JP2009007289A - 分散組成物及びスキンケア用化粧料並びに分散組成物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の分散組成物は、カロテノイド含有油性成分を含む分散組成物であって、カロテノイド含有油性成分及び、リン脂質又はその誘導体を含むエマルジョン粒子を有する水分散物と、アスコルビン酸又はその誘導体を含む水性組成物と、pH調整剤とを混合することによって得られたpH5.0〜7.5の分散組成物である。本発明のスキンケア用化粧料は、この分散組成物を含むものである。
【選択図】なし
Description
これを解消するために、例えば、特許文献5及び6には、カロテノイド系色素の分散安定性を検討した技術が記載されている。
本発明の目的は、カロテノイド含有油性成分を含み、保存安定性に優れた分散組成物及びこれを用いたスキンケア用化粧料を提供することである。
ここで上記分散組成物中のエマルジョン粒子の平均粒子径が200nm以下であることが好ましい。
本発明のスキンケア用化粧料は、上記分散組成物を含むことを特徴とするものである。
本発明の分散組成物の製造方法は、カロテノイド含有油性成分を含む分散組成物の製造方法であって、カロテノイド含有油性成分及びリン脂質又はその誘導体と、水相とを混合して、エマルジョン粒子を有する水分散物を得ること、前記水分散物と、アスコルビン酸又はその誘導体を含む水性組成物とを混合して、平均粒子径200nm以下のエマルジョン粒子を有する分散組成物を得ること、分散組成物のpHをpH5〜7.5に調整すること、を含むものである。
また、上記分散組成物では、前記アスコルビン酸又はその誘導体が、リン酸アスコルビルマグネシウム、リン酸アスコルビルナトリウム、アスコルビル−2−グルコシド、アスコルビン酸ナトリウムから選択された少なくとも1種であることが好ましい。
上記分散組成物では、上記水分散組成物が更にトコフェロールを含むものであってもよい。
上記分散組成物では、前記リン脂質又はその誘導体が、前記水分散物全体の質量に対して0.001質量%〜20質量%であることが好ましい。
本発明では、カロテノイド含有油性成分を含み、エマルジョン粒子を有するO/W型エマルジョンである水分散物と、アスコルビン酸又はその誘導体を含む水性組成物とを混合し、更にpHをpH5〜7.5とすることにより、カロテノイド含有油性成分の分散安定性とカロテノイドの色味安定性とを共に良好に保つことができ、その結果、保存安定性、特に室温での保存安定性に優れた分散組成物とすることができる。
本発明のカロテノイド含有油性成分におけるカロテノイドとしては、植物類、藻類及びバクテリアのいずれのものも含まれる。また天然由来のものに限定されず、常法に従って得られるものであればいずれのものも本発明におけるカロテノイドに包含される。
カロテノイドの例としては、アクチニオエリスロール、アスタキサンチン、ビキシン、カンタキサンチン、カプサンチン、カプソルビン、β−8’−アポ−カロテナール(アポカロテナール)、β−12’−アポ−カロテナール、α−カロテン、β−カロテン、”カロテン”(α−及びβ−カロテン類の混合物)、γ−カロテン、δ−カロテン、β−クリプトキサンチン、エキネノン、パーム油カロテン、ルテイン、リコピン、ビオレリトリン、ゼアキサンチン、及びそれらのうちヒドロキシル又はカルボキシルを含有するもののエステル類を挙げることができる。
カロテノイドは一般に植物素材から抽出することができる。これらのカロテノイド類は種々の機能を有しており、例えば、マリーゴールドの花弁から抽出するルテインは家禽の餌の原料として広く使用され、家禽の皮膚及び脂肪並びに家禽が産む卵に色を付ける機能がある。
本水分散物におけるカロテノイドの含有量は、分散組成物としたときにカロテノイド含有の機能的効果を良好に発揮させる観点から比較的高濃度であり、好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは0.2〜5質量%、更に好ましくは0.5〜2質量%である。
アスタキサンチンは、476nm(エタノール)、468nm(ヘキサン)に吸収極大を持つ赤色の色素でカロテノイドの一種キサントフィルに属している(Davies, B.H. : In “Chemistry and Biochemistry of Plant Pigments”, T. W. Goodwin ed., 2nd ed., 38-165, Academic Press, NY, 1976.)。アスタキサンチンの化学構造は3,3’−dihydroxy−β,β−carotene−4,4’−dione(C40H5204、分子量596.82)である。
本発明においては、特に断らない限り、上記のアスタキサンチン及びアスタキサンチンエステル等の誘導体を含めて「アスタキサンチン」と称する。
アスタキサンチンは分子内に2個の水酸基を有するが、ヘマトコッカス藻抽出物(ヘマトコッカス藻由来色素)はモノエステル体が主成分であり、オキアミ由来の色素は、ジエステル体が主成分である点で異なることが知られている。
本発明に使用できるヘマトコッカス藻抽出物は、上記の原料を、必要に応じて、例えば特開平5−68585号公報等に開示された方法により細胞壁を破砕して、アセトン、エーテル、クロロホルム及びアルコール(エタノール、メタノール等)等の有機溶剤や、超臨界状態の二酸化炭素等の抽出溶剤を加えて抽出することによって得られる。
また、本発明において、広く市販されているヘマトコッカス藻抽出物を用いることができ、例えば、武田紙器(株)製のASTOTS−S、同−2.5O、同−5O、同−10O等、富士化学工業(株)製のアスタリールオイル50F、同5F等、東洋酵素化学(株)製のBioAstinSCE7等が挙げられる。
本発明において、ヘマトコッカス藻抽出物中のアスタキサチンの色素純分としての含有量は、好ましくは0.001質量%〜50質量%が好ましく、より好ましくは0.01質量%〜25質量%である。
また水分散物におけるアスタキサンチン含有オイルとしての配合量は、分散物の安定性の観点から0.001質量%〜20質量%が好ましく、0.1質量%〜10質量%であることが更に好ましい。
本発明で使用するリン脂質としては、具体的にはホスファチジン酸、ビスホスファチジン酸、レシチン(ホスファチジルコリン)、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルメチルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、ジホスファチジルグリセロール、スフィンゴミエリン等を例示でき、これらの成分を含む大豆、トウモロコシ、落花生、ナタネ、麦等の植物由来のものや、卵黄、牛等の動物由来のもの及び大腸菌等の微生物等由来の各種レシチンも挙げることができる。これらの混合物であるレシチンや水素添加レシチンを用いることもできる。またこれらリン脂質の由来は特に限定されず、例えばダイズ油等の植物油、卵黄等の動物由来のもの等が用いられ、特に精製したものが好適である。
このようなリゾレシチンは、酸、又はアルカリ触媒によるレシチンの加水分解により得られるが、ホスホリパーゼA1又はA2によるレシチンの加水分解により得ることもできる。
このようなリゾレシチンとしては、リゾホスファチジン酸、リゾホスファチジルグリセリン、リゾホスファチジルイノシトール、リゾホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルメチルエタノールアミン、リゾホスファチジルコリン(リゾレシチン)、リゾホスファチジルセリン等が挙げられる。
前記水素添加は、例えば、レシチンを触媒の存在下に水素と反応させることにより行われ、脂肪酸部分の不飽和結合が水素添加される。水素添加によってレシチンの酸化安定性が向上する。
また、前記ヒドロキシル化は、レシチンを高濃度の過酸化水素と酢酸、酒石酸、酪酸などの有機酸と共に加熱することにより、脂肪酸部分の不飽和結合がヒドロキシル化される。ヒドロキシル化により、レシチンの親水性が改良される。
市販品のレシチンとしては、理研ビタミン(株)製レシオンシリーズや、レシマールELなどを挙げることができる。
このレシチン純度(質量%)は、レシチンがトルエンに溶解しやすくアセトンに溶解しない性質を利用して、トルエン不溶物とアセトン可溶物の重量を差し引くことにより求められる。高純度レシチンは、リゾレシチンに比べて親油性が高く、そのためレシチンと油性成分との相溶性が高くなり、乳化安定性を向上させ得るため好ましい。
本発明で用いるリン脂質は、単独又は複数種の混合物の形態で用いることができる。
HLB=7+11.7log(Mw/Mo)
ここで、Mwは親水基の分子量、Moは疎水基の分子量である。
また、カタログ等に記載されているHLBの数値を使用してもよい。
また、上記の式からも分かるように、HLBの加成性を利用して、任意のHLB値の乳化剤を得ることができる。
使用可能なトコフェロールとしては、特に限定されず、トコフェロールまたはその誘導体からなる化合物群から選ばれるものである。
トコフェロールまたはその誘導体からなる化合物群としては、dl−α−トコフェロール、dl−β−トコフェロール、dl−γ−トコフェロール、dl−δ−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、ニコチン酸−dl−α−トコフェロール、リノール酸−dl−α−トコフェロール、コハク酸dl−α−トコフェロール等のトコフェロール及びその誘導体、α−トコトリエノール、β−トコトリエノール、γ−トコトリエノール、δ−トコトリエノール等が挙げられる。これらは、混合物の状態で使用する場合が多く、抽出トコフェロール、ミックストコフェロールなどと呼ばれる状態で使用できる。
本水分散物におけるトコフェロールの含有量としては、特に限定されないが、カロテノイド類の酸化防止に有効な量の観点から、カロテノイド量に対して0.1〜5の比率であることが好ましく、より好ましくは0.2〜3、更に好ましくは0.5〜2の比率である。
この場合、グリセリンの含有量は、本水分散物の全質量に対して、分散安定性、防腐性の観点から10質量%〜60質量%が好ましく、好ましくは20質量%〜55質量%、さらに好ましくは30質量%〜50質量%である。
使用可能な酸化防止剤としては、特に限定されないが、例えば、ポリフェノール類からなる化合物群、ラジカル補足剤、前述のトコフェロール類等を挙げることができる。
本発明で使用可能な酸化防止剤は、親水性の酸化防止剤、及び/又は、油溶性の酸化防止剤を、単独又は併用して使用することができる。
本発明における水分散物における酸化防止剤の含有量は、一般的には0.1質量%〜10質量%であり、好ましくは0.2質量%〜5質量%、より好ましくは0.5質量%〜2質量%である。
なお、一般に酸化防止剤等として使用可能なアスコルビン酸又はアスコルビン酸誘導体は、本水分散物には含まれない。これらの化合物は、後述するように、本水分散物と混合するための水性組成物中に含まれる。
本発明では、油脂の自動酸化反応を利用して、以下の実験条件下で、油脂の過酸化物価(POV値)を60meq/kgに引き上げるまでに要する時間が、ブランクに対し2倍以上である化合物をラジカル捕捉剤とする。より好ましくは、5倍以上である。
油脂:オリーブ油
添加量:油脂に対し0.1質量%
試験条件:試料を190℃にて加熱し、時間を追ってPOV値を測定し、60meq/kgとなる時間を算出した。
以下に好ましい化合物を例示するが本発明はこれらに限定されるものではない。
前記フェノール性OHを有する化合物として、グアヤク脂、ノルジヒドログアヤレチック酸(NDGA)、没食子酸エステル類、BHT(ブチルヒドロキシトルエン)、BHA(ブチルヒドロキシアニソール)、トコフェロール類およびビスフェノール類等が挙げられる。没食子酸エステル類として、没食子酸プロピル、没食子酸ブチルおよび没食子酸オクチルが挙げられる。
アミン系化合物としてフェニレンジアミンが挙げられ、ジフェニル−p−フェニレンジアミンまたは4−アミノ−p−ジフェニルアミンがより好ましい。
本発明におけるカロテノイド含有油性成分の含有量は、水分散物に対して、乳化粒子径の微細化と乳化安定性の観点から、0.1〜30質量%であることが好ましく、1〜20質量%であることがより好ましく、5〜15質量%であることが更に好ましい。
このような有機溶媒としては水溶性であることが好ましく、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル等及びそれらの混合物を挙げられる。これらの中でも、食品、化粧品等への用途を考慮したとき、エタノールが好ましい。
この有機溶媒の水分散物に対する含有量は、例えば、0.1質量%〜20質量%、好ましくは0.5質量%〜10質量%とすることができる。
粒子径は、添加成分の種類及び使用量、製造方法における乳化条件(せん断力・温度・圧力)や、添加剤の使用量、油相と水相比率、界面活性剤の使用量などの要因によって変動するが、本発明の粒子径であれば、実用上問題ない。
本発明における粒径範囲および測定の容易さから、本発明のエマルション粒径測定では動的光散乱法が好ましい。動的光散乱を用いた市販の測定装置としては、ナノトラックUPA(日機装(株))、動的光散乱式粒径分布測定装置LB−550((株)堀場製作所)、濃厚系粒径アナライザーFPAR−1000(大塚電子(株))等が挙げられる。また測定温度としては、粒子径の測定に通常用いられる温度であればよいが、20℃であることが好ましい。
本発明における粒子径は、測定温度を20℃とし、前記動的光散乱式粒径分布測定装置を用いて測定した値とする。
均質バルブ型高圧ホモジナイザーとしては、ゴーリンタイプホモジナイザー(APV社製)、ラニエタイプホモジナイザー(ラニエ社製)、高圧ホモジナイザー(ニロ・ソアビ社製)、ホモゲナイザー(三和機械(株)製)、高圧ホモゲナイザー(イズミフードマシナリ(株)製)、超高圧ホモジナイザー(イカ社製)等が挙げられる。
本発明における水性組成物は、アスコルビン酸又はその誘導体を含むものである。
本発明では、水性組成物にアスコルビン酸又はその誘導体が含まれるので、水性組成物とカロテノイド含有油性成分を含む水分散物とを混合することによって、カロテノイドの褪色を抑制し、エマルション粒子の分散性と色味とを共に安定させることができる。また、香料を更に含む分散組成物では、香料による賦香性を良好に維持することができる。
アスコルビン酸又はその誘導体としては、水溶性アスコルビン酸又はその誘導体であることが好ましい。
このようなアスコルビン酸又はアスコルビン酸誘導体としては、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カリウム、アスコルビン酸カルシウム、リン酸アスコルビルナトリウム、リン酸アスコルビルマグネシウム、硫酸アスコルビル、硫酸アスコルビル2ナトリウム塩、アスコルビル−2−グルコシド等が挙げられる。また、エリソルビン酸又はその誘導体、例えばエリソルビン酸、エリソルビン酸ナトリウム、エリソルビン酸カリウム、エリソルビン酸カルシウム、リン酸エリソルビン酸、硫酸エリソルビン酸なども、本発明におけるアスコルビン酸又はその誘導体に含むことができる。
これらのうち、カロテノイドの褪色防止やエマルジョン粒子の分散安定性の観点から、リン酸アスコルビルマグネシウム、リン酸アスコルビルナトリウム、アスコルビル−2−グルコシド、アスコルビン酸ナトリウムが好ましく、リン酸アルコルビルマグネシウム及びリン酸アスコルビルナトリウムが特に好ましい。
また、粒子の安定化剤などとして、種々の水溶性高分子化合物や水分散性微粒子を含むことができる。
水溶性高分子化合物としては、広く合成高分子、天然高分子、半合成高分子のいずれも用いることができ、中でも、カロテノイド含有油性成分などを良好に安定化させることができる観点から、特に糖類、タンパク質類およびそれらの複合体が好ましい。
これらの中で、代表的なものは、アガロース、アラビノース、アミロース、アミロペクチン、アカシアガム、アラビアガム、アラビノガラクタン、アルキルグリコシド、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、アルドース、イヌリン、オリゴ糖、ガッティガム、カードラン、カラギーナン、ガラクトマンナン、ガラクトース、キサンタンガム、キシロース、キシログルカン、キチン、キトサン、グアーガム、クラスターデキストリン、β−グルカン、グルクロン酸、グリコーゲン、グリコサミノグリカン、グリセルアルデヒド、グルコサミン、グルコース、グルコマンナン、ケトース、コンドロイチン硫酸、サイリウムシードガム、ジェランガム、シクロデキストリン、スクロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、セロビオース、ソルビトール、デオキシリボース、デキストリン、転化糖、デンプン、大豆多糖類、糖アルコール、糖タンパク質、トラガントガム、トレハロース、ヒアルロン酸、フコース、フルクトース、プルラン、ペクチン、ヘパリン、ヘミセルロース、マルトース、マンニトール、マンナン、ラクトース、リボース等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
これらの糖類の中では、粘度増加による分散安定性の観点から多糖類が好ましく、カロテノイド類の安定性の観点から、アラビアガム、プルランなどが更に好ましい。
タンパク質にはアミノ酸からなる単純タンパク質と、アミノ酸以外の構成成分を含む複合タンパク質とがあり、いずれも用いることができる。単純タンパク質の例としては、ゼラチン、コラーゲン、カゼイン、フィブロイン、セリシン、ケラチン、プロタミン等が挙げられる。また複合タンパク質としては、炭水化物に結合したタンパク質である糖タンパク質、脂質に結合したタンパク質であるリポタンパク質、金属イオンに結合したタンパク質である金属タンパク質、リボ核酸に結合したタンパク質である核タンパク質、リン酸基に結合したタンパク質であるリンタンパク質等がある。
一方、一般的には、タンパク質原料から呼称される場合も多く、動物性筋肉タンパク質、乳タンパク質、卵タンパク質、米タンパク質、小麦タンパク質(小麦グルテン)、大豆タンパク質、酵母タンパク質、細菌タンパク質等が挙げられる。
なお、このようなタンパク質は、混合物としても使用してもよい。
これらのタンパク質類の中では、分散安定性の観点から、特にゼラチンと水溶性コラーゲンが好ましい。
本分散組成物に含まれるエマルジョン粒子の平均粒子径は、透明性保持の観点から200nm以下のものであり、水分散物におけるエマルジョン粒子の粒子径よりも大きくてもよいが、透明性保持及び分散安定性保持の観点から、好ましくは150nm以下、更に好ましくは100nm以下とすることができる。分散組成物におけるエマルジョン粒子の測定方法は、水分散物におけるエマルジョン粒子の測定方法と同様に行うことができる。
水性組成物に対する水分散物の添加量としては、分散組成物の用途に依存して適宜変更することができるが、分散組成物全体の質量に対して、一般に0.01質量%〜10質量%、水分散物の着色濃度の観点から0.05質量%〜5質量%の配合量となるように水分散物を添加することが好ましく、0.1質量%〜1質量%であることが更に好ましい。
ここで本発明における室温とは、一般に、10℃〜40℃をいい、好ましくは15℃〜30℃、特に25℃をいう。
本発明で使用可能な香料としては、動物系、植物系、鉱物系の天然香料および合成香料のいずれも使用可能であり、例えば、ローズ抽出エキス、カモミール抽出エキス、グリーンティー香料、ラベンダー油、ゼラニウム油、ジャスミン油、ベルガモット油、ムスク油、イランイラン油、リモネン、リナロール、β−フェニルエチルアルコール、2,6−ノナジエナール、シトラール、シクロペンタデカノン、オイゲノール、ローズオキサイド、インドール、フェニルアセトアルデヒドジメチルアセタール、オーランチオールなどを挙げることができる。これらの香料のうち、カロテノイドの香りに対するマスキング特性と賦香性の観点から、ローズ抽出エキス、カモミール抽出エキス、グリーンティー香料が特に好ましい。
これらの香料は、本発明の分散組成物中に配合してもよいが、分散安定性の観点から好ましくは水性組成物に配合することが好ましい。この場合には、水性組成物において、水分散物の添加質量に対して1質量%〜50質量%、香りの強さの観点から好ましくは5質量%〜20質量%の配合量とすることができる。
このように水分散物を得るための混合と、得られた水分散物と上記水性組成物との混合という二段階の混合工程を経ることによって、平均粒子径200nm以下のエマルジョン粒子が分散し、保存安定性、特に室温での保存安定性に優れた分散組成物を容易に得ることができる。
上述したように本発明の分散組成物は、アスコルビン酸又はその誘導体を特に含み、平均粒子径200nm以下のエマルジョン粒子が分散した保存安定性に優れる分散組成物であるので、この分散組成物を含むスキンケア用化粧料も同様に、良好な保存安定性を示すことができる。
本分散組成物と共に使用可能な他の成分には、特に制限はなく、通常、化粧料として配合可能な成分を種類及び配合量に制限なく、そのまま使用することができる。
(1)水分散物(i)−a、(i)−bの作製
下記表1記載の各成分を、70℃で加熱しながら1時間溶解して、水性組成物を得た。
また、下記表2記載の各成分を、70℃で加熱しながら1時間溶解して、油相組成物を得た。
その後、平均孔径1μmのミクロフィルターでろ過して、アスタキサンチン類含有水分散物(i)−aを調製した。
下記表3の成分を室温で混合溶解して、水性組成物(ii)−a〜(ii)−gを得た。
また、表4に示すようにpHとなるように調整した以外は分散液(A−1)と同様にして、赤色透明の分散液(A−2)から(A−9)を得た。
更に、水性組成物(ii)−aに代えて(ii)−gを使用し、pH7.0となるように調整した以外は、分散液(A−1)と同様にして、赤色透明の分散液(H−1)を得た。
水分散物(i)−aに代えて水分散物(i)−bを使用し、pH7.0となるように調整した以外は、分散液(A−1)と同様にして、赤色透明の分散液(H−2)を得た。
得られた分散液(A−1)〜(A−9)及び(H−1)〜(H−2)を以下のように経時試験を実施した。
(4−1)50℃経時
サンプルを遮光容器に充填し、蓋を閉めた後、50℃の恒温槽に入れて経時28日間保管した。
(4−2)25℃空気バブル経時
サンプルを遮光容器に充填し、25℃の恒温室にて、空気を3mmφのガラス管にて1cc/minの流量で流した。1週間ごとに重量を測定し、揮発分を純水にて補正し、28日間経時した。
(4−3)25℃窒素バブル経時
サンプルを遮光容器に充填し、25℃の恒温室にて、窒素を3mmφのガラス管にて1cc/minの流量で流した。1週間ごとに重量を測定し、揮発分を純水にて補正し、28日間経時した。
物性値の測定は、褪色レベルは478nmでの吸光度変化で判断し、性状変化は、目視(濁り、析出)及び粒子径を確認した。
結果を表4に示す。
○:吸光度残存率85%以上(手のひらの上で変化が判別できず問題ないレベル)
△:吸光度残存率70%以上(手のひらの上で変化が判別できるが、商品価値上問題ないレベル)
×:吸光度残存率70%未満(NGレベル)
○:20nm以下
△:70nm以下
×:70nm超
○:混合直後品と見た目の性状変化が認識できない。
△:液に若干濁りが感じられる。
×:激しく濁りが生じている。液が分離している。析出が起こっている。
水性組成物(ii)−aに代えてそれぞれ、(ii)−b、(ii)−c、(ii)−d、(ii)−e、(ii)−fを用いた以外は実施例1と同様にして、分散液B−1からB−9(実施例2)、C−1からC−9(実施例3)、D−1からD−9(実施例4)、E−1からE−9(実施例5)及びF−1からF−9(実施例6)をそれぞれ調製した。これらの分散液に対して、実施例1と同様の評価を行った。実施例2〜6の結果は、それぞれ表5〜9に示す。
その結果、実施例2〜6のいずれにおいても、実施例1と同様にpH5〜pH7.5の分散液では、乳化直後の平均粒径が小さく、保存経時後でもその粒径にほとんど変化が見られなかった。強制保存経時後のエマルションの目視観察においても、褪色変化や性状変化が小さく、濁りや析出なども認めらなかった。特に25℃における保存経時では、比較例に対して褪色の程度が小さく安定性に優れており、pH6.5〜pH7.5において特に顕著であった。
またこの水性組成物を用いることによって、保存安定性に優れたスキンケア用化粧料を提供することができる。
Claims (9)
- カロテノイド含有油性成分を含む分散組成物であって、
カロテノイド含有油性成分及び、リン脂質又はその誘導体を含むエマルジョン粒子を有する水分散物と、
アスコルビン酸又はその誘導体を含む水性組成物と、
pH調整剤と、
を混合することによって得られたpHが5〜7.5の分散組成物。 - 前記カロテノイドが、アスタキサンチン及びそのエステルから選択された少なくとも1種である請求項1記載の分散組成物。
- 前記カロテノイド含有油性成分が、ヘマトコッカス藻抽出物である請求項1又は2記載の分散組成物。
- 前記アスコルビン酸又はその誘導体が、リン酸アスコルビルマグネシウム、リン酸アスコルビルナトリウム、アスコルビル−2−グルコシド、アスコルビン酸ナトリウムから選択された少なくとも1種である請求項1〜3のいずれか1項記載の分散組成物。
- 前記水分散物がトコフェロールを含む請求項1〜4のいずれか1項記載の分散組成物。
- 前記リン脂質又はその誘導体が、前記水分散物全体の質量に対して0.001質量%〜20質量%である請求項1〜5のいずれか1項記載の分散組成物。
- 前記分散組成物中のエマルジョン粒子の平均粒子径が200nm以下である請求項1〜6のいずれか1項記載の分散組成物。
- 請求項1〜7のいずれか1項記載の分散組成物を含むスキンケア用化粧料。
- カロテノイド含有油性成分を含む分散組成物の製造方法であって、
カロテノイド含有油性成分及びリン脂質又はその誘導体と、水相とを混合して、エマルジョン粒子を有する水分散物を得ること、
前記水分散物と、アスコルビン酸又はその誘導体を含む水性組成物とを混合して、平均粒子径200nm以下のエマルジョン粒子を有する分散組成物を得ること、
分散組成物のpHをpH5〜7.5に調整すること、
を含む分散組成物の製造方法。
Priority Applications (6)
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