JP2009019745A - ダンパー機構 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ダンパー機構4は、入力回転体2と、ハブフランジ6と、スプラインハブ3と、第3摩擦ワッシャ60と、ブッシュ70と、出力プレート90と、を有している。第3摩擦ワッシャ60は、ハブフランジ6に対して回転不能なようにハブフランジ6に装着され、入力回転体2と軸方向に当接する摩擦部材を有している。ブッシュ70は、ハブフランジ6と第3摩擦ワッシャ60との軸方向間に配置され、第3摩擦ワッシャ60に対して回転不能なようにハブフランジ6および第3摩擦ワッシャ60に装着されている。出力プレート90は、第3摩擦ワッシャ60とブッシュ70との軸方向間に配置され、スプラインハブ3と一体回転可能なようにスプラインハブ3に支持されている。
【選択図】図6
Description
図1または図2を用いて、本発明に係るダンパー機構4が搭載されたクラッチディスク組立体1について説明する。図1にクラッチディスク組立体1の縦断面概略図、図2にクラッチディスク組立体1の平面概略図を示す。図1のO−O線は、クラッチディスク組立体1の回転軸線である。また、図1の左側にエンジンおよびフライホイール7が配置されており、図1の右側にトランスミッション(図示せず)が配置されている。さらに、図2のR1側がクラッチディスク組立体1の回転方向駆動側(正側)であり、R2側がその反対側(負側)である。
<2.1:ダンパー機構の概要> ダンパー機構4は、エンジンから伝達される捩り振動を効果的に減衰および吸収するために、図17に示す捩り特性を有している。具体的には、ダンパー機構4の捩り特性は、正側および負側において4段特性である。捩り特性の正側および負側では、1段目および2段目領域(捩り角度0〜θ1p、0〜θ1n)が低捩り剛性および低ヒステリシストルクの領域であり、3段目および4段目領域(捩り角度θ1p〜θ1p+θ3p、θ1n〜θ1n+θ3n)が高捩り剛性および高ヒステリシストルクの領域である。これらの捩り特性により、このダンパー機構4はアイドル時異音、ティップインおよびティップアウト(低周波振動)などの捩り振動を効果的に減衰および吸収させることができる。
以上の捩り特性を実現するために、このダンパー機構4は以下のような構成を備えている。ここで、図1〜図16を用いてダンパー機構4を構成する各部材について詳細に説明する。図3〜図5はダンパー機構4の平面概略図である。図3はトランスミッション側(図1の右側)から見た平面概略図であり、図4はエンジン側(図1の左側)から見た平面概略図である。図5は図4の部分平面図である。図6〜図8はダンパー機構4の部分断面図である。図6および図7は図1(図2のA−A断面図)の上半分および下半分に対応している。図9はダンパー機構4を構成する一部の構成部材の概略斜視図である。図10はダンパー機構4を構成する一部の構成部材の分解斜視図である。便宜上、図10では後述するウェーブスプリング95が省略されている。図11はトランスミッション側から見た第3摩擦ワッシャ60の平面図である。図12はエンジン側から見たブッシュ70の平面図である。図13はトランスミッション側から見たブッシュ70の平面図である。図14はエンジン側から見た出力プレート90の平面図である。図15はウェーブスプリング95のトランスミッション側から見た平面図である。図16はダンパー機構4の機械回路図である。図16に示す機械回路図は、ダンパー機構4における各部材の回転方向の関係が模式的に描かれた図である。したがって、図16では一体回転する部材は同一の部材として取り扱われている。図16の左右方向が回転軸O−O回りの回転方向に対応している。
第1ダンパー4aは、3段目および4段目領域における高捩り剛性(図17参照)を実現しており、第1回転体としての入力回転体2と、第2回転体としてのハブフランジ6と、4組のコイルスプリングセット8(大コイルスプリング、第3弾性部材、第4弾性部材)と、を有している。
第2ダンパー4bは、1段目および2段目における低捩り剛性の捩り特性(図17参照)を実現しており、主に、第1部材としての第3摩擦ワッシャ60と、第2部材としてのブッシュ70と、第3部材としての出力プレート90と、2つの第1小コイルスプリング7a(第1弾性部材)と、2つの第2小コイルスプリング7b(第2弾性部材)と、第3回転体としてのスプラインハブ3と、を有している。第3摩擦ワッシャ60およびブッシュ70により第1小コイルスプリング7aおよび第2小コイルスプリング7bは弾性変形可能に保持されている。第1小コイルスプリング7aおよび第2小コイルスプリング7bは、小コイルスプリングの一例である。
ダンパー機構4は、捩り振動をより効果的に減衰および吸収させるために、摩擦抵抗を利用してヒステリシストルクを発生させる摩擦発生機構5をさらに有している。具体的には図6および図7に示すように、摩擦発生機構5は、第1摩擦ワッシャ79と、第2摩擦ワッシャ82と、前述の第3摩擦ワッシャ60と、第4摩擦ワッシャ89と、第2摩擦部材としてのウェーブスプリング95と、を有している。第1摩擦ワッシャ79および第4摩擦ワッシャ89により低ヒステリシストルクが実現されており、第2摩擦ワッシャ82および第3摩擦ワッシャ60により高ヒステリシストルクが実現されている。ウェーブスプリング95により2段目領域の低ヒステリシストルクが実現されている。
図1〜図12を用いてクラッチディスク組立体1のダンパー機構4の動作および捩り特性について説明する。ここでは、捩り特性の正側を例に説明し、負側の動作についての説明は省略する。
捩り特性の正側では、図16に示す中立状態からスプラインハブ3に対して入力回転体2がR1側(駆動側)に捩られる。このとき、コイルスプリングセット8の剛性よりも第1小コイルスプリング7aおよび第2小コイルスプリング7bの剛性の方が大幅に小さいため、コイルスプリングセット8はほとんど圧縮されず、入力回転体2およびハブフランジ6は一体回転する。また、第3摩擦ワッシャ60およびブッシュ70がハブフランジ6と一体回転するため、第3摩擦ワッシャ60およびブッシュ70はスプラインハブ3に対して回転する。この結果、第1小コイルスプリング7aが第3摩擦ワッシャ60(ブッシュ70)と出力プレート90との間で圧縮される。入力回転体2およびハブフランジ6がスプラインハブ3に対してさらに回転すると、第1摩擦ワッシャ79がスプラインハブ3のフランジ54と摺動する。以上より、1段目領域において低捩り剛性および低ヒステリシストルクの捩り特性が得られる。
スプラインハブ3に対して入力回転体2がさらにR1側に回転すると、ハブフランジ6に対して入力回転体2が相対回転し、入力回転体2とハブフランジ6との間で第2窓孔42に収容される2つのコイルスプリングセット8の圧縮が開始される。捩り角度が角度θ1p+θ2pまでは、2つのコイルスプリングセット8が並列に圧縮される。このとき、第2摩擦ワッシャ82の第1摩擦プレート83がハブフランジ6と摺動し、第3摩擦ワッシャ60の第2摩擦プレート69がクラッチプレート21と摺動する。第3摩擦ワッシャ60は第2突起63によりハブフランジ6に対する相対回転が確実に規制されているため、入力回転体2がハブフランジ6に対して回転すると、第2摩擦プレート69がクラッチプレート21と必ず摺動し、入力される捩り角度に関係なく入力回転体2とハブフランジ6との間で高ヒステリシストルクが発生する。以上より、3段目領域において高捩り剛性および高ヒステリシストルクの捩り特性が得られる。
ダンパー機構4により得られる効果は以下の通りである。
このダンパー機構4では、入力回転体2がハブフランジ6に対して回転すると、第3摩擦ワッシャ60に固定された第2摩擦プレート69がクラッチプレート21と摺動する。このとき、第3摩擦ワッシャ60およびブッシュ70がハブフランジ6に対して回転するのが確実に規制されているため、入力回転体2とハブフランジ6との相対回転角度が小さい場合であっても、入力回転体2とハブフランジ6との間で必ず高ヒステリシストルクが発生する。これにより、このダンパー機構4では、所望のヒステリシストルクを確実に発生させることができる。
このダンパー機構4では、第3摩擦ワッシャ60の第2突起63が第2切欠部44bおよび第4切欠部47bに嵌め込まれている。また、第2突起63がブッシュ70の第2切欠部76bに嵌め込まれている。さらに、第1突起62がブッシュ70の第1切欠部76aに嵌め込まれている。これらの構成により、第3摩擦ワッシャ60とハブフランジ6との相対回転、および第3摩擦ワッシャ60とブッシュ70との相対回転、を確実に規制することができる。
このダンパー機構4では、第2突起63が、第1窓孔41の縁に形成された第2切欠部44bおよび第2窓孔42の縁に形成された第4切欠部47bに嵌め込まれている。このため、第2突起63を嵌め込むための孔を第1窓孔41および第2窓孔42の半径方向内側に形成する場合に比べて、第2切欠部44bおよび第4切欠部47bをより半径方向外側へ配置することができる。これにより、回転軸O−Oから第2突起63までの有効半径を大きくすることができ、第2突起63に作用する回転方向の荷重を低減することができる。
このダンパー機構4では、第1切欠部44a、第2切欠部44b、第3切欠部47a、第4切欠部47b、第1切欠部76aおよび第2切欠部76bの断面形状が概ね半円である。このため、これらの切欠部への応力集中を抑制することができ、ハブフランジ6やブッシュ70の破損を防止できる。
このダンパー機構4では、第3摩擦ワッシャ60およびブッシュ70が樹脂製である。このため、第1小コイルスプリング7aおよび第2小コイルスプリング7bが第3摩擦ワッシャ60およびブッシュ70と摺動することにより発生するヒステリシストルクを低減でき、1段目および2段目領域のヒステリシストルクの増大を防止できる。
従来、この種のダンパー機構では、クラッチディスクが固定される1対のプレート部材がフライホイールに近接して配置される。このため、フライホイールにプレート部材が干渉しないように、ダンパー機構の外径を大きくすることができない。すなわち、従来のダンパー機構では設計の自由度が低下する。
このダンパー機構4では、フライホイール7に近接して配置されたクラッチプレート21の外径L1がリテーニングプレート22の外径L2よりも小さい。このため、クラッチプレート21がフライホイール7と干渉するのを防止できる。これにより、ダンパー機構4の設計の自由度を高めることができる。また、小型のフライホイール7に対してダンパー機構4を適用することができるため、ダンパー機構4の適用範囲を拡大することができる。
このダンパー機構4では、低捩り剛性の2段目領域においてウェーブスプリング95によりヒステリシストルクが発生する。このため、2段目から3段目にかけて回転方向の抵抗が大きくなり、ダンパー機構4の捩り角度が3段目領域まで達することなく2段目領域の範囲内で抑制されやすくなる。例えば、シフトをニュートラルに入れてクラッチペダルを放している状態で、エンジンでの燃焼変動に起因する捩り振動がダンパー機構4に入力されても、1段目領域を超えて2段目領域まで捩り角度が達したとしても、第1ストッパ9が作動する前に(スプラインハブ3の第1外周歯54aとハブフランジ6の内周歯59とが当接する前に)、捩り振動が減衰される。
このダンパー機構4では、2段目領域のヒステリシストルクを発生させる部材として、ウェーブスプリング95が採用されている。このため、摩擦部材に加えて弾性体を設ける必要がなく、簡素な構造により2段目領域のヒステリシストルクを実現することができる。
このダンパー機構4では、第2小コイルスプリング7bの端部と当接することでウェーブスプリング95は第2小コイルスプリング7bと一体回転可能である。より具体的には、ウェーブスプリング95が、本体部96の外周部から延びており第2小コイルスプリング7bの両端部と回転方向に当接可能な爪部98a、98bを有している。第2小コイルスプリング7bは爪部98a、98bの回転方向間に配置されている。このため、ダンパー機構4の中立状態において、ウェーブスプリング95の回転方向の位置を初期設定位置に戻すことができ、ダンパー機構4の捩り動作が繰り返されても、ウェーブスプリング95によるヒステリシストルクが2段目領域において確実に発生する。
このダンパー機構4では、爪部98a、98bの先端部が軸方向に貫通する円弧状の開口78bをブッシュ70が有しているため、構造の簡素化を図ることができる。
このダンパー機構4では、ブッシュ70の凹部77にウェーブスプリング95が収容されているため、軸方向の寸法を短縮することができる。
本発明の具体的な構成は、前述の実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更および修正が可能である。
前述の実施形態では、ダンパー機構4が搭載されたクラッチディスク組立体1を例に説明しているが、これに限定されない。例えば、このダンパー機構は2マスフライホイールや流体式トルク伝達装置のロックアップ装置などの他の動力伝達装置にも適用可能である。
また、第1突起62、第2突起63、突起74の配置は前述の実施形態に限定されない。
2 入力回転体(第1回転体)
3 スプラインハブ(第3回転体)
4 ダンパー機構
5 摩擦発生機構
6 ハブフランジ(第2回転体)
7a 第1小コイルスプリング
7b 第2小コイルスプリング
8 コイルスプリングセット(大コイルスプリング)
9 第1ストッパ
10 第2ストッパ
21 クラッチプレート(第1プレート部材)
22 リテーニングプレート(第2プレート部材)
41 第1窓孔(開口部)
42 第2窓孔(開口部)
44a 第1切欠部
44b 第2切欠部(第1凹部)
47a 第3切欠部
47b 第4切欠部(第1凹部)
60 第3摩擦ワッシャ(第1部材、保持部材)
61 第3摩擦ワッシャ本体(第1部材本体)
62 第1突起(第3突出部)
63 第2突起(第1突出部)
64 第1収容部
65 第2収容部
69 第2摩擦プレート(第1摩擦部材)
70 ブッシュ(第2部材、保持部材)
71 ブッシュ本体(第2部材本体)
72 第1収容部
73 第2収容部
74 突起(第2突出部)
76a 第1切欠部
76b 第2切欠部(第2凹部)
90 出力プレート
95 ウェーブスプリング(第2摩擦部材)
96 本体部
97 内周歯
98a、98b 爪部
99a、99b 突出部
L1 クラッチプレート21の外径
L2 リテーニングプレート22の外径
θ1p、θ1n 隙間角度(第2角度)
θ2p、θ2n 隙間角度
θ3p、θ3n 隙間角度(第1角度)
θ4p、θ4n 隙間角度
θ5p、θ5n 隙間角度(第3角度)
Claims (10)
- 第1回転体と、
前記第1回転体に対して第1角度の範囲内で回転可能に配置された第2回転体と、
前記第2回転体に対して第2角度の範囲内で回転可能に配置された第3回転体と、
前記第2回転体に対して回転不能なように前記第2回転体に装着され、前記第1回転体と軸方向に当接する摩擦部材を有する第1部材と、
前記第2回転体と前記第1部材との軸方向間に配置され、前記第1部材に対して回転不能なように前記第2回転体および第1部材のうち少なくとも一方に装着された第2部材と、
前記第1部材と前記第2部材との軸方向間に配置され、前記第3回転体と一体回転可能なように前記第3回転体に支持される第3部材と、
回転方向に弾性変形可能なように前記第1および第2部材により保持され、前記第1および第2部材のうち少なくとも一方と前記第3部材とを回転方向に弾性的に連結する少なくとも1つの小コイルスプリングと、
を備えたダンパー機構。 - 前記第1部材は、前記摩擦部材が設けられ前記小コイルスプリングを保持する第1部材本体と、前記第1部材本体から軸方向に延び前記第2回転体に嵌合する複数の第1突出部と、をさらに有している、
請求項1に記載のダンパー機構。 - 前記第1および第2回転体を回転方向に弾性的に連結する少なくとも1つの第2弾性部材をさらに備えており、
前記第2回転体は、前記大コイルスプリングが収容される少なくとも1つの開口部と、前記開口部の縁に形成され前記第1突出部が嵌め込まれる第1凹部と、を有している、
請求項2に記載のダンパー機構。 - 前記第2部材は、前記小コイルスプリングを保持する第2部材本体と、前記第2部材本体の外周部に形成され前記第1突出部が嵌め込まれる複数の第2凹部を有している、
請求項3に記載のダンパー機構。 - 前記第2部材は、前記第2部材本体から軸方向に延び前記第2回転体に嵌め込まれる第2突出部をさらに有している、
請求項4に記載のダンパー機構。 - 前記第2回転体は、前記開口部の縁に形成され前記第2突出部が嵌め込まれる第3凹部をさらに有している、
請求項5に記載のダンパー機構。 - 前記第1部材は、前記第1部材本体から軸方向に延び前記第1突出部よりも短い第3突出部を有しており、
前記第3突出部は、前記第2部材に嵌め込まれている、
請求項6に記載のダンパー機構。 - 回転軸に垂直な面における前記第1突出部の断面形状は、略半円であり、
回転軸に垂直な面における前記第1凹部の断面形状は、前記第1突出部と相補的な略半円である、
請求項7に記載のダンパー機構。 - 前記第3部材は、前記小コイルスプリングの端部の中心軸周辺を回転方向に押圧可能である、
請求項8に記載のダンパー機構。 - 前記第1および第2部材は、樹脂製である、
請求項9に記載のダンパー機構。
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