JP2009010089A - 密着性に優れた配線下地膜およびこの配線下地膜を含む密着性に優れた二重構造配線膜 - Google Patents
密着性に優れた配線下地膜およびこの配線下地膜を含む密着性に優れた二重構造配線膜 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】ガラス基板の表面に対する密着性に優れかつボイドの発生しない銅合金膜からなる配線下地膜に関するものであり、この配線下地膜の上に導電性に優れた配線膜を成膜してガラス基板に対する密着性に優れた二重構造配線膜を提供する。この二重構造配線膜はTFTトランジスターを用いたフラットパネルディスプレイのガラス基板に強固に密着させることができる。
【解決手段】酸素:4〜20モル%を含有し、さらにMn:0.2〜3モル%、Ag:0.2〜3モル%を含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなる組成を有する銅合金膜からなる密着性に優れた配線下地膜、並びにこの密着性に優れた配線下地膜の上に、導電性に優れた純銅または銅合金膜を積層してなる密着性に優れた二重構造配線膜。
【選択図】なし
【解決手段】酸素:4〜20モル%を含有し、さらにMn:0.2〜3モル%、Ag:0.2〜3モル%を含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなる組成を有する銅合金膜からなる密着性に優れた配線下地膜、並びにこの密着性に優れた配線下地膜の上に、導電性に優れた純銅または銅合金膜を積層してなる密着性に優れた二重構造配線膜。
【選択図】なし
Description
この発明は、ガラス基板の表面に対する密着性に優れかつボイドの発生しない銅合金膜からなる配線下地膜に関するものであり、この配線下地膜の上に導電性に優れた配線膜を成膜してガラス基板に対する密着性に優れた二重構造配線膜を提供するものであり、この二重構造配線膜は、例えば、TFTトランジスターを用いたフラットパネルディスプレイにおける配線膜として使用するものである。
アクティブマトリックス方式で駆動するTFTトランジスターを用いたフラットパネルディスプレイとして、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、無機ELディスプレイなどが知られている。これらTFTトランジスターを用いたフラットパネルディスプレイにはガラス基板表面に格子状に純銅配線膜が密着形成されている。
この従来のTFTトランジスターを用いたフラットパネルディスプレイにおいてガラス基板表面に形成される純銅配線膜は、純銅膜自体がガラス基板に対する密着性が悪いので、通常は、図1の断面概略拡大説明図に示されるように、ガラス基板1の表面に酸素:1〜6モル%を含有する酸素含有銅下地膜2を形成し、この酸素含有銅下地膜2の上に導電性に優れた純銅膜3を形成して二重構造配線膜4を形成し、この酸素含有銅下地膜2および純銅膜3からなる二重構造配線膜4の純銅膜3の上にゲート絶縁膜(SiNx膜)5を形成し、さらにゲート絶縁膜(SiNx膜)5の上アモルファスSi膜7が形成されている(特許文献1、2参照)。そして、ガラス基板1の表面に対する酸素含有銅下地膜2の密着性は酸素が多く含まれているほど向上することも知られている。
特開平5−25612号公報
特開平8−26889号公報
この従来のTFTトランジスターを用いたフラットパネルディスプレイにおいてガラス基板表面に形成される純銅配線膜は、純銅膜自体がガラス基板に対する密着性が悪いので、通常は、図1の断面概略拡大説明図に示されるように、ガラス基板1の表面に酸素:1〜6モル%を含有する酸素含有銅下地膜2を形成し、この酸素含有銅下地膜2の上に導電性に優れた純銅膜3を形成して二重構造配線膜4を形成し、この酸素含有銅下地膜2および純銅膜3からなる二重構造配線膜4の純銅膜3の上にゲート絶縁膜(SiNx膜)5を形成し、さらにゲート絶縁膜(SiNx膜)5の上アモルファスSi膜7が形成されている(特許文献1、2参照)。そして、ガラス基板1の表面に対する酸素含有銅下地膜2の密着性は酸素が多く含まれているほど向上することも知られている。
前記ゲート絶縁膜(SiNx膜)5は、SiH4、NH3およびN2からなる水素を含む混合ガス中で300℃前後に加熱された雰囲気中で化学蒸着することにより成膜されることから、前記ゲート絶縁膜(SiNx膜)5の成膜に際して水素(H+)が純銅膜3を通過して酸素含有銅下地膜5に到達し、そこで酸素含有銅下地膜の酸素と結合して水となり酸素含有銅下地膜5に大きなボイド6が発生し、ガラス基板1の表面に対する酸素含有銅下地膜2の密着性を低下させる。
さらに前記ゲート絶縁膜(SiNx膜)5は水素を含む混合ガス中で化学蒸着することにより形成されることからゲート絶縁膜(SiNx膜)5に水素が不可避不純物として含まれることは避けられず、前記のゲート絶縁膜(SiNx膜)5の上にさらにフラットパネルディスプレイのアモルファスSi膜7をCVDにより成膜する(CVDによるアモルファスSi膜の成膜温度は250℃程度である)に際してゲート絶縁膜(SiNx膜)5に含まれる水素(H+)が純銅膜3を通過して酸素含有銅下地膜5に到達し、そこで酸素含有銅下地膜の酸素と結合して水となり酸素含有銅下地膜5に大きなボイド6が発生し、ガラス基板1の表面に対する酸素含有銅下地膜2の密着性を低下させる。
さらに前記ゲート絶縁膜(SiNx膜)5は水素を含む混合ガス中で化学蒸着することにより形成されることからゲート絶縁膜(SiNx膜)5に水素が不可避不純物として含まれることは避けられず、前記のゲート絶縁膜(SiNx膜)5の上にさらにフラットパネルディスプレイのアモルファスSi膜7をCVDにより成膜する(CVDによるアモルファスSi膜の成膜温度は250℃程度である)に際してゲート絶縁膜(SiNx膜)5に含まれる水素(H+)が純銅膜3を通過して酸素含有銅下地膜5に到達し、そこで酸素含有銅下地膜の酸素と結合して水となり酸素含有銅下地膜5に大きなボイド6が発生し、ガラス基板1の表面に対する酸素含有銅下地膜2の密着性を低下させる。
そこで、本発明者等は、大きなボイドが発生することがなくさらに一層密着性に優れた酸素含有下地膜を開発し、この一層密着性に優れた酸素含有下地膜の上に導電性に優れた純銅または銅合金膜を形成して一層密着性に優れた二重構造配線膜を成膜すべく研究を行った。その結果、
(イ)純銅(特に純度:99.99%以上の無酸素銅)に、酸素を4〜20モル%含有し、さらにMn:0.2〜3モル%、Ag:0.2〜3モル%を含有した成分組成を有する銅合金からなる下地膜は、従来の酸素含有銅下地膜に比べて比較的酸素が多く含有しているのでガラス基板に対する密着性が一層優れ、さらにMn:0.2〜3モル%、Ag:0.2〜3モル%を含有することにより、ゲート絶縁膜(SiNx膜)形成に際して発生する水素(H+)が前記配線下地膜に拡散侵入したり、またゲート絶縁膜(SiNx膜)の上にさらにアモルファスSi膜を成膜するに際して加熱されることがあってもゲート絶縁膜(SiNx膜)に含まれる水素(H+)が銅合金からなる下地膜に大きなボイドを発生させることがなく、この銅合金からなる下地膜の上に純銅膜などの導電性に優れた膜を形成して得られる二重構造配線膜は密着性に優れたものとなり、この二重構造配線をTFTトランジスターを用いたフラットパネルディスプレイの配線膜として使用した場合一層優れた効果を奏するものとなる、という研究結果が得られたのである。
(イ)純銅(特に純度:99.99%以上の無酸素銅)に、酸素を4〜20モル%含有し、さらにMn:0.2〜3モル%、Ag:0.2〜3モル%を含有した成分組成を有する銅合金からなる下地膜は、従来の酸素含有銅下地膜に比べて比較的酸素が多く含有しているのでガラス基板に対する密着性が一層優れ、さらにMn:0.2〜3モル%、Ag:0.2〜3モル%を含有することにより、ゲート絶縁膜(SiNx膜)形成に際して発生する水素(H+)が前記配線下地膜に拡散侵入したり、またゲート絶縁膜(SiNx膜)の上にさらにアモルファスSi膜を成膜するに際して加熱されることがあってもゲート絶縁膜(SiNx膜)に含まれる水素(H+)が銅合金からなる下地膜に大きなボイドを発生させることがなく、この銅合金からなる下地膜の上に純銅膜などの導電性に優れた膜を形成して得られる二重構造配線膜は密着性に優れたものとなり、この二重構造配線をTFTトランジスターを用いたフラットパネルディスプレイの配線膜として使用した場合一層優れた効果を奏するものとなる、という研究結果が得られたのである。
この発明は、上記の研究結果に基づいてなされたものであって、
(1)酸素:4〜20モル%を含有し、さらにMn:0.2〜3モル%、Ag:0.2〜3モル%を含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなる組成を有する銅合金膜からなる密着性に優れた配線下地膜、
(2)前記(1)記載の密着性に優れた配線下地膜の上に、導電性に優れた純銅または銅合金膜を積層してなる密着性に優れた二重構造配線膜、
(3)前記(2)記載の導電性に優れた銅合金膜は、Mn:0.2〜3モル%、Ag:0.2〜3モル%を含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなる組成を有する銅合金膜である密着性に優れた二重構造配線膜、に特徴を有するものである。
(1)酸素:4〜20モル%を含有し、さらにMn:0.2〜3モル%、Ag:0.2〜3モル%を含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなる組成を有する銅合金膜からなる密着性に優れた配線下地膜、
(2)前記(1)記載の密着性に優れた配線下地膜の上に、導電性に優れた純銅または銅合金膜を積層してなる密着性に優れた二重構造配線膜、
(3)前記(2)記載の導電性に優れた銅合金膜は、Mn:0.2〜3モル%、Ag:0.2〜3モル%を含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなる組成を有する銅合金膜である密着性に優れた二重構造配線膜、に特徴を有するものである。
この発明の密着性に優れた配線下地膜は、この銅合金からなる配線下地膜と同じ成分組成を有する酸素を含むターゲットを用い、スパッタリングすることにより形成することができる。また、この発明の密着性に優れた配線下地膜は、Mn:0.2〜3モル%、Ag:0.2〜3モル%を含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなる組成を有する実質的に酸素を含まない銅合金製ターゲットを作製し、このターゲットを用い、酸素:3〜25体積%含む不活性ガス雰囲気中でスパッタリングすることにより作製することができる。
そして、配線下地膜と同じ成分組成を有するターゲットは、銅粉末、Mn粉末、Ag粉末およびCuO粉末を原料粉末として用意し、これら原料粉末を酸素:4〜20モル%、Mn:0.2〜3モル%、Ag:0.2〜3モル%を含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなる組成を有するように配合し、ボールミルで混合して混合粉末を作製し、この混合粉末をホットプレスし、得られたホットプレス体を機械加工することにより作製することができる。
また、この発明の密着性に優れた銅合金からなる配線下地膜は、銅粉末、Mn粉末、Ag粉末などの原料粉末をMn:0.2〜3モル%、Ag:0.2〜3モル%を含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなる組成を有するように配合し混合しホットプレスし、次いで機械加工することにより得られたターゲットを酸素:3〜25体積%を含む不活性ガス雰囲気中でスパッタリングすることにより作製することができる。
さらに、この発明の密着性に優れた銅合金からなる配線下地膜は、原料を溶解し鋳造してMn:0.2〜3モル%、Ag:0.2〜3モル%を含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなる組成を有する鋳造ターゲットを作製し、この鋳造ターゲットを酸素:3〜25体積%を含む不活性ガス雰囲気中でスパッタリングすることにより作製することができる。
さらに、この発明の密着性に優れた銅合金からなる配線下地膜は、原料を溶解し鋳造してMn:0.2〜3モル%、Ag:0.2〜3モル%を含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなる組成を有する鋳造ターゲットを作製し、この鋳造ターゲットを酸素:3〜25体積%を含む不活性ガス雰囲気中でスパッタリングすることにより作製することができる。
この発明の密着性に優れた銅合金からなる配線下地膜の成分組成の範囲を前述のごとく限定した理由を説明する。
この発明の密着性に優れた銅合金からなる配線下地膜に含まれる酸素を4〜20モル%に限定したのは、酸素を4モル%以上含有させることにより密着強度を一層向上させることができるが20モル%を越えて含有すると配線下地膜の表面粗さが上昇し、さらに銅合金からなる配線下地膜に含まれる酸素が多くなりすぎて大きなボイドの発生が避けられなくなるので好ましくないからである。
さらに、この発明の密着性に優れた銅合金からなる配線下地膜に含まれるMnは、酸素と共存することによりガラス基板に対する密着性を向上させ、さらにMnおよびAgが共存することによりゲート絶縁膜(SiNx膜)の成膜およびアモルファスSi膜のCVD成膜に際して水素が配線下地膜に拡散侵入しても大きなボイドの発生を阻止する作用を有するので添加するが、Mnが0.2%未満含有しても所望の効果が得られないので好ましくなく、一方、Mnが3モル%を越えて含有することにより表面粗さが上昇しすぎるので好ましくない。したがって、Mnの含有量を0.2〜3モル%に定めた。
さらにAgは膜の表面粗さを低減し、さらにAgがゲート絶縁膜(SiNx膜)の成膜およびアモルファスSi膜のCVD成膜に際して水素が配線下地膜に拡散侵入しても大きなボイドが発生するのを阻止する作用を有するので添加するが、Agの含有量が0.2モル%未満では膜の表面粗さを低減する作用およびボイドの発生を抑制する作用が小さいので好ましくなく、一方、3モル%を越えて添加すると、配線下地膜のガラス基板に対する密着性が低下するようになるので好ましくない。したがって、Agの含有量を0.2〜3モル%に定めた。
この発明の密着性に優れた銅合金からなる配線下地膜に含まれる酸素を4〜20モル%に限定したのは、酸素を4モル%以上含有させることにより密着強度を一層向上させることができるが20モル%を越えて含有すると配線下地膜の表面粗さが上昇し、さらに銅合金からなる配線下地膜に含まれる酸素が多くなりすぎて大きなボイドの発生が避けられなくなるので好ましくないからである。
さらに、この発明の密着性に優れた銅合金からなる配線下地膜に含まれるMnは、酸素と共存することによりガラス基板に対する密着性を向上させ、さらにMnおよびAgが共存することによりゲート絶縁膜(SiNx膜)の成膜およびアモルファスSi膜のCVD成膜に際して水素が配線下地膜に拡散侵入しても大きなボイドの発生を阻止する作用を有するので添加するが、Mnが0.2%未満含有しても所望の効果が得られないので好ましくなく、一方、Mnが3モル%を越えて含有することにより表面粗さが上昇しすぎるので好ましくない。したがって、Mnの含有量を0.2〜3モル%に定めた。
さらにAgは膜の表面粗さを低減し、さらにAgがゲート絶縁膜(SiNx膜)の成膜およびアモルファスSi膜のCVD成膜に際して水素が配線下地膜に拡散侵入しても大きなボイドが発生するのを阻止する作用を有するので添加するが、Agの含有量が0.2モル%未満では膜の表面粗さを低減する作用およびボイドの発生を抑制する作用が小さいので好ましくなく、一方、3モル%を越えて添加すると、配線下地膜のガラス基板に対する密着性が低下するようになるので好ましくない。したがって、Agの含有量を0.2〜3モル%に定めた。
この発明の配線下地膜はガラス基板に対する密着性が一層優れているので、この発明の配線下地膜の上に導電性に優れた銅または銅合金からなる膜を形成して作製した導電性に優れた二重構造配線膜は、これをTFTトランジスターを用いたフラットパネルディスプレイにおける配線膜などに用いると、TFTトランジスターを用いたフラットパネルディスプレイが激しい振動を受けるなど過酷な環境下で長期間おかれても配線が剥離することがなく、したがって、故障することがないTFTトランジスターを用いたフラットパネルディスプレイを提供することができるという優れた効果を奏するものである。
実施例1
原料を黒鉛坩堝にて溶解し鉄モールドに鋳込んでインゴットを作製し、このインゴットを温度:800℃で圧延し、得られた圧延板を機械加工して直径:154mm、厚さ:5mmの寸法を有し表1〜2に示される成分組成を有するターゲットを作製した。得られたターゲットを純銅からなるバッキングプレートにそれぞれ温度:200℃でインジウムはんだ付けし、バッキングプレート付きターゲットを作製した。
原料を黒鉛坩堝にて溶解し鉄モールドに鋳込んでインゴットを作製し、このインゴットを温度:800℃で圧延し、得られた圧延板を機械加工して直径:154mm、厚さ:5mmの寸法を有し表1〜2に示される成分組成を有するターゲットを作製した。得られたターゲットを純銅からなるバッキングプレートにそれぞれ温度:200℃でインジウムはんだ付けし、バッキングプレート付きターゲットを作製した。
さらに、ガラス基板(縦:50mm、横:50mm、厚さ:0.7mmの寸法を有するコーニング社製1737のガラス基板)を用意した。さらに先に作製したターゲットを無酸素銅製バッキングプレートにはんだ付けしてバッキングプレート付きターゲット作製し、ターゲットとガラス基板との距離が70mmとなるようにスパッタリング装置にセットし、
電源:直流方式、
スパッタパワー:600W、
到達真空度:5×10−5Pa、
雰囲気ガス組成:表1に示されるArとO2の混合ガス、
ガス圧:0.5Pa、
ガラス基板加熱:なし、
の条件で1分間成膜し、ガラス基板の表面に、厚さ:300nmを有し、表1〜2に示される成分組成を有する銅合金からなる本発明配線下地膜1〜16、比較配線下地膜1〜8および従来配線下地膜1を形成した。
電源:直流方式、
スパッタパワー:600W、
到達真空度:5×10−5Pa、
雰囲気ガス組成:表1に示されるArとO2の混合ガス、
ガス圧:0.5Pa、
ガラス基板加熱:なし、
の条件で1分間成膜し、ガラス基板の表面に、厚さ:300nmを有し、表1〜2に示される成分組成を有する銅合金からなる本発明配線下地膜1〜16、比較配線下地膜1〜8および従来配線下地膜1を形成した。
得られた本発明配線下地膜1〜16、比較配線下地膜1〜8および従来配線下地膜1をそれぞれEPMAの波長分散型の分光器WDS(Wavelenght Dispersive X−ray Spectrometer)によって成分組成を測定し、その結果を表3に示した。
さらに得られた本発明配線下地膜1〜16、比較配線下地膜1〜8および従来配線下地膜1をそれぞれ2×10−4Paの真空雰囲気中、温度:350℃、30分間保持する熱処理を行なった後、下記の測定および試験を行い、その結果を表3に示した。
膜の表面粗さ測定:
原子間力顕微鏡(ATM)を用い、前記熱処理を行なった本発明配線下地膜1〜16、比較配線下地膜1〜8および従来配線下地膜1の10000nm×10000nmの範囲における表面粗さを測定し、その最大高低差を求め、その結果を表3に示した。
碁盤目付着試験
JIS-K5400に準じ、1mm間隔で縦横11本ずつカッターで1mm間隔の切り込みを入れ、本発明配線下地膜1〜16、比較配線下地膜1〜8および従来配線下地膜1に100個の升目膜を作り、3M社製スコッチテープを密着させたのち一気に引き剥がし、ガラス基板中央部の10mm角内でガラス基板に付着していた升目膜に剥離が生じた升目膜の数を測定し、その結果を表3に示すことによりガラス基板に対する本発明配線下地膜1〜16、比較配線下地膜1〜8および従来配線下地膜1の密着性を評価した。なお、一部しか剥がれていない升目について、面積の半分以上剥がれたものは「剥がれ」と数え、剥がれた部分が面積の半分以下の場合は「剥がれなし」として数えた。
膜の表面粗さ測定:
原子間力顕微鏡(ATM)を用い、前記熱処理を行なった本発明配線下地膜1〜16、比較配線下地膜1〜8および従来配線下地膜1の10000nm×10000nmの範囲における表面粗さを測定し、その最大高低差を求め、その結果を表3に示した。
碁盤目付着試験
JIS-K5400に準じ、1mm間隔で縦横11本ずつカッターで1mm間隔の切り込みを入れ、本発明配線下地膜1〜16、比較配線下地膜1〜8および従来配線下地膜1に100個の升目膜を作り、3M社製スコッチテープを密着させたのち一気に引き剥がし、ガラス基板中央部の10mm角内でガラス基板に付着していた升目膜に剥離が生じた升目膜の数を測定し、その結果を表3に示すことによりガラス基板に対する本発明配線下地膜1〜16、比較配線下地膜1〜8および従来配線下地膜1の密着性を評価した。なお、一部しか剥がれていない升目について、面積の半分以上剥がれたものは「剥がれ」と数え、剥がれた部分が面積の半分以下の場合は「剥がれなし」として数えた。
さらに、先に作製したガラス基板の表面に成膜した厚さ:300nmを有する本発明配線下地膜1〜16、比較配線下地膜1〜8および従来配線下地膜1の上にさらにSiH4、NH3およびN2からなる水素を含む混合ガス雰囲気中、温度:300℃保持の条件のPECVD法により厚さ:300nmを有するゲート絶縁膜(SiNx膜)を形成し、このガラス基板の表面に形成した本発明配線下地膜1〜16、比較配線下地膜1〜8および従来配線下地膜1およびゲート絶縁膜(SiNx膜)からなる積層膜の断面をTEMを用いて観察し、本発明配線下地膜1〜16、比較配線下地膜1〜8および従来配線下地膜1の長さ20μmの範囲内に発生した直径:20nm以上の大きなボイドの有無を確認し、その結果をその結果を表1〜2に示した。
表1〜3に示される結果から、本発明配線下地膜1〜16は酸素を含む銅からなる従来銅合金膜1に比べてガラス基板に対する密着性に一層優れておりかつ表面粗さの最大高低差が小さいこと、この発明の条件から外れて酸素、Mn、Agを含む比較配線下地膜1〜8は表面粗さの最大高低差が大きくなったり、密着性が低下したり、大きなボイドが発生して好ましくないことなどが分かる。
実施例2
実施例1で用意したガラス基板(縦:50mm、横:50mm、厚さ:0.7mmの寸法を有するコーニング社製1737のガラス基板)の上に実施例1の表1〜2に示されるターゲットを用い、実施例1と同じ酸素含有Ar雰囲気のスパッタリング条件で本発明配線下地膜1〜16、比較配線下地膜1〜8および従来配線下地膜1と同じ成分組成を有し厚さ:50nmを有する銅合金からなる配線下地膜を成膜し、その後、酸素の供給を停止してスパッタリング装置内の雰囲気を純Arガス雰囲気に変換し、雰囲気をArガス雰囲気とする以外は同じ条件で50秒程度スパッタリングすることにより厚さ:250nmを有し、表4〜5に示される成分組成を有する銅合金膜を前記配線下地膜の上に成膜し、表4〜5に示される本発明二重構造配線膜1〜16、比較二重構造配線膜1〜8および従来二重構造配線膜1を成膜した。この本発明二重構造配線膜1〜16、比較二重構造配線膜1〜8および従来二重構造配線膜1について実施例1同じ条件の碁盤目付着試験を行い、その結果を表4〜5に示した。
実施例1で用意したガラス基板(縦:50mm、横:50mm、厚さ:0.7mmの寸法を有するコーニング社製1737のガラス基板)の上に実施例1の表1〜2に示されるターゲットを用い、実施例1と同じ酸素含有Ar雰囲気のスパッタリング条件で本発明配線下地膜1〜16、比較配線下地膜1〜8および従来配線下地膜1と同じ成分組成を有し厚さ:50nmを有する銅合金からなる配線下地膜を成膜し、その後、酸素の供給を停止してスパッタリング装置内の雰囲気を純Arガス雰囲気に変換し、雰囲気をArガス雰囲気とする以外は同じ条件で50秒程度スパッタリングすることにより厚さ:250nmを有し、表4〜5に示される成分組成を有する銅合金膜を前記配線下地膜の上に成膜し、表4〜5に示される本発明二重構造配線膜1〜16、比較二重構造配線膜1〜8および従来二重構造配線膜1を成膜した。この本発明二重構造配線膜1〜16、比較二重構造配線膜1〜8および従来二重構造配線膜1について実施例1同じ条件の碁盤目付着試験を行い、その結果を表4〜5に示した。
さらに、本発明二重構造配線膜1〜16、比較二重構造配線膜1〜8および従来二重構造配線膜1の上に実施例1と同様にして厚さ:300nmを有するゲート絶縁膜(SiNx膜)を形成し、本発明二重構造配線膜1〜16、比較二重構造配線膜1〜8および従来二重構造配線膜1におけるガラス基板に接する配線下地膜の長さ20μmの範囲内に発生した直径:20nm以上の大きなボイドの有無を実施例1と同様にして確認し、その結果を表4〜5に示した。
表4〜5に示される結果から、本発明二重構造配線膜1〜16は比較二重構造配線膜1〜8および従来二重構造配線膜1に比べて優れた特性を有することがわかる。なお、実施例ではこの発明のCu−Mn−Ag合金下地膜の上にCu−Mn−Ag合金膜を成膜した二重構造配線膜について述べているが、この発明のCu−Mn−Ag合金下地膜の上に形成される膜はCu−Mn−Ag合金膜に限定されるものではなく、この発明のCu−Mn−Ag合金下地膜の上に形成される膜は純銅膜およびその他の導電性に優れた銅合金膜であればいかなる成分組成を有する銅合金膜であってもこの発明の範囲に含まれる。
1:ガラス基板、2:酸素含有銅下地膜、3:純銅膜、4:二重構造配線膜4、5:ゲート絶縁膜(SiNx膜)、6:ボイド、7:アモルファスSi膜
Claims (3)
- 酸素:4〜20モル%、Mn:0.2〜3モル%、Ag:0.2〜3モル%を含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなる組成を有する銅合金膜からなることを特徴とする密着性に優れた配線下地膜。
- 請求項1記載の密着性に優れた配線下地膜の上に、導電性に優れた純銅または銅合金膜を積層してなることを特徴とする密着性に優れた二重構造配線膜。
- 請求項2記載の導電性に優れた銅合金膜は、Mn:0.2〜3モル%、Ag:0.2〜3モル%を含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなる組成を有する銅合金膜であることを特徴とする密着性に優れた二重構造配線膜。
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JP2007168697A JP2009010089A (ja) | 2007-06-27 | 2007-06-27 | 密着性に優れた配線下地膜およびこの配線下地膜を含む密着性に優れた二重構造配線膜 |
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