JP2009018523A - 銅張り板 - Google Patents

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Abstract

【課題】寸法変化と耐熱性の両方を満足して、エッチング後の寸法変化率が小さく、AOIに適応可能な特性を備えると共に、さらには走行性(易滑性)、接着性にも優れ、高性能のフレキシブルプリント配線板用に適した銅張り板を提供する。
【解決手段】ジアミン成分としてパラフェニレンジアミン及び4,4’−ジアミノジフェニルエーテルを、酸二無水物成分としてピロメリット酸二無水物を、主として用いてなり、更に無機微細粒子を添加し、表面突起を発生させることにより易滑性を有するポリイミドフィルムを使用し、このポリイミドフィルムの片面に接着剤を介し銅板を、もう片面に接着剤を介することなく銅板を、それぞれ有している銅張り板。
【選択図】なし

Description

本発明は、電気電子機器分野で使用されるフレキシブルプリント配線板、COF、TAB等の材料として好適な銅張り板に関するものであり、更に詳しくはポリイミドフィルムを基材として、その片面或いは両面に接着剤を介して銅板を接着してなり、エッチング後の寸法変化率が小さく、自動光学検査システム(AOI)に適応可能なフレキシブルプリント配線板、COF、TAB等の材料として好適な銅張り板に関するものである。
近年では、プリント配線板が広く電子・電機機器に使用されている。中でも、折り曲げ可能なフレキシブルプリント配線板は、パーソナルコンピューターや携帯電話等の折り曲げ部分、ハードディスク等の屈曲が必要な部分に広く使用されている。このようなフレキシブルプリント配線板の材料としては、通常各種のポリイミドフィルムを基材とした銅張り板が使用されている。
銅張り板に使用されるポリイミドフィルムの代表的なものとしては、酸二無水物成分としてピロメリット酸二無水物を用い、ジアミン成分として4,4’−ジアミノジフェニルエーテルを用いたポリイミドフィルムが挙げられる。このようなポリイミドフィルムは機械的、熱的特性のバランスに優れた構造を有しており、汎用の製品として広く工業的に用いられている。しかしながら、ピロメリット酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルとからなるポリイミドフィルムは、曲げやすいという長所を有する反面、柔らかすぎて半導体を搭載する際に基材が曲がってしまい、接合不良となるといった問題点を有していた。また、ピロメリット酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルとからなるポリイミドフィルムは、熱膨張係数(CTE)や吸湿膨張係数(CHE)が大きく、吸水率も高いため、熱や吸水による寸法変化が大きく、微細な配線形成を行った場合に狙い通りの配線幅や配線間を形成できないという問題を有していた。
このような問題を解決するための手段としては、ポリイミドフィルム以外の寸法変化が小さい基材、例えば液晶フィルム等を用いてフレキシブルプリント配線板を形成する方法(例えば、特許文献1参照)等が知られているが、液晶フィルムはポリイミドフィルムに比べて耐熱性が劣っており、半田付けの際に基材が変形するという問題を有していた。とりわけ近年は環境の問題から鉛を使用しない鉛フリー半田が広がっているが、鉛フリー半田のほとんどは融点が鉛含有半田よりも高いため、液晶フィルムの基材変形の問題は一層深刻となっていた。
また、ポリイミドがこれらの用途に用いられる際に重要な実用特性は、フィルムの滑り性(易滑性)である。様々なフィルム加工工程において、フィルム支持体(たとえばロール)とフィルムの易滑性、またフィルム同士の易滑性が確保されることにより、各工程における操作性、取り扱い性を向上させ、更にはフィルム上にシワ等の不良個所の発生が回避できるからである。
一方、ポリイミドの主用途であるフレキシブルプリント配線板用途においては、通常,種々の接着剤を介して銅箔と接着されているが、ポリイミドは、その化学構造及び耐薬品(溶剤)安定性により、銅箔との接着性が不十分な場合が多く、現状ではポリイミドに表面処理(アルカリ処理、コロナ処理、プラズマ処理、サンドブラスト処理等)を施し、接着されている。
さらに、最近の電子部品のファインピッチ化において、特にFPCの検査においては、従来は目視による線幅、異物等の検査が主流であったが、自動光学検査システム(AOI)が導入されるようになってからは、無機粉体を混入する従来処方で製造された耐熱性フィルムでは、走行性に関して十分満足したものが得られていた反面、AOIにおいては、無機粉体の形状が大き過ぎるために、最近のFPC等の狭ピッチ化のなかではこの無機粒子が異物と判断されてしまい、この点が自動検査システムでの大きな障害になっている。
従来のポリイミドフィルムにおける易滑化技術としては、不活性無機化合物(例えばアルカリ土類金属のオルトリン酸塩、第2リン酸カルシウム無水物、ピロリン酸カルシウム、シリカ、タルク)をポリアミック酸に添加する方法(例えば、特許文献2参照)、更には微細粒子によってフィルム表面に微細な突起を形成後、プラズマ処理を施す方法(例えば、特許文献3参照)が知られている。しかし、これらに示される無機粒子は粒子径が大きく、自動光学検査システムには適応しないという問題があった。
また、ポリイミドフィルムの表層に平均粒子径が0.01〜100μmの無機質粒子が各粒子の一部をそれぞれ埋設させて保持されていて、一部露出した無機質粒子からなる多数の突起をフィルムの表面層に1×10〜5×10個/mm存在させる方法(例えば、特許文献4参照)が知られている。この方法は、積極的に表面に突起を露出させ、フィルム表面の摩擦係数を低減させることにより、易滑性効果を効果的に得るものであるが、無機質粒子がフィルム表面に一部露出しているため、フィルム表面へのすり傷が発生し、外観不良をきたすといった問題を抱えていた。
特開2005−297405号公報 特開昭62−68852号公報 特開2000−191810号公報 特開平5−25295号公報
本発明は、上述した従来技術における問題点の解決を課題として検討した結果達成されたものである。
したがって、本発明の目的は、寸法変化と耐熱性の両方を満足して、エッチング後の寸法変化率が小さく、AOIに適応可能な特性を備えると共に、さらには走行性(易滑性)、接着性にも優れ、高性能のフレキシブルプリント配線板用に適した銅張り板を提供することにある。
上記の目的を達成するために本発明によれば、ジアミン成分としてパラフェニレンジアミン及び4,4’−ジアミノジフェニルエーテルを、酸二無水物成分としてピロメリット酸二無水物を主たる構成成分とし、イミド化によって製造されたポリイミドフィルム中に、粒子径が0.01〜1.5μm、かつ平均粒子径が0.05〜0.7μm、さらに粒子径0.15〜0.60μmの無機粒子が全粒子中80体積%以上の割合を占める粒度分布を有する無機粒子が、フィルム樹脂重量当たり0.1〜0.9重量%の割合で分散されているポリイミドフィルムを用い、このポリイミドフィルムの片面に接着剤を介し銅板を、もう片面に接着剤を介することなく銅板を、それぞれ有していることを特徴とする銅張り板が提供される。
さらに、本発明の銅張り板においては、
前記ポリイミドフィルムにおける各構成成分の割合が、ジアミン成分として10〜50モル%のパラフェニレンジアミン及び50〜90モル%の4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、酸二無水物成分として100モル%のピロメリット酸二無水物からなること、
前記無機粒子に起因する突起が前記ポリイミドフィルムの表面に存在し、その突起の高さが2μm以上のものの数が5個/40cm角以下であること、
前記ポリイミドフィルムの厚みが5〜175μmであること、
前記接着剤がエポキシ系接着剤、アクリル系接着剤及びポリイミド系接着剤から選ばれる少なくとも1種からなること、
前記銅板における接着剤側の銅の表面粗さ(Rz)が、0.1〜10μmであること、及び
全面エッチング後の寸法変化率が、−0.100%〜0.100%の範囲内であること
が、いずれも好ましい条件として挙げられる。
本発明によれば、以下に説明するとおり、エッチング後の寸法変化率が小さく、AOIに適応可能な特性を備えると共に、さらには走行性(易滑性)、接着性にも優れ、高性能のフレキシブルプリント配線板用に適した銅張り板を得ることができる。
したがって、本発明の銅張り板は、微細な配線形成が可能で、かつ鉛フリー半田を用いても変形せず、走行性及び接着性が向上することから、微細な配線を形成するフレキシブルプリント配線基板(FPC)やチップオンフィルム(COF)などの材料として極めて有用である。また、片面は接着剤を介し銅板を有し、もう片面は接着剤を介することなく銅板を有しているので、多層積層板としての使用にも最適である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の銅張り板は、基材としてポリイミドフィルムを用い、このポリイミドフィルムの片面に接着剤を介し銅板を有し、もう片面は接着剤を介することなく銅板を有するものである。
本発明において基材として用いるポリイミドフィルムは、ジアミン成分としてパラフェニレンジアミン及び4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、酸二無水物成分としてピロメリット酸二無水物を用いて形成してなるポリイミドフィルムである。すなわち、パラフェニレンジアミン、4、4’−ジアミノジフェニルエーテル、ピロメリット酸二無水物の3種類を必須成分とし、これら3種類のみ、あるいはこれら3種類に加えて少量の別成分を加えることにより得られるポリイミドフィルムである。好ましくはジアミン成分として10〜50モル%のパラフェニレンジアミン及び50〜90モル%の4,4’−ジアミノジフェニルエーテルを用い、酸二無水物成分として100モル%のピロメリット酸二無水物を用いてなるポリイミドフィルムである。更に好ましくは、弾性率が3〜7GPa、50〜200℃での線膨張係数が5〜20ppm/℃、湿度膨張係数が25ppm/%RH以下、吸水率が3%以下、200℃1時間での加熱収縮率が0.10%以下であるポリイミドフィルムである。
上記のポリイミドフィルムにおいて、パラフェニレンジアミンが多すぎると硬くなり、少なすぎると柔らかすぎるので、1〜70モル%が好ましく、更に好ましくは5〜60モル%、より好ましくは10〜50モル%である。4,4’−ジアミノジフェニルエーテルが多すぎると柔らかくなり、少なすぎると硬くなるので、20〜99モル%が好ましく、更に好ましくは40〜95モル%、より好ましくは50〜90モル%である。ピロメリット酸二無水物は100モル%である。
ポリイミドフィルムの硬さの指標である弾性率は3〜7GPaの範囲が好ましく、7GPaを超えると硬すぎ、3GPaより小さいと柔らかすぎる。
線膨張係数は5〜20ppm/℃が好ましく、20ppm/℃を超えると熱による寸法変化が大き過ぎ、5ppm/℃より小さくなると、配線に使用される金属との線膨張係数との差が大きくなるため反りが生じてしまう。
湿度膨張係数が25ppm/%RHを超えると湿度による寸法変化が大き過ぎるので、湿度膨張係数は25ppm/%RH以下が好ましい。
吸水率が3%を超えると、吸い込んだ水の影響でフィルムの寸法変化が大きくなるので3%以下が好ましい。
200℃1時間の加熱収縮率が0.10%を超えるとやはり熱による寸法変化が大きくなるので、加熱収縮率は0.10%以下が好ましい。
本発明で使用するポリイミドの重合方法は公知のいずれの方法で行ってもよく、例えば
(1)先に芳香族ジアミン成分全量を溶媒中に入れ、その後芳香族テトラカルボン酸類成分を芳香族ジアミン成分全量と当量になるよう加えて重合する方法。
(2)先に芳香族テトラカルボン酸類成分全量を溶媒中に入れ、その後芳香族ジアミン成分を芳香族テトラカルボン酸類成分と等量になるよう加えて重合する方法。
(3)一方の芳香族ジアミン化合物を溶媒中に入れた後、反応成分に対して芳香族テトラカルボン酸類化合物が95〜105モル%となる比率で反応に必要な時間混合した後、もう一方の芳香族ジアミン化合物を添加し、続いて芳香族テトラカルボン酸類化合物を全芳香族ジアミン成分と全芳香族テトラカルボン酸類成分とがほぼ等量になるよう添加して重合する方法。
(4)芳香族テトラカルボン酸類化合物を溶媒中に入れた後、反応成分に対して一方の芳香族ジアミン化合物が95〜105モル%となる比率で反応に必要な時間混合した後、芳香族テトラカルボン酸類化合物を添加し、続いてもう一方の芳香族ジアミン化合物を全芳香族ジアミン成分と全芳香族テトラカルボン酸類成分とがほぼ等量になるよう添加して重合する方法。
(5)溶媒中で一方の芳香族ジアミン成分と芳香族テトラカルボン酸類をどちらかが過剰になるよう反応させてポリアミド酸溶液(A)を調整し、別の溶媒中でもう一方の芳香族ジアミン成分と芳香族テトラカルボン酸類をどちらかが過剰になるよう反応させポリアミド酸溶液(B)を調整する。こうして得られた各ポリアミド酸溶液(A)と(B)を混合し、重合を完結する方法。(この時ポリアミド酸溶液(A)を調整するに際し芳香族ジアミン成分が過剰の場合、ポリアミド酸溶液(B)では芳香族テトラカルボン酸成分を過剰に、またポリアミド酸溶液(A)で芳香族テトラカルボン酸成分が過剰の場合、ポリアミド酸溶液(B)では芳香族ジアミン成分を過剰にし、ポリアミド酸溶液(A)と(B)を混ぜ合わせこれら反応に使用される全芳香族ジアミン成分と全芳香族テトラカルボン酸類成分とがほぼ等量になるよう調整する。)等が挙げられる。
なお、重合方法はこれらに限定されることはなく、その他公知の方法を用いてもよい。また、本発明において、ポリアミック酸溶液の形成に使用される有機溶媒の具体例としては、例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミドなどのホルムアミド系溶媒、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミドなどのアセトアミド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドンなどのピロリドン系溶媒、フェノール、o−,m−,またはp−クレゾール、キシレノール、ハロゲン化フェノール、カテコールなどのフェノール系溶媒、あるいはヘキサメチルホスホルアミド、γ−ブチロラクトンなどの非プロトン性極性溶媒を挙げることができ、これらを単独又は混合物として用いるのが望ましいが、さらにはキシレン、トルエンのような芳香族炭化水素の使用も可能である。
こうして得られるポリアミック酸溶液は、固形分を5〜40重量%、好ましくは10〜30重量%を含有しており、またその粘度はブルックフィールド粘度計による測定値で10〜2000Pa・s、好ましくは、100〜1000Pa・sのものが、安定した送液のために好ましく使用される。また、有機溶媒溶液中のポリアミック酸は部分的にイミド化されていてもよい。
ポリイミドフィルムを製膜する方法としては、ポリアミック酸溶液をフィルム状にキャストし熱的に脱環化脱溶媒させてポリイミドフィルムを得る方法、およびポリアミック酸溶液に環化触媒及び脱水剤を混合し化学的に脱環化させてゲルフィルムを作成しこれを加熱脱溶媒することによりポリイミドフィルムを得る方法が挙げられるが、後者の方が得られるポリイミドフィルムの熱膨張係数を低く抑えることができるので好ましい。
本発明において、ポリイミドフィルム表面上に突起を形成させるために添加される無機微粒子の具体例としては、SiO(シリカ)、TiO、CaHPO、Ca等を好適に挙げることができるが、これらは前記のポリイミドフィルム製造工程で接触する全ての化学物質に対して不溶である必要がある。本発明では、なかでもゾル・ゲル法や湿式粉砕法で製造したシリカが、ワニス状ポリアミド酸溶液中で安定し、かつ物理的に安定し、ポリイミドの諸物性に影響を与えないことから特に好ましく使用される。
さらに、微細シリカ粉は、N,N−ジメチルホルムアミド、N、N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホオキサイド、n−メチルピロリドン等の極性溶媒に均一に分散させたシリカスラリーとして使用することにより、凝集を防止できるため好ましく使用される。このスラリーは、粒子径が非常に小さいため沈降速度が遅く安定している。また、たとえ沈降しても再攪拌することで容易に再分散可能である。
本発明において、ポリイミドフィルムの表面に突起を形成させるために添加される無機粒子は、その粒子径が0.01〜1.5μmの範囲内にあること、かつ平均粒子径が0.05μm〜0.7μmの範囲、より好ましくは0.1〜0.6μmの範囲、さらにより好ましくは0.3〜0.5μmの範囲にある場合に、ポリイミドフィルムの自動光学検査システムでの検査に対し問題なく適応することができる。また、ポリイミドフィルムの機械物性等の低下を発生させずに使用可能である。逆に、これらの範囲より平均粒子径が下回るとフィルムへの充分な易滑性が得られなくなり、上回ると自動検査システムでこの無機粒子が異物と判断され障害を来すことになるため好ましくない。なお、通常のフィルムの厚さは5μm〜175μmであるため、この粒子径範囲での無機粒子がフィルム表面に露出することはない。
無機粒子の添加量は、フィルム樹脂重量当たり0.1〜0.9重量%が好ましく、0.3〜0.8重量%の割合で含まれていることがより好ましい。0.1重量%未満であると、フィルム表面の突起数も不足することによってフィルムへの充分な易滑性が得られずに搬送性が悪化し、ロールに巻いた時のフィルム巻姿も悪化するため好ましくない。逆に0.9重量%を超えると、フィルムの易滑性は良化するものの、粒子の異常凝集による粗大突起が増加し、これが結果的に自動検査システムで異物と判断されてしまい障害を来すため好ましくない。
無機粒子の粒度分布においては、狭い分布であること、つまり類似の大きさの粒子が全粒子に占める割合が高い方が良く、具体的には粒子径0.15〜0.60μmの粒子が全粒子中80体積%以上の割合を占めることが好ましい。この範囲を下回り0.15μm以下の粒子の占める割合が高くなると、フィルムの易滑性が低下するため好ましくない。また無機粒子送液の際には、5μmカットフィルターや10μmカットフィルターにより粗粒を除去することが可能であるが、0.60μm以上の粒子の占める割合が高くなると、フィルターの目詰まりを頻発させてしまい工程安定性を損ねるばかりか、粒子の粗大凝集が生じやすくなるので好ましくない。
無機粒子に起因したフィルム表面突起においては、高さ2μm以上の突起数が5個/40cm角以下であること、より好ましくは3個/40cm角以下、さらにより好ましくは1個/40cm角以下であることが必要である。これよりも多いと自動検査システムで無機粒子が異物と判断され障害を来すため好ましくない。
このような無機粒子を、ポリイミドの製造に使用される有機溶媒と同じ極性溶媒に分散させたスラリーを、ポリイミド製造工程中のポリアミド酸溶液に添加した後、脱環化脱溶媒させてポリイミドフィルムを得ることが好ましいが、ポリアミド酸重合前の有機溶媒中に無機粒子スラリーを添加した後、ポリアミド酸重合、脱環化脱溶媒を経てポリイミドフィルムを得ることなど、脱環化脱溶媒前の工程であればいかなる工程においても無機粒子スラリーを添加することが可能である。
本発明の銅張り板において、ポリイミドフィルムの厚みについては特に限定されないが、好ましくは5〜175μm、より好ましくは9〜75μm、更に好ましくは11〜55μmである。厚すぎるとロール状にした際に巻きずれが発生しやすくなり、逆に薄すぎるとしわなどが入りやすい傾向となる。
上記のようなポリイミドフィルムの片面に、接着剤を介さずにメタライジング等により直接銅箔板を形成させ、もう一方の片面には接着剤を介して銅板を存在せしめる。
ポリイミドフィルムの片面に接着剤を介して有する銅板としては銅箔が好ましく使用される。本発明で使用する銅箔としては、接着剤側の銅の表面粗さ(Rz)が0.1〜10μmであるものが好ましい。これより表面粗さが粗いとフレキシブルプリント配線板として高周波信号領域での使用時に、表皮効果により電流が流れにくくなり、高周波領域での使用が困難になる。ここでいう表面粗さ(Rz)とは、JISB 0601−1994「表面粗さの定義と表示」の5.1「十点平均粗さの定義」に規定されたRzのことである。
接着剤を介して銅板を接着する際に使用する接着剤としては、エポキシ系接着剤、アクリル系接着剤及びポリイミド系接着剤から選ばれる少なくとも1種が好ましい。これらの接着剤には、柔軟性を持たせる目的で、各種ゴム、可塑剤、硬化剤、リン系等の難燃剤、その他の各種添加物が付与されていてもよい。また、ポリイミド系接着剤の樹脂成分としては主として熱可塑性ポリイミドが用いられることが多いが、熱硬化性ポリイミドでもよい。さらに、ポリイミド系接着剤としては熱可塑性のポリイミドフィルムを接着剤として使用しても良い。
銅張り板の全面エッチング後の寸法変化率は、フレキシブルプリント配線板として実装の際の不具合を出さないためには、−0.100%〜0.100%の範囲内が好ましく、より好ましくは−0.05%〜0.05%の範囲内が好ましく、更に好ましくは−0.03%〜0.03%の範囲内である。
かくして構成される本発明の銅張り板は、エッチング後の寸法変化率が小さく、AOIに適応可能な特性を備えると共に、さらには走行性(易滑性)、接着性にも優れているため、微細な配線形成が可能で、かつ鉛フリー半田を用いても変形せず、走行性及び接着性が向上することから、微細な配線を形成する高性能のフレキシブルプリント配線基板(FPC)やチップオンフィルム(COF)などの材料として極めて有用である。
以下、実施例にて本発明をより具体的に説明する。
実施例で得られたポリイミドフィルムおよび実施例の銅張り板の各特性は次の方法で評価した。
(1)フィルム厚
Mitutoyo製ライトマチック(Series318 )を使用して測定した。
(2)摩擦係数(静摩擦係数)
フィルムの処理面同士を重ね合わせ、JIS K−7125(1999)に基づき測定した。すなわち、スベリ係数測定装置Slip Tester(株式会社テクノニーズ製)を使用し、フィルム処理面同士を重ね合わせて、その上に200gのおもりを載せ、フィルムの一方を固定、もう一方を100mm/分で引っ張り、摩擦係数を測定した。
(3)自動光学検査(AOI)
オルボテックのSK−75を使用してベースフィルムを検査した。異物と微粒子の区別の付く場合を「○」評価、一方異物と微粒子の大きさが類似していて、両者の区別が付かない場合を「×」評価とした。
(4)無機粒子の評価
堀場製作所のレーザー回析/散乱式粒度分布測定装置LA−910を用い、極性溶媒に分散させた試料を測定、解析した結果から粒子径範囲、平均粒子径、粒子径0.15〜0.60μmの全粒子中に対する占有率を読み取った。
(5)異常突起数
フィルム40cm角面積当たりにおいて、高さ2μm以上の突起数をカウントした。高さ測定は、レーザーテック(株)製走査型レーザー顕微鏡「1LM15W」にて、ニコン製100倍レンズ(CF Plan 100×/0.95 ∞/0 EPI)を用いて、「SURFACE1」モードにてフィルム表面を撮影・解析することにより確認した。
(6)寸法変化率
銅張り板エッチング前後の寸法変化率の測定は温度25℃、湿度60%の条件下、CNC画像処理測定システム((株)ニコン製、NEXIV VMR−3020)を使用して、視野:1.165mm×0.875mm(4倍)にて銅張り板の表面にMD方向に210mmの間隔で2枚貼った6mmφの円形マスキングテープの円の中心間の距離を銅全面エッチング前後測定し算出することにより行った。 銅エッチング前後共、測定前にはサンプルを温度25℃、湿度60%の条件下にて一晩放置し、ポリイミドの吸水による影響を排除する。寸法変化率は、2点間の距離を5回測定した値の平均値を用いて下記の式により計算した。
寸法変化率(%)=(エッチング前の距離−エッチング後の距離)/エッチング前の距離×100
(合成例1)
油化シェル(株)製エポキシ樹脂「エピコート」834を50重量部、東都化成(株)リン含有エポキシ樹脂FX279BEK75を100重量部、住友化学(株)製硬化剤4,4’−DDSを6重量部、JSR(株)NBR(PNR−1H)100重量部、昭和電工(株)製水酸化アルミニウム30重量部をメチルイソブチルケトン600重量部に30℃で攪拌、混合し、接着剤溶液を得た。
(合成例2)
油化シェル(株)製エポキシ樹脂「エピコート」828を50重量部、東都化成(株)リン含有エポキシ樹脂FX279BEK75を80重量部、住友化学(株)製硬化剤4,4’−DDSを6重量部、JSR(株)NBR(PNR−1H)100重量部、昭和電工(株)製水酸化アルミニウム10重量部をメチルイソブチルケトン600重量部に30℃で攪拌、混合し、接着剤溶液を得た。
[実施例1]
ピロメリット酸二無水物/4,4’−ジアミノジフェニルエーテル/パラフェニレンジアミンをモル比で100/75/25の割合で混合し、DMAc(N,N−ジメチルアセトアミド)18.5重量%溶液にして重合し、ポリアミド酸を得た。
ここで、粒径において0.01μm以上1.5μm以下に収まっており、平均粒子径0.30μm、粒子径0.15〜0.60μmの粒子が全粒子中87.2体積%のシリカのN,N−ジメチルアセトアミドスラリーを、前記ポリアミド酸溶液に樹脂重量当たり0.3重量%添加し、十分攪拌、分散させた後、無水酢酸(分子量102.09)とイソキノリンからなる転化剤を、ポリアミド酸溶液に対し50重量%の割合で混合、攪拌した。この時、ポリアミド酸のアミド酸基に対し、無水酢酸及びイソキノリンがそれぞれ2.0及び0.4モル当量になるように調製した。
得られた混合物を、T型スリットダイより回転する100℃のステンレス製ドラム上にキャストし、残揮発成分が55重量%、厚み約0.20mmの自己支持性を有するゲルフィルムを得た。このゲルフィルムをドラムから引き剥がし、その両端を把持し、加熱炉にて200℃×30秒、350℃×30秒、550℃×30秒処理し、厚さ25μmのポリイミドフィルムを得た。
このポリイミドフィルムを用い、真空槽を到達圧力1×10−3Paにした後、アルゴンガス圧1×10−1PaにてDCマグネトロンスパッタによりニッケル/クロム=95/5(重量比)のニクロム合金を厚さ5nmになるように片面にスパッタリングし、更に銅を厚さ50nmになるようにスパッタリングした。次に、硫酸銅浴による電解鍍金で6μmの厚さの銅層を、2A/dmの電流密度の条件により積層し、片面銅張板を作製した。なお、硫酸銅浴の組成は、硫酸銅五水和物80g/リットル、硫酸200g/リットル、塩酸50mg/リットルに適宜量の添加剤を加えた溶液を用いた。乾燥後、さらに合成例1の接着剤をもう片方のポリイミド面に塗布し、150℃×5分間加熱乾燥し、乾燥膜厚10μmの接着剤層を形成した。
この片面接着剤付き銅張り板と、表面粗さ(Rz)が1.5μmの1/2オンス銅箔(古河サーキットフォイル(株)製、F0−WS18)とを、熱ロールラミネート機を用いて、ラミネート温度160℃、ラミネート圧力196N/cm(20kgf/cm)、ラミネート速度1.5m/分の条件で熱ラミネートを行い、両面フレキシブル銅張板を作製した。
得られた銅張り板を使用して、銅全面エッチング前後での寸法変化率を測定したところ、寸法変化率は−0.006%であった。
その他の特性評価結果と併せて表1に示した。
[実施例2]
ピロメリット酸二無水物/4,4’−ジアミノジフェニルエーテル/パラフェニレンジアミンをモル比で100/75/25の割合で混合し、DMAc(N,N−ジメチルアセトアミド)18.5重量%溶液にして重合し、ポリアミド酸を得た。
ここで、粒径において0.01μm以上1.5μm以下に収まっており、平均粒子径0.35μm、粒子径0.15〜0.60μmの粒子が全粒子中86.3体積%のシリカのN,N−ジメチルアセトアミドスラリーを、前記ポリアミド酸溶液に樹脂重量当たり0.35重量%添加し、十分攪拌、分散させた後、無水酢酸(分子量102.09)とイソキノリンからなる転化剤を、ポリアミド酸溶液に対し50重量%の割合で混合、攪拌した。この時、ポリアミド酸のアミド酸基に対し、無水酢酸及びイソキノリンがそれぞれ2.0及び0.4モル当量になるように調製した。
得られた混合物を、T型スリットダイより回転する100℃のステンレス製ドラム上にキャストし、残揮発成分が55重量%、厚み約0.20mmの自己支持性を有するゲルフィルムを得た。このゲルフィルムをドラムから引き剥がし、その両端を把持し、加熱炉にて200℃×30秒、350℃×30秒、550℃×30秒処理し、厚さ38μmのポリイミドフィルムを得た。
このポリイミドフィルムを用い、真空槽を到達圧力1×10−3Paにした後、アルゴンガス圧1×10−1PaにてDCマグネトロンスパッタによりニッケル/クロム=95/5(重量比)のニクロム合金を厚さ5nmになるように片面にスパッタリングし、更に銅を厚さ50nmになるようにスパッタリングした。次に、硫酸銅浴による電解鍍金で6μmの厚さの銅層を、2A/dmの電流密度の条件により積層し、片面銅張板を作製した。なお、硫酸銅浴の組成は、硫酸銅五水和物80g/リットル、硫酸200g/リットル、塩酸50mg/リットルに適宜量の添加剤を加えた溶液を用いた。乾燥後、さらに合成例1の接着剤をもう片方のポリイミド面に塗布し、150℃×5分間加熱乾燥し、乾燥膜厚10μmの接着剤層を形成した。
この片面接着剤付き銅張り板と、表面粗さ(Rz)が1.5μmの1/2オンス銅箔(古河サーキットフォイル(株)製、F0−WS18)とを、熱ロールラミネート機を用いて、ラミネート温度160℃、ラミネート圧力196N/cm(20kgf/cm)、ラミネート速度1.5m/分の条件で熱ラミネートを行い、両面フレキシブル銅張板を作製した。
得られた銅張り板を使用して、銅全面エッチング前後での寸法変化率を測定したところ、寸法変化率は−0.008%であった。
その他の特性評価結果と併せて表1に示した。
[実施例3]
ピロメリット酸二無水物/4,4’−ジアミノジフェニルエーテル/パラフェニレンジアミンをモル比で100/70/30の割合で混合し、DMAc(N,N−ジメチルアセトアミド)18.5重量%溶液にして重合し、ポリアミド酸を得た。この際、まずピロメリット酸二無水物とパラフェニレンジアミンとを先に反応させ、しかる後に4,4’−ジアミノジフェニルエーテルを添加するブロック重合を行った。
ここで、粒径において0.01μm以上1.5μm以下に収まっており、平均粒子径0.45μm、粒子径0.15〜0.60μmの粒子が全粒子中87.7体積%のシリカのN,Nージメチルアセトアミドスラリーを、前記ポリアミド酸溶液に樹脂重量当たり0.3重量%添加し、十分攪拌、分散させた後、無水酢酸(分子量102.09)とイソキノリンからなる転化剤を、ポリアミド酸溶液に対し50重量%の割合で混合、攪拌した。この時、ポリアミド酸のアミド酸基に対し、無水酢酸及びイソキノリンがそれぞれ2.0及び0.4モル当量になるように調製した。
得られた混合物を、T型スリットダイより回転する100℃のステンレス製ドラム上にキャストし、残揮発成分が55重量%、厚み約0.20mmの自己支持性を有するゲルフィルムを得た。このゲルフィルムをドラムから引き剥がし、その両端を把持し、加熱炉にて200℃×30秒、350℃×30秒、550℃×30秒処理し、厚さ25μmのポリイミドフィルムを得た。
このポリイミドフィルムを用い、真空槽を到達圧力1×10−3Paにした後、アルゴンガス圧1×10−1PaにてDCマグネトロンスパッタによりニッケル/クロム=95/5(重量比)のニクロム合金を厚さ5nmになるように片面にスパッタリングし、更に銅を厚さ50nmになるようにスパッタリングした。次に、硫酸銅浴による電解鍍金で6μmの厚さの銅層を、2A/dmの電流密度の条件により積層し、片面銅張板を作製した。なお、硫酸銅浴の組成は、硫酸銅五水和物80g/リットル、硫酸200g/リットル、塩酸50mg/リットルに適宜量の添加剤を加えた溶液を用いた。乾燥後、さらに合成例1の接着剤をもう片方のポリイミド面に塗布し、150℃×5分間加熱乾燥し、乾燥膜厚10μmの接着剤層を形成した。
この片面接着剤付き銅張り板と、表面粗さ(Rz)が1.5μmの1/2オンス銅箔(古河サーキットフォイル(株)製、F0−WS18)とを、熱ロールラミネート機を用いて、ラミネート温度160℃、ラミネート圧力196N/cm(20kgf/cm)、ラミネート速度1.5m/分の条件で熱ラミネートを行い、両面フレキシブル銅張板を作製した。
得られた銅張り板を使用して、銅全面エッチング前後での寸法変化率を測定したところ、寸法変化率は0.015%であった。
その他の特性評価結果と併せて表1に示した。
[実施例4]
ピロメリット酸二無水物/4,4’−ジアミノジフェニルエーテル/パラフェニレンジアミンをモル比で100/80/20の割合で混合し、DMAc(N,N−ジメチルアセトアミド)18.5重量%溶液にして重合し、ポリアミド酸を得た。この際、まずピロメリット酸二無水物とパラフェニレンジアミンとを先に反応させ、しかる後に4,4’−ジアミノジフェニルエーテルを添加するブロック重合を行った。
ここで、粒径において0.01μm以上1.5μm以下に収まっており、平均粒子径0.35μm、粒子径0.15〜0.60μmの粒子が全粒子中87.0体積%のシリカのN,N−ジメチルアセトアミドスラリーを、前記ポリアミド酸溶液に樹脂重量当たり0.5重量%添加し、十分攪拌、分散させた後、無水酢酸(分子量102.09)とイソキノリンからなる転化剤を、ポリアミド酸溶液に対し50重量%の割合で混合、攪拌した。この時、ポリアミド酸のアミド酸基に対し、無水酢酸及びイソキノリンがそれぞれ2.0及び0.4モル当量になるように調製した。得られた混合物を、T型スリットダイより回転する100℃のステンレス製ドラム上にキャストし、残揮発成分が55重量%、厚み約0.20mmの自己支持性を有するゲルフィルムを得た。このゲルフィルムをドラムから引き剥がし、その両端を把持し、加熱炉にて200℃×30秒、350℃×30秒、550℃×30秒処理し、厚さ12.5μmのポリイミドフィルムを得た。
このポリイミドフィルムを用い、真空槽を到達圧力1×10−3Paにした後、アルゴンガス圧1×10−1PaにてDCマグネトロンスパッタによりニッケル/クロム=95/5(重量比)のニクロム合金を厚さ5nmになるように片面にスパッタリングし、更に銅を厚さ50nmになるようにスパッタリングした。次に、硫酸銅浴による電解鍍金で6μmの厚さの銅層を、2A/dmの電流密度の条件により積層し、片面銅張板を作製した。なお、硫酸銅浴の組成は、硫酸銅五水和物80g/リットル、硫酸200g/リットル、塩酸50mg/リットルに適宜量の添加剤を加えた溶液を用いた。乾燥後、さらに合成例2の接着剤をもう片方のポリイミド面に塗布し、150℃×5分間加熱乾燥し、乾燥膜厚10μmの接着剤層を形成した。
この片面接着剤付き銅張り板と、表面粗さ(Rz)が1.5μmの1/2オンス銅箔(古河サーキットフォイル(株)製、F0−WS18)とを、熱ロールラミネート機を用いて、ラミネート温度160℃、ラミネート圧力196N/cm(20kgf/cm)、ラミネート速度1.5m/分の条件で熱ラミネートを行い、両面フレキシブル銅張板を作製した。
得られた銅張り板を使用して、銅全面エッチング前後での寸法変化率を測定したところ、寸法変化率は−0.025%であった。
その他の特性評価結果と併せて表1に示した。
[実施例5]
ピロメリット酸二無水物/4,4’−ジアミノジフェニルエーテル/パラフェニレンジアミンをモル比で100/50/50の割合で混合し、DMAc(N,N−ジメチルアセトアミド)18.5重量%溶液にして重合し、ポリアミド酸を得た。この際、まずピロメリット酸二無水物とパラフェニレンジアミンとを先に反応させ、しかる後に4,4’−ジアミノジフェニルエーテルを添加するブロック重合を行った。
ここで、粒径において0.01μm以上1.5μm以下に収まっており、平均粒子径0.37μm、粒子径0.15〜0.60μmの粒子が全粒子中86.5体積%のシリカのN,N−ジメチルアセトアミドスラリーを、前記ポリアミド酸溶液に樹脂重量当たり0.5重量%添加し、十分攪拌、分散させた後、無水酢酸(分子量102.09)とイソキノリンからなる転化剤を、ポリアミド酸溶液に対し50重量%の割合で混合、攪拌した。この時、ポリアミド酸のアミド酸基に対し、無水酢酸及びイソキノリンがそれぞれ2.0及び0.4モル当量になるように調製した。得られた混合物を、T型スリットダイより回転する100℃のステンレス製ドラム上にキャストし、残揮発成分が55重量%、厚み約0.20mmの自己支持性を有するゲルフィルムを得た。このゲルフィルムをドラムから引き剥がし、その両端を把持し、加熱炉にて200℃×30秒、350℃×30秒、550℃×30秒処理し、厚さ7.5μmのポリイミドフィルムを得た。
このポリイミドフィルムを用い、真空槽を到達圧力1×10−3Paにした後、アルゴンガス圧1×10−1PaにてDCマグネトロンスパッタによりニッケル/クロム=95/5(重量比)のニクロム合金を厚さ5nmになるように片面にスパッタリングし、更に銅を厚さ50nmになるようにスパッタリングした。次に、硫酸銅浴による電解鍍金で6μmの厚さの銅層を、2A/dmの電流密度の条件により積層し、片面銅張板を作製した。なお、硫酸銅浴の組成は、硫酸銅五水和物80g/リットル、硫酸200g/リットル、塩酸50mg/リットルに適宜量の添加剤を加えた溶液を用いた。乾燥後、さらに合成例2の接着剤をもう片方のポリイミド面に塗布し、150℃×5分間加熱乾燥し、乾燥膜厚10μmの接着剤層を形成した。
この片面接着剤付き銅張り板と、表面粗さ(Rz)が1.5μmの1/2オンス銅箔(古河サーキットフォイル(株)製、F0−WS18)とを、熱ロールラミネート機を用いて、ラミネート温度160℃、ラミネート圧力196N/cm(20kgf/cm)、ラミネート速度1.5m/分の条件で熱ラミネートを行い、両面フレキシブル銅張板を作製した。
得られた銅張り板を使用して、銅全面エッチング前後での寸法変化率を測定したところ、寸法変化率は0.015%であった。
その他の特性評価結果と併せて表1に示した。
[実施例6]
ピロメリット酸二無水物/4,4’−ジアミノジフェニルエーテル/パラフェニレンジアミンをモル比で100/60/40の割合で混合し、DMAc(N,N−ジメチルアセトアミド)18.5重量%溶液にして重合し、ポリアミド酸を得た。
ここで、粒径において0.01μm以上1.5μm以下に収まっており、平均粒子径0.52μm、粒子径0.15〜0.60μmの粒子が全粒子中86.8体積%のシリカのN,N−ジメチルアセトアミドスラリーを、前記ポリアミド酸溶液に樹脂重量当たり0.5重量%添加し、十分攪拌、分散させた後、無水酢酸(分子量102.09)とイソキノリンからなる転化剤を、ポリアミド酸溶液に対し50重量%の割合で混合、攪拌した。この時、ポリアミド酸のアミド酸基に対し、無水酢酸及びイソキノリンがそれぞれ2.0及び0.4モル当量になるように調製した。
得られた混合物を、T型スリットダイより回転する100℃のステンレス製ドラム上にキャストし、残揮発成分が55重量%、厚み約0.20mmの自己支持性を有するゲルフィルムを得た。このゲルフィルムをドラムから引き剥がし、その両端を把持し、加熱炉にて200℃×30秒、350℃×30秒、550℃×30秒処理し、厚さ50μmのポリイミドフィルムを得た。
このポリイミドフィルムを用い、真空槽を到達圧力1×10−3Paにした後、アルゴンガス圧1×10−1PaにてDCマグネトロンスパッタによりニッケル/クロム=95/5(重量比)のニクロム合金を厚さ5nmになるように片面にスパッタリングし、更に銅を厚さ50nmになるようにスパッタリングした。次に、硫酸銅浴による電解鍍金で6μmの厚さの銅層を、2A/dmの電流密度の条件により積層し、片面銅張板を作製した。なお、硫酸銅浴の組成は、硫酸銅五水和物80g/リットル、硫酸200g/リットル、塩酸50mg/リットルに適宜量の添加剤を加えた溶液を用いた。乾燥後、さらに合成例2の接着剤をもう片方のポリイミド面に塗布し、150℃×5分間加熱乾燥し、乾燥膜厚10μmの接着剤層を形成した。この片面接着剤付き銅張り板と、表面粗さ(Rz)が1.5μmの1/2オンス銅箔(古河サーキットフォイル(株)製、F0−WS18)とを、熱ロールラミネート機を用いて、ラミネート温度160℃、ラミネート圧力196N/cm(20kgf/cm)、ラミネート速度1.5m/分の条件で熱ラミネートを行い、両面フレキシブル銅張板を作製した。
得られた銅張り板を使用して、銅全面エッチング前後での寸法変化率を測定したところ、寸法変化率は0.014%であった。
その他の特性評価結果と併せて表1に示した。
[実施例7]
ピロメリット酸二無水物/4,4’−ジアミノジフェニルエーテル/パラフェニレンジアミンをモル比で100/90/10の割合で混合し、DMAc(N,N−ジメチルアセトアミド)18.5重量%溶液にして重合し、ポリアミド酸を得た。
ここで、粒径において0.01μm以上1.5μm以下に収まっており、平均粒子径0.42μm、粒子径0.15〜0.60μmの粒子が全粒子中87.7体積%のシリカのN,N−ジメチルアセトアミドスラリーを、前記ポリアミド酸溶液に樹脂重量当たり0.5重量%添加し、十分攪拌、分散させた後、無水酢酸(分子量102.09)とイソキノリンからなる転化剤を、ポリアミド酸溶液に対し50重量%の割合で混合、攪拌した。この時、ポリアミド酸のアミド酸基に対し、無水酢酸及びイソキノリンがそれぞれ2.0及び0.4モル当量になるように調製した。
得られた混合物を、T型スリットダイより回転する100℃のステンレス製ドラム上にキャストし、残揮発成分が55重量%、厚み約0.20mmの自己支持性を有するゲルフィルムを得た。このゲルフィルムをドラムから引き剥がし、その両端を把持し、加熱炉にて200℃×30秒、350℃×30秒、550℃×30秒処理し、厚さ125μmのポリイミドフィルムを得た。
このポリイミドフィルムを用い、真空槽を到達圧力1×10−3Paにした後、アルゴンガス圧1×10−1PaにてDCマグネトロンスパッタによりニッケル/クロム=95/5(重量比)のニクロム合金を厚さ5nmになるように片面にスパッタリングし、更に銅を厚さ50nmになるようにスパッタリングした。次に、硫酸銅浴による電解鍍金で6μmの厚さの銅層を、2A/dmの電流密度の条件により積層し、片面銅張板を作製した。なお、硫酸銅浴の組成は、硫酸銅五水和物80g/リットル、硫酸200g/リットル、塩酸50mg/リットルに適宜量の添加剤を加えた溶液を用いた。乾燥後、さらにもう片方のポリイミド面にアクリル性ポリイミド接着剤(デュポン(株)製 パイララックスLF010)を挟み、表面粗さ(Rz)が1.5μmの1/2オンス銅箔(古河サーキットフォイル(株)製、F0−WS18)とを、熱ロールラミネート機を用いて、ラミネート温度160℃、ラミネート圧力196N/cm(20kgf/cm)、ラミネート速度1.5m/分の条件で熱ラミネートを行い、両面フレキシブル銅張板を作製した。
得られた銅張り板を使用して、銅全面エッチング前後での寸法変化率を測定したところ、寸法変化率は0.011%であった。
その他の特性評価結果と併せて表1に示した。
[実施例8]
ピロメリット酸二無水物/4,4’−ジアミノジフェニルエーテル/パラフェニレンジアミンをモル比で100/80/20の割合で混合し、DMAc(N,N−ジメチルアセトアミド)18.5重量%溶液にして重合し、ポリアミド酸を得た。
ここで、粒径において0.01μm以上1.5μm以下に収まっており、平均粒子径0.42μm、粒子径0.15〜0.60μmの粒子が全粒子中87.7体積%のシリカのN,N−ジメチルアセトアミドスラリーを、前記ポリアミド酸溶液に樹脂重量当たり0.5重量%添加し、十分攪拌、分散させた後、無水酢酸(分子量102.09)とイソキノリンからなる転化剤を、ポリアミド酸溶液に対し50重量%の割合で混合、攪拌した。この時、ポリアミド酸のアミド酸基に対し、無水酢酸及びイソキノリンがそれぞれ2.0及び0.4モル当量になるように調製した。
得られた混合物を、T型スリットダイより回転する100℃のステンレス製ドラム上にキャストし、残揮発成分が55重量%、厚み約0.20mmの自己支持性を有するゲルフィルムを得た。このゲルフィルムをドラムから引き剥がし、その両端を把持し、加熱炉にて200℃×30秒、350℃×30秒、550℃×30秒処理し、厚さ175μmのポリイミドフィルムを得た。
このポリイミドフィルムを用い、真空槽を到達圧力1×10−3Paにした後、アルゴンガス圧1×10−1PaにてDCマグネトロンスパッタによりニッケル/クロム=95/5(重量比)のニクロム合金を厚さ5nmになるように片面にスパッタリングし、更に銅を厚さ50nmになるようにスパッタリングした。次に、硫酸銅浴による電解鍍金で6μmの厚さの銅層を、2A/dmの電流密度の条件により積層し、片面銅張板を作製した。なお、硫酸銅浴の組成は、硫酸銅五水和物80g/リットル、硫酸200g/リットル、塩酸50mg/リットルに適宜量の添加剤を加えた溶液を用いた。乾燥後、さらにもう片方のポリイミド面にアクリル性ポリイミド接着剤(デュポン(株)製 パイララックスLF010)を挟み、表面粗さ(Rz)が1.5μmの1/2オンス銅箔(古河サーキットフォイル(株)製、F0−WS18)とを、熱ロールラミネート機を用いて、ラミネート温度160℃、ラミネート圧力196N/cm(20kgf/cm)、ラミネート速度1.5m/分の条件で熱ラミネートを行い、両面フレキシブル銅張板を作製した。
得られた銅張り板を使用して、銅全面エッチング前後での寸法変化率を測定したところ、寸法変化率は0.006%であった。
その他の特性評価結果と併せて表1に示した。
[比較例1]
ピロメリット酸二無水物/4,4’−ジアミノジフェニルエーテルをモル比で50/50の割合で混合し、DMF(N,N−ジメチルホルムアミド)18.5重量%溶液にして重合し、ポリアミド酸を得た。無水酢酸(分子量102.09)とイソキノリンからなる転化剤をポリアミド酸溶液に対し50重量%の割合で混合、攪拌した。この時、ポリアミド酸のアミド酸基に対し、無水酢酸及びイソキノリンがそれぞれ2.0及び0.4モル当量になるように調製した。
得られた混合物を、T型スリットダイより回転する100℃のステンレス製ドラム上にキャストし、残揮発成分が55重量%、厚み約0.20mmの自己支持性を有するゲルフィルムを得た。このゲルフィルムをドラムから引き剥がし、その両端を把持し、加熱炉にて200℃×30秒、350℃×30秒、550℃×30秒処理し、厚さ38μmのポリイミドフィルムを得た。このフィルムは静摩擦係数が高く滑り性が悪かった。
このポリイミドフィルムを用い、真空槽を到達圧力1×10−3Paにした後、アルゴンガス圧1×10−1PaにてDCマグネトロンスパッタによりニッケル/クロム=95/5(重量比)のニクロム合金を厚さ5nmになるように片面にスパッタリングし、更に銅を厚さ50nmになるようにスパッタリングした。次に、硫酸銅浴による電解鍍金で6μmの厚さの銅層を、2A/dmの電流密度の条件により積層し、片面銅張板を作製した。なお、硫酸銅浴の組成は、硫酸銅五水和物80g/リットル、硫酸200g/リットル、塩酸50mg/リットルに適宜量の添加剤を加えた溶液を用いた。乾燥後、さらに合成例1の接着剤をもう片方のポリイミド面に塗布し、150℃×5分間加熱乾燥し、乾燥膜厚10μmの接着剤層を形成した。
この片面接着剤付き銅張り板と、表面粗さ(Rz)が1.5μmの1/2オンス銅箔(古河サーキットフォイル(株)製、F0−WS18)とを、熱ロールラミネート機を用いて、ラミネート温度160℃、ラミネート圧力196N/cm(20kgf/cm)、ラミネート速度1.5m/分の条件で熱ラミネートを行い、両面フレキシブル銅張板を作製した。
得られた銅張り板を使用して、銅全面エッチング前後での寸法変化率を測定したところ、寸法変化率は−0.121%と大きかった。
その他の特性評価結果と併せて表2に示した。
[比較例2]
ピロメリット酸二無水物/4,4’−ジアミノジフェニルエーテルをモル比で50/50の割合で混合し、DMF(N,N−ジメチルホルムアミド)18.5重量%溶液にして重合し、ポリアミド酸を得た。
ここで、粒径において0.1μm以上4.5μm以下に収まっており、平均粒子径1.1μm、粒子径0.15〜0.60μmの粒子が全粒子中27.3体積%のリン酸水素カルシウムのN,Nージメチルアセトアミドスラリーを、前記ポリアミド酸溶液に樹脂重量当たり0.2重量%添加し、十分攪拌、分散させた後、無水酢酸(分子量102.09)とイソキノリンからなる転化剤を、ポリアミド酸溶液に対し50重量%の割合で混合、攪拌した。この時、ポリアミド酸のアミド酸基に対し、無水酢酸及びイソキノリンがそれぞれ2.0及び0.4モル当量になるように調製した。
得られた混合物を、T型スリットダイより回転する100℃のステンレス製ドラム上にキャストし、残揮発成分が55重量%、厚み約0.20mmの自己支持性を有するゲルフィルムを得た。このゲルフィルムをドラムから引き剥がし、その両端を把持し、加熱炉にて200℃×30秒、350℃×30秒、550℃×30秒処理し、厚さ38μmのポリイミドフィルムを得た。このフィルムはAOI検査では異物と微粒子の区別が付かなく、また異常突起も多く発生した。
このポリイミドフィルムを用い、真空槽を到達圧力1×10−3Paにした後、アルゴンガス圧1×10−1PaにてDCマグネトロンスパッタによりニッケル/クロム=95/5(重量比)のニクロム合金を厚さ5nmになるように片面にスパッタリングし、更に銅を厚さ50nmになるようにスパッタリングした。次に、硫酸銅浴による電解鍍金で6μmの厚さの銅層を、2A/dmの電流密度の条件により積層し、片面銅張板を作製した。なお、硫酸銅浴の組成は、硫酸銅五水和物80g/リットル、硫酸200g/リットル、塩酸50mg/リットルに適宜量の添加剤を加えた溶液を用いた。乾燥後、さらに合成例1の接着剤をもう片方のポリイミド面に塗布し、150℃×5分間加熱乾燥し、乾燥膜厚10μmの接着剤層を形成した。
この片面接着剤付き銅張り板と、表面粗さ(Rz)が1.5μmの1/2オンス銅箔(古河サーキットフォイル(株)製、F0−WS18)とを、熱ロールラミネート機を用いて、ラミネート温度160℃、ラミネート圧力196N/cm(20kgf/cm)、ラミネート速度1.5m/分の条件で熱ラミネートを行い、両面フレキシブル銅張板を作製した。
得られた銅張り板を使用して、銅全面エッチング前後での寸法変化率を測定したところ、寸法変化率は−0.135%と大きかった。
その他の特性評価結果と併せて表2に示した。
[比較例3]
ピロメリット酸二無水物/4,4’−ジアミノジフェニルエーテル/パラフェニレンジアミンをモル比で100/75/25の割合で混合し、DMAc(N,N−ジメチルアセトアミド)18.5重量%溶液にして重合し、ポリアミド酸を得た。
ここで、粒径において0.01μm以上0.3μm以下に収まっており、平均粒子径0.08μm、粒子径0.15〜0.60μmの粒子が全粒子中31.4体積%のシリカのN,N−ジメチルアセトアミドスラリーを、前記ポリアミド酸溶液に樹脂重量当たり0.35重量%添加し、十分攪拌、分散させた後、無水酢酸(分子量102.09)とイソキノリンからなる転化剤を、ポリアミド酸溶液に対し50重量%の割合で混合、攪拌した。この時、ポリアミド酸のアミド酸基に対し、無水酢酸及びイソキノリンがそれぞれ2.0及び0.4モル当量になるように調製した。
得られた混合物を、T型スリットダイより回転する100℃のステンレス製ドラム上にキャストし、残揮発成分が55重量%、厚み約0.20mmの自己支持性を有するゲルフィルムを得た。このゲルフィルムをドラムから引き剥がし、その両端を把持し、加熱炉にて200℃×30秒、350℃×30秒、550℃×30秒処理し、厚さ38μmのポリイミドフィルムを得た。このフィルムは静摩擦係数が高く、滑り性は悪かった。
このポリイミドフィルムを用い、真空槽を到達圧力1×10−3Paにした後、アルゴンガス圧1×10−1PaにてDCマグネトロンスパッタによりニッケル/クロム=95/5(重量比)のニクロム合金を厚さ5nmになるように片面にスパッタリングし、更に銅を厚さ50nmになるようにスパッタリングした。次に、硫酸銅浴による電解鍍金で6μmの厚さの銅層を、2A/dmの電流密度の条件により積層し、片面銅張板を作製した。なお、硫酸銅浴の組成は、硫酸銅五水和物80g/リットル、硫酸200g/リットル、塩酸50mg/リットルに適宜量の添加剤を加えた溶液を用いた。乾燥後、さらに合成例2の接着剤をもう片方のポリイミド面に塗布し、150℃×5分間加熱乾燥し、乾燥膜厚10μmの接着剤層を形成した。
この片面接着剤付き銅張り板と、表面粗さ(Rz)が1.5μmの1/2オンス銅箔(古河サーキットフォイル(株)製、F0−WS18)とを、熱ロールラミネート機を用いて、ラミネート温度160℃、ラミネート圧力196N/cm(20kgf/cm)、ラミネート速度1.5m/分の条件で熱ラミネートを行い、両面フレキシブル銅張板を作製した。
得られた銅張り板を使用して、銅全面エッチング前後での寸法変化率を測定したところ、寸法変化率は0.014%であった。
その他の特性評価結果と併せて表2に示した。
[比較例4]
ピロメリット酸二無水物/4,4’−ジアミノジフェニルエーテル/パラフェニレンジアミンをモル比で100/50/50の割合で混合し、DMAc(N,N−ジメチルアセトアミド)18.5重量%溶液にして重合し、ポリアミド酸を得た。
ここで、粒径において0.01μm以上1.5μm以下に収まっており、平均粒子径0.4μm、0.9〜1.3μmの粒子径の占有率が全体の22.3体積%を占め、粒子径0.15〜0.60μmの粒子が全粒子中72.6体積%のシリカのN,N−ジメチルアセトアミドスラリーを、前記ポリアミド酸溶液に樹脂重量当たり0.35重量%添加し、十分攪拌、分散させた後、無水酢酸(分子量102.09)とイソキノリンからなる転化剤を、ポリアミド酸溶液に対し50重量%の割合で混合、攪拌した。この時、ポリアミド酸のアミド酸基に対し、無水酢酸及びイソキノリンがそれぞれ2.0及び0.4モル当量になるように調製した。得られた混合物を、T型スリットダイより回転する100℃のステンレス製ドラム上にキャストし、残揮発成分が55重量%、厚み約0.20mmの自己支持性を有するゲルフィルムを得た。
このゲルフィルムをドラムから引き剥がし、その両端を把持し、加熱炉にて200℃×30秒、350℃×30秒、550℃×30秒処理し、厚さ38μmのポリイミドフィルムを得た。このフィルムは異常突起数が多かった。またAOI検査では異物と微粒子の区別がうまく付かなかった。
このポリイミドフィルムを用い、真空槽を到達圧力1×10−3Paにした後、アルゴンガス圧1×10−1PaにてDCマグネトロンスパッタによりニッケル/クロム=95/5(重量比)のニクロム合金を厚さ5nmになるように片面にスパッタリングし、更に銅を厚さ50nmになるようにスパッタリングした。次に、硫酸銅浴による電解鍍金で6μmの厚さの銅層を、2A/dmの電流密度の条件により積層し、片面銅張板を作製した。なお、硫酸銅浴の組成は、硫酸銅五水和物80g/リットル、硫酸200g/リットル、塩酸50mg/リットルに適宜量の添加剤を加えた溶液を用いた。乾燥後、さらにもう片方のポリイミド面にアクリル性ポリイミド接着剤(デュポン(株)製 パイララックスLF010)を挟み、表面粗さ(Rz)が1.5μmの1/2オンス銅箔(古河サーキットフォイル(株)製、F0−WS18)とを、熱ロールラミネート機を用いて、ラミネート温度160℃、ラミネート圧力196N/cm(20kgf/cm)、ラミネート速度1.5m/分の条件で熱ラミネートを行い、両面フレキシブル銅張板を作製した。
得られた銅張り板を使用して、銅全面エッチング前後での寸法変化率を測定したところ、寸法変化率は0.018%であった。
その他の特性評価結果と併せて表2に示した。
Figure 2009018523
Figure 2009018523
本発明の銅張り板は、エッチング後の寸法変化率が小さく、AOIに適応可能な特性を備えると共に、さらには走行性(易滑性)、接着性にも優れているため、微細な配線形成が可能で、かつ鉛フリー半田を用いても変形せず、走行性及び接着性が向上することから、微細な配線を形成する高性能のフレキシブルプリント配線基板(FPC)やチップオンフィルム(COF)などの材料として極めて有用である。

Claims (7)

  1. ジアミン成分としてパラフェニレンジアミン及び4,4’−ジアミノジフェニルエーテルを、酸二無水物成分としてピロメリット酸二無水物を主たる構成成分とし、イミド化によって製造されたポリイミドフィルム中に、粒子径が0.01〜1.5μm、かつ平均粒子径が0.05〜0.7μm、さらに粒子径0.15〜0.60μmの無機粒子が全粒子中80体積%以上の割合を占める粒度分布を有する無機粒子が、フィルム樹脂重量当たり0.1〜0.9重量%の割合で分散されているポリイミドフィルムを用い、このポリイミドフィルムの片面に接着剤を介し銅板を、もう片面に接着剤を介することなく銅板を、それぞれ有していることを特徴とする銅張り板。
  2. 前記ポリイミドフィルムにおける各構成成分の割合が、ジアミン成分として10〜50モル%のパラフェニレンジアミン及び50〜90モル%の4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、酸二無水物成分として100モル%のピロメリット酸二無水物からなることを特徴とする請求項1記載の銅張り板。
  3. 前記無機粒子に起因する突起が前記ポリイミドフィルムの表面に存在し、その突起の高さが2μm以上のものの数が5個/40cm角以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の銅張り板。
  4. 前記ポリイミドフィルムの厚みが5〜175μmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の銅張り板。
  5. 前記接着剤が、エポキシ系接着剤、アクリル系接着剤及びポリイミド系接着剤から選ばれる少なくとも1種からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の銅張り板。
  6. 前記銅板における接着剤側の銅の表面粗さ(Rz)が、0.1〜10μmであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の銅張り板。
  7. 全面エッチング後の寸法変化率が、−0.100%〜0.100%の範囲内であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の銅張り板。
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