JP2008543743A - 混成モノマーを含有する歯科組成物 - Google Patents

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Abstract

本発明は、(メタ)アクリロイル部分が付着する環状アリル硫化物部分を含む少なくとも1つの混成モノマーを含む歯科組成物を特徴とする。これらの2つの官能性部分は、典型的に、化学結合を経由して互いに直接接合するか、あるいはある化学構造又はスペーサ−分子を通じて接合する。組成物は、任意に、典型的に歯科組成物において使用されるエチレン性不飽和化合物のような更なる重合可能な化合物を含有してもよい。

Description

本発明は、一般に修復歯科学において有用である硬化可能な歯科組成物に関する。より具体的には、本発明は、重合収縮が少ないフリーラジカル開環環状アリル硫化物モノマーを含有する硬化可能な歯科組成物に関する。
有機樹脂及び充填剤から製造される歯科複合物は、それらの優れた審美的特性に起因して、歯科用途、特に修復歯科学において増大する用途を見出している。典型的な歯科複合物樹脂は、高い充填剤レベルを促進する希釈剤として役立つ低粘度ジ(メタ)アクリレートモノマーを含有する。これらの希釈剤は、通常トリエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA)のような分子量の小さい(メタ)アクリレートであり、これは、その低分子量に起因して、重合に際し、実質的に収縮する。重合収縮は、歯科用途において多数の問題を導き得る。例えば、複合物と歯牙構造との間の隙間を生じることが多く、これは、施術後の敏感性、マイクロリーク(microleakage)、エナメル質端の破損、及び二次的な虫歯を導き得る。
多数の要因が、重合収縮における役割を果たすと考えられている。モノマー間のファン・デル・ワールス距離が共有結合に代わり、ポリマーの充填密度が、モノマーの充填密度と比較して上昇すると、収縮が生じると仮定されている。こうした現象を最小にしようと試みることによって、ポリマーの収縮を低減させるという努力が最近なされてきている。
しかし、現在入手できる低収縮組成物の多くは、歯科用途のために必要な物理的、機械的、及び視覚的特性に欠けている。さらに、全ての低収縮組成物が、口腔内での使用に適した条件の下で、有効に重合可能であるわけではない。従って、この領域における実質的な進歩にもかかわらず、特定の種類の歯科複合物と共に機能するとき、重合収縮は、尚、重大な問題として残る。その結果として、破壊靭性及び審美性のような他の有益な特性を犠牲にすることなく、ポリマーの収縮が低減された新しい複合材料の必要性が存続する。
本発明は、少なくとも1つの環状アリル硫化物部分及び少なくとも1つの(メタ)アクリロイル部分を有する重合可能な化合物を含む、硬化可能な歯科組成物を特徴とする。こうした重合可能な化合物は、本明細書では、混成モノマー又は混成化合物と呼ばれる。環状アリル硫化物部分は、典型的に、1つが硫黄である2つのへテロ原子を有する少なくとも1つの7又は8員環を環内に含む。最も典型的には、両方のへテロ原子が硫黄であり、これは、任意にSO、SO2、又はS−S部分の一部として存在してもよい。他の実施形態では、環は、硫黄原子と、酸素又は窒素のような第二の異なるへテロ原子とを環内に含んでもよい。加えて、環状アリル部分は、複数の環状構造を含んでもよく、すなわち2つ以上の環状アリル硫化物部分を有してもよい。(メタ)アクリロイル部分は、好ましくは(メタ)アクリロイロキシ(すなわち(メタ)アクリレート部分)又は(メタ)アクリロイルアミノ(すなわち、(メタ)アクリルアミド部分)である。
ある実施において、これらの混成モノマーは、環状アリル硫化物部分の環状構造に直接結合する酸素原子を含む。本明細書で使用する時、「環状構造に直接結合する」とは、環の少なくとも1つの炭素原子が、環の一員ではない酸素原子、すなわち環自体の原子ではない酸素に、共有結合する(典型的に、結合は単結合である)ことを意味する。環外酸素は、典型的にいかなる環状構造の員でもないが、別の環の員であることができる。
特定の実施形態では、本発明の重合可能な化合物としては、以下の式により表されるものが挙げられる。
Figure 2008543743
式1a
又は
Figure 2008543743
式1b
[式中、各Xは、少なくとも1つのXがS、又はSを含む基であるという条件で、S、O、N、C(例えば、CH2又はCRR、ここで各Rは独立してH又は有機基である)、SO、SO2、N−アルキル、N−アシル、NH、N−アリール、カルボキシル、又はカルボニル基から独立して選択され得る。好ましくは、各XはSである。
Yは、存在しないか、あるいは任意にへテロ原子、カルボニル、又はアシルを包含するアルキレン(例えば、メチレン、エチレン等)であるか、あるいは存在せず、その結果、環のサイズを示し、典型的に7〜10員環であるが、より大きい環も意図される。好ましくは、環は、それぞれYが存在しないか又はメチレンである、7又は8員環である。
ZはO、NH、N−アルキル(直鎖状又は分枝状)、又はN−アリール(フェニル又は置換フェニル)である。
R’基は、アルキレン(典型的に1超過の炭素原子を有する、すなわちメチレン以外)、任意にへテロ原子(例えば、O、N、S、S−S、SO、SO2)を包含するアルキレン、アリーレン、脂環式、カルボニル、シロキサン、アミド(−CO−NH−)、アシル(−CO−O−)、ウレタン(−O−CO−NH−)、及び尿素(−NH−CO−NH−)基、並びにこれらの組み合わせから選択される連結部を表す。特定の実施形態では、R’は、直鎖状又は分枝状であってよいアルキレン基、典型的にメチレン又はより長い基を含み、これは、非置換であるか又はアリール、シクロアルキル、ハロゲン、ニトリル、アルコキシ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルチオ、カルボニル、アシル、アシルオキシ、アミド、ウレタン基、尿素基、環状アリル硫化物部分、又はこれらの組み合わせによる置換のいずれかであることができる。
R”はH及びCH3から選択され、「a」及び「b」は独立して1〜3である。
任意に、環状アリル硫化物部分は、環上で、直鎖状又は分枝鎖状アルキル、アリール、シクロアルキル、ハロゲン、ニトリル、アルコキシ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルチオ、カルボニル、アシル、アシルオキシ、アミド、ウレタン基、及び尿素基から選択される1以上の基によりさらに置換され得る。好ましくは、選択された置換基は、硬化反応に干渉しない。好ましいのは、非置換メチレン員を含む環状アリル硫化物構造である。
本発明の典型的な混成モノマーは、環内に2つの硫黄原子を有し、アシル基を有する環(すなわち、環−OC(O)−)の3位に直接付着する連結部を有する8員環状アリル硫化物部分を含む。典型的に混成モノマーの重量平均分子量(MW)は、約400〜約900の範囲であり、ある実施形態では少なくとも250、より典型的に少なくとも500、最も典型的に少なくとも800である。
本発明の組成物は、任意に、さらなるモノマー、典型的にエチレン性不飽和化合物を包含してもよい。一実施形態では、エチレン性不飽和化合物は、置換(メタ)アクリル化合物、例えば、少なくとも1つの官能基を有するジ(メタ)アクリレート、脂肪族(メタ)アクリレート、及び/又は芳香族官能性を有する(メタ)アクリレートを含む。好適な置換(メタ)アクリル化合物の例としては、エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート(ビスEMA6)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、ビスフェノールAジグリシジルジメタクリレート(ビスGMA)、ウレタンジメタクリレート(UDMA)、トリエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA)、グリセロールジメタクリレート(GDMA)、エチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート(NPGDMA)、及びポリエチレングリコールジメタクリレート(PEGDMA)が挙げられるが、これらに限定されない。
また本発明の組成物は、反応開始剤系、好ましくは、例えば、約300〜約600nmの範囲の光を吸収可能なアシルホスフィンオキシド光反応開始剤、及び/又は、ヨードニウム塩、電子供与体、及び光増感剤を包含する三要素光反応開始剤系を含有する光反応開始剤(photoinitator)系も典型的に含む。
組成物は、フリーラジカル的に重合可能な官能性を含有するシランで任意に処理された歯科材料において、典型的に使用される種類の1以上の充填剤を任意に含む。
本発明の組成物は、クラウン材及びブリッジ材、充填剤、接着剤、シーラント、インレイ、オンレイ、薄層ベニヤ、合着材又はセメント、義歯ベース材料、歯科矯正材料及びシーラント、並びに他の歯科修復材料を包含する様々な歯科治療及び修復機能において有用である。組成物中に環状アリル硫化物部分及び(メタ)アクリル部分を含む混成モノマーを包含すると、優れた重合を生じ、収縮が少なくて機械的特性が高い、硬化された歯科複合物を形成する。
上記の要約は、本発明の各実施形態、又は全ての実施を記載するものではない。本発明の他の実施形態、特徴、及び利点は、以下の発明を実施するための最良の形態及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。
定義
本明細書で使用する時、「硬化可能な」構成要素とは、硬化可能な1以上の化合物を包含する、例えば、光重合反応及び化学重合技術(例えば、エチレン性不飽和化合物、(メタ)アクリレート化合物等を重合するのに有効なラジカルを形成するイオン性反応又は化学反応)を包含する重合及び/又は架橋反応が可能な構成要素を指す。また硬化反応は、セメント形成組成物(例えば、亜鉛ポリカルボキシレートセメント、ガラスアイオノマーセメント等)にとって一般的であるもののような酸塩基設定(setting)反応も包含する。
本明細書で使用する時、「歯科組成物」とは、例えば、歯科接着剤、歯科矯正接着剤、複合物、修復剤、歯科セメント、歯科矯正セメント、シーラント、コーティング、印象材、充填材、及びこれらの組み合わせを包含する、経口環境において使用される硬化可能な組成物を指す。ある実施形態では、硬化可能な構成要素を包含する本発明の歯科組成物は、クラウン、ブリッジ、ベニヤ、インレイ、オンレイ、充填物、ミルブランク、印象材、歯科矯正装置、補綴物(例えば、部分義歯又は総義歯)、並びに歯科予防又は修復治療(例えば、カップ、ブラシ、艶出し剤のような予防剤)において使用される仕上げ装置又は艶出し装置から成る群から選択される歯科物品を製作するために硬化することができる。
本明細書で使用する時、「歯科接着剤」とは、典型的に硬化可能な歯科材料(例えば、充填材)を歯表面に接着するために使用される、非充填又は軽充填歯科組成物(例えば、40重量%未満の充填剤)を指す。硬化後、歯科組成物は、典型的に粘着性(tacky)でなく又はべたっとする(sticky)ことがないので、感圧性接着剤(PSAs)として既知の材料の部類には入らないであろう。
本明細書で使用する時、「(メタ)アクリル」は、「アクリル」及び/又は「メタクリル」を指す短縮用語である。例えば、「(メタ)アクリロイロキシ」基は、アクリロイロキシ基(すなわち、CH2=CHC(O)O−)及び/又はメタクリロイロキシ基(すなわち、CH2=C(CH3)C(O)O−)を指す短縮用語であり;並びに「(メタ)アクリロイル」基は、アクリロイル基(すなわち、CH2=CHC(O)−)及び/又はメタクリロイル基(すなわち、CH2=C(CH3)C(O)−)を指す短縮用語である。
「置換(メタ)アクリロイル化合物」とは、酸素上にメチル以外の有機置換基を有する(メタ)アクリレートのような(メタ)アクリロイル化合物を意味する。
「光増感剤」とは、光反応開始型重合の速度を向上するか、あるいは、重合が起こる波長を移動する、任意の物質を意味する。典型的な光増感剤は、400nm〜520nmの範囲内のいくらかの光を吸収するモノケトン及びジケトンである。
端点による数の範囲の列挙には、その範囲内に包括される全ての数が包含される(例えば、1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5を包含する)。
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用されるとき、単数形「a」、「an」、及び「the」は、その内容について別段の明確な指示がない限り、複数の指示対象を包含する。従って、例えば「化合物」("a compound")を含有する組成物の言及は、2つ以上の化合物の混合物を包含する。本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用されるとき、用語「又は」は、その内容について別段の明確な指示がない限り、一般的に「及び/又は」を包含する意味で用いられる。
別に示されない限り、明細書及び請求項で使用される成分の量、コントラスト比のような特性の測定等を表す全ての数は、全ての場合に用語「約」によって修正されることが理解されるべきである。従って、逆に示されない限り、上述の明細書及び添付の請求項で述べられる数のパラメータは、本発明の教示を利用して当業者により得ようとされた任意の特性に依存して変化することができる近似値である。最低限でも、特許請求の範囲への同等物の原則の適用を限定する試みとしてではなく、少なくとも各数値的パラメータは、報告された有効数字の数を考慮して、通常の四捨五入の適用によって解釈されなければならない。本発明の広範囲で示す数値的範囲及びパラメータは、近似値であるが、具体例に記載の数値は可能な限り正確に報告する。しかしながら、いずれの数値もそれらの各試験測定値において見られる標準偏差から必然的に生じる特定の誤差を本来含有する。
本発明は、歯科修復剤用途において有用な、重合収縮が少なく機械的特性が高い、硬化可能な歯科組成物を提供する。これらの組成物は、(メタ)アクリル部分が化学的に付着する環状アリル硫化物部分を含む少なくとも1つの混成モノマーを含有する。これらの2つの機能的統一体(entities)は、典型的に化学結合を経由して互いに直接結合する、あるいはある化学構造又はスペーサ−(すなわち、連結部)分子を通じて結合する。組成物は、任意に、典型的に歯科組成物において使用されるエチレン性不飽和化合物、例えば置換(メタ)アクリレート又は同類の化合物のような、さらなる重合可能な化合物を含有してもよい。
一実施形態では、組成物は、さらに反応開始剤系、典型的に光反応開始剤系を包含し、これは、適切な波長の化学放射線の照射に際し、組成物の重合(又は硬化)を開始する。組成物は、歯科材料の適用の前又は後に硬化される(例えば、従来の光重合及び/又は化学重合技術により重合される)ことができる。同様に充填剤及び他の任意の添加剤も、組成物に組み込まれてよい。
混成モノマー構成要素
本発明の混成モノマーは、米国特許第6,495,643号(エバンス(Evans)ら);米国特許第6,344,556号(エバンスら);米国特許第6,043,361号(エバンスら);PCT国際公開特許WO96/19471(エバンスら);PCT国際公開特許WO94/14792(リッザールド(Rizzardo)ら);リチャード・エバンス(Richard Evans)らの、新しいフリーラジカル開環アクリレートモノマー(New Free-Radical Ring-Opening Acrylate Monomers)、巨大分子(Macromolecules)、1994年、27(26)、7935−7937頁;リチャード・エバンス(Richard Evans)及びエジオ・リッザールド(Ezio Rizzardo)の、環状アリル硫化物のフリーラジカル開環重合(Free-Radical Ring-Opening Polymerization of Cyclic Allylic Sulfides)、巨大分子(Marcomolecules)、1996年、29、6983−6989頁;リチャード・エバンス及びエジオ・リッザールドの、環状アリル硫化物のフリーラジカル開環重合.2.7及び8員環低収縮モノマー上の置換基の効果(Free Radical Ring-Opening Polymerization of Cyclic Ally lie Sulfides . 2. Effect of Substituents on Seven- and Eight-Membered Ring Low Shrink Monomers)、巨大分子(Macromolecules)、2000年、33、6722−6731頁、並びにリチャード・エバンス及びエジオ・リッザールドの、環状アリル硫化物のフリーラジカル開環重合(Free Radical Ring-Opening Polymerization of Cyclic Ally lie Sulfides):重合容積収縮が少ない液体モノマー(Liquid Monomers with Low Polymerization Volume Shrinkage)、ポリマー科学ジャーナル(Journal of Polymer Science):パートA:ポリマー化学(Polymer Chemistry)、2001年、39、202−215頁に記載されているものが挙げられる、ヒドロキシ置換環状アリル硫化物化合物から製造することができ、これら全ては、それらの全体が参考文献として本明細書に組み込まれる。
本発明の混成モノマーは、1以上の(メタ)アクリロイル部分を、1以上のこれらのヒドロキシ置換環状アリル硫化物化合物に付着することにより、作製することができる。好ましいヒドロキシ置換環状アリル硫化物化合物としては、C−8アルコール(7−メチレン−1,5−ジチアシクロオクタン−3−オル;実施例のセクションに記載されている)、C−8メタノール(7−メチレン−1,5−ジチアシクロオクタン−3−メタノール)、C−7アルコール(6−メチレン−1,4−ジチアシクロペンタン−3−オル)、及びC−7メタノール(6−メチレン−1,4−ジチアシクロペンタン−3−メタノール;米国特許第6,495,643号(エバンス(Evans)ら)において化合物1a−4として記載されている)が挙げられる。典型的に、本発明の混成モノマーは、ヒドロキシ置換環状アリル硫化物化合物と、少なくとも1つの(メタ)アクリロイル部分と少なくとも1つのヒドロキシ基と反応する基(例えば、酸基、酸ハロゲン化物基、無水物基、又はイソシアネート基)とを有する有機分子とを反応させることにより、得ることができる。有機分子のヒドロキシ反応基とヒドロキシ置換環状アリル硫化物化合物との反応は、本発明の特定の混成モノマーを導き得る。従って、例えば、C−8アルコールは、モノ−2−メタアクリロイロキシエチルフタレートと反応し、混成モノマー1−(2−メタアクリロイロキシエチル)−2−(7−メチレン−1,5−ジチアオクタン−3−イル)フタレート(実施例1;化合物A)を生じることができる。或いは、環状アリル硫化物化合物は、ヒドロキシ基と反応する基(例えば、酸基、酸ハロゲン化物基、無水物基、又はイソシアネート基)により置換され、ヒドロキシ置換メタクリレート(例えば、HEMA)と反応し、様々な混成モノマーを生じることができる。これらの合成経路は、本発明の混成モノマーへの可能な多くの有機合成方法のいくつかだけを表す。こうした方法は、当技術者に容易に知られているであろう。
一実施形態では、環状アリル硫化物部分は、少なくとも1つのへテロ原子、典型的には、任意にSO、SO2、又はS−S部分の一部として存在してもよい硫黄原子を有する7〜8員を有する環状構造を含む。最も典型的には、環は、環内に、2つの硫黄原子を含むか、あるいは、硫黄原子と酸素又は窒素のような第二の異なるへテロ原子とを含む。加えて、環状アリル硫化物部分は、複数の環状構造を含んでもよいので、混成モノマーは、2つ以上の環状アリル硫化物部分を有してもよい。
本発明の化合物の代表例は次のとおりである:
Figure 2008543743
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Figure 2008543743
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Figure 2008543743
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エチレン性不飽和構成要素
また本発明の組成物は、酸官能性を有する又は有さない1以上のエチレン性不飽和化合物を包含してもよい。有用なエチレン性不飽和化合物の例としては、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ヒドロキシ官能アクリル酸エステル、ヒドロキシ官能メタクリル酸エステル、アクリルアミド、メタクリルアミド、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
組成物(例えば、光重合可能な組成物)は、1以上のエチレン性不飽和基を有するモノマー、オリゴマー、及びポリマーを包含してもよいフリーラジカル的に活性な官能基を有する化合物を包含してもよい。好適な化合物は、少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を含有し、付加重合を受けることが可能である。こうしたフリーラジカル的に重合可能な化合物としては、メチル(メタ)アクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ヘキシルアクリレート、ステアリルアクリレート、アリルアクリレート、グリセロールトリアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、1,2,4−ブタントリオールトリメタクリレート、1,4−シクロヘキサンシオールジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ビス[l−(2−アクリロイロキシ)]−p−エトキシフェニルジメチルメタン、ビス[l−(3−アクリロイロキシ−2−ヒドロキシ)]−p−プロポキシフェニルジメチルメタン、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、及びトリスヒドロキシエチル−イソシアヌレートトリメタクリレートのようなモノ−、ジ−、又はポリ−(メタ)アクリレート(すなわち、アクリレート及びメタクリレート);(メタ)アクリルアミド、メチレンビス−(メタ)アクリルアミド、及びジアセトン(メタ)アクリルアミドのような(メタ)アクリルアミド(すなわち、アクリルアミド及びメタアクリルアミド);ウレタン(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコール(好ましくは分子量200〜500)のビス−(メタ)アクリレート、米国特許第4,652,274号(ベッチャー(Boettcher)ら)に記載のもののようなアクリレート化モノマーの共重合可能な混合物、米国特許第4,642,126号(ザドー(Zador)ら)に開示されたもののようなアクリレート化オリゴマー、及び米国特許第4,648,843号(ミトラ(Mitra))に記載のもののようなポリ(エチレン性不飽和)カルバモイルイソシアヌレート;並びにスチレン、ジアリルフタレート、ジビニルサクシネート、ジビニルアジパート、及びジビニルフタレートのようなビニル化合物が挙げられる。他の好適なフリーラジカル的に重合可能な化合物としては、例えば、PCT国際公開特許WO00/38619(グーゲンベーガー(Guggenberger)ら)、PCT国際公開特許WO01/92271(ウェインマン(Weinmann)ら)、PCT国際公開特許WO01/07444(グーゲンベーガーら)、PCT国際公開特許WO00/42092(グーゲンベーガーら)に開示されているようなシロキサン官能(メタ)アクリレート、並びに、例えば、米国特許第5,076,844号(フォック(Fock)ら)、米国特許第4,356,296号(グリフス(Griffith)ら)、EP0373384(ワゲンネクト(Wagenknecht)ら)、EP0201031(レイナーズ(Reiners)ら)、及びEP0201778(レイナーズ(Reiners)ら)に開示されているようなフルオロポリマー官能(メタ)アクリレートが挙げられる。任意に、2つ又はそれ以上のフリーラジカル的に重合可能な化合物の混合物を使用することができる。
同様にエチレン性不飽和化合物は、単一分子内にヒドロキシル基及びエチレン性不飽和基も含有してもよい。こうした物質の例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及び2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートのようなヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;グリセロールモノ−又はジ−(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパンモノ−又はジ−(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールモノ−、ジ−、及びトリ−(メタ)アクリレート;ソルビトールモノ−、ジ−、トリ−、テトラ−、又はペンタ−(メタ)アクリレート;及び2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシ−3−エタアクリロキシプロポキシ)フェニル]プロパン(ビスGMA)が挙げられる。また好適なエチレン性不飽和化合物は、シグマ・アルドリッチ(Sigma-Aldrich)(ミズーリ州セントルイス(St. Louis))のような多種多様な商業的供給源から入手することもできる。エチレン性不飽和化合物の混合物を、必要であれば使用できる。
特定の実施形態では、エチレン性不飽和化合物は、好ましくは置換(メタ)アクリル化合物を含む。特に有用な(メタ)アクリル化合物としては、少なくとも1つの官能基を有するジ(メタ)アクリレート、脂肪族(メタ)アクリレート、及び芳香族官能性を有する(メタ)アクリレートが挙げられる。好適な置換(メタ)アクリル化合物の例としては、米国特許第6,030,606号(ホルムズ(Holmes))に記載されているようなエトキシ化ビスフェロールAジメタクリレート(ビスEMA6)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、ビスフェノールAジグリシジルジメタクリレート(ビスGMA)、ウレタンジメタクリレート(UDMA)、トリエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA)、グリセロールジメタクリレート(GDMA)、エチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート(NPGDMA)、及びポリエチレングリコールジメタクリレート(PEGDMA)が挙げられる。任意に、これらの化合物の様々な組み合わせを使用することができる。
本発明の組成物は、エチレン性不飽和化合物を、非充填組成物の全重量を基準として、典型的には少なくとも5重量%、より典型的には少なくとも10重量%、最も典型的には少なくとも15重量%包含する。本発明の組成物は、エチレン性不飽和化合物を、非充填組成物の全重量を基準として、典型的には最大95重量%、より典型的には最大90重量%、最も典型的には最大80重量%包含する。
本発明の組成物は、酸官能性を有さないエチレン性不飽和化合物を、非充填組成物の全重量を基準として、典型的には少なくとも5重量%(wt−%)、より典型的には少なくとも10重量%、最も典型的には少なくとも15重量%包含する。本発明の組成物は、酸官能性を有さないエチレン性不飽和化合物を、非充填組成物の全重量を基準として、典型的には最大95重量%、より典型的には最大90重量%、最も典型的には最大80重量%包含する。
酸官能性を有するエチレン性不飽和化合物
一般に、本発明の組成物は、酸官能性を有さないエチレン性不飽和化合物を包含する;しかし、本発明のある実施形態では、組成物は、代わりに又は加えて、酸官能性を有する1以上のエチレン性不飽和化合物を包含してもよい。
本明細書で使用する時、酸官能性を有するエチレン性不飽和化合物とは、エチレン性不飽和並びに酸及び/又は酸前駆体官能性を有するモノマー、オリゴマー、及びポリマーが包含されることを意味する。酸前駆体官能性としては、例えば、無水物、酸ハロゲン化物、及びピロリン酸塩が挙げられる。酸官能性は、C、B、P又はS、あるいはこれらの組み合わせの酸素酸を包含することができる。例としては、カルボン酸官能性、リン酸官能性、ホスホン酸官能性、スルホン酸官能性、又はこれらの組み合わせが挙げられる。
酸官能性を有するエチレン性不飽和化合物としては、例えば、グリセロールホスフェートモノ(メタ)アクリレート、グリセロールホスフェートジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(例えば、HEMA)ホスフェート、ビス((メタ)アクリロイロキシエチル)ホスフェート、((メタ)アクリロイロキシプロピル)ホスフェート、ビス((メタ)アクリロイロキシプロピル)ホスフェート、ビス((メタ)アクリロイロキシ)プロピロキシホスフェート、(メタ)アクリロイロキシヘキシルホスフェート、ビス((メタ)アクリロイロキシヘキシル)ホスフェート、(メタ)アクリロイロキシオクチルホスフェート、ビス((メタ)アクリロイロキシオクチル)ホスフェート、(メタ)アクリロイロキシデシルホスフェート、ビス((メタ)アクリロイロキシデシル)ホスフェート、カプロラクトンメタクリレートホスフェート、クエン酸ジ−又はトリ−メタクリレート、ポリ(メタ)アクリレート化オリゴマレイン酸、ポリ(メタ)アクリレート化ポリマレイン酸、ポリ(メタ)アクリレート化ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリレート化ポリカルボキシル−ポリホスホン酸、ポリ(メタ)アクリレート化ポリクロロホスホン酸、ポリ(メタ)アクリレート化ポリスルホネート、ポリ(メタ)アクリレート化ポリホウ酸等のようなα,β−不飽和酸性化合物が挙げられ、硬化可能な構成要素系における構成要素として使用されてもよい。また、(メタ)アクリル酸、芳香族(メタ)アクリレート化酸(例えば、メタクリレート化トリメリット酸)、及びこれらの無水物のような不飽和炭酸のモノマー、オリゴマー、及びポリマーも使用することができる。本発明の特定の好ましい組成物としては、少なくとも1つのP−OH部分を有する酸官能性を有するエチレン性不飽和化合物が挙げられる。
これらの化合物のいくつかは、例えば、イソシアネートアルキル(メタ)アクリレートとカルボン酸との反応生成物として得られる。酸官能性及びエチレン性不飽和構成要素を有するこの種類のさらなる化合物は、米国特許第4,872,936号(エンゲルブレクト(Engelbrecht))及び同第5,130,347号(ミトラ(Mitra))に記載されている。エチレン性不飽和及び酸部分の両方を含有する多種多様なこうした化合物を使用することができる。任意に、こうした化合物の混合物を使用することができる。
酸官能性を有するさらなるエチレン性不飽和化合物としては、例えば、米国公開特許出願2004/0206932(アブエルヤマン(Abuelyaman)ら)において開示された重合可能なビスホスホン酸;AA:ITA:IEM(例えば、米国特許第5,130,347号(ミトラ(Mitra))の実施例11に記載されたように、AA:ITAコポリマーと十分な2−イソシアネートエチルメタクリレートとを反応させて、コポリマーの一部の酸基をペンダントメタクリレート基に変換させることにより、製造されたアクリル酸:ペンダントメタクリレートを有するイタコン酸のコポリマー);並びに米国特許第4,259,075号(ヤマウチ(Yamauchi)ら)、同第4,499,251号(オムラ(Omura)ら)、同第4,537,940号(オムラ(Omura)ら)、同第4,539,382号(オムラ(Omura)ら)、同第5,530,038号(ヤマモト(Yamamoto)ら)、同第6,458,868号(オカダ(Okada)ら)、及び欧州公開特許出願EP712,622(トクヤマ社(Tokuyama Corp.))及びEP1,051,961(クラレイ社(Kuraray Co., Ltd.))に列挙されたものが挙げられる。
また本発明の組成物は、酸官能性を有するエチレン性不飽和化合物の組合せを包含する組成物も包含することができる。典型的に、組成物は自己接着剤及び非水性である。例えば、こうした組成物は、以下:少なくとも1つの(メタ)アクリロキシ基及び少なくとも1つの−O−P(O)(OH)x基を包含する第一化合物、式中、x=1又は2であり、少なくとも1つの−O−P(O)(OH)x基及び少なくとも1つの(メタ)アクリロキシ基は、C1−C4の炭化水素基により連結している;少なくとも1つの(メタ)アクリロキシ基及び少なくとも1つの−O−P(O)(OH)x基を包含する第二化合物、式中、x=1又は2であり、少なくとも1つの−O−P(O)(OH)x基及び少なくとも1つの(メタ)アクリロキシ基は、C5−C12の炭化水素基により連結している;酸官能性を有さないエチレン性不飽和化合物;反応開始剤系;並びに充填剤、を包含できる。そのような組成物は、例えば、米国仮出願60/600,658(ラクターハンド(Luchterhandt)ら)(2004年8月11日出願)に記載されている。
本発明の組成物は、酸官能性を有するエチレン性不飽和化合物を、非充填組成物の全重量を基準として、典型的には少なくとも1重量%、より典型的には少なくとも3重量%、最も典型的には少なくとも5重量%包含する。本発明の組成物は、酸官能性を有するエチレン性不飽和化合物を、非充填組成物の全重量を基準として、典型的には最大80重量%、より典型的には最大70重量%、最も典型的には最大60重量%包含する。
光反応開始剤系
特定の実施形態では、本発明の組成物は光重合可能である、すなわち、組成物は、化学放射線の照射に際し、組成物のフリーラジカル重合(又は硬化)を開始する光重合可能な構成要素及び光反応開始剤(すなわち、光反応開始剤系)を含有する。フリーラジカル的に光重合可能な組成物を重合するために好適な光反応開始剤としては、典型的に300nm〜1200nmの機能的波長範囲、より典型的に300nm〜600nmの範囲を有するホスフィンオキシドの部類が挙げられる。特に有用なホスフィンオキシドフリーラジカル反応開始剤は、一般に380nm〜450nmの機能的波長範囲を有し、米国特許第4,298,738号(レッケン(Lechtken)ら)、同第4,324,744号(レッケンら)、同第4,385,109号(レッケンら)、同第4,710,523号(レッケンら)、及び同第4,737,593号(エルリッチ(Ellrich)ら)、同第6,251,963号(コーラ−(Kohler)ら);及びEP特許出願0173567A2(イング(Ying))に記載されているもののようなアシル及びビスアシルホスフィンオキシドである。
380nm〜450nm超過の波長範囲の照射時にフリーラジカル反応開始が可能な市販のホスフィンオキシド光反応開始剤としては、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(イルガキュア(IRGACURE)819、チバ・スペシャリティー・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals)、ニューヨーク州タリタウン(Tarrytown))、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−(2,4,4−トリメチルペンチル)ホスフィンオキシド(CGI403、チバ・スペシャリティー・ケミカルズ)、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシドと2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンとの25:75重量混合物(イルガキュア1700、チバ・スペシャリティー・ケミカルズ)、ビス(η.5−2−4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1イル)−フェニル)チタン(イルガキュア784、チバ・スペシャリティー・ケミカルズ)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシドと2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンとの1:1重量混合物(ダロキュア(DAROCUR)4265、チバ・スペシャリティー・ケミカルズ)、及びエチル2,4,6−トリメチルベンジルフェニルホスフィネート(ルシリン(LUCIRIN)LR8893X、BASF社、ノースカロライナ州シャーロット(Charlotte))が挙げられる。
アシルホスフィンオキシドと組み合わせて、三級アミン還元剤を使用してもよい。本発明において有用な実例となる三級アミンとしては、エチル4−(N,N−ジメチルアミノ)ベンゾエート及びN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートが挙げられる。存在する場合、アミン還元剤は、光重合可能な組成物中に、組成物の全重量を基準として0.1重量%〜5.0重量%の量で存在する。他の反応開始剤の有用な量は、当技術者に周知である。
フリーラジカル的に光重合可能な組成物を重合するための他の好適な光反応開始剤(すなわち、1以上の化合物を包含する光反応開始剤系)としては、二要素系及び三要素系が挙げられる。典型的な三要素光反応開始剤系は、米国特許第5,545,676号(パラゾット(Palazzotto)ら)に記載されるようにヨードニウム塩、光増感剤、及び電子供与体化合物を包含する。好ましいヨードニウム塩は、ジアリールヨードニウム塩、例えば、ジフェニルヨードニウムクロライド、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロホウ酸塩、及びトリクミルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートである。好ましい光増感剤は、400nm〜520nm(好ましくは、450nm〜500nm)の範囲内のいくらかの光を吸収するモノケトン及びジケトンである。より好ましい化合物は、400nm〜520nm(さらにより好ましくは、450〜500nm)の範囲内のいくらかの光を吸収するα−ジケトンである。好ましい化合物は、カンファーキノン、ベンジル、フリル、3,3,6,6−テトラメチルシクロヘキサンジオン、フェナントラキノン、1−フェニル−1,2−プロパンジオン及び他の1−アリール−2−アルキル−1,2−エタンジオン、並びに環状α−ジケトンである。最も好ましいのは、カンファーキノンである。好ましい電子供与体化合物としては、置換アミン、例えば、エチルジメチルアミノベンゾエートが挙げられる。カチオン的に重合可能な樹脂を光重合するために有用な他の好適な三要素光反応開始剤系は、例えば米国特許第6,765,036号(デデ(Dede)ら)に記載されている。さらに他の好適な反応開始剤系は、係争中の米国仮出願60/679265、表題「重合収縮が少ない硬化可能な歯科組成物(Hardenable Dental Compositions with Low Polymerization Shrinkage)」に記載されている。
本発明の組成物は、組成物の全重量を基準として、典型的には少なくとも0.03重量%、より典型的には少なくとも0.08重量%、さらにより典型的には少なくとも0.12重量%、最も典型的には少なくとも0.18重量%の光増感剤を含有する。
光反応開始剤系は、硬化(例えば、重合及び/又は架橋)の任意の速度を提供するために十分な量で存在する。組成物中の光反応開始剤系構成要素の量は、光源、放射エネルギーに曝露される層の厚さ、及び構成要素(単数又は複数)の吸光係数に一部依存するであろう。
酸化還元反応開始剤系
ある実施形態では、本発明の組成物は、化学的に硬化可能である、すなわち、組成物は、化学放射線の照射に依存せずに、重合、硬化(cure)、ないしは別の方法で組成物を硬化(harden)できる、化学的に硬化可能な構成要素及び化学反応開始剤(すなわち、反応開始剤系)を含有する。こうした化学的に硬化可能な組成物は、「自己硬化」組成物と呼ばれることが多く、ガラスアイオノマーセメント、樹脂変性ガラスアイオノマーセメント、酸化還元硬化系、及びこれらの組み合わせを包含してもよい。
化学的に硬化可能な組成物は、硬化可能な構成要素(例えば、エチレン性不飽和重合可能な構成要素)並びに酸化剤及び還元剤を包含する酸化還元剤を含む酸化還元硬化系を包含してもよい。好適な硬化可能な構成要素、酸化還元剤、任意の酸官能性構成要素、及び本発明において有用な任意の充填剤は、米国特許第5,154,762号(ミトラ(Mitra)ら)、並びに米国公開特許出願2003/0166740(ミトラら)及び同2003/0195273(ミトラら)に記載されている。
樹脂系(例えば、エチレン性不飽和構成要素)の重合を開始することが可能なフリーラジカルを製造するために、還元剤及び酸化剤は、互いに反応するか、ないしは別の方法で協同すべきである。この種類の硬化は、光の存在に依存せず、光が存在しなくても進行することができる、暗反応である。還元剤及び酸化剤は、好ましくは十分に貯蔵安定性があり、不快な着色がなく、典型的な歯科条件下においての保存及び使用を可能にする。これらは、硬化可能な組成物の他の構成要素に容易に溶解する(及び、硬化可能な組成物の他の構成要素からの分離を阻止する)ことを可能にするために、樹脂系(及び好ましくは水溶性)と十分に混和性があるべきである。
有用な還元剤としては、米国特許第5,501,727号(ワング(Wang)ら)に記載されているようなアスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体、及び金属錯体アスコルビン酸化合物;4−tert−ブチルジメチルアニリン及びN,N−ビス(ヒドロキシエチル)−p−トルイジンのようなアミン、特に三級アミン;p−トルエンスルフィン酸塩及びベンゼンスルフィン酸塩のような芳香族スルフィン酸塩;1−エチル−2−チオ尿素、テトラエチルチオ尿素、テトラメチルチオ尿素、1,1−ジブチルチオ尿素、及び1,3−ジブチルチオ尿素のようなチオ尿素;及びこれらの混合物が挙げられる。他の二次還元剤は、塩化コバルト(II)、塩化第一鉄、硫酸第一鉄、ヒドラジン、ヒドロキシルアミン(酸化剤の選択に依存する)、ジチオン酸又は亜硫酸アニオンの塩、及びこれらの混合物を包含してもよい。還元剤はアミンであることが好ましい。
また好適な酸化剤は、当業者に馴染みがあり、過硫酸、並びにナトリウム、カリウム、アンモニウム、セシウム、及びアルキルアンモニウム塩のようなその塩が挙げられるが、これらに限定されない。さらなる酸化剤としては、過酸化ベンゾイルのような過酸化物、クミルヒドロペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、及びアミルヒドロペルオキシドのようなヒドロペルオキシド、並びに塩化コバルト(III)及び塩化第二鉄、硫酸セリウム(IV)のような遷移金属の塩、過ホウ酸及びその塩、過マンガン酸及びその塩、過リン酸及びその塩、並びにこれらの混合物が挙げられる。
1超過の酸化剤又は1超過の還元剤を使用することが望ましい可能性がある。また、酸化還元硬化の速度を促進するために、少量の遷移金属化合物を添加してもよい。ある実施形態では、米国公開特許出願2003/0195273(ミトラ(Mitra)ら)に記載されているように、重合可能な組成物の安定性を増強するために、二次イオン性塩を包含することが好ましい可能性がある。
還元剤及び酸化剤は、適当なフリーラジカル反応速度を可能にするために十分な量で存在する。これは、任意の充填剤以外の、硬化可能な組成物の全成分を組み合わせ、硬化された塊(mass)が得られるかどうかを観察することにより評価できる。
還元剤は、硬化可能な組成物の構成要素の全重量(水を包含する)を基準として、典型的には少なくとも0.01重量%、より典型的には少なくとも0.1重量%の量で存在する。還元剤は、硬化可能な組成物の構成要素の全重量(水を包含する)を基準として、典型的には10重量%以下、より典型的には5重量%以下の量で存在する。
典型的に酸化剤は、硬化可能な組成物の構成要素の全重量(水を包含する)を基準として、少なくとも0.01重量%、典型的には少なくとも0.10重量%の量で存在する。酸化剤は、硬化可能な組成物の構成要素の全重量(水を包含する)を基準として、典型的には10重量%以下、より典型的には5重量%以下の量で存在する。
還元剤又は酸化剤は、米国特許第5,154,762号(ミトラ(Mitra)ら)に記載されているように、マイクロカプセル化され得る。これは、一般に、硬化可能な組成物の貯蔵安定性を増強し、必要であれば、還元剤又は酸化剤を共に包装することを許容するであろう。例えば、カプセルの材料(encapsulant)の適切な選択を通して、酸化剤及び還元剤は、酸官能性構成要素及び任意の充填剤と組み合わせて、保存安定性状態を維持することができる。酸化還元硬化系は、他の硬化系、例えば、米国特許第5,154,762号(ミトラ(Mitra)ら)に記載されているような硬化可能な組成物と、組み合わせることができる。
充填剤
本発明の組成物は、充填剤をも含有できる。充填剤は、歯科修復組成物等において現在使用される充填剤のような、歯科用途に使用される組成物に組み込まれるのに適した1以上の多種多様な材料から選択されてもよい。
充填剤は、好ましくは超微粒子状である。充填剤は、一峰性又は多峰性(例えば、二峰性)の粒径分布を有することができる。充填剤の最大粒径(粒子の最大寸法、典型的には直径)は、典型的には20マイクロメートル未満、より典型的には10マイクロメートル未満、最も典型的には5マイクロメートル未満である。充填剤の平均粒子径は、典型的には0.4マイクロメートル未満、より典型的には0.1マイクロメートル未満、最も典型的には0.075マイクロメートル未満である。
充填剤は、無機材料であることができる。また、それは、樹脂系(すなわち、硬化可能な構成要素)に不溶であり、任意に無機充填剤で充填される架橋された有機材料であることもできる。充填剤は、いずれにしても非毒性であるべきであり、口内に使用するのに適しているべきである。充填剤は、放射線不透過性又は放射線半透過性であることが可能である。典型的に充填剤は、実質的に水に不溶である。
好適な無機充填剤の例は、天然起源材料又は合成材料であり、以下が挙げられるが、これらに限定されない:石英(すなわち、シリカ、SiO2);窒化物(例えば、窒化ケイ素);例えば、Zr、Sr、Ce、Sb、Sn、Ba、Zn、及びAl由来のガラス及び充填剤;長石;ホウケイ酸ガラス;カオリン;タルク;ジルコニア;チタニア;米国特許第4,695,251号(ランドクレブ(Randklev))に記載されているもののような低モース硬度充填剤;並びに、サブミクロンシリカ粒子(例えばオハイオ州アクロン(Akron)デグサ社(Degussa Corp)からの「OX50」、「130」、「150」、及び「200」シリカを包含する商品名称エアロジル(AEROSIL)として入手可能なもの及び、イリノイ州タスコラ(Tuscola)キャボット・コーポレーション(Cabot Corp.)からのCAB−O−SIL M5シリカのような発熱性シリカ。)好適な有機充填剤粒子の例としては、充填又は非充填粉砕ポリカーボネート、ポリエポキシド等が挙げられる。
好適な非酸反応性充填剤粒子は、石英(すなわち、シリカ)、サブミクロンシリカ、ジルコニア、サブミクロンジルコニア、及び米国特許第4,503,169号(ランドクルブ(Randklev))に記載された種類の非ガラス質微小粒子である。また、これらの非酸反応性充填剤の混合物、並びに有機材料及び無機材料から製造された混合充填剤も意図される。
また充填剤は、酸反応性充填剤であることもできる。好適な酸反応性充填剤としては、金属酸化物、ガラス、及び金属塩が挙げられる。典型的な金属酸化物としては、酸化バリウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、及び酸化亜鉛が挙げられる。典型的なガラスとしては、ホウ酸ガラス、リン酸ガラス、及びフルオロアルミノシリケート(「FAS」)ガラスが挙げられる。FASガラスが、特に好ましい。ガラスが硬化可能な組成物の構成要素と混合されるとき、硬化された歯科組成物が形成されるように、FASガラスは、典型的に十分な溶出可能なカチオンを含有する。また、ガラスは、典型的に十分な溶出可能なフッ化物イオンを含有するので、硬化された組成物は抗う触性を有するであろう。ガラスは、FASガラス製造技術において当業者に馴染みが深い技術を使用して、フッ化物、アルミナ、及び他のガラス形成成分を含有する溶融物から、製造することができる。FASガラスは、典型的に十分に超微粒子状の粒子の形態であるので、他のセメント構成要素と都合よく混合され得て、その結果得られる混合物が口内に使用されるとき、十分に機能するであろう。
一般に、FASガラスの平均粒子径(典型的に、直径)は、例えば、沈殿分析器を使用して測定し、12マイクロメートル以下、典型的に10マイクロメートル以下、より典型的に5マイクロメートル以下である。好適なFASガラスは、当業者に馴染み深いであろうし、多種多様な商業的供給源から入手可能であり、多くは、ビトレマー(VITREMER)、ビトレボンド(VITREBOND)、レリー・X・ルーティング・セメント(RELY X LUTING CEMENT)、レリーXルーティング・プラス・セメント(RELY X LUTING PLUS CEMENT)、フォトタック−フィルクイック(PHOTAC-FIL QUICK)、ケタック−モラー(KETAC-MOLAR)、及びケタック−フィルプラス(KETAC-FIL PLUS)(3M ESPEデンタル・プロダクツ(3M ESPE Dental Products)(ミネソタ州セントポール(St. Paul))、フジII LC(FUJI II LC)及びフジIX(FUJI IX)(G−Cデンタル・インダストリアル社(G-C Dental Industrial Corp.)、日本、東京)、並びにケムフィル・スペリオール(CHEMFIL Superior)(デンツプライ・インターナショナル(Dentsply International)、ペンシルペニア州ヨーク(York))の商品名称にて市販されているもののような、現在入手可能なガラスアイオノマーセメントに見ることができる。必要であれば、充填剤の混合物を使用することができる。
また、充填剤と樹脂との間の結合を増強するために、充填剤粒子の表面は、連結剤で処理されることもできる。本発明のモノマーと共重合可能な基を有する任意の連結剤が、好適であろう。連結剤は、任意に環状アリル硫化物単位を含有することができる。好適な連結剤の使用としては、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。特定の実施形態では、シラン処理ジルコニア−シリカ(ZrO2−SiO2)充填剤、シラン処理シリカ充填剤、シラン処理ジルコニア充填剤、及びこれらの組み合わせが、特に好ましい。
他の好適な充填剤は、米国特許第6,387,981号(ジャング(Zhang)ら)及び同第6,572,693号(ウー(Wu)ら)、並びにPCT国際公開特許WO01/30305(ジャングら)、PCT国際公開特許WO01/30306(ウィンディッシュ(Windisch)ら)、PCT国際公開特許WO01/30307(ジャングら)、及びPCT国際公開特許WO03/063804(ウーら)に開示されている。これらの参考文献に記載されている充填剤構成要素としては、非凝集ナノサイズシリカ粒子、非凝集ナノサイズ金属酸化物粒子、ナノサイズ粒子のクラスター、及びこれらの組み合わせが挙げられる。またナノ充填剤は、米国公開特許出願10/847,781(カンガス(Kangas)ら);同10/847,782(コルブ(Kolb)ら);同10/847,803(クライグ(Craig)ら);及び同10/847,805(ブッダ(Budd)ら)にも記載されており、これら4つの全ては2004年5月17日に出願されている。これらの出願は、要約すると、次のナノ充填剤含有組成物を記載する:米国特許出願10/847,781(カンガス(Kangas)ら)は、従来のアイオノマー組成物よりも改善された特性を有する組成物を提供するナノ充填剤を含有する安定なアイオノマー組成物(例えば、ガラスアイオノマー)を記載する。一実施形態では、組成物は、ポリ酸(例えば、複数個の酸性繰り返し基を有するポリマー);酸反応性充填剤;少なくとも10重量%ナノ充填剤、又はそれぞれ平均粒子径200ナノメートル以下を有するナノ充填剤の組合せ;水;及び任意に重合可能な構成要素(例えば、任意に酸官能性を有するエチレン性不飽和化合物)を含む硬化可能な歯科組成物である。
米国特許出願10/847,782(コルブ(Kolb)ら)は、光学的に半透明及び放射線不透過性であるアイオノマー系のような改善された特性を有する組成物を提供するナノジルコニア充填剤を含有する安定性アイオノマー(例えば、ガラスアイオノマー)組成物を記載している。ナノジルコニアは、アイオノマー組成物へのナノジルコニアの組込みを補助するためにシランで表面修飾されており、これは、一般に表面修飾がなければナノジルコニアと相互作用してもよいポリ酸を含有し、好ましくない視覚的不透明度を生じる凝固又は凝集を引き起こす。一つの態様において、組成物は、ポリ酸;酸反応性充填剤;ジルコニア粒子の外表面上に付着する複数個のシラン含有分子を有するナノジルコニア充填剤;水;及び任意に重合可能な構成要素(例えば、任意に酸官能性を有するエチレン性不飽和化合物)を包含する硬化可能な歯科組成物であることができる。
米国特許出願10/847,803(クライグ(Craig)ら)は、光学的な半透明性が増強された組成物を提供するナノ充填剤を含有する安定なアイオノマー組成物(例えば、ガラスアイオノマー)を記載している。一実施形態では、組成物は、ポリ酸(例えば、複数個の酸性繰り返し基を有するポリマー);酸反応性充填剤;ナノ充填剤;光重合可能な構成要素(例えば、任意に酸官能性を有するエチレン性不飽和化合物);及び水を包含する硬化可能な歯科組成物である。ポリ酸、ナノ充填剤、水、及び任意に重合可能な構成要素を組み合わされた混合物の屈折率(硬化状態又は非硬化状態で測定される)は、一般に酸反応性充填剤の屈折率の4%以内、典型的には3%以内、より典型的には1%以内、さらにより典型的には0.5%以内である。
米国特許出願10/847,805(ブッド(Budd)ら)は、酸反応性ナノ充填剤(すなわち、ナノ構造充填剤)及び硬化可能な樹脂(例えば、重合可能なエチレン性不飽和化合物)を包含できる歯科組成物を記載している。酸反応性ナノ充填剤は、酸反応性、非融合であり、三価金属(例えば、アルミナ)、酸素、フッ素、アルカリ土類金属、及び任意にケイ素及び/又は重金属を包含するオキシフッ化物(oxyfluoride)材料を包含できる。
充填剤を包含する本発明のある実施形態(例えば、歯科接着剤組成物)において、組成物は、組成物の全重量を基準として、好ましくは少なくとも1重量%、より好ましくは少なくとも2重量%、最も好ましくは少なくとも5重量%の充填剤を包含する。こうした実施形態において、本発明の組成物は、組成物の全重量を基準として、好ましくは最大40重量%、より好ましくは最大20重量%、最も好ましくは最大15重量%の充填剤を包含する。
(例えば、組成物が歯科修復剤又は歯科矯正接着剤である)他の実施形態において、本発明の組成物は、組成物の全重量を基準として、好ましくは少なくとも40重量%、より好ましくは少なくとも45重量%、最も好ましくは少なくとも50重量%の充填剤を包含する。そのような実施形態において、本発明の組成物は、組成物の全重量を基準として、好ましくは最大90重量%、より好ましくは最大80重量%、さらにより好ましくは最大70重量%充填剤、最も好ましくは最大50重量%の充填剤を包含する。
他の添加剤
任意に、本発明の組成物は、溶媒(例えば、アルコール(例えば、プロパノール、エタノール)、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン)、エステル(例えば、酢酸エチル)、他の非水性溶媒(例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、1−メチル−2−ピロロリジノン))、及び水を含有してもよい。必要であれば、本発明の組成物は、指示薬(indicators)、染料、顔料、阻害物質、促進剤、粘度調整剤、湿潤剤、緩衝剤、安定剤、及び当業者に明らかであろう他の同様な成分のような添加剤を含有できる。粘度調整剤は、熱感応性粘度調整剤(例えば、BASFワイアンドット社(BASF Wyandotte Corporation)、(ニュージャージー州パーシパニー(Parsippany))から入手可能なプルロニック(PLURONIC)F−127及びF−108等)を包含し、変性剤上の重合可能な部分又は変性剤と異なる重合可能な構成要素を任意に包含してもよい。こうした熱感応性粘度調整剤は、米国特許第6,669,927号(トロム(Trom)ら)及び米国公開特許出願2004/0151691(オキシマン(Oxman)ら)に記載されている。
さらに、薬剤又は他の治療用物質を、任意に歯科組成物に添加することができる。例としては、歯科組成物に使用されることが多い種類の、フッ化物供給源、美白剤、抗う歯剤(例えば、キシリトール)、カルシウム供給源、リン供給源、再ミネラル化(例えば、リン酸カルシウム化合物)、酵素、息清涼剤、麻酔剤、凝固剤、酸中和剤、化学療法剤、免疫反応変性剤、チキソトロープ剤、ポリオール、抗炎症剤、抗菌剤(抗菌性脂質構成要素に加えて)、抗真菌剤、口腔乾燥症を処理する剤、減感剤等が挙げられるが、これらに限定されない。また、上記の添加剤のいずれかの組合せを採用してもよい。いずれか一つのこうした添加剤の選択及び量は、過度の実験をせずに、任意の結果を達成するために当技術者により選択され得る。
組成物の調製及び使用
本発明の硬化可能な歯科組成物は、従来の混合技術を使用して、混成モノマーを、1以上のさらなるモノマー、例えば、エチレン性不飽和構成要素(例えば、置換(メタ)アクリル化合物)のような他の任意の構成要素と組み合わせることにより、調製できる。その結果得られる組成物は、任意に、増強剤、界面活性剤、充填剤、水、共溶媒、及び本明細書に記載されたような他の添加剤を含有してよい。使用する際、組成物は、光反応開始剤系を含有し、光反応開始により硬化されてもよく、或いは化学的重合により硬化され、組成物が酸化剤及び還元剤を含有する酸化還元硬化系を含有してもよい。或いは、硬化可能な組成物は、組成物が光重合可能な組成物及び化学重合可能な組成物の両方であり得る別の反応開始剤系を含有してもよい。
本発明の硬化可能な組成物は、一部系及び多部系、例えば、2部粉末/液体、ペースト/液体、及びペースト/ペースト系を包含する様々な形態で提供されることができる。また、それぞれ粉末、液体、ゲル、又はペーストの形態の多部組合せ(すなわち、2つ以上の部の組合せ)が採用される他の形態も可能である。酸化還元多部系において、一部は、典型的に酸化剤を含有し、もう一部は、典型的に還元剤を含有する。抗菌性脂質構成要素を含有する多部系では、一部は、典型的に抗菌性脂質構成要素を含有し、別の部は、硬化可能な構成要素又は最終組成物の他の構成要素のいずれかを含有する。硬化可能な組成物の構成要素は、キットに包含されることが可能で、そこで、組成物の内容物は、それらが必要とされるまで、構成要素の保存が可能となるように包装される。
歯科組成物として使用されるとき、硬化可能な組成物の構成要素は、混合され、従来の技術を使用して臨床的に適用され得る。光重合可能な組成物の反応開始のためには、一般に硬化光が必要である。組成物は、象牙質及び/又はエナメル質に非常に良好に接着する複合物又は修復剤の形態であることができる。任意に、硬化可能な組成物が使用される歯組織上において、プライマー層を使用することができる。例えば、FASガラス、又は他のフッ化物を放出する材料を含有する組成物は、非常に良好に長期間フッ化物を放出することができる。本発明のある実施形態は、光又は他の外的硬化エネルギーを適用せずに、バルク内で硬化されることができ、前処理を必要とせず、物理的特性が改善された、ガラスアイオノマーセメント又は接着剤を提供してもよい。
本発明の組成物は、充填又は非充填であってもよい多種多様な歯科材料の形態においての使用に特によく適合する。これらは、軽充填複合物(組成物の全重量を基準として、充填剤が40重量%以下)、あるいは歯に隣接して分与された後に硬化される(すなわち、歯科材料を一時的に又は永久に結合する、又は歯に接触させて配置する)非充填組成物である、シーラント、コーティング、又は歯科接着剤において使用され得る。これらは、典型的に充填組成物(好ましくは、40重量%超過の充填剤、90重量%以下の充填剤を含有する)である、歯科及び歯科矯正セメント、歯科矯正接着剤、複合物、充填材、印象材、及び修復剤において使用され得る。
また、組成物は、歯に隣接して配置される前に、最終用途(例えば、クラウン、ブリッジ、ベニヤ、インレイ、オンレイ等として)のために形成される又は重合される補綴物において、使用されることもできる。こうした事前成形物品は、歯医者又は他のユーザーによって、研がれる(ground)ことができるか、ないしは別の方法で慣例に合った形状に形成され得る。硬化歯科材料は、硬化可能な構成要素から調製されるいかなる多種多様な材料でもあり得るが、好ましくは、硬化歯科材料は、表面前処理材料(例えば、エッチング液又はプライマー)ではない。もっと適切に言うなら、好ましくは、硬化歯科材料は、修復剤(例えば、充填物又は補綴物)、ミルブランク、又は歯科矯正装置である。
組成物は、従来の光硬化性セメントの硬化を得ることが難しい可能性がある臨床用途で、有用性を有する。こうした用途としては、奥深くの修復、大きなクラウンの構築、歯内修復、歯科矯正ブラケットの取り付け(例えば、ペースト部分がブラケットに事前適用されることができ、続いて液体部分が歯上に触れることができる、事前コーティングされたブラケットを包含する)、バンド、バッカルチューブ、及び他の装置、歯への金属クラウン又は他の光不浸透性補綴装置の合着、並びに口領域に到達しがたい他の修復剤用途が挙げられるが、これらに限定されない。
典型的な組成物は、歯科接着剤、歯科矯正接着剤、複合物、修復剤、歯科セメント、歯科矯正セメント、シーラント、コーティング、印象材、充填材、又はこれらの組み合わせとして使用される。
本発明のさらなる特徴及び利点は、次の実施例により、さらに説明されるが、これにより制限されることを決して意図しない。本発明は、本明細書に記載の特定の実施例に限定されると考えるべきではなく、さらに適切に言えば添付の特許請求の範囲に相当する本発明の全態様を包含すると理解されるべきである。本明細書を検討すると様々な修正形態、等価の方法、並びに本発明を適用できる非常に多くの構造が、本発明が対象とする当業界の技術者には容易に明らかであろう。別に示されない限り、実施例で提供される全ての部及び百分率は、重量基準であり、全ての水は脱イオン水であり、全分子量は重量平均分子量である。
試験方法
圧縮強度(CS)試験方法
試験試料の圧縮強度を次の手順に従って測定した。非硬化複合物の試料を4mm(内径)のガラス管に注入した。管をシリコーンゴムプラグで末端保護した。その後、管を軸上に圧力およそ0.28MPa(2.88kg/cm2)で5分間圧縮した。その後、XL1500歯科硬化光(dental curing light)(3M社、ミネソタ州セントポール(St. Paul))を試料に80秒間照射し、続いてクルザー・ユニXS硬化ボックス(Kulzer UniXS curing box)(ヘレウス・クルーザー社(Heraeus Kulzer GmbH)、ドイツ)内で90秒間照射することにより、光硬化した。硬化試料を約37℃/90%+相対湿度に1時間置いた後、ダイアモンドのこぎりで切断し、圧縮強度の測定のための長さ8mmの円筒形のプラグを形成した。試験に先立ち、プラグを蒸留水中に37℃で約24時間保存した。測定は、ISO規格(ISO Specification)7489(又はアメリカン・デンタル・アソシエーション(American Dental Association)(ADS)規格No.27)に従って、インストロン・テスター(Instron tester)(インストロン4505、インストロン社(マサチューセッツ州カントン(Canton)))にて、10キロニュートン(kN)ロードセル、クロスヘッド速度1mm/分で行なわれた。硬化試料の5つのシリンダーを調製して測定し、結果を5つの測定の平均としてMPaで報告した。
ダイヤメトラル引張り強度(DTS)試験方法
試験試料のダイヤメトラル引張り強度を、DTS測定のために、硬化試料を厚さ2.2mmの円盤に切断したこと以外は、CS試験方法に記載されたように、測定した。円盤を、水中に保存し、上記のインストロン・テスターにて測定した。硬化試料の6つの円盤を調製して測定し、結果を6つの測定の平均としてMPaで報告した。
ワッツ(Watts)収縮試験方法
ワッツ収縮(ワッツ)試験方法は、硬化後の体積測定の変化により、試験試料の収縮を測定する。試料調製(90mgの非硬化複合物の試験試料)及び試験手順は、次の参考文献に記載されたように行なわれた。可視光線硬化材料における重合収縮動力学の測定(Determination of Polymerization Shrinkage Kinetics in Visible-Light-Cured Materials):方法開発(Methods Development)、歯科材料(Dental Materials)、1991年10月、281−286頁。各試料について、収縮%による結果が、3つのレプリカの平均として報告され、3Mフィルテック・シュープリーム・ユニバーサル修復剤(FILTEK SUPREME Universal Restorative)(3M社)の性能に標準化した。
視覚的不透明度(マクベス値)試験方法
円盤形(厚さ1mm×直径15mm)のペースト試料を、円盤の各面を距離6mmでビジラックス2硬化光(VISILUX 2 curing light)(3M社)からの照明に60秒曝露させることにより、硬化した。マクベス(MacBeth)(マクベス(MacBeth)、ニューヨーク州ニューバーグ(Newburgh))から入手可能な、可視光線フィルターを備えたマクベス透過濃度計(MacBeth transmission densitometer)モデルTD−903を使用して、円盤の厚さを通した光透過率を測定することにより、硬化された試料の直接光透過率を測定した。マクベス値がより低いと、視覚的不透明度がより低く、材料の半透明性がより大きいことを示す。報告される値は、3つの測定の平均である。
バーコール硬度試験方法
試験試料のバーコール硬度を、次の手順に従って測定した。非硬化複合物の試料を、ポリエステル(PET)フィルムのシートとガラススライドとの間に挟まれた厚さ2.5mmのテフロン(登録商標)(TEFLON)金型の中で、エリパー・フリーライト2歯科硬化光(ELIPAR Freelight 2 dental curing light)(3M社)にて、30秒間硬化した。照射後、PETフィルムを除去し、金型の上面と底面との両方での試料の硬度を、インデンターを備えたバーバーコールマン・インプレッサー(Barber-Coleman Impressor)(手持ち式の携帯用硬度テスター;モデルGYZJ934−1;バーバーコールマン社(Barber-Coleman Company)、工業用計器部門(Industrial Instruments Division)、インディアナ州ロバスパーク(Lovas Park))を使用して測定した。光曝露の5分後に、上面及び底面のバーコール硬度値を測定した。各試料について、結果をXXX(?)レプリカの平均として報告し、3Mフィルテック・シュープリーム・ユニバーサル修復剤(FILTEK SUPREME Universal Restorative)(3M社)の性能に標準化した。
Figure 2008543743
Figure 2008543743
予備実施例1
C−8ジウレタン
(1,6−ビス(7−メチレン−1,5−ジチアシクロオクタン−3−イル)−2,4,4−トリメチルへキサンジカルバメート)
7−メチレン−1,5−ジチアシクロオクタン−3−オル(C−8アルコール;2.9g、16mmol)及びジラウリン酸ジブチルスズ(10mg;シグマ・アルドリッチ(Sigma-Aldrich))を、窒素下において乾燥テトラヒドロフラン(THF、10mL)に溶解した。得られた溶液を、加熱して還流し、乾燥THF(10mL)中の2,4,4−トリメチル−1,6−ジイソシアネ−トヘキサン(1.76g、8.2mmol)の溶液を、滴下して添加した。出発C8−アルコールが消費されるまで、反応を、薄層クロマトグラフィー(エーテル:塩化メチレン1:1)により監視した。(反応時間約12時間。)その後、溶媒を蒸発して粘稠で透明な油/ガムを得た。油/ガムを、メタノール(15mL/g)に溶解することにより精製し、わずかに白濁した溶液を得た。少量のガムが分離した。溶液を別のフラスコに濾過して入れ、該ろ液に水(3mL/g)を攪拌しながらゆっくり添加した。添加の間に、白色残留材料が溶液から分離した。液体溶媒をデカントし、残留物をメタノール:水=3.5:1で洗浄した。洗浄した残留物を、塩化メチレンに溶解し、BHT阻害物質を添加し(1mg/g)、溶液を硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を蒸発させ、わずかに曇った粘稠な液体を得た(4.36g、収率96%)。C−8ジウレタンの生成物の構造が、1H及び13C NMRにて、確認された。
実施例1
1−(2−メタアクリロイロキシエチル)−2−(7−メチレン−1,5−ジチアオクタン−3−イル)フタレート
(化合物A)
モノ−2−メタアクリロイロキシエチルフタレート(9.4g、31mmol、シグマ・アルドリッチ(Sigma-Aldrich))及びC−8アルコール(5.38g、31mmol)を、磁気攪拌子及び窒素ガス入口を備えた3首フラスコ中で、塩化メチレン(50mL)に溶解した。DMAP(400mg)を添加し、得られた混合物を氷浴中で20分間冷却した。冷却した溶液に、塩化メチレン(50mL)中のDCC(6.95g、34mmol)の溶液を添加した。添加は、窒素下0℃において、フラスコ内容物を連続的に攪拌しながら、1時間の滴下で行なわれた。その後、得られた混合物を、フラスコで氷浴中で1時間、次に、室温で一晩攪拌した。得られた沈殿を、濾過補助セライトを有するブフナー漏斗を使用して、真空濾過により除去した。その後、ろ液を、0.1NのHCl(100mL)で一度、5%NaOH(100mL)で一度、水(100mL)で一度洗浄した。有機層を乾燥し、濃縮して、わずかに曇った粘稠な液体(11.4g;収率84%)を得た。実施例1(化合物A)の純度及び構造が、13C及び1H NMRにて確認された。
Figure 2008543743

化合物A
実施例2
1−(メタアクリロイロキシエチル)−6−(7−メチレン−1,5−チアシクロオクタン−3−イル)−2,4,4−トリメチルへキサンジカルバメート
(化合物B)
2,4,4−トリメチル−1,6−ジイソシアネートへキサン(17.6g、84mmol)を磁気攪拌子及び窒素ガス入口を備えた3首フラスコ中で、塩化メチレン(100mL)に溶解した。フラスコにジラウリン酸ジブチルスズ(10滴、シグマ・アルドリッチ(Sigma-Aldrich))を添加し、連続的に攪拌した溶液にC−8アルコールを少ない増分でさらに添加した(全添加量:14.8g、84mmol)。得られた混合物を室温で6時間攪拌する間に、全てのC−8アルコールが消失したことが薄層クロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1、ガラスプレート上のシリカゲル)により測定された。HEMA(10.92g、84mmol)を混合物に滴下して添加し、イソシアネート部分(−NCO)の消失をFT(フーリエ変換)IR分光法で監視した。攪拌を一晩続けた後、IRは、約95%NCO反応完了を示した。メタノール(10mL)を添加し、0.5時間後、NCO反応が完了した。溶媒を真空下で除去し、無色の粘稠な液体として実施例2(化合物B)を得た。収率は定量的であった。純度及び構造が、13C及び1H NMRにより確認された。
Figure 2008543743
化合物B
実施例3A
1−(2−メタアクリロイロキシエチル)−2−(7−メチレン−1,5−ジチアシクロオクタン−3−イル)サクシネート
(化合物C)
実施例3Aを、実施例1にて記載されたエステル化の一般手順に従って、C−8アルコール及びモノ−2−メタアクリロイロキシエチルサクシネート(シグマ・アルドリッチ(Sigma-Aldrich))から調製した。実施例3A(化合物C)の純度及び構造立証は、1H及び13C NMRにより確認された。
Figure 2008543743
化合物C
実施例3B
1−(2−アクリロイロキシエチル)−2−(7−メチレン−1,5−ジチアシクロオクタン−3−イル)サクシネート
(化合物D)
実施例3Bを、実施例1にて記載されたエステル化の一般手順に従って、C−8アルコール及びモノ−2−アクリロイロキシエチルサクシネート(シグマ・アルドリッチ(Sigma-Aldrich))から調製した。実施例3B(化合物D)の純度及び構造立証は、1H及び13C NMRにより確認された。
実施例4A
(7−メチレン−1,5−ジチアシクロオクタン−3−イル)2,2−ビス(IEM−メチル)プロピオネート
(化合物E)
2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸(15.0g、112mmol、シグマ・アルドリッチ(Sigma-Aldrich))を、窒素下で磁気攪拌子を使用して連続して攪拌しながら、THF(100mL)中に懸濁した。室温において、激しく攪拌された懸濁液に、ジラウリン酸ジブチルスズ(10滴)を添加し、続いてIEM(35.4g、112mmol)を滴下して添加した。混合物を一晩攪拌し(混合物は透明になった)、FTIRは、−NCO部分の5%未満が未反応で残っているのが示されたた。メタノール(2mL)を添加し、全ての−NCOが反応した後、混合物をさらに2時間攪拌した。ロータリーエバポレーター内で溶媒を除去し、透明で粘稠な液体(IEM付加化合物−プロピオン酸)を定量的収率で得た。
実施例1に記載されたエステル化の一般手順に従って、単離されたIEM付加化合物−プロピオン酸をC−8アルコールでエステル化した。白色ワックス固体を単離した。実施例4A(化合物E)の構造は、1H及び13C NMRで確認された。そのワックス様性質のために、有意量の充填剤を実施例4Aに加えることは、非常に難しいことがわかり、この化合物ではペースト製剤を製造しなかった。
Figure 2008543743
化合物E
実施例4B
(2−(メタクリロイロキシ)エチルアセトアセテート及び実施例3Bの反応生成物)
(化合物F)
ガラスバイアル瓶中に、1−(2−アクリロイロキシエチル)−2−(7−メチレン−1,5−ジチアオクタン−3−イル)サクシネート(実施例3B、5.25g、0.0134mol)を入れ、続いてDBU2滴を入れた。構成要素を30秒間手で混合し、2−(メタクリロイロキシ)エチルアセトアセテート(1.35g、0.0068、シグマ・アルドリッチ(Sigma-Aldrich))を添加して、続いて1分間手で混合した。バイアル瓶を室温にて3時間置き、その間に無色の粘稠な液体として定量的収率で生成物が形成された。実施例4B(化合物F)の構造は、1H及び13C NMRにて確認された。その高粘度の性質のために、有意量の充填剤を実施例4Bに加えることは、非常に難しいことがわかり、この化合物ではペースト製剤を製造しなかった。
Figure 2008543743
化合物F
実施例5−9及び比較実施例1−2
C−8アルコールのメタクリレート誘導体を含有する歯科組成物
C−8アルコールのメタクリレート誘導体を含有する歯科組成物(「混成」化合物)を、次のように調製した:初めにガラス瓶内で混合物を55℃で3時間機械的に混合することにより、光反応開始剤構成要素(例えば、CPQ、EDMAB、及びDPIHFP)をビスGMAに溶解した。次に、他の構成要素(充填剤を包含する)を、スクリューキャップを有するMAX20プラスチック製ミキシングカップ(フラックテク(Flakteck)、サウスカロライナ州ランドラム(Landrum))に量り入れた。カップを85℃のオーブン内に30分間置いた。次に、全ての構成要素を組み合わせ、DAC150FVスピードミキサー(フラックテク(Flakteck))内で314.2rad/s(3000rpm)にて1分間混合した。85℃で30分間加熱後に、混合することを2回繰り返した。歯科組成物(実施例5−9)は、ペースト複合物として、この方法にて調製されたが、各複合物における構成要素の相対量を表1に列記する。比較実施例1及び2は、組成物が、「混成」化合物の代わりに、C−8アルコールのアセテート(C−8アセテート)及びジウレタン(C−8ジウレタン)誘導体を含有すること以外は,同様な方法で調製された(表1)。
これらの複合物ペースト(実施例5−9)については、本明細書に記載された試験方法に従って、ダイヤメトラル引張り強度(DTS)、ワッツ収縮、バーコール硬度、及び視覚的不透明度を評価し、結果はを市販製品3Mフィルテック・シュープリーム・ユニバーサル修復剤(FILTEK SUPREME Universal Restorative)(3M社)の結果と比較した。評価結果を表2に提供する。比較実施例1及び2は、可視光線への曝露(エリパー・フリーライト硬化光(ELIPAR FreeLight Curing Light)(3M社)からの可視光線への20〜30秒間の曝露)に際し、重合されなかった(すなわち、硬化されなかった)ので、評価結果が得られなかった。
表2の結果から、本発明の歯科複合物(実施例5−9)は、市販のフィルテック・シュープリーム(FILTEK SUPREME)修復剤製品と比較して、良好〜優れた機械的強度(DTS及びバーコール硬度値)及び審美的(視覚的不透明度値)特性を維持しつつも、著しく改善された収縮値を示すことを、結論付けることができる。
Figure 2008543743
Figure 2008543743
*NT=試験せず
**フィルテック・シュープリーム(FILTEK SUPREME)修復剤(非顔料着色(unpigmented)試料)
実施例10−13
C−8アルコールのメタクリレート誘導体を含有する歯科組成物
C−8アルコールのメタクリレート誘導体を含有する歯科組成物(「混成」化合物)を、次のように調製した:初めにガラス瓶中で混合物を機械的に混合することにより、光反応開始剤構成要素(すなわち、CPQ、EDAB、及びDPIHFP)を「混成」化合物に溶解した。次に、充填剤を添加し、得られたペーストが均質になるまで、全ての構成要素を混合した。歯科組成物(実施例10−13)は、この方法で調製されたが、各複合物におけるペースト複合物及び構成要素の相対量を表3に列記する。
これらの複合物ペースト(実施例10−13)については、本明細書に記載された試験方法に従ってバーコール硬度が評価され、その結果を表4に提供する。
表4における結果から、本発明の歯科複合物(それぞれモノマー樹脂として単一「混成」化合物のみを含有する実施例10−13)は、良好〜優れたバーコール硬度値を示すことを、結論付けることができる。
Figure 2008543743
Figure 2008543743
実施例14−24
C−8アルコールのメタクリレート誘導体を含有する歯科組成物
C−8アルコールのメタクリレート誘導体を含有する歯科組成物(「混成」化合物)を、次のように調製した:光反応開始剤構成要素(例えば、CPQ、EDMAB、DPIHFP、及びI−819)、メタクリレートモノマー、(ビスGMA、ビスEMA6、UDMA、及びTEGDMA)、並びにC−8アルコールのメタクリレート誘導体を、スクリューキャップを有するMAX20プラスチク製ミキシングカップ(フラックテク(Flakteck))に量り入れた。カップを85℃のオーブンに5分間置いた後、DAC150FVスピードミキサー(フラックテク(Flakteck))内にて314.2rad/s(3000rpm)で1分間混合した。次に、充填剤構成要素を添加し、カップを85℃のオーブンに5分間置き、DAC150FVスピードミキサー(フラックテク(Flakteck))内にて314.2rad/s(3000rpm)で1分間混合した。85℃で5分間加熱後に攪拌することを1回繰り返した。歯科組成物(実施例14−24)は、この方法で調製されたが、各複合物のペースト複合物及び構成要素の相対量を表5に列記する。
これらの複合物ペースト(実施例14−24)について、本明細書に記載された試験方法に従って、ワッツ収縮及びバーコール硬度を評価し、結果を、市販製品3Mフィルテック・シュープリーム・ユニバーサル修復剤(FILTEK SUPREME Universal Restorative)(3M社)の結果と比較した。評価結果を表6に提供する。
表4における結果から、本発明の歯科複合物(実施例14−24)は、一般的に良好〜優れた硬度(バーコール硬度値)を維持する一方で、市販のフィルテック・シュープリーム(FILTEK SUPREME)修復剤製品と比較して、一般的に改善された収縮値を示すことを、結論付けることができる。

Figure 2008543743
Figure 2008543743
*ビジラックス2硬化光(VISILUX 2 curing light)(3M社)にて硬化
**NT=試験せず
本発明の様々な修飾及び変更が、本発明の範囲及び精神から逸脱せずに実施できることは、当業者には明らかであろう。本発明は、本明細書で述べる特定の実施形態及び実施例によって不当に限定されるものではないこと、並びに、こうした実施形態及び実施例は、本明細書に添付される特許請求によってのみ制限されることが意図される本発明の範囲内で、本発明の説明のためにのみ提示されることを理解すべきである。
本明細書中に引用される特許、特許文献、及び刊行物の完全な開示は、それぞれが個々に組み込まれたかのように、その全体が参考として本明細書に組み込まれる。

Claims (20)

  1. 少なくとも1つの(メタ)アクリロイル部分が付着する少なくとも1つの環状アリル硫化物部分を有する重合可能な化合物を含み、該化合物が、該環状アリル硫化物部分の環状構造に直接結合する酸素原子を含む、硬化可能な歯科組成物。
  2. 前記組成物に付着する少なくとも1つの(メタ)アクリロイル部分を有する少なくとも1つの環状アリル硫化物部分を有する重合可能な化合物を含み、該化合物が以下の式で表される、硬化可能な歯科組成物。
    Figure 2008543743
    式Ia
    又は
    Figure 2008543743
    式Ib
    [式中、各Xは、少なくとも1つのXがS、又はSを含む基であるという条件で、S、O、N、C、SO、SO2、N−アルキル、N−アシル、NH、N−アリール、及びカルボニルから独立して選択され;
    Yは、存在しないか、あるいは任意にヘテロ原子を包含するC1〜C3のアルキレン、カルボニル、アシル、又はこれらの組み合わせであり;
    Zは、O、NH、N−アルキル、又はN−アリールであり;
    R’は、少なくとも2つの炭素を有するアルキレン、少なくとも1つのへテロ原子(例えば、O、N、S、S−S、SO、SO2)を有するアルキレン、アリーレン、脂環式、カルボニル、シロキサン、アミド(−CO−NH−)、アシル(−CO−O−)、ウレタン(−O−CO−NH−)、尿素(−NH−CO−NH−)基、並びにこれらの組み合わせから選択される基を含む連結部であり;
    R”はH又はCH3であり;
    aは1〜3であり;
    bは1〜3であり;
    ここで、1以上の環状アリル硫化物部分は、任意に環上で、直鎖状又は分岐鎖状アルキル、アリール、シクロアルキル、ハロゲン、ニトリル、アルコキシ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルチオ、カルボニル、アシル、アシルオキシ、アミド、ウレタン基、及び尿素基から選択される1以上の基により、さらに置換され得る。]
  3. 前記環状アリル硫化物部分が2つの硫黄原子を含有する、請求項1に記載の組成物。
  4. 前記環状アリル硫化物部分が8員環を含む、請求項1に記載の組成物。
  5. 前記環状アリル硫化物部分が7員環を含む、請求項1に記載の組成物。
  6. 前記重合可能な化合物が少なくとも250のMWを有する、請求項1に記載の組成物。
  7. 前記(メタ)アクリロイル部分が(メタ)アクリレート又は(メタ)アクリルアミドを含む、請求項1に記載の組成物。
  8. さらにエチレン性不飽和構成要素を含む、請求項1に記載の組成物。
  9. 前記エチレン性不飽和化合物が置換(メタ)アクリロイル化合物を含む、請求項8に記載の組成物。
  10. 前記置換(メタ)アクリロイル化合物がジ(メタ)アクリレートを含む、請求項9に記載の組成物。
  11. 前記置換(メタ)アクリロイル化合物が少なくとも1つの官能基を有する脂肪族(メタ)アクリレートを含む、請求項9に記載の組成物。
  12. 前記置換(メタ)アクリロイル化合物が芳香族官能性を有する(メタ)アクリレートを含む、請求項9に記載の組成物。
  13. 前記置換(メタ)アクリロイル化合物がエトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート(ビスEMA6)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、ビスフェノールAジグリシジルジメタクリレート(ビスGMA)、ウレタンジメタクリレート(UDMA)、トリエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA)、グリセロールジメタクリレート(GDMA)、エチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート(NPGDMA)、及びポリエチレングリコールジメタクリレート(PEGDMA)から成る群から選択される、請求項9に記載の組成物。
  14. 前記組成物がさらに反応開始剤系を含む、請求項3〜13のいずれか一項に記載の組成物。
  15. 前記反応開始剤系が、電子供与体、ヨードニウム塩、及び光増感剤を含む、請求項14に記載の組成物。
  16. 前記反応開始剤系が、約300〜約600nmの範囲の光を吸収できるホスフィンオキシドを含む、請求項14に記載の組成物。
  17. 前記組成物がさらに充填剤を含む、請求項3〜16のいずれか一項に記載の組成物。
  18. 前記充填剤がシランで表面変性されている、請求項17に記載の組成物。
  19. 歯科修復剤の調製方法であり、
    請求項1〜18のいずれか一項に記載の硬化可能な歯科組成物を提供することと、
    該組成物を患者の歯に適用することと、
    該組成物を重合すること、
    とを含む方法。
  20. 次式で表される化合物。
    Figure 2008543743
    式Ia
    又は
    Figure 2008543743
    式Ib
    [式中、各Xは、少なくとも1つのXがS、又はSを含む基であるという条件で、S、O、N、C、SO、SO2、N−アルキル、N−アシル、NH、N−アリール、及びカルボニルから独立して選択され;
    Yは、存在しないか、あるいは任意にへテロ原子を包含するC1〜C3のアルキレン、カルボニル、アシル、又はこれらの組み合わせであり;
    Zは、O、NH、N−アルキル、又はN−アリールであり;
    R’は、少なくとも2つの炭素を有するアルキレン、少なくとも1つのへテロ原子(例えば、O、N、S、S−S、SO、SO2)を有するアルキレン、アリーレン、脂環式、カルボニル、シロキサン、アミド(−CO−NH−)、アシル(−CO−O−)、ウレタン(−O−CO−NH−)、尿素(−NH−CO−NH−)基、並びにこれらの組み合わせから選択される基を含む連結部であり;
    R”はH又はCH3であり;
    aは1〜3であり;及び
    bは1〜3であり;
    ここで、1以上の環状アリル硫化物部分は、任意に環上で、直鎖状又は分岐鎖状アルキル、アリール、シクロアルキル、ハロゲン、ニトリル、アルコキシ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルチオ、カルボニル、アシル、アシルオキシ、アミド、ウレタン基、及び尿素基から選択される1以上の基により、さらに置換され得る。]
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