JP4968284B2 - 立体画像表示装置およびその製造方法 - Google Patents

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本発明は、右目用画像と左目用画像とを利用して立体画像を表示する立体画像表示装置およびその製造方法に関する。
従来、立体画像を表示する立体画像表示装置としては、例えば図14に示す構成のものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。図例の立体画像表示装置は、液晶パネル等からなる画像表示パネル51と、その画像出力面側に配された位相差素子52とを備えるとともに、これらによる表示出力内容を観者が偏光眼鏡53を使用して目視するように構成されたものである。さらに詳しくは、画像表示パネル51は、例えば水平ライン毎に右目用画像Rと左目用画像Lとを交互に表示するといったように、当該右目用画像Rと当該左目用画像Lとを面内で規則的に混在させて表示する。また、位相差素子52は、右目用画像Rに対応する右目用画像表示部52Rと、左目用画像Lに対応する左目用画像表示部52Lとを有しており、これらが水平ライン毎に交互に配されている。そして、例えば、右目用画像表示部52Rが一方向性の直線偏光(例えば、右肩上がり。)であるのに対し、左目用画像表示部52Lがこれと直交するように90°回転させた偏光(例えば、左肩上がり。)を実現するといったように、それぞれが互いに異なる偏光状態を実現するように構成されている。このような画像表示パネル51および位相差素子52に対して、観者は、各画像に合った左右異なる偏光角を持つ偏光眼鏡53を掛ける。したがって、当該観者にとっては、右目には右目用画像Rが、左目には左目用画像Lが、各々独立して入射することになる。すなわち、右肩上がりの偏光角の右目用眼鏡53Rを通しては、位相差素子52の左目用画像表示部52Lによって偏光角が左肩上がりに90°回転した偶数ラインの左目用画像Lは見えず、偏光角の合った奇数ラインの右目用画像Rだけが見える。一方、左肩上がりの偏光角の左目用眼鏡53Lを通しては、位相差素子52の右目用画像表示部52Rによって偏光角が右肩上がりに90°回転した奇数ラインの右目用画像Rは見えず、偏光角の合った偶数ラインの左目用映像Lが見える。なお、上述した構成の他にも、左右の画像を分離して表示し、これを偏光眼鏡により立体画像として合成する立体画像表示装置としては、様々な構成のものが存在する。
このような立体画像表示装置においては、いわゆるクロストーク現象の発生が問題になることがある。「クロストーク現象」とは、例えば観者が正面ではなく斜め方向から見た場合に、右目用画像Rが左目用画像表示部52Lを通過したり、左目用画像Lが右目用画像表示部52Rを通過したりすることで、当該観者が捕らえる画像が不鮮明になり、立体感が弱くなる等の不具合が発生することをいう。
このことから、立体画像表示装置の中には、位相差素子52における右目用画像表示部52Rと左目用画像表示部52Lとの境界に、光を遮光する遮光層を設けたものも存在する(例えば、特許文献2参照。)。さらに詳しくは、例えば右目用画像表示部52Rと左目用画像表示部52Lとが水平ライン毎に交互に配されている場合であれば、各表示部52R,52Lの境界を含む所定幅の領域部分のみに位置するように、ストライプ状の遮光層を配置する。遮光層は、光を遮光する機能を有した黒色材を、位相差素子52の面上から凸設されて形成することが考えられる。このような遮光層を設ければ、例えば観者が斜め方向から見た場合であっても、遮光層によって遮光されることで、右目用画像Rが左目用画像表示部52Lを通過したり、左目用画像Lが右目用画像表示部52Rを通過したりすることがない。つまり、クロストーク現象の発生を未然に防止し得るようになる。
特開2002−196281号公報 特開2002−185983号公報
ところで、遮光層については、その形成幅が広いほうが、クロストーク現象の発生を防止する上では好ましい。すなわち、遮光層の形成幅が狭すぎると、クロストーク光の遮断が不十分となるおそれがある。
その一方で、遮光層の形成幅が広くなると、通過する光が減少して、表示画像の輝度低下を招いてしまうことになる。
したがって、遮光層の形成幅は、クロストーク現象の発生を防止しつつ、表示画像の輝度低下を極力抑制し得る大きさに設定されるべきである。
しかしながら、上記特許文献2に記載されている従来技術では、フィルム状の位相差素子の前面側または背面側に、直接的に遮光層が形成されている。そのため、クロストーク現象の発生防止および表示画像の輝度低下防止という、互いにトレードオフ(二律背反)の関係にある事象に対しては、必ずしも好適に対応し得るとは限らない。
そこで、本発明は、遮光層によってクロストーク現象の発生を確実に防止しつつ、その場合であっても表示画像の輝度低下を極力抑制することのできる、立体画像表示装置およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するために案出された立体画像表示装置で、右目用画像と左目用画像とを面内で規則的に混在させて表示する画像表示パネルと、前記画像表示パネルに対して画像出力面側に配され、前記右目用画像と前記左目用画像で互いに異なる偏光状態となるように偏光を行う前記右目用画像に対応する右目用画像表示部および前記左目用画像に対応する左目用画像表示部を有する位相差素子と、前記画像表示パネルと前記位相差素子との間に配される偏光板と、前記位相差素子における前記右目用画像表示部と前記左目用画像表示部との境界を含む領域部分に対応するように、前記画像表示パネルと前記偏光板との間に配設された遮光層とを備える立体画像表示装置である。
上記構成の立体画像表示装置では、遮光層が偏光板よりも画像表示パネルの側に配設されている。すなわち、例えば遮光層が位相差素子の面上に直接的に形成されているといったように、当該遮光層が偏光板の画像出力面側(画像表示パネルから遠い側)に位置する場合に比べて、当該遮光層が画像表示パネルに近い位置に存在することになる。したがって、同一の視野角についてクロストーク現象の発生を防止するのであれば、遮光層が偏光板の画像出力面側に位置する場合に比べて、遮光層の形成幅が小さくて済む。
本発明によれば、遮光層が偏光板の画像出力面側に位置する場合に比べて、当該遮光層の形成幅を小さくすることが可能となるので、クロストーク現象の発生を防止しつつ、その場合であっても表示画像の輝度低下を極力抑制し得るようになる。
本発明に係る立体画像表示装置の第1概略構成例を示す説明図である。 本発明に係る立体画像表示装置の第2概略構成例を示す説明図である。 本発明に係る立体画像表示装置の製造方法における遮光層形成工程の概要の一具体例を示す説明図である。 本発明に係る立体画像表示装置の製造方法における位置決め工程の概要の第1例を示す説明図である。 本発明に係る立体画像表示装置の製造方法における位置決め工程の概要の第2例を示す説明図である。 本発明に係る立体画像表示装置で用いる接合剤層の粘着剤硬度および粘着剤層保持力の関係の一具体例を示す説明図である。 本発明に係る立体画像表示装置で用いる接合剤層の粘着剤弾性および粘着剤粘性の一具体例を示す説明図である。 本発明に係る立体画像表示装置で用いる接合剤層のクリープ特性の一具体例を示す説明図である。 本発明に係る立体画像表示装置の製造方法における貼合工程の一具体例を示す説明図であり、貼合用ローラを用いた加圧貼合の具体例を示す図である。 本発明に係る立体画像表示装置の作用効果の概要を具体的に示す説明図(その1)である。 本発明に係る立体画像表示装置の作用効果の概要を具体的に示す説明図(その2)である。 本発明に係る立体画像表示装置の作用効果の概要を具体的に示す説明図(その3)である。 本発明に係る立体画像表示装置の作用効果の概要を具体的に示す説明図(その4)である。 従来の立体画像表示装置の基本的な概略構成例を示す説明図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.立体画像表示装置の概略構成(第1概略構成例、第2概略構成例)
2.立体画像表示装置の製造方法(アニール工程、遮光層形成工程、位置決め工程、貼合工程)
3.本実施形態における作用効果
<1.立体画像表示装置の概略構成>
先ず、立体画像表示装置の概略構成について説明する。
[1−1.第1概略構成例]
図1は、本発明に係る立体画像表示装置の第1概略構成例を示す説明図である。
図例の立体画像表示装置は、画像表示パネル1と、偏光板2と、位相差素子3と、遮光層4と、第1接合剤層5と、空気層6と、第2接合剤層7と、反射防止膜8と、第3接合剤層9と、を備えて構成されている。
画像表示パネル1は、例えば液晶パネルからなるもので、水平ライン毎に右目用画像と左目用画像とを交互に表示するといったように、当該右目用画像と当該左目用画像とを面内で規則的に混在させて表示するものである。ただし、右目用画像と左目用画像とを面内で規則的に混在させるものであれば、水平ライン毎の交互表示ではなく、他の態様での混在表示を行うものであってもよい。また、必ずしも液晶パネルを用いて構成されたものである必要はなく、有機EL(Electro Luminescence)表示パネル等の他の表示デバイスを用いて構成されたものであってもよい。
偏光板2は、画像表示パネル1よりも当該画像表示パネル1の画像出力面側で、当該画像表示パネル1と位相差素子3との間に配されたもので、当該画像表示パネル1からの光のうち所定方向に振動する光のみを透過させるものである。ここで、「画像出力面側」とは、画像を表示出力するパネル面側のことをいい、具体的には当該画像を目視する観者に面する側をいう。なお、偏光板2は、例えば画像表示パネル1が透過型の液晶パネルからなるものであれば、当該偏光板2と画像表示パネル1を挟んで対向する側に配された他の偏光板(ただし不図示)と対になって、クロスニコル状態を構成しているものとする。
位相差素子3は、右目用画像に対応する右目用画像表示部3aと、左目用画像に対応する左目用画像表示部3bとを有しており、これらが画像表示パネル1における右目用画像および左目用画像と同様に面内で規則的に混在するように(例えば、水平ライン毎に交互に)、当該画像表示パネル1に対して画像出力面側に配されている。さらに詳しくは、ガラス材または複屈折性の無いフィルムからなる支持基材3c上に位相差層が形成されてなり、当該位相差層が右目用画像に対応する偏光状態を実現する部分と左目用画像に対応する偏光状態を実現する部分とを有することで、右目用画像表示部3aおよび左目用画像表示部3bとしての機能を実現するようになっている。つまり、位相差素子3は、右目用画像表示部3aおよび左目用画像表示部3bのそれぞれが互いに異なる偏光状態を実現するように構成されている。
具体的には、例えば、右目用画像表示部3aと左目用画像表示部3bとの偏光方向が互いに直交するようになっており、画像表示パネル1における各水平ラインの上下ピッチと合致するように、厚み0.7mm程度の支持基材3c上に交互に構成されたものを用いることが考えられる。また、例えば、支持基材3c上に接着剤を介して複屈折性の無いTAC(トリアセチルセルロース)フィルムと位相差機能を有する延伸PVAフィルムを積層させた後、線状体のレジストを塗布した部分以外の位相差機能を消失せしめて、右目用画像表示部3aと左目用画像表示部3bを交互に作成し、レジスト塗布側に複屈折性を有さない保護部材フィルムを設けた後に、画像表示パネル1に接合しているものであったり、支持基材3c上に液晶ポリマー層を一軸配向させたもの等を用いることも考えられる。
遮光層4は、クロストーク現象の発生を防止すべく、位相差素子3における右目用画像表示部3aと左目用画像表示部3bとの境界を含む領域部分のみに対応するように配設されたものである。さらに詳しくは、例えば右目用画像表示部3aと左目用画像表示部3bとが水平ライン毎に交互に配されている場合であれば、各表示部3a,3bの境界を含む所定幅の領域部分のみに位置するように、ストライプ状に配設されたものである。このような遮光層4は、光を遮光する機能を有した炭素(カーボン)材等の黒色材を、例えば10〜15μm程度の高さで、ストライプ状に選択的に形成することで、構成することが考えられる。
なお、遮光層4は、位相差素子3における右目用画像表示部3aと左目用画像表示部3bとの境界部分に対応するように配設されたものであるが、当該位相差素子3の面上ではなく、偏光板2よりも画像表示パネル1の側の位置に配設されているものとする。
第1接合剤層5は、画像表示パネル1と偏光板2との間に介在して、これらを互いに貼合するものである。つまり、偏光板2における画像表示パネル1の側の面上には遮光層4が形成されていることから、第1接合剤層5は、画像表示パネル1と偏光板2における遮光層4の形成面側との間に介在していることになる。
さらに詳しくは、第1接合剤層5は、遮光層4の頂面と画像表示パネル1との間を除く偏光板2における当該遮光層4の形成面側と当該画像表示パネル1との間に介在しているものとする。したがって、遮光層4の頂面と画像表示パネル1との間は除かれることから、これらの間には、第1接合剤層5が介在していないことになる。
ただし、後述する理由により遮光層4の頂面と画像表示パネル1との間は除かれていることが望ましいが、必ずしもこれらの間が除かれている必要はなく、第1接合剤層5は、これらの間を含んで遮光層4によって形成された凹凸を埋めるように介在するものであってもよい。あるいは、全く逆に、遮光層4の頂面と画像表示パネル1との間のみに第1接合剤層5を介在させ、当該遮光層4が形成されていない部分には第1接合剤層5が充填されない空間を存在させるようにすることも考えられる。
ここで、「接合剤層」とは、接合剤によって形成される層のことをいう。「接合剤」とは、接合のために部材間に介在するものをいい、具体的には接着剤または粘着剤がこれに該当する。したがって、「接合剤層」には、接着剤によって形成される層と、粘着剤によって形成される層とが含まれる。
これに対して、本実施形態で説明する立体画像表示装置では、後述する理由により、第1接合剤層5が、透明ゲル状のアクリル系の粘着剤からなり、層厚が25〜100μmに形成されているものとする。さらには、当該粘着剤の硬度が0より大きく350000μN以下の範囲にあり、40℃での貼合後保持力が8〜20N/20mmとなるように構成されているものとする。
また、本実施形態で説明する立体画像表示装置では、第1接合剤層5が、上述した条件と併せて、あるいは上述した条件とは別に(上述した条件ではなく)、以下に述べる条件を満たすものであってもよい。すなわち、第1接合剤層5は、後述する理由により、透明ゲル状のアクリル系の粘着材からなり、30〜70℃での貯蔵剛性率が0より大きく70000Pa以下の範囲にあり、損失剛性率が0より大きく20000Pa以下の範囲にある。そして、これらの条件を満たすことで、クリープ特性が0.3mm以下となるように構成されている。
なお、「粘着剤」とは、初めから高粘度で低弾性率の半固体であり、接合形成後もその状態が変わらないもの、つまり固化の過程が必要でないものをいう。
空気層6は、遮光層4の頂面と画像表示パネル1との間に第1接合剤層5が介在していないことによって形成されるものである。すなわち、空気層6は、第1接合剤層5が充填されない空間からなるものである。
第2接合剤層7は、偏光板2と位相差素子3との間に介在して、これらを互いに貼合するものである。
この第2接合剤層7についても、第1接合剤層5と同様に、透明ゲル状のアクリル系の粘着剤からなり、層厚が25〜100μmに形成されているものとする。さらには、当該粘着剤の硬度が0より大きく350000μN以下の範囲にあり、40℃での貼合後保持力が8〜20N/20mmとなるように構成されているものとする。
または、第1接合剤層5の場合と同様に、透明ゲル状のアクリル系の粘着材からなり、30〜70℃での貯蔵剛性率が0より大きく70000Pa以下の範囲にあり、損失剛性率が0より大きく20000Pa以下の範囲にある。そして、これらの条件を満たすことで、クリープ特性が0.3mm以下となるように構成されている。
反射防止膜8は、位相差素子3の画像出力面側を覆うように配されたもので、当該画像出力面での光の反射を防止して、光透過率を向上させるものである。
第3接合剤層9は、反射防止膜8を位相差素子3(さらに具体的には、当該位相差素子3を構成する支持基材3c。)に対して接合させるためのもので、例えば接着剤または粘着剤からなる層を用いることが考えられる。
このような第1概略構成例による立体画像表示装置では、偏光板2の画像出力面側に、第2接合剤層7を介して、立体映像を現出させるための位相差素子3が配設されている。そして、その位相差素子3は、右目用画像に対応する右目用画像表示部3aと、左目用画像に対応する左目用画像表示部3bとを有しており、それぞれが互いに異なる偏光状態を実現するようになっている。
したがって、観者が各画像に合った左右異なる偏光角を持つ偏光眼鏡を掛ければ、当該観者にとっては、右目には右目用画像が、左目には左目用画像が、各々独立して入射することになるので、その結果として立体画像が視認可能になるのである。
また、第1概略構成例による立体画像表示装置では、画像表示パネル1と位相差素子3との間、さらに詳しくは当該画像表示パネル1と偏光板2との間に、右目用画像表示部3aと左目用画像表示部3bとの境界部分に対応して遮光層4が配設されている。そのため、例えば観者が斜め方向から見た場合であっても、当該遮光層4によって遮光されることで、右目用画像が左目用画像表示部3bを通過したり、左目用画像が右目用画像表示部3aを通過したりすることがない。つまり、クロストーク現象の発生を未然に防止することができる。
また、第1概略構成例による立体画像表示装置では、画像表示パネル1と偏光板2との間が第1接合剤層5を介して貼合され、偏光板2と位相差素子3との間が第2接合剤層7を介して貼合されている。つまり、第1接合剤層5および第2接合剤層7による貼合箇所は、画像表示パネル1における画像表示領域内にも及んでいる。そのため、画像表示パネル1の画像表示領域外でのみで固定する場合とは異なり、画像表示領域の中心部分付近での密着性が十分に得られなかったり、それぞれの間の距離の均一性が損なわれたりすることがない。したがって、表示画像の画質劣化の要因となり得るモアレ現象やニュートンリング(干渉縞)等の発生を回避し得るようになる。
しかも、その場合に、第1接合剤層5による貼合については、画像表示パネル1と偏光板2との間に遮光層4による凹凸が存在しても、当該遮光層4のない凹部分、すなわち光が透過する部分に、当該凹部分の形状に追従するように、第1接合剤層5が介在していることになる。つまり、当該凹部分には、第1接合剤層5が充填され、空気層が生じてしまうことがない。したがって、当該空気層での光屈折作用に起因する表示画像の画質低下を招くことがない。
その一方で、遮光層4の頂面と画像表示パネル1との間を除くように第1接合剤層5を介在させれば、当該遮光層4の頂面と当該画像表示パネル1との間には、第1接合剤層5が充填されない空間である空気層6が存在することになる。したがって、当該空気層6が貼合時に生じ得る歪みを逃がすように作用し、その結果として貼合後における面内貼り合わせ応力分布状態の不均一さが緩和されるようになる。また、当該空気層6が存在する箇所は、遮光層4の頂面と画像表示パネル1との間、すなわち当該遮光層4によって光が遮られる箇所である。そのため、当該空気層6が存在していても、当該遮光層4のない凹部分の場合とは異なり、表示画像の画質低下を招く要因となることがない。
つまり、第1接合剤層5による貼合にあたり、遮光層4の頂面と画像表示パネル1との間を除くように当該第1接合剤層5を介在させれば、遮光層4による凹凸が存在する場合であっても、不要な空気層での光屈折作用に起因する画質低下を抑制しつつ、必要な空気層6により応力分布状態の面内不均一に起因する画質低下についても抑制できるので、その結果として画像表示パネル1と偏光板2との貼合を適切に行うことができる。
また、第1接合剤層5および第2接合剤層7として、粘着剤によるものを用いれば、例えば接着剤を用いる場合に比べて、粘着剤自体のコストを低く抑えられる。さらには、粘着剤は接着剤のように固化するものではないため、第1接合剤層5自体および第2接合剤層7自体が外部からの加重に対して緩衝性を有することになる。そのため、例えば画像表示パネル1に負荷が加わって割れが生じた場合にもガラス基板が飛散するのを防止でき、従来使用せざるを得なかった保護フィルム等が不要となるので、部品点数削減にも効果を挙げることが可能となる。さらにまた、接着剤やUV樹脂等のような固着接合ではないため、不具合時には剥がした後に再度貼り合わせるといったことも可能となり、その結果として貼合作業も容易に行い得るものとすることが実現可能となる。その上、粘着剤によるものであれば、例えば揮発性溶剤を含む接着剤を用いる場合に比べて、環境への悪影響も抑制し得ることが期待される。
[1−2.第2概略構成例]
図2は、本発明に係る立体画像表示装置の第2概略構成例を示す説明図である。
図例の立体画像表示装置は、偏光板2と遮光層4との間に基材シート4aが介在している点で、上述した第1概略構成例(図1参照)とは異なる。
基材シート4aは、例えばTACフィルムからなるもので、その面上に遮光層4が凸設されるようになっている。このような基材シート4aを備えた構成では、偏光板2の面上に直接的に遮光層4を形成するのではなく、基材シート4aの面上に遮光層4を形成し、その遮光層4が形成された基材シート4aを偏光板2の面上に貼り付ける、といった製造手順を経ることになる。したがって、例えば偏光板2の面上に直接的に遮光層4を形成する場合に比べて、当該遮光層4の形成の容易化が図れるようになる。
このような基材シート4aおよび当該基材シート4aに形成された遮光層4は、当該遮光層4が画像表示パネル1の側に向けて凸設された状態で、偏光板2と位相差素子3との間と同様に、第2接合剤層7を介して貼合されているものとする。
一方、基材シート4aおよび当該基材シート4aと画像表示パネル1との間については、第1概略構成例の場合と同様に、第1接合剤層5によって貼合されている。このとき、第1接合剤層5は、遮光層4の頂面と画像表示パネル1との間を含むパネル面内の全域に一様の厚さで介在している。したがって、遮光層4の頂面以外の箇所(当該遮光層4が形成されていない部分)では、画像表示パネル1と基材シート4aとの間に、第1接合剤層5が充填されない空間が存在することになる。
ただし、画像表示パネル1と基材シート4aとの間では、後述する理由により、第1接合剤層5を一様の厚さとして、遮光層4が形成されていない部分に当該第1接合剤層5が充填されない空間を存在させることが望ましいが、必ずしも当該空間が存在している必要はない。すなわち、第1接合剤層5は、遮光層4によって形成された凹凸を埋めるように介在するものであってもよい。あるいは、全く逆に、遮光層4の頂面と画像表示パネル1との間を除く画像表示パネル1と基材シート4aとの間に介在させ、当該遮光層4の頂面と当該画像表示パネル1との間に空気層6を存在させるようにすることも考えられる。
このような第2概略構成例による立体画像表示装置において、画像表示パネル1と基材シート4aとの間に第1接合剤層5が充填されない空間を存在させれば、貼合後における面内貼り合わせ応力分布状態の不均一さが緩和されることになる。つまり、例えば遮光層4が形成する凹凸によって、画像表示パネル1との貼合面、すなわち遮光層4の頂面によって構成される平面に、うねり等が存在しても、当該空間が貼合時に生じ得る歪みを逃がすように作用することになる。したがって、面内貼り合わせ応力分布状態の不均一さが緩和されるのである。
しかも、少なくとも遮光層4の頂面、すなわち凸形状の頂面について、第1接合剤層5が介在していればよいので、当該第1接合剤層5が充填されない空間が存在しないようにする場合に比べて、当該第1接合剤層5を介在させるための作業やその第1接合剤層54を用いた貼合作業等が煩雑なものとなってしまうこともない。つまり、例えばシート状の第1接合剤層5を貼り付ければよいといったように、貼合のための作業等を非常に簡便に行い得るようになる。
なお、第2概略構成例においても、上述した内容以外の点については、第1概略構成例の場合と全く同様である。
<2.立体画像表示装置の製造方法>
次に、以上のような構成の立体画像表示装置の製造方法について説明する。
立体画像表示装置の製造にあたっては、少なくとも、アニール工程と、遮光層形成工程と、位置決め工程と、貼合工程と、を含むものとする。
以下、これらの各工程について順に説明する。
[2−1.アニール工程]
上述したように、立体画像表示装置は位相差素子3を備えて構成されているが、その位相差素子3は、元々水を含んだ材料からなり、また空気中の水分を吸着してしまう特性がある。そのため、その状態のまま、立体画像表示装置を構成すべく、位相差素子3についての貼合を行って、当該位相差素子3の表裏面をガラス基板等の通気性がない光透過材料で挟んで封止してしまうと、以下に述べるような問題が生じるおそれがある。
例えば、立体画像表示装置は、製品として生産工場を出荷された後、運送時に船便で赤道を越えることがあり得るが、その場合における製品の周囲温度が60〜70℃となることもある。このような高温環境下に一定時間以上置かれると、立体画像表示装置では、位相差素子3から水あるいは酢酸等の気体が出てきて、50μm〜200μm程度の大きさの気泡となることが考えられる。その場合に、位相差素子3の表裏面が封止されていると、気泡が逃げ場を失ってしまい、その結果として当該立体画像表示装置が不良品となってしまうおそれがある。
そこで、立体画像表示装置の製造にあたっては、位相差素子3についての貼合を行うのに先立ち、当該位相差素子3に対するアニール工程を実施する。
アニール工程では、少なくとも位相差素子3における一方の面、さらに具体的には右目用画像表示部3aおよび左目用画像表示部3bが形成されている側の面について、当該面が封止されることなく、大気環境に解放されている状態で、当該位相差素子3に対する加熱処理を行う。
加熱処理は、所定温度で所定時間だけ行う。具体的には、位相差素子3の耐熱温度が100〜120℃程度であることを考慮して、例えば40〜80℃、好ましくは70℃程度の温度で、1時間以上3日間以下、好ましくは48時間程度、行うことが考えられる。
なお、加熱処理にあたり、上述した条件以外については、公知技術を利用して行えばよい。
このような加熱処理を行うアニール工程を経れば、その後に高温環境下に一定時間以上置かれる場合であっても、製品不良の要因となる位相差素子3からの気泡発生を抑制することが実現可能となる。
具体的には、例えば70℃で24時間加熱処理を行ったアニール工程を経て得られた立体画像表示装置と、当該アニール工程を経ないで得られた立体画像表示装置とのそれぞれについて、完成後に70℃となる環境下に48時間置き、パネル内の14cm×35cmの領域範囲において目視でわかる気泡の数をカウントする実験を行った。その結果、アニール工程を経ないものは気泡の数が61個であったのに対し、アニール工程を経たものについては、気泡の数が2個であることがわかった。
つまり、アニール工程を経ることによって、製品不良の要因となる位相差素子3からの気泡発生について、これを激減させることが可能になる。
[2−2.遮光層形成工程]
上述したように、立体画像表示装置は、遮光層4を備えて構成されている。そのため、当該立体画像表示装置の製造過程では、遮光層4を形成する遮光層形成工程を実施する。
ここでは、上述した第1概略構成例における遮光層4を、当該遮光層4の転写を利用して形成する場合を例に挙げて説明する。
図3は、遮光層形成工程の概要の一具体例を示す説明図である。
遮光層形成工程では、先ず、図3(a)に示すように、偏光板2を用意する。例えば、偏光板2がアセンブリされて画像表示パネル1と一体で供給される場合であれば、当該画像表示パネル1から分離させることで、当該偏光板2を単体の状態にすることが考えられる。そして、偏光板2を用意したら、その偏光板2における遮光層4の形成面上(画像表示パネル1側の面上)に、第1接合剤層5を一様の厚さで形成する。
その一方で、遮光層4については、例えばTACフィルムからなる基材シート4aの面上に、遮光層4を当該面上に対して剥離可能に固着させるための粘着剤層4bを介して、形成しておくものとする。このとき、粘着剤層4bは、その粘着力が、第1接合剤層5における粘着力よりも小さくなるように設定しておく。なお、遮光層4の具体的な形成手法は、フォトリソグラフィ技術等の公知技術を利用して行えばよいため、ここではその説明を省略する。
偏光板2上に第1接合剤層5を形成し、基材シート4a上に粘着剤層4bを介して遮光層4を形成したら、その後は、当該遮光層4が第1接合剤層5に面した状態で、これらを互いに貼り合わせる。このとき、遮光層4が第1接合剤層5内に潜り込むように、両面側からの加圧を行うようにする。
そして、これらを貼り合わせた後は、図3(b)に示すように、基材シート4aの剥離を行う。このとき、基材シート4a上に配されている粘着剤層4bは、第1接合剤層5よりも粘着力が小さく設定されている。したがって、基材シート4aの剥離を行うと、当該粘着力の大きさの違いにより、基材シート4a上に形成されていた遮光層4が当該基材シート4a上から偏光板2の側に転写される。つまり、遮光層4は、第1接合剤層5を用いて、偏光板2の面上に固定されることになる。
このようにして、偏光板2の側への遮光層4の転写を行うことで、当該偏光板2の面上には、遮光層4が凸設されることになる。そして、遮光層4が凸設されておらず光透過領域となる箇所は、当該遮光層4によって形成される凹形状部分を埋めるように、第1接合剤層5が充填されている状態となる。なお、偏光板2の面上に凸設された遮光層4の頂面(当該遮光層4によって形成される凸形状部分の頂面)には、第1接合剤層5が介在しておらず、また基材シート4aの剥離に伴って粘着剤層4bも剥がされて残っていない状態となる。
以上のような手順の遮光層形成工程を実施すれば、基材シート4a上に剥離可能に形成された遮光層4を当該基材シート4a上から転写して、偏光板2の面上への当該遮光層4の凸設を行うことになる。したがって、偏光板2の面上に直接的に遮光層4を形成する場合に比べて、当該遮光層4の形成の容易化が図れるようになる。
なお、ここでは、基材シート4a上からの転写を利用して遮光層4を形成する場合を例に挙げたが、このような遮光層4の転写を利用することなく遮光層形成工程を実施することも可能である。例えば、上述した第2概略構成例の場合であれば、基材シート4a上に遮光層4を形成した後、これらをそのまま偏光板2の面上に対して第2接合剤層7を介して貼り付けることで、当該偏光板2の面上への当該遮光層4の形成を行えばよい。また、遮光層4は、基材シート4aを用いることなく、フォトリソグラフィ技術等の公知技術を利用して、偏光板2の面上に直接的に凸設されたものであっても構わない。
さらに、ここでは、遮光層形成工程にあたり、単体状態の偏光板2に対して、基材シート4a上からの転写を利用した遮光層4の形成を行う場合を例に挙げたが、基材シート4a上からの遮光層4の転写対象は単体状態の偏光板2に限定されることはない。例えば、第2接合剤層7を介在させて位相差素子3が貼合された状態の偏光板2を、基材シート4a上からの遮光層4の転写対象とすることも考えられる。つまり、遮光層形成工程と後述する第2貼合工程とは、どちらを先に行っても構わない。
[2−3.位置決め工程]
立体画像表示装置を構成する場合には、画像表示パネル1、位相差素子3および遮光層4について、それぞれの間の相対的な位置決めを正確に行う必要がある。
例えば、画像表示パネル1と位相差素子3との間が正確に位置決めされず、右目用画像に対する右目用画像表示部3aの位置や左目用画像に対する左目用画像表示部3bの位置等にズレが生じてしまうと、観者の捕らえる画像が不鮮明となったり立体感が薄れたりする等の不具合が発生し得るからである。具体的には、例えば40インチクラスのHD信号(ハイビジョン信号)を表示する場合であれば、1画素ラインの縦方向は500μm程度の極細線状となるので、位置ずれの許容範囲を5%未満とした場合に、25μmレベルでの位置決めを行う必要がある。
また、例えば、位相差素子3と遮光層4との間が正確に位置決めされず、遮光層4の配設位置が右目用画像表示部3aと左目用画像表示部3bとの境界部分からズレてしまうと、クロストーク現象の発生を防止できなかったり、通過光の減少による表示画像の輝度低下を招いたりするからである。
これらのことから、立体画像表示装置の製造にあたっては、画像表示パネル1、位相差素子3および遮光層4の間の貼合を行うのに先立ち、これらについての平面的な位置決めを行う位置決め工程を実施する。
[2−3−1.位置決め工程の第1例]
図4は、位置決め工程の概要の第1例を示す説明図である。
図例では、画像表示パネル1と、遮光層4、第2接合剤層7、偏光板2、位相差素子3、反射防止膜8および接合剤層7からなる積層体との間で、平面的な位置合わせを行う場合を示している。ただし、平面的な位置合わせは、図例の場合のみならず、遮光層4および偏光板2を、位相差素子3に対して貼合する場合にも、全く同様に適用することが考えられる。
図例に示した平面的な位置合わせを行う場合には、先ず、位置合わせ装置の上部台座11に画像表示パネル1を支持させ、当該位置合わせ装置の下部台座12に遮光層4や位相差素子3等の積層体を支持させ、これらを互いに対向させる。上部台座11および下部台座12による支持は、真空吸着等の公知技術を利用して行えばよい。また、上部台座11および下部台座12の少なくとも一方は、図中前後左右方向に、または上下方向に、スライド可能な構造を有しているものとする。
また、位置合わせ装置では、上部台座11および下部台座12の一方の側に、位置検出のための画像処理用カメラ等の撮像装置13が配されている。また、撮像装置13と上部台座11および下部台座12を挟んで対向する側には、光を照射する光源14が配されている。そして、光源14には、位相差素子3における右目用画像表示部3aまたは左目用画像表示部3bのいずれか一方に対応する偏光状態を実現する偏光板15が付設されている。
なお、位置合わせ装置は、2焦点の深度切り替え機構の採用により、撮像装置13からの画像に付加されるマーキングラインに対して、空隙を有した状態のまま、最適位置合わせを可能とする位置合わせ機構が設置されたものであってもよい。
このような構成の位置合わせ装置では、例えば、位相差素子3についての平面的な位置合わせ、さらに具体的には当該位相差素子3に対して遮光層4および偏光板2を貼合する際の平面的な位置合わせにあたり、光源14からの照射光を、当該光源14と積層体との間に配された偏光板15を介して、当該位相差素子3に到達させる。そして、当該位相差素子3を透過した光を、撮像装置13で撮像する。このとき、光源14からの照射光は、偏光板15によって偏光されている。そのため、右目用画像表示部3aまたは左目用画像表示部3bのいずれか一方については透過光が撮像装置13まで到達するが、他方については光源14からの照射光が透過せずに遮光される。したがって、撮像装置13での撮像結果によれば、位相差素子3における右目用画像表示部3aと左目用画像表示部3bとの境界が、明確に認識されることになる。
ところで、画像表示パネル1を構成する液晶パネルが、いわゆるノーマリーブラックタイプのものである場合、電圧非印加状態では、一方の側からバックライト光程度の光量の照明光を当てても、当該液晶パネルでの光透過を実現させることは困難である。また、位置合わせのために、液晶パネルに対して電圧印加を行うことは、現実的でない。
そこで、位置合わせ装置では、画像表示パネル1についての平面的な位置合わせ、さらに具体的には当該画像表示パネル1に対して遮光層4や位相差素子3等の積層体を貼合する際の平面的な位置合わせにあたり、光源14から、ノーマリーブラックタイプの液晶パネルが電圧非印加状態にあっても、すなわち当該液晶パネルにおける光透過率が最小となる状態にあっても、当該液晶パネルを透過する光量の照射光を出射する。具体的には、最小光量として、例えば3万ルクスを超える照射光を出射することが考えられる。ただし、最大光量は、液晶パネルにおける液晶分子等に悪影響を及ぼさない程度に抑えることが望ましい。
このような光量の照射光を光源14から出射すれば、液晶パネルがノーマリーブラックタイプのものであっても、当該液晶パネルに対する電圧印加を要することなく、当該液晶パネルを光が透過して、撮像装置13まで到達することになる。したがって、撮像装置13での撮像結果によれば、例えば画素領域のような光が透過する部分と配線領域のような遮光膜で覆われている部分とについての識別が可能となり、これにより画像表示パネル1の平面的な位置が明確に認識されることになる。
以上のような位置決め工程によれば、画像表示パネル1と位相差素子3等の積層体との間の位置合わせ精度を、従来は50〜60μmのばらつきが生じていたものに対して、25μm程度に向上させることが実現可能となる。
[2−3−2.位置決め工程の第2例]
図5は、位置決め工程の概要の第2例を示す説明図である。
図例では、遮光層形成工程に先立って、基材シート4a上に剥離可能に形成された遮光層4と、第2接合剤層7を介在させて互いに貼合された偏光板2および位相差素子3との間で、平面的な位置合わせを行う場合を示している。
既に説明したように、位相差素子3および遮光層4については、それぞれの間の相対的な位置決めを正確に行う必要がある。具体的には、遮光層4は1画素ラインの縦方向が500μm程度の極細線状となるが、位置ずれの許容範囲を10%未満とした精度を要求されることが一般的である。
その一方で、遮光層4が剥離可能に形成される基材シート4aは、当該遮光層4が剥離可能に形成する都合上、その透明度が低いことが一般的である。
そのため、偏光板2および位相差素子3を互いに貼合し、さらにその上に遮光層4を転写して形成する場合、偏光板2および位相差素子3を介して自然光を透過させても、位相差素子3における右目用画像表示部3aと左目用画像表示部3bとの境界部分における不足し、求められる位置精度の高い貼合が困難になることが考えられる。
そこで、ここで説明する位置決め工程の第2例では、図5に示すように、先ず、位置合わせ装置の上部台座11に遮光層4が剥離可能に形成される基材シート4aを支持させる。また、当該位置合わせ装置の下部台座12に偏光板2および位相差素子3の積層体を支持させる。そして、上下間を粘着させない微小な隙間を維持した状態で、これらを互いに対向させる。上部台座11および下部台座12による支持は、真空吸着等の公知技術を利用して行えばよい。また、上部台座11および下部台座12の少なくとも一方は、図中前後左右方向に、または上下方向に、スライド可能な構造を有しているものとする。
また、位置合わせ装置では、下部台座12の側に、位置検出のための画像処理用カメラ等の撮像装置13が配されている。一方、撮像装置13と下部台座12および上部台座11を挟んで対向する側には、光を照射する光源14が配されている。そして、下部台座12と撮像装置13との間には、位相差素子3における右目用画像表示部3aまたは左目用画像表示部3bのいずれか一方に対応する偏光状態を実現する偏光板15が配設されている。
なお、位置合わせ装置は、2焦点の深度切り替え機構の採用により、撮像装置13からの画像に付加されるマーキングラインに対して、空隙を有した状態のまま、最適位置合わせを可能とする位置合わせ機構が設置されているものとする。
このような構成の位置合わせ装置では、遮光層形成工程に先立って、基材シート4a上の遮光層4と互いに貼合された偏光板2および位相差素子3との平面的な位置合わせにあたり、光源14からの照射光を、基材シート4aおよび位相差素子3を順に透過させた後、当該位相差素子3よりも撮像装置13側に配された偏光板15を介して当該撮像装置13に到達させる。そして、偏光板15を透過した光を、撮像装置13で撮像する。
このとき、光源14からの照射光は、透明度が低い基材シート4aを透過する。そのため、当該透過の際の光の屈折や乱反射等に起因して、透過光の回折現象が発生することになる。すなわち、基材シート4aの撮像装置13側に遮光層4が形成されていても、透過光が当該遮光層4の裏側に回り込むので、当該遮光層4に遮蔽されることなく透過光が位相差素子3へ到達するのである。
また、このとき、光源14からの照射光は、偏光板15によって偏光されている。そのため、位相差素子3における右目用画像表示部3aまたは左目用画像表示部3bのいずれか一方については透過光が撮像装置13まで到達するが、他方については透過光が遮光されることになる。
このように、偏光板15は、右目用画像表示部3aと左目用画像表示部3bとのそれぞれで、光の透過と遮断とを切り換える。この切り換えのためだけであれば、偏光板15は、上述した第1例の場合と同様に、光源14の側に配設することも考えられる。ところが、光源14の側に偏光板15を配設すると、その偏光板15を透過することで、光源14からの照射光の偏光状態が整ってしまい、基材シート4aを透過する光の回折現象が発生し難くなるおそれがある。したがって、偏光板15は、光源14の側ではなく、撮像装置13の側に配設されていることが望ましい。
基材シート4a、位相差素子3および偏光板15を透過した光が到達する撮像装置13は、2焦点の深度切り替え機構を採用している。
そのため、焦点深度を位相差素子3に合わせた場合に、撮像装置13での撮像結果は、位相差素子3に焦点が合い、かつ、偏光板15を経て得られるものなので、当該位相差素子3における右目用画像表示部3aと左目用画像表示部3bとの境界が明確なものとなる。
一方、焦点深度を遮光層4に合わせた場合には、撮像装置13での撮像結果は、遮光層4に焦点が合い、かつ、光の回折現象の発生を経て得られるものなので、当該遮光層4の端縁の位置が明確なものとなる。
これらの撮像結果は、位置合わせ装置が有する記憶装置または当該位置合わせ装置がアクセス可能な記憶装置に記憶保持される。
したがって、位置合わせ装置では、その記憶保持結果、すなわち撮像装置13の焦点を遮光層4に合わせた場合の撮像結果と位相差素子3に合わせた場合の撮像結果とに基づいて、遮光層4と位相差素子3との位置合わせを行うことが実現可能となる。具体的には、位相差素子3における右目用画像表示部3aと左目用画像表示部3bとの境界と、遮光層4の線幅中央部分とが、互いに合致した位置に存在するように、上部台座11および下部台座12の少なくとも一方を移動させることが考えられる。
以上のような位置決め工程によれば、光源14の側に遮光層4が形成された基材シート4aを配し、撮像装置13の側に位相差素子3を配している。そのため、透明度の低い基材シート4aの影響を受けることなく、位相差素子3と遮光層4との間の平面的な位置合わせを行うことが可能となる。これにより、例えば撮像装置13として60倍程度の拡大能力を有する光学系カメラを用いた場合であれば、位相差素子3および遮光層4に対する2焦点の深度切り替えを利用しつつ、当該光学系カメラに付加されたマーキングラインに対して、短時間で高精度の位置合せを行うことが可能となる。具体的には、位置合せの精度において、例えば従来は−50〜+80μmのばらつきが生じていたものが、半減の−10から+40μm程度に圧縮できた結果が得られる。これにより、位相差素子3と遮光層4との間の平面的な位置合わせについて、その位置決め精度を向上させることが実現可能となる。
[2−4.貼合工程]
画像表示パネル1、位相差素子3、および、遮光層4が形成された偏光板2ついて、それぞれの間の平面的な位置合わせを行った後は、続いて、その位置合わせ状態を保ちつつ、これらを互いに貼り合わせる貼合工程を実施する。
貼合工程には、第1接合剤層5を介在させて画像表示パネル1と遮光層4が形成された偏光板2とを互いに貼合する第1貼合工程と、第2接合剤層7を介在させて遮光層4が形成された偏光板2と位相差素子3とを互いに貼合する第2貼合工程とがある。
これら第1貼合工程と第2貼合工程とは、どちらを先に行ってもよいが、ここでは第2貼合工程を行った後に第1貼合工程を行う場合を例に挙げて、以下の説明を行う。
[2−4−1.第2貼合工程]
遮光層4が形成された偏光板2と位相差素子3との貼り合わせは、これらの間に第2接合剤層7を介在させることで行う。このとき、第2接合剤層7は、偏光板2における遮光層4の非形成面側と、位相差素子3における右目用画像表示部3aおよび左目用画像表示部3bの形成面側との間において、その全面領域に介在させるようにする。
また、第2接合剤層7としては、後述する理由によって、第1接合剤層5の場合と全く同様に、透明ゲル状のアクリル系の粘着材からなり、層厚が25〜100μmに形成され、当該粘着材の硬度が0より大きく350000μN以下の範囲にあり、40℃での貼合後保持力が8〜20N/20mmであるものを用いることが考えられる。
あるいは、第2接合剤層7としては、後述する理由によって、第1接合剤層5の場合と全く同様に、30〜70℃での貯蔵剛性率が0より大きく70000Pa以下の範囲にあり、損失剛性率が0より大きく20000Pa以下の範囲にあり、クリープ特性が0.3mm以下となるものを用いることが考えられる。
なお、第2貼合工程では、位相差素子3に対して、第3接合剤層9を介した反射防止膜8の貼り付けも行うようにする。
[2−4−2.第1貼合工程]
上述した第2貼合工程によって、遮光層4、偏光板2、位相差素子3等からなる積層体を構成した後は、当該積層体と画像表示パネル1との貼り合わせを、第1接合剤層5を介在させることで行う。
ただし、第1接合剤層5は、上述した第1概略構成例の場合であれば、画像表示パネル1と偏光板2における遮光層4の形成面側との間のうち、当該遮光層4の頂面と当該画像表示パネル1との間を除く箇所に介在させるようにする。具体的には、遮光層4の頂面との間を除く箇所、すなわち偏光板2の面上で遮光層4が凸設されておらず光透過領域となる箇所には、当該遮光層4によって形成される凹形状部分を埋めるように第1接合剤層5を充填して、当該第1接合剤層5を介在させる。
一方、遮光層4の頂面との間については、第1接合剤層5を介在させないようにする。これにより、画像表示パネル1と偏光板2等の積層体との貼り合わせ後は、当該画像表示パネル1と遮光層4の頂面との間に、第1接合剤層5が充填されていない空気層6が形成されることになる。
遮光層4の頂面との間を除く箇所に介在させる第1接合剤層5としては、以下に述べる条件を満足するものを用いることが望ましい。
第1接合剤層5は、光透過領域となる箇所に存在することになる。したがって、第1接合剤層5は、貼合後に画像表示パネル1と偏光板2との間における光学特性に悪影響を及ぼすものであってはならない。そのために、第1接合剤層5の形成材料としては、光透過性を有した透明ゲル状のアクリル系の粘着剤を用いる。
また、第1接合剤層5は、その層厚が薄過ぎると、当該層の均一性を確保することが困難である。さらには、例えば画像表示パネル1の貼合面にうねり等が生じており平面均一性が乏しい場合に、これを吸収することも困難となる。しかも、例えば遮光層形成工程において遮光層4を転写によって形成することを考慮すると、少なくとも当該遮光層4の凸設高さを超える層厚であることが望ましい。一方、第1接合剤層5の層厚が厚過ぎると、光透過率低下等といった光学特性への悪影響が生じるおそれがあり、また気泡等の異物が混入する可能性も高くなる。これらのことから、第1接合剤層5については、その層厚が25〜100μmとなるように形成する。
さらに、第1接合剤層5は、形成材料である粘着剤の硬度が高過ぎると、画像表示パネル1と偏光板2との間での緩衝材としての機能や、遮光層4によって形成される凹形状部分を埋める充填機能等が阻害されるため、好ましくない。
また、第1接合剤層5は、貼合後の保持力が小さ過ぎると、画像表示パネル1と偏光板との間の平面的な位置合わせ状態を保つことが困難となる。一方、貼合後の保持力が大き過ぎると、例えば不具合時に、第1接合剤層5による貼合箇所を剥がし、再度貼り合せることが不可能となることから、好ましくない。
これらのことから、第1接合剤層5は、形成材料である粘着剤の硬度および貼合後の保持力が以下に述べるように設定されているものとする。
図6は、粘着剤硬度および粘着剤層保持力の関係の一具体例を示す説明図である。
図6(a)は、厚み100μmの何種類かの粘着剤層について、粘着剤硬度および粘着剤層保持力を比較検討した結果を示している。
なお、粘着剤硬度に関しては、図6(b)に示すように、圧縮時(例えば、100μmの粘着剤21が50μm沈み込んだ時)の反発強度を指標としている。
また、粘着剤の保持力(接着強度)は、図6(c)に示すように、ガラス材22に対して、幅20mmの粘着剤23における剥離強度を指標としている。
図6(a)に示すように、このような条件で粘着剤硬度および粘着剤層保持力を実測して比較検討した結果、粘着剤硬度が350000μN以下であり、40℃での貼合後保持力が8〜20N/20mmであることが、接合面全域について、気泡や剥がれ等が生じることなく、また外観上も問題なく、正確に位置決めされた状態を維持できることが判明した。
したがって、第1接合剤層5は、形成材料である粘着剤の硬度が0より大きく350000μN以下の範囲にあり、40℃での貼合後保持力が8〜20N/20mmであるように設定されているものとする。
また、第1接合剤層5としては、上述した条件と併せて、あるいは上述した条件とは別に(上述した条件ではなく)、以下に述べる条件を満足するものを用いることも考えられる。
第1接合剤層5は、光透過領域となる箇所に存在するので、その形成材料として、光透過性を有した透明ゲル状のアクリル系の粘着剤を用いる。
また、第1接合剤層5は、形成材料である粘着剤の硬度が高過ぎると、画像表示パネル1と偏光板2との間での緩衝材としての機能や、遮光層4によって形成される凹形状部分を埋める充填機能等が阻害されるため、好ましくない。これに対して、粘着剤は、低弾性で、かつ、高粘性であることが、充填機能等を阻害しないために必要な事項となる。
さらに、第1接合剤層5は、貼合後の保持力が小さ過ぎると、画像表示パネル1と偏光板との間の平面的な位置合わせ状態を保つことが困難となる。特に、既に説明したような高温環境下に一定時間以上置かれる場合を考慮すると、クリープ特性が小さくなければ、位置合わせ状態を保つことが困難となる。その一方で、貼合後の保持力が大き過ぎると、例えば不具合時に、第1接合剤層5による貼合箇所を剥がし、再度貼り合せることが不可能となることから、好ましくない。
これらのことから、第1接合剤層5は、形成材料である粘着剤の弾性、粘性およびクリープ特性が、以下に述べるように設定されているものとする。
図7および図8は、粘着剤弾性、粘性およびクリープ特性の一具体例を示す説明図である。
図7は、何種類かの粘着剤層について、粘着剤弾性および粘着剤粘性を比較検討した結果を示している。
また、図8(a)は、粘着剤層について、クリープ力を比較検討した結果を示している。なお、粘着剤のクリープ力(接着強度)は、図8(b)に示すように、80℃の温度下で1kgの荷重を与えた状態での1時間後のズレ量(mm)を指標としている。
図7,8に示すように、このような条件で、粘着剤弾性、粘性およびクリープ特性を実測し、比較検討した結果、30〜70℃での貯蔵剛性率(弾性に相当)が0より大きく70000Pa以下であり、損失剛性率(粘性に相当)が0より大きく20000Pa以下であり、またクリープ特性としても0.3mm以下であることが、接合面全域について、遮光層4による凹凸形状に追従しながらこれらの間を埋め、また外観上も問題なく、正確に位置決めされた状態を維持できることが判明した。
したがって、第1接合剤層5は、形成材料である粘着剤の30〜70℃での貯蔵剛性率が0より大きく70000Pa以下の範囲にあり、損失剛性率が0より大きく20000Pa以下の範囲にあり、そしてこれらの条件を満たすことでクリープ特性が0.3mm以下となるように設定されているものとする。
なお、ここでは、第1概略構成例に対応する場合を例に挙げたが、第2概略構成例に対応する場合についても、第1接合剤層5の介在箇所を除き、全く同様に行えばよい。
また、いずれの構成例の場合であっても、第1貼合工程で用いる第1接合剤層5または第2貼合工程で用いる第2接合剤層7として、上述したような粘着剤ではなく、他の粘着剤や接着剤を用いることも考えられる。
[2−4−3.貼合工程における圧着処理]
ところで、第1貼合工程または第2貼合工程において、画像表示パネル1、偏光板2、位相差素子3、遮光層4等についての貼り合わせを行う際には、パネルサイズが大型化するほど、その貼り合わせ時に微小な気泡等を巻き込む可能性が高くなる。また、画像表示パネル1または位相差素子3若しくは遮光層4の頂面についての面精度等を高く維持することが困難となることから、それぞれの間の貼合面にうねり等が生じて平面均一性が乏しくなる可能性が高く、局所的な隙間が生じたり、それぞれの間の密着性や離間距離等が均一ではなくなるおそれもある。
これらのことから、画像表示パネル1、偏光板2、位相差素子3、遮光層4等についての貼り合わせに際しては、貼合用ローラを用いて加圧しながら、当該貼り合わせを行うようにする。
図9は、貼合用ローラを用いた加圧貼合の一具体例を示す説明図である。
なお、図例では、第1貼合工程における圧着処理を例に挙げているが、第2貼合工程についても全く同様に適用することは可能である。
図9(a)に示すように、第1貼合工程において、画像表示パネル1に対して遮光層4が形成された偏光板2や位相差素子3等の貼り合わせを行う際には、これらの間に第1接合剤層5を介在させた状態で、これらの積層体の一端側から他端側に向けて(図中矢印参照)、当該積層体を積層方向の上下から加圧する貼合用ローラ31を走行させて、当該積層体についての貼合を行う。
このとき、貼合用ローラ31は、所定範囲に属する力で加圧を行い、かつ、所定範囲に属する速度で走行させる。
具体的には、図9(b)に示すように、最適条件エリアに属する加圧力で加圧を行い、かつ、当該最適条件エリアに属する速度で走行させる。加圧力が小さかったり、速度が大き過ぎたりすると、気泡等を巻き込む可能性が高くなるからである。
この最適条件エリアについては、実験等の経験則を通じて導き出すことが考えられる。図例では、後述する支持子32の上下位置(クリアランス)を0.4mmとした場合の貼合用ローラ31の加圧力と走行速度との関係を示している。ただし、上下位置は、貼り合せる遮光層4、偏光板2、位相差素子3等の厚み、大きさ等に任意により調整が必要であり、それに伴って加圧力と走行速度との関係についても当然に異なったものとなる。
また、貼合用ローラ31を用いた加圧貼合に際しては、貼合用ローラ31による貼合位置よりも当該貼合用ローラ31の走行先となる積層体の他端側において、遮光層4が形成された偏光板2が画像表示パネル1に対して間隙を有するように、当該偏光板2を含む積層体の端縁位置を保持する。
具体的には、図9(a)に示すように、偏光板2を含む積層体の端縁位置を支持子32によって支持し、これにより画像表示パネル1と偏光板2を含む積層体との間に隙を存在させる。そして、偏光板2を含む積層体の端縁位置を貼合用ローラ31の走行状態に連動して移動させる。すなわち、貼合用ローラ31が支持子32に近づくのに伴って、画像表示パネル1と偏光板2を含む積層体との間隙が小さくなるように、支持子32の位置を移動させる。
なお、貼合用ローラ31の走行およびこれに対する支持子32の連動を行う機構等については、公知技術を利用して実現すればよいため、ここではその詳細な説明を省略する。
このような貼合用ローラ31を用いた加圧貼合を行えば、偏光板2を含む積層体の一端を保持した支持子32の上下位置と貼合用ローラ31の走行速度とを連動させ、当該積層体を反らせながら当該貼合用ローラ31により順次加圧して、当該貼合を行うことになる。したがって、貼合用ローラ31の走行先となる側には、常に気泡等の逃げ道が確保されることになるので、微細ゴミの混入や噛み込み泡を最小限にした上で、画像表示パネル1と積層体との貼り合わせを行うことができるようになる。
しかも、貼合用ローラ31による加圧力および走行速度についても、気泡等の巻き込みを抑制する上で最適化されたものとなっている。
したがって、上述した加圧貼合の結果得られる積層体については、各構成要素におけるうねり等に起因する平面性の劣った部分があっても、適正で均一な加圧条件で貼合されるので、局所的な隙間が生じたり、密着性や離間距離等が均一ではなくなったりすることがない。また、パネルサイズが大型化した場合であっても、気泡等の巻き込みが生じてしまうのを防止することができる。
<3.本実施形態における作用効果>
次に、以上のような製造方法によって得られる立体画像表示装置の作用効果を説明する。
図10〜13は、本発明に係る立体画像表示装置の作用効果の概要を具体的に示す説明図である。
図10(a)に示すように、本実施形態で説明した構成の立体画像表示装置では、遮光層4が偏光板2よりも画像表示パネル1の側に配設されている。これと比較するため、図10(b)には、従来構成品、すなわち遮光層4が位相差素子3の面上に直接的に形成されているといったように、当該遮光層4が偏光板2の画像出力面側(画像表示パネル1から遠い側)に位置する構成を示している。
これらを比べると、本実施形態の立体画像表示装置は、従来構成品に比べて、遮光層4が画像表示パネル1に近い位置に存在していることが明らかである。したがって、本実施形態の立体画像表示装置では、同一の視野角についてクロストーク現象の発生を防止するのであれば、従来構成品に比べて、遮光層4の形成幅が小さくて済む。つまり、図中におけるθ1=θ2の場合であれば、W1<W2の関係が成立することになる。
ここで、クロストーク率を7%とする場合について考える。
クロストーク率については、一般に、図11に示すように定義される。なお、クロストーク率7%は、ほとんどの観者が違和感なく、疲労感を感じないで、立体画像として見ることのできる限界レベルに相当するものである。
上述したように、遮光層4を偏光板2よりも画像表示パネル1に近い位置に存在させる構成とすれば、従来構成品に比べて当該遮光層4の形成幅が小さくて済む。したがって、当該従来構成品とクロストーク現象(クロストーク率が7%)を同レベルのままとした場合であっても、遮光層4の形成面積によって特定される輝度(開口率)は、当該従来構成品の65%から70%程度まで改善することが可能である。
具体的には、図12に示すように、従来構成品に比べて画面輝度が改善することがわかった。なお、立体視野角と画面輝度の関係は図例のような直線的なデータとなるが、40インチ画面を観賞する上で支障を来さない範囲まで改善に寄与することが実験によって確認されている。
また、遮光層4を偏光板2よりも画像表示パネル1に近い位置に存在させる構成とすれば、視聴距離と遮光層4の形成ピッチ(画素ピッチ比)とについて、図13に示すような関係となることがわかった。
以上のように、本実施形態の立体画像表示装置では、遮光層4が偏光板2の画像出力面側に位置する従来構成品に比べて、当該遮光層4の形成幅を小さくすることが可能となる。したがって、クロストーク現象の発生を防止しつつ、その場合であっても表示画像の輝度低下を極力抑制し得るようになる。つまり、クロストーク現象の発生防止および表示画像の輝度低下防止という、互いにトレードオフ(二律背反)の関係にある事象に対して、従来構成品よりも好適に対応することができるのである。
なお、上述した実施の形態では、本発明の好適な実施具体例を説明したが、本発明はその内容に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
1…画像表示パネル、2…偏光板、3…位相差素子、3a…右目用画像表示部、3b…左目用画像表示部、3c…支持基材、4…遮光層、4a…基材シート、5…第1接合剤層、6…空気層、7…第2接合剤層、13…撮像装置、14…光源、15…偏光板、31…貼合用ローラ、32…支持子

Claims (12)

  1. 右目用画像と左目用画像とを面内で規則的に混在させて表示する画像表示パネルと、
    前記画像表示パネルに対して画像出力面側に配され、前記右目用画像と前記左目用画像で互いに異なる偏光状態となるように偏光を行う前記右目用画像に対応する右目用画像表示部および前記左目用画像に対応する左目用画像表示部を有する位相差素子と、
    前記画像表示パネルと前記位相差素子との間に配される偏光板と、
    前記位相差素子における前記右目用画像表示部と前記左目用画像表示部との境界を含む領域部分に対応するように、前記画像表示パネルと前記偏光板との間に配設された遮光層と
    を備える立体画像表示装置。
  2. 前記偏光板における前記画像表示パネルの側の面上に前記遮光層が形成されるとともに、前記画像表示パネルと前記偏光板における前記遮光層の形成面側との間に、これらを互いに貼合する第1接合剤層が介在している
    請求項1記載の立体画像表示装置。
  3. 前記第1接合剤層は、前記遮光層の頂面と前記画像表示パネルとの間を除く前記偏光板における当該遮光層の形成面側と当該画像表示パネルとの間に介在している
    請求項2記載の立体画像表示装置。
  4. 前記偏光板と前記位相差素子との間に介在して、これらを互いに貼合する第2接合剤層を備える請求項1から3のいずれか1項に記載の立体画像表示装置。
  5. 前記第1接合剤層および前記第2接合剤層は、透明ゲル状のアクリル系の粘着材からなり、30〜70℃での貯蔵剛性率が0より大きく70000Pa以下の範囲にあり、損失剛性率が0より大きく20000Pa以下の範囲にある
    請求項4記載の立体画像表示装置。
  6. 右目用画像と左目用画像とを面内で規則的に混在させて表示する画像表示パネルの画像出力面側を覆うように配された偏光板と、前記右目用画像に対応する右目用画像表示部および前記左目用画像に対応する左目用画像表示部を有するとともに当該右目用画像表示部と当該左目用画像表示部が互いに異なる偏光状態を実現するように構成された位相差素子との間に、第2接合剤層を介在させて、当該偏光板と当該位相差素子とを互いに貼合する第2貼合工程と、
    前記第2貼合工程に先立ち、前記偏光板における前記画像表示パネルの側の面上に、前記位相差素子における前記右目用画像表示部と前記左目用画像表示部との境界を含む領域部分のみに対応するように、遮光層を凸設する遮光層形成工程と、
    前記遮光層形成工程および前記第2貼合工程の後、前記画像表示パネルと前記偏光板における前記遮光層の形成面側との間に、第1接合剤層を介在させて、当該画像表示パネルと当該偏光板および当該遮光層とを互いに貼合する第1貼合工程と
    を含む立体画像表示装置の製造方法。
  7. 前記遮光層形成工程では、基材上に剥離可能に形成された前記遮光層を当該基材上から転写して、前記偏光板の面上への当該遮光層の凸設を行う、請求項6記載の立体画像表示装置の製造方法。
  8. 前記第1貼合工程では、前記遮光層の頂面と前記画像表示パネルとの間を除く前記偏光板における当該遮光層の形成面側と当該画像表示パネルとの間に前記第1接合剤層を介在させる
    請求項6記載の立体画像表示装置の製造方法。
  9. 前記第1貼合工程では、前記第1接合剤層として、透明ゲル状のアクリル系の粘着材からなり、30〜70℃での貯蔵剛性率が0より大きく70000Pa以下の範囲にあり、損失剛性率が0より大きく20000Pa以下の範囲にあるものを用いる
    請求項6記載の立体画像表示装置の製造方法。
  10. 前記第2貼合工程では、前記第2接合剤層として、透明ゲル状のアクリル系の粘着材からなり、30〜70℃での貯蔵剛性率が0より大きく70000Pa以下の範囲にあり、損失剛性率が0より大きく20000Pa以下の範囲にあるものを用いる
    請求項6記載の立体画像表示装置の製造方法。
  11. 前記第1貼合工程または前記第2貼合工程に先立ち前記画像表示パネルについての平面的な位置合わせを行う位置決め工程を含むとともに、
    前記位置決め工程では、前記画像表示パネルの一方の側に配された光源から、当該画像表示パネルにおける光透過率が最小となる状態にあっても当該画像表示パネルを透過する光量の照射光を出射して、当該画像表示パネルを透過した光を当該画像表示パネルの他方の側に配された撮像装置で撮像することで、当該画像表示パネルの平面的な位置を認識する
    請求項6記載の立体画像表示装置の製造方法。
  12. 前記第2貼合工程に先立ち前記位相差素子に対して所定温度で所定時間の加熱処理を行うアニール工程
    を含む請求項6記載の立体画像表示装置の製造方法。
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