JP2009014972A - 定着装置及び画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】装置を大型化することなく、発熱部材の発熱効率が確実に向上する、電磁誘導加熱方式の定着装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】発熱部材の外周面に対して励磁コイル25を介して周方向に対向する第1コア28と、第1コア28よりも発熱部材の外周面に近接して対向するとともに幅方向に延設された複数の第2コア29A〜29Dと、を備える。励磁コイル25は、複数の第2コア29A〜29Dのうち2つの第2コア29A、29Bの周りを周回するように配設される。そして、励磁コイル25の幅方向端部25bを覆う第3コア70をさらに備える。
【選択図】図4

Description

この発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、又は、それらの複合機等の画像形成装置とそこに設置される定着装置とに関し、特に、電磁誘導加熱方式を用いた定着装置及び画像形成装置に関するものである。
従来から、複写機、プリンタ等の画像形成装置において、装置の立ち上がり時間を低減して省エネルギー化することを目的として、電磁誘導加熱方式の定着装置が広く用いられている(例えば、特許文献1参照。)。
特許文献1等において、電磁誘導加熱方式の定着装置は、主として、支持ローラ(加熱ローラ)と定着補助ローラ(定着ローラ)とによって張架された定着ベルトや、支持ローラに定着ベルトを介して対向する誘導加熱部や、定着補助ローラに定着ベルトを介して当接する加圧ローラ、等で構成される。誘導加熱部は、幅方向(記録媒体の搬送方向に直交する方向である。)に延設された励磁コイル(コイル部)や、励磁コイルに対向するコア、等で構成される。
そして、定着ベルトは、誘導加熱部との対向位置で加熱される。加熱された定着ベルトは、定着補助ローラ及び加圧ローラの位置に搬送される記録媒体上のトナー像を加熱して定着する。詳しくは、励磁コイルに高周波の交番電流を流すことで、励磁コイルに対向する定着ベルト及び支持ローラの位置に磁力線が形成されて、支持ローラ表面に渦電流が生じる。支持ローラに渦電流が生じると、支持ローラ自身の電気抵抗によってジュール熱が発生する。このジュール熱によって、支持ローラに巻装された定着ベルトが加熱される。
このような電磁誘導加熱方式を用いた定着装置は、発熱層が電磁誘導によって直接的に加熱されるために、熱ローラ方式(ヒータランプ加熱方式)等の他方式のものに比べて熱変換効率が高く、少ないエネルギー消費で短い立ち上げ時間にて定着部材(定着ベルト)の表面温度(定着温度)を所望の温度まで昇温できるものとして知られている。
一方、特許文献2等には、電磁誘導加熱方式の定着装置であって、装置の発熱効率を向上させることを目的として、励磁コイルに対向するコア(背面コア)をC形コアと中心コアとで構成する技術が開示されている。
特開2005−221921号公報 特開2004−94266号公報
従来の電磁誘導加熱方式の定着装置は、効率のよい誘導加熱をおこなおうとすると誘導加熱部が大型化してしまうという問題があった。すなわち、発熱部材の発熱効率を向上するために、発熱部材の外周面に対向する誘導加熱部(励磁コイルやコア等で構成される。)を大型化していた。
一方、特許文献2等の技術は、励磁コイルに対向するC形コア及び中心コアを設けることで発熱部材の発熱効率を向上することを目的とするものであるが、その目的の達成が不充分となる可能性があった。
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、装置を大型化することなく、発熱部材の発熱効率が確実に向上する、電磁誘導加熱方式の定着装置及び画像形成装置を提供することにある。
本願発明者は、前記課題を解決するために研究を重ねた結果、次の事項を知るに至った。
すなわち、発熱部材の外周面に対して励磁コイルを介して周方向に対向する第1コアに加えて、第1コアよりも前記発熱部材の外周面に近接して対向して幅方向に延設された複数の第2コアを設けて、複数の第2コアのうち2つの第2コアの周りを周回するように励磁コイルを配設するとともに、励磁コイルの幅方向両端部を覆う第3コアを設けることで、同じ大きさの誘導加熱部であっても、発熱部材の発熱効率が飛躍的に向上する。
この発明は以上述べた事項に基づくものであり、すなわち、この発明の請求項1記載の発明にかかる定着装置は、発熱層を有する発熱部材と、前記発熱部材の外周面に対向するとともに、磁束を発生させて当該磁束によって前記発熱層を加熱する励磁コイルと、前記発熱部材の外周面に対して前記励磁コイルを介して周方向に対向する第1コアと、前記第1コアよりも前記発熱部材の外周面に近接して対向するとともに、幅方向に延設された複数の第2コアと、を備え、前記励磁コイルは、前記複数の第2コアのうち2つの第2コアの周りを周回するように配設され、前記励磁コイルの幅方向端部を覆う第3コアをさらに備えたものである。
また、請求項2記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項1に記載の発明において、前記励磁コイルは、前記発熱部材の幅方向に沿って直線状に延びた直線部と、前記直線部の端部を接続するために屈曲された屈曲部と、を具備し、前記第3コアは、前記屈曲部を外側から覆うように形成されたものである。
また、請求項3記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記第3コアは、前記複数の第2コアのうち少なくとも1つの第2コアの幅方向端部に連結されたものである。
また、請求項4記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項3に記載の発明において、前記第3コアは、前記少なくとも1つの第2コアと一体的に形成されたものである。
また、請求項5記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項3に記載の発明において、前記第3コアは、前記少なくとも1つの第2コアに対して着脱自在に形成されたものである。
また、請求項6記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項1〜請求項5のいずれかに記載の発明において、前記第3コアと、前記励磁コイルが周回された前記2つの第2コアと、を連結する連結コアを備えたものである。
また、請求項7記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項1〜請求項6のいずれかに記載の発明において、前記第1コアは、前記励磁コイルが周回された前記2つの第2コアを挟むように分割されたものである。
また、請求項8記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項7に記載の発明において、前記複数の第2コアは、前記分割された第1コアの両端部にそれぞれ配設されたものである。
また、請求項9記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項1〜請求項8のいずれかに記載の発明において、前記発熱部材を、トナー像を溶融する定着部材としたものである。
また、請求項10記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項9に記載の発明において、前記定着部材を、搬送される記録媒体を加圧する加圧ローラに当接する定着ローラとしたものである。
また、請求項11記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項9に記載の発明において、前記定着部材は、支持ローラと定着補助ローラとに張架された定着ベルトであって、前記定着補助ローラは、搬送される記録媒体を加圧する加圧ローラに対して前記定着ベルトを介して当接するように配設されたものである。
また、請求項12記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項1〜請求項8のいずれかに記載の発明において、前記発熱部材を、トナー像を溶融する定着部材を加熱する加熱部材としたものである。
また、請求項13記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項12に記載の発明において、前記定着部材は、定着ベルトであって、前記加熱部材は、定着補助ローラとともに前記定着ベルトを張架する支持ローラであって、前記励磁コイルは、前記支持ローラの外周面に対向するように配設されたものである。
また、この発明の請求項14記載の発明にかかる画像形成装置は、請求項1〜請求項13のいずれかに記載の定着装置を備えたものである。
本発明は、発熱部材の外周面に対して励磁コイルを介して周方向に対向する第1コアに加えて、第1コアよりも前記発熱部材の外周面に近接して対向して幅方向に延設された複数の第2コアを設けて、複数の第2コアのうち2つの第2コアの周りを周回するように励磁コイルを配設するとともに、励磁コイルの幅方向端部を覆う第3コアを設置しているので、装置を大型化することなく、発熱部材の発熱効率が確実に向上される、電磁誘導加熱方式の定着装置及び画像形成装置を提供することができる。
以下、この発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
実施の形態1.
図1〜図12にて、この発明の実施の形態1について詳細に説明する。
まず、図1にて、画像形成装置全体の構成・動作について説明する。
図1において、1は画像形成装置としてのタンデム型カラー複写機の装置本体、2は入力画像情報に基づいたレーザ光を発する書込み部、3は原稿Dを原稿読込部4に搬送する原稿搬送部、4は原稿Dの画像情報を読み込む原稿読込部、7は転写紙等の記録媒体Pが収容される給紙部、9は記録媒体Pの搬送タイミングを調整するレジストローラ、11Y、11M、11C、11BKは各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)のトナー像が形成される感光体ドラム、12は各感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上を帯電する帯電部、13は各感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に形成される静電潜像を現像する現像部、14は各感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に形成されたトナー像を記録媒体P上に重ねて転写する転写バイアスローラ、15は各感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上の未転写トナーを回収するクリーニング部、を示す。
また、16は転写ベルト17を清掃する転写ベルトクリーニング部、17は複数色のトナー像が記録媒体P上に重ねて担持されるように記録媒体Pを搬送する転写ベルト、19は記録媒体P上のトナー像(未定着画像)を定着する電磁誘導加熱方式の定着装置、を示す。
以下、画像形成装置における、通常のカラー画像形成時の動作について説明する。
まず、原稿Dは、原稿搬送部3の搬送ローラによって、原稿台から図中の矢印方向に搬送されて、原稿読込部4のコンタクトガラス5上に載置される。そして、原稿読込部4で、コンタクトガラス5上に載置された原稿Dの画像情報が光学的に読み取られる。
詳しくは、原稿読込部4は、コンタクトガラス5上の原稿Dの画像に対して、照明ランプから発した光を照射しながら走査させる。そして、原稿Dにて反射した光を、ミラー群及びレンズを介して、カラーセンサに結像する。原稿Dのカラー画像情報は、カラーセンサにてRGB(レッド、グリーン、ブルー)の色分解光ごとに読み取られた後に、電気的な画像信号に変換される。さらに、RGBの色分解画像信号をもとにして画像処理部で色変換処理、色補正処理、空間周波数補正処理等の処理をおこない、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのカラー画像情報を得る。
そして、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色の画像情報は、書込み部2に送信される。そして、書込み部2からは、各色の画像情報に基づいたレーザ光(露光光)が、それぞれ、対応する感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に向けて発せられる。
一方、4つの感光体ドラム11Y、11M、11C、11BKは、それぞれ、図1の時計方向に回転している。そして、まず、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BKの表面は、帯電部12との対向部で、一様に帯電される(帯電工程である。)。こうして、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上には、帯電電位が形成される。その後、帯電された感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK表面は、それぞれのレーザ光の照射位置に達する。
書込み部2において、4つの光源から画像信号に対応したレーザ光が各色に対応してそれぞれ射出される。各レーザ光は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの色成分ごとに別の光路を通過することになる(露光工程である。)。
イエロー成分に対応したレーザ光は、紙面左側から1番目の感光体ドラム11Y表面に照射される。このとき、イエロー成分のレーザ光は、高速回転するポリゴンミラーにより、感光体ドラム11Yの回転軸方向(主走査方向)に走査される。こうして、帯電部12にて帯電された後の感光体ドラム11Y上には、イエロー成分に対応した静電潜像が形成される。
同様に、マゼンタ成分に対応したレーザ光は、紙面左から2番目の感光体ドラム11M表面に照射されて、マゼンタ成分に対応した静電潜像が形成される。シアン成分のレーザ光は、紙面左から3番目の感光体ドラム11C表面に照射されて、シアン成分の静電潜像が形成される。ブラック成分のレーザ光は、紙面左から4番目の感光体ドラム11BK表面に照射されて、ブラック成分の静電潜像が形成される。
その後、各色の静電潜像が形成された感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK表面は、それぞれ、現像部13との対向位置に達する。そして、各現像部13から感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に各色のトナーが供給されて、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上の潜像が現像される(現像工程である。)。
その後、現像工程後の感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK表面は、それぞれ、転写ベルト17との対向部に達する。ここで、それぞれの対向部には、転写ベルト17の内周面に当接するように転写バイアスローラ14が設置されている。そして、転写バイアスローラ14の位置で、転写ベルト17上の記録媒体Pに、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に形成された各色のトナー像が、順次重ねて転写される(転写工程である。)。
そして、転写工程後の感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK表面は、それぞれ、クリーニング部15との対向位置に達する。そして、クリーニング部15で、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に残存する未転写トナーが回収される(クリーニング工程である。)。
その後、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK表面は、不図示の除電部を通過して、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BKにおける一連の作像プロセスが終了する。
他方、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上の各色のトナーが重ねて転写(担持)された記録媒体Pは、図中の矢印方向に走行して、分離チャージャ18との対向位置に達する。そして、分離チャージャ18との対向位置で、記録媒体Pに蓄積された電荷が中和されて、トナーのちり等を生じさせることなく記録媒体Pが転写ベルト17から分離される。
その後、転写ベルト17表面は、転写ベルトクリーニング部16の位置に達する。そして、転写ベルト17上に付着した付着物が転写ベルトクリーニング部16に回収される。
ここで、転写ベルト17上に搬送される記録媒体Pは、給紙部7からレジストローラ9等を経由して搬送されたものである。
詳しくは、記録媒体Pを収納する給紙部7から、給紙ローラ8により給送された記録媒体Pが、不図示の搬送ガイドを通過した後に、レジストローラ9に導かれる。レジストローラ9に達した記録媒体Pは、タイミングを合わせて、転写ベルト17の位置に向けて搬送される。
そして、フルカラー画像が転写された記録媒体Pは、転写ベルト17から分離された後に定着装置19に導かれる。定着装置19では、定着ローラと加圧ローラとの間(定着ニップ部である。)にて、カラー画像(トナー)が記録媒体P上に定着される。
そして、定着工程後の記録媒体Pは、不図示の排紙ローラによって、装置本体1外に出力画像として排出されて、一連の画像形成プロセスが完了する。
次に、画像形成装置本体1に設置される定着装置19の構成・動作について詳述する。
図2に示すように、定着装置19は、誘導加熱部24(磁束発生手段)、発熱部材としての定着ローラ20、加圧ローラ30、温度センサ55(温度検知手段)、等で構成される。
ここで、発熱部材としての定着ローラ20(定着部材)は、SUS304等の非磁性材料からなる中空構造の芯金23の表面に、弾性層22、発熱層21等を形成した多層構造体である。
詳しくは、定着ローラ20は、その外径が40mm程度であって、芯金23上に、弾性層22、発熱層21、酸化防止層(不図示である。)、離型層(不図示である。)、等が積層されている。
芯金23は、SUS304等の非磁性ステンレスで形成され、その肉厚は0.4mmになっている。これにより、熱容量が小さくなって、電磁誘導加熱のエネルギーが発熱層21に集中しやすくなる。
弾性層22は、シリコーンゴム等の弾性材料からなり、その厚さは50〜500μmになっている。これにより、熱容量がそれ程大きくなく、良好な定着画像を得ることができる。
発熱層21は、第1非磁性層と第2非磁性層との2層構造とすることができる。
第1非磁性材料層としては、非磁性材料層としてのSUS304、SUS301、SUS316(いずれも非磁性ステンレス)等を用いることができる。
第2非磁性材料層としては、銅(Cu)を用いることができる。第2非磁性材料層は、その層厚が5〜35μmの範囲内になるように、第1非磁性材料層上にめっき処理にて形成されている。第2非磁性材料層の体積抵抗率は1.7×10-8Ω・mとなっていて、第1非磁性材料層の体積抵抗率よりも小さくなっている。なお、第2非磁性材料層としては、銀(Ag)やアルミニウム(Al)等を用いることもできる。
第1非磁性材料層及び第2非磁性材料層からなる発熱層21は、誘導加熱部24(磁束発生手段)から発せられる磁束によって電磁誘導加熱される。
定着ローラ20の酸化防止層は、ニッケル(Ni)で形成され、その厚さは5μm以下になるように設定されている。酸化防止層は、銅層としての第2非磁性材料層の酸化を防止するためのものである。
定着ローラ20の離型層は、PFA等のフッ素化合物で形成され、その厚さは30μmになっている。離型層は、トナー像(トナー)Tが直接的に接する定着ローラ20表面のトナー離型性を高めるためのものである。
このように本実施の形態1における定着ローラ20は、トナー像を溶融する定着部材として機能するとともに、誘導加熱部24によって直接的に加熱される発熱部材としても機能することになる。
なお、本実施の形態1では、発熱層21を第1非磁性層と第2非磁性層との2層構造としたが、発熱層21を磁性金属材料からなる単層構造とすることもできる。発熱層21を形成する磁性金属材料としては、層厚が10μm程度のニッケル(Ni)を用いることができる。また、発熱層21を形成する磁性金属材料として、鉄、コバルト、ニッケル、銅、又は、それらの合金等を用いることもできる。
加圧ローラ30は、アルミニウム、銅等からなる円筒部材32上にフッ素ゴム、シリコーンゴム等の弾性層31が形成されたものである。加圧ローラ30の弾性層31は、肉厚が0.5〜2mmで、アスカー硬度が60〜90度となるように形成されている。加圧ローラ30は、定着ローラ20に圧接している。そして、定着ローラ20と加圧ローラ30との当接部(定着ニップ部である。)に、記録媒体Pが搬送される。
誘導加熱部24は、定着ローラ20の外周面に対向するように配設されている。誘導加熱部24は、励磁コイル25(コイル部)、第1コア28、4つの第2コア29A〜29D、第3コア70(端部コア)、コイルガイド27(絶縁支持部材)、等で構成される。
励磁コイル25は、外周面が絶縁被覆された外径0.15mmの銅線が90本束ねられた線束であって、定着ローラ20の外周面に対向するように配設されている。詳しくは、図3及び図4を参照して、励磁コイル25は、2つの第2コア29A、29B(4つの第2コア29A〜29Dのうち、中央に配設された2つの第2コアである。)の周りを周回するように、定着ローラ20の表面を覆うコイルガイド27上の全域にわたって渦巻状に配設されている。励磁コイル25の幅方向の長さは、定着ローラ20の幅方向(回転軸方向)の長さとほぼ等しい。励磁コイル25は、定着ローラ20の幅方向に沿って直線状に延びた直線部25aと、直線部25aの端部を接続するために屈曲された屈曲部25b(繋ぎ部)と、を具備している。
コイルガイド27は、耐熱性が高く絶縁性の樹脂材料等からなり、定着ローラ20との対向面の側で励磁コイル25を保持する。
図2及び図4を参照して、第1コア28は、定着ローラ20の外周面に対して励磁コイル25を介して周方向に対向するように配設されている。第1コア28の材料としては、フェライト、パーマロイ等の強磁性体であって電気抵抗率の高いものが好ましい。
また、本実施の形態1において、第1コア28は、励磁コイル25が周回された2つの第2コア29A、29Bを挟むように2つに分割されている。さらに、図4を参照して、第1コア28は、幅方向に間隙をあけて複数配設されている。本実施の形態1では、定着ローラ20の幅方向の長さとほぼ等しい範囲に10個の第1コア28が配設されている。そして、複数の第1コア28は、第2コア29A〜29Dに連結されている。
図2〜図4を参照して、第2コア29A〜29Dは、第1コア28よりも定着ローラ20の外周面に近接して対向するとともに、幅方向(図2の紙面垂直方向である。)に延設されている。第2コア29A〜29Dの幅方向の長さは、定着ローラ20の幅方向(回転軸方向)の長さとほぼ等しい。第2コア29A〜29Dの材料としては、フェライト、パーマロイ等の強磁性体であって電気抵抗率の高いものが好ましい。
4つの第2コア29A〜29Dは、2つに分割された第1コア28の両端部にそれぞれ配設されている。詳しくは、図2を参照して、左側に分割された第1コア28の両端部には、中央部側に第1の第2コア29Aが配設され、端部側に第3の第2コア29Cが配設されている。右側に分割された第1コア28の両端部には、中央部側に第2の第2コア29Bが配設され、端部側に第4の第2コア29Dが配設されている。そして、第1の第2コア29Aと第2の第2コア29Bとがセンターコアとして機能して、第3の第2コア29Cと第4の第2コア29Dとがサイドコアとして機能する。
このように、第1コア28と第2コア29A〜29Dとを別体として、組み付け時に連結させることにより、各コアの形状が簡素化されるため、低コスト化と磁気結合の向上とを達成することができる。
なお、第2コア29A〜29Dは、一体成型によるものである必要はなく、短いI型のコアを定着ローラ20とほぼ等しい長さになるように連結して構成することもできる。すなわち、第2コア29A〜29Dを、幅方向に複数分割された分割コアが一体化されたものとすることができる。これにより、第2コア29A〜29Dの製造コストがさらに低廉化されることになる。
また、図4及び図5を参照して、第3コア70は、励磁コイル25の幅方向端部を覆うように配設された端部コアである。具体的に、第3コア70(端部コア)は、励磁コイル25の屈曲部25bを外側から覆うように形成されている。第3コア70の材料としては、フェライト、パーマロイ等の強磁性体であって電気抵抗率の高いものが好ましい。
このような構成により、励磁コイル25の屈曲部25bから外側に漏れる磁束B2(図7を参照できる。)を遮蔽することができる。この第3コア70による効果については、後で図7にてさらに詳述する。
ここで、第3コア70は、複数の第2コア29A〜29Dのうち少なくとも1つの第2コアの幅方向端部に連結されることが好ましい。本実施の形態1では、図4に示すように、第3コア70が、4つの第2コア29A〜29Dのすべての幅方向端部に連結されている。これにより、第3コア70と第2コア29A〜29Dとの間の隙間から磁束が漏れにくくなるため、漏れ磁束によって定着ローラ20(発熱部材)に対する発熱効率が低下する不具合(定着ローラ20の幅方向両端部の定着温度が低下する不具合である。)が軽減される。
なお、第3コア70と第2コア29A〜29Dとの連結は、双方のコアを一体的に形成することで達成してもよいし、双方のコアを着脱自在(接離自在)に形成することで達成してもよい。
また、図2を参照して、2つの第2コア29A、29Bの間には、定着ローラ20の温度を検知する温度検知手段としての温度センサ55が配設されている。本実施の形態1では、温度センサ55として、定着ローラ20表面の温度を非接触で検知するサーモパイルを用いている。サーモパイルは、反応速度が早いため、細やかな温度制御が可能となる。そして、温度センサ55による定着温度の検知結果に基いて、誘導加熱部24による加熱量を調整する。なお、温度センサ55としては、サーモパイルの他に、接触型のサーミスタ等を用いることもできる。
このように構成された定着装置19は、次のように動作する。
不図示の駆動モータによって、定着ローラ20が図2の時計方向に回転駆動されると、加圧ローラ30も反時計方向に回転する。そして、定着部材としての定着ローラ20は、誘導加熱部24との対向位置(対向面)で、誘導加熱部24から発生される磁束によって加熱される。
詳しくは、不図示の電源部から励磁コイル25に10kHz〜1MHz(好ましくは、20kHz〜800kHzである。)の高周波交番電流を流すことで、励磁コイル25から発熱層21に向けて磁力線が双方向に交互に切り替わるように形成される。このように交番磁界が形成されることで、定着ローラ20の発熱層21に渦電流が生じて、発熱層21はその電気抵抗によってジュール熱が発生して誘導加熱される。こうして、定着ローラ20は、自身の発熱層21の誘導加熱によって加熱される。
その後、誘導加熱部24によって加熱された定着ローラ20表面は、加圧ローラ30との当接部に達する。そして、搬送される記録媒体P上のトナー像T(トナー)を加熱して溶融する。
詳しくは、先に説明した作像プロセスを経てトナー像Tを担持した記録媒体Pが、不図示のガイド板に案内されながら定着ローラ20と加圧ローラ30との間に送入される(矢印Y1の搬送方向の移動である。)。そして、定着ローラ20から受ける熱と加圧ローラ30から受ける圧力とによってトナー像Tが記録媒体Pに定着されて、記録媒体Pは定着ローラ20と加圧ローラ30との間から送出される。
定着位置を通過した定着ローラ20表面は、その後に再び誘導加熱部24との対向位置に達する。
このような一連の動作が連続的に繰り返されて、画像形成プロセスにおける定着工程が完了する。
以上説明したように、本実施の形態1では、定着ローラ20の外周面に対して励磁コイル25を介して周方向に対向する第1コア28に加えて、第1コア28よりも定着ローラの外周面に近接して対向して幅方向に延設された複数の第2コア29A〜29Dを設けて、複数の第2コア29A〜29Dのうち2つの第2コア29A、29Bの周りを周回するように励磁コイル25を配設している。さらには、励磁コイル25の幅方向両端部(屈曲部25b)を外側から覆うように第3コア70(端部コア)を配設している。これにより、定着装置19(誘導加熱部24)を大型化することなく、定着ローラ20の発熱効率を確実に向上することができる。
また、本実施の形態1では、複数の第1コア28を幅方向に間隔をあけて配置して、第2コア29A〜29Dを幅方向にわたって間隔をあけずに配置するとともに、幅方向両端部には第3コア70を配置しているために、定着装置19内の磁気回路を閉磁路としたまま、コア全体の総量を減らすことができる。これにより、コア材の減少によってコストダウンが可能になるとともに、定着装置19全体のインピーダンスが低下することになる。したがって、励磁コイル25に交流電力を供給する電源部を構成するスイッチング素子等の部品として耐電圧の低い安価な部品を使用することが可能になる。
以下、図6〜図12を用いて、上述した本実施の形態1における効果について詳述する。
図6は、励磁コイル25によって発生される磁束の状態を示す断面図である。図7は、励磁コイル25によって発生される磁束の状態を示す上面図である。
図6に示すように、磁束B1は、第1コア28及び第2コア29A〜29Dを経路として発熱層21、弾性層22、芯金層23を透過して再びコア28、29A〜29Dに戻る。その際、磁束B1が発熱層21を透過することによって発熱層21に誘導電流が流れて、ジュール熱により発熱層21が発熱する。
ここで、図7を参照して、励磁コイル25の幅方向両端部では、屈曲部25bから外側に漏れる磁束B2が生じてしまう。すなわち、第3コア70(端部コア)を設置しない場合には、屈曲部25bから外側に漏れる磁束B2が形成されてしまい、この磁束B2によって正規の磁束B1(定着ローラ20の発熱に供する磁束である。)が低減されてしまい、定着ローラ20の発熱効率が低下してしまう。具体的には、定着ローラ20の幅方向両端部の表面温度(定着温度)が低下してしまう。
これに対して、本実施の形態1では、励磁コイル25の幅方向端部(屈曲部25b)を覆うように第3コア70を配設しているために、幅方向両端部の外側から磁束B2が漏れるのを抑止することができる。これにより、励磁コイル25から発生する磁束B1が漏れなく発熱層21を透過して、非常に効率のよい誘導加熱をおこなうことができる。
また、本実施の形態1において、温度センサ55(温度検知手段)は、定着ローラ20の周方向中央部に対向する2つの第2コア29A、29Bの間に配設される。第3コア70(端部コア)の設置により、励磁コイル25より発生する磁界のほとんどすべてはコア28、29A〜29Dを磁路とするために、2つの第2コア29A、29Bの間の磁束密度は低くなる。したがって、温度センサ55が磁界ノイズの影響を受ける不具合を低減することができる。
また、定着ローラ20の周方向の温度は励磁コイル25に対向している部分が高く、周方向の温度分布は2つの第2コア29A、29Bの間を軸とした線対称形になる。したがって、温度センサ55を2つの第2コア29A、29Bの間に配設することにより、定着ローラ20の表面温度を精度よく検知することができる。
ここで、2つの第2コア29A、29Bの間には、温度センサ55の他に、サーモスタット等を設置することもできる。これによって、スペースが有効に活用されて、装置を小型化することができる。
なお、従来の定着装置(図10(A)を参照できる。)では、磁界ノイズの影響を避けるために、定着ローラ20の外周面に対向する位置であって誘導加熱部24から離れた位置に、温度センサやサーモスタットを設置する必要があった。一方、定着装置には、記録媒体Pを定着ニップ部に案内するためのガイド板や、定着工程後の記録媒体Pの定着ローラ20への巻き付きを抑止するための分離板、等を設置する必要があって、従来は温度センサ等を設置するスペースを確保することが困難であった。これに対して、本実施の形態1の構成によれば、このような問題を解決することができる。
また、本実施の形態1の構成によれば、温度センサ55の検知面を下向きにすることが容易にできる。これにより、温度センサ55の検知面にトナーや埃が付着しにくくなって、温度センサ55による検知精度の低下を軽減することができる。
図8は、本実施の形態1における定着装置19の昇温特性を実験的に確認した結果である。
図8において、グラフQ1は本実施の形態1における定着装置19の昇温特性(立ち上げ特性)を示し、グラフQ0は従来の定着装置(図10(A)を参照できる。)の昇温特性を示す。実験は、それぞれの定着装置について、電力投入と同時に定着ローラ20を回転、昇温させて、定着ローラ20表面の温度の経時変化を測定したものである。なお、2つの定着装置は、励磁コイル及びコアの構成以外は同じであって、加熱初期の投入電力もそれぞれ同等になるように調整した。また、「昇温特性」とは、定着ローラ20がトナーを定着するために必要な温度(本実施の形態1では180℃である。)まで昇温する時間の長短であって、昇温時間が短いほどユーザーにとって使いやすい装置ということになる。
図8より、本実施の形態1における定着装置19では、昇温特性が向上していることがわかる。具体的に、従来の定着装置では立ち上げ時間が8.6秒であったのに対して、本実施の形態1における定着装置19では立ち上げ時間が7.7秒であった。
また、本願発明者が、本実施の形態1の定着装置19における定着ローラ20の発熱量と、従来の定着装置(図10(A)を参照できる。)における定着ローラ20の発熱量と、を誘導加熱シミュレーションにより計算したところ、本実施の形態1における定着装置19の発熱量が従来のものに比べて9%程向上していることがわかった。すなわち、本実施の形態1の構成によれば、誘導加熱の発熱効率が向上することになる。なお、誘導加熱シミュレーションにおいて、励磁コイル25に流す電流の周波数は30kHzとした。
ここで、誘導加熱の発熱効率の向上は、励磁コイル中央部の距離に起因するものと推測される。アンペールの法則により電流によって電流の周りには環状の磁場が発生する。したがって、図9(A)及び図9(B)に示すように、励磁コイル25中央部の距離を短くすると、互いに逆向きの電流が流れている励磁コイルの中央部で磁束(破線で示すものである。)が相殺させてしまう。このような現象により、励磁コイル中央部の距離を一定値以上に確保することが誘導加熱において重要であることがわかる。
ところが、図10(A)及び図10(B)を参照して、従来の定着装置の構成では、励磁コイル中央部の距離(角度β)を大きくしても、装置の発熱効率が向上しないことを本願発明者は知得した。
図11は、従来の定着装置においてコイル中央部の距離(角度β)を可変したときの、定着ローラの発熱量の変化を示すグラフである。なお、図11における縦軸の発熱量は、角度βが18度であるときの定着ローラの発熱量を基準(100%)とした比率である。
図11から、コイル中央部の距離(角度β)が大きくなるほど、発熱量が低下するのがわかる。これは、励磁コイル25と、コイル中央部に配置されるセンターコア28aと、の距離が広がることが原因である。すなわち、センターコア28aは、励磁コイル25から発生する磁束を発熱層21に集中させるために配置されているので、励磁コイル25との距離が広がると、励磁コイル25の磁束が発熱層21以外の領域に漏れてしまう。したがって、従来の定着装置の構成においては、コイル中央部の距離(角度β)を広げることによって装置の発熱効率を高めることはできない。
これに対して、本実施の形態1における定着装置19では、コイル中央部に2つの第2コア29A、29Bを配設しているために、励磁コイルと第2コア29A、29Bとの距離を短く保ちながら、コイル中央部の距離(図6の角度αである。)を広げることができる。これにより、定着装置の発熱効率が高められることになる。
ここで、中央部に配置された2つの第2コア29A、29Bの間隙(角度α)が大きいほど、装置の発熱効率が向上することを、本願発明者は知得した。
図12は、2つの第2コア29A、29Bの間隙L2(又は、角度α)を広げたときの、定着ローラの発熱量の変化を示す実験結果である。図12において、縦軸は定着ローラ20の発熱層21の発熱量を示し、横軸は分割された第1コア28の片側の周方向長さL1に対する第2コア29A、29B間の距離L2の比率(L2/L1)を示す。ここで、実験は、励磁コイル25の銅線の面積や、励磁コイル25と第2コア29A〜29Dとの近接距離は一定として、コイル中央部に配置される2つの第2コア29A、29B間の距離のみを可変した。なお、上述した角度α、距離L1、L2については、図6を参照することができる。また、図12における縦軸の発熱量は、比率L2/L1が1/5であるときの定着ローラの発熱量を基準(100%)とした比率である。
図12より、比率L2/L1が1以上のときは、比率L2/L1が1/5のときに比べて、発熱量が35%以上も増加していて、効率のよい誘導加熱がおこなわれているのがわかる。本実施の形態1の定着装置19において、確実に発熱効率を向上させるためには、2つの第2コア29A、29B間の距離L2と、分割された第1コア28の片側の周方向長さL1と、の関係を、L2/L1≧1/3(より好ましくは、L2/L1≧1/2)とすることが好ましい。
以上説明したように、本実施の形態1では、定着ローラ20(発熱部材)の外周面に対して励磁コイル25を介して周方向に対向する第1コア28に加えて、第1コア28よりも定着ローラ20の外周面に近接して対向して幅方向に延設された複数の第2コア29A〜29Dを設けて、複数の第2コア29A〜29Dのうち2つの第2コア29A、29Bの周りを周回するように励磁コイル25を配設するとともに、励磁コイル25の幅方向端部を覆う第3コア70を設置しているので、誘導加熱部24(定着装置19)を大型化することなく、定着ローラ20の発熱効率を確実かつ効率的に向上させることができる。
なお、本実施の形態1では、定着ローラ20として、芯金23上に、弾性層22、発熱層21(第1非磁性材料層及び第2非磁性材料層)、酸化防止層、離型層、が積層されたものを用いた。しかし、定着ローラ20の構成はこれに限定されることなく、例えば、定着ローラ20として、芯金上に、断熱層、発熱層、弾性層、離型層が順次積層されたものを用いることもできる。
また、本実施の形態1では、複数の第1コア28を幅方向に均一に間隙をあけて配設したが、複数の第1コア28を幅方向に不均一に間隙をあけて配設することもできる。これにより、誘導加熱部24によって加熱される定着ローラ20上の幅方向の温度分布をさらに均一化することができる。
また、本実施の形態1では、第1コア28を2つの第2コア29A、29Bの位置で分割させるように構成したが、第1コア28を2つの第2コア29A、29Bの位置で分割させないように構成することもできる。このように、第1コア28を周方向に分割しない場合には、その分だけ部品点数が減少して組み立て性が向上することになる。
実施の形態2.
図13にて、この発明の実施の形態2について詳細に説明する。
図13は、実施の形態2における定着装置19の誘導加熱部24を示す上面図であって、前記実施の形態1における図4に相当する図である。
本実施の形態2における定着装置19は、第3コア70と第2コア29A、29Bとを連結するアーチ状の連結コア80を設置している点が、前記実施の形態1のものとは相違する。
本実施の形態2における定着装置19も、前記実施の形態1のものと同様に、誘導加熱部24(磁束発生手段)、定着ローラ20(発熱部材)、加圧ローラ30、等で構成される。また、誘導加熱部24は、励磁コイル25、第1コア28、4つの第2コア29A〜29D、第3コア70(端部コア)、コイルガイド27、等で構成される。
本実施の形態2においても、励磁コイル25の幅方向端部(屈曲部25b)を覆う第3コア70が設置されている。
ここで、本実施の形態2では、図13に示すように、第3コア70と、励磁コイル25が周回されてセンターコアとして機能する第2コア29A、29Bと、を連結するアーチ状の連結コア80(アーチコア)が設置されている。連結コア80(アーチコア)は、定着ローラ20の外周面に対向する第1コア28のようにきれいな円弧状ではないものの、屈曲部25bの形状に合わせてアーチ状に形成されている。
このような構成により、幅方向両端部(屈曲部25b)においても、磁気回路を確実に閉磁路とすることができるため、定着ローラ20の発熱効率を向上させることができる。
以上説明したように、本実施の形態2でも、前記実施の形態1と同様に、定着ローラ20(発熱部材)の外周面に対して励磁コイル25を介して周方向に対向する第1コア28に加えて、第1コア28よりも定着ローラ20の外周面に近接して対向して幅方向に延設された複数の第2コア29A〜29Dを設けて、複数の第2コア29A〜29Dのうち2つの第2コア29A、29Bの周りを周回するように励磁コイル25を配設するとともに、励磁コイル25の幅方向端部を覆う第3コア70を設置しているので、誘導加熱部24(定着装置19)を大型化することなく、定着ローラ20の発熱効率を確実かつ効率的に向上させることができる。
実施の形態3.
図14にて、この発明の実施の形態3について詳細に説明する。
図14は、実施の形態3における定着装置19を示す断面図である。本実施の形態3における定着装置19は、定着部材として定着ベルト60を用いている点が、定着部材として定着ローラ20を用いている前記実施の形態1のものとは相違する。
図14に示すように、本実施の形態3における定着装置19は、誘導加熱部24、発熱部材としての定着ベルト60(定着部材)、加熱部材としての支持ローラ41、定着補助ローラ50、加圧ローラ30、等で構成される。
ここで、定着補助ローラ50は、ステンレス鋼等からなる芯金の表面に、シリコーンゴム等の弾性層を形成したものである。定着補助ローラ50の弾性層は、肉厚が1〜5mmで、アスカー硬度が30〜60度となるように形成されている。
加熱部材としての支持ローラ41は、SUS304(非磁性ステンレス)で形成された第1非磁性材料層41aと、銅のめっき層からなる第2非磁性材料層41b(銅層)と、で構成される発熱層を有する。支持ローラ41の第1非磁性材料層41a及び第2非磁性材料層41bの構成は、前記実施の形態1における定着ローラ20の第1非磁性材料層及び第2非磁性材料層の構成とほぼ同等である。
支持ローラ41は、図14の時計方向に回転する。そして、支持ローラ41の発熱層41a、41bは、誘導加熱部24から発せられる磁束によって誘導加熱される。
発熱層を備えた定着ベルト60は、支持ローラ41及び定着補助ローラ50(2つのローラ部材である。)に張架・支持されている。
定着ベルト60は、内周面側から、発熱層(第1非磁性材料層及び第2非磁性材料層で構成されている。)、ニッケルからなる酸化防止層、シリコーンゴム等からなる弾性層、フッ素化合物からなる離型層、が積層されている。定着ベルト60の各層の構成は、前記実施の形態1における定着ローラ20の各層の構成とほぼ同等である。
定着ベルト60は、図14の時計方向に周回する。そして、定着ベルト60の発熱層は、誘導加熱部24から発せられる磁束によって直接的に誘導加熱される。
誘導加熱部24は、前記実施の形態1のものと同様に、励磁コイル25、第1コア28、4つの第2コア29A〜29D、第3コア(端部コア)、コイルガイド27、等で構成される。そして、前記実施の形態1と同様に、第1コア28は、定着ローラ20の外周面に対して励磁コイル25を介して周方向に対向するように配設され、2つの第2コア29A、29Bを挟むように2つに分割され、幅方向に間隙をあけて複数配設されている。また、第2コア29A〜29Dは、第1コア28よりも定着ローラ20に近接して対向するとともに、幅方向に延設されている。図示は省略するが、第3コアは、励磁コイル25の幅方向(図14の紙面垂直方向である。)の両端部(屈曲部25b)を外側から覆うように設置されている(前記各実施の形態のものと同様に構成されている。)。
このように構成された定着装置19は、次のように動作する。
定着補助ローラ50の回転駆動によって、定着ベルト60は図14中の時計方向に周回するとともに、支持ローラ41も時計方向に回転して、加圧ローラ30も反時計方向に回転する。定着ベルト60は、誘導加熱部24との対向位置で加熱される。
詳しくは、不図示の電源部から励磁コイル25に10kHz〜1MHz(好ましくは、20kHz〜800kHzである。)の高周波交番電流を流すことで、励磁コイル25から支持ローラ41及び定着ベルト60に向けて磁力線が双方向に交互に切り替わるように形成される。このように交番磁界が形成されることで、支持ローラ41表面と定着ベルト60の発熱層とに渦電流が生じて、支持ローラ41及び発熱層の電気抵抗によってジュール熱が発生して、支持ローラ41及び発熱層が加熱される。こうして、定着ベルト60は、発熱した支持ローラ41から受ける熱と、自身の発熱層の発熱と、によって加熱される。すなわち、定着ベルト60は、誘導加熱部24によって直接的に加熱される発熱部材として機能するとともに、誘導加熱部24によって間接的に加熱される(支持ローラ41を介して加熱される。)発熱部材として機能することになる。
その後、誘導加熱部24によって加熱された定着ベルト60表面は、加圧ローラ30との当接部に達する。そして、搬送される記録媒体P上のトナー像T(トナー)を加熱して溶融する。
定着位置を通過した定着ベルト60表面は、その後に再び誘導加熱部24との対向位置に達する。
このような一連の動作が連続的に繰り返されて、画像形成プロセスにおける定着工程が完了する。
以上説明したように、本実施の形態3においては、定着ベルト60及び支持ローラ41(発熱部材)の外周面に対して励磁コイル25を介して周方向に対向する第1コア28に加えて、第1コア28よりも定着ベルト60及び支持ローラ41の外周面に近接して対向して幅方向に延設された複数の第2コア29A〜29Dを設けて、複数の第2コア29A〜29Dのうち2つの第2コア29A、29Bの周りを周回するように励磁コイル25を配設するとともに、励磁コイル25の幅方向端部を覆う第3コア70を設置しているので、誘導加熱部24(定着装置19)を大型化することなく、定着ベルト60及び支持ローラ41の発熱効率を確実かつ効率的に向上させることができる。
なお、本実施の形態3では、定着ベルト60と支持ローラ41とがどちらも誘導加熱部24によって電磁誘導加熱される構成とした。これに対して、定着ベルト60及び支持ローラ41のうちいずれか一方のみが、誘導加熱部24によって電磁誘導加熱される構成とすることもできる。例えば、定着ベルト60に発熱層を設けない場合には、支持ローラ41のみが誘導加熱部24によって電磁誘導加熱される発熱部材として機能するとともに、定着ベルト60を加熱する加熱部材としても機能することになる。その場合も、本実施の形態3と同様の効果を得ることができる。
また、本実施の形態3では、定着ベルト60を介して支持ローラ41の外周面に対向する位置に誘導加熱部24を配設したが、支持ローラ41の外周面に直接的に対向するように誘導加熱部24を配設することもできる。すなわち、誘導加熱部24を、定着ベルト60を介することなく、支持ローラ41に直接的に対向させることができる。その場合にも、本実施の形態3と同様の効果を得ることができる。
なお、本発明が前記各実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、前記各実施の形態の中で示唆した以外にも、前記各実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は前記各実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
この発明の実施の形態1における画像形成装置を示す全体構成図である。 図1の画像形成装置に設置された定着装置を示す断面図である。 励磁コイルを示す斜視図である。 誘導加熱部を示す上面図である。 誘導加熱部の幅方向端部を示す側面図である。 誘導加熱部によって発生される磁束の状態を示す断面図である。 誘導加熱部によって発生される磁束の状態を示す上面図である。 定着ローラの昇温特性を示すグラフである。 励磁コイルの周囲に形成される磁力線を示す模式図である。 従来の定着装置の一部を示す断面図である。 従来の定着装置における、コイル中央部の距離と、定着ローラの発熱量と、の関係を示すグラフである。 分割された第1コアの片側の周方向長さに対する第2コア間の距離の比率と、定着ローラの発熱量と、の関係を示すグラフである。 この発明の実施の形態2における定着装置の誘導加熱部を示す上面図である。 この発明の実施の形態3における定着装置を示す断面図である。
符号の説明
1 画像形成装置本体(装置本体)、
19 定着装置、
20 定着ローラ(定着部材、発熱部材)、
21 発熱層、 22 弾性層、 23 芯金、
24 誘導加熱部、
25 励磁コイル、
25a 直線部、 25b 屈曲部、
27 コイルガイド、
28 第1コア、
29A〜29D 第2コア、
30 加圧ローラ、 41 支持ローラ(加熱部材)、
50 定着補助ローラ、
55 温度センサ(温度検知手段)、
60 定着ベルト(定着部材、発熱部材)、
70 第3コア(端部コア)、
80 連結コア(アーチコア)。

Claims (14)

  1. 発熱層を有する発熱部材と、
    前記発熱部材の外周面に対向するとともに、磁束を発生させて当該磁束によって前記発熱層を加熱する励磁コイルと、
    前記発熱部材の外周面に対して前記励磁コイルを介して周方向に対向する第1コアと、
    前記第1コアよりも前記発熱部材の外周面に近接して対向するとともに、幅方向に延設された複数の第2コアと、
    を備え、
    前記励磁コイルは、前記複数の第2コアのうち2つの第2コアの周りを周回するように配設され、
    前記励磁コイルの幅方向端部を覆う第3コアをさらに備えたことを特徴とする定着装置。
  2. 前記励磁コイルは、前記発熱部材の幅方向に沿って直線状に延びた直線部と、前記直線部の端部を接続するために屈曲された屈曲部と、を具備し、
    前記第3コアは、前記屈曲部を外側から覆うように形成されたことを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
  3. 前記第3コアは、前記複数の第2コアのうち少なくとも1つの第2コアの幅方向端部に連結されたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の定着装置。
  4. 前記第3コアは、前記少なくとも1つの第2コアと一体的に形成されたことを特徴とする請求項3に記載の定着装置。
  5. 前記第3コアは、前記少なくとも1つの第2コアに対して着脱自在に形成されたことを特徴とする請求項3に記載の定着装置。
  6. 前記第3コアと、前記励磁コイルが周回された前記2つの第2コアと、を連結する連結コアを備えたことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の定着装置。
  7. 前記第1コアは、前記励磁コイルが周回された前記2つの第2コアを挟むように分割されたことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の定着装置。
  8. 前記複数の第2コアは、前記分割された第1コアの両端部にそれぞれ配設されたことを特徴とする請求項7に記載の定着装置。
  9. 前記発熱部材は、トナー像を溶融する定着部材であることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれかに記載の定着装置。
  10. 前記定着部材は、搬送される記録媒体を加圧する加圧ローラに当接する定着ローラであることを特徴とする請求項9に記載の定着装置。
  11. 前記定着部材は、支持ローラと定着補助ローラとに張架された定着ベルトであって、
    前記定着補助ローラは、搬送される記録媒体を加圧する加圧ローラに対して前記定着ベルトを介して当接するように配設されたことを特徴とする請求項9に記載の定着装置。
  12. 前記発熱部材は、トナー像を溶融する定着部材を加熱する加熱部材であることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれかに記載の定着装置。
  13. 前記定着部材は、定着ベルトであって、
    前記加熱部材は、定着補助ローラとともに前記定着ベルトを張架する支持ローラであって、
    前記励磁コイルは、前記支持ローラの外周面に対向するように配設されたことを特徴とする請求項12に記載の定着装置。
  14. 請求項1〜請求項13のいずれかに記載の定着装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
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