JP2009017308A - 誘電体アンテナ - Google Patents
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Abstract
【課題】表面を有彩色とでき、耐衝撃性にも優れ、かつ安価に製造可能な誘電体アンテナを提供する。
【解決手段】セラミックス製誘電体または樹脂製誘電体の表面に、有彩色のエラストマー製誘電体を積層してなる誘電体アンテナ1であって、上記エラストマー製誘電体は、エラストマーに誘電性セラミックスおよび着色剤を配合してなり、かつ、カーボンブラックを含まない高誘電性有彩色エラストマー組成物の成形体であり、このエラストマー製誘電体は、周波数 400 MHz、25 ℃で測定される比誘電率が 4〜20、誘電正接が 0.02 以下で、硬さが 100 以下である。
【選択図】図1
【解決手段】セラミックス製誘電体または樹脂製誘電体の表面に、有彩色のエラストマー製誘電体を積層してなる誘電体アンテナ1であって、上記エラストマー製誘電体は、エラストマーに誘電性セラミックスおよび着色剤を配合してなり、かつ、カーボンブラックを含まない高誘電性有彩色エラストマー組成物の成形体であり、このエラストマー製誘電体は、周波数 400 MHz、25 ℃で測定される比誘電率が 4〜20、誘電正接が 0.02 以下で、硬さが 100 以下である。
【選択図】図1
Description
本発明は高周波通信機等に使用される誘電体アンテナに関し、特に表面部分が有彩色のエラストマーで覆われた誘電体アンテナに関する。
近年、携帯電話、コードレスフォン、RFID等に用いるパッチアンテナ、電波望遠鏡やミリ波レーダ等のレンズアンテナ等の目覚しい普及、衛星通信機器の著しい発達に伴い、通信信号の周波数の高周波化、通信機器の一層の小型化および使用用途の多様化が望まれている。
例えば、RFID用誘電体アンテナの増加に伴い、誘電体アンテナ自体をハンディ式リーダ/ライタや固定式アンテナの外装材として使用できることが望まれている。
しかしながら、既存のセラミックス製もしくはセラミックス粉末を高配合した樹脂製の誘電体アンテナは、耐衝撃性に劣るため、外装材として適用することができないという問題がある。
例えば、RFID用誘電体アンテナの増加に伴い、誘電体アンテナ自体をハンディ式リーダ/ライタや固定式アンテナの外装材として使用できることが望まれている。
しかしながら、既存のセラミックス製もしくはセラミックス粉末を高配合した樹脂製の誘電体アンテナは、耐衝撃性に劣るため、外装材として適用することができないという問題がある。
一方、エチレンプロピレンゴムに誘電性セラミックス粉末を高配合したアンテナ用のエラストマー系誘電材料が提案されている(特許文献1参照)。このエラストマー系誘電材料には、補強材としてのカーボンブラックが配合されている。
しかしながら、誘電性セラミックス粉末を高配合すると、成形性を向上させるためにプロセスオイルが配合されている。カーボンブラックを配合した場合、カーボンブラック自身がプロセスオイルを保持するため、プロセスオイルを高配合する必要があった。高配合されたプロセスオイルは、オイルのブリードなどが生じやすく、電極の成形性が悪くなるという問題がある。
また、カーボンブラックが配合されるエラストマー組成物は、希望する色彩を実現するために着色剤を多量に配合しても、配合されたカーボンブラックにより、黒色系以外の有彩色を実現することはできず、カラフルな要求もある外装材として適用することができないという問題がある。
特開2006−290939号公報
しかしながら、誘電性セラミックス粉末を高配合すると、成形性を向上させるためにプロセスオイルが配合されている。カーボンブラックを配合した場合、カーボンブラック自身がプロセスオイルを保持するため、プロセスオイルを高配合する必要があった。高配合されたプロセスオイルは、オイルのブリードなどが生じやすく、電極の成形性が悪くなるという問題がある。
また、カーボンブラックが配合されるエラストマー組成物は、希望する色彩を実現するために着色剤を多量に配合しても、配合されたカーボンブラックにより、黒色系以外の有彩色を実現することはできず、カラフルな要求もある外装材として適用することができないという問題がある。
本発明はこのような問題に対処するためになされたものであり、表面を有彩色とでき、耐衝撃性にも優れ、かつ安価に製造可能な誘電体アンテナの提供を目的とする。
本発明の誘電体アンテナは、セラミックス製誘電体または樹脂製誘電体の表面に、有彩色のエラストマー製誘電体を積層してなる誘電体アンテナであって、上記エラストマー製誘電体は、エラストマーに、誘電性セラミックスおよび着色剤を配合してなる高誘電性有彩色エラストマー組成物の成形体であることを特徴とする。
また、上記エラストマー製誘電体は、周波数 400 MHz、25 ℃で測定される比誘電率が 4〜20、誘電正接が 0.02 以下であることを特徴とする。
また、上記エラストマー製誘電体は、硬さが 100 以下であることを特徴とする。なお、硬さはJIS K 6253(JIS−A)の硬さ試験によって測定される数値である。
また、上記エラストマー製誘電体は、周波数 400 MHz、25 ℃で測定される比誘電率が 4〜20、誘電正接が 0.02 以下であることを特徴とする。
また、上記エラストマー製誘電体は、硬さが 100 以下であることを特徴とする。なお、硬さはJIS K 6253(JIS−A)の硬さ試験によって測定される数値である。
上記高誘電性有彩色エラストマー組成物は、カーボンブラックを含まないことを特徴とする。
また、上記有彩色の着色剤は、有彩色顔料を分散媒体に分散させてペースト化したペースト顔料であることを特徴とする。
また、上記着色剤は、上記エラストマー 100 質量部に対し、固形分換算で、1〜20 質量部配合したことを特徴とする。
また、上記有彩色の着色剤は、有彩色顔料を分散媒体に分散させてペースト化したペースト顔料であることを特徴とする。
また、上記着色剤は、上記エラストマー 100 質量部に対し、固形分換算で、1〜20 質量部配合したことを特徴とする。
上記高誘電性有彩色エラストマー組成物に使用できるエラストマーの比重が 0.8 〜 1.1 であることを特徴とする。このエラストマーは、スチレン系およびオレフィン系エラストマーの中から選ばれる少なくとも1つのエラストマーであることを特徴とする。特に上記エラストマーがエチレンプロピレンゴムであることを特徴とする。
上記誘電体アンテナの表面に電極を貼り合わせ加工、または、上記誘電体アンテナの内部に電極をインサート成形することを特徴とする。
また、本発明の誘電体アンテナは、周波数 100 MHz以上の高周波帯で使用することを特徴とする。
また、本発明の誘電体アンテナは、周波数 100 MHz以上の高周波帯で使用することを特徴とする。
本発明の誘電体アンテナは、セラミックス製誘電体または樹脂製誘電体の表面に、有彩色のエラストマー製誘電体を積層してなる誘電体アンテナであって、上記エラストマー製誘電体は、エラストマーに、誘電性セラミックスおよび着色剤を配合してなる高誘電性有彩色エラストマー組成物の成形体であるので、アンテナ表面をカラフルとでき、また、硬さが 100 以下であり耐衝撃性に優れる。このため、誘電体アンテナ自体をハンディ式リーダ/ライタや固定式アンテナの外装材などとして好適に使用できる。
また、本発明の誘電体アンテナは、誘電特性に優れる任意のセラミックス製誘電体または樹脂製誘電体を利用でき、かつ、表面に積層するエラストマー製誘電体も、周波数 400 MHz、25 ℃で測定される比誘電率が 4〜20、誘電正接が 0.02 以下であるので、誘電体アンテナの誘電特性に優れ、周波数 100 MHz以上の高周波帯で好適に使用できる。
エラストマー製誘電体を形成するエラストマー組成物がカーボンブラックを含まないので、プロセスオイル添加量を減少させることができる。その結果、エラストマー組成物への誘電性セラミックスの配合量を増加させることができ、比誘電率が向上し、また、積層時における誘電体同士の接着性や電極形成性も向上する。
また、有彩色の着色剤が有彩色顔料を分散媒体に分散させてペースト化したペースト顔料であるので、分散性が良好であり、高誘電性有彩色エラストマー組成物の分散性に基づく物性が向上する。
また、有彩色の着色剤が有彩色顔料を分散媒体に分散させてペースト化したペースト顔料であるので、分散性が良好であり、高誘電性有彩色エラストマー組成物の分散性に基づく物性が向上する。
外装材として利用可能な誘電体アンテナを開発すべく鋭意検討の結果、既存のセラミックス製誘電体などの表面に、有彩色のエラストマー製誘電体を積層することで外観性、耐衝撃性などを改善することができた。特に、有彩色のエラストマー製誘電体の製造に際し、有彩色の着色剤を配合し、補強材としてのカーボンブラックを除くことでプロセスオイルの配合量を減らすことができ、誘電体同士の接着性や、電極形成性も向上させることができた。本発明は、このような知見に基づき完成したものである。
本発明の誘電体アンテナを図1および図2を参照して説明する。図1は、誘電体アンテナ(パッチアンテナ)の斜視図であり、図2は誘電体基板の断面図である。
図1に示すように、誘電体アンテナ1は、セラミックス製誘電体または樹脂製誘電体の表面に有彩色のエラストマー製誘電体を積層してなる誘電体基板2を備えてなる。この誘電体基板2の上面中央部に放射素子である電極3が形成されており、該電極3の所定箇所に給電ピン5が取り付けられている。また、誘電体基板2の下面には接地導体4が形成されている。給電ピン5は増幅回路や発信回路等(図示省略)と電気的に接続されており、該給電ピン5を介して電極3に高周波信号が給電される。
図1に示すように、誘電体アンテナ1は、セラミックス製誘電体または樹脂製誘電体の表面に有彩色のエラストマー製誘電体を積層してなる誘電体基板2を備えてなる。この誘電体基板2の上面中央部に放射素子である電極3が形成されており、該電極3の所定箇所に給電ピン5が取り付けられている。また、誘電体基板2の下面には接地導体4が形成されている。給電ピン5は増幅回路や発信回路等(図示省略)と電気的に接続されており、該給電ピン5を介して電極3に高周波信号が給電される。
誘電体基板2は、セラミックス製誘電体または樹脂製誘電体の表面に、有彩色のエラストマー製誘電体を積層して構成される。ここで、表面に積層されるとは、セラミックス製誘電体等と有彩色のエラストマー製誘電体とが少なくとも1層ずつ貼り合わされ、アンテナ使用時において露出表面となる側に有彩色のエラストマー製誘電体が配置されていればよい。なお、各誘電体層はそれぞれ複層であってもよい。
例えば、図2(a)に示すように、セラミックス製誘電体等2aの上下面にエラストマー製誘電体2bを積層する態様(図2(a)参照)、図2(b)に示すように、セラミックス製誘電体等2aを包むようにエラストマー製誘電体2bを配置する態様(図2(b)参照)などが挙げられる。
例えば、図2(a)に示すように、セラミックス製誘電体等2aの上下面にエラストマー製誘電体2bを積層する態様(図2(a)参照)、図2(b)に示すように、セラミックス製誘電体等2aを包むようにエラストマー製誘電体2bを配置する態様(図2(b)参照)などが挙げられる。
本発明に用いるエラストマー製誘電体は、エラストマーに、誘電性セラミックスおよび有彩色の着色剤を配合してなる高誘電性有彩色エラストマー組成物の成形体である。周波数 400 MHz、25 ℃で測定されるエラストマー組成物の比誘電率が 4〜20、誘電正接が 0.02 以下であることが好ましい。比誘電率が 4 未満の場合、十分な波長短縮ができないのでアンテナの小型化が困難である。一方、比誘電率が 20 より大きい場合、高誘電性セラミックス粉末の配合量が多くなり、もろくなるのでアンテナ材として好ましくない。誘電正接が 0.02 より大きい場合、電気的なロスが多いので好ましくない。
また、硬さが 100 以下であることが好ましい。硬さが 100 をこえると衝撃によるクラック、割れが発生し易く、外装材としての利用に際し好ましくない。
また、硬さが 100 以下であることが好ましい。硬さが 100 をこえると衝撃によるクラック、割れが発生し易く、外装材としての利用に際し好ましくない。
上記高誘電性有彩色エラストマー組成物には、天然ゴム系エラストマーおよび合成ゴム系エラストマーを使用できる。
天然ゴム系エラストマーとしては、天然ゴム、塩化ゴム、塩酸ゴム、環化ゴム、マレイン酸化ゴム、水素化ゴム、天然ゴムの二重結合にメタクリル酸メチル、アクリロニトリル、メタクリル酸エステル等のビニルモノマーをグラフトさせてなるグラフト変性ゴム、窒素気流中でモノマー存在下に天然ゴムを粗錬してなるブロックポリマー等を挙げることができる。これらは、天然ゴムを原料とするものの他、合成cis−1,4−ポリイソプレンを原料としたエラストマーを挙げることができる。
天然ゴム系エラストマーとしては、天然ゴム、塩化ゴム、塩酸ゴム、環化ゴム、マレイン酸化ゴム、水素化ゴム、天然ゴムの二重結合にメタクリル酸メチル、アクリロニトリル、メタクリル酸エステル等のビニルモノマーをグラフトさせてなるグラフト変性ゴム、窒素気流中でモノマー存在下に天然ゴムを粗錬してなるブロックポリマー等を挙げることができる。これらは、天然ゴムを原料とするものの他、合成cis−1,4−ポリイソプレンを原料としたエラストマーを挙げることができる。
合成ゴム系エラストマーとしては、イソブチレンゴム、エチレンプロピレンゴム(以下、EPDMと記す)、エチレンプロピレンジエンゴム、エチレンプロピレンターポリマー、クロロスルホン化ポリエチレンゴム等のポリオレフィン系エラストマー、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー(SIS)、スチレン−ブタジエン−スチレンコポリマー(SBS)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマー(SEBS)等のスチレン系エラストマー、イソプレンゴム、ウレタンゴム、エピクロルヒドリンゴム、シリコーンゴム、ナイロン12、ブチルゴム、ブタジエンゴム、ポリノルボルネンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム等を挙げることができる。
これらのエラストマーは、1種類または2種類以上混合して用いることができる。また、エラストマーの持つ弾力性を損なわない範囲内で熱可塑性樹脂の1種または2種以上を配合して用いることができる。
本発明に使用できるエラストマーとしては、25 ℃において、比重が 0.8 〜 1.1 であるエラストマーが好ましい。比重が 0.8 未満であると、低分子量のため強度が弱く、成形体の空孔が多くなるので好ましくない。また、比重が 1.1 をこえると製品重量が重くなるので好ましくない。
上記エラストマーとしては、スチレン系およびオレフィン系エラストマーの中から選ばれる少なくとも1つのエラストマーであることが好ましい。このようなエラストマーの例示としては、EPDM、エチレンプロピレンジエンゴム、イソブチレンゴム、イソプレンゴム等を挙げることができる。
特にEPDM、エチレンプロピレンジエンゴムは誘電正接が極めて低いので、アンテナ用途に好ましく用いることができる。
本発明に使用できるエラストマーとしては、25 ℃において、比重が 0.8 〜 1.1 であるエラストマーが好ましい。比重が 0.8 未満であると、低分子量のため強度が弱く、成形体の空孔が多くなるので好ましくない。また、比重が 1.1 をこえると製品重量が重くなるので好ましくない。
上記エラストマーとしては、スチレン系およびオレフィン系エラストマーの中から選ばれる少なくとも1つのエラストマーであることが好ましい。このようなエラストマーの例示としては、EPDM、エチレンプロピレンジエンゴム、イソブチレンゴム、イソプレンゴム等を挙げることができる。
特にEPDM、エチレンプロピレンジエンゴムは誘電正接が極めて低いので、アンテナ用途に好ましく用いることができる。
本発明に使用できる着色剤は有彩色の着色剤である。有彩色であるので、黒色、灰色、白色である無彩色の着色剤を除いたものである。
着色剤としては、有機または無機系の染料および顔料を用いることができる。例えば、アゾ系、キナクリドン系、アントラキノン系、ジケトピロロピロール系、フタロシアニン系、キノフタロン系、メチン・アゾメチン系、アゾメチンアゾ系、ペリレン系、ペリノン系、イソインドリノン系、ニトロまたはニトロン系、塩基性染料系、酸性染料系、媒染染料系、金属錯体系顔料、弁柄などが挙げられる。
具体的には各種ピグメントイエロー、各種ピグメントレッド、各種ピグメントブルー、各種ピグメントグリーン、各種ピグメントバイオレット等として知られている顔料が挙げられる。
なお、本発明に用いるエラストマー製誘電体は、異なる有彩色の着色剤を複数混合して配合し、着色剤そのものが発色する色とは異なる有彩色とすることもできる。
着色剤としては、有機または無機系の染料および顔料を用いることができる。例えば、アゾ系、キナクリドン系、アントラキノン系、ジケトピロロピロール系、フタロシアニン系、キノフタロン系、メチン・アゾメチン系、アゾメチンアゾ系、ペリレン系、ペリノン系、イソインドリノン系、ニトロまたはニトロン系、塩基性染料系、酸性染料系、媒染染料系、金属錯体系顔料、弁柄などが挙げられる。
具体的には各種ピグメントイエロー、各種ピグメントレッド、各種ピグメントブルー、各種ピグメントグリーン、各種ピグメントバイオレット等として知られている顔料が挙げられる。
なお、本発明に用いるエラストマー製誘電体は、異なる有彩色の着色剤を複数混合して配合し、着色剤そのものが発色する色とは異なる有彩色とすることもできる。
本発明に使用できる有彩色の着色剤は、上記顔料を分散媒体に分散させてペースト化したペースト顔料であることが好ましい。ペースト顔料は誘電正接が極めて低いゴム原材料に対する分散性に優れる。分散媒体としては、ポリオールなどの有機溶媒類、ポリウレタン樹脂などの樹脂溶液類が挙げられる。
上記有彩色の着色剤は、エラストマー 100 質量部に対し、固形分換算で、1〜20 質量部配合する。1 質量部未満であると、着色効果が少ないので好ましくない。20 質量部をこえると誘電特性が低下するので好ましくない。
本発明に使用できる誘電性セラミックスは、実質的にエラストマー製誘電体の誘電率を決定するものであり、このような誘電性セラミックス粉末としては、IIa、IVa、IIIb、IVb族の酸化物、炭酸塩、リン酸塩、珪酸塩、またはIIa、IVa、IIIb、IVb族を含む複合酸化物から選ばれる少なくとも 1 種類であることが好ましく、具体的には、TiO2、CaTiO3、MgTiO3、Al2O3、BaTiO3、SrTiO3、CaCO3、Ca2P2O7、SiO2、Mg2SiO4、Ca2MgSi2O7、Nd2O3、BaO等が挙げられる。
誘電性セラミックス粉末の平均粒子径は 0.01〜100μm 程度が好ましい。平均粒子径が 0.01μm より小さい場合、粉末の取り扱いが困難であり好ましくない。100 μm より大きい場合、成形体内での誘電特性のばらつきを引き起こすおそれがあるので好ましくない。より実用的な範囲は 0.1μm〜20μm 程度である。
上記高誘電性有彩色エラストマー組成物における誘電性セラミックス粉末の配合割合は、エラストマー 100 質量部に対して 50〜1200 質量部であることが好ましい。上記範囲で誘電性セラミックス粉末を配合することで、未配合時よりも比誘電率を 2〜20 程度向上させることができる。
上記高誘電性有彩色エラストマー組成物の混練性を向上させるためにプロセスオイルが配合される。プロセスオイルとしてはEPDM、エチレンプロピレンジエンゴムとの相溶性に優れるパラフィン系のプロセスオイルが好ましい。
プロセスオイルの配合割合は、エラストマー 100 質量部に対して 5〜40 質量部であることが好ましい。5 質量部未満であると成形性が悪いので好ましくない。また、40 質量部をこえると接着性や電極形成性が悪化するので好ましくない。
プロセスオイルの配合割合は、エラストマー 100 質量部に対して 5〜40 質量部であることが好ましい。5 質量部未満であると成形性が悪いので好ましくない。また、40 質量部をこえると接着性や電極形成性が悪化するので好ましくない。
上記高誘電性有彩色エラストマー組成物においては、本発明の効果を妨げない範囲で(1)エラストマーとセラミックス粉末の界面の親和性や接合性を向上させ、機械的強度を改良するために、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、ジルコニアアルミネート系カップリング剤等のカップリング剤を、(2)電極形成のためのメッキ性を改良するために、タルク、ピロリン酸カルシウム等の微粒子性充填剤を、(3)熱安定性を一層改善するために酸化防止剤を、(4)耐光性を改良するために紫外線吸収剤等の光安定剤を、(5)難燃性を一層改善するためにハロゲン系、リン系、金属水酸化物等の難燃助剤を、(6)耐衝撃性を改良するために耐衝撃性付与剤を、(7)潤滑性を改良するために滑剤、摺動性改良剤(固体潤滑剤、液体潤滑剤)を、(8)硫黄やパーオキサイド等の架橋剤を、(9)加硫を進めるための加硫促進剤をそれぞれ配合することができる。
また、上記高誘電性有彩色エラストマー組成物には、本発明の目的を損なわない範囲内でガラス繊維、チタン酸カリウムウィスカ等のチタン酸アルカリ金属塩系繊維、酸化チタン繊維、ホウ酸マグネシウムウィスカやホウ酸アルミニウウムウィスカ等のホウ酸金属塩系繊維、ケイ酸亜鉛ウィスカやケイ酸マグネシウムウィスカ等のケイ酸金属塩系繊維、カーボンファイバ、アルミナ繊維、アラミド繊維等の各種有機または無機の充填剤を併用できる。
上記高誘電性有彩色エラストマー組成物の製造方法としては、特に制限がなく、各種の混合成形方法を用いることができる。例えば、上述した着色剤、誘電性セラミックス粉末、各種添加剤、加硫剤等をエラストマーに配合し、これをバンバリーミキサー、タンブラー、ヘンシェルミキサー、ミキシングヘッド等による混合や、ローラー、ニーダー、2軸押し出し機等の混錬によりエラストマー組成物を得る方法などが挙げられる。
本発明に用いるエラストマー製誘電体は、上記で得られた高誘電性有彩色エラストマー組成物を所定形状、例えば平板状や円板状に成形することで得られる。成形方法としては、加熱圧縮成形、射出成形、トランスファー成形、押し出し成形など任意の方法を採用できる。
本発明の誘電体アンテナは、以上で得られたエラストマー製誘電体を、セラミックス製誘電体または樹脂製誘電体の表面に積層することで得られる。
セラミックス製誘電体または樹脂製誘電体としては、安価で誘電特性に優れる周知の誘電体を利用することができる。また、セラミックス製誘電体または樹脂製誘電体と、エラストマー製誘電体とは、同等の比誘電率を有するものを使用することが好ましい。これは、発生する電界を均一にするためである。
セラミックス製誘電体または樹脂製誘電体としては、安価で誘電特性に優れる周知の誘電体を利用することができる。また、セラミックス製誘電体または樹脂製誘電体と、エラストマー製誘電体とは、同等の比誘電率を有するものを使用することが好ましい。これは、発生する電界を均一にするためである。
セラミックス製誘電体または樹脂製誘電体と、エラストマー製誘電体とを積層する方法としては、接着剤または熱圧着によって貼り合わせる方法などがある。貼り合わせる条件については、セラミックス製誘電体、樹脂製誘電体、エラストマーの種類、それらの形状等により適宜選択する。本発明では、上述したようにエラストマー製誘電体におけるプロセスオイル量が少ないため、誘電体同士の接着性に優れる。
本発明において、誘電体アンテナに電極を形成する方法は、アンテナ表面および内部の少なくとも1つの部位に電極を形成することができる方法であれば、特に制限なく各種の方法を用いることができる。アンテナ表面、すなわちエラストマー製誘電体の表面に電極を形成する方法としては、銅箔の接着処理などが挙げられる。接着手段として、例えば京セラケミカル製接着フィルム(TFA−880C)、信越化学製接着フィルム(E56)、ニッカン工業製接着フィルム(SAF−V、SAF−D、SAF−W)等を利用することができる。その他、接着剤も利用可能である。本発明におけるエラストマー製誘電体は、プロセスオイル量が少ないため、電極形成性に優れる。
また、アンテナ内部、すなわち誘電体内部に電極を形成する方法としては、トランスファー成形や加熱圧縮成形の途中で電極をインサートする方法や、電極のスペースを有する成形体に電極を挿入する方法等が挙げられる。また、誘電体層間に電極を配置してもよい。
アンテナ内部に電極を形成することで、カラフルなエラストマー製誘電体のみが外部から視認され、外装材として使用する際の外観性に優れる。
アンテナ内部に電極を形成することで、カラフルなエラストマー製誘電体のみが外部から視認され、外装材として使用する際の外観性に優れる。
誘電体参考例1〜5、誘電体比較例1〜2
EPDM(JSR社製:EP35)、誘電性セラミックス粉末(共立マテリアル社製:STNAS)、水酸化マグネシウム(神島化学工業社製:N−4)、臭素系難燃剤(鈴裕化学社製:FCP801)、プロセスオイル(出光興産社製:PW380)、赤色ペースト着色剤(大日精化工業社製:FTR 5530)、青色ペースト着色剤(大日精化工業社製:FTR 5550)、黄色ペースト着色剤(大日精化工業社製:FT 5717)、カーボンブラック(東海カーボン社製:SRF)、共架橋剤(精工化学社製:ハイクロスM)、酸化亜鉛(試薬)、ステアリン酸(試薬)、老化防止剤(精工化学社製:ノンフレックスRGB)、過酸化物重合剤(化薬アクゾ社製:カヤクミルD40NB)を用いて、それぞれ表1に示す配合割合で混合し、加圧ニーダで混練り後、加熱圧縮成形にて、150 mm×150 mm×2 mm の成形体(エラストマー製誘電体)を得た。なお、加硫条件は、それぞれ170℃×10 分である。
得られた成形体から、40 mm×40 mm×2 mm の板状試験片を加工し、容量法(アジレント・テクノロジー社製 インピーダンス・アナライザE4991Aを使用)により、400 MHz 帯での誘電特性(比誘電率および誘電正接)を測定した。ここで、比誘電率および誘電正接は 25℃での値である。また、各板状試験片について、色を目視により確認するとともに、硬さをJIS K 6253(JIS−A)に準じて測定した。
EPDM(JSR社製:EP35)、誘電性セラミックス粉末(共立マテリアル社製:STNAS)、水酸化マグネシウム(神島化学工業社製:N−4)、臭素系難燃剤(鈴裕化学社製:FCP801)、プロセスオイル(出光興産社製:PW380)、赤色ペースト着色剤(大日精化工業社製:FTR 5530)、青色ペースト着色剤(大日精化工業社製:FTR 5550)、黄色ペースト着色剤(大日精化工業社製:FT 5717)、カーボンブラック(東海カーボン社製:SRF)、共架橋剤(精工化学社製:ハイクロスM)、酸化亜鉛(試薬)、ステアリン酸(試薬)、老化防止剤(精工化学社製:ノンフレックスRGB)、過酸化物重合剤(化薬アクゾ社製:カヤクミルD40NB)を用いて、それぞれ表1に示す配合割合で混合し、加圧ニーダで混練り後、加熱圧縮成形にて、150 mm×150 mm×2 mm の成形体(エラストマー製誘電体)を得た。なお、加硫条件は、それぞれ170℃×10 分である。
得られた成形体から、40 mm×40 mm×2 mm の板状試験片を加工し、容量法(アジレント・テクノロジー社製 インピーダンス・アナライザE4991Aを使用)により、400 MHz 帯での誘電特性(比誘電率および誘電正接)を測定した。ここで、比誘電率および誘電正接は 25℃での値である。また、各板状試験片について、色を目視により確認するとともに、硬さをJIS K 6253(JIS−A)に準じて測定した。
平板状(40 mm×40 mm×2 mm)のセラミックス製誘電体(アルミナ製、比誘電率 9 )の上下面に、誘電体参考例1で得られたエラストマー製誘電体(40 mm×40 mm×2 mm)を接着フィルム(京セラケミカル製:TFA−880C)を用いて接着して積層し、エラストマー製誘電体の表面に銅箔を接着フィルム(京セラケミカル製:TFA−880C)を用いて接着して、誘電体アンテナ(パッチアンテナ)を得た。給電位置および放射面のアンテナ電極形状はそれぞれ材料の比誘電率に合わせて選定し、エッチングにより、不要な部分を除去した。エッチングは、電極パターンのレジストを印刷し、塩化第二鉄溶液を用いて行なった。同様にして、誘電体参考例2〜5で得られたエラストマー製誘電体をそれぞれ用いて、誘電体アンテナ(パッチアンテナ)を得た。
得られた各誘電体アンテナは、表面がエラストマー製誘電体に覆われ、それぞれの色の外観を有し、表面硬さも 100 以下であり耐衝撃性にも優れた。また、基材となるセラミックス製誘電体のコストが安く、エラストマー製誘電体のみで構成する場合よりも安価である。
本発明の誘電体アンテナは、誘電特性に優れ、表面を有彩色とでき、耐衝撃性にも優れるので、周波数 100 MHz以上の高周波帯で使用されるハンディ式リーダ/ライタや固定式アンテナの外装材などとして好適に使用できる。
1 誘電体アンテナ
2 誘電体基板
3 電極
4 接地導体
5 給電ピン
2 誘電体基板
3 電極
4 接地導体
5 給電ピン
Claims (11)
- セラミックス製誘電体または樹脂製誘電体の表面に、有彩色のエラストマー製誘電体を積層してなる誘電体アンテナであって、
前記エラストマー製誘電体は、エラストマーに、誘電性セラミックスおよび着色剤を配合してなる高誘電性有彩色エラストマー組成物の成形体であることを特徴とする誘電体アンテナ。 - 前記エラストマー製誘電体は、周波数 400 MHz、25 ℃で測定される比誘電率が 4〜20、誘電正接が 0.02 以下であることを特徴とする請求項1記載の誘電体アンテナ。
- 前記エラストマー製誘電体は、硬さが 100 以下であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の誘電体アンテナ。
- 前記高誘電性有彩色エラストマー組成物は、カーボンブラックを含まないことを特徴とする請求項1、請求項2または請求項3記載の誘電体アンテナ。
- 前記有彩色の着色剤は、有彩色顔料を分散媒体に分散させてペースト化したペースト顔料であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項記載の誘電体アンテナ。
- 前記着色剤は、前記エラストマー 100 質量部に対し、固形分換算で、1〜20 質量部配合したことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項記載の誘電体アンテナ。
- 前記エラストマーの比重が 0.8 〜 1.1 であることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか一項記載の誘電体アンテナ。
- 前記エラストマーは、スチレン系およびオレフィン系エラストマーの中から選ばれる少なくとも1つのエラストマーであることを特徴とする請求項7記載の誘電体アンテナ。
- 前記エラストマーがエチレンプロピレンゴムであることを特徴とする請求項8記載の誘電体アンテナ。
- 前記誘電体アンテナの表面に電極を貼り合わせ加工、または、前記誘電体アンテナの内部に電極をインサート成形することを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか一項記載の誘電体アンテナ。
- 周波数 100 MHz以上の高周波帯で使用することを特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれか一項記載の誘電体アンテナ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007177693A JP2009017308A (ja) | 2007-07-05 | 2007-07-05 | 誘電体アンテナ |
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JP2007177693A JP2009017308A (ja) | 2007-07-05 | 2007-07-05 | 誘電体アンテナ |
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JP (1) | JP2009017308A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN115144438A (zh) * | 2022-06-30 | 2022-10-04 | 青岛理工大学 | 一种无线微带贴片天线传感器及在脱粘缺陷检测领域的应用 |
-
2007
- 2007-07-05 JP JP2007177693A patent/JP2009017308A/ja active Pending
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CN115144438A (zh) * | 2022-06-30 | 2022-10-04 | 青岛理工大学 | 一种无线微带贴片天线传感器及在脱粘缺陷检测领域的应用 |
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