JP2009001650A - 水性塗料組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】被塗物上に、水性第1塗料(X)を塗装して第1塗膜を形成し、得られた未硬化の第1塗膜上に水性第2塗料(Y)を塗装して第2塗膜を形成する複層塗膜形成方法において、水性第1塗料(X)として使用される水性塗料組成物であって、水及びアニオン性乳化剤(b)の存在下で、3級アミノ基含有重合性不飽和モノマー(a−1)1〜50質量%及び3級アミノ基を有さない重合性不飽和モノマー(a−2)50〜99質量%からなるモノマー混合物(a)を乳化重合して得られる共重合体エマルション(A)及びカルボキシル基含有樹脂(B)を含有することを特徴とする水性塗料組成物。
【選択図】なし
Description
3級アミノ基含有重合性不飽和モノマー(a−1)は、1分子中に3級アミノ基及び重合性不飽和結合をそれぞれ1個以上有する化合物であって、例えば、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジt−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノブチル(メタ)アクリレートなどのN,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどのN,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド等が挙げられ、これらは単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。なかでも、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート及び/又はN,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートを用いることが好適である。
3級アミノ基を有さない重合性不飽和モノマー(a−2)は、前記3級アミノ基含有重合性不飽和モノマー(a−1)以外の重合性不飽和モノマーであって、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、「イソステアリルアクリレート」(商品名、大阪有機化学工業社製)、シクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、シクロドデシル(メタ)アクリレ−ト、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート等のアルキル又はシクロアルキル(メタ)アクリレート;イソボルニル(メタ)アクリレート等のイソボルニル基を有する重合性不飽和モノマー;アダマンチル(メタ)アクリレート等のアダマンチル基を有する重合性不飽和モノマー;トリシクロデセニル(メタ)アクリレート等のトリシクロデセニル基を有する重合性不飽和モノマー;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなどのビニル芳香族化合物;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシランなどのアルコキシシリル基を有する重合性不飽和モノマー;パーフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート等のパーフルオロアルキル(メタ)アクリレート;フルオロオレフィン等のフッ素化アルキル基を有する重合性不飽和モノマー;マレイミド基を有する重合性不飽和モノマー;N−ビニルピロリドン、エチレン、ブタジエン、クロロプレン、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル等のビニル化合物;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−ト、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸と炭素数2〜8の2価アルコールとのモノエステル化物、該(メタ)アクリル酸と炭素数2〜8の2価アルコールとのモノエステル化物のε−カプロラクトン変性体、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、アリルアルコール、分子末端が水酸基であるポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレート等の水酸基含有重合性不飽和モノマー;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、クロトン酸、β−カルボキシエチルアクリレート等のカルボキシル基含有重合性不飽和モノマー;(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド等の3級アミノ基を含まない含窒素重合性不飽和モノマー;アリル(メタ)アクリレ−ト、1,6−ヘキサンジオ−ルジ(メタ)アクリレ−ト等の重合性不飽和基を1分子中に2個以上有する重合性不飽和モノマー;グリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルプロピル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等のエポキシ基含有重合性不飽和モノマー;分子末端がアルコキシ基であるポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレート;2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−スルホエチル(メタ)アクリレート、アリルスルホン酸、4−スチレンスルホン酸及びそのナトリウム塩やアンモニウム塩等のスルホン酸基を有する重合性不飽和モノマー;アシッドホスホオキシエチル(メタ)アクリレート、アシッドホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、アシッドホスホオキシポリオキシプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のリン酸基を有する重合性不飽和モノマー;2−ヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2,2' −ジヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2,2' −ジヒドロキシ−4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2−(2' −ヒドロキシ−5' −メタクリロイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール等の紫外線吸収性官能基を有する重合性不飽和モノマー;4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−クロトノイル−4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等の紫外線安定性重合性不飽和モノマー;アクロレイン、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタクリルアミド、アセトアセトキシエチルメタクリレート、ホルミルスチロール、4〜7個の炭素原子を有するビニルアルキルケトン(例えば、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルブチルケトン)等のカルボニル基を有する重合性不飽和モノマー化合物等を挙げることができ、これらは単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
モノマー混合物(a)における前記重合性不飽和モノマー(a−1)及び重合性不飽和モノマー(a−2)の使用割合は、重合性不飽和モノマー(a−1)及び重合性不飽和モノマー(a−2)の合計量を基準にして下記の範囲内とすることができる。
重合性不飽和モノマー(a−1):1〜50質量%、好ましくは2〜40質量%、
さらに好ましくは5〜20質量%、
重合性不飽和モノマー(a−2):50〜99質量%、好ましくは60〜98質量%、
さらに好ましくは80〜95質量%。
アニオン性乳化剤(b)は、1分子中に少なくとも1個のアニオン性基を含有する乳化剤であって、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム、ドデシルベンゼンスルホン酸アンモニウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩(市販品として、例えば、日本乳化剤社製の「ニューコール210」、「ニューコール220L」、「ニューコール263−H」、花王社製の「ネオペレックスGS」、「ネオペレックスG−65」、日本油脂社製の「ニューレックスソフトタイプ30」、テイカ社製の「テイカパワー(ソフト)LN2050D」等が挙げられる);
ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ジアンモニウム、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ジナトリウム、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ジカルシウム等のアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩(市販品として、例えば、日本乳化剤社製の「ニューコール271−A」、「ニューコール271−S」、「ニューコール271−NH」、「ニューコール271−C」、花王社製の「ペレックスSS−L」、「ペレックスSS−H」、ダウ・ケミカル社製の「ダウファックス2A−1」等が挙げられる);
ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム等のナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩(市販品として、例えば、日本乳化剤社製の「ディスロールSH」、「エスコール」、花王社製の「デモールN」、「デモールNL」、「デモールT」等が挙げられる);
ジアルキルサクシネートスルホン酸ナトリウム、モノアルキルサクシネートスルホン酸ジナトリウム等のアルキルサクシネートスルホン酸塩(市販品として、例えば、日本乳化剤社製の「ニューコール290−A」、「ニューコール290−K」、「ニューコール290−KS」、「ニューコール291−M」、「ニューコール291−PG」、「ニューコール291−GL」、「ニューコール292−PG」、「ニューコール293」、花王社製の「ペレックスOT−P」、「ペレックスTR」、「ペレックスCS」、「ペレックスTA」等が挙げられる);
ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム等のアルキル硫酸エステル塩(市販品として、例えば、花王社製の「エマール0」、「エマール10G」等が挙げられる);
脂肪酸ナトリウム類、オレイン酸カリウム等の脂肪族カルボン酸塩(市販品として、例えば、花王社製の「NSソープ」、「KSソープ」、「OSソープ」、「FR−25」等が挙げられる);
ポリオキシアルキレン単位含有硫酸エステル塩(例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸アンモニウム等のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸アンモニウム等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩;ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸アンモニウム等のポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸エステル塩等が挙げられ、市販品として、例えば、日本乳化剤社製の「ニューコール1020−SN」、「ニューコール2308−SF」、「ニューコール2320−SN」、「ニューコール2360−SN」、「ニューコール1305−SN」、「ニューコール1703−SFD」、「ニューコール1525−SFC」、「ニューコール707−SF」、「ニューコール707−SFC」、「ニューコール707−SN」、「ニューコール714−SF」、「ニューコール723−SF」、「ニューコール740−SF」、「ニューコールB4−SN」、「ニューコールB13−SN」、「アントックスMS−60」、「アントックスMS−2N」等が挙げられる);
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩(市販品として、例えば、花王社製の「エレクトロストリッパーF」等が挙げられる);
等が挙げられ、これらは単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
で表されるベンゼンスルホン酸塩構造を有するアニオン性乳化剤(b−1)、さらに好ましくは下記一般式(II)
で表されるジフェニルエーテルジスルホン酸塩構造を有するアニオン性乳化剤(b−1−1)を使用することが、鮮映性に優れた複層塗膜を形成できるため、好適である。
共重合体エマルション(A)は、水及び上記アニオン性乳化剤(b)の存在下で、前記モノマー混合物(a)を乳化重合して得られる共重合体エマルションである。
HLB=20×(親水基の重量%)
ノニオン性乳化剤(c)を使用する場合、該ノニオン性乳化剤(c)の使用量は、使用される全重合性不飽和モノマーの合計質量を基準にして、通常0.1〜15質量%、好ましくは0.5〜10質量%、さらに好ましくは1〜5質量%の範囲内で使用することができる。
カルボキシル基含有樹脂(B)は、1分子中に少なくとも1個のカルボキシル基を有する樹脂であり、塗料の貯蔵安定性及び得られる塗膜の耐水性等の観点から、酸価が1〜200mgKOH/g、好ましくは2〜100mgKOH/g、さらに好ましくは3〜60mgKOH/gの範囲内であることが好適である。
レンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、1,2−ブチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート化合物;イソホロンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチルシクロヘキサン−2,4−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサン−2,6−ジイソシアネート、1,3−ジ(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−ジ(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,2−シクロヘキサンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート化合物;キシリレンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、1,4−ナフタレンジイソシアネート、4,4’−トルイジンジイソシアネ−ト、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、ビス(4−イソシアナトフェニル)スルホン、イソプロピリデンビス(4−フェニルイソシアネート)等の芳香族ジイソシアネート化合物等のジイソシアネート化合物、トリフェニルメタン−4,4’,4”−トリイソシアネート、1,3,5−トリイソシアナトベンゼン、2,4,6−トリイソシアナトトルエン、4,4’−ジメチルジフェニルメタン−2,2’,5,5’−テトライソシアネートなどの3個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物等を挙げることができる。これらは、単独でもしくは2種以上組み合わせて使用できる。
本塗料は、前記共重合体エマルション(A)及びカルボキシル基含有樹脂(B)を含有する水性塗料組成物である。
共重合体エマルション(A):1〜99質量部、好ましくは2〜60質量部、
さらに好ましくは3〜50質量部、
カルボキシル基含有樹脂(B):1〜99質量部、好ましくは40〜98質量部、
さらに好ましくは50〜97質量部。
水酸基含有樹脂(C)は、1分子中に少なくとも1個の水酸基を有する樹脂であり、得られる塗膜の耐水性等の観点から、水酸基価が1〜300mgKOH/g、好ましくは5〜250mgKOH/g、さらに好ましくは10〜180mgKOH/gの範囲内であることが好適である。
硬化剤(D)としては、例えば、カルボキシル基含有樹脂(B)中のカルボキシル基と反応し得るカルボジイミド基含有化合物、オキサゾリン基含有化合物等を使用することができ、なかでもカルボジイミド基含有化合物を使用することが好ましい。硬化剤(D)は、単独で、もしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
イソホロンジイソシアネート、4,4′−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチルシクロヘキサン−2,4−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサン−2,6−ジイソシアネート、1,3−ジ(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−ジ(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,2−シクロヘキサンジイソシアネートなどの脂環族ジイソシアネート類;及びこれらのポリイソシアネートのビューレットタイプ付加物、イソシアヌレート環付加物;
キシリレンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレ
ンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、1,4−ナフタレンジイソシアネート、4,4′−トルイジンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルエーテルジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4′−ビフェニレンジイソシアネート、3,3′−ジメチル−4,4′−ビフェニレンジイソシアネート、ビス(4−イソシアナトフェニル)スルホン、イソプロピリデンビス(4−フェニルイソシアネート)などの芳香族ジイソシアネート化合物;及びこれらのポリイソシアネートのビューレットタイプ付加物、イソシアヌレート環付加物;
トリフェニルメタン−4,4′,4″−トリイソシアネート、1,3,5−トリイソシアナトベンゼン、2,4,6−トリイソシアナトトルエン、4,4′−ジメチルジフェニルメタン−2,2′,5,5′−テトライソシアネートなどの1分子中に3個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート類;及びこれらのポリイソシアネートのビューレットタイプ付加物、イソシアヌレート環付加物;
エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、ジメチロールプロピオン酸、ポリアルキレングリコール、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオールなどのポリオールの水酸基にイソシアネート基が過剰量となる比率でポリイソシアネート化合物を反応させてなるウレタン化付加物;及びこれらのポリイソシアネートのビューレットタイプ付加物、イソシアヌレート環付加物;等が挙げられる。
水性第2塗料(Y)は、一般に、被塗物に優れた外観を付与することを目的とするものであって、自動車車体の塗装において通常使用されるそれ自体既知のものを使用することができる。具体的には、カルボキシル基、水酸基などの架橋性官能基を有する、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂などの基体樹脂と、ブロックされていてもよいポリイソシアネート化合物、メラミン樹脂、尿素樹脂などの硬化剤からなる樹脂成分を、その他の添加剤と共に水に溶解ないし分散させて塗料化したものを使用することができる。なかでも、水酸基を有するカルボキシル基含有樹脂及びメラミン樹脂を含有する熱硬化型水性塗料、水酸基を有するカルボキシル基含有樹脂及びポリイソシアネート化合物(D2)を含有する熱硬化型水性塗料、及び水酸基を有するカルボキシル基含有樹脂及びブロック化ポリイソシアネート化合物(D3)を含有する熱硬化型水性塗料を好適に使用することができる。
上記光輝性顔料(E3)としては、例えば、前記水性第1塗料(X)の説明において例示した、ノンリーフィング型もしくはリーフィング型アルミニウム(蒸着アルミニウムも含む)、銅、亜鉛、真ちゅう、ニッケル、酸化アルミニウム、雲母、酸化チタンや酸化鉄で被覆された酸化アルミニウム、酸化チタンや酸化鉄で被覆された雲母等を挙げることができる。なかでも、アルミニウム、酸化アルミニウム、雲母、酸化チタンや酸化鉄で被覆された酸化アルミニウム、酸化チタンや酸化鉄で被覆された雲母を用いることが好ましく、アルミニウムを用いることが特に好ましい。上記光輝性顔料(E3)は単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
本塗料は、被塗物上に、水性第1塗料(X)を塗装して第1塗膜を形成し、得られた未硬化の第1塗膜上に水性第2塗料(Y)を塗装して第2塗膜を形成する複層塗膜形成方法において、水性第1塗料(X)として使用される水性塗料組成物である。
まず、被塗物上に水性第1塗料(X)を塗装すると同時に、予め質量(W1)を測定しておいたアルミホイル上にも水性第1塗料(X)を塗装し、被塗物に対すると同様に、必要に応じて予備加熱などを行った後、被塗物に水性第2塗料(Y)を塗装する直前に該アルミホイルを回収し、その質量(W2)を測定する。次に、回収したアルミホイルを110℃で60分間乾燥し、デシケーター内で室温まで放冷した後、該アルミホイルの質量(W3)を測定し、これらの測定結果から以下の式に従って固形分含有率を算出する。
固形分含有率(質量%)={(W3−W1)/(W2−W1)}×100
また、水性第2塗料(Y)を塗装する直前の第1塗膜のゲル分率は、以下の方法により測定することができる。
まず、被塗物上に水性第1塗料(X)を塗装すると同時に、ポリプロピレン板上に水性第1塗料(X)を塗装し、被塗物に対すると同様に、必要に応じて予備加熱などを行った後、被塗物に水性第2塗料(Y)を塗装する直前に該ポリプロピレン板を回収する。
次に、該ポリプロピレン板上の第1塗膜を回収し、質量(Wa)を測定する。その後、該塗膜を300メッシュのステンレススチール製の網状容器に入れ、64℃に加温したアセトンとメタノールの等質量混合溶剤中で5時間抽出し、110℃で60分間乾燥してから、溶剤抽出後の塗膜質量(Wb)を測定し、これらの測定結果から以下の式に従って算出される不溶塗膜残存率(質量%)をゲル分率とする。
ゲル分率(質量%)=(Wb/Wa)×100
水性第2塗料(Y)の塗装は、それ自体既知の方法、例えば、エアスプレー、エアレススプレー、回転霧化塗装機などにより行なうことができ、塗装の際、静電印加を行ってもよい。上記水性第2塗料(Y)は、通常、乾燥膜厚が5〜60μm、好ましくは10〜50μm、さらに好ましくは12〜30μmの範囲内となるように塗装することが好適である。
製造例1
温度計、サーモスタット、撹拌装置、還流冷却器及び滴下装置を備えた反応容器に脱イオン水65部、Newcol271−A(商品名、日本乳化剤社製、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム塩、有効成分47%)2.2部を仕込み、窒素気流中で撹拌混合し、80℃に昇温した。次いで下記のモノマー乳化物(1)のうちの全量の1%量及び6%過硫酸アンモニウム水溶液5.3部を反応容器内に導入し80℃で15分間保持した。その後、残りのモノマー乳化物(1)を3時間かけて、同温度に保持した反応容器内に滴下し、滴下終了後1時間熟成を行なった。その後、下記のモノマー乳化物(2)を1時間かけて滴下し、滴下終了後1時間熟成を行なった。その後、脱イオン水18部及び過硫酸アンモニウム0.03部からなる重合開始剤溶液を1時間かけて滴下し、滴下終了後1時間攪拌熟成して、固形分濃度38%の共重合体エマルション(A−1)を得た。得られた共重合体の水酸基価は43mgKOH/gであった。
下記表1に示す配合とする以外、製造例1と同様にして合成し、固形分濃度38%の共重合体エマルション(A−2)を得た。得られた共重合体の水酸基価は43mgKOH/gであった。
温度計、サーモスタット、撹拌装置、還流冷却器及び滴下装置を備えた反応容器に脱イオン水65部、Newcol271−A(商品名、日本乳化剤社製、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム塩、有効成分47%)2.2部を仕込み、窒素気流中で撹拌混合し、80℃に昇温した。次いで下記のモノマー乳化物(1)のうちの全量の1%量及び6%過硫酸アンモニウム水溶液5.3部を反応容器内に導入し80℃で15分間保持した。その後、残りのモノマー乳化物(1)を3時間かけて、同温度に保持した反応容器内に滴下し、滴下終了後1時間熟成を行なった。その後、脱イオン水18部及び過硫酸アンモニウム0.03部からなる重合開始剤溶液を1時間かけて滴下し、滴下終了後1時間攪拌熟成して、固形分濃度38%の共重合体エマルション(A−3)を得た。得られた共重合体の水酸基価は43mgKOH/gであった。
下記表1に示す配合とする以外、製造例3と同様にして合成し、共重合体エマルション(A−4)〜(A−16)を得た。製造例3と併せて、得られた共重合体エマルション(A−4)〜(A−16)の固形分濃度及び水酸基価を下記表1に示す。
(注1)Newcol 562−SN:商品名、日本乳化剤社製、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸エステルナトリウム塩、有効成分30%。
(注2)Newcol 240:商品名、日本乳化剤社製、アルキレンジスルホン酸ジナトリウム塩、有効成分30%。
(注3)Newcol 707−SF:商品名、日本乳化剤社製、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩、有効成分30%。
(注4)テイカパワー(ソフト)LN2050D:商品名、テイカ社製、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム,有効成分50%。
(注5)アセタミン86:商品名、花王社製、ステアリルアミンアセテート、有効成分99%以上。
(注6)Newcol 2320:商品名、日本乳化剤社製、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、HLB16.4、有効成分99%以上。
(注7)Newcol 2305:商品名、日本乳化剤社製、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、HLB10.9、有効成分99%以上。
(注8)3級アミノ基含有重合性不飽和モノマー(a−1−1):温度計、サーモスタット、撹拌器、還流冷却器及び滴下装置を備えた反応容器に、グリシジルメタクリレート284部を入れ、室温で攪拌しながら、ジエチルアミン146部を2時間かけて滴下した。滴下終了後、室温で6時間攪拌して、3級アミノ基含有重合性不飽和モノマー(a−1−1)を得た。
製造例17
温度計、サーモスタット、攪拌装置、還流冷却器及び水分離器を備えた反応容器に、トリメチロールプロパン174部、ネオペンチルグリコール327部、アジピン酸352部、イソフタル酸109部及び1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物101部を仕込み、160℃から230℃まで3時間かけて昇温させた後、生成した縮合水を水分離器により留去させながら230℃で保持し、酸価が3mgKOH/g以下となるまで反応させた。この反応生成物に、無水トリメリット酸59部を添加し、170℃で30分間付加反応を行った後、50℃以下に冷却し、2−(ジメチルアミノ)エタノールを酸基に対して当量添加し中和してから、脱イオン水を徐々に添加することにより、固形分濃度45%、pH7.2のカルボキシル基含有ポリエステル樹脂溶液(B1−1)を得た。得られたカルボキシル基含有ポリエステル樹脂の酸成分(b1−1)の合計量を基準とした脂肪族多塩基酸(b1−1−1)及び脂環族多塩基酸(b1−1−2)の合計含有量は76モル%、芳香族多塩基酸(b1−1−3)の含有量は24モル%であり、酸価が35mgKOH/g、水酸基価が128mgKOH/g、重量平均分子量が13,000であった。
温度計、サーモスタット、攪拌装置、還流冷却器及び水分離器を備えた反応容器に、トリメチロールプロパン168部、ネオペンチルグリコール316部、アジピン酸93部、イソフタル酸211部、無水フタル酸188部及び1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物65部を仕込み、160℃から230℃まで3時間かけて昇温させた後、生成した縮合水を水分離器により留去させながら230℃で保持し、酸価が3mgKOH/g以下となるまで反応させた。この反応生成物に、無水トリメリット酸59部を添加し、170℃で30分間付加反応を行った後、50℃以下に冷却し、2−(ジメチルアミノ)エタノールを酸基に対して当量添加し中和してから、脱イオン水を徐々に添加することにより、固形分濃度45%、pH7.2のカルボキシル基含有ポリエステル樹脂溶液(B1−2)を得た。得られたカルボキシル基含有ポリエステル樹脂の酸成分(b1−1)の合計量を基準とした脂肪族多塩基酸(b1−1−1)及び脂環族多塩基酸(b1−1−2)の合計含有量は27モル%、芳香族多塩基酸(b1−1−3)の含有量は73モル%であり、酸価が35mgKOH/g、水酸基価が124mgKOH/g、重量平均分子量が13,500であった。
製造例19
温度計、サーモスタット、撹拌装置、還流冷却器及び滴下装置を備えた反応容器に、プロピレングリコールモノプロピルエーテル30部を仕込み85℃に昇温後、スチレン10部、メチルメタクリレート30部、2−エチルヘキシルアクリレート15部、n−ブチルアクリレート11.5部、ヒドロキシエチルアクリレート30部、アクリル酸3.5部、プロピレングリコールモノプロピルエーテル10部及びt−ブチル−2−エチルヘキサノエート4部の混合物を4時間かけてフラスコに滴下し、滴下終了後1時間熟成した。その後さらにプロピレングリコールモノプロピルエーテル5部及びt−ブチル−2−エチルヘキサノエート0.5部の混合物を1時間かけてフラスコに滴下し、滴下終了後1時間熟成した。さらに2−(ジメチルアミノ)エタノール3.03部を加え、脱イオン水を徐々に添加することにより、固形分濃度40%のカルボキシル基含有アクリル樹脂溶液(B2−1)を得た。得られたカルボキシル基含有アクリル樹脂の酸価は27mgKOH/g、水酸基価は145mgKOH/gであった。
温度計、サーモスタット、撹拌装置、還流冷却器及び滴下装置を備えた反応容器に脱イオン水70.7部、アクアロンKH−10(注9)0.52部を仕込み、窒素気流中で撹拌混合し、80℃に昇温した。次いで下記のモノマー乳化物のうちの全量の1%量及び6%過硫酸アンモニウム水溶液5部を反応容器内に導入し80℃で15分間保持した。その後、残りのモノマー乳化物を3時間かけて、同温度に保持した反応容器内に滴下し、滴下終了後1時間熟成熟成した後、5%2−(ジメチルアミノ)エタノール水溶液40部を反応容器に徐々に加えながら30℃まで冷却し、100メッシュのナイロンクロスで濾過しながら排出し、固形分濃度45%のカルボキシル基含有アクリル樹脂分散液(B2−2)を得た。得られたカルボキシル基含有アクリル樹脂の酸価は12mgKOH/g、水酸基価は43mgKOH/gであった。
(注9)アクアロンKH−10:ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩エステルアンモニウム塩:第一工業製薬株式会社製、有効成分97%。
実施例1
製造例17で得たカルボキシル基含有ポリエステル樹脂溶液(B1−1)56部(樹脂固形分25部)、JR−806(テイカ社製、商品名、ルチル型二酸化チタン)60部、カーボンMA−100(三菱化学社製、商品名、カーボンブラック)1部、バリエースB−35(商品名、堺化学工業社製、硫酸バリウム粉末、平均一次粒子径0.5μm)15部、MICRO ACE S−3(日本タルク社製、商品名、タルク粉末、平均一次粒子径4.8μm)3部及び脱イオン水5部を混合し、2−(ジメチルアミノ)エタノールでpH8.0に調整した後、ペイントシェーカーで30分間分散して顔料分散ペーストを得た。
次に、得られた顔料分散ペースト140部、製造例1で得た共重合体エマルション(A−1)26部、製造例17で得たカルボキシル基含有ポリエステル樹脂溶液(B1−1)33部、製造例19で得たカルボキシル基含有アクリル樹脂溶液(B2−1)17部、製造例20で得たカルボキシル基含有アクリル樹脂分散液(B2−2)33部、メラミン樹脂(D1−3−1)(メチル−ブチル混合エーテル化メラミン樹脂、固形分60%、重量平均分子量1,800)33部、バイヒジュールVPLS2310(住化バイエルウレタン社製、商品名、ブロック化ポリイソシアネート化合物、固形分38%)26部及び2−エチル−1−ヘキサノール(20℃において100gの水に溶解する質量:0.1g)10部を均一に混合した。
次いで、得られた混合物に、「UH−752」(商品名、アデカ社製、ウレタン会合型増粘剤)、2−(ジメチルアミノ)エタノール及び脱イオン水を添加し、pH8.0、塗料固形分48%、20℃におけるフォードカップNo.4による粘度30秒の水性第1塗料(X−1)を得た。
実施例1において、配合組成を下記表2に示す通りとする以外は、実施例1と同様にして、pH8.0、塗料固形分48%、20℃におけるフォードカップNo.4による粘度30秒である水性第1塗料(X−1)〜(X−18)及び(X−20)〜(X−23)を得た。
製造例17で得たカルボキシル基含有ポリエステル樹脂溶液(B1−1)56部(樹脂固形分25部)、JR−806(テイカ社製、商品名、ルチル型二酸化チタン)60部、カーボンMA−100(三菱化学社製、商品名、カーボンブラック)1部、バリエースB−35(商品名、堺化学工業社製、硫酸バリウム粉末、平均一次粒子径0.5μm)15部、MICRO ACE S−3(日本タルク社製、商品名、タルク粉末、平均一次粒子径4.8μm)3部及び脱イオン水5部を混合し、2−(ジメチルアミノ)エタノールでpH8.0に調整した後、ペイントシェーカーで30分間分散して顔料分散ペーストを得た。
次に、得られた顔料分散ペースト140部、製造例11で得た共重合体エマルション(A−11)26部、製造例17で得たカルボキシル基含有ポリエステル樹脂溶液(B1−1)33部、製造例19で得たカルボキシル基含有アクリル樹脂溶液(B2−1)17部、製造例20で得たカルボキシル基含有アクリル樹脂分散液(B2−2)33部、メラミン樹脂(D1−3−1)(メチル−ブチル混合エーテル化メラミン樹脂、固形分60%、重量平均分子量1,800)33部、バイヒジュールVPLS2310(住化バイエルウレタン社製、商品名、ブロック化ポリイソシアネート化合物、固形分38%)26部及び2−エチル−1−ヘキサノール(20℃において100gの水に溶解する質量:0.1g)10部を均一に混合した。
次いで、得られた混合物に、「プライマルASE−60」(商品名、ロームアンドハース社製、ポリアクリル酸系増粘剤)、2−(ジメチルアミノ)エタノール及び脱イオン水を添加し、pH8.0、塗料固形分48%、20℃におけるフォードカップNo.4による粘度30秒の水性第1塗料(X−19)を得た。
(注10)メラミン樹脂(D1−1−1):メチルエーテル化メラミン樹脂、固形分80%、重量平均分子量800。
(注11)カルボジライトE−02:日清紡社製、商品名、カルボジイミド基含有化合物、固形分40%。
(注12)ジプロピレングリコールモノn−ブチルエーテル:20℃において100gの水に溶解する質量が5g。
製造例21
温度計、サーモスタット、撹拌器、還流冷却器及び滴下装置を備えた反応容器に脱イオン水130部、アクアロンKH−10(注9)0.52部を仕込み、窒素気流中で撹拌混合し、80℃に昇温した。次いで下記のモノマー乳化物(1)のうちの全量の1%量及び6%過硫酸アンモニウム水溶液5.3部とを反応容器内に導入し80℃で15分間保持した。その後、残りのモノマー乳化物(1)を3時間かけて、同温度に保持した反応容器内に滴下し、滴下終了後1時間熟成を行なった。その後、下記のモノマー乳化物(2)を1時間かけて滴下し、1時間熟成した後、5%ジメチルエタノールアミン水溶液40部を反応容器に徐々に加えながら30℃まで冷却し、100メッシュのナイロンクロスで濾過しながら排出し、平均粒子径100nm(サブミクロン粒度分布測定装置「COULTER N4型」(ベックマン・コールター社製)を用いて、脱イオン水で希釈し20℃で測定した。)、固形分濃度30%のアクリル樹脂エマルション(AC)を得た。得られたアクリル樹脂は、酸価が33mgKOH/g、水酸基価が25mgKOH/gであった。
製造例22
温度計、サーモスタット、攪拌装置、還流冷却器及び水分離器を備えた反応容器に、トリメチロールプロパン109部、1,6−ヘキサンジオール141部、ヘキサヒドロ無水フタル酸126部及びアジピン酸120部を仕込み、160℃〜230℃の間を3時間かけて昇温させた後、230℃で4時間縮合反応させた。次いで、得られた縮合反応生成物にカルボキシル基を付加するために、さらに無水トリメリット酸38.3部を加え、170℃で30分間反応させた後、2−エチル−1−ヘキサノール(20℃において100gの水に溶解する質量:0.1g)で希釈し、固形分濃度70%であるポリエステル樹脂溶液(PE1)を得た。得られたポリエステル樹脂は、酸価が46mgKOH/g、水酸基価が150mgKOH/g、重量平均分子量が6,400であった。
希釈溶剤の2−エチル−1−ヘキサノールを、エチレングリコールモノn−ブチルエーテル(20℃において100gの水に溶解する質量:無限)に変更する以外は、製造例22と同様にして、ポリエステル樹脂溶液(PE2)を得た。
製造例24
攪拌混合容器内において、アルミニウム顔料ペースト「GX−180A」(旭化成メタルズ社製、金属含有量74%)19部、2−エチル−1−ヘキサノール35部、リン酸基含有樹脂溶液(注8)8部及び2−(ジメチルアミノ)エタノール0.2部を均一に混合して、光輝性顔料濃厚液(P1)を得た。
(注13)リン酸基含有樹脂溶液:温度計、サーモスタット、撹拌器、還流冷却器及び滴下装置を備えた反応容器にメトキシプロパノール27.5部、イソブタノール27.5部の混合溶剤を入れ、110℃に加熱し、スチレン25部、n−ブチルメタクリレート27.5部、「イソステアリルアクリレート」(商品名、大阪有機化学工業社製、分岐高級アルキルアクリレート)20部、4−ヒドロキシブチルアクリレート7.5部、リン酸基含有重合性モノマー(注14)15部、2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート12.5部、イソブタノール10部、t−ブチルパーオキシオクタノエート4部からなる混合物121.5部を4時間かけて上記混合溶剤に加え、さらにt−ブチルパーオキシオクタノエート0.5部とイソプロパノール20部からなる混合物を1時間滴下した。その後、1時間攪拌熟成して固形分濃度50%のリン酸基含有樹脂溶液を得た。本樹脂のリン酸基による酸価は83mgKOH/g、水酸基価は29mgKOH/g、重量平均分子量は10,000であった。
(注14)リン酸基含有重合性モノマー:温度計、サーモスタット、撹拌器、還流冷却器及び滴下装置を備えた反応容器にモノブチルリン酸57.5部、イソブタノール41部を入れ、90℃に昇温後、グリシジルメタクリレート42.5部を2時間かけて滴下した後、さらに1時間攪拌熟成した。その後、イソプロパノ−ル59部を加えて、固形分濃度50%のリン酸基含有重合性モノマー溶液を得た。得られたモノマーのリン酸基による酸価は285mgKOH/gであった。
2−エチル−1−ヘキサノール35部を、エチレングリコールモノn−ブチルエーテル35部に変更する以外は、製造例24と同様にして、光輝性顔料濃厚液(P2)を得た。
製造例26
製造例17で得たカルボキシル基含有ポリエステル樹脂溶液(B1−1)56部(樹脂固形分25部)、JR−806(テイカ社製、商品名、ルチル型二酸化チタン)60部及び脱イオン水5部を混合し、2−(ジメチルアミノ)エタノールでpH8.0に調整した後、ペイントシェーカーで30分間分散して顔料分散ペーストを得た。
製造例27
製造例21で得たアクリル樹脂エマルション(AC)100部、製造例22で得たポリエステル樹脂溶液(PE1)57部、製造例24で得た光輝性顔料濃厚液(P1)62部及び「サイメル325」(商品名、日本サイテックインダストリーズ社製、メラミン樹脂、固形分80%)37.5部を均一に混合し、更に、「プライマルASE−60」(商品名、ロームアンドハース社製、ポリアクリル酸系増粘剤)、2−(ジメチルアミノ)エタノール及び脱イオン水を加えてpH8.0、塗料固形分25%、20℃におけるフォードカップNo.4による粘度40秒の水性第2塗料(Y−1)を得た。
製造例21で得たアクリル樹脂エマルション(AC)100部、製造例23で得たポリエステル樹脂溶液(PE2)57部、製造例25で得た光輝性顔料濃厚液(P2)62部及び「サイメル325」(商品名、日本サイテックインダストリーズ社製、メラミン樹脂、固形分80%)37.5部を均一に混合し、更に、「プライマルASE−60」(商品名、ロームアンドハース社製、ポリアクリル酸系増粘剤)、2−(ジメチルアミノ)エタノール及び脱イオン水を加えてpH8.0、塗料固形分25%、20℃におけるフォードカップNo.4による粘度40秒の水性第2塗料(Y−2)を得た。
製造例21で得たアクリル樹脂エマルション(AC)100部、製造例22で得たポリエステル樹脂溶液(PE1)21部、製造例26で得た顔料分散ペースト121部、2−エチル−1−ヘキサノール35部及び「サイメル325」(商品名、日本サイテックインダストリーズ社製、メラミン樹脂、固形分80%)37.5部を均一に混合し、更に、「プライマルASE−60」(商品名、ロームアンドハース社製、ポリアクリル酸系増粘剤)、2−(ジメチルアミノ)エタノール及び脱イオン水を加えてpH8.0、塗料固形分48%、20℃におけるフォードカップNo.4による粘度60秒の水性第2塗料(Y−3)を得た。
前記実施例1〜19及び比較例1〜4で得た水性第1塗料(X−1)〜(X−23)、及び上記製造例27〜29で得た水性第2塗料(Y−1)〜(Y−3)を用いて、以下のようにしてそれぞれ試験板を作製し、評価試験を行なった。
リン酸亜鉛化成処理を施した冷延鋼板に、エレクロンGT−10(商品名、関西ペイント社製、カチオン電着塗料)を乾燥膜厚20μmとなるように電着塗装し、170℃で30分間加熱して硬化させて試験用被塗物とした。
上記試験用被塗物に、上記実施例1で得た水性第1塗料(X−1)を、回転霧化型の静電塗装機を用いて、乾燥膜厚25μmとなるように静電塗装し、2分間放置後、80℃で3分間プレヒートを行なった。次いで、該未硬化の第1塗膜上に製造例27で得た水性第2塗料(Y−1)を、回転霧化型の静電塗装機を用いて、乾燥膜厚15μmとなるように静電塗装し、2分間放置後、80℃で3分間プレヒートを行なった後、140℃で30分間加熱して、上記第1塗膜及び第2塗膜を同時に硬化させた。次いで、該第2塗膜上にマジクロンKINO−1210(商品名、関西ペイント社製、アクリル樹脂系溶剤型上塗りクリヤー塗料、以下「クリヤー塗料(Z−1)」ということがある)を乾燥膜厚35μmとなるように静電塗装し、7分間放置した後、140℃で30分間加熱して、該クリヤー塗膜を硬化させることにより試験板を作製した。
実施例20において、実施例1で得た水性第1塗料(X−1)を、下記表3に示した水性第1塗料(X−2)〜(X−19)のいずれかとし、製造例27で得た水性第2塗料(Y−1)を下記表3に示した水性第2塗料(Y−1)又は(Y−2)とする以外は、実施例20と同様にして試験板を作製した。
前記試験用被塗物に、上記実施例1で得た水性第1塗料(X−1)を、回転霧化型の静電塗装機を用いて、乾燥膜厚25μmとなるように静電塗装し、2分間放置後、80℃で3分間プレヒートを行なった。次いで、該未硬化の第1塗膜上に製造例29で得た水性第2塗料(Y−3)を、回転霧化型の静電塗装機を用いて、乾燥膜厚35μmとなるように静電塗装し、2分間放置後、80℃で3分間プレヒートを行なった後、140℃で30分間加熱して、上記第1塗膜及び第2塗膜を同時に硬化させることにより試験板を作製した。
実施例40において、実施例1で得た水性第1塗料(X−1)を、下記表4に示した水性第1塗料(X−2)〜(X−19)のいずれかとする以外は、実施例40と同様にして試験板を作製した。
上記実施例20〜58及び比較例5〜12で得られた各試験板について、下記の試験方法により評価を行なった。評価結果を下記表3及び表4に示す。
平滑性:Wave Scan(商品名、BYK Gardner社製)によって測定されるLong Wave(LW)値を用いて評価した。Long Wave(LW)値は、1.2〜12mm程度の波長の表面粗度の振幅の指標であり、測定値が小さいほど塗面の平滑性が高いことを示す。
◎:目視の角度によるメタリック感の変化が顕著であり、極めて優れたフリップフロップ性を有する。
○:目視の角度によるメタリック感の変化が大きく、フリップフロップ性に優れる。
△:目視の角度によるメタリック感の変化がやや小さく、フリップフロップ性がやや劣る。
×:目視の角度によるメタリック感の変化が小さく、フリップフロップ性が劣る。
◎:メタリックムラがほとんど認められず、極めて優れた塗膜外観を有する。
○:メタリックムラがわずかに認められるが、優れた塗膜外観を有する。
△:メタリックムラが認められ、塗膜外観がやや劣る。
×:メタリックムラが多く認められ、塗膜外観が劣る。
Claims (17)
- 被塗物上に、水性第1塗料(X)を塗装して第1塗膜を形成し、得られた未硬化の第1塗膜上に水性第2塗料(Y)を塗装して第2塗膜を形成する複層塗膜形成方法において、水性第1塗料(X)として使用される水性塗料組成物であって、水及びアニオン性乳化剤(b)の存在下で、3級アミノ基含有重合性不飽和モノマー(a−1)1〜50質量%及び3級アミノ基を有さない重合性不飽和モノマー(a−2)50〜99質量%からなるモノマー混合物(a)を乳化重合して得られる共重合体エマルション(A)及びカルボキシル基含有樹脂(B)を含有することを特徴とする水性塗料組成物。
- 3級アミノ基含有重合性不飽和モノマー(a−1)が、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート及び/又はN,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートである請求項1記載の水性塗料組成物。
- 共重合体エマルション(A)が、重合性不飽和基を1分子中に2個以上有する重合性不飽和モノマー(a−3)0.1〜30質量%及び重合性不飽和基を1分子中に1個有する重合性不飽和モノマー(a−4)70〜99.9質量%からなるモノマ−混合物を乳化重合して得られるアクリル共重合体(i)の存在下に、3級アミノ基含有重合性不飽和モノマー(a−1)1〜50質量%及び3級アミノ基を有さない重合性不飽和モノマー(a−2)50〜99質量%からなるモノマ−混合物を加えて乳化重合して得られるアクリル共重合体(ii)を含むコア/シェル型エマルション(A1)である請求項1又は2に記載の水性塗料組成物。
- 共重合体エマルション(A)が、3級アミノ基含有重合性不飽和モノマー(a−1)1〜50質量%、重合性不飽和基を1分子中に2個以上有する重合性不飽和モノマー(a−3)0.1〜50質量%及び3級アミノ基を有さず、かつ重合性不飽和基を1分子中に1個有する重合性不飽和モノマー(a−5)0〜98.9質量%からなるモノマ−混合物を乳化重合して得られるアクリル共重合体(iii)の存在下に、重合性不飽和モノマーを加えて乳化重合して得られるアクリル共重合体(iv)を含むコア/シェル型エマルション(A2)である請求項1又は2に記載の水性塗料組成物。
- 共重合体エマルション(A)が、水、アニオン性乳化剤(b)及びノニオン性乳化剤(c)の存在下で、3級アミノ基含有重合性不飽和モノマー(a−1)1〜50質量%及び3級アミノ基を有さない重合性不飽和モノマー(a−2)50〜99質量%からなるモノマー混合物(a)を乳化重合して得られる共重合体エマルション(A)である請求項1〜6のいずれかに記載の水性塗料組成物。
- カルボキシル基含有樹脂(B)が、さらに水酸基を含有する請求項1〜7のいずれかに記載の水性塗料組成物。
- さらに、水酸基含有樹脂(C)を含有する請求項1〜8のいずれかに記載の水性塗料組成物。
- さらに、硬化剤(D)を含有する請求項1〜9のいずれかに記載の水性塗料組成物。
- 被塗物上に、請求項1〜10のいずれかに記載の水性塗料組成物を塗装して第1塗膜を形成し、得られた未硬化の第1塗膜上に水性第2塗料(Y)を塗装して第2塗膜を形成することを特徴とする複層塗膜形成方法。
- 第1塗膜の固形分含有率が71〜98質量%の範囲内にある間に、水性第2塗料(Y)を塗装する請求項11に記載の複層塗膜形成方法。
- 第1塗膜のゲル分率が1〜85質量%の範囲内にある間に、水性第2塗料(Y)を塗装する請求項11又は12に記載の複層塗膜形成方法。
- 水性第2塗料(Y)を塗装した後、該第1塗膜及び第2塗膜を同時に加熱硬化させる請求項11〜13のいずれか1項に記載の複層塗膜形成方法。
- 水性第2塗料(Y)が光輝性顔料(E3)を含有することを特徴とする請求項11〜14のいずれか1項に記載の複層塗膜形成方法。
- 被塗物が、電着塗料によって下塗り塗膜が形成された車体である請求項11〜15のいずれかに記載の複層塗膜形成方法。
- 請求項11〜16のいずれかに記載の複層塗膜形成方法により塗装された物品。
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