JP2009005525A - ばね構造導電性高分子アクチュエータ及びその製造方法 - Google Patents

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Yasukuni Nishioka
泰城 西岡
Hiroyuki Katsumata
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Abstract

【課題】高弾性力を有し応答性も良く、量産し易いばね構造導電性高分子アクチュエータを提供する。
【解決手段】ばね構造導電性高分子アクチュエータは、弾性材料からなり、ばね状にパターンニング形成するばね基材2を用いる。そして、ばね基材2よりも高い導電性を有する導体層5がばね基材上に形成される。さらに、導体層5を電極として用いる電解重合によりばね基材2上に導電性高分子層6が形成される。導電性高分子層6は、ばね基材2や導体層5を覆うように設けられる。
【選択図】図1

Description

本発明はばね構造導電性高分子アクチュエータに関し、特に、応答性が良く量産し易いばね構造導電性高分子アクチュエータに関する。
ポリピロール等からなる導電性高分子は、電気伝導性を有する有機材料である。導電性高分子に電圧を印加すると、導電性高分子へのイオンの出入りにより導電性高分子が伸縮する。この原理を利用して、導電性高分子をアクチュエータやマイクロスイッチに応用した例が種々存在する。導電性高分子アクチュエータは、例えば1.0V未満の低電圧での駆動も可能であり、また、水溶液中で10%以上の高い伸縮性能を発揮するものも存在するため、新たな駆動体として期待されている。
導電性高分子アクチュエータに用いられる導電性高分子は、導電性高分子膜単体の構造のものと、導電性高分子膜と導体膜との複合膜の構造のものが存在する。単体構造のものと比べて、複合構造のものは、伸縮性能は若干低下するものの、ドーピング性能が上がるため、応答性に優れているという特徴を有する。
また、伸縮性能を高めるため、金属性ばね状部材に導電性高分子を形成した複合体も開発されている(例えば特許文献1)。
特開2004−216868号公報
しかしながら、導電性高分子膜と導体膜との複合膜構造のアクチュエータでは、動作中に導体膜が導電性高分子膜から剥がれてしまう場合があった。
また、特許文献1に開示の導電性高分子複合構造体のように、ばね状部材を用いたアクチュエータの場合、弾性力が高い金属ほど導電率は低下するため、ばね状部材の弾性力が強ければ強いほど、ばね状部材の導電率は低下していた。したがって、弾性力が強い金属を用いるほどドーピング性能が下がり、応答性が悪くなっていた。
また、特許文献1に開示の導電性高分子複合構造体は、導電性の基材が立体的な形状であるため、量産性が悪かった。さらに、弾性力が高く導電率の低い基材と導電性高分子との接着性も悪かった。このため、動作中に導電性高分子が基材から剥離する場合もあった。さらに、特許文献1に開示のものでは、基材として、Pt、W、Ni、Ta等の金属単体が好ましいとされているが、Pt等の高価な金属を基材として用いると、アクチュエータが高価なものとなってしまうという問題もあった。
本発明は、斯かる実情に鑑み、高弾性力を有し応答性も良く、量産し易いばね構造導電性高分子アクチュエータを提供しようとするものである。
上述した本発明の目的を達成するために、本発明によるばね構造導電性高分子アクチュエータは、弾性材料からなり、ばね状にパターンニング形成するばね基材と、ばね基材よりも高い導電性を有し、ばね基材上に形成される導体層と、導体層を電極として用いる電解重合によりばね基材上に形成される導電性高分子層と、を具備するものである。
ここで、ばね基材は、シリコンからなるものであれば良い。
また、導電性高分子層は、ばね基材のばね状パターンの間隙を満たす程度にばね基材上に形成されるものであれば良い。
さらに、ばね基材は、ミアンダ形状にパターンニング形成されるフィルム状ばね基材であれば良い。
また、本発明によるばね構造導電性高分子アクチュエータの製造方法は、ガラス基板を提供する過程と、ガラス基板上にシリコンを形成する過程と、シリコンをばね状にパターンニングするためのマスクをシリコン上に形成する過程と、マスクを用いてシリコンをエッチングする過程と、エッチングされたシリコンをばね基材とするために、ガラス基板をエッチング除去する過程と、シリコンよりも高い導電性を有する導体層を、ばね基材上に形成する過程と、導体層を電極として用いる電解重合により、ばね基材上に導電性高分子層を形成する過程と、を具備するものである。
本発明のばね構造導電性高分子アクチュエータには、高弾性力を有し応答性も良いという利点がある。また、補助電極は導電性高分子に覆われているため、動作中に剥離することが防止できるという利点もある。さらに、量産性に優れ、安価に製造することが可能であるという利点もある。
以下、本発明を実施するための最良の形態を図示例と共に説明する。図1は、本発明のばね構造導電性高分子アクチュエータの製造プロセスを説明するための横断面図である。まず、図1(a)に示されるように、ガラス基板1上に基材となるシリコン2を形成する。シリコン2は、ガラス基板1に陽極接合で張り合わされても良いし、化学気相成長等によりガラス基板1上に堆積されても良い。なお、基材としてシリコンを用いた例について説明するが、本発明はこれに限定されず、弾性力が高く後述の補助電極との接着性が高い材料であれば他の材料であっても良い。本発明は、弾性力の高いばね基材に導電性の高い補助電極を形成し、その上に導電性高分子を形成することで良好な有機アクチュエータを提供することを目的としているため、ばね基材はシリコンに限定されず、ゲルマニウムやシリコン・ゲルマニウム合金等の半導体材料や、剛性の高いチタン合金やタングステン等であっても良い。
次に、図1(b)に示されるように、シリコンをばね状にパターンニングするために、シリコン2上にレジスト膜3を塗布する。レジスト膜3の塗布にはスピンコータ等を用いれば良い。そして、図1(c)に示されるように、レジスト膜3を露光して所定のパターンが形成されたマスク4とし、このマスク4を用いて、シリコン2をエッチングする。マスク4はミアンダ形状や螺旋形状、短冊形状等、シリコンからなる基材がばねとして機能するような形状を有するマスクパターンが露光されれば良い。また、エッチングはドライエッチングやウェットエッチングいずれの方法であっても良い。なお、エッチングはシリコン2が貫通し、ガラス基板1の面が現れるまで行われる。その後、図1(d)に示されるように、レジスト膜3が除去される。レジスト膜3の除去は溶剤やアルカリ等の剥離液やオゾンガスを用いた種々の除去法を用いれば良い。
次に、図1(e)に示されるように、エッチングされたシリコン2をばね基材とするために、ウェットエッチング等によりガラス基板1をエッチング除去する。ウェットエッチングにはフッ酸等を用いれば良い。なお、図示例ではガラス基板1は続く過程のための基台となるように、中央部分のみをシリコン2側から選択的にエッチングして、ガラス基板1からシリコン2が浮くように除去されている。しかしながら、本発明はこれに限定されず、ガラス基板1を完全に除去しても良い。さらに、後述の導体層5を形成した後にガラス基板1をエッチング除去するようにしても良い。このようにして、ミアンダ形状にパターンニング形成されたフィルム状のばね基材が形成される。
さらに、図1(f)に示されるように、シリコン2よりも高い導電性を有する導体層5をばね基材であるシリコン2上に形成する。導体層5は、補助電極として用いられるものであり、例えば金や白金等であれば良い。また、導体層5は真空蒸着法等を用いて堆積されれば良い。なお、導体層5は一端から他端まで導通が取れる状態で形成されることが好ましい。
そして、図1(g)に示されるように、この導体層5を電極として用いる電解重合により、ばね基材であるシリコン2上に導電性高分子層6を形成する。導電性高分子層6は、ばね基材であるシリコン2を導体層5も含めてその内部で覆われるように形成される。また、導電性高分子層6は、ばね基材のばね状パターンの間隙を満たす程度にばね基材上に形成される。すなわち、ばね状パターンは、導電性高分子層6で満たされる程度の間隙を有するように構成され、電解重合の条件を種々調整することにより、ばね状パターンの間隙が導電性高分子層6で満たされるように、導電性高分子層6が形成される。最後に、ばね基材のガラス基板と接している側近傍を切断する等して、ガラス基板1とばね構造とを分離することで、ばね構造導電性高分子アクチュエータが得られる。
このようにして構成された導電性高分子アクチュエータの詳細な層構造を、図2を用いて説明する。図2は、図1(g)の断面の部分拡大図である。図示の通り、ばね基材であるシリコン2上には導体層5が形成されているが、導体層5は、シリコン2の側壁に一部かかるように設けられている。そして、これらを覆うように導電性高分子層6が形成されている。
このようにして得られた本発明のばね構造導電性高分子アクチュエータの上面図を図3に示す。図示の通り、本発明のばね構造導電性高分子アクチュエータは、ミアンダ形状に形成されたばね構造をその内部に有している。本発明は以下の説明に限定されないが、ばね構造導電性高分子アクチュエータのサイズについて一例を挙げれば、アクチュエータの厚さは約60μm、長さが15mm、幅が0.5mmである。また、ばね構造の線幅が10μm、折り返しピッチ幅が20μmである。
このように、本発明のばね構造導電性高分子アクチュエータでは、フィルム状のばね構造であるため、微細加工技術を用いて容易に量産することが可能となる。また、フィルム状のばね構造なので積層構造とすることが可能で、複数枚のばね構造導電性高分子アクチュエータを束ねて用いることも可能である。また、導電性高分子アクチュエータの形状も任意であるため、使用用途や設置位置等に合わせて種々の形状に製造することが可能である。例えばばね基材はミアンダ形状には限定されず、螺旋形状でも良く、導電性高分子アクチュエータを四辺形や円形等、所望な形状とすることが可能である。
また、本発明によれば、上述のような構造により、シリコンという弾性力の強い材料を用いながら、導電率の高い金等の導体層も補助電極として用いることでドーピング性能が高まり応答性の良い導電性高分子アクチュエータが実現できる。さらに、導電性高分子層は導電率の高い金属との接着力が高いため、導電性高分子層が強固に導体層に接着し、動作中に剥離することを防止できる。また、導体層を導電性高分子層の内部に設けたことにより、導体層が導電性高分子層やばね基材から剥離することを防止することも可能となる。
なお、本発明のばね構造導電性高分子アクチュエータは、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
図1は、本発明のばね構造導電性高分子アクチュエータの製造プロセスを説明するための横断面図である。 図2は、本発明のばね構造導電性高分子アクチュエータの断面の部分拡大図である。 図3は、本発明のばね構造導電性高分子アクチュエータの上面図である。
符号の説明
1 ガラス基板
2 シリコン
3 レジスト膜
4 マスク
5 導体層
6 導電性高分子層

Claims (5)

  1. ばね構造導電性高分子アクチュエータであって、該アクチュエータは、
    弾性材料からなり、ばね状にパターンニング形成するばね基材と、
    前記ばね基材よりも高い導電性を有し、前記ばね基材上に形成される導体層と、
    前記導体層を電極として用いる電解重合により前記ばね基材上に形成される導電性高分子層と、
    を具備することを特徴とするばね構造導電性高分子アクチュエータ。
  2. 請求項1に記載のばね構造導電性高分子アクチュエータにおいて、前記ばね基材は、シリコンからなることを特徴とするばね構造導電性高分子アクチュエータ。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のばね構造導電性高分子アクチュエータにおいて、前記導電性高分子層は、前記ばね基材のばね状パターンの間隙を満たす程度に前記ばね基材上に形成されることを特徴とするばね構造導電性高分子アクチュエータ。
  4. 請求項1乃至請求項3の何れかに記載のばね構造導電性高分子アクチュエータにおいて、前記ばね基材は、ミアンダ形状にパターンニング形成されるフィルム状ばね基材であることを特徴とするばね構造導電性高分子アクチュエータ。
  5. ばね構造導電性高分子アクチュエータの製造方法であって、該方法は、
    ガラス基板を提供する過程と、
    前記ガラス基板上にシリコンを形成する過程と、
    前記シリコンをばね状にパターンニングするためのマスクを前記シリコン上に形成する過程と、
    前記マスクを用いてシリコンをエッチングする過程と、
    前記エッチングされたシリコンをばね基材とするために、前記ガラス基板をエッチング除去する過程と、
    前記シリコンよりも高い導電性を有する導体層を、前記ばね基材上に形成する過程と、
    前記導体層を電極として用いる電解重合により、前記ばね基材上に導電性高分子層を形成する過程と、
    を具備することを特徴とするばね構造導電性高分子アクチュエータの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006116696A (ja) * 2004-10-19 2006-05-11 Samsung Electronics Co Ltd 2軸アクチュエータ及びその製造方法

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