit)200が実行するプログラムにより実現される。
エンジン100は、エアクリーナ102から吸入された空気とインジェクタ104から噴射される燃料との混合気を、燃焼室内で点火プラグ106により点火して燃焼させる内燃機関である。点火時期は、出力トルクが最大になるMBT(Minimum advance for Best Torque)になるように制御されるが、ノッキングが発生した場合など、エンジン100の運転状態に応じて遅角されたり、進角されたりする。
混合気が燃焼すると、燃焼圧によりピストン108が押し下げられ、クランクシャフト110が回転する。燃焼後の混合気(排気ガス)は、三元触媒112により浄化された後、車外に排出される。エンジン100に吸入される空気の量は、スロットルバルブ114により調整される。
エンジン100は、エンジンECU200により制御される。エンジンECU200には、ノックセンサ300と、水温センサ302と、タイミングロータ304に対向して設けられたクランクポジションセンサ306と、スロットル開度センサ308と、車速センサ310と、イグニッションスイッチ312と、エアフローメータ314とが接続されている。
ノックセンサ300は、エンジン100のシリンダブロックに設けられる。ノックセンサ300は、圧電素子により構成されている。ノックセンサ300は、エンジン100の振動により電圧を発生する。電圧の大きさは、振動の大きさと対応した大きさとなる。ノックセンサ300は、電圧を表わす信号をエンジンECU200に送信する。水温センサ302は、エンジン100のウォータージャケット内の冷却水の温度を検出し、検出結果を表わす信号を、エンジンECU200に送信する。
タイミングロータ304は、クランクシャフト110に設けられており、クランクシャフト110と共に回転する。タイミングロータ304の外周には、予め定められた間隔で複数の突起が設けられている。クランクポジションセンサ306は、タイミングロータ304の突起に対向して設けられている。タイミングロータ304が回転すると、タイミングロータ304の突起と、クランクポジションセンサ306とのエアギャップが変化するため、クランクポジションセンサ306のコイル部を通過する磁束が増減し、コイル部に起電力が発生する。クランクポジションセンサ306は、起電力を表わす信号を、エンジンECU200に送信する。エンジンECU200は、クランクポジションセンサ306から送信された信号に基づいて、クランク角およびクランクシャフト110の回転数を検出する。
スロットル開度センサ308は、スロットル開度を検出し、検出結果を表わす信号をエンジンECU200に送信する。車速センサ310は、車輪(図示せず)の回転数を検出し、検出結果を表わす信号をエンジンECU200に送信する。エンジンECU200は、車輪の回転数から、車速を算出する。イグニッションスイッチ312は、エンジン100を始動させる際に、運転者によりオン操作される。エアフローメータ314は、エンジン100に吸入される空気量を検出し、検出結果を表わす信号をエンジンECU200に送信する。
エンジンECU200は、電源である補機バッテリ320から供給された電力により作動する。エンジンECU200は、各センサおよびイグニッションスイッチ312から送信された信号、ROM(Read Only Memory)202に記憶されたマップおよびプログラムに基づいて演算処理を行ない、エンジン100が所望の運転状態となるように、機器類を制御する。
本実施の形態において、エンジンECU200は、ノックセンサ300から送信された信号およびクランク角に基づいて、予め定められたノック検出ゲート(予め定められた第1クランク角から予め定められた第2クランク角までの区間)におけるエンジン100の振動の波形(以下、振動波形と記載する)を検出し、検出された振動波形に基づいて、エンジン100にノッキングが発生したか否かを判定する。本実施の形態におけるノック検出ゲートは、燃焼行程において上死点(0度)から90度までである。なお、ノック検出ゲートはこれに限らない。
エンジン100の筒内でノッキングが発生すると、筒内圧が共振する。この筒内圧の共振により、エンジン100のシリンダブロックが振動する。よって、シリンダブロックの振動、すなわちノックセンサ300により検出される振動の周波数は、筒内圧共振周波数帯に含まれる傾向がある。
筒内圧共振周波数は、筒内気柱の共振モードに応じた周波数になる。ノッキング時に特有の振動が現れる周波数帯には、代表的なものとして、タンジェンシャル1次、2次、3次、4次の共振モードにおける周波数帯がある。
筒内圧共振周波数は、共振モード、ボア径および音速から算出される。図2に、音速を一定とし、ボア径をX〜Yまで変化させた場合における各共振モードの筒内圧共振周波数の一例を示す。図2から明らかなように、タンジェンシャル1次、タンジェンシャル2次、ラジアル1次、タンジェンシャル3次およびタンジェンシャル4次の順に、筒内圧共振周波数が高くなる。
図2に示す筒内圧共振周波数は、ノッキングが発生したタイミングにおける筒内圧共振周波数である。ノッキングの発生後においては、ピストンの降下により燃焼室の体積が増加するため、燃焼室内の温度および圧力が低下する。そのため、音速が低下し、筒内圧共振周波数が低下する。したがって、図3に示すように、上死点(ATDC: After Top Dead Center)からクランク角度が大きくなるにつれ、筒内圧の周波数のピーク成分が低下する
。
。
このような特性を有する筒内圧の共振によりシリンダブロックが振動する。そのため、ノッキングが発生した点火サイクルにおいて、ノックセンサ300により検出された振動の中には、タンジェンシャル1次の共振モードの周波数帯と同じ周波数帯Aの振動、タンジェンシャル2次の共振モードの周波数帯と同じ周波数帯Bの振動、タンジェンシャル3次の周波数帯と同じ周波数帯Cの振動およびタンジェンシャル4次の共振モードの周波数帯と同じ周波数帯Dの振動が含まれる。
ところで、図3に示すように、タンジェンシャル1次の共振モードの周波数帯Aは、シリンダブロック、ピストン108、コンロッドおよびクランクシャフト110などの共振周波数を含む。周波数帯Aには、ノッキングが発生していなくても、インジェクタ104、ピストン108、吸気バルブ116、排気バルブ118、インジェクタ104に燃料を圧送するポンプ120などの作動にともない必然的に発生する振動が現れる。また、エンジン100の低回転、低負荷の条件下においては、絶対振動レベルが小さいため、ノッキングの判定においては、上述のようなノッキング以外のノイズの振動の影響を受けやすい。
そこで、本実施の形態においては、エンジンECU200が、ノックセンサ300により検出された振動から、周波数帯A、周波数帯Bおよび周波数帯Dの振動を抽出して、抽出された周波数帯A〜Dの振動の強度間の重み付けを、エンジン100の回転負荷に応じて変更する点に特徴を有する。
具体的には、エンジンECU200は、抽出された周波数帯A〜Dの振動の強度のうち、ノッキングの判定に対してノッキング以外のノイズの重畳に起因した影響が大きい、少なくともいずれか一つの周波数帯の振動の強度の割合が、エンジン100の回転負荷が低下するほど、減少するように重み付けを変更する。これにより、エンジン100の低負荷、低回転時ノッキングの誤判定を防止することができる。
本実施の形態においては、エンジンECU200は、エンジン100の回転負荷が低下するほどタンジェンシャル1次の周波数帯の振動の強度の重み付けの度合が他の周波数帯の振動の強度の重み付けの度合よりも小さくなるように重み付けを変更する。
さらに、エンジンECU200は、エンジン100の回転負荷に加えて、エンジン100の回転数が小さくなるほど、タンジェンシャル1次の周波数帯の振動の強度の割合が減少するように重み付けを変更する。
ところで、振動を検出する帯域幅が狭いと、検出される振動の強度に含まれるノイズ成分を抑制することができる反面、振動波形からもノイズ成分の特徴的な部分(振動の発生タイミングや減衰率など)が除去される。この場合、実際はノイズ成分に起因する振動であっても、ノイズ成分を含まない振動波形、すなわちノッキング時における振動波形に類似した波形が検出される。そのため、振動波形からノッキングに起因する振動とノイズに起因する振動とを区別し難くなる。
そこで、本実施の形態においては、ノイズの発生時にはノイズを考慮してノッキングが発生したか否かを判定するため、ノイズを取り込むように、周波数帯A〜周波数帯Dのすべてを含む広域の周波数帯Eにおける振動をさらに検出する。この周波数帯Eにおける振動が、エンジン100の振動波形を検出するために用いられる。
周波数帯Eにおいて、ノッキングが発生した場合の振動波形は、振動波形のピーク値以降、振動が緩やかに減衰する形状になる。一方、ノッキングが発生しておらず、ノイズによる振動が発生した場合の振動波形は、ドーム状になる。したがって、周波数帯Eの振動波形からノッキングに起因する振動とノイズに起因する振動とを精度よく区別することができる。
図4を参照して、エンジンECU200についてさらに説明する。エンジンECU200は、A/D(アナログ/デジタル)変換部400と、バンドパスフィルタ(1)410と、バンドパスフィルタ(2)420と、バンドパスフィルタ(3)430と、バンドパスフィルタ(4)440と、バンドパスフィルタ(5)450と、積算部460とを含む。
A/D変換部400は、ノックセンサ300から送信されたアナログ信号をデジタル信号に変換する。バンドパスフィルタ(1)410は、ノックセンサ300から送信された信号のうち、周波数帯Aの信号のみを通過させる。すなわち、バンドパスフィルタ(1)410により、ノックセンサ300が検出した振動から、周波数帯Aの振動のみが抽出される。
バンドパスフィルタ(2)420は、ノックセンサ300から送信された信号のうち、周波数帯Bの信号のみを通過させる。すなわち、バンドパスフィルタ(2)420により、ノックセンサ300が検出した振動から、周波数帯Bの振動のみが抽出される。
バンドパスフィルタ(3)430は、ノックセンサ300から送信された信号のうち、周波数帯Cの信号のみを通過させる。すなわち、バンドパスフィルタ(3)430により、ノックセンサ300が検出した振動から、周波数帯Cの振動のみが抽出される。
バンドパスフィルタ(4)440は、ノックセンサ300から送信された信号のうち、周波数帯Dの信号のみを通過させる。すなわち、バンドパスフィルタ(4)440により、ノックセンサ300が検出した振動から、周波数帯Dの振動のみが抽出される。なお、バンドパスフィルタ(4)440は、タンジェンシャル4次に代えてタンジェンシャル2次ラジアル1次の周波数帯の振動を周波数帯Dの振動として抽出するようにしてもよい。
バンドパスフィルタ(5)450は、ノックセンサ300から送信された信号のうち、周波数帯Eの信号のみを通過させる。すなわち、バンドパスフィルタ(5)450により、ノックセンサ300が検出した振動から、周波数帯Eの振動のみが抽出される。
積算部460は、バンドパスフィルタ(1)410〜バンドパスフィルタ(5)450により選別された信号、すなわち振動の強度を、クランク角度で5度分づつ積算する。以下、積算された値を積算値と表す。積算値の算出は、周波数帯毎に行なわれる。
合成部470は、積算部460において算出された積算値のうち、周波数帯A〜周波数帯Dの積算値をクランク角度に対応して加算する。本実施の形態においては、合成部470は、算出された周波数帯Aに対応する重み付け係数Caを乗じた上で、周波数帯A〜周波数帯Dの積算値をクランク角度に対応して加算する。このようにして、周波数帯A〜周波数帯Dの振動波形が合成される。また、周波数帯Eの積算値が、エンジン100の振動波形として用いられる。なお、本実施の形態においては、周波数帯Aの振動の強度の積算値に重み付け係数Caを乗じるものとして説明するが、特に、周波数帯Aに限定されるものではなく、複数の周波数帯の振動の強度のうち、ノッキングの判定に対してノッキング以外のノイズの重畳に起因した影響が大きい、少なくともいずれか一つの周波数帯の振動の強度に周波数帯に対応する重み付け係数を乗じるようにしてもよい。
なお、周波数帯Aに対応する重み付け係数Caは、図5に示すようなマップを用いて算出される。図5に示すされるマップにおいて、縦軸は回転負荷Lを示し、横軸はエンジン回転数NEを示す。たとえば、図5に示すように、クランクポジションセンサ306により検出されるエンジン回転数NEがNE(0)までであって、エアフローメータ314により検出される吸入空気量KLに基づく回転負荷LがL(0)までを領域(1)とし、エンジン回転数NEのNE(0)とNE(1)との間であって、かつ、回転負荷LのL(0)とL(1)との間を領域(2)とする。なお、Ne(0)、Ne(1)、L(0)およびL(1)は、予め定められた値であって、実験等により適合されるものである。
エンジンECU200は、回転負荷Lが低負荷となり、エンジン回転数NEが低回転数となり、図5に示すマップにおいて、検出された回転負荷Lとエンジン回転数NEとにより特定されるマップ上の位置が領域(1)になると、周波数帯Aに対応する重み付け係数Caを領域(2)である場合よりも小さく変更する。
たとえば、エンジンECU200は、検出された回転負荷Lとエンジン回転数NEとにより特定されるマップ上の位置が領域(1)であると、重み付け係数Caを「0.5」とする。また、エンジンECU200は、検出された回転負荷Lとエンジン回転数NEとにより特定されるマップ上の位置が領域(2)であると、重み付け係数Caを「1.0」とする。本実施の形態においては、領域(1)における重み付け係数を「0.5」とし、領域(2)における重み付け係数を「1.0」としたが、特にこれに限定されるものではなく、実験等により適合すればよい。また、マップ上に設定される領域は、2つに限定されるものではなく、3以上の複数の領域を設定し、設定された領域のそれぞれに異なる重み付け係数を設定するようにしてもよい。
なお、エンジン100の回転負荷Lは、たとえば、スロットル開度センサ308により検出されるスロットル開度に基づいて検出されるようにしてもよいし、その他周知の技術を用いて検出あるいは推定できればよく、特に吸入空気量KLに基づいて算出されることに限定されるものではない。
図6に示される周波数帯Eの振動波形と、図7に示すノック波形モデルとが比較され、ノッキングが発生したか否かが判定される。ノック波形モデルとは、エンジン100にノッキングが発生した場合の振動波形のモデルであって、エンジン100の振動の波形の基準として予め定められた波形モデルである。ノック波形モデルは、エンジンECU200のメモリ202に記憶される。
ノック波形モデルにおいて、振動の強度は0〜1の無次元数として表され、振動の強度はクランク角と一義的には対応していない。すなわち、本実施の形態のノック波形モデルにおいては、振動の強度のピーク値以降、クランク角が大きくなるにつれ振動の強度が低減することが定められているが、振動の強度がピーク値となるクランク角は定められていない。
本実施の形態におけるノック波形モデルは、ノッキングにより発生した振動の強度のピーク値以降の振動に対応している。なお、ノッキングに起因した振動の立ち上がり以降の振動に対応したノック波形モデルを記憶してもよい。
ノック波形モデルは、実験などにより、強制的にノッキングを発生させた場合におけるエンジン100の振動波形を検出し、この振動波形に基づいて予め作成されて記憶される。ノック波形モデルは、エンジン100の寸法やノックセンサ300の出力値が、寸法公差やノックセンサ300の出力値の公差の中央値であるエンジン(以下、特性中央エンジンと記載する)を用いて作成される。すなわち、ノック波形モデルは、特性中央エンジンに強制的にノッキングを発生させた場合における振動波形である。なお、ノック波形モデルを作成する方法は、これに限られず、その他、シミュレーションにより作成してもよい。
エンジンECU200は、検出された波形と記憶されたノック波形モデルとを比較して、エンジン100にノッキングが発生したか否かを判定する。
なお、検出された波形と記憶されたノック波形モデルとの比較に際し、周波数帯A〜周波数帯Dの合成波形における積算値うち、最も大きい積算値(ピーク値)が算出される。さらに、周波数帯A〜周波数帯Dの合成波形におけるピーク値の位置(クランク角度)が検出される。以下、周波数帯A〜周波数帯Dの合成波形におけるピーク値の位置を「ピーク位置(1)」と記載する。
ピーク位置(1)から予め定められた範囲(クランク角度)内で、周波数帯Eにおけるピーク値の位置を検出する。以下、周波数帯Eにおけるピーク値の位置を「ピーク位置(2)」と記載する。
本実施の形態において、ピーク位置(2)は、ピーク位置(1)以前の範囲内から検出される。たとえば、ピーク位置(1)以前の3つの積算値の位置の中からピーク位置(2)検出される。ピーク位置(1)以前の範囲内において最も大きい周波数帯Eの積算値の位置が、ピーク位置(2)として検出される。なお、ピーク位置(2)が検出される範囲はこれに限られず、ピーク位置(1)以後の範囲であってもよい。
さらに、検出された波形とノック波形モデルとの比較においては、図8に示すように、正規化された波形とノック波形モデルとが比較される。ここで、正規化とは、たとえば、検出された振動波形における積算値の最大値で各積算値を除算することにより、振動の強度を0〜1の無次元数で表わすことである。なお、正規化の方法はこれに限らない。
本実施の形態において、エンジンECU200は、正規化された振動波形がノック波形モデルに類似する度合を表わす(振動波形とノック波形モデルとの偏差を表わす)相関係数Kを算出する。正規化後の振動波形において振動の強度が最大になるタイミングとノック波形モデルにおいて振動の強度が最大になるタイミングとを一致させた状態で、正規化後の振動波形における強度とノック波形モデルにおける強度との差の絶対値(ズレ量)をクランク角ごと(5度ごと)に算出することにより、相関係数Kが算出される。なお、5度以外のクランク角ごとに振動波形における強度とノック波形モデルにおける強度との差の絶対値を算出するようにしてもよい。
ここで、正規化後の振動波形における強度とノック波形モデルにおける強度とのクランク角ごとの差の絶対値をΔS(I)(Iは自然数)とおく。ノック波形モデルにおける振動の強度と正値の基準値とのクランク角ごとの差の合計、すなわち、基準値以上の強度が占めるノック波形モデルの面積をSとおく。相関係数Kは、
K=(S−ΣΔS(I))/S・・・(1)
として算出される。ここで、ΣΔS(I)は、振動波形とノック波形モデルとが比較されるクランク角におけるΔS(I)の総和である。ノック波形モデルの面積Sを算出するために用いられる基準値には、ノック波形モデルとの比較が行なわれて、振動波形の強度とノック波形モデルの強度との差が算出されるクランク角の範囲内での振動波形の強度の最小値が用いられる。なお、基準値は正値であれば、その他、振動波形の強度の最小値以外の値を用いるようにしてもよい。また、相関係数Kの算出方法はこれに限らない。
K=(S−ΣΔS(I))/S・・・(1)
として算出される。ここで、ΣΔS(I)は、振動波形とノック波形モデルとが比較されるクランク角におけるΔS(I)の総和である。ノック波形モデルの面積Sを算出するために用いられる基準値には、ノック波形モデルとの比較が行なわれて、振動波形の強度とノック波形モデルの強度との差が算出されるクランク角の範囲内での振動波形の強度の最小値が用いられる。なお、基準値は正値であれば、その他、振動波形の強度の最小値以外の値を用いるようにしてもよい。また、相関係数Kの算出方法はこれに限らない。
さらに、エンジンECU200は、周波数帯A〜Dの合成波形における予め定められたクランク角の間(0度から90度まで)の積算値(以下、90度積算値と記載する)に基づいて、振動の強度を表わすノック強度Nを算出する。90度積算値をPとし、エンジン100にノッキングが発生していない状態におけるエンジン100の振動の強度を表わす値をBGL(Back Ground Level)とおくと、ノック強度Nは、N=P/BGLという方程式で算出される。なお、BGLはたとえばシミュレーションや実験などに基づいて予め定められ、ROM202に記憶される。また、ノック強度Nの算出方法はこれに限らない。
本実施の形態において、エンジンECU200は、算出されたノック強度NとROM202に記憶された判定値V(KX)とを比較し、さらに検出された波形と記憶されたノック波形モデルとを比較して、エンジン100にノッキングが発生したか否かを1点火サイクルごとに判定する。
図9に示すように、判定値V(KX)は、エンジン回転数NEと吸入空気量KLとをパラメータとした運転状態により区分される領域ごとに、マップとして記憶される。本実施の形態においては、低回転(NE<NE(2))、中回転(NE(2)≦NE<NE(3))、高回転(NE(3)≦NE)、低負荷(KL<KL(1))、中負荷(KL(1)≦KL<KL(2))、高負荷(KL(2)≦KL)で区分することにより、気筒ごとに9つの領域が設けられる。なお、領域の数はこれに限らない。また、エンジン回転数NEおよび吸入空気量KL以外のパラメータを用いて領域を区分するようにしてもよい。
エンジン100もしくは車両の出荷時において、ROM202に記憶される判定値V(KX)(出荷時における判定値V(KX)の初期値)には、予め実験などにより定められる値が用いられる。ところが、ノックセンサ300の出力値のばらつきや劣化などにより、エンジン100で同じ振動が生じた場合であっても、検出される強度が変化し得る。この場合、判定値V(KX)を補正し、実際に検出される強度に応じた判定値V(KX)を用いてノッキングが発生したか否かを判定する必要がある。
そこで、本実施の形態においては、強度Vを対数変換した値である強度値LOG(V)と、各強度値LOG(V)が検出された頻度(回数、確率ともいう)との関係を示す頻度分布に基づいて、ノック判定レベルV(KD)が算出される。
エンジン回転数NEと吸入空気量KLとをパラメータとする領域ごとに強度値LOG(V)が算出される。強度値LOG(V)を算出するために用いられる強度Vは、周波数帯A〜周波数帯Dの合成波形における予め定められたクランク角の間における強度の積算値(0度から90度までの積算値)である。算出される強度LOG(V)に基づいて、強度値LOG(V)の頻度を最小値から累積して50%になる中央値V(50)が算出される。また、中央値V(50)以下の強度値LOG(V)における標準偏差σが算出される。たとえば、本実施の形態においては、複数(たとえば200サイクル)の強度値LOG(V)に基づいて算出される中央値および標準偏差と近似した中央値V(50)および標準偏差σが、以下の算出方法により1点火サイクルごとに算出される。
今回検出された強度値LOG(V)が前回算出された中央値V(50)よりも大きい場合、前回算出された中央値V(50)に予め定められた値C(1)を加算した値が、今回の中央値V(50)として算出される。逆に、今回検出された強度値LOG(V)が前回算出された中央値V(50)よりも小さい場合、前回算出された中央値V(50)から予め定められた値C(2)(たとえばC(2)はC(1)と同じ値)を減算した値が、今回の中央値V(50)として算出される。
今回検出された強度値LOG(V)が、前回算出された中央値V(50)よりも小さく、かつ前回算出された中央値V(50)から前回算出された標準偏差σを減算した値よりも大きい場合、前回算出された標準偏差σから予め定められた値C(3)を2倍した値を減算した値が、今回の標準偏差σとして算出される。逆に、今回検出された強度値LOG(V)が、前回算出された中央値V(50)よりも大きい場合、または前回算出された中央値V(50)から前回算出された標準偏差σを減算した値よりも小さい場合、前回算出された標準偏差σに予め定められた値C(4)(たとえばC(4)はC(3)と同じ値)を加算した値が、今回の標準偏差σとして算出される。なお、中央値V(50)および標準偏差σの算出方法はこれに限定されない。また、中央値V(50)および標準偏差σの初期値は、予め設定された値であってもよいし、「0」であってもよい。
中央値V(50)および標準偏差σを用いて、ノック判定レベルV(KD)が算出される。図10に示すように、中央値V(50)に係数U(1)(U(1)は定数で、たとえばU(1)=3)と標準偏差σとの積を加算した値が、ノック判定レベルV(KD)となる。なお、ノック判定レベルV(KD)の算出方法はこれに限らない。
ノック判定レベルV(KD)よりも大きい強度値LOG(V)の割合(頻度)が、ノッキングが発生した頻度として判定され、ノック占有率KCとしてカウントされる。
ノック占有率KCがしきい値KC(0)よりも大きいと、点火時期の遅角が行なわれる頻度が高くなるように、判定値V(KX)が予め定められた補正量だけ小さく補正される。補正された判定値V(KX)は、SRAMに記憶される。
ノック占有率KCがしきい値KC(0)よりも小さいと、点火時期の進角が行なわれる頻度が高くなるように、判定値V(KX)が予め定められた補正量だけ大きく補正される。
係数U(1)は、実験などより得られたデータや知見から求められた係数である。U(1)=3とした場合のノック判定レベルV(KD)よりも大きい強度値LOG(V)が、実際にノッキングが発生した点火サイクルにおける強度値LOG(V)と略一致する。なお、係数U(1)に「3」以外の値を用いるようにしてもよい。
図11を参照して、本実施の形態に係るノッキング判定装置であるエンジンECU200が、ノッキングが発生したか否かを1点火サイクルごとに判定して点火時期を制御するために実行するプログラムの制御構造について説明する。
ステップ(以下、ステップをSと略す)100にて、エンジンECU200は、クランクポジションセンサ306から送信された信号に基づいて、エンジン回転数NEを検出するとともに、エアフローメータ314から送信された信号に基づいて、吸入空気量KLを検出する。
S102にて、エンジンECU200は、ノックセンサ300から送信された信号に基づいて、エンジン100の振動の強度を検出する。振動の強度は、ノックセンサ300の出力電圧値で表される。なお、ノックセンサ300の出力電圧値と対応した値で振動の強度を表してもよい。強度の検出は、燃焼行程において上死点から90度(クランク角で90度)までの間で行なわれる。
S103にて、エンジンECU200は、検出されたエンジン回転数NEおよび吸入空気量KLに基づいて周波数帯Aの振動の強度の重み付け係数Caを算出する。具体的には、エンジンECU200は、検出されたエンジン回転数NEおよび吸入空気量KLにより特定される図5に示すマップ上の位置に対応する領域に応じて重み付け係数Caを算出する。重み付け係数Caの算出方法については上述したとおりであるため、その詳細な説明は繰り返さない。
S104にて、エンジンECU200は、ノックセンサ300の出力電圧値(振動の強度を表わす値)を、クランク角で5度ごとに(5度分だけ)積算した値(積算値)を算出する。積算値の算出は、周波数帯ごとに行なわれる。さらに、エンジンECU200は、周波数帯Aにおける5度ごとの積算値に重み付け係数Caを乗じた値と周波数帯B〜周波数帯Dの5度ごとの積算値とがクランク角度に対応して加算される(波形が合成される)。また、周波数帯Eの積算値が算出されることにより、エンジン100の振動波形が検出される。
S106にて、エンジンECU200は、周波数帯A〜周波数帯Dの合成波形における90度積算値を算出する。S108にて、エンジンECU200は、周波数帯A〜周波数帯Dの合成波形における積算値うち、最も大きい積算値(ピーク値)を算出する。S110にて、周波数帯A〜周波数帯Dの合成波形におけるピーク位置(1)を検出する。
S112にて、エンジンECU200は、ピーク値の位置(クランク角度)から予め定められた範囲(クランク角度)内で、周波数帯Eにおけるピーク位置(2)を検出する。
S114にて、エンジンECU200は、周波数帯Eの積算値(エンジン100の振動波形)を正規化する。ここで、正規化とは、S108にて算出されたピーク値で、各積算値を除算することにより、振動の強度を無次元数(たとえば0〜1の無次元数)で表わすことをいう。なお、正規化の方法はこれに限られず、その他、たとえばピーク位置(2)における積算値で、各積算値を除算するようにしてもよい。
S116にて、エンジンECU200は、正規化された振動波形とノック波形モデルとの偏差に関する値である相関係数Kを算出する。ピーク位置(2)とノック波形モデルにおいて振動の強度が最大になる位置(タイミング)とを一致させた状態で、正規化後の振動波形とノック波形モデルとの偏差の絶対値(ズレ量)をクランク角ごと(5度ごと)に算出することにより、相関係数Kが算出される。
正規化後の振動波形とノック波形モデルとのクランク角ごとの偏差の絶対値をΔS(I)(Iは自然数)とし、ノック波形モデルにおける振動の強度をクランク角で積分した値(ノック波形モデルの面積)をSとおくと、相関係数Kは、K=(S−ΣΔS(I))/Sという方程式により算出される。ここで、ΣΔS(I)は、ΔS(I)の総和である。なお、相関係数Kの算出方法はこれに限らない。
S118にて、エンジンECU200は、90度積算値をBGLで除算してノック強度Nを算出する。S120にて、エンジンECU200は、相関係数Kがしきい値K(0)より大きく、かつノック強度Nが判定値V(KX)よりも大きいか否かを判別する。相関係数Kがしきい値K(0)より大きく、かつノック強度Nが判定値V(KX)よりも大きいと(S120にてYES)、処理はS122に移される。もしそうでないと(S120にてNO)、処理はS126に移される。
ここで、上述した式(1)は、
K=1−ΣΔS(I)/S・・・(2)
と変形できる。
K=1−ΣΔS(I)/S・・・(2)
と変形できる。
さらに式(2)は、
ΣΔS(I)/S=1−K・・・(3)
と変形できる。したがって、相関係数Kがしきい値K(0)よりも大きいということは、ΣΔS(I)/Sが1−K(0)よりも小さいということと同じである。
ΣΔS(I)/S=1−K・・・(3)
と変形できる。したがって、相関係数Kがしきい値K(0)よりも大きいということは、ΣΔS(I)/Sが1−K(0)よりも小さいということと同じである。
S122にて、エンジンECU200は、ノッキングが発生したと判別する。S124にて、エンジンECU200は、点火時期を遅角する。
S126にて、エンジンECU200は、ノッキングが発生していないと判別する。S128にて、エンジンECU200は、点火時期を進角する。
以上のような構造およびフローチャートに基づく、本実施の形態に係るノッキング判定装置であるエンジンECU200の動作について説明する。
エンジン100の運転中において、クランクポジションセンサ306から送信された信号に基づいて、エンジン回転数NEが検出されるとともに、エアフローメータ314から送信された信号に基づいて、吸入空気量KLが検出される(S100)。また、ノックセンサ300から送信された信号に基づいて、エンジン100の振動の強度が検出される(S102)。検出されたエンジン回転数NE、吸入空気量KLおよび図5に示されるマップに基づいて重み付け係数Caが算出される(S103)。重み付け係数Caは、エンジン回転数NEおよび吸入空気量KLにより特定される図5に示されるマップ上の位置が領域(1)内であれば、重み付け係数Caは、0.5とされ、領域(2)内であれば、重み付け係数Caは、1.0とされる。
燃焼行程における上死点から90度までの間において、5度ごとの積算値が周波数帯A〜Eの振動ごとに算出される(S104)。
このとき、周波数帯Aの積算値に重み付け係数Caを乗じた上で、各周波数帯A〜Dの5度ごとの積算値がクランク角に対応させて加算され、図12において一点鎖線で示すように、振動波形が合成される。また、図12において実線で示す周波数帯Eの積算値は、エンジン100の振動波形として用いられる。さらに、周波数帯A〜Dにおける90度積算値が算出される(S106)。
5度ごとの積算値により振動波形を検出することにより、強度が細かく変化することが抑制された振動波形を検出することができる。そのため、検出された振動波形とノック波形モデルとの比較を容易にすることができる。
算出された積算値に基づいて、周波数帯A〜Dの合成波形における積算値のピーク値が算出される(S108)。このピーク値の位置(ピーク位置(1))が検出される(S110)。ここでは、図12に示すように、ピーク位置(1)が左から6番目の位置(25度〜30度までの積算値の位置)であると想定する。
このピーク位置(1)よりも以前の3つの積算値(左から4番目、5番目および6番目の積算値)の位置の中から、ピーク位置(2)が検出される(S112)。具体的には、周波数帯Eにおいて、左から4番目、5番目および6番目の積算値のうち、隣接する2つの積算値よりも大きい積算値の位置がピーク位置(2)として検出される。
ここでは、図12に示すように、左から5番目の積算値が、隣接する2つの積算値(左から4番目および6番目の積算値)よりも大きいため、左から5番目の積算値の位置がピーク位置(2)として検出されると想定する。
周波数帯A〜周波数帯Dの合成波形におけるピーク値で周波数帯Eにおける積算値が除算されて、振動波形が正規化される(S114)。
正規化により、振動波形における振動の強度が0〜1の無次元数で表される。これにより、振動の強度に関係なく検出された振動波形とノック波形モデルとの比較を行なうことができる。そのため、振動の強度に対応した多数のノック波形モデルを記憶しておく必要がなく、ノック波形モデルの作成を容易にすることができる。
正規化後の振動波形において振動の強度が最大になるタイミング、すなわちピーク位置(2)とノック波形モデルにおいて振動の強度が最大になるタイミングとを一致させ、この状態で、正規化後の振動波形とノック波形モデルとのクランク角ごとの偏差の絶対値ΔS(I)が算出される。このΔS(I)の総和ΣΔS(I)およびノック波形モデルにおいて振動の強度をクランク角で積分した値Sに基づいて、K=(S−ΣΔS(I))/Sにより相関係数Kが算出される(S116)。これにより、検出された振動波形とノック波形モデルとの一致度合を数値化して客観的に判定することができる。また、振動波形とノック波形モデルとを比較することで、振動の減衰傾向など、振動の挙動からノッキング時の振動であるか否かを分析することができる。
さらに、90度積算値PをBGLで除算することにより、ノック強度Nが算出される(S118)。相関係数Kが予め定められた値よりも大きく、かつノック強度Nが判定値V(KX)よりも大きい場合(S120にてYES)、ノッキングが発生したと判定され(S122)、点火時期が遅角される(S124)。これにより、ノッキングの発生が抑制される。
相関係数Kが予め定められた値よりも大きく、かつノック強度Nが判定値V(KX)よりも大きい状態ではない場合(S120にてNO)、ノッキングが発生していないと判定され(S126)、点火時期が進角される(S128)。このようにして、ノック強度Nと判定値V(KX)とを比較することにより1点火サイクルごとにノッキングが発生したか否かが判定され、点火時期が遅角されたり、進角されたりする。
以上のようにして、本実施の形態に係るノッキング判定装置によると、エンジンの低回転、低負荷の条件下においては、絶対振動レベルが小さいため、ノッキングの判定においてノイズの影響を受けやすい。そのため、検出された回転負荷が低いと、タンジェンシャル1次の周波数帯の振動の強度の重み付け係数が小さくなるように変更すると、得られた振動の波形を用いてノッキングを判定する際の、ノイズによる影響を小さくすることができる。また、ノッキングの振動が重畳しやすいタンジェンシャル1次の周波数帯の振動を考慮してエンジンにノッキングが発生したか否かが判定されるため、ノッキングの誤判定を抑制することができる。これにより、ノイズの影響を受ける周波数帯の振動に起因したノッキングの誤判定を抑制することができる。したがって、ノッキングの誤判定を抑制する内燃機関のノッキング判定装置を提供することができる。
さらに、回転負荷に加えて、回転数が小さくなるほど、絶対振動レベルが小さくなる。そのため、タンジェンシャル1次の周波数帯の振動の強度の重み付け係数を、回転数が小さくなるほど、減少するように変更することにより、ノッキングを判定する際の、ノイズによる影響を小さくすることができる。これにより、ノッキングの誤判定を抑制することができる。
本実施の形態においては、検出されたエンジン回転数NEおよび吸入吸気量KLにより特定される図5に示すされるマップ上の位置が、領域(1)と領域(2)との間で移行する際に、重み付け係数Caを領域に対応した値に変化させるものとして説明したが、重み付け係数Caの変更の態様は、特にこれに限定されるものではない。
たとえば、エンジンECU200は、エンジン100の予め定められた回転数の範囲において、エンジン回転数NEに比例して変化するように重み付け係数Caを変更するようにしてもよい。
具体的には、エンジンECU200のROM202には、図13に示すようなマップが予め記憶される。図13に示すマップにおいて、横軸はエンジン回転数NEを示し、縦軸はタンジェンシャル1次の周波数帯の振動の強度に対する重み係数を示す。エンジンECU200は、エンジン回転数NEがNE(4)より小さい場合において重み付け係数Caを0.5とする。また、エンジンECU200は、エンジン回転数NEがNE(5)よりも大きい場合において重み付け係数Caを1.0とする。さらに、エンジンECU200は、エンジン回転数NEがNE(4)以上であって、NE(5)以下である場合においては、重み付け係数Caは、0.5〜1.0のうちエンジン回転数NEの増加量に対応した値を設定する。すなわち、エンジンCU200は、予め定められた回転数の範囲において、エンジン回転数NEに対して重み付け係数Caが比例して変化するように変更する。なお、NE(4)およびNE(5)は、予め定められた値であって、たとえば、実験等により適合される。また、重み付け係数Caは、0.5〜1.0の間で変化することに特に限定されるものではなく、重み付け係数Caの上限値および下限値は、実験等により適切な値に設定すればよい。このように、重み付け係数を変更するようにすると、重み付け係数の急激な変動が抑制されるため、ノッキングの判定の際の誤判定を抑制することができる。
あるいは、エンジンECU200は、重み付け係数Caの変更に応じて検出された振動の波形の強度についての頻度分布の中央値を補正するようにしてもよい。たとえば、図5に示した領域(1)と領域(2)との間での移行時に周波数帯Aに対応する重み付け係数Caが変化する際に頻度分布の中央値を補正するようにしてもよい。
複数の強度値LOG(V)に基づく頻度分布は、各周波数帯A〜Dにおける複数の振動の強度の頻度分布に基づいて得られる。具体的には、複数の強度値LOG(V)に基づく頻度分布は、各周波数帯A〜Dにおける複数の振動の強度の頻度分布の総和により得られる。
周波数帯Aに対応する重み付け係数Caが「0.5」とされる場合には、周波数帯Aにおける複数の振動の強度の頻度分布の中央値は、他の周波数帯B〜Dにおける複数の振動の強度の頻度分布の中央値から大きくずれる場合がある。このため、得られる強度値LOG(V)の頻度分布の精度が悪化する場合がある。そのため、本実施の形態においては、重み付け係数Caの変更時に、周波数帯Aの振動の強度の頻度分布における強度の中央値を補正するようにしてもよい。
補正の態様としては、特に限定されるものではないが、たとえば、周波数帯Aの振動強度についての頻度分布が図14に示すような分布を示す場合においては、周波数帯A〜周波数帯Dのそれぞれの中央値の平均値を基準として周波数帯Aに対応する頻度分布を補正するようにしてもよい。すなわち、中央値の平均値と周波数帯Aの中央値とのズレ量を補正量として、周波数帯Aの頻度分布を補正するようにしてもよい。
たとえば、周波数帯Aの頻度分布において算出される中央値がVa(50)であるとし、各周波数帯A〜Dの中央値の平均値がVm(50)であるとする。この場合、中央値の平均値と周波数帯Aの頻度分布における中央値とのズレ量は、Vm(50)−Va(50)である。そのため、周波数帯Aの頻度分布における各強度値に、ズレ量Vm(50)−Va(50)を加算することにより、周波数帯Aの頻度分布における中央値がVm(50)に補正される。このようにすると、図15に示すように、周波数帯Aの頻度分布における中央値がVm(50)に略等しくなるように補正される。補正された周波数帯Aおよび他の周波数帯B〜周波数帯Dの頻度分布に基づいて複数の振動の強度値LOG(V)の頻度分布が得られるため、特に周波数帯Aの重み付け係数Caの急激な変動による頻度分布の精度の悪化が抑制される。すなわち、ノッキング判定への影響を抑制することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
100 エンジン、102 エアクリーナ、104 インジェクタ、106 点火プラグ、108 ピストン、110 クランクシャフト、112 三元触媒、114 スロットルバルブ、116 吸気バルブ、118 排気バルブ、120 ポンプ、200 エンジンECU、202 ROM、300 ノックセンサ、302 水温センサ、304 タイミングロータ、306 クランクポジションセンサ、308 スロットル開度センサ、310 車速センサ、312 イグニッションスイッチ、314 エアフローメータ、320 補機バッテリ、400 A/D、410,420,430,440,450 バンドパスフィルタ、460 積算部、470 合成部。
Claims (18)
- 内燃機関の振動を検出するための手段と、
前記検出された振動から、ノッキングに対応する予め定められた複数の周波数帯の振動をそれぞれ抽出するための抽出手段と、
前記内燃機関の回転負荷に対応した物理量を検出するための手段と、
前記抽出された複数の周波数帯の振動の強度間の重み付けを、前記検出された回転負荷に応じて変更するための変更手段と、
前記複数の周波数帯の振動の強度に基づいて、クランク角についての予め定められた間隔における振動の波形を検出するための検出手段と、
前記検出された振動の波形を用いて前記内燃機関にノッキングが発生したか否かを判定するための判定手段とを含む、内燃機関のノッキング判定装置。 - 前記変更手段は、前記抽出された複数の周波数帯の振動の強度のうち、ノッキングの判定に対してノッキング以外のノイズの重畳に起因した影響が大きい、少なくともいずれか一つの周波数帯の振動の強度の割合が、前記検出された回転負荷が低下するほど、減少するように重み付けを変更するための手段を含む、請求項1に記載の内燃機関のノッキング判定装置。
- 前記変更手段は、前記回転負荷に加えて、前記回転数が小さくなるほど、前記周波数帯の振動の強度の割合が減少するように重み付けを変更するための手段を含む、請求項2に記載の内燃機関のノッキング判定装置。
- 前記複数の周波数帯の振動は、タンジェンシャル1次の周波数帯の振動を含み、
前記変更手段は、前記検出された回転負荷が低下するほど前記タンジェンシャル1次の周波数帯の振動の強度の重み付けの度合が他の周波数帯の振動の強度の重み付けの度合よりも小さくなるように重み付けを変更するための手段を含む、請求項2または3に記載の内燃機関のノッキング判定装置。 - 前記変更手段は、前記内燃機関の予め定められた回転数の範囲において、前記重み付けの度合が、前記内燃機関の回転数に比例して変化するように前記重み付けを変更するための手段を含む、請求項1〜4のいずれかに記載の内燃機関のノッキング判定装置。
- 前記ノッキング判定装置は、前記検出された振動の波形の強度についての頻度分布を算出するための算出手段をさらに含み、
前記判定手段は、前記検出された振動の振動の波形に加えて、前記算出された頻度分布を用いて前記内燃機関にノッキングが発生したか否かを判定するための手段を含み、
前記算出手段は、前記重み付けの変更に応じて前記頻度分布の中央値を補正するための手段を含む、請求項1〜5のいずれかに記載の内燃機関のノッキング判定装置。 - 前記判定手段は、
前記複数の周波数帯の振動の強度についての予め定められたクランク角の間における積算値の総和に基づいてノック強度を算出するための手段と、
前記算出されたノック強度と予め定められた判定値との比較結果に基づいて前記内燃機関にノッキングが発生したか否かを判定するための手段とを含む、請求項1〜6のいずれかに記載の内燃機関のノッキング判定装置。 - 前記判定手段は、前記ノック強度の比較結果に加えて、前記検出された振動の波形と前記内燃機関の振動の波形の基準として予め定められた波形モデルとの比較結果に基づいて前記内燃機関にノッキングが発生したか否かを判定するための手段を含む、請求項1〜7のいずれかに記載の内燃機関のノッキング判定装置。
- 内燃機関の振動を検出するステップと、
前記検出された振動から、ノッキングに対応する予め定められた複数の周波数帯の振動をそれぞれ抽出する抽出ステップと、
前記内燃機関の回転負荷に対応した物理量を検出するステップと、
前記抽出された複数の周波数帯の振動の強度間の重み付けを、前記検出された回転負荷に応じて変更する変更ステップと、
前記複数の周波数帯の振動の強度に基づいて、クランク角についての予め定められた間隔における振動の波形を検出する検出ステップと、
前記検出された振動の波形を用いて前記内燃機関にノッキングが発生したか否かを判定する判定ステップとを含む、内燃機関のノッキング判定方法。 - 前記変更ステップは、前記抽出された複数の周波数帯の振動の強度のうち、ノッキングの判定に対してノッキング以外のノイズの重畳に起因した影響が大きい、少なくともいずれか一つの周波数帯の振動の強度の割合が、前記検出された回転負荷が低下するほど、減少するように重み付けを変更するステップを含む、請求項9に記載の内燃機関のノッキング判定方法。
- 前記変更ステップは、前記回転負荷に加えて、前記回転数が小さくなるほど、前記周波数帯の振動の強度の割合が減少するように重み付けを変更するステップを含む、請求項10に記載の内燃機関のノッキング判定方法。
- 前記複数の周波数帯の振動は、タンジェンシャル1次の周波数帯の振動を含み、
前記変更ステップは、前記検出された回転負荷が低下するほど前記タンジェンシャル1次の周波数帯の振動の強度の重み付けの度合が他の周波数帯の振動の強度の重み付けの度合よりも小さくなるように重み付けを変更するステップを含む、請求項10または11に記載の内燃機関のノッキング判定方法。 - 前記変更ステップは、前記内燃機関の予め定められた回転数の範囲において、前記重み付けの度合が、前記内燃機関の回転数に比例して変化するように前記重み付けを変更するステップを含む、請求項9〜12のいずれかに記載の内燃機関のノッキング判定方法。
- 前記ノッキング判定方法は、前記検出された振動の波形の強度についての頻度分布を算出する算出ステップをさらに含み、
前記判定ステップは、前記検出された振動の振動の波形に加えて、前記算出された頻度分布を用いて前記内燃機関にノッキングが発生したか否かを判定するステップを含み、
前記算出ステップは、前記重み付けの変更に応じて前記頻度分布の中央値を補正するステップを含む、請求項9〜13のいずれかに記載の内燃機関のノッキング判定方法。 - 前記判定ステップは、
前記複数の周波数帯の振動の強度についての予め定められたクランク角の間における積算値の総和に基づいてノック強度を算出するステップと、
前記算出されたノック強度と予め定められた判定値との比較結果に基づいて前記内燃機関にノッキングが発生したか否かを判定するステップとを含む、請求項9〜14のいずれかに記載の内燃機関のノッキング判定方法。 - 前記判定ステップは、前記ノック強度の比較結果に加えて、前記検出された振動の波形と前記内燃機関の振動の波形の基準として予め定められた波形モデルとの比較結果に基づいて前記内燃機関にノッキングが発生したか否かを判定するステップを含む、請求項9〜15のいずれかに記載の内燃機関のノッキング判定方法。
- 請求項9〜16のいずれかに記載の内燃機関のノッキング判定方法をコンピュータで実現されるプログラム。
- 請求項9〜16のいずれかに記載の内燃機関のノッキング判定方法をコンピュータで実現されるプログラムを記録した記録媒体。
Priority Applications (1)
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JP2007189832A JP2009024641A (ja) | 2007-07-20 | 2007-07-20 | 内燃機関のノッキング判定装置、ノッキング判定方法およびその方法をコンピュータで実現されるプログラムならびにそのプログラムを記録した記録媒体 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2007189832A Withdrawn JP2009024641A (ja) | 2007-07-20 | 2007-07-20 | 内燃機関のノッキング判定装置、ノッキング判定方法およびその方法をコンピュータで実現されるプログラムならびにそのプログラムを記録した記録媒体 |
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