JP2009018953A - カーボンナノ構造物の製造方法およびカーボンナノ構造物の製造装置 - Google Patents

カーボンナノ構造物の製造方法およびカーボンナノ構造物の製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】触媒の性能低下を抑制することができるカーボンナノ構造物の製造方法およびカーボンナノ構造物製造装置を提供する。
【解決手段】本発明に係るカーボンナノ構造物の製造方法は、カーボンナノチューブ10(カーボンナノ構造物)を成長させる触媒9を加熱した後に、カーボンナノチューブ10の原料となる炭素を含む原料ガスおよび上記原料ガスを搬送するキャリアガスを触媒9に供給することによって、カーボンナノチューブ10を製造する方法において、触媒9を上記触媒を加熱する過程において、予め触媒周囲に存在する原料ガスの濃度を200℃以上の温度領域において、5ppm以下に制御する製造方法である。
【選択図】図1

Description

本発明は、カーボンナノ構造物の製造方法およびカーボンナノ構造物の製造装置に関するものである。
カーボンナノチューブ、カーボンナノコイルなどのカーボンナノ構造物を製造する方法として、炭化水素などの原料ガスを分解して目的物質を成長させる化学的気相成長法(CVD法、Chemical Vapor Deposition)、また上記CVD法の一形態である、触媒を利用して目的物質を成長させる触媒化学的気相成長法(CCVD法、Catalyst Chemical Vapor Deposition)が知られている。
従来、CVD法でカーボンナノ構造物を製造するには、反応室に原料ガスとキャリアガスの混合ガスを導入し、触媒により原料ガスを分解して触媒表面にカーボンナノ構造物を成長させる製造方法が採用されている。
この種の製造方法を用いた製造装置の一つに原料吹き付け式カーボンナノ構造物合成装置がある。このカーボンナノ構造物合成装置は、例えば、特許文献1に示されているように、触媒体を内部に配置した反応室にキャリアガスとともに、原料ガスを供給して、触媒体の表面にカーボンナノ構造物を成長させるように構成されている。反応室の中に原料ガスを導入する原料ガスノズルのノズル先端が触媒体表面の近傍に配設され、予熱されたカーボン原料ガスを瞬時に大量に触媒表面に集中的に吹き付け、または吹き込むことによって、原料ガスと触媒表面との接触確率を飛躍的に高めることにより、高効率にカーボンナノ構造物を製造することができる。
また、カーボンナノコイルは、導電性を有しかつコイル形状であることから高性能な電磁波吸収材料としての利用が期待されるとともに、ナノメートルオーダーの大きさであることから、マイクロマシンのスプリングやアクチュエーターの材料としても注目されている。
カーボンナノコイルの製造方法については、1994年にアメリンクス等により初めて、Fe、Co、Ni等の金属触媒を微小粉末に調製し、この金属触媒の近傍を600℃〜700℃に加熱し、この触媒に接触するようにアセチレン等のガスを流しカーボンナノコイルを生成する方法が非特許文献1に開示されている。
しかし、この方法は、グラファイト構造からなる線状、曲線状、コイル状等の様々な形状のカーボン生成物が生成するものであった。以来、コイル状のカーボン生成物であるカーボンナノコイルの生成率が高く、工業的に利用できる触媒、製造方法等について多くの報告がなされている。
また、非特許文献2には、シリカ上に鉄またはコバルトが形成された触媒を用いて、アセチレンを原料として、700℃の温度下にて、カーボンナノチューブを得る方法が開示されている。
さらに、カーボンナノコイルの生成率が高い触媒としては、本発明者らによる、インジウム・スズ・鉄系の触媒についての報告がある。特許文献1にはインジウム・スズ・鉄からなる3成分系の触媒やその製造方法が開示されている。
国際公開第2004/105940号パンフレット(平成16年12月9日公開) S. Amelinckx, et.al., 「A Formation Mechanism for Catalytically grown Helix-Shaped Graphite Nanotubes」, Science 265, p.635-639(1994). A. Fonseca, et. al., 「Synthesis of single-and multi-wall carbon nanotubes over supported catalysts」, Appl. Phys. A 67, p.11-22(1998).
上記のように、カーボンナノ構造物を成長させるための触媒および触媒に着目した製造方法については種々の研究がなされ、改良が重ねられているものの、その他の要因についてはあまり注目がなされていないことが現状である。カーボンナノ構造物の成長にとって、触媒が大きな寄与を及ぼすことから当然とも考えられるが、本発明者らは、触媒以外の要素についても着目することによって、カーボンナノ構造物の成長について新たな知見を見出せるのではないかと検討を重ねてきた。
図10は、ブラシ状のカーボンナノチューブを所定のCVD法にて同条件下で成長させた場合のカーボンナノチューブの密度および長さの関係を示すプロット図である。同図に示すように従来法によってカーボンナノチューブを製造した場合、カーボンナノチューブの長さおよび密度を制御することが困難であるという問題点があったが、これについては従来解明されていなかった。そこで、発明者らは鋭意検討を重ねたところ、カーボンナノ構造物の原料となるアセチレン等の原料ガスについて着目するに至った。
例えば、カーボンナノ構造物を製造する方法では、まず、触媒を例えば、600℃〜700℃加熱し、その後、この金属触媒に接触するように原料ガスを供給する。しかしながら、触媒を加熱する際において、製造装置内部に以前の反応において用いられた原料ガスが残存し、触媒周辺に存在し得る。発明者らは、この残存した原料ガスについて詳細に調査、研究を行った結果、この残存した原料ガスの量が触媒の性能を変化させるという影響を及ぼすという新たな知見を見出した。具体的には、この知見とは、触媒を加熱する際、予め触媒周囲に存在する原料ガスの濃度が低濃度の場合には、触媒を活性化させることができ、高濃度である場合には、触媒が失活されてしまうというものである。
本発明は、上記の発明者らの知見に基づくものであり、その目的は、原料ガスの濃度を制御することによって、触媒の性能低下を抑制することができる構造物の製造方法およびカーボンナノ構造物製造装置を提供することにある。
本発明のカーボンナノ構造物の製造方法は、上記課題を解決するために、カーボンナノ構造物を成長させる触媒を加熱した後に、カーボンナノ構造物の原料となる炭素を含む原料ガスおよび上記原料ガスを搬送するキャリアガスを上記触媒に供給することによって、カーボンナノ構造物を製造する方法において、上記触媒を加熱する過程において、予め触媒周囲に存在する原料ガスの濃度を200℃以上の温度領域において、5ppm以下に制御することを特徴としている。
上記の発明によれば、上記触媒を加熱する過程において、予め触媒周囲に存在する原料ガスの濃度を200℃以上の温度領域において、低濃度である5ppm以下に制御するので、上記触媒上にて原料ガスが分解され、酸化された触媒の還元や炭化鉄の形成が行われ、触媒を活性化させる。このため、より効率的にカーボンナノ構造物を製造することができる。
なお、200℃以上の温度領域においては、逆に予め触媒周囲に存在する原料ガスの濃度が5ppmを超える場合、触媒から余分のカーボンが析出するので、触媒の活性を低下させる。
また、本発明のカーボンナノ構造物の製造方法では、予め触媒周囲に存在する原料ガスの濃度を所定の濃度に調節することが好ましい。
予め触媒周囲に存在する原料ガスの濃度によって、得られるカーボンナノ構造物のかさ密度および長さが影響を受ける。そのため、上記の構成によれば、触媒の失活を抑制しつつ、得られるカーボンナノ構造物のかさ密度および長さを調節することができ、所望のカーボンナノ構造物を得ることが可能となる。
また、本発明のカーボンナノ構造物の製造方法では、上記触媒を加熱する過程において、予め触媒周囲に存在する原料ガスの濃度を200℃以上の温度領域において、3ppm以下に制御することが好ましい。
上記範囲であることによって、かさ密度、長さともに非常に高い値を示すカーボンナノチューブを得ることができる。
本発明のカーボンナノ構造物製造装置は、上記課題を解決するために、カーボンナノ構造物を成長させる触媒に、カーボンナノ構造物の原料となる炭素を含む原料ガスおよび上記原料ガスを搬送するキャリアガスを供給するガス供給器と、上記触媒が配置される反応器とを備えるカーボンナノ構造物製造装置において、予め触媒周囲に存在する原料ガスの濃度を測定する原料ガス濃度測定部と、原料ガス濃度測定部によって測定された原料ガス濃度に基づき、予め触媒周囲に存在する原料ガスの濃度を200℃以上の温度領域において、5ppm以下に制御する原料ガス濃度制御部とガス排気部とを備えることを特徴としている。
上記の発明によれば、原料ガス濃度測定部と原料ガス濃度制御部とガス排気部とが備えられているので、ガス排気部によって、予め触媒周囲に存在する原料ガスの濃度を、迅速に所定の値に調整することで、200℃以上の温度領域において、5ppm以下に制御することができる。これにより、酸化された触媒の還元や炭化鉄の形成が行われ、触媒を活性化させることができるので、より効率的にカーボンナノ構造物を製造することができる。
また、本発明のカーボンナノ構造物製造装置では、上記原料ガス濃度制御部がガス供給器を制御し、予め触媒周囲に存在する原料ガスの濃度を所定の濃度に調節することが好ましい。
これにより、得られるカーボンナノ構造物のかさ密度および長さを調節することができ、所望のカーボンナノ構造物を得ることが可能となる。
本発明のカーボンナノ構造物の製造方法は、以上のように、上記触媒を加熱する過程において、予め触媒周囲に存在する原料ガスの濃度を200℃以上の温度領域において、5ppm以下に制御する製造方法である。
上記触媒を加熱する過程において、予め触媒周囲に存在する原料ガスの濃度を200℃以上の温度領域において、5ppm以下に制御するので、上記触媒上に原料ガスが分解され、酸化された触媒の還元や炭化鉄の形成が行われ、触媒を活性化させることができるので、より効率的にカーボンナノ構造物を製造することができるという効果を奏する。
本発明のカーボンナノ構造物製造装置は、以上のように、予め触媒周囲に存在する原料ガスの濃度を測定する原料ガス濃度測定部と、原料ガス濃度測定部によって測定された原料ガス濃度に基づき、予め触媒周囲に存在する原料ガスの濃度を200℃以上の温度領域において、5ppm以下に制御する原料ガス濃度制御部とガス排気部とを備えるものである。
それゆえ、原料ガス濃度測定部および原料ガス濃度制御部とガス排気部とを備えているので、上記触媒を加熱する過程において、予め触媒周囲に存在する原料ガスの濃度を200℃以上の温度領域において、5ppm以下に制御することができる。これにより、上記触媒上にて原料ガスが分解され、酸化された触媒の還元や炭化鉄の形成が行われ、触媒を活性化させることができるので、より効率的にカーボンナノ構造物を製造することができるという効果を奏する。
<カーボンナノ構造物の製造装置の構成>
まず、本発明実施の形態にて用いられるカーボンナノ構造物の製造装置について以下に説明する。まず、「カーボンナノ構造物」とは炭素原子から構成されるナノサイズの物質であり、例えば、カーボンナノチューブ、カーボンナノチューブにビーズが形成されたビーズ付カーボンナノチューブ、カーボンナノチューブが多数林立したカーボンナノブラシ、カーボンナノチューブが捩れを有したカーボンナノツイスト、コイル状のカーボンナノコイルなどを含んでいる。本明細書では、これら物質を「カーボンナノ構造物」と総称する。
図1は、カーボンナノ構造物製造装置20の構成を示す断面図である。カーボンナノ構造物製造装置20には、原料ガスおよびキャリアガスを供給する原料ガス供給器1、カーボンナノ構造物の製造がなされるカーボンナノ構造物製造部2が備えられている。カーボンナノ構造物製造部2と並列な経路には原料ガス濃度測定部3が備えられており、原料ガス供給器1、カーボンナノ構造物製造部2および原料ガス濃度測定部3はそれぞれ配管にて連結されており、カーボンナノ構造物製造部2および原料ガス濃度測定部3の前後の配管部分にはバルブ4a〜バルブ4dがそれぞれ備えられている。バルブ4a〜バルブ4dはそれぞれ独立に開閉することができ、適宜バルブ4a〜バルブ4dを開閉することによって、原料ガス濃度測定部3によって、反応室7の入り口と出口のガス濃度をそれぞれ独立に測定することができる。
原料ガス供給器1は、矢印の方向へとガスを供給するための部材であり、従来公知の原料ガス供給器を用いることができる。なお、原料ガス供給器1は、原料ガス濃度制御部3aからの信号を受信できる構成となっている。原料ガス濃度測定部3による制御については後述する。
供給がなされるガスとしては、炭化水素ガスである原料ガスとキャリアガスとが供給される。原料ガスはカーボンナノ構造物を成長させる炭素源ガスで、炭化水素のみならず、窒素含有有機ガス、硫黄含有有機ガスおよびリン含有有機ガス等の有機ガスが広く利用される。この中でも、余分な物質を生成しない意味で炭化水素が好適である。
炭化水素としては、メタン、エタンなどのアルカン化合物、エチレン、ブタジエンなどのアルケン化合物、アセチレンなどのアルキン化合物、ベンゼン、トルエン、スチレンなどのアリール炭化水素、ナフタリン、フェナントレンなどの芳香族炭化水素、シクロプロパン、シクロヘキサンなどのシクロパラフィン化合物などが利用できる。また、2種以上の混合炭化水素ガスでもよく、特に、望ましくは、低分子炭化水素、例えばアセチレン、アリレン、エチレン、ベンゼン、トルエンなどを挙げることができる。
キャリアガスとしては、He、Ne、Ar、N、Hなどのガスを挙げることができ、カーボンナノ構造物製造装置20ではHeガスが使用されている。キャリアガスは炭素化合物ガスを搬送するガスであり、炭素化合物ガスが反応により消費されるのに対して、キャリアガスは全く無反応で消耗しないガスが使用される。
カーボンナノ構造物製造部2はカーボンナノ構造物の製造が行われる部材である。カーボンナノ構造物製造部2の筐体となる反応槽6の周囲には、加熱装置5が設置され、反応槽6の内部には等温領域となる反応室7が形成されている。
加熱装置5は、反応槽6を加熱し、反応室7の温度を一定温度にするための装置である。加熱装置5としては従来公知の加熱装置を用いればよく、例えば、電気炉、赤外線炉、IH加熱器、マントルヒーター、ベルトヒーター、リボンヒーターなどを用いることができる。図3を用いて後述するが、加熱装置5は、原料ガス濃度制御部からの信号を受信できる構成にできる。また、図示しないが、加熱装置5はカーボンナノ構造物製造装置20の配管を加熱することができるよう複数設置されている。これにより、配管を加熱することによって、原料ガスを加熱することができる。
反応室7の所定位置には、触媒9が形成された基板8が配置されている。基板8の材料としては、例えば、石英を含むガラス基板、シリコンウェーハ、サファイア基板などを用いることができる。
触媒9としては、カーボンナノ化合物を製造するために用いられる従来公知の触媒を用いることができ、特に限定されるものではない。一例として、Fe系触媒はもちろん、Ni系、Co系とそれらの合金、またはこられの触媒とMo、Al、アルミナ等と併用する多元触媒系、さらに本発明者らがすでに開発しているFe・In・Sn系触媒薄膜を用いることができる。
用いられる触媒9の種類によって、得られるカーボンナノ構造物におけるカーボンナノチューブ、カーボンナノコイル等の種類、比率および量は異なるが、カーボンナノ構造物製造装置20においては、一例として、ブラシ状のカーボンナノチューブ10を示している。
カーボンナノ構造物の長さ、かさ密度などの物性は、平面型ディスプレイの電子銃などの用いられる製品に応じて好ましい値が適宜存在するので、好ましい値を特定することは困難である。従来、得られるカーボンナノ構造物の物性を所望の範囲内に制御することは非常に困難であるため、上記物性の制御を容易に行うことができれば、安定した品質にて、カーボンナノ構造物を生産することができる。
反応室7の中は加熱装置5によって所定温度に加熱される。加熱温度は原料ガスが触媒により分解される最低温度以上に調節されればよい。従って、触媒の種類と炭素化合物ガスの種類によって加熱温度は適宜調整される。また、使用されるCVDの方法、例えば、熱CVD、プラズマCVDなどの種類に応じても適宜調整される。
カーボンナノ構造物製造部2において反応に使用されずに残存した原料ガスおよびキャリアガスは、矢印方向の下流へと移動される。この残存した原料ガスおよびキャリアガスの移動には、配管に減圧装置(ガス排気部)11が備えられている構成とすることができる。減圧装置11は、迅速にガスの濃度を所定の値に達するための部材である。減圧装置11としては真空ポンプを例示することができる。これによって、カーボンナノ構造物製造部2内部に圧力差を生じさせることができ、残存した原料ガスおよびキャリアガスをカーボンナノ構造物製造部2の外部に排出することができるのである。図3を用いて後述するが、減圧装置11は原料ガス濃度制御部3aによって制御させる構成とすることができる。
原料ガス濃度測定部3は、カーボンナノ構造物製造部2と並列な経路に備えられており、原料ガス濃度測定部3には、原料ガス濃度制御部3aが接続されている。原料ガス濃度測定部3は、カーボンナノ構造物製造部2と並列な経路に備えられているため、原料ガス供給器1から供給される原料ガスおよびキャリアガスが、原料ガス濃度測定部3にも供給される。このため、反応室7内部の原料ガスと同じ濃度の原料ガス濃度を測定することができる。
ここで、バルブ4aおよびバルブ4c、または、バルブ4bおよびバルブ4dの何れか2組のバルブを開弁し、他方の2組のバルブを閉弁することによって、反応室7の入り口側または出口側の原料ガス濃度を測定することができる。ただし、入り口側の原料ガス濃度はガス供給ラインの原料ガス濃度を示す。反応室7の入り口側および出口側の原料ガス濃度は必ず同等とは限られない。これは反応室7の内壁等に原料ガスが残留する可能性があるからである。
原料ガス濃度測定部3は、原料ガス濃度を測定するためのものであり、アセチレンなどの原料ガスの濃度を測定することができる測定器であれば特に限定されない。カーボンナノ構造物製造装置20においては、四重極子質量分析計(QMS)が用いられている。
図2は、CVD法を用いた場合のカーボンナノ構造物製造装置20内部におけるガスの測定結果を示すグラフである。同図に示すように、原料ガスとして用いることができるアセチレンの割合を時間毎にイオン電流の値から求めることができ、さらに、このイオン電流を原料ガスであるアセチレンの濃度あるいは残留量に換算することができる。
原料ガス濃度制御部3aは原料ガス濃度測定部3によって測定された原料ガス濃度に基づき所定の部材を制御し、予め触媒周囲に存在する原料ガス濃度を200℃以上の温度領域において、5ppm以下に制御するための部材である。この原料ガス濃度の根拠については後述する。予め触媒周囲に存在する原料ガスとは、何らかの理由、例えば、カーボンナノ構造物製造装置20の反応室7、配管などに吸着された原料ガスが時間をかけて放出される、または、製造工程を繰り返すことによって装置外部に十分排出されなかった原料ガスが残存するなどの理由により触媒周囲に存在する原料ガスを意味し、本明細書では残存原料ガスとも適宜称する。すなわち、触媒によって分解されカーボンナノ構造物の原料とするために供給される原料ガスとは区別されるものである。また、「原料ガス濃度に基づき」とは原料ガス濃度測定部3によって測定された原料ガス濃度に応じて適宜200℃以上の温度領域において、5ppm以下に原料ガス濃度を調節することを意味する。例えば、原料ガスの濃度が100ppmである場合と、5ppmである場合とでは異なる制御が行われ、所定の各部材が制御されることを意味する。原料ガス濃度制御部3aは、マイクロコンピュータ、CPUなどから構成されることができる。
図3は、原料ガス濃度測定部3、原料ガス濃度制御部3a、加熱装置5、減圧装置11との関連を示す機能ブロック図である。同図に示すように、原料ガス濃度測定部3から送信される制御信号を原料ガス濃度制御部3aが受信できる構成となっている。さらに、原料ガス濃度制御部3aから送信される制御信号を、原料ガス供給器1、加熱装置5および減圧装置11が受信できるよう構成されている。このような構成であることによって、基板8周囲の原料ガスの濃度を低下させるよう各部材が制御される構成にできる。
具体的には、原料ガス濃度測定部3によって測定された原料ガスの濃度に応じて、原料ガス濃度制御部3aから原料ガス供給器1に対し、キャリアガスを供給するよう指示する制御信号が送信される構成となっている。この制御信号を受信した原料ガス供給器1から、キャリアガスが供給されることによって、触媒9周囲の原料ガスの濃度を希釈させることが可能である。
また、原料ガス濃度制御部3aから加熱装置5に対し、カーボンナノ構造物製造装置20の配管および/または反応槽6を、予め触媒9周囲に存在する原料ガスの濃度が5ppmを越える場合、上限200℃までに加熱するよう指示する制御信号が送信される構成となっている。上記構成によって、触媒9周囲に残存した原料ガスを加熱することができ、残存した原料ガスの濃度を低下させることが可能である。予め触媒周囲に存在する原料ガスの濃度が5ppmを越える場合に、上限の200℃を超えると、触媒に対し悪影響を与えるおそれがある。また、所定の濃度に達したとき反応槽6を加熱開始する信号を送信し、カーボンナノ構造物を製造することができる。
また、原料ガス濃度制御部3aから減圧装置11に対し、制御信号が送信されることによってカーボンナノ構造物製造装置20内部を減圧するための出力を増加させることができる。上記構成によって、触媒9周囲に残存した原料ガスが排出され、原料ガスの濃度を低下させることができる。
原料ガス濃度制御部3aからの制御信号によって、原料ガス供給器1、加熱装置5および減圧装置11は、それぞれ単独で制御されることができ、また、複数を同時に制御することもでき、調節する原料ガス濃度の濃度に応じて適宜変更すればよい。すなわち、原料ガスの濃度を非常に低濃度に調節する場合には、上記の3箇所の部材を制御することが好ましい。また、原料ガスの濃度をそれほど低濃度に調節しない場合には、上記3箇所の部材のうち1箇所または2箇所を制御することによって、原料ガスの濃度を十分に調節することが可能である。原料ガス濃度制御部3aによる制御によって、予め触媒周囲に存在する原料ガスの濃度を200℃以上の温度領域において、5ppm以下の範囲で、所定の濃度に設定することが可能となる。
カーボンナノ構造物製造装置20では、原料ガス濃度制御部3aは、原料ガス供給器1、加熱装置5および減圧装置11を制御信号することができる構成となっているが、このうち少なくとも一箇所を制御できる構成となっていればよく、3箇所の部材を全て制御できる構成でなくとも、原料ガスの濃度を低減させることは可能であるため、適宜構成を変更することはもちろん許容される。
<カーボンナノ構造物の製造方法およびカーボンナノ構造物製造装置の動作>
次に本実施の形態に係るカーボンナノ構造物の製造方法について説明する。本製造方法を実施するための装置としては特に限定されるものではないが、好ましくはカーボンナノ構造物製造装置20を用いることができる。
本カーボンナノ構造物の製造方法は、少なくとも、予め触媒周囲に存在する原料ガスの濃度を制御する制御工程と、触媒を加熱する加熱工程と、原料ガスおよびキャリアガスを供給し、原料ガスを触媒に接触させることによって、カーボンナノ構造物を成長させる成長工程とを含んでいる。
本カーボンナノ構造物の製造方法およびカーボンナノ構造物製造装置は、予め触媒周囲に存在する原料ガスの濃度を制御するために用いられる。これらはカーボンナノ構造の製造がバッチ反応であっても、連続的に製造を行う場合であっても用いられることができる。しかしながら、連続的にカーボンナノチューブの製造を行う場合には、製造工程が繰り返されるので、反応装置内に原料ガスが残存しやすい。このため、加熱工程前に、予め原料ガスがより多く存在する傾向にある。したがって、本カーボンナノ構造物の製造方法およびカーボンナノ構造物製造装置は、連続的にカーボンナノ構造物の製造を行うために用いられることが好ましい。
<制御工程>
制御工程では、アセチレンなどの原料ガス濃度を制御する。本工程としては原料ガス濃度を測定し、制御することができれば特に限定されない。原料ガス濃度を低減する方法としては、例えば、原料ガス濃度を測定しこの測定値に応じて、キャリアガスを供給する、原料ガスを排気する、原料ガスを加熱する方法を挙げることができる。カーボンナノ構造物製造装置20においては、上述した図2に示すように、原料ガス濃度測定部、原料ガス濃度制御部3a、原料ガス供給器1、加熱装置5および減圧装置11を用いて、原料ガス濃度を低減することができる。
また、原料ガス濃度を増加させる方法としては、原料ガスをさらに供給すればよい。カーボンナノ構造物製造装置20においては、原料ガス供給器1から原料ガスがさらに反応室7へ供給されるよう、原料ガス濃度制御部3aから制御信号が送信されることによってなされることができる。カーボンナノ構造物を成長させる際の具体的な原料ガス濃度については後述する。
<加熱工程>
加熱工程では、原料ガスが触媒によって分解される最低限の温度以上に触媒を加熱する。カーボンナノ構造物製造装置20を用いる場合、反応室7の内部が加熱装置5によって加熱されることによって触媒9を加熱する。加熱温度は、触媒の種類と原料ガスの種類とによって適宜調節すればよいが、触媒として鉄薄膜を用いた場合、600℃以上に設定することができる。
<成長工程>
成長工程では、原料ガスおよびキャリアガスを触媒に供給し、カーボンナノ構造物の成長を行う。具体的には、供給された原料ガスは、加熱された触媒の表面に接触することによって分解される。これによって分解生成された炭素原子が触媒表面に堆積してカーボンナノ構造物が形成される。
カーボンナノ構造物製造装置20を用いる場合、原料ガスおよびキャリアガスを原料ガス供給器1から供給し、反応室7にて触媒9と原料ガスとを接触させることによって、カーボンナノチューブ10を成長させることができる。
<原料ガスの濃度設定>
以下に、原料ガスが加熱工程において残存原料ガスがカーボンナノ構造物の成長に与える影響について説明する。実験装置としては、カーボンナノ構造物製造装置20を用いることができる。
まず、原料ガスとしてアセチレンを反応室7に送り込み、原料ガス濃度測定部3によって、イオン電流を測定した場合の結果について説明する。以下原料ガスとしてアセチレンガスを用いて、本実施の形態に係るカーボンナノ構造物製造装置20およびカーボンナノ構造物の製造方法について説明するが、原料ガスとして、アセチレンガス以外を用いることはもちろん可能であり、本願発明は他の原料ガスを用いて当然実施可能である。図4は、カーボンナノ構造物製造装置20を用いた各工程(1)〜工程(6)による処理を経た際のそれぞれの原料ガス濃度を示している。
同図中のグラフ1〜5は、反応室7に導入された原料ガスの体積(cm)を示しており、それぞれ、約0cm、0.027cm、0.72cm、8.7cm、41cmである。これらの値は、工程2から積算されたものである。上記の体積値を、ppm換算すると200℃時点でのアセチレンの濃度はそれぞれ、3ppm以下、100ppm、1300ppm、4300ppmに該当する。同図上部に示すように、工程(1)〜工程(6)がそれぞれ順に行われる。まず、工程(1)は、ガス排気工程を示している。ガス排気工程は、減圧装置を用いて反応室7内部の原料ガスを排出することによって行われる。これによって、原料ガス濃度を低減させることができる。
工程(2)は、反応室7内部を300℃に昇温させる工程である。加熱は加熱装置5によって行われる。工程(3)および工程(4)は工程(2)と同様に、反応室7内部をそれぞれ500℃および700℃に昇温させる工程である。その後、工程(5)では700℃の温度が維持される。上記工程(1)〜(4)はそれぞれ10分間、工程(5)は2分間行われる。最後に工程(6)は冷却工程であり、反応室7が空冷されることによって反応室7の冷却が行われる。なお、グラフ1のアセチレンガスの体積が約0cmの場合には、QMSの検出限界のため、イオン電流が検出されなかった。
次に、原料ガスであるアセチレンガスの濃度を変化させ、触媒9に与える影響について説明する。基板8としては4nmの鉄触媒を用いる。図4におけるグラフ1〜5に対応する濃度の原料ガスを上記鉄触媒の周囲に存在させたサンプル1〜5について上記工程(1)〜(6)を行う。
図5は、AFM(原子間力顕微鏡)によって観察されたサンプル1〜5の表面状態を示す斜視図である。同図に示すように、サンプル1〜5においてアセチレンガスの濃度が増加するに従い、鉄触媒の表面に固形物が形成されていることが分かる。この固形物をX線回折装置よって解析したところ、これらは塊状の炭化鉄または単なるカーボンであることが判明した。
図6に示す(a)〜(e)は、AFMによって観察された図5におけるサンプル1〜5の触媒の表面状態をそれぞれ示す上面図である。触媒平面のX軸方向を横軸、Y軸方向を縦軸として、触媒上に形成された炭化鉄およびカーボンの大きさを示している。同図における観察結果と同様に、サンプル1〜5となるに従い、すなわち、アセチレンガスの濃度が増加するに従い、表面に粒状の炭化鉄およびカーボンが多く生じることが分かる。
次に、制御工程において、原料ガス濃度を制御する具体的な濃度について説明する。本発明者らは、図5および図6に示すように、原料ガスであるアセチレンガスの濃度が増加するほど、塊状の炭化鉄またはカーボンの生成量が増加することを見出した。ところで、カーボンナノ構造物の製造方法では、加熱工程において触媒を加熱した後に、成長工程において原料ガスの供給がなされる。しかしながら、加熱工程においてアセチレンガスが残存していると、加熱工程での触媒温度が低い状態においてアセチレンガスと触媒との反応が生じ、上記の炭化鉄およびカーボンが生成されたのであろうと本発明者らは考察した。これら低温で生成した炭化鉄およびカーボンによって、触媒の活性が損なわれる結果、カーボンナノ構造物の成長に悪影響を与えるおそれがある。
さらに、アセチレンガスの濃度を変化させた場合に得られるカーボンナノチューブの物性に及ぼす影響について説明する。まず、原料ガスであるアセチレンおよびキャリアガスであるヘリウムを原料ガス供給器1から反応室7に供給する。基板8としてはSiOおよびSiからなる基板上に触媒9として、EB法(電子ビーム蒸着法)にて厚さ4nmの鉄触媒を蒸着させる。
次に、原料ガスを原料ガス供給器1からキャリアガスであるヘリウムガスと共に、原料ガスであるアセチレンを反応室7に供給する。
その後、加熱装置5によって反応室7内部を加熱し、触媒9の温度を30分間かけて室温から700℃に昇温させる。さらに、体積濃度13%のアセチレンガス30cc/分(sccm)を原料ガス供給器1から反応室7に供給する。
これにより、アセチレンガスが触媒9と接触し分解され、分解生成された炭素原子が触媒9の表面に堆積し、ブラシ状のカーボンナノチューブが成長する。最後に、反応室7内部を室温までゆっくりと冷却し、触媒9の表面をAFMによって観察する。
図7は、残留アセチレンガスの総量を調整してそれぞれ約0.017cm、0.024cm、0.054cm、0.56cm、4.8cmに変更した場合に、得られたカーボンナノチューブのかさ密度および長さを示している。これらの残留アセチレンガス濃度はppm換算すると200℃時点でそれぞれ、1.5ppm以下、1.5ppm以下、3ppm、47ppm、360ppmに相当する。
なお、カーボンナノチューブの長さは、走査型電子顕微鏡(SEM)(Hitachi S−4300)を用いることによって、また、かさ密度は、精密天秤を用いることによって測定し、換算することができる。
同図から、予め触媒周囲に存在する原料ガスの濃度が5ppm以下であれば、かさ密度が、長さともに良好な物性のカーボンナノチューブを得ることができることが分かる。このようなカーボンナノチューブであれば、種々の用途に十分応用可能であるため、本実施の形態に係るカーボンナノ構造物の製造方法およびカーボンナノ構造物製造装置では、残存原料ガスの濃度を200℃以上の温度領域において、5ppm以下に制御するものとする。この範囲であることによって、触媒の失活を抑制することができ、カーボンナノ構造物を効率良く得ることができる。
また、同図から、残留アセチレン濃度が200℃の時点で3ppmである場合に、かさ密度が25mg/cm、長さが108μmであるカーボンナノチューブを得ることができることが分かる。この結果から、残存原料ガスの濃度の好ましい範囲としては、3ppm以下とする。この範囲であることによって、かさ密度、長さともにより高い値を示すカーボンナノチューブを得ることができる。さらに、好ましくは0.1ppm以下である。下限値については特に限定されるものではないが、同図における測定限界が0.02ppmであるため、下限値は0.02ppm以上とすることができる。
さらに、特に好ましくは0.07ppm以上0.2ppm以下の範囲である。この範囲であることによって、かさ密度、長さともに非常に高い値を示すカーボンナノチューブを得ることができる。
同図に示すように、残留アセチレン濃度に応じて、カーボンナノチューブのかさ密度および長さを調製することができることが分かる。すなわち、制御工程においては、残存原料ガス濃度を3ppm以下の範囲内で所定の値に調節することが好ましい。これによって、残存原料ガス濃度が3ppm以下であることによって、触媒の失活を抑制でき、しかも、カーボンナノ構造物のかさ密度および長さを調節することができるので、所望のカーボンナノ構造物を得ることが可能となる。
図8は、制御工程におけるアセチレンの濃度変化を示すグラフである。アセチレンガスの初期濃度は約28ppMvであり、制御工程として、流量300cc/分(sccm)のヘリウムを10分間流した後、加熱を開始する。加熱速度は20℃/分であり、ヘリウム雰囲気中(300cc/分(sccn)を流しながら)で行う。排気装置の圧力は約0.9大気圧であり、減圧装置11としては排気ファンを用いて排気を行う。
制御工程開始から600秒後に加熱装置5によってアセチレンガスの加熱を開始し、800秒後にはアセチレンガスの温度は200℃に上昇する。これにより、アセチレンガスの濃度を容易に3ppm以下とすることができる。ヘリウムガスの供給量を増加させる、加熱温度を上昇させる、原料ガス供給器1による排気出力を増加させることによって、アセチレンガスの濃度をさらに低下させることはもちろん可能である。
図9は、図7に示す残留アセチレン濃度が200℃の時点で3ppmである場合に得られたブラシ状カーボンナノチューブのSEM写真を示す。図9に示すように、本実施の形態に係るカーボンナノ構造物の製造方法およびカーボンナノ構造物製造装置によれば、長さが揃ったカーボンナノチューブを得ることができる。また、本発明はもちろんカーボンナノコイルに応用されることも可能である。
以上、本実施の形態におけるカーボンナノチューブの製造方法またはカーボンナノ構造物製造装置によれば、残存原料ガスの濃度を3ppm以下に制御するができ、触媒上に原料ガスが分解され、生成した炭化鉄およびカーボンの生成を抑制することができる。このため、触媒の失活を抑制することができるので、より効率的にカーボンナノ構造物を製造することができる。これは、従来全く着目されていなかった知見によってもたらされた発明であり、残存ガス濃度を規定、制御することは、カーボンナノ構造物の工業的生産において、品質管理の基準にもなり得る重要な要素である。
なお、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明によれば、カーボンナノ構造物の表面に触媒が失活されることを抑制することができ、カーボンナノ構造物を効率良く製造することができる。このため、カーボンナノ構造物を製造する分野において広く利用することができる。さらに、カーボンナノ構造物が材料として用いられるハードディスク用ヘッドの材料、電子エミッタ、ナノ電子デバイスの電極材料、配線材料、高性能複合樹脂、電磁波吸収材、水素吸蔵体などの各分野での利用が可能である。
本実施の形態に係るカーボンナノ構造物の製造装置を示す断面図である。 上記カーボンナノ構造物製造装置内部におけるガスの測定結果を示すグラフである。 上記カーボナノ構造物の製造装置における原料ガス濃度を測定および制御するための構成を示すブロック図である。 上記カーボンナノ構造物製造装置による所定の処理を経た際における原料ガス濃度を示している。 AFMによって観察された触媒の表面状態を示す斜視図である。 AFMによって観察された触媒の表面状態を示す上面図である。 本実施の形態に係るカーボンナノ構造物の製造方法によって得られたカーボンナノチューブの密度および長さの関係を示すプロット図である。 制御工程におけるアセチレンの濃度変化を示すグラフである。 本実施の形態に係るカーボンナノ構造物の製造方法によって得られたブラシ状のカーボンナノチューブを示す図である。 従来技術に係るカーボンナノチューブの製造方法によって得られたカーボンナノチューブの密度および長さの関係を示すプロット図である。
符号の説明
1 原料ガス供給器
2 カーボンナノ構造物製造部
3 原料ガス濃度測定部
3a 原料ガス濃度制御部
4a〜4c バルブ
5 加熱装置
6 反応槽
7 反応室
8 基板
9 触媒
10 カーボンナノチューブ
11 減圧装置(ガス排気部)
20 カーボンナノ構造物製造装置

Claims (5)

  1. カーボンナノ構造物を成長させる触媒を加熱した後に、カーボンナノ構造物の原料となる炭素を含む原料ガスおよび上記原料ガスを搬送するキャリアガスを上記触媒に供給することによって、カーボンナノ構造物を製造する方法において、
    上記触媒を加熱する過程において、予め触媒周囲に存在する原料ガスの濃度を200℃以上の温度領域において、5ppm以下に制御することを特徴とするカーボンナノ構造物の製造方法。
  2. 予め触媒周囲に存在する原料ガスの濃度を所定の濃度に調節することを特徴とする請求項1に記載のカーボンナノ構造物の製造方法。
  3. 上記触媒を加熱する過程において、予め触媒周囲に存在する原料ガスの濃度を200℃以上の温度領域において、3ppm以下に制御することを特徴とする請求項1または2に記載のカーボンナノ構造物の製造方法。
  4. カーボンナノ構造物を成長させる触媒に、カーボンナノ構造物の原料となる炭素を含む原料ガスおよび上記原料ガスを搬送するキャリアガスを供給するガス供給器と、
    上記触媒が配置される反応器とを備えるカーボンナノ構造物製造装置において、
    予め触媒周囲に存在する原料ガスの濃度を測定する原料ガス濃度測定部と、
    原料ガス濃度測定部によって測定された原料ガス濃度に基づき、予め触媒周囲に存在する原料ガスの濃度を200℃以上の温度領域において、5ppm以下に制御する原料ガス濃度制御部とガス排気部とを備えることを特徴とするカーボンナノ構造物製造装置。
  5. 上記原料ガス濃度制御部がガス供給器を制御し、予め触媒周囲に存在する原料ガスの濃度を所定の濃度に調節することを特徴とする請求項4に記載のカーボンナノ構造物製造装置。
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