JP2009014358A - 模擬レゾルバ、モータシミュレータ、及び、モータシミュレーション方法 - Google Patents

模擬レゾルバ、モータシミュレータ、及び、モータシミュレーション方法 Download PDF

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Abstract

【課題】入力される角度信号を変更することにより、制御装置のソフトウェアに含まれるレゾルバの誤差を補正するブロックの検証を簡易に行なうことができる模擬レゾルバ及びモータシミュレータを提供する。
【解決手段】インバータ2から入力される制御信号に基づいて角度信号を生成する模擬回転機器10と、角度信号に基づいて夫々正弦波及び余弦波を生成する正弦波生成部21及び余弦波生成部22、正弦波を角度検出部31から入力される基準信号に基づいて変調して第一角度成分信号を出力する第一変調部23、及び余弦波を基準信号に基づいて変調して第二角度成分信号を出力する第二変調部24を備えている模擬レゾルバ20とを備えて構成されるモータシミュレータ1であって、模擬レゾルバ20に角度信号にオフセットを付与する角度補正部25を備えている。
【選択図】図4

Description

本発明は、回転機器から入力される角度信号に基づいて角度成分信号を出力する模擬レゾルバ、当該模擬レゾルバを備えたモータシミュレータ、レゾルバシミュレーション方法、及びモータシミュレーション方法に関する。
近年、製品開発に要する期間やコストの削減を目的としてシミュレーション装置が利用されている。当該シミュレーション装置は、制御装置のソフトウェアを評価するために、当該制御装置によって制御される実際の装置を、数式化したモデルプログラムにより模擬してコンピュータに演算させ、その結果に基づいて特性の確認や起こり得る問題の抽出を可能とするものである。
ところで、回転機器を制御する制御装置は、永久磁石同期モータ等の回転機器に対して回転制御する際に、回転機器を構成する回転体の磁極位置を検出する必要があり、この磁極位置の検出のための位置センサとしてレゾルバ等が用いられている。上述したシミュレーション装置により回転機器を模擬する場合には、回転体の磁極位置を検出するためのレゾルバとともに模擬する必要がある。
例えば、図1に示すような永久同期磁石モータを模擬するシミュレーション装置としてのモータシミュレータ900は、制御装置800からのスイッチング信号に基づいて三相電圧信号を生成する模擬インバータ910と、三相電圧信号に基づいて三相電流信号及び角度信号を生成する模擬回転機器920と、模擬レゾルバ930とを備えて構成される。
模擬レゾルバ930は、制御装置800から模擬レゾルバ930の励磁コイル(但し、模擬レゾルバなので実際に励磁コイルが存在するわけではない)を磁化させるための電流信号として模擬レゾルバ930に入力される基準信号Vref´、及び、模擬回転機器920から入力される角度信号θ´に基づいて、模擬レゾルバが磁極位置を示す検出コイルからの出力信号としての角度成分信号Vsin´、Vcos´を算出して制御装置に出力する。
ところで、実際のレゾルバの各々には固有の特性があり、実機の回転機器の回転角度を実際のレゾルバであるレゾルバセンサによって読み取った場合、例えば、図2に実線で示すように、位相が180度より小さい領域では図2に破線で示す理想的な角度よりも大きい値が出力され、180度より大きい領域では理想的な角度よりも小さい値が出力される。
そして、制御装置が、そのような固有の特性による誤差を含んだ角度信号に基づいて、模擬インバータに出力するスイッチング信号を算出すると、図2に示すように、理想的な角度信号に基づいて算出されたスイッチング信号との間にずれを生じてしまう。このようなずれの発生を防止するために、制御装置のソフトウェアには、実機のレゾルバの各々に固有の誤差を補正するための演算ブロックが設けられており、当該演算ブロックの処理によって、誤差を含んだ角度信号は理想的な角度信号に変換される。
しかし、モータシミュレータ900において、模擬回転機器920によって生成され模擬レゾルバ930に出力される角度信号は誤差を含まない理想的な信号であり、実機のレゾルバの各々が有する固有の特性に起因する誤差を含むものではないため、模擬レゾルバ930から出力される角度信号にもそのような誤差が含まれない。
制御装置のソフトウェアの複数の演算ブロックうち、正常動作しているレゾルバを制御するためのブロックの動作を、模擬レゾルバを用いて検証する場合は、理想的な信号が模擬レゾルバから制御装置に入力されても問題はない。しかし、実機のレゾルバの各々に固有の誤差を補正するための演算ブロックの動作を、模擬レゾルバを用いて検証する場合は、理想的な信号が模擬レゾルバから制御装置に入力されると、当該ブロックが動作しない、または、当該ブロックが動作しても補正が行なわれないこととなり、当該ブロックの検証を適正に行なうことができない。
特許文献1や特許文献2にはモータシミュレータにおけるシミュレーションをモータの個体差等のパラメータを考慮して行なう技術が開示されている。
なお、特許文献1には、モータ解析を簡易且つ迅速に行なうためのモータ解析プログラムを搭載したモータ解析装置が開示されている。当該モータ解析プログラムは、モータ解析の際に実行される各ステップを自動的に実行する複数のモジュールに分割されており、ユーザは、対話的な画面においてデータ入力等を行ないながら各ステップを実行することでモータ解析を行なうことができる。
また、特許文献2には、設計対象物を少なくとも一つのパラメータを有するモデルで近似し、当該モデルから実験計画法等によって複数の値を算出し、算出した複数の値に基づいて近似式を導出し、導出した近似式を用いて設計対象物の特性値を算出することにより、設計対象物に特性ばらつきや製造ばらつきがある場合でも、所望する特性の設計対象物を設計することができる設計支援装置が開示されている。
特開403−141183号公報 特開405−251117号公報
しかし、特許文献1に開示されたモータ解析装置や特許文献2に開示された設計支援装置は、モータの個体差等を考慮したもので、レゾルバセンサの個体差等を考慮するものではなく、例え、このような技術を用いてレゾルバセンサの模擬を行なうにしても、それまで理想的な角度信号を出力していた模擬回転機器や模擬レゾルバに、誤差を含む角度信号を出力させるためには、模擬回転機器や模擬レゾルバを構成する様々なパラメータ(模擬レゾルバのモデル自体)を変更する必要があり煩雑な作業を要する。
また、モータシミュレータでは、複数種類の異なる特性を有する回転機器やレゾルバを模擬する必要があり、シミュレーションの対象となる模擬回転機器や模擬レゾルバの種類を変更する度に、上記のようなパラメータ変更作業を要することになれば、シミュレーションの作業に要する時間が更に長くなってしまう。
本発明の目的は、上述した従来の問題点に鑑み、入力される角度信号を変更することにより、制御装置のソフトウェアに含まれるレゾルバの誤差を補正するブロックの検証を簡易に行なうことができる模擬レゾルバ及びモータシミュレータを提供する点にある。
上述の目的を達成するため、本発明による模擬レゾルバ及びモータシミュレータの特徴構成は、インバータから入力される制御信号に基づいて角度信号を生成する模擬回転機器と、前記模擬回転機器から入力される角度信号に基づいて正弦波を生成する正弦波生成部と、前記角度信号に基づいて余弦波を生成する余弦波生成部と、前記正弦波生成部で生成された正弦波を角度検出部から入力される基準信号に基づいて変調して第一角度成分信号を出力する第一変調部と、前記余弦波生成部で生成された余弦波を前記基準信号に基づいて変調して第二角度成分信号を出力する第二変調部を備えている模擬レゾルバとを備えて構成されるモータシミュレータであって、前記模擬レゾルバに前記角度信号にオフセットを付与する角度補正部を備えている点にある。
上述の構成によれば、模擬回転機器が理想的な角度信号を生成した場合であっても、角度補正部が模擬レゾルバにオフセットを付与することにより、理想的な角度信号を実機のレゾルバが有するような誤差を含んだ角度信号に変更する。
以上説明した通り、本発明によれば、入力される角度信号を変更することにより、制御装置のソフトウェアに含まれるレゾルバの誤差を補正するブロックの検証を簡易に行なうことができる模擬レゾルバ及びモータシミュレータを提供することができるようになった。
以下に、本発明による模擬レゾルバを備えたモータシミュレータについて説明する。モータシミュレータ1は、図3に示すように、車両に搭載される電子制御部3と接続され、電子制御部3からの制御信号に応じて所定のモデル演算処理を実行し、その結果を電子制御部3に出力するモデル演算部40と、モデル演算部40に対する演算条件の設定や、モデル演算の結果及び電子制御部3からの制御信号を表示することにより、電子制御部3の性能を評価する管理装置30を備えている。
電子制御部3は、CPU及びCPUで実行される制御プログラムが格納されたメモリ及び周辺回路を備えて構成され、モデル演算部40から入力されたモータの回転角度、駆動電流等の擬似信号に基づいて、所定トルクを出力するようにモータを制御する。
管理装置30及びモデル演算部40は、夫々オペレーティングシステム(以下、「OS」と略記する。)を備えたコンピュータで構成され、シミュレーション用のアプリケーションソフトウェアが搭載されている。
管理装置30はOSに組み込まれたGUI(Graphical User Interface)を介してオペレータが操作入力可能に構成され、オペレータによる操作に基づいてモデル演算部40を起動し、モデル演算部40から送信された計測データに基づいて、その結果を表示する。つまり、アプリケーションソフトウェアに基づいて表示部に表示された操作画面に対してマウスやキーボードを操作することにより、モデル演算部40に対する演算条件の設定や起動または停止等の操作が可能に構成されている。
モデル演算部40は、OSを実行するCPUが搭載されたマザーボードと、マザーボードとPCIバスで接続される入出力変換ボードを備えて構成され、マザーボードと管理装置30は所定周期で交信可能なようにLAN50で接続されている。
マザーボードにはCPUとモデルプログラムが格納されたメモリ及び周辺回路が設けられ、CPUにより実行されるモデルプログラムに基づいて、電子制御部3にスロットル情報や車速パルス信号を出力する機械系のモデル演算部が構築されている。
入出力変換ボード8にはCPUやFPGA等を備えた演算ブロックが設けられ、電子制御部3から出力される制御信号に基づいて、永久同期磁石モータの動作を模擬して、三相電流信号やモータの回転角度信号を電子制御部3に出力する電気系のモデル演算部が構築されている。
上述のモデル演算部40と電子制御部3は、信号中継ボードを介して接続されている。
図4に示すように、本発明によるモータシミュレータ1は、上述した電気系のモデル演算部に構築され、電子制御部3から入力されるPWM信号に基づいて模擬回転機器に対する制御信号である三相交流電圧値を生成する模擬インバータ2と、回転機器としての永久磁石同期モータを模擬する模擬回転機器10と、当該模擬回転機器10により模擬されたモータの回転角度位置を表す角度信号を生成する模擬レゾルバ20を備えている。
つまり、モータシミュレータ1は、回転機器と、当該回転機器に設けられて当該回転機器の回転角度を角度成分波形信号として出力するレゾルバセンサとを模擬するように構成されている。
模擬インバータ2は、モータシミュレータ1及び電子制御部3と接続され、電子制御部3から入力される、モータを所定トルクで駆動するための制御電流に対応する三相のPWM信号に基づいて、制御信号としてのU,V,Wの三相電圧信号値を算出して模擬回転機器10に出力する。
PWM信号は、例えば、正弦波状の相電圧制御値と三角波状の搬送波とを比較して得られる信号で、その周波数はPWM信号のパルス幅の変動周期により定められている。
模擬回転機器10は、当該模擬モータの電圧方程式に基づいて、インバータ2から入力されるU,V,Wの三相電圧信号値からU,V,Wの三相電流信号値を算出して、内蔵するDA変換部を介して電子制御部3へ出力する。モータの磁極がつくる磁束の向きをd軸、これよりπ/2進んだ方向をq軸とするd,q座標系で当該モータの特性を規定する電圧方程式は、数1で示される。
数1において、V及びVは電機子電圧のd軸及びq軸成分であり、I及びIは電機子電流のd軸及びq軸成分であり、Rは電機子巻線抵抗であり、L及びLはd軸のインダクタンス及びq軸のインダクタンスであり、φは永久磁石による電機子鎖交磁束であり、ωは電気角速度であり、pは微分演算子である。
模擬回転機器10は、模擬インバータ2から入力される制御信号に基づいてモータの回転角度を示す角度信号を生成して、模擬レゾルバ20に出力する。
詳述すると、模擬回転機器10は、先ず、当該模擬モータの電圧方程式に基づいて得られた三相の電流値I、I、Iに対するd,q成分値I,Iを、数2に基づいて算出する。θはd軸の進み角(rad)である。
次に、dq変換したI及びIに対応する発生トルクTe(Nm)を、数3に基づいて算出する。尚、数3において、Pは極対数であり、Phiは鎖交磁束(V/rad/s)であり、Ldはd軸インダクタンス(H)であり、Lqはq軸インダクタンス(H)である。
そして、算出した発生トルクTeに対応する回転角速度ω(rad/s)を、数4に基づいて算出する。数4において、Jは慣性力(kgm)であり、Tmは負荷トルク(Nm)であり、Dは減衰係数(Nms/rad)であり、tは時間(s)である。
最後に、算出した回転角速度ωを、数5に示すように、時間積分して理想角度、つまり角度信号θ(rad)を算出する。
模擬レゾルバ20は、模擬回転機器10から入力される角度信号に基づいて正弦波を生成する正弦波生成部21と、角度信号に基づいて余弦波を生成する余弦波生成部22と、正弦波生成部22で生成された正弦波を電子制御部3の角度検出部31から入力される基準信号に基づいて変調して第一角度成分信号を出力する第一変調部23と、余弦波生成部22で生成された余弦波を当該基準信号に基づいて変調して第二角度成分信号を出力する第二変調部24と、角度信号にオフセットを付与する角度補正部25と、角度信号の信号レベルに対応したオフセットレベルを記憶する記憶部26とを備えている。
つまり、モータシミュレータ1は、模擬回転機器10から入力される角度信号に基づいて、第一角度成分信号と第二角度成分信号よりなる角度成分波形信号を生成する波形信号生成部を備えて構成されている。
正弦波生成部21は模擬回転機器10から入力される角度信号に対応した正弦波信号値を算出して出力し、余弦波生成部22は模擬回転機器10から入力される角度信号に対応した余弦波信号値を算出して出力する。
記憶部26には、理想的な角度である角度信号θの信号値としての理想角度レベルに対応して、模擬対象である実機のレゾルバから出力される固有の誤差としてのオフセットレベルが割り付けられたテーブルデータが記憶されている。例えば、図2に示すように、実機のレゾルバがオフセットを含む実線で示すような出力特性を備えている場合に、テーブルデータは、図中、破線で示す理想的な角度に、破線と実線の差分値であるオフセット値が対応付けられて構成され、図5に示すように、理想角度レベルθ1〜θnと、理想角度レベルθ1〜θnに対応したオフセットレベルΔθ1〜Δθnで構成されている。
角度補正部25は、模擬回転機器10から入力された角度信号θに対応するオフセットレベルを記憶部26に記憶されたテーブルデータから読み出して、当該角度信号θに加算した値を角度信号θとして、正弦波生成部21及び余弦波生成部22に出力する。
つまり、角度補正部25により、模擬回転機器10から角度信号θが入力される度に角度信号θにオフセットレベルを加算したオフセット付与角度信号θofsが正弦波生成部21及び余弦波生成部22に出力される。
第一変調部23は、入力された正弦波sinθofsを、角度検出部31から入力される基準信号Vrefに基づいて変調した、数6に示すような第一角度成分信号Vsinを電子制御部3へ出力する。
また、第二変調部24は、入力された余弦波cosθofsを、角度検出部31から入力される基準信号Vrefに基づいて変調した、数7に示すような第二角度成分信号Vcosを電子制御部3へ出力する。

数6、数7において、ゲインk、オフセットaは、当該模擬レゾルバ20を使用する車種や製造業者等によって定まる固有の値で、第一変調部23及び第二変調部24に設けた調整部で予め調整されている。
尚、電子制御部3に備えた角度検出部31から、模擬回転機器10の回転角度を検出するための基準信号Vrefが出力され、角度検出部31では、数8に基づいて、第一変調部23から出力された第一角度成分信号Vsin及び第二変調部24から出力された第二角度成分信号Vcosから模擬回転機器10の角度θが算出される。
電子制御部3は、機械系のモデル演算部から出力されたスロットル情報または車速パルス信号と上述した電気系のモデル演算部から出力される三相電流信号値に基づいて、電流ベクトル演算を行ない、模擬回転機器10から適切な回転トルクが出力されるように適切な三相のPWM信号を生成し、角度検出部31で算出された角度θに同期して当該PWM信号を模擬回転機器10に出力する。つまり、電子制御部3は電流ベクトル制御により模擬回転機器10から所定のトルクが出力されるようにPWM信号を生成する。
電子制御部3は、上述した数2、数3に基づいて、模擬回転機器10から入力される三相電流信号値からトルクを算出して、角度検出部31で算出された角度θに基づいて出力したPWM信号が適正であったか否かを検証し、そのズレ量に対応して角度θを補正する学習制御部を備えている。
学習制御部は、制御目標とするトルクと三相電流信号値から算出したトルクとの差分に基づいて、角度θに重畳したオフセット値をキャンセルするように一定の補正量を角度θに加算または減算する処理を、算出した角度毎に実行し、その補正量を記憶部に記憶する。このような処理を模擬回転機器10が数サイクル回転する間に実行し、差分が所定量以下に収束すると、記憶部に記憶した補正量を固定し、以後、角度検出部31で算出された角度θを記憶された補正量で補正した後の角度に基づいてPWM信号を出力する。
例えば、管理装置30で、このような電子制御部3から出力されるPWM信号をモニタすることにより、電子制御部3が適正に学習制御を実行しているか否かが検証される。
上述の実施形態では、インバータ2がモデル演算部で模擬される構成を説明したが、図6に示すように、本発明は、模擬インバータ2に代えて、電子制御部3から入力されるPWM信号に基づいて模擬回転機器10に三相交流電圧を出力する実在のインバータ回路2Aを用いるものであってもよい。
また、永久磁石同期モータが模擬回転機器10としてモデル演算部で模擬される構成を説明したが、図7に示すように、本発明による模擬レゾルバ20は、模擬回転機器10に代えて実在の永久磁石同期モータ4が用いられるものであってもよい。この場合、永久磁石同期モータ4に三相電流に基づいて角度信号を生成して模擬レゾルバ20に出力する信号処理部を備えておけばよい。
つまり、模擬レゾルバ20は、回転機器4から入力される角度信号に基づいて正弦波を生成する正弦波生成部21と、角度信号に基づいて余弦波を生成する余弦波生成部22と、正弦波生成部21で生成された正弦波を角度検出部から入力される基準信号に基づいて変調して第一角度成分信号を出力する第一変調部23と、余弦波生成部22で生成された余弦波を基準信号に基づいて変調して第二角度成分信号を出力する第二変調部24と、角度信号にオフセットを付与する角度補正部25と、角度信号の信号レベルに対応したオフセットレベルを記憶する記憶部26を備え、角度補正部25は記憶部26に記憶されたオフセットレベルに基づいて角度信号にオフセットを付与するように構成されている。
モータシミュレータ1は、角度信号に対するオフセット特性を設定入力するオフセット入力部31と、オフセット入力部31で入力されたオフセット特性に基づいて角度信号の信号レベルに対応したオフセットレベルを生成するオフセットレベル生成部32とからなるオフセット設定部33を備え、オフセットレベル生成部で生成されたオフセットレベルが記憶部26に記憶されるように構成されている。
オフセット入力部31で入力されるオフセット特性は、通常、模擬レゾルバ20によって模擬されるレゾルバセンサの固体差や取り付け誤差によって生じる理想的な特性からの誤差を含む現実の特性であり、オフセット入力部31は少なくとも当該誤差を含む現実の特性を入力可能に構成されている。
つまり、オフセット設定部33は、模擬を行なうレゾルバセンサの個体差と取り付け誤差の少なくとも一方を設定可能な誤差設定部として構成されている。
なお、オフセット設定部33の機能は、管理装置30にインストールされたシミュレーションプログラムの実行によって実現される。
オフセット入力部31は、図8(a)に示すようなオフセット設定画面を、管理装置30に備えられたモニタに表示させる。
オフセット設定画面には、一周期分の模擬レゾルバ20の角度特性であって、理想的な角度特性が示された理想角度ライン(図中破線で示されている。)及び設定対象としてのオフセット特性が示されたオフセットライン(図中実線で示されている。)が表示されたオフセット設定エリア311と、操作されることで各種機能が実行される複数の機能キー312等が表示されている。
機能キー312としては、オフセット設定の種類を選択するためのオフセット選択キー312A、312Bと、オフセット設定エリア311で設定したオフセット特性を確定する確定キー312C等が表示されている。なお、本実施形態におけるオフセット入力部31では、オフセット設定の種類として、「スプライン曲線」と「線形補完」を選択可能である。
オペレータは、オフセット設定画面上の任意の点を少なくとも一個選択する。選択は、マウスのカーソルを選択する点の位置に持っていってクリックすることによって行なわれる。任意の点の選択後、オペレータがオフセット選択キー312A、312Bの何れかをマウスでクリックすると、クリックした選択キー312A、312Bのオフセット設定の種類に基づいてオフセット特性がオフセット設定画面上に描かれる。
例えば、オペレータが、図8(b)に示すように、任意の点PA1〜PA4を選択して、選択キー312Aをクリックすると、図8(c)に示すように、選択された任意の点PA1〜PA4、位相が0度の点PB1、位相が180度の点PB2、及び位相が360度の点PB3を通るスプライン曲線が描かれる。また、オペレータが、図8(b)に示すように、任意の点PA1〜PA4を選択して、選択キー312Bをクリックすると、図8(d)に示すように、点PA1〜PA4、点PB1、点PB2、及び点PB3を直線で結んだ折れ線が描かれる。
なお、本実施形態における模擬レゾルバ20は、位相0度、180度、及び360度において誤差が発生しないように調整されたレゾルバを模擬したものについて説明している。よって、図8(c)及び図8(d)の説明において、点PB1、点PB2、及び点PB3が固定となっている。しかし、模擬レゾルバ20はこのように調整されたレゾルバを模擬したものに限らず、例えば、位相0度及び360度においてのみ誤差が発生しないように調整されたレゾルバを模擬した構成であってもよい。この場合は、例えば、図8(c)及び図8(d)において、点PB1及び点PB3のみが固定となる。
オフセットレベル生成部32は、オフセット入力部31で決定されたオフセット特性をオフセットレベルに変換して記憶部26に記憶する。
オフセット特性がオフセット設定画面上に描かれた後に、オペレータが確定キー312Cをクリックすると、オフセットレベル生成部32は、図2に示すように、理想の角度としての理想角度ラインから理想角度レベルθ1〜θnを所定の分解能でサンプリングする。また、オフセットレベル生成部32は、実際の角度としてのオフセットラインからオフセットレベルΔθ1〜θnを当該所定の分解能でサンプリングする。そして、オフセットレベルΔθ1〜θnを理想角度レベルθ1〜θnと対応付けて、記憶部26に記憶する。
なお、所定の分解能は、オペレータによって角度値として設定され、例えば、分解能が「1度」に設定された場合、オフセットレベル生成部32は、オフセットラインから360個のオフセットレベルをサンプリングする。
上述の構成によれば、少数の位置を指定するだけで、指定した位置間のオフセットレベルが補完されるので、少ない労力でオフセット特性の設定を行なうことができる。
オフセット設定部33(誤差設定部)によって記憶部26に記憶されたオフセットレベルは、上述したように、角度補正部25によって読み出される。角度補正部25において、読み出されたオフセットレベルは模擬回転機器10から入力された角度信号に加算され、オフセットレベルを加算された角度信号は正弦波生成部21及び余弦波生成部22へ出力される。
つまり、角度補正部25は、誤差設定部の設定に基づいて模擬回転機器10から入力される回転角度を補正し、当該補正後の回転角度を波形信号生成部に入力するように構成されている。
以下、モータシミュレータの処理について、図10に示すフローチャートで説明する。
オペレータは、管理装置30のマウスやキーボードを操作してオフセット設定画面においてオフセット特性を入力する(S1)。このような入力処理はオフセット入力部31によって行なわれる。
オフセットレベル生成部32は、入力されたオフセット特性に基づいてオフセットレベルを生成し(S2)、記憶部26に記憶する(S3)。
オペレータが管理装置30のマウスやキーボードを操作することによって、モータシミュレータ1を使用したシミュレーションが開始されると(S4)、電子制御部3からインバータ2へPWM信号が出力され(S5)、インバータ4がPWM信号に基づいて三相電圧信号を算出して模擬回転機器10へ出力する(S6)。
模擬回転機器10は、入力された三相電圧信号を三相電流信号及び角度信号に変換して、三相電流信号をアナログ値に変換して電子制御部3へ出力し、角度信号を角度補正部25へ出力する(S7)。
角度信号を受け取った角度補正部25は、記憶部26に記憶されたオフセットレベルに基づいて角度信号にオフセットを付与して正弦波生成部21及び余弦波生成部22へ出力する(S8)。
正弦波生成部21及び余弦波生成部22は、入力された角度信号から夫々正弦波及び余弦波を生成して第一変調部23及び第二変調部24へ出力し、第一変調部23及び第二変調部24は、入力された正弦波及び余弦波を電子制御部3から入力された基準信号に基づいて変調して第一角度成分信号及び第二角度成分信号を生成し、これらの信号を電子制御部3へ出力する(S9)。
電子制御部3は、ステップS7にて模擬回転機器10から出力されたアナログ値の三相電流信号、及び、ステップS9にて第一変調部23及び第二変調部24から出力された第一角度成分信号及び第二角度成分信号に基づいてPWM信号を算出してインバータ2へ出力する(S5)。
以下、ステップS5からステップS9までの処理が、オペレータによってシミュレーションが終了させられるまで(S10)、所定の周期で繰り返される。
以上説明したとおり、本発明によるシミュレーション方法は、インバータ2から入力される制御信号に基づいて角度信号を生成する模擬回転機器演算ステップ(図10におけるステップS7)と、角度信号の信号レベルに対応したレベルのオフセットを付与する角度補正ステップ(図10におけるステップS8)と、角度補正ステップで補正された角度信号と、角度検出部31から入力される基準信号に基づいて第一角度成分信号及び第一角度成分信号と直交する第二角度成分信号を出力する模擬レゾルバ演算ステップ(図10におけるステップS9)からなる。
また、本発明によるシミュレーション方法は、角度補正ステップで付与されるオフセットレベルを設定入力するオフセットレベル設定ステップ(図10におけるステップS1からステップS3)を備えている。
また、本発明によるモータシミュレーション方法は、前記回転機器を模擬する模擬回転機器演算ステップ(図10におけるステップS7)と、前記模擬回転機器演算ステップから入力される角度信号に基づいて角度成分波形信号を生成する波形信号生成ステップ(図10におけるステップS9)と、模擬を行なうレゾルバセンサの個体差と取り付け誤差の少なくとも一方を設定可能な誤差設定ステップ(図10におけるステップS1からステップS3)と、前記誤差設定ステップの設定に基づいて前記模擬回転機器演算ステップから入力される回転角度を補正し、当該補正後の回転角度を前記波形信号生成ステップに入力する角度補正ステップ(図10におけるステップS8)と、を備えている。
以下、別実施形態について説明する。上述の実施形態では、オフセット設定部33が、角度信号に対するオフセット特性を設定入力するオフセット入力部31と、オフセット入力部31で入力されたオフセット特性に基づいて角度信号の信号レベルに対応したオフセットレベルを生成するオフセットレベル生成部32とを備えた構成について説明したが、オフセット設定部33は、角度信号の信号レベルに対応したオフセットレベルを設定入力する構成であって、オフセット設定部33を介して入力されたオフセットレベルが記憶部26に記憶される構成であってもよい。
この場合のオフセット設定画面は、図9に示すように、オフセット入力エリア313を備えて構成されている。オペレータは、オフセット入力エリア313において、各理想角度レベルに対するオフセットレベルをキーボード等によって入力する。全ての理想角度レベルに対するオフセットレベルの入力が完了した後に、オペレータが確定キー312Cをクリックすると、オフセット設定部33はオフセットレベルと理想角度レベルを記憶部26に記憶する。
尚、オフセット入力エリア313において、キー313Aは、理想角度レベル及びオフセットレベルの表示を上下させるスクロールキーであり、オフセットレベルの入力エリア313Bのうち数字が表示されていないエリア313Cは、未だオペレータによってオフセットレベルの入力が行なわれていないことを示している。
実機のレゾルバの特性が明らかとなっており、当該特性と同じ特性の角度成分信号を模擬レゾルバ20から出力させたい場合等、正確な特性の再現が必要な場合であっても、上述の構成によれば、オペレータがオフセットレベルを入力していくことによって、当該特性と同じ特性を正確に再現することができる。
また、オフセット生成部33は、オフセット特性を設定入力する方法と、オフセットレベルを設定入力する方法を切替可能に構成されていてもよく、当該切替は、例えば、オペレータが、設定モード切替キー312Dをクリックすることによって、図8のオフセット設定画面と図9のオフセット設定画面とを切り替えることで行なわれる。
上述の実施形態では、オフセット設定部33が管理装置30に備えられている構成について説明したが、オフセット設定部33は模擬レゾルバ20に備えられている構成であってもよい。
つまり、模擬レゾルバ20は、回転機器に設けられて前記回転機器の回転角度を角度成分波形信号として出力するレゾルバセンサを模擬するように構成されており、前記回転機器から入力される角度信号に基づいて角度成分波形信号を生成する波形信号生成部と、模擬を行なうレゾルバセンサの個体差と取り付け誤差の少なくとも一方を設定可能な誤差設定部と、前記誤差設定部の設定に基づいて前記回転機器から入力される回転角度を補正し、当該補正後の回転角度を前記波形信号生成部に入力する角度補正部と、を備えていてもよい。
この場合、本発明によるレゾルバシミュレーション方法は、回転機器から入力される角度信号に基づいて角度成分波形信号を生成する波形信号生成ステップと、模擬を行なうレゾルバセンサの個体差と取り付け誤差の少なくとも一方を設定可能な誤差設定ステップと、前記誤差設定ステップの設定に基づいて前記回転機器から入力される回転角度を補正し、当該補正後の回転角度を前記波形信号生成ステップに入力する角度補正ステップと、を備えていてもよい。
また、オフセット設定部33は、モデル演算部40に備えられているが模擬レゾルバ20には備えられていない構成であってもよい。
つまり、モータシミュレータ1のモデル演算部40は、模擬インバータ2と、模擬回転機器10と、模擬レゾルバ20と、オフセット設定部33とを備えた構成であってもよい。
上述した何れの実施形態も、本発明の一例に過ぎず、本発明の作用効果を奏する範囲において、各部の具体的構成は適宜変更設計できることはいうまでもない。
従来のモータシミュレータのブロック構成図 理想的な角度信号と誤差を含んだ角度信号の説明図 本発明によるモータシミュレータのブロック説明図 本発明によるモータシミュレータのブロック構成図 記憶部に記憶されるテーブルデータの説明図 模擬インバータを備えたモータシミュレータのブロック構成図 模擬回転機器を備えていないモータシミュレータのブロック構成図 (a)は、オフセット設定画面の表示例を示し、(b)は、オフセット設定画面における任意の点の選択を示し、(c)は、オフセット設定画面におけるスプライン曲線の表示を示し、(d)は、オフセット設定画面における線形補完による折れ線の表示を示す説明図 オフセット入力エリアを備えたオフセット設定画面の説明図 モータシミュレータの処理について説明するためのフローチャート
符号の説明
1:モータシミュレータ
2:模擬インバータ
2A:インバータ
3:電子制御部
4:回転機器
10:模擬回転機器
20:模擬レゾルバ
21:正弦波生成部
22:余弦波生成部
23:第一変調部
24:第二変調部
25:角度補正部
26:記憶部
31:オフセット入力部
32:オフセットレベル生成部
33:オフセット生成部

Claims (10)

  1. 回転機器から入力される角度信号に基づいて正弦波を生成する正弦波生成部と、前記角度信号に基づいて余弦波を生成する余弦波生成部と、前記正弦波生成部で生成された正弦波を角度検出部から入力される基準信号に基づいて変調して第一角度成分信号を出力する第一変調部と、前記余弦波生成部で生成された余弦波を前記基準信号に基づいて変調して第二角度成分信号を出力する第二変調部とを備えている模擬レゾルバであって、
    前記角度信号にオフセットを付与する角度補正部を備えている模擬レゾルバ。
  2. インバータから入力される制御信号に基づいて角度信号を生成する模擬回転機器と、
    前記模擬回転機器から入力される角度信号に基づいて正弦波を生成する正弦波生成部と、前記角度信号に基づいて余弦波を生成する余弦波生成部と、前記正弦波生成部で生成された正弦波を角度検出部から入力される基準信号に基づいて変調して第一角度成分信号を出力する第一変調部と、前記余弦波生成部で生成された余弦波を前記基準信号に基づいて変調して第二角度成分信号を出力する第二変調部とを備えている模擬レゾルバと、
    を備えて構成されるモータシミュレータであって、
    前記模擬レゾルバに前記角度信号にオフセットを付与する角度補正部を備えているモータシミュレータ。
  3. 前記インバータが、電子制御部から入力されるスイッチング信号に基づいて前記模擬回転機器に対する制御信号を生成する模擬インバータで構成されている請求項2記載のモータシミュレータ。
  4. 前記模擬レゾルバに、前記角度信号の信号レベルに対応したオフセットレベルを記憶する記憶部を備え、前記角度補正部は前記記憶部に記憶されたオフセットレベルに基づいて前記角度信号にオフセットを付与する請求項2または3記載のモータシミュレータ。
  5. 前記角度信号の信号レベルに対応したオフセットレベルを設定入力するオフセット設定部を備え、前記オフセット設定部を介して入力されたオフセットレベルが前記記憶部に記憶される請求項4記載のモータシミュレータ。
  6. 前記角度信号に対するオフセット特性を設定入力するオフセット入力部と、前記オフセット入力部で入力されたオフセット特性に基づいて前記角度信号の信号レベルに対応したオフセットレベルを生成するオフセットレベル生成部とからなるオフセット設定部を備え、前記オフセットレベル生成部で生成されたオフセットレベルが前記記憶部に記憶される請求項4記載のモータシミュレータ。
  7. 回転機器に設けられて前記回転機器の回転角度を角度成分波形信号として出力するレゾルバセンサを模擬する模擬レゾルバであって、
    前記回転機器から入力される角度信号に基づいて角度成分波形信号を生成する波形信号生成部と、
    模擬を行なうレゾルバセンサの個体差と取り付け誤差の少なくとも一方を設定可能な誤差設定部と、
    前記誤差設定部の設定に基づいて前記回転機器から入力される回転角度を補正し、当該補正後の回転角度を前記波形信号生成部に入力する角度補正部と、を備えている模擬レゾルバ。
  8. 回転機器と、当該回転機器に設けられて当該回転機器の回転角度を角度成分波形信号として出力するレゾルバセンサとを模擬するモータシミュレータであって、
    前記回転機器を模擬する模擬回転機器と、
    前記模擬回転機器から入力される角度信号に基づいて角度成分波形信号を生成する波形信号生成部と、
    模擬を行なうレゾルバセンサの個体差と取り付け誤差の少なくとも一方を設定可能な誤差設定部と、
    前記誤差設定部の設定に基づいて前記模擬回転機器から入力される回転角度を補正し、当該補正後の回転角度を前記波形信号生成部に入力する角度補正部と、を備えているモータシミュレータ。
  9. 回転機器に設けられて前記回転機器の回転角度を角度成分波形信号として出力するレゾルバセンサを模擬するレゾルバシミュレーション方法であって、
    前記回転機器から入力される角度信号に基づいて角度成分波形信号を生成する波形信号生成ステップと、
    模擬を行なうレゾルバセンサの個体差と取り付け誤差の少なくとも一方を設定可能な誤差設定ステップと、
    前記誤差設定ステップの設定に基づいて前記回転機器から入力される回転角度を補正し、当該補正後の回転角度を前記波形信号生成ステップに入力する角度補正ステップと、を備えているレゾルバシミュレーション方法。
  10. 回転機器と、当該回転機器に設けられて当該回転機器の回転角度を角度成分波形信号として出力するレゾルバセンサとを模擬するモータシミュレーション方法であって、
    前記回転機器を模擬する模擬回転機器演算ステップと、
    前記模擬回転機器演算ステップから入力される角度信号に基づいて角度成分波形信号を生成する波形信号生成ステップと、
    模擬を行なうレゾルバセンサの個体差と取り付け誤差の少なくとも一方を設定可能な誤差設定ステップと、
    前記誤差設定ステップの設定に基づいて前記模擬回転機器演算ステップから入力される回転角度を補正し、当該補正後の回転角度を前記波形信号生成ステップに入力する角度補正ステップと、を備えているモータシミュレーション方法。
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