JP2007091107A - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 配線損失を低減して高出力が得られる電動パワーステアリング装置を提供する。
【解決手段】 操舵系に作用される操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段6、前記操舵系に対して操舵補助力を発生する電動モータ3と、該電動モータ3の近傍に配置され、操舵トルクに応じた電流指令値に基づいて当該電動モータを駆動制御するモータ駆動手段4と、前記操舵系の操舵状態の時間変化率を検出する操舵状態時間変化率算出手段と、該操舵状態時間変化率算出手段で検出した操舵状態時間変化率に基づいて昇圧制御指令を決定する昇圧制御指令決定手段と、車両に搭載されたバッテリ1の近傍に配置され、前記昇圧制御指令に基づいてバッテリ1の出力電圧を昇圧する昇圧手段2とを備え、前記モータ駆動手段4は、前記昇圧手段2で昇圧された電圧を、前記電流指令値に基づいてパルス幅変調制御して、前記電動モータ3に供給するように構成されている。
【選択図】 図1
【解決手段】 操舵系に作用される操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段6、前記操舵系に対して操舵補助力を発生する電動モータ3と、該電動モータ3の近傍に配置され、操舵トルクに応じた電流指令値に基づいて当該電動モータを駆動制御するモータ駆動手段4と、前記操舵系の操舵状態の時間変化率を検出する操舵状態時間変化率算出手段と、該操舵状態時間変化率算出手段で検出した操舵状態時間変化率に基づいて昇圧制御指令を決定する昇圧制御指令決定手段と、車両に搭載されたバッテリ1の近傍に配置され、前記昇圧制御指令に基づいてバッテリ1の出力電圧を昇圧する昇圧手段2とを備え、前記モータ駆動手段4は、前記昇圧手段2で昇圧された電圧を、前記電流指令値に基づいてパルス幅変調制御して、前記電動モータ3に供給するように構成されている。
【選択図】 図1
Description
本発明は、車両に搭載したバッテリの電力で操舵系に対して操舵補助力を発生する電動モータを駆動する電動パワーステアリング装置に関する。
一般に車両には、バッテリを電源として車載用モータを通電制御する車載用モータ制御装置が多々使用されている。例えば電動パワーステアリング装置においては、従来から、運転者がステアリングホイールに加える操舵トルクをトルクセンサで検出して、これに応じてモータをパルス幅変調(PWM)制御して駆動することによりステアリング機構に操舵補助力を与える。
近年、小型車だけではなく、中型車や大型車に対しても電動パワーステアリング装置を搭載することが望まれ、モータやその制御装置の大容量化が図られている。モータについてはブラシによる電流制約があるブラシ付モータに代えてブラシレスモータを採用することが、また、制御装置については昇圧機能を搭載してより高出力を得ることが提案されている。
昇圧機能を有する車載用モータ制御装置の従来例としては、例えば操舵トルクに基づいて定めたモータ電流指令値に従って、車載バッテリ電圧が印加される駆動回路により操舵補助用のモータを駆動し、モータ電流指令値が第1閾値より大きいか否かを判定する手段と、判定する手段が大きいと判定したときに、車載バッテリ電圧を昇圧するための昇圧指令を出力する手段と、その出力した昇圧指令により、車載バッテリ電圧を昇圧する昇圧回路とを備えた電動パワーステアリング装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、他の従来例として、マイコンに供給される各種センサの検出値に基づいてモータに供給すべき目標電流値Itを算出し、目標電流値Itと電流検出値Isとの偏差を算出してフィードバック制御のための指令値Vを生成し、指令値Vに基づいて算出デューティ比Dcを算出し、算出デューティ比Dcが100%等の閾値D0を超える場合、昇圧回路を起動して、算出デューティ比Dcと昇圧前電圧Voffと昇圧子電圧Vonとに基づいて出力デューティ比Dp(=Dc×Voff/Von)を算出し、上記閾値D0以下の場合、昇圧回路を停止して、算出デューティ比Dcを出力デューティ比Dpとし、算出された出力デューティ比DpをPWM信号生成回路に与えてモータを駆動制御する電動パワーステアリング装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2001−260907号公報(第1頁、図4)
特開2003−200838号公報(第1頁、図5)
しかしながら、上記特許文献1及び2に記載された従来例にあっては、電動パワーステアリング装置の大容量化に対して、バッテリ出力の限界を考慮すると、モータの高効率化、制御装置の損失低減、配線損失の低減が必要となり、この内の配線損失の低減を目的に昇圧機能により電流値を減らすことが考えられているが、特許文献1及び2の両者は共に昇圧手段がモータ駆動手段と一体化されているので、以下に述べる未解決の課題がある。
すなわち、図21に示すように、バッテリ101とモータ102との配線の抵抗を1本当たり20mΩとして、モータ駆動回路と昇圧回路とを含む制御装置103をモータ102の近傍の9:1となる位置に配置した場合について説明する。この場合には、バッテリ電流Ibを直流100A、昇圧率1でのモータ定格電流Imを実効値で120Aと仮定し、モータは昇圧率に伴って電圧仕様を最適化して設定されているものとしたときの、昇圧率αに対する配線損失の関係は図22のようになる。ここで、バッテリ電流Ibによる配線損失は、抵抗値×(バッテリ電流Ib)2 ×配線本数(2)で求め、モータ電流Imによる配線損失は、抵抗値×(モータ電流Im/昇圧率α)2 ×配線本数(3)として求めている。この図22から明らかなように、バッテリ電流Ibによる配線損失が大部分を占めることから昇圧による配線損失低減効果が少ないという未解決の課題がある。
これに対して、図23に示すように、バッテリ101とモータ102との配線の抵抗を1本当たり20mΩとして、モータ駆動回路と昇圧回路とを含む制御装置103をモータ102近傍の1:9となる位置に配置した場合には、上記と同様にバッテリ電流Ib及びモータ電流Imを仮定したときの、昇圧率αに対する配線損失は図24に示すようになる。この図24から明らかなように、昇圧率αを十分に高くすれば、昇圧による配線損失低減効果を発揮することができる。しかしながら、制御装置103をバッテリ101近傍に配置することは、モータ102と制御装置103との間に必要な回転センサとしてのレゾルバ用の配線やトルクセンサ用の配線、モータ配線が長くなることにより、ノイズの影響や配線数増加によるコストアップ等が問題となるという未解決の課題がある。
そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、配線損失を低減して高出力が得られる電動パワーステアリング装置を提供することを目的としている。
そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、配線損失を低減して高出力が得られる電動パワーステアリング装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、請求項1に係る電動パワーステアリング装置は、操舵系に作用される操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と、前記操舵系に対して操舵補助力を発生する電動モータと、該電動モータの近傍に配置され、前記操舵トルク検出手段で検出した操舵トルクに応じた電流指令値に基づいて当該電動モータを駆動制御するモータ駆動手段と、前記操舵系の操舵状態の時間変化率を算出する操舵状態時間変化率算出手段と、該操舵状態時間変化率算出手段で算出した操舵状態時間変化率に基づいて昇圧制御指令を決定する昇圧制御指令決定手段と、車両に搭載されたバッテリの近傍に配置され、前記昇圧制御指令決定手段で決定した昇圧制御指令に基づいてバッテリの出力電圧を昇圧する昇圧手段と、を備え、前記モータ駆動手段は、前記昇圧手段で昇圧された電圧を、前記電流指令値に基づいてパルス幅変調制御して、前記電動モータに供給するように構成されていることを特徴としている。
この請求項1に係る発明では、バッテリ近傍に昇圧手段を配設し、車載用モータの近傍にモータ駆動手段を配設することにより、昇圧手段で昇圧した昇圧電圧をモータ駆動手段へ供給して配線損失を低減させると共に、操舵系の操舵状態の時間変化率に基づいて昇圧制御指令を決定することにより、電動モータが大きな電圧を必要と推測される場合に事前に昇圧手段で昇圧を行うことが可能となり、効率の良い昇圧を行うことができ、さらに不必要な昇圧動作による昇圧損失を最小化することができる。
また、請求項2に係る電動パワーステアリング装置は、請求項1の発明において、前記操舵状態時間変化率算出手段は、前記操舵トルクの時間変化率を算出するように構成されていることを特徴としている。
この請求項2に係る発明では、操舵系に作用される操舵トルクの時間変化率が大きくなると、電動モータで発生する操舵補助力も大きくする必要があると判断して、昇圧手段で昇圧を行い、比較的緩やかな操舵トルク変化時には昇圧手段での昇圧を停止する。
この請求項2に係る発明では、操舵系に作用される操舵トルクの時間変化率が大きくなると、電動モータで発生する操舵補助力も大きくする必要があると判断して、昇圧手段で昇圧を行い、比較的緩やかな操舵トルク変化時には昇圧手段での昇圧を停止する。
さらに、請求項3に係る電動パワーステアリング装置は、請求項1の発明において、前記操舵状態時間変化率算出手段は、操舵系の操舵角を検出する操舵角検出手段を有し、該操舵角検出手段で検出した前記操舵角の時間変化率でなる操舵角速度を算出するように構成されていることを特徴としている。
この請求項3に係る発明では、操舵系の操舵角の時間変化率即ち操舵角速度が大きい場合には緊急回避操舵状態などの比較的大きな操舵補助力を必要とするものと判断して、昇圧手段で昇圧を行うが、操舵角速度が小さい場合には大きな操舵補助力を必要としないものと判断して、昇圧手段での昇圧を停止する。
この請求項3に係る発明では、操舵系の操舵角の時間変化率即ち操舵角速度が大きい場合には緊急回避操舵状態などの比較的大きな操舵補助力を必要とするものと判断して、昇圧手段で昇圧を行うが、操舵角速度が小さい場合には大きな操舵補助力を必要としないものと判断して、昇圧手段での昇圧を停止する。
さらにまた、請求項4に係る電動パワーステアリング装置は、請求項1に係る発明において、前記操舵状態時間変化率算出手段は、前記電動モータの回転角を検出するモータ回転角検出手段を有し、該モータ回転角検出手段で検出した前記回転角の時間変化率でなる角速度を算出するように構成されていることを特徴としている。
この請求項4に係る発明では、電動モータのモータ回転角の時間変化率即ちモータ角速度が大きい場合には緊急回避操舵状態などの比較的大きな操舵補助力を必要とするものと間接的に判断して、昇圧手段で昇圧を行うが、モータ角速度が小さい場合には大きな操舵補助力を必要としないものと判断して、昇圧手段での昇圧を停止する。
この請求項4に係る発明では、電動モータのモータ回転角の時間変化率即ちモータ角速度が大きい場合には緊急回避操舵状態などの比較的大きな操舵補助力を必要とするものと間接的に判断して、昇圧手段で昇圧を行うが、モータ角速度が小さい場合には大きな操舵補助力を必要としないものと判断して、昇圧手段での昇圧を停止する。
なおさらに、請求項5に係る電動パワーステアリング装置は、請求項1に係る発明において、前記操舵状態時間変化率算出手段は、前記モータ駆動手段のパルス幅変調のデューティ比を検出するデューティ比検出手段を有し、該デューティ比検出手段で検出したデューティ比に基づいて所定値以上の操舵状態時間変化率を検出するように構成されていることを特徴としている。
この請求項5に係る発明では、電動モータを駆動するモータ駆動手段のパルス幅変調制御のデューティ比を検出し、これに基づいて所定以上の操舵状態時間変化率を間接的に検出するので、デューティ比が所定値以上であるときに緊急回避操舵状態などの比較的大きな操舵補助力を必要とするものと間接的に判断して、昇圧手段で昇圧を行うが、デューティ比が所定値より小さい場合には大きな操舵補助力を必要としないものと判断して、昇圧手段での昇圧を停止する。
また、請求項6に係る電動パワーステアリング装置は、請求項1乃至5の何れか1つの発明において、前記昇圧制御指令決定手段は、前記モータ駆動手段に併設され、当該昇圧制御指令決定手段と前記昇圧手段との間に通信手段が配設されていることを特徴としている。
この請求項6に係る発明では、昇圧制御指令決定手段がモータ駆動手段に併設されて、昇圧手段とは離れているので、両者間に通信手段を配設して、データの送受信を行う。
この請求項6に係る発明では、昇圧制御指令決定手段がモータ駆動手段に併設されて、昇圧手段とは離れているので、両者間に通信手段を配設して、データの送受信を行う。
さらに、請求項7に係る電動パワーステアリング装置は、請求項6に係る発明において、前記通信手段はシリアルデータ通信を行うように構成されていることを特徴としている。
この請求項7に係る発明では、昇圧手段及びモータ駆動手段間の通信をシリアルデータ通信で行って、デジタル通信によりノイズの影響を抑制する。
さらにまた、請求項8に係る電動パワーステアリング装置は、請求項6の発明において、前記通信手段は光データ通信を行うように構成されていることを特徴としている。
この請求項8に係る発明では、昇圧手段及びモータ駆動手段間の通信を光データ通信で行って、光デジタル通信によりノイズの影響を抑制する。
この請求項7に係る発明では、昇圧手段及びモータ駆動手段間の通信をシリアルデータ通信で行って、デジタル通信によりノイズの影響を抑制する。
さらにまた、請求項8に係る電動パワーステアリング装置は、請求項6の発明において、前記通信手段は光データ通信を行うように構成されていることを特徴としている。
この請求項8に係る発明では、昇圧手段及びモータ駆動手段間の通信を光データ通信で行って、光デジタル通信によりノイズの影響を抑制する。
請求項1に係る発明によれば、配線損失を最小化して高出力を得ることができると共に、操舵系の操舵状態の時間変化率に基づいて昇圧制御指令を決定することにより、電動モータが大きな電圧を必要と推測される場合に事前に昇圧手段で昇圧を行うことが可能となり、効率の良い昇圧を行うことができ、さらに不必要な昇圧動作による昇圧損失を最小化することができるという効果が得られる。
また、請求項2に係る発明によれば、操舵系に作用される操舵トルクの時間変化率が大きくなると、電動モータで発生する操舵補助力も大きくする必要があると判断して、昇圧手段で昇圧を行い、比較的緩やかな操舵トルク変化時には昇圧手段での昇圧を停止することにより、昇圧手段での昇圧損失を低減することができるという効果が得られる。
さらに、請求項3に係る発明によれば、操舵角速度が大きいときにのみ昇圧手段を昇圧動作させ、その他では昇圧手段を停止させることにより、昇圧手段での昇圧損失を低減することができるという効果が得られる。
さらに、請求項3に係る発明によれば、操舵角速度が大きいときにのみ昇圧手段を昇圧動作させ、その他では昇圧手段を停止させることにより、昇圧手段での昇圧損失を低減することができるという効果が得られる。
さらにまた、請求項4に係る発明によれば、モータ角速度が大きいときに、操舵状態の時間変化率が大きく電動モータが大きな電圧を必要としているものと間接的に判断して、昇圧手段を昇圧動作させ、その他では昇圧手段を停止させることにより、効率の良い昇圧を行うことができると共に、昇圧手段での昇圧損失を低減することができるという効果が得られる。
なおさらに、請求項5に係る発明によれば、モータ駆動手段のパルス幅変調制御のデューティ比が大きいときに、操舵系の操舵状態時間変化率が大きいものと間接的に判断して、昇圧手段を昇圧動作させ、その他では昇圧手段を停止させることにより、効率の良い昇圧を行うことができると共に、昇圧手段での昇圧損失を低減することができるという効果が得られる。
また、請求項6に係る発明によれば、昇圧制御指令決定手段がモータ駆動手段に併設されて、昇圧手段とは離れているので、両者間に通信手段を配設して、データの送受信を行うことにより、昇圧制御指令の伝達を正確に行うことができるという効果が得られる。
さらに、請求項7に係る発明によれば、昇圧手段及びモータ駆動手段間の通信をシリアルデータ通信で行って、デジタル通信によりノイズの影響を抑制することができるという効果が得られる。
さらにまた、請求項8に係る発明によれば、昇圧手段及びモータ駆動手段間の通信を光データ通信で行って、光デジタル通信によりノイズの影響を抑制することができるという効果が得られる。
さらに、請求項7に係る発明によれば、昇圧手段及びモータ駆動手段間の通信をシリアルデータ通信で行って、デジタル通信によりノイズの影響を抑制することができるという効果が得られる。
さらにまた、請求項8に係る発明によれば、昇圧手段及びモータ駆動手段間の通信を光データ通信で行って、光デジタル通信によりノイズの影響を抑制することができるという効果が得られる。
次に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明を電動パワーステアリング装置に適用した場合の第1の実施形態における概略構成を示すブロック図である。図中、1は通常の車両に搭載されている定格電圧が12Vのバッテリであって、このバッテリ1から出力されるバッテリ電力がバッテリ1の近傍に配設された昇圧手段としての昇圧回路2に供給され、この昇圧回路2で昇圧された昇圧された昇圧出力が操舵補助力を発生する電動モータ3の近傍に配設されたモータ駆動手段としてのモータ駆動回路4に入力されている。このモータ駆動回路4には、バッテリ1のバッテリ電力が制御用電力として供給されていると共に、モータ駆動回路4と昇圧回路2との間にデータ通信を行う通信手段としての通信回線5が配設されている。
図1は本発明を電動パワーステアリング装置に適用した場合の第1の実施形態における概略構成を示すブロック図である。図中、1は通常の車両に搭載されている定格電圧が12Vのバッテリであって、このバッテリ1から出力されるバッテリ電力がバッテリ1の近傍に配設された昇圧手段としての昇圧回路2に供給され、この昇圧回路2で昇圧された昇圧された昇圧出力が操舵補助力を発生する電動モータ3の近傍に配設されたモータ駆動手段としてのモータ駆動回路4に入力されている。このモータ駆動回路4には、バッテリ1のバッテリ電力が制御用電力として供給されていると共に、モータ駆動回路4と昇圧回路2との間にデータ通信を行う通信手段としての通信回線5が配設されている。
ここで、電動モータ3は、3相交流駆動されるブラシレスモータで構成され、電動パワーステアリング装置の操舵補助トルクを発生する操舵補助力発生用モータとして動作する。この電動モータ3は、ステアリングホイール6が接続されたステアリングシャフト7に減速機構8を介して連結され、このステアリングシャフト7がラックピニオン機構9に連結され、このピニオンラック機構9がタイロッド等の連結機構10を介して左右の転舵輪11に連結されている。
そして、ステアリングシャフト7には、ステアリングホイール6に入力された操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段としての操舵トルクセンサ12が配設されていると共に、電動モータ3にはモータ回転角を検出するレゾルバ13が配設され、操舵トルクセンサ12で検出した操舵トルク検出信号及びレゾルバ13で検出したモータ回転角検出信号がモータ駆動回路4へ入力されている。
昇圧回路2は、図2に示すように、バッテリ1の正極側端子1p及び負極側端子1nに接続された入力端子20p及び20nと、これら入力端子20p及び20nに正極ライン21p及び負極ライン21nを介して接続された出力端子22p及び22nとを有する。
正極ライン21pには、リアクトル23とスイッチング素子としての電界効果トランジスタFET1のソース及びドレインが直列に接続されて介挿されている。電界効果トランジスタFET1のソース及びドレイン間にはアノードをソースに、カソードをドレインに接続したダイオードD1が接続されている。
正極ライン21pには、リアクトル23とスイッチング素子としての電界効果トランジスタFET1のソース及びドレインが直列に接続されて介挿されている。電界効果トランジスタFET1のソース及びドレイン間にはアノードをソースに、カソードをドレインに接続したダイオードD1が接続されている。
さらに、リアクトル23及び電界効果トランジスタFET1のソースとの接続点と負極ライン21nとの間に、ドレインをリアクトル23側とし、ソースを負極ライン21n側とするスイッチング素子としての電界効果トランジスタFET2が介挿されている。
そして、電界効果トランジスタFET1及びFET2のゲートがゲートドライブ回路24に接続され、このゲートドライブ回路24にマイクロコンピュータ25から出力されるパルス幅変調(PWM)信号が入力されている。
そして、電界効果トランジスタFET1及びFET2のゲートがゲートドライブ回路24に接続され、このゲートドライブ回路24にマイクロコンピュータ25から出力されるパルス幅変調(PWM)信号が入力されている。
また、入力端子20p及び20n間には、平滑用コンデンサC1が接続されていると共に、この平滑用コンデンサC1と並列に昇圧回路2を制御するマイクロコンピュータ25に対する制御電源を生成する電源回路26が接続されている。
さらに、電源回路26と並列に抵抗R1及びR2を直列に接続したバッテリ電圧Vbを1/10に分圧する分圧回路27が接続され、この分圧回路27の抵抗R1及びR2の接続点から出力されるバッテリ検電圧検出信号Vbdがマイクロコンピュータ25のA/D変換入力端子に入力されている。
さらに、電源回路26と並列に抵抗R1及びR2を直列に接続したバッテリ電圧Vbを1/10に分圧する分圧回路27が接続され、この分圧回路27の抵抗R1及びR2の接続点から出力されるバッテリ検電圧検出信号Vbdがマイクロコンピュータ25のA/D変換入力端子に入力されている。
また、リアクトル23の両端に、その両端電圧をレベルシフトして増幅する電流検出回路28が接続され、この電流検出回路28で検出した電流検出信号Ivdがマイクロコンピュータ25のA/D変換入力端子に入力されている。
同様に、出力端子22p及び22n間には、平滑用コンデンサC2が接続されていると共に、この平滑用コンデンサC2と並列に抵抗R3及びR4を直列に接続した昇圧出力電圧DCVOを1/10に分圧する分圧回路29が接続され、この分圧回路29の抵抗R1及びR2の接続点から出力される昇圧出力電圧検出信号がマイクロコンピュータ25のA/D変換入力端子に入力されている。
同様に、出力端子22p及び22n間には、平滑用コンデンサC2が接続されていると共に、この平滑用コンデンサC2と並列に抵抗R3及びR4を直列に接続した昇圧出力電圧DCVOを1/10に分圧する分圧回路29が接続され、この分圧回路29の抵抗R1及びR2の接続点から出力される昇圧出力電圧検出信号がマイクロコンピュータ25のA/D変換入力端子に入力されている。
さらに、マイクロコンピュータ25には、モータ駆動回路4から通信回線5を介して後述する昇圧制御用デューティ比Dをシリアルデータ化したデジタルデータ信号として格納した送信パケットを受信すると共に、バッテリ電圧検出値Vb及び、昇圧出力電圧検出値DCVOをシリアルデータ化したデジタルデータ信号として格納した送信パケットを、通信回線5を介してモータ駆動回路4の通信制御回路51へ送信する通信制御回路30が接続されている。
そして、マイクロコンピュータ25は、図3に示す信号送信処理及び図4に示す昇圧制御処理を実行する。
信号送信処理は、図3に示すように、所定サンプリング周期毎のタイマ割込処理として実行され、先ず、ステップS1で、分圧回路27から入力されるバッテリ電圧VbをA/D変換して読込み、次いでステップS2に移行して、電流検出回路28で検出したバッテリ電流IbをA/D変換して読込み、次いでステップS3に移行して、分圧回路29から入力される昇圧出力電圧DCVOをA/D変換して読込んでからステップS4に移行する。
信号送信処理は、図3に示すように、所定サンプリング周期毎のタイマ割込処理として実行され、先ず、ステップS1で、分圧回路27から入力されるバッテリ電圧VbをA/D変換して読込み、次いでステップS2に移行して、電流検出回路28で検出したバッテリ電流IbをA/D変換して読込み、次いでステップS3に移行して、分圧回路29から入力される昇圧出力電圧DCVOをA/D変換して読込んでからステップS4に移行する。
このステップS4では、読込んだデジタル値のバッテリ電圧Vb、バッテリ電流Ib及び昇圧出力電圧DCVOをシリアルデータ化したデジタルデータ信号としてモータ駆動回路4のマイクロコンピュータ45を送信先とする送信パケットに格納し、通信制御回路30に出力してからタイマ割込処理を終了して、所定のメインプログラムに復帰する。
また、昇圧制御処理は、図4に示すように、先ず、ステップS11で、モータ駆動回路4から昇圧制御パルスのデューティ比Dを含むシリアルデータ化したデジタルデータ信号を格納した自己宛の送信パケットを受信したか否かを判定し、送信バケットを受信していないときにはこれを受信するまで待機し、送信パケットを受信したときにはステップS12に移行して、受信した送信パケットに格納された昇圧制御用デューティ比Dに対応するパルス幅変調(PWM)信号を形成して、これをゲートドライブ回路24へ出力してから前記ステップS11に戻る。
ここで、図3及び図4の処理において、ステップS4の処理がデータ送信手段に対応し、図4の処理及び昇圧回路2が昇圧手段に対応している。
ここで、図3及び図4の処理において、ステップS4の処理がデータ送信手段に対応し、図4の処理及び昇圧回路2が昇圧手段に対応している。
また、モータ駆動回路4は、図5に示すように、昇圧回路2の出力端子22p及び22nに接続される接続ライン31p及び31nを介して接続される入力端子40p及び40nと、バッテリ1の正極端子1pに接続されるバッテリ電圧入力端子40bと、入力端子40pとバッテリ電圧入力端子40bとを選択する選択スイッチ40cとを有し、バッテリ電圧入力端子40bと入力端子40nとの間に平滑用コンデンサC3が接続されていると共に、この平滑用コンデンサC3と並列に後述するインバータ回路を制御するマイクロコンピュータ46に対する制御用電源を生成する電源回路41が接続されている。
さらに、選択スイッチ40cの出力側及び入力端子40n間に抵抗R5及びR6を直列に接続した分圧回路42が接続され、この分圧回路42と並列に平滑用コンデンサC4が接続され、この平滑用コンデンサと並列にインバータ回路43が接続されている。
さらに、選択スイッチ40cの出力側及び入力端子40n間に抵抗R5及びR6を直列に接続した分圧回路42が接続され、この分圧回路42と並列に平滑用コンデンサC4が接続され、この平滑用コンデンサと並列にインバータ回路43が接続されている。
インバータ回路43は、平滑用コンデンサC4と並列に接続されたスイッチング素子としての電界効果トランジスタFETu及びFETu′の直列回路、この直列回路と並列に接続された電界効果トランジスタFETv及びFETv′の直列回路及びこの直列回路と並列に接続された電界効果トランジスタFETw及びFETw′の直列回路とで3相ブリッジの構成を有する。そして、各直列回路の電界効果トランジスタFETu,FETu′の接続点及び電界効果トランジスタFETw,FETw′の接続点からシャント抵抗Rs1及びRs2を介してモータ出力端子44u及び44wが導出され、電界効果トランジスタFETv及びFETv′の接続点から直接モータ出力端子44vが導出されている。また、インバータ回路43を構成する各電界効果トランジスタFETu〜FETw及びFETu′〜FETw′のゲートにオン・オフ信号を供給するゲートドライブ回路45が設けられ、このゲートドライブ回路45にパルス幅変調(PWM)信号を出力するマイクロコンピュータ46が設けられている。
このマイクロコンピュータ46には、前述した分圧回路42の抵抗R5及びR6の接続点から出力される入力端子40p及び40nに入力される昇圧回路2の昇圧出力電圧を1/10に分圧した印加電圧検出信号DCVIがA/D変換入力端子に供給されると共に、シャント抵抗Rs1及びRs2の両端に接続され、その両端電圧をマイクロコンピュータ46に入力可能な例えば2.5V基準で、20倍に増幅された電流検出信号Imu及びImwを出力する電流検出回路47u及び47wの電流検出信号Imu及びImwがA/D変換入力端子に入力されている。さらに、マイクロコンピュータ46には、操舵トルクセンサ12で検出した操舵トルク信号が入力され、これに基づいて操舵トルクを検出するトルク検出回路48からの操舵トルク検出信号TがA/D変換入力端子に入力されると共に、レゾルバ13の出力信号が入力されたモータ回転角信号を出力するモータ回転角検出回路49からのモータ回転角信号θM が入力端子に入力され、さらに車速を検出する車速センサ50から出力される車速検出信号が入力されている。
ここで、モータ回転角検出回路49は、励磁信号をレゾルバ13に供給し、このレゾルバ13から出力される余弦及び正弦波信号を受け、これらに基づいてモータ回転角を検出し、このモータ回転角をデジタル値に変換して、12ビットのデジタル信号をマイクロコンピュータ46の入力端子へ供給する。
また、マイクロコンピュータ46は、後述する昇圧制御処理によって決定した昇圧回路2の昇圧制御指令としての昇圧制御用デューティ比Dをシリアルデータ化したデジタルデータ信号を格納した送信パケットを、通信回線5を介して昇圧回路2へ送信すると共に、昇圧回路2から送信されるシリアルデータ化したデジタルデータを格納した送信パケットを受信してマイクロコンピュータ45へ入力する通信手段としての通信制御回路51を備えている。
また、マイクロコンピュータ46は、後述する昇圧制御処理によって決定した昇圧回路2の昇圧制御指令としての昇圧制御用デューティ比Dをシリアルデータ化したデジタルデータ信号を格納した送信パケットを、通信回線5を介して昇圧回路2へ送信すると共に、昇圧回路2から送信されるシリアルデータ化したデジタルデータを格納した送信パケットを受信してマイクロコンピュータ45へ入力する通信手段としての通信制御回路51を備えている。
そして、マイクロコンピュータ45では、図6に示す操舵補助制御処理及び図7に示す昇圧制御指令決定処理を実行する。
操舵補助制御処理は、図6に示すように、先ず、ステップS21で電流検出回路47u及び47wで検出した電動モータ3へ出力する相電流Imu及びImwを読込み、次いでステップS22に移行して、読込んだ相電流Imu及びImwに基づいて相電流Imvを算出し、次いでステップS23に移行して、トルク検出回路48で検出された操舵トルクT及び車速センサ50で検出した車速Vsを読込んでからステップS4に移行する。
操舵補助制御処理は、図6に示すように、先ず、ステップS21で電流検出回路47u及び47wで検出した電動モータ3へ出力する相電流Imu及びImwを読込み、次いでステップS22に移行して、読込んだ相電流Imu及びImwに基づいて相電流Imvを算出し、次いでステップS23に移行して、トルク検出回路48で検出された操舵トルクT及び車速センサ50で検出した車速Vsを読込んでからステップS4に移行する。
このステップS4では、読込んだ操舵トルクTs及び車速Vsをもとに図7に示す操舵補助指令値算出マップを参照してモータ指令電流値で表される操舵補助指令値IM *を算出する。
ここで、操舵補助指令値算出マップは、図7に示すように、横軸に操舵トルクTsをとり、縦軸に操舵補助指令値IM *をとると共に、車速検出値Vをパラメータとした放物線状の曲線で表される特性線図で構成され、操舵トルクTsが“0”からその近傍の設定値Ts1までの間は操舵補助指令値IM *が“0”を維持し、操舵トルクTsが設定値Ts1を超えると最初は操舵補助指令値IM *が操舵トルクTsの増加に対して比較的緩やかに増加するが、さらに操舵トルクTsが増加すると、その増加に対して操舵補助指令値IM *が急峻に増加するように設定され、この特性曲線が車速が増加するに従って傾きが小さくなるように設定されている。
ここで、操舵補助指令値算出マップは、図7に示すように、横軸に操舵トルクTsをとり、縦軸に操舵補助指令値IM *をとると共に、車速検出値Vをパラメータとした放物線状の曲線で表される特性線図で構成され、操舵トルクTsが“0”からその近傍の設定値Ts1までの間は操舵補助指令値IM *が“0”を維持し、操舵トルクTsが設定値Ts1を超えると最初は操舵補助指令値IM *が操舵トルクTsの増加に対して比較的緩やかに増加するが、さらに操舵トルクTsが増加すると、その増加に対して操舵補助指令値IM *が急峻に増加するように設定され、この特性曲線が車速が増加するに従って傾きが小さくなるように設定されている。
次いで、ステップS25に移行して、モータ回転角検出回路49で検出したモータ回転角θM を読込み、次いでステップS26に移行して、ステップS24で算出した操舵補助指令値IM *とモータ回転角θM とに基づいて電動モータ3のU相、V相及びW相の目標相電流値Imu* 、Imv* 及びImw* に変換する三相分相処理を行ってからステップS27に移行する。
このステップS27では、ステップS21及びS22で読込んだモータ相電流Imu及びImwとステップS23で算出したモータ相電流Imvと上記ステップS26で変換した目標相電流値Imu* 、Imv* 及びImw* とに基づいて両者の偏差にPID処理を行って電流指令値Iut、Ivt及びIwtを算出する電流フィードバック処理を行い、次いでステップS28に移行して、算出した各相の電流指令値Iut、Ivt及びIwtに対応するパルス幅変調(PWM)信号を形成し、これをゲートドライブ回路45へ出力してから前記ステップS21に戻る。
また、昇圧制御指令決定処理は、所定サンプリング周期毎のタイマ割込処理として実行され、図8に示すように、ステップS31で操舵トルクセンサ12によって検出した操舵トルクT(n)を読込み、次いでステップS32に移行して、読込んだ操舵トルクT(n)と前回読込んだ操舵トルクT(n-1)とに基づいて下記(1)式の演算を行って操舵トルク時間変化率ΔTを算出してからステップS33に移行する。
ΔT=(T(n)−T(n-1))/Δt …………(1)
ΔT=(T(n)−T(n-1))/Δt …………(1)
このステップS33では、ステップS31で読込んだ操舵トルクT(n)が零を含む正であるか否かを判定し、T(n)≧0であるときには左操舵状態であるものと判断して、ステップS34に移行し、ステップS32で算出した操舵トルクTが増加状態であって、操舵トルク時間変化率ΔTが予め設定した操舵トルク変化率設定値ΔTsを超えているか否かを判定し、ΔT>ΔTsであるときには、ステップS35に移行する。
このステップS35では、操舵トルク時間変化率ΔTをもとに図9に示すデューティ比算出用制御マップを参照して昇圧制御用デューティ比D(n)を算出してからステップS36に移行する。
このステップS35では、操舵トルク時間変化率ΔTをもとに図9に示すデューティ比算出用制御マップを参照して昇圧制御用デューティ比D(n)を算出してからステップS36に移行する。
ここで、デューティ比算出用制御マップは、図9に示すように、操舵トルク時間変化率ΔTが設定値ΔTsであるときに、昇圧制御用デューティ比D(n)が“0”%に設定され、操舵トルク時間変化率ΔTが設定値ΔTsより増加するとこれに比例して昇圧制御用デューティ比D(n)が増加し、昇圧制御用デューティ比D(n)が、予め設定した例えば昇圧回路2から出力される昇圧制御電圧DCVOがバッテリ電圧Vdの3倍即ち昇圧率αが“3”となる上限デューティ比DMAX (例えば66.6%)に達すると(そのときの操舵トルク時間変化率ΔTの値を設定値ΔTSHとする)、これ以降は操舵トルク時間変化率ΔTの増加にかかわらず上限デューティ比DMAX を維持するように設定されている。
ステップS36では、ステップS35で算出した昇圧制御用デューティ比D(n)から前回算出した昇圧制御用デューティ比D(n-1)を減算した偏差が正であるか否かを判定することにより、昇圧制御用デューティ比D(n)が増加傾向であるか否かを判定し、D(n)−D(n-1)≧0であるときには昇圧制御用デューティ比D(n)が増加しているものと判断してステップS37に移行し、現在の昇圧制御用デューティ比D(n)を昇圧制御用デューティ比Dとして設定してからステップS39に移行し、D(n)−D(n-1)<0であるときには昇圧制御用デューティ比D(n)が減少しているものと判断してステップS38に移行し、前回の昇圧制御用デューティ比D(n-1)を昇圧制御用デューティ比Dとして設定してからステップS39に移行する。
ステップS39では、デューティ比Dが“0”であるかこれより増加しているかを表すデューティ比状態フラグFTを増加していることを表す“1”にセットしてから後述するステップS50に移行する。
一方、前記ステップS34の判定結果が、ΔT≦ΔTsであるときにはステップS40に移行して、デューティ比状態フラグFTが“1”にセットされているか否かを判定し、これが“0”にリセットされているときにはステップS41に移行して、昇圧回路2での昇圧率α(=DCVO/Vb)が“1”となるように昇圧制御用デューティ比Dを“0”%に設定してから後述するステップS50に移行し、デューティ比状態フラグFTが“1”にセットされているときにはステップS42に移行する。
一方、前記ステップS34の判定結果が、ΔT≦ΔTsであるときにはステップS40に移行して、デューティ比状態フラグFTが“1”にセットされているか否かを判定し、これが“0”にリセットされているときにはステップS41に移行して、昇圧回路2での昇圧率α(=DCVO/Vb)が“1”となるように昇圧制御用デューティ比Dを“0”%に設定してから後述するステップS50に移行し、デューティ比状態フラグFTが“1”にセットされているときにはステップS42に移行する。
このステップS42では、モータ回転速度VMを読込み、次いでステップS43に移行して、モータ回転速度VMの絶対値|VM|が予め設定したモータ回転速度閾値VMS以上であるか否かを判定し、|VM|≧VMSであるときにはステップS44に移行して、昇圧制御用デューティ比Dとして前回の昇圧制御用デューティ比D(n-1)を保持してから後述するステップS50に移行する。
また、前記ステップS43の判定結果が、|VM|<VMSであるときにはステップS45に移行して、前回の昇圧制御用デューティ比D(n-1)から所定値ΔDを減算した値を新たな昇圧制御用デューティ比Dとして設定してからステップS46に移行する。
このステップS46では、設定された昇圧制御用デューティ比Dが“0”を含む負であるか否かを判定し、D>0であるときにはそのまま後述するステップS50に移行し、D≦0であるときにはステップS47に移行して、昇圧制御用デューティ比Dを0%に設定してからステップS48に移行して、デューティ比状態フラグFTを“0”にリセットしてから後述するステップS50に移行する。
このステップS46では、設定された昇圧制御用デューティ比Dが“0”を含む負であるか否かを判定し、D>0であるときにはそのまま後述するステップS50に移行し、D≦0であるときにはステップS47に移行して、昇圧制御用デューティ比Dを0%に設定してからステップS48に移行して、デューティ比状態フラグFTを“0”にリセットしてから後述するステップS50に移行する。
さらに、前記ステップS33の判定結果が、T(n)<0であるときには右操舵状態であるものと判断して、ステップS49に移行して、ステップS32で算出した操舵トルク時間変化率ΔTが設定値−ΔTsより小さいか否かを判定し、ΔT<−ΔTsであるときには操舵トルクが増加傾向にあるものと判断して前記ステップS35に移行し、ΔT≧−ΔTであるときには前記ステップS40に移行する。
また、ステップS50では、前回のサンプリング周期で算出した前回の昇圧制御用デューティ比D(n-1) に基づく昇圧率αとバッテリ1の定格バッテリ電圧Vb*とに基づいてモータ駆動回路4で必要としている入力推定電圧DCVIP を算出し、次いでステップS51に移行して、昇圧回路2から入力される入力電圧DCVIを読込み、次いでステップS52に移行して、入力推定電圧DCVIP から入力電圧DCVOを減算して両者の偏差でなる電圧補正値ΔDCVI (=DCVIP −DCVI)を算出してからステップS53に移行する。
このステップS53では、算出した電圧補正値ΔDCVIに対応する昇圧制御用デューティ比補正値ΔDを算出し、次いでステップS54に移行して、ステップS37、S38、S41、S44、S45及びS47で設定した昇圧制御用デューティ比Dに昇圧制御用デューティ比補正値ΔDを加算した値を今回の昇圧用制御デューティ比D(=D+ΔD)として設定し、次いでステップS55に移行して、昇圧制御用デューティ比Dをシリアルデータ化したデジタル信号に変換して送信先を昇圧回路2のマイクロコンピュータ25とする送信パケットに格納して、通信回線5へ送信してからタイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰する。
この図8の処理で、ステップS31及びS32の処理とトルクセンサ12とが操舵状態時間変化率算出手段に対応し、ステップS33〜S55の処理が昇圧制御指令決定手段に対応している。
この図8の処理で、ステップS31及びS32の処理とトルクセンサ12とが操舵状態時間変化率算出手段に対応し、ステップS33〜S55の処理が昇圧制御指令決定手段に対応している。
次に、上記第1の実施形態の動作を説明する。
今、車両が停車しているものとする。この停車状態でイグニッションスイッチをオン状態とすることにより、エンジンが始動されると共に、バッテリ1から昇圧回路2を介してモータ駆動回路4へ直流電力が供給され、昇圧回路2のマイクロコンピュータ25及びモータ駆動回路4のマイクロコンピュータ46に制御電源が投入されて、これらマイクロコンピュータ25及び46で所定の処理が実行開始される。
今、車両が停車しているものとする。この停車状態でイグニッションスイッチをオン状態とすることにより、エンジンが始動されると共に、バッテリ1から昇圧回路2を介してモータ駆動回路4へ直流電力が供給され、昇圧回路2のマイクロコンピュータ25及びモータ駆動回路4のマイクロコンピュータ46に制御電源が投入されて、これらマイクロコンピュータ25及び46で所定の処理が実行開始される。
このとき、昇圧回路2のマイクロコンピュータ25では、電源投入時の初期化処理で昇圧率αが“1”となるように昇圧制御用デューティ比Dが“0”%に設定され、これによって電界効果トランジスタFET2がオフ状態、電界効果トランジスタFET1がオン状態に制御されて、入力端子20p及び20nに供給されるバッテリ電圧Vbがそのまま出力端子22p及び22nに出力され、これが配線を介してモータ駆動回路4へ供給される。
モータ駆動回路4では、ステアリングホイール6に操舵力が伝達されていないものとすると、操舵トルクセンサ12で検出される操舵トルクTsが“0”であることから、モータ駆動回路4におけるマイクロコンピュータ46で図6の操舵補助制御処理を実行したときに、図7の操舵補助電流値算出マップを参照して算出される操舵補助電流値IM *が“0”となることにより、電動モータ3に対する電流指令値Iut,Ivt及びIwtも“0”となり、ゲートドライブ回路45に出力するパルス幅変調信号もオフ状態となっており、インバータ43を構成する各電界効果トランジスタFETu,FETu′、FETv,FETv′及びFETw,FETw′も全てオフ状態を維持し、モータ出力端子44u、44v及び44wから出力されるモータ相電流Imu、Imv及びImwも“0”となって電動モータ3が操舵補助力を発生してない停止状態に維持される。
この電動モータ3の停止状態では、レゾルバ13から出力される回転検出信号も変化せず、このためモータ回転角検出回路49で検出されるモータ回転角θM も一定値となっていると共に、操舵トルクTも“0”となっており、マイクロコンピュータ46で図8の昇圧制御処理を実行したときに、ステップS32で算出される操舵トルク時間変化率ΔTも“0”を維持する。
このため、図8の処理でステップS33からステップS34及びS40を経てステップS41に移行し、昇圧制御用デューティ比Dが昇圧回路2の昇圧率αを“1”とする“0”%に設定される。そして、ステップS50で算出される入力推定電圧DCVIPと入力電圧DCVIとが等しいものとすると、ステップS52〜ステップS54を経てステップS55に移行して、算出された“0”%の昇圧制御用デューティ比Dがそのままシリアルデータに変換され、このシリアルデータを含む送信パケットが形成されて、これが通信回線5を介して昇圧回路2へ送信される。
このため、昇圧回路2では、図4の昇圧制御処理で、モータ駆動回路4から送信された送信パケットを受信すると、ステップS12に移行して、受信した昇圧制御用デューティ比Dに対応するパルス幅変調信号に変換し、これをゲートドライブ回路24へ出力することにより、電界効果トランジスタFET1がオン状態に、電界効果トランジスタFET2がオフ状態に制御される状態を継続して、昇圧率αが“1”に維持される。
このステアリングホイール6へ操舵力が伝達されていない状態から、運転者がステアリングホイール6を所望方向へ操舵する所謂据切りを行うと、これに応じて操舵トルクセンサ12からトルク検出信号が出力され、これに応じて操舵トルク検出回路48から操舵トルクTsがマイクロコンピュータ46に入力される。
このマイクロコンピュータ46では、図6の操舵補助力制御処理において、操舵トルクTsに対応した操舵補助トルクを電動モータ3で発生させる操舵補助電流値IM *を演算し、この操舵補助電流値IM *に基づいて電動モータ3の各相の電流指令値Iut、Ivt及びIwtを算出し、これら各相電流指令値Iut、Ivt及びIwtに基づいてインバータ43の各制御素子を駆動制御する。
このマイクロコンピュータ46では、図6の操舵補助力制御処理において、操舵トルクTsに対応した操舵補助トルクを電動モータ3で発生させる操舵補助電流値IM *を演算し、この操舵補助電流値IM *に基づいて電動モータ3の各相の電流指令値Iut、Ivt及びIwtを算出し、これら各相電流指令値Iut、Ivt及びIwtに基づいてインバータ43の各制御素子を駆動制御する。
このため、図10(a)の区間T1で示すように、電動モータ3で必要とする大きな操舵補助トルクを発生させる。このときの操舵トルクの時間変化率ΔTは図10(b)の区間T1で示すように比較的小さいものとなり、操舵トルク時間変化率ΔTが設定値ΔTsを超えることはないので、図8の操舵補助制御処理でステップS40を経てステップS41に移行して、昇圧制御用デューティ比Dを“0”%に設定する状態を維持する。
この車両の停車状態から車両を発進させて走行状態とし、この状態でステアリングホイール6を操舵する通常操舵状態では、車速の増加に応じて必要とする操舵補助トルクが小さくなることから、ステアリングホイール6に伝達される操舵トルクも小さい値となり、これが操舵トルクセンサ12で検出されてマイクロコンピュータ46に入力される。このため、操舵補助電流値IM *も小さい値となり、電動モータ3で発生される操舵補助トルクは図10(a)の区間T2で示すように、据切り時の操舵補助トルクに比較して小さくなると共に、操舵トルク時間変化率ΔTも図10(b)の区間T2で示すようにより小さい値となることによって、図8の処理でステップS33からステップS34及S40を経てステップS41に移行して、昇圧制御用デューティ比Dを“0”%に維持する。
このように昇圧回路2の昇圧率αが“1”に設定されている状態即ち昇圧回路2の出力電圧DCVOがバッテリ電圧Vbに設定されている状態では、両者間を流れる電流の増加に応じてモータ昇圧回路2及びモータ駆動回路4間の配線抵抗による電圧降下が生じる。
しかしながら、上記実施形態では、マイクロコンピュータ46で実行する図8の昇圧制御処理において、前回の昇圧制御用デューティ比D(n-1) に基づいて昇圧回路2の昇圧率αを算出し、昇圧率αにバッテリ1の定格バッテリ電圧Vb* を乗算してモータ駆動回路4で必要とする必要入力電圧DCVIP を算出し(ステップS50)、算出した必要入力電圧DCVIP から現在のモータ駆動回路4の入力電圧VVIを減算して配線抵抗による電圧降下分に対応する電圧補正値ΔDCVIを算出する(ステップS52)。
しかしながら、上記実施形態では、マイクロコンピュータ46で実行する図8の昇圧制御処理において、前回の昇圧制御用デューティ比D(n-1) に基づいて昇圧回路2の昇圧率αを算出し、昇圧率αにバッテリ1の定格バッテリ電圧Vb* を乗算してモータ駆動回路4で必要とする必要入力電圧DCVIP を算出し(ステップS50)、算出した必要入力電圧DCVIP から現在のモータ駆動回路4の入力電圧VVIを減算して配線抵抗による電圧降下分に対応する電圧補正値ΔDCVIを算出する(ステップS52)。
次いで、算出した電圧補正値ΔDCVIに対応するデューティ比補正値ΔDを算出し(ステップS53)、算出したデューティ比補正値ΔDで、ステップS41で算出した昇圧制御用デューティ比Dを補正した値を昇圧制御用デューティ比Dとして算出し(ステップS54)、これを送信パケットに格納して昇圧回路2のマイクロコンピュータ25へ送信する(ステップS55)。
このため、昇圧回路2で配線抵抗による電圧降下分を補正した昇圧率αとなるようにパルス幅変調信号が形成され、これがゲートドライブ回路24に供給されて、電界効果トランジスタFET2及びFET1のオン・オフ比が制御されることにより、昇圧回路2の出力電圧DCVOが配線抵抗による電圧降下分増加され、モータ駆動回路4で必要とする入力電圧DCVIが供給される。したがって、昇圧回路2とモータ駆動回路4との間の配線抵抗による電圧降下や、他の車載機器による電力消費によってモータ駆動回路4に印加される入力電圧DCVIが低下することを確実に防止することができ、電動モータ3を図11で実線図示のように電動モータ3をモータ最大特性で駆動制御することができる。このモータ最大特性は、横軸にモータ回転速度Vm〔min-1〕をとり、縦軸に電動モータ3の出力トルク〔N・m〕をとって形成され、モータ回転速度VM が“0”から設定回転速度VMSに達するまでの間最大電流を出力して最大トルクTmaxを出力することができる。
因みに、昇圧制御処理で電圧降下補償を行わない場合には、昇圧回路2とモータ駆動回路4との間の配線抵抗を20mΩとしたとき、バッテリ1から流れる電流が増加することにより、図12に示すように配線抵抗による電圧降下が発生し、電流値が80Aに達すると電圧降下は2Vとなり、モータ駆動回路4に印加される入力電圧DCVIは10Vにまで低下することになる。この電圧降下の影響により、電動モータ3のモータ最大特性は、前述した図11において破線図示のようにモータ回転速度VM の増加に伴って電流値が増加し電圧降下が大きくなることにより、出力トルクが徐々に低下することになり、図11でハッチング図示の領域で、モータ最大特性を発揮することができなくなり、操舵補助制御特性が劣化することになる。
しかしながら、上記実施形態においては、前述したようにモータ駆動回路4におけるマイクロコンピュータ46の昇圧制御処理で配線抵抗等によって生じるモータ駆動回路4の入力電圧DCVIの電圧降下分を補償するので、常にモータ最大特性を発揮して、最適な操舵補助制御を行うことができる。
一方、車両の走行状態で、他車線からの割込みや対向車線からの対向車のセンターラインを越えるはみ出し走行等によって例えば左切りの緊急回避操作を行うと、このときのステアリングホイール6に伝達される操舵トルクは、図10(a)の区間T3で示すように、通常時の操舵トルクよりは大きく、据切り時よりは小さい値となるが、操舵トルク時間変化率ΔTは、図10(b)の区間T3で示すように、正方向に大きく増加して設定値ΔTsを超える状態となる。
一方、車両の走行状態で、他車線からの割込みや対向車線からの対向車のセンターラインを越えるはみ出し走行等によって例えば左切りの緊急回避操作を行うと、このときのステアリングホイール6に伝達される操舵トルクは、図10(a)の区間T3で示すように、通常時の操舵トルクよりは大きく、据切り時よりは小さい値となるが、操舵トルク時間変化率ΔTは、図10(b)の区間T3で示すように、正方向に大きく増加して設定値ΔTsを超える状態となる。
この緊急回避操作では、図13(c)に示すように、操舵トルク時間変化率ΔTが時点t1で設定値ΔTsを超えると、図8の昇圧制御処理において、ステップS33からステップS35に移行して図9に示すデューティ比算出用制御マップを参照して操舵トルク時間変化率ΔTに応じた“0”%より大きい昇圧制御用デューティ比Dが算出される。このとき、前回の昇圧制御用デューティ比D(n-1) に基づいて算出した電動モータ3で必要とする必要入力電圧DCVIP とモータ駆動回路4の分圧回路42で検出した入力電圧DCVIとの偏差ΔDCVI とが等しいものとすると、ステップS35で算出された昇圧制御用デューティ比Dがシリアルデータに変換されてから送信パケットに格納されて通信回線5を介して昇圧回路2へ送信される。
このため、昇圧回路2では、モータ駆動回路4から送信された送信パケットを受信すると、この送信パケットに含まれる昇圧用デューティ比Dに応じたパルス幅変調信号をゲートドライブ回路24へ出力することにより、パルス幅変調信号のデューティ比に応じて電界効果トランジスタFET2及びFET1がオン・オフ制御されて、電界効果トランジスタFET2がオン状態である区間でリアクトル23にエネルギが蓄積され、この蓄積されたエネルギが、電界効果トランジスタFET1がオン状態となる区間で出力端子22pに出力されることにより、昇圧回路2の昇圧率αが“1”より増加し、出力端子22pから出力される出力電圧DCVOが図13(a)に示すように、操舵トルク時間変化率ΔTが設定値ΔTsより増加するに応じて増加される。
その後、時点t2で操舵トルク時間変化率ΔTがさらに増加して、マイクロコンピュータ46で算出される昇圧制御用デューティ比Dが上限デューティ比DMAX に達する設定値ΔTSHに達すると、昇圧回路2の出力電圧DCVOがバッテリ電圧Vbの3倍の36Vとなり、その後操舵トルク時間変化率ΔTが設定値ΔTSHを超える状態となっても昇圧制御用デューティ比Dが上限デューティ比DMAX に制限されることにより、昇圧回路2の昇圧率αは“3”に維持されて出力電圧DCVOはバッテリ電圧Vbの3倍の状態を維持する。
その後、時点t3で操舵トルク時間変化率ΔTが減少を始めると、図9の制御マップを参照して算出される昇圧制御用デューティ比D(n)が上限デューティ比DMAX に制限されている区間では、上限デューティ比DMAX を維持し、D(n)−D(n-1)≧0を維持するので、上限デューティ比DMAX が昇圧制御用デューティ比Dとして維持される。
その後、時点t4で操舵トルク時間変化率ΔTが設定値ΔTSH未満となると、ステップS35で図9の制御マップを参照して算出される昇圧制御用デューティ比D(n)が上限デューティ比DMAX未満となることから、D(n)−D(n-1)<0となる。このため、ステップS38に移行して、前回の昇圧制御デューティ比D(n)即ち上限デューティ比DMAXを維持する。
その後、時点t4で操舵トルク時間変化率ΔTが設定値ΔTSH未満となると、ステップS35で図9の制御マップを参照して算出される昇圧制御用デューティ比D(n)が上限デューティ比DMAX未満となることから、D(n)−D(n-1)<0となる。このため、ステップS38に移行して、前回の昇圧制御デューティ比D(n)即ち上限デューティ比DMAXを維持する。
このため、モータ回転速度VMは図13(d)に示すように、最大速度VMMAXを超えるに状態を維持することができる。
その後、時点t5でモータ回転速度VMが設定速度VMS未満となると、ステップS34からステップS40に移行し、デューティ比状態フラグFTが“1”にセットされているので、ステップS42に移行し、モータ回転速度VMが設定値VMS未満であるので、ステップS45に移行して、前回の昇圧制御用デューティ比D(n-1)から所定値ΔDを減少した値を今回の昇圧制御用デューティ比D(n)として算出する。
その後、時点t5でモータ回転速度VMが設定速度VMS未満となると、ステップS34からステップS40に移行し、デューティ比状態フラグFTが“1”にセットされているので、ステップS42に移行し、モータ回転速度VMが設定値VMS未満であるので、ステップS45に移行して、前回の昇圧制御用デューティ比D(n-1)から所定値ΔDを減少した値を今回の昇圧制御用デューティ比D(n)として算出する。
このため、昇圧制御用デューティ比D(n)が徐々に減少されることにより、昇圧回路2での昇圧率α(=DCVO/Vb)が減少して、昇圧制御電圧DCV0が図13(a)に示すように、最大電圧VMAX から徐々に減少する。
そして、時点t6で、ステップS45で算出される昇圧制御用デューティ比Dが“0”又は負値となると、ステップS46からステップS47に移行して、昇圧制御デューティ比Dが“0”%に復帰されると共に、デューティ比状態フラグFTが“0”にリセットされる。
そして、時点t6で、ステップS45で算出される昇圧制御用デューティ比Dが“0”又は負値となると、ステップS46からステップS47に移行して、昇圧制御デューティ比Dが“0”%に復帰されると共に、デューティ比状態フラグFTが“0”にリセットされる。
このため、昇圧回路2の出力電圧DCVOがバッテリ電圧Vbに復帰する。その後、左切り操舵状態での保舵状態となると、モータ回転速度VM が“0”となる。
その後、ガードレール等に接近することにより、時点t7で、ステアリングホイール6を左切り操舵状態から操舵中立位置側に急操舵で切り戻す状態となると、この状態では、セルフアライニングトルクによって、操舵トルクTは比較的小さい負値となる。このため、図8の昇圧制御処理では、ステップS33からステップS49に移行し、ΔT>−ΔTsであるので、ステップS40に移行し、デューティ比状態フラグFTが“0”にリセットされているので、ステップS41に移行して、昇圧制御デューティ比Dが0%を維持する。
その後、ガードレール等に接近することにより、時点t7で、ステアリングホイール6を左切り操舵状態から操舵中立位置側に急操舵で切り戻す状態となると、この状態では、セルフアライニングトルクによって、操舵トルクTは比較的小さい負値となる。このため、図8の昇圧制御処理では、ステップS33からステップS49に移行し、ΔT>−ΔTsであるので、ステップS40に移行し、デューティ比状態フラグFTが“0”にリセットされているので、ステップS41に移行して、昇圧制御デューティ比Dが0%を維持する。
その後、時点t8でステアリングホイール6が中立位置(直進走行位置)を越えて右急操舵状態となると、これに応じて操舵トルクTが急激に負方向に増加し、これに応じて時点t9で操舵トルク時間変化率ΔTが設定値−ΔTsより小さい状態となると、ステップS49からステップS35に移行して、前述した時点t1と同様に昇圧用デューティ比Dが“0”%から増加し始めることにより、昇圧回路2の昇圧率αが“1”から増加して昇圧回路2の出力電圧DCVOが図13(a)に示すようにバッテリ電圧Vbから増加する。
その後、時点t10で操舵トルク時間変化率ΔTが設定値ΔTSHに達して昇圧制御用デューティ比Dが上限デューティ比DMAX に達すると、昇圧回路2の出力電圧DCVOがバッテリ電圧Vbの3倍となる。その後、時点t11で操舵トルク時間変化率ΔTが設定値ΔTSH以下となっても昇圧制御用デューティ比Dが上限デューティ比DMAXを維持し、時点t12でモータ回転速度VM が設定回転速度VMSを下回ると、昇圧制御用デューティ比Dが上限デューティ比DMAX より徐々に減少することにより、昇圧回路2の出力電圧DCVOが減少し、時点t13で昇圧制御用デューティ比Dが“0”又は負値となると、昇圧制御デューティ比Dが“0”%に復帰されて昇圧回路2の出力電圧DCVOがバッテリ電圧Vbに復帰する。
このように、緊急回避操舵時には、モータ駆動回路4に供給される入力電圧DCVIがバッテリ電圧Vbの3倍までの範囲で上昇されるので、電動モータ3の回転速度と出力トルクとの関係を示すモータ特性は、図14で実線図示の12Vのバッテリ電圧Vbで制限される特性線に制限されている状態から点線図示の36Vの充電電圧Vcで制限される特性線に移行し、同一電流制約時に、より大きい出力(電流×電圧)を出すことができ、電動モータ3が高い回転速度となっても、操舵補助トルクの不足を回避することができる。しかも、操舵系の操舵状態時間変化率即ち操舵トルク時間変化率に基づいて昇圧制御用デューティ比D(n)を算出するので、操舵系の回転速度が所定回転速度を超過すると想定できたタイミングで、バッテリ電圧Vbの昇圧を開始することができ、モータ駆動回路4で必要とする入力電圧を遅延することなく確実に供給することができる。
さらに、上記実施形態においては、昇圧回路2がバッテリ1の近傍に配設され、モータ駆動回路4が電動モータ3の近傍に配設されており、図15に示すように、バッテリ1と電動モータ3との間における配線の抵抗を1本当たり20mΩとして、昇圧回路2をバッテリ1と電動モータ3間の距離の1:9となるバッテリ1近傍位置に配置し、モータ駆動回路4をバッテリ1と電動モータ3間の距離の9:1となる電動モータ3近傍位置に配置した場合を例にとって配線損失の説明を行う。
ここで、昇圧回路2の電界効果トランジスタFET2及びFET1のオン・オフ率即ち
昇圧制御用デューティ比Dによって変化する昇圧回路2の出力電圧DCVOとバッテリ電圧Vbとの比を昇圧率α(=DCVO/Vb)とすると、バッテリ電流Ibを例えば100Adc、昇圧率αを“1”としたときのモータ定格電流Imを120Armsと仮定し、電動モータ3は昇圧率αに伴って電圧仕様を最適化して設定されるものとしたときの、昇圧率αに対する配線損失は図16に示すようになる。
昇圧制御用デューティ比Dによって変化する昇圧回路2の出力電圧DCVOとバッテリ電圧Vbとの比を昇圧率α(=DCVO/Vb)とすると、バッテリ電流Ibを例えば100Adc、昇圧率αを“1”としたときのモータ定格電流Imを120Armsと仮定し、電動モータ3は昇圧率αに伴って電圧仕様を最適化して設定されるものとしたときの、昇圧率αに対する配線損失は図16に示すようになる。
この図16では、バッテリ電流Ibによる配線損失は、配線抵抗値×(バッテリ電流Ib)2 ×配線本数(2本)で求め、昇圧回路2及びモータ駆動回路4間の直流部の直流電流Idcによる配線損失は、配線抵抗値×(DC電流Idc/昇圧率α)2 ×配線本数(2本)で求め、さらに、モータ電流Imによる配線損失は、配線抵抗値×(モータ電流Im/昇圧率α)2 ×配線本数(3本)として求めている。
この図16から明らかなように、上記実施形態では、昇圧を前提としてブラシレスモータで構成される電動モータ3を高電圧仕様で設計すると、昇圧率αに応じて直流電流Idc及びモータ電流Imu〜Imwの低減が可能であり、本発明の構成で昇圧することにより、従来例に比較して大幅に配線損失を低減することができる。配線損失が低減できるということは、限られたバッテリ出力の中でブラシレスモータによって構成される電動モータ3の出力を増加させることができることを意味している。
配線損失の低減効果は、前述した「発明が解決する課題」の項で説明した従来例の制御装置を電動モータ近傍に配置した場合の図22と比較して明らかに大きく、バッテリ近傍に制御装置配置した場合の図24と比較しても、少ない昇圧率αで配線損失の低減効果を発揮することができる。
このように、昇圧回路2をバッテリ近傍に配置し、モータ駆動回路4を電動モータ近傍に配置することにより、昇圧回路2及びモータ駆動回路4間の通信距離が長くなるが、両者間のデータ通信をシリアルデータ化したデジタル通信で行うので、ノイズの影響等を受けにくく、正確なデータ通信を行うことができる。また、モータ駆動回路4と電動モータ3及び操舵トルクセンサ12とは接近しているので、両者間の配線は短く、ノイズの影響を受けにくい。
このように、昇圧回路2をバッテリ近傍に配置し、モータ駆動回路4を電動モータ近傍に配置することにより、昇圧回路2及びモータ駆動回路4間の通信距離が長くなるが、両者間のデータ通信をシリアルデータ化したデジタル通信で行うので、ノイズの影響等を受けにくく、正確なデータ通信を行うことができる。また、モータ駆動回路4と電動モータ3及び操舵トルクセンサ12とは接近しているので、両者間の配線は短く、ノイズの影響を受けにくい。
しかも、昇圧回路2の昇圧制御が操舵状態を表す操舵トルクTの時間変化率ΔTに基づいて昇圧指令値が決定されるので、ステアリングホイール6を急操舵する必要が生じた場合だけ、バッテリ電圧Vbを昇圧する昇圧制御が行われるので、継続して昇圧制御を行う場合に比較して昇圧損失を大幅に低減することができる。
また、上記実施形態では、モータ駆動回路4の電源回路41をバッテリ1の正極側端子に接続されているバッテリ入力端子40bに接続しているので、昇圧回路2が動作不能となった場合にもモータ駆動回路4のマイクロコンピュータ46は動作状態を維持し、図示しない通信手段により他の機器に電動パワーステアリングの異常を報知することができる。
また、上記実施形態では、モータ駆動回路4の電源回路41をバッテリ1の正極側端子に接続されているバッテリ入力端子40bに接続しているので、昇圧回路2が動作不能となった場合にもモータ駆動回路4のマイクロコンピュータ46は動作状態を維持し、図示しない通信手段により他の機器に電動パワーステアリングの異常を報知することができる。
なお、上記第1の実施形態においては、操舵トルク時間変化率ΔTが設定値ΔTSHを超える場合について説明したが、操舵トルク時間変換率ΔTが設定値ΔTSH未満であるときには、そのときの最大操舵トルク時間変換率ΔTに対応する昇圧制御用デューティ比D(n)がモータ回転速度VMが設定値VMS未満となるまで保持される。
次に、本発明の第2の実施形態を図17〜図19について説明する。
この第2の実施形態では、ステアリングホイール6の操舵状態を操舵角に基づいて検出するようにしたものである。
すなわち、第2の実施形態では、図17に示すように、ステアリングシャフト7にステアリングホイール6の操舵角θSを検出する操舵角検出手段としての操舵角センサ61が配設され、この操舵角センサ61で検出した操舵角θSがモータ駆動回路4のマイクロコンピュータ46に入力されていることを除いては図1と同様の構成を有する。これに応じて、マイクロコンピュータ46で実行する昇圧制御指令決定処理が、図18に示すように、前述した第1の実施形態における図8の処理において、ステップS31〜S34の処理及びS49の処理が省略され、これらに代えて、ステップS61〜S64の処理及びステップS65の処理が設けられていることを除いては図8と同様の処理を行い、図8との対応処理には同一ステップ番号を付し、その詳細説明はこれを省略する。
この第2の実施形態では、ステアリングホイール6の操舵状態を操舵角に基づいて検出するようにしたものである。
すなわち、第2の実施形態では、図17に示すように、ステアリングシャフト7にステアリングホイール6の操舵角θSを検出する操舵角検出手段としての操舵角センサ61が配設され、この操舵角センサ61で検出した操舵角θSがモータ駆動回路4のマイクロコンピュータ46に入力されていることを除いては図1と同様の構成を有する。これに応じて、マイクロコンピュータ46で実行する昇圧制御指令決定処理が、図18に示すように、前述した第1の実施形態における図8の処理において、ステップS31〜S34の処理及びS49の処理が省略され、これらに代えて、ステップS61〜S64の処理及びステップS65の処理が設けられていることを除いては図8と同様の処理を行い、図8との対応処理には同一ステップ番号を付し、その詳細説明はこれを省略する。
すなわち、先ず、ステップS61で、操舵角センサ61で検出した操舵角θS(n)を読込み、次いでステップS62に移行して、操舵角θS(n)を微分して操舵角時間変化率としての操舵角速度θSVを算出し、次いでステップS63に移行して、操舵角θS(n)が零を含む正であるかを判定することにより、左操舵状態であるか否かを判定し、左操舵状態であるときにはステップS33に移行して、操舵角速度θSVが予め設定した設定値θSVSを超えているか否かを判定し、θSV≦θSVSであるときには前記ステップS40に移行し、θSV>θSVSであるときにはステップS64に移行する。
このステップS64では、操舵角速度θSVをもとに図19に示すデューティ比算出用制御マップを参照して昇圧制御用デューティ比D(n)を算出してから前記ステップS35に移行する。
ここで、デューティ比算出用制御マップは、図19に示すように、操舵角速度θSVが設定値θSVSであるときに、昇圧制御用デューティ比D(n)が“0”%に設定され、操舵角速度θSVが設定値θSVSより増加するとこれに比例して昇圧制御用デューティ比D(n)が増加し、昇圧制御用デューティ比D(n)が、予め設定した例えば昇圧回路2から出力される昇圧制御電圧DCVOがバッテリ電圧Vdの3倍即ち昇圧率αが“3”となる上限デューティ比DMAX (例えば66.6%)に達すると(そのときの操舵角速度θSVの値を設定値θSVHとする)、これ以降は操舵角速度θSVの増加にかかわらず上限デューティ比DMAX を維持するように設定されている。
ここで、デューティ比算出用制御マップは、図19に示すように、操舵角速度θSVが設定値θSVSであるときに、昇圧制御用デューティ比D(n)が“0”%に設定され、操舵角速度θSVが設定値θSVSより増加するとこれに比例して昇圧制御用デューティ比D(n)が増加し、昇圧制御用デューティ比D(n)が、予め設定した例えば昇圧回路2から出力される昇圧制御電圧DCVOがバッテリ電圧Vdの3倍即ち昇圧率αが“3”となる上限デューティ比DMAX (例えば66.6%)に達すると(そのときの操舵角速度θSVの値を設定値θSVHとする)、これ以降は操舵角速度θSVの増加にかかわらず上限デューティ比DMAX を維持するように設定されている。
さらに、ステップS63の判定結果が、θS(n)<0であって右操舵状態であるときには、ステップS65に移行して、操舵角速度θSVが予め設定した設定値−θSVSより小さいか否かを判定し、θSV<−θSVSであるときには前記ステップS64に移行し、θSV≧−θSVSであるときには前記ステップS40に移行する。
この図18の処理において、ステップS61及びS62の処理と操舵角センサ61とが操舵状態時間変化率算出手段に対応し、ステップS36〜S55及びS63〜S65の処理が昇圧制御指令決定手段に対応している。
この図18の処理において、ステップS61及びS62の処理と操舵角センサ61とが操舵状態時間変化率算出手段に対応し、ステップS36〜S55及びS63〜S65の処理が昇圧制御指令決定手段に対応している。
この第2の実施形態によると、ステアリングホイール6を操舵する際の操舵角速度θSVが遅い通常の操舵状態では、左操舵状態であるときにはステップS63からステップS64に移行して、θSV≦θSVSであるので、ステップS40に移行し、デューティ比状態フラグFTが“0”であるので、ステップS41に移行して、昇圧制御用デューティ比Dが“0”%に設定される。このとき、モータ駆動回路4の必要入力電圧DCVIPとその入力電圧DCVIとが略等しいものとすると、昇圧制御用デューティ比Dがそのまま昇圧回路2に送信される。このため、昇圧回路2の昇圧率αが“1”に制御されて、バッテリ電圧Vbがそのままモータ駆動回路4のインバータ回路43に供給され、このインバータ回路43の各電界効果トランジスタFETu〜FETw′が操舵トルクTに応じてパルス幅変調制御されることにより、電動モータ3が駆動制御されて、操舵トルクTを軽減する操舵補助力を発生する。
ところが、前述した第1の実施形態と同様に、車両の走行状態で、他車線からの割込みや対向車線からの対向車のセンターラインを越えるはみ出し走行等によって図20(a)に示すように、例えば左切りの緊急回避操作を行って、ステップS62で算出される操舵角速度θSVが図20(b)に示すように設定値θSVSを超える値となる時点t21で、ステップS63からステップS64を経てステップS65に移行して、操舵角速度θSVに基づいて図19のデューティ比算出用制御マップを参照して、“0”%より大きな昇圧制御用デューティ比D(n)を算出する。
このとき、説明を簡単にするために、モータ駆動回路4の必要入力電圧DCVIPとその入力電圧VVIとが等しいものとすると、昇圧制御用デューティ比D(n)がそのまま昇圧回路2のマイクロコンピュータ25に送信されるので、前述したように昇圧率αが“1”より増加して、出力端子22pから出力される出力電圧DCVOが図20(d)に示すように操舵角速度θSVの増加に応じて増加される。
そして、時点t22で、操舵角速度θSVが設定値θSVHに達すると、昇圧制御用デューティ比D(n)が最大値DMAXに達するので、その後は、操舵角速度θSVが増加しても、昇圧制御用デューティ比D(n)が飽和するので、昇圧回路2の昇圧率αも最大値である“3”となり、昇圧回路2の出力電圧DCVOは図20(d)に示すように、バッテリ電圧Vbの3倍の36Vを維持する。このため、電動モータ3で必要とする高電圧を十分に供給することができるので、電動モータ3が高速回転しながら急操舵状態で必要な操舵補助力を確実に発生することができる。
その後、時点t23で、操舵角速度θSVが設定値θSVH未満となると、ステップS65で制御マップを参照して算出される昇圧制御用デューティ比D(n)が前回値DMAXより低下して、D(n)−D(n-1)<0となるが、この場合には、ステップS36からステップS38に移行して、昇圧制御用デューティ比Dとして前回の昇圧制御用デューティ比D(n-1)を設定するので、昇圧回路2の出力電圧DCVOはバッテリ電圧Vbの3倍となる36Vを維持する。
その後、時点t24で、操舵角速度θSVが設定値θSVS以下となると、図18の処理において、ステップS64からステップS40に移行し、デューティ比状態フラグFTが“1”にセットされているので、ステップS42に移行して、モータ回転速度VMを読込む。
しかしながら、この時点ではモータ回転速度VMが設定値VMSを超えているので、ステップS43からステップS44に移行して、昇圧制御用デューティ比Dとして前回の昇圧制御用デューティ比D(n-1)を維持して、昇圧回路2の出力電圧DCVOはバッテリ電圧Vbの3倍となる36Vを維持する。
しかしながら、この時点ではモータ回転速度VMが設定値VMSを超えているので、ステップS43からステップS44に移行して、昇圧制御用デューティ比Dとして前回の昇圧制御用デューティ比D(n-1)を維持して、昇圧回路2の出力電圧DCVOはバッテリ電圧Vbの3倍となる36Vを維持する。
その後、昇圧回路2の出力電圧DCVOがバッテリ電圧Vbの3倍となる36Vを維持して、時点t25で、モータ回転速度VMが設定値VMS未満に低下すると、ステップS43からステップS45に移行して、前回の昇圧制御用デューティ比D(n-1)から所定値ΔDを減少することにより、昇圧制御用デューティ比Dが徐々に減少することにより、昇圧回路2の出力電圧DCVOが図20(d)に示すように徐々に低下する。
この状態を継続して、時点t25で、昇圧制御用デューティ比Dが“0”又は負値となると、ステップS46からステップS47に移行して、昇圧制御用デューティ比Dが“0”%に復帰され、次いでステップS48に移行して、デューティ比状態フラグFTが“0”にリセットされる。
このため、昇圧回路2の出力電圧DCVOがバッテリ電圧Vbに復帰して、通常の操舵補助制御状態に復帰する。
このため、昇圧回路2の出力電圧DCVOがバッテリ電圧Vbに復帰して、通常の操舵補助制御状態に復帰する。
その後、ガードレール等に接近することにより、時点t26で、ステアリングホイール6を右切りの急操舵状態とすると、この状態では、図20(b)に示すように、操舵角速度θSVが負方向に増加する。このため、図8の昇圧制御処理では、ステップS63からステップS66に移行し、θSV≧−θSVSであるので、ステップS40に移行し、デューティ比状態フラグFTが“0”にリセットされているので、ステップS41に移行して、昇圧制御デューティ比Dが0%を維持する。
その後、時点t27で操舵角速度θSVが設定値−θSVSより小さい値となると、ステップS65に移行して、操舵角速度θSVに基づいて図19に示すデューティ比算出用制御マップを参照して昇圧制御用デューティ比D(n)を算出ことにより、この昇圧制御用デューティ比D(n)が“0”%より増加し、これに応じて昇圧回路2の出力電圧DCVOが図20(d)に示すようにバッテリ電圧Vbより増加する。
そして、時点t28で、操舵角速度θSVが設定値−θSVSより小さい値となると(|θSV|≧θSVH)、昇圧制御用デューティ比Dが最大値DMAXとなり、昇圧回路2の出力電圧DCVOがバッテリ電圧Vbの3倍となり、右切り急操舵時の操舵補助力不足を解消して最適な操舵補助力を発生することができる。
その後、時点t29でモータ回転速度VMの絶対値|VM|が設定値VMSより増加すると、昇圧回路2の出力電圧DCVOが徐々に減少し、時点t30でバッテリ電圧Vbに復帰する。
その後、時点t29でモータ回転速度VMの絶対値|VM|が設定値VMSより増加すると、昇圧回路2の出力電圧DCVOが徐々に減少し、時点t30でバッテリ電圧Vbに復帰する。
このように、第2の実施形態でも、緊急回避操舵時には、モータ駆動回路4に供給される入力電圧DCVIがバッテリ電圧Vbの3倍までの範囲で上昇されるので、同一電流制約時に、より大きい出力(電流×電圧)を出すことができ、電動モータ3が高い回転速度となっても、操舵補助トルクの不足を回避することができる。
なお、上記第1及び第2の実施形態においては、昇圧回路2でバッテリ電圧Vbの昇圧を開始した後、モータ回転速度VMの絶対値|VM|が設定値VMS未満となったときに昇圧回路2の出力電圧DCVOを徐々に減少させる場合について説明したが、これに限定されるものではなく、昇圧回路2でバッテリ電圧Vbの昇圧を開始してから所定時間経過後にバッテリ電圧Vbへ復帰させるようにしてもよい。
なお、上記第1及び第2の実施形態においては、昇圧回路2でバッテリ電圧Vbの昇圧を開始した後、モータ回転速度VMの絶対値|VM|が設定値VMS未満となったときに昇圧回路2の出力電圧DCVOを徐々に減少させる場合について説明したが、これに限定されるものではなく、昇圧回路2でバッテリ電圧Vbの昇圧を開始してから所定時間経過後にバッテリ電圧Vbへ復帰させるようにしてもよい。
また、上記第1及び第2の実施形態においては、操舵系の操舵状態を操舵トルクセンサ12及び操舵角センサ61で直接検出する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、モータ回転角検出手段としてのレゾルバ13で検出したモータ回転角に基づいてその時間変化率であるモータ角速度θMVを算出することにより、操舵系の操舵状態時間変化率を間接的に検出し、このモータ角速度θMVが設定値以上となったときに図9及び図19と同様のデューティ比算出用制御マップを参照して昇圧制御用デューティ比D(n)を算出することにより、昇圧回路2の出力電圧DCVOをバッテリ電圧Vbの3倍以内で昇圧させ、その後、モータ回転速度VMの絶対値|VM|が設定値VMS未満となったときにバッテリ電圧Vbに復帰させるようにしても、上記第1及び第2の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。なお、モータ回転角検出手段としてはレゾルバ13に限定されるものではなく、ホール素子やロータリエンコーダ等の任意の回転角検出手段を適用することができる。
同様に、電動モータ3が高速回転すると逆起電圧が大きくなり、モータ印加電圧が同一であれば、モータ電流が制限されるので、電動モータに対する電流指令とモータ電流との差に応じた電圧指令をパルス幅変調信号として生成するパルス幅変調制御のデューティ比Dは大きくなる。そこで、デューティ比検出手段でデューティ比Dを検出し、そのデューティ比が所定値Dsを超えた場合に、所定の期間又はモータ回転速度が設定以下となるかさらにはデューティ比Dか所定値Dsより小さい所定値Dsm(Dsm<Ds)以下となるまで、所定の昇圧電圧を維持するように昇圧制御用指令を決定するようにしてもよい。
さらに、複数の操舵状態時間変化率算出方法を組み合わせて、昇圧制御用デューティ比Dを決定するようにしてもよい。
また、上記第1及び第2の実施形態においては、モータ駆動回路4のマイクロコンピュータ46から昇圧回路2のマイクロコンピュータ25に対して昇圧制御用デューティ比Dを送信する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、マイクロコンピュータ46で昇圧用デューティ比Dに応じたパルス幅変調(PWM)信号を形成し、この形成したパルス幅変調信号を直接昇圧回路2のゲートドライブ回路24へ供給するようにしてもよい。
また、上記第1及び第2の実施形態においては、モータ駆動回路4のマイクロコンピュータ46から昇圧回路2のマイクロコンピュータ25に対して昇圧制御用デューティ比Dを送信する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、マイクロコンピュータ46で昇圧用デューティ比Dに応じたパルス幅変調(PWM)信号を形成し、この形成したパルス幅変調信号を直接昇圧回路2のゲートドライブ回路24へ供給するようにしてもよい。
さらに、上記第1及び第2の実施形態においては、モータ駆動回路4に設けたマイクロコンピュータ46によって昇圧制御処理を行うことにより、昇圧制御用デューティ比Dを決定する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、モータ駆動回路4からモータ回転角θM 、モータ駆動回路4の入力電圧DCVIをシリアルデータに変換して昇圧回路2のマイクロコンピュータ25へ送信し、このマイクロコンピュータ25で図8の昇圧制御処理及び図4の昇圧制御処理を行うようにしてもよい。
さらにまた、上記第1及び第2の実施形態においては、モータ駆動回路4のマイクロコンピュータ46で操舵補助制御処理を実行する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、別途操舵補助制御を行う操舵補助制御装置を設け、この操舵補助制御装置からモータ電流指令値をマイクロコンピュータ46に供給してモータ駆動制御を行うようにしてもよい。
なおさらに、上記第1及び第2の実施形態においては、昇圧回路2及びモータ駆動回路4間のデータ通信がデジタル通信回線を使用して行われる場合について説明したが、これに限定されるものではなく、光信号を利用した光通信手段を適用することもでき、この場合にはより一層ノイズに強い通信を行うことができる。
なおさらに、上記第1及び第2の実施形態においては、昇圧回路2及びモータ駆動回路4間のデータ通信がデジタル通信回線を使用して行われる場合について説明したが、これに限定されるものではなく、光信号を利用した光通信手段を適用することもでき、この場合にはより一層ノイズに強い通信を行うことができる。
また、上記第1及び第2の実施形態においては、昇圧回路2を構成する昇圧チョッパをリアクトル23と2つの電界効果トランジスタFET1及びFET2で構成する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、電界効果トランジスタFET1に代えてダイオードを適用するようにしてもよく、また昇圧チョッパに代えてDC−DCコンバータ、スイッチドキャパシタ等の任意の昇圧回路を適用することができる。
さらに、上記第1及び第2の実施形態においては、電動モータ3としてブラシレスモータを適用し、このブラシレスモータを三相交流駆動する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、5相以上の交流駆動するようにしてもよく、さらには直流モータを適用してHブリッジ回路により直流モータを駆動するようにしてもよい。
さらに、上記第1及び第2の実施形態においては、電動モータ3としてブラシレスモータを適用し、このブラシレスモータを三相交流駆動する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、5相以上の交流駆動するようにしてもよく、さらには直流モータを適用してHブリッジ回路により直流モータを駆動するようにしてもよい。
1…バッテリ、2…昇圧回路、3…電動モータ、4…モータ駆動回路、5…通信回線6ステアリングホイール、7…ステアリングシャフト、11…転舵輪、12…操舵トルクセンサ、13…レゾルバ、23…リアクトル、FET1,FET2…電界効果トランジスタ、24…ゲートドライブ回路、25…マイクロコンピュータ、30…通信制御回路、40c…切換スイッチ、43…インバータ、45…ゲートドライブ回路、46…マイクロコンピュータ、47u,47w…モータ電流検出回路、48…操舵トルク検出回路、49…モータ回転角検出回路、50…車速センサ、51…通信制御回路、61…操舵角センサ
Claims (8)
- 操舵系に作用される操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と、前記操舵系に対して操舵補助力を発生する電動モータと、該電動モータの近傍に配置され、前記操舵トルク検出手段で検出した操舵トルクに応じた電流指令値に基づいて当該電動モータを駆動制御するモータ駆動手段と、前記操舵系の操舵状態の時間変化率を算出する操舵状態時間変化率算出手段と、該操舵状態時間変化率算出手段で算出した操舵状態時間変化率に基づいて昇圧制御指令を決定する昇圧制御指令決定手段と、車両に搭載されたバッテリの近傍に配置され、前記昇圧制御指令決定手段で決定した昇圧制御指令に基づいてバッテリの出力電圧を昇圧する昇圧手段と、を備え、
前記モータ駆動手段は、前記昇圧手段で昇圧された電圧を、前記電流指令値に基づいてパルス幅変調制御して、前記電動モータに供給するように構成されていることを特徴とする電動パワーステアリング装置。 - 前記操舵状態時間変化率算出手段は、前記操舵トルクの時間変化率を算出するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。
- 前記操舵状態時間変化率算出手段は、操舵系の操舵角を検出する操舵角検出手段を有し、該操舵角検出手段で検出した前記操舵角の時間変化率でなる操舵角速度を算出するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。
- 前記操舵状態時間変化率算出手段は、前記電動モータの回転角を検出するモータ回転角検出手段を有し、該モータ回転角検出手段で検出した前記回転角の時間変化率でなる角速度を算出するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。
- 前記操舵状態時間変化率算出手段は、前記モータ駆動手段のパルス幅変調のデューティ比を検出するデューティ比検出手段を有し、該デューティ比検出手段で検出したデューティ比に基づいて所定値以上の操舵状態時間変化率を検出するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。
- 前記昇圧制御指令決定手段は、前記モータ駆動手段に併設され、当該昇圧制御指令決定手段と前記昇圧手段との間に通信手段が配設されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の電動パワーステアリング装置。
- 前記通信手段はシリアルデータ通信を行うように構成されていることを特徴とする請求項6に記載の電動パワーステアリング装置。
- 前記通信手段は光データ通信を行うように構成されていることを特徴とする請求項6に記載の電動パワーステアリング装置。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2005284790A JP2007091107A (ja) | 2005-09-29 | 2005-09-29 | 電動パワーステアリング装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2005284790A JP2007091107A (ja) | 2005-09-29 | 2005-09-29 | 電動パワーステアリング装置 |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2007091107A true JP2007091107A (ja) | 2007-04-12 |
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ID=37977313
Family Applications (1)
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JP2005284790A Pending JP2007091107A (ja) | 2005-09-29 | 2005-09-29 | 電動パワーステアリング装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2007091107A (ja) |
-
2005
- 2005-09-29 JP JP2005284790A patent/JP2007091107A/ja active Pending
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