JP2008540176A - 多層板 - Google Patents

Abstract

【課題】短サイクル用の装置及び連続製造用の装置を用いて、高光沢面を有する態様で製造できる、多層板を提供すること。
【解決手段】素材板を有し、その可視表面が樹脂を含浸させた少なくとも１つの紙層（１０）で被覆されている多層板。樹脂層（１８）は、少なくとも１つの紙層（１０）又は一番上の紙層（１０）の、素材板（２０）と反対側の面に存在し、該樹脂層の平均層厚（ｄ）が少なくとも５μｍである。
【選択図】なし

Description

本発明は樹脂を含浸させた少なくとも１つの紙層で可視表面が被覆された素材板を含む多層板に関する。

木質材料のコーティング法は公知であり、例えばチップボードやＭＤＦ板（中密度繊維板）、ＨＤＦ板（高密度繊維板）又はＯＳＢ板（配向性繊維板）などのファイバーボードなどを、好ましくはアミノ樹脂を含浸させた装飾紙でコーティングする。更に、連続圧力積層体（ＣＰＬ）のコーティングが公知であり、好ましくはアミノ樹脂を含浸させた装飾紙を複数の紙層に積層させることによって形成する。通常この目的で使用される装飾紙は単位面積当たり４５〜１４０ｇ／ｍ^２の重量を有する。通常、ペーパーウェブの含浸に使用する樹脂はメラミンとホルムアルデヒドの縮重合物である。しかしながら、尿素及び／又はメラミンとホルムアルデヒドの混合型の縮合重を有する重縮合物を使用することもある。

樹脂含浸紙材の製造では、特別な含浸装置を用いて基材紙に上記の樹脂を含浸させる。次いでこの含浸後に一定のサイズにカットされた装飾紙を素材板の片面又は両面に積層させ、多工程プレス、短サイクルプレス又は連続プレス（フィードスループレス）を行うことにより装飾材が形成され、それらは例えば装飾板材、調理台又はフローリング材として流通する。

装飾材又は装飾紙を所望の表層構造とする際、通常プレスにおいてクロムメッキの加圧板が用いられ、該加圧板は対応する表層構造を有している。ここでは「構造」とは木様構造又は石様構造などのレリーフ構造のみならず、高光沢、真珠光沢又は艶消し光沢などの光沢構造をも意味する。

光学的に高光沢な表面は、ＤＩＮ６７５３０（ＩＳＯ２８１３）標準に従って定義される。ＡＳＴＭ Ｄ５２３及びＢＳ ３９００ Ｐａｒｔ ＤＳでは、表層面に対して２０°の入射角において６０以上の光沢度の値を有する。表層面に対して６０°の入射角で１０〜７０の光沢度の値を有する表面は中程度光沢面と呼ばれ、一方艶消し光沢面は６０°の入射角で１０未満の光沢度を有する。

光学的に艶消し光沢面は上記の全てのタイプのプレス工程によって作製できるが、光学的に高光沢面の作製は、多段階プレス工程及びその後の再冷却工程によってのみこれまで可能であった。しかしながら、多段段階プレス工程を使用して高光沢面を有する多層板を生産する場合、再冷却工程の必要性により、エネルギー消費の増加や製造工程の長時間化（全てのプレスサイクルが１５〜２５分継続する）などの不利な点がある。なお、短サイクルのプレス工程の場合プレスサイクルはわずか１０〜３０秒であり、また連続製造工程の場合は、プレスサイクルは実質わずか５〜１０秒である。

以上より本発明の課題は、短サイクル用の装置及び連続製造用の装置を用いて、高光沢面を有する態様で製造できる、多層板を提供することである。

この課題は広義には、少なくとも１つの紙層又は最上層の紙層の、素材板と反対の側の面に樹脂層が存在し、該樹脂層が少なくとも５μｍの平均層厚である本発明の多層板によって解決される。請求項に記載の樹脂層により、短サイクル法、また同様にフィードスループレスにおいても、上記の定義に従えば高光沢面の作製が可能となる。その理由は、少なくとも５μｍの平均層厚により、紙材の繊維が装飾紙材の表面まで突出し、それによる表面における反射特性の低下が防止されるからである。本発明では、樹脂層は好ましくは本質的に連続的な態様の層であり、その層厚は全ての位置で少なくとも２μｍ、好ましくは少なくとも３μｍである。これにより、少なくとも５μｍの平均層厚においても、樹脂層がいかなる点でも、個々の紙材繊維が数箇所で紙層の表面まで突出してしまう程薄くないことが確実となる。

層厚は例えば、１００μｍ以下、好ましくは５０μｍ以下、更に好ましくは２０μｍ以下であってもよい。その理由は単に、層厚が増加しても樹脂の消費が増加するだけであり、表面特性（特に表層光沢）が改善される訳ではないということである。

本発明による多層板では、少なくとも１つの紙層が可視紙層（好ましくは装飾的な紙層）を含んでいてもよい。多層板の製造に使用する可視紙層では、Ｂｅｋｋに従って測定したとき、基材紙が好ましくは少なくとも２０ｓ（好ましくは少なくとも２５ｓ）の平滑度を有する。この基材紙の高い平滑度により、そのように平滑でない紙材と比較して、塗布した樹脂が紙材中へ浸透する量をはるかに少なくすることが可能となり、それによって、比較的少ない樹脂量によって本発明における樹脂層が得られる。可視紙層は例えば、単位面積当たり約４５ｇ／ｍ^２〜約１４０ｇ／ｍ^２の重量であってよい。

更に、少なくとも１つの裏側紙層を素材板と可視紙層の間に配置してもよく、それにより裏側紙層が樹脂の浸透を防止する更なる障壁として機能する。あるいは、又は更に、上貼紙層を可視紙層の素材板と反対の面に設置してもよく、該上貼紙層により主に多層板の耐摩耗性が増加する。この上貼紙層は、単位面積当たり約１０ｇ／ｍ^２〜約８０ｇ／ｍ^２の重量を有するのが好ましい。上貼紙層は、樹脂の浸透のため本質的に透明となり、それにより好ましくは装飾紙層としての態様の可視紙層の見た目を実質的に妨げない。

使用する樹脂は好ましくはメラミン及び／又はホルムアルデヒドと尿素との縮重合物である。

素材板は、好ましくは木質の素材板（例えばチップボード又はファイバーボード）であり、好ましくはＭＥＴ板、ＨＤＦ板又はＯＳＢ板である。あるいは、素材板は幾つかの紙層を積層して形成させた連続圧力薄層板（ＣＰＬ板）であってもよい。

本発明の更なる特性、特徴及び効果を、添付の図面と共に以下の詳細な説明で示すが、それは本発明の一実施態様を単に例証として詳細に説明するに過ぎない。

図１は、多層板１００の構造を示す概略図である。木質の素材板（例えばチップボード）、ファイバーボード（好ましくはＭＤＦ板、ＨＤＦ板若しくはＯＳＢ板）、又は幾つかの紙層を積層して形成した高圧薄層板を含んでなる、本発明の素材板２０は、樹脂を含浸させた可視紙層１０で被覆される。

更に、裏側紙層３０を素材板２０と可視紙層１０の間に配置してもよく、裏紙層の存在により樹脂の可視紙層１０からの浸透が防止できる。更に、タイル多層板１００の耐摩耗性を増加させるために、上貼紙層４０を可視紙層１０の素材板２０に対して反対側の面に設置してもよい。上貼紙層４０は１０〜８０ｇ／ｍ^２と比較的小さい単位面積当たりの重量を有してもよく、それにより樹脂を含浸させたとき実質的に透明である。この本発明の多層板１００の基本構成は、従来の多層板のそれに対応するものである。

図２は、樹脂を含浸させた従来の可視紙層１０を示す。その紙層により素材板２０は図１に示す構造（上貼紙層４０なし）でコーティングされ、そこには紙材繊維１２とその紙材繊維１２を囲んでいる含浸した樹脂１４の混合物が含まれる。ここでは若干の紙材繊維１２が紙層１０の可視表面１６に至っている様子が明示されており、これらの突出により、紙材繊維１２は紙層の可視表面１６の表層に粗さを形成してしまい、その粗さにより入射光線が散乱し、結果的に可視表面１６での光沢特性が損なわれる。

対照的に、図３に示す本発明の可視紙層１０は、紙材繊維１２より上に突出している樹脂層１８を有し、該樹脂層は理想的に少なくとも５μｍの均一な厚みｄを有する。紙材繊維１２より上に突出しているこの樹脂層１８は、個々の紙材繊維１２が樹脂を含浸させた紙層１０の可視表面１６まで突出するのを防止し、それによりこの樹脂を含浸させた紙層１０は平滑な、反射性の、すなわち高光沢な可視表面１６が得られる。

このタイプの突出している樹脂層１８を提供するために、使用する紙材の単位面積当たりの重量及び使用するプレスの実行パラメータに応じて、充分な樹脂を塗布してもよく、又は、塗布した樹脂が紙材１０又は更に進んでその下に位置する素材板２０中への浸透を確実に防止してもよく、そのためには、基材紙の平滑度を増加させて可視表面１６付近に紙材繊維１３を凝集させるか、又は素材板２０と装飾紙層１０の間に少なくとも１つの裏紙層３０を用い、その裏紙層により樹脂が素材板２０の中に浸透するのを防止する。

本発明の多層板１００の装飾紙表面１６の光沢特性を増加させるための、幾つかの実施例を以下に示す。

＜基材紙の平滑度の増加による効果＞
白い装飾を有する装飾紙材において、基材紙の平滑度（Ｂｅｋｋに従って測定）を１７ｓから２８ｓに増加させた。このように処置した装飾紙材、及び付加的なスムージングを施さなかった装飾紙に、同じ樹脂を、いずれの場合も単位平方メートル当たりで同じメラミン樹脂量を塗布し含浸させた。紙表面の平滑度の増加により、樹脂が紙材中に浸透する量がはるかに少なく、異なる方法で調製した２つの装飾紙を用い、それに続く短サイクル高光沢プレスを行ったところ、基材紙の平滑度を２８ｓに増加させた装飾紙では、光沢の改善の程度に顕著な相違が生じた。紙表面に対する２０°の入射角で、付加的なスムージング工程を施さなかった装飾紙では２８の光沢度の値であったが、付加的なスムージング工程を施した装飾紙では、７９の光沢度の値であった。

＜樹脂量の増加による効果＞
白い装飾紙を用い、塗布する樹脂の量を、単位重量当たりの基材紙に塗布する樹脂の標準的な量よりも３０％増加させた。したがって、連続プレス工程における次のプレスの間により多くの樹脂が利用でき、それにより突出する樹脂層が紙材繊維の上に形成される。標準的に樹脂を塗布した装飾紙の、２０°の入射角による光沢度を測定したところ、光沢度が２８の数値を示したが、それと比較し、樹脂量を３０％増加させて塗布した装飾紙では、光沢度が６２の値を示した。

＜樹脂量の変化による効果＞
異なる装飾紙（白色、象牙及び木目）に、同じ組成の樹脂を、樹脂量を変化させて塗布した。象牙の装飾紙では、標準的方法で含浸させ、木目装飾紙では、含浸させた純粋な樹脂がすでに突出して目視可能となるように含浸させ、また白い装飾紙では、樹脂を含浸させた連続的な突出層がプレス前に少なくとも５μｍの平均層厚となるように含浸させた。これらの含浸後の装飾紙をそれぞれ、短サイクルプレス及び連続プレスにおいて、高光沢シート又は高光沢ベルトに向けてプレスした。光沢測定の結果は以下の通りであった。

上記実施例に示すように、装飾紙１０を用いれば、含浸前に含浸しようとする紙材の基材紙平滑度を増加させることによっても、又は樹脂の量を標準パラメータと比較して増加させて塗布することによっても、素材板２０をコーティングして高光沢面１６を調製できる。これらのいずれの方法でも、可視紙層１０の紙材繊維１２上に樹脂層１８の突出が形成される。

本発明の多層板の基本構成を説明する概略断面図。 上貼紙層のない従来の多層板における、樹脂を含浸させた可視紙層の表面の概略横断面図。 上貼紙層のない本発明の多層板における、樹脂を含浸させた可視紙層の表面の概略横断面図。

符号の説明

１０ 紙層
１２ 紙材繊維
１３ 紙材繊維
１４ 樹脂
１６ 可視表面、装飾紙表面又は高光沢面
１８ 樹脂層
２０ 素材板
３０ 裏側紙層
ｄ 層厚

Claims (12)

1. 素材板（２０）を含んでなり、その可視表面が樹脂を含浸させる少なくとも１つの紙層（１０）で被覆されている多層板（１００）であって、樹脂層（１８）が、少なくとも１つの紙層（１０）又は一番上の紙層（１０）の、素材板（２０）と反対側の面に存在し、該樹脂層の平均の層厚（ｄ）が少なくとも５μｍである、多層板（１００）。
2. 前記樹脂層（１８）が実質的に均一に施された層であり、その層の前記層厚（ｄ）があらゆる位置で少なくとも２μｍ、好ましくは少なくとも３μｍである、請求項１記載の多層板（１００）。
3. 前記層厚（ｄ）が１００μｍ以下、好ましくは５０μｍ以下、より好ましくは２０μｍ以下である、請求項１又は２記載の多層板（１００）。
4. 少なくとも１つの前記紙層（１０）が可視紙層（１０）、好ましくは装飾紙層（１０）を含んでなる、請求項１から３のいずれか１項記載の多層板（１００）。
5. 前記多層板の製造に使用する前記可視紙層（１０）が、Ｂｅｋｋに従って測定して少なくとも２０ｓ、好ましくは少なくとも２５ｓの基材紙平滑度を有する、請求項４記載の多層板（１００）。
6. 少なくとも１つの裏紙層（３０）が前記素材板（２０）と前記可視紙層（１０）との間に配置されている、請求項４又は５記載の多層板（１００）。
7. 上貼紙層（４０）が、前記可視紙層（１０）の、素材板（２０）と反対側の面に設けられている、請求項４から６のいずれか１項記載の多層板（１００）。
8. 上貼紙層（４０）が単位面積当たり約１０ｇ／ｍ^２〜約８０ｇ／ｍ^２の重量を有する、請求項７に記載の多層板（１００）。
9. 可視紙層（１０）が単位面積当たり約４５ｇ／ｍ^２〜約１４０ｇ／ｍ^２の重量を有する、請求項４から８のいずれか１項記載の多層板（１００）。
10. 前記樹脂がメラミン及び／又は尿素とホルムアルデヒドとの縮重合物である、請求項１から９のいずれか１項記載の多層板（１００）。
11. 素材板（２０）がチップボード又はファイバーボードなどの木質の素材板であり、好ましくはＭＤＦ板、ＨＤＦ板又はＯＳＢ板である、請求項１から１０のいずれか１項記載の多層板（１００）。
12. 素材板（２０）が幾つかの紙層を積層して形成される高圧積層体である、請求項１から１０のいずれか１項記載の多層板（１００）。

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