JP4803799B2 - 定着装置及び画像形成装置 - Google Patents
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このような電磁誘導加熱方式の定着装置は、発熱部材が電磁誘導によって直接的に加熱されるために、熱ローラ方式(ヒータランプ加熱方式)等の他方式のものに比べて熱変換効率が高く、少ないエネルギー消費で短い立ち上げ時間にて定着ベルトの表面温度(定着温度)を所望の温度まで昇温できるものとして知られている。
したがって、定着装置のメンテナンスやジャム処理をおこなう場合等に、定着ベルト等で構成された定着装置主部が磁束発生手段から分離されて画像形成装置本体から取出されることが多かった。
定着工程直後の定着部材は高温に達しているために、作業者等がその表面に触れてしまうことは避けなければならない。また、定着部材はトナー像に直接的に接触して出力画像の品質を左右する部材であるために、その表面が損傷を受けてしまうとその後の画像品質(定着性)が劣化してしまう。
図1〜図3にて、この発明の実施の形態1について詳細に説明する。
まず、図1にて、画像形成装置全体の構成・動作について説明する。
図1において、1は画像形成装置としてのタンデム型カラー複写機の装置本体、2は入力画像情報に基づいたレーザ光を発する書込み部、3は原稿Dを原稿読込部4に搬送する原稿搬送部、4は原稿Dの画像情報を読み込む原稿読込部、7は転写紙等の記録媒体Pが収容される給紙部、9は記録媒体Pの搬送タイミングを調整するレジストローラ、11Y、11M、11C、11BKは各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)のトナー像が形成される感光体ドラム、12は各感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上を帯電する帯電部、13は各感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に形成される静電潜像を現像する現像部、14は各感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に形成されたトナー像を記録媒体P上に重ねて転写する転写バイアスローラ、15は各感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上の未転写トナーを回収するクリーニング部、を示す。
まず、原稿Dは、原稿搬送部3の搬送ローラによって、原稿台から図中の矢印方向に搬送されて、原稿読込部4のコンタクトガラス5上に載置される。そして、原稿読込部4で、コンタクトガラス5上に載置された原稿Dの画像情報が光学的に読み取られる。
書込み部2において、4つの光源から画像信号に対応したレーザ光が各色に対応してそれぞれ射出される。各レーザ光は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの色成分ごとに別の光路を通過することになる(露光工程である。)。
その後、現像工程後の感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK表面は、それぞれ、転写ベルト17との対向部に達する。ここで、それぞれの対向部には、転写ベルト17の内周面に当接するように転写バイアスローラ14が設置されている。そして、転写バイアスローラ14の位置で、転写ベルト17上の記録媒体Pに、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に形成された各色のトナー像が、順次重ねて転写される(転写工程である。)。
その後、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK表面は、不図示の除電部を通過して、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BKにおける一連の作像プロセスが終了する。
その後、転写ベルト17表面は、転写ベルトクリーニング部16の位置に達する。そして、転写ベルト17上に付着した付着物が転写ベルトクリーニング部16に回収される。
詳しくは、記録媒体Pを収納する給紙部7から、給紙ローラ8により給送された記録媒体Pが、不図示の搬送ガイドを通過した後に、レジストローラ9に導かれる。レジストローラ9に達した記録媒体Pは、タイミングを合わせて、転写ベルト17の位置に向けて搬送される。
そして、定着工程後の記録媒体Pは、不図示の排紙ローラによって、装置本体1外に出力画像として排出されて、一連の画像形成プロセスが完了する。
図2に示すように、定着装置19は、磁束発生手段としての誘導加熱部24と、定着ローラ20や加圧ローラ30等で構成される定着装置主部と、からなる。
ここで、発熱部材としての定着ローラ20(定着部材)は、SUS304等の非磁性材料からなる中空構造の芯金23の表面に、弾性層22、発熱層21等を形成した多層構造体である。
弾性層22は、シリコーンゴム等の弾性材料からなり、その厚さは50〜500μmになっている。これにより、熱容量がそれ程大きくなく、良好な定着画像を得ることができる。
第1非磁性材料層としては、非磁性材料層としてのSUS304、SUS301、SUS316(いずれも非磁性ステンレス)等を用いることができる。
第2非磁性材料層としては、銅(Cu)を用いることができる。第2非磁性材料層は、その層厚が5〜35μmの範囲内になるように、第1非磁性材料層上にめっき処理にて形成されている。第2非磁性材料層の体積抵抗率は1.7×10-8Ω・mとなっていて、第1非磁性材料層の体積抵抗率よりも小さくなっている。なお、第2非磁性材料層としては、銀(Ag)やアルミニウム(Al)等を用いることもできる。
第1非磁性材料層及び第2非磁性材料層からなる発熱層21は、誘導加熱部24(磁束発生手段)から発せられる磁束によって電磁誘導加熱される。
定着ローラ20の離型層は、PFA等のフッ素化合物で形成され、その厚さは30μmになっている。離型層は、トナー像(トナー)Tが直接的に接する定着ローラ20表面のトナー離型性を高めるためのものである。
このように本実施の形態1における定着ローラ20は、定着部材として機能するとともに、発熱部材としても機能することになる。
なお、定着ローラ20の内部に、フェライト等の強磁性体からなる内部コア(コア)を設置したり、内部コアの外周の一部を覆う磁束遮蔽部材を設置することもできる。
また、カバー部材28の内壁には、銅等からなる磁束遮蔽部材29が設置されている。磁束遮蔽部材29は、その厚さが表皮深さ(材料の体積固有抵抗及び比透磁率と、誘導加熱部24の交番電流の周波数と、によって定まる。)よりも大きくなるように設定されていて、誘導加熱部24からカバー部材28外に磁束が漏出するのを軽減している。
不図示の駆動モータによって、定着ローラ20が図2の時計方向に回転駆動されると、加圧ローラ30も反時計方向に回転する。そして、定着部材としての定着ローラ20は、誘導加熱部24との対向位置(対向面)で、誘導加熱部24から発生される磁束によって加熱される。
詳しくは、先に説明した作像プロセスを経てトナー像Tを担持した記録媒体Pが、不図示のガイド板に案内されながら定着ローラ20と加圧ローラ30との間に送入される(矢印Y1の搬送方向の移動である。)。そして、定着ローラ20から受ける熱と加圧ローラ30から受ける圧力とによってトナー像Tが記録媒体Pに定着されて、記録媒体Pは定着ローラ20と加圧ローラ30との間から送出される。
このような一連の動作が連続的に繰り返されて、画像形成プロセスにおける定着工程が完了する。
図3は、定着装置19を示す分解斜視図である。図3に示すように、定着装置の筐体51には、ベアリング53を介して定着ローラ20及び加圧ローラ30がそれぞれ回転自在に収容(保持)されている。詳しくは、定着ローラ20は、その筐体51上の位置が固定されている。加圧ローラ30は、加圧レバー58及び加圧スプリング59による付勢力を受けて、定着ローラ20を加圧する。
また、図示は省略するが、筐体51の周囲には、耐熱性樹脂からなるハウジングが覆設されている。このハウジングには、定着ニップ部に記録媒体を送入・送出するための開口が設けられている。
図4及び図5にて、この発明の実施の形態2について詳細に説明する。
図4は実施の形態2における定着装置19を示す断面図であって、図5は定着装置19を示す分解斜視図である。本実施の形態2の定着装置19は、定着部材として定着ベルト60を用いている点が、定着部材として定着ローラ20を用いている前記実施の形態1のものとは相違する。
支持ローラ41は、図4の時計方向に回転する。そして、支持ローラ41の発熱層41a、41bは、誘導加熱部24から発せられる磁束によって誘導加熱される。
定着ベルト60は、内周面側から、発熱層(第1非磁性材料層及び第2非磁性材料層で構成されている。)、ニッケルからなる酸化防止層、シリコーンゴム等からなる弾性層、フッ素化合物からなる離型層、が積層されている。定着ベルト60の各層の構成は、前記実施の形態1における定着ローラ20の各層の構成とほぼ同等である。
定着ベルト60は、図4の時計方向に周回する。そして、定着ベルト60の発熱層は、誘導加熱部24から発せられる磁束によって誘導加熱される。
磁束発生手段としての誘導加熱部24は、前記実施の形態1のものと同様に、コイル部25、コア部26、コイルガイド27、カバー部材28、磁束遮蔽部材29、等で構成される。
定着補助ローラ50の回転駆動によって、定着ベルト60は図4中の時計方向に周回するとともに、支持ローラ41も時計方向に回転して、加圧ローラ30も反時計方向に回転する。定着ベルト60は、誘導加熱部24との対向位置で加熱される。
定着位置を通過した定着ベルト60表面は、その後に再び誘導加熱部24との対向位置に達する。
このような一連の動作が連続的に繰り返されて、画像形成プロセスにおける定着工程が完了する。
図6及び図7にて、この発明の実施の形態3について詳細に説明する。
図6は、実施の形態3における定着装置19の主部(定着装置主部)が装置本体1に装着されていて開閉部材42a、42b(被包部材)が開放した状態を示す断面図である。図7は、定着装置19の主部が装置本体1から取出されていて開閉部材42a、42b(被包部材)が閉鎖した状態を示す断面図である。本実施の形態3の定着装置19は、被包部材の構成が前記実施の形態1のものとは相違する。
本実施の形態3では、誘導加熱部24が装置本体1に固設され、定着装置主部(定着ローラ20及び加圧ローラ30)が装置本体1(誘導加熱部24)に対して着脱自在に設置される。
これに対して、メンテナンス時やジャム処理時には、誘導加熱部24を装置本体1に残した状態で、定着装置主部(定着ローラ20及び加圧ローラ30)が装置本体1から取出される。このとき、図7に示すように、被包部材としてのシャッタ42a、42bは、定着ローラ20の対向面を閉鎖する位置に移動する(破線矢印方向の移動である。)。
図8にて、この発明の実施の形態4について詳細に説明する。
図8は、実施の形態4における定着装置19の主部(定着装置主部)が装置本体1から取出される状態(又は装着される状態)を示す断面図である。本実施の形態4の定着装置19は、被包部材の構成が前記実施の形態1のものとは相違する。
本実施の形態4では、誘導加熱部24が装置本体1に固設され、定着装置主部(定着ローラ20及び加圧ローラ30及びフレーム45)が装置本体1(誘導加熱部24)に対して着脱自在に設置される。
これに対して、メンテナンス時やジャム処理時には、誘導加熱部24を装置本体1に残した状態で、定着装置主部20、30、45が装置本体1から取出される。このとき、図8に示すように、被包部材としてのフレーム45は、コイルガイド27から離れて、定着ローラ20の対向面を閉鎖した状態で移動する(破線矢印方向の移動である。)。
19 定着装置、
20 定着ローラ(定着部材、発熱部材)
21 発熱層、 22 弾性層、 23 芯金、
24 誘導加熱部(磁束発生手段)、
25 コイル部、 26 コア部、
27 コイルガイド、
28 カバー部材、 28b 通気口、
29 磁束遮蔽部材、
30 加圧ローラ、 41 支持ローラ(発熱部材、ローラ部材)、
42a、42b シャッタ(開閉部材、被包部材)、
45 フレーム(被包部材)、
50 定着補助ローラ(ローラ部材)、
51 筐体、 51b 通気口、
60 定着ベルト(定着部材、発熱部材)。
Claims (11)
- 磁束を発生させる磁束発生手段と、
前記磁束によって加熱される発熱層を有する発熱部材と、
前記磁束発生手段に対向するとともに、トナー像を溶融して記録媒体に定着する定着部材と、
画像形成装置本体から取出されたときに、前記磁束発生手段に対向する前記定着部材の対向面が露呈しないように被包する被包部材と、
を備え、
前記磁束発生手段は、交番電流が入力されるコイル部を覆うカバー部材を具備し、
前記カバー部材は、前記発熱部材及び前記定着部材を収容する筐体に一体化され、
前記カバー部材及び前記筐体は、前記コイル部の周囲の通気をするための通気口を備えたことを特徴とする定着装置。 - 前記被包部材は、前記磁束発生手段の一部又は全部であることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
- 前記被包部材は、画像形成装置本体から取出されたときに前記対向面を閉鎖して画像形成装置本体に装着されたときに前記対向面を開放する開閉部材であることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
- 前記磁束発生手段は、交番電流が入力されるコイル部を前記対向面の側で保持するコイルガイドを備え、
前記被包部材は、画像形成装置本体に装着されたときに前記コイルガイドに当接することを特徴とする請求項1に記載の定着装置。 - 前記被包部材は、画像形成装置本体から取出されたときに露呈する露呈面が耐熱性樹脂で形成されたことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の定着装置。
- 前記発熱部材は、前記定着部材であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の定着装置。
- 前記発熱部材は、前記定着部材を加熱することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の定着装置。
- 前記定着部材は、搬送される記録媒体を加圧する加圧ローラに当接するとともに、少なくとも2つのローラ部材に張架される定着ベルトであって、
前記発熱部材は、前記少なくとも2つのローラ部材のうち1つのローラ部材であることを特徴とする請求項7に記載の定着装置。 - 前記定着部材は、搬送される記録媒体を加圧する加圧ローラに当接する定着ローラであることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかに記載の定着装置。
- 前記定着部材は、搬送される記録媒体を加圧する加圧ローラに当接するとともに、少なくとも2つのローラ部材に張架される定着ベルトであることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかに記載の定着装置。
- 請求項1〜請求項10のいずれかに記載の定着装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
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