JP2008543983A6 - 硬化性組成物及びそれにより得られた保護層を有する基材 - Google Patents

硬化性組成物及びそれにより得られた保護層を有する基材 Download PDF

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Abstract

【課題】新規な硬化性組成物の提供。
【解決手段】a)シラン官能化コロイド状シリカ、b)脂肪族環状アクリレート、ウレタンジアクリレート及びエポキシ樹脂からなる群から選択される少なくとも1つの硬化性モノマー、及びc)上記硬化性モノマー(b)のための少なくとも1つの硬化剤を含んでなる硬化性組成物。基材に塗布し硬化させることにより、かき傷耐性、耐摩耗性、指紋防止性能が強化されたハードコート層が得られ、特にブルーレイ光学情報記憶媒体の熱可塑性基材成分への用途に有利である。また、保護カバー層又はハードコートとしてかかる媒体に適用することにより、かき傷耐性及び耐摩耗性、並びにメディア面上の指紋防止性能が提供され、また硬化時の収縮及び傾斜が極わずかな範囲に留まる。

Description

(関連出願の説明)
本特許出願は米国仮特許出願第60/678,991号(2005年5月9日に出願)の優先権を主張し、その全開示内容を本願明細書に参照により援用する。
(技術分野)
本発明は、硬化性組成物、特に高容量光学情報記憶媒体などへの用途に用いる、熱及び/又は放射線により硬化可能な保護ハードコート組成物に関する。
光学情報記憶媒体の新規な形である、いわゆる「ブルーレイ」Disc(BD)技術は、最近になりようやく市販されるようになった。現時点では、ブルーレイ光学情報記憶ディスクは、反射層としての金属又は金属合金を有する、一方にスパッタ堆積を施した1.1mmの基材層、薄い情報層(BD−ROM用)、記録可能層(BD−R用)又は再記録可能層(BD−RE用)、及び最後に100ミクロン保護トップコート(又はカバー)層から構成される。カバー層は比較的高価な、溶媒注型された約100ミクロン厚のポリカーボネート(PC)膜からなり、接着剤を介して情報層、記録可能層又は再記録可能層、場合によっては基材と結合する。このPCフィルムには容易に傷が付き、指紋が付くため、ブルーレイディスクの現在の商業的な用途では保護カートリッジ内に包まれており、それにより生成物の著しいコスト上昇につながる。ブルーレイディスクの情報層、記録可能層若しくは再記録可能層はわずか約100ミクロン以下であり、ゆえにその表面は、従来のコンパクトディスク(CD)又はデジタル汎用ディスク(DVD)の表面の場合に許容されているよりも高い表層完全性が必要である。
ディスク上への保護コーティングでブルーレイディスクの保護カートリッジを代替することや、あるいはより低コストであるが有効な代替物でカバー層として使用されるPCフィルムを代替する試みが現在行なわれている。PCフィルムは高価な材料であるのみならず、ディスク製造工程における組立作業が困難になる。ブルーレイディスクの改善策の候補となる1つのアプローチとして、2層式のスピンコーティング可能システムが挙げられ、それは第1の94〜98ミクロン層を1.1mmの情報含有基材上へスピンコートし、続いて第2の2〜6ミクロンのハードコート層をスピンコーティングし、それにより耐摩耗性及びフィンガープリント抵抗性が付与される。
2層式のスピンコーティング可能システムには固有の複雑さが存在するため、2つのコーティング操作を、単一のコーティング組成物を使用した単一のコーティング処理にまとめ、上記の2コーティングシステムに含まれる全ての官能基を効果的に連結させることが切に望まれている。
耐摩耗性及びかき傷耐性は通常、高架橋樹脂によって提供される。しかしながら、大部分の有機樹脂は縮重合する。硬化によるカバー層の収縮により、それと基材との間の応力が生じる。この応力によりディスク傾斜と呼ばれる現象が生じる。情報ピットの小型化及び必要なレーザー光の正確性の理由から、特にブルーレイメディアの場合、過剰なディスク傾斜は回避される必要がある。
本発明は、以下を含んでなる硬化性組成物の提供に関する。
a)シラン官能化コロイド状シリカ、
b)脂肪族環状アクリレート、ウレタンジアクリレート及びエポキシ樹脂からなる群から選択される少なくとも1つの硬化性モノマー、及び
c)上記硬化性モノマー(b)のための少なくとも1つの硬化剤。
本発明の組成物は、基材に塗布し硬化させることによりかき傷耐性、耐摩耗性、指紋防止性能が強化されたハードコート層が得られ、特にブルーレイ光学情報記憶媒体の熱可塑性基材成分への用途に有利である。保護カバー層又はハードコートとしてかかる媒体にすることにより、本発明の硬化コーティング組成物はかき傷耐性及び耐摩耗性、並びにメディア面上の指紋防止性能を提供するのみならず、硬化時の収縮及び傾斜も極わずかな範囲に留まる。
本発明の硬化性コーティング組成物は特に高容量光学情報記憶媒体の保護層を提供することに適するが、この用途に限定されず、耐久消費財、並びにその他の多数の材料及び物品への、高かき傷耐性及び耐摩耗性のコーティングの提供に利用できる。
本発明の硬化性組成物の調製では、最初に官能化コロイド状シリカの調製を行う。官能化コロイド状シリカは、官能化用シランと、微粉末状にしたコロイド状シリカと反応させることによって調製するのが好ましい。官能化コロイド状シリカはその後、以下に記載されているように少なくとも1つの硬化性モノマーと結合して硬化し、本発明の硬化組成物となる。
本明細書で用いられる「官能化コロイド状シリカ」の用語は、疎水性を付与されることによって1つ以上の硬化性モノマーとの適合性を有するようになったコロイド状シリカを意味すると理解され、それらを混合することにより硬化性組成物が調製され、当該適合性はコロイド状シリカとシランを化学的に反応させることにより得られ、本発明ではこの結果をもたらすシランを「官能化用シラン」として本願明細書に記載する。官能化用シランとコロイド状シリカの反応から得られた結果、本発明の硬化性組成物中の官能化コロイド状シリカ成分は、シリカ粒子の表面に有機官能基部分を有する態様で調製され、それらは実質的に化学的に不活性であっても、あるいは化学的に反応性であってもよく、例えばアクリレート又はエポキシ基、又はその両方が存在してもよい。
コロイド状シリカは、水若しくは他の溶媒中の、ナノサイズシリカ(SiO)粒子の分散液として市販されている。コロイド状シリカには、最高約85重量%のシリカ(SiO)、通常は最高約80重量%のシリカが含有される。コロイド状シリカの中の名目メジアン粒子径は、通常約1〜約250nmの範囲であるが、本発明の場合は、約50nm以下、より好適には約25nm以下である。
コロイド状シリカの官能化に有用なシランは、以下の一般式で表される。
(RSi(OR4−a
式中、各Rは独立に、最高18の炭素原子数の一価の炭化水素基であり、化学反応性基(例えばアクリレート若しくはエポキシド官能基、ビニル基若しくはアリル基)を含んでもよく、各Rは独立に、最高18の炭素原子数の一価の炭化水素ラジカルであり、aは1〜3までのいずれかの整数である。
官能化用コロイド状シリカに使用できるシランとしては、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、アリルジアルキルシラン(米国特許第4898959号に開示)、β置換アリルシラン(米国特許第5420323号に開示)(その両文献の全開示内容を本願明細書に援用する)、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシ−シラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシ−シラン、3−アクリルオキシプロピルメチルジエトキシ−シラン、3−アクリルオキシプロピルメチルジメトキシ−シラン、3−アクリルオキシプロピルトリメトキシ−シラン、2−メタクリルオキシエチルメチルジエトキシ−シラン、2−メタクリルオキシエチル−メチルジメトキシ−シラン、2−メタクリルオキシエチルトリ−メトキシシラン、2−アクリルオキシエチルトリ−メトキシシラン、3−メチルアクリルオキシプロピル、3−メタクリルオキシプロピル−トリエトキシシラン、3−アクリルオキシプロピルトリ−エトキシシラン、3−アクリルオキシプロピル−ジメチルエトキシシラン、2−メタクリルオキシエチルトリ−エトキシシラン、2−アクリルオキシエチル−トリエトキシシランなどが挙げられる。官能基の組合せは、各々異なる官能基(例えばアクリレート及びエポキシ、アリル及びエポキシ基など)を有する2つ以上のシランを使用することによって得られる。
一般に、コロイド状シリカは、それに対する約5〜約60重量%の1つ以上の官能化用シランと反応されることができる。必要に応じて、得られる官能化コロイド状シリカを酸又は塩基で処理し、そのpHを中和してもよい。酸又は塩基を、他の触媒と同様に用いることにより、シリカ粒子上のシラノール基、及び1つ以上のシラン上の1つ以上のアルコキシシラン基の凝結を促進し、官能化プロセスを容易にすることができる。かかる触媒としては、チタン酸四ブチル、チタンイソプロポキシビス(アセチルアセトネート)ジブチルスズジラウレートなどの有機チタン及び有機スズ化合物、並びにそれらの組み合わせが挙げられる。
一実施形態では、コロイド状シリカの官能化は、脂肪族アルコール中において、上記の重量比で、市販のコロイド状シリカの水分散液に対して1つ以上の官能化用シランを添加することによって実施できる。脂肪族アルコール中にコロイド状シリカと1つ以上の官能化用シランを添加して得られる組成物を、本明細書において前分散液と称する。例えば、脂肪族アルコールは、イソプロパノール、t−ブタノール、2−ブタノールメトキシプロパノールなど、並びにそれらの組み合わせから選択してもよい。1つ以上の脂肪族アルコールは、コロイド状シリカに対して約1〜約10倍の重量で添加してもよい。幾つかの場合、1つ以上の安定化剤(例えば4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジニルオキシ、すなわち4−ヒドロキシTEMPO)をこの前分散液に添加してもよい。ある場合には、酸又は塩基を少量添加し、前分散液のpHを調整してもよい。得られる前分散液を通常約50℃〜120℃で約1時間〜約5時間加熱してシリカとシランの反応を行わせ、官能化されたコロイド状シリカを得る。
前分散液を冷却し、更に処理を行い最終的な官能化コロイド状シリカの分散液を調製するが、その処理は少なくとも1つの硬化性モノマー(脂肪族環状アクリレート、ウレタンジアクリレート又はエポキシ樹脂)と、任意に追加的な脂肪族溶媒(イソプロパノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−メトキシ−2−プロピル酢酸、トルエンなど、並びにそれらの組み合わせ(これらに限定されない)から選択される)を添加することによって行われる。官能化コロイド状シリカのこの最終的な分散液は、場合によっては、酸性若しくは塩基性の不純物を除去するために酸若しくは塩基によって、又はイオン交換樹脂によって処理してもよい。更に官能化コロイド状シリカのこの最終的な分散液を、約0.5Torr〜約250Torrの真空で、20℃〜140℃の温度で濃縮して溶媒、残存水などの低沸点材料を除去する。このように処理されて調製された濃縮分散液のことを、本明細書では最終濃縮分散液と称する。
必要に応じて、官能化コロイド状シリカの前分散液又は最終的な分散液を更に官能化してもよい。本実施態様では、低沸点成分を少なくとも部分的に除去し、その後適切なキャッピング剤(官能化コロイド状シリカ粉末粒子の表面上の残余のシラノール基と反応する)を、前分散液又は最終的な分散液に存在するシリカの量に対して、例えば約0.05〜約10倍の適切な量で分散液に添加する。低沸点成分の部分的な除去とは、低沸点成分の総量に対して少なくとも約10重量%の除去及び、好適には低沸点成分の総量の少なくとも約50重量%の除去をいう。有効量のキャッピング剤により官能化コロイド状シリカがキャッピングされるが、本願明細書のキャッピングされた官能化コロイド状シリカとは、対応するキャッピングされない官能化コロイド状シリカに存在するフリーのシラノール基の少なくとも約10%、好適には少なくとも約20%、より好適には少なくとも約35%が、キャッピング剤との反応によって官能化されている、官能化コロイド状シリカとして定義される。効果的な官能化コロイド状シリカのキャッピングにより、硬化性組成物全体の硬化の改善がなされる。通常キャッピングされた官能化コロイド状シリカを含む製剤は、コロイド状シリカの表面上の残余のシラノール基がキャッピングされなかった同様の製剤より良好な室温安定性を示す。
好適なキャッピング剤としては、シリル化剤のようなヒドロキシル反応性材料が挙げられる。当該シリル化剤としては、限定されないが、ヘキサメチルジシラザン(HMDZ)テトラメチルジシラザン、ジビニルテトラメチルジシラザン、ジフェニルテトラメチルジシラザン、N−(トリメチルシリル)ジエチルアミン、1−(トリメチルシリル)イミダゾール、トリメチルクロロシラン、ペンタメチルクロロジシロキサン、ペンタメチルジシロキサンなど、並びにそれらの組み合わせが挙げられる。更に透明な分散液を20℃〜140℃で、約0.5時間〜約48時間加熱する。更に得られる混合物を濾過する。前分散液をキャッピング剤で反応させた場合、上記硬化性モノマーを添加し最終的な分散液を調製する。官能化コロイド状シリカと1つ以上の硬化性モノマーとの混合物を約0.5Torr〜約250Torrの圧力で濃縮し、最終濃縮分散液を調製する。このプロセスにおいて、溶媒などの低沸点成分、残存水、キャッピング剤の副産物、過剰なキャッピング剤などを実質的に除去する。
官能化コロイド状シリカの調製の後、脂肪族環状アクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシ樹脂からなる群から選択される少なくとも1つの硬化性モノマー、並びに上述した1つ以上のモノマーのための少なくとも1つの硬化剤を添加し、本発明の硬化性組成物が得られる。
一実施形態では、脂肪族環状アクリレートモノマーは、以下の一般式のトリシクロデカンジアクリレートであってもよい。
Figure 2008543983
式中、Rは水素又は1〜4の炭素原子数のアルキル基であり、aは1〜3であり、bは1〜3であり、mは0〜6であり、nは0〜6であり、Xは以下から選択される1つ以上のスペーサー基であるか、
Figure 2008543983
又はpが1〜4のいずれかであるそれらの誘導体である。
本願明細書に好適に使用できる具体的なトリシクロデカンジアクリレートは、以下の構造式で表される。
Figure 2008543983
式中、各Rは水素又は−CHである。
本願明細書に利用できる他の脂肪族環状アクリレートとしては、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルジアクリレート、シクロヘキシルジメタクリレート、ノルボニルアクリレート、ノルボニルメタクリレート、ノルボニルメタクリレート、ノルボニルジメタクリレートなどが挙げられる。
ウレタンジアクリレートは、ポリエーテル又はポリエステルジオールに由来するイソシアネート末端ポリウレタンと、活性水素含有アクリレート(例えばヒドロキシル基末端アクリレート)との反応により生じる。このように、例えば、ウレタンジアクリレートは、ポリエーテルジオールをイソホロンジイソシアネートなどのジイソシアネート類と反応させてイソシアネート反応性基でキャッピングされた直鎖状ポリウレタンを調製し、その後、この生成物をヒドロキシル基含有アクリレート(例えばヒドロキシエチルアクリレート又はヒドロキシエチルメタクリレート)と反応させることによって調製することができる。低粘性アクリレートで希釈されて粘度が低下したウレタンジアクリレート多くの種類が市販されている。これらのウレタンアクリレートとしては、Ebecryl230(約40,000cpsの粘性を有する脂肪族ウレタンジアクリレート)、Ebecryl244(1,6−ヘキサンジオールジアクリレートで10重量%に希釈した脂肪族ウレタンジアクリレート)、Ebecryl284(1,6−ヘキサンジオールジアクリレートで10重量%に希釈した脂肪族ウレタンジアクリレート)(UCB Chemicals社製)、CN−963A80(20重量%のトリプロピレングリコールジアクリレートと混合した脂肪族ウレタンジアクリレート)、CN−966A80(20重量%のトリプロピレングリコールジアクリレートと混合した脂肪族ウレタンジアクリレート)、CN−982A75(25重量%のトリプロピレングリコールジアクリレートと混合した脂肪族ウレタンジアクリレート)、及びCN−983(脂肪族ウレタンジアクリレート、以上Sartomer社から市販)が挙げられる。上記のEbecryl230は、特に本発明における使用に有利である。
本発明における使用に適する硬化性エポキシ樹脂は少なくとも1つのエポキシド官能性を有し、好適には複数のエポキシド官能性を有する。かかるエポキシドの例としては、モノ−及びジカルボン酸(ブチルグリシジルエーテルなどのアルキルグリシジルエーテル)のグリシジルエステル、フェニルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、3−シクロヘキセニルメチル−3−シクロヘキセニルカルボキシレートジエポキシド、2−(3,4−エポキシ)シクロヘキシル−5,5−スピロ−(3,4−エポキシ)シクロヘキサン−m−ジオキサン、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビニルシクロヘキサンジオキシド、ビス(3,4―エポキシシクロヘキシルメチル)アジピン酸エステル、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジピン酸エステル、エキソ−エキソビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、エンドエキソビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、2,2−ビス(4−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロヘキシル)プロパン、2,6−ビス(2,3−エポキシプロポキシシクロヘキシル−p−ジオキサン)、2,6−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)ノルボルネン、リノール酸二量体のジグリシジルエーテル、二酸化リモネン、2,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロパン、二酸化ジシクロペンタジエン、1,2−エポキシ−6−(2,3−エポキシプロポキシ)ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダン、p−(2,3−エポキシ)シクロペンチルフェニル−2,3−エポキシプロピルエーテル、1−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル−5,6−エポキシ−ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダン、o−(2,3−エポキシ)シクロペンチルフェニル−2,3−エポキシプロピルエーテル、1,2−ビス(5−(1,2−エポキシ)−4,7−ヘキサヒドロメタノインダンオキシル)エタン、シクロペンテニルフェニルグリシジルエーテル、シクロヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ジグリシジルヘキサヒドロフタレート、ビスフェノールA及びビスフェノールF(アルキルグリシジルエーテル)のジグリシジルエーテル、アルキル−及びアルケニル−グリシジルエステル類、アルキル−、モノ−及びポリフェノールグリシジルエーテル、ピロカテコールのポリグリシジルエーテル、レゾルシノール、ヒドロキノン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルジメチルメタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメチルメタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルシクロヘキサン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルプロパン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、及びトリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、塩化ポリグリシジルエーテル及び上記ジフェノールの臭化物、ノボラックのポリグリシジルエーテル、ジハロアルカン又はジハロゲンジアルキルエーテルと芳香族ハイドロカルボン酸塩をエステル化することによって得られたジフェノールのエーテルをエステル化することによって得られたジフェノールのポリグリシジルエーテル、フェノール類及び少なくとも2つのハロゲン原子を含む長鎖ハロゲンパラフィンの縮合により得られるポリフェノールのポリグリシジルエーテル、フェノールノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂、ソルビトールグリシジルエーテルなどが挙げられる。
1つ以上のエポキシ樹脂を、必要に応じて、更にディスク傾斜を減少させるために1つ以上の単官能基及び/又は多官能性アルコールと結合させてもよい。単官能性アルコール類としては、最高30の炭素原子数のアルコール(例えばエタノール、プロパノール、イソプロパノール、sec−ブタノール、tert−ブタノールなどのアルコール)及び脂肪族アルコール(ラウリルアルコール、ステアリルアルコールなど)などが挙げられるが、硬化性組成物中に可溶であることが必要である。ヒマシ油及び多価アルコールのような多官能性アルコール類もこの場合有用である。特に有用なタイプのアルコールは、オキセタン環を含むものである。オキセタンのアルコール基によるエポキシド基のカチオン性の開環により、傾斜が最小化できることを見出している。有用なオキセタンとしては、3−ヒドロキシメチル−3−メチルオキセタン、3−ヒドロキシメチル−3−エチルオキセタン、3−ヒドロキシメチル−3−アミルオキセタン、3−ヒドロキシメチル−3−フェノキシメチルオキセタン、3−ヒドロキシメチル−3−p−tert−フェノキシメチルオキセタン、3−ヒドロキシメチル−3−オクチルオキセタン、3−ヒドロキシメチル−3−ベンジルオキセタンなどが挙げられる。
オキセタンに対するエポキシ樹脂の特定の重量比により、特に良好な結果が得られる。これらの比率は、具体的なコーティング組成物に応じて、ルーチン試験により容易に決定できる。例えば3−ヒドロキシメチル−3−エチルオキセタン及び3−4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートを含有する硬化性組成物における比率は最低0.6に維持され、好適には1である。
上記のモノマーは、硬化性コーティング組成物の合計量に対して、約0.1〜約20重量%のレベルで存在させてもよく、好適には約1〜約15重量%、より好適には約2〜約10重量%である。
本発明の硬化性コーティング組成物は、周囲条件でもハードコート膜を提供するものの、加熱及び/又はフリーラジカル硬化剤の使用を伴わせることにより最適な結果が得られる。コーティング組成物は、紫外線光、電子ビーム又はγ放射線のようなエネルギー的なフリーラジカル発生因子によって、又は1つ以上の化学的フリーラジカル発生剤(例えばアゾ化合物及び過酸化物)によって硬化できる。1つ以上の光重合開始剤を硬化前に添加することにより、コーティング組成物を紫外線光で硬化させることができる。エネルギーの吸収によってラジカルを発生させるならば、有用な光重合開始剤の性質に特別な制限はない。本発明の硬化性組成物の紫外線硬化に使用できるUV反応性光重合開始剤又は開始剤の混合物としては、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(Darocur1173、Ciba Specialty Chemicals社製)、及び2,2−ジメトキシ−2−フェニル−アセトール−フェノン(Irgacure651、Ciba Specialty Chemicals社製)が挙げられる。
その他の硬化剤としては、オニウム触媒(例えばヨウ化ビスアリール塩(例えばビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、(オクチルオキシフェニル、フェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビスアリールヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸塩)トリアリールスルホン酸塩及びそれらの組み合わせが挙げられる。好ましくは、触媒はヨウ化ビスアリール塩である。任意に、芳香族のピナコール(ベンゾインアルキルエーテル、有機過酸化物及びそれらの組み合わせ)などの1つ以上のフリーラジカル発生化合物を有効量で、オプションとして添加してもよい。フリーラジカル発生化合物又はかかる化合物の混合物により、低い温度でのオニウム塩の分解が促進される。
また、本発明において有用な1つ以上のエポキシ樹脂モノマーの硬化剤として、超酸塩(例えば米国特許第5278247号において開示される尿素超酸塩。その全開示内容が本願明細書に援用される)が挙げられる。
通常、上記の組成物中の全固形物に対して約0.05〜約5重量%の硬化剤により、本発明の組成物の硬化がなされる。
以下の例は、本発明を図示する。
<実施例1−3、比較実施例1−3>
実施例1−3は本発明の硬化性組成物の調製、PC(GE OQ 1030)及び(GE Noryl(登録商標):ポリフェニレンオキシド(PPO)及びポリスチレン(PS)のブレンド)から作製したディスクへのその塗布、並びにそれに続く効果によるディスク上へのハードコート層の提供を例示する。
比較実施例1−3を設けることにより、2つ以上のアクリレート官能基を有するウレタンアクリレートから調製されるハードコート層が硬化により架橋が高密度に過ぎ、その結果層の割れをもたらすことが明示される。
硬化後の割れを観察し、又はディスクの曲がりを記録した。従来のスチールウール試験に従い、耐摩耗性を測定した。この試験では、1kgの重りを底部に設けたスチールウール(#0000)を使用して11回往復させて摩擦する。オペレータは表面の傷を観察し、幾つかのケースではASTM試験D3363に従い鉛筆硬度を測定した。0.384〜2.8W/cmの光強度及び0.304〜2J/cmの照射量で設定された複合D又はH型ランプ、又はキセノンフラッシュランプの使用が、代表的な硬化条件の例である。硬化性組成物の厚さが約70〜100ミクロンコーティングとなるように、1〜30秒間に約500〜3000回転/分の回転速度とするのが、本実施例における典型的なスピンコーティング条件である。
<実施例1>
365gのイソプロパノール、260gのNalco 1034コロイド状シリカ、0.20gの4−ヒドロキシ−TEMPO及び39gのメタクリルオキシプロピルトリメトキシシランを含有する混合液を、撹拌しながら3時間還流し、コロイド状シリカ(以下「FCS100」と称する)を官能化し、前分散液を調製した。前分散液を周囲温度に冷却し、180gのDowanol PM及び116gのトリシクロデカンジメタノールジアクリレートモノマー(Sartomer社製、SR833S)を添加し、最終的な分散液を調製した。最終的な分散液を穏やかに80℃に加熱し、rotavapに配置した。イソプロパノール、水及びDowanol PMを10mmHg未満の真空下で除去し、最終濃縮分散液を調製した。ガスクロマトグラフィ分析を行い、揮発性物質の消失を確認した。10〜100l/sの剪断速度で約2000cpsの粘性であった(TA Instrument Carri−Med Rheometer CSL500で測定)。光重合開始剤(Darocur1173)を添加した。基材としてNoryl(登録商標)及びPCディスクを用い、100ミクロンコーティングを調製した。
<実施例2及び3、比較実施例1−3>
実質的に上記と同じ方法に従い、ウレタンジアクリレート(Ebecryl230)を用いて硬化性組成物を調製した。それは本発明の範囲内であり(例2及び3)、一方2つ以上のアクリレート官能基を有するウレタンアクリレートはゆえに本発明の範囲外である(比較実施例1−3)。これらの実施例における硬化性組成物をディスク上に塗布し、更に上記と実質的に同様に硬化させた。
各硬化性組成物中のFCS100及び硬化性モノマーの重量%、並びに実施例1−3及び比較実施例1−3のコーティングされたディスクの試験結果を以下の表1に示す。
表1:100ミクロンコーティングされたディスクの試験結果
Figure 2008543983
*厚はμm単位で測定。全ての数値は重量%。
**すべてのコーティング溶液はDarocur1173光重合開始剤を含有する。実施例2、3及び比較実施例1−3はまた、第2の光重合開始剤として界面活性剤及びフェニル(メチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(TPO)を含有する。
これらのデータが示すように、本発明の範囲内の硬化性モノマー(すなわち脂肪族環状アクリレートモノマーの使用を例示する実施例1、及びウレタンジアクリレートモノマーの使用を例示する実施例2及び3)により調製されたハードコートは全て、割れの無いコーティングを提供した。これらの実施例を踏まえると、試験データから、実施例1のハードコートでは、実施例2及び3のハードコートの特性と比較して、ひび割れのなさのみならず、優れた耐摩耗性(スチールウール試験)及び硬度特性(鉛筆硬度)を有することが示された。
硬化後にひび割れを生じさせた比較実施例1−3における多官能性ウレタンアクリレートで調製したハードコートは、保護コーティングの調製には適切ではないことが示された。
<実施例4>
温度計、コンデンサー、滴下漏斗、オーバヘッドスターラー及び窒素導入口を備える2Lの5首フラスコに、300gのコロイド状シリカ水溶液(アクゾノーベル社製、Nyacol2034DI、水に34重量%のSiOを含有)、300gのメトキシプロパノール及び5gのフェニルトリメトキシシランを添加した。混合物を2時間窒素下で80℃に加熱した。0.5gのトリエチルアミンのアリコートを添加し、更に1時間80℃で混合を継続させた。合計360gのメトキシプロパノールをバッチに連続的に添加しながら、バッチ温度が110℃となるまで混合液を加熱し、水を蒸発除去した。バッチ(FCS−Aと表示)を90℃に冷却し、0.5gのトリメチルアミン及び15gのヘキサメチルトリシラザンを添加した。その後バッチを再度1時間110℃で還流加熱した。窒素供給を中断し、わずかな真空条件とし、約50gの溶媒を蒸発除去した。バッチを40℃に冷却し、89.1gの3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサン−カルボン酸エステル(Dow Chemical社製、Cyracure(商標)UVR6105)及び29.7gのビスフェノールF ジグリシジルエーテル(Resolution Performance社製、RSL1739)を添加した。エポキシ樹脂を完全に溶解させた後、真空とし、溶媒を蒸発除去した。バッチを13mmHgの完全な真空で徐々に120℃に加熱し、これらの条件を0.5時間維持し、完全に揮発性物質を除去した。
<実施例5>
Nalco社製のNalco1034Aコロイド状シリカを使用したこと、及びバッチ(FCS−Bと表示)を、最終的な減圧蒸留の際、110℃の代わりに90℃で加熱したことを除いて、実施例4と同じ方法及び材料を用いた。
<実施例6>
0.5gのフェニルトリメトキシシランを0.5gのγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランと置換したこと、及び窒素を使用しなかったことを除いて、実施例5と同じ方法及び材料を用いた(得られたバッチをFCSCと表示する)。
<実施例7−11>
UVR6000(3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン)及びUVI6992(ダウケミカル社製、スルホニウムカチオン性光重合開始剤)の量を様々に変化させ、実施例4のFCS−Aと混合した。混合物をOQ1030ディスクにスピンコーティングした。鉛筆硬度及びテーブル傾斜試験の結果を以下の表2に示す。UVR6000の量の増加に従い、テーブル傾斜が減少した。
表2:鉛筆硬度及びテーブル傾斜の試験結果
Figure 2008543983
<実施例12>
多官能性アルコール(ヒマシ油)の使用を、本実施例で例示する。18.63gの実施例5(FCS−B)のコーティング組成物、官能化コロイド状シリカを含有するエポキシ混合物、8.93gのUVR6105、4.01gのヒマシ油、2.7gの1−ペンタノール及び2.19gのUVI6992を混合することにより、コーティング組成物を調製した。OQ1030ディスク上の硬化コーティングは7Hの鉛筆硬度を示した。
<実施例13>
本実施例では、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランによって部分的に調製された反応性官能化コロイド状シリカと実施例6(FCSC)を用いた。68.15gの実施例5(FCS−B)の物質、28.72gのUVR6105及び3.14gのUVI6992を混合することにより、コーティング組成物を調製した。OQ1030ディスク上の硬化コーティングは9Hの鉛筆硬度を示し、コーティングされたディスクはわずかに正のテーブル傾斜を示した。
<実施例14>
2Lの3首フラスコ(温度計、コンデンサー及び滴下漏斗を備える)に、600gのコロイド状シリカ水溶液(Akzo Nobel社製、Nyacol2034DI)(水に34重量%のSiOが含まれる)、600gのメトキシプロパノール及び10.2gのフェニルトリメトキシシランを添加した。混合物を2時間窒素下で80℃に加熱した。1gのトリエチルアミンのアリコートを添加し、更に1時間80℃で混合を継続させた。合計720gのメトキシプロパノールをバッチに連続的に添加しながら、バッチ温度が110℃となるまで混合液を加熱し、水を蒸発除去した。バッチを90℃に冷却し、1gのトリメチルアミン及び30gのヘキサメチルトリシラザンを添加した。その後バッチを再度1時間110℃で還流加熱した。窒素供給を中断し、わずかに真空条件とし、約80gの溶媒を蒸発除去した。バッチを40℃に冷却し、140gの3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサン−カルボン酸エステル(Cyracure(商標)UVR6105)を添加した。エポキシ樹脂を完全に溶解させた後、真空とし、溶媒を蒸発除去した。バッチを15mmHgの完全な真空で徐々に120℃に加熱し、これらの条件を0.5時間維持し、完全に揮発性物質を除去した。バッチを40℃に冷却し、138.05gの3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン(Dow Chemical社製、Cyracur(商標)UVR6000)及び16.2gのアクリレートポリオール(Johnson Polymer社製、Joncryl587)を添加した。アクリレートポリオールが完全に溶解するまでバッチを混合した。合計21.56gのDow Chemical社製の光重合開始剤UVI6976を添加し、完全に溶解するまで混合した。混合物は25℃で2480cpsの粘性を示した。
コーティング組成物を、アルミニウムスパッタしたOQ1030ディスク及びNoryl(登録商標)ディスクにスピンコーティングし、Fusion UV Dランプを使用して硬化させた。硬化コーティングの厚は約100μmであった。硬化コーティングの鉛筆硬度は7Hであり、平均δαラジアル偏差(半径方向チルト)(硬化後のディスクのラジアル偏差から、コーティング前のディスクのαラジアル偏差を減算して測定)は、それぞれOQ1030及びNoryl(登録商標)上のコーティングにおいて0.85及び−0.05であった。
<実施例15−26>
実施例13の硬化コーティング上の脱イオン水の接触角度は68°であった。実施例15−26は、下記の表3及び4に示すとおり、様々なシリコーン系及びフッ素系界面活性剤により修飾された硬化コーティングにおける接触角度の増加を示す。
Figure 2008543983
Figure 2008543983
1、2:CoatOsil及びSilwetは、GE Advanced Materials社製のシリコーンである。
3:Fluorad FC4430及びFluorad FC4432は、3M社製のフッ素系界面活性剤である。
<実施例27>
50重量%のEbecryl230ウレタンジアクリレート及び50重量%のFCS100をヘキサンジオールジアクリレート中に含む希釈懸濁液を調製した。界面活性剤として、約9重量%のDarocur1173及び0.3重量%のBYK300を添加した。コーティングする前に懸濁液を撹拌した。基材としてNoryl(登録商標)及びPCディスクを用い、100ミクロンコーティングを調製した。下記の表5において、懸濁液を「Susp−A」として示す。
<実施例28>
50重量%のSolA(実施例27)、及び50重量%のFCS100(50重量%のトリシクロデカンジメタノールジアクリレート(Sartomer社製SR833S中)を含有する懸濁液を調製した。界面活性剤として9重量%のDarocur1173及び0.3重量%のBYK300を添加した。コーティングする前に懸濁液を撹拌した。基材としてNoryl(登録商標)及びPCディスクを用い、100ミクロンコーティングを調製した。下記の表5において、懸濁液を「Susp−B」として示す。
<実施例29>
85重量%のSolA(実施例27)、及び15重量%のFCS100(50重量%のトリシクロデカンジメタノールジアクリレート(実施例28中)を含有する懸濁液を調製した。界面活性剤として9重量%のDarocur1173及び0.3重量%のBYK300を添加した。コーティングする前に懸濁液を撹拌した。基材としてNoryl(登録商標)及びPCディスクを用い、100ミクロンコーティングを調製した。下記の表5において、懸濁液を「Susp−C」として示す。
傾斜及び鉛筆硬度試験(上記と同様に実施)の結果を以下の表5に示す。
表5:傾斜及び鉛筆硬度試験の結果
Figure 2008543983
*データは、Dr.Schenk PROmeteus MT−146/Blu−ray計測器を使用して得た。
**データは、ASTM D3363試験方法に従い得た。
***データは、Instrument Cari−Med Rheometer CSL2500を使用して得た。
これらのデータは、実施例25−27(Susp−A、Susp−B及びSusp−C)の硬化コーティング組成物が傾斜及び鉛筆硬度試験において良好であることを示す。
<実施例30>
上記の実施例に従い、Noryl(登録商標)基材上へ硬化性コーティング組成物をスピンコーティングし、その組成物を硬化させてディスク上にカバー層を形成させることによってディスクを作製した。
得られたディスクを用い、以下の試験を実施した。
1.傾斜試験:常温から70℃への熱ショック。
2.傾斜試験:劣化試験(80℃及び85%の相対湿度、96時間)。
3.電気信号評価(ジッター)。
上記の試験(図1−3に示す)の結果を以下の表6に示す。
表6:傾斜及び電気信号評価試験の結果
Figure 2008543983
本発明の方法を具体的な実施態様に関して記載したが、当業者であれば、本発明の範囲内で様々に変化させることができ、その部材に関して均等物に代替することができることを理解するであろう。更に、本発明の基本的範囲から逸脱することなく、多くの修飾を行い、具体的な状況又は材料を本発明の教示に適応させることが可能である。すなわち、本発明は本発明の最良の実施形態として開示される具体例に限定することを意図するものではなく、むしろ本発明は添付の特許請求の範囲に属する全ての実施態様を包含する。
本発明の硬化性組成物から得られる硬化カバー層を有するディスクに関して行った様々な試験結果を示す。 同上。 同上。

Claims (36)

  1. a)シラン官能化コロイド状シリカと、
    b)脂肪族環状アクリレート、ウレタンジアクリレート及びエポキシ樹脂からなる群から選択される少なくとも1つの硬化性モノマー、及び
    c)(b)の前記硬化性モノマーための少なくとも1つの硬化剤を含んでなる硬化性組成物。
  2. 前記シラン官能化コロイド状シリカがコロイド状シリカと少なくとも1つの官能化用シランとの反応から得られる、請求項1記載の硬化性組成物。
  3. 前記シラン官能化コロイド状シリカがコロイド状シリカとアクリレートシラン及び/又はエポキシシランとの反応から得られる、請求項1記載の硬化性組成物。
  4. 少なくとも2つの異なる官能化シリカが含有される、請求項1記載の硬化性組成物。
  5. 少なくとも1つの官能化コロイド状シリカがコロイド状シリカとアクリレートシランとの反応から得られ、他の官能化コロイド状シリカがコロイド状シリカとエポキシシランとの反応から得られる、請求項4記載の硬化性組成物。
  6. 前記官能化用シランが以下の一般式で表される、請求項1記載の硬化性組成物。
    (RSi(OR4−a
    (式中、各Rは独立に、最高18の炭素原子数の一価の炭化水素基であり、化学反応性基を含んでもよく、各Rは独立に、最高18の炭素原子数の一価の炭化水素ラジカルであり、aは1〜3までのいずれかの整数である。)
  7. 前記化学反応性基がアクリレート及び/又はエポキシド官能基である、請求項6記載の硬化性組成物。
  8. 前記官能化シランが、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、アリルジアルキルシラン、β置換アリルシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリルオキシプロピル−メチルジエトキシシラン、3−アクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アクリルオキシプロピル−トリメトキシシラン、2−メタクリルオキシエチルメチルジエトキシシラン、2−メタクリルオキシエチル−メチルジメトキシシラン、2−メタクリルオキシエチルトリメトキシシラン、2−アクリルオキシエチル−トリメトキシシラン、3−メチルアクリルオキシプロピル、3−メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリルオキシプロピルジメチルエトキシシラン、2−メタクリルオキシエチルトリエトキシシラン及び2−アクリルオキシエチルトリエトキシシランからなる群から選択される少なくとも1つのシランである、請求項1記載の硬化性組成物。
  9. 前記コロイド状シリカがその約5〜約60重量%の官能化シランと反応している、請求項2記載の硬化性組成物。
  10. 前記コロイド状シリカの粒子径の名目メジアンが約250nm以下である、請求項1記載の硬化性組成物。
  11. 前記コロイド状シリカの粒子径の名目メジアンが約50nm以下である、請求項1記載の硬化性組成物。
  12. 前記コロイド状シリカの粒子径の名目メジアンが約25nm以下である、請求項1記載の硬化性組成物。
  13. 前記脂肪族環状アクリレートが少なくとも2つのアクリレート官能基を有し、前記エポキシ樹脂が少なくとも2つのエポキシド官能基を有する、請求項1記載の硬化性組成物。
  14. 前記脂肪族環状アクリレートが単環、二環又は三環のアクリレートのうちの少なくとも1つである、請求項1記載の硬化性組成物。
  15. 前記脂肪族環状アクリレートのモノマーが以下の式により表される、請求項14記載の硬化性組成物。
    Figure 2008543983
    (式中、Rは水素又は炭素原子数1〜4のアルキル基であり、aは1〜3であり、bは1〜3であり、mは0〜6であり、nは0〜6であり、Xは以下の1つ以上から選択されるスペーサー基であるか、
    Figure 2008543983
    又はpが1〜4であるその誘導体である。)
  16. 前記脂肪族環状アクリレートのモノマーが以下の式により表される、請求項15記載の硬化性組成物。
    Figure 2008543983
    (式中、各Rは水素又は−CHである。)
  17. 前記脂肪族環状アクリレートがシクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルジアクリレート、シクロヘキシルジメタクリレート、ノルボニルアクリレート、ノルボニルメタクリレート、ノルボニルメタクリレート及びノルボニルジメタクリレートからなる群から選択される少なくとも1つのメンバーである、請求項14記載の硬化性組成物
  18. 前記ウレタンジアクリレートモノマーが、ポリエーテル又はポリエステルジオールと、ヒドロキシル基末端アクリレートに由来するイソシアネート末端ポリウレタンとの反応生成物であって、任意に、ウレタンジアクリレートより低い粘性を有するアクリレート希釈剤を含んでなる、請求項1記載の硬化性組成物。
  19. 前記ウレタンジアクリレートが脂肪族ウレタンジアクリレートであり、任意に、混合物の粘性が25℃で約50〜約10,000cpsまで低下するのに充分な量のアクリレートで希釈されている、請求項16記載の硬化性組成物。
  20. 硬化性の前記多官能性エポキシ樹脂モノマーが、モノ−及びジカルボン酸のグリシジルエステル、アルキルグリシジルエーテル(例えばブチルグリシジルエーテル)、フェニルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、3−シクロヘキセニルメチル−3−シクロヘキセニルカルボキシレートジエポキシド、2−(3,4−エポキシ)シクロヘキシル−5,5−スピロ−(3,4−エポキシ)シクロヘキサン−m−ジオキサン、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサン−カルボン酸エステル、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサン−カルボン酸エステル、ビニルシクロヘキサンジオキシド、ビス(3,4―エポキシシクロヘキシルメチル)アジピン酸エステル、ビス(3,4−エポキシ−β−メチルシクロヘキシルメチル)アジピン酸エステル、エキソ−エキソビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、エンド−エキソビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、2,2−ビス(4−(2,3−エポキシプロポキシ)−シクロヘキシル)プロパン、2,6−ビス(2,3−エポキシプロポキシシクロヘキシル−p−ジオキサン)、2,6−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)ノルボルネン、リノール酸二量体のジグリシジルエーテル、二酸化リモネン、2,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロパン、二酸化ジシクロペンタジエン、1,2−エポキシ−6−(2,3−エポキシプロポキシ)ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダン、p−(2,3−エポキシ)シクロペンチルフェニル−2,3−エポキシプロピルエーテル、1−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル−5,6−エポキシ−ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダン、o−(2,3−エポキシ)シクロペンチルフェニル−2,3−エポキシプロピルエーテル、1,2−ビス(5−(1,2−エポキシ)−4,7−ヘキサヒドロメタノインダンオキシル)エタン、シクロペンテニルフェニルグリシジルエーテル、シクロヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ジグリシジルヘキサヒドロフタレート、ビスフェノールA及びビスフェノールFのジグリシジルエーテル、アルキルグリシジルエーテル、アルキル−及びアルケニル−グリシジルエステル、アルキル−、モノ−及びポリフェノールグリシジルエーテル、ピロカテコールのポリグリシジルエーテル、レゾルシノール、ヒドロキノン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルジメチルメタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメチルメタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルシクロヘキサン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルプロパン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン及びトリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、塩化ポリグリシジルエーテル及び上記ジフェノールの臭化物、ノボラックのポリグリシジルエーテル、ジハロアルカン又はジハロゲンジアルキルエーテルと芳香族ハイドロカルボン酸塩をエステル化することによって得られたジフェノールのエーテルをエステル化することによって得られたジフェノールのポリグリシジルエーテル、フェノール類及び少なくとも2つのハロゲン原子を含む長鎖ハロゲンパラフィンの縮合により得られるポリフェノールのポリグリシジルエーテル、フェノールノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂、ソルビトールグリシジルエーテルからなる群から選択される少なくとも1つのメンバーである、請求項13記載の硬化性組成物。
  21. 前記エポキシ樹脂モノマーがアルコールと結合する、請求項1記載の硬化性組成物。
  22. 前記アルコールが多官能性アルコールである、請求項21記載の硬化性組成物。
  23. 前記アルコールがヒドロキシル基を含んでなるオキセタンである、請求項21記載の硬化性組成物。
  24. 前記オキセタンが、3−ヒドロキシメチル−3−メチルオキセタン、3−ヒドロキシメチル−3−エチルオキセタン、3−ヒドロキシメチル−3−アミルオキセタン、3−ヒドロキシメチル−3−フェノキシメチルオキセタン、3−ヒドロキシメチル−3−p−tert−ブチル−フェノキシメチルオキセタン、3−ヒドロキシメチル−3−オクチルオキセタン及び3−ヒドロキシメチル−3−ベンジルオキセタンからなる群から選択される少なくとも1つのメンバーである、請求項23記載の硬化性組成物。
  25. 硬化した請求項1記載の組成物。
  26. 硬化した請求項6記載の組成物。
  27. 硬化した請求項7記載の組成物。
  28. 硬化した請求項13記載の組成物。
  29. 硬化した請求項14記載の組成物。
  30. 硬化した請求項18記載の組成物。
  31. 硬化した請求項20記載の組成物。
  32. 硬化した請求項21記載の組成物。
  33. 基材及び少なくともその一部の表面に接着している硬化した請求項1記載の組成物を含んでなる物品。
  34. 前記基材が、少なくとも1つの合成重合体、金属、金属合金、ガラス、セラミック又は木である、請求項31記載の物品。
  35. 光学情報記憶媒体である、請求項31記載の物品。
  36. ブルーレイディスクである、請求項31記載の物品。
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