JP2008546707A - 創傷治癒 - Google Patents

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Abstract

血管内皮増殖因子(VEGF)が投与されることによって被検体の創傷治癒を促進及び/又は向上させるための方法が提供される。

Description

(関連出願)
本出願は、2005年6月17日に出願の米国特許仮出願第60/691909号及び2006年4月21日に出願の米国特許仮出願第60/794008号の優先権を主張するものであり、これら明細書は出典明記によって本明細書中に援用される。
(発明の分野)
本発明は、血管内皮増殖因子(VEGF)が投与されることによる創傷治癒の促進方法又は改善方法に関する。
(発明の背景)
創傷治癒は複雑な過程であり、炎症段階、肉芽組織形成段階及び組織再構築段階を伴う。Singer及びClark, Cutaneous Wound Healing, N. Engl. J. Med. 341: 738-46 (1999)。これらの現象は、損傷の部位で放出されるサイトカイン及び増殖因子によって誘発される。多くの因子により、正常で十分な創傷治癒が難しくなりうるか又は干渉されうる。例えば、このような因子には、年齢、感染、低栄養、免疫抑制、薬物、放射線、糖尿病、末梢血管疾患、全身性疾患、喫煙、ストレスなどが含まれる。
2005年の米国ではおよそ2000万人が罹患していると思われる慢性の衰弱性疾患である糖尿病患者では、糖尿病性足潰瘍(損傷とも称される)の発症は一般的な合併症である。慢性潰瘍は、解剖学的及び機能的に完全にするための規則的かつ適時の修復過程により進行しない損傷として定義される(例として、Lazarus等, Definitions and guidelines for assessment of wounds and evaluation of healing, Arch. Dermatol. 130:489-93 (1994)を参照)。もともと、糖尿病性足潰瘍は慢性創傷である(American Diabetes Association, Consensus development conference on diabetic foot wound care, Diabetes Care, 22(8): 1354-60 (1999))。皮膚が一次バリアとして外的要因に再度曝されるので、開いた抵抗性創傷は難治性となりうる。重大な障害(肢喪失を含む)及び死さえも生じうる。足潰瘍化は、糖尿病患者のおよそ85%が下肢切断を控えている。例として、Apelqvist,等, What is the most effective way to reduce incidence of amputation in the diabetic foot? Diabetes Metab Res. Rev., 16(1 Suppl.): S75-S83 (2000)を参照。
毎年米国では処置を必要とする3500万以上の皮膚創傷があると報告されている。例として、Tonnesen等, Angiogenesis in Wound Healing JID Symposium Proceedings 5(1): 40-46 (2000)を参照。現在の創傷治療法は、その期待外れの有効性及びコストのためにあまり成功していない。ゆえに、被検体の創傷治癒治療を向上させ、最適化する必要性がある。以下の開示内容を参照して明らかであるように、本発明はこれら及び他の必要性に取り組むものである。
(発明の概要)
創傷、例えば、急性のもの(例えば熱傷、外科的創傷など)又は慢性のもの(例えば糖尿病性潰瘍、褥瘡、床擦れ、静脈潰瘍など)、又は通常のものの治癒を促進するための方法が提供される。また、血管内皮増殖因子(VEGF)の投与による、潰瘍中の創傷治癒及び潰瘍の再発量の減少を改善するための方法が、提供される。方法は、例えば被検体の創傷治癒を促進する方法を含み、方法が創傷に有効量のVEGFを投与することを含んでなり、有効量のVEGFの投与により、コントロールと比較して50%より大きく、又は60%以上、70%以上、74%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、100%以上、110%以上、又はそれ以上、創傷治癒が促進される。コントロールには、限定するものではないが、例えば、処置を受けていない被検体、又は治療量以下のVEGFを投与された被検体、又は他の創傷治療を受ける被検体、又は良好な創傷ケア(GWC)の有無にかかわらずプラセボが投与される被検体、又はGWCのみが適応される被検体が含まれる。GWCには、限定するものではないが、例えば、創面切除、清掃/包帯、圧力軽減、感染コントロール及び/又はこれらの組合せが含まれる。一実施態様では、ヒト被検体の創傷治癒の促進方法は、創傷に有効量のVEGFが投与されることを含んでなり、該有効量のVEGFの投与によりコントロールと比較して60%より大きく創傷治癒が促進され、該創傷は有効量のVEGFの投与前の4週間以上もの間、被検体に存在する。一実施態様では、ヒト被検体の創傷治癒を促進する方法は 有効量のrhVEGF165を糖尿病性創傷に投与することを含んでなり、該有効量のrhVEGF165の投与によりコントロールと比較して60%より大きく創傷治癒が促進される。ある実施態様では、VEGFRアゴニストは、本方法においてVEGFの代わりに、又はVEGFとともに用いられうる。
創傷治癒の評価は、例えば、創傷領域の%減少率又は完全な創傷閉鎖で決定されうる。創傷領域は、定量分析、例えば創傷の領域測定値、創傷の面積測定追跡などで決定されうる。完全な創傷閉鎖は、例えば排液又は包帯を必要としない皮膚閉鎖により決定しうる。また、創傷の写真画像、創傷の物理的な試験などを用いて、創傷治癒を評価することができる。創傷治癒の促進は、%促進率によって、又は治癒までの時間に対する有害比率(例えば、VEGFとプラセボなどのコントロール)などとして表すことができる。本発明の特定の実施態様では、有害比率(HR)は1.75以上、又は1.8以上、又は1.85以上、又は1.87以上、又は1.9以上、又は1.95以上、又は1.98以上、又は2.0以上、又は、2.1以上、又はそれ以上である。
一実施態様では、創傷は感染を更に含む。他の実施態様では、創傷は虚血性創傷である。一実施態様では、処置前の創傷は、およそ0.4cm以上、又はおよそ1.0cm以上、又はおよそ1.0cmとおよそ10.0cmの間、又は、およそ1.0cmとおよそ6.5cmの間、又はおよそ1.0cmとおよそ5.0cmの間である。更なる実施態様では、創傷領域は、VEGF処置前で創面切除後に測定する。一実施態様では、創傷は、VEGFの投与前のおよそ4週間以上、又はおよそ6週間以上の間、被検体に存在する。特定の本発明の態様では、被検体は治療を受けるか受けたことがあり、該治療は創傷治癒を遅らせるか効果がないものである。他の実施態様では、被検体には二次症状があり、二次症状が創傷治癒を遅らせるか効果がないものである。さらなる態様実施態様では、二次症状は糖尿病である。
一実施態様では、投与されるVEGFはVEGF165(例えば組換えヒトVEGF(例えばヒトVEGF165))である。一実施態様では、VEGFは局所に投与される。ある実施形態では、VEGFは、創傷治癒を促進する他の因子(例えば血管新生因子又は薬剤、創傷治癒薬剤又は手順、増殖因子など)と組み合わせて投与される。VEGFは、例えば、緩効性の製剤、ゲル製剤、絆創膏又は包帯などにおいて調製されうる。ある実施形態では、被検体はヒトである。一実施態様では、投与されるVEGFの有効量は、およそ20μg/cmからおよそ250μg/cmである。ある実施形態では、投与される有効量は、およそ24μg/cm又は24μg/cmである。ある実施形態では、投与される有効量は、およそ72μg/cm又は72μg/cmである。ある実施形態では、投与される有効量は、およそ216μg/cm又は216μg/cmである。一実施態様では、投与されるVEGFの有効量は、20μg/cmから250μg/cmである。ある実施態様では、投与される有効量は、およそ24μg/cmからおよそ216μg/cm、又は24μg/cmから216μg/cmである。ある実施態様では、投与される有効量は、およそ24μg/cmからおよそ72μg/cm、又は24μg/cmから72μg/cmである。ある実施態様では、投与される有効量は、およそ72μg/cmからおよそ216μg/cm、又は72μg/cmから216μg/cmである。ある実施態様では、投与される有効量は、およそ216μg/cmからおよそ250μg/cm、又は216μg/cmから250μg/cmである。
有効量のVEGFの投与は、毎日、場合によっては週に2、3回、例えば、週に少なくとも2回、又は週に少なくとも3回、又は週に少なくとも4回、又は週に少なくとも5回、又は週に少なくとも6回であってもよい。一実施態様では、VEGFは、少なくとも6週間、又は6週間より長く、又は少なくともおよそ12週間、又は完全に創傷が閉鎖するまで(例えば、排液又は包帯の必要がない皮膚閉鎖により決定されうる)まで投与される。一実施態様では、VEGFは、1つの治療クールに20週間未満の間、投与される。
また、本発明の方法は、被検体群の創傷治癒を改善させる方法を含む。例えば、発明は、被検体群の創傷に有効量のVEGFが投与されることを含み、有効量のVEGFの投与により、コントロール群と比較して該群の創傷治癒が10%より多く(又は12%、又は14%、又は15%、又は17%、又は20%、又は25%、又は30%、又は33%、又は35%、又は40%、又は45%、又は50%より多い、又はそれ以上)改善される。例えば、コントロール群は、限定するものではないが、例えば、処置を受けていない被検体、又は治療量以下のVEGFを投与される被検体、又は他の創傷治療を受ける被検体、又は良好な創傷ケア(GWC)の有無にかかわらずプラセボが投与される被検体、又はGWCのみを適応される被検体が含まれる。一実施態様では、改善される創傷治癒は完全な創傷治癒によって評価される。本発明の特定の実施態様では、集団には創傷治癒の障害を有する被検体が含まれる。一実施態様では、集団は、例えば処置前の4週間以上の間、慢性創傷をもつ糖尿病患者である。
また、潰瘍の再発を低減するための方法が本発明によって提供される。例えば、この方法は潰瘍に有効量のVEGFが投与されることを含んでなり、潰瘍形成の発症がコントロールと比較してVEGF投与により低減する。例えば、コントロールには、限定するものではないが、例えば、処置を受けていない被検体、又は治療量以下のVEGFを投与される被検体、又は他の創傷治療を受ける被検体、又は良好な創傷ケア(GWC)の有無にかかわらずプラセボが投与される被検体、又はGWCのみを適応される被検体が含まれる。
(発明の詳細な説明)
定義
詳細に本発明を記述する前に、本発明が特定の組成物又は生物系に限定されるものではなく、当然のことながら変化しうることは理解されるであろう。また、本明細書において用いられる用語は実施態様のみを記述するためのものであって、限定するためのものでないことも理解されるであろう。本明細書中及び添付の特許請求の範囲に用いられる単数形「a」、「an」及び「the」には、明らかな記載がない限り複数形も含まれる。ゆえに、例えば、「分子」を指す言葉は、場合によって2以上の該分子の組み合わせなどを含む。
本明細書中で用いる「VEGF」(VEGF-Aとも称する)なる用語は血管内皮細胞増殖因子タンパク質を指す。本明細書中で用いる「ヒトVEGF」(ヒトVEGF-Aとも称する)なる用語は、Leung等, Science 246:1306 (1989)及びHouck等, Mol. Endocrin. 5:1806 (1991)の記載並びにこれら増殖因子の天然に生じる対立遺伝子型及びプロセシング型から、165アミノ酸のヒト血管内皮細胞増殖因子、及び関連した121、145、183、189及び206(及び他のアイソフォーム)のアミノ酸血管内皮細胞増殖因子を指す。
「天然配列」ポリペプチドは、天然由来の対応するポリペプチドと同一のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含んでなる。よって、天然配列ポリペプチドは任意の哺乳動物からの天然に生じるポリペプチドのアミノ酸配列を有し得る。このような天然配列ポリペプチドは、自然から単離することもできるし、あるいは組換え又は合成手段により生産することもできる。「天然配列」ポリペプチドという用語は特にポリペプチドの天然に生じる切断型又は分泌型(例えば細胞外ドメイン配列)、ポリペプチドの天然に生じる変異体型(例えば、選択的スプライシング型)及び天然に生じる対立遺伝子変異体を包含する。
ポリペプチド「変異体」は対応する天然配列ポリペプチドと少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性を有する生物学的に活性なポリペプチド又はその断片を意味する。そのような変異体には、例えば一又は複数のアミノ酸残基が、ポリペプチドのN末端及び/又はC末端に付加され、又は欠失されたポリペプチドが含まれる。通常は、変異体は天然配列ポリペプチドないしはその断片と少なくともおよそ80%のアミノ酸配列同一性、又は少なくともおよそ90%のアミノ酸配列同一性、又は少なくともおよそ95%のアミノ酸配列同一性を有する。類似体又は変異体は、天然のVEGFのアミノ酸配列、グリコシル化又は他の特徴が共有的にないしは非共有的に修飾されている分子として定義される。
本明細書中で用いる「VEGF変異体」なる用語は、上記の変異体及び/又は一又は複数のアミノ酸突然変異を天然のVEGF配列に含むVEGFを指す。場合によって、一又は複数のアミノ酸突然変異にはアミノ酸置換(一又は複数)が含まれる。本発明での使用のためのVEGF及びその変異体は当分野で公知の様々な方法によって調製されうる。VEGFのアミノ酸配列変異体はVEGF DNAの突然変異によって調製されうる。このような変異体には、VEGFのアミノ酸配列、例えば第5332671号;第5194596号;又は第5240848号に示される核酸によってコードされるヒトのアミノ酸配列内の残基の例えば欠失、挿入又は置換が含まれる。欠失、挿入及び置換の何かを組み合わせて、所望の活性、例えばVEGF活性を有する、例えば創傷治癒を促進する最終コンストラクトに達成してもよい。変異体をコードするDNA中に作製される突然変異は、リーディングフレーム外の配列におくべきでなく、好ましくは二次的mRNA構造を生産しうる相補的な領域を作製しないであろう。欧州特許第75444号A。VEGF変異体は、例えば細胞増殖アッセイによってVEGF活性について評価してもよい。例えば、細胞増殖アッセイには、インビトロ又はインビボで、未処理の細胞と比較して細胞の増殖及び/又は再生の程度の増加、又は処理した細胞の減少が含まれる。細胞培養物中の細胞増殖の増加は、対象とする分子への曝露の前後で細胞の数を計数することによって検出されうる。増殖の程度は、コンフルエンスの程度の顕微鏡検査によって定量化されうる。また、細胞増殖はチミジン取込みアッセイを用いて定量化されうる。
場合によって、VEGF変異体は、天然のVEGFをコードするDNAのヌクレオチド部位特異的突然変異誘発又はファージディスプレイ技術によって、変異体をコードするDNAを産生し、その後組換え細胞培養物中でDNAを発現することによって調整する。
アミノ酸配列変化を導入するための部位は予め決定されているが、突然変異自体は予め決定する必要はない。例えば、ある部位での突然変異のパフォーマンスを最適化するために、ランダムな突然変異誘発を標的コドン又は標的領域で行い、発現されたVEGF変異体を所望の活性の最適な組合せについてスクリーニングしてもよい。公知の配列を有するDNAの所定の部位に置換突然変異を作製する技術は、周知の、例えば部位特異的突然変異誘発である。本明細書中に記述されるVEGF変異体の調製は、PCT出願国際公開第00/63380号に記載のものなどのファージディスプレイ技術によって達成されうる。
このようなクローンが選択されたあと、変異したタンパク質領域は取り除かれ、タンパク質産生のために好適なベクター、一般に好適な宿主の形質転換に用いられうる種類の発現ベクターに組み込まれてもよい。
アミノ酸配列欠失は、一般に1〜30の残基、場合によって1〜10の残基、場合によって1〜5以下に変動し、一般的に隣接する。
アミノ酸配列の挿入には、1残基から基本的に制限しない長さのポリペプチドのアミノ末端及び/又はカルボキシル末端の融合、並びに単一又は複数のアミノ酸残基の配列内挿入が含まれる。配列内挿入(すなわち天然のVEGF配列内の挿入)は、一般的におよそ1〜10の残基、場合によって1〜5、又は場合によって1〜3に変動しうる。末端挿入の例は、組換え宿主からの分泌を促すためのN末端への、宿主細胞に異種性であるか相同的であるかにかかわらないシグナル配列の融合などである。
更なるVEGF変異体は、天然のVEGF内の少なくとも一のアミノ酸残基が取り除かれているもの及び、異なる残基がその位置に挿入されているものである。このような置換は、表1に示すものを考慮してなされうる。また、本明細書において記述されるように、VEGF変異体は非天然のアミノ酸を含んでなってもよい。
アミノ酸はその側鎖の性質の類似性に応じて分類される( Biochemistry, 第2版., pp. 73-75, Worth Publishers, New York (1975)中のA. L. Lehninger):
(1) 非極性:Ala (A), Val (V), Leu (L), Ile (I), Pro (P), Phe (F), Trp (W), Met (M)
(2) 荷電のない極性:Gly (G), Ser (S), Thr (T), Cys (C), Tyr (Y), Asn (N), Gln (Q)
(3) 酸性:Asp (D), Glu (E)
(4) 塩基性:Lys (K), Arg (R), His(H)
あるいは、天然に生じる残基は共通の側鎖性質に基づいてグループに分類してもよい。
(1) 疎水性:ノルロイシン、met、ala、val、leu、ile;
(2) 中性の親水性:cys、ser、thr、asn、gln;
(3) 酸性:asp、glu;
(4) 塩基性:his、lys、arg;
(5) 鎖配向に影響する残基:gly、pro;
(6) 芳香族:trp、tyr、phe。
表1
Figure 2008546707
「天然に生じるアミノ酸残基」(すなわち遺伝コードによってコードされるアミノ酸残基)は、アラニン(Ala);アルギニン(Arg);アスパラギン(Asn);アスパラギン酸(Asp);システイン(Cys);グルタミン(Gln);グルタミン酸(Glu);グリシン(Gly);ヒスチジン(His);イソロイシン(Ile):ロイシン(Leu);リジン(Lys);メチオニン(Met);フェニルアラニン(Phe);プロリン(Pro);セリン(Ser);スレオニン(Thr);トリプトファン(Trp);チロシン(Tyr);及び、バリン(Val)からなる群から選択されうる。「非天然に生じるアミノ酸残基」は、上記に挙げる天然に生じるアミノ酸残基以外の、ポリペプチド鎖内の隣接したアミノ酸残基(一又は複数)を共有結合することができる残基を指す。非天然に生じるアミノ酸残基の例には、例えば、ノルロイシン、オルニチン、ノルバリン、ホモセリン及び、例えば、Ellman等 Meth. Enzym. 202:301-336 (1991)及び米国公開特許第20030108885号及び同第20030082575号に記載されるものなどの他のアミノ酸残基類似体が含まれる。簡単に言うと、これらの手順は、RNAのインビトロ又はインビボの転写及び翻訳が続く非天然に生じるアミノ酸残基によるサプレッサーtRNAの活性化を伴う。例として、米国公開特許第20030108885号及び同第20030082575号;Noren等 Science 244:182 (1989);及び、上掲のEllman等を参照。
本明細書中の「パーセント(%)アミノ酸配列同一性」は、配列を整列させ、最大のパーセント配列同一性を得るために必要ならば間隙を導入し、如何なる保存的置換も配列同一性の一部と考えないとして、選択した配列のアミノ酸残基と同一である候補配列中のアミノ酸残基のパーセントとして定義される。パーセントアミノ酸配列同一性を決定する目的のためのアラインメントは、当業者の技量の範囲にある種々の方法、例えばBLAST、BLAST-2、ALIGN、ALIGIN-2又はMegalign(DNASTAR)ソフトウエアのような公に入手可能なコンピュータソフトウエアを使用することにより達成可能である。当業者であれば、比較される配列の完全長に対して最大のアラインメントを達成するために必要な任意のアルゴリズムを含む、アラインメントを測定するための適切なパラメータを決定することができる。しかし、ここでの目的のためには、%アミノ酸配列同一性値は、配列比較プログラムALIGN-2を使用することによって以下に記載のように得られる。ALIGN-2配列比較コンピュータプログラムはジェネンテク社によって作製され、米国著作権事務所, ワシントンD.C., 20559に使用者用書類とともに提出され、米国著作権登録番号TXU510087の下で登録され、ジェネンテク社、サウス サン フランシスコ, カリフォルニアから好適に入手可能である。ALIGN-2プログラムは、UNIXオペレーティングシステム、好ましくはデジタルUNIX V4.0Dでの使用のためにコンパイルされる。全ての配列比較パラメーターは、ALIGN-2プログラムによって設定され変動しない。
ここでの目的のために、与えられたアミノ酸配列Aの、与えられたアミノ酸配列Bとの、又はそれに対する%アミノ酸配列同一性(あるいは、与えられたアミノ酸配列Bと、又はそれに対して或る程度の%アミノ酸配列同一性を持つ又は含む与えられたアミノ酸配列Aと言うこともできる)は次のように計算される:
分率X/Yの100倍
ここで、Xは配列アラインメントプログラムALIGN-2のA及びBのアラインメントによって同一であると一致したスコアのアミノ酸残基の数であり、YはBの全アミノ酸残基数である。アミノ酸配列Aの長さがアミノ酸配列Bの長さと異なる場合、AのBに対する%アミノ酸配列同一性は、BのAに対する%アミノ酸配列同一性とは異なることは理解されるであろう。
本明細書中で用いる「VEGFレセプター」又は「VEGFR」なる用語は、VEGFの細胞レセプター、通常血管内皮細胞上に見られる細胞表面レセプター、並びにVEGFへの結合能を保持するその変異体を指す。
「VEGFRアゴニスト」なる用語は、VEGFレセプターを活性化しうるか又はその発現を増加しうる分子を指す。VEGFRアゴニストには、例えば、VEGFRのリガンドアゴニスト、VEGF変異体、抗体及び活性断片を含むが、これに限定されるものではない。VEGFはVEGFRアゴニストであるが、本明細書においては、別々に挙げて称する。「抗VEGFR抗体」は、十分な親和性及び特異性を持ってVEGFRと結合する抗体である。一実施態様では、本発明の抗VEGFRアゴニスト抗体を、創傷を治療する際の治療薬として用いることができる。他の実施態様では、VEGF変異体を、創傷を治療する際の治療薬として用いることができる。
「抗体」という用語は最も広義に使用され、モノクローナル抗体(完全長又は無傷のモノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、多価抗体、多重特異性抗体(例えば二重特異性抗体)、及びそれらが所望の生物活性を示す限り抗体断片も含む。
特に断らない限りは、「多価抗体」という表現は3又はそれ以上の抗原結合部位を含む抗体を指すために使用される。多価抗体は典型的には3又はそれ以上の抗原結合部位を持つように遺伝子操作されたもので、一般には天然配列IgM又はIgA抗体ではない。
「抗体断片」は、一般には無傷の抗体の抗原結合を含み、よって抗原に結合する能力を保持している無傷の抗体の一部のみを含む。本定義に包含される抗体断片の例には、(i)VL、CL、VH及びCH1ドメインを持つFab断片;(ii)CH1ドメインのC末端に一又は複数のシステイン残基を持つFab断片であるFab'断片;(iii)VH及びCH1ドメインを持つFd断片;(iv)CH1ドメインのC末端に一又は複数のシステイン残基とVH及びCH1ドメインを持つFd'断片;(v)抗体の単一アームのVL及びVHドメインを持つFv断片;(vi)VHドメインからなるdAb断片(Ward等, Nature 341, 544-546 (1989));(vii)単離されたCDR領域;(viii)ヒンジ領域がジスルフィド架橋によって結合された2つのFab'断片を含む二価断片であるF(ab')断片;(ix)単鎖抗体分子(例えば単鎖Fv;scFv)(Bird等, Science 242:423-426 (1988);及びHuston等, PNAS (USA) 85:5879-5883 (1988));(x)同一のポリペプチド鎖中で軽鎖可変ドメイン(VL)に結合した重鎖可変ドメイン(VH)を含む、2つの抗原結合部位を持つ「ダイアボディー(diabodies)」(例えば、欧州特許公報第404097号;国際公開第93/11161号;及びHollinger等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90:6444-6448 (1993)を参照);(xi)相補的軽鎖ポリペプチドと共に一対の抗原結合領域を形成する一対のタンデムFdセグメント(VH-CH1-VH-CH1)を含む「線形抗体」(Zapata等, Protein Eng. 8(10):1057-1062(1995);及び米国特許第5641870号)が含まれる。
ここで使用される「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体を意味する。すなわち、集団を構成する個々の抗体は、少量で存在しうる自然に生じる可能な突然変異を除いて同一である。モノクローナル抗体は高度に特異的であり、単一の抗原部位に対するものである。更に、異なる決定基(エピトープ)に対する異なる抗体を典型的には含むポリクローナル抗体調製物とは異なり、各モノクローナル抗体は抗原の単一の決定基に対するものである。「モノクローナル」との修飾語句は、抗体が何か特定の方法で生産しなければならないことを意味するものではない。例えば、本発明において使用されるモノクローナル抗体は、最初にKohler等, Nature, 256:495 (1975)に記載されたハイブリドーマ法によって作ることができ、あるいは組換えDNA法によって作ることができる(例えば米国特許第4816567号を参照のこと)。また「モノクローナル抗体」は、例えば、Clackson等, Nature, 352:624-628 (1991)又はMarks等, J. Mol. Biol. 222: 581-597 (1991)に記載された技術を用いてファージ抗体ライブラリーから単離することもできる。
ここに記載のモノクローナル抗体は、特に、重鎖及び/又は軽鎖の一部が、特定の種から由来するか、特定の抗体クラス又はサブクラスに属する抗体の対応する配列と同一か相同である一方、鎖の残りが、他の種から由来するか、他の抗体クラス又はサブクラスに属する抗体の対応する配列と同一か相同である「キメラ」抗体、並びにそれらが所望の生物活性を示す限りはそのような抗体の断片を含む(米国特許第4816567号;及びMorrison等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:6851-6855 (1984))。
非ヒト(例えばマウス)抗体の「ヒト化」型は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含むキメラ抗体である。大部分において、ヒト化抗体は、レシピエントの高頻度可変領域からの残基が、マウス、ラット、ウサギ又は所望の特異性、親和性及び能力を有する非ヒト霊長類のような非ヒト種の高頻度可変領域からの残基(ドナー抗体)によって置換されたヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。ある場合には、ヒト免疫グロブリンのフレームワーク領域(FR)残基は、対応する非ヒト残基によって置換される。更に、ヒト化抗体は、レシピエント抗体にも、もしくはドナー抗体にも見出されない残基を含んでいてもよい。これらの修飾は抗体の特性を更に洗練するために行われる。一般に、ヒト化抗体は、全てあるいは実質的に全ての高頻度可変ループが非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、全てあるいは実質的に全てのFRsがヒト免疫グロブリン配列のものである、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含む。ヒト化抗体は、場合によっては免疫グロブリン定常領域(Fc)、典型的にはヒト免疫グロブリンのものの少なくとも一部をまた含む。更なる詳細については、Jones等, Nature 321:522-525 (1986); Riechmann等, Nature 332:323-329 (1988);及びPresta, Curr. Op. Struct. Biol. 2:593-596 (1992)を参照のこと。
「ヒト抗体」は、ヒトによって生産される抗体のアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を有するもの、及び/又はここで開示されたヒト抗体を製造するための何れかの技術を使用して製造されたものである。ヒト抗体のこの定義は、特に非ヒト抗原結合残基を含んでなるヒト化抗体を除く。ヒト抗体は、当該分野で知られている様々な技術を使用することによって生産することが可能である。一実施態様では、ヒト抗体はファージライブラリーから選択され、ここでファージライブラリーがヒト抗体を発現する(Vaughan等, Nature Biotechnology 14:309-314 (1996):Sheets等, PNAS, (USA)95:6157-6162(1998);Hoogenboom及びWinter, J. Mol. Biol., 227:381 (1991);Marks等, J. Mol. Biol., 222:581 (1991))。また、ヒト抗体は、ヒト免疫グロブリン座位をトランスジェニック動物、例えば内在性免疫グロブリン遺伝子が部分的又は完全に不活性化されたマウス中に導入することにより産生することができる。暴露時に、遺伝子再構成、アセンブリ及び抗体レパートリーを含む、あらゆる点でヒトに見られるものと密接に類似しているヒト抗体の産生が観察される。このアプローチ法は、例えば米国特許第5545807号;第5545806号;第5569825号;第5625126号;第5633425号;第5661016号、及び次の科学文献:Marks等, Bio/Technology 10:779-783 (1992);Lonberg等, Nature 368: 856-859 (1994);Morrison等, Nature 368: 812-13 (1994);Fishwild等, Nature Biotechnology 14: 845-51 (1996);Neuberger, Nature Biotechnology 14:826 (1996); Lonberg及びHuszar, Intern. Rev. Immunol. 13:65-93 (1995)に記載されている。あるいは、ヒト抗体は、標的抗原に対して抗体を生産するヒトBリンパ球の不死化によって調製されてもよい(そのようなBリンパ球は、個体から回収されてもよいし、インビトロで免疫化されていてもよい)。例えば、Cole等, Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss. p.77(1985);Boerner等, J. Immunol., 147(1):86-95(1991);及び米国特許第5750373号を参照のこと。
糖尿病は、動物において炭水化物、脂肪及びタンパク質代謝に作用する慢性疾患である。糖尿病は、成人の盲目、腎機能不全及び下肢切断の主な原因であって、循環器疾患及び脳卒中の主要な危険因子である。
I型糖尿病(又は、インスリン依存性真正糖尿病(IDDM)又は若年発症性糖尿病)は、すべての糖尿病症例のおよそ10%を占める。本疾患は、膵臓のβ細胞によるインスリン分泌機能の進行性損失に特徴がある。また、この特徴は、膵臓疾患に原因がある特発性、又は「二次性」糖尿病にも存在する。I型糖尿病は、以下の臨床徴候ないしは症状、例えば持続的に上昇した血漿グルコース濃度又は高血糖;多尿症;多飲症及び/又は過食症;慢性微小血管性合併症、例えば網膜症、ネフロパシー及び神経障害;及び、大血管性合併症、例えば盲目、末期腎疾患、肢切断及び心筋梗塞を引き起こしうる高脂血症及び高血圧と関係している。
II型糖尿病(インスリン非依存性糖尿病又はNIDDM)は、糖代謝の調節不全及びインスリン感受性の障害を伴う代謝性疾患である。II型糖尿病は、通常成人期に発症し、身体が十分なインスリンを利用するか又は作ることができないことに関係している。標的組織において観察されるインスリン耐性に加えて、II型真正糖尿病を患う患者は相対的なインスリン欠乏を有する−つまり、患者のインスリンレベルは一定の血漿グルコース濃度に対して予測されるインスリンレベルより低い。II型糖尿病は、以下の臨床徴候ないしは症状、例えば持続的に上昇された血漿グルコース濃度又は高血糖;多尿症;多飲症及び/又は過食症;慢性微小血管性合併症、例えば網膜症、ネフロパシー及び神経障害;及び、大血管性合併症、例えば盲目、末期腎疾患、肢切断及び心筋梗塞を引き起こしうる高脂血症及び高血圧に特徴がある。
本発明のための「被検体」は任意の動物を指す。通常、動物は哺乳動物である。本発明のための「哺乳動物」は、ヒト、家畜及び農場動物を含む哺乳動物、及び動物園用動物、スポーツ用動物、又は愛玩動物、例えばイヌ、ウマ、ネコ、ウシ、ヒツジ、ブタなどに分類される任意の動物を指す。一般的に、哺乳動物はヒトである。
「創傷治癒を促進させる」又は「創傷治癒の促進」なる用語は、治癒の速度の増加、例えば、完全に創傷が閉鎖するまでの時間の減少、又は創傷領域の%減少が起こるまでの時間の減少を指す。
「有効量」又は「治療的有効量」なる用語は、被検体の創傷治癒を促進又は改善させるため、又は被検体の潰瘍の再発を予防するために有効な薬剤の量を指す。治療量は被検体に対して治療効果を表す用量であり、治療量以下の量は治療される被検体に対して治療効果を表さない用量である。
一又は複数の更なる治療剤「と組み合わせた」投与には、同時(同時的)及び/又はいずれかの順序での連続的な投与が含まれる。
「治療」は、治療的処置及び予防的ないしは予防処置の両方を指す。治療を必要とするものには、疾患を既に有するもの、並びに予防すべき疾患があるものが含まれる。
「創傷治癒」は、本発明の分子による治療から利益を得る症状を指す。
「慢性創傷」は、治癒しない創傷を指す。例として、Lazarus等, Definitions and guidelines for assessment of wounds and evaluation of healing, Arch. Dermatol. 130:489-93 (1994)を参照。慢性創傷には、例えば、動脈の潰瘍、糖尿病性潰瘍、褥瘡、静脈潰瘍などが含まれるが、これに限定されるものではない。急性創傷は慢性創傷に発達しうる。急性創傷には、例えば、熱障害、外傷、手術、広範囲な皮膚癌の切除、深在性真菌及び細菌の感染、血管炎、強皮症、ペンフィグス、中毒性上皮性表皮壊死症などによって生じる創傷が含まれるが、これに限定されるものではない。例として、Buford, Wound Healing and Pressure Sores, HealingWell.com, published on: October 24, 2001を参照。「通常の創傷」は、通常の創傷治癒修復を経る創傷を指す。
「良好な創傷ケア(GWC)は、創傷の治療工程を指す。例えば、良好な創傷ケアの実施には、以下の一又は複数、創面切除(例えば外科的/鋭利な、機械的、自己溶菌又は化学的/酵素的)、清掃(例えば、生理食塩水などにより慣例的な創傷洗浄)、包帯、圧力軽減(例えば、足への圧力負荷を除去する)、湿性の創傷環境の維持、及び/又は感染コントロール(例えば抗生軟膏又はピル)が含まれるが、これに限定されるものではない。場合によって、他の工程には、快適な、クッション性のあるはきもの、栄養指導、血液グルコースコントロールの維持、他の危険因子(例えば、体重、喫煙)の管理などを被検体に適応することが含まれる。GWCは、一又は複数の実施を含んでもよい。
「脈管内皮に作用する外傷」なる表現は、臓器の血管網を含む血管又は心臓への外傷、例えば創傷を指し、このとき、動物又はヒト、好ましくは哺乳動物及び最も好ましくはヒトを対象とする。このような外傷の例には、創傷、切開及び潰瘍、又は血管ないしは心臓の裂傷が含まれる。外傷には、血管内皮細胞増殖の促進によって改善されうる、体内現象並びに外用薬剤によって課される現象によって生じる症状が含まれる。
「血管新生因子又は薬剤」は、血管の発達を刺激する、例えば、血管新生、血管内皮細胞増殖、血管の安定化及び/又は脈管形成などを促進する増殖因子である。例えば、血管新生因子には、限定するものではないが、例としてVEGFおよびVEGFファミリーのメンバー、PlGF、PDGFファミリー、線維芽細胞増殖因子ファミリー(FGF)、TIEリガンド(アンギオポイエチン)、エフリン、ANGPTL3、ANGPTL4などが含まれる。また、成長ホルモン、インスリン様成長因子-I(IGF-I)、VIGF、上皮細胞増殖因子(EGF)、CTGF、及び、そのファミリーメンバー及びTGF-α及びTGF-βなどの因子が含まれる。例として、Klagsbrun及びD'Amore, Annu. Rev. Physiol., 53:217-39 (1991);Streit及びDetmar, Oncogene, 22:3172-3179 (2003);Ferrara & Alitalo, Nature Medicine 5(12): 1359-1364 (1999);Tonini等, Oncogene, 22:6549-6556 (2003)(例えば、表1は血管新生因子を挙げている);及び、Sato Int. J. Clin. Oncol., 8:200-206 (2003)を参照。
創傷治癒
創傷の治癒は、3つの主な段階:炎症、肉芽組織及び組織再構築を伴う複雑な過程である。創傷の部位では、例えば、遊走/収縮、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)産生、増殖及び血管新生などの多くの過程が生じている。創傷を治癒するためには、収縮(創傷の縮小)、上皮形成(新規な上皮細胞の作製)及び結合組織の沈着がある。Singer & Clark, Cutaneous Wound Healing N. Engl. J. Med., 341:738-46 (1999)を参照。創傷治療の最終目的の一つは肉芽形成マトリックスを促進することであり、これには十分な血液供給が必要である。しかしながら、疾患の状態と関係することが多い危険因子(例えば、年齢、感染、低栄養、免疫抑制、薬物、放射線、糖尿病、末梢血管疾患、全身性疾患、喫煙、ストレスなどを含むが、これに限定されるものではない)は、創傷治癒の課題となる。
糖尿病性足潰瘍のいくつかの危険因子の例には末梢性神経障害が含まれ、この障害は足の運動機能及び感覚機能、関節可動性の制限、足奇形、足圧の異常分布、反復性軽微外傷及び視力の障害に作用する。例としてBoyko等, A prospective study of risk factors for diabetic foot ulcer, The Seattle Diabetic Foot Study, Diabetes Care, 22:1036-42 (1999);及び、Apelqvist等, International consensus and practical guidelines on the management and the prevention of the diabetic foot, International Working Group on the Diabetic Foot., Diabetes Metab Res. Rev 16(1 Suppl): S84-S92 (2000)を参照。末梢性感覚神経障害は一次因子である。すべての糖尿病性潰瘍化のおよそ45%〜60%が神経障害であるのに対して、45%以下は神経障害と虚血性成分を有する。無感覚な足のために、患者は、例えば、歩行及び日常生活の活動の間にあまり合っていない履き物を履くことによって生じる足への反復性創傷を認知できない。神経障害は、歩行のバイオメカニクスが変わると、反復性の鈍麻な外傷が生じ、異常に高いストレスの分布により足が脆弱になり、カルス形成及び皮膚浸食に至る。一旦潰瘍が形成されると、治癒するのが遅いことが多く、拡大し続け、局所又は全身感染の機会を与え、治癒を促進するために包括的な薬物及び外科的ケアが必要となりうる。
また、創傷治癒を促進するためのタンパク質療法を創造する、例えば、糖尿病性足潰瘍などの慢性創傷の治癒を促進するための課題がある。創傷領域は、敵対的な環境(層を成した感染に伴って天然に産生されるタンパク質活性のインヒビターであるタンパク質分解酵素)であり、疾患状態(例えば糖尿病)では、宿主因子が変更されることが多い(例えば、糖尿病では、VEGF発現の抑制、低酸素症に対するVEGF応答の障害、細胞性代謝の変化、免疫/炎症性応答の抑制などがある)。例えば、インビトロの実験に基づいて、糖尿病(dB/dB)マウスのケラチン合成細胞及び線維芽細胞は、正常な組織修復に必須な細胞過程での選択的な障害を表し、dB/dB線維芽細胞は細胞遊走の減少と増殖因子の変化を有意に示す。例としてFrank等, Regulation of vascular endothelial growth factor expression in cultured keratinocytes, Implications for normal and impaired wound healing, J. Biol. Chem., 270:12607-13 (1995);及び、Lerman等, Cellular dysfunction in the diabetic fibroblast: impairment in migration, vascular endothelial growth factor production, and response to hypoxia, Am. J. Pathol., 162:303-12 (2003)を参照。
VEGF又はVEGFアゴニストの有効量を投与することによって、創傷治癒を促進及び/又は改善させるための方法を本明細書中において提供する。例えば、方法は、被検体の創傷に有効量のVEGFが投与されることを含んでなり、該有効量のVEGFの投与により創傷治癒が促進される。また、方法には、被検体群の創傷治癒を改善させる方法を含む。例えば、方法は、被検体群の創傷に有効量のVEGFが投与されることを含んでなり、有効量のVEGFの投与により、コントロール群と比較して該群の創傷治癒が10%より多く(又は12%、又は14%、又は15%、又は17%、又は20%、又は25%、又は30%、又は33%、又は35%、又は40%、又は45%、又は50%より多い、又はそれ以上)改善される。潰瘍の再発を低減するための方法もまた提供される。例えば、方法は、潰瘍に有効量のVEGFが投与されることを含んでなり、潰瘍再発の発症はコントロールと比較してVEGF投与により低減される。
また、方法は、治療を受けるか又は治療を受けたことがある患者に適応することができ、該治療は創傷治癒を遅らせるか効果がないものである。治療には、薬物治療、放射線、免疫系の抑制を引き起こす治療などが含まれるが、これに限定されるものでなくてもよい。場合によって、本発明の被検体には二次症状があり、該二次症状は創傷治癒を遅らせるか効果がないものである。二次症状には、例えば、糖尿病、末梢血管疾患、感染、自己免疫性又はコラーゲン血管障害、免疫系の抑制を引き起こす疾患状態などが含まれるが、これに限定されるものではない。
創傷治癒の促進は、創傷治癒の%促進率及び/又は有害比率によって表すことができる。ある実施態様では、有効量のVEGFの投与により、コントロールと比較して50%より大きく、又は60%以上、70%以上、74%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、100%以上、110%以上、又はそれ以上、創傷治癒が促進される。ある実施態様では、有効量のVEGFの投与により、コントロールと比較して60%より多く110%未満の創傷治癒が促進される。ある実施態様では、創傷治癒の促進は有害比率によって表され、この有害比率は1.75以上、又は1.8以上、又は1.85以上、又は1.95以上、又は2.0以上、又は2.1以上、又は2.2以上、又は2.3以上、又はそれ以上である。ある実施態様では、創傷治癒の促進は有害比率によって表され、それは1.75と2.3の間である。
本発明の被検体は少なくとも一の創傷を有する。創傷は、慢性、急性、通常の創傷であってもよい。一実施態様では、治療される創傷はステージ1A創傷である。表2の創傷のステージを参照のこと。本発明の創傷は、場合によって、感染又は虚血を含みうるか、又は感染と虚血の両方を含みうる。一実施態様では、創傷は糖尿病性足潰瘍である。一実施態様では、創傷は、VEGFの投与前のおよそ4週間以上、又はおよそ6週間以上の間、被検体に存在する。
表2
Figure 2008546707
例えば、創傷領域の%減少率の測定又は完全な創傷閉鎖(例えば、排液又は包帯を必要としない皮膚閉鎖により決定されうる)などの定量分析を用いて創傷を評価することができる。創傷領域は、当分野で公知の方法によって、治療前、治療中及び治療後に評価する。例えば、評価は、定量的平面幾何学(Robson等, Arch. Surg 135:773-77 (2000)を参照)、写真画像、物理的な試験などによって決定することができる。創傷領域は治療前、治療中及び治療後に評価することができる。一実施態様では、創傷領域は、創傷の端から端までの最長の長さ, L、例えばcmと、Lに対して垂直の端から端までの最長の幅, W、例えばcmを測定して、表面積(cm)を予測するためにL×Wを掛けて概算することができる。治療のための創傷のサイズは、変化しうる。本発明の一実施態様では、処置前の創傷領域は、およそ0.4cm以上、又はおよそ1.0cm以上、又はおよそ0.4cmとおよそ10cmの間、又はおよそ1cmとおよそ10cmの間、又はおよそ1cmとおよそ6.5cmの間、又はおよそ1.0cmとおよそ5.0cmの間、又は4.0cm以上である。領域は、創面切除の前又は後に測定されうる。
VEGF
有効量のVEGFは、創傷治癒の促進又は改善を促すために本明細書において提供される方法で投与される。VEGFがメンバーであるVEGF遺伝子ファミリーは、脈管系の発達の重要な調節因子のうちの一つである。VEGF遺伝子ファミリーには、VEGF-A、VEGF-B、VEGF-C、VEGF-D、VEGF-E及び胎盤増殖因子(PlGF)が含まれる。例として、Ferrara, Role of Vascular endothelial growth factor in physiologic and pathologic angiogenesis: therapeutic implications, Sem Oncol., 29(suppl 16): 10-14 (2002);及び、Veikkola and Alitalo, VEGFs receptors and angiogenesis Semin Cancer Biol. 9:211-220 (1999)を参照。VEGFとしても知られるVEGF-Aは、通常の創傷治癒及び骨治癒を含む正常な血管新生と異常な血管新生、例えば腫瘍及び眼科系疾患(例えば年齢関連性退化、糖尿病性網膜症)の血管性増殖の主な調節因子である。例えば、Ferrara, Vascular Endothelial Growth Factor: Basic Science and Clinical Progress, Endocrine Reviews 25(4): 581-611 (2004);Ferrara及びHenzel, Pituitary follicular cells secrete a novel heparin-binding growth factor specific for vascular endothelial cells, Biochem, Biophys Res Comm 161:851-58 (1989);及び、Leung等, Vascular endothelial growth factor is a secreted angiogenic mitogen, Science 246:1306-9 (1989)を参照。VEGFの代わりに、又はVEGFに加えて、VEGF活性を有するVEGF変異体及びVEGFレセプターのアゴニスト、例えばVEGFR1及び/又はVEGFR2アゴニストの使用も本発明の範囲内である。
ヒトVEGFは、第6染色体に位置するエキソン8に組織化される単一遺伝子のmRNAのオルタナティブスプライシングにより生じる少なくとも6のアイソフォーム(VEGF121、VEGF145、VEGF165、VEGF183、VEGF189及びVEGF206)として存在する(例として、Ferrara N, Davis Smyth T. Endocr Rev 18:1-22 (1997);及び、Henry and Abraham, Review of Preclinical and Clinical Results with Vascular Endothelial Growth Factors for Therapeutic Angiogenesis, Current Interventional Cardiology Reports, 2:228-241 (2000)を参照)。また、米国特許第5332671号及び同第6899882号も参照。一実施態様では、VEGF165は本発明の方法で投与される。一般的に、ヒトVEGF165が用いられる(例えば組換えヒトVEGF165)。最も多いアイソフォームであるVEGF165は、塩基性の、ヘパリン結合性の、45000ダルトン(Id)以下の分子質量を有する二量体共有結合性糖タンパク質である。VEGF165ホモ二量対は2つの165アミノ酸鎖からなる。このタンパク質は2つの異なったドメイン:レセプター結合ドメイン(残基1−110)とヘパリン結合ドメイン(残基110−165)を有する。ドメインは、7つの分子内ジスルフィド結合によって安定化され、単量体は2つの鎖間ジスルフィド結合によって連結され、天然の二量体を形成する。VEGF121はヘパリン結合ドメインを欠いているのに対して(例として米国特許第5194596号を参照)、VEGF189(例として米国特許第5008196号;同第5036003号;及び同第5240848号を参照)とVEGF206は、細胞外基質に隔離されている。例として、Ferrara VEGF and the quest for tumor angiogenesis factors, Nature Rev. Cancer 2:795-803 (2002)を参照。
VEGFの生体作用は、高親和性チロシンキナーゼレセプターにより媒介される。また、VEGFレセプターのアゴニストが本発明の方法で使われてもよい。2つのVEGFレセプターチロシンキナーゼであるVEGFR1とVEGFR2が同定されている(Shibuya等 Oncogene 5:519-24 (1990);Matthews等, Proc Natl Acad Sci U S A 88:9026-30 (1991);Terman等, Oncogene 6:1677-83 (1991);Terman等 Biochem Biophys Res Commun 187:1579-86 (1992);de Vries等, Science 255:989-91 (1992);Millauer等 Cell 72:835-46 (1993);及び、Quinn等 Proc Natl Acad Sci USA 90:7533-7 (1993))。VEGFR1は、VEGFに対して最も高い親和性を有しており、10以下〜20pMのKdを有し (de Vries等, Science 255:989-91 (1992))、VEGFR2はVEGFに対していくらか低い親和性を有し、75以下〜125pMのKdを有する(Terman等, Oncogene 6:1677-83 (1991);Millauer等 Cell 72:835-46 (1993);及び、Quinn等 Proc Natl Acad Sci USA 90:7533-7 (1993))。第三のチロシンキナーゼレセプターであるVEGFR3が同定されており、それはリンパの血管新生の調節機能に関与する。VEGFR3はVEGF-C及びVEGF-Dのレセプターであり、VEGFR2も結合しうる。これらのレセプターは、チロシンキナーゼ経路に関連した成分を含有する細胞外ドメイン(膜貫通領域である7つの免疫グロブリン様領域を含む)及び細胞内ドメインからなる。VEGF-B及びPlGFはVEGFR1に結合するがVEGFR2に結合しない。また、VEGF165は、神経細胞誘導を制御するレセプターをニューロピリン-1に結合する。VEGFR2と同時発現すると、ニューロピリン-1はVEGFR2へのVEGF165の結合とVEGF媒介性走化性を亢進する。他の研究は、ニューロピリン2(NP2)をリンパ管発達を関連づけた。例として、Ferrara, Vascular Endothelial Growth Factor: Basic Science and Clinical Progress, Endocrine Reviews, 254(4): 581-611を参照。VEGF-Aへの結合の後、VEGFR2は、その後の血管新生、血管透過性、有糸分裂誘発及び走化性の増加を引き起こすチロシン自己リン酸化を経ている。
VEGFは、いくつかの生物学的機能、低酸素条件下でのVEGF遺伝子発現の調節(Ferrara N, Davis Smyth T. Endocr Rev 18:1-22 (1997))、微小血管及び大血管性内皮細胞のための有糸分裂促進活性(Ferrara N, Henzel WJ. Biochem Biophys Res Commun 161:851-8 (1989);Leung等, Science 246:1306-9 (1989);Connolly等 J Clin Invest 84:1470-8 (1989a);Keck等 Science 246:1309-12 (1989);Plouet等, EMBO J 8:3801-6 (1989);Conn等 Proc Natl Acad Sci USA 87:2628-32 (1990);及び、Pepper等, Exp Cell Res 210:298-305 (1994))、及び、プラスミノーゲン活性化因子及びコラゲナーゼの発現の誘導(Pepper等, Biochem Biophys Res Commun 181:902-6 (1991))などを有する。低酸素の間、低酸素誘導性因子-1(HIP-1)は上方制御され、VEGF遺伝子のプロモーター領域と結合して、転写を活性化する(例として、Wang等, Hypoxia-inducible factor 1 is a basic-helix-loop-helix-PAS heterodimer regulated by cellular oxygen tension, PNAS USA 92:5510 (1995)を参照)。VEGFを上方制御しうる他のアゴニスには、サイトカイン(IL-6)及び他の増殖因子-誘導性EGF、PDGF、bFGFが含まれる。
VEGFは、様々な種類の固形腫瘍に加えて全身にわたる多種多様な通常の細胞型(例えばケラチン合成細胞、血小板、マクロファージ、線維芽細胞、網膜細胞、卵巣細胞)によって生産される。この数年にわたる研究により、正常及び異常な血管新生の調節機能における血管内皮増殖因子(VEGF)の重要な役割が証明されている(Ferrara等 Endocr. Rev. 18: 4-25 (1997))。VEGFは、通常の胎児脈管形成、心臓ミオサイト心筋細胞発達(例えばFerrara等, Heterozygous embryonic lethality induced by targeted inactivation of the VEGF gene, Nature 380:439-42 (1996)を参照)、通常の軟骨形成(例えばGerber等, VEGF couples hypertrophic cartilage remodeling, ossification, and angiogenesis during enchondral bone formation, Nat. Med, 5:623-28 (1999)を参照)、組織修復、及び雌の生殖管-卵胞成長において必須の増殖因子であり、黄体の内分泌機能は新規な毛細管の増殖に依存している(例としてPhillips等, Vascular endothelial growth factor is expressed in rat corpus luteum, Endocrinology, 127:965-67 (1990)を参照)。さらに、VEGFは、腫瘍及び眼内疾患(Ferrara等)に関与する血管新生の重要なメディエーターであることが示された。VEGF mRNAは調べた大多数のヒト腫瘍に過剰発現されている(Berkman等 J Clin Invest 91:153-159 (1993);Brown等 Human Pathol.. 26:86-91 (1995);Brown等 Cancer Res. 53: 4727-4735 (1993);Mattern等 Brit. J. Cancer. 73:931-934 (1996);及び、Dvorak等 Am J. Pathol. 146:1029-1039 (1995))。
また、動物モデルにおける血管性漏出(リーク)の誘導能に基づいて、VEGFは血管透過性因子として知られている。例として、Senger等, Tumor cells secrete a vascular permeability factor that promotes accumulation of ascites fluid, Science 219: 983-89 (1983)を参照。Senger及び共同研究者は、タンパク質への微小血管透過性の増加が血管新生の重要な工程であることを提唱した。例えば、血漿タンパク質の漏出の誘導及び細胞外フィブリンゲルの形成は、血管内皮細胞増殖のための十分な基質となりうる。有糸分裂促進増殖因子の役割は、この過程を高めることであるといえる。また、血管新生は、創傷治癒の間の肉芽組織形成の間に白血球、増殖因子及び酸素を移動させることが必要である。
創傷治癒において、VEGFは、皮膚創傷治癒の間での血管新生の誘導に重要な役割を果たす。真皮微小血管内皮細胞の強力な有糸分裂促進因子であって、創傷を治癒するケラチン合成細胞によって発現される(例としてNissen等, Vascular endothelial growth factor mediates angiogenic activity during the proliferative phase of wound healing, Am. J. Pathol., 152:1445-52 (1998);Corral等, Vascular endothelial growth factor is more important than basic fibroblast growth factor during ischemic wound healing, Arch Surg., 134:200-5 (1999);Frank等, Regulation of vascular endothelial growth factor expression in cultured keratinocytes, Implications for normal and impaired wound healing. J. Biol. Chem., 270:12607-13 (1995);Ballaun等, Human keratinocytes express the three major splice forms of vascular endothelial growth factor, J. Invest Dermatol., 104:7-10 (1995)を参照)。また、真皮微小血管にはパラ分泌様式で作用し、皮膚脈管質の増加及び肉芽基質形成を引き起こす。例として、上掲のCorral等;及び、Romano de Peppe,等, Adenovirus-mediated VEGF165 gene transfer enhances wound healing by promoting angiogenesis in CD1 diabetic mice, Gen Ther., 9:1271-7 (2002)を参照。例えば創傷治癒などの組織修復の欠損は、VEGFレベル及び他の血管新生因子が変わるときに見られる。例として、Howdieshell,等, Antibody neutralization of vascular endothelial growth factor inhibits wound granulation tissue formation, J. Surg. Res.96: 173-82 (2001);Street等, Vascular endothelial growth factor stimulates bone repair by promoting angiogenesis and bone turnover, PNAS USA, 99:9656-61 (2002);Tsou等, Retroviral delivery of dominant-negative vascular endothelial growth factor receptor type 3 to murine wounds inhibits wound angiogenesis, Wound Repair Regen., 10:222-9 (2002);Frank等, Regulation of vascular endothelial growth factor expression in cultured keratinocytes, Implications for normal and impaired wound healing. J. Biol. Chem., 270:12607-13 (1995);及び、Lerman等, Cellular dysfunction in the diabetic fibroblast: impairment in migration, vascular endothelial growth factor production, and response to hypoxia, Am. J. Pathol., 162:303-12 (2003)を参照。ある動物モデルでは、外因性VEGFは創傷治癒を促進した。例として、Galliano等, Topical Vascular Endothelial Growth Factor Accelerates Diabetic Wound Healing through increased angiogenesis and by Mobilizing and recruiting bone marrow-derived cells, American Journal of Pathology, 164 (6): 1935-1947 (2004);Romano de Peppe S等, Adenovirus-mediated VEGF165 gene transfer enhances wound healing by promoting angiogenesis in CD1 diabetic mice, Gen Ther 9:1271-7 (2002);及び、米国公開特許20030180259号を参照。
上述の通り、創傷治癒を促進するためのタンパク質療法を創造するためには課題がある。本明細書において本発明者等は、創傷治癒を促進する、VEGF組み換えタンパク質療法を用いた潰瘍治療の臨床試験を記載する。本明細書中の実施例1を参照。
付加的な薬剤
例えば、VEGF治療を、創傷治癒を促進及び/又は改善させる際に、VEGFの活性を上げるために、良好な創傷ケア治療(例えばGWC)、他の新規な治療又は従来の治療(例えばVEGFファミリーの他のメンバー、本明細書中に挙げるような増殖因子、神経成長因子(NGF)、ポジティブ血管新生誘導因子ないしは薬剤ないしは活性化因子、タンパク質同化ステロイド、生物工学によって作られた組織代替物(例えばApligraph(登録商標)、DermagraftTMなど)、高圧酸素療法、真空療法)の一又は複数と組み合わせることは、本明細書の範囲内である。例としてMeier and Nanney, Emerging New Drugs for Wound Repair, Expert Opin. Emerging Drugs (2006) 11(1): 23-37を参照。
6つの主要な増殖因子ファミリー(EGF、FGF、IGF、PDGF、TGF及びVEGF)は創傷治癒に関与している。例としてNagai and Embil, Becaplermin: recombinant platelet derived growth factor, a new treatment for healing diabetic foot ulcers, Exprt Opin Biol. Ther 2:211-18 (2002)を参照。このような増殖因子の例には、血小板由来増殖因子(PDGF-A、PDGF-B、PDGF-C及びPDGF-D)、インスリン様成長因子I及びII(IGF-I及びIGF-II)、酸性及び塩基性の線維芽細胞増殖因子(aFGF及びbFGF)、α及びβトランスフォーミング増殖因子(TGF-a及びTGF-b(例えば、TGF-β1、TGFβ2、TGFβ3))、上皮細胞増殖因子(EGF)などが含まれる。Idを参照。これらの増殖因子は、創傷治癒に関与する細胞の一又は複数の有糸分裂を刺激し、VEGFと組み合されうる。
VEGFと組合されうる他のポジティブ血管新生剤には、例えば、HGF、TNF-α、アンギオゲニン、IL-8など(Folkman等 J. Biol. Chem. 267:10931-10934 (1992);Klagsbrun等 Annu. Rev. Physiol. 53:217-239 (1991))、表3の血管新生活性化因子、本明細書に記載の血管新生誘導因子ないしは薬剤などが含まれるがこれらに限定するものではない。
表3 血管新生活性化因子の例
Figure 2008546707
さらに、以下の薬剤、例えば、血小板由来増殖因子(PDGF)(例えば、Becaplermin(rhPDGF-BB)、例えばRegranex R);Johnson & Johnson(例として米国特許第5457093号;同第5705485号;及び同第5427778号;Perry, BH等, A meta-analytic approach to an integrated summary of efficacy: a case study of becamplemin gel., Cont. Clin. Trials 23:389-408 (2002)を参照)、アデノシン-A2Aレセプターアゴニスト(例えば、MRE0094 (King Pharmaceuticals));ケラチン合成細胞増殖因子(KGF-2、repifermin (Human Genome Sciences));ラクトフェリン(LF) (Agennix, Inc.,);チモシンβ-4(Tb4(ReGeneRx Biopharmaceuticals));トロンビン由来の活性化レセプターペプチド(TP508;Chrysalin(登録商標)(Chrysalis Biotechnology, Inc.));アデノウイルスベクターコード化血小板由来増殖因子(PDGF-B)(GAM501) (Selective Genetics);自己由来の骨髄幹細胞(BMSC)(例としてBadiavas & Falanga, Treatment of chronic wounds with bone marrow-derived cells, Arch Dermatol, 139:510-16 (2003)を参照);及び、操作した生組織移植片(例えばApligrafなど)を、VEGF創傷治癒治療と組み合わせることができる。また、抗生物質及び防腐性の潰瘍薬剤もVEGF投与と結合されうる。また、VEGF投与は、免疫抑制性治療(例えば副腎皮質ステロイド、放射線療法、化学療法)又は癌治療とともに投与されてもよい。
このような同時治療剤がタンパク質性である場合に利便性があっても、該薬剤又は手順自体が本発明の組成物に含まれておく必要はない。このような混合物は、単独で用いられるVEGFと同じ方法、及び同じ目的のために最適に投与される。このような二次的治療因子に対するVEGFの有用なモル比は典型的には1:0.1〜10であり、本発明の一実施態様ではおよそ等量で用いられる。
用量及び投与
本発明の医薬組成物の用量と所望の薬剤濃度は、想定する特定の使用によって変化しうる。適切な用量の決定又は投与の手段は、十分に、通常の医師の技術の範囲内である。動物実験は、ヒトの治療のための有効量の決定について信頼性のある手引きとなる。有効量の異種間スケーリングは、Mordenti, J. and Chappell, W. The use of interspecies scaling in toxicokinetics In Toxicokinetics and New Drug Development, Yacobi等, Eds., Pergamon Press, New York 1989, pp. 42-96によって主張される原則に従って実施されうる。VEGFを投与された動物の創傷モデルについての用量-反応曲線の例を図2に示す。これはウサギの虚血性耳創傷に投与されるVEGFについての用量-反応曲線である。図3は、糖尿病マウス創傷に投与されるVEGFについての用量-反応曲線である。創傷の種類又は疾患の予防ないしは治療のために、VEGFの適切な用量は、治療する疾患の種類、上記に定義するように、疾患の重症度及び経過、該薬剤を予防目的で投与するか治療目的で投与するか、従来の治療法、患者の病歴及び薬剤への応答性、及び担当医師の判断に依存するであろう。VEGFは、治療される特定の疾患、個々の患者の状態、VEGFの運搬部位、投与の方法及び専門家に知られている他の因子を考慮して、良好な医療行為と一致した様式で製剤化され、投与されるであろう。
使用される用量は本明細書において記述される因子に依存する。本発明のある実施態様では、疾患の種類と重症度に応じて、およそ1μg/kgから50mg/kg(例えば、0.1〜20mg/kg)のVEGF及び/又は薬剤が、例えば一又は複数の別々の投与であろうと、あるいは連続注入によるものであろうと、患者への候補投与量である。特定の用量及び運搬の方法に関する手引きは文献に示される。一実施態様では、投与されるVEGFの有効量は、およそ20μg/cmからおよそ250μg/cmである。ある実施形態では、投与される有効量は、およそ24μg/cm又は24μg/cmである。ある実施形態では、投与される有効量は、およそ72μg/cm又は72μg/cmである。ある実施形態では、投与される有効量は、およそ216μg/cm又は216μg/cmである。一実施態様では、投与されるVEGFの有効量は、20μg/cmから250μg/cmである。ある実施態様では、投与される有効量は、およそ24μg/cmからおよそ216μg/cm、又は24μg/cmから216μg/cmである。ある実施態様では、投与される有効量は、およそ24μg/cmからおよそ72μg/cm、又は24μg/cmから72μg/cmである。ある実施態様では、投与される有効量は、およそ72μg/cmからおよそ216μg/cm、又は72μg/cmから216μg/cmである。ある実施態様では、投与される有効量は、およそ216μg/cmからおよそ250μg/cm、又は216μg/cmから250μg/cmである。薬剤は一連の治療又は一時的に被検体に好適に投与される。
数日又はそれ以上にわたって繰り返し投与するために、状態に応じて、疾患の症状が望ましく抑制されるまで、例えば創傷の完全な閉鎖又は創傷領域の減少が起こるまで、治療は維持される。しかしながら、他の投与計画が有用でもよい。典型的に、臨床医は、必要な生体作用が示される用量(一又は複数)に達するまで、本発明の分子(一又は複数)を投与するであろう。有効量のVEGFの投与は、毎日、又は場合によっては週に2、3回、例えば、週に少なくとも2回、又は週に少なくとも3回、又は週に少なくとも4回、又は週に少なくとも5回、又は週に少なくとも6回であってもよい。一実施態様では、VEGFは、少なくとも6週間、又は少なくともおよそ12週間、又は完全に創傷が閉鎖するまで(例えば、排液又は包帯の必要がない皮膚閉鎖により決定されうる)まで投与される。本発明のある態様では、VEGFは、20週間未満の間、投与される。本発明の治療の経過は、従来の技術及びアッセイによって容易にモニターされる。
本発明の治療組成物は、典型的に被検体に局所的に投与される。本発明の一実施態様では、VEGFは、例えば、予め充填された注射器又は容器の、局所用ゲルの製剤である。ある実施態様では、更なる治療薬もまた、局所的に投与される。また、場合によって、VEGF及び/又は更なる治療的薬剤の投与の他の手段を、例えば任意の適切な手段、例えば、限定するものではないが、非経口、皮下、腹膜内、肺内、脳脊髄内、皮下、関節内、滑液包内、髄膜下、経口、及び鼻腔内の投与によって投与されうる。非経口注入には、筋肉内、静脈内、動脈内、腹膜内、又は皮下投与が含まれる。
本明細書において記述されるように、VEGFは一又は複数の更なる治療薬ないしは手順と組み合わされてもよい。併用投与には、同時投与、異なる製剤又は単一の製薬的製剤を用いたもの及び何れかの順序での連続的な投与が含まれる。複数の薬剤の使用もまた、本発明に包含される。例えば、VEGFは、付加的な治療剤の投与の前、後、又は替えて投与されうるか、又は、これらと同時に投与されてもよい。一実施態様では、両方(又は、すべて)の活性薬剤が同時にそれらの生物活性を発揮する期間がある。併用療法投薬計画において、本発明の組成物は、治療的に有効な量又は治療的に相乗的な量で投与される。本明細書中で用いるように、治療的有効量は、VEGF及び一又は複数の他の治療薬の同時投与、ないしは手順の投与により標的の疾患又は症状が低減ないしは抑制される量である。例えば、治療的に相乗的な量は、VEGF及び一又は複数の他の治療薬、例えば本明細書中に記載のものの、相乗的又は有意に創傷治癒を促進及び/又は改善させるために必要な量である。
製薬的組成物
本明細書中で用いられる、本発明の分子、例えばVEGFないしはVEGFと組み合わされる付加的な治療薬剤の治療製剤は、任意の薬学的に許容可能な担体、賦形剤又は安定剤と所望の純度を有する分子、例えばポリペプチドを混合することによって(Remington's Pharmaceutical Sciences, 16版, Osol,A編 [1980])、凍結乾燥製剤又は水溶液の形態で保存用に調製される。典型的には、適当量の製薬的に許容可能な塩が製剤を等張にするために担体中に使用される。許容できる担体、賦形剤又は安定剤は、用いる投与量及び濃度では細胞に対して無毒性であり、リン酸、クエン酸及び他の有機酸等の緩衝液;アスコルビン酸及びメチオニンを含む抗酸化剤;防腐剤(例えば、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチル又はベンジルアルコール;アルキルパラベン類、例えばメチル又はプロピルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;及びm-クレゾール);低分子量(残基数10個未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン又は免疫グロブリン等のタンパク質;ポリビニルピロリドン等の親水性重合体;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、又はリシン等のアミノ酸;グルコース、マンノース又はデキストリン等の単糖類、二糖類及び他の炭水化物;EDTA等のキレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロース又はソルビトール等の糖類、ナトリウム等の塩形成対イオン;金属錯体(例えばZn-タンパク質錯体);及び/又はTWEENTM、PLURONICSTM又はポリエチレングリコール(PEG)等の非イオン性界面活性剤を含む。好適な凍結乾燥抗VEGF抗体製剤は、出典明示によりここに取り込まれる国際公開第97/04801号に記載されている。
ある実施態様では、インビボ投与のために使用される製剤は無菌である。これは滅菌濾過膜による濾過によって達成される。VEGFは、凍結乾燥された形態、又は、水溶液又はゲル形態で保存されうる。より高い又はより低いpH値でも好適な場合があるが、VEGF調製物のpHはおよそ5〜9まででありうる。賦形剤、担体、又は安定剤の使用によりVEGFの塩類が形成されうることは理解されるであろう。
また活性成分は、例えばコアセルベーション法又は界面重合により調製されたマイクロカプセル、例えばそれぞれヒドロキシメチルセルロース又はゼラチン-マイクロカプセル及びポリ-(メチルメタクリレート)マイクロカプセルに、コロイド状薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミンミクロスフィア、マイクロエマルション、ナノ粒子及びナノカプセル)又はマクロエマルションに捕捉することができる。このような技術はRemington's Pharmaceutical Sciences, 16版, Oslo,A.編(1980)に開示されている。また、Johnson等, Nat. Med., 2:795-799 (1996);Yasuda, Biomed. Ther., 27:1221-1223 (1993);Hora等, Bio/Technology, 8:755-758 (1990);Cleland, Design and Production of Single Immunization Vaccines Using Polylactide Polyglycolide Microsphere Systems, in Vaccine Design: The Subunit and Adjuvant Approach, Powell and Newman, eds, (Plenum Press: New York, 1995), pp. 439-462;国際公開第97/03692号、国際公開第96/40072号、国際公開第96/07399号;及び、米国特許第5654010号を参照。
典型的に創傷治癒のために、VEGFは部位特異的運搬用に調製される。局所に適応される場合、VEGFは担体及び/又はアジュバントなどの他の成分と適切に組み合わされる。前記の他の成分の性質に制限はないが、ただし意図する投与のために効果的かつ薬学的に受容可能でなければならず、組成物の活性成分の活性を分解することができないものである。精製されたコラーゲンの有無にかかわらず、適切な溶媒の例には、軟膏、クリーム、ゲル、噴霧又は懸濁液が含まれる。また、組成物は、場合によって液体又は半流動体形態で、滅菌包帯、経皮パッチ、絆創膏及び包帯にしみ込ませてもよい。また、酸化再生セルロース/コラーゲンマトリクス、例えば、PromogranTM Matrix創傷ドレッシング又はPromogran Prisma MatrixTMを使用することができる。
徐放性調製物を調製してもよい。徐放性調製物の適切な例には、本発明のポリペプチドを含む固体疎水性重合体の半透性マトリックスが含まれ、このマトリックスはフィルム又はマイクロカプセル等の成形品の形態である。徐放性マトリックスの例には、ポリエステル、ヒドロゲル(例えばポリ(2-ヒドロキシエチル-メタクリレート)、又はポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド(米国特許第3773919号)、L-グルタミン酸とγ-エチル-L-グルタマートのコポリマー、非分解性エチレン-酢酸ビニル、分解性の乳酸-グリコール酸コポリマー、例えばLUPRON DEPOTTM(乳酸-グリコール酸コポリマー及び酢酸ロイプロリドからなる注入可能なミクロスフィア)、ポリ-乳酸-コグリコール酸(PLGA)ポリマー、及びポリ-D-(-)-3-ヒドロキシ酪酸が含まれる。エチレン-酢酸ビニルや乳酸-グリコール酸等のポリマーは100日以上分子を放出できるが、特定のヒドロゲルはより短い時間タンパク質を放出する。封入された抗体は体内に長い間残る場合、37℃での水分に暴露される結果、変性し又は凝集して、生物活性を消失させ、免疫原性を変化させる可能性がある。関与する機構に応じて安定化のための合理的な方策を案出することができる。例えば、関連するメカニズムに応じて安定性を得るための合理的な処置が案出できる。例えば、凝集機構がチオ-ジスルフィド交換による分子間S-S結合の形成であることが分かったら、スルフヒドリル残基を改変し、酸性溶液から凍結乾燥し、水分量を調整し、適当な添加物を使用し、特定の重合体マトリックス組成物を開発することで、安定化を達成することができる。
ゲル製剤を得るため、液体組成物に調製されるVEGFは、有効量の水溶性多糖類又は合成ポリマー、例としてポリエチレングリコールと混合して、適切な粘性のゲルを形成して、局所に適応してもよい。使われうる多糖類には、例えば、エーテル化したセルロース誘導体などのセルロース誘導体、例えば、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、及びアルキルヒドロキシアルキルセルロース、例えばメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロース;澱粉及び分画された澱粉;寒天;アルギン酸及びアルギナート;アラビアゴム;プルラン;アガロース;カラギーナン;デキストラン;デキストリン;フルクタン;イヌリン;マンナン;キシラン;アラビナン;キトサン;グリコーゲン;グルカン;及び、合成バイオポリマー;並びに、キサンタンガムなどのガム;ガーゴム;ローカストビーンガム;アラビアゴム;トラガカントゴム;及び、インドゴム;及び、その誘導体及び混合物が含まれる。本発明の一実施態様では、本明細書中のゲル化剤は、例えば、生物系に不活性、非中毒性、調製がしやすく、及び/又はあまり流れやすくないか粘性がなくて、その中に含まれるVEGFを不安定にしないものである。
本発明のある実施態様では、多糖は、エーテル化されたセルロース誘導体であって、他の実施態様では、十分に限定され、精製され、USPに列挙されるもの、例えばメチルセルロース及びヒドロキシアルキルセルロース誘導体、例として、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースである。一実施態様では、メチルセルロースが多糖である。
ゲル化のために有用なポリエチレングリコールは、一般的に、適当な粘性を得るために低分子量及び高分子量ポリエチレングリコールの混合物である。この目的のために、例えば、分子量400〜600のポリエチレングリコールと分子量1500の1つのポリエチレングリコールとの混合物は、ペーストを得るために適切な比率で混合される場合に有効である。
多糖類及びポリエチレングリコールに用いる「水溶性」なる用語はコロイド溶液及び分散液を含むことを意味する。通常、セルロース誘導体の溶解性はエーテル基の置換の程度で決定され、本明細書において有用な安定化誘導体は誘導体を水溶性にするためにセルロース鎖のアンヒドログルコース単位当たりの該エーテル基を十分な量有しなければならない。一般的に、アンヒドログルコース単位当たり少なくとも0.35のエーテル基のエーテル置換の程度が十分である。さらに、セルロース誘導体は、アルカリ金属塩、例えばLi、Na、K又はCs塩類の形態であってもよい。
メチルセルロースがゲルに使用される場合、例えば、ゲルのおよそ2〜5%、又はおよそ3%、又はおよそ4%、又はおよそ5%を含んでなり、VEGFはゲルの1ml当たりおよそ100〜2000μgの量で存在する。
また、VEGF及び/又は付加的な薬剤は、遺伝子治療によって創傷に投与されてもよい。遺伝子治療は、被検体への核酸の投与によって行われる治療を指す。遺伝子治療適用において、例えば欠損した遺伝子の置換のために、遺伝子を細胞に導入して、治療的に有効な遺伝子産物のインビボ合成を達成する。「遺伝子治療」には、永続的な効果が単一の治療によって達成される従来の遺伝子治療と遺伝子治療薬の投与の両方が含まれ、治療的に有効なDNA又はmRNAの1回の投与又は繰り返し投与を伴う。オリゴヌクレオチドは、例えば負に荷電するホスホジエステル基を非荷電基に置換することによって修飾して、それらの取り込みを上げることができる。遺伝子治療の方法の一般的な概念については、例として、Goldspiel等 Clinical Pharmacy 12:488-505 (1993);Wu and Wu Biotherapy 3:87-95 (1991);Tolstoshev Ann. Rev. Pharmacol. Toxicol. 32:573-596 (1993);Mulligan Science 260:926-932 (1993);Morgan and Anderson Ann. Rev. Biochem. 62:191-217 (1993);及び、May TIBTECH 11:155-215 (1993)を参照。用いられうる組換えDNA技術の当分野で公知の共通の方法は、Ausubel等 eds. (1993) Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, NY; and Kriegler (1990) Gene Transfer and Expression, A Laboratory Manual, Stockton Press, NYに記述される。
核酸を生細胞に導入するために利用可能な様々な技術がある。技術は、核酸がインビトロ又はインビボで意図した宿主の細胞の培養細胞にトランスファーされるかどうかによって異なる。インビトロでの哺乳動物細胞への核酸のトランスファーに好適な技術には、リポソーム、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、細胞融合、DEAE-デキストラン、リン酸カルシウム沈殿法などが含まれる。一般に好適なインビボ遺伝子導入技術には、ウイルス(一般的にレトロウイルス)ベクターによる形質移入及び、ウイルスコートタンパク質-リポソーム媒介性形質移入が含まれる(Dzau等, Trends in Biotechnology 11, 205-210 (1993))。例えば、インビボ核酸導入技術には、ウイルスベクター(例えばアデノウイルス、単純ヘルペスIウイルス、レンチウイルス、レトロウイルス又は、アデノ関連ウイルス)及び脂質ベースのシステム(遺伝子の脂質媒介トランスファーに有用な脂質は、例えばDOTMA、DOPE及びDC-Cholである)が含まれる。遺伝子治療にウイルスベクターを使用する例は、Clowes等 J. Clin. Invest. 93:644-651 (1994);Kiem等 Blood 83:1467-1473 (1994);Salmons and Gunzberg Human Gene Therapy 4:129-141 (1993);Grossman and Wilson Curr. Opin. in Genetics and Devel. 3:110-114 (1993);Bout等 Human Gene Therapy 5:3 -10 (1994);Rosenfeld等 Science 252:431-434 (1991);Rosenfeld等 Cell 68:143-155 (1992);Mastrangeli等 J. Clin. Invest. 91:225-234 (1993);及び、Walsh等 Proc. Soc. Exp. Biol. Med. 204: 289-300 (1993)に見られる。
ある場合では、創傷の細胞を標的とする薬剤、例えば細胞表面膜タンパク質又は標的細胞に特異的な抗体、標的細胞上のレセプターのリガンドなどを核酸供給源に供給することが望ましい。リポソームが使用される場合、エンドサイトーシスに関与する細胞表面膜タンパク質と結合するタンパク質は、例えばある種類の細胞に向性があるキャプシドタンパク質又はその断片、細胞周期への内部移行を行うタンパク質に対する抗体、細胞内局在化を標的とし、細胞内半減期を亢進するタンパク質のターゲティングのため及び/又はこれらの取り込みを容易にするために用いられうる。レセプター媒介性エンドサイトーシスの技術は、例えば、Wu等, J. Biol. Chem. 262, 4429-4432 (1987);及び、Wagner等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87, 3410-3414 (1990)に記載される。遺伝子マーキング及び遺伝子治療プロトコール野概要については、Anderson等, Science 256, 808-813 (1992)を参照のこと。
本発明のポリペプチドに対する共有的修飾
本発明のポリペプチド、例えばVEGFやVEGFと組み合わせる他の付加的な治療用ポリペプチド薬剤の共有結合による修飾は本発明の範囲内に包含される。それらは、適当であれば、化学合成により、又は抗体の酵素的又はポリペプチドの化学的切断によりなされうる。他の種類のポリペプチドの共有的修飾は、選択される側鎖又はN末端ないしはC末端残基と反応可能な有機誘導体化剤とポリペプチドの標的とするアミノ酸残基を反応させることによって、又は、修飾アミノ酸ないしは非天然のアミノ酸を発達するポリペプチド鎖に組み込むことによって、分子内に導入される。例えばEllman等 Meth. Enzym. 202:301-336 (1991);Noren等 Science 244:182 (1989);及び、米国公開特許第20030108885号及び同第20030082575号。
最も一般的には、システイニル残基は、α-ハロアセタート(及び対応するアミン)、例えば、クロロ酢酸又はクロロアセトアミドと反応し、カルボキシメチル又はカルボキシアミドメチル誘導体を生じる。システイン残基もまたブロモトリフルオロアセトン;α-ブロモ-β-(5-イミドゾイル)プロピオン酸;クロロアセチルホスフェート;N-アルキルマレイミド類;3-ニトロ-2-ピリジルジスルフィド;メチル-2-ピリジルジスルフィド;p-クロロ水銀安息香酸;2-クロロ水銀-4-ニトロフェノール;又はクロロ-7-ニトロベンゾ-2-オキサ-1,3-ジアゾールとの反応によって誘導体化される。
ヒスチジル残基は、pH5.5−7.0でジエチルピロカルボナートとの反応によって誘導体化されるが、この薬剤はヒスチジル側鎖に対して比較的特異的である。パラ-ブロモフェナシルブロミドもまた有用である;この反応は、典型的にはpH6.0で0.1Mのカコジル酸ナトリウム中で行われる。
リジニル及びアミノ末端残基はコハク酸又は他のカルボン酸無水物と反応させられる。これらの試薬を用いた誘導体形成は、リシニル残基の電荷を逆転させる効果を有する。α-アミノ含有残基を誘導体化する他の適当な試薬には、イミドエステル、例えば、メチルピコリンイミデート、リン酸ピリドキサル、ピリドキサル、クロロボロヒドリド、トリニトロベンゼンスルホン酸、O-メチルイソ尿素、2,4-ペンタンジオン、及びグリオキシレートを用いたトランスアミナーゼにより触媒される反応である。
アルギニル残基は一あるいは幾つかの従来の試薬との反応によって修飾され、とりわけ、フェニルグリオキサール、2,3-ブタンジオン、1,2-シクロヘキサンジオン及びニンヒドリンがある。アルジニン残基の誘導体化は、グアニジン官能基の高いpKのために反応がアルカリ性条件下で行われることを必要とする。更に、これらの試薬はリジンの基並びにアルギニンε-アミノ基と反応しうる。
チロシル残基の特異的修飾は、芳香族ジアゾニウム化合物又はテトラニトロメタンとの反応によるチロシル残基内へのスペクトル標識の導入に特に興味をもって、なされる。最も一般的には、N-アセチルイミジゾールとテトラニトロメタンを使用して、それぞれがO-アセチルチロシル種と3-ニトロ誘導体を形成する。チロシル残基はラジオイムノアッセイでの使用のための標識化タンパク質を調製するために125I又は131Iを用いてヨウ素化される。
カルボキシル側基(アスパルチル又はグルタミル)がカルボジイミド(R-N=C=N-R')(ここで、RとR'は異なったアルキル基である)、例えば、1-シクロヘキシル-3-(2-モルホリニル-4-エチル)カルボジイミド又は1-エチル-3-(4-アゾニア-4,4-ジメチルペンチル)カルボジイミドとの反応によって選択的に修飾される。更に、アスパルチル及びグルタミル残基は、アンモニウムイオンとの反応によってアスパラギニル及びグルタミニル残基へ変換される。
グルタミニル及びアスパラギニル残基は、それぞれ対応するグルタミル及びアスパルチル残基へしばしば脱アミド化される。これらの残基は中性又は塩基性条件下で脱アミド化される。これらの残基の脱アミド化形態は本発明の範囲内に入る。
その他の修飾には、プロリンとリジンのヒドロキシル化、セリル又はスレオニル残基のヒドロキシル基のリン酸化、リジン、アルギニン、及びヒスチジン側鎖のα-アミノ基のメチル化(T.E. Creighton, Proteins: Structure and Molecular Properties, W.H. Freeman & Co., San Francisco, 79-86頁 (1983))、N末端アミンのアセチル化、及び任意のC末端カルボキシル基のアミド化が含まれる。
他のタイプの共有的修飾は本発明のポリペプチドに対してグリコシドを化学的又は酵素的にカップリングさせることを含む。これらの手順は、それらがN-又はO-結合グリコシル化のためのグリコシル化能を有する宿主細胞中でのポリペプチドの生産を必要としない点で有利である。用いられるカップリング態様に応じて、糖(類)は、(a)アルギニンとヒスチジンに、(b)遊離のカルボキシル基に、(c)遊離のスルフヒドリル基、例えばシステインのものに、(d)セリン、スレオニン又はヒドロキシプロリンのもののような遊離のヒドロキシル基に、(e)フェニルアラニン、チロシン又はトリプトファンのような芳香族残基、又は(f)グルタミンのアミド基に結合させることができる。これらの方法は1987年9月11日公開の国際公開第87/05330号並びにAplin及びWriston, CRC Crit. Rev. Biochem., 259-306頁 (1981)に記載されている。
本発明のポリペプチドに存在するあらゆる炭水化物部分の除去は、化学的又は酵素的になすことができる。化学的脱グリコシル化には、ポリペプチドを化合物トリフルオロメタンスルホン酸、又は等価化合物に暴露することを必要とする。この処理により、ポリペプチドをインタクトなままにしながら、結合糖(N-アセチルグルコサミン又はN-アセチルガラクトサミン)を除く殆どの又は全ての糖の切断が生じる。化学的脱グリコシル化は、Hakimuddin等, Arch. Biochem. Biophys., 259:52 (1987)により、及びEdge等, Anal. Biochem., 118: 131 (1981)により記載されている。例えば抗体上の炭水化物部分の酵素的切断は、Thotakura等, Meth. Enzymol. 138:350 (1987)に記載されているように、種々のエンド及びエキソグリコシダーゼを用いることにより達成できる。
本発明のポリペプチドの共有結合的修飾の他のタイプは、ポリペプチドを、種々の非タンパク質様ポリマーの一つ、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、又はポリオキシアルキレンへ、米国特許第4640835号;第4496689号;第4301144号;第4670417号;第4791192号又は第4179337号に記載された方法で結合させることを含む。
ベクター、宿主細胞及び組換え法
本発明のポリペプチドは直ぐに得られる技術と材料を使用して組換え的に製造することができる。
本発明のポリペプチド、例えばVEGFやVEGFと組み合わせる他の付加的な治療用ポリペプチド薬剤の組換え生産のために、それをコードする核酸が単離され、更なるクローニング(DNAの増幅)又は発現のために、複製可能なベクター内に挿入される。多くのベクターが入手可能である。ベクター成分としては、一般に、これらに制限されるものではないが、次のものの一又は複数が含まれる:コントロール配列、シグナル配列、複製開始点、一又は複数のマーカー遺伝子、エンハンサーエレメント、プロモーター、及び転写終結配列である。
「コントロール配列」という表現は、特定の宿主生物において作用可能に結合されたコード配列を発現するために必要なDNA配列を指す。例えば原核生物に好適なコントロール配列は、プロモーター、場合によってはオペレータ配列、及びリボソーム結合部位を含む。真核生物の細胞は、プロモーター、ポリアデニル化シグナル及びエンハンサーを利用することが知られている。
核酸は、他の核酸配列と機能的な関係に配されるときに「作用可能に結合され」ている。例えば、プレ配列あるいは分泌リーダーのDNAは、ポリペプチドの分泌に寄与するプレタンパク質として発現されているならそのポリペプチドのDNAに作用可能に結合されている;プロモーター又はエンハンサーは、配列の転写に影響を及ぼすならばコード配列に作用可能に結合されている;又はリボソーム結合部位は、もしそれが翻訳を容易にするような位置にあるならコード配列と作用可能に結合されている。一般的に、「作用可能に結合される」とは、結合されたDNA配列が近接しており、分泌リーダーの場合には近接していて読みフェーズにあることを意味する。しかし、エンハンサーは必ずしも近接しているわけではない。結合は簡便な制限部位でのライゲーションにより達成される。そのような部位が存在しない場合は、通常の手法にしたがって、合成オリゴヌクレオチドアダプターあるいはリンカーが使用される。
本発明のポリペプチドをコードするDNAは、従来の手順を用いて容易に単離して及び/又は配列決定される。例えば、VEGFをコードするDNAは、例えば、VEGFをコードする遺伝子に特異的に結合可能であるオリゴヌクレオチドプローブを用いて単離し、配列決定される。「単離された」核酸分子は、同定され、ポリペプチド核酸の天然供給源に通常付随している少なくとも一つの汚染核酸分子から分離された核酸分子である。単離された核酸分子は、天然に見出される形態あるいは設定以外のものである。故に、単離された核酸分子は、天然の細胞中に存在する核酸分子とは区別される。しかし、単離された核酸分子には、例えば、核酸分子が天然の細胞のものとは異なった染色体位置にある核酸を通常発現する細胞に含まれる核酸分子が含まれる。
シグナル配列成分
本発明のポリペプチドは直接的に組換え手法によって生産されるだけではなく、典型的にはシグナル配列あるいは成熟タンパク質あるいはポリペプチドのN末端に特異的切断部位を有する他のポリペプチドである異種性ポリペプチドとの融合ポリペプチドとしても産生される。典型的に選択された異種シグナル配列は宿主細胞によって認識され加工される(すなわち、シグナルペプチダーゼによって切断される)ものである。天然ポリペプチドシグナル配列を認識せずプロセシングしない原核生物宿主細胞に対しては、シグナル配列は、例えばアルカリホスファターゼ、ペニシリナーゼ、lppあるいは熱安定なエンテロトキシンIIリーダーの群から選択される原核生物シグナル配列により置換される。酵母の分泌に関しては、天然シグナル配列は、例えば酵母インベルターゼリーダー、α因子リーダー(酵母菌属(Saccharomyces)及びクルイベロマイシス(Kluyveromyces)α因子リーダーを含む)、又は酸ホスフォターゼリーダー、白体(C.albicans)グルコアミラーゼリーダー、又は国際公開第90/13646号に記載されているシグナルにより置換されうる。哺乳動物細胞の発現においては、哺乳動物のシグナル配列並びにウイルス分泌リーダー、例えば単純ヘルペスgDシグナルが利用できる。
このような前駆体領域のDNAは、本発明のポリペプチドをコードするDNAに読み枠を一致させて結合される。
複製開始点成分
発現及びクローニングベクターは共に一又は複数の選択された宿主細胞においてベクターの複製を可能にする核酸配列を含む。一般に、この配列はクローニングベクターにおいて、宿主染色体DNAとは独立にベクターが複製することを可能にするものであり、複製開始点又は自律的複製配列を含む。そのような配列は様々な細菌、酵母及びウイルスに対してよく知られている。プラスミドpBR322に由来する複製開始点は大部分のグラム陰性細菌に好適であり、2μプラスミド開始点は酵母に適しており、様々なウイルス開始点(SV40、ポリオーマ、アデノウイルス、VSV又はBPV)は哺乳動物細胞におけるクローニングベクターに有用である。一般には、哺乳動物の発現ベクターには複製開始点成分は不要である(SV40開始点が典型的には初期プロモーターを有しているため用いられる)。
選択遺伝子成分
発現及びクローニングベクターは、選択可能マーカーとも称される選択遺伝子を含みうる。典型的な選択遺伝子は、(a)アンピシリン、ネオマイシン、メトトレキセートあるいはテトラサイクリンのような抗生物質あるいは他の毒素に耐性を与え、(b)栄養要求性欠陥を補い、又は(c)例えばバシラス菌に対する遺伝子コードD-アラニンラセマーゼのような、複合培地から得られない重要な栄養素を供給する、タンパク質をコードする。
選択技術の一例においては、宿主細胞の成長を抑止する薬物が用いられる。異種性遺伝子で首尾よく形質転換されるこれらの細胞は、抗薬物性を付与し、選択療法を生存するタンパク質を生産する。このような優性選択の例としては、薬物ネオマイシン、ミコフェノール酸又はハイグロマイシンが使用される。
哺乳動物細胞に適切な選択可能なマーカーの他の例は、核酸を捕捉することのできる細胞成分を同定することのできるもの、例えばDHFR、チミジンキナーゼ、メタロチオネインI及びII、典型的には、霊長類メタロチオネイン遺伝子、アデノシンデアミナーゼ、オルニチンデカルボキシラーゼ等である。
例えば、DHFR選択遺伝子によって形質転換された細胞は、先ず、DHFRの競合的アンタゴニストであるメトトリキセート(Mtx)を含む培地において形質転換物の全てを培養することで同定される。野生型DHFRを用いた場合の好適な宿主細胞は、DHFR活性に欠陥のあるチャイニーズハムスター卵巣(CHO)株化細胞である。
あるいは、本発明のポリペプチドをコードするDNA配列、野生型DHFRタンパク質、及びアミノグリコシド3'-ホスホトランスフェラーゼ(APH)のような他の選択可能マーカーで形質転換あるいは同時形質転換した宿主細胞(特に、内在性DHFRを含む野生型宿主)は、カナマイシン、ネオマイシンあるいはG418のようなアミノグリコシド抗生物質のような選択可能マーカーの選択剤を含む培地における細胞増殖により選択することができる。米国特許第4965199号を参照。
酵母中での使用に好適な選択遺伝子は酵母プラスミドYRp7に存在するtrp1遺伝子である(Stinchcomb等, Nature, 282:39(1979))。trp1遺伝子は、例えば、ATCC第44076号あるいはPEP4-1のようなトリプトファン内で成長する能力に欠ける酵母の突然変異株に対する選択マーカーを提供する。Jones, Genetics, 85:12 (1977)。酵母宿主細胞ゲノムにtrp1破壊が存在することは、トリプトファンの不存在下における成長による形質転換を検出するための有効な環境を提供する。同様に、Leu2欠陥酵母株(ATCC20622あるいは38626)は、Leu2遺伝子を有する既知のプラスミドによって補完される。
また、1.6μmの円形プラスミドpKD1由来のベクターは、クルイヴェロマイシス(Kluyveromyces)酵母の形質転換に用いることができる。あるいは、組換え子ウシのキモシンの大量生産のための発現系がK.ラクティス(lactis)に対して報告されている。Van den Berg, Bio/Technology, 8:135 (1990)。クルイヴェロマイシスの工業的な菌株からの、組換えによる成熟したヒト血清アルブミンを分泌する安定した複数コピー発現ベクターも開示されている。Fleer 等, Bio/Technology,9:968-975 (1991)。
プロモーター成分
通常、発現及びクローニングベクターは、宿主生体により認識され、本発明のポリペプチドをコードする核酸に作用可能に結合するプロモーターを含む。原核生物宿主での使用に好適なプロモーターは、phoAプロモーター、βラクタマーゼ及びラクトースプロモーター系、アルカリホスファターゼ、トリプトファン(trp)プロモーター系、及びハイブリッドプロモーター、例えばtacプロモーターを含む。しかし、他の既知の細菌プロモーターも好適である。細菌系で使用するプロモーターもまた本発明のポリペプチドをコードするDNAと作用可能に結合したシャイン・ダルガーノ(S.D.)配列を有する。
真核生物に対してもプロモーター配列が知られている。事実上、全ての真核生物の遺伝子は、転写開始部位からおよそ25ないし30塩基上流に位置するAT富化領域を有する。多数の遺伝子の転写開始位置から70ないし80塩基上流に見出される他の配列は、Nが任意のヌクレオチドであるCNCAAT領域である。大部分の真核生物遺伝子の3'末端には、コード配列の3'末端へのポリA尾部の付加に対するシグナルであるAATAAA配列がある。これらの配列は全て真核生物の発現ベクターに適切に挿入される。
酵母宿主と共に用いて好適なプロモーター配列の例としては、3-ホスホグリセラートキナーゼ又は他の糖分解酵素、例えばエノラーゼ、グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ、ヘキソキナーゼ、ピルビン酸デカルボキシラーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、グルコース-6-リン酸イソメラーゼ、3-ホスホグリセレートムターゼ、ピルビン酸キナーゼ、トリオセリン酸イソメラーゼ、ホスホグルコースイソメラーゼ、及びグルコキナーゼが含まれる。
他の酵母プロモーターは、成長条件によって転写が制御される更なる利点を有する誘発的プロモーターであり、アルコールデヒドロゲナーゼ2、イソチトクロムC、酸ホスファターゼ、窒素代謝と関連する分解性酵素、メタロチオネイン、グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ、及びマルトース及びガラクトースの利用を支配する酵素のプロモーター領域がある。酵母の発現に用いられる好適なベクターとプロモーターは欧州特許第73657号に更に記載されている。また酵母エンハンサーも酵母プロモーターと共に好適に用いられる。
哺乳動物の宿主細胞におけるベクターからの本発明のポリペプチドの転写は、例えば、ポリオーマウイルス、伝染性上皮腫ウイルス、アデノウイルス(例えばアデノウイルス2)、ウシ乳頭腫ウイルス、トリ肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス、レトロウイルス、B型肝炎ウイルス及び典型的にはサルウイルス40(SV40)のようなウイルスのゲノムから得られるプロモーター、異種性哺乳動物プロモーター、例えばアクチンプロモーター又は免疫グロブリンプロモーター、ヒートショックプロモーターによって、提供されるこのようなプロモーターが宿主細胞系に適合し得る限り、調節される。
SV40ウイルスの初期及び後期プロモーターは、SV40ウイルスの複製起点を更に含むSV40制限断片として簡便に得られる。ヒトサイトメガロウイルスの最初期プロモーターは、HindIIIE制限断片として簡便に得られる。ベクターとしてウシ乳頭腫ウイルスを用いて哺乳動物宿主でDNAを発現する系が、米国特許第4419446号に開示されている。この系の変更例は米国特許第4601978号に開示されている。また、単純ヘルペスウイルス由来のチミジンキナーゼプロモーターの調節下でのマウス細胞におけるヒトβインターフェロンcDNAの発現について、Reyes等, Nature, 297:598-601(1982)を参照されたい。あるいは、ラウス肉腫ウイルス長末端反復をプロモーターとして使用することができる。
エンハンサーエレメント成分
より高等の真核生物による本発明のポリペプチドをコードしているDNAの転写は、ベクター中にエンハンサー配列を挿入することによって増強され得る。哺乳動物の遺伝子由来の多くのエンハンサー配列が現在知られている(グロビン、エラスターゼ、アルブミン、α-フェトプロテイン及びインスリン)。典型的には、真核細胞ウイルス由来のエンハンサーが用いられるであろう。例としては、複製開始点の後期側のSV40エンハンサー(100−270塩基対)、サイトメガロウイルス初期プロモーターエンハンサー、複製開始点の後期側のポリオーマエンハンサー及びアデノウイルスエンハンサーが含まれる。真核生物のプロモーターの活性化のための増強要素については、Yaniv, Nature, 297:17-18 (1982)もまた参照のこと。エンハンサーは、ポリペプチドコード配列の5'又は3'位でベクター中にスプライシングされ得るが、典型的にはプロモーターから5'位に位置している。
転写終結成分
真核生物宿主細胞(酵母、真菌、昆虫、植物、動物、ヒト、又は他の多細胞生物由来の有核細胞)に用いられる発現ベクターは、また転写の終結及びmRNAの安定化に必要な配列を含む。このような配列は、真核生物又はウイルスのDNA又はcDNAの5'、時には3'の非翻訳領域から一般に取得できる。これらの領域は、本発明のポリペプチドをコードしているmRNAの非翻訳部分にポリアデニル化断片として転写されるヌクレオチドセグメントを含む。一つの有用な転写終結成分はウシ成長ホルモンポリアデニル化領域である。国際公開第94/11026号とそこに開示した発現ベクターを参照されたい。
宿主細胞の選択及び形質転換
ここに記載のベクターに本発明のポリペプチドをコードするDNAをクローニングあるいは発現するために適切な宿主細胞は、上述の原核生物、酵母、又は高等真核生物細胞である。この目的にとって適切な原核生物は、真正細菌、例えばグラム陰性又はグラム陽性生物体、例えばエシェリチアのような腸内菌科、例えば大腸菌、エンテロバクター、エルウィニア(Erwinia)、クレブシエラ、プロテウス、サルモネラ、例えばネズミチフス菌、セラチア属、例えばセラチア・マルセスキャンス及び赤痢菌属、並びに桿菌、例えば枯草菌及びB.リチェフォルミス(licheniformis)(例えば、1989年4月12日に公開されたDD266710に開示されたバシリ・リチェニフォルミス41P)、シュードモナス属、例えば緑膿菌及びストレプトマイセス属を含む。典型的には大腸菌クローニング宿主は大腸菌294(ATCC31446)であるが、他の大腸菌B、大腸菌X1776(ATCC31537)及び大腸菌W3110(ATCC27325)のような株も好適である。これらの例は限定するものではなく例示的なものである。
原核生物に加えて、糸状菌又は酵母菌のような真核微生物は、本発明のポリペプチドをコードするベクターのための適切なクローニング又は発現宿主である。サッカロミセス・セレヴィシア、又は一般的なパン酵母は下等真核生物宿主微生物のなかで最も一般的に用いられる。しかしながら、多数の他の属、種及び菌株も、一般的に入手可能で、ここで使用でき、例えば、シゾサッカロマイセスポンベ;クルイベロマイセス宿主、例えばK.ラクティス、K.フラギリス(ATCC12424)、K.ブルガリカス(ATCC16045)、K.ウィッケラミイ(ATCC24178)、K.ワルチイ(ATCC56500)、K.ドロソフィラルム(ATCC36906)、K.サーモトレランス、及びK.マルキシアナス;ヤローウィア(欧州特許第402226号);ピチア・パストリス(欧州特許第183070号);カンジダ;トリコデルマ・リーシア(欧州特許第244234号);アカパンカビ;シュワニオマイセス、例えばシュワニオマイセス・オクシデンタリス;及び糸状真菌、例えばパンカビ属、アオカビ属、トリポクラジウム、及びコウジカビ属(Aspergillus)宿主、例えば偽巣性コウジ菌(A. nidulans)及びクロカビ(A. niger)が使用できる。
本発明のグリコシル化ポリペプチドの発現に適切な宿主細胞は、多細胞生物から誘導される。無脊椎動物細胞の例には、植物及び昆虫細胞が含まれる。多数のバキュロウイルス株及び変異体及び対応する許容可能な昆虫宿主細胞、例えばスポドプテラ・フルギペルダ(毛虫)、アエデス・アエジプティ(蚊)、アエデス・アルボピクトゥス(蚊)、ドゥロソフィラ・メラノガスター(ショウジョウバエ)、及びボンビクス・モリが同定されている。トランスフェクションのための種々のウイルス株、例えば、オートグラファ・カリフォルニカNPVのL-1変異体とボンビクス・モリ NPVのBm-5株が公に利用でき、このようなウイルスは本発明においてここに記載したウイルスとして使用でき、特にスポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)細胞のトランスフェクションに使用できる。綿花、コーン、ジャガイモ、大豆、ペチュニア、トマト、及びタバコのような植物細胞培養を宿主として利用することもできる。
しかしながら、脊椎動物細胞におけるものが最も興味深く、培養(組織培養)中での脊椎動物細胞の増殖は常套的な手順になった。有用な哺乳動物宿主株化細胞の例は、SV40によって形質転換されたサル腎臓CV1株 (COS-7, ATCC CRL 1651);ヒト胚腎臓株(293又は懸濁培養での成長のためにサブクローン化された293細胞、Graham等, J. Gen Virol., 36:59 (1977));ハムスター乳児腎細胞(BHK, ATCC CCL 10);チャイニーズハムスター卵巣細胞/-DHFR(CHO, Urlaub等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 77:4216 (1980));マウスのセルトリ細胞(TM4, Mather, Biol. Reprod., 23:243-251 (1980));サルの腎細胞 (CVI ATCC CCL 70);アフリカミドリザルの腎細胞(VERO-76, ATCC CRL-1587);ヒト子宮頸癌細胞 (HELA, ATCC CCL 2);イヌ腎細胞 (MDCK, ATCC CCL 34); バッファローラット肝細胞 (BRL 3A, ATCC CRL 1442);ヒト肺細胞 (W138, ATCC CCL 75);ヒト肝細胞 (Hep G2, HB 8065);マウス乳房腫瘍(MMT060562, ATTC CCL51);TRI細胞(Mother等, Annals N.Y. Acad. Sci., 383:44-68 (1982));MRC5細胞;FS4細胞;ヒト肝癌株(HepG2)である。
宿主細胞は、本発明のポリペプチド生産のための上述した発現又はクローニングベクターで形質転換し、プロモーターを誘導し、形質転換体を選択し、又は所望の配列をコードしている遺伝子を増幅するために適当に修飾された常套的栄養培地で培養する。
宿主細胞の培養
本発明のポリペプチドを生成するために用いられる宿主細胞は種々の培地において培養することができる。市販培地、例えばハム(Ham)のF10(Sigma)、最小必須培地((MEM), Sigma)、RPMI-1640(Sigma)、ダルベッコの改良イーグル培地((DMEM), Sigma)、肝細胞用の通常の成長培地(Cambrex)、プレ脂肪細胞用の成長培地(Cambrex)などが宿主細胞の培養に好適である。また、Ham等, Meth. Enz. 58:44 (1979), Barnes等, Anal. Biochem. 102:255 (1980), 米国特許第4767704号;同4657866号;同4927762号;同4560655号;又は同5122469号;国際公開第90/03430;国際公開第87/00195;又は米国特許再発行第30985号に記載された任意の培地も宿主細胞に対する培地として使用できる。これらの培地はいずれも、ホルモン及び/又は他の成長因子(例えばインスリン、トランスフェリン、又は表皮成長因子)、塩類(例えば、塩化ナトリウム、カルシウム、マグネシウム及びリン酸塩)、バッファー(例えばHEPES)、ヌクレオチド(例えばアデノシン及びチミジン)、抗生物質(例えば、ゲンタマイシンTM薬)、微量元素(最終濃度がマイクロモル範囲で通常存在する無機化合物として定義される)、及びグルコース又は同等のエネルギー源を必要に応じて補充することができる。任意の他の必要な補充物質もまた当業者に知られている適当な濃度で含むことができる。培養条件、例えば温度、pH等々は、発現のために選ばれた宿主細胞について以前から用いられているものであり、当業者には明らかであろう。
ポリペプチド精製
組換え技術を用いる場合、本発明のポリペプチド、例えばVEGFやVEGFと組み合わせる付加的な治療用ポリペプチド薬剤は、細胞内に、細胞膜周辺腔に、又は培地に直接分泌されうる。本発明のポリペプチドは、培養培地又は宿主細胞溶解物から回収及び/又は単離されてもよい。「単離された」ポリペプチドは、その自然環境の成分から同定され分離され及び/又は回収されたものを意味する。その自然環境の汚染成分は、ポリペプチドの診断又は治療への使用を妨害しうる物質であり、酵素、ホルモン、及び他のタンパク質様又は非タンパク質様溶質が含まれる。ある実施態様では、ポリペプチドは、(1)ローリー(Lowry)法により定量して、95重量%のポリペプチドより多くなるほど、又は99重量%より多くなるまで、 (2)スピニングカップシークエネーターを使用することにより、少なくとも15のN末端あるいは内部アミノ酸配列の残基を得るのに充分な程度にまで、あるいは(3)クーマシーブルー又は銀染色を用いた非還元あるいは還元条件下でのSDS-PAGEによる均一性が得られるように十分な程度にまで精製される。ポリペプチドの自然環境の少なくとも一つの成分が存在しないため、単離されたポリペプチドには、組換え細胞内にインサイツのポリペプチドが含まれる。しかしながら、通常は、単離されたポリペプチドは少なくとも一の精製工程により調製される。
タンパク質精製に様々な方法が用いられてもよく、このような方法は当分野で公知であり、例えばDeutscher, Methods in Enzymology, 182 (1990);Scopes, Protein Purification: Principles and Practice, Springer-Verlag, New York (1982)の実施例に記述される。選択される精製工程(一又は複数)は、例えば、使用する生産プロセスの性質及び生産される本発明の特定のポリペプチドに依存するであろう。膜結合である場合、本発明のポリペプチドは、適切な清浄液(例えばトリトン-X100)を用いるか、又は酵素の切断によって膜から放出されうる。本発明のポリペプチドの発現に用いられる細胞は、様々な物理的又は化学的な手段、例として、凍結-解凍循環、超音波処理、物理的な破壊又は細胞溶解剤によって破壊されうる。適切な精製手順の例は以下の手順である:イオン交換カラムによる分画;エタノール沈殿;逆相HPLC;二酸化ケイ素によるクロマトグラフィ、ヘパリンSEPHAROSETMによるクロマトグラフィ、陰イオン又陽イオン交換樹脂(例えばポリアスパラギン酸カラム、DEAEなど)によるクロマトグラフィ;等電点電気泳動;SDS-PAGE;硫酸アンモニウム沈殿;例えば、セファデックスG-75を用いたゲル濾過;IgGなどの混入物を除去するためのプロテインAセファロースカラム;及び、本発明のポリペプチドのエピトープタグ付加形態を結合するための金属キレートカラム。
例えば、細胞から調製されるVEGF組成物は、例えば、ヘパリンクロマトグラフィ、ゲル電気泳動及び透析を用いて精製されうる。また、タンパク質精製のために他の技術も利用できる。
製造品
本発明の他の一実施態様では、上記の創傷の方法及び治療に有用な材料を具備してなる製造品が提供される。製造品は、容器と、ラベルと、パッケージ挿入物とを具備する。好適な容器には、例えば、瓶、バイアル、注射器、ドレッシング、包帯などが含まれる。容器は、様々な材料、例えばガラス、プラスチック、ナイロン、綿、ポリエステルなどから形成されうる。容器は病状の治療に有効な組成物を収容しており、滅菌したアクセスポートを有しているか、又は複数の用量を含むチューブであるか、又は測定した量の活性剤の指示書を有する注射器であってもよい。組成物内の少なくとも一の活性薬剤が容器に含まれる。容器上のラベル又は容器に添付されたラベルは、組成物が創傷治癒を促進するか又は改善させるために用いられることを示す。さらに、製造品は、薬学的に受容可能なバッファ、例えば通常の生理食塩水、リン酸塩緩衝食塩水、リンゲル液及びブドウ糖溶液、又はゲル溶液を収容する第二容器を具備してもよい。さらに、他のバッファ、希釈液、フィルター、ドレッシング、包帯、塗布器、ガーゼ、バリア、半透性バリア、舌圧子、針及び注射器を含む商業及び使用者の見地から望ましい他の材料を具備してもよい。場合によって、本明細書に記載の創傷に投与するためのVEGFの使用及び用量に関する一連の指示、一般的に書面での指示書が具備される。一般にキットに具備される指示書は、疾患の治療のための用量、投与計画、及び投与経路に関する情報を含む。VEGFの容器は、単位用量、大量パッケージ(例えば多用量パッケージ)又はサブユニット用量であってもよい。
本明細書は、当業者が本発明を実施するために十分であると考えられる。実際、本明細書中に示すもの及び記載のものに加えて、本発明の様々な変更は、前述の説明から当業者に明らかとなり、添付の特許請求の範囲内のものである。
本明細書に記載の実施例及び実施態様は例示的な目的のためだけであって、その見地への様々な修飾又は変更が当業者に示唆され、本出願の精神及び権限内及び添付の特許請求の範囲内に包含されるものであることは理解されるであろう。
実施例1:創傷治癒VGF2763g臨床試験における局所用VEGF
二重盲検(例えば非盲検の薬剤師、盲検のMD及び盲検の患者)臨床試験を行って、局所用VEGFの投与により糖尿病性潰瘍を有するヒト被験者の創傷治癒が促進されるかどうかを決定した。糖尿病性創傷の治療のためのrhVEGF(「テルベルミン(Telbermin)」として本明細書中で称する)の投与に関する研究における患者の基準時疾患特徴の表については、表4を参照のこと。研究の設定を図1に示す。
表4 基準時疾患特徴
Figure 2008546707
* 1人のプラセボ処置被検者は、グルコース値が欠けているために要約から除外した。†1人のテルベルミン処置被検者は、HbA1C値が欠けているために要約から除外した。‡2人のプラセボ処置被検者は、基準時面積測定評価を欠いていた。
プラセボ処置患者のうちの24人は治療段階を終え、22人は診察段階を終えた。テルベルミン(局所用組換えVEGF)処置患者のうちの27人は治療段階を終え、22人は診察段階を終えた。第1日目に創傷清拭した潰瘍領域が0.4cm以上及び4.0cm以下であった表在性創傷(例えばUTステージ1a(骨、筋、腱なし)、表2参照)を有するI型糖尿病及びII型糖尿病(コントロールされている、グリコシル化ヘモグロビンA1c(HbA1c)12%以下)患者を、6週間、週3回(合計18投与)、VEGF又はプラセボのいずれかにて処置した。処置は、48時間(±24時間)ごとであるが、週に3投与を超えない。処置ごとのVEGFの量は72μg/cmとした。VEGFは現場で調製した。0.22mlのVEGF(5mg/ml)又はプラセボ(バッファ溶媒)をバイアルから取り出し、およそ5%メチルセルロース(例えば4.7%)(例えば、5mMのスクシナートバッファ、pH5.0によるMethocel A4Mプレミアムメチルセルロース(The Dow Chemical Company; Midland, MI)製剤)を添加した。VEGF又はプラセボ及びゲルを2時間混合し、粘性を増し、投与したときの物質投与の損失を減らした。5mM pH5.0 スクシナートバッファ(例えば、1.8mg/mlのVEGF、0.0036%ポリソルベート20及び100mM トレハロース無水を含む)中の最終0.06%VEGFゲルを最終投与物質とした。最終投与物質は1.0mlのツベルクリン注射器、例えば、0.6mLの最終投与物質を充填したものを用いて投与した。
典型的に、潰瘍は慢性潰瘍であった。潰瘍持続期間は、処置前4週〜6か月未満であった。活動中の感染がなく、被検者の試験足に関して、灌流適応肢:足首-上腕指標(ABI)0.6以上及び1.2以下であった。治療の間、2つのVEGF群又はプラセボ群には良好な創傷ケアを実施し、例えば物理的な試験、面積測定追跡及び/又は35mm写真撮像などにより毎日評価した(例としてFood and Drug Administration (FDA) Guidance for Industry 2000, Chronic Cutaneous Ulcer and Burn Wounds-Developing Products for Treatment, June 2000)。
対象とするエンドポイントは、排液又は包帯を必要としない皮膚閉鎖を含む完全な創傷閉鎖(例えば、閉鎖の3か月後に評価する)及び、例えば完全閉鎖が生じるまでの時間及び事象分析までの時間(例えば完全閉鎖までの時間)の臨床的に有意な減少がその速度により表される創傷治癒の促進の発生率とした。基準時から43日目(49日目まで)の総潰瘍表面積の%減少率である一次有効性エンドポイントは、潰瘍の面積測定追跡の定量分析にて決定した。二次有効性エンドポイントには、基準時(例えば1日目の値)と比較して29日目及び84日目の総潰瘍表面積の%減少率、29、43及び84日目の完全な潰瘍治癒の発生率、完全な潰瘍治癒までの時間(例えば日数)、治療の終了前に完全に潰瘍が治癒している被検者の潰瘍形成の再発までの時間(例えば日数)、基準時と比較して総潰瘍表面積の増加(>15%)の発生、潰瘍ステージ(例えば>UT1a)が進行する割合、及び1、8、22及び43日目の潰瘍ベッドの微小循環性灌流が含まれる。
モニターされた安全問題は、臨床的に有意な低血圧(例えば、第1週の処置の間の試験の各用量投与(1、3及び5日目)後60分のプレ投与と比較した収縮期血圧の35mmHg以上の低下として定義される)、臨床的に有意な潰瘍感染(例えば、潰瘍からの分泌物及び悪臭性浸出液の増加、発熱(38.6℃以上の温度)及び白血球(WBC)数>10000μL)、抗VEGF抗体の産生などに関するものであった。第1週の間の各投与の前と60分後に血圧を測定した。
各処置で投与したゲルの総容積は、0.12〜0.48ml(72μg〜288μgのVEGF)である。投与したゲルの量は創傷測定値(L×W)を基にした。ここで、Lは端から端までの最長の長さをcmで表し、WはLに対して垂直な端から端までの最長の幅をcmで表したものである(L×W=推定表面積(cm))。例えば、ゲルは無菌の舌圧子を用いて投与され、潰瘍の全表面に対する投与されたゲルの総量は1/16''の厚さであった。創傷は、無菌の半透性バリア(例えばadaptecフィルムドレッシング)で覆い、綿のガーゼ(例えばKerlix)で覆った。次の処置で、ドレッシングを除去し、潰瘍は無菌の通常の生理食塩水によって穏やかに洗浄した。潰瘍表面を再び測定して、適当な用量のゲルを投与し、潰瘍を再び包帯で巻いた。
結果:局所用VEGFは、安全で十分に通用すると考える。有害事象の発生を、処置群(テルベルミン群及びプラセボ群)の間で比較した。試験期間中に影響する有害事象又は重度の副作用はいずれも観察されなかった。2人の患者は深刻な有害事象のために研究を中止した(テルベルミン群の1人は皮膚潰瘍の感染;プラセボ群の1人は局所性の感染)。テルベルミン群に最終処置の4日後に死亡した患者が1人いたが、その死は試験薬剤と無関係であった。いずれの処置群においても臨床的に有意な低血圧の症例は観察されなかった。
データは生物活性の所見を示す。UTステージ1aである潰瘍の大きさが小さい治験では、安全性シグナルは観察されなかった。創傷領域の中央%減少率、完全な治癒を有する被検者の%及び治癒までの時間については表5を参照のこと。週3回で6週間のVEGF処置をした糖尿病被検者において、被検者の集団は、プラセボと比較してVEGFにより、6週後の完全な創傷治癒に14〜25%の改善を示した。治験は、VEGFがプラセボより75以下〜100%速く治癒を促進したことを示した。テルベルミン(rhVEGF)又はプラセボで処置される患者における一次完全潰瘍治癒までの時間を示す表6を参照。潰瘍の完全な治癒のための時間は、VEGFで処置した患者において加速し、例えば、完全な治癒までの時間(25thパーセンタイル)は32.5日から43.0日であった。
表5
Figure 2008546707
有効性評価被検体(盲検の前に指定):
主なプロトコール侵害を除去
被検体は少なくとも有効な投与を連続して用量-センサーした3を欠く
LOCFなし(インプットされていないデータを欠く)
p-値:ウィルコクソン順位和検定
p-値:フィッシャーの正確検定。
p-値:ログ-ランク試験。
評価方法−定量的面積測定分析
表6
Figure 2008546707
ND=検出不可能
カプランマイヤー法を用いて推定される。
完全な潰瘍治癒を達成した被検者について、潰瘍形成の再発は、初めの完全な潰瘍治癒の時間と試験を終えた又は試験を中止した時間との間で評価した。完全な潰瘍治癒を達成した安全性評価被検者の中で、テルベルミンにて処置した被検者の26.7%(15人中4人)及びプラセボにて処置した被検者の33.3%(9人中3人)は潰瘍形成を再発した(ログ-ランクp-値=0.57)。プラセボ処置被検者と比較して、テルベルミン処置被検者の潰瘍形成の再発に対する有害比率は、0.63(95%のCI:0.13、3.15)であった。
実施例2:創傷治癒の局所用VEGF
被検者、例えば厳密な創傷清拭の後に処置の開始時の潰瘍領域が例えば1.0cm以上及び6.5cm以下と推定されるI型糖尿病患者又はII型糖尿病患者を、局所用組み換えVEGF(例えばゲル製剤)にて、毎日計12週間(合計84投与まで)又は完全創傷閉鎖(例えば排液又は包帯を必要としない皮膚閉鎖)のいずれか早い期間、処置する。被検者は、処置段階の後の12週以上の間観察されうる。被検者に、毎日の処置ごとに24μg/cm、72μg/cm又は216μg/cmのいずれかのVEGFを投与する。潰瘍表面積(cm)は、例えば、潰瘍の端から端までの最長の測定値長さ(L(cm))と長さに対して垂直軸の端から端までの最長の幅(W(cm))により概算する。次いで推定された表面積はL×Wである。治療は、投影図による潰瘍領域の境界の測定、潰瘍縁辺の面積測定分析、写真撮像、物理的な試験などによって処置を評価することができる。投与されるVEGFは、1.8、0.6及び0.2mg/mlのVEGF、3%メチルセルロース(例えば、5mM、pH5.0スクシナートバッファ(例えば、1.8mg/mlのVEGF、0.0036%ポリソルベート20及び100mM トレハロース無水を含む)によるMethocel A4Mプレミアムメチルセルロース(The Dow Chemical Company; Midland, MI))である。
本明細書は、当業者による本発明の実施を十分可能にするものであると考えられる。本明細書に記載の実施例及び実施態様は例示の目的のためのみであることが理解される。実際、本明細書中で示すもの及び記載のものに加えて本発明への様々な修飾や変更は、前述の説明から当業者に明らかとなり、添付の特許請求の範囲内である。
糖尿病性創傷の治療のためにrhVEGFを投与するための研究設定、例えばVGF2763gを例示する。 14日目のウサギ虚血性耳創傷モデルにおけるrhVEGFの投与の用量反応曲線を例示する。 8日目の糖尿病マウスモデルにけるrhVEGFの投与の用量反応曲線を例示する。

Claims (25)

  1. 被検体の創傷治癒を促進する方法であって、
    有効量のVEGFを創傷に投与することを含んでなり、該有効量のVEGFの投与によりコントロールと比較して60%より大きく創傷治癒が促進される方法。
  2. コントロールと比較して、創傷治癒の促進が74%以上である、請求項1に記載の方法。
  3. 創傷治癒の促進が創傷領域の%減少率によって評価される、請求項1に記載の方法。
  4. 創傷領域が処置前におよそ0.4cm以上である、請求項3に記載の方法。
  5. 創傷領域が処置前におよそ1.0cm以上である、請求項3に記載の方法。
  6. 創傷治癒の促進が完全な創傷治癒の速度によって評価される、請求項1に記載の方法。
  7. 創傷が糖尿病性足潰瘍である、請求項1に記載の方法。
  8. 有効量のVEGFが週に少なくとも3回投与される、請求項1に記載の方法。
  9. 有効量のVEGFが少なくとも6週間投与される、請求項1に記載の方法。
  10. 完全な創傷閉鎖があるまで、有効量のVEGFが投与される、請求項1に記載の方法。
  11. VEGFがVEGF165である、請求項1に記載の方法。
  12. VEGFが組換えヒトVEGFである、請求項1又は11に記載の方法。
  13. 投与が局所的である、請求項1に記載の方法。
  14. VEGFが局所投与のための製剤である、請求項1に記載の方法。
  15. 創傷が慢性創傷である、請求項1に記載の方法。
  16. 創傷が褥瘡、床擦れ、静脈潰瘍、熱傷、外科的創傷又は通常の創傷である、請求項1に記載の方法。
  17. 被検体が治療を受けている、又は治療を受けたことがあり、該治療が創傷治癒を遅らせるか効果がないものである、請求項1に記載の方法。
  18. 被検体には二次症状があり、二次症状が創傷治癒を遅らせるか効果がないものである、請求項1に記載の方法。
  19. 二次症状が糖尿病である、請求項18に記載の方法。
  20. VEGFの有効量が、およそ20μg/cmからおよそ250μg/cmである、請求項1に記載の方法。
  21. VEGFの有効量がおよそ24μg/cmである、請求項20に記載の方法。
  22. VEGFの有効量がおよそ72μg/cmである、請求項20に記載の方法。
  23. VEGFの有効量がおよそ216μg/cmである、請求項20に記載の方法。
  24. 被検体がヒトである、請求項1に記載の方法。
  25. ヒト被検体の創傷治癒の促進方法であって、創傷に有効量のVEGFが投与されることを含んでなり、該有効量のVEGFの投与によりコントロールと比較して60%より大きく創傷治癒が促進され、該創傷が有効量のVEGFの投与前の4週間以上もの間、被検体に存在する方法。
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