JP2009019225A - 無電解銅めっき液及び無電解銅めっき方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ニッケル皮膜上にニッケル金属との置換反応によって銅皮膜を形成する無電解銅めっき液であって、前記無電解銅めっき液には、銅の還元剤が非含有であると共に、前記置換反応を緩和する銅の錯化剤が含有されていることを特徴とする。
【選択図】なし
Description
ところで、近年、外部接続端子17を形成するはんだボールとして、人体に有害な鉛が非含有のはんだから成る鉛フリーはんだボールが用いられつつある。
しかし、鉛フリーはんだボールを配線基板のパッド表面に搭載しリフローして得られた外部接続端子17は、その接合性が低下し易いことが判明した。
かかる鉛フリーはんだボールを用いて形成した外部接続端子17の接合性を向上すべく、下記特許文献1では、図3に示す様に、パッド本体12a上のニッケル皮膜16上に無電解銅めっきによって銅皮膜22を形成した後、銅皮膜22上に金皮膜20を形成することが提案されている。
更に、特許文献1には、パッド本体12a上のニッケル皮膜16上に形成する銅皮膜22を、銅の還元剤としてのホルムアルデヒドが添加された無電解銅めっき液を用いた無電解銅めっきによって形成することも提案されている。
更に、形成した銅皮膜22上に金皮膜20を形成したパッドに、鉛フリーはんだボールを搭載しリフローして得られた外部接続端子は、その接合強度を向上できる。
しかしながら、図4に示す如く、基板本体10の一面側を覆うソルダレジスト層14に形成した凹部16の底面に形成したニッケル皮膜18上に、ホルムアルデヒドが添加された無電解銅めっき液を用いた無電解銅めっきによって銅皮膜22を形成すると、図4に示す如く、ニッケル皮膜18上に銅皮膜22が形成されるのみならず、凹部16から食み出してソルダレジスト層14の一部表面にも銅皮膜22aが形成される、いわゆる染め出し現象が発生し易いことが判明した。
図4に示す如く、銅皮膜22aがソルダレジスト層14の一部表面上にも形成されることは、配線基板の外観が低下することは勿論のこと、外部接続端子17をファインピッチで形成する配線基板では、隣接するパッド同士が短絡するおそれがある。
また、銅の還元剤としてのホルムアルデヒドを含有する無電解銅めっき液は液安定性に乏しく、その保管期間は著しく短い。
そこで、本発明では、ニッケル皮膜から食み出して銅皮膜が形成され易く、且つ液安定性に乏しい従来の無電解銅めっき液及び無電解銅めっき方法の課題を解決し、ニッケル皮膜上のみに銅皮膜を容易に形成でき、且つ液安定性に優れた無電解銅めっき液及び無電解銅めっき方法を提供することを目的とする。
この様に、ソルダレジスト層14の一部表面にPd触媒が吸着された配線基板を、ホルムアルデヒドが添加された無電解銅めっき液に浸漬して無電解銅めっきを施すと、ソルダレジスト層14の一部表面に吸着されたPd触媒にも銅が析出して銅皮膜22aが形成される。
このため、本発明者は、予めニッケル皮膜上にPd触媒を吸着することが不要であって、ニッケル皮膜を形成するニッケル金属との置換反応によって銅が析出する置換銅めっきによれば、ニッケル皮膜上のみに銅皮膜を形成できて有効ではないかと考えて検討した結果、本発明に到達した。
また、本発明は、ニッケル皮膜上に銅皮膜を形成する際に、前述した無電解銅めっき液中に前記ニッケル皮膜を浸漬することを特徴とする無電解銅めっき方法でもある。
かかる本発明において、銅の錯化剤として、カルボン酸化合物を好適に用いることができる。特に、カルボン酸化合物として、酒石酸塩を用いるときには、無電解銅めっき液のpHを1.5以下とすること、或いはカルボン酸化合物として、クエン酸塩又はグリシンを用いるときには、無電解銅めっき液のpHを2.0以下とすることによって、添加したカルボン酸化合物を充分に溶解できる。
更に、ニッケル皮膜としては、無電解ニッケルめっきによって形成したニッケル皮膜である場合、本発明を有効に適用できる。
尚、無電解銅めっき液中の銅としては、硫酸銅から由来していることが好ましい。
しかも、本発明に係る無電解銅めっき液には、ニッケル金属との置換反応を緩和する銅の錯化剤が含有されているため、ニッケル皮膜上のみに緻密な銅皮膜を形成できる。
また、本発明に係る無電解銅めっき液には、銅の還元剤が非含有であるため、液安定性に優れており、銅の還元剤が含有されている無電解銅めっき液に比較して、その保管時間を長くできる。
かかる無電解銅めっき液中の銅は、硫酸銅から由来した銅とすることによって、ニッケル金属との置換反応が進行し易い。
更に、ニッケル皮膜としては、電解ニッケルめっきによって形成したものでもよいが、無電解ニッケルめっきによって形成されたニッケル皮膜に対して、本発明の無電解銅めっき液を好適に用いることができる。無電解ニッケルめっきによって形成したニッケル皮膜
中には、無電解ニッケルめっきに含有されている各種剤が含有されていることに起因するものと考えられる。
また、本発明に係る無電解銅めっき液には、ホルムアルデヒド等の銅の還元剤が非含有である。このため、本発明に係る無電解銅めっき液は、液安定性が良好であって、室温下で1週間以上の長時間の保管が可能である。他方、ホルムアルデヒド等の銅の還元剤が含有されている無電解銅めっき液では、その液安定性が乏しく、室温下で保管していると1日以内に沈殿物が生じる。
かかる銅の錯化剤としては、カルボン酸化合物を用いることができ、特に酒石酸塩、クエン酸塩又はグリシンを好適に用いることができる。
但し、カルボン酸化合物として酒石酸塩を用いる場合には、無電解銅めっき液のpHを1.5以下にすること、或いはカルボン酸化合物としてクエン酸塩又はグリシンを用いる場合には、無電解銅めっき液のpHを2.0以下にすることによって、これらのカルボン酸化合物を無電解銅めっき液に充分に溶解できる。かかるpHの調整は硫酸によって行うことが好ましい。
ここで、酒石酸塩としては、酒石酸ナトリウム、酒石酸カリウム、酒石酸ナトリウム・カリウム(ロッシェル塩)、酒石酸のアンモニウム塩等を好適に上げることができる。かかる酒石酸塩の添加量は、無電解銅めっき液1リットル当たり50g以上、特に100g以上とすることが好ましい。
また、クエン酸塩としては、クエン酸カリウム、クエン酸ナトリム等を挙げることができる。このクエン酸塩又はグリシンの添加量は、無電解銅めっき液1リットル当たり30〜90g程度とすることが好ましい。
無電解銅めっきを施して得られた配線基板の部分正面図を図1に示す。図1に示す様に、得られた配線基板では、配線本体10の一面側を覆うソルダレジスト層10に形成された凹部16の底面に露出するニッケル皮膜18上のみに銅皮膜14が形成されており、ソルダレジスト層140の部分には銅皮膜は形成されていない。また、形成された銅皮膜22は、均斉で且つ緻密なものであった。
更に、形成した銅皮膜22上に無電解金めっきを施して金皮膜20を形成したパッド上に、鉛フリーはんだボールを搭載しリフローして外部接続端子17を形成できる。
また、本発明に係る無電解銅めっき方法によれば、予めニッケル皮膜上にPd触媒等を吸着する前処理を不要にでき、銅皮膜の形成工程の短縮を図ることができる。
更に、本発明に係る無電解銅めっき液は、その液安定性に優れているため、無電解銅めっき液を長時間保管でき、無電解銅めっき液の管理を簡単化できる。
しかし、配線基板を電解銅めっき液に浸漬して30分経過しても、ニッケル皮膜上に銅は析出しなかった。
尚、かかる無電解銅めっき液を室温下で放置しておくと、放置開始から24時間以内に沈殿が生じ、液安定性にも乏しいことが判る。
配線基板の凹部底面を形成するニッケル皮膜の一部に銅皮膜が形成されていたが、ニッケル皮膜の全体に銅皮膜は形成されなかった。
配線基板の凹部底面を形成するニッケル皮膜の全体を覆うように銅皮膜が形成されていたが、ソルダレジスト層の一部表面まで銅皮膜が食み出して形成される、いわゆる染め出し現象が発生していた。
所定時間経過後に、配線基板を無電解銅めっき液から取り上げて洗浄した後、銅皮膜の外観を検査したところ、凹部底面のニッケル皮膜上のみに均斉で且つ緻密な銅皮膜が形成されており、ソルダレジスト層の表面には銅皮膜が形成されていなかった。
但し、この無電解銅めっき液は、そのpHが7.5未満であると、ニッケル皮膜上への銅皮膜の未着現象が発現し、そのpHが9を超えると、ソルダレジスト層の一部表面に銅皮膜が食み出して形成される染め出し現象が発現する。
この様に、この無電解銅めっき液はpH7.5〜9の狭い範囲で始めて所定の性能が発揮されるため、そのpH管理が困難である。
また、かかる無電解銅めっき液を室温下で放置しておくと、放置開始から24時間以内に沈殿が生じ、液安定性は乏しいことが判る。
得られた無電解銅めっき液に、一面側を覆うソルダレジスト層に形成された凹部底面を形成するニッケル皮膜が露出する配線基板を室温下で所定時間浸漬し、ニッケル皮膜に無電解銅めっきを施した。
所定時間経過後に、配線基板を無電解銅めっき液から取り上げて洗浄した後、銅皮膜の外観を検査したところ、凹部底面のニッケル皮膜上のみに銅皮膜が形成されてはいるものの、形成された銅皮膜の外観及び膜質は、いわゆる焼けめっき状であって不良品であった。
この配線基板を大気中で165℃、6時間の加熱処理を施した後、各パッドの金皮膜上に鉛フリーはんだ(Sn−Ag−Cu)から成るはんだボールを搭載し、次いで、リフローを3回施して外部接続端子を形成した。
得られた外部接続端子について、常温ボールプル試験装置を用いて接合強度を調査した。この調査では、外部接続端子を試験装置で引っ張り、外部接続端子の破壊モードで接合強度を評価した。すなわち、外部接続端子の破壊が、下地としてのニッケル皮膜と配線基板表面との間や配線基板内或いは外部接続端子内で発生して場合をOKとし、外部接続端子の境界面で発生している場合をNGとした。
かかる外部接続端子の破壊を一の配線基板内で28箇所で行い、80%以上がOKの配線基板を○とし、80〜30%がOKの配線基板を△とした。また、OKが30%以下の配線基板を×とした。
かかる外部接続端子の接合強度の調査では、比較例4で形成した配線基板の外部接続端子の接合強度が○であり、実施例1で形成した配線基板の外部接続端子の接合強度は○〜△であった。実施例1の配線基板の外部接続端子の接合強度は、比較例4の配線基板の外部接続端子の接合強度よりも若干低目であるが、実用的には問題のない範囲内である。
従って、無電解銅めっき液の液安定性及び染め出し現象の発生し易さも勘案して、実施例1の無電解銅めっき液が比較例4の無電解銅めっき液よりも総合的に優れていると判断される。
12 配線パターン
12a パッド本体
14 ソルダレジスト
16 凹部
17 外部接続端子
18 ニッケル皮膜
20 金皮膜
22 銅皮膜
Claims (7)
- ニッケル皮膜上にニッケル金属との置換反応によって銅皮膜を形成する無電解銅めっき液であって、
前記無電解銅めっき液には、銅の還元剤が非含有であると共に、前記置換反応を緩和する銅の錯化剤が含有されていることを特徴とする無電解銅めっき液。 - 銅の錯化剤が、カルボン酸化合物である請求項1記載の無電解銅めっき液。
- カルボン酸化合物が、酒石酸塩であって、無電解銅めっき液のpHが1.5以下である請求項2記載の無電解銅めっき液。
- カルボン酸化合物が、クエン酸塩又はグリシンであって、無電解銅めっき液のpHが2.0以下である請求項2記載の無電解銅めっき液。
- ニッケル皮膜が、無電解ニッケルめっきによって形成されている請求項1〜4のいずれか一項記載の無電解銅めっき液。
- 無電解銅めっき液中の銅が、硫酸銅から由来している請求項1〜5のいずれか一項記載の無電解銅めっき液。
- ニッケル皮膜上に銅皮膜を形成する際に、前記ニッケル皮膜を請求項1〜6のいずれか一項記載の無電解銅めっき液中に浸漬することを特徴とする無電解銅めっき方法。
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