JP2009019096A - カバーレイ - Google Patents

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昌宏 小國
Shu Maeda
周 前田
Koichi Sawazaki
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Abstract

【課題】
寸法安定性に優れ、かつ耐熱性も優れ、AOIに適応可能な特性を備えると共に、走行性(易滑性)、接着性にも優れたカバーレイを提供する。
【解決手段】
ジアミン成分としてパラフェニレンジアミン及び4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、酸二無水物成分としてピロメリット酸二無水物とから主としてなるポリイミドフィルムを用い、このポリイミドフィルムの片面に、接着剤層を形成してなるカバーレイであって、粒子径が0.01〜1.5μmの範囲内にあり、かつ平均粒子径が0.05〜0.7μmである無機粒子を主体とする粉体がフィルム樹脂重量当たり0.1〜0.9重量%の割合で、フィルム中に分散されているポリイミドフィルムを用いることを特徴とするカバーレイ。
【選択図】なし

Description

本発明は、カバーレイに関するものであり、更に詳しくはポリイミドフィルムを基材として、その片面に接着剤層を形成することにより得られるカバーレイに関するものである。さらに詳しくは、無機微細粉体を添加することにより、無機粉体が露出せず、フィルム中に均一に分散した状態で表面突起を発生させ、表面状態を制御し、フィルムの走行性および接着性、並びにフレキシブルプリント配線基板(FPC)やチップオンフィルム(COF)の自動光学検査システム(AOI)に適応可能な耐熱性ポリイミドフィルムを用いたカバーレイに関するものである。
プリント配線板は広く電子・電機機器に使用されている。中でも、折り曲げ可能なフレキシブルプリント配線板は、パーソナルコンピューターや携帯電話等の折り曲げ部分、ハードディスク等の屈曲が必要な部分に広く使用されている。フレキシブルプリント配線板の配線回路は耐熱性樹脂一体的に積層された金属箔を科学的にエッチングして形成されるが、この配線回路の表面は酸化されやすいので、その上を覆う保護層が設けられ、この保護層を通常カバーレイと称している。このようなフレキシブルプリント配線板の基材、及び配線板を保護するためのカバーレイの基材としては、通常各種のポリイミドフィルムが使用されている。
ポリイミドフィルムの代表的なものは、酸二無水物成分としてピロメリット酸ニ無水物を用い、ジアミン成分として4,4’−ジアミノジフェニルエーテルを用いるポリイミドフィルムが挙げられる。このようなポリイミドフィルムは機械的、熱的特性のバランスに優れた構造を有しており、汎用の製品として広く工業的に用いられている。しかしながら、ピロメリット酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルとからなるポリイミドフィルムは曲げやすい長所を有する反面、カバーレイとして用いる場合には柔らかすぎてしわが発生しやすい。しわが発生すると、その部分に空気を噛み込み、配線の腐食等が起こり、結果として配線に不良を引き起こす問題があった。
また、ピロメリット酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルとからなるポリイミドフィルムは、熱膨張係数(CTE)や吸湿膨張係数(CHE)が大きく、吸水率も高い為、熱や吸水による寸法変化が大きい。その為、カバーレイとして使用した場合、配線板との寸法変化にずれが起こり、貼り合わせた時に反りが生じる問題点を有していた。
このような問題を解決する為、ポリイミドフィルム以外の寸法変化が小さい基材、例えば液晶フィルム等を用いてカバーレイを形成する方法(例えば特許文献1参照)等が開示されているが、液晶フィルムはポリイミドフィルムに比べて耐熱性が劣っており、半田付けの際に基材が変形するという問題を有していた。とりわけ近年は環境の問題から鉛を使用しない鉛フリー半田が広がっているが、鉛フリー半田のほとんどは融点が鉛含有半田よりも高い為、液晶フィルムの基材変形の問題は一層深刻となっていた。
また、ポリイミドフィルムがカバーレイに用いられる際、重要な実用特性の一つとしてフィルムの滑り性(易滑性)が挙げられる。様々なフィルム加工工程において、フィルム支持体(たとえばロール)とフィルムの易滑性、またフィルム同志の易滑性が確保されることにより、各工程における操作性、取り扱い性を向上させ、更にはフィルム上にシワ等の不良個所の発生が回避できる。しかしながら、最近の電子部品のファインピッチ化において、カバーレイを貼り付けたフレキシブルプリント配線板の検査において、従来は目視による配線幅、異物等の検査が主流であったが、自動光学検査システム(AOI)が導入される様になって以降は、易滑性向上の目的で無機粉体を混入する従来処方では、AOIにおいて無機粉体が大きすぎて向き粉体が異物と判断され、大きな障害になっている。従来のポリイミドフィルムにおける易滑化技術では、不活性無機化合物(例えばアルカリ土類金属のオルトリン酸塩、第2リン酸カルシウム無水物、ピロリン酸カルシウム、シリカ、タルク)をポリアミック酸に添加する方法(特許文献2参照)、更には微細粒子によってフィルム表面に微細な突起を形成後、プラズマ処理を施す方法(特許文献3参照)が知られている。しかしこれらに示される粒子は粒子径が大きく、自動光学検査システムには適応しないという問題がある。またポリイミドフィルム表層に平均粒子径が0.01〜100μmである無機質粒子が各粒子の一部をそれぞれ埋設させて保持されていて一部露出した前記無機質粒子からなる多数の突起が該フィルムの表面層に1×10〜5×10個/mm存在させる方法(特許文献4参照)が知られている。この方法は、積極的に表面に突起を露出させ、フィルム表面の摩擦係数を低減させることにより、易滑性効果を効果的に得る物であるが無機質粒子が一部露出しているためフィルム表面へのすり傷が発生し外観不良をきたすといった問題を抱えている。
特開2000−280341号公報 特開昭62−68852号公報 特開2000−191810号公報 特開平5−25295号公報
したがって、本発明の目的は、かかるカバーレイの寸法変化と耐熱性の両方の問題を解決し、鉛フリー半田を用いたフレキシブルプリント配線板と貼り合わせるのに適したカバーレイであり、かつ走行性(易滑性)と接着性及び自動光学検査システム(AOI)を同時に満足させることができるカバーレイを提供することにある。
本発明は、上記の目的を達成するため、以下の構成を採用する。
(1)ジアミン成分としてパラフェニレンジアミン及び4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、酸二無水物成分としてピロメリット酸二無水物とから主としてなるポリイミドフィルムを用い、このポリイミドフィルムの片面に、接着剤層を形成してなるカバーレイであって、粒子径が0.01〜1.5μmの範囲内にあり、かつ平均粒子径が0.05〜0.7μmである無機粒子を主体とする粉体がフィルム樹脂重量当たり0.1〜0.9重量%の割合で、フィルム中に分散されているポリイミドフィルムを用いることを特徴とするカバーレイ。
(2)ポリイミドフィルムが、ジアミン成分として10〜50モル%のパラフェニレンジアミン及び50〜90モル%の4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、酸二無水物成分としてピロメリット酸二無水物とから主としてなることを特徴とする(1)記載のカバーレイ。
(3)ポリイミドフィルムが、弾性率3〜6GPa、50〜200℃での線膨張係数が5〜20ppm/℃、湿度膨張係数が25ppm/%RH以下、吸水率が3%以下、200℃1時間での加熱収縮率が0.10%以下であることを特徴とする(1)または(2)記載のカバーレイ。
(4)接着剤がエポキシ樹脂、アクリル樹脂、及びポリイミド樹脂から選ばれる少なくとも1種から主としてなることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のカバーレイ。
(5)無機粒子がフィルム樹脂重量当たり0.3〜0.8重量%の割合で含まれていることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載のカバーレイ。
(6)無機粒子の平均粒子径が0.1〜0.6μmであることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載のカバーレイ。
(7)無機粒子の平均粒子径が0.3〜0.5μmであることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載のカバーレイ。
(8)無機粒子の粒度分布において、粒子径0.15〜0.60μmの粒子が全粒子中80体積%以上の割合を占めることを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載のカバーレイ。
(9)フィルムの表面に、無機粒子に起因するが無機粒子が表面に露出していない突起が複数個存在することを特徴とする(1)〜(8)のいずれかに記載のカバーレイ。
(10)複数の突起のうち、高さ2μm以上の突起数が5個/40cm角以下であることを特徴とする(9)に記載のカバーレイ。
(11)フィルム厚みが5〜175μmであることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載のカバーレイ。
本発明によれば、鉛フリー半田を用いても変形せず、無機微細粉体を添加することによって、無機粉体が露出せず、フィルム中に均一に分散した状態で微細な表面突起を発現させ、なおかつフィルムの走行性および接着性が向上することから、微細な配線を形成するフレキシブルプリント配線板のカバーレイとして好適である。
本発明のカバーレイは、フレキシブルプリント配線板の基材及び配線板を保護するためのものであり、その基材としてポリイミドフィルムを用い、このポリイミドフィルムの片面に接着剤を形成したものである。
ここで、基材のポリイミドフィルムとしては、ジアミン成分としてパラフェニレンジアミン及び4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、酸二無水物成分としてピロメリット酸二無水物とから主としてなるポリイミドフィルムである。すなわち、パラフェニレンジアミン、4、4’−ジアミノジフェニルエーテル、ピロメリット酸二無水物の3種類を必須成分とし、これら3種類のみ、あるいはこれら3種類に加えて少量の別成分を加えることにより得られるポリイミドフィルムである。好ましくはジアミン成分として10〜50モル%のパラフェニレンジアミン及び50〜90モル%の4,4’−ジアミノジフェニルエーテルを用い、酸二無水物成分としてピロメリット酸二無水物を用いてなるポリイミドフィルムである。更に好ましくは、弾性率が3〜6GPa、50〜200℃での線膨張係数が5〜20ppm/℃、湿度膨張係数が25ppm/%RH以下、吸水率が3%以下、200℃1時間での加熱収縮率が0.10%以下であるポリイミドフィルムである。パラフェニレンジアミンが多すぎると硬くなり、少なすぎると柔らかすぎるので、10〜50モル%が好ましく、更に好ましくは15〜45モル%、より好ましくは20〜40モル%である。4,4’−ジアミノジフェニルエーテルが多すぎると柔らかくなり、少なすぎると硬くなるので、50〜90モル%が好ましく、更に好ましくは55〜85モル%、より好ましくは60〜80モル%である。硬さの指標である弾性率は3〜6GPaの範囲が好ましく、6GPaを超えると硬すぎ、3GPaより小さいと柔らかすぎる。線膨張係数は5〜20ppm/℃が好ましく、20ppm/℃を超えると熱による寸法変化が大き過ぎ、5ppm/℃より小さくなると、配線に使用される金属との線膨張係数との差が大きくなるため反りが生じてしまう。湿度膨張係数が25ppm/%RHを超えると湿度による寸法変化が大き過ぎるので、湿度膨張係数は25ppm/%RH以下が好ましい。吸水率が3%を超えると、吸い込んだ水の影響でフィルムの寸法変化が大きくなるので3%以下が好ましい。200℃1時間の加熱収縮率が0.10%を超えるとやはり熱による寸法変化が大きくなるので、加熱収縮率は0.10%以下が好ましい。
本発明におけるポリイミドフィルムには、上述の通り、パラフェニレンジアミンや4,4’―ジアミノジフェニルエーテル以外に少量のジアミンを添加してもよい。また、ピロメリット酸二無水物以外に少量の酸二無水物を添加してもよい。具体的なジアミン及び酸二無水物としては以下のものが挙げられるが、これらに限定されない。
(1)酸二無水物
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3’,3,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンジカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル、ピリジン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−デカヒドロナフタレンテトラカルボン酸二無水物、4,8−ジメチル−1,2,5,6−ヘキサヒドロナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,6−ジクロロ−1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,7−ジクロロ−1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−テトラクロロ−1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,8,9,10−フェナントレンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ベンゼン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、3,4,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物等。
(2)ジアミン
3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、メタフェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、3,4’−ジアミノジフェニルプロパン、3,3’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、ベンチジン、4,4’−ジアミノジフェニルサルファイド、3,4’−ジアミノジフェニルサルファイド、3,3’−ジアミノジフェニルサルファイド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、2,6−ジアミノピリジン、ビス−(4−アミノフェニル)ジエチルシラン、3,3’−ジクロロベンチジン、ビス−(4−アミノフェニル)エチルホスフィノキサイド、ビス−(4−アミノフェニル)フェニルホスフィノキサイド、ビス−(4−アミノフェニル)−N−フェニルアミン、ビス−(4−アミノフェニル)−N−メチルアミン、1,5−ジアミノナフタレン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,4’−ジメチル−3’,4−ジアミノビフェニル3,3’−ジメトキシベンチジン、2,4−ビス(p−β−アミノ−t−ブチルフェニル)エーテル、ビス(p−β−アミノ−t−ブチルフェニル)エーテル、p−ビス(2−メチル−4−アミノペンチル)ベンゼン、p−ビス−(1,1−ジメチル−5−アミノペンチル)ベンゼン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、1,3−ジアミノアダマンタン、3,3’−ジアミノ−1,1’−ジアミノアダマンタン、3,3’−ジアミノメチル1,1’−ジアダマンタン、ビス(p−アミノシクロヘキシル)メタン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、3−メチルヘプタメチレンジアミン、4,4’−ジメチルヘプタメチレンジアミン、2,11−ジアミノドデカン、1,2−ビス(3−アミノプロポキシ)エタン、2,2−ジメチルプロピレンジアミン、3−メトキシヘキサエチレンジアミン、2,5−ジメチルヘキサメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘプタメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,12−ジアミノオクタデカン、2,5−ジアミノ−1,3,4−オキサジアゾール、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、N−(3−アミノフェニル)−4−アミノベンズアミド、4−アミノフェニル−3−アミノベンゾエート等。
ポリイミドフィルムを製造する際には、通常まずジアミンと酸二無水物とを重合してポリイミドの前駆体であるポリアミック酸を合成し、しかる後にフィルム状にしながら、或いはフィルム状にした後にイミド化してポリイミドフィルムとする。本発明においては、ジアミン成分を最低2種類、酸二無水物を最低1種類用いるが、これらの成分を一度に混合してランダムに重合させてもよく、また適当な組み合わせで順に混合し、ブロック重合してもよい。例えば、まずパラフェニレンジアミンとピロメリット酸二無水物とを反応させ、しかる後に4,4’−ジアミノジフェニルエーテルを加えるブロック重合、あるいはまず4,4’−ジアミノジフェニルエーテルとピロメリット酸二無水物とを反応させ、しかる後にパラフェニレンジアミンを加えるブロック重合などが挙げられる。重合の際に用いる溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどが挙げられるが、これらに限定されない。また、β−ピコリンのような第三級アミン類に代表される各種触媒、無水酢酸のような有機カルボン酸無水物に代表される各種脱水剤などを適宜使用してもよい。
重合方法は公知のいずれの方法で行ってもよく、例えば(1)〜(5)が挙げられる。
(1)先に芳香族ジアミン成分全量を溶媒中に入れ、その後芳香族テトラカルボン酸類成分を芳香族ジアミン成分全量と当量になるよう加えて重合する方法。
(2)先に芳香族テトラカルボン酸類成分全量を溶媒中に入れ、その後芳香族ジアミン成分を芳香族テトラカルボン酸類成分と等量になるよう加えて重合する方法。
(3)一方の芳香族ジアミン化合物を溶媒中に入れた後、反応成分に対して芳香族テトラカルボン酸類化合物が95〜105モル%となる比率で反応に必要な時間混合した後、もう一方の芳香族ジアミン化合物を添加し、続いて芳香族テトラカルボン酸類化合物を全芳香族ジアミン成分と全芳香族テトラカルボン酸類成分とがほぼ等量になるよう添加して重合する方法。
(4)芳香族テトラカルボン酸類化合物を溶媒中に入れた後、反応成分に対して一方の芳香族ジアミン化合物が95〜105モル%となる比率で反応に必要な時間混合した後、芳香族テトラカルボン酸類化合物を添加し、続いてもう一方の芳香族ジアミン化合物を全芳香族ジアミン成分と全芳香族テトラカルボン酸類成分とがほぼ等量になるよう添加して重合する方法。
(5)溶媒中で一方の芳香族ジアミン成分と芳香族テトラカルボン酸類をどちらかが過剰になるよう反応させてポリアミド酸溶液(A)を調整し、別の溶媒中でもう一方の芳香族ジアミン成分と芳香族テトラカルボン酸類をどちらかが過剰になるよう反応させポリアミド酸溶液(B)を調整する。こうして得られた各ポリアミド酸溶液(A)と(B)を混合し、重合を完結する方法。この時ポリアミド酸溶液(A)を調整するに際し芳香族ジアミン成分が過剰の場合、ポリアミド酸溶液(B)では芳香族テトラカルボン酸成分を過剰に、またポリアミド酸溶液(A)で芳香族テトラカルボン酸成分が過剰の場合、ポリアミド酸溶液(B)では芳香族ジアミン成分を過剰にし、ポリアミド酸溶液(A)と(B)を混ぜ合わせこれら反応に使用される全芳香族ジアミン成分と全芳香族テトラカルボン酸類成分とがほぼ等量になるよう調整する。
なお、重合方法はこれらに限定されることはなく、その他公知の方法を用いてもよい。
こうして得られるポリアミック酸溶液は、固形分を5〜40重量%、好ましくは10〜30重量%を含有しており、またその粘度はブルックフィールド粘度計による測定値で10〜2000Pa・s、好ましくは、100〜1000Pa・sのものが、安定した送液のために好ましく使用される。また、有機溶媒溶液中のポリアミック酸は部分的にイミド化されていてもよい。
本発明のフィルム表面上に突起を形成させるために添加される無機微粉体は、前記のポリイミドフィルム製造工程で接触する全ての化学物質に対して不溶である必要がある。その点から、シリカ、とりわけゾル・ゲル法で湿式粉砕法で製造したシリカが、ワニス状ポリアミド酸溶液中で安定し、かつ物理的に安定し、ポリイミドの諸物性に影響を与えないので好ましい。
さらに、微細シリカ粉は、N,Nージメチルホルムアミド、N、N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホオキサイド、nーメチルピロリドン等の極性溶媒に均一に極性溶媒に分散させたシリカスラリーとして使用することで凝集を防止するため好ましい。このスラリーは、粒子径が非常に小さいため沈降速度が遅く安定している。また、たとえ沈降しても再攪拌する事で容易に再分散可能である。
本発明における、ポリイミドフィルムの表面に突起を形成させる為に添加される無機粉体の粒子径が0.01〜1.5μmの範囲内にあること、かつ平均粒子径が0.05μm〜0.7μmの範囲、より好ましくは0.1〜0.6μmの範囲、さらにより好ましくは0.3〜0.5μmの範囲にある場合、該ポリイミドフィルムの自動光学検査システムでの検査が問題なく適応できる。またフィルムの機械物性等の低下を発生させずに使用可能である。逆にこれらの範囲より平均粒子径が下回るとフィルムへの充分な易滑性が得られなく、上回ると自動検査検査システムで該粒子が異物と判断され障害を来すので好ましくない。また通常のフィルムの厚さは5μm〜175μmであるため、この粒子径範囲での粒子が表面に露出することはない。
無機粒子はフィルム樹脂重量当たり0.1〜0.9重量%が好ましく、0.3〜0.8重量%の割合で含まれていることがより好ましい。0.1重量%以下であるとフィルム表面の突起数も不足することによってフィルムへの充分な易滑性が得られず、搬送性が悪化し、ロールに巻いた時のフィルム巻姿も悪化するので好ましくない。また0.9重量%以上であるとフィルムの易滑性は良化するものの、粒子の異常凝集による粗大突起が増加し、これが結果的に自動検査検査システムで異物と判断され障害を来すので好ましくない。
無機粒子による表面突起により、フィルム表面積も拡大し、十分に粗面化されアンカー効果が見られ接着性も損なうこともなくなる。
無機粒子の粒度分布においては狭い分布であること、つまり類似の大きさの粒子が全粒子に占める割合が高い方が良く、具体的には粒子径0.15〜0.60μmの粒子が全粒子中80体積%以上の割合を占めることが好ましい。この範囲を下回り0.15μm以下の粒子の占める割合が高くなると、フィルムの易滑性が低下し好ましくない。また無機粒子送液の際には5μmカットフィルターや10μmカットフィルターにより粗粒を除去することが可能であるが、0.60μm以上の粒子の占める割合が高くなると、フィルターの目詰まりを頻発させてしまい工程安定性を損ねること、ならびに粒子の粗大凝集が生じやすくなるので好ましくない。
本発明におけるフィルムは、無機粒子に起因する突起がフィルム表面に複数個存在するが、その突起は無機粒子が表面に露出していないことが重要である。
無機粒子に起因したフィルム表面突起においては、高さ2μm以上の突起数が5個/40cm角以下であること、より好ましくは3個/40cm角以下、さらにより好ましくは1個/40cm角以下であることである。これよりも多いと自動検査検査システムで該粒子が異物と判断され障害を来すので好ましくない。
このような無機粒子を、ポリイミドの製造に使用される有機溶媒と同じ極性溶媒に分散させたスラリーをポリイミド製造工程中のポリアミド酸溶液に添加して後、脱環化脱溶媒させてポリイミドフィルムを得ることが好ましいが、ポリアミド酸重合前の有機溶媒中に無機粒子スラリーを添加した後、ポリアミド酸重合、脱環化脱溶媒を経てポリイミドフィルムを得ることなど、脱環化脱溶媒前の工程であればいかなる工程において無機粒子スラリーを添加することが可能である。
ポリイミドフィルムの厚みについては特に限定されないが、好ましくは1〜225μm、より好ましくは3〜175μm、更に好ましくは5〜125μmである。厚すぎるとロール状にした際に巻きずれが発生しやすくなり、薄すぎるとしわなどが入りやすくなる。
上記のようなポリイミドフィルムの片面に、接着剤を介し、カバーレイを形成する。接着剤としてはエポキシ樹脂、アクリル樹脂、及びポリイミド樹脂から選ばれる少なくとも1種が好ましい。これらの接着剤には、柔軟性を持たせるなどの目的で、各種ゴム、可塑剤、硬化剤、リン系等の難燃剤、その他の各種添加物が付与されていてもよい。また、ポリイミド樹脂は主として熱可塑性ポリイミドが用いられることが多いが、熱硬化性ポリイミドでもよい。ポリイミド樹脂の場合、通常は溶媒不要な場合が多いが、適当な有機溶媒に可溶なポリイミドを用いてもよい。
接着剤の厚みとしては、フレキシブル配線板の配線を十分に埋め込むことができ、配線を保護できる厚みであれば特に限定されないが、例えば配線厚みが18μmの場合には10〜100μmの接着剤厚みが好ましく、15〜50μmの接着剤厚みが好ましい。また例えば配線厚みが8μmの場合には5〜50μmの接着剤厚みが好ましく、12.5〜25μmの接着剤厚みがより好ましい。接着剤が薄すぎると配線間を十分に埋め込むことができず、空気を噛み込む恐れがある。また接着剤が厚すぎると基材のポリイミドフィルムの寸法変化に影響を及ぼすので、上記範囲の厚みが選ばれる。
このようにしてできたカバーレイは、接着剤を保護する目的で、フレキシブル配線板と貼り合わせる直前まで保護シートを付けておくことが好ましい。保護シートとしては、ポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルムなどが挙げられ、これらのフィルムに公知の微粘着剤が塗布されたものが使用される。
本発明のカバーレイは、フレキシブルプリント配線板と貼り合わせることで使用される。配線板の配線形成の方法としては、サブトラクティブ法、セミアディティブ法、フルアディティブ法等が挙げられる。サブトラクティブ法とは、接着剤を介してポリイミドフィルム上に銅箔を貼り、銅箔を配線パターン状にエッチング処理することで配線を形成する方法、或いは接着剤を介さずに直接銅層をポリイミドフィルム上に形成し、銅層を配線パターン状にエッチング処理することで配線を形成する方法を意味する。銅箔を貼り付ける場合、銅箔としては圧延銅箔又は電解銅箔が用いられる。また、配線を形成する際には、通常フォトレジスト層を銅箔上に形成し、このフォトレジスト層を選択露光及び現像処理することで配線状にパターニングし、パターニングしたフォトレジスト層をエッチングマスクとして銅をエッチング処理し、その後にフォトレジスト層を完全に除去する。ここでフォトレジストとしては液状あるいはドライフィルムレジストが用いられ、エッチング液としては、塩化鉄系、塩化銅系、過酸系等の溶液が用いられる。
セミアディティブ法とは、まずポリイミドフィルム上に直接、或いは接着剤を介してシード層となる金属層を形成し、このシード層の上にフォトレジスト層を形成し、フォトレジスト層を選択露光及び現像処理することで配線状にパターニングし、パターニングしたフォトレジスト層を鍍金マスクとしてシード層上に無電解鍍金或いは電解鍍金にて配線を形成し、その後にフォトレジストを完全に除去し、最後に配線以外の部分のシード層をエッチング除去する方法を意味する。ここで、シード層金属としては、ニッケル、クロム、アルミニウム、鉛、銅、錫、亜鉛、鉄、銀、金等が単独或いは合金として使用される。また、フォトレジストとしては液状あるいはドライフィルムレジストが用いられ、無電解鍍金或いは電解鍍金の金属としては鉛、銅、ニッケル、クロム、錫、亜鉛、銀、金等が用いられ、エッチング液としては、シード層の金属に合わせたエッチング液が用いられる。
フルアディティブ法とは、ポリイミドフィルム上に直接、或いは接着剤の上にフォトレジスト層を形成し、フォトレジスト層を選択露光及び現像処理することで配線状にパターニングし、パターニングしたフォトレジスト層を鍍金マスクとして無電解鍍金にて配線を形成し、その後にフォトレジストを完全に除去する方法を意味する。ここでフォトレジストとしては液状あるいはドライフィルムレジストが用いられ、無電解鍍金の金属としては銅、ニッケル、鉛、クロム、錫、亜鉛、銀、金等が用いられる。
上記のような各種配線形成の方法に用いられる金属としては、主として銅が好ましい。形成された配線は電気・電子回路として用いられるが、銅よりも抵抗の高い金属だと電気伝導性が悪くなるので好ましくない。また、銅に比べて密度が疎になる金属だとやはり電気伝導性が悪くなるので、好ましくない。但し、銅は錆びやすく腐食されやすい欠点も有しているので、銅を保護する目的で錫や鉛、アルミニウム、ニッケル、銀、金等の金属を銅の上に形成することは任意である。また、銅はポリイミドフィルム中に拡散しやすいため、銅の拡散を防ぐ目的でニッケルやクロム、銀、金、錫等をポリイミドフィルムと銅との間にバリア層として噛ませることも任意である。
以下、実施例にて具体的に説明する。なお、実施例1〜4で用いるポリイミドフィルムは合成例1〜4の方法により製膜したものを用いるが、これらに限定されない。また、比較例1〜4で用いるポリイミドフィルムは合成例5〜8により製膜したものを用いる。更に、実施例で用いる接着剤としては合成例9〜10により調合したものを用いるが、これらに限定されない。なお、フィルム厚さ、線膨張係数、弾性率、湿度膨張係数、吸水率、加熱収縮率については以下の(1)〜(10)の方法で測定した。
(1)フィルム厚
Mitutoyo製ライトマチック(Series318 )を使用して測定した。
(2)線膨張係数
島津製作所製TMA−50を使用し、測定温度範囲:50〜200℃、昇温速度:10℃/分の条件で測定した。
(3)弾性率
エー・アンド・デイ製RTM−250を使用し、引張速度:100mm/minの条件で測定した。
(4)湿度膨張係数
25℃にてTM7000炉内にフィルムを取り付け、炉内にドライガスを送り込んで乾燥させた後、HC−1型水蒸気発生装置からの給気によりTM7000炉内を90%RHに加湿させ、その間の寸法変化から湿度膨張係数を求めた。
(5)吸水率
98%RH雰囲気下のデシケーター内に2日間静置し、乾燥時重量に対しての増加重量%で評価した。
(6)加熱収縮率
20cm×20cmのフィルムを用意し、25℃、60%RHに調整された部屋に2日間放置した後のフィルム寸法(L1)を測定し、続いて200℃60分間加熱した後再び25℃、60%RHに調整された部屋に2日間放置した後フィルム寸法(L2)を測定し、下記式計算により評価した。
加熱収縮率 = −(L2−L1)/L1×100
(7)摩擦係数(静摩擦係数)
フィルムの処理面同士を重ね合わせ、JIS K−7125(1999)に基づき測定した。すなわち、スベリ係数測定装置Slip Tester(株式会社テクノニーズ製)を使用し、フィルム処理面同士を重ね合わせて、その上に200gのおもりを載せ、フィルムの一方を固定、もう一方を100mm/分で引っ張り、摩擦係数を測定した。
(8)自動光学検査(AOI)
オルボテックのSK−75を使用してベースフィルムを検査した。異物と微粒子の区別の付く場合を「○」評価、一方異物と微粒子の大きさが類似していて、両者の区別が付かない場合を「×」評価とした。
(9)無機粒子の評価
堀場製作所のレーザ回析/散乱式粒度分布測定装置LA−910を用い、極性溶媒に分散させた試料を測定、解析した結果から粒子径範囲、平均粒子径、粒子径0.15〜0.60μmの全粒子中に対する占有率を読み取った。
(10)異常突起数
フィルム40cm角面積当たりにおいて、高さ2μm以上の突起数をカウントした。高さ測定は、レーザーテック(株)製走査型レーザー顕微鏡「1LM15W」にて、ニコン製100倍レンズ(CF Plan 100×/0.95 ∞/0 EPI)を用いて、「SURFACE1」モードにてフィルム表面を撮影・解析することにより確認した。
(合成例1)
ピロメリット酸二無水物(分子量218.12)/4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(分子量200.20)/パラフェニレンジアミン(分子量108.14)をモル比で4/3/1の割合で混合し、DMAc(N,N−ジメチルアセトアミド)18.5重量%溶液にして重合し、ポリアミド酸を得た。 粒径において0.01μm以上1.5μm以下に収まっており、平均粒子径0.30μm、粒子径0.15〜0.60μmの粒子が全粒子中87.2体積%のシリカのN,Nージメチルアセトアミドスラリーを前記ワニス状ポリアミド酸溶液に樹脂重量当たり0.3重量%添加し、十分攪拌、分散させた。無水酢酸(分子量102.09)とイソキノリンからなる転化剤をポリアミド酸溶液に対し50重量%の割合で混合、攪拌した。この時、ポリアミド酸のアミド酸基に対し、無水酢酸及びイソキノリンがそれぞれ2.0及び0.4モル当量になるように調製した。得られた混合物を、T型スリットダイより回転する100℃のステンレス製ドラム上にキャストし、残揮発成分が55重量%、厚み約0.20mmの自己支持性を有するゲルフィルムを得た。このゲルフィルムをドラムから引き剥がし、その両端を把持し、加熱炉にて200℃×30秒、350℃×30秒、550℃×30秒処理し、厚さ25μmのポリイミドフィルムを得た。物性を表1に示す。
(合成例2)
ピロメリット酸二無水物(分子量218.12)/4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(分子量200.20)/パラフェニレンジアミン(分子量108.14)をモル比で10/7/3の割合で混合し、DMF(N,N−ジメチルホルムアミド)18.5重量%溶液にして重合し、ポリアミド酸を得た。粒径が0.01μm以上1.5μm以下に収まっており、平均粒子径が0.38μm、粒子径が0.15〜0.60μmである粒子が全粒子中86.3体積%のシリカのN,Nージメチルアセトアミドスラリーを、前記ワニス状ポリアミド酸溶液に樹脂重量当たり0.35重量%添加し、十分攪拌、分散させた。この際、まずピロメリット酸二無水物とパラフェニレンジアミンとを先に反応させ、しかる後に4,4’−ジアミノジフェニルエーテルを添加するブロック重合を行った。無水酢酸(分子量102.09)とイソキノリンからなる転化剤をポリアミド酸溶液に対し50重量%の割合で混合、攪拌した。この時、ポリアミド酸のアミド酸基に対し、無水酢酸及びイソキノリンがそれぞれ2.0及び0.4モル当量になるように調製した。得られた混合物を、T型スリットダイより回転する100℃のステンレス製ドラム上にキャストし、残揮発成分が55重量%、厚み約0.10mmの自己支持性を有するゲルフィルムを得た。このゲルフィルムをドラムから引き剥がし、その両端を把持し、加熱炉にて200℃×30秒、350℃×30秒、550℃×30秒処理し、厚さ12.5μmのポリイミドフィルムを得た。物性を表1に示す。
(合成例3)
ピロメリット酸二無水物(分子量218.12)/4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(分子量200.20)/パラフェニレンジアミン(分子量108.14)をモル比で5/4/1の割合で混合し、DMAc(N,N−ジメチルアセトアミド)18.5重量%溶液にして重合し、ポリアミド酸を得た。粒径が0.01μm以上1.5μm以下に収まっており、平均粒子径が0.45μm、粒子径が0.15〜0.60μmである粒子が全粒子中87.7体積%のシリカのN,Nージメチルアセトアミドスラリーを、前記ワニス状ポリアミド酸溶液に樹脂重量当たり0.3重量%添加し、十分攪拌、分散させた。この際、まずピロメリット酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルとを先に反応させ、しかる後にパラフェニレンジアミンを添加するブロック重合を行った。無水酢酸(分子量102.09)とイソキノリンからなる転化剤をポリアミド酸溶液に対し50重量%の割合で混合、攪拌した。この時、ポリアミド酸のアミド酸基に対し、無水酢酸及びイソキノリンがそれぞれ2.0及び0.4モル当量になるように調製した。得られた混合物を、T型スリットダイよりエンドレスベルト上にキャストし、70℃の熱風にて加熱し、残揮発成分が55重量%、厚み約1.00mmの自己支持性を有するゲルフィルムを得た。このゲルフィルムをエンドレスベルトから引き剥がし、その両端を把持し、加熱炉にて200℃×60秒、350℃×60秒、550℃×45秒処理し、厚さ125μmのポリイミドフィルムを得た。物性を表1に示す。
(合成例4)
ピロメリット酸二無水物(分子量218.12)/3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(分子量322.20)/4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(分子量200.20)/パラフェニレンジアミン(分子量108.14)をモル比で9/1/8/2の割合で混合し、DMAc(N,N−ジメチルアセトアミド)18.5重量%溶液にして重合し、ポリアミド酸を得た。粒径が0.01μm以上1.5μm以下に収まっており、平均粒子径が0.35μm、粒子径が0.15〜0.60μmである粒子が全粒子中87.0体積%のシリカのN,Nージメチルアセトアミドスラリーを、前記ワニス状ポリアミド酸溶液に樹脂重量当たり0.5重量%添加し、十分攪拌、分散させた。無水酢酸(分子量102.09)とイソキノリンからなる転化剤をポリアミド酸溶液に対し50重量%の割合で混合、攪拌した。この時、ポリアミド酸のアミド酸基に対し、無水酢酸及びイソキノリンがそれぞれ2.0及び0.4モル当量になるように調製した。得られた混合物を、T型スリットダイよりエンドレスベルト上にキャストし、50℃の熱風にて加熱し、残揮発成分が55重量%、厚み約0.20mmの自己支持性を有するゲルフィルムを得た。このゲルフィルムをエンドレスベルトから引き剥がし、その両端を把持し、加熱炉にて150℃×30秒、300℃×30秒、400℃×20秒、550℃×20秒処理し、厚さ12.5μmのポリイミドフィルムを得た。物性を表1に示す。
(合成例5)
合成例1において、シリカを添加しないこと以外は、全て合成例1と同様の方法でポリイミドフィルムを得た。このポリイミドフィルムの物性を表1に示す。
(合成例6)
合成例2において使用したシリカを、粒径が0.1μm以上4.5μm以下に収まっており、平均粒子径が1.1μm、粒子径が0.15〜0.60μmである粒子が全粒子中27.3体積%のシリカに変更し、N,Nージメチルアセトアミドスラリーを、前記ワニス状ポリアミド酸溶液に樹脂重量当たり0.2重量%添加したこと以外は、全て合成例2と同様の方法でポリイミドフィルムを得た。このポリイミドフィルムの物性を表1に示す。
(合成例7)
合成例3において使用したシリカを、粒径が0.01μm以上0.3μm以下に収まっており、平均粒子径が0.03μm、粒子径が0.15〜0.60μmである粒子が全粒子中31.4体積%のシリカに変更し、N,Nージメチルアセトアミドスラリーを、前記ワニス状ポリアミド酸溶液に樹脂重量当たり0.35重量%添加したこと以外は、全て合成例3と同様の方法でポリイミドフィルムを得た。このポリイミドフィルムの物性を表1に示す。
(合成例8)
合成例4において使用したシリカを、粒径が0.01μm以上2.0μm以下に収まっており、平均粒子径が0.4μm、粒子径が0.15〜0.60μmである粒子が全粒子中72.6体積%のシリカに変更し、N,Nージメチルアセトアミドスラリーを、前記ワニス状ポリアミド酸溶液に樹脂重量当たり0.35重量%添加したこと以外は、全て合成例4と同様の方法でポリイミドフィルムを得た。このポリイミドフィルムの物性を表1に示す。
(合成例9)
昭和電工(株)製水酸化アルミニウムH−43を19重量部、油化シェル(株)製エポキシ樹脂「エピコート」828を9重量部、東都化成(株)リン含有エポキシ樹脂FX279BEKを35重量部、住友化学(株)製硬化剤4,4’−DDS(4,4’−ジアミノジフェニルスルホン)を3.5重量部、JSR(株)NBR(PNR−1H)26重量部をメチルイソブチルケトン200重量部に30℃で攪拌、混合し、接着剤溶液を得た。
(合成例10)
油化シェル(株)製エポキシ樹脂「エピコート」834を9重量部、東都化成(株)リン含有エポキシ樹脂ZX−1548−3を17重量部、住友化学(株)製硬化剤4,4’−DDSを3.5重量部、JSR(株)NBR(PNR−1H)26重量部、昭和電工(株)製水酸化アルミニウムH−43を20重量部をメチルエチルケトン200重量部に30℃で攪拌、混合し、接着剤溶液を得た。
(実施例1)
合成例1で製膜したポリイミドフィルムを用い、この片面に合成例9の接着剤を塗布し、150℃×5分間加熱乾燥し、乾燥膜厚25μmの接着剤層を形成し、カバーレイを得た。
ニッカン工業(株)製フレキシブルプリント回路用銅張積層板F−30VC1を用い、銅箔面とカバーレイの接着剤層とを100℃、0.27MPaで貼り合わせた。このようにして貼り合わせた銅張積層板とカバーレイを用い、引き剥がし強度(ピール強度)、半田耐熱性、ULに基づく難燃性を評価した。結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1において、合成例1で製膜したポリイミドフィルムを合成例5で製膜したポリイミドフィルムに変更する以外は全て実施例1と同様にしてカバーレイを形成し、実施例1と同様の評価を実施した。結果を表1に示す。
(実施例2)
合成例2で製膜したポリイミドフィルムを用い、この片面に合成例10の接着剤を塗布し、150℃×5分間加熱乾燥し、乾燥膜厚15μmの接着剤層を形成し、カバーレイを得た。
ニッカン工業(株)製フレキシブルプリント回路用銅張積層板F−30VC1を用い、銅箔面とカバーレイの接着剤層とを100℃、0.27MPaで貼り合わせた。このようにして貼り合わせた銅張積層板とカバーレイを用い、引き剥がし強度(ピール強度)、半田耐熱性、ULに基づく難燃性を評価した。結果を表1に示す。
(比較例2)
実施例2において、合成例2で製膜したポリイミドフィルムを合成例6で製膜したポリイミドフィルムに変更する以外は全て実施例2と同様にしてカバーレイを形成し、実施例2と同様の評価を実施した。結果を表1に示す。
(実施例3)
実施例1において、合成例1で製膜したポリイミドフィルムを合成例3で製膜したポリイミドフィルムに変更する以外は全て実施例1と同様にしてカバーレイを形成し、実施例1と同様の評価を実施した。結果を表1に示す。
(比較例3)
実施例3において、合成例3で製膜したポリイミドフィルムを合成例7で製膜したポリイミドフィルムに変更する以外は全て実施例3と同様にしてカバーレイを形成し、実施例3と同様の評価を実施した。結果を表1示す。
(実施例4)
実施例1において、合成例1で製膜したポリイミドフィルムを合成例4で製膜したポリイミドフィルムに変更する以外は全て実施例1と同様にしてカバーレイを形成し、実施例1と同様の評価を実施した。結果を表1に示す。
(比較例4)
実施例4において、合成例4で製膜したポリイミドフィルムを合成例8で製膜したポリイミドフィルムに変更する以外は全て実施例4と同様にしてカバーレイを形成し、実施例4と同様の評価を実施した。結果を表1示す。
Figure 2009019096
本発明によれば、寸法安定性や耐熱性に優れており、AOIに適応可能な特性を備えると共に、走行性(易滑性)、接着性にも優れたカバーレイの提供が可能になる。

Claims (11)

  1. ジアミン成分としてパラフェニレンジアミン及び4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、酸二無水物成分としてピロメリット酸二無水物とから主としてなるポリイミドフィルムを用い、このポリイミドフィルムの片面に、接着剤層を形成してなるカバーレイであって、粒子径が0.01〜1.5μmの範囲内にあり、かつ平均粒子径が0.05〜0.7μmである無機粒子を主体とする粉体がフィルム樹脂重量当たり0.1〜0.9重量%の割合で、フィルム中に分散されているポリイミドフィルムを用いることを特徴とするカバーレイ。
  2. ポリイミドフィルムが、ジアミン成分として10〜50モル%のパラフェニレンジアミン及び50〜90モル%の4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、酸二無水物成分としてピロメリット酸二無水物とから主としてなることを特徴とする請求項1記載のカバーレイ。
  3. ポリイミドフィルムが、弾性率3〜6GPa、50〜200℃での線膨張係数が5〜20ppm/℃、湿度膨張係数が25ppm/%RH以下、吸水率が3%以下、200℃1時間での加熱収縮率が0.10%以下であることを特徴とする請求項1または2記載のカバーレイ。
  4. 接着剤がエポキシ樹脂、アクリル樹脂、及びポリイミド樹脂から選ばれる少なくとも1種から主としてなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のカバーレイ。
  5. 無機粒子がフィルム樹脂重量当たり0.3〜0.8重量%の割合で含まれていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のカバーレイ。
  6. 無機粒子の平均粒子径が0.1〜0.6μmであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のカバーレイ。
  7. 無機粒子の平均粒子径が0.3〜0.5μmであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のカバーレイ。
  8. 無機粒子の粒度分布において、粒子径0.15〜0.60μmの粒子が全粒子中80体積%以上の割合を占めることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のカバーレイ。
  9. フィルムの表面に、無機粒子に起因するが無機粒子が表面に露出していない突起が複数個存在することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のカバーレイ。
  10. 複数の突起のうち、高さ2μm以上の突起数が5個/40cm角以下であることを特徴とする請求項9に記載のカバーレイ。
  11. フィルム厚みが5〜175μmであることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載のカバーレイ。
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