JP2009001217A - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】昇圧回路を使用することなく高電圧を発生させることができ、バッテリ電流の過剰消費を抑制することができる電動パワーステアリング装置を提供する
【解決手段】操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段17と、操舵系に対して操舵補助力を発生させる電動モータ5と、前記操舵トルク検出手段17で検出した操舵トルクに基づいて前記電動モータ5を制御する操舵補助制御手段31とを備えた電動パワーステアリング制御装置であって、通常の車載バッテリより高い電圧を出力する高電圧出力装置26と、該高電圧出力装置26から出力される高電圧を前記電動モータの駆動電圧として供給する駆動電圧供給手段RLY2とを備えた。
【選択図】図2

Description

本発明は、操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と、操舵系に対して操舵補助力を発生させる電動モータと、前記操舵トルク検出手段で検出した操舵トルクに基づいて前記電動モータを制御する操舵補助制御手段とを備えた電動パワーステアリング装置に関する。
この種の電動パワーステアリング装置は、ステアリングホイールに伝達される操舵トルクに応じて電動モータを駆動制御することにより操舵系に操舵補助力を与えて、運転者が軽い操舵を行うことができるようにしているものであるが、前方の障害物を回避する場合のように急操舵を行う場合には、ステアリングホイールの操舵速度が速くなり、電動モータの誘起電圧即ち逆起電力が大きくなることにより、電動モータに流れる電流の増加が抑制され、操舵補助力が不足してしまう。
この操舵補助力不足を解消するために、従来、バッテリ電圧を昇圧回路で昇圧してモータ駆動回路に供給することが提案されている(例えば特許文献1〜3参照)。
特開2003−200845号公報(段落番号「0025」、図2) 特開2003−244943号公報(第1頁、図1) 特開2003−153584号公報(段落番号「0034」、図5)
しかしながら、上記特許文献1〜3に記載の従来例にあっては、バッテリ電圧を昇圧回路で昇圧するようにしているので、バッテリから昇圧回路に供給する電流は、駆動電圧の昇圧に比例して増加すると共に、昇圧回路における電力損失もバッテリ電流の増加要因となり、バッテリ電流の増加は、バッテリ内部抵抗、ハーネス抵抗、ヒューズ抵抗、リレー抵抗、各部接触抵抗等における電力損失(I×I×R)となり、電流の二乗で増加することになり、バッテリ電流の増加に伴う電力損失の増加により、モータ出力向上の効果が少ないと共に、バッテリ電流を過剰に消費した場合、バッテリ電圧の低下により、車両全体の電装システムが停止してしまうおそれがあるという未解決の課題がある。
そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、昇圧回路を使用することなく高電圧を発生させることができ、バッテリ電流の過剰消費を抑制することができる電動パワーステアリング装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、請求項1に係る電動パワーステアリング装置は、操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と、操舵系に対して操舵補助力を発生させる電動モータと、前記操舵トルク検出手段で検出した操舵トルクに基づいて前記電動モータを制御する操舵補助制御手段とを備えた電動パワーステアリング装置であって、通常の車載バッテリより高い電圧を出力する高電圧出力装置と、該高電圧出力装置から出力される高電圧を前記電動モータの駆動電圧として供給する駆動電圧供給手段とを備えたことを特徴としている。
また、請求項2に係る電動パワーステアリング装置は、請求項1の発明において、前記高電圧出力装置は、前記操舵補助制御手段の制御状態に応じて出力電圧を制御可能に構成されていることを特徴としている。
さらに、請求項3に係る電動パワーステアリング装置は、請求項1又は2の発明において、前記高電圧出力装置の他に通常の車載バッテリを有し、前記駆動電圧供給手段は、前記車載バッテリ及び前記高電圧出力装置を選択手段で選択して前記電動モータの駆動電圧として供給するように構成されていることを特徴としている。
さらにまた、請求項4に係る電動パワーステアリング装置は、請求項1〜3の何れか1つの発明において、前記選択手段は、前記高電圧出力装置の高電圧出力停止時に、前記車載バッテリを選択するように構成されていることを特徴としている。
なおさらに、請求項5に係る電動パワーステアリング装置は、請求項1〜4の何れか1つの発明において、前記高電圧出力装置は、高電圧交流を発電する高電圧発電装置と、該高電圧発電装置で発電した高電圧交流を直流電圧に変換するAC−DCコンバータとで構成されていることを特徴としている。
また、請求項6に係る電動パワーステアリング装置は、請求項1〜5の何れか1つの発明において、前記高電圧出力装置は、電気エネルギを蓄積する電気エネルギ蓄積体で構成されていることを特徴としている。
さらに、請求項7に係る電動パワーステアリング装置は、請求項1〜6の何れか1つの発明において、前記高電圧出力装置は、ラジオノイズを除去するローパスフィルタを有することを特徴としている。
本発明によれば、高電圧発電機、高電圧電池、高電圧蓄電池等の高電圧出力装置を設けることにより、バッテリ電流を使用することなく、高電圧を得ることができ、この高電圧を電動モータに供給することにより電流値を低減することが可能となり、各部の抵抗における電力損失を大幅に低減することができ、モータ出力特性の向上を効率よく行うことができるという効果が得られる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態を示す全体構成図であって、図中、1は通常の12Vのバッテリ電圧Vb及びこれより高い例えば42Vの高電圧Vhを出力する電源回路であって、この電源回路1から出力されるバッテリ電圧Vb及び高電圧Vhが操舵補助制御手段としての制御装置3に入力される。この制御装置3は、操舵系に対して操舵補助力を発生する電動モータ5を駆動制御する。
ここで、電動モータ5は、例えば三相交流駆動されるブラシレスモータで構成され、ステアリング装置10に対する操舵補助力を発生する操舵補助力発生用モータとして動作する。
ステアリング装置10は、ステアリングホイール11が装着されたステアリングシャフト12を有し、このステアリングシャフト12が例えばラックピニオン形式のステアリングギヤ機構13に連結され、このステアリングギヤ機構13がタイロッド等の連結機構14を介して左右の転舵輪15に連結されている。
そして、ステアリングシャフト12には、例えばウォームギヤで構成される減速機構16を介して電動モータ5が連結され、この電動モータ5で発生する操舵補助力が減速機構16を介してステアリングシャフト12に伝達される。
この電源回路1は、図2に示すように、通常電圧の12Vの発電を行う例えばオルタネータで構成される通常電圧発電機21及びこの通常電圧発電機21で発電された通常電圧Vuを直流に変換するAC−DCコンバータ22とで構成される通常電圧発電装置23と、通常電圧Vuより3.5倍程度高い42Vの高電圧Vhを発電する例えばオルタネータで構成される高電圧発電機24及びこの高電圧発電機24で発電された高電圧Vhを直流に変換する全波整流器で構成されるAC−DCコンバータ25とで構成される高電圧出力装置としての高電圧発電装置26とを備え、AC−DCコンバータ22の正極側出力及び負極側出力が12Vの車載バッテリ27の正極端子tp及び負極端子tnに接続されている。
そして、AC−DCコンバータ22及びバッテリ27に接続された12Vの低電圧正極側ライン28uがヒューズ29uを介して制御装置3に接続されると共に、AC−DCコンバータ25に接続された高電圧正極側ライン28hが同様にヒューズ29hを介して制御装置3に接続され、AC−DCコンバータ22,25及び車載バッテリ27の負極側が接地されている。
また、ステアリングシャフト12には、ステアリングホイール11に入力された操舵トルクTを検出する操舵トルクセンサ17が配設されていると共に、電動モータ5にはモータ回転角θmを検出する回転角センサ18が配設され、操舵トルクセンサ17で検出した操舵トルクT及びモータ回転角センサ18で検出したモータ回転角θmが制御装置3へ入力されている。
ここで、操舵トルクセンサ17は、ステアリングホイール11に付与されてステアリングシャフト12に伝達された操舵トルクを検出するもので、例えば、操舵トルクを図示しない入力軸及び出力軸間に介挿したトーションバーの捩れ角変位に変換し、この捩れ角変位を磁気信号で検出し、それを電気信号に変換するように構成されている。
さらに、制御装置3には車両の車速Vsを検出する車速センサ19で検出した車速Vsが入力されていると共に、後述するインバータ内に配設されたモータ電流検出回路20で検出したモータ電流Ia〜Icが入力されている。
制御装置3は、図2に示すように、操舵トルクT及び車速Vsに基づいて電流指令値としての操舵補助電流指令値Irefを演算し、この操舵補助電流指令値Irefに基づいて所定の電流フィードバック電制御処理を行って3相電圧指令値Varef〜Vcrefを算出し、算出した3相電圧指令値Varef〜Vcrefを出力し、且つモータ角速度ωmに基づいて後述する電源回路40の高電圧発電機の界磁電流制御を行うと共に、電源回路40のリレー制御処理を行うマイクロコンピュータ31と、このマイクロコンピュータ31から出力される3相電圧指令値Varef〜Vcrefに基づいてパルス幅変調処理を行ってFETゲート駆動信号を形成するFET駆動回路32と、このFET駆動回路32から出力されるFETゲート駆動信号に基づいて夫々3個の電界効果トランジスタFETを有する上アーム及び下アームを有するインバータ33とを備えている。
そして、制御装置3内では、低電圧正極ライン28uが電源リレーRLY1、インダクタL1及び選択手段としてのスイッチングトランジスタTR1を介して後述するインバータ33の正極側に接続され、高電圧正極ライン28hが電源リレーRLY2、インダクタL2を介してインバータ33の正極側に接続され、スイッチングトランジスタTR1の出力側及びインダクタL2の出力側との接続点と接地との間にコンデンサC1が接続されている。
このため、インダクタL1及びコンデンサC1とでローパスフィルタを構成して通常電圧発電装置の出力ラインとなる正極側ライン28uに重畳するノイズ及びモータ駆動時に発生するラジオノイズを抑制する。インダクタL2及びコンデンサC1とで同様にローパスフィルタを構成して高電圧発電装置の出力ラインとなる高電圧正極側ライン28hに重畳するノイズ及びモータ駆動時に発生するラジオノイズを抑制する。
さらに、低電圧正極側ライン28uのヒューズ29u及び電源リレーRLY1の接続点がイグニッションスイッチ2を介して安定化電源回路30に接続されていると共に、このイグニッションスイッチ2と並列に自己保持用のスイッチングトランジスタTR3が接続されている。この安定化電源回路30で後述するマイクロコンピュータ31及びFET駆動回路32で必要とする制御電圧を生成し、生成した制御電圧をマイクロコンピュータ31及びFET駆動回路32に出力する。
そして、マイクロコンピュータ31は、図3に示す操舵補助制御処理、図5に示す電力供給制御処理及び図6に示す高電圧発電装置制御処理を実行する。
操舵補助制御処理は、図3に示すように、所定時間(例えば1msec)毎にタイマ割込処理として実行され、先ず、ステップS1で、操舵トルクセンサ17、回転角センサ18、車速センサ19、モータ電流検出回路20等の各種センサの検出値を読込み、次いでステップS2に移行して、操舵トルクTをもとに図4に示す操舵補助電流指令値算出マップを参照して操舵補助トルク指令値Irefを算出してからステップS3に移行する。
ここで、操舵補助電流指令値算出マップは、図4に示すように、横軸に操舵トルクTをとり、縦軸に操舵補助電流指令値Irefをとると共に、車速Vsをパラメータとした放物線状の曲線で表される特性線図で構成され、操舵トルクTが"0"からその近傍の設定値Ts1までの間は操舵補助トルク指令値Irefが"0"を維持し、操舵トルクTが設定値Ts1を超えると最初は操舵補助指令値Irefが操舵トルクTの増加に対して比較的緩やかに増加するが、さらに操舵トルクTが増加すると、その増加に対して操舵補助トルク指令値Irefが急峻に増加するように設定され、この特性曲線が車速の増加に従って傾きが小さくなるように設定されている。
このステップS3では、モータ回転角センサ18で検出したモータ回転角θmを微分してモータ角速度ωmを算出し、次いでステップS4に移行して、モータ角速度ωmを微分してモータ角加速度αmを算出してからステップS5に移行する。
このステップS5では、モータ角速度ωmに車速Vsに応じて設定された補償係数Kvを乗算して収斂性補償値Icを算出してからステップS6に移行する。
このステップS6では、モータ角加速度αmに基づいて電動モータ5の慣性により発生するトルク相当分を補償して慣性感又は制御応答性の悪化を防止する慣性補償値Iiを算出し、次いでステップS7に移行して、操舵補助電流指令値IrefにステップS5及びS6で算出した収斂性補償値Ic及び慣性補償値Iiを加算して補償後操舵補助電流指令値Iref′を算出してからステップS8に移行する。
このステップS8では、算出した補償後操舵補助電流指令補償値Iref′にd−q軸指令値演算処理を実行してd軸電流指令値Idref及びq軸電流指令値Iqrefを算出し、次いでステップS9移行して2相/3相変換処理を行ってモータ電流指令値Iaref〜Icrefを算出する。
次いで、ステップS10に移行して、モータ電流指令値Iaref〜Icrefからモータ電流検出回路20で検出したモータ電流Ia〜Icを減算して電流偏差ΔIa〜ΔIcを算出し、次いでステップS11に移行して、電流偏差ΔIa〜ΔIcについてPI制御処理を行って電圧指令値Varef〜Vcrefを算出し、次いでステップS12に移行して算出した電圧指令値Varef〜VcrefをFET駆動回路32に出力してからタイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰する。この図3の処理が操舵補助制御手段に対応している。
また、電源供給制御処理は、図5に示すように、所定時間(例えば1msec)毎のタイマ割込処理として実行され、先ず、ステップS20で、各種センサで検出した信号を読込み、次いで、ステップS21に移行して、モータ回転角センサ18で検出したモータ回転角θmを微分してモータ角速度ωmを算出してからステップS22に移行する。
このステップS22では、イグニッションスイッチ2がオン状態であるか否かを判定し、これがオフ状態であるときには後述するステップS35に移行し、イグニッションスイッチ2がオン状態であるときにはステップS23に移行する。
このステップS23では、スイッチングトランジスタTR3をオフ状態に制御すると共に、制御装置3をイグニッションスイッチ2がオフ状態となった後にも所定時間作動を継続させるための遅延時間を設定する後述する計時タイマをクリアし、次いでステップS24に移行して、高電圧発電装置26で発生される高電圧Vhを読込み、次いでステップS25に移行して、読込んだ高電圧Vhが予め設定された設定電圧Vhs以上であるか否かを判定し、Vh<Vhsであるときには正常状態であると判断してステップS26に移行し、電源リレーRLY1をオン状態に制御し、次いでステップS27に移行して、スイッチングトランジスタTR1をオン状態に制御してからタイマ割込処理を終了して処理のメインプログラムに復帰する。
一方、ステップS25の判定結果が、Vh≧VhsであるときにはステップS28に移行して、高電圧Vhが予め設定した上限値VhLIM以上であるか否かを判定し、Vh<VhLIMであるときにはステップS29に移行して、リレーRLY2をオン状態に制御し、次いでステップS30に移行して、スイッチングトランジスタTR1をオフ状態に制御してからタイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰する。
さらに、前記ステップS28の判定結果が、Vh≧VhLIMであるときには、ステップS31に移行して、モータ角速度ωmが予め設定した設定値ωms以上であるか否かを判定し、ωm≧ωmsであるときには回生状態であるものと判断してステップS32に移行し、スイッチングトランジスタTR1をオン状態に制御してからタイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰する。
さらにまた、前記ステップS31の判定結果が、ωm<ωmsであるときには高電圧発生装置26の異常であると判断してステップS33に移行して、スイッチングトランジスタTR1をオン状態に制御し、次いでステップS34に移行して、リレーRLY2をオフ状態に制御してからタイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰する。
なおさらに、前記ステップS22の判定結果が、イグニッションスイッチ2がオフ状態であるときには、ステップS35に移行して、スイッチングトランジスタTR3がオフ状態であるか否かを判定し、オフ状態であるときには、ステップS36に移行して、スイッチングトランジスタTR3をオン状態に制御し、次いでステップS37に移行して、イグニッションスイッチスイッチ2をオン状態からオフ状態に反転させたときに制御装置3の作動状態を継続させるための遅延時間を確保する計時タイマをセットして計時開始させてからタイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰する。
一方、ステップS35の判定結果が、スイッチングトランジスタTR3がオン状態であるときにはステップS38に移行して、計時タイマがタイムアップしたか否かを判定し、計時タイマがタイムアップしていないときにはそのままタイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰し、計時タイマがタイムアップしたときにはステップS39に移行して、電源リレーRLY1及びRL2をオフ状態とし、次いでステップS40に移行して、スイッチングトランジスタTR3をオフ状態としてからタイマ割込処理を終了する。
この図5の処理が駆動電圧供給手段に対応している
さらに、高電圧発電機制御処理は、図6に示すように、所定時間(例えば1msec)毎のタイマ割込処理として実行され、先ずステップS41で、モータ回転角センサ18で検出したモータ回転角θmを読込み、次いでステップS42に移行して、モータ回転角θmを微分してモータ角速度ωmを算出してからステップS43に移行する。
このステップS43では、モータ角速度ωmが予め設定したモータ角速度ωmt以上であるか否かを判定し、ωm≧ωmtであるときにはステップS44に移行して、高電圧発電機24の界磁電流を通常値に制御する界磁電流制御信号Cfを電界効果トランジスタTR2に出力してからタイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰し、ωm<ωmtであるときにはステップS45に移行して、高電圧発電機24の界磁電流を通常値より少ない低電圧制御値に制御する界磁電流制御信号Cfを電界効果トランジスタTR2に出力してからタイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰する。
次に、上記実施形態の動作を説明する。
今、車両が停車していてイグニッションスイッチ2がオフ状態であるものとする。この状態では、電源リレーRLY1及びRLY2と電界効果トランジスタTR1がオフ状態となっており、制御装置3の安定化電源回路30にバッテリ27からのバッテリ電圧が供給されず、この安定化電源回路30から出力される制御電圧が零となっており、マイクロコンピュータ31、FET駆動回路32及びインバータ33は共に非作動状態となっており、電動モータ5は停止状態にある。
この車両停車状態で、イグニッションスイッチ2をオン状態とすると、バッテリ27のバッテリ電圧が安定化電源回路30に入力され、この安定化電源回路30から制御電圧がマイクロコンピュータ31及びFET駆動回路32に出力される。
このため、マイクロコンピュータ31が作動状態となって、図3の操舵補助制御処理、図5の電力供給制御処理及び図6の高電圧発電機制御処理が実行開始される。
このため、先ず、図5の電力供給制御処理で、電動モータ5が停止状態であることからモータ回転角θmの変化はなく、モータ角速度ωmは“0”となっている。
そして、イグニッションスイッチ2がオン状態となったことから、ステップS23に移行して、スイッチングトランジスタTR3をオフ状態に制御すると共に、イグニッションスイッチ2をオフ状態としたときに制御装置3の作動状態を継続させる遅延時間を設定する計時タイマをクリアしてからステップS24に移行して、高電圧発電装置26から出力される高電圧Vhを読込むが、高電圧Vhが設定電圧Vhs未満となることからステップS26に移行して、電源リレーRLY1をオン状態とするリレー制御信号を電源リレーRLY1に出力して、この電源リレーRLY1をオン状態とし、次いでステップS27に移行して、スイッチングトランジスタTR1をオン状態とする。これにより、バッテリ27のバッテリ電圧がインバータ33に供給されることにより、このインバータ33が作動可能状態となる。
その後、イグニッションスイッチ2がオン状態となることにより、エンジンが始動すると、通常電圧発電装置23の通常電圧発電機21及び高電圧発電装置26の高電圧発電機24が共に回転駆動されて発電状態となる。このため、両発電装置23及び26から直流電圧が出力される。
このとき、高電圧発電装置26から出力される高電圧Vhが設定電圧Vhsを超えると、図5の電力供給制御処理で、ステップS25からステップS28に移行し、電源リレーRLY2をオン状態とすることにより、この電源リレーRLY2を通じて高電圧発電装置26から出力される高電圧Vhがインバータ33に供給されることになり、インバータ33で高電圧でのモータ電流制御が開始される。
この車両停車状態で、ステアリングホイール11が操舵されていない場合には、操舵トルクセンサ17で検出される操舵トルクTが“0”であり、車速Vsも“0”であるので、図3に示す操舵補助制御処理で、操舵トルクT及び車速Vsをもとに操舵補助電流指令値算出マップを参照したときに操舵補助電流指令値Irefが“0”となる。
このとき、電動モータ5も停止しているため、モータ回転角θmを微分して演算されるモータ角速度ωm及びモータ角加速度αmも共に“0”であるので、収斂性補償値Ic及び慣性補償値Iiが共に“0”となり、ステップS7で算出される補償後操舵補助電流補正値Iref′も“0”となる。
このため、ステップS8のd−q軸電流指令値演算処理で算出されるd軸電流指令値Idref及びq軸電流指令値Iqrefも“0”となり、ステップS9で算出される3相電流指令値Iaref、Ibref及びIcrefも“0”となり、電動モータ5が停止しているので、モータ電流検出回路20で検出されるモータ電流Ia、Ib及びIcも“0”となるので、ステップS10で算出される電流偏差ΔIa、ΔIb及びΔIcが共に“0”となるため、ステップS11で算出される電圧指令値Varef、Vbref及びVcrefも“0”となり、これら電圧指令値Varef、Vbref及びVcrefがFET駆動回路32に出力される。
このため、FET駆動回路32から出力されるFETゲート信号もオフ状態となり、インバータ33から出力されるモータ駆動電流Ia、Ib及びIcも“0”となり、電動モータ5は停止状態を継続する。
この車両の停車状態で、ステアリングホイール11を操舵して所謂据え切りを行うと、これに応じて操舵トルクセンサ17で検出される操舵トルクTが比較的大きな値となることにより、図3の操舵補助制御処理で算出される操舵補助電流指令値Irefが操舵トルクTに応じて急増する。
この状態でも電動モータ5が停止しているので、モータ角速度ωm及びモータ角加速度αmも“0”を継続し、収斂性補償値Ic及び慣性補償値Iiも“0”を維持する。
このため、操舵補助電流指令値Irefがそのままd−q軸電流指令値演算処理されてd軸電流指令値Idref及びq軸電流指令値Iqrefが算出され、これらを2相/3相変換して操舵補助電流指令値Irefに応じた3相電流指令値Iaref、Ibref及びIcrefが算出される。
このとき、モータ電流Ia、Ib及びIcは“0”を継続しているので、ステップS10で、3相電流指令値Iaref、Ibref及びIcrefがそのまま電流偏差ΔIa、ΔIb及びΔIcとして算出され、これらがPI制御されてから電圧指令値Varef、Vbref及びVcrefに変換されてFET駆動回路32に出力される。
このため、FET駆動回路32から電圧指令値Varef、Vbref及びVcrefに応じたFETゲート駆動信号がインバータ33に出力されて、このインバータ33から3相モータ電流Ia、Ib及びIcが電動モータ5に出力されて電動モータ5が回転駆動され、操舵トルクTに応じた操舵補助力を発生する。
このとき、前述した図5の電力供給制御処理で、電源リレーRLY2がオン状態に制御され、且つスイッチングトランジスタTR1がオフ状態に制御されるので、電動モータ5が高電圧発生装置26で発生された高電圧Vhのみに基づいてインバータ33が駆動されるので、全ての電力ラインにおける電流値を低減することができ、これにより各部の抵抗における電力損失を大幅に低減して、電動モータ5のモータ出力特性を向上させることができると共に、バッテリ27のバッテリ電流が消費されることがなく、バッテリ電流を過剰に消費することよるバッテリ電圧の低下を確実に防止することができ、バッテリ電圧の低下によって車両全体の電装システムが停止することを確実に防止することができる。
この電動モータ5で発生された操舵補助力は、減速機構16を介してステアリングホイール11からの操舵力が伝達されたステアリングシャフト12に伝達されることにより、操舵力及び操舵補助力がステアリングギヤ機構13で車幅方向の直線運動に変換されて連結機構14を介して左右の転舵輪15が転舵されて、軽い操舵トルクで転舵輪15を転舵することができる。
そして、電動モータ5が駆動制御されることにより、ステップS3及びS4で算出されるモータ角速度ωm及びモータ角加速度αmが増加することにより、これらに基づいて収斂性補償値Ic及び慣性補償値Iiが算出され、これらが操舵補助電流指令値Irefに加算されて補償後操舵補助電流指令値Iref′が算出されることきにより、電流補償処理が行われる。
その後、車両を発進させると、車速Vsの増加に伴って、図4の操舵補助電流指令値算出マップにおける特性曲線の傾きが小さくなることにより、操舵トルクTに基づいて算出される操舵補助電流指令値Irefが小さくなり、車両の走行状態に応じた操舵補助電流指令値Irefが算出され、この操舵補助電流指令値Irefに収斂性補償値Ic及び慣性補償値Iiを加算した補償後操舵補助指令値Iref′が据え切り時に比較して小さくなり、インバータ33から走行時状態に応じたモータ電流Ia、Ib及びIcが電動モータ5に出力されて、走行状態に応じた最適な操舵補助力が発生される。
そして、上述したように電動モータ5が高電圧発生装置26で発生された高電圧Vhがインバータ33に供給されることにより、モータ出力を向上させた状態で、電動モータ5を駆動している状態で、操舵トルクセンサ17で検出した操舵トルクTが大きい値となるか又は車両が低速走行状態となって、操舵補助電流指令値算出マップを参照して算出した操舵補助電流指令値Irefが大きな値となることにより、モータ角速度ωmが設定値ωms以上であるときには、図6の高電圧発電機制御処理で、高電圧発電機24の界磁コイルLfgに供給する界磁電流を通常値に制御するゲート制御信号を電界効果トランジスタTR2に出力することにより、高電圧発電機24に対して通常の界磁制御を行うが、操舵トルクセンサ17で検出した操舵トルクTが小さい値となるか又は車両が高速走行状態となって、操舵補助電流指令値算出マップを参照して算出した操舵補助電流指令値Irefが小さな値となることにより、モータ角速度ωmが設定値ωmt未満となると、図6のステップS43からステップS45に移行して、高電圧発電機24に対して界磁電流を通常値より少ない低電流制御値に制御するゲート制御信号を電界効果トランジスタTR2に出力することにより、高電圧発電機24の出力能力を低下させて、高電圧発電装置26及びモータ駆動回路としてのインバータの損失を低減することができる。
ところが、電動モータ5を高速回転駆動している状態で、操舵トルクTが低下することにより、インバータ33から出力されるモータ電流Ia〜Icが低下して回生状態となると、この回生状態で、電動モータ5で発電される電圧がインバータ33に戻されて、高電圧Vhが上限値VhLIMを超える状態となると、図5のステップS28からステップS31に移行し、この回生状態での電動モータ5に発生する電圧は電動モータ5のモータ角速度ωmに比例することから、モータ角速度ωmが設定値ωms以上となる。このため、ステップS31からステップS32に移行して、スイッチングトランジスタTR1をオン状態とすることにより、回生状態で電動モータ5から発生する高電圧をスイッチングトランジスタTR1、インダクタL1、電源リレーRLY1及びヒューズ29uを介してバッテリ27に戻して、エネルギ吸収を行う。この場合、回生状態の電動モータ5で発生する高電圧は一時的なものであり、12Vのバッテリ27で十分にエネルギ吸収を行うことができる。
一方、高電圧発生装置26が異常状態となって、出力される高電圧Vhが上限値VhLIM以上となった場合には、電動モータ5のモータ角速度ωmが回生状態のように設定値ωms以上となることはなく、図5の処理において、ステップS28からステップS31を経てステップS33に移行し、スイッチングトランジスタTR1をオン状態とするゲート制御信号をスイッチングトランジスタTR1に出力し、次いでステップS34に移行して、電源リレーRLY2をオフ状態とするリレー制御信号を電源リレーRLY2に出力する。
このため、高電圧発生装置26で発生された異常高電圧は電源リレーRLY2がオフ状態となることにより、インバータ33には供給されず、これに代えてバッテリ27又は通常電圧発電装置23で発電される通常電圧がインバータ33に供給される。
この結果、異常な高電圧がインバータ33に印加されてインバータ33が損傷されることを確実に防止すると共に、バッテリ27又は通常電圧発電装置23からの通常電圧がインバータ33に供給されることにより、電動モータ5から出力される操舵補助力は小さくなるが、電動モータ5の回転駆動は継続されて、操舵補助制御を継続することができる。
さらに、車両を停車させて、イグニッションスイッチ2をオフ状態とすると、図5の処理で、ステップS22からステップS35を経てステップS36に移行し、スイッチングトランジスタTR3をオン状態とすることにより、イグニッションスイッチ2と並列な自己保持回路が形成されて安定化電源回路30に対するバッテリ電圧の供給が継続される。この状態では、スイッチングトランジスタTR3がオン状態となっているので、計時タイマがタイムアップするまでの間、マイクロコンピュータ31が作動状態を継続する。したがって、計時タイマがタイムアップするまでの間に再度イグニッションスイッチ2をオン状態として、エンジンを始動することにより、高電圧発電装置26での高電圧Vhによるモータ駆動制御を再開することができる。
そして、イグニッションスイッチ2をオフ状態としてから計時タイマがタイムアップすると、ステップS39に移行して、電源リレーRLY1及びRLY2がオフ状態に制御され、続いてステップS40でスイッチングトランジスタTR3がオフ状態に制御されることにより自己保持回路が解消されて、安定化電源回路30への電力供給が停止され、マイクロコンピュータ31及びFET駆動回路32への制御電力供給が停止される。
このように、上記実施形態によると、通常時では、高電圧発電装置26で発生された高電圧Vhをインバータ33に供給して、このインバータ33で高電圧Vhに基づいてモータ電流Ia〜Icを形成して、電動モータ5を駆動制御するので、全ての電源ラインにおける電流値を低減することができ、各部の抵抗による電力損失を大幅に低減することができ、結果として電動モータ5のモータ出力特性の向上を効率良く行うことができると共に、バッテリ27のバッテリ電流を消費することがないので、バッテリ電圧の低下を確実に防止して、バッテリ電圧低下による車両全体の電装システムの停止を確実に防止することができる。
しかも、通常電圧発電装置23も合わせて使用することにより、エンジン始動時の発電電圧が低い状態では、バッテリからの電力供給により、電動モータ5を回転駆動することができると共に、高電圧発電装置26で異常が発生したときに、通常電圧発電装置23からの電力によって電動モータ5の駆動を継続することができる。
さらに、高電圧出力装置26の出力電圧を操舵補助制御処理の制御状態に応じて制御可能としているので、高電圧発電装置及びモータ駆動回路の損失を低減することができる。
さらにまた、高電圧を発生させるために昇圧回路を必要としないので、制御装置3の小型化及び低発熱化を図ることができると共に、信頼性を向上させることができる。
なお、上記実施形態においては、高電圧出力装置として高電圧発電装置26を適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、高電圧出力装置として、電池や蓄電器のような高電圧を出力することが可能な電気エネルギ蓄積体を適用することができる。
また、上記実施形態においては、マイクロコンピュータ31を適用して、ソフトウェア処理によって、操舵補助制御、電力供給制御及び高電圧発電制御を行う場合について説明したが、これに限定されるものではなく、演算処理装置、比較回路、論理回路等のハードウェアによって操舵補助制御手段、電力供給制御手段及び高電圧発電制御手段を構成することもできる。
さらに、上記実施形態においては、高電圧発電装置26で42Vの高電圧Vhを発生する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、通常の車載バッテリの12Vより高い電圧であれば、任意の高電圧を適用することができる。
さらにまた、上記実施形態においては、マイクロコンピュータ31の操舵補助制御処理で、電圧指令値Varef〜Vcrefを算出し、これをFET駆動回路32に出力する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、FET駆動回路32で形成するゲート駆動制御信号を操舵補助制御処理で形成して、形成したゲート駆動制御信号を直接インバータ33に出力するようにしてもよい。
さらに、上記実施形態においては、本発明をブラシレスモータの駆動に適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、ブラシ付きモータの駆動に適用することもでき、この場合には、インバータ33を電動モータを駆動するHブリッジ回路に変更すると共に、操舵補助制御処理におけるd−q軸電流指令値演算処理を省略して操舵補助電流指令値Irefに基づいて電流フィードバック処理を行って、Hブリッジ回路を制御するようにすればよい。
本発明の一実施形態を示す全体構成図である。 電源回路及び制御装置の具体的構成を示すブロック図である。 制御装置のマイクロコンピュータで実行する操舵補助制御処理手順の一例を示すフローチャートである。 操舵補助電流指令値算出マップを示す特性線図である。 マイクロコンピュータで実行する電力供給制御処理手順の一例を示すフローチャートである。 マイクロコンピュータで実行する高電圧発電機制御処理手順の一例を示すフローチャートである。
符号の説明
1…電源回路、2…イグニッションスイッチ、3…制御装置、5…電動モータ、11…ステアリングホイール、12…ステアリングシャフト、13…ステアリングギヤ機構、14…連結機構、15…転舵輪、16…減速機構、17…操舵トルクセンサ、18…モータ回転角センサ、19…車速センサ、20…モータ電流検出回路、21…通常電圧発電機、22…AC/DCコンバータ、23…通常電圧発電装置、24…高電圧発電機、25…AC/DCコンバータ、26…高電圧発電装置、27…バッテリ、30…安定化電源回路、31…マイクロコンピュータ、32…FET駆動回路、33…インバータ、RLY1,RLY2…電源リレー、TR1,TR3…スイッチングトランジスタ、TR2…電界効果トランジスタ

Claims (7)

  1. 操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と、操舵系に対して操舵補助力を発生させる電動モータと、前記操舵トルク検出手段で検出した操舵トルクに基づいて前記電動モータを制御する操舵補助制御手段とを備えた電動パワーステアリング制御装置であって、
    通常の車載バッテリより高い電圧を出力する高電圧出力装置と、該高電圧出力装置から出力される高電圧を前記電動モータの駆動電圧として供給する駆動電圧供給手段とを備えたことを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  2. 前記高電圧出力装置は、前記操舵補助制御手段の制御状態に応じて出力電圧を制御可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。
  3. 前記高電圧出力装置の他に通常の車載バッテリを有し、前記駆動電圧供給手段は、前記車載バッテリ及び前記高電圧出力装置を選択手段で選択して前記電動モータの駆動電圧として供給するように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電動パワーステアリング装置。
  4. 前記選択手段は、前記高電圧出力装置の高電圧出力停止時に、前記車載バッテリを選択するように構成されていることを特徴とする請求項3に記載の電動パワーステアリング装置。
  5. 前記高電圧出力装置は、高電圧交流を発電する高電圧発電装置と、該高電圧発電装置で発電した高電圧交流を直流電圧に変換するAC−DCコンバータとで構成されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の電動パワーステアリング装置。
  6. 前記高電圧出力装置は、電気エネルギを蓄積する電気エネルギ蓄積体で構成されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の電動パワーステアリング装置。
  7. 前記高電圧出力装置は、ラジオノイズを除去するローパスフィルタを有することを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の電動パワーステアリング装置。
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US8813905B2 (en) 2011-09-08 2014-08-26 Denso Corporation Rotating electrical machine control device and steering control system

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