JP2009014843A - 光路偏向素子、その製造方法および画像表示装置 - Google Patents

光路偏向素子、その製造方法および画像表示装置 Download PDF

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浩 藤村
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康之 滝口
Toshimichi Hagitani
利道 萩谷
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由希子 安部
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【課題】多層素子間で生じる各素子での面積方向における厚みのばらつきを最小限に抑制した光偏光素子、およびこのような光偏光素子の製造方法およびこの優れた光路偏向素子を用いた画像表示装置を提供すること。
【解決手段】少なくとも第1〜第4の基板を有する光路偏向素子であって、
前記基板は前記第1と第2基板間および第3と第4基板間に光路偏向用液晶層が設けられ、前記第2と第3基板間に直線偏光の偏光面を回転させる偏光面回転用液晶層が設けられ、
前記偏光面回転用液晶層はツイストネマチック液晶層であり、
前記偏光面回転用液晶層はポリマースタビライズされていることを特徴とする光路偏向素子。
【選択図】図1

Description

本発明は、複数の液晶層が積層された構造を有する光路偏向素子、その製造方法および画像表示装置に関する。
従来、外部からの電気信号により入射光に対して出射光を平行にシフトさせるか、ある角度を持って回転させるか、あるいはこれらを組み合わせて光路を切換えることのできる光学素子として、光偏光素子が知られ、このような光偏光素子に液晶を用いた光偏向素子も知られている。
たとえば特許文献1には、光偏向素子の配向安定性向上を目的に、液晶層を層厚方向に複数に分割した構造が開示されている(請求項1参照)。この文献に用いる液晶層はホメオトロピック配向をなすキラルスメクチックC相からなる液晶層であり、本発明で扱う偏光面回転用液晶層を積層構造内に用いていない。また製造方法についても言及されていない。
また特許文献2の請求項1には光の入射方向に複数設けられて電界変化に応じて入射光に対する出射光路を変化させる光偏光素子と、前記光偏光素子間に設けられて入射光の偏光方向を切り替える偏光方向切替手段とを具備し、この偏光方向切替手段がある範囲の入射項に対するリターデーションが特定の範囲を満足するように設定された半波長位相差板である光偏光装置が開示され、また請求項14には、偏光方向切替手段は、隣接する光偏光素子の基板表面に密着支持されている光偏光装置が開示されている。又この文献には、作成方法として、段落番号〔0149〕に、光偏向素子と偏光方向切替手段を別個に作製しその後両者を貼り合せる方法、および始めに光偏向素子または偏光方向切替手段を作製し、それに他方を積層する方法の発明が開示されている。
しかしながら、これら文献に記載の光偏光素子は同一プロセスで積層するのでないため製造プロセスが複雑化しており、また特許文献1に開示された作製法では基板とベースフィルムを貼り合せる為の接着層が必要となり、この層厚のばらつきは波面収差等の光学性能劣化を招く。
特に従来、基板間に液晶を封入する際、基板と基板との間に予め入り口を設けて四方の壁を封止剤で形成し、得られた基板を真空にして、設けられた入り口から液晶を吸い取って液晶相を形成した後、この入り口を封止剤で密閉して基板間に液晶素子を形成していた。このような液晶素子の形成方法は、基板としてガラス材が選択されたとしても真空引きにより封止剤によって形成される壁の近傍で厚くなり、液晶素子の中央部で薄くなるという傾向がある。
このような液晶素子が小型の場合あるいは単層として使用する場合には、この傾向は少ないが、大型の素子(大面積素子)あるいは多層素子として用いると、光が中央部とそれ以外を通る場合にこれらの光の通過時間が微妙に異なってくる可能性がある。
このような液晶相を使用する素子の厚みの問題に対してスペーサを用いて素子の光路偏光方向の厚みを一定厚に保持することも可能であるが、スペーサは変調機能を有しておらずこの部を通る光は偏光されず液晶素子としての機能は期待できない可能性がある。よって偏光光と偏光されない光とが混在する可能性が生じてしまうため、スペーサを用いた解決は図れない。
特開2003−255299号公報 特開2005−37530号公報
本発明は上記したような多層素子間で生じる各素子での面積方向における厚みのばらつきを最小限に抑制した光路偏向素子、およびこのような光路偏向素子の製造方法およびこの優れた光路偏向素子を用いた画像表示装置を提供することを目的としている。
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、少なくとも第1〜第4の基板を有する光路偏向素子であって、
前記第1と第2基板間および第3と第4基板間に光路偏向用液晶層が設けられ、前記第2と第3基板間に直線偏光の偏光面を回転させる偏光面回転用液晶層が設けられ、
前記偏光面回転用液晶層はツイストネマチック液晶層であり、
前記偏光面回転用液晶層はポリマースタビライズされていることを特徴とする。
また請求項2に記載の光路偏向素子の発明は、請求項1に記載の光路偏向素子において、前記光路偏向用液晶層がホメオトロピック配向のスメクチックC相よりなる液晶層であることを特徴とする。
また請求項3に記載の光路偏向素子の発明は、請求項1または2に記載の光路偏向素子において、前記光路偏向用液晶層の層の厚さが20〜100μmの厚さの範囲にあることを特徴とする。
また請求項4に記載の光路偏向素子の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の光路偏向素子において、前記光路偏向用液晶層はこの層の光軸方向に略直交する方向に前記光路偏向用液晶層を囲撓する囲撓体が形成され、前記囲撓体は所定厚さのスペーサと光硬化性シール材とを含む材料を光硬化して得られ、前記光路偏向素子は、前記光軸方向の厚さのばらつきが偏光光の波長λに対して4λ以下であることを特徴とする。
また請求項5に記載の光路偏向素子の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の光路偏向素子において、前記光路偏向用液晶層は、実質的に光偏向機能を有する材料のみで形成したことを特徴とする。
また請求項6に記載の光路偏向素子の製造方法の発明は、複数の光路偏向用液晶層が基板間に設けられた素子間に偏光面回転用液晶層が一体に設けられた光路偏向素子の製造方法であって、
前記光路偏向用液晶層は水平に保持された基板上に所定厚みのスペーサが内包された硬化性シール材を用いて内容量と水平方向の厚みとが規定された囲撓体を形成し、前記囲撓体に液晶をディスペンサにより注入あるいは塗布し、規定量の液晶塗布後に基板を前記水平に設置された基板が設けられた上記基板を、順次所定位置に搬送し、所定位置において隣接する基板に対して位置決め後に重ね合わせた基板を所定圧の範囲で押圧することを特徴とする。
また請求項7に記載の光路偏向素子の製造方法の発明は、請求項6に記載の光路偏向素子の製造方法において、前記押圧を減圧下に行うことを特徴とする。
また請求項8に記載の光路偏向素子の光路偏向素子の製造方法の発明は、請求項6または7に記載の光路偏向素子の製造方法において、前記押圧後に前記スペーサ材が内包された硬化性シールに光を照射して囲撓体を光硬化させて前記光路偏向素子の光路軸方向の厚さのばらつきを偏光光の波長λに対して4λ以下とすることを特徴とする。
また請求項9に記載の画像表示装置の発明は、少なくとも、画像情報に従って光を制御可能な複数の画素が二次元的に配列され、
線順次的に画像を書き換えるライトバルブ(画像表示素子)と、
前記ライトバルブを照明する光源と、
前記ライトバルブに表示した画像パターンを観察するための光学部材と、
画像フィールドを時間的に分割した複数のサブフィールド毎にライトバルブと光学部材の間の光路を偏向する光路偏向手段と、
を有し、
前記光路偏向手段は請求項1〜4のいずれかに記載の光路偏向素子を用い、前記光路偏向手段の光路偏向方向を、ライトバルブの線順次書き換えに同期して切り替えて前記ライトバルブの見かけ上の画素数を増倍して表示することを特徴とする。
本発明によれば、従来の光偏向素子において、基板貼り合せ用の接着剤層の層厚ばらつきに起因し劣化していた波面収差を改善でき、基板間に存在していた空気界面数を減少してコントラストを改善できる。特に偏光面回転用にポリマースタビライズした液晶を採用することで、光路偏向用液晶層形成と同一プロセスで作製することができ、製造コスト低減が図れるとともにタクト短縮が図れる。
また本発明の光路偏向素子は液晶を用いて偏光面を回転させる方式を用いているので広い波長範囲で偏光変換効率が得られる。これによって色バランスを崩すことなく光路偏向が可能となる。
以下、図面を参照して、本発明の光路偏向素子、その製造方法および画像表示装置を実施形態により、詳細に説明する。
本発明の光路偏向素子は少なくとも第1〜第4の基板を有し、
前記した第1〜第4の順に積層され、第1と第2基板間および第3と第4基板間に光路偏向用液晶層が設けられ、前記第2と第3基板間に直線偏光の偏光面を回転させる偏光面回転用液晶層が設けられ、
前記偏光面回転用液晶層がツイストネマチック液晶層であり、かつ、
前記偏光面回転用液晶層はポリマースタビライズされていることを特徴とする。
図1に示すように、本発明の光路偏向素子は、下基板1と上基板4との間に下側中間基板2と上側中間基板3とを有し、下基板1と下側中間基板2、上側中間基板3と上基板4との間に光路偏向用液晶層5、7がそれぞれ設けられ、下側中間基板2と上側中間基板3との間に偏光面回転用液晶層6とが、設けられる構成となっている。
このような本発明の光路偏向素子に使用できる偏光面回転用液晶層6には、キラルスメクチックC相よりなる液晶層6に加えて、高分子材料P(図2参照)が含有されていることが好ましい。高分子材料Pは、鎖状または3次元網目状の形状を有しており、液晶層6に均一に分散されている。これにより、スメクチック層間の規制力を高めてポリマースタビライズすることができる。
また、高分子材料Pは、スメクチック層間の規制力を高めることによって液晶相をポリマースタビライズしている。このようにすることにより、液晶層6における液晶分子6aに対して、液晶分子6aのスイッチング動作に支障を来たさずに、かつ、後述するような配向規制力を作用させる程度に長い分子鎖を有することとしている。
さらに、高分子材料Pは、液晶層6に含有させたモノマーあるいはオリゴマーに対して、液晶分子6aを所望の配向状態にして紫外線を照射する等によってこのモノマーまたはオリゴマーを重合させたものである。この高分子材料Pの原料であるモノマー等は、液晶性を示し、この液晶骨格にメチレンスペーサーを有するものと、有さないものとのいずれか1つか、あるいはこれらのどちらも含むものである。
なお、液晶層6中で重合(硬化)させて、高分子材料Pを形成する前駆体は、モノマーに限るものではなく、プレポリマー(オリゴマー(重合性基を有するモノマーを除く2量体以上のもの)を含む)等であってもよい。
高分子材料Pの前駆体として、重合硬化可能なモノマーまたはプレポリマーを用い、プレポリマーとしては数個程度結合したポリマー前駆体が用いられる。これら高分子材料Pの原料であるモノマーまたはプレポリマー等の前駆体は、液晶材料の組み合わせ、重合性基および反応モード、反応条件の選択により適宜調整することができる。
本発明で使用可能な高分子材料Pは、少なくとも光重合開始剤によって重合硬化(重合)される。本実施の形態では、一対の透明基板2、3の間に、キラルスメクチックC相を形成する液晶材料と、重合可能なモノマーまたはプレポリマーの少なくとも一方の系を充填した後にこれらモノマーまたはプレポリマーを重合することにより形成される。
液晶層6中に含有させるモノマーまたはプレポリマー(これらを併せて「モノマー等」あるいは「高分子材料Pの原料」などと言うこともある)としては、光偏向素子2の形成しやすさ、および、材料選択幅の広さの点で光硬化型のものが好ましい。すなわち光硬化型のモノマーまたはプレポリマーは、硬化時の条件に自由度があり、熱硬化型に比べ高速化設計に適しているので好ましい。光硬化型のモノマー等を用いることにより、一対の透明基板2、3によって形成されるセルに液晶材料を注入した後、この液晶等が注入されたセルに光を照射すると、高分子材料Pを含有する液晶層6を作製することができる。この光照射の際、光硬化型のモノマー等を用いた液晶材料が注入されたセルに、光強度、硬化時間をコントロールすることで、高分子材料Pを液晶層6中で容易に形成することができ、熱硬化型のモノマーまたはプレポリマーによって形成される高分子材料と比較して格段に液晶素子の高速の製造、すなわち高速化設計が望める。
本発明では、モノマー等によって形成される高分子材料Pを含む液晶層6は、高分子骨格に液晶性の置換基(液晶性要素)または主鎖としての一部を部分構造として(いわゆるメソゲン基として)有する。液晶層6では、液晶要素(液晶性置換基)が高分子骨格(主鎖骨格あるいは側鎖)中に存在する高分子材料Pと、(反)強誘電性の液晶分子6aとが共に配向した状態を示す図である。高分子骨格に液晶性の置換基(液晶性要素)が付いている高分子材料Pを用いることにより、液晶層6中で高分子骨格部分も配向する。これにより、液晶層6に対して電圧を印加した場合と印加しない場合とで、液晶分子6aとともに高分子材料Pの配向状態を変化させて屈折率を大きく変化させることができる。また、液晶性の置換基を有する高分子材料Pを用いることにより、モノマーまたはプレポリマーの硬化時に白濁がない(すなわちミクロ分離構造を有していないかまたは有していても光学的素子として機能の低下しない程度:白濁が光路偏向素子としての機能に影響しない素子である)透明な素子を作製することができる。
高分子材料Pは、キラルスメクチックC相よりなる液晶層6における液晶分子6aが、所望の配向状態で維持されるように形成されている。本発明では、電圧を印加しながら液晶分子6aを強制的に配向させた後にこの状態を維持しながら、光硬化型のモノマーまたはプレポリマーを光硬化させて高分子材料Pを形成するようにして、液晶層をポリマースタビライズ化した。ポリマースタビライズすることで外部電界により配向性が乱されることがないため、光路偏向用液晶層5、7と近接配置される本発明では有効である。また駆動時に温度上昇等発生してもポリマースタビライズされている場合、特性の変化が少ない。
電圧を印加していない初期状態の液晶分子は、初期配向において2方向のドメインを発生する場合がある。このとき、初期配向と同方向に液晶が配向するように電界を印加してドメインを1方向とすることにより、面内において均一な配向状態をつくることができる。本発明では、この均一な配向状態で高分子構造を形成することにより、高分子材料Pの規制力によってポリマースタビライズ化して均一な配向状態を保つことができる。なお、本発明では、ドメインを1方向とする状態(モノドメイン状態)は、液晶が一定方向を向くような所定電圧を印加した後には、このモノドメイン状態を維持していればよいので全く電圧を付与しない状態(電圧印加無しの状態:無電圧印加状態)に限るものではなく、液晶配向方向を変化させる閾値電圧以上の電圧を印加していない状態も含むものとし、例えば、高速スイッチングのためのバイアス電圧を印加している状態も液晶層内の液晶基の配向方向ドメインを1方向とする状態に含まれるものとすることができる。
ここで、前述した液晶性骨格を部分構造として有する光硬化型の高分子材料Pの原料であるモノマーまたはプレポリマーとしては、以下に示すような化合物が挙げられる。
Figure 2009014843
本発明に適用可能な光硬化型のプレポリマーとしては、上記の化合物に限定されない。
例えば、モノマーとして、メチレンスペーサーのない液晶性モノアクリレート(上記化学式において、(a)、(d)など)を用いた場合、このモノマーは、分子端に2重結合を含むとともに、液晶分子と同様、剛直で細長い分子構造を有し、室温で自ら分子配向する性質を有する。このため、このモノマー等に光重合開始剤(光ラジカル重合開始剤あるいは光カチオン重合開始剤)を添加しておき、紫外光(場合によっては可視光)を照射することにより光重合開始剤を励起させてたとえば不対電子をもったフリーラジカル、あるいは光カチオンを生起させ、これらのフリーラジカル等によって反応性基である2重結合、脂環式エポキシ等を次々と重合反応させていくことで、複数の分子を連鎖的に結合させて、液状のモノマー等を硬化させて高分子材料Pを形成することができる。好ましくは重合性基としては、炭素−炭素二重結合基であり、より好ましくは(メタ)アクリル基、(メタ)アリル基、不飽和ポリエステル基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基などの光ラジカル重合開始剤により重合する基を挙げることができる。
本発明の光路偏向素子は、光路偏向用液晶層がホメオトロピック配向のスメクチックC相よりなる液晶層であることが好ましい。このようにすると、液晶層単独で光路偏向させることが可能でありより少ない界面数で機能することからコントラスト改善が図ることができる。
このような液晶層は、液晶分子の長軸方向を層状に配列し、その層の法線方向と長軸方向とが一致していない液晶層であり、不斉炭素を分子構造に有しているので自発分極(Ps)を有した液晶構造を有し、外部電場Eの印加により定まる方向に液晶分子6aが再配列して光学特性が制御される。このため、高速特性(サブミリ秒のオーダー)に優れ、液晶ダイレクタの動作が、基板からの規制力を受けにくいため、その偏向特性制御のための印加電圧を低く抑制することができる。キラルスメクチックC相のらせん構造が解ける閾値電界以上では、すべての液晶ダイレクタがチルト角θを示し、光学軸が上側に角度θで傾斜した複屈折板となる。異常光として横方向に入射した直線偏光は上側に平行シフトする。
同様に、電極への印加電圧を反転して電界が印加された場合、液晶分子6aの自発分極が正ならば液晶ダイレクタは傾斜し、光学軸が下側に角度θで傾斜した複屈折板として機能する。異常光として左側から入射した直線偏光は下側に平行シフトする。電界方向の反転によって、2S分の光路偏向量が得られる。
ところで、光路偏向素子において、光路偏向量を大きく設定する場合には、液晶層5、7の厚みを大きく設定する必要がある。しかし、液晶層5、7が厚い場合、液晶層中央付近での配向性が悪化しやすく、透過率などの光学特性が低下しやすいという不具合がある。
そこで、光路偏向素子は、光路偏向用液晶層5,7の基板として、この液晶層5、7を厚み方向に分割する透明な基板1と2および3と4とを設ける。中間基板2と3の材料としては、ガラス、プラスチックなどを用いることができ、好ましくは複屈折性の無い透明材料を用いることが望ましい。中間基板2、3の厚さは、光学特性の悪化を防止するために薄い方が望ましいが、基板の製造方法や取り扱いの容易性などから、数μmから数百μmの厚みが望ましい。中間基板2、3を設けることにより、電極も2つに分割され、光路偏向用液晶層5、7も2つに分割されて、それぞれ独立に電界を印加可能に構成されている。
このような光路偏向用液晶層5,7の層の厚さは20〜100μmの厚さの範囲にあることが好ましい。
このような光路偏向素子に使用される光路偏向用液晶層は、この層の光軸方向に略直交する方向に、この層(即ち、前記光路偏向用液晶層)を囲撓する囲撓体が形成されている。このような囲撓体は所定厚さのスペーサと光硬化性シール材とを含む材料を光硬化して得られる。光硬化性シール材としては、少なくとも両末端に光硬化性反応基を有するシリコーンなどの材料が好ましく選択される。このような光硬化性反応基を有するシリコーンの粘度は、通常、数万〜100万CPS程度である。チクソトロピック性を確保するため、シール材中に、微細シリカを加えることができる。この場合に表面を適度に疎水処理を施した微細シリカを用いることもできる。この量は通常の量(例えば1重量%以下)加えることができる。なお光硬化剤、増感剤などをこの材料中に含まれている。その種類及び含有量は、通常知られている範囲のものである。このような光硬化性シール材中には、所定のばらつきの範囲のスペーサを有している。このようなスペーサを有する光硬化性シール材を囲撓体により光路偏向用液晶層を有する本発明の光路偏向素子は、前記光軸方向の厚さのばらつきが偏光光の波長λ(測定波長633nm)に対して好ましくは4λ以下である。このような範囲の光路偏向素子は、入射する偏光のシフトする量が照射される光路偏光素子の入射面のどの位置においても略同一であるので、光路偏光素子として使用できる面積比が大きくなり、入射する偏光のスポット径のアローワンスを大きく取ることができ、入射光を基準にしても極めて均一な出射光が得られ、そのひずみ自体も小さくなり、また光路偏光素子に照射される位置による変化も少ないため、光軸設定のアローワンスを広く取ることができ、また本発明の光路偏光素子は使用寿命が長い。
本発明では、このような光路偏向用液晶層として、実質的に光偏向機能を有する材料のみで形成されていることが好ましい。これによって、光学特性が均一なものとなるとともに、上記したようなひずみ、光軸設定のアローワンスなどの効果を有効に保持することができる。
このような本発明の光路偏向素子は、たとえば図3に示す製造装置を用いて得ることができる。図3に示すように、本発明の光路偏向素子の製造方法において用いられる製造装置は、たとえば、台座11と、搬送手段と、位置決め手段と、押圧手段と、硬化手段と、制御手段とを備えて構成されている。
台座11は、例えばステンレス材、アルミ材等の所要の硬度が確保された金属材で平行度の高い板状に形成されると共に、そのシール材W4の形成部分と対応した位置に、上下面を貫くスリット孔12が形成され、装置のテーブルT面に取り付けられた紫外線ヘッド部17の上面に取り付けられる。この台座11上が、第1基板W2と第2基板W5とが搬送され積重される所定位置となる。なお、上記のスリット孔12は、後述する紫外線ヘッド17aから照射された紫外線を紫外線硬化型または紫外線硬化―熱硬化併用型のシール材W4へ照射させる導光路になっている。
この台座11は、基板を載置させ、積重された基板を介して、後述する押圧手段により所定の押圧力を受ける部材であるため、上記した金属材などの高硬度の部材からなるが、その金属材のほかに、ガラス、石英等の透明材料でも良く、この場合には、スリット孔12を不要にすることができる。
搬送手段は、クリーンロボット(図示せず)と、チャック部13とを備えて構成されている。
クリーンロボットは、周知の送り機構でもってX・Y・Z・θ方向の制御動可能なアームを備えて構成され、当該装置のテーブルT面から立設されている。なお、X方向とは図3において左右方向を、Y方向とは図3において奥行き方向を、Z方向とは図3において上下方向を、θ方向とは図3において回転方向をいう。
チャック部13は、透明部材で第1基板W2や第2基板W5より一回り大きい板状に形成されると共に、その一方の面に、第1基板W2の、液晶W3やシール材W4、配向材等で囲撓体を形成している。この囲撓体はCV値の狭いスペーサが分散された光硬化性のシール材により液晶層の体積が規定されると共にその液晶層の厚さ方向のCV値も同時に規定されたものを形成するように、液晶(光路偏向用液晶)側の面の縁部と基板周側面とが交差するコーナー部と、液晶側の面の基板中央に接触させて、基板を静電吸着させる階段状(段差が2段)の凹部13dが形成される。このように形設されたチャック部13は、その凹部13dが下側となるように、上記したアームに、水平に接続されている。
このチャック部13は、上記したように、少なくとも、液晶W3とシール材W4等が設けられた基板面を上向きにさせた状態で、第1基板W2を静電吸着させるようになっているが、第2基板W5も静電吸着できるようになっている。なお、第1基板W2と第2基板W5とを、このチャック部13でチャッキングさせる場合、上記のクリーンロボットは、そのアーム数がシングル構造で足り、好ましくは図3(A)に示した段差が1段の凹部13eが形成されたチャック部13bで第2基板W5を静電吸着させる場合、ツインアームのクリーンロボットまたはシングルアームのクリーンロボットを2台設置することができる。
また、上記した説明において、静電吸着によるチャッキングを例示しているが、凹部13d、13e内の気圧を減圧させるバキュームによるチャッキングを採用することもできる。
位置決め手段は、検知部と、補正部(フィードバック機構とMPUなどの制御部)とを備えて構成されている。
検知部は、X・Z方向に制御動可能な送り機構部(図示せず)に接続されたカメラ14を備えてなり、第1基板W2と第2基板W5の双方に予め形成されたアライメントマークが撮像可能になっている。なお、このアライメントマークは、カメラ14で検出できるだけのコントラスト差が得られる材料で形成するが、例えば基板に形成する電極材料(スズ添加酸化インジウム膜(ITO)、クロム膜等)を用いることもできる。
また、このアライメントマークは、各位置決め時に誤動作しないように、基板毎に異なる位置に異なる形状のマークを採用することができる。
補正部は、X・Y・Z方向制御動可能な送り機構部(図示せず)に接続され、第1基板W2や第2基板W5の4側面に当接可能な複数の接触子15を備えて構成されている。この補正部は、カメラ14で撮像されたアライメントマークの位置と、予め設定されたアライメントマークの位置データとに基づいて各基板の位置ズレ量を算出し、その位置ズレ量に基づいて、位置ズレを起こしている基板の側面に接触子15を当接・押動して位置補正するようになっている。
さらに、この補正部は、撮像したマークの形状パターンを認識できるようになっており、基板の積重順と個々のマークとを予め対応づけておくことで、位置ズレしているアライメントマークが積重された基板の何枚目であるか、把握できるようになっている。
このように上記説明において、検知部と補正部とを備えた位置決め手段を例示しているが、当該装置のテーブルT面または台座11から位置決めピンを突設させ、その位置決めピンに各基板の側面を突き当てることで位置決めする位置決め手段としても良い。この場合、チャック部13と位置決めピンとが干渉しないように、チャック部13の一部を切欠させ、さらに、チャック部13とチャッキングされた基板との間にX方向に“遊び”があるようにして、基板の側面を位置決めピンに突き当てた際、基板がX方向に逃げながら位置ズレを補正するようにすることができる。なお、検知部と補正部とを備えて画像処理技術を用いた位置決め手段と、位置決めピンによる位置決め手段の採用基準として、例えば、位置合わせ精度が概ね0.2mm程度であれば、後者の位置決めピンによる位置決め手段を採用し、位置合わせ精度が0.2mm未満の高精度が要求される場合、前者の画像処理技術を用いた位置決め手段を採用することが、夫々の精度を担保することが容易なことから好ましい。
また押圧手段として、上面側からカメラ14によるアライメントマークの撮像が可能なように、例えば、ガラス、石英等の所要の硬度が確保された板状の透明材料で形成された押圧板16がY方向制御動可能な送り機構部(図示せず)に接続されてなり、その押圧板16が台座11の真上に位置(動作初期位置)されるように配設される構成を採用することができる。
この押圧板16の底面と台座11の上面との平行度が極めて高くなるように、この両者は配設されており、このように構成された押圧手段は、押圧板16が台座11上に積重した基板に向かって下降し、略矩形の枠状に画成した未硬化のシール材W4とその上下の基板とで画成した領域内に液晶W3が隙間なく拡散するまで押圧するようになっている。なお、この押圧板16は、台座11上に積重された基板を押圧させる部材である上に、上面側からカメラ14によるアライメントマークの撮像が可能なように、上記したガラス、石英等の高硬度の部材からなるが、例えば、上記したような位置決めピンによる位置決め手段の場合、ステンレス材、アルミ材等の金属材を用いることができる。
硬化手段は、台座11に設けられたスリット孔12と対応した位置にLEDやランプ等の複数の紫外線ヘッド17aが内装され所要の高さで台座11を支承させる紫外線ヘッド部17と、その紫外線ヘッド部17と結線され、調光や照射制御を行う制御部(図示せず)とを備えて構成され、装置のテーブルT面に紫外線ヘッド部17が取り付けられている。
このように構成された硬化手段は、所要のタイミングでもって紫外線ヘッド17aから紫外線を照射することで、導光路であるスリット孔12を介して、その紫外線が基板間のシール材W4に届き、照射を受けたシール材W4は硬化して、基板同士が接合するようになっている。
このように、本発明の光路偏向素子の製造方法は、上記した製造装置を用い、図4に示すフローに従い、以下のような工程を経て、製造される。
まず、図示しない基板形成装置に透明基板をセットし(図4:S1)、シール材W4や液晶W3等の所要の構成材を用いて第1基板W2を形成する(図4:S2)。
そして、図示しない基板形成装置上に設けた第1基板W2の搬出位置にチャック部3を移動し、第1基板W2を静電吸着する。
第1基板W2を静電吸着したチャック部13は、台座11上の所定位置まで移動(図4:S3)し、静電吸着を解除して台座11上の所定位置に第1基板W2を載置する。この載置した基板は、最上段となる第2基板W5か否か、すなわち予め設定された搬送回数に達したか否かを判断し(図4:S5)し、その回数に達していない場合(図4:S5N)、上記と同じ動作でもって1枚目の第1基板W2上に2枚目の第1基板W2を載置する。
このとき、2枚目の第1基板W2の静電吸着を解除する前に、予め位置設定したチャック部13の上面にカメラ14を移動して、第1基板W2に形成したアライメントマークを撮像し、1枚目の第1基板W2の位置が正常な位置に載置しているかチェックを行う。
仮に、位置ズレしていた場合、1枚目の第1基板W2の側面に接触子15を当接・押動して位置補正を行い、その後、2枚目の第1基板W2の静電吸着を解除して1枚目の第1基板W2上に2枚目の第1基板W2を載置する。
同様に、2枚目の第1基板W2の静電吸着を解除する前に、1枚目の第1基板W2の位置チェック・位置補正を行う(図4:S4)。
この一連の動作を第2基板W5の搬送回数(積み重ね数)に達するまで繰り返し(図4:S5N)、所望数の第1基板W2の積重を行う。なお、カメラ14は位置補正後、速やかに待機位置に戻る。
続いて、所望数の第1基板W2の積重が完了するその前後に、第2基板W5の搬出位置に第2基板W5専用のチャック部3bを移動し、第2基板W5を静電吸着する。この第2基板W5を静電吸着した第2基板W5専用のチャック部13bは、最上段の第1基板W2の直上まで移動し、静電吸着を解除する前に、上記と同様の位置ズレのチェック、位置補正を行い、静電吸着を解除して、その最上段の第1基板W2上に第2基板W5を載置する。この載置が完了したら、第2基板W5専用のチャック部3bは、第2基板W5の搬出位置に戻る。
同様にして、全ての基板の積重が完了したら(図4:S5Y)、透明材料で形成した押圧板16がその積重した基板に向かって下降を開始し、押圧板16が第2基板W5に接触する。この押圧板6が第2基板W5に接触したら、予め位置設定した押圧板16の上面にカメラ14を移動して、押圧動作時における各基板の位置ズレを監視する。
このようにして位置ズレの監視下で、略矩形の枠状に画成した未硬化のシール材W4とその上下の基板とで画成した夫々の領域内に、夫々の液晶W3が隙間なく拡散するまで押圧していく(図4:S6)。この押圧工程は、好ましくは減圧下に行われることが望ましい。仮に、この押圧動作時、位置ズレを起こしたら、該当する基板の側面に接触子15を当接・押動して位置補正する。
夫々の液晶W3が夫々の領域内に隙間なく拡散するまで押圧したら、紫外線ヘッド17aから紫外線の照射が開始されて、導光路であるスリット孔12を介して基板間のシール材W4に所定時間に亘って照射される(図4:S7)。紫外線の照射を受けたシール材W4は硬化し、基板同士が接合される。
所定時間が経過して基板同士が接合したら、押圧板16が上昇して初期位置に戻り、台座11上に、図1に示すような、対向配置した一対の基板の間に多層の液晶層を形成した光路偏向素子W1が完成し、一連の動作が終了する。
なお、台座11上の光路偏向素子W1は、所望の搬送手段、例えば、第2基板W5専用のチャック部13bを移動しチャッキングして所望の搬出位置へ搬送する。
以上、本発明の光路偏向素子の製造方法について説明したように、一対の極薄のガラス板などの基板間に、基板と液晶W3とからなる多層の液晶層を有した光路偏向素子W1を製造することができる。また、接着層を介して基板同士の直接的な接合をなくしたから、タクトタイムを短縮できる。また、基板間にその接着層がないから、波面収差が増大する恐れが無く、また、接着層の厚みを均一にする必要もないから、歩留まりを向上することができる。
また、液晶W3とシール材W4等が設けられている面を上にしてその面側から第1基板W2をチャッキングするから、その状態のまま基板の重ね合わせができ、タクトタイムの短縮を図ることができる。
また、基板の押圧とシール材W4の硬化を、すべての基板を重ね合わせた後に行うから、タクトタイムの短縮化が図れる上に、全面均一な押圧が可能となることから、たわみが少なく、また光軸に平行な方向の光路偏光素子の厚みの差が少なく、高品位の多層の液晶層を有した光路偏向素子W1を製造することができる。
以下、本発明を実施例により、さらに詳説する。しかしながら、本発明はこれら実施例の記載に限定されて解釈されるものではない。
(実施例1)
基板として、150mm×200mmサイズの無アルカリガラスを用いた。この基板から、液晶が充填されるエリア面積が30mm×30mmの素子を8枚程度とれる(たとえばそれぞれの150mm×200mm毎に第一基板8枚分、第2基板8枚分・・・、というパターニングがされる。)。この基板には貼り合せ時の位置出し用アライメントマークがスズ添加酸化インジウム膜(以下ITO膜)により2箇所(たとえば基板の長辺(200mm)を2等分する線上に、エッジから各内側の所定位置に設ける。)に備えている。この無アルカリガラス製の基板上に液晶を配向させるための配向膜JALS2021−R2(JSR社製)を、あらかじめ塗布して形成しておいた。
装置内の水平基盤上に、まず下基板をセットするところから製造を開始した。UV硬化型のシール材(紫外線硬化型シール材)を、下基板の30mm×30mmの枠に沿ってディスペンサを用いて滴下量を制御しながらディスペンスして四方の壁をその内容量が60〜90mgの範囲となるように形成した。この紫外線硬化型シール材(以下、単にシール材という)中に、貼り合せ後の液晶層の厚みを均質化するため、粒径50μmのポリマースペーサ粒子を分散させている。ディスペンス量は貼り合せ後のシール材の幅が約2mmになるようにディスペンサを用い、シール材粘度や、ディスペンサ径で大きく設定値に応じて変化させてシール材を塗布後、別のディスペンサを用いて強誘電性液晶Felix−M4851 (AZエレクトロニックマテリアルズ社製)を、所定液量、滴下又は注入した。滴下量は50μm厚で30mm×30mmのエリア(四方壁)に過不足なく満たされるように、滴下量のばらつきを±1%以内に抑えている。この所定の高さのスペーサを有するシール剤(紫外線硬化型シール剤)で四方を囲まれた液晶の満たされる部位の内容量を、例えば(滴下前後の全体重量と液晶比重)により求めることができる。この液晶滴下または液晶注入量のバラツキは(±1%以内)程度であり、滴下等した後に、下基板を、基板搬送手段を用いて台座上に搬送した。この基板搬送手段は下基板を挟持して運搬するチャック部を有し、このチャック部はコンピュータにより位置制御されることにより台座上に搬送した。
次にシール材で四方を囲まれた中に所定液量ディスペンスされた液晶が載置された下基板上に、重ね合わせるための下側中間基板を基板搬送手段を用いてセットした。下側中間基板の下面に上記した強誘電性液晶が配向するための配向膜JALS2021−R2(JSR社製)を、また上面に次に塗布するネマティック液晶用配向膜AL3046−R31(JSR社製)を、あらかじめ形成しておいた。この下側中間基板に対して上記同様にシール材による四方壁を形成し、この中に所定量の液晶を滴下した。液晶として、ネマティック液晶ZLI2471(メルク社製)にカイラル剤S811(メルク社製)を0.5重量%混入したものを用いた。四方の壁を形成するためのシール材中のスペーサ粒子径は5μmの球状粒子(スペーサ粒子の粒子径のCV値は1.5%以下)であり、ネマティック液晶分子に対し基板間で90°のネジレ(光の回転:入射光に対する出射光の偏光方向が90°回転)を生じさせた。下側中間基板を、前記したチャック部を有する搬送手段を用いて、下基板の直上に搬送した。この状態で5〜10Paの範囲の減圧下に真空引きした。重ね合せに際して下基板と中間基板が1mmの距離まで近接するよう搬送手段を用いて中間基板を下降させ、その状態で、両基板のアライメントマークを合せるためのカメラを搬送手段上に移動させて、位置検出しながら重ね合わせた。
次に下側中間基板に重ね合わせるための上側中間基板をセットした。上側中間基板の下面に上記ネマティック液晶が配向するための配向膜AL3046−R31(JSR社製)を、また上面には次に塗布する強誘電性液晶が配向するための配向膜JALS2021−R2(JSR社製)をあらかじめ形成しておいた。この下側中間基板に対して上記同様に、シール材および液晶を滴下した。液晶は上記した強誘電性液晶Felix−M4851(AZエレクトロニックマテリアルズ社製)を用いた。液晶滴下後、上側中間基板は、基板搬送手段を用いて、下基板の直上に搬送した。その後の処理は下側中間基板重ね合わせ時と同様であるため、記載を省略する。
さらに上基板を、搬送手段を用いて中間基板直上に搬送し、前記同様に処理して上側中間基板上に重ね合わせた。上基板にはシール材、液晶は塗布する必要はない。
このようにしてすべての基板を重ね合わせた後、搬送手段を退避し、押圧手段により基板を押圧した。この際の押圧はスペーサ粒子を介して、所定の厚さが確保できるように、例えば0.01Mpa〜o.5Mpaの範囲で行う。本実施例では0,1Mpaとした。この押圧の状態を維持しながら台座側からシール材に紫外線を照射してシール材を硬化させた。
この後基板を切断し、得られた8つの光路偏向素子に対し、図1に示す光路偏向素子を得た。得られた光路偏向素子に、干渉計KIF−FSPC(オリンパス社)を用いて透過波面収差を測定した(測定波長633nm)。20mm×20mmの範囲での波面収差値は平均3.9λ(λ=633nm)であった。このように、本発明の光路偏光素子では測定波長633nmで測定した透過波面収差が4λ以下となったので、光路偏光素子のどの位置に偏光光が入射しても光学的な機能は略同一であり、光路偏光素子全面が極めてフラットネスの均一な素子であることがわかる。
(比較例)
150mm×200mmサイズの無アルカリガラスを、あらかじめ素子サイズに切断し、配向膜、液晶、シール材を共通にして強誘電性液晶素子2つとツイストネマティック液晶1つを作製した。これらの素子の液晶素子は、配向方向、厚みを前記した実施例1の各層と対応させて作成した。ただし液晶は、ガラス基板を貼り合せた後に真空注入法を用いて注入した。得られた液晶素子をツイストネマティック液晶が中間に挟まれるように光学接着剤にて接着し、図1の構造の光路偏向素子を得た。実施例1と同様の干渉計を用い、透過波面収差を測定したところ、20mm×20mmの範囲での波面収差値は平均7.2λ(λ=633nm)であった。
次に光路偏向素子の利用例について述べる。
図5は入射光を電気的に4つの光路に切替え出射させる光路偏向素子を示す。本図では光路偏向素子、偏光面回転手段を通過する光路をわかりやすくするため、それぞれ3層の液晶層を含む素子を別部品として構成した場合を示すが、これは、説明のためのものであり、これら3層の液晶層素子が一体化されている図1に示す構成が本発明の好ましい光路偏光素子の構成である。
図5において、図中に示すとおり直交座標を採り、入射光の偏光方向をY方向(紙面縦方向)とする。前段の光路偏向用液晶素子(Y偏向用:第1の光路偏光用液晶素子)W6において入射光を±Y方向に偏向する(図では+方向に偏向させた場合を図示している)。光路偏向用液晶素子(Y偏向用:第1の光路偏光用液晶素子)W6を出射した光は、偏向面回転用液晶素子W7で偏光方向をX方向に切替えられた後、後段の光路偏向用素子(X偏向用:第2の光路偏光用液晶素子)にて入射光を±X方向に偏向される(図では+方向に偏向させた場合を図示している)。図5に示す図のままで解釈すると光路偏向用素子W6と偏光面回転手段W7との間に空気が介在して入る場合には、これらの界面で反射、波面収差劣化による光学性能低下が発生し、よって図1に示すような本発明の光路偏光素子のように、空気を実質的に全く介在させない構成とするのが望ましい。また偏光面回転手段W7の偏光変換効率(この場合、Y方向の偏光をX方向の偏光に変換する効率)は高いほどよく、偏光変換効率が低い場合、偏光変換されない光は偏向されずそのまま直進してノイズ光となり、例えば後述の画像表示装置の場合、ゴースト像を形成するという問題点があるため好ましくない。
(応用例)
本発明の光路偏向素子の応用例を図6に基づいて説明する。本例では、画像表示装置への適用例を示す。図6において、21はLEDランプを2次元アレイ状に配列した光源であり、この光源21からスクリーン26に向けて発せられる光の進行方向には拡散板22、コンデンサレンズ23、画像表示素子としての透過型液晶パネル24、画像パターンを観察するための光学部材としての投射レンズ25が順に配設されている。27は光源21に対する光源ドライブ部であり、28は透過型液晶パネル24に対するドライブ部である。
ここに、透過型液晶パネル24と投射レンズ25との間の光路上にはピクセルシフト素子として機能する光路偏向素子29が介在されており、ドライブ部30に接続されている。
光源ドライブ部27で制御されて光源21から放出された照明光は、拡散板22により均一化された照明光となり、コンデンサレンズ23により液晶ドライブ部28で照明光源と同期して制御されて透過型液晶パネル24をクリティカル照明する。この透過型液晶パネル24で空間光変調された照明光は、画像光として光路偏向手段である光路偏光素子29に入射し、この光路偏向手段29によって画像光が画素の配列方向に任意の距離だけシフトされる。この光は投射レンズ25で拡大されスクリーン26上に投射される。
ここに、光路偏向素子29による投射光路を、XY方向に画素ピッチの半分すなわちX方向の画素ピッチをPx、Y方向の画素ピッチをPyとした時、(Px/2、Py/2)の長さだけシフトさせることで画素配列ピッチが一定となり高精細な画像が得られる。シフト位置に対応した4つサブフィールド画像を透過型液晶パネル24に順次表示し、表示タイミングとシフトタイミングとを同期することで、見掛け上4倍に画素数が増倍した高精細な画像を表示することができる。この際、光路偏向手段29として、前述した各実施の形態のような光偏向素子を用いているので、光コントラストの画像を観察者に提供できる。
本発明の光路偏向素子では、前述したように偏光面回転用液晶層がポリマースタビライズされているので、外部電界による配向乱れを解消できるため、光路偏向用液晶と近接配置可能であり、偏光方向を旋回する液晶と複屈折素子とを組み合わせた光路偏向方法に比べ、界面数を減らせ、コントラストが極めてよい。
VAFLC(V型反強誘電性液晶)素子など、光路偏向用液晶層の作製と、偏光回転素子作製との位置決め、貼り合せなどの工程を、一括して完了できるため、製造タクトが向上し、ゴミ混入等による歩留まり劣化を改善でき、基板、接着剤等の部材使用量を低減することができる。
また上記した本発明の画像表示装置では、ライトバルブ画素数を倍増して表示するため、高精細な画像が観察できる。特に請求項1から4より選ばれる光路偏向素子を搭載することでよりコントラストの高い画像を表示することができる。
本発明の光路偏向素子の構成例を示す図である。 本発明の光路偏光素子に用いられるである。 本発明の光路偏光素子の製造方法を実施するための装置の構成例を製造方法の説明と共に示す図であり、(A)は装置構成を主として説明するためのものであり、(B)は形成されたシール材硬化前の光路偏光素子の押圧工程と、積層工程の際のズレの調整を説明するためのものである。 本発明の光路偏光素子の製造方法のフローを示すフローチャートである。 本発明の光路偏光素子の各液晶層を別部品として表示して光路偏光の機能を説明するための図である。 本発明の光路偏光素子を用いた画像表示装置の構成例を示す図である。
符号の説明
1 下基板
2 下側中間基板
3 上側中間基板
4 上基板
5、7、W6 光路偏向用液晶層(光路偏向用液晶素子)
6、W7 偏光面回転用液晶層(偏光面回転用液晶素子)
8 シール材
11 台座
12 スリット孔
13 チャック部
13d、13e 凹部
14 カメラ
15 接触子
16 押圧板
17 紫外線ヘッド部
17a 紫外線ヘッド
21 光源
22 拡散板
23 コンデンサレンズ
24 透過型液晶パネル
25 投射レンズ
26 スクリーン
27 光源ドライブ部
28 ドライブ部
29 光路偏向手段(光路偏向素子)
30 ドライブ部

Claims (9)

  1. 少なくとも第1〜第4の基板を有する光路偏向素子であって、
    前記第1と第2基板間および第3と第4基板間に光路偏向用液晶層が設けられ、前記第2と第3基板間に直線偏光の偏光面を回転させる偏光面回転用液晶層が設けられ、
    前記偏光面回転用液晶層はツイストネマチック液晶層であり、
    前記偏光面回転用液晶層はポリマースタビライズされていることを特徴とする光路偏向素子。
  2. 前記光路偏向用液晶層がホメオトロピック配向のスメクチックC相よりなる液晶層であることを特徴とする請求項1に記載の光路偏向素子。
  3. 前記光路偏向用液晶層の層の厚さは20〜100μmの厚さの範囲にあることを特徴とする請求項1または2に記載の光路偏向素子。
  4. 前記光路偏向用液晶層はこの層の光軸方向に略直交する方向に前記光路偏向用液晶層を囲撓する囲撓体が形成され、前記囲撓体は所定厚さのスペーサと光硬化性シール材とを含む材料を光硬化して得られ、前記光路偏向素子は、前記光軸方向の厚さのばらつきが偏光光の波長λに対して4λ以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光路偏向素子。
  5. 前記光路偏向用液晶層は、実質的に光偏向機能を有する材料のみで形成したことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光路偏向素子。
  6. 複数の光路偏向用液晶層が基板間に設けられた素子間に偏光面回転用液晶層が一体に設けられた光路偏向素子の製造方法であって、
    前記光路偏向用液晶層は水平に保持された基板上に所定厚みのスペーサが内包された硬化性シール材を用いて内容量と水平方向の厚みとが規定された囲撓体を形成し、前記囲撓体に液晶をディスペンサにより注入あるいは塗布し、規定量の液晶塗布後に基板を前記水平に設置された基板が設けられた上記基板を、順次所定位置に搬送し、所定位置において隣接する基板に対して位置決め後に重ね合わせた基板を所定圧の範囲で押圧することを特徴とする光路偏向素子の製造方法。
  7. 前記押圧を減圧下に行うことを特徴とする請求項6に記載の光路偏向素子の製造方法。
  8. 前記押圧後に前記スペーサが内包された硬化性シール材に光を照射して囲撓体を光硬化させて前記光路偏向素子の光路軸方向の厚さのばらつきを偏光光の波長λに対して4λ以下とすることを特徴とする請求項6または7に記載の光路偏向素子の製造方法。
  9. 少なくとも、画像情報に従って光を制御可能な複数の画素が二次元的に配列され、線順次的に画像を書き換えるライトバルブと、
    前記ライトバルブを照明する光源と、
    前記ライトバルブに表示した画像パターンを観察するための光学部材と、
    画像フィールドを時間的に分割した複数のサブフィールド毎にライトバルブと光学部材の間の光路を偏向する光路偏向手段、
    とを有し、
    前記光路偏向手段は請求項1〜4のいずれかに記載の光路偏向素子を用い、前記光路偏向手段の光路偏向方向を、ライトバルブの線順次書き換えに同期して切り替えて前記ライトバルブの見かけ上の画素数を増倍して表示することを特徴とする画像表示装置。
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