JP2009006824A - 車載装置及び走行制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】自車の後方を走行する後方車両による衝突被害を軽減又は回避することができる車載装置及び車両の走行制御方法を提供する。
【解決手段】制御部31は、後方ビデオカメラ11、12で撮像して得られた画像データをフレーム単位で取得し、取得した画像データに基づいて後方車両を検知し、後方車両による追突の可能性を判定する。制御部31は、追突の可能性があると判定した場合、前方ビデオカメラ21、22で撮像して得られた画像データをフレーム単位で取得し、取得した画像データに基づいて前方車両を検知して自車が前方に移動することができるか否かを判定する。制御部31は、前方移動可否判定の結果に基づいて、自車を所定の加速度で加速させる。
【選択図】図2

Description

本発明は、自車の後方を走行する後方車両による衝突被害を軽減又は回避する車載装置及び車両の走行制御方法に関する。
自動車などの車両の前部(例えば、バンパー、フロントグリルなど)に2つのビデオカメラを設置し、両方のビデオカメラで撮像した撮像画像における対象物の視差に基づいて対象物までの距離を求め、歩行者、障害物などの接近を運転者に知らせることで安全運転を支援する車両の周辺監視装置が提案されている(特許文献1参照)。
また、前方を監視する装置を車両に搭載し、例えば、前方の車両を検知して前方車両への追突可能性を判断し、追突の可能性がある場合には運転者へ警告を行い、あるいは、自動的にブレーキをかけて前方車両への追突を防止する衝突被害軽減システム(プリクラッシュセーフティシステム)が製品化されている。
特許第3515926号公報
しかしながら、プリクラッシュセーフティシステムが搭載された車両は、自車が前方の車両へ追突する可能性を回避し、あるいは、追突時の被害を低減することができるものの、後方から走行してくる後方車両に追突される被追突車両は、追突の回避あるいは追突時の被害を低減する手段は何ら有していなかった。このため、仮に追突する側の車両にプリクラッシュセーフティシステムが搭載されていたとしても、追突回避の可能性又は追突時の被害の大小は、追突車両の挙動(例えば、運転者の運転操作、システムの性能など)に依存せざるを得なかった。また、追突する側の車両にプリクラッシュセーフティシステムが搭載されていない場合には、追突事故を防ぐ手立ては存在しなかった。
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、後方車両を検出した場合、検出した後方車両との相対速度を算出し、算出した相対速度に基づいて衝突の可否を判定し、衝突すると判定した場合、自車の走行を制御することにより、自車の後方を走行する後方車両による衝突被害を軽減又は回避することができる車載装置及び該車載装置を用いた車両の走行制御方法を提供することを目的とする。
第1発明に係る車載装置は、自車の後方を走行する後方車両による衝突被害を軽減又は回避すべく自車の走行制御を行う車載装置であって、後方車両を検出する後方車両検出手段と、該後方車両検出手段で検出した後方車両との相対速度を算出する相対速度算出手段と、該相対速度算出手段で算出した相対速度に基づいて、衝突の可否を判定する衝突判定手段と、該衝突判定手段で衝突すると判定した場合、自車の走行を制御する制御手段とを備えることを特徴とする。
第2発明に係る車載装置は、第1発明において、前記制御手段は、自車を前方に向かって加速すべく制御するように構成してあることを特徴とする。
第3発明に係る車載装置は、第1発明において、前記制御手段は、車幅方向に自車を移動すべく制御するように構成してあることを特徴とする。
第4発明に係る車載装置は、第1発明において、自車の前方を走行する前方車両を検出する前方車両検出手段と、自車から該前方車両検出手段で検出した前方車両までの前方距離を算出する前方距離算出手段とを備え、前記制御手段は、前記前方距離算出手段で算出した前方距離に基づいて、自車を前方に向かって加速すべく制御するように構成してあることを特徴とする。
第5発明に係る車載装置は、第1発明乃至第4発明のいずれかにおいて、2つの撮像装置で撮像されたそれぞれの撮像画像を取得する撮像画像取得手段と、該撮像画像取得手段で取得した撮像画像の一方の撮像画像を小領域に分割する分割手段と、該分割手段で分割した小領域毎に他方の撮像画像との間で相関値を算出する相関値算出手段と、該相関値算出手段で算出した相関値に基づいて、前記小領域に対応する対応領域を他方の撮像画像で特定する対応領域特定手段と、前記小領域と対応領域との視差に基づいて、自車からの距離が略等しい候補領域を特定する候補領域特定手段とを備え、前記後方車両検出手段は、前記候補領域特定手段で特定した候補領域に基づいて、後方車両を検出するように構成してあることを特徴とする。
第6発明に係る車載装置は、第5発明において、前記候補領域特定手段で特定した候補領域の撮像画像上の座標に基づいて、自車から後方車両までの後方距離を算出する後方距離算出手段と、撮像時点が異なる撮像画像それぞれに基づいて前記後方距離算出手段で算出した後方距離の差分を算出する差分算出手段とを備え、前記相対速度算出手段は、前記差分算出手段で算出した後方距離の差分に基づいて、相対速度を算出するように構成してあることを特徴とする。
第7発明に係る車載装置は、第6発明において、前記衝突判定手段は、前記後方距離算出手段で算出した後方距離と前記相対速度算出手段で算出した相対速度との比が所定の閾値以下である場合、衝突すると判定するように構成してあることを特徴とする。
第8発明に係る車載装置は、第6発明又は第7発明において、自車の回頭角を取得する回頭角取得手段と、該回頭角取得手段で取得した回頭角に基づいて、前記後方距離算出手段で算出した後方距離を補正する補正手段とを備えることを特徴とする。
第9発明に係る走行制御方法は、自車の後方を走行する後方車両による衝突被害を軽減又は回避すべく自車の走行制御を行う走行制御方法であって、後方車両を検出し、検出した後方車両との相対速度を算出し、算出した相対速度に基づいて、衝突の可否を判定し、衝突すると判定した場合、自車の走行を制御することを特徴とする。
第1発明及び第9発明にあっては、後方車両検出手段は、自車の後方を走行する後方車両を検出する。後方車両検出手段は、例えば、車両後部に設置した2つの可視光ビデオカメラ、近赤外ビデオカメラ、又は遠赤外ビデオカメラなどの撮像装置を用いることができる。あるいは、ミリ波レーダ、レーザレーダなどのレーダを用いてもよい。相対速度算出手段は、自車と検出した後方車両との相対速度Vを算出する。衝突判定手段は、算出した相対速度Vに基づいて、衝突の可否を判定する。制御手段は、衝突すると判定した場合、自車の走行を制御する。この場合、状況に応じて、自車を加速するように制御して追突の回避又は追突時の衝撃若しくは被害を軽減することができる。また、自車を車幅方向に移動すべく制御して追突の回避又は追突時の衝撃若しくは被害を軽減することができる。
第2発明にあっては、制御手段は、自車を前方に向かって加速すべく制御する。これにより、追突の回避又は追突時の衝撃若しくは被害を軽減することができる。
第3発明にあっては、制御手段は、車幅方向に自車を移動すべく制御する。これにより、追突の回避又は追突時の衝撃若しくは被害を軽減することができる。
第4発明にあっては、後方車両が衝突(追突)すると判定した場合、前方車両検出手段は、自車の前方を走行する前方車両を検出する。前方距離算出手段は、検出した前方車両までの前方距離を算出する。この場合、車両前部に配置した2つのビデオカメラそれぞれで撮像した2つの撮像画像に基づいて、ステレオ法を用いて前方車両までの距離を算出することができる。なお、レーダを用いることも可能である。制御手段は、算出した前方距離に基づいて、自車を前方に向かって加速すべく制御する。例えば、前方距離が十分ある場合、自車を加速することができる。また、前方距離が十分でない場合、加速する代わりに自車を車幅方向に移動させる。なお、前方距離が少しでもある場合に、自車を加速させるようにしてもよい。
第5発明にあっては、2つの撮像装置で撮像した撮像画像の一方の撮像画像(基準画像)を小領域(例えば、解像度が320×240の場合、4×4画素のブロック)に分割する。分割した小領域から1つの小領域(基準ブロック)を選択し、他方の撮像画像(参照画像)を走査し、小領域との相関値を算出する。算出した相関値に基づいて小領域に対応する対応領域(参照ブロック)を特定する。少領域と対応領域との視差に基づいて、自車からの距離が略等しい候補領域を特定する。例えば、基準画像において、視差が略等しくかつ隣接する小領域(ブロック)をグループ化して候補領域を特定することができる。後方車両検出手段は、特定した候補領域に基づいて後方車両を検出する。例えば、特定した候補領域の形状、大きさなどの特徴量に基づいて、車両ではあり得ないノイズを除去して車両を検出することができる。
第6発明にあっては、後方距離算出手段は、任意の撮像時点で2つのビデオカメラそれぞれで撮像した2つの撮像画像上の候補領域の座標に基づいて、ステレオ法を用いて後方車両までの距離Zを算出する。差分算出手段は、異なる2つの撮像時点(例えば、1秒当たりのフレーム数を30とした場合、現フレームと1つ前のフレームとの時間差である30分の1秒)での後方車両までの距離の差分を算出する。相対速度算出手段は、後方車両までの距離の差分を撮像時点間の時間で除算することにより相対速度Vを算出する。なお、この場合、車速センサからのデータを取得して自車の速度を用いることもできる。
第7発明にあっては、衝突判定手段は、後方車両までの距離と相対速度Vとの比が所定の閾値以下である場合、衝突すると判定する。例えば、自車から後方車両までの距離Zを相対速度Vで除算した値Z/Vが、所定の閾値ΔT以下である場合には、衝突(追突)すると判定する。なお、閾値ΔTは、適宜設定することが可能であり、例えば、衝突(追突)を回避するためには、2〜3秒程度に設定することができる。また、衝突時に衝撃又は被害を軽減するためには、0.5秒程度に設定することができる。
第8発明にあっては、回頭角取得手段は、自車の回頭角θを取得する。例えば、ヨーレートセンサで取得したデータに基づいて、撮像装置の1フレーム経過(例えば、1秒当たりのフレーム数を30とした場合、現フレームと1つ前のフレームとの時間差である30分の1秒)する間に変位する回頭角θを取得する。取得した回頭角θに基づいて、算出した後方車両までの距離を補正する。これにより、自車の走行方向が後方車両の走行方向とずれた場合であっても、後方車両までの距離を精度良く求めることができる。
本発明にあっては、後方車両を検出した場合、検出した後方車両との相対速度を算出し、算出した相対速度に基づいて衝突(追突)の可否を判定し、衝突すると判定した場合、自車の走行を制御することにより、追突する側の車両の挙動(例えば、運転者の運転操作、システムの性能など)に依存することなく、追突される側の車両が自らの走行を制御して、追突車両による衝突被害を軽減又は回避することができる。
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて説明する。図1は本発明の実施の形態に係る車載装置であるECU30を搭載した車両の構成を示す模式図である。図1に示すように、車両の後部バンパー付近に後方ビデオカメラ11、12を車両の幅方向に左右対称な箇所に並置している。また、車両の前部バンパー付近に前方ビデオカメラ21、22を車両の幅方向に左右対称な箇所に並置している。後方ビデオカメラ11、12、前方ビデオカメラ21、22は、それぞれ波長が0.4〜0.8μmの可視光を撮像することができる。
後方ビデオカメラ11、12、前方ビデオカメラ21、22で撮像された画像データは、NTSC等のアナログ映像方式、又はデジタル映像方式に対応した映像ケーブルを介して接続してあるECU30へ送信される。
より具体的には、後方ビデオカメラ11、12、前方ビデオカメラ21、22は、光学信号を電気信号に変換するCCD(Charge Couple Device)又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの撮像素子をマトリックス状に備えている。後方ビデオカメラ11、12、前方ビデオカメラ21、22は、車両の周囲の可視光像を電気信号として読み取り、読み取った電気信号(映像信号)をECU30へ送信する。
ECU30には、NTSC、VGA、DVI等の映像方式に対応したケーブルを介して液晶ディスプレイ等の表示装置40を接続してある。表示装置40は、後方ビデオカメラ11、12、前方ビデオカメラ21、22で撮像した映像を表示するとともに、運転者の操作を受け付ける操作部、運転者に対して警告又は通知等を行う音声出力機能を備えている。
また、ECU30には、車載LANなどのネットワークを介してスロットルアクチュエータ50、操舵部60、ヨーレートセンサ70、車速センサ80などを接続してある。
スロットルアクチュエータ50は、ECU30が出力する制御信号に基づいて車両を加速させる。操舵部60は、ECU30が出力する制御信号に基づいて車両の操舵角を制御し、車両を右側あるいは左側に移動させる。
ヨーレートセンサ70は、例えば、振動型ジャイロスコープであり、所定の時間間隔で角速度信号をECU30へ出力する。車速センサ80は、自車の走行速度をECU30へ出力する。
図2はECU30の構成を示すブロック図である。図2に示すように、ECU30は、制御部31、画像メモリ32、RAM33、映像入力部34、映像出力部35、通信インタフェース部36などを備えている。
映像入力部34は、後方ビデオカメラ11、12、前方ビデオカメラ21、22から映像信号(画像データ)の入力を行う。映像入力部34は、後方ビデオカメラ11、12、前方ビデオカメラ21、22から入力された画像データを、1フレーム単位に同期させて画像メモリ32に記憶する。
映像出力部35は、表示装置40に対して画像データを出力し、後方ビデオカメラ11、12、前方ビデオカメラ21、22で撮像した撮像画像を表示する。なお、撮像画像を表示させるか否かは、表示装置40の操作部で設定することができる。
通信インタフェース部36は、スロットルアクチュエータ50、操舵部60、ヨーレートセンサ70、車速センサ80との間の通信機能を備えている。
画像メモリ32は、SRAM、フラッシュメモリ、SDRAM等であり、映像入力部34を介して後方ビデオカメラ11、12、前方ビデオカメラ21、22から入力された画像データを記憶する。
制御部31は、CPU又は専用のハードウエアで構成することができ、画像メモリ32に記憶された画像データをフレーム単位で読み出し、読み出したフレーム単位の撮像画像(画像データ)に対して所定の画像処理を行う。例えば、制御部31は、自車の後方を走行する後方車両の抽出処理、後方車両の追跡処理、後方車両による追突の可否を判定する処理、自車の前方に移動可能な領域があるか否かを判定する処理、自車の前方移動制御処理などの処理を行う。制御部31での処理の詳細は後述する。
次にECU30の動作について説明する。図3は後方車両による追突の回避又は追突被害軽減のための処理手順を示すフローチャートである。
制御部31は、画像メモリ32に記憶してある画像データをフレーム単位で読み出し、フレーム単位毎に以下の処理を行う。すなわち、制御部31は、まず、後方車両による追突の可能性を判定するため追突検知の処理を行う(S1)。追突検知の処理で追突の可能性があると判定した場合、制御部31は、自車が前方に移動することができるか否かを判定するため前方移動可否判定の処理を行う(S2)。
制御部31は、前方移動可否判定の結果に基づいて、自車の前方移動制御の処理を行い(S3)、処理終了要求の有無を判定する(S4)。処理終了要求がない場合(S4でNO)、制御部31は、ステップS1以降の処理を続け、処理終了要求がある場合(S4でYES)、処理を終了する。
図4は追突検知の処理手順を示すフローチャートである。制御部31は、取得した画像データに基づいて、後方車両を抽出する(S11)。なお、後方車両の抽出処理の詳細は後述する。制御部31は、抽出した後方車両をフレーム単位で追跡する(S12)。後方車両の追跡処理の詳細についても後述する。制御部31は、後方車両が自車に追突するか否かの判定を行い(S13)、処理を終了する。なお、追突判定の処理については後述する。
図5は後方車両抽出処理の手順を示すフローチャートである。制御部31は、後方ビデオカメラ11、12それぞれで撮像して得られた撮像画像(画像データ)をフレーム単位で取得し(S101)、取得したフレーム単位の撮像画像のうちの一方の撮像画像(基準画像)をブロックに分割する(S102)。分割するブロックの大きさは、例えば、4×4画素のブロックであるが、撮像画像の解像度に応じて適宜決定することができる。
制御部31は、分割したブロックから1つのブロック(基準ブロック)を選択する(S103)。なお、基準ブロックは、例えば、撮像画像上の左上から右下に向かって水平方向に順次選択することができる。
制御部31は、他方の撮像画像(参照画像)中で同じ大きさのブロックを走査して相関値を算出する(S104)。相関値の算出は、例えば、式(1)に基づいて行われる。また、参照画像中での走査は水平方向のみの走査でよいが、参照画像中で上下複数ラインにまたがって走査することもできる。
Figure 2009006824
ここで、Nは基準ブロック及び参照画像中のブロックにおける総画素数、kは零からN−1までの整数、Fkは基準ブロク内におけるk番目の画素の輝度値、Gkは参照画像中のブロックにおけるk番目の画素の輝度値、及びRは相関値を表す。なお、相関値の算出方法は、これに限定されるものではなく、絶対差分総和法、正規化相互相関法など、どのような方法であってもよい。
制御部31は、最も相関値の大きいブロックを参照ブロックとして特定し(S105)、基準ブロック及び参照ブロックのそれぞれの撮像画像上の座標(x座標、y座標)に基づいて視差を算出する(S106)。
制御部31は、基準画像中のすべてのブロックを選択したか否かを判定し(S107)、すべてのブロックを選択していない場合(S107でNO)、ステップS103以降の処理を続ける。すべてのブロックを選択した場合(S107でYES)、制御部31は、基準画像において、視差が略等しく、かつ隣接するブロックをグループ化して候補領域を特定する(S108)。
制御部31は、特定した候補領域の特徴量(例えば、形状、大きさ)を抽出して車両ではないと判定される候補領域をノイズとして除去した後、除去されずに残った候補領域を後方車両として抽出する(S109)。なお、後方車両の抽出には、候補領域をそのまま後方車両として抽出してもよく、あるいは、サポートベクタマシン(SVM)、ブースティング(Boosting)など学習アルゴリズム手法を用いてもよい。
制御部31は、現フレーム(例えば、撮像時刻がt)での後方車両までの距離Ztを算出し(S110)、処理を終了する。自車から後方車両までの距離の算出は、候補領域を構成するブロックの視差の最大値又は視差の平均値を用いることができる。
後方車両までの距離の算出は、三角測量の原理によりステレオ法を用いて行うことができる。例えば、後方ビデオカメラ11、12のカメラ座標系を(X、Y、Z)とする。ここで、カメラ座標系の中心は、自車の後端部中央、すなわち、後方ビデオカメラ11、12の間の位置とする。また、Xは自車の車幅方向、Yは路面に対して上方向、Zは後方向である。また、後方ビデオカメラ11、12の離隔距離をh、焦点距離をfとする。また、後方ビデオカメラ11の撮像画像における候補領域の座標を(xR、yR)、後方ビデオカメラ12の撮像画像における候補領域の座標を(xL、yL)とする。なお、撮像画像の中心を座標の中心とする。カメラ座標における後方車両の位置(X、Y、Z)は、式(2)〜式(4)で求めることができる。
Figure 2009006824
図6は後方車両追跡の処理手順を示すフローチャートである。制御部31は、現フレーム(例えば、撮像時刻がt)における候補領域を1つ選択し(S121)、選択した候補領域の面積重心を算出し(S122)、選択した候補領域の大きさを算出する(S123)。なお、候補領域を選択する場合、後方車両として抽出された候補領域の中から選択し、ノイズとして除外された候補領域は除くものとする。
制御部31は、1つ前のフレームの候補領域(例えば、撮像時刻がt−1)を検索し(S124)、面積重心及び大きさの差が最も小さい候補領域を選択し(S125)、現フレームにおける候補領域と1つ前のフレームにおける候補領域とを対応付けるため同一ラベルを付与する(S126)。これにより、異なる撮像時点(撮像時刻t、t−1)において面積重心及び大きさが最も類似する候補領域同士を同一ラベルで対応付ける。
制御部31は、現フレームにおけるすべての候補領域を選択したか否かを判定し(S127)、すべての候補領域を選択していない場合(S127でNO)、ステップS121以降の処理を行い、すべての候補領域を選択した場合(S127でYES)、処理を終了する。
図7は追突判定の処理手順を示すフローチャートである。制御部31は、現フレーム((例えば、撮像時刻がt)と1つ前のフレーム(例えば、撮像時刻がt−1)の間での自車の回頭角θを算出する(S131)。回頭角θの算出は、例えば、ヨーレートセンサ70が出力する角速度信号を、1つ前のフレームと現フレームとの間の時間分だけ積分して求める。これにより、ヨーレートセンサ70の出力タイミングとフレームレートが異なる場合でも、フレームレートに合わせて回頭角θを求めることができる。
制御部31は、算出した回頭角θを用いて、1つ前のフレームにおける後方車両までの距離Zt−1を補正した距離Z’t−1を算出する(S132)。回頭角θを用いた後方車両までの距離の補正は、式(5)に基づいて行うことができる。
Figure 2009006824
ここで、(X、Y、Z)は補正前の後方車両の位置を表し、(X’、Y’、Z’)は補正後の後方車両の位置を表す。θは自車の回頭角である。
制御部31は、ZtがZ’t−1より小さいか否かを判定し(S133)、ZtがZ’t−1より小さい場合(S133でYES)、現フレームにおける候補領域のx座標(例えば、xt)と1つ前のフレームの候補領域のx座標(例えば、xt−1)を特定する(S134)。なお、候補領域の座標は基準画像における座標を用いることができるが、参照画像における候補領域の座標を用いてもよい。また、撮像画像上で候補領域は、ある程度の広がりを有しているので、候補領域のx座標としては、自車に最も近い部分のx座標を用いることができる。
制御部31は、xtの絶対値がxt−1の絶対値より小さいか否かを判定し(S135)、xtの絶対値がxt−1の絶対値より小さい場合(S135でYES)、後方車両が自車へ接近していると判定し、後方車両との相対速度Vを算出する(S136)。なお、x座標の絶対値を比較する方法に代えて、(現フレームの候補領域のx座標−撮像画像の横幅の2分の1)が(1つ前のフレームの候補領域のx座標−撮像画像の横幅の2分の1)より小さいか否かを判定してもよい。
相対速度Vの算出は、例えば、1つ前のフレームにおける後方車両までの補正後の距離Z’t−1から現フレームにおける後方車両までの距離Ztを差し引いた値をフレーム間の時間で除算することにより求めることができる。なお、この場合、車速センサ80が出力する自車の走行速度を考慮することもできる。
制御部31は、Zt/Vが所定の閾値ΔT以下であるか否かを判定し(S137)、Zt/Vが所定の閾値ΔT以下である場合(S137でYES)、追突する(追突の可能性が高い)と判定し(S138)、処理を終了する。また、Zt/Vが所定の閾値ΔT以下でない場合(S137でNO)、制御部31は、追突しないと判定し(S139)、処理を終了する。
所定の閾値ΔTは、適宜設定することが可能であり、例えば、衝突(追突)を回避するためには、2〜3秒程度に設定することができる。また、衝突時に衝撃又は被害を軽減するためには、0.5秒程度に設定することができる。なお、閾値ΔTはこれらの値に限定されるものではない。
一方、ZtがZ’t−1より小さくない場合(S133でNO)、制御部31は、ステップS139の処理を行う。また、xtの絶対値がxt−1の絶対値より小さくない場合(S135でNO)、制御部31は、ステップS139の処理を行う。
図8は前方移動可否の判定の処理手順を示すフローチャートである。制御部31は、上述の追突判定処理で後方車両により追突されると判定した場合、前方移動可否の判定処理を行う。制御部31は、前方車両を抽出し(S201)、前方車両の有無を判定する(S202)。なお、ステップS201の前方車両の抽出処理は、図5で説明したステップS101〜S110と同様の処理を行う。詳細な説明は省略する。
前方車両がない場合(S202でNO)、制御部31は、前方車両なしと判定し(S203)、処理を終了する。前方車両がある場合(S202でYES)、制御部31は、前方車両までの距離が所定の閾値より大きい(長い)か否かを判定する(S204)。
前方車両までの距離が所定の閾値より大きい場合(S204でYES)、制御部31は、前方移動可と判定し(S205)、処理を終了する。前方車両までの距離が所定の閾値より大きくない場合(S204でNO)、制御部31は、前方移動否と判定し(S206)、処理を終了する。前方車両までの距離の大小(長短)を判定する所定の閾値は、適宜設定することができる。例えば、0.5m、1m、2mなどの値を設定することができる。また、この閾値は、自車の走行速度、前方車両との相対速度などに応じて変更することもできる。
図9は前方移動制御の処理手順を示すフローチャートである。制御部31は、前方車両なしか否かを判定し(S301)、前方車両がない場合(S301でYES)、スロットルアクチュエータ50へ制御信号を出力して大きい加速度で自車を加速し(S302)、処理を終了する。大きい加速度としては、例えば、0.2m/s2 を超える加速度で加速することができる。
前方車両がある場合(S301でNO)、制御部31は、前方移動可であるか否かを判定し(S303)、前方移動可である場合(S303でYES)、スロットルアクチュエータ50へ制御信号を出力して小さい加速度で自車を加速し(S304)、処理を終了する。小さい加速度としては、急激な加速を防止するため、例えば、0.2m/s2 以下の加速度で加速することができる。
前方移動可でない場合(S303でNO)、すなわち、前方移動否である場合、制御部31は、操舵部60へ制御信号を出力して自車を車幅方向に移動させ(S305)、処理を終了する。
上述の前方移動制御処理では、前方車両がない場合、比較的大きな加速度で加速し、自車の安全走行を確保しつつ後方車両からの追突を回避又は衝突被害を軽減する。また、前方移動可である場合、あまり大きな加速度で加速した場合、前方車両に追突する可能性もでてくることから、比較的小さな加速度で加速し、安全走行を確保しつつ後方車両による衝突被害を軽減する。また、前方移動否である場合、前方車両と後方車両との間でクラッシュすることを回避するため、車幅方向(右又は左)に移動して衝突被害を軽減する。
以上説明したように、本発明にあっては、後方車両を検出した場合、検出した後方車両との相対速度を算出し、算出した相対速度に基づいて衝突(追突)の可否を判定し、衝突すると判定した場合、自車の走行を制御することにより、追突する側の車両の挙動(例えば、運転者の運転操作、システムの性能など)に依存することなく、追突される側の車両が自らの走行を制御して、追突車両による衝突被害を軽減又は回避することができる。
上述の実施の形態では、後方車両、前方車両の検出にビデオカメラを用いる構成であったが、これに限定されるものではなく、レーザレーダ、あるいは電波式レーダ(ミリ波レーダ)などを用いることもできる。例えば、ミリ波レーダを用いる場合、送信波と受信波(車両で反射した電波)をミキシングして車両までの距離に応じたビート周波数を有する信号を抽出することで、車両の検出、距離の算出などを行うことができる。また、ビデオカメラとレーダとを組み合わせて用いる構成であってもよい。
上述の実施の形態では、可視光のビデオカメラを用いる構成であったが、ビデオカメラはこれに限定されるものではなく、近赤外線、遠赤外線のビデオカメラを用いる構成でもよい。近赤外線のビデオカメラでは、例えば、波長が0.8〜3μmの近赤外光を取得し、遠赤外線のビデオカメラでは、波長が8〜12μmの遠赤外線を取得する。また、ビデオカメラの設置箇所は、バンパー付近に限定されず、ルームミラー近傍、フロントグリル内部、リアウインド付近などに設置することができる。
上述の実施の形態では、前方移動否と判定した場合、自車を車幅方向に移動させるように制御する構成であったが、自車の走行制御は、これに限定されるものではない。例えば、前方車両が存在する場合、自車と前方車両までの距離に応じて、自車を加速する加速度を段階的又は連続に変化させることもできる。すなわち、前方車両までの距離が長いほど、大きな加速度で加速することができる。また、この場合、前方車両との距離が10cm程度(少しでも余裕がある場合)であっても、小さい加速度(例えば、0.2m/s2 以下の加速度)で加速して後方車両による追突被害を軽減させることもできる。
本発明の実施の形態に係る車載装置であるECUを搭載した車両の構成を示す模式図である。 ECUの構成を示すブロック図である。 後方車両による追突の回避又は追突被害軽減のための処理手順を示すフローチャートである。 追突検知の処理手順を示すフローチャートである。 後方車両抽出処理の手順を示すフローチャートである。 後方車両追跡の処理手順を示すフローチャートである。 追突判定の処理手順を示すフローチャートである。 前方移動可否の判定の処理手順を示すフローチャートである。 前方移動制御の処理手順を示すフローチャートである。
符号の説明
11、12 後方ビデオカメラ
21、22 前方ビデオカメラ
30 ECU
31 制御部
32 画像メモリ
33 RAM
34 映像入力部
35 映像出力部
36 通信インタフェース部
40 表示装置
50 スロットルアクチュエータ
60 操舵部
70 ヨーレートセンサ
80 車速センサ

Claims (9)

  1. 自車の後方を走行する後方車両による衝突被害を軽減又は回避すべく自車の走行制御を行う車載装置であって、
    後方車両を検出する後方車両検出手段と、
    該後方車両検出手段で検出した後方車両との相対速度を算出する相対速度算出手段と、
    該相対速度算出手段で算出した相対速度に基づいて、衝突の可否を判定する衝突判定手段と、
    該衝突判定手段で衝突すると判定した場合、自車の走行を制御する制御手段と
    を備えることを特徴とする車載装置。
  2. 前記制御手段は、
    自車を前方に向かって加速すべく制御するように構成してあることを特徴とする請求項1に記載の車載装置。
  3. 前記制御手段は、
    車幅方向に自車を移動すべく制御するように構成してあることを特徴とする請求項1に記載の車載装置。
  4. 自車の前方を走行する前方車両を検出する前方車両検出手段と、
    自車から該前方車両検出手段で検出した前方車両までの前方距離を算出する前方距離算出手段と
    を備え、
    前記制御手段は、
    前記前方距離算出手段で算出した前方距離に基づいて、自車を前方に向かって加速すべく制御するように構成してあることを特徴とする請求項1に記載の車載装置。
  5. 2つの撮像装置で撮像されたそれぞれの撮像画像を取得する撮像画像取得手段と、
    該撮像画像取得手段で取得した撮像画像の一方の撮像画像を小領域に分割する分割手段と、
    該分割手段で分割した小領域毎に他方の撮像画像との間で相関値を算出する相関値算出手段と、
    該相関値算出手段で算出した相関値に基づいて、前記小領域に対応する対応領域を他方の撮像画像で特定する対応領域特定手段と、
    前記小領域と対応領域との視差に基づいて、自車からの距離が略等しい候補領域を特定する候補領域特定手段と
    を備え、
    前記後方車両検出手段は、
    前記候補領域特定手段で特定した候補領域に基づいて、後方車両を検出するように構成してあることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の車載装置。
  6. 前記候補領域特定手段で特定した候補領域の撮像画像上の座標に基づいて、自車から後方車両までの後方距離を算出する後方距離算出手段と、
    撮像時点が異なる撮像画像それぞれに基づいて前記後方距離算出手段で算出した後方距離の差分を算出する差分算出手段と
    を備え、
    前記相対速度算出手段は、
    前記差分算出手段で算出した後方距離の差分に基づいて、相対速度を算出するように構成してあることを特徴とする請求項5に記載の車載装置。
  7. 前記衝突判定手段は、
    前記後方距離算出手段で算出した後方距離と前記相対速度算出手段で算出した相対速度との比が所定の閾値以下である場合、衝突すると判定するように構成してあることを特徴とする請求項6に記載の車載装置。
  8. 自車の回頭角を取得する回頭角取得手段と、
    該回頭角取得手段で取得した回頭角に基づいて、前記後方距離算出手段で算出した後方距離を補正する補正手段と
    を備えることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の車載装置。
  9. 自車の後方を走行する後方車両による衝突被害を軽減又は回避すべく自車の走行制御を行う走行制御方法であって、
    後方車両を検出し、
    検出した後方車両との相対速度を算出し、
    算出した相対速度に基づいて、衝突の可否を判定し、
    衝突すると判定した場合、自車の走行を制御することを特徴とする走行制御方法。

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2013055410A (ja) * 2011-09-01 2013-03-21 Denso Corp 車両周辺画像表示制御装置
CN103987604A (zh) * 2011-12-06 2014-08-13 罗伯特·博世有限公司 用于当两个车辆之间碰撞时减小事故损失的方法和系统
US9037379B2 (en) 2012-12-27 2015-05-19 Hyundai Motor Company Apparatus and method for providing a crash prevention control functionality for a vehicle
JP2018101302A (ja) * 2016-12-20 2018-06-28 本田技研工業株式会社 車両制御システム、車両制御方法、および車両制御プログラム

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