JP2009000587A - 有害元素吸着剤 - Google Patents

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Abstract

【目的】安価な材料を用いて、焼却灰や工場廃水のような有害元素汚染物質に含まれる有害元素を簡単に不溶化する。
【構成】有害元素汚染物質に対し、pHが2.5〜3.0の酸を用いて酸化鉄を処理して得られる粒状の調製酸化鉄からなる有害元素吸着剤を添加して混合すると、有害元素汚染物質に含まれるクロム、鉛およびヒ素等の有害元素は有害元素吸着剤に同時に吸着されて不溶化される。調製酸化鉄を得るための材料となる酸化鉄は、例えば、硫酸法酸化チタンの製造工程および鉄鋼材料の洗浄工程のいずれかにおいて発生する鉄を含む廃硫酸を中和して得られる安価なものである。
【選択図】なし

Description

本発明は、吸着剤、特に、有害元素汚染物質に含まれる有害元素を吸着するための吸着剤に関する。
汚泥焼却灰、一般廃棄物焼却灰、産業廃棄物焼却灰、排ガス集塵灰、石炭灰、工場跡地の掘削土壌および港湾からの浚渫土などの固形廃棄物は、クロム、鉛およびヒ素などの有害元素を含むことが多いため、そのまま最終処分場に廃棄したり、埋立用や盛土用に再利用したりすると、雨水などに由来してそれから滲出する、有害元素を溶解した汚染水を通じて環境汚染を引き起こす可能性がある。このため、固形廃棄物を廃棄したり再利用したりする際には、固形廃棄物からの有害元素の溶出を防止するための処理が必要になる。また、上述のような固形廃棄物の発生現場において装置を水洗したときに発生する洗浄廃水や各種の工場廃水等も有害元素を含む可能性がある。このため、これらの有害元素含有水は、河川や海洋等へ廃棄する前に、有害元素の除去処理を施す必要がある。
固形廃棄物に含まれる有害元素の溶出を防止したり、有害元素含有水から有害元素を除去したりするために用いられる有害元素処理剤として、特許文献1には、鉄、アルミニウム、亜鉛、銅若しくはマグネシウムなどの還元剤として機能する金属、鉄、チタン、アルミニウム、亜鉛若しくはマンガンなどの金属酸化物および水酸化鉄を含むものが開示されている。この有害元素処理剤は、金属酸化物が触媒的な働きをして金属による有害元素の還元力を高め、還元された有害元素を水酸化鉄に吸着して不溶化する。このため、この有害元素処理剤は、固形廃棄物へ添加して混合すると、固形廃棄物に含まれる有害元素を吸着して不溶化し、固形廃棄物からの滲出水に有害元素が溶解するのを防止することができる。また、この有害元素処理剤は、有害元素含有水へ添加すると水中の有害元素を吸着して不溶化し、沈殿物として有害元素含有水から有害元素を分離することができる。
しかし、この有害元素処理剤は、上述の三成分を組合せることが必要であり、三成分のうちの一成分を欠くと所要の効果を奏しない(特許文献1の段落0010)ため、高価であり、また、固形廃棄物や有害元素含有水へ添加する前に予め三成分を混合しておくか、添加の際に三成分を個別に添加する必要があるため、固形廃棄物や有害元素含有水の処理に手間を要する。
特開2006−205152公報
本発明の目的は、安価な材料を用いて、焼却灰や工場廃水のような有害元素汚染物質に含まれる有害元素を簡単に不溶化することにある。
本発明の有害元素吸着剤は、有害元素汚染物質に含まれる有害元素を吸着するためのものであり、pHが2.5〜3.0の酸を用いて酸化鉄を処理して得られる粒状の調製酸化鉄からなる。
酸化鉄に対して上述のような簡単な処理を施して得られる調製酸化鉄は、それ自体で有害元素に対する吸着性を示し、また、安価に提供することができる。したがって、このような調製酸化鉄からなる有害元素吸着剤は、他の成分と組合せて用いなくても、有害元素汚染物質に含まれる有害元素を吸着して不溶化することができる。
本発明の有害元素吸着剤において、調製酸化鉄を得るための材料となる酸化鉄は、例えば、硫酸法酸化チタンの製造工程および鉄鋼材料の洗浄工程のいずれかにおいて発生する鉄を含む廃硫酸を中和して得られたものである。このような酸化鉄は、有害元素、特にマンガンを不純物として含む場合があるが、この有害元素の一部は、上述の酸による処理により酸化鉄から除去される。したがって、このような酸化鉄を用いて得られた調製酸化鉄からなる有害元素吸着剤は、それ自体から有害元素を溶出するのが抑制され、また、廃物を利用したものであるため、より安価に提供することができる。
また、本発明の有害元素吸着剤において、調製酸化鉄を得るための材料となる酸化鉄は、例えば、予め200〜400℃で焼成されたものである。このような酸化鉄を用いて得られた調製酸化鉄からなる有害元素吸着剤は、有害元素に対する吸着性がより良好であるため、有害元素汚染物質に含まれる有害元素をさらに効果的に不溶化することができる。
本発明に係る有害元素汚染物質の処理方法は、固形状の有害元素汚染物質から有害元素が溶出するのを防止するための方法であり、有害元素汚染物質に対し、pHが2.5〜3.0の酸を用いて酸化鉄を処理して得られる粒状の調製酸化鉄からなる有害元素吸着剤を添加して混合する工程を含んでいる。
この処理方法において、調製酸化鉄からなる有害元素吸着剤は、それ自体が有害元素の吸着性を有するため、有害元素汚染物質へ添加して混合すると、有害元素汚染物質に含まれる有害元素を効果的に吸着して不溶化する。この結果、有害元素汚染物質は、有害元素の溶出が防止される。
本発明に係る有害元素の除去方法は、液状の有害元素汚染物質から有害元素を除去するための方法であり、有害元素汚染物質に対し、pHが2.5〜3.0の酸を用いて酸化鉄を処理して得られる粒状の調製酸化鉄からなる有害元素吸着剤を添加して混合する工程と、有害元素汚染物質へ添加した有害元素吸着剤を有害元素汚染物質から分離する工程とを含んでいる。
この方法において、調製酸化鉄からなる有害元素吸着剤は、それ自体が有害元素の吸着能を有するため、液状の有害元素汚染物質へ添加して混合すると、有害元素汚染物質に含まれる有害元素を効果的に吸着して不溶化する。したがって、有害元素吸着剤が添加された有害元素汚染物質から有害元素吸着剤を分離すると、有害元素汚染物質から有害元素が除去される。
本発明の他の観点に係る有害元素の除去方法は、液状の有害元素汚染物質から有害元素を除去するための方法であり、pHが2.5〜3.0の酸を用いて酸化鉄を処理して得られる粒状の調製酸化鉄からなる有害元素吸着剤を充填した層に有害元素汚染物質を通過させる工程を含んでいる。
この方法において、調製酸化鉄からなる有害元素吸着剤は、それ自体が有害元素の吸着能を有するため、それを充填した層に液状の有害元素汚染物質を通過させると、有害元素汚染物質に含まれる有害元素は、有害元素吸着剤に吸着して不溶化する。このため、有害元素吸着剤を充填した層を通過した有害元素汚染物質は、有害元素が除去された状態になる。
本発明の有害元素吸着剤は、上述のような調整酸化鉄からなるものであるため、安価であり、また、他の材料と組合せなくても有害元素汚染物質に含まれる有害元素を簡単に不溶化することができる。
本発明に係る有害元素汚染物質の処理方法は、本発明の有害元素吸着剤を用いているため、固形状の有害元素汚染物質から有害元素が溶出するのを簡単に抑制することができる。
本発明に係る有害元素の除去方法は、本発明の有害元素吸着剤を用いているため、液状の有害元素汚染物質から簡単に有害元素を除去することができる。
本発明の有害元素吸着剤は、酸化鉄を処理して得られた調製酸化鉄からなるものである。
ここで用いられる酸化鉄は、特に限定されるものではなく、FeO、Fe(三二酸化鉄)、Fe(四三酸化鉄)等、酸化鉄の概念に含まれる各種のものである。因みに、四三酸化鉄は、酸化鉄(FeO)と三二酸化鉄(Fe)との混合物であり、通常、マグネタイトと云われている。酸化鉄は、二種以上のものが混合して用いられてもよい。また、酸化鉄は、水分を含むものであってもよいし、水分を実質的に含まないものであってもよい。
上述の酸化鉄は、純度の高いものであってもよいし、硫酸法酸化チタンの製造工程や鉄鋼材料の洗浄工程において発生する鉄を含む廃硫酸を中和して得られる副生成物のような、不純物を含む純度の低いものであってもよい。例えば、硫酸法酸化チタンの製造工程において発生する鉄を含む廃硫酸を中和すると、副生成物として三二酸化鉄または四三酸化鉄が得られる。
このような三二酸化鉄および四三酸化鉄は、硫酸法酸化チタンの製造工程において、次のようにして得られる。先ず、硫酸法酸化チタンの製造工程において得られる鉄含有硫酸を水酸化ナトリウムまたは水酸化カルシウム(消石灰)で中和した後に濃縮、分離処理する。そして、その際の上澄み液をろ過して得られたろ過液をさらに中和、酸化処理する。より具体的には、ろ過液に気流を通過させながら水酸化ナトリウムを加え、温度を65℃に設定しながら、pHが6.0〜6.3に、また、酸化率が75〜80%になるよう処理する。そして、このような中和、酸化処理により得られる生成物をろ過して分離した後、120℃程度で乾燥する。
上述の鉄含有硫酸の処理工程において、三二酸化鉄は、鉄含有硫酸を中和した段階において、Fe・nCaSO・mHOとして得られる。また、四三酸化鉄は、最終段階である120℃程度での乾燥により、FeOとFeとの比率(FeO:Fe)が10〜30:90〜70の低結晶性の四三酸化鉄として得られる。最終の乾燥工程は、窒素雰囲気下で実施するのが好ましい。このようにすると、FeOとFeとの比率が上述のように設定された、有害元素の吸着能が特に良好な四三酸化鉄が得られやすい。
また、鉄鋼材料の洗浄工程、例えば、鉄鋼材料にメッキ処理を施す場合、鉄鋼材料の表面から金属酸化物皮膜を除去して活性化させるために鉄鋼材料を硫酸に浸漬して洗浄することがあるが、その場合、鉄鋼材料の表面の酸化鉄および内層の金属鉄が硫酸中に溶解する。このため、このときに発生する廃硫酸を中和すると、FeOとFeとの比率(FeO:Fe)が10〜30:90〜70のように設定された、有害元素の吸着能が特に良好な四三酸化鉄が得られる。
上述のような各種の酸化鉄は、通常、粒状のものが好ましいが、その粒形状は特に限定されるものではない。粒状の酸化鉄は、平均粒径が100μm〜2mmのものが好ましい。酸化鉄の平均粒径が100μm以下の場合は、本発明の有害元素吸着剤が微粉末状になるため、後述する有害元素汚染物質への添加時に飛散しやすくなる等、本発明の有害元素吸着剤の取扱いが困難になる可能性がある。逆に、平均粒径が2mmを超える場合は、後述する有害元素汚染物質が灰や土壌のような固体物の場合、当該固形物と均一に混合するのが困難になる可能性がある。
調製酸化鉄は、上述の酸化鉄をpHが2.5〜3.0の酸を用いて処理することで得られる。酸化鉄の処理に用いられる酸は、塩酸、硝酸および硫酸などの無機酸並びに酢酸やクエン酸などの有機酸であり、適宜希釈等することにより、pHが2.5〜3.0に調整されたものである。酸化鉄は、このようなpH範囲の酸を用いて処理することで、それ自体が有害元素に対する好ましい吸着能を発揮するようになる。また、酸化鉄が硫酸法酸化チタンの製造工程や鉄鋼材料の洗浄工程において発生する鉄を含む廃硫酸を中和して得られるものの場合、当該酸化鉄は、有害元素、特にマンガンを不純物として含むことが多いが、そのような有害元素が酸による処理時に併せて溶解して酸化鉄から除去されるため、自身からマンガンなどの有害元素を溶出するのが抑制された調製酸化鉄を得ることができる。
因みに、酸化鉄をpHが2.5未満の酸を用いて処理した場合は、酸化鉄の構成元素である鉄自体が酸に溶解してしまい、有害元素の吸着力を示す所要の調製酸化鉄が得られない。逆に、pHが3.0を超える酸を用いて処理した場合は、有害元素に対する所要の吸着能を有する調製酸化鉄が得られにくい。また、酸化鉄が上述のような廃硫酸を中和して得られるものの場合、当該酸化鉄からマンガンなどの有害元素が除去されにくい。
このような酸を用いて酸化鉄を処理するためには、通常、pHが上記範囲に調整された酸の水溶液を酸化鉄へ加えて攪拌または振とうする。また、水または酸の水溶液に酸化鉄を投入した後、当該水または水溶液に酸を徐々に加えて上記範囲にpHを調整して攪拌または振とうすることもできる。例えば、酸化鉄を投入した水または酸の水溶液のpHが3付近になった場合、これに1Nの酸(pH0)や0.1Nの酸(pH1)を徐々に添加してそのpHを2.5〜3.0に調整し、所定時間攪拌または振とうする。このような処理工程において、攪拌時間または振とう時間は、通常、30〜120分に設定するのが好ましい。
上述のようにして酸により処理された酸化鉄は、遠心分離やろ過等の方法により固液分離した後に乾燥処理すると、目的の粒状の調製酸化鉄、すなわち、本発明の有害元素吸着剤が得られる。
酸を用いて処理された酸化鉄は、通常、水洗するのが好ましい。このような水洗は、例えば、酸による処理後に固液分離された酸化鉄をろ紙上等に配置し、ろ紙を通過した洗浄水のpHが6以上になるまで継続することで実施することができる。
上述のようにして酸を用いて処理する酸化鉄は、予め、200〜400℃で焼成されていてもよい。このような焼成した酸化鉄を用いると、有害元素に対する吸着能が特に高められた有害元素吸着剤を得ることができる。酸化鉄の焼成は、上記温度範囲で実施するのであれば、焼成時の雰囲気、例えば、湿度や雰囲気ガス等が特に限定されるものではないが、通常、焼成時間を1〜6時間に設定するのが好ましい。
本発明の有害元素吸着剤は、有害元素汚染物質に含まれる有害元素を吸着することができる。本発明の有害元素吸着剤を適用可能な有害元素含有物質は、固形物および液状物の両方である。固形状の有害元素汚染物質としては、例えば、汚泥焼却灰、一般廃棄物焼却灰、産業廃棄物焼却灰、排ガス集塵灰、石炭灰、並びに、建設工事、掘削工事および浚渫工事などにより発生した残土などの固形廃棄物を挙げることができる。一方、液状の有害元素汚染物質としては、各種の工場廃水、河川水、湖沼水、海洋水、地下水および焼却装置や集塵装置等の洗浄廃水を挙げることができる。
本発明の有害元素吸着剤は、例えば、固形状の有害元素汚染物質から有害元素が溶出するのを防止したり、液状の有害元素汚染物質から有害元素を除去するために用いられる。
固形状の有害元素汚染物質から有害元素が溶出するのを防止する場合には、有害元素汚染物質に対して本発明の有害元素吸着剤を添加して均一に混合する。ここで、固形状の有害元素汚染物質と有害元素吸着剤とは、例えば、ニーダー、パドルミキサー、スクリュー式ミキサー若しくはロッド式ミキサーなどの混合装置を用いて混合することができる。
有害元素汚染物質に対する有害元素吸着剤の使用量は、通常、有害元素汚染物質に含まれる有害元素量を定量し、その定量結果に基づいて設定するのが好ましい。有害元素汚染物質中の有害元素量は、例えば、有害元素汚染物質の試料に対して有害元素の溶出試験を実施することで定量することができる。
このような有害元素汚染物質の処理により、有害元素汚染物質に含まれる各種の有害元素、例えば、クロム、鉛およびヒ素は、有害元素吸着剤に同時に吸着されて固定化され、水に対して不溶化する。また、有害元素吸着剤は、それ自身からマンガン等の有害元素を溶出しにくい。このため、有害元素吸着剤により処理された固形状の有害元素汚染物質は、そのまま最終処分場に廃棄したり、埋立用や盛土用に再利用したりしても、有害元素を含む汚染水が滲出しにくくなる。したがって、本発明の有害元素吸着剤により処理された有害元素汚染物質は、有害元素による環境汚染を引き起こし難い。
上述のような固形状の有害元素汚染物質の処理方法によると、本発明の有害元素吸着剤は、各種の固形廃棄物を充填剤として用いてブロックや路盤材を製造するときに活用することもできる。この場合、固形廃棄物、本発明の有害元素吸着材、セメントやアルミナなどのバインダーおよび水を混練して成形材料を調製し、この成形材料を養生する。そして、養生後にこの成形材料を所要の形状に成形すると、有害元素が滲出しにくいブロックや路盤材を製造することができる。
一方、液状の有害元素汚染物質から有害元素を除去するために本発明の有害元素吸着剤を用いる場合は、例えば、次のような二通りの方法で本発明の有害元素吸着剤を用いることができる。
(方法1)
この方法では、先ず、液状の有害元素汚染物質に対して本発明の有害元素吸着剤を添加して混合する。これにより、有害元素汚染物質に含まれる各種の有害元素は、有害元素吸着剤に同時に吸着されて固定化され、水に対して不溶化する。また、有害元素吸着剤は、それ自身からマンガン等の有害元素を溶出しにくい。このため、有害元素汚染物質から有害元素吸着剤を分離することで、有害元素汚染物質は有害元素が除去されることになる。
ここで、有害元素汚染物質に対する有害元素吸着剤の添加量は、上述の固形状の有害元素汚染物質の処理方法の場合と同じく、有害元素汚染物質に含まれる有害元素の定量結果に基づいて設定するのが好ましい。また、有害元素汚染物質から有害元素吸着剤を分離するための方法としては、例えば、ろ過方法や、有害元素汚染物質中において有害元素吸着剤を沈殿させ、上澄みを汲み取る方法などを採用することができる。
(方法2)
この方法では、本発明の有害元素吸着剤を充填した層を形成し、この層に液状の有害元素汚染物質を通過させる。この際、有害元素汚染物質に含まれる各種の有害元素は、有害元素吸着剤に接触して吸着され、不溶化する。また、有害元素吸着剤は、それ自身からマンガン等の有害元素を溶出しにくい。このため、有害元素吸着剤の充填層を通過後の有害元素汚染物質は、有害元素が除去された状態になる。
上述の各除去方法により有害元素が除去された液状の有害元素汚染物質は、河川や海洋等へ安全に廃棄することができる。
因みに、上述の各方法において、酸による処理後に水洗された調製酸化鉄を有害元素吸着剤として用いると、処理後の有害元素汚染物質は、pH調製せずに廃棄したり再利用したりすることができる。
比較例1
和光純薬工業株式会社製の硫酸鉄(II)塩を水に溶解し、0.05Mの硫酸鉄水溶液を調製した。この硫酸鉄水溶液を攪拌して酸化を進行させ、同時に中和剤として水酸化ナトリウムを加えてpHを7付近に調整した。これにより生成した沈殿物をろ過して105℃で乾燥し、酸化鉄(Fe・nHO)を得た。
比較例2
比較例1で得られた酸化鉄を300℃の電気炉内で2時間焼成し、焼成酸化鉄を得た。
実施例1
比較例1で得られた酸化鉄1gにpHが2.5に調整された希塩酸10ミリリットルを加え、30分間攪拌した。攪拌後の上澄み液のpHは2.6であった。次に、これを遠心分離器により固液分離し、分離された酸化鉄をろ紙上に保持して洗浄水のpHが6以上になるまで水洗した。そして、水洗された酸化鉄を105℃で乾燥し、調製酸化鉄を得た。
実施例2
pHが2.5に調整された希塩酸に替えてpHが3.0に調整された希塩酸を用いた点を除いて実施例1と同様に操作し、調製酸化鉄を得た。
比較例3
pHが2.5に調整された希塩酸に替えてpHが3.5に調整された希塩酸を用いた点を除いて実施例1と同様に操作し、調製酸化鉄を得た。
実施例3
比較例1で得られた酸化鉄に替えて比較例2で得られた焼成酸化鉄を用いた点を除いて実施例1と同様に操作し、調製酸化鉄を得た。
比較例4
硫酸法酸化チタンの製造工程で得られた副産物である0.05M硫酸鉄(II)水溶液(廃硫酸)を攪拌して酸化を進行させ、これに中和剤として水酸化カルシウムを加えてpHを7付近に調整した。これにより生成した沈殿物をろ過して105℃で乾燥し、酸化鉄(Fe・nCaSO・mHO)を得た。
比較例5
比較例4で得られた酸化鉄を300℃の電気炉内で2時間焼成し、焼成酸化鉄を得た。
実施例4
比較例1で得られた酸化鉄に替えて比較例4で得られた酸化鉄を用いた点を除いて実施例1と同様に操作し、調製酸化鉄を得た。
実施例5
比較例1で得られた酸化鉄に替えて比較例4で得られた酸化鉄を用いた点を除いて実施例2と同様に操作し、調製酸化鉄を得た。
比較例6
比較例1で得られた酸化鉄に替えて比較例4で得られた酸化鉄を用いた点を除いて比較例3と同様に操作し、調製酸化鉄を得た。
実施例6
比較例4で得られた酸化鉄に替えて比較例5で得られた焼成酸化鉄を用いた点を除いて実施例1と同様に操作し、調製酸化鉄を得た。
比較例7
実施例4で得られた調製酸化鉄を300℃の電気炉内で2時間焼成し、焼成酸化鉄を得た。
評価A
クロム(VI)、鉛およびヒ素(III)の各有害元素をそれぞれ1ミリグラム/リットル含む水溶液に硝酸を加えてpHを3に調整し、全量を25ミリリットルに調整した。この水溶液に実施例1〜6および比較例1〜7で得られた酸化鉄のうちの一つを15ミリグラム添加し、6時間攪拌した。その後、0.45マイクロメートルのフイルタを用いて水溶液をろ過し、ろ過液を確保した。このろ過液について、プラズマ発光分光分析装置(セイコーインスツルメンツ株式会社製の型番“SPS−7000A”)を用いて有害元素濃度を測定し、水溶液からの各有害元素の除去率を算出した。結果を表1に示す。
Figure 2009000587
表1によると、比較例1〜7の酸化鉄を用いた場合に比べ、実施例1〜6の酸化鉄を用いた場合は各有害元素、特にクロム(VI)およびヒ素(III)の除去率が高まっていることがわかる。
評価B
蒸留水に硝酸を加えてpHを3に調整し、全量を25ミリリットルに調整した。この水溶液に実施例4、6並びに比較例4、5および7で得られた酸化鉄のうちの一つを15ミリグラム添加し、6時間攪拌した。その後、0.45マイクロメートルのフイルタを用いて水溶液をろ過し、ろ過液を確保した。このろ過液について、プラズマ発光分光分析装置(セイコーインスツルメンツ株式会社製の型番“SPS−7000A”)を用いてマンガン濃度を測定した。結果を表2に示す。
Figure 2009000587
表2によると、比較例4、5および7の酸化鉄からは多量のマンガンが溶出しているのに対し、実施例4,6の酸化鉄からは世界保健機構(WHO)の飲料水基準である0.4ミリグラム/リットル未満程度にしかマンガンが溶出していない。この結果と評価Aの結果とによると、実施例4、6の調製酸化鉄は、硫酸法酸化チタンの製造工程で得られた廃硫酸を中和して得られたものから調製されたものでありながら、有害元素を効果的に吸着して不溶化することができ、マンガンの溶出も少ないことがわかる。
参考例
比較例4において得られた酸化鉄について、50ミリグラム当りに含まれる鉄元素量とマンガン元素量とを測定した。また、pHの異なる数種類の塩酸水溶液25ミリリットルに対して当該酸化鉄を50ミリグラムずつ加えて2時間振とうした後、上澄み液を0.45マイクロメートルのフイルタを用いてろ過し、ろ液を確保した。そして、各ろ液に含まれる鉄元素量およびマンガン元素量を測定し、酸化鉄からの鉄元素およびマンガン元素の溶出率、すなわち、塩酸水溶液による処理前の酸化鉄に含まれる元素量(A)に対する、ろ液に含まれる元素量(B)の割合(B/A×100)を求めた。この参考例において、鉄元素量およびマンガン元素量は、プラズマ発光分光分析装置(セイコーインスツルメンツ株式会社の型番“SPS−7000A”)を用いて測定した。結果を表3および図1に示す。図1は、表3をグラフ化したものである。
Figure 2009000587
表3および図1は、pHが2.5未満の塩酸水溶液により処理された比較例4の酸化鉄は鉄元素の溶出量が大きく、また、pHが3.0を超える塩酸水溶液により処理された比較例4の酸化鉄はマンガン元素の溶出率が小さいことを示している。これによると、比較例4の酸化鉄は、pHが2.5未満の塩酸水溶液により処理されると実質的に塩酸水溶液に溶解してしまい、また、pHが3.0を超える塩酸水溶液により処理されると不純物であるマンガンが除去されにくくなることがわかる。
参考例の結果を示すグラフ。

Claims (6)

  1. 有害元素汚染物質に含まれる有害元素を吸着するための有害元素吸着剤であって、
    pHが2.5〜3.0の酸を用いて酸化鉄を処理して得られる粒状の調製酸化鉄からなる、
    有害元素吸着剤。
  2. 前記酸化鉄は、硫酸法酸化チタンの製造工程および鉄鋼材料の洗浄工程のいずれかにおいて発生する鉄を含む廃硫酸を中和して得られたものである、請求項1に記載の有害元素吸着剤。
  3. 前記酸化鉄は200〜400℃で焼成されたものである、請求項1または2に記載の有害元素吸着剤。
  4. 固形状の有害元素汚染物質から有害元素が溶出するのを防止するための処理方法であって、
    前記有害元素汚染物質に対し、pHが2.5〜3.0の酸を用いて酸化鉄を処理して得られる粒状の調製酸化鉄からなる有害元素吸着剤を添加して混合する工程を含む、
    有害元素汚染物質の処理方法。
  5. 液状の有害元素汚染物質から有害元素を除去するための除去方法であって、
    前記有害元素汚染物質に対し、pHが2.5〜3.0の酸を用いて酸化鉄を処理して得られる粒状の調製酸化鉄からなる有害元素吸着剤を添加して混合する工程と、
    前記有害元素汚染物質へ添加した前記有害元素吸着剤を前記有害元素汚染物質から分離する工程と、
    を含む有害元素の除去方法。
  6. 液状の有害元素汚染物質から有害元素を除去するための除去方法であって、
    pHが2.5〜3.0の酸を用いて酸化鉄を処理して得られる粒状の調製酸化鉄からなる有害元素吸着剤を充填した層に前記有害元素汚染物質を通過させる工程を含む、
    有害元素の除去方法。
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