JP2009017008A - アンテナ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】水平面指向性が無指向性であり、かつ垂直面では主ビームの方向を所望の方向に設定することが可能なアンテナ装置を提供する。
【解決手段】アンテナ素子11,12からなるダイポールアンテナと、アンテナ素子21,22からなるダイポールアンテナは導体31,32により接続される。アンテナ素子13,14からなるダイポールアンテナとアンテナ素子23,24からなるダイポールアンテナは導体33,34により接続される。導体31,32により接続された1組のダイポールアンテナと導体33,34により接続された1組のダイポールアンテナとで給電位相を90度異ならせることにより水平面指向性を無指向性とすることができる。さらに、導体31〜34の各々の給電点(給電回路が接続される点)を各導体の中点と異なる位置に設定することにより、垂直面における主ビームの方向を変化させることができる。
【選択図】図1

Description

本発明はアンテナ装置に関し、特に水平偏波無指向性アンテナ装置に関する。
無指向性アンテナは、任意の方向に電波を送信または任意の方向からの電波を受信可能なアンテナである。無指向性アンテナには、たとえばクロスダイポールアンテナやホイップアンテナなどがある。
クロスダイポールアンテナは2つの半波長ダイポールアンテナを同一面上に十字型に配置することにより構成される。一方のダイポールアンテナに供給する電力の位相と他方のダイポールアンテナに供給する電力の位相とを90度異ならせることにより水平面指向性を略円形(すなわち無指向性)とすることができる。
たとえば特開2005−51683号公報(特許文献1)には、2組のクロスダイポールアンテナにより構成された円偏波アンテナと、直線偏波用のホイップアンテナとを備える複合アンテナが開示されている。
特開2005−51683号公報
たとえば無指向性アンテナは移動端末(代表的には携帯電話)の基地局用アンテナとして用いられる。近年では様々な場所において移動端末を介した情報の授受が行なわれているため、従来は電波が届きにくかった場所(たとえば地下街や建物の中等)でも移動端末により情報が授受できることが要望されている。この要望に対応するため、たとえば地下街に無指向性アンテナが設置される。
しかしながら従来の無指向性アンテナを地下街のように限られた空間内に設置した場合には、以下のような課題が発生する。
図11は、従来の無指向性アンテナを地下街に設置した場合の課題を説明する図である。図11を参照して、無指向性アンテナであるアンテナ151は地下通路の天井面201に設置される。図11では、アンテナ151から電波を送信するときに放射強度が最大となる方向(放射パターン120において放射強度が最大となる方向)を矢印で示す。アンテナ151から送信される電波の放射強度が最大となる方向はほぼ水平方向に等しい。この場合には、地下通路の通行人が所持する移動端末の位置において、電波の強度が弱いために移動端末の受信状態が良好でないことが想定される。
この課題を解決するために、アンテナ151を天井面よりも低い位置に設置することが考えられる。しかし、アンテナ151を天井面から露出させることによって、地下街の美観あるいは人の通行の点で課題が生じる可能性がある。
一方、別の方法として、たとえば天井から下方に電波を送信する方法が考えられる。図11に示すアンテナ152は単一の指向性を持つアンテナ(代表的には八木アンテナ)である。アンテナ152からの電波の送信方向(放射パターン120において放射強度が最大となる方向)がアンテナ152の略真下となるようにアンテナ152が設置される。端末装置を所持する通行人がアンテナ152の近傍に位置する場合には、その端末装置の受信状態は良好となる。
しかし、この方法の場合、通行人がアンテナ152から少し離れると電波が弱くなる可能性が考えられる。このためアンテナ152の設置数を増やす必要がある。また、一般に八木アンテナは電波の送信方向の長さが長い。よってアンテナ152に八木アンテナを用いた場合には天井面からの露出部分が大きくなることが想定される。この場合には上述したような美観あるいは人の通行の点での課題が生じる可能性がある。
上述の例では地下街を示したが、建物の中においても同様の問題が発生する。上記の説明を総括すると、地下街のように限られた空間内に設置されたアンテナがその空間内のできるだけ広い範囲に電波を放射するためには、水平面指向性が無指向性であり、かつ、垂直面での主ビームの方向が水平方向から傾けられていることが好ましい。また、アンテナは様々な場所に設置される可能性があるので、垂直面での主ビームの傾きの角度は調整可能であることが好ましい。しかしながら、このような特性を有するアンテナはこれまでに提案されていない。
本発明の目的は、水平面指向性が無指向性であり、かつ垂直面では主ビームの方向を所望の方向に設定することが可能なアンテナ装置を提供することである。
本発明は要約すれば、アンテナ装置であって、第1の平面上に互いに直交するように形成された第1および第2のダイポールアンテナと、第1の平面に平行な第2の平面上に形成され、かつ、第1および第2のダイポールアンテナを第2の平面に投影させたときの投影像とそれぞれ重なる第3および第4のダイポールアンテナと、第1のダイポールアンテナの2つの給電点を第3のダイポールアンテナの2つの給電点にそれぞれ接続するための第1および第2の導体と、第2のダイポールアンテナの2つの給電点を第4のダイポールアンテナの2つの給電点にそれぞれ接続するための第3および第4の導体と、第1から第4の導体に接続され、第1および第3のダイポールアンテナの組と第2および第4のダイポールアンテナの組との間に、位相が互いに90度異なる電力を供給する給電回路とを備える。
好ましくは、第1から第4の導体は、第1の平面からの距離が互いに等しい第1から第4の給電点において、給電回路にそれぞれ接続される。第1から第4の給電点の各々の位置は、対応する導体の中点と異なる位置である。
より好ましくは、アンテナ装置の使用周波数帯の中心波長をλとすると、第1の平面と第2の平面との間隔は、λ/4近傍からλ/2近傍までの範囲内である。
さらに好ましくは、第1から第4のダイポールアンテナの各々は、扇状に形成される2つのアンテナ素子を含む。
本発明によれば、水平面指向性を無指向性であり、かつ垂直面では主ビームの方向を所望の方向に設定することが可能なアンテナ装置を実現できる。
以下において、本発明の実施の形態について図面を参照して詳しく説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明を繰返さない。
図1は、本発明の実施の形態に係るアンテナ装置の主要部であるアンテナ部50を示す斜視図である。図1を参照して、アンテナ部50は、アンテナ1,2を含む。
アンテナ1は、誘電体基板10の主表面に形成されるアンテナ素子11〜14を含む。アンテナ2は、誘電体基板20の主表面に形成されるアンテナ素子21〜24を含む。アンテナ素子11〜14,21〜24の各々は導体により形成される。各アンテナ素子は、たとえば誘電体基板の表面の金属膜をエッチングすることにより形成される。
アンテナ部50は、導体31〜34をさらに含む。導体31はアンテナ素子11の給電点とアンテナ素子21の給電点とを接続する。導体32はアンテナ素子12の給電点とアンテナ素子22の給電点とを接続する。導体33はアンテナ素子13の給電点とアンテナ素子23の給電点と接続する。導体34はアンテナ素子14の給電点とアンテナ素子24の給電点とを接続する。導体31〜34の長さは等しく設定される。これにより、アンテナ素子11〜14が形成される誘電体基板10の主表面と、アンテナ素子21〜24が形成される誘電体基板20の主表面とは平行になる。
図2は、アンテナ1,2をより詳しく説明するための図である。なお図2では、アンテナ1,2の配置を説明するために紙面の上下方向に沿ってアンテナ1,2を並べている。
まずアンテナ1について説明する。アンテナ素子11〜14は、同一平面(すなわち誘電体基板10の主表面)の上において、中心点の周りに等角度間隔で順次配置される。アンテナ素子11〜14は、それぞれ給電点P1〜P4を有する。
アンテナ素子11,12はダイポールアンテナを構成する。同様にアンテナ素子13,14はダイポールアンテナを構成する。これら2つのダイポールアンテナは同一平面上において直交するように配置される。すなわちこれら2つのダイポールアンテナはクロスダイポールアンテナを構成する。上記説明において「2つのダイポールアンテナが直交する」とは、給電点P1,P2を結ぶ直線と給電点P3,P4を結ぶ直線とが直交することを意味する。
アンテナ素子11〜14は扇状に形成される。アンテナ素子11〜14の各々は、扇形のダイポール素子15と、導線部16,17とを含む。給電点P1〜P4は、それぞれアンテナ素子11〜14のダイポール素子15の基端部(中心点側の部分)に設けられている。導線部16,17は、ダイポール素子15の両側の2辺に沿って設けられる。導線部16,17の一方端は、ダイポール素子15の先端部(中心点と反対側の部分)に接続されている。各導線部16の他方端は、隣接するアンテナ素子の導線部17の他方端に接続されるとともに、対向する導線部16,17に接続されている。
本実施形態ではダイポール素子15の形状が扇形であるので、線状ダイポール素子を用いた場合に比較してアンテナ1の特性(たとえば利得)の向上を図ることができる。さらにダイポール素子15の両側の2辺に沿って導線部16,17を設けることにより、アンテナ1の特性の一層の向上と小型化とが図られている(たとえば特開2006−157209号公報参照)。
アンテナ2はアンテナ1と同様の構成を有する。アンテナ素子21〜24の各々は、ダイポール素子25および導線部26,27を含む。さらに、アンテナ素子21〜24は給電点P5〜P8をそれぞれ含む。
アンテナ素子21〜24は、アンテナ素子11〜14のそれぞれを誘電体基板20の主表面上に投影させたときの投影像と重なる。つまりダイポール素子25、導線部26,27はダイポール素子15、導線部16,17のそれぞれを誘電体基板20の主表面上に投影させたときの投影像と重なる。また、給電点P5〜P8は給電点P1〜P4を誘電体基
板20の主表面上に投影させた点にそれぞれ対応する。
アンテナ1と同様に、アンテナ素子21,22はダイポールアンテナを構成し、アンテナ素子23,24はダイポールアンテナを構成する。また、給電点P5,P6を結ぶ直線と、給電点P7,P8を結ぶ直線とは直交する。すなわち、これら2つのダイポールアンテナはクロスダイポールアンテナを構成する。
図3は、導体31〜34によるアンテナ1とアンテナ2との接続を説明する図である。図3を参照して、アンテナ部50は誘電体基板10の主表面(および誘電体基板20の主表面)に平行な方向が水平方向となるように設置される。
図3および図2を参照して、導体31は給電点P1と給電点P5とを接続する。導体32は給電点P2と給電点P6とを接続する。導体33は給電点P3と給電点P7とを接続する。導体34は給電点P4と給電点P8とを接続する。導体31〜34は互いに平行である。
上述したように、アンテナ素子21〜24はアンテナ素子11〜14を誘電体基板20の主表面(アンテナ素子21〜24が形成される面)に投影したときの投影像とそれぞれ重なるように配置されている。
図4は、本実施の形態のアンテナ装置の全体を説明するための概略ブロック図である。図4を参照して、アンテナ装置100は、アンテナ部50と、給電回路51とを含む。給電回路51は、伝送線路41,42,45と、90度移相器60と、分配器70と、端子80とを含む。
アンテナ部50はアンテナC,Dを含む。アンテナCは、ダイポールアンテナA1,A2および導体31,32を含む。アンテナ素子11,12によりダイポールアンテナA1が構成され、アンテナ素子21,22によりダイポールアンテナA2が構成される。導体31,32は、ダイポールアンテナA1の2つの給電点(図3に示す給電点P1,P2)をダイポールアンテナA2の2つの給電点(図3に示す給電点P5,P6)にそれぞれ接続する。
アンテナDは、ダイポールアンテナB1,B2および導体33,34を含む。アンテナ素子13,14によりダイポールアンテナB1が構成され、アンテナ素子23,24によりダイポールアンテナB2が構成される。導体33,34は、ダイポールアンテナB1の2つの給電点(図3に示すP3,P4)をダイポールアンテナB2の2つの給電点(図3に示すP7,P8)にそれぞれ接続する。
ダイポールアンテナA1とダイポールアンテナB1とが直交するように配置される。同様にダイポールアンテナA2とダイポールアンテナB2とが直交するように配置される。よってアンテナC,Dの各々は直交するように配置される。つまりアンテナC,Dはクロスダイポールアンテナを構成する。
アンテナC,Dには伝送線路41,42がそれぞれ接続される。伝送線路41と伝送線路45との間には90度移相器60が設けられる。伝送線路45は90度移相器60と分配器70とに接続される。伝送線路42はアンテナDと分配器70との間に接続される。
90度移相器60は、入力される電力の位相を90度変化させて出力する。なお、90度移相器60としては、公知の様々な移相器を用いることができる。たとえば90度移相器60はハイブリッド移相器でもよいし、約λ/4の長さの同軸ケーブルでもよい。ここ
でλはアンテナ部50の使用周波数帯の中心波長を示す。
次にアンテナ装置100から電波を送信する場合について説明する。この場合、端子80に電力が入力され、その電力は分配器70に伝達される。分配器70は入力電力を伝送線路42と伝送線路45との間で2分配する。90度移相器60は分配器70から伝送された電力の位相を90度変化させて伝送線路41に出力する。これにより、アンテナCとアンテナDとには、位相が互いに90度異なる電力が供給される。
図5は、アンテナCと給電回路51との接続およびアンテナDと給電回路51との接続を説明する図である。図5を参照して、伝送線路41は、内部導体41Aおよび外部導体41Bを含む同軸ケーブルである。内部導体41Aおよび外部導体41Bは整合回路65(たとえばバラン)を介して導体31,32にそれぞれ接続される。伝送線路42も伝送線路41と同様に同軸ケーブルであり、内部導体42Aおよび外部導体42Bを含む。内部導体42Aおよび外部導体42Bは整合回路66(たとえばバラン)を介して導体33,34にそれぞれ接続される。
分配器70は、たとえばQマッチングであり、端子71,72,75と、伝送線路73,74とを含む。伝送線路73は端子71と端子72との間に接続される。伝送線路74は伝送線路73の中点と端子75との間に接続される。端子71から伝送線路73の中点までの長さおよび端子72から伝送線路73の中点までの長さはともにλ/4である。ただし分配器70は図5に示す構成を有するものと限定される必要はなく、周知の様々な分配器を用いることができる。
端子71は伝送線路45によって90度移相器60に接続され、端子72は伝送線路42に接続される。
図4に戻り、給電回路51によってアンテナCに電力が供給されることによりダイポールアンテナA1,A2の各々から水平偏波が放射される。ここで水平偏波とは、電界が水平面内で変化する電波を意味する。「水平面」とは図3に示す水平方向に平行な面、すなわち誘電体基板10,20の各々の主表面に平行な面である。
ダイポールアンテナA1,A2の各々から放射される水平偏波の水平面指向性はほぼ8の字特性である。アンテナ素子21,22の各々がアンテナ素子11,12を誘電体基板20に投影したときの投影像と重なるように形成され、かつ、ダイポールアンテナA1,A2が導体31,32により並列に給電されているので、ダイポールアンテナA1,A2の各々の水平面指向性はほぼ一致する。これによりアンテナCの水平面指向性はほぼ8の字特性となる。
アンテナDでも同様に、アンテナ素子23,24の各々がアンテナ素子13,14を誘電体基板20に投影したときの投影像と重なるように形成され、かつ、ダイポールアンテナB1,B2が導体33,34によって並列に給電されているので、ダイポールアンテナB1,B2の各々の水平面指向性はほぼ一致する。これによりアンテナCと同様にアンテナDの水平面指向性もほぼ8の字特性となる。
さらに、アンテナC,Dには位相が互いに90度異なる電力が供給される。よって、アンテナC,Dから放射される水平偏波を合成した電波の強度は、水平面内の任意の方向に対して略等しくなる。すなわちアンテナ部50の水平面指向性は無指向性となる。
次にアンテナ部50の垂直面指向性について説明する。図3を再び参照して、垂直面とは、図3に示す垂直方向に平行な面を意味する。また、アンテナ素子11〜14が形成さ
れる誘電体基板10の主表面とアンテナ素子21〜24が形成される誘電体基板20の主表面との間隔をdとする。さらに、導体31,32のそれぞれの中点に伝送線路41(図5に示す内部導体41A、外部導体41B)が接続され、導体33,34のそれぞれの中点に伝送線路42(図5に示す内部導体42A、外部導体42B)が接続されているものとする。
図6は、図3に示す間隔dとアンテナ部50の垂直面指向性との関係を説明する図である。図6および図3を参照して、垂直面指向性における「上」とは、導体31の中点を基準位置とした場合に、その基準位置から誘電体基板10の主表面に至る向きであり、「下」とは、基準位置から誘電体基板20の主表面に至る向きであり、「左右」とは図3に示す水平方向に平行な方向である。
間隔dがλ/2である場合には、垂直面指向性は左右方向にピークを持つ8の字特性となる。間隔dをλ/2から小さくなるにつれて垂直面指向性は変化し、間隔dがλ/4に等しい場合には垂直面指向性は左右方向にピークを持つ長円状となる。
なお、間隔dをλ/2から1λまで変化させると指向性に乱れが生じる。また間隔dを約1λより大きくすると伝送線路41,42での損失によりアンテナ装置100の特性に影響が生じることが考えられる。一方、間隔dをλ/4から小さくした場合にも間隔dが小さくなるにつれて指向性に乱れが生じる。したがって、間隔dはλ/2からλ/4までの範囲内で定められることが好ましい。ただし、様々な要因(たとえばアンテナ装置100の公差)を考慮すると、間隔dはλ/4の近傍からλ/2の近傍までの範囲内にあればよい。「近傍」とは、具体的には間隔dの最小値がλ/4±αの範囲内に定められ、間隔dの最大値がλ/2±βの範囲内に定められることを意味する(α,βの各々は所定値であり、たとえば中心値の10%である)。
以上の説明においては導体31〜34の各々の給電点(すなわち伝送線路と導体との接続点)は、その導体の中点である。本実施の形態によれば、各導体の給電点の位置をその導体の中点と異なる位置に設定することによって、垂直面における主ビームの方向を変化させることができる。この点につき以下説明する。
図7は、導体31〜34における給電点の位置の一例を説明する図である。以下、誘電体基板10,20の各々が有する2つの主表面のうち、アンテナ素子が形成されていないほうの面を「裏面」と呼ぶことにする。
図7を参照して、誘電体基板10の裏面と誘電体基板20の裏面との間隔は約150mmである。よってアンテナ素子11〜14が形成される誘電体基板10の主表面から導体31の中点までの距離(すなわちd/2)はほぼ75mmになる。これに対し導体31〜34のそれぞれの給電点P11〜P14は、誘電体基板10の裏面から約95mm離れた位置にある。つまり給電点P11〜P14はそれぞれ導体31〜34の中点と異なる位置にある。
この場合、給電点P11からアンテナ素子11の給電点P1までの距離と、給電点P11からアンテナ素子21の給電点P5までの距離とが異なる。このため、アンテナ素子11に供給される電力とアンテナ素子21に供給される電力との間には位相差が生じる。他のアンテナ素子についても同様である。したがって、アンテナ1から放射される水平偏波とアンテナ2から放射される水平偏波とを合成した場合、垂直面内における主ビームの方向は、真横方向から上または下に傾いた方向となる。
具体的には、各給電点P11〜P14を導体の中点よりも下に移動させることにより垂
直面内における主ビームの方向を下方向に傾けることが可能になる。一方、各給電点P11〜P14を導体の中点よりも上に移動させることで垂直面内における主ビームの方向を上方向に傾けることが可能になる。また、主ビームの水平方向からの傾きは、給電点と中点との間隔が大きくなるほど大きくなる。
なお、ここでは波長λをUHF(Ultra High Frequency)帯の波長である約600mmに設定し、間隔dを約λ/4に設定している。すなわちアンテナ部50の使用周波数帯はUHF帯である。
なお、導体31〜34の各々の直径は約4mmであり、導体31と導体32との間隔および導体33と導体34との間隔は約20mmである。また誘電体基板10(および20)の主表面の幅は約195mmである。ただしこれらの数値はアンテナ装置の条件に応じて適切に定められる。
以上のように本実施の形態では給電点P11〜P14を導体31〜34の中点と異なり、かつ、誘電体基板10の主表面からの距離(または誘電体基板20の主表面からの距離)が互いに等しくなる位置に定めることにより、垂直面内での主ビームの方向を傾かせることが可能になる。
図8は、本実施の形態のアンテナ装置の水平面指向性を示す図である。図8を参照して、水平面の指向性はほぼ無指向性である。すなわち、本実施の形態のアンテナ装置は全方向に対して電波を効率よく送信(または受信)できる。
図9は、本実施の形態のアンテナ装置の垂直面指向性を示す図である。なお、給電点P11の位置は導体31の中点から上方向に20mmずらした位置である(給電点P12〜P14の位置についても同様)。
図9を参照して、0度方向および180度方向は、図6に示す「上方向」および「下方向」にそれぞれ対応する。垂直面では、主ビームの方向は、真横方向(90度方向)から下方に30〜45度程度傾いた方向となる。
図10は、本実施の形態のアンテナ装置が備えるアンテナ部50の設置例を示す図である。図10を参照して、本実施の形態のアンテナ部50はたとえば地上デジタル放送の電波(UHF帯の電波)を再送信するためのアンテナとして地下通路の天井面201に設置される。
地上波デジタル放送、あるいは、携帯電話・移動体端末向けの1セグメント部分受信サービス(「ワンセグ」と称されることが多い)の普及にともない、従来は不感地帯であった地下街等において、これらの電波の受信への要望が高まりつつある。このような場所では放送局からの電波が直接届かないため再送信の必要がある。
アンテナ部50の垂直面における放射パターン120では、アンテナ部50の斜め下方(図中の矢印の方向)の放射強度が最大となる。また図8に示すようにアンテナ部50の水平面指向性は無指向性である。よって地下街の広い範囲に電波を送信することができる。
地下街では一般的に天井が低いため、アンテナ装置を天井に設置した場合には、通行や美観への影響が生じる可能性がある。しかしながらアンテナ部50は斜め下方に電波を再送信できるため、天井面よりも高い場所にアンテナ部50を設置することが可能である。
これによりアンテナ部50のうち天井面からの露出部分を少なくすることができるので、人の通行や美観への影響を回避することができる。また、地下街の広い範囲に電波を再送信できるため、アンテナの設置数を少なくすることができる。
なお、本実施の形態のアンテナ装置の設置箇所は地下街に限定されるものではない。たとえばビル内、地下鉄の車両内などの限られた空間内や戸建住宅に電波を送信する場合にも本実施の形態のアンテナ装置を用いることができる。これらの場所においても、電波(たとえば放送局から送信される地上デジタル放送の電波)が直接届かない可能性がある。このような場合に、本実施の形態のアンテナ装置を設置することにより、これらの場所において、広い範囲に効率よく電波を送信することが可能になる。
また、本実施の形態のアンテナ装置の用途は電波を送信するものと限定されるものではない。たとえばアンテナ部50を受信アンテナとして用いることができる。この場合には、図4に示すアンテナ装置100において分配器70を電力結合器に置き換えればよい。
さらに、本実施の形態ではアンテナの使用周波数帯の一例としてUHF帯を示した。しかし本発明のアンテナ装置では、アンテナ素子の大きさはアンテナ装置の使用周波数帯により定められる。すなわち、本発明のアンテナはUHF帯の電波を送信(または受信)するものと限定されるものではなく、UHF帯以外の周波数帯の電波を送信(または受信)するアンテナにも適用可能である。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明の実施の形態に係るアンテナ装置の主要部であるアンテナ部50を示す斜視図である。 アンテナ1,2をより詳しく説明するための図である。 導体31〜34によるアンテナ1とアンテナ2との接続を説明する図である。 本実施の形態のアンテナ装置の全体を説明するための概略ブロック図である。 アンテナCと給電回路51との接続およびアンテナDと給電回路51との接続を説明する図である。 図3に示す間隔dとアンテナ部50の垂直面指向性との関係を説明する図である。 導体31〜34における給電点の位置の一例を説明する図である。 本実施の形態のアンテナ装置の水平面指向性を示す図である。 本実施の形態のアンテナ装置の垂直面指向性を示す図である。 本実施の形態のアンテナ装置が備えるアンテナ部50の設置例を示す図である。 従来の無指向性アンテナを地下街に設置した場合の課題を説明する図である。
符号の説明
1,2,151,152,C,D アンテナ、10,20 誘電体基板、11〜14,21〜24 アンテナ素子、15,25 ダイポール素子、16,17,26,27 導線部、31〜34 導体、41,42,45,73,74 伝送線路、41A,42A
内部導体、41B,42B 外部導体、50 アンテナ部、51 給電回路、60 90度移相器、65,66 整合回路、70 分配器、71,72,75,80 端子、100 アンテナ装置、120 放射パターン、201 天井、A1,A2,B1,B2 ダイポールアンテナ、P1〜P8,P11〜P14 給電点。

Claims (4)

  1. 第1の平面上に互いに直交するように形成された第1および第2のダイポールアンテナと、
    第1の平面に平行な第2の平面上に形成され、かつ、前記第1および第2のダイポールアンテナを前記第2の平面に投影させたときの投影像とそれぞれ重なる第3および第4のダイポールアンテナと、
    前記第1のダイポールアンテナの2つの給電点を前記第3のダイポールアンテナの2つの給電点にそれぞれ接続するための第1および第2の導体と、
    前記第2のダイポールアンテナの2つの給電点を前記第4のダイポールアンテナの2つの給電点にそれぞれ接続するための第3および第4の導体と、
    前記第1から第4の導体に接続され、前記第1および第3のダイポールアンテナの組と前記第2および第4のダイポールアンテナの組との間に、位相が互いに90度異なる電力を供給する給電回路とを備える、アンテナ装置。
  2. 前記第1から第4の導体は、前記第1の平面からの距離が互いに等しい第1から第4の給電点において、前記給電回路にそれぞれ接続され、
    前記第1から第4の給電点の各々の位置は、対応する導体の中点と異なる位置である、請求項1に記載のアンテナ装置。
  3. 前記アンテナ装置の使用周波数帯の中心波長をλとすると、前記第1の平面と前記第2の平面との間隔は、λ/4近傍からλ/2近傍までの範囲内である、請求項2に記載のアンテナ装置。
  4. 前記第1から第4のダイポールアンテナの各々は、
    扇状に形成される2つのアンテナ素子を含む、請求項1から3のいずれか1項に記載のアンテナ装置。
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